JPWO2018203526 | Aluminum vapor deposition film and its manufacturing method |
JPH01220485 | MANUFACTURE OF SUPERCONDUCTING ELEMENT |
KAWASHIMA TOSHITAKA (JP)
OSHIMA YOSHIHIRO (JP)
TAKETOMO MIKIHIRO (JP)
KAWASHIMA TOSHITAKA (JP)
OSHIMA YOSHIHIRO (JP)
JP2004151698A | 2004-05-27 | |||
JPH10195636A | 1998-07-28 | |||
JPS6064301A | 1985-04-12 | |||
JPH04223401A | 1992-08-13 |
反応性スパッタリング法によりMgF 2
-SiO 2
からなる低屈折率膜を基板上に成膜する低屈折率膜の成膜方法において、 MgF 2 -SiO 2 の焼結体であるターゲットを用い、不活性ガスとO 2 の混合ガス雰囲気下で前記基板とターゲットとの間に周波数20~90kHzの交流電圧を印加してスパッタ成膜することを特徴とする低屈折率膜の成膜方法。 |
前記ターゲットにおけるSiO 2 含有率が5~80mol%であることを特徴とする請求項1に記載の低屈折率膜の成膜方法。 |
前記混合ガスのO 2 流量比が10~70%であることを特徴とする請求項1に記載の低屈折率膜の成膜方法。 |
請求項1~3のいずれかに記載の低屈折率膜の成膜方法により成膜されてなることを特徴とする低屈折率膜。 |
基板上に高屈折率層と、請求項4に記載の低屈折率膜からなる低屈折率層とが積層されてなることを特徴とする反射防止膜。 |
本発明は、反応性スパッタリング法によ 低屈折率膜及びその成膜方法並びに前記低 折率膜を用いた反射防止膜に関するもので る。
一般に、陰極線管(CRT)や液晶ディスプレ などの表示装置では、画像が表示される面 反射防止膜が設けられている。この反射防 膜は、外光の写り込みを和らげて好ましい 像や文字情報を再現する目的で設けられた ので、屈折率の異なる薄膜材料が積層され 形成されたものである。
この反射防止膜としては、例えば有機材 からなる透明フィルム状の基体上に、酸化 イ素や窒化ケイ素、フッ化マグネシウムな の低屈折率材料からなる低屈折率層と、ITO( 酸化スズ含有の酸化インジウム)や酸化チタ 、酸化タンタル、酸化ジルコニウム等の高 折率材料からなる高屈折率層とが積層され ことによって構成されたものがある。
ここで、低屈折率材料に関して、特開平4-22 3401号公報ではMg,Si,O,Fからなる材料が開示さ ており、実施例としてMgF 2 とSiの2元ターゲットを用いる方法と、MgF 2 にSiのペレットをのせて行う方法が紹介され いる。しかし、この方法では作製される薄 の面内に組成のばらつきが生じ屈折率のば つきが大きくなってしまう。そこで、面内 組成分布を解決するために均一組成のター ットを用いる必要があるが、MgF 2 -Siのターゲットを作製する場合には、MgF 2 とSiの粉末を混合する段階において、SiとFが 応してしまい、SiF 4 などの有毒ガスが発生し危険であった。
また、特開2004-315834号公報においてSiO 2 のガラスの中にMgF 2 を混入させる方法が開示されているが、ガラ スの融点を下げるためにTiO 2 やGeO 2 を混入させており、ターゲット作製のコスト が高くなり、また低屈折率膜を形成するため のターゲットとしては好ましくなかった。
以上のような問題を解決するためには、MgF 2 とSiO 2 のように安定した材料同士を混合してMgF 2 -SiO 2 ターゲットを作製すればよいが、このターゲ ットを用いても反射防止膜に好適な低屈折率 膜を成膜することが困難であった。
本発明は、以上の従来技術における問題 鑑みてなされたものであり、膜内の組成分 が均一で、かつ低屈折率の薄膜を形成する とができる低屈折率膜の成膜方法及び該低 折率膜の成膜方法で成膜される低屈折率膜 提供し、さらに該低屈折率膜を用いた反射 止膜を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明 、反応性スパッタリング法によりMgF 2 -SiO 2 からなる低屈折率膜を基板上に成膜する低屈 折率膜の成膜方法において、MgF 2 -SiO 2 の焼結体であるターゲットを用い、ArとO 2 の混合ガス雰囲気下で前記基板とターゲット との間に周波数20~90kHzの交流電圧を印加して パッタ成膜することを特徴とする低屈折率 の成膜方法である。
