Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
LUBRICANT COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054322
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a lubricant composition to be used in an internal combustion engine which uses a fuel containing at least one member selected from the group consisting of natural fats and oils, hydrogenated natural fats and oils, transesterified natural fats and oils, and hydrogenated products of the transesterified natural fats and oils. This lubricant composition contains, as a lubricant base oil, a polyol ester having a kinematic viscosity at 100˚C of 3-8 mm2/s and/or a polybasic acid ester having a kinematic viscosity at 100˚C of 3-8 mm2/s in an amount of 5-30% by mass based on the total amount of the lubricant composition.

Inventors:
TESHIMA KAZUHIRO (JP)
ISHIKAWA MOTOHARU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/068860
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
October 17, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
IDEMITSU KOSAN CO (JP)
TESHIMA KAZUHIRO (JP)
ISHIKAWA MOTOHARU (JP)
International Classes:
C10M105/32; C10M169/04; C10M105/36; C10M105/38; C10M129/10; C10M129/70; C10M133/04; C10M135/10; C10M139/00; C10M159/22; C10M159/24; C10N10/04; C10N20/00; C10N20/02; C10N20/04; C10N30/04; C10N30/06; C10N40/25
Foreign References:
JP2002206096A2002-07-26
JP2002275488A2002-09-25
JP2001348591A2001-12-18
JP2005264066A2005-09-29
JP2004269707A2004-09-30
JP2003252887A2003-09-10
JPH0322438B21991-03-26
JP2004002866A2004-01-08
Other References:
KOJI YAMANE, BIODIESEL - FROM DEEP FRYER TO FUEL TANK, May 2006 (2006-05-01)
See also references of EP 2223992A4
Attorney, Agent or Firm:
KINOSHITA & ASSOCIATES (Ogikubo TM building26-13, Ogikubo 5-chom, Suginami-ku Tokyo, JP)
Download PDF:
Claims:
 天然油脂、天然油脂の水素化処理物、天然油脂のエステル交換物、および天然油脂のエステル交換物の水素化処理物の中から選ばれた少なくとも1種を含む燃料を用いる内燃機関で使用される潤滑油組成物であって、
 潤滑油基油として、100℃動粘度が3~8mm 2 /sであるポリオールエステルおよび/または100℃動粘度が3~8mm 2 /sである多塩基酸エステルを、
 潤滑油組成物全量基準で5~30質量%配合することを特徴とする潤滑油組成物。
 請求項1に記載の潤滑油組成物において、
 数平均分子量500~3500のポリブテニル基を有し、ホウ素(B)と窒素(N)の質量比(B/N)が0.5以上であるポリブテニルコハク酸イミド化合物のホウ素誘導体と、
 アルカリ土類金属系清浄剤とを配合することを特徴とする潤滑油組成物。
 請求項1または請求項2のいずれかに記載の潤滑油組成物において、
 硫酸灰分が1.1質量%以下であることを特徴とする潤滑油組成物。
 請求項1~請求項3のいずれかに記載の潤滑油組成物において、
 フェノール系酸化防止剤および/またはアミン系酸化防止剤を、組成物全量基準で0.3質量%以上配合することを特徴とする潤滑油組成物。
 請求項1~請求項4のいずれかに記載の潤滑油組成物において、
 組成物全量基準で、前記ポリブテニルコハク酸イミド化合物のホウ素誘導体をホウ素換算量で0.01質量%以上配合することを特徴とする潤滑油組成物。
 請求項1~請求項5のいずれかに記載の潤滑油組成物において、
 硫黄含有量が組成物全量基準で0.5質量%以下であることを特徴とする潤滑油組成物。
Description:
潤滑油組成物

 本発明は、天然油脂由来の燃料を用いる 燃機関に使用される潤滑油組成物に関する

 現在、地球規模での環境規制はますます厳 くなり、特に自動車を取り巻く状況は、燃 規制、排ガス規制等ますます厳しくなって る。この背景には地球温暖化等の環境問題 、石油資源の枯渇に対する懸念からの資源 護がある。
 一方、地球上に存在する植物は、大気中の 酸化炭素、水および太陽光を吸収して光合 を行い、炭水化物および酸素を生成する。 れ故、植物を原料とした植物油から製造さ るいわゆるバイオ燃料は、地球温暖化の主 因である二酸化炭素の削減、さらには自動 から排出される大気汚染物質の低減効果な の点で大きく注目されている。また、植物 イオマスの燃焼によって生成する二酸化炭 は、地球温暖化ガスの増加にカウントされ いカーボンニュートラルという考え方もあ 、今後炭化水素系の燃料へのバイオ燃料の 合比率は増加すると予想される(例えば、非 特許文献1参照)。

