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Patent Searching and Data


Title:
LOW-FAT FOOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/139945
Kind Code:
A1
Abstract:
A low-fat food comprising an amino acid or a peptide having an effect of activating a calcium receptor such as γ-Glu-X-Gly (wherein X represents an amino acid or an amino acid derivative), γ-Glu-Val-Y (wherein Y represents an amino acid or an amino acid derivative), γ-Glu-Ala, γ-Glu-Gly, γ-Glu-Cys, γ-Glu-Met, γ-Glu-Thr, γ-Glu-Val, γ-Glu-Orn, Asp-Gly, Cys-Gly, Cys-Met, Glu-Cys, Gly-Cys, Leu-Asp, D-Cys, γ-Glu-Met(O), γ-Glu-γ-Glu-Val, γ-Glu-Val-NH2, γ-Glu-Val-ol, γ-Glu-Ser, γ-Glu-Tau, γ-Glu-Cys(S-Me)(O), γ-Glu-Leu, γ-Glu-Ile, γ-Glu-t-Leu, γ-Glu-Cys(S-Me), etc.

Inventors:
NAGASAKI HIROAKI (JP)
MIYAMURA NAOHIRO (JP)
ETO YUZURU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058325
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
May 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
AJINOMOTO KK (JP)
NAGASAKI HIROAKI (JP)
MIYAMURA NAOHIRO (JP)
ETO YUZURU (JP)
International Classes:
A23L1/305; A23C9/152; A23D9/007; A23L27/00; A23L27/21; A23L27/22; A23L27/60
Domestic Patent References:
WO2007055388A22007-05-18
WO2007055393A12007-05-18
Foreign References:
JP2002369653A2002-12-24
JP2005046109A2005-02-24
JP2008054507A2008-03-13
Other References:
UEDA Y. ET AL.: "Flavor characteristics of glutathione in raw and cooked foodstuffs", BIOSCI. BIOTECHNOL. BIOCHEM., vol. 61, no. 12, 1997, pages 1977 - 1980, XP008123781
DUNKEL A. ET AL.: "Molecular and sensory characterization of gamma-glutamyl peptides as key contributors to the kokumi taste of edible beans (Phaseolus vulgaris L.)", J. AGRIC. FOOD CHEM., vol. 55, no. 16, August 2007 (2007-08-01), pages 6712 - 6719, XP002557050
Attorney, Agent or Firm:
KAWAGUCHI, Yoshiyuki et al. (4-10 Higashi Nihonbashi 3-chome,Chuo-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 カルシウム受容体活性化作用を有する化合物が1重量ppb~99.9重量%添加された低脂肪食品。
 前記化合物が、γ-Glu-X-Gly(Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ-Glu-Val-Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ-Glu-Ala、γ-Glu-Gly、γ-Glu-Cys、γ-Glu-Met、γ-Glu-Thr、γ-Glu-Val、γ-Glu-Orn、Asp-Gly、Cys-Gly、Cys-Met、Glu-Cys、Gly-Cys、Leu-Asp、D-Cys、γ-Glu-Met(O)、γ-Glu-γ-Glu-Val、γ-Glu-Val-NH 2 、γ-Glu-Val-ol、γ-Glu-Ser、γ-Glu-Tau、γ-Glu-Cys(S-Me)(O)、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Ile、γ-Glu-t-Leuおよびγ-Glu-Cys(S-Me)、からなる群から選択される1種または2種以上のアミノ酸又はペプチドである、請求項1に記載の低脂肪食品。
 前記XがCys(SNO)、Cys(S-allyl)、Gly、Cys(S-Me)、Abu、t-Leu、Cle、Aib、PenまたはSerであり、前記YがGly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、Cys、GlyA、LacAまたはGlnである、請求項2に記載の低脂肪食品。
 前記化合物が、γ-Glu-Val-Gly、及びγ-Glu-Abu-Glyから選択される、請求項2又は3に記載の低脂肪食品。
 低脂肪食品が、乳製品、動物油脂及び/又は植物油脂含有食品、乳化食品からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の低脂肪食品。
 低脂肪食品の呈味に脂肪様濃厚感及び滑らかさを付与するための呈味改善剤であって、カルシウム受容体活性化作用を有するアミノ酸又はペプチドを含む低脂肪食品用呈味改善剤。
Description:
低脂肪食品

 本発明は、低脂肪食品、及び、低脂肪食 の呈味に脂肪様濃厚感及び滑らかさを付与 るために用いられる呈味改善剤に関する。

 近年、カロリーや脂肪の過剰摂取からくる 活習慣病に関する問題が注目されてきてい 。食品産業においてはその様な背景のもと 消費者ニーズの多様化、健康志向の高まり ら、低カロリー、低脂肪、無脂肪食品など の関心は益々高まってきている。これら需 のもと、様々な分野で商品開発が進められ いる。しかし、元来食品のおいしさへの脂 の寄与は大きく、低脂肪、無脂肪食品では の呈味は一般的にさっぱり、淡泊でコク味 弱く、脂肪由来の濃厚感やなめらかさも弱 のが課題となっており、消費者の嗜好を十 満足できるものではないのが現状である。
 また、乳製品分野では、特に乳脂肪を植物 脂等へ代替する製品群が多いが、その呈味 違いが明確に現れることが多い。
 これまでも、これら課題を解決する為に様 な取組みが行われてきており、例えば、乳 品関連では水溶性食物繊維を含有させるこ による呈味改良法(特許文献1)、化工澱粉等 併用する品質改良法(特許文献2、3)、寒天を 利用した呈味改良法(特許文献4)などがある。 また、脂肪代替物関連としては構成脂肪酸に 着目した油脂組成物に関する技術(特許文献5) など様々報告されている。
 しかし、いずれも香り、風味、呈味、食感 おいしさの面から、また製造工程、価格の からも十分に消費者の要求を満足するには っていないのが現状である。

 ところで、カルシウム受容体は、カルシ ムセンシング受容体(Calcium Sensing Receptor:CaS R)とも呼ばれ、7回膜貫通型受容体(G蛋白質結 型受容体;GPCR)のクラスCに分類されるアミノ 酸1078個からなる受容体である。このカルシ ム受容体は、1993年に遺伝子のクローニング 報告され(非特許文献1)、カルシウム等で活 化されると細胞内カルシウム上昇等を介し 様々な細胞応答を引き起こすことが知られ いる。ヒトカルシウム受容体の遺伝子配列 GenBank Accession No NM_000388として登録されて り、動物間でよく保存されている。

 上記カルシウム受容体は、生体内機能に 進的にはたらく場合もあれば、抑制的には らく場合もある。このため、現在、神経疾 、肝臓疾患、循環器疾患、消化器疾患、そ 他の疾患において、カルシウム受容体に対 る活性化作用を利用した治療薬と抑制作用 利用した治療薬が病態に応じて使い分けら ている。例えば、カルシウム受容体は、副 状腺において血中カルシウム濃度の上昇を 知し、副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を抑制 、血中カルシウム濃度を是正する働きを有 る。従って、カルシウム受容体活性化剤は 中カルシウム濃度を低下させる効果が期待 れる。実際に、カルシウム受容体活性化剤 血液透析患者の続発性副甲状腺機能亢進症 治療に用いたとき、カルシウム濃度やリン 度は上昇させずにPTH濃度を低下させること 明らかになっている。

 カルシウム受容体の機能解析は、主とし カルシウムホメオスタシスに関して行われ きたため、今日までの応用研究もカルシウ 調節が関わる骨代謝性疾患が中心であった しかし、遺伝子発現解析などの結果から、 ルシウム受容体が副甲状腺や腎臓以外の生 内に広く分布していることが明らかになり( 非特許文献2、3)、様々な生体機能、疾患病因 に関わっている可能性が提起された。例えば 、カルシウム受容体が、肝臓、心臓、肺、消 化管、リンパ球、膵臓、の機能に関わること が推測されている。本発明者もラットの各組 織から抽出したRNAを材料とした、RT-PCRによる 解析から、生体内において広範囲の組織に発 現していることを確認した。上記観点から、 現在、カルシウム受容体の活性化剤や阻害剤 の応用価値が急速に高まっている。