ここで、前記ターゲットにおけるSiO 2 含有率が5~80mol%であることが好ましい。
また、前記混合ガスのO 2 流量比が10~70%であるとよい。
また前記課題を解決するために提供する 発明は、請求項1~3のいずれかに記載の低屈 率膜の成膜方法により成膜されてなること 特徴とする低屈折率膜である。
また前記課題を解決するために提供する 発明は、基板上に高屈折率層と、請求項4に 記載の低屈折率膜からなる低屈折率層とが積 層されてなることを特徴とする反射防止膜で ある。
本発明の低屈折率膜の成膜方法によれば、 パッタリング法を用いて組成分布の均一な ッ化物の低屈折率膜を成膜することができ 。また、MgF 2 -SiO 2 の組成を適宜調整して任意の光学特性をもつ 低屈折率膜とすることができる。
本発明の低屈折率膜によれば、膜面内の 学特性が均一な低屈折率膜を提供すること できる。
本発明の反射防止膜によれば、膜面内で 一で優れた反射防止機能を示す反射防止膜 提供することができる。
以下に、本発明に係る低屈折率膜の成膜 法について説明する。なお、本発明を図面 示した実施形態をもって説明するが、本発 はこれに限定されるものではなく、実施の 様に応じて適宜変更することができ、いず の態様においても本発明の作用・効果を奏 る限り、本発明の範囲に含まれるものであ 。
本発明に係る低屈折率膜の成膜方法は、反 性スパッタリング法によりMgF 2 -SiO 2 からなる低屈折率膜を基板上に成膜する低屈 折率膜の成膜方法であって、MgF 2 -SiO 2 の焼結体であるターゲットを用い、ArとO 2 の混合ガス雰囲気下で前記基板とターゲット との間に周波数20~90kHzの交流電圧を印加して パッタ成膜することを特徴とするものであ 。
ここで、図1に本発明の低屈折率膜の成膜 方法を適用する反応性スパッタリング装置の 構成例を示す。
図1に示すように、反応性スパッタリング 装置SEは、真空槽1内の上部に、薄膜が形成さ れる基板11を保持する基板ホルダ5と、基板ホ ルダ5を回転駆動するための駆動手段6とを備 ている。また、真空槽1は、該真空槽1内を 気するための真空ポンプ(図示せず)が接続さ れており、真空槽1内を任意の真空度に調整 きるように構成されている。
真空槽1内の下部には、基板11に対向するよ にスパッタ電源であるAC電源2に接続された パッタ電極(カソード)3A,3B及び該スパッタ電 極3A,3Bそれぞれ上に設置された平板形状のタ ゲット4A,4Bが配置されている。なお、ター ット4A、4Bは、MgF 2 粉末とSiO 2 の粉末とを混合した後に焼結して得られたも のである。本発明では該焼結体のSiO 2 含有率を5~80mol%とすることが好ましい。
また、真空槽1には、槽内にガスを導入す るための2種類のガス導入配管7が接続されて り、一方の配管では図示していないマスフ ーコントローラにより流量調整されたスパ タガスが真空槽1内に導入されるようになっ ている。ここで、前記スパッタガスは不活性 ガスであり、例えばAr,Xe,Ne,Krから選ばれる1種 類以上のガスであることが好ましい。
また、他方の配管では図示していないマス ローコントローラにより流量調整されたO 2 ガスが反応性ガスとして真空槽1内に導入さ るようになっている。
これにより、真空槽1内は前記不活性ガスと O 2 ガスとの混合雰囲気となり、ターゲット4A、4 Bがスパッタガスによってスパッタリングさ ることとなる。
なお、本発明では、マグネトロンスパッ 、マグネトロン放電を用いない2極スパッタ 、ECRスパッタ、バイアススパッタ等、種々の 公知のスパッタ方式が適用可能である。
ここで、本発明の低屈折率膜は、反応性 パッタリング装置SEを用いてつぎの手順で 膜を行なうことにより得られる。
(S11)基板11を基板ホルダ5に保持させ、ター ット4A、4Bをスパッタ電極3A、3Bの所定位置 配置する。
(S12)真空槽1内を真空排気し内部を所定圧力 以下にするとともに、基板ホルダ5を回転さ る。