山根浩二著「バイオディーゼル天ぷら鍋 から燃料タンクへ」東京図書出版会、2006年5 発行

 内燃機関、特にディーゼルエンジンにおい は、煤などのパティキュレートマター(PM)や NOxなどの排出ガス成分による環境汚染を軽減 するための対策が重要な課題となっている。 その対策としては、自動車にディーゼルパテ ィキュレートフィルター(DPF)や排出ガス浄化 媒(酸化または還元触媒)などの排出ガス浄 装置を装着することが有効である。例えば ディーゼルエンジンで生じた煤は、DPFに付 した後、酸化、燃焼により取り除かれる。
 ここで、ディーゼルエンジンにDPFを装着し 場合、フィルターに蓄積した煤を燃焼させ ため、一般に燃料のポスト噴射が行われて る。このポスト噴射によりエンジン油への 料希釈が増大し、エンジン油性能の低下が 想される。特にバイオ燃料はその物性から ンジン油に蓄積し易いことと、バイオ燃料 劣化分解した時に極性化合物が生じること ら、エンジン部品(ピストン等)の清浄性へ 悪影響が大きい。例えば、燃焼により生成 た金属酸化物や硫酸塩、カルボン酸塩など よってフィルターが目詰りしやすいという 題が生じている。また、使用されたエンジ 油の一部は燃焼し、排出ガスとして排出さ る。従って、潤滑油中の金属分や硫黄分は きるだけ低くする方が好ましい。さらに、 滑油中のリン分および硫黄分を減らすこと 排出ガス浄化触媒の劣化対策のうえからも ましい。
 しかしながら、これまで、バイオ燃料に十 適した潤滑油は提供されていない。また、 純に、潤滑油中の金属分、リン分、あるい 硫黄分などの含有量を少なくするとかえっ 潤滑性を損なうおそれもある。
 そこで、本発明の主な目的は、バイオ燃料 バイオ燃料を混合した燃料をディーゼルエ ジン等の内燃機関に用いても、潤滑性およ エンジン部品の清浄性に優れる潤滑油組成 を提供することにある。

 前記した課題を解決すべく、本発明は、以 に示す潤滑油組成物を提供するものである
(1)天然油脂、天然油脂の水素化処理物、天然 油脂のエステル交換物、および天然油脂のエ ステル交換物の水素化処理物の中から選ばれ た少なくとも1種を含む燃料を用いる内燃機 で使用される潤滑油組成物であって、潤滑 基油として、100℃動粘度が3~8mm 2 /sであるポリオールエステルおよび/または100 ℃動粘度が3~8mm 2 /sである多塩基酸エステルを、潤滑油組成物 量基準で5~30質量%配合することを特徴とす 潤滑油組成物。
(2)前述した本発明の潤滑油組成物において、 数平均分子量500~3500のポリブテニル基を有し ホウ素(B)と窒素(N)の質量比(B/N)が0.5以上で るポリブテニルコハク酸イミド化合物のホ 素誘導体と、アルカリ土類金属系清浄剤と 配合することを特徴とする潤滑油組成物。
(3)前述した本発明の潤滑油組成物において、 硫酸灰分が1.1質量%以下であることを特徴と る潤滑油組成物。
(4)前述した本発明の潤滑油組成物において、 フェノール系酸化防止剤および/またはアミ 系酸化防止剤を、組成物全量基準で0.3質量% 上配合することを特徴とする潤滑油組成物
(5)前述した本発明の潤滑油組成物において、 組成物全量基準で、前記ポリブテニルコハク 酸イミド化合物のホウ素誘導体をホウ素換算 量で0.01質量%以上配合することを特徴とする 滑油組成物。
(6)前述した本発明の潤滑油組成物において、 硫黄含有量が組成物全量基準で0.5質量%以下 あることを特徴とする潤滑油組成物。

 本発明の潤滑油組成物によれば、天然油脂 からなるいわゆるバイオ燃料を用いる内燃 関において、エンジン油中にバイオ燃料が 入しても、ピストン等のエンジン部品に対 て優れた清浄性を示す。特に、エンジンが 温となった際の高温清浄性に優れる。また 本発明の潤滑油組成物においては、DPFに残 する灰分を少なくできるので、DPF付きのデ ーゼルエンジンに使用した場合であってもD PFの性能低下を起こすこともない。
 なお、本発明における天然油脂には、植物 源のものに限られず、動物起源のものも含 れる。

 以下、本発明について、実施形態を詳細に 明する。
 本発明は、天然油脂、天然油脂の水素化処 物、天然油脂のエステル交換物、および天 油脂のエステル交換物の水素化処理物の中 ら選ばれた少なくとも1種を含む燃料を用い る内燃機関で使用される潤滑油組成物である 。

 ここで、天然油脂としては、天然界に広く 在する各種の動植物油脂を用いることがで るが、脂肪酸とグリセリンとのエステルを 成分とする植物油、例えばサフラワー油、 豆油、菜種油、パーム油、パーム核油、綿 油、ヤシ油、米糠油、ゴマ油、ヒマシ油、 麻仁油、オリーブ油、桐油、椿油、落花生 、カポック油、カカオ油、木蝋、ヒマワリ 、コーン油などが好適に使用される。
 天然油脂の水素化処理物とは、前記した油 を適当な水素化触媒の存在下でいわゆる水 したものである。
 ここで、水素化触媒としては、ニッケル系 媒、白金族(Pt,Pd,Rh,Ru)系触媒、コバルト系触 媒、酸化クロム系触媒、銅系触媒、オスミウ ム系触媒、イリジウム系触媒、モリブデン系 触媒などが挙げられる。また、水素化触媒と しては上記触媒を2つ以上組み合わせて使用 ることも好ましい。

 天然油脂のエステル交換物とは、適当なエ テル合成触媒の存在下で、天然油脂を構成 るトリグリセリドに対してエステル交換反 を行って得られたエステルである。例えば 低級アルコールと油脂とを、上記エステル 成触媒の存在下でエステル交換反応させる とにより、バイオ燃料となる脂肪酸エステ が製造される。低級アルコールは、エステ 化剤として使用されるものであり、メタノ ル、エタノール、プロパノール、ブタノー 、ペンタノール等の炭素数5以下のアルコー ルを挙げることができるが、反応性の点でも コストの点でもメタノールが好ましい。この ような低級アルコールは、一般に油脂に対し て当量以上の量で用いられる。
 また、天然油脂のエステル交換物の水素化 理物とは、前記したエステル交換物を適当 水素化触媒の存在下で水添したものである
 天然油脂、天然油脂の水素化処理物、天然 脂のエステル交換物、および天然油脂のエ テル交換物の水素化処理物は、軽油などの 化水素で構成される燃料に添加することで 混合燃料としても好適に使用することがで る。

