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Title:
LUBRICATING OIL COMPOSITION FOR REFRIGERATING MACHINE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/101840
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a lubricating oil composition for a refrigerating machine which is used for a refrigerating machine using a refrigerant having a specific structure such as an unsaturated fluorohydrocarbon compound serving as a refrigerant having a low global warming potential and usable particularly in an existing car air-conditioning system and uses a refrigerant containing at least one type of fluorine-containing organic compound selected from compounds represented by a molecular formula (A) CpOqFrRs having excellent compatibility with the refrigerant and also excellent stability or a combination of the fluorine-containing organic compound with a saturated fluorohydrocarbon compound. The lubricating oil composition contains, as a base oil, a polyoxyalkylene glycol derivative as a main component, and a monoepoxy compound in an amount of 1 to 20% by mass of the total amount of the composition.

Inventors:
KANEKO MASATO (JP)
IKEDA HARUTOMO (JP)
SATO TOKUE (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/050679
Publication Date:
August 20, 2009
Filing Date:
January 19, 2009
Export Citation:
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Assignee:
IDEMITSU KOSAN CO (JP)
KANEKO MASATO (JP)
IKEDA HARUTOMO (JP)
SATO TOKUE (JP)
International Classes:
C10M169/04; C09K5/04; C10M107/34; C10M129/18; C10N20/02; C10N20/04; C10N30/00; C10N30/10; C10N40/30
Domestic Patent References:
WO2005103190A12005-11-03
WO2007002625A22007-01-04
WO2007105452A12007-09-20
Foreign References:
JPH07188689A1995-07-25
JPH0243290A1990-02-13
JPH01271491A1989-10-30
JPH06240278A1994-08-30
JP2006503961A2006-02-02
JPH07507342A1995-08-10
Other References:
See also references of EP 2243819A4
Attorney, Agent or Firm:
OHTANI, Tamotsu et al. (Bridgestone Toranomon Bldg. 6F. 25-2, Toranomon 3-chome, Minato-k, Tokyo 01, JP)
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Claims:
 下記の分子式(A)
  C p O q F r R s      ・・・(A)
[式中、Rは、Cl、Br、I又はHを示し、pは1~6、qは0~2、rは1~14、sは0~13の整数である。但し、qが0の場合は、pは2~6であり、分子中に炭素-炭素不飽和結合を1以上有する。]
で表される化合物から選ばれる少なくとも1種の含フッ素有機化合物、又は前記含フッ素有機化合物と飽和フッ化炭化水素化合物との組合せを含む冷媒を用いる冷凍機用の潤滑油組成物であって、基油として、ポリオキシアルキレングリコール誘導体を主成分として含み、かつ当該組成物全量に基づき、モノエポキシ化合物1~20質量%を配合したことを特徴とする冷凍機用潤滑油組成物。
 冷媒が、炭素数2~3の不飽和フッ化炭化水素化合物、又は炭素数1~3の飽和フッ化炭化水素化合物と炭素数2~3の不飽和フッ化炭化水素化合物との組み合わせからなる請求項1に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
 基油の100℃における動粘度が2~50mm 2 /sである請求項1又は2に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
 基油の分子量が500以上である請求項1~3のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物。
 ポリオキシアルキレングリコール誘導体が、
一般式(I)
  R 1 -[(OR 2 ) m -OR 3 ]    (I)
(式中、R 1 は水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアシル基又は結合部2~6個を有する炭素数1~10の脂肪族炭化水素基、R 2 は炭素数2~4のアルキレン基、R 3 は水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数2~10のアシル基、nは1~6の整数、mはm×nの平均値が6~80となる数であり、OR 2 が複数ある場合、複数のOR 2 は同一でも異なっていてもよく、[(OR 2 ) m -OR 3 ]が複数ある場合、複数の[(OR 2 ) m -OR 3 ]は同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物である請求項1~4のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物。
 ポリオキシアルキレングリコール誘導体が、モノオール系及び/又はジオール系ポリオキシアルキレングリコール誘導体である請求項5に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
 極圧剤、油性剤、酸化防止剤、金属不活性化剤及び消泡剤の中から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含む請求項1~6のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物。
 冷凍機の摺動部分がエンジニアリングプラスチックからなるもの、又は有機コーティング膜もしくは無機コーティング膜を有するものである請求項1~7のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物。
 有機コーティング膜が、ポリテトラフルオロエチレンコーティング膜、ポリイミドコーティング膜、ポリアミドイミドコーティング膜、又はポリヒドロキシエーテル樹脂とポリサルホン系樹脂からなる樹脂基材及び架橋剤を含む樹脂塗料を用いて形成された熱硬化型絶縁膜である請求項8に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
 無機コーティング膜が、黒鉛膜、ダイヤモンドライクカーボン膜、スズ膜、クロム膜、ニッケル膜又はモリブデン膜である請求項8に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
 カーエアコン、電動カーエアコン、ガスヒートポンプ、空調、冷蔵庫、自動販売機又はショーケースの各種給湯システム、あるいは冷凍・暖房システムに用いられる請求項1~10のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物。
 システム内の水分含有量が300質量ppm以下で、残存空気量が10kPa以下である請求項11に記載の冷凍機用潤滑油組成物。
Description:
冷凍機用潤滑油組成物