(S13)スパッタガス、O 2 ガスを真空槽1内に導入する。このとき、O 2 ガスとスパッタガスとが所定の流量比となる ようにそれぞれのガス流量を調整しながら導 入し、所定圧力とする。O 2 流量比は、例えば10~70%が望ましく、20~50%が最 も適切である。
(S14)つぎに、スパッタ電極3A、3Bに電力を投 入する。このとき、交流電圧を印加するが、 その周波数は20~90kHzが望ましく、とくに90kHz 最も適切である。これにより、ターゲット4A 、4B上にはプラズマが発生し、該ターゲット4 A、4Bのスパッタが開始される。
(S15)スパッタリング状態が安定したら、基板 ルダ5上の基板11に成膜を開始し、所定膜厚 MgF 2 -SiO 2 からなる低屈折率膜を得る。
この成膜方法により、SiO 2 膜よりも屈折率の低い、MgF 2 -SiO 2 からなる透明薄膜を容易に形成することがで きる。
以下に本発明を検証し、実施した例を説 する。
(実施例1)
図1に示した反応性スパッタリング装置SEを
い本発明の低屈折率膜の成膜方法により、
屈折率膜を成膜した例を示す。なお、スパ
タ条件はターゲット4A、4B:MgF 2
-SiO 2
焼結体(MgF 2
:SiO 2
=70:30at%)、スパッタガス:Ar、反応性ガス:O 2
を共通条件として、真空槽1内の背圧を5×10 -4
Pa以下にしてArガスを導入しプレスパッタを
った後、以下の成膜条件で低屈折率膜を作
した。なお、(O 2
ガス流量比)=(O 2
ガス流量)/{(O 2
ガス流量)+(Arガス流量)}×100(%)とした。
(成膜条件)
・基板11:透明ガラス基板
・O 2
ガス流量比:0,20,40,50,100%
・AC電源周波数:90kHz
・投入電力:400W
・全圧:0.37~0.39Pa
また、図1に示した反応性スパッタリング装
置SEにおいてAC電源2に代えて、高周波電源(RF
源)とし、以下の成膜条件でスパッタ成膜し
た。
(成膜条件)
・基板11:透明ガラス基板
・ターゲット4A、4B:MgF 2
-SiO 2
焼結体(MgF 2
:SiO 2
=70:30at%)
・O 2
ガス流量比:0,20,50%
・RF電源周波数:13.56MHz
・投入電力:300W
・全圧:0.39Pa
得られたサンプルについて、波長550nmにお
る屈折率及び消光係数、並びに透過率を測
した。その結果を表1に示す。AC放電(AC電源
用時)の場合、O 2
流量比が0%のサンプルについて吸収が大きい
めに屈折率と消光係数を測定することがで
なかったが、それ以外(O 2
流量比が20,40,50,100%)のサンプルでは屈折率が1
.5未満(1.4前後)となっていた。なお、試料No.4
サンプル(Ar:100sccm,O 2
:100sccm,O 2
流量比:50%,全圧0.38Pa,電力:400W)の光学膜の組成
についてXPS分析したところ、C:3.89at%、O:9.99at%
、F:55.53at%、Mg:27.92at%、Si:2.66at%であり、MgとF
濃度比が1.99であった。また、RF放電(高周波
源使用時)の場合、屈折率が1.5以上であるこ
とから、MgO、SiO 2
からなる光学膜が形成されていると考えられ
る。
図2に、AC放電の場合(O 2 流量比が0,20,40,50,100%)の透過率・反射率曲線 示すが、いずれのサンプルも400nm以上の波長 領域でほぼ一定した透過率・反射率を示した (図2の(a))。また、O 2 流量比が20,40,50,100%のサンプルでガラス基板 りも高い透過率を示した(図2の(b))。
つぎに、図1に示した反応性スパッタリン グ装置SEを用い、以下の条件で薄膜サンプル 作製した。
(1)成膜条件1(試料No.9~11)
・基板11:透明ガラス基板
・ターゲット4A、4B:MgF 2
-SiO 2
焼結体(MgF 2
:SiO 2
=70:30at%)
・導入混合ガス:Ar+CF 4
・ガス流量(Ar/CF 4
):160/40,100/100,0/200sccm(CF 4
ガス流量比としてそれぞれ20,50,100%)
・AC電源周波数:90kHz
・投入電力:400W
・全圧:0.4~0.43Pa
(2)成膜条件2(試料No.12~14)
・基板11:透明ガラス基板
・ターゲット4A、4B:MgF 2
-SiO 2
