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Title:
LUBRICANT COMPOSITION FOR INTERNAL COMBUSTION ENGINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/146669
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a lubricant composition for internal combustion engines characterized by containing a lubricant base oil, a disulfide compound (A) represented by the formula (1) below and/or the formula (2) below, a boron-free ashless dispersant (B) containing an alkyl or alkenyl group having a number average molecular weight of 500-3,000 in a side chain, and a boron-containing ashless dispersant (C) containing an alkyl or alkenyl group having a number average molecular weight of 500-4,000 in a side chain. R1OOC-A1-S-S-A2-COOR2 (1) R7OOC-CR9R10-CR11(COOR8)-S-S-CR16(COOR13)-CR14R15-COOR12 (2)

Inventors:
ITO KOKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/059312
Publication Date:
December 04, 2008
Filing Date:
May 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
IDEMITSU KOSAN CO (JP)
ITO KOKI (JP)
International Classes:
C10M141/12; C10M133/16; C10M135/20; C10M139/00; C10N20/00; C10N20/04; C10N30/00; C10N30/06; C10N40/25
Domestic Patent References:
WO2006013946A12006-02-09
WO2004069966A12004-08-19
Foreign References:
JP2005281614A2005-10-13
JP2005290158A2005-10-20
Other References:
See also references of EP 2157160A4
Attorney, Agent or Firm:
KINOSHITA & ASSOCIATES (Ogikubo TM building26-13, Ogikubo 5-chom, Suginami-ku Tokyo 51, JP)
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Claims:
 潤滑油基油と、(A)下記式(1)および/または下記式(2)で示されるジスルフィド化合物と、(B)数平均分子量500~3000のアルキル基またはアルケニル基を側鎖に有するホウ素未含有無灰系分散剤と、(C)数平均分子量500~4000のアルキル基またはアルケニル基を側鎖に有するホウ素含有無灰系分散剤とを含有することを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
   R 1 OOC-A 1 -S-S-A 2 -COOR 2     (1)
(式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含んでいてもよい炭素数1~30のヒドロカルビル基である。A 1 およびA 2 は、それぞれ独立にCR 3 R 4 またはCR 3 R 4 -CR 5 R 6 で示される基であって、R 3 ~R 6 はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~20のヒドロカルビル基を示す。)
   R 7 OOC-CR 9 R 10 -CR 11 (COOR 8 )-S-S-CR 16 (COOR 13 )-CR 14 R 15 -COOR 12      (2)
(式中、R 7 、R 8 、R 12 およびR 13 は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子または窒素原子を含んでいてもよい炭素数1~30のヒドロカルビル基、R 9 ~R 11 およびR 14 ~R 16 はそれぞれ独立に、水素または炭素数1~5のヒドロカルビル基を示す。)
 請求項1に記載の内燃機関用潤滑油組成物において、
 金属系清浄剤を実質的に含有しないことを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
 請求項1または請求項2に記載の内燃機関用潤滑油組成物において、
 前記(A)成分のジスルフィド化合物の含有量が組成物全量基準において、硫黄量換算で0.01~0.5質量%であることを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
 請求項1~請求項3のいずれかに記載の内燃機関用潤滑油組成物において、
 前記(B)成分がアルキルまたはアルケニルコハク酸イミド、脂肪酸アミド、アルキルまたはアルケニルベンジルアミンの少なくともいずれかであり、
 前記(B)成分由来の窒素分が組成物全量基準で50~4000質量ppmであることを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
 請求項1~請求項4のいずれかに記載の内燃機関用潤滑油組成物において、
 前記(C)成分がアルキルまたはアルケニルコハク酸イミド、脂肪酸アミド、アルキルまたはアルケニルベンジルアミンの少なくともいずれかをホウ素変性したものであり、
 前記(C)成分由来のホウ素分が組成物全量基準で50~3000質量ppmであることを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
Description:
内燃機関用潤滑油組成物

 本発明は、ディーゼルエンジンやガソリ エンジン等に使用される内燃機関用潤滑油 成物に関する。

 現在、地球規模での環境規制はますます厳 くなり、自動車を取り巻く状況も、燃費規 、排出ガス規制等厳しくなる一方である。
 特に、ディーゼルエンジンでは、煤などの ティキュレート・マター(PM)およびNOxなどの 排出ガス成分による環境汚染が問題となって おり、その対策が重要な課題となっている。 具体的な対策としては、自動車にディーゼル ・パティキュレート・フィルター(DPF)や排出 ス浄化触媒(酸化または還元触媒)などの排 ガス浄化装置を装着することが有効である
 一方、内燃機関用の潤滑油には、一般に金 系清浄剤が添加されている。そのため、排 ガス浄化装置としてDPFを装着した自動車の ンジンに、金属系清浄剤を添加した潤滑油 用いると、DPFに付着したPMは酸化、燃焼に り取り除かれるものの、燃焼により生成し 金属酸化物や、リン酸塩などによってDPFが 詰まりするという問題が生じている。それ 、金属系清浄剤の削減が望まれている。

