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Title:
LIQUID PASSING STRUCTURE AND CHEMICAL LIQUID SUPPLY DEVICE WITH THE LIQUID PASSING STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/081700
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] Provided are a liquid passing structure capable of allowing liquid to reliably reach a liquid leading path in which the liquid is moved by a capillary effect and a chemical liquid supply device capable of allowing chemical liquid from a chemical liquid container to reliably reach a guidance member through a liquid leading path. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] The liquid passing structure has the liquid leading path (421a) and a small-hole section (412) formed above the entrance of the liquid leading path and having a cross-section slightly greater than that of the liquid leading path so as to lead liquid from a supply source to theliquid leading path. The lower surface, connected to the liquid leading path, of the small-hole section has a slope surface (422). The chemical liquid supply device has the liquid passing structure in a liquid supply path for supplying chemical liquid from a chemical liquid container (1) to the guidance member (5) for guiding the chemical liquid to a position in contact with liquid flowing intermittently.

Inventors:
HANDA SATOSHI (JP)
SHIMOO KATSUYA (JP)
FUJIMOTO SHINOBU (JP)
TAKAHASHI HAJIME (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074109
Publication Date:
July 10, 2008
Filing Date:
December 14, 2007
Export Citation:
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Assignee:
KOBAYASHI PHARMA (JP)
HANDA SATOSHI (JP)
SHIMOO KATSUYA (JP)
FUJIMOTO SHINOBU (JP)
TAKAHASHI HAJIME (JP)
International Classes:
E03D9/02
Foreign References:
JP2005273908A2005-10-06
JP2006283539A2006-10-19
JP3125786U2006-10-05
JPH0516873U1993-03-02
JP2003129544A2003-05-08
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Claims:
毛管作用により液体を移動させる導液路と、供給源からの液体を該導液路に導くように該導液路より僅かに大きい断面を有し該導液路に接続する小孔部とを備えており、該小孔部から前記導液路への移行部は、傾斜面とされていることを特徴とする通液構造。
前記傾斜面は、液体の流入時に前記小孔部内に付着する空気塊を、該傾斜面から作用する液圧反力により該小孔部内から押し出すように傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の通液構造。
前記小孔部及び導液路を形成する細管を備え、前記導液路は、該細管の一部を遮蔽部によって遮ることにより形成されており、該遮蔽部の上面が前記傾斜面を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の通液構造。
前記遮蔽部は、前記細管に嵌入した嵌入体により形成されており、前記導液路は、前記嵌入体の外壁面を前記細管の軸線方向に延びる縦溝と前記細管の内壁面とによって形成され、前記嵌入体の上面が傾斜面を備えていることを特徴とする請求項3に記載の通液構造。
前記導液路は、前記遮蔽部内に設けられ前記細管の軸線方向に延びる貫通孔によって形成されていることを特徴とする請求項3に記載の通液構造。
請求項1から5のいずれかに記載の通液構造を備え、断続的に流れる液体に薬液容器内の薬液を供給する薬液供給装置であって、
 薬液容器を支持する支持体と、
 薬液容器より下方で該支持体に支持され、薬液容器からの薬液を、断続的に流れる液体と接触する位置へ案内する案内部材と、
 薬液容器から前記案内部材に薬液を供給するように延びた供給部とを備えており、
 前記供給部は、下端部が薬液を前記案内部材に導くための小孔部となっており、該小孔部には、薬液の緩徐排出を行なうための導液路が接続されていることを特徴とする薬液供給装置。
断続的に流れる液体に薬液容器内の薬液を供給するための薬液供給装置であって、
 薬液容器を支持する支持体と、
 薬液容器より下方で該支持体に支持され、薬液容器からの薬液を、断続的に流れる液体と接触する位置へ案内する案内部材と、
 薬液容器から前記案内部材に薬液を供給するように延びた供給部とを備えており、
 該供給部は、液体供給源からの液体を導く細管を備え、該細管は、毛管作用により液体の緩徐排出を行なうための導液路を備えており、
 前記導液路は、前記支持体の底壁から上方へ延びて前記細管内に嵌入した嵌入体により前記細管の一部を遮ることによって形成されており、前記導液路は、前記嵌入体の外壁面を前記細管の軸線方向に延びる縦溝と前記細管の内壁面とによって形成されており、前記導液路の上方に空気溜まりを生じないように該導液路の上端が前記細管の上端とほぼ同じ高さに達していることを特徴とする薬液供給装置。
請求項6又は7に記載の薬液供給装置であって、さらに、薬液容器の温度変動により薬液容器から前記案内部材へ薬液が流出するのを防止する調整機構を備え、該調整機構は、前記支持体に支持された緩衝室と、該緩衝室の上部に設けられた空気流通孔と、該緩衝室に連通するように前記供給部の下部に設けられた緩衝孔とを備えていることを特徴とする薬液供給装置。
Description:
通液構造及び該通液構造を備え 薬液供給装置

 本発明は、液体を毛管作用により緩徐的 通す通液構造、及び、該通液構造を備え、 続的に流下する液体により薬液を排出させ 薬液供給装置に関する。

 この種の通液構造を備えた薬液供給装置 しては、例えば、水洗トイレにおける貯水 ンク上部の手洗い部に配置され、放水タッ から手洗い部に供給される水とともに貯水 ンク内に薬液を供給するものが提案されて る(特許文献1)。この薬液供給装置は、図1か ら図4に基本構造を示すように、薬液容器1を 持する支持体2を備え、該支持体に装着され た薬液の案内部材5が貯水タンクに流入する と接触するように、手洗い部Aに置かれる。 液は、上下方向に延びる管を備えた供給部4 を通じて、薬液容器1から案内部材5に供給さ る。支持体2には、さらに調整機構が設けら れている。この調整機構は、流水への接触等 により薬液容器1の温度が変動したときに、 液容器1から案内部材5への薬液の余分な流出 やその逆流が生じるのを防止するものである 。調整機構は、支持体2の内側に形成された 状の起立壁23にカバー部材3を被せて形成さ た緩衝室6と、該緩衝室の上部に設けられた 気流通孔343と、該緩衝室に連通するように 給部4の下部に設けられた緩衝孔414とを備え ている。

 この薬液供給装置は、次のように作用す 。すなわち、温度が上昇し、薬液容器1内の 圧力が上昇した場合には、薬液容器内の芳香 洗浄剤は、緩衝孔414から流れ出し緩衝室内に 流入する。一方、温度が低下し、薬液容器1 の圧力が低下すると、緩衝室6内の芳香洗浄 が緩衝孔414を介して薬液容器内へ引き戻さ 、緩衝室内に薬液がない場合は緩衝孔から 気が吸引される。このような構成により、 度変化の繰り返しがあっても芳香洗浄剤が 駄に流出するのを防止することができる。 に、薬液容器の温度変化は、室温の変化と 洗い部への流水の接触との双方で生じるの 、これによる薬液の無駄な流出を防止する とは、薬液の長期使用を可能にする上で重 である。