 本発明の潤滑油組成物に用いられる潤滑油 油としては、少なくともポリオールエステ および/または多塩基酸エステルが用いられ る。
 ポリオールエステルとしては、脂肪族多価 ルコールと直鎖状または分岐状の脂肪酸と エステルが挙げられる。このポリオールエ テルを形成する脂肪族多価アルコールとし は、ネオペンチルグルコール、トリメチロ ルプロパン、ジトリメチロールプロパン、 リメチロールエタン、ジトリメチロールエ ン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリ リトール、およびトリペンタエリスリトー 等がある。また、脂肪酸としては、炭素数8 ~12のものを使用することができ、特に好まし い脂肪酸としてはペラルゴン酸、カプリン酸 、ウンデシル酸、ラウリン酸、およびトリデ シル酸が挙げられる。また、上記した脂肪族 多価アルコールと直鎖状または分岐状の脂肪 酸との部分エステルも使用できる。これらの 部分エステルは、脂肪族多価アルコールと脂 肪酸との反応モル数を適宜調節して反応させ ることにより得られる。

 本発明におけるポリオールエステルは、100 動粘度が3~8mm 2 /sであり、好ましくは、4~7mm 2 /s、より好ましくは5~6mm 2 /sである。100℃における動粘度が3mm 2 /s以上であると蒸発損失が少なく、また、動 度が8mm 2 /s以下であると、粘性抵抗による動力損失が 制され、燃費改善効果が得られる。

 本発明における多塩基酸エステルとしては カルボン酸成分として炭素数6~10の直鎖状ま たは分岐状の脂肪族二塩基酸が好ましく、具 体的には、アジピン酸、ピメリン酸、スベリ ン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびこ れらと同等の性状を有するものが挙げられる 。また、アルコール成分としては、炭素数6~1 5の脂肪族アルコールが好ましく、具体的に ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール オクチルアルコール、ノニルアルコール、 シルアルコール、ウンデシルアルコール、 デシルアルコール、トリデシルアルコール テトラデシルアルコールおよびペンタデシ アルコール、並びにこれらの異性体が挙げ れる。
 本発明における多塩基酸エステルは、100℃ 粘度が3~8mm 2 /sであり、好ましくは、4~7mm 2 /s、より好ましくは5~6mm 2 /sである。100℃における動粘度が3mm 2 /s以上であると蒸発損失が少なく、また、動 度が8mm 2 /s以下であると、粘性抵抗による動力損失が 制され、燃費改善効果が得られる。

 上述したポリオールエステルや多塩基酸 ステルは、各々単独の基油として用いても く、あるいは混合して用いてもよい。例え 、コンプレックスエステルとして用いても い。コンプレックスエステルとは、多塩基 と多価のアルコールを原料として合成され エステルであり、通常、原料には一塩基酸 含まれる。本発明では、脂肪族多価アルコ ルと、炭素数8~12の直鎖状または分岐状の脂 肪族モノカルボン酸、直鎖状または分岐状の 脂肪族二塩基酸、あるいは芳香族二塩基酸、 三塩基酸、四塩基酸とからなるコンプレック スエステルを好適に使用することができる。

 コンプレックスエステルの形成に用いられ 脂肪族多価アルコールとしては、トリメチ ールプロパン、トリメチロールエタン、ペ タエリスリトール、およびジペンタエリス トール等を使用することができる。また、 肪族モノカルボン酸としては、炭素数8~12の 脂肪族モノカルボン酸、例えば、ヘプタデシ ル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキ ン酸、ベヘン酸、およびリグノセリン酸が挙 げられる。脂肪族二塩基酸としては、コハク 酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、 アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸 、ドデカン二酸、トリデカン二酸、カルボキ シオクタデカン酸、カルボキシメチルオクタ デカン酸、およびドコサン二酸等が挙げられ る。また、芳香族二塩基酸としてはフタル酸 、イソフタル酸等、芳香族三塩基酸としては トリメリット酸等、芳香族四塩基酸としては ピロメリット酸等が挙げられる。
 本発明の潤滑油組成物に用いられる潤滑油 油としてコンプレックスエステルを用いる 合でも、好ましい粘度範囲は上述したポリ ールエステルや多塩基酸エステルと同様で る。

 上述した各種エステルを製造するための ステル化反応としては、例えば、アルコー (多価アルコール等)とカルボン酸(脂肪族多 基酸または芳香族多塩基酸等)を所定の割合 で反応させればよい。あるいは、部分エステ ル化し、次にその部分エステル化物とカルボ ン酸とを反応させてもよいし、また酸の反応 順序を逆にしてもよく、あるいは酸を混合し てエステル化反応に供してもよい。

 上述したポリオールエステルおよび/また は多塩基酸エステルの含有量は、潤滑油組成 物全量基準で5~30質量%であり、好ましくは10~2 5質量%、より好ましくは10~20質量%である。ポ オールエステルおよび/または多塩基酸エス テルの含有量が5質量%未満では、高温となっ エンジン内における清浄性が十分ではなく 一方、30質量%を超えるとゴムに対する影響 大きくなり好ましくない。