 また、自動車の省燃費化を図るためには、 動車の軽量化、エンジンの改良等、自動車 体の改良と共にエンジンでの摩擦ロスを防 ために潤滑油の低粘度化も有効である。し しながら、この低粘度化はエンジン各部で 摩耗の増大を引き起こす原因ともなってい 。そこで、潤滑油の低粘度化に伴う摩擦損 の低減や摩耗防止の目的で各種の添加剤が 加されており、特に、ZnDTP(ZincDialkyldithiophosp hate;ジアルキルジチオリン酸亜鉛)が有効であ ることが知られている。ZnDTPは、極圧性や耐 耗性に優れ、内燃機関の潤滑油用として広 使用されている。
 しかし、ZnDTPは優れた性能を示す反面、そ 自体が分解して酸性物質である硫酸やリン を生成し、潤滑油中の塩基成分と反応して 基価低下を引き起こし、潤滑油自体の寿命 縮めている。さらに、ガソリン車などの排 ガス浄化触媒として3元触媒が使用されてい が、この触媒は潤滑油中のリン分に被毒を けることからリンを含む添加剤(例えばZnDTP) の削減が求められている。

 上述のような背景により、内燃機関用、特 ディーゼルエンジン用として、金属系清浄 やZnDTPを含まない潤滑油が必要とされてい 。
 しかし、金属系清浄剤は、内燃機関用潤滑 の基本的性能であるロングドレイン性の観 より大幅な削減は困難であり、また、ZnDTP ついても、エンジン動弁部分の耐摩耗性低 の観点より大幅な削減は困難であった。ま 、特定のジスルフィド化合物を耐摩耗剤と て用いた潤滑油も提案されている(例えば、 許文献1~3)。

特開2004-262964号公報

特開2004-262965号公報

特開2006-045336号公報

 しかしながら、これまで、完全に金属系清 剤の添加を排除することは困難であった。 なわち、無灰系分散剤だけでは、必ずしも ンジン内の清浄・分散効果が十分ではなか た。また、特許文献1~3に記載された潤滑油 成物においても、内燃機関用の潤滑油とし 使用する場合には、金属系清浄剤やZnDTPの 用を排除することは必ずしも容易ではなか た。
 そこで本発明の主な目的は、金属系清浄剤 ZnDTPを用いなくとも、長期間に渡って十分 清浄・分散性を有し(ロングドレイン性)、耐 摩耗性にも優れた内燃機関用潤滑油組成物を 提供することである。

 前述した課題を解決すべく、本発明は、以 のような内燃機関用潤滑油組成物を提供す ものである。
[1]潤滑油基油と、(A)下記式(1)および/または 記式(2)で示されるジスルフィド化合物と、(B )数平均分子量500~3000のアルキル基またはアル ケニル基を側鎖に有するホウ素未含有無灰系 分散剤と、(C)数平均分子量500~4000のアルキル またはアルケニル基を側鎖に有するホウ素 有無灰系分散剤とを含有することを特徴と る内燃機関用潤滑油組成物。
   R 1 OOC-A 1 -S-S-A 2 -COOR 2     (1)
(式中、R 1 およびR 2 は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子ま たは窒素原子を含んでいてもよい炭素数1~30 ヒドロカルビル基である。A 1 およびA 2 は、それぞれ独立にCR 3 R 4 またはCR 3 R 4 -CR 5 R 6 で示される基であって、R 3 ~R 6 はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~20 ヒドロカルビル基を示す。)
   R 7 OOC-CR 9 R 10 -CR 11 (COOR 8 )-S-S-CR 16 (COOR 13 )-CR 14 R 15 -COOR 12      (2)
(式中、R 7 、R 8 、R 12 およびR 13 は、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子ま たは窒素原子を含んでいてもよい炭素数1~30 ヒドロカルビル基、R 9 ~R 11 およびR 14 ~R 16 はそれぞれ独立に、水素または炭素数1~5のヒ ドロカルビル基を示す。)

[2]前述した本発明の内燃機関用潤滑油組成物 において、金属系清浄剤を実質的に含有しな いことを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物 。
[3]前述した本発明の内燃機関用潤滑油組成物 において、前記(A)成分のジスルフィド化合物 の含有量が組成物全量基準において、硫黄量 換算で0.01~0.5質量%であることを特徴とする内 燃機関用潤滑油組成物。
[4]前述した本発明の内燃機関用潤滑油組成物 において、前記(B)成分がアルキルまたはアル ケニルコハク酸イミド、脂肪酸アミド、アル キルまたはアルケニルベンジルアミンの少な くともいずれかであり、前記(B)成分由来の窒 素分が組成物全量基準で50~4000質量ppmである とを特徴とする内燃機関用潤滑油組成物。
[5]前述した本発明の内燃機関用潤滑油組成物 において、前記(C)成分がアルキルまたはアル ケニルコハク酸イミド、脂肪酸アミド、アル キルまたはアルケニルベンジルアミンの少な くともいずれかをホウ素変性したものであり 、前記(C)成分由来のホウ素分が組成物全量基 準で50~3000質量ppmであることを特徴とする内 機関用潤滑油組成物。

 本発明によれば、特定の構造のジスルフ ド化合物と、2種の無灰系分散剤とを併用す ることで、ロングドレイン性および耐摩耗性 に優れた内燃機関用潤滑油組成物を提供する ことができる。すなわち、金属系清浄剤やZnD TPを配合しなくとも本発明の内燃機関用潤滑 組成物は、実用上十分な効果を奏する。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物(以下、単 に「本組成物」ともいう。)は、潤滑油基油( 下、単に「基油」ともいう。)と、(A)ジスル フィド化合物と、(B)ホウ素未含有無灰系分散 剤と、(C)ホウ素含有無灰系分散剤とを含有す ることを特徴とする。
 本組成物における基油については特に制限 なく、従来、内燃機関用潤滑油の基油とし 使用されている鉱油や合成油の中から任意 ものを適宜選択して用いることができる。 油としては、例えば、原油を常圧蒸留して られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤 油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化 解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製 の1つ以上の処理を行って精製した鉱油、あ るいはワックスやGTL WAXを異性化することに って製造される鉱油等が挙げられる。