 このように、上記薬液供給装置は、緩衝室6 の設置により、薬液の余分な流出が防止され 、その結果、薬液容器1から案内部材5へ薬液 正確な量で導出することが可能となり、長 使用が実現される。

特開2004-300861公報

 ところが、この薬液容器1には、以下の問 題が生じることがあった。図14は、薬液供給 置1の供給部4を詳細に示す図である。供給 4は、下端部が薬液を案内部材5に導くための 細管410となっており、該小孔部には、支持体 2の底壁から上方へ延びた嵌入体42が嵌入して いる。そして、嵌入体の外壁面に設けられた 縦溝421と前記小孔部の内壁面とにより、薬液 の緩徐排出を行なうための細い導液路421aが 成されている。したがって、薬液容器1内の 液は、供給部4を通り、導液路421aから僅か つ案内部材5へと導かれる。

 この薬液供給装置は、使用開始時には、 持体2から分離されている薬液容器1を、支 体2上の供給部4に上方から押し込み、薬液容 器1下面の封止シールを破る。これにより、 液は供給部4内へと流れ込み、案内部材5に達 して、使用可能状態となる。

 ところが、供給部4の下端部は、薬液を案 内部材5に導くための細管410となっており、 液路421aを形成するための嵌入体42は、下方 ら細管410内に延び、細管410の半ばの高さに まっている。したがって、嵌入体42の水平な 上面より上方に円柱状の小孔部412が形成され ている。この状態で、薬液が供給部4の上方 ら小孔部412に入ろうとしても、細管410の内 に空気塊が付着して気泡状となり、薬液は 孔部412内に進入しないという現象が生じる とがあった。多くの場合は、薬液供給装置 手で打つなどして軽い振動を与えたり、薬 容器を絞るように圧迫したりすれば、薬液 小孔部内の空気と入れ替わり、小孔部412内 と進入することになる。しかしながら、場 によっては、それでも薬液が進入せず、案 部材5に薬液が到達しない結果、使用に支障 来す場合があった。

 また、薬液容器1内の薬液が使い尽くされ た場合には、その薬液容器1を取り外し、新 い薬液容器1を上記と同様にして支持体2に取 り付けるが、この場合にも、同様に薬液が案 内部材5に到達しないという問題を生じるこ があった。

 この他、毛管作用により液体を移動させ 導液路を備えた通液構造は、芳香剤、消臭 又は防虫剤を揮発用含浸体に微量ずつ供給 る薬液揮散装置、肥料や害虫駆除剤を植物 根に与えるために土中に微量ずつ供給する 液供給具、菌類等の培地に培養液を微量ず 供給する培養液供給装置、液状の医薬を患 の体内に微量ずつ供給する投薬装置等、様 な物品において用いられているが、導液路 接続する小孔部や細管は供給源からの液体 導液路に導くために導液路より僅かに大き 程度の小径となっているので、小孔部や細 内に空気塊が付着し気泡状となって液体が 入するのを妨げ、物品の機能に支障を来す とがある。

 本発明は、このような従来技術の問題を 決し、毛管作用により液体を移動させる導 路に対して確実に液体を到達させることが きる通液構造を提供することを目的とする

 本発明はまた、薬液容器からの薬液を、 液路を経て確実に案内部材まで到達させる とができる薬液供給装置を提供することを 的とする。

 本発明は、前記目的を達成するため、毛 作用により液体を移動させる導液路と、該 液路の入口の上方に形成され供給源からの 体を該導液路に導くように該導液路より僅 に大きい断面を有し該導液路に接続する小 部とを備えており、前記導液路に接続する 小孔部の下面は傾斜面を備えていることを 徴とする通液構造を提供するものである(第 1発明)。

 本発明はまた、前記目的を達成するため 上記に記載の通液構造を備え、断続的に流 る液体に薬液容器内の薬液を供給する薬液 給装置であって、薬液容器を支持する支持 と、薬液容器より下方で該支持体に支持さ 、薬液容器からの薬液を、断続的に流れる 体と接触する位置へ案内する案内部材と、 液容器から前記案内部材に薬液を供給する うに延びた供給部とを備えており、前記供 部は、下端部が薬液を前記案内部材に導く めの小孔部となっており、該小孔部には、 液の緩徐排出を行なうための導液路が接続 れていることを特徴とする薬液供給装置を 供するものである(第2発明)。

 本発明はまた、前記目的を達成するため 断続的に流れる液体に薬液容器内の薬液を 給するための薬液供給装置であって、薬液 器を支持する支持体と、薬液容器より下方 該支持体に支持され、薬液容器からの薬液 、断続的に流れる液体と接触する位置へ案 する案内部材と、薬液容器から前記案内部 に薬液を供給するように延びた供給部とを えており、該供給部は、液体供給源からの 体を導く細管を備え、該細管は、毛管作用 より液体の緩徐排出を行なうための導液路 備えており、前記導液路は、前記支持体の 壁から上方へ延びて前記細管内に嵌入した 入体により前記細管の一部を遮ることによ て形成されており、前記導液路は、前記嵌 体の外壁面を前記細管の軸線方向に延びる 溝と前記細管の内壁面とによって形成され おり、前記導液路の上方に空気溜まりを生 ないように該導液路の上端が前記細管の上 とほぼ同じ高さに達していることを特徴と る薬液供給装置を提供するものである(第3 明)。

 上記第1発明によれば、以下の効果を奏す る通液構造を提供することができる。すなわ ち、該通液構造は、毛管作用により液体を移 動させる導液路と、供給源からの液体を該導 液路に導くように該導液路より僅かに大きい 断面を有した小孔部とを備えている。したが って、供給源から小孔部へ供給された液体は 、導液路に導かれ、導液路に沿って毛管作用 により移動する。

 小孔部の断面は、孔の断面である水平断 であり、小孔部は少なくとも前記導液路の 上部分において断面が導液路より僅かに大 くなっている。

 この場合、小孔部は、孔の断面が小さい で、液体が小孔部内に入ろうとしたときに 該小孔部内の空気は小孔部の内壁に付着し 泡状の空気塊となって残留し、液体が小孔 内に進入するのを妨げることがある。しか ながら、本発明においては、前記導液路に 続する該小孔部の下面は傾斜面を備えてい 。したがって、液体供給時に小孔部内に空 が存在しても、小孔部の上方から空気塊に 用する液圧が、傾斜面を通じて作用するこ により、空気塊は上方へ向かって小孔部外 押し出される。その結果、液体は、小孔部 に進入し導液路に沿って導かれることにな 。