 本発明は冷凍機用潤滑油組成物、さらに しくは、地球温暖化係数が低く、特に現行 ーエアコンシステムなどに使用可能な冷媒 ある不飽和フッ化炭化水素化合物等特定の 媒を用いた冷凍機用として使用される、ポ オキシアルキレングリコール誘導体を主成 とする基油を用いてなる安定性に優れ、シ ルドチューブ試験においてスラッジの生成 抑制された冷凍機用潤滑油組成物に関する のである。

 一般に、圧縮型冷凍機は少なくとも圧縮 、凝縮器、膨張機構(膨張弁など)、蒸発器 あるいは更に乾燥器から構成され、冷媒と 滑油(冷凍機油)の混合液体がこの密閉された 系内を循環する構造となっている。このよう な圧縮型冷凍機においては、装置の種類にも よるが、一般に、圧縮機内では高温、冷却器 内では低温となるので、冷媒と潤滑油は低温 から高温まで幅広い温度範囲内で相分離する ことなく、この系内を循環することが必要で ある。一般に、冷媒と潤滑油とは低温側と高 温側に相分離する領域を有し、そして、低温 側の分離領域の最高温度としては-10℃以下が 好ましく、特に-20℃以下が好ましい。一方、 高温側の分離領域の最低温度としては30℃以 が好ましく、特に40℃以上が好ましい。も 、冷凍機の運転中に相分離が生じると、装 の寿命や効率に著しい悪影響を及ぼす。例 ば、圧縮機部分で冷媒と潤滑油の相分離が じると、可動部が潤滑不良となって、焼付 などを起こして装置の寿命を著しく短くし 一方蒸発器内で相分離が生じると、粘度の い潤滑油が存在するため熱交換の効率低下 もたらす。

 従来、冷凍機用冷媒としてクロロフルオロ ーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカー ン(HCFC)などが主に使用されてきたが、環境 題の原因となる塩素を含む化合物であった とから、ハイドロフルオロカーボン(HFC)など の塩素を含有しない代替冷媒が検討されるに 至った。このようなハイドロフルオロカーボ ンとしては、例えば1,1,1,2-テトラフルオロエ ン、ジフルオロメタン、ペンタフルオロエ ン、1,1,1-トリフルオロエタン(以下、それぞ れR134a、R32、R125、R143aと称せられる。)に代表 されるハイドロフルオロカーボンが注目され るようになり、例えばカーエアコンシステム にはR134aが使用されてきた。
 しかしながら、このHFCも地球温暖化の面で 響が懸念されることから、更に環境保護に した代替冷媒として二酸化炭素などのいわ る自然冷媒が注目されているが、この二酸 炭素は高圧を必要とするため、現行のカー アコンシステムには使用することができな 。
 地球温暖化係数が低く、現行カーエアコン ステムに使用できる冷媒として、例えば不 和フッ化炭化水素化合物(例えば、特許文献 1参照)、フッ化エーテル化合物(例えば、特許 文献2参照)、フッ化アルコール化合物、フッ ケトン化合物など分子中に特定の極性構造 有する冷媒が見出されている。
 このような冷媒を用いる冷凍機用潤滑油に しては、前記冷媒に対する優れた相溶性を すると共に、安定性に優れることが要求さ る。