 また、合成油としては、例えば、ポリブテ 、ポリオレフィン(α-オレフィン単独重合体 やエチレン-α-オレフィン共重合体のような 重合体など)、各種のエステル(例えば、ポリ オールエステル、二塩基酸エステル、リン酸 エステルなど)、各種のエーテル(例えば、ポ フェニルエーテルなど)、ポリグリコール、 アルキルベンゼン、アルキルナフタレンなど が挙げられる。これらの合成油のうち、酸化 安定性の向上の観点から特にポリオレフィン やポリオールエステルが好ましい。
 本発明においては、基油として、前述した 油を1種だけ用いてもよく、2種以上を組み わせて用いてもよい。また、前述した合成 を1種だけ用いてもよく、2種以上を組み合わ せて用いてもよい。さらには、鉱油と合成油 とを組み合わせて用いてもよい。基油の粘度 については特に制限はなく、潤滑油組成物の 用途に応じて異なるが、100℃の動粘度が2~30mm 2 /s、好ましくは3~15mm 2 /s、より好ましくは4~10mm 2 /sである。100℃における動粘度が2mm 2 /s以上であると蒸発損失が少なく、一方、30mm 2 /s以下であると、粘性抵抗による動力損失が まり大きくないので、燃費改善効果が得ら る。

 また、基油としては、環分析による%CAが3以 下で硫黄分の含有量が50質量ppm以下のものが ましく用いられる。ここで、環分析による% CAとは、環分析(n-d-M)法にて算出した芳香族分 の割合(百分率)を示す。また、硫黄分は、JIS( Japanese Industrial Standard、以下同) K2541に準拠 て測定した値である。
 %CAが、3以下で、硫黄分が50質量ppm以下の基 を用いると、良好な酸化安定性を有し、酸 の上昇やスラッジの生成を抑制し得ると共 、金属に対する腐食性の少ない潤滑油組成 を提供することができる。
 より好ましい%CAは1以下、さらには、0.5以下 であり、またより好ましい硫黄分は30質量ppm 下である。
 さらに、基油の粘度指数は、70以上が好ま く、より好ましくは100以上、さらに好まし は120以上である。この粘度指数が70以上の基 油は、温度の変化による粘度変化が小さい。

 本組成物においては、良好なロングドレイ 性および耐摩耗性を得るために、添加剤と て(A)特定構造のジスルフィド化合物と、(B) ウ素未含有無灰系分散剤と、(C)ホウ素含有 灰系分散剤とが併用される。以下、これら 添加剤について説明する。
(A)成分:
(A)成分は、下記式(1)および/または下記式(2) 示されるジスルフィド化合物である。
   R 1 OOC-A 1 -S-S-A 2 -COOR 2 (1)
   R 7 OOC-CR 9 R 10 -CR 11 (COOR 8 )-S-S-CR 16 (COOR 13 )-CR 14 R 15 -COOR 12 (2)

 前記式(1)において、R 1 およびR 2 はそれぞれ独立に炭素数1~30のヒドロカルビ 基であり、好ましくは炭素数1~20、さらには 素数2~18、特には炭素数3~18のヒドロカルビ 基が好ましい。この範囲の炭素数であると 蒸発性と極圧性および耐摩耗性のバランス 優れる。該ヒドロカルビル基は直鎖状、分 状、環状のいずれであってもよく、また、 素原子、硫黄原子、または窒素原子を含ん いてもよい。このR 1 およびR 2 は、たがいに同一であってもよく、異なって いてもよいが、製造上の理由から、同一であ ることが好ましい。
 次に、A 1 およびA 2 は、それぞれ独立にCR 3 R 4 またはCR 3 R 4 -CR 5 R 6 で示される基であって、R 3 ~R 6 はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~20 ヒドロカルビル基を示す。ヒドロカルビル としては炭素数が1~12のもの、さらには炭素 1~8のものが好ましい。この範囲の炭素数で ると、蒸発性と極圧性および耐摩耗性のバ ンスに優れる。また、A 1 およびA 2 はたがいに同一であってもよく、異なってい てもよいが、後述するような酸化的カップリ ング反応により製造する場合、単一の生成物 を得るためには同一であることが好ましい。

 前記式(1)で示されるジスルフィド化合物は 例えば、以下に示す方法で製造することが きる。具体的には、原料として、下記式(3) よび/または下記式(4)で示されるメルカプト アルカンカルボン酸エステルを用い、酸化的 カップリングを行う。
   R 1 OOC-A 1 -SH   (3)
   R 2 OOC-A 2 -SH   (4)
(式中、R 1 およびR 2 、A 1 およびA 2 は前述したものと同じである。)
 このような製造方法によれば、トリスルフ ド以上のポリスルフィド化合物の副生は、 こりにくい。なお、硫黄原子(S)が3つ以上連 なるポリスルフィド化合物は、非鉄金属に対 する腐食性を示すので、前記ジスルフィド化 合物との合計量に基づき、30質量%以下となる ように製造方法・製造条件を選択することが 好ましい。この含有量が30質量%以下であると 、混合物として潤滑油組成物に用いても非鉄 金属に対する腐食性を十分に抑制することが できる。硫黄原子(S)が3以上のポリスルフィ 化合物の含有量は、さらに好ましくは10質量 %以下、特に好ましくは5質量%以下である。