 前記傾斜面は、液体の流入時に前記小孔 内に付着する空気塊を、該傾斜面から作用 る液圧反力により該小孔部内から押し出す うに傾斜しているものとすることができる すなわち、その傾斜面がなければ、前記小 部内には空気が付着したままとなり、液体 小孔部内に進入し得ないのであるが、上記 ように傾斜面を形成することによって、液 は、確実に小孔部内に進入し導液路に沿っ 導かれることになる。

 前記通液構造は、前記小孔部及び導液路 形成する細管を備え、前記導液路は、該細 の一部を遮蔽部によって遮ることにより形 されており、該遮蔽部の上面が前記傾斜面 備えたものとすることができる。この構造 よれば、小孔部及び導液路を一体的に形成 ることができ、微細な径を有した導出路を む精密な構造体を確実容易に製造すること できる。

 前記通液構造は、前記遮蔽部が、前記細 に嵌入した嵌入体により形成されており、 記導液路は、前記嵌入体の外壁面を前記細 の軸線方向に延びる縦溝と前記細管の内壁 とによって形成され、前記嵌入体の上面が 斜面を備えているものとすることができる この場合は、製造のためのモールド成形型 、嵌入体側の型には、嵌入体に対応した凹 と、縦溝に対応する縦状の突起とを設け、 管側の型には、細管に対応する環状凹所を けて、各々成形すればよい。したがって、 い導液路に対応した細長い針状部分などを 造型に設ける必要がなく、損傷を生じ難い による安定した製造が可能となる。

 或いは、前記通液構造は、前記導液路が 前記遮蔽部内に設けられ前記細管の軸線方 に延びる貫通孔によって形成されたものと ることができる。この場合は、導液路を精 モールド成形又は、成形後の微細ドリルに る孔明け加工により、精密に形成すること できる。

 上記第2発明によれば、以下の効果を奏す る薬液供給装置を提供することができる。す なわち、この薬液供給装置は、薬液容器を支 持する支持体と、薬液容器より下方で該支持 体に支持され、薬液容器からの薬液を、断続 的に流れる液体と接触する位置へ案内する案 内部材と、薬液容器から前記案内部材に薬液 を供給し得るように上下方向に延びた供給部 とを備えている。したがって、例えば、水洗 トイレ等のように断続的に液体が流れる場所 に、この薬液供給装置を設置することにより 、薬液容器から案内部材上に案内された薬液 を該液体に担持させることができる。そして 、前記供給部は、下端部が薬液を前記案内部 材に導くための小孔部となっており、該小孔 部には、薬液の緩徐排出を行なうための導液 路が接続されている。このように、供給部が 前述の通液構造を形成しているので、該通液 構造により案内部材への安定した液体の供給 が可能となる。

 上記第3発明によれば、以下の効果を奏す る薬液供給装置を提供することができる。す なわち、この薬液供給装置は、上記薬液供給 装置と同様に、断続的に液体が流れる場所に 、この薬液供給装置を設置することにより、 薬液容器から案内部材上に案内された薬液を 該液体に担持させることができる。そして、 前記導液路は、前記支持体の底壁から上方へ 延びて前記細管内に嵌入した嵌入体により前 記細管の一部を遮ることによって形成されて おり、前記導液路は、前記嵌入体の外壁面を 前記細管の軸線方向に延びる縦溝と前記細管 の内壁面とによって形成されており、前記導 液路の上方に空気溜まりを生じないように該 導液路の上端が前記細管の上端とほぼ同じ高 さに達している。このように、嵌入体の縦溝 により小孔部の内壁面とにより導液路が形成 され、該導液路の上方に空気溜まりを生じな いように該導液路の上端が前記細管の上端と ほぼ同じ高さに達しているので、薬液が、導 液路に進入する際に、細管内に微小気泡が存 在して進入を妨げるということがない。その 結果、薬液は、毛管作用により導液路を経て 確実に案内部材に到達する。

 さらに、上記第2発明及び第3発明の薬液 給装置は、薬液容器の温度変動により薬液 器から前記案内部材へ薬液が流出するのを 止する調整機構とを備え、該調整機構は、 記支持体に支持された緩衝室と、該緩衝室 上部に設けられた空気流通孔と、該緩衝室 連通するように前記供給部の下部に設けら た緩衝孔とを備えたものとすることができ 。この場合は、通常時においては、供給部 下端部に形成された細孔による導液路から 液が案内部材に供給され、薬液容器の温度 上昇し容器内の圧力が上昇したときには、 衝孔から薬液が流出して緩衝室に流入し、 液路からの過剰な薬液の流出を防止する。 た、薬液容器の温度が低下して容器内の圧 が低下したときには、緩衝室に一時的に貯 られた薬液が緩衝孔を通って薬液容器に戻 れ、緩衝室内に薬液がない場合は緩衝孔か 空気が吸引される。特に、通常時に薬液を 給するのは、細孔による導液路であるので 薬液の排出を緩徐的にする。

 以下、本発明に係る通液構造を有した薬 供給装置の実施形態について添付図面を参 しつつ説明する。図面に示す実施形態中、 一又は同種の部材には同一の番号を付して 明を省略することがある。

 本発明の実施形態に係る薬液供給装置は 前述の図1から図4の基本構造を備えるもの あり、以下にその詳細を説明する。図1は、 洗トイレにおける貯水タンク上部の手洗い に配置される薬液供給装置の正面図(a)及び 面図(b)であり、図2は薬液供給装置の分解図 である。

 図1及び図2に示すように、この薬液供給 置は、芳香洗浄剤等の薬液を収容する薬液 器1と、この薬液容器1を支持するカップ状の 支持体2と、支持体2内に取り付けられ薬液容 1に接続されるカバー部材3と、薬液容器よ 下方で支持体2に支持され、薬液容器からの 液を、断続的に流れる液体と接触する位置 案内する案内部材5とを備えている。

 この薬液供給装置は、支持体2の脚部が手 洗い部の排出口Bに挿入されるようにして、 水タンク上部の手洗い部Aに設置される。

 図3は薬液容器1の縦断正面図である。薬 容器1は、図示のように、隣接する1対の薬液 収納部11を備え、各薬液収納部11の下端には 薬液排出のための口部12が形成されている。 薬液収納部11は、一部又は全体が透明又は半 明の材料で構成され、外部から芳香洗浄剤 どの薬液の残量が確認できるようになって る。口部12は、製造後の流通及び保管時に 図外のキャップで閉じられ、使用時に開封 れる。