 また、カルシウム受容体活性化剤として カルシウムの他に、ガドリニウムなどのカ オン、ポリアルギニンなどの塩基性ペプチ 、スペルミンなどのポリアミン、フェニル ラニンなどのアミノ酸、などが報告されて る(非特許文献4)。非特許文献5には、低分子 ペプチドであるグルタチオン(γ-Glu-Cys-Gly)がCa SR活性化剤であることが報告されているが、C aSRが味覚受容に関わっている可能性について は全く言及されていない。

 現在まで、特定の構造を持ったアミノ酸又 ペプチドがカルシウム受容体活性化剤とし 有用であることは知られていなかった。ま 、カルシウム受容体活性化作用を有するア ノ酸又はペプチドが、低脂肪食品の呈味に 肪様濃厚感及び滑らかさを付与し得ること 知られていなかった。

特開2006-158232

特開2004-215563

特開2004-267160

特開2006-180792

特開2002-138296 Nature, 1993, Vol.366(6455), p.575-580 J. Endocrinol., 2000, Vol.165(2), p.173-177 Eur. J. Pharmacol., 2002, Vol.447(2-3), p.271-278 Cell Calcium, 2004, Vol.35(3), p.209-216 J. Biol. Chem, 2006, Vol.281(13), p.8864-8870

 本発明は、呈味に脂肪様濃厚感及び滑ら さが付与された低脂肪食品を提供すること 課題とする。

 本発明者は、カルシウム受容体の活性化剤 探索する過程で、カルシウム受容体活性化 用を有するアミノ酸及びペプチドを見出し それらが低脂肪食品の呈味、特に脂肪様濃 感及び滑らかさを改善することができるこ を見出し、本発明を完成するに至った。
 すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)カルシウム受容体活性化作用を有する化合 物が1重量ppb~99.9重量%添加された低脂肪食品
(2)前記化合物が、γ-Glu-X-Gly(Xはアミノ酸又は ミノ酸誘導体を表す)、γ-Glu-Val-Y(Yはアミノ 又はアミノ酸誘導体を表す)、γ-Glu-Ala、γ-Gl u-Gly、γ-Glu-Cys、γ-Glu-Met、γ-Glu-Thr、γ-Glu-Val、 γ-Glu-Orn、Asp-Gly、Cys-Gly、Cys-Met、Glu-Cys、Gly-Cys 、Leu-Asp、D-Cys、γ-Glu-Met(O)、γ-Glu-γ-Glu-Val、γ- Glu-Val-NH 2 、γ-Glu-Val-ol、γ-Glu-Ser、γ-Glu-Tau、γ-Glu-Cys(S-Me )(O)、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Ile、γ-Glu-t-Leuおよびγ-Glu -Cys(S-Me)、からなる群から選択される1種また 2種以上のアミノ酸またはペプチドである、 (1)記載の低脂肪食品。
(3)前記XがCys(SNO)、Cys(S-allyl)、Gly、Cys(S-Me)、Abu 、tLeu、Cle、Alb、PenまたはSerであり、前記YがG ly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、T hr、His、Orn、Asn、Cys、Gln、GlyAまたはLacAであ 、(2)記載の低脂肪食品。
(4)前記化合物が、γ-Glu-Val-Gly、及びγ-Glu-Abu-Gl yから選択される、(2)又は(3)記載の低脂肪食 。
(5)低脂肪食品が、乳製品、動物油脂及び/又 植物油脂含有食品、乳化食品からなる群か 選択される1種又は2種以上である、)(1)~(4)の ずれかひとつに記載の低脂肪食品。
(6)低脂肪食品の呈味に脂肪様濃厚感及び滑ら かさを付与するための呈味改善剤であって、 カルシウム受容体活性化作用を有する化合物 を含む低脂肪食品用呈味改善剤。

カルシウム受容体に対するカルシウム 作用を示す図。 アフリカツメガエル卵母 胞にヒトのカルシウム受容体cRNAをマイクロ ンジェクションした。任意の濃度の塩化カ シウム溶液を添加した時に、流れる細胞内 答電流値を記録した。細胞内電流の最大値 応答電流値とした。コントロールとして、 留水をマイクロインジェクションした卵母 胞では応答しないことを確認した。 カルシウム受容体に対するL型アミノ酸 の作用を示す図。 アフリカツメガエル卵母 胞にヒトのカルシウム受容体cRNAをマイクロ インジェクションした。10mMのL型アミノ酸溶 を添加した時に、流れる細胞内応答電流値 記録した。細胞内電流の最大値を応答電流 とした。コントロールとして、蒸留水をマ クロインジェクションした卵母細胞では応 しないことを確認した。 カルシウム受容体に対するD型アミノ酸 の作用を示す図。 アフリカツメガエル卵母 胞にヒトのカルシウム受容体cRNAをマイクロ インジェクションした。10mMのD型アミノ酸溶 を添加した時に、流れる細胞内応答電流値 記録した。細胞内電流の最大値を応答電流 とした。コントロールとして、蒸留水をマ クロインジェクションした卵母細胞では応 しないことを確認した。 カルシウム受容体に対するペプチドの 用を示す図。 アフリカツメガエル卵母細 にヒトのカルシウム受容体cRNAをマイクロイ ジェクションした。任意の濃度のペプチド 液を添加した時に、流れる細胞内応答電流 を記録した。細胞内電流の最大値を応答電 値とした。コントロールとして、蒸留水を イクロインジェクションした卵母細胞では 答しないことを確認した。

 以下、本発明を詳細に説明する。
 本発明は、カルシウム受容体活性化作用を する化合物、好ましくはペプチド又はアミ 酸を含む低脂肪食品である。また、本発明 他の形態は、低脂肪食品の呈味に脂肪様濃 感及び滑らかさを付与するために低脂肪食 に添加される呈味改善剤であって、カルシ ム受容体活性化作用を有する化合物を含む 肪食品用呈味改善剤である。本発明の脂肪 品用呈味改善剤は、低脂肪食品に添加して 食したときに、低脂肪食品の脂肪様濃厚感 改善する効果を有する。また、本発明の別 形態は、カルシウム受容体活性化作用を有 る化合物を含む脂肪食品用呈味改善剤が添 されてなる低脂肪食品である。

 まず、カルシウム受容体活性化作用を有す アミノ酸又はペプチドについて説明する。
 本発明者らは、カルシウム受容体活性化作 を有するアミノ酸又はペプチドが、食品に ク味(kokumi)を付与し得ることを見出してい 。一般には、「コク味」とは、甘味(sweet tas te)、塩味(salty taste)、酸味(sour taste)、苦味(bi tter taste)、うま味(umami)で表される5基本味(fiv e basic tastes)では表せない味を意味し、基本 だけではなく、厚み(thickness)・ひろがり(grow th (mouthfulness))・持続性(continuity)・まとまり(h armony)など基本味の周辺の味(marginal tastes)を 増強した味をいう。本発明者らは、コク味 中でも、特に低脂肪食品に脂肪様濃厚感(fat- like richness)及び滑らかさ(smoothness)を、カルシ ウム受容体活性化作用を有する化合物が付与 し得ることを見出した。
 本発明において「低脂肪食品」とは、元来 肪を含む食品であって、その脂肪含量が低 された食品をいう。ここでいう「脂肪」は 油脂」と同義であり、固体である狭義の脂 、常温液体の脂肪油の両方を含む。また、 物性脂肪及び植物性脂肪の両方を含む。
 本発明に用いるアミノ酸又はペプチドは、 肪を含む食品に、脂肪の含量により程度の があるとしても、脂肪様濃厚感及び滑らか を付与することができる。したがって、脂 含量の「低減」の程度に制限はないが、脂 様濃厚感の付与の効果からは、通常の同種 脂肪含有食品であって、脂肪含量を低減す 処理を施していない食品よりも脂肪の含有 が少ない食品であることが好ましい。
 また、「脂肪様濃厚感及び滑らかさ」を付 するとは、脂肪様濃厚感及び滑らかさがほ んど感じられない食品に脂肪様濃厚感及び らかさを持たせること、及び、食品が元来 つ脂肪様濃厚感及び滑らかさを高めること 両方を含む。本明細書にいう「脂肪様濃厚 及び滑らかさの改善」も同義である。
 低脂肪食品として具体的には、牛乳、ヨー ルト、バター、クリーム等の乳製品、マー リン、コーヒー用ミルク、 ソース、ルー どの動物油脂及び/又は植物油脂含有食品、 レッシング、マヨネーズなどの乳化食品等 挙げられる。