 前記カップリング反応による具体的な生成 としては、以下のような化合物が挙げられ 。
   R 1 OOC-A 1 -S-S-A 2 -COOR 2
   R 1 OOC-A 1 -S-S-A 1 -COOR 1
   R 2 OOC-A 2 -S-S-A 2 -COOR 2
 α-メルカプトカルボン酸エステルを酸化し 対応するジスルフィドを製造する際に使用 る酸化剤としては、メルカプタンからジス フィドを製造するのに使用される酸化剤が 用できる。酸化剤としては酸素、過酸化水 、ハロゲン(ヨウ素、臭素)、次亜ハロゲン (塩)、スルホキシド(ジメチルスルホキシド ジイソプロピルスルホキシド)、酸化マンガ (IV)等が挙げられる。これらの酸化剤の中で 酸素、過酸化水素、ジメチルスルホキシドが 安価であり、ジスルフィドの製造が容易であ ることから好ましい。

 一方、前記式(2)において、R 7 、R 8 、R 12 およびR 13 は、それぞれ独立に炭素数1~30のヒドロカル ル基であり、好ましくは炭素数1~20、さらに 炭素数2~18、特には炭素数3~18のヒドロカル ル基が好ましい。この範囲の炭素数である 、蒸発性と極圧性および耐摩耗性のバラン に優れる。該ヒドロカルビル基は直鎖状、 岐状、環状のいずれであってもよく、また 酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を含 でいてもよい。このR 7 、R 8 、R 12 およびR 13 は、たがいに同一であってもよく、異なって いてもよいが、単一の生成物を得るためには 同一であることが好ましい。
 次に、R 9 ~R 11 およびR 14 ~R 16 はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1~5の ヒドロカルビル基である。原料の入手が容易 なことから、水素原子が好ましい。

 前記式(2)で示されるジスルフィド化合物は 例えば以下に示す2つの方法に従って製造す ることができる。すなわち、第一の製造方法 としては、原料として、下記式(5)および/ま は下記式(6)で示されるメルカプトアルカン カルボン酸ジエステルを用い、酸化的カッ リングを行う方法である。
   R 7 OOC-CR 9 R 10 -CR 11 (COOR 8 )-SH     (5)
   R 12 OOC-CR 14 R 15 -CR 16 (COOR 13 )-SH   (6)
(式中、R 7 ~R 16 は前述したものと同じである。)
 前記カップリング反応による具体的な生成 としては、以下のような3種のジスルフィド 化合物が挙げられる。
   R 7 OOC-CR 9 R 10 -CR 11 (COOR 8 )-S-S-
         -CR 16 (COOR 13 )-CR 14 R 15 -COOR 12
   R 7 OOC-CR 9 R 10 -CR 11 (COOR 8 )-S-S-
         -CR 11 (COOR 8 )-CR 9 R 10 -COOR 7
   R 12 OOC-CR 14 R 15 -CR 16 (COOR 13 )-S-S-
         -CR 16 (COOR 13 )-CR 14 R 15 -COOR 12
 カップリング反応における酸化剤としては 前記式(1)のジスルフィド化合物の製造の場 と同様のものが用いられる。

 また、前記ジスルフィド化合物の第二の製 方法は、原料として、下記式(7)および/また は下記式(8)で示されるメルカプトアルカンジ カルボン酸を酸化カップリングし、ついで酸 素原子、硫黄原子、または窒素原子を含んで いてもよい炭素数1~30のヒドロカルビル基か 成る1価のアルコールでエステル化する方法 ある。
   HOOC-CR 9 R 10 -CR 11 (COOH)-SH   (7)
   HOOC-CR 14 R 15 -CR 16 (COOH)-SH   (8)
(式中、R 9 ~R 11 およびR 14 ~R 16 は前述したものと同じである。)
 前記カップリング反応による具体的な生成 としては、以下のような3種のジスルフィド 化合物が挙げられる。
   HOOC-CR 9 R 10 -CR 11 (-COOH)-S-S-CR 16 (COOH)-CR 14 R 15 -COOH
   HOOC-CR 9 R 10 -CR 11 (-COOH)-S-S-CR 11 (COOH)-CR 9 R 10 -COOH
   HOOC-CR 14 R 15 -CR 16 (-COOH)-S-S-CR 16 (COOH)-CR 14 R 15 -COOH
 カップリング反応における酸化剤としては 前記の場合と同様のものが使用できる。

 酸化的カップリング反応に続いて、下記式( 9)で示すアルコールによりエステル化を行う
   R 17 -OH   (9)
(式中、R 17 は前記R 7 、R 8 、R 12 、R 13 で説明した基と同じである。)
 エステル化は酸触媒を使用して脱水縮合す 通常の方法が使用できる。この方法により 以下のような3種のジスルフィド化合物が生 成する。
   R 17 OOC-CR 9 R 10 -CR 11 (COOR 17 )-S-S-CR 16 (C
OOR 17 )-CR 14 R 15 -COOR 17
   R 17 OOC-CR 9 R 10 -CR 11 (COOR 17 )-S-S-CR 11 (C
OOR 17 )-CR 9 R 10 -COOR 17
   R 17 OOC-CR 14 R 15 -CR 16 (COOR 17 )-S-S-CR 16 (
COOR 17 )-CR 14 R 15 -COOR 17