 図4はカバー部材3の平面図(a)及び正面断 図(b)である。図4に示すように、カバー部材3 は、1対の円筒状部分31が板状の結合部32で結 されて平面視瓢箪形をなしている。円筒状 分31の各々は、側壁33と上壁を備えており、 上壁を供給部4が貫き、下端は開放されてい 。該円筒状部分31の上壁は、供給部4を囲む 段壁341と、1対の円筒状部分31の外側におい 下段壁341より高い位置にあり、平面視三日 状をなす上段壁342とからなり、上段壁342に 空気流通孔343が複数個(この例では4個)設け れている。

 供給部4は、カバー部材3の一部として一 的に形成され下段壁341を貫いて延びる管状 41と、支持体2と一体的に形成され支持体の 壁から上方へ延びる嵌入体42(後述)とを備え 薬液を薬液容器1から案内部材5に通す給液 を形成している。この円筒状部分31が、後述 する上部部材を構成している(以下、上部部 も31で示す)。

 管状部41は、下段壁341を貫いて延び上端 薬液容器1の口部12に接続される接続部411と 該接続部411の下端に連続する小径の細管410 を備えている。接続部411の下端には、細管41 0の上端を囲む仕切壁413が設けられ、該仕切 413には、緩衝孔414が複数(この例では3個)形 されている。

 図5は、支持体2の平面図(a)及び正面断面 (b)であり、図6は、支持体とカバー部材3とを 分解して示す斜視図(a)、及びこれらを合体し た状態で示す正面断面図(b)である。支持体2 、図5に示すように、底壁21と、側壁22とを備 えている。底壁21上には、カバー部材3の側壁 33外面に嵌合する瓢箪形の起立壁23が形成さ ている。起立壁23にカバー部材3を嵌め込む とにより、1対の円筒状部分31と支持体2底壁2 1との間に緩衝室6が形成される(図6(b)参照)。 のように、起立壁23と該起立壁に囲まれた 部壁21の部分とは、緩衝室6を形成する下部 材を構成している。なお、下部部材は上記 ように支持体2と一体的に設けてもよいし、 個に形成して支持体2に接着、ねじ止め等に より結合して設けるようにしてもよい。底壁 21と側壁22には、貯水タンク放水タップから 水が支持体2内部へ流入したときにその水を 部へ排出するための開口24が起立壁23の外側 の位置に複数形成されている。この開口24は 排出に必要な大きさと個数(1個または複数 )とされる。

 図7は、図6に示したカバー部材3の細管410 び支持体2の嵌入体42の嵌合について詳細に す図であり、図6における右側の細管410及び 嵌入体42を中心に示している。図7(a)は嵌合前 の状態を示す斜視図、図7(b)は嵌合後の状態 示す縦断面図である。

 図7に示すように、支持体の底壁21から上 へ延びる嵌入体42は、細管410下端の内側面 嵌合する径とされている。嵌入体42の外側面 には、上端から下端まで延びる縦溝421が形成 されており、該縦溝421は、細管410の内壁面と の間に導液路421aを形成する。そして、嵌入 42の上面は、液体の供給方向を下向きとし、 縦溝421(導液路421a)に向かって下降する傾斜面 422とされ、上端は細管410の上端とほぼ同じ高 さとなっている。傾斜面422の傾斜は、この実 施形態では45度とされている。その結果、細 410における傾斜面422より上方の部分は、導 路421aの入口の上方に形成され液体を導液路 に導くように該導液路より僅かに大きい断面 を有した小孔部412となっている。これら細管 410及び嵌入体42によって形成される小孔部412 導液路421aにより、本発明の一実施形態に係 る通液構造が構成されている。

 この通液構造により、薬液が薬液容器から 給部4に供給される際、小孔部412内に空気が 存在しても、小孔部の上方から空気塊に作用 する液圧が、傾斜面422により斜めに作用する ことにより、空気塊は小孔部外へ押し出され る。その結果、液体は、小孔部412内に進入し 導液路421aに沿って導かれ、案内部材5に到達 る。また、液圧による押し出し力が作用し いるので、たとえ、小孔部412内の空気塊と 液との入れ替わりが円滑に行なわれない場 でも、薬液供給装置を手で打つなどして軽 振動を与えたり、薬液容器を絞るように圧 したりすれば、薬液は容易に小孔部内の空 と入れ替わり、小孔部412内へと進入するこ になる。 水洗トイレの水に加えることに り芳香、消臭、洗浄作用等を付与する薬液 、通常、90~1000mPa・s程度(液温25℃において) 粘度を有している。そして、この種の薬液 使用する薬液供給装置においては、広くは 小孔部の断面が導液路の断面より大きい範 において小孔部の孔の断面積は3~100mm 2 、導液路の断面積は0.01~30mm 2 程度とされ、一般的には、小孔部の孔の断面 積は3~30mm 2 、導液路の断面積は0.01~4mm 2 程度とされる。このような薬液供給装置にお いては、薬液供給装置の使用開始時や薬液容 器の取り替え時に、小孔部での空気塊の残留 が問題となりやすい。本発明は、このような 場合に特に有効であり、前述のようにして、 薬液を確実に小孔部内へ進出させ、導液路を 経て案内部材に到達させることができる。尤 も、本発明が上記の場合に限定されないのは 勿論である。

 縦溝421の断面形状は、図8に示すように、 この例の半円形(a)や円形、長円形の他、三角 形(b)、四角形(c)などの角形など、種々の断面 形状とすることができる。その断面寸法は、 毛管作用により薬液を導液路421aに沿って緩 的に導出し得る程度とするのが望ましい。 た、導液路421aは、少なくとも1箇所に角部を 有する形状とするのが望ましい。さらに、こ の例では、細管410との嵌合状態を確実に保持 するために、細管410下端の外側面に嵌合する 環状部43が支持体2底面から上方へ延びている 。図9に示すように、底壁21における嵌入体42 環状部43との間には、通孔44が形成されてい る。

 この導液路421aの下方には、導出された薬 液を案内する案内部材5が設けられている。 内部材5は、1対の導液路421aを下方から覆う を有した板状に形成されており、上端部が 導液路421a下端の開口縁に近接した位置から 方へ延びている。導液路421a下端開口縁は、 縦溝421の下端縁と細管410の内周面で囲まれた 部分である。したがって、導液路421aを流下 た薬液は、底壁21及び案内部材5の上面と細 410下端との間隙423を経て通孔44を通り、案内 部材5の面上へと移動する。