 一方、本発明において「脂肪様濃厚感」 は、脂肪を含む食品を喫食したときに感じ 、主に中味(middle taste)から後味(aftertaste)を 心とした濃厚感(richness)をいう。また、「滑 らかさ」とは、脂肪を含む食品を喫食したと きに感じる、カドのないまとまり(mildness, rou ndness)のことをいう。一般的にはそれら二つ 組み合わさることにより、口腔内又は舌の りに味がカドがなくまとわりつき(sticky)、残 る様なしっかりとした脂肪様の呈味(lasting pr onounced and fatty taste)を感じる。味覚は、喫 後の時間経過とともに変化するが、喫食直 から順に、先味(initial taste)、中味(middle tast e)及び後味(aftertaste)という。これらは相対的 概念であるが、典型的には、先味、中味及 後味は、それぞれ喫食後0から2秒まで、3秒 ら4秒まで、及び5秒以降に感じる呈味であ 。以下、脂肪様濃厚感及び滑らかさを併記 る場合を除いて、これらをまとめて単に「 肪様濃厚感(fat-like richness)」と記載すること がある。

 本明細書中において「カルシウム受容体」 は、カルシウムセンシング受容体もしくはC alcium Sensing Receptor(CaSR)と呼ばれる、7回膜貫 型受容体のクラスCに属するものを指す。本 明細書中において「カルシウム受容体活性化 剤」とは、上記カルシウム受容体に結合し、 カルシウム受容体を活性化するものをいう。 また、本明細書中において「カルシウム受容 体を活性化する」とは、カルシウム受容体に リガンドが結合し、グアニンヌクレオチド結 合タンパク質を活性化して、シグナルを伝達 することを意味する。また、カルシウム受容 体がこのシグナルを伝達することを「カルシ ウム受容体活性」という。
 本明細書中において各アミノ酸及び各ペプ ドを構成するアミノ酸は、特に断わらない りいずれもL体である。

<1>カルシウム受容体活性化作用を有する 化合物
 カルシウム受容体活性化作用を有する化合 は、低脂肪食品の脂肪様濃厚感を改善する 果を有する限り、アミノ酸、ペプチドもし はこれらの誘導体や、各種低分子化合物で ってもよい。また、新規な化合物であって クリーニングにより得られるものであって 良い。例えば、カルシウム受容体と被検物 とを反応させ、カルシウム受容体活性を検 することにより取得することができる。こ ようにして得られる化合物について、低脂 食品の脂肪様濃厚感を改善する効果を有す ことを確認することが好ましい。

 以下に、カルシウム受容体活性化作用を有 る化合物をスクリーニングする方法を具体 に示すが、これらのステップに限定される のではない。
1)カルシウム受容体活性を測定するためのカ シウム受容体活性測定系に被検物質を添加 て、カルシウム受容体活性を測定する。
2)被験物質を添加したときのカルシウム受容 活性と、被験物質を添加しなかったときの ルシウム受容体活性を比較する。
3)被験物質を添加したときに高いカルシウム 容体刺激活性を示す被験物質を選択する。

 カルシウム受容体活性の測定は、例えば カルシウム受容体を発現する細胞を用いた 定系を用いて行われる。上記細胞はカルシ ム受容体を内在的に発現している細胞であ ても、外来のカルシウム受容体遺伝子が導 された組み換え細胞であってもよい。上記 ルシウム受容体活性測定系は上記カルシウ 受容体を発現する細胞に、カルシウム受容 に特異的な細胞外リガンド(活性化剤)を加 たときに、活性化剤とカルシウム受容体と 結合(反応)を検出することができるか、又は 、活性化剤とカルシウム受容体との結合(反 )に応答して細胞内に検出可能なシグナルを 達するものであれば、特に制限なく使用す ことができる。被検物質との反応によりカ シウム受容体活性が検出された場合、当該 検物質はカルシウム受容体刺激活性を有し 低脂肪食品の脂肪様濃厚感を改善し得る物 であることが判別される。

 一方、低脂肪食品の脂肪様濃厚感を改善 る効果は、ヒトによる味覚試験などの方法 よって確認することができる。また、被験 質として用いるアミノ酸及びペプチドは特 制限はないが、ペプチドとしては2~10のアミ ノ酸残基からなるペプチド又はその誘導体が 好ましく、2又は3個のアミノ酸残基からなる プチド又はその誘導体がより好ましい。ま 、ペプチドのN末端側のアミノ酸残基は、γ- グルタミン酸であることが好ましい。

 上記カルシウム受容体は、その由来は特 制限されず、上記ヒトのカルシウム受容体 みならず、マウス、ラット、イヌなど含め 動物由来のカルシウム受容体が挙げられる

 上述の如く、カルシウム受容体活性は、カ シウム受容体又はその断片を発現した生き 細胞、カルシウム受容体又はその断片を発 した細胞膜、カルシウム受容体又はその断 のタンパク質を含むインビトロの系などを 用して確認することが出来る。
 以下に生きた細胞を用いた一例を示すが、 の一例に限定されるものではない。

 カルシウム受容体は、アフリカツメガエ 卵母細胞やハムスタ-卵巣細胞やヒト胎児腎 臓細胞等の培養細胞で発現させる。これは外 来遺伝子を保持するプラスミドにカルシウム 受容体遺伝子をクロ-ニングしたものを、プ スミドの状態もしくはそれを鋳型にしたcRNA 導入することで可能となる。反応の検出に 電気生理学的手法や細胞内カルシウム上昇 蛍光指示試薬を用いることができる。

 カルシウム受容体の発現は、初めにカル ウムもしくは特異的活性化剤による応答で 認する。5mM程度の濃度のカルシウムに対し 、細胞内電流が見られた卵母細胞もしくは 光指示試薬の蛍光が見られた培養細胞を使 する。カルシウムの濃度を変えて濃度依存 を測定する。次に、ペプチド等の被験物質 1μM~1mM程度に調製し、卵母細胞もしくは培 細胞に添加することで、上記ペプチド等の 験物質のカルシウム受容体活性を測定する

 本発明において使用される化合物は、カル ウム受容体活性化作用を有する各種アミノ 、ペプチド、もしくはこれらの誘導体、ま は各種低分子化合物が挙げられる(以下、単 に「アミノ酸」、「ペプチド」というときは 、それぞれアミノ酸およびアミノ酸誘導体、 ペプチドおよびペプチド誘導体のいずれをも 含有する意味に用いられる場合もある)。本 明において使用されるカルシウム受容体活 化作用を有するアミノ酸又はペプチドは、 脂肪食品に添加して喫食したときに、低脂 食品の脂肪様濃厚感を改善する効果を有す アミノ酸又はペプチドであればよい。この うなアミノ酸又はペプチドとしては、例え 、γ-Glu-X-Gly (Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導 を表す)、γ-Glu-Val-Y (Yはアミノ酸又はアミ 酸誘導体を表す)、γ-Glu-Ala、γ-Glu-Gly、γ-Glu- Cys、γ-Glu-Met、γ-Glu-Thr、γ-Glu-Val、γ-Glu-Orn、A sp-Gly、Cys-Gly、Cys-Met、Glu-Cys、Gly-Cys、Leu-Asp、D -Cys、γ-Glu-Met(O)、γ-Glu-γ-Glu-Val、γ-Glu-Val-NH 2 、γ-Glu-Val-ol、γ-Glu-Ser、γ-Glu-Tau、γ-Glu-Cys(S-Me )(O)、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Ile、γ-Glu-t-Leuおよびγ-Glu -Cys(S-Me)(以下、下記のペプチド誘導体と合わ て、本発明のペプチド等ともいう)が挙げら れる。本発明においては、これらのペプチド 等は1種を用いてよく、これらの2種以上を併 してもよい。