 前記式(1)で示されるジスルフィド化合物 具体例としては、ビス(メトキシカルボニル メチル)ジスルフィド、ビス(エトキシカルボ ルメチル)ジスルフィド、ビス(n-プロポキシ カルボニルメチル)ジスルフィド、ビス(イソ ロポキシカルボニルメチル)ジスルフィド、 ビス(n-ブトキシカルボニルメチル)ジスルフ ド、ビス(n-オクトキシカルボニルメチル)ジ ルフィド、ビス(n-ドデシルオキシカルボニ メチル)ジスルフィド、ビス(シクロプロポ シカルボニルメチル)ジスルフィド、1,1-ビス (1-メトキシカルボニルエチル)ジスルフィド 1,1-ビス(1-メトキシカルボニル-n-プロピル)ジ スルフィド、1,1-ビス(1-メトキシカルボニル-n -ブチル)ジスルフィド、1,1-ビス(1-メトキシカ ルボニル-n-ヘキシル)ジスルフィド、1,1-ビス( 1-メトキシカルボニル-n-オクチル)ジスルフィ ド、1,1-ビス(1-メトキシカルボニル-n-ドデシ )ジスルフィド、2,2-ビス(2-メトキシカルボニ ル-n-プロピル)ジスルフィド、α,α-ビス(α-メ キシカルボニルベンジル)ジスルフィド、1,1 -ビス(2-メトキシカルボニルエチル)ジスルフ ド、1,1-ビス(2-エトキシカルボニルエチル) スルフィド、1,1-ビス(2-n-プロポキシカルボ ルエチル)ジスルフィド、1,1-ビス(2-イソプロ ポキシカルボニルエチル)ジスルフィド、1,1- ス(2-シクロプロポキシカルボニルエチル)ジ スルフィド、1,1-ビス(2-メトキシカルボニル-n -プロピル)ジスルフィド、1,1-ビス(2-メトキシ カルボニル-n-ブチル)ジスルフィド、1,1-ビス( 2-メトキシカルボニル-n-ヘキシル)ジスルフィ ド、1,1-ビス(2-メトキシカルボニル-n-プロピ )ジスルフィド、2,2-ビス(3-メトキシカルボニ ル-n-ペンチル)ジスルフィド、1,1-ビス(2-メト シカルボニル-1-フェニルエチル)ジスルフィ ドなどを挙げることができる。

 前記式(2)で表されるジスルフィド化合物 具体例としては、ジチオリンゴ酸テトラメ ル、ジチオリンゴ酸テトラエチル、ジチオ ンゴ酸テトラ-1-プロピル、ジチオリンゴ酸 トラ-2-プロピル、ジチオリンゴ酸テトラ-1- チル、ジチオリンゴ酸テトラ-2-ブチル、ジ オリンゴ酸テトライソブチル、ジチオリン 酸テトラ-1-ヘキシル、ジチオリンゴ酸テト -1-オクチル、ジチオリンゴ酸テトラ-1-(2-エ ル)ヘキシル、ジチオリンゴ酸テトラ-1-(3,5,5 -トリメチル)ヘキシル、ジチオリンゴ酸テト -1-デシル、ジチオリンゴ酸テトラ-1-ドデシ 、ジチオリンゴ酸テトラ-1-ヘキサデシル、 チオリンゴ酸テトラ-1-オクタデシル、ジチ リンゴ酸テトラベンジル、ジチオリンゴ酸 トラ-α-(メチル)ベンジル、ジチオリンゴ酸 トラα,α-ジメチルベンジル、ジチオリンゴ テトラ-1-(2-メトキシ)エチル、ジチオリンゴ 酸テトラ-1-(2-エトキシ)エチル、ジチオリン 酸テトラ-1-(2-ブトキシ)エチル、ジチオリン 酸テトラ-1-(2-エトキシ)エチル、ジチオリン ゴ酸テトラ-1-(2-ブトキシ-ブトキシ)エチル、 チオリンゴ酸テトラ-1-(2-フェノキシ)エチル などを挙げることができる。

 本組成物においては、この(A)成分のジスル ィド化合物は、1種を単独で用いてもよく、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 この(A)成分の含有量は、耐摩耗性付与効果 排出ガスの浄化触媒に与える影響および経 性のバランスなどの観点から、組成物全量 準において、硫黄量換算で0.01~0.5質量%であ ことが好ましく、0.01~0.3質量%であることが り好ましい。

(B)成分および(C)成分:
 本組成物においては、前記(A)成分のジスル ィド化合物と共に、無灰系分散剤として(B) 平均分子量500~3000のアルキル基またはアル ニル基を側鎖に有するホウ素未含有無灰系 散剤と、(C)数平均分子量500~4000のアルキル基 またはアルケニル基を側鎖に有するホウ素含 有無灰系分散剤とを併用する。
 (B)成分である数平均分子量500~3000のアルキ 基またはアルケニル基を側鎖に有するホウ 未含有無灰系分散剤としては、様々なもの あり、例えば、[1]アルキルまたはアルケニ コハク酸イミド、[2]アルキルまたはアルケ ル脂肪酸アミド、[3]アルキルまたはアルケ ルベンジルアミンなどを用いることができ 。
 前記[1]におけるアルケニルまたはアルキル ハク酸イミドの代表例としてはポリブテニ 基またはポリイソブテニル基を有するコハ 酸イミドが挙げられる。ここでいうポリブ ニル基とは、1-ブテンとイソブテンの混合 あるいは高純度のイソブテンを重合させた のまたは、ポリイソブテニル基を水添した として得られる。なお、コハク酸イミドと ては、いわゆるモノタイプのアルケニル若 くはアルキルコハク酸イミド、あるいは、 わゆるビスタイプのアルケニル若しくはア キルコハク酸イミドのいずれでもよい。