 また、基油としては、内燃機関用潤滑油の 油として使用されている鉱油や合成油の中 ら任意のものを、上述のポリオールエステ や多塩基酸エステルに混合して使用するこ ができる。
 鉱油としては、例えば、原油を常圧蒸留し 得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた 滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素 分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精 等の1つ以上の処理を行って精製した鉱油、 あるいはワックス、GTL(Gas-To-Liquid) WAXを異性 することによって製造される鉱油等が挙げ れる。
 一方、合成油としては、例えば、ポリブテ 、ポリオレフィン[α-オレフィン単独重合体 や共重合体など]、各種のエーテル(例えば、 リフェニルエーテルなど)、ポリグリコール 、アルキルベンゼン、アルキルナフタレンな どが挙げられる。これらの合成油のうち、特 にポリオレフィンが粘度特性および蒸発性の 点で好ましい。

 本発明において、ポリオールエステルや多 基酸エステルと混合して用いられる基油と ては、上記鉱油を1種用いてもよく、2種以 を組み合わせて用いてもよい。また、上記 成油を1種用いてもよく、2種以上を組み合わ せて用いてもよい。さらには、鉱油1種以上 合成油1種以上とを組み合わせて用いてもよ 。これらの基油を混合して用いる場合でも 基油全体として100℃動粘度が3~8mm 2 /sの範囲にあることが好ましい。100℃におけ 動粘度が3mm 2 /s以上であると蒸発損失が少なく、また8mm 2 /s以下であると、粘性抵抗による動力損失が 制され、燃費改善効果が得られる。

 ポリオールエステルや多塩基酸エステルと 合して用いられる鉱油としては、環分析に る%CAが3以下で硫黄分の含有量が50質量ppm以 のものが好ましく用いられる。ここで、環 析による%CAとは、環分析n-d-M法により算出 た芳香族分の割合(百分率)を示す。また、硫 黄分はJIS(Japanese Industrial Standard、以下同) K 2541に準拠して測定した値である。
 %CAが3以下で、硫黄分が50質量ppm以下の基油 、良好な酸化安定性を示し、酸価の上昇や ラッジの生成を抑制しうると共に、金属に する腐食性の少ない潤滑油組成物を提供す ことができる。より好ましい硫黄分は30質 ppm以下である。また、より好ましい%CAは1以 であり、さらに好ましくは0.5以下である。

 また、ポリオールエステルや多塩基酸エ テルおよびこれらと混合して用いられる基 の粘度指数は、70以上が好ましく、より好 しくは100以上、さらに好ましくは120以上で る。この粘度指数が70以上の基油は、温度の 変化による粘度変化が小さい。

 本発明の潤滑油組成物には、数平均分子量5 00~3500のポリブテニル基を有し、ホウ素(B)と 素(N)の質量比(B/N)が0.5以上であるポリブテニ ルコハク酸イミド化合物のホウ素誘導体と、 アルカリ土類金属系清浄剤とを含むことが好 ましい。
 このようなポリブテニルコハク酸イミド化 物のホウ素誘導体は、例えば、(a)数平均分 量500~3500のポリブテニル基で置換されたコ ク酸若しくはその無水物、(b)ポリアルキレ ポリアミン、および(c)ホウ素化合物とを反 させて得られる。

 原料(a)としては、ポリブテニル基で置換さ たコハク酸若しくはその無水物を用いる。 のポリブテニル基の数平均分子量(以下、分 子量またはMnと略することがある。)は、500~35 00であるが、好ましくは1000~3000である。この リブテニル基の分子量が500未満であると、 終的に得られるコハク酸イミド化合物のホ 素誘導体が潤滑油基油などに充分溶解しな ことがあり、また、分子量が3500を越えると 、コハク酸イミド化合物が高粘度になり、そ の取扱いが困難になることがある。
 原料(a)としてのポリブテニル基で置換され コハク酸若しくはその無水物は、そのポリ テニル基の分子量に該当するポリブテンと 水マレイン酸とを公知の方法で反応させれ よい。

 原料(b)としては、ポリアルキレンポリア ンを用いるが、全体の5モル%以上が末端に 構造を有するポリアルキレンポリアミンを いることが好ましい。原料(b)全体が末端に 構造を有するポリアルキレンポリアミンで ってもよいし、または、末端に環構造を有 るポリアルキレンポリアミンと末端に環構 をもたないポリアルキレンポリアミンとの 合物であってもよい。末端に環構造を有す ポリアルキレンポリアミンの割合が5モル%以 上であると、本発明の目的であるエンジン部 品の清浄性がより優れる。ポリアルキレンポ リアミンの割合は、10モル%以上、さらには20 ル%以上であれば、さらに清浄性が向上し、 特に高温下における清浄性に優れる。

 原料(c)としては、ホウ素化合物を用いる。 のホウ素化合物としては、例えば、ホウ酸, ホウ酸無水物,ホウ酸エステル、酸化ホウ素, ロゲン化ホウ素などが挙げられる。中でも ホウ酸が特に好ましい。
 本発明におけるポリブテニルコハク酸イミ 化合物のホウ素誘導体は、上記原料(a)と原 (b)および原料(c)を反応させて得ることがで る。この反応方法は、特に制限は無く公知 方法で行えばよい。例えば、以下の方法で 応させて、目的物を得ることができる。ま 、原料(a)と原料(b)を反応させ、次いでその 応生成物と原料(c)とを反応させる。原料(a) 原料(b)の反応における原料(a)と(b)の配合割 については、(a):(b)が0.1~10:1(モル比)が好ま く、0.5~2:1(モル比)がより好ましい。また、 料(a)と原料(b)の反応温度については、約80~25 0℃が好ましく,約100~200℃がより好ましい。反 応を行うに際しては、原料の取扱上、または 反応を調整するために必要に応じて溶剤、例 えば炭化水素油等の有機溶剤を使用すること もできる。