焼結体(MgF 2
:SiO 2
=70:30at%)
・導入混合ガス:Ar+O 2
+CF 4
・ガス流量(Ar/O 2
/CF 4
):100/10/90,100/30/70,100/70/30sccm
・AC電源周波数:90kHz
・投入電力:400W
・全圧:0.4Pa
(3)成膜条件3(試料No.15~17)
・基板11:透明ガラス基板
・ターゲット4A、4B:MgF 2
-SiO 2
焼結体(MgF 2
:SiO 2
=70:30at%)
・導入混合ガス:Ar+CO 2
・ガス流量(Ar/CO 2
):160/40,100/100,0/200sccm(CO 2
ガス流量比としてそれぞれ20,50,100%)
・AC電源周波数:90kHz
・投入電力:400W
・全圧:0.38~0.39Pa
また、図1に示した反応性スパッタリング装
置SEにおいてAC電源2に代えて、高周波電源(RF
源)とし、以下の成膜条件でスパッタ成膜し
た。
(4)成膜条件4(試料No.18,19)
・基板11:透明ガラス基板
・ターゲット4A、4B:MgF 2
-SiO 2
焼結体(MgF 2
:SiO 2
=70:30at%)
・導入混合ガス:Ar+CF 4
・ガス流量(Ar/CF 4
):100/100,0/200sccm(CF 4
ガス流量比としてそれぞれ50,100%)
・RF電源周波数:13.56MHz
・投入電力:300W
・全圧:0.42~0.45Pa
得られたサンプルについて、波長550nmにお
る屈折率及び消光係数、並びに透過率を測
した。その結果を表2に示す。
CF 4 ガスを導入した場合のサンプル、すなわち試 料No.9~11(導入混合ガス:Ar+CF 4 、AC放電サンプル)、試料No.12~14(導入混合ガス :Ar+O 2 +CF 4 、AC放電サンプル)、試料No.18,19(導入混合ガス :Ar+CF 4 、RF放電サンプル)では、いずれも吸収が大き いために屈折率と消光係数を測定することが できなかった。また、図3に導入混合ガス:Ar+C F 4 のサンプルの透過率・反射率曲線を示すが、 図2の導入混合ガス:Ar+O 2 のサンプルの透過率・反射率曲線と比較する と、AC放電(図3の(a))では短波長側の光を吸収 る膜となっていることが分かった。また、R F放電(図3の(b))ではより光を吸収する膜とな ていた。なお、表2において、導入混合ガス: Ar+CO 2 のサンプル(試料No.15、16)では屈折率が1.6前後 と大きくなっていた。
以上の結果から、MgF 2 -SiO 2 (70:30at.%)ターゲットを用いて、可視光領域に いて吸収のない、SiO 2 よりも低屈折率な薄膜を作製するためには、 AC放電を用いて、Ar+O 2 雰囲気で成膜する必要があることがわかる。 この時O 2 流量比は、10~70%が適正な流量比であると考え られる。
(実施例2)
図1に示した反応性スパッタリング装置SEを
い、反射防止膜を成膜した例を示す。
ここでは、以下の順番でそれぞれの成膜 件に基づいて、図4に示す構成の反射防止膜 を作製した。
(1)基板:ガラス基板
(2)密着層;SiOx
・スパッタターゲット:Bドープされた多結晶S
i
・スパッタガス:Ar
・反応性ガス:O 2
(3)高屈折率層a;Nb 2
O 5
・スパッタターゲット:金属Nb
・スパッタガス:Ar
・反応性ガス:CO 2
・膜厚:25nm
(4)低屈折率層a;MgF 2
-SiO 2
・スパッタターゲット4A、4B:MgF 2
-SiO 2
焼結体(MgF 2
:SiO 2
=70:30at%)
・スパッタガス:Ar
・反応性ガス:O 2
・成膜条件:実施例1の試料No.4の条件と同じ
・膜厚:40nm
(5)高屈折率層b;Nb 2
O 5
・スパッタターゲット:金属Nb
・スパッタガス:Ar
・反応性ガス:CO 2
・膜厚:30nm
(6)低屈折率層b;MgF 2
-SiO 2
・スパッタターゲット4A、4B:MgF 2
-SiO 2
焼結体(MgF 2
:SiO 2
=70:30at%)
・スパッタガス:Ar
・反応性ガス:O 2
・成膜条件:実施例1の試料No.4の条件と同じ
・膜厚:115nm
図5に、得られた反射防止膜のサンプルの分
光反射率特性を測定した結果を示す。反射率
測定に際してはサンプルの裏面に反射成分を
除去するために黒色処理を施した。