 ポリブテニルコハク酸イミドの製造法は任 の従来の方法を採用することができる。例 ば、数平均分子量500~3000程度のポリブテン たは塩素化ポリブテンと無水マレイン酸と 100~200℃程度で反応させて得られるポリブテ ルコハク酸にポリアミンを反応させること 得ることができる。
 ポリアミンとしては、例えば、ジエチレン リアミン、トリエチレンテトラミン、テト エチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキ ミン等が挙げられる。
 また、このアルケニルまたはアルキルコハ 酸イミドには、これとアルキルフェノール 硫化アルキルフェノール等の芳香族化合物 マンニッヒ縮合させたアルキルフェノール たは硫化アルキルフェノール誘導体も好ま く用いられる。このアルキルフェノールの ルキル基は通常炭素数3~30のものが使用され る。

 前記[2]における脂肪酸アミドは、脂肪酸と リアミンとから得られ、脂肪酸としては、 ましくは炭素数8~24の飽和または不飽和の直 鎖若しくは分岐のカルボン酸が用いられる。 また、ポリアミンについては前記[1]の場合と 同じ物が用いられる。
 さらに、前記[3]におけるアルケニルまたは ルキルベンジルアミンのアルケニルまたは ルキル基についても、前記[1]の場合と同じ ある。
 このような、(B)成分としてのホウ素未含有 灰系分散剤は、数平均分子量500~3000のアル ル基またはアルケニル基を側鎖に有してい が、この側鎖の数平均分子量が500未満であ と、基油への分散性が悪化してしまい好ま くない。一方、この側鎖の数平均分子量が30 00を超えると、潤滑油組成物を調製するさい ハンドリング性が悪化するとともに、組成 の粘度が上がり過ぎて、省燃費性を損なう それがある。
 また、(B)成分由来の窒素分は、50~4000質量ppm であることが好ましく、さらに好ましくは50~ 3000質量ppmである。(B)成分由来の窒素分が50質 量ppm以上であると、潤滑油組成物としたとき の分散性が十分なものとなる。また、(B)成分 由来の窒素分が4000質量ppm以下であると、組 物の酸化安定性が維持されるとともに、粘 特性も維持されて、省燃費性を実現し、さ に製造コストを抑えることもできるので好 しい。

 次に、(C)ホウ素含有無灰系分散剤としては 前記[1]アルキルまたはアルケニルコハク酸 ミドをホウ素化合物で処理したもの、前記[ 2]脂肪酸アミドをホウ素化合物で処理したも 、前記[3]アルキルまたはアルケニルベンジ アミンをホウ素化合物で処理したものなど 用いることができる。
 例えば、ホウ素含有コハク酸イミドの製造 法については、従来の方法を採用すること できる。具体的には、アルコール類、ヘキ ン、キシレンなどの有機溶媒に前記ポリア ンとポリブテニルコハク酸(無水物)とホウ などのホウ素化合物を加え、適当な条件で 熱することで得ることができる。
なお、前記[1]~[3]に用いられるホウ素化合物 しては、ホウ酸、ホウ酸無水物、ハロゲン ホウ素、ホウ酸エステル、ホウ酸アミド、 化ホウ素などが挙げられる。中でも、ホウ が特に好ましい。また、前記ホウ素含有無 系分散剤の中では、特に、アルケニルまた アルキルコハク酸イミドをホウ素化合物で 理したホウ素含有コハク酸イミドが好まし 。

 このような、(C)成分としてのホウ素含有無 系分散剤は、数平均分子量500~4000のアルキ 基またはアルケニル基を側鎖に有している 、この側鎖の数平均分子量が500未満である 、基油への分散性が悪化してしまい好まし ない。一方、この側鎖の数平均分子量が4000 超えると、分散剤の粘度が高くなり過ぎ、 滑油組成物として省燃費性が悪化する。さ に、潤滑油組成物を調製するさいのハンド ング性も悪化する。
 また、(C)成分由来のホウ素分は、50~3000質量 ppmであることが好ましく、さらに好ましくは 50~2500質量ppmである。(C)成分由来のホウ素が50 質量ppm以上であると、潤滑油組成物としたと きの耐熱性が十分なものとなる。また、(C)成 分由来のホウ素分が3000質量ppm以下であると ホウ素部分の加水分解を抑えることができ さらに製造コストを抑えることもできるの 好ましい。

 本組成物においては、潤滑油基油に、(A) 定のジスルフィド化合物と、(B)特定のホウ 未含有無灰系分散剤と、(C)特定のホウ素含 無灰系分散剤とを必須成分として配合する とにより、耐摩耗性およびロングドレイン に優れるという顕著な効果を奏する。この うな本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、 に、ディーゼルエンジン用の潤滑油として 適に使用することができる。

 本組成物においては、さらに、酸化防止剤 配合することが好ましい。酸化防止剤とし は、フェノール系酸化防止剤やアミン系酸 防止剤を好適に使用することができる。
 フェノール系酸化防止剤としては、従来潤 油の酸化防止剤として使用されている公知 フェノール系酸化防止剤の中から、任意の のを適宜選択して用いることができる。こ フェノール系酸化防止剤としては、例えば 2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール;2,6-ジ- tert-ブチル-4-エチルフェノール;2,4,6-トリ-tert- ブチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロ シメチルフェノール;2,6-ジ-tert-ブチルフェ ール;2,4-ジメチル-6-tert-ブチルフェノール;2,6 -ジ-tert-ブチル-4-(N,N-ジメチルアミノメチル) ェノール;2,6-ジ-tert-アミル-4-メチルフェノー ル;4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェ ール)、4,4’-ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノー )、4,4’-ビス(2-メチル-6-tert-ブチルフェノー ル)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-tert-ブチ フェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6- tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビ (3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-イ プロピリデンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノ ル)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノニルフ ェノール)、2,2’-イソブチリデンビス(4,6-ジ チルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチ ル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,4-ジメチ -6-tert-ブチルフェノール、4,4’-チオビス(2- チル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビ ス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’- オビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、 ス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルベンジ ル)スルフィド、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒド ロキシベンジル)スルフィド、2,2’-チオ-ジエ チレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ ェニル)プロピオネート]、トリデシル-3-(3,5- ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ ネート、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-( 3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロ オネート]、オクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ドロキシフェニル)プロピオネート、オクタ デシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェ ル)プロピオネート、オクチル-3-(3-メチル-5- tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ ート等を好ましい例として挙げることができ る。