 次に、上記のようにして得られた原料(a)と( b)の反応生成物を原料(c)と反応させる。この 応原料(c)であるホウ素化合物の配合割合は ポリアルキレンポリアミンに対して、通常 ル比で1:0.05~10が好ましく、1:0.5~5がより好ま しい。また、反応温度については、通常好ま しくは約50~250℃,より好ましくは100~200℃であ 。また、反応を行うに際して、原料(a)と(b) 反応と同様に、取扱上および反応を調整す ために、必要に応じて溶剤、例えば炭化水 油等の有機溶剤を使用することもできる。
 上述した反応により生成物として数平均分 量200~3500のポリブテニル基で置換されたコ ク酸イミド化合物のホウ素誘導体が得られ 。本発明においては、このようなホウ素誘 体1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み 合わせて用いてもよい。

 本発明の潤滑油組成物におけるポリブテニ コハク酸イミド化合物のホウ素誘導体の配 量は、組成物全量基準において、ホウ素(原 子)換算で0.01質量%以上であることが好ましい 。より好ましくは0.01~0.2質量%であり、さらに 好ましくは、0.01~0.15質量%であり、もっとも ましくは0.01~0.1質量%である。
 また、該ホウ素誘導体に含まれるホウ素が 定量以上存在することで、潤滑油組成物中 バイオ燃料が混入しても、高温の内燃機関 おいて高いピストン清浄性が得られる。該 ウ素誘導体の配合量が、0.01質量%未満では 十分な高温清浄性は得られない。また、ホ 素含有量が0.2質量%を超えても高温清浄性に いてさらなる向上が顕れず、実用性に乏し 。
 そして、該ホウ素誘導体におけるホウ素(B) 窒素(N)の質量比(B/N)は、0.5以上であること 好ましく、より好ましくは0.6以上、さらに ましくは0.8以上である。B/Nが0.5以上である 、高温下におけるエンジン部品の清浄性が きく向上する。
 なお、ホウ素化コハク酸イミド系化合物は 上記のように原料(a)と(b)を反応し、次いで の反応生成物を原料(c)と反応させて得るこ ができるが、反応順序を変えて、まず原料( a)と(c)を反応させ、その後、その反応生成物 (b)を反応させても同様に目的のホウ素化コ ク酸イミド化合物を得られる。

 本発明の潤滑油組成物には、前記したポリ テニルコハク酸イミド化合物のホウ素誘導 とともにアルカリ土類金属系清浄剤が配合 れることが好ましい。
 アルカリ土類金属系清浄剤としては例えば アルカリ土類金属スルフォネート、アルカ 土類金属フェネート、アルカリ土類金属サ シレートおよびこれらの中から選ばれる2種 類以上の混合物が好適に挙げられる。
 アルカリ土類金属スルフォネートとしては 分子量300~1,500、好ましくは400~700のアルキル 芳香族化合物をスルフォン化することによっ て得られるアルキル芳香族スルフォン酸のア ルカリ土類金属塩、特にマグネシウム塩およ び/またはカルシウム塩等が挙げられ、中で カルシウム塩が好ましく用いられる。
 アルカリ土類金属フェネートとしては、ア キルフェノール、アルキルフェノールサル ァイド、アルキルフェノールのマンニッヒ 応物のアルカリ土類金属塩、特にマグネシ ム塩および/またはカルシウム塩等が挙げら れ、中でもカルシウム塩が特に好ましく用い られる。
 アルカリ土類金属サリシレートとしては、 ルキルサリチル酸のアルカリ土類金属塩、 にマグネシウム塩および/またはカルシウム 塩等が挙げられ、中でもカルシウム塩が好ま しく用いられる。前記アルカリ土類金属系清 浄剤を構成するアルキル基としては、炭素数 4~30のものが好ましく、より好ましくは6~18の 鎖または分枝アルキル基であり、これらは 鎖でも分枝でもよい。これらはまた1級アル キル基、2級アルキル基または3級アルキル基 もよい。

 また、アルカリ土類金属スルフォネート アルカリ土類金属フェネートおよびアルカ 土類金属サリシレートとしては、前記のア キル芳香族スルフォン酸、アルキルフェノ ル、アルキルフェノールサルファイド、ア キルフェノールのマンニッヒ反応物、アル ルサリチル酸等を直接、マグネシウムおよ /またはカルシウムのアルカリ土類金属の酸 化物や水酸化物等のアルカリ土類金属塩基と 反応させたり、または一度ナトリウム塩やカ リウム塩等のアルカリ金属塩としてからアル カリ土類金属塩と置換させること等により得 られる中性アルカリ土類金属スルフォネート 、中性アルカリ土類金属フェネートおよび中 性アルカリ土類金属サリシレートだけでなく 、中性アルカリ土類金属スルフォネート、中 性アルカリ土類金属フェネートおよび中性ア ルカリ土類金属サリシレートと過剰のアルカ リ土類金属塩やアルカリ土類金属塩基を水の 存在下で加熱することにより得られる塩基性 アルカリ土類金属スルフォネート、塩基性ア ルカリ土類金属フェネートおよび塩基性アル カリ土類金属サリシレートや、炭酸ガスの存 在下で中性アルカリ土類金属スルフォネート 、中性アルカリ土類金属フェネートおよび中 性アルカリ土類金属サリシレートをアルカリ 土類金属の炭酸塩またはホウ酸塩を反応させ ることにより得られる過塩基性アルカリ土類 金属スルフォネート、過塩基性アルカリ土類 金属フェネートおよび過塩基性アルカリ土類 金属サリシレートも含まれる。