特表2006-503961号公報

特表平7-507342号公報

 本発明は、このような状況下で、地球温 化係数が低く、特に現行カーエアコンシス ムなどに使用可能な冷媒である不飽和フッ 炭化水素化合物等特定の構造を有する冷媒 用いた冷凍機用として使用される、前記冷 に対する優れた相溶性を有すると共に、安 性にも優れる冷凍機用潤滑油組成物を提供 ることを目的とするものである。

 本発明者らは、前記目的を達成するために 意研究を重ねた結果、基油としてポリアル レングリコール誘導体を含むと共に、特定 化合物からなる酸捕捉剤を含み、好ましく 冷凍機の摺動部分に特定の材料を用いるこ により、その目的を達成し得ることを見出 た。本発明は、かかる知見に基づいて完成 たものである。
 すなわち、本発明は、

(1)下記の分子式(A)
  C p O q F r R s      ・・・(A)
[式中、Rは、Cl、Br、I又はHを示し、pは1~6、q 0~2、rは1~14、sは0~13の整数である。但し、qが 0の場合は、pは2~6であり、分子中に炭素-炭素 不飽和結合を1以上有する。]
で表される化合物から選ばれる少なくとも1 の含フッ素有機化合物、又は前記含フッ素 機化合物と飽和フッ化炭化水素化合物との 合せを含む冷媒を用いる冷凍機用の潤滑油 成物であって、基油として、ポリアルキレ グリコール誘導体を主成分として含み、か 当該組成物全量に基づき、モノエポキシ化 物1~20質量%を配合したことを特徴とする冷凍 機用潤滑油組成物、
(2)冷媒が、炭素数2~3の不飽和フッ化炭化水素 化合物、又は炭素数1~3の飽和フッ化炭化水素 化合物と炭素数2~3の不飽和フッ化炭化水素化 合物との組み合わせからなる上記(1)に記載の 冷凍機用潤滑油組成物、
(3)基油の100℃における動粘度が2~50mm 2 /sである上記(1)叉は(2)に記載の冷凍機用潤滑 組成物、
(4)基油の分子量が500以上である上記(1)~(3)の ずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物、
(5)ポリオキシアルキレングリコール誘導体が 、一般式(I)
  R 1 -[(OR 2 ) m -OR 3 ]      (I)
(式中、R 1 は水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素 2~10のアシル基又は結合部2~6個を有する炭素 1~10の脂肪族炭化水素基、R 2 は炭素数2~4のアルキレン基、R 3 は水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は炭 数2~10のアシル基、nは1~6の整数、mはm×nの平 値が6~80となる数であり、OR 2 が複数ある場合、複数のOR 2 は同一でも異なっていてもよく、[(OR 2 ) m -OR 3 ]が複数ある場合、複数の[(OR 2 ) m -OR 3 ]は同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物である上記(1)~(4)のいずれ に記載の冷凍機用潤滑油組成物、
(6)ポリオキシアルキレングリコール誘導体が 、モノオール系及び/又はジオール系ポリオ シアルキレングリコール誘導体である上記(5 )に記載の冷凍機用潤滑油組成物、

(7)極圧剤、油性剤、酸化防止剤、金属不活性 化剤および消泡剤の中から選ばれる少なくと も1種の添加剤を含む上記(1)~(6)のいずれかに 載の冷凍機用潤滑油組成物、
(8)冷凍機の摺動部分がエンジニアリングプラ スチックからなるもの、又は有機コーティン グ膜もしくは無機コーティング膜を有するも のである上記(1)~(7)のいずれかに記載の冷凍 用潤滑油組成物、
(9)有機コーティング膜が、ポリテトラフルオ ロエチレンコーティング膜、ポリイミドコー ティング膜、ポリアミドイミドコーティング 膜、又はポリヒドロキシエーテル樹脂とポリ サルホン系樹脂からなる樹脂基材及び架橋剤 を含む樹脂塗料を用いて形成された熱硬化型 絶縁膜である上記(8)に記載の冷凍機用潤滑油 組成物、
(10)無機コーティング膜が、黒鉛膜、ダイヤ ンドライクカーボン膜、スズ膜、クロム膜 ニッケル膜又はモリブデン膜である上記(8) 記載の冷凍機用潤滑油組成物、
(11)カーエアコン、電動カーエアコン、ガス ートポンプ、空調、冷蔵庫、自動販売機又 ショーケースの各種給湯システム、あるい 冷凍・暖房システムに用いられる上記(1)~(10) のいずれかに記載の冷凍機用潤滑油組成物、
(12)システム内の水分含有量が300質量ppm以下 、残存空気量が10kPa以下である上記(11)に記 の冷凍機用潤滑油組成物、
を提供するものである。