 また、ペプチドは、γ-Glu-X-OCH(Z)CO 2 Hの構造を有するペプチド誘導体であっても い。ここに、式中Xはアミノ酸又はアミノ酸 導体を表し、ZはH(水素原子)又はCH 3 (メチル基)を表す。また、前記式γ-Glu-Val-Yに いて、YがGlyAまたはLacAである化合物であっ もよい。具体例としては、γ-Glu-Val-GlyA、γ-G lu-tLeu-GlyA、γ-Glu-Abu-GlyA、γ-Glu-Val-LacA、γ-Glu-tL eu-LacA、及びγ-Glu-Abu-LacA等が好適に挙げられ 。なお、GlyAとは、グリコール酸を表し、LacA とは、酪酸を表す。酪酸はS体とR体のいずれ も良いが、好ましくはS体である。これらの 化合物の構造式を以下に記す。

 ここで、アミノ酸とは、Gly, Ala, Val, Leu,  Ile, Ser, Thr, Cys, Met, Asn, Gln, Pro, Hyp,t-Leu,  などの中性アミノ酸、Asp, Gluなどの酸性ア ノ酸、Lys, Arg, Hisなどの塩基性アミノ酸、P he, Tyr, Trpなどの芳香族アミノ酸や、ホモセ ン、シトルリン、オルニチン、α-アミノ酪 、ノルバリン、ノルロイシン、タウリンな も含有する。また、tert-ロイシン、シクロ イシン、α-アミノイソブチル酸、L-ペニシラ ミンなどの非天然(非タンパク質構成)アミノ であっても良い。尚、ペプチドγ-Glu-X-Glyに いて、Xは上記のようなアミノ酸又はその誘 導体のいずれでもよいが、Cys以外のアミノ酸 又はその誘導体が好ましい。

 本明細書においてアミノ基残基の略号は以 のアミノ酸を意味する。
(1)Gly:グリシン
(2)Ala:アラニン
(3)Val:バリン
(4)Leu:ロイシン
(5)Ile:イソロイシン
(6)Met:メチオニン
(7)Phe:フェニルアラニン
(8)Tyr:チロシン
(9)Trp:トリプトファン
(10)His:ヒスチジン
(11)Lys:リジン
(12)Arg:アルギニン
(13)Ser:セリン
(14)Thr:トレオニン
(15)Asp:アスパラギン酸
(16)Glu:グルタミン酸
(17)Asn:アスパラギン
(18)Gln:グルタミン
(19)Cys:システイン
(20)Pro:プロリン
(21)Orn:オルニチン
(22)Sar:サルコシン
(23)Cit:シトルリン
(24)N-Val:ノルバリン
(25)N-Leu:ノルロイシン
(26)Abu:α-アミノ酪酸
(27)Tau:タウリン
(28)Hyp:ヒドロキシプロリン
(29)t-Leu:tert-ロイシン
(30)Cle:シクロロイシン
(31)Aib:α-アミノイソブチル酸(α-aminoisobutyric a cid、2-メチルアラニン)
(32)Pen:L-ペニシラミン(penicillamine)

 また、アミノ酸誘導体とは、上記アミノ酸 各種誘導体であって、例えば、特殊アミノ や非天然アミノ酸、アミノアルコール、或 は末端カルボニル基やアミノ基、システイ のチオール基などのアミノ酸側鎖が各種置 基により置換したものが挙げられる。置換 としては、アルキル基、アシル基、水酸基 アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、 ルフォニル基や各種保護基などが挙げられ 例えば、Arg(NO 2 ):N-γ-ニトロアルギニン、Cys(SNO):S-ニトロシス テイン、Cys(S-Me):S-メチルシステイン、Cys(S-all yl):S-アリルシステイン、Val-NH 2 :バリンアミド、Val-ol:バリノール(2-アミノ-3- チル-1-ブタノール)などが含まれる。

 尚、本明細書において、γ-Glu-Cys(SNO)-Glyは 下記の構造式を有するものであり、上記γ-Glu -Met(O)およびγ-Glu-Cys(S-Me)(O)式中の(O)はスルフ キシド構造であることを意味する。γ-Gluの( γ)とは、グルタミン酸のγ位のカルボキシ基 介して他のアミノ酸が結合していることを 味する。

 γ-Glu-X-Gly (Xはアミノ酸又はアミノ酸誘導体 を表す)、γ-Glu-Val-Y (Yはアミノ酸又はアミノ 誘導体を表す)、γ-Glu-Ala、γ-Glu-Gly、γ-Glu- C ys、γ-Glu-Met、γ-Glu-Thr、γ-Glu-Val、γ-Glu-Orn、Asp -Gly、Cys-Gly、Cys-Met、Glu-Cys、Gly-Cys、Leu-Asp、D-C ys、γ-Glu-Met(O)、γ-Glu-γ-Glu-Val、γ-Glu-Val-NH 2 、γ-Glu-Val-ol、γ-Glu-Ser、γ-Glu-Tau、γ-Glu-Cys(S-Me )(O)、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Ile、γ-Glu-t-Leuおよびγ-Glu -Cys(S-Me)は、低脂肪食品の脂肪様濃厚感を改 する。
 従って、γ-Glu-X-Gly (Xはアミノ酸又はアミノ 酸誘導体を表す)、γ-Glu-Val-Y (Yはアミノ酸又 アミノ酸誘導体を表す)、γ-Glu-Ala、γ-Glu-Gly γ-Glu- Cys、γ-Glu-Met、γ-Glu-Thr、γ-Glu-Val、γ-G lu-Orn、Asp-Gly、Cys-Gly、Cys-Met、Glu-Cys、Gly-Cys、L eu-Asp、D-Cys、γ-Glu-Met(O)、γ-Glu-γ-Glu-Val、γ-Glu- Val-NH 2 、γ-Glu-Val-ol、γ-Glu-Ser、γ-Glu-Tau、γ-Glu-Cys(S-Me )(O)、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Ile、γ-Glu-t-Leuおよびγ-Glu -Cys(S-Me)(以下、本発明に用いられるペプチド はアミノ酸ともいう)は、低脂肪食品の呈味 に脂肪様濃厚感を付与するために、低脂肪食 品に添加される、低脂肪食品用呈味改善剤と して用いることができる。

 本発明に用いられる化合物は単独で用い もよく、また任意の2種又は3種以上を混合 て用いることもできる。これらの中でも、γ -Glu-X-Gly (X はCys(SNO)、Cys(S-allyl)、Gly、Cys(S-Me) 、Abu、t-Leu、Cle、Aib、PenまたはSerである)、又 はγ-Glu-Val-Y (YはGly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pr o、 Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、Cys、Gln、 GlyAまたはLacAである)の構造式を有する化合物 が好ましい。これらの化合物のうち、中でも 好ましい化合物は、γ-Glu-Val-Gly、及びγ-Glu-Abu -Glyである。

 上記本発明に用いられる化合物は、市販 れているものであれば、市販品を用いるこ が可能である。また、ペプチドの場合は、( 1)化学的に合成する方法、又は(2)酵素的な反 により合成する方法等の公知手法を適宜用 ることによって取得することができる。本 明において用いられるペプチドは、含まれ アミノ酸の残基数が2~3残基と比較的短いの 、化学的に合成する方法が簡便である。化 的に合成する場合は、該オリゴペプチドを プチド合成機を用いて合成あるいは半合成 ることにより行うことができる。化学的に 成する方法としては、例えばペプチド固相 成法が挙げられる。そのようにして合成し ペプチドは通常の手段、例えばイオン交換 ロマトグラフィー、逆相高速液体クロマト ラフィー、アフィニティークロマトグラフ ー等によって精製することができる。この うなペプチド固相合成法、およびそれに続 ペプチド精製はこの技術分野においてよく られたものである。