 本発明において、アルカリ土類金属系清 剤の好ましい配合量は、アルカリ土類金属 算量で0.35質量%以下であり、より好ましく 0.01~0.35質量%であり、さらに好ましくは0.1~0.3 5質量%である。アルカリ土類金属系清浄剤の 合量が0.01質量%以上であると、酸化安定性 塩基価維持性および高温清浄性により優れ 潤滑油組成物となる。一方、アルカリ土類 属系清浄剤の配合量が0.35質量%を越えると、 排出ガスを浄化する触媒の性能低下を引き起 こすおそれがある。また、DPF付きのディーゼ ルエンジンに適用した場合に、DPFへの灰分付 着量が多くなり、DPFの寿命を短くするおそれ がある。

 本発明の潤滑油組成物には、酸化防止剤と て、フェノール系酸化防止剤および/または アミン系酸化防止剤を配合することが好まし い。
 フェノール系酸化防止剤としては、例えば オクタデシルー3-(3,5-ジ-tert―ブチルー4-ヒ ロキシフェニル)プロピオネート、4,4’-メチ レンビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール);4,4’-ビ (2,6-ジ-t-ブチルフェノール);4,4’-ビス(2-メ ル-6-t-ブチルフェノール);2,2’-メチレンビス (4-エチル-6-t-ブチルフェノール);2,2’-メチレ ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール);4,4’- チリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール );4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジ-t-ブチル ェノール);2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-ノ ルフェノール);2,2’-イソブチリデンビス(4,6 -ジメチルフェノール);2,2’-メチレンビス(4- チル-6-シクロヘキシルフェノール);2,6-ジ-t- チル-4-メチルフェノール;2,6-ジ-t-ブチル-4-エ チルフェノール;2,4-ジメチル-6-t-ブチルフェ ール;2,6-ジ-t-アミル-p-クレゾール;2,6-ジ-t-ブ ル-4-(N,N’-ジメチルアミノメチルフェノー );4,4’-チオビス(2-メチル-6-t-ブチルフェノー ル);4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノ ル);2,2’-チオビス(4-メチル-6-t-ブチルフェ ール);ビス(3-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチル ンジル)スルフィド;ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒ ドロキシベンジル)スルフィド;n-オクチル-3-(4 -ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロピ ネート、n-オクタデシル-3-(4-ヒドロキシ-3,5- -t-ブチルフェニル)プロピオネート;2,2’-チ [ジエチル-ビス-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキ シフェニル)プロピオネート]などが挙げられ 。これらの中で、特にビスフェノール系お びエステル基含有フェノール系のものが好 である。

 また、アミン系酸化防止剤としては、例 ばモノオクチルジフェニルアミン;モノノニ ルジフェニルアミンなどのモノアルキルジフ ェニルアミン系、4,4’-ジブチルジフェニル ミン;4,4’-ジペンチルジフェニルアミン;4,4 -ジヘキシルジフェニルアミン;4,4’-ジヘプ ルジフェニルアミン;4,4’-ジオクチルジフェ ニルアミン;4,4’-ジノニルジフェニルアミン どのジアルキルジフェニルアミン系、テト ブチルジフェニルアミン;テトラヘキシルジ フェニルアミン;テトラオクチルジフェニル ミン;テトラノニルジフェニルアミンなどの リアルキルジフェニルアミン系、およびナ チルアミン系のもの、具体的にはα-ナフチ アミン;フェニル-α-ナフチルアミン;さらに ブチルフェニル-α-ナフチルアミン;ペンチ フェニル-α-ナフチルアミン;ヘキシルフェニ ル-α-ナフチルアミン;ヘプチルフェニル-α-ナ フチルアミン;オクチルフェニル-α-ナフチル ミン;ノニルフェニル-α-ナフチルアミンな のアルキル置換フェニル-α-ナフチルアミン どが挙げられる。これらの中でジアルキル フェニルアミン系およびナフチルアミン系 ものが好適である。

 なお、他の酸化防止剤として、モリブデン ミン錯体系酸化防止剤を用いてもよい。モ ブデンアミン錯体系酸化防止剤としては、6 価のモリブデン化合物、具体的には三酸化モ リブデンおよび/またはモリブデン酸とアミ 化合物とを反応させてなるもの、例えば特 2003-252887号公報に記載の製造方法で得られる 化合物を用いることができる。6価のモリブ ン化合物と反応させるアミン化合物として 特に制限されないが、具体的には、モノア ン、ジアミン、ポリアミンおよびアルカノ ルアミンが挙げられる。より具体的には、 チルアミン、エチルアミン、ジメチルアミ 、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、 チルプロピルアミン等の炭素数1~30のアルキ 基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状 でもよい)を有するアルキルアミン;エテニル ミン、プロペニルアミン、ブテニルアミン オクテニルアミン、およびオレイルアミン の炭素数2~30のアルケニル基(これらのアル ニル基は直鎖状でも分枝状でもよい)を有す アルケニルアミン;メタノールアミン、エタ ノールアミン、メタノールエタノールアミン 、メタノールプロパノールアミン等の炭素数 1~30のアルカノール基(これらのアルカノール は直鎖状でも分枝状でもよい)を有するアル カノールアミン;メチレンジアミン、エチレ ジアミン、プロピレンジアミン、およびブ レンジアミン等の炭素数1~30のアルキレン基 有するアルキレンジアミン;ジエチレントリ アミン、トリエチレンテトラミン、テトラエ チレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミ ン等のポリアミン;ウンデシルジエチルアミ 、ウンデシルジエタノールアミン、ドデシ ジプロパノールアミン、オレイルジエタノ ルアミン、オレイルプロピレンジアミン、 テアリルテトラエチレンペンタミン等の上 モノアミン、ジアミン、ポリアミンに炭素 8~20のアルキル基またはアルケニル基を有す 化合物やイミダゾリン等の複素環化合物;こ れらの化合物のアルキレンオキシド付加物; よびこれらの混合物等が例示できる。また 特公平3-22438号公報および特開2004-2866号公報 記載されているコハク酸イミドの硫黄含有 リブデン錯体等が例示できる。
 上述した酸化防止剤の配合量は、組成物全 基準で、0.3質量%以上が好ましく0.5質量%以 であることがより好ましい。一方、2質量%を 越えると、潤滑油基油に不溶となるおそれが ある。従って、酸化防止剤の配合量は、組成 物全量基準で0.3~2質量%の範囲が好ましい。