 案内部材5上端部と導液路421a下端開口縁 の近接の程度は、導液路421aから排出される 液が案内部材5上へ乗り移れる程度、すなわ ち、導液路421aから排出される薬液が滴状と らずに、両方の部分にまたがって連続する 態を形成する程度とするのが望ましく、こ により、導液路から案内部材への導出が円 且つ安定となる。尤も、導液路421aからの排 が十分に円滑に行なわれるのであれば、薬 が滴状に排出される程度の距離をおいても い。案内部材5の表裏面の面状部分には、導 液路421aから導出される薬液を案内し該面状 分に広げるために案内部材5の表裏面(面状部 分)に上下方向に延びる多数の細溝51が形成さ れている(図1(a)参照には上下方向の細溝を示 )。この溝の幅及び深さは、薬液の粘度及び 供給量に応じて決められるが、通常、0.2~2mm 度とするのが望ましい。

 また、支持体2の底面には、案内部材5表 面から間隔をおいて位置する2本の長脚25と これら長脚25の周囲に配置された4本の短脚26 とが下方へ延びるように設けられている。こ れらの脚25,26のうち、長脚25は手洗い部の排 口Bに挿入可能となっており、各短脚26は長 25が排水口Bに挿入された状態で、支持体2を 洗い部A上にほぼ水平に支持する。また、案 内部材5と長脚との間には、支持体2底面から 蔽部材27が下方へ延びている。長脚25に対し 案内部材5、遮蔽部材27は、これらの順に長さ が短くなっており、長脚25は支持体2を排水口 に位置決めし、案内部材5は排水口に流下す 水に接し、遮蔽部材27は流下する水が導液路 421aに達しないように、各々の長さが決めら ている。

 この薬液供給装置は、図6(b)に示すように 、カバー部材3の側壁33の外側に、支持体2の 立壁23を嵌合して緩衝室6を形成した後、カ ー部材3から上方へ延びる接続部411に薬液容 1の口部12を嵌入することにより組み立てら る。

 上記のように構成された薬液供給装置は 次のように作用する。すなわち、薬液容器1 内の薬液は、接続部411内に流入して導液路421 aから流出した後、案内部材5の面状部分へと 内される。そして、案内部材5上の薬液は、 フラッシュ時に供給される水に洗い流されて 貯水タンクの中に流れ込む。

 この薬液供給装置の使用開始時又は薬液 器の交換時には、薬液容器1の口部12を、支 体2上の供給部4に上方から押し込み、薬液 器1下面の封止シールを破る。これにより、 液は、供給部4内の空気を追い出しながら流 入する。そして、薬液が、小孔部412内に入ろ うとしたときには、該小孔部内に空気塊が気 泡状に存在しても、嵌入体42の上面は傾斜面4 22とされているので、空気塊に作用する液圧 反力は、傾斜面422から斜めに上方に作用す こととなり、これにより空気塊は小孔部外 と押し出される。その結果、薬液は、毛管 用により導液路を経て確実に案内部材に到 する。

 上述の緩衝室6、カバー部材3の空気流通 343、供給部4の緩衝孔414は、調整機構を構成 ており、温度変化に対して次のように緩衝 用をする。例えば温度が上昇して薬液容器1 が暖められた場合には、容器1内の空気が膨 し容器1内は正圧になる。この場合、薬液容 1内の薬液は押し出されて排出されるが、こ の薬液は導液路421aの他、緩衝孔414を経て緩 室6にも流れ込むため、薬液が導液路421aへ過 剰に流出するのが防止される。

 一方、流水で冷やされる等して薬液容器1 の温度が低下し、薬液容器1内の空気が収縮 て負圧になると、空気流通孔343により大気 または室内圧が作用している緩衝室6内の薬 は、緩衝孔414を経て薬液容器1内へ吸い込ま れ、緩衝室内に薬液がない場合は緩衝孔から 空気が吸引される。したがって、案内部材5 の水または薄められた薬液が導液路421aを経 容器1側へ戻されるのを抑制することができ る。また、薬液容器1内の負圧によって薬液 排出が制限されるのを、防止することがで る。このように、緩衝室6は、温度変化によ て薬液容器1内に圧力変化が生じた場合でも 、薬液容器1と緩衝室6との間での薬液の流通 生じるため、容器1内の薬液が過剰に流出し たり、或いは流出が制限されたりするのを防 止することができる。

 しかも、導液路421aから案内部材5へ導出 れた薬液は、案内部材5に沿って下方へと案 されるので、フラッシュ時に流れる水が案 部材5に接触しても、この水が案内部材5を って導液路421aまで到達するのを抑制するこ ができ、薬液容器1内に水が混入して薬液が 薄められるのを防止することができる。

 この薬液供給装置においては、通常時に 液を供給するのは、供給部4の嵌入体42に設 られた細い縦溝421と、管状部41の細管410内 面とにより形成される導液路421aである。こ 導液路421aは、縦溝421自身の下端開口縁が、 半円形の滑らかな曲線となっていても、該開 口縁が供給部内壁面と接する部分は角部とな る。こうして下端開口縁の滑らかな曲線形状 が一部遮断されることにより、開口縁に到達 した薬液の表面張力は該遮断部分で不連続と なり、均一状の分散が破られる等で、排出抵 抗の低下が生じ、その結果、薬液は供給部か ら円滑に導出される。

 温度変化に対する薬液流出入の緩衝作用 円滑にするために、緩衝孔414は、導液路421a より、流動抵抗が小さくされているのが望ま しい。通常時の薬液の導出と、温度変化時の 緩衝作用とについては、次のような原理が働 くものと考えられる。通常時は、薬液容器1 の薬液は管状部41の導液路421aを経て案内部 5に導かれる。薬液流出による薬液容器1内の 負圧は、カバー部材3の空気流通孔343から空 が流入することにより補われる。このとき 薬液は、緩衝孔414よりも導液路421aからほと ど流出する。これは、導液路421aには毛管作 用が働き、さらに案内部材5が当接または近 して薬液を該案内部材5へと導くように表面 力やヌレ作用が働くのに対し、緩衝孔414に このように隣接する部材がないので薬液導 作用が働かず、薬液の粘性やメニスカス形 、薬液容器内圧力と緩衝室内圧力とのバラ ス等の保持作用により緩衝室6を経る薬液流 が抑制されるからであると考えられる。薬液 容器1の温度が上昇し容器内の圧力が上昇し ときには、その正圧が緩衝孔414での保持作 を破り、緩衝孔414を薬液が通過して緩衝室6 流入し、また、薬液容器1の温度が低下して 容器内の圧力が低下したときには、その負圧 により緩衝室6に一時的に貯えられた薬液が 衝孔414を通って薬液容器に戻されるという 理が働くものと考えられる。