 一方、アミン系酸化防止剤としては、従 潤滑油の酸化防止剤として使用されている 知のアミン系酸化防止剤の中から、任意の のを適宜選択して用いることができる。こ アミン系酸化防止剤としては、例えばジフ ニルアミン系のもの、具体的にはジフェニ アミンやモノオクチルジフェニルアミン;モ ノノニルジフェニルアミン;4,4’-ジブチルジ ェニルアミン;4,4’-ジヘキシルジフェニル ミン;4,4’-ジオクチルジフェニルアミン;4,4 -ジノニルジフェニルアミン;テトラブチルジ フェニルアミン;テトラヘキシルジフェニル ミン;テトラオクチルジフェニルアミン:テト ラノニルジフェニルアミンなどの炭素数3~20 アルキル基を有するアルキル化ジフェニル ミンなど、及びナフチルアミン系のもの、 体的にはα-ナフチルアミン;フェニル-α-ナフ チルアミン、さらにはブチルフェニル-α-ナ チルアミン;ヘキシルフェニル-α-ナフチルア ミン;オクチルフェニル-α-ナフチルアミン;ノ ニルフェニル-α-ナフチルアミンなどの炭素 3~20のアルキル置換フェニル-α-ナフチルアミ ンなどが挙げられる。これらの中で、ナフチ ルアミン系よりジフェニルアミン系の方が、 効果の点から好ましく、特に炭素数3~20のア キル基を有するアルキル化ジフェニルアミ 、とりわけ4,4’-ジ(C3~C20アルキル)ジフェニ アミンが好適である。

 本組成物においては、前記フェノール系酸 防止剤を1種用いてもよく、2種以上を組み わせて用いてもよい。また、前記アミン系 化防止剤を1種用いてもよく、2種以上を組み 合わせて用いてもよい。さらには、フェノー ル系酸化防止剤1種以上とアミン系酸化防止 1種以上とを組み合わせて用いることがより ましい。
 酸化防止剤の含有量は、効果及び経済性の ランスなどの点から、組成物全量に基づき 好ましくは0.05~7質量%、より好ましくは0.05~5 質量%の範囲で選定される。

 本組成物においては、他に各種の添加剤、 えば、粘度指数向上剤、流動点降下剤、防 剤、金属腐食防止剤、消泡剤、界面活性剤 どを適宜含有させることができる。
 粘度指数向上剤としては、例えば、ポリメ クリレート、分散型ポリメタクリレート、 レフィン系共重合体(例えば、エチレン-プ ピレン共重合体など)、分散型オレフィン系 重合体、スチレン系共重合体(例えば、スチ レン-ジエン共重合体、スチレン-イソプレン 重合体など)などが挙げられる。これら粘度 指数向上剤の配合量は、配合効果の点から、 組成物全量基準で、0.5~15質量%程度であり、 ましくは1~10質量%である。

 流動点降下剤としては、エチレン-酢酸ビニ ル共重合体、塩素化パラフィンとナフタレン との縮合物、塩素化パラフィンとフェノール との縮合物、ポリメタクリレート、ポリアル キルスチレン等が挙げられ、例えば、質量平 均分子量が5,000~50,000程度のポリメタクリレー トが好ましく用いられる。これらは、組成物 全量基準で、0.1~5質量%の割合で使用される。
 防錆剤としては、例えば、石油スルホネー 、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニ ナフタレンスルホネート、アルケニルコハ 酸エステル、及び多価アルコールエステル が挙げられる。これら防錆剤の配合量は、 合効果の点から、組成物全量基準で、0.01~1 量%程度であり、好ましくは0.05~0.5質量%であ る。
 金属不活性化剤としては、例えば、ベンゾ リアゾール系、トリルトリアゾール系、チ ジアゾール系、及びイミダゾール系化合物 が挙げられる。これら金属不活性化剤の好 しい配合量は、配合効果の点から、組成物 量基準で、0.01~1質量%程度であり、好ましく は0.01~0.5質量%である。

 消泡剤としては、例えば、シリコーン、フ オロシリコーン、及びフルオロアルキルエ テル等が挙げられる。消泡剤は、消泡効果 び経済性のバランスなどの点から、組成物 量に基づき、0.005~0.1質量%程度含有させるこ とが好ましい。
 界面活性剤としては、例えば、ポリオキシ チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ ンアルキルフェニルエーテル、及びポリオ シエチレンアルキルナフチルエーテル等の リアルキレングリコール系非イオン系界面 性剤等が挙げられる。