 また、本発明において用いられるペプチド 、酵素的な反応により生産することも出来 。例えば、国際公開パンフレットWO2004/011653 号に記載の方法を用いることが出来る。即ち 、一方のアミノ酸又はジペプチドのカルボキ シル末端をエステル化又はアミド化したアミ ノ酸又はジペプチドと、アミノ基がフリーの 状態であるアミノ酸(例えばカルボキシル基 保護されたアミノ酸)とを、ペプチド生成酵 の存在下において反応せしめ、生成したジ プチド又はトリペプチドを精製することに っても生産することもできる。ペプチド生 酵素としては、ペプチドを生成する能力を する微生物の培養物、該培養物より分離し 微生物菌体、又は、該微生物の菌体処理物 又は、該微生物に由来するペプチド生成酵 が挙げられる。
 尚、上述した様な酵素的な方法や化学的合 法以外にも本発明において用いられるペプ ドが、野菜や果物等の植物、酵母等の微生 、酵母エキス等に存在する場合がある。天 に存在する場合には、これらから抽出して いてもかまわない。
 また、単離して用いる必要はなく、本発明 ペプチドを多く含んでいる画分を用いても まわない。

 本発明において用いられる低分子化合物 してはシナカルセット((R)-N-(3-(3-(トリフル ロメチル)フェニル)プロピル)-1-(1-ナフチル) チルアミン)及びその類縁化合物が挙げられ る。シナカルセットの類縁化合物としては、 下記化学式(1)で示される化合物((R)-N-[(4-エト シ-3-メチルフェニル)メチル]-1-(1-ナフチル) チルアミン))または化学式(2)で示される化 物((R)-N-(3-フェニルプロプ-2-エニル)-1-(3-メト キシフェニル)エチルアミン)等が挙げられる これらの化合物は、例えば、米国特許第6211 244号公報に記載されるような公知の方法によ り合成することができる。また、市販品を用 いることもできる。

 本発明において用いられる化合物は塩の 態をも包含する。本発明のペプチド及びア ノ酸が塩の形態を成し得る場合、その塩は 理学的に許容されるものであればよく、例 ば、式中のカルボキシル基等の酸性基に対 ては、アンモニウム塩、ナトリウム、カリ ム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、 グネシウム等のアルカリ土類金属との塩、 ルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン エタノールアミン、モルホリン、ピロリジ 、ピペリジン、ピペラジン、ジシクロへキ ルアミン等の有機アミンとの塩、アルギニ 、リジン等の塩基性アミノ酸との塩を挙げ ことができる。式中に塩基性基が存在する 合の塩基性基に対しては、塩酸、硫酸、リ 酸、硝酸、臭化水素酸などの無機酸との塩 酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、 マル酸、酒石酸、コハク酸、タンニン酸、 酸、ヒベンズ酸、パモ酸、エナント酸、デ ン酸、テオクル酸、サリチル酸、乳酸、シ ウ酸、マンデル酸、リンゴ酸等の有機カル ン酸との塩、メタンスルホン酸、ベンゼン ルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機 ルホン酸との塩を挙げることができる。

<2>脂肪食品用呈味改善剤及び低脂肪食品
 本発明に用いられる化合物、好ましくはペ チド及びアミノ酸は、低脂肪食品の脂肪様 厚感を改善するために低脂肪食品に添加さ る低脂肪食品用呈味改善剤として用いるこ ができる。前記化合物は、1種のみでもよく 、2種以上の混合物であってもよい。また、 発明に用いられる化合物は、低脂肪食品に 合することにより、脂肪様濃厚感が改善さ た低脂肪食品を構成することができる。

 本発明の低脂肪食品用呈味改善剤は、例 ば、上記本発明に用いられる化合物から選 れる1種または2種以上のみで構成されてい も良く、さらに、低脂肪食品用の呈味を改 する作用を有する他の化合物や各種添加物 を任意に添加され、構成されることも可能 ある。

 低脂肪食品に添加する低脂肪食品用呈味 善剤の量は、低脂肪食品の呈味、特に脂肪 濃厚感を改善し得る量であれば特に制限さ ないが、具体的には例えば、低脂肪食品中 化合物の量として、1重量ppb~99.9重量%、好ま しくは10重量ppb~10重量%、より好ましくは1重 ppm~1重量%程度である。

 本発明の低脂肪食品は、本発明に用いら る化合物を含む。前記化合物は、1種のみで もよく、2種以上の混合物であってもよい。 発明の低脂肪食品の成分は、前記化合物を む以外は、従来の低脂肪食品と特に変ると ろはない。その製法も、前記化合物を添加 る以外は、通常の低脂肪食品と同様にして 造することができる。

 以下、本発明を実施例により具体的に説 するが、本発明の範囲はこれら実施例に限 されるものではない。

〔参考例1〕カルシウム受容体遺伝子(cRNA)の 製
 カルシウム受容体の遺伝子の調製は以下の うに行った。NCBIに登録されたDNA配列(カル ウム受容体:NM_000388)を元に、PCRに使う合成オ リゴDNA(フォワードプライマー(配列番号1)、 びリバースプライマー(配列番号2))を合成し 。

 ヒト腎臓由来のcDNA(Clontech社製)を材料と て、前記プライマー、及びPfu ultra DNA Polyme rase(Stratagene社製)を用い、以下の条件でPCRを 施した。94℃で3分の後、94℃で30秒、55℃で30 秒、72℃で2分を35回繰り返した後、72℃で7分 応させた。PCRによって増幅がなされたか否 をアガロース電気泳動を行い、DNA染色試薬 染色した後、紫外線照射によって検出した 同時に電気泳動したサイズ既知のDNAマーカ と比較することで、PCR産物の鎖長を確認し 。プラスミドベクターpBR322を制限酵素EcoRV(T akara社製)によって切断した。その切断部位に PCRによって増幅された遺伝子断片をLigation Ki t(Promega社製)を用いて連結した。この反応溶 でエシェリヒア・コリDH5α株を形質転換し、 PCR増幅産物がクローニングされたプラスミド を保持する形質転換体を選抜した。PCR増幅産 物をDNA塩基配列解析によって確認した。この 組換えプラスミドを鋳型とし、cRNA作製キッ (Ambion社)を用いてカルシウム受容体遺伝子の cRNAを作製した。

〔参考例2〕各種試料の調製
 L型アミノ酸試料として、各々特級グレード のアラニン、アルギニン、アスパラギン、ア スパラギン酸、システイン、グルタミン、グ ルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロ イシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フ ェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオ ニン、トリプトファン、チロシン、バリン、 オルニチン、タウリン(上記、味の素株式会 )、ヒドロキシプロリン(ナカライテスク株式 会社)の23種類を用いた。D-CysおよびD-Trp(ナカ イテスク株式会社)及び塩化カルシウムは特 級グレードのものを用いた。

 また、ペプチド試料として、γ-Glu-Cys-Gly( グマアルドリッチジャパン株式会社)、γ-Glu -Cys(SNO)-Gly(株式会社同仁化学研究所)、γ-Glu-Al a(Bachem Feinchemikalien AG)、γ-Glu-Gly(Bachem Feinchem ikalien AG)、γ-Glu-Cys(シグマアルドリッチジャ ン株式会社)、γ-Glu-Met(Bachem Feinchemikalien AG) 、γ-Glu-Abu-Gly(Abu:α-アミノ酪酸、Bachem Feinchemi kalien AG)、γ-Glu-Thr(国産化学株式会社)、γ-Glu- Val(国産化学株式会社)、γ-Glu-Leu(受託合成品) γ-Glu-Ile(受託合成品)、γ-Glu-Orn(国産化学株 会社)、Asp-Gly(受託合成品)、Cys-Gly(受託合成 )、Cys-Met(受託合成品)、Glu-Cys(受託合成品)、G ly-Cys(受託合成品)、Leu-Asp(受託合成品)、γ-Glu- Val-Val(受託合成品)、γ-Glu-Val-Glu(受託合成品) γ-Glu-Val-Lys(受託合成品)、γ-Glu-γ-Glu-Val(受託 成品)、γ-Glu-Gly-Gly(受託合成品)、γ-Glu-Val-Phe (受託合成品)、γ-Glu-Val-Ser(受託合成品)、γ-Glu -Val-Pro(受託合成品)、γ-Glu-Val-Arg(受託合成品) γ-Glu-Val-Asp(受託合成品)、γ-Glu-Val-Met(受託合 成品)、γ-Glu-Val-Thr(受託合成品)、γ-Glu-Val-His( 託合成品)、γ-Glu-Val-Asn(受託合成品)、γ-Glu-V al-Gln(受託合成品)、γ-Glu-Val-Cys(受託合成品)、 γ-Glu-Val-Orn(受託合成品)、γ-Glu-Ser-Gly(受託合 品)を用いた。グルタミン、システインは用 調製し、他の試料は調製後、-20℃に保存し 。ペプチドは純度90%以上のものを用いた。 -Glu-Cysのみ純度80%以上のものを用いた。