 導液路421aを形成するための縦溝421は、複 数設けることもできる。この場合、導液路の 総開口面積(すべての導液路の開口面積の和) 、薬液の排出量を適切にし、過剰な排出ま は排出量不足を防止するように調整される また、温度変化に対する緩衝作用を円滑に るために、緩衝孔の流動抵抗は、導液路の 動抵抗より小さいことが好ましい。

 このようにして、緩衝作用のための緩衝 からの流出入と、導液路からの通常時の流 とを安定的に且つ適正な量に保つことがで 、薬液の正確な排出を確実に行なうことが 能となる。このためには、薬液として芳香 浄剤を使用する場合は、通常の薬液粘度(90~ 1000mPa・s[液温25℃において])に対して、導液 は 例えば、半径0.2mm~0.3mmの扇形(中心角45度 度)、緩衝孔は半径0.6mm~0.9mmの円形(1~5個程度 )の大きさとすることができるが、これらに 定されるわけではない。

 前述のように、この導液路421aは、嵌入体 42の外側面に設けられた縦溝と、細管410の内 面とにより形成される。したがって、製造 ためのモールド成形型は、嵌入体側の型に 、嵌入体に対応した凹部と、縦溝421に対応 る縦状の突起とを設け、細管側の型には、 管410に対応する環状凹所を設ければよい。 たがって、細い導液路に対応した細長い針 部分などを製造型に設ける必要がなく、損 を生じ難い型による安定した製造が可能と る。

 案内部材5は、下端部が手洗い部の排水口 に挿入されるので、排出された薬液は、案内 部材5に沿って排水口内に案内される。手洗 部の排水口には、手洗い部の形態に関わら 、放水タップからの流水が流れ込むため、 内部材5上の薬液は流水によって確実に洗い される。したがって、本実施形態に係る薬 供給装置は、例えば放水タップの位置、手 い部の形態に依存することなく、種々のト レで使用することができる。また、案内部 5上の薬液は、流水に洗い流されることによ り、直接排水口に流入するため、例えば薬液 に色素などの成分が含まれている場合であっ ても、この色素によって手洗い部が汚される のを防止することができる。

 図11は、本発明の第2の実施形態を示して る。この図は、図7に示した箇所に対応した 部分を示しており、図7の例とは、嵌入体の 態が異なる。すなわち、この例では、細管41 0内の一部を遮って導液路を形成する遮蔽部 、嵌入体42’により形成されており、嵌入体 42’は、上面が、細管410の上端とほぼ同じ高 とされている。したがって、導液路421aの上 端が、細管410の上端とほぼ同じ高さとなって おり、該導液路の上方に空気溜まりが生じな いようなっている。この実施形態に係る薬液 供給装置も、使用開始時又は薬液容器の交換 時には、薬液容器1の口部12を、支持体2上の 給部4に上方から押し込み、薬液容器1下面の 封止シールを破る。これにより、薬液は、供 給部4内の空気を追い出しながら流入する。 して、嵌入体42’の縦溝421と細管410の内壁面 とにより導液路421aが形成され、導液路421aの 端が細管410の上端とほぼ同じ高さとなって る。したがって、細管410内に微小気泡が存 して進入を妨げるということがなく、薬液 、毛管作用により導液路421aを経て確実に案 内部材5に到達する。嵌入体42’によるこの作 用を得るためには、嵌入体42’における縦溝 成部分は、空気溜まりを生じないように細 410の上端とほぼ同じ高さとされ、或いは、 り高い位置に達するようにしてもよい。  上、本発明の実施形態について説明したが 本発明はこれに限定されるものではなく、 の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変 が可能である。例えば、前述の例では、薬 容器の薬液収納部を2つとし、これに対応し 緩衝室などを2つ設けたが、これらを各々1 または3つ以上とすることもできる。

 嵌入体42の傾斜面422の傾斜は、図7の例の4 5度に限らず、例えば、水平面に対して5~85度 或いは15~75度等、液体の粘度、使用条件等 応じて、傾斜面から作用する液圧反力によ 該小孔部内から押し出すように、適宜決め ことができる。

 また、嵌入体42の傾斜面422の形態は、図12 Aに示すように、種々の形態とすることがで る。図12Aにおける(a-1)~(a-8)は、図7の実施形 の変形例であり、(a-1)は傾斜面422の上端が細 管410の上端より低い位置、(a-2)は傾斜面422の 端が細管410の上端より高い位置にある例を している。これらのように傾斜面422の上端 細管410の上端より低く又は高くなっていて 、導液路421aに接続する小孔部の下面が傾斜 面422を備えていれば、前述のように小孔部内 の空気塊の押し出しが行なわれる。(a-3)は、( a-1)の例に対し傾斜面422の傾斜方向を逆にし ものである。このように、傾斜面422は、必 しも導液路421aに向かって下降する方向に傾 していなくてもよい。但し、(a-1),(a-2)の例 ように、傾斜面422が、導液路421aに向かって 降する方向に傾斜していると、細管410の上 に達した液体が傾斜面422に到達しやすく、 気塊の押し出し作用が発揮されやすい。さ に、(a-3)の例の場合のように傾斜面と細管 の間に液体が溜まる、という不具合が生じ ことがない。(a-4)は、嵌入体42の中央部を頂 とし縁部に向けて下降する傾斜面422とした のである。頂点の位置は中央部付近とし、 いは偏心した位置としてもよい。(a-5)及び(a -6)は、傾斜する小孔部412下面(嵌入体42上面) 一部に水平面が含まれている例を示してい 。小孔部412の下面は、全体が傾斜面となっ いる方が傾斜面422による空気塊の押し出し 用を得る上では有利であるが、このように 小孔部412下面の一部に水平面が含まれてい も、傾斜面422による空気塊の押し出し作用 得られる。小孔部下面における傾斜面の占 る割合は、液体の粘度、使用条件等に応じ 、傾斜面による小孔部内からの空気塊押し し作用が得られるように、適宜決めること できる。(a-7)は、は傾斜面422を凹状の曲面と したものであり、(a-8)は、傾斜面422を凸状の 面としたものである。この他、種々の形態 傾斜面とすることができる。傾斜面の傾斜 程度は、図7の例について説明した範囲を適 用することができる。