 本発明の潤滑油組成物には、本発明の効 を損なわない範囲で、必要に応じて他の添 剤、例えば粘度指数向上剤、流動点降下剤 耐摩耗剤、無灰系摩擦低減剤、防錆剤、金 不活性化剤、界面活性剤、および消泡剤等 配合してもよい。

 粘度指数向上剤としては、例えば、ポリ タクリレート、分散型ポリメタクリレート オレフィン系共重合体(例えば、エチレン- ロピレン共重合体など)、分散型オレフィン 共重合体、スチレン系共重合体(例えば、ス チレン-ジエン共重合体、スチレン-イソプレ 共重合体など)などが挙げられる。これら粘 度指数向上剤の配合量は、配合効果の点から 、組成物全量基準で、0.5~15質量%程度であり 好ましくは1~10質量%である。

 流動点降下剤としては、例えば質量平均分 量が5000~50,000程度のポリメタクリレートな が挙げられる。
 耐摩耗剤としては、ジチオリン酸亜鉛、ジ オカルバミン酸亜鉛、リン酸亜鉛、ジスル ィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類、 化エステル類、チオカーボネート類、チオ ーバメート類(例えば、Mo-DTC)等の硫黄含有 合物;亜リン酸エステル類、リン酸エステル 、ホスホン酸エステル類、およびこれらの ミン塩または金属塩等のリン含有化合物;チ オ亜リン酸エステル類、チオリン酸エステル 類(例えば、Mo-DTP)、チオホスホン酸エステル 、およびこれらのアミン塩または金属塩等 硫黄およびリン含有摩耗防止剤が挙げられ 。

 無灰系摩擦低減剤としては、潤滑油用の 灰系摩擦低減剤として通常用いられている 意の化合物が使用可能であり、例えば炭素 6~30のアルキル基またはアルケニル基を分子 中に少なくとも1個有する、脂肪酸、脂肪族 ルコール、脂肪族エーテル、脂肪族エステ 、脂肪族アミンおよび脂肪族アミド等が挙 られる。

 防錆剤としては、石油スルホネート、ア キルベンゼンスルホネート、ジノニルナフ レンスルホネート、アルケニルコハク酸エ テル、多価アルコールエステル等が挙げら る。これら防錆剤の配合量は、配合効果の から、組成物全量基準で、通常0.01~1質量%程 度であり、好ましくは0.05~0.5質量%である。

 金属不活性化剤(銅腐食防止剤)としては 例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルト アゾール系、チアジアゾール系、イミダゾ ル系およびピリミジン系化合物等が挙げら る。この中でベンゾトリアゾール系化合物 好ましい。金属不活性化剤を配合すること エンジン部品の金属腐食および酸化劣化を 制することができる。これら金属不活性化 の配合量は、配合効果の点から、組成物全 基準で、好ましくは0.01~0.1質量%、より好ま くは0.03~0.05質量%である。

 界面活性剤としては、ポリオキシエチレ アルキルエーテル、ポリオキシエチレンア キルフェニルエーテルおよびポリオキシエ レンアルキルナフチルエーテル等のポリア キレングリコール系非イオン性界面活性剤 が挙げられる。

 消泡剤としては、シリコーン油、フルオ シリコーン油およびフルオロアルキルエー ル等が挙げられ、消泡効果および経済性の ランスなどの点から、組成物全量に基づき 0.005~0.1質量%程度配合することが好ましい。

 本発明の潤滑油組成物においては、硫黄含 量が組成物全量基準で0.5質量%以下であるこ とが好ましく、0.3質量%以下であることがよ 好ましく、さらに好ましくは0.2質量%以下で る。硫黄含有量が0.5質量%以下であると、排 出ガスを浄化する触媒の性能低下を効果的に 抑えることができる。
 本発明の潤滑油組成物においては、リン含 量は組成物全量基準で0.12質量%以下である とが好ましく、より好ましくは0.1質量%以下 ある。リン含有量が0.12質量%以下であると 排出ガスを浄化する触媒の性能低下を効果 に抑えることができる。

 また、本発明の潤滑油組成物においては、 酸灰分は1.1質量%以下であることが好ましく 、1質量%以下であるとより好ましい。硫酸灰 が1.1質量%以下であると、排出ガスを浄化す る触媒の性能低下を効果的に抑えることがで きる。また、ディーゼルエンジンにおいては 、DPFのフィルタに堆積する灰分量が少なく、 該フィルタの灰分詰まりが抑制され、DPFの寿 命が長くなる。なお、この硫酸灰分とは、試 料を燃やして生じた炭化残留物に硫酸を加え て加熱し、恒量にした灰分をいい、通常潤滑 油組成物中の金属系添加剤の大略の量を知る ために用いられる。具体的には、JIS K 2272の 「5.硫酸灰分試験方法」に規定される方法に り測定される。
 なお、内燃機関において潤滑油の蒸発性の 大は、潤滑油自体の消費量の増加を招き、 れによる潤滑油寿命の低下、さらには排気 ス触媒への飛散量増大による触媒能力・寿 の低下を引き起こす。このような観点より 本発明の潤滑油組成物においては、JPI(Japan Petroleum Institute、以下同)-5S-41-93に準拠して 定されるNOACK蒸発量が15質量%以下であること が好ましく、より好ましくは13質量%以下であ り、さらに好ましくは10質量%以下である。