 各試料を溶解した後、pHが酸性、アルカリ のものについては、NaOH、HClを用いて中性前 に調整した。アミノ酸、ペプチドの溶解液 アフリカツメガエル卵母細胞の調製用の溶 、卵母細胞の培養用の溶液は、以下の組成 ものを使用した。96mM NaCl、2mM KCl、1mM MgCl 2 、1.8mM CaCl 2  、5mM Hepes、pH7.2。

〔参考例3〕γ-Glu-Val-Glyの合成
 Boc-Val-OH(8.69 g, 40.0 mmol)とGly-OBzl・HCl(8.07 g,  40.0 mmol)を塩化メチレン(100 ml)に溶解し、 液を0℃に保った。トリエチルアミン(6.13 ml,  44.0 mmol)、HOBt(1-Hydroxybenzotriazole, 6.74 g, 44.0  mmol)及びWSC・HCl(1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carb odiimide Hydrochloride, 8.44 g, 44.0 mmol)を溶液に え、室温で一夜撹拌した。反応液を減圧濃 し、残渣を酢酸エチル(200 ml)に溶解した。 液を水(50 ml)、5%クエン酸水溶液(50 ml x 2 )、飽和食塩水(50 ml)、5%炭酸水素ナトリウム 水溶液(50 ml x 2回)、飽和食塩水(50 ml)で洗 した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾 し、硫酸マグネシウムを濾過して除き、濾 を減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル-n-ヘキ ンから再結晶してBoc-Val-Gly-OBzl(13.2 g, 36.2 mm ol)を白色結晶として得た。

 Boc-Val-Gly-OBzl(5.47 g, 15.0 mmol)を4N-HCl/ジオキ ン溶液(40 ml)に加え、室温で50分撹拌した。 ジオキサンを減圧濃縮で除き、残渣にn-ヘキ ン(30 ml)を加え減圧濃縮した。この操作を3 繰り返し、H-Val-Gly-OBzl・HClを定量的に得た
 上記H-Val-Gly-OBzl・HCl及びZ-Glu-OBzl(5.57 g, 15.0 mmol)を塩化メチレン(50 ml)に溶解し、溶液を0 ℃に保った。トリエチルアミン(2.30 ml, 16.5  mmol)、HOBt(1-Hydroxybenzotriazole, 2.53 g, 16.5 mmol) びWSC・HCl(1-Ethyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide  Hydrochloride, 3.16 g, 16.5 mmol)を溶液に加え、 室温で二夜撹拌した。反応液を減圧濃縮し、 残渣を加熱した酢酸エチル(1500 ml)に溶解し 。溶液を水(200 ml)、5%クエン酸水溶液(200 ml x 2回)、飽和食塩水(150 ml)、5%炭酸水素ナト ウム水溶液(200 ml x 2回)、飽和食塩水(150 m l)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウ で乾燥し、硫酸マグネシウムを濾過して除 、濾液を減圧濃縮した。析出した結晶を濾 、減圧乾燥してZ-Glu(Val-Gly-OBzl)-OBzl(6.51 g,10.5  mmol)を白色結晶として得た。

 上記Z-Glu(Val-Gly-OBzl)-OBzl(6.20 g, 10.03 mmol) エタノール(200 ml)に懸濁し、10%パラジウム 素(1.50 g)を加え、水素雰囲気下に55℃で5時 還元反応を行った。この間、全量で100 mlの を徐々に加えた。触媒を桐山ロートで濾過 て除き、濾液を半分に減圧濃縮した。反応 を更にメンブランフィルターで濾過し、濾 を減圧濃縮した。残渣を少量の水に溶かし 後にエタノールを加えて結晶を析出させ、 晶を濾過して集め減圧乾燥してγ-Glu-Val-Gly 白色粉末(2.85 g, 9.40 mmol)を得た。

ESI-MS:(M+H) + =304.1.
1 H-NMR(400MHz, D 2 O)δ(ppm):0.87 (3H, d, J=6.8 Hz), 0.88 (3H, d, J=6.8  Hz), 1.99-2.09 (3H, m), 2.38-2.51 (2H, m), 3.72 (1 H, t, J=6.35 Hz), 3.86 (1H, d, J=17.8 Hz), 3.80 (1 H, d, J=17.8 Hz), 4.07 (1H, d, J=6.8 Hz).

〔参考例4〕γ-Glu-Cys(S-Me)-Glyの合成[Cys(S-Me):S- チルシステイン]
 還元型グルタチオン(15.0 g, 48.8 mmol)を水(45  ml)に加え、窒素を吹き込みながら水酸化ナ リウム(4.52 g, 2.2当量, 107 mmol)を少しずつ えた。ヨウ化メチル(4.56 ml, 1.5当量, 73 mmo l)を加え、密栓して室温で2時間撹拌した。濃 塩酸で反応液のpHを2~3に調整し、エタノール( 150 ml)を加え冷蔵庫に一夜保存した。油状物 分離したので、上澄みを除いた。残った油 物を水に溶かしエタノールを徐々に加える 、一部結晶を伴う油状物が析出したので再 上澄みを除いた。残渣を水(300 ml)に溶解し イオン交換樹脂(Dowex 1-acetate, 400 ml)を充填 したカラムに吸着させ、水洗した後に1N-酢酸 水溶液で溶出した。溶出液を減圧濃縮し、水 -エタノールから再沈殿させ、γ-Glu-Cys(S-Me)-Gly の白色粉末(5.08 g, 15.8 mmol)を得た。

FAB-MS:(M+H) + =322.
1 H-NMR(400MHz, D 2 O)δ(ppm):2.14 (3H, s), 2.15-2.22 (2H, m), 2.50-2.58  (2H, m), 2.86 (1H, dd, J=9.0 Hz, J=14.0 Hz), 3.03  (1H, dd, J=5.0 Hz, J=14.0 Hz), 3.84 (1H, t, J=6.5  Hz), 3.99 (2H, s), 4.59 (1H, dd, J=5.0 Hz, J=9.0 H z).

〔参考例5〕その他ペプチドの合成
 γ-Glu-Met(O)、γ-Glu-Val-NH 2 、γ-Glu-Val-ol、γ-Glu-Ser、γ-Glu-Tau、γ-Glu-Cys(S-Me )(O)、γ-Glu-t-Leu、γ-Glu-Cys(S-allyl)-Gly、γ-Glu-Cys(S -Me)は参考例3および参考例4に準じて合成した 。

〔参考例6〕カルシウム受容体の活性化作用 評価
 カルシウム受容体の活性化作用の評価には アフリカツメガエル卵母細胞発現系を用い Ca濃度イオン依存性Clイオン電流測定法を用 いた。カルシウム受容体を発現させたアフリ カツメガエル卵母細胞に、各活性化剤を添加 すると、細胞内のCaイオンが増加する。次にC a濃度イオン依存性Clチャネルが開き、イオン 電流として細胞内電流値が変化する。この細 胞内電流値の変化を測定することで、カルシ ウム受容体の活性化作用の有無を知り得るこ とができる。