 図12Bの(b-1)~(b-4)は、図11の実施形態の変形 例であり、(b-1)は嵌入体42’の上面425を傾斜 とした例、(b-2)は、嵌入体42’の上面425に段 の切欠きを設けた例である。いずれも、そ 嵌入体42’上面の上端側に縦溝を形成する とにより、導液路421aの上端が細管410の上端 ほぼ同じ高さに達している。したがって、 液路421aと反対側に凹所426が存在するが、こ れによって導液路の上方に空気溜まりを生じ ることはない。(b-3)~(b-6)は、嵌入体を細管410 上端から突出させた例であり、(b-3)は円柱 の突出部、(b-4)は半球状の突出部、(b-5)は上 425を導液路421aに向かって下降する傾斜面と したもの、(b-6)は、前記(b-5)に対して、上面42 5の傾斜方向を逆にしたものである。導液路42 1aは、嵌入体42の縦溝と細管410の内壁面とに り形成されるので、このように嵌入体42が細 管410から突出している場合にも、導液路421a 上端が細管410の上端と同じ高さに達した状 が得られる。

 導液路は、前述の例のように嵌入体42の 溝421と細管410とで形成するのに代えて、図8 び図10に示す形態とすることができる。す わち、細管410の内壁を径方向内側に張り出 せて閉鎖部420とし、その中央部等、閉鎖部42 0の適所に貫通孔を形成し、この貫通孔を導 路421aとする。この貫通孔の下端開口縁も、 8に示すように、半円形(d)、三角形(e)、四角 形(f)の他、円形や長円形など、種々の形状と することができる。また、該貫通孔は、少な くとも1箇所に角部を有する形状とするのが ましい。案内部材5の上端面には、案内部材 厚さ方向に横切って延びる細溝52が設けら ており、薬液は導液路421aから細溝52を経て 内部材5の表裏面へと移動する。細溝52の幅 び深さは、薬液の粘度及び供給量に応じて められるが、通常、0.2~2mm程度とするのが望 しい。

 前述のように、導液路421aを流下した薬液 は、底壁21及び案内部材5の上面と細管410下端 との間隙423を経て通孔44(図9)を通り、案内部 5の面上へと移動する。薬液の粘度等によっ ては、通孔44は、薬液の流れを妨げないよう 、断面積を広くするのが望ましい場合があ 。図13は、通孔44を拡げた例を、案内部材の 表裏面に垂直な断面により示している。すな わち、図示のように、通孔44に望む底壁21の 部を、斜め下方へ一部除去することにより 通孔を拡張している(拡張前の底壁21の角部 一点鎖線で示す)。これにより、導液路421aを 流下した薬液は、円滑に通孔44から案内部材5 の表裏面へと移動する。案内部材5の上端面 、図10に示したように、案内部材の厚さ方向 に延びる細溝52が設けられているので、薬液 導液路421aから細溝52を経て案内部材5の表裏 面へと移動する。

 また、上記案内部材5は、必ずしも排水口 への挿入位置にある必要はなく、排水口に臨 む位置など、流水に接触する他の位置に配置 されていてもよい。上記説明では案内部材5 上端部が、導液路421a下端の開口縁に近接し いるものを示したが、導液路421a下端の開口 縁に案内部材5の上端部を当接させるように ることもできる。案内部材5上端との当接状 に関しては、導液路421aの下端開口縁を、次 のように定めることができる。すなわち、こ の例のように、案内部材5の上端面が縦溝421 開口部より広く導液路421a全体を覆っていて 、案内部材5上端面の細溝により薬液が案内 部材5の面状部分に案内される場合は、縦溝42 1と細管410内周面とによる開口縁部が導液路 下端開口縁となる。閉鎖部420の貫通孔によ 導液路421aの場合も同様であり、貫通孔の下 開口縁が導液路421aの下端開口縁となる。一 方、案内部材5の上端面の幅が縦溝421の開口 より狭い場合は、縦溝421の縁部、細管410の 周面、及び案内部材5の外周面が囲む部分、 いは、閉鎖部420の貫通孔の縁部と案内部材5 の外周面とが囲む部分が、導液路421aの下端 口縁となる。

 案内部材5は、支持体2内に入り込むよう することもでき、この場合、案内部材5と導 路421a下端開口縁とは支持体2内で当接或い 近接する。このようにすると、流水が導液 421a内に流入するのをより確実に防止するこ ができる。

 また、案内部材5の形状は上記のように板 状に限定されるものではなく、棒状、或いは 筒状に形成されたものであってもよく、薬液 を、断続的に流れる液体と接触する位置へ案 内し得る種々の形状とすることができる。

 細溝51の態様も、垂直方向に延びるもの 限定されず、例えば斜め下方に延びるよう 形成したり、或いは格子状やドット状に形 することもできる。或いは、薬液が案内部 に十分に広がる場合には、細溝を省略する ともできる。

 さらに、案内部材5は、導液路421a下端の 口縁に当接または近接する部分(薬液受け部) を非浸透性の材料で構成し、他の部分を多孔 質材料など薬液を保持し易い材料とし、薬液 の導出量と保持量とを適切化することもでき る。また、所望の薬液導出量及び保持量を得 られるのであれば、導液路421aから薬液を受 る部を浸透性の材料で構成することもでき 。

 さらに、本発明に係る薬液供給装置は、 洗トイレの貯水タンクの手洗い部に設置す 用途の他、インタンク(タンク内に吊り下げ て使用するタイプ)、リム式(便器の縁に取り けるタイプ)、台所や浴室の排水口などのよ うに、断続的に流れる液体に薬液容器内の薬 液を供給する種々の用途に用いることができ る。

 また、本発明に係る通液構造は、上記薬液 給装置に設ける他、前述の芳香剤、消臭剤 は防虫剤を揮発用含浸体に微量ずつ供給す 薬液揮散装置、肥料や害虫駆除剤を植物の に与えるために土中に微量ずつ供給する薬 供給具、菌類等の培地に培養液を微量ずつ 給する培養液供給装置、液状の医薬を患者 体内に微量ずつ供給する投薬装置等、様々 物品に用いることができる。