 本組成物においては、リン含有量は0.1質量% 以下であることが好ましい。リン含有量が0.1 質量%以下であると、排出ガスを浄化する触 の性能低下を抑えることができる。好まし リン含有量は0.08質量%以下で、より好ましく は0.05質量%以下である。リン含有量は、例え 、JPI(Japan Petroleum Institute、以下同)-5S-38-92 準拠して測定すればよい。
 また、硫酸灰分は1質量%以下であることが ましい。硫酸灰分が1質量%以下であると、前 記と同様に、排出ガスを浄化する触媒の性能 低下を抑えることができる。また、ディーゼ ルエンジンにおいては、灰分の蓄積によるDPF の目詰まりが抑制され、DPFの寿命が長くなる 。より好ましい硫酸灰分は0.8質量%以下で、 らに好ましくは0.5質量%以下である。なお、 の硫酸灰分とは、試料を燃やして生じた炭 残留物に硫酸を加えて加熱し、恒量にした 分をいい、潤滑油組成物中の金属系添加剤 大略の量を知るために用いられる。硫酸灰 量は、例えば、JIS K2272に準拠して測定すれ ばよい。

 次に、本発明を実施例により、さらに詳細 説明するが、本発明は、これらの例によっ なんら限定されるものではない。
〔実施例1、2、比較例1~5〕
 表1に示す配合組成を有する潤滑油組成物を 調製し、ロングドレイン性および耐摩耗性を 評価した。また、併せて、耐熱性についても 確認した。なお、参考例として、JASO(Japan Aut omobile Standard Organization、以下同) DL-1規格相 油となるように、添加剤として金属系清浄 とZnDTPを配合した例も示した。
 潤滑油組成物の調製に用いた各成分の詳細 、以下の通りである。

(1)潤滑油基油A:ポリ-α-オレフィン、40℃動粘 :63mm 2 /s、100℃動粘度:9.8mm 2 /s、粘度指数:139
(2)潤滑油基油B:水素化精製鉱油(100N)、40℃動 度:21.0mm 2 /s、100℃動粘度:4.5mm 2 /s、粘度指数:127
(3)潤滑油基油C:水素化精製鉱油(500N)、40℃動 度:90.5mm 2 /s、100℃動粘度:10.89mm 2 /s、粘度指数:107

(4)ジスルフィドA:ビス(n-オクトキシカルボニ メチル)ジスルフィド、化合物中の硫黄含有 量:15.8質量%
(5)ジスルフィドB:ビス(n-テトラキシカルボニ メチル)ジスルフィド、化合物中の硫黄含有 量:20.78質量%
(6)無灰分散剤A:数平均分子量950のポリブテニ 基を有するホウ素未含有アルケニルコハク イミド、化合物中の窒素含有量:2.1質量%
(7)無灰分散剤B:数平均分子量950のポリブテニ 基を有するホウ素変性アルケニルコハク酸 ミド、化合物中の窒素含有量:1.8質量%、化 物中のホウ素含有量:2.1質量%

(8)金属系清浄剤A:過塩基性カルシウムサリシ ート、塩基価(過塩素酸法):170mgKOH/g、化合物 中のカルシウム含有量:6.1質量%
(9)ZnDTP:第2級アルキル型ジアルキルジチオリ 酸亜鉛(亜鉛含有量:7.9質量%、リン含有量:7.2 量%、硫黄含有量:15.0質量%)と、第1級アルキ 型ジアルキルジチオリン酸亜鉛(亜鉛含有量 :8.9質量%、リン含有量:7.4質量%、硫黄含有量:1 5.0質量%)とを、リンの質量比で、1:4の割合で 合したもの
(10)酸化防止剤:モノブチルフェニルモノオク ルフェニルアミン、4,4’-メチレンビス(2,6- -t-ブチルフェノール)、および、オクタデシ ル3(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プ ピオネートをそれぞれ質量比1:2:2の比率で混 合したもの
(11)その他の添加剤:金属不活性化剤(アルキル ベンゾトリアゾール)、シリコーン系消泡剤

 各潤滑油組成物のロングドレイン性、耐摩 性および耐熱性については以下のようにし 評価した。結果を表1に示す。
(ロングドレイン性)
 初期塩基価および内燃機関用潤滑油酸化安 度試験(Indiana Stirring Oxidation Test、以下ISOT 略す)後の塩基価を比較することで評価した 。
  ・塩基価:JIS K 2501に準拠(塩酸法)
  ・ISOT:JIS K 2514に準拠(165.5℃、96時間)
(耐摩耗性)
 日産(KA24E)を使用して、動弁系摩耗試験(カ ノーズ摩耗試験、JASO M328-95に準拠)により評 価した。
(耐熱性)
 280℃におけるホットチューブ試験(JPI-5S-55-99 に準拠)により、0~10点のカラースケールにて 価した。

〔評価結果〕
 表1の評価結果からわかるように、本発明の 潤滑油組成物を用いた実施例1、2では、金属 清浄剤やZnDTPを含んでいないにもかかわら 、ロングドレイン性および耐摩耗性に優れ いる。また、耐熱性についても実用上何ら 題ないレベルにある。
 これに対して、比較例1、2は参考例から金 系清浄剤およびZnDTPを除いた系である。また 、無灰系分散剤として、ホウ素未含有分散剤 とホウ素変性分散剤のいずれか一方のみで調 製したものである。いずれも、塩基価を向上 させることは可能であるものの、比較例1で 耐熱性が十分ではなく、比較例2ではロング レイン性が低下してしまう。
 また、比較例3も、参考例から金属系清浄剤 およびZnDTP清浄剤を除いた系であるが、無灰 分散剤として、ホウ素未含有分散剤とホウ 変性分散剤の両者を配合している。しかし ロングドレイン性が十分ではない。
 比較例4は、参考例から耐摩耗剤であるZnDTP 抜いた系であるが、ロングドレイン性は十 であるものの、耐摩耗性が大幅に悪化して る。

 本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、デ ーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの 燃機関に好適に用いられる。