 具体的には、アフリカツメガエル腹部を 開し、卵塊を取り出した後、1%コラゲナ-ゼ 液により20℃で2時間処理することで個々の 母細胞を得た。1個あたりの卵母細胞に、マ イクロガラスキャピラリ-を用いて50nlの1μg/μ l受容体cRNAもしくは50nlの滅菌水を導入し、18 で2~3日培養した。培養時には、参考例2で示 した溶液に2mMピルビン酸と10U/mlペニシリンと 10μg/mlストレプトマイシンを加えたものを使 した。培養後、cRNAを注入した卵母細胞もし くは滅菌水を注入した卵母細胞に対し、試験 溶液を添加した。電気生理学的測定は、増幅 器Geneclamp500(Axon社製)および記録用ソフトAxoSco pe9.0(Axon社製)を用いて行った。卵母細胞を2電 極膜電位固定法により-70mVに膜電位固定し、C a濃度イオン依存性Clイオンを介した細胞内電 流を測定した。細胞内電流の最大値を応答電 流値とした。

〔参考例7〕カルシウム受容体に対するカル ウムの活性化作用の評価
 参考例6に記載した方法を用い、カルシウム 受容体に対するカルシウムの活性化作用を評 価した。すなわち、カルシウム受容体のcRNA しくは滅菌水を注入した卵母細胞を調製し 2電極膜電位固定法により-70mVに膜電位固定 た。膜電位固定された卵母細胞に、カルシ ム(2mM、5mM、10mM、20mM)を添加し、Ca濃度イオ 依存性Cl応答電流を測定した。結果は図1に した。この結果より、卵母細胞に注入した ルシウム受容体のcRNAが機能的に発現してい ことが確認された。また、水を注入した卵 細胞は、高い濃度のカルシウムにも反応し いないことから、卵母細胞自身にはカルシ ム受容体が発現していないことが確認され 。

〔参考例8〕カルシウム受容体に対するL型ア ノ酸の活性化作用の評価
 参考例6に記載した方法を用い、カルシウム 受容体に対するL型アミノ酸の活性化作用を 価した。すなわち、カルシウム受容体のcRNA しくは滅菌水を注入した卵母細胞を調製し 2電極膜電位固定法により-70mVに膜電位固定 た。膜電位固定された卵母細胞に、アラニ (10mM)、アルギニン(10mM)、アスパラギン(10mM) アスパラギン酸(10mM)、システイン(10mM)、グ タミン(10mM)、グルタミン酸(10mM)、グリシン( 10mM)、ヒスチジン(10mM)、イソロイシン(10mM)、 イシン(10mM)、リジン(10mM)、メチオニン(10mM) フェニルアラニン(10mM)、プロリン(10mM)、セ ン(10mM)、トレオニン(10mM)、トリプトファン( 10mM)、チロシン(10mM)、バリン(10mM)、オルニチ (10mM)、タウリン(10mM)、又はヒドロキシプロ ン(10mM)を添加し、Ca濃度イオン依存性Cl応答 電流を測定した。結果は図2に示した。この 果より、システイン、ヒスチジン、フェニ アラニン、トリプトファン、チロシンがカ シウム受容体に対する明瞭な活性化作用を することが示された。なお、上記アミノ酸 ついてはProc Natl Acad Sci U S A. 2000 Apr 25; 97(9):4814-9で活性化作用が報告されている。

〔参考例9〕カルシウム受容体に対するD-シス テインの活性化作用の評価
 参考例6に記載した方法を用い、カルシウム 受容体に対するD-システインの活性化作用を 価した。すなわち、カルシウム受容体のcRNA もしくは滅菌水を注入した卵母細胞を調製し 、2電極膜電位固定法により-70mVに膜電位固定 した。膜電位固定された卵母細胞に、D-シス イン(10mM)、L-システイン(10mM)、D-トリプトフ ァン(10mM)又はL-トリプトファン(10mM)を添加し Ca濃度イオン依存性Cl応答電流を測定した。 結果は図3に示した。この結果より、D-システ インがカルシウム受容体に対する明瞭な活性 化作用を有することが示された。

〔参考例10〕カルシウム受容体に対するペプ ドの活性化作用の評価
 参考例6に記載した方法を用い、カルシウム 受容体に対するペプチドの活性化作用を評価 した。すなわち、カルシウム受容体のcRNAも くは滅菌水を注入した卵母細胞を調製し、2 極膜電位固定法により-70mVに膜電位固定し 。膜電位固定された卵母細胞に、γ-Glu-Cys-Gly (50μM)、γ-Glu-Cys(SNO)-Gly(50μM)、γ-Glu-Ala(50μM)、 -Glu-Gly(500μM)、γ-Glu-Cys(50μM)、γ-Glu-Met(500μM) γ-Glu-Thr(50μM)、γ-Glu-Val(50μM)、γ-Glu-Orn(500μM) Asp-Gly(1mM)、Cys-Gly(1mM)、Cys-Met(1mM)、Glu-Cys(50μM )、Gly-Cys(500μM)、Leu-Asp(1mM)を添加し、Ca濃度イ オン依存性Cl応答電流を測定した。結果は図4 に示した。この結果より、上記ペプチドは、 カルシウム受容体に対する活性化作用を有す ることが示された。

〔参考例11〕カルシウム受容体に対するペプ ドの活性化作用の評価
 参考例10と同様に、カルシウム受容体に対 るペプチドの活性化作用を評価した。膜に 位固定された卵母細胞に、表1の各ペプチド ついて、1000μM、300μM、100μM、30μM、10μM、3 M、1μM、0.3μM、0.1μMを添加し、Ca濃度イオン 存性Cl応答電流を測定した。電流が検出さ た最低濃度を表1に活性として示した。この 果より、これら32種類のペプチドは、カル ウム受容体に対する活性化作用を有するこ が明らかとなった。

〔参考例12〕本発明に用いられるペプチド及 アミノ酸のコク味付与活性
 カルシウム受容体活性化作用が見出された γ-Glu-X-Gly (X はCys(SNO)、Cys(S-allyl)、Gly、Cys(S -Me)、AbuまたはSerである)、γ-Glu-Val-Y (YはGly、 Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、 His、Orn、Asn、CysまたはGlnである)、γ-Glu-Ala、 -Glu-Gly、γ-Glu- Cys、γ-Glu-Met、γ-Glu-Thr、γ-Glu- Val、γ-Glu-Orn、Asp-Gly、Cys-Gly、Cys-Met、Glu-Cys、G ly-Cys、Leu-Asp、D-Cys、γ-Glu-Met(O)、γ-Glu-γ-Glu-Val 、γ-Glu-Val-NH 2 、γ-Glu-Val-ol、γ-Glu-Ser、γ-Glu-Tau、γ-Glu-Cys(S-Me )(O)、γ-Glu-Leu、γ-Glu-Ile、γ-Glu-t-Leuおよびγ-Glu -Cys(S-Me)、の中から代表例を選んで、官能評 試験によりコク味付与活性の有無を調べた

 官能評価試験は以下のように実施した。 ルタミン酸ナトリウム(0.05g/dl)、イノシン酸 一リン酸(0.05g/dl)、塩化カルシウム(1mM)を含有 する蒸留水に、試料としてアリイン(alliin: S- allyl-cysteine sulfoxide、コク味付与活性のコン ロール)、γ-Glu-Cys-Gly、γ-Glu-Cys、γ-Glu-Ala、又 はγ-Glu-Valをそれぞれ0.2g/dlで混合した場合の コク味付与活性の有無を判定した。なお試 溶解後に酸性を呈したサンプルについては NaOHでpH6.8~7.2に合わせてから使用した。結果 を表2に示した。

〔参考例13〕本発明に用いられるペプチドの ク味付与活性
 カルシウム受容体活性化作用が見出された プチドについて定量的な官能評価試験によ コク味付与活性の強度を調べた。
 定量的官能評価試験は以下のように実施し 。グルタミン酸ナトリウム(0.05g/dl)、イノシ ン酸一リン酸(0.05g/dl)、塩化ナトリウム(0.5g/dl )を含有する蒸留水に、試料としてγ-Glu-Cys-Gly (グルタチオン)、γ-Glu-Ala、γ-Glu-Met、又はγ-Gl u-Valをそれぞれ0.1g/dlにて混合した場合の、コ ク味付与活性の強度を測定した。なお試料溶 解後に酸性を呈したサンプルについては、NaO HでpH6.8~7.2に合わせて使用した。尚、グルタ オンは、食品にコク味を付与し得ることが られているため、比較対照として用いた。 能評点について、コントロール:0点、グルタ チオン添加:3点として、n=3で実施し、結果を 3に示した。尚、「先中味」とは、先味と中 味を合わせたものである。