 次に、本発明を実施例によりさらに詳細 説明するが、本発明はこれらの例によって んら限定されるものではない。

〔実施例1~7、比較例1~4〕
 表1に示す配合組成を有する潤滑油組成物を 調製し、以下に示すホットチューブ試験を行 った。なお、潤滑油組成物の調製に用いた各 成分の種類は、次の通りである。
(1)基油A:水素化精製基油、40℃動粘度21mm 2 /s、100℃動粘度4.5mm 2 /s、粘度指数127、%CA0.0、硫黄含有量20質量ppm 満、NOACK蒸発量13.3質量%
(2)基油B:PAO、40℃動粘度17.5mm 2 /s、100℃動粘度3.9mm 2 /s、粘度指数120、NOACK蒸発量15質量%
(3)基油C:エステル油(ポリオール脂肪酸エステ ル。ポリオール成分は、トリメチロールプロ パンであり、脂肪酸成分は、ヤシ油(C8~C12)を ファインしたものを用いた。)、40℃動粘度1 9.8mm 2 /s、100℃動粘度4.3mm 2 /s、粘度指数139、NOACK蒸発量3質量%、けん化価 0.1mgKOH/g
(4)基油D:トリデシルアジペート、40℃動粘度27 mm 2 /s、100℃動粘度5.3mm 2 /s、粘度指数132、NOACK蒸発量4質量%

(5)粘度指数向上剤:ポリメタクリレート、質 平均分子量420,000、樹脂量39質量%
(6)流動点降下剤:ポリアルキルメタクリレー 、質量平均分子量6,000
(7)金属系清浄剤:過塩基性カルシウムサリシ ート、塩基価(過塩素酸法)225mgKOH/g、カルシ ム含有量7.8質量%、硫黄含有量0.3質量%
(8)ポリブテニルコハク酸モノイミドA:ポリブ ニル基の数平均分子量1000、窒素含有量1.76 量%、ホウ素含有量2.0質量%、B/N=1.1
(9)ポリブテニルコハク酸ビスイミドB:ポリブ ニル基の数平均分子量2000、窒素含有量0.99 量%、B/N=0
(10)フェノール系酸化防止剤:オクタデシル 3- (3,5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピ ネート
(11)アミン系酸化防止剤:ジアルキルジフェニ アミン、窒素含有量4.62質量%
(12)ジアルキルジチオリン酸亜鉛:Zn含有量9.0 量%、リン含有量8.2質量%、硫黄含有量17.1質 %、アルキル基;第2級ブチル基と第2級ヘキシ 基の混合物
(13)銅腐食防止剤:1-[N,N-ビス(2-エチルヘキシル )アミノメチル]メチルベンゾトリアゾール
(14)バイオディーゼル燃料:菜種油メチルエス ル
(15)その他の添加剤:防錆剤、界面活性剤およ 消泡剤

 各潤滑油組成物の性状測定およびホットチ ーブ試験については、以下のようにして行 た。
(カルシウム含有量)
 JIS-5S-38-92に準拠して測定した。
(ホウ素含有量)
 JIS-5S-38-92に準拠して測定した。
(窒素含有量)
 JIS K2609に準拠して測定した。
(リン含有量)
 JPI-5S-38-92に準拠して測定した。
(硫黄含有量)
 JIS K2541に準拠して測定した。
(硫酸灰分)
 JIS K2272に準拠して測定した。
(Noack)
 JPI-5S-41-93に準拠して測定した。

(ホットチューブ試験)
 試験用の潤滑油組成物としては、内燃機関 における燃料と潤滑油との混合割合を想定 て、前記した各潤滑油組成物(新油)に対し バイオ燃料(菜種油をメチルアルコールによ エステル交換して得られた燃料)を5質量%配 した混合油を用いた。試験温度は、280℃お び320℃に設定し、その他の条件については JPI-5S-55-99に準拠して測定した。また、ホッ チューブ試験は粘度指数向上剤の量が影響 る場合もあるので、各実施例・比較例では 度指数向上剤の配合量を一定にした。試験 のガラス管への付着物量が少ないほど、清 性が良好であることを示す。
 各潤滑油組成物の性状およびホットチュー 試験の結果を表1に示す。

〔評価結果〕
 表1のホットチューブ試験結果からわかるよ うに、本発明の潤滑油組成物を用いた実施例 1~7では、新油にバイオ燃料を添加しても、ホ ットチューブ内の付着量はさほど多くなく、 エンジンの清浄性にも優れることが理解でき る。一方、比較例1、2は、基油としてポリオ ルエステルも多塩基酸エステルも用いてい いので、付着量が非常に多い。また、比較 3、4のように、ポリオールエステルや多塩 酸エステルを基油として用いても、その配 量が少ないと付着防止効果はほとんど認め れず、エンジンの清浄性に対しても期待で ない。

 本発明の潤滑油組成物は、バイオ燃料あ いはバイオ燃料を含む燃料を用いる内燃機 に好適に利用できる。