 本発明の効果を明らかにするため、以下の うにして、本発明の実施例と他の仕様によ 比較例とを用いて実験を行なった。
(1) 共通事項
(a) 薬液供給装置の仕様
・実施例及び比較例とも、基本構造を同じと し、嵌入体(閉鎖部)の仕様のみを異にする仕 とした。
・細管の寸法:内径2.5mm、高さ4mm
・薬液容器に収納した薬液の粘度:240mPa・s ( 温25℃において)
(b) 試験方法
・薬液供給装置の使用開始:新しい薬液供給 置本体に薬液容器を装着する。
・薬液容器の交換:薬液供給装置本体に一度 薬液容器を装着して薬液が案内部材まで到 した状態とし、一度、薬液容器内の薬液を て導液路を経て流出させた後、その薬液容 を取り外し、新たな薬液容器と交換する。
・薬液が案内部材に到達したものと到達しな かったものについて、細管の縦断面が見える ようにX線写真を撮り、その画像を図面化し (図15~図20)。
(2) 実施例の仕様
実施例1:図7に示した嵌入体を有する薬液供給 装置(上面が傾斜)
・嵌入体上面の傾斜角:45度・嵌入体の長さ( 端から上端までの寸法):4.0mm
・導液路(縦溝)の断面形状及び寸法:円弧状断 面、半径0.3mm、深さ0.3mm
・嵌入体の中央に樹脂成形時の縦穴が残存( 1.0mm)
実施例2:図10に示した嵌入体を有する薬液供 装置(導液路が貫通孔)
・導液路(貫通孔)の断面形状及び寸法:円形断 面、直径0.9mm
実施例3:図11に示した嵌入体を有する薬液供 装置(嵌入体上端が細管上面の位置)・嵌入体 の長さ(下端から上端までの寸法):4.0mm
・導液路(縦溝)の断面形状及び寸法:円弧状断 面、半径0.3mm、深さ0.3mm
・嵌入体の中央に樹脂成形時の縦穴が残存( 1.0mm)
・嵌入体上面:水平面
(3) 比較例の仕様
比較例1:図14に示した嵌入体を有する薬液供 装置(嵌入体が短く上端が平ら)
・嵌入体の長さ(下端から上端までの寸法):2.0 mm
・嵌入体上面:水平面
・嵌入体上端から細管上端までの距離:2.0mm
・嵌入体の中央に樹脂成形時の縦穴が残存( 1.0mm)
比較例2:
・嵌入体中央の縦穴に樹脂を注入して塞いだ 。
・他の仕様は、比較例1と同じ。

(4) 結果
 実施例1~3では薬液が案内部材に到達するが 比較例1及び2では薬液が案内部材に到達し い傾向が見られた。そこで、薬液が案内部 に到達したもの(実施例1~3)、及び薬液が導液 路を通過せず案内部材に到達しなかったもの (比較例1及び2)について、細管の縦断面が見 るようにX線写真を撮った。その画像を図面 したのが、図15~図20である。図15~図17は、各 々実施例1~3について薬液容器装着後の状態を 示す。図18及び図19は、比較例1について各々 液容器装着前及び装着後の状態、図20は、 較例2について薬液容器装着後の状態を示す 各図の(a)は縦断正面(案内部材の面に沿う断 面)、(b)は縦断側面(案内部材の厚さ方向に沿 断面)を示す。各図における斜線部(ハッチ グ部)は、薬液供給装置における細管、嵌入 及びその周辺部分を示し、密度の疎らな斑 部分は薬液、密な斑点部分は空気を示して る。但し、図18は、細管及び嵌入体の構造 明示するために、薬液及び空気は示さず、 造部分のみを示している。
(5) 結果の評価
 図15、図16、図17においては、いずれも、小 部412又は細管410内に空気が残存せず、導液 421a内に薬液が通っている状態が示されてい る。図19及び図20では、小孔部412に空気が半 状に残存し、これにより導液路421aが塞がれ いる。なお、比較例2(図20)は、嵌入体42の中 央にある樹脂成形時の縦穴の影響を調べたも のである。比較例1及び2共、半球状に空気が 存しているので、嵌入体中央の縦穴は、小 部の空気の移動に影響しないことがこれに り、確かめられた。

 以上から、案内部材に薬液が到達するか かを決定する要因として、導液路への薬液 進入が空気塊の残存による閉塞の有無があ ことが明らかとなった。そして、小孔部の 面が嵌入体の水平面により形成され、該水 面より上方に円柱状の小孔部が形成されて る場合(比較例1及び2)に案内部材に薬液が到 達しないのは、小孔部の残留空気により導液 路が塞がれるからであり、小孔部の下面が傾 斜面を備えている場合(実施例1及び2)、並び 、導液路の上端が細管の上端とほぼ同じ高 に達している場合(実施例3)に薬液が案内部 に到達するのは、小孔部又は細管の残留空 による導液路の閉塞がないからであること 明らかである。

薬液供給装置の基本構造を示す正面図( a)及び側面図(b)である。 図1に示す薬液供給装置を分解して示す 正面図である。 図1に示す薬液供給装置の薬液収納部の 縦断正面図である。 図1に示す薬液供給装置のカバー部材の 平面図(a)及び縦断正面図(b)である。 図1に示す基本構造を用いた本発明の一 実施形態に係る通液構造を有した薬液供給装 置における支持体の平面図(a)及び縦断正面図 (b)である。 本発明の一実施形態に係る通液構造を した薬液供給装置におけるカバー部材及び 持体を、分解して示す斜視図(a)及び組み合 せ状態の縦断正面図(b)である。 図6に示した細管及び嵌入体の嵌合につ いて、(a)は嵌合前の状態を示す斜視図、(b)は 嵌合後の状態を示す縦断面図である。 導液路を形成する縦溝及び貫通孔の種 の断面形状を示す横断面図である。 図5に示した支持体について、細管を中 心に示す横断面図である。 本発明の他の実施形態に係る通液構造 を有した薬液供給装置の細管及び嵌入体の嵌 合状態を示す縦断面図である。 本発明のさらに他の実施形態に係る通 液構造を有した薬液供給装置の細管及び嵌入 体の嵌合について、(a)は嵌合前の状態を示す 斜視図、図7(b)は嵌合後の状態を示す縦断面 である。 図7に示した嵌入体についての種々の 形例を示す縦断面図である。 図11に示した嵌入体についての種々の 変形例を示す縦断面図である。 導液路の下方に位置する通孔を拡張し た例示す縦断面図である。 従来の薬液供給装置における細管及び 嵌入体の嵌合について、(a)は嵌合前の状態を 示す斜視図、(b)は嵌合後の状態を示す縦断面 図である。 本発明の実施例1の細管付近のX線画像 図面化したものであり、(a)は縦断正面、(b) 縦断側面を示す。 本発明の実施例2の細管付近のX線画像 図面化したものであり、(a)は縦断正面、(b) 縦断側面を示す。 本発明の実施例3の細管付近のX線画像 図面化したものであり、(a)は縦断正面、(b) 縦断側面を示す。 本発明の比較例1の細管付近のX線画像 図面化したものであり、薬液及び空気を省 した構造部分について、(a)は縦断正面、(b) 縦断側面を示す。 本発明の比較例1の細管付近のX線画像 図面化したものであり、(a)は縦断正面、(b) 縦断側面を示す。 本発明の比較例2の細管付近のX線画像 図面化したものであり、(a)は縦断正面、(b) 縦断側面を示す。

符号の説明

 1:薬液容器
 2:支持体
 3:カバー部材
 4:供給部
 5:案内部材
 6:緩衝室(調整機構)
 42:嵌入体
 410:細管
 412:小孔部
 421:縦溝
 421a:導液路
 422:傾斜面