〔参考例14〕本発明に用いられるペプチドの ク味付与活性
 カルシウム受容体活性化作用が見出された プチドについて定量的な官能評価試験によ コク味付与活性の強度を調べた。
 定量的官能評価試験は以下のように実施し 。グルタミン酸ナトリウム(0.05g/dl)、イノシ ン酸一リン酸(0.05g/dl)、塩化ナトリウム(0.5g/dl )を含有する蒸留水に、試料としてγ-Glu-Cys-Gly (グルタチオン)、γ-Glu-Cys、γ-Glu-Val、又はγ-Gl u-Val-Glyをそれぞれ0.1g/dl、必要に応じて0.01g/dl にて混合した場合の、コク味付与活性の強度 を測定した。なお試料溶解後に酸性を呈した サンプルについては、NaOHでpH6.8~7.2に合わせ 使用した。官能評点について、コントロー :0点、グルタチオン添加:3点として、n=5で実 し、結果を表4に示した。

〔参考例15〕本発明に用いられるペプチドの ク味付与活性
 カルシウム受容体活性化作用が見出された プチドについて定量的な官能評価試験によ コク味付与活性の強度を調べた。

 定量的官能評価試験は以下のように実施 た。グルタミン酸ナトリウム(0.05g/dl)、イノ シン酸一リン酸(0.05g/dl)、塩化ナトリウム(0.5g /dl)を含有する蒸留水に、試料としてγ-Glu-Cys- Gly(グルタチオン)、γ-Glu-Abu-Gly、又はγ-Glu-Val- Glyをそれぞれ0.1g/dl、もしくは0.01g/dlにて混合 した場合の、コク味付与活性の強度を測定し た。なお試料溶解後に酸性を呈したサンプル については、NaOHでpH6.8~7.2に合わせて使用し 。官能評点について、コントロール:0点、グ ルタチオン添加:3点として、n=12で実施し、結 果を表5に示した。

〔実施例1〕低脂肪牛乳(I)
 カルシウム受容体活性化作用、及びコク味 与活性が見出されたペプチドについて、定 的な官能評価試験により低脂肪牛乳におけ 脂肪様濃厚感付与の強度を調べた。
 定量的官能評価試験は以下のように実施し 。市販低脂肪牛乳(無脂乳固形分8.6%以上、 脂肪分1.5%)に対し、γ-Glu-Cys-Gly(グルタチオン )、γ-Glu-Val-Gly又はγ-Glu-Abu-Glyをそれぞれ0.00001 ~1g/dlにて混合した場合の、脂肪様濃厚感付与 の強度を測定した。
 なお各ペプチドを低脂肪乳に溶解した後に pHが低下した試料については、ペプチドを 加しない低脂肪乳のpHに対して±0.2となるよ にNaOHでpHを調整した。
 脂肪様濃厚感及び滑らかさについての官能 点は、コントロール(ペプチド無添加):0点、 強い:3点、非常に強い:5点として、n=12で試験 実施した。上記添加濃度で幅広く呈味改善 性を示したが、代表的な濃度での結果を表6 に示した。表6から分かるように、本発明の プチドはグルタチオンよりも低濃度で脂肪 濃厚感、及び滑らかさを低脂肪牛乳に付与 ることが確認できた。

〔実施例2〕ローカロリーマヨネーズ(ローカ リーサラダクリーミードレッシング)(I)
 カルシウム受容体活性化作用、及びコク味 与活性が見出されたペプチドについて、定 的な官能評価試験によりローカロリーマヨ ーズにおける脂肪様濃厚感付与の強度を調 た。
 低脂肪牛乳に代えて、市販ローカロリーマ ネーズ(通常品比脂肪分50%カット)を使用し 以外は、実施例1と同様にして、各ペプチド 脂肪様濃厚感付与の強度を測定した。
 各ペプチドは、種々の濃度で幅広く呈味改 活性を示したが、代表的な濃度での結果を 7に示した。表7から分かるように、本発明 ペプチドはグルタチオンよりも低濃度で、 ーカロリーマヨネーズに脂肪様濃厚感、及 滑らかさを付与することが確認できた。

〔実施例3〕低脂肪牛乳(II)
 カルシウム受容体活性化作用、及びコク味 与活性が見出されたペプチド、及びカルシ ム受容体活性化作用を有することが知られ いるシナカルセットについて、定量的な官 評価試験により低脂肪牛乳における脂肪様 厚感付与の強度を調べた。
 定量的官能評価試験は以下のように実施し 。市販低脂肪牛乳(無脂乳固形分8.6%以上、 脂肪分1.5%)に対し、γ-Glu-Val-Gly、シナカルセ トをそれぞれ0.00001~1g/dlにて混合した場合の 、脂肪様濃厚感付与の強度を測定した。
 なお各試料を低脂肪乳に溶解した後に、pH 低下した試料については、試料を添加しな 低脂肪乳のpHに対して±0.2となるようにNaOHで pHを調整した。
 脂肪様濃厚感及び滑らかさについての官能 点は、コントロール(試料無添加):0点、強い :3点、非常に強い:5点として、n=12で試験を実 した。上記添加濃度で幅広く呈味改善活性 示したが、代表的な濃度での結果を表8に示 した。表8から分かるように、シナカルセッ は、γ-Glu-Val-Glyと同程度の濃度で脂肪様濃厚 感、及び滑らかさを低脂肪牛乳に付与するこ とが確認できた。

〔実施例4〕ローカロリーマヨネーズ(ローカ リーサラダクリーミードレッシング)(II)
 カルシウム受容体活性化作用、及びコク味 与活性が見出されたペプチド、及びカルシ ム受容体活性化作用を有することが知られ いるシナカルセットについて、定量的な官 評価試験によりローカロリーマヨネーズに ける脂肪様濃厚感付与の強度を調べた。
 実施例2と同様にして、各試料の脂肪様濃厚 感付与の強度を測定した。
 各試料は、種々の濃度で幅広く呈味改善活 を示したが、代表的な濃度での結果を表9に 示した。表9から分かるように、シナカルセ トはγ-Glu-Val-Glyと同程度の濃度で、ローカロ リーマヨネーズに脂肪様濃厚感、及び滑らか さを付与することが確認できた。

〔実施例5〕低脂肪ヨーグルト
 カルシウム受容体活性化作用、及びコク味 与活性が見出されたペプチド、及びカルシ ム受容体活性化作用を有することが知られ いるシナカルセットについて、定量的な官 評価試験により低脂肪ヨーグルトにおける 肪様濃厚感付与の強度を調べた。
 定量的官能評価試験は以下のように実施し 。市販低脂肪ヨーグルト(無脂乳固形分10.0% 乳脂肪分1.0%)に対し、γ-Glu-Val-Gly、シナカル セットをそれぞれ0.00001~1g/dlにて混合した場 の、脂肪様濃厚感付与の強度を測定した。
 なお各試料を低脂肪ヨーグルトに溶解した に、pHが低下した試料については、試料を 加しない低脂肪乳のpHに対して±0.2となるよ にNaOHでpHを調整した。
 脂肪様濃厚感及び滑らかさについての官能 点は、コントロール(試料無添加):0点、強い :3点、非常に強い:5点として、n=12で試験を実 した。上記添加濃度で幅広く呈味改善活性 示したが、代表的な濃度での結果を表10に した。表10から分かるように、シナカルセッ ト及びγ-Glu-Val-Glyは、同程度の濃度で脂肪様 厚感、及び滑らかさを低脂肪ヨーグルトに 与することが確認できた。

本発明のカルシウム受容体活性化作用を有 する化合物、好ましくはアミノ酸又はペプチ ドを含む低脂肪食品は、呈味、特に脂肪様濃 厚感及び滑らかさに優れている。従って、乳 製品、乳化食品等に広く利用され得る。また 、カルシウム受容体活性化作用を有する化合 物は低脂肪食品の呈味に脂肪様濃厚感を付与 するために低脂肪食品に添加される呈味改善 剤として利用され得る。




 
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