 本発明によれば、地球温暖化係数が低く 特に現行カーエアコンシステムなどに使用 能な冷媒である不飽和フッ化炭化水素化合 等特定の構造を有する冷媒を用いる冷凍機 として使用される、前記冷媒に対する優れ 相溶性を有すると共に、安定性に優れ、シ ルドチューブ試験においてスラッジの生成 抑制された冷凍機用潤滑油組成物を提供す ことができる。

 本発明の冷凍機用潤滑油組成物は、下記の 子式(A)
  C p O q F r R s      ・・・(A)
[式中、Rは、Cl、Br、I又はHを示し、pは1~6、q 0~2、rは1~14、sは0~13の整数である。但し、qが 0の場合は、pは2~6であり、分子中に炭素-炭素 不飽和結合を1以上有する。]
で表される化合物から選ばれる少なくとも1 の含フッ素有機化合物、又は前記含フッ素 機化合物と飽和フッ化炭化水素化合物との み合せを含む冷媒を用いる冷凍機用潤滑油 成物である。

<冷媒>
 前記分子式(A)は、分子中の元素の種類と数 表すものであり、式(A)は、炭素原子Cの数p 1~6の含フッ素有機化合物を表している。炭 数が1~6の含フッ素有機化合物であれば、冷 として要求される沸点、凝固点、蒸発潜熱 どの物理的、化学的性質を有することがで る。
 該分子式(A)において、C p で表されるp個の炭素原子の結合形態は、炭 -炭素単結合、炭素-炭素二重結合等の不飽和 結合、炭素―酸素二重結合などが含まれる。 炭素-炭素の不飽和結合は、安定性の点から 炭素-炭素二重結合であることが好ましく、 の数は1以上であるが、1であるものが好ま い。
 また、分子式(A)において、O q で表されるq個の酸素原子の結合形態は、エ テル基、水酸基又はカルボニル基に由来す 酸素であることが好ましい。この酸素原子 数qは、2であってもよく、2個のエーテル基 水酸基等を有する場合も含まれる。
 また、O q におけるqが0であり分子中に酸素原子を含ま い場合は、pは2~6であって、分子中に炭素- 素二重結合等の不飽和結合を1以上有する。 なわち、C p で表されるp個の炭素原子の結合形態の少な とも1つは、炭素-炭素不飽和結合であること が必要である。
 また、分子式(A)において、Rは、Cl、Br、I又 Hを表し、これらのいずれであってもよいが 、オゾン層を破壊する恐れが小さいことから 、Rは、Hであることが好ましい。
 上記のとおり、分子式(A)で表される含フッ 有機化合物としては、不飽和フッ化炭化水 化合物、フッ化エーテル化合物、フッ化ア コール化合物及びフッ化ケトン化合物など 好適なものとして挙げられる。
 以下、これらの化合物について説明する。

 [不飽和フッ化炭化水素化合物]
 本発明において、冷凍機の冷媒として用い れる不飽和フッ化炭化水素化合物としては 例えば、分子式(A)において、RがHであり、p 2~6、qが0、rが1~12、sは0~11である不飽和フッ 炭化水素化合物が挙げられる。
 このような不飽和フッ化炭化水素化合物と て好ましくは、例えば、炭素数2~6の直鎖状 は分岐状の鎖状オレフィンや炭素数4~6の環 オレフィンのフッ素化物を挙げることがで る。
 具体的には、1~3個のフッ素原子が導入され エチレン、1~5個のフッ素原子が導入された ロペン、1~7個のフッ素原子が導入されたブ ン類、1~9個のフッ素原子が導入されたペン ン類、1~11個のフッ素原子が導入されたヘキ セン類、1~5個のフッ素原子が導入されたシク ロブテン、1~7個のフッ素原子が導入されたシ クロペンテン、1~9個のフッ素原子が導入され たシクロヘキセンなどが挙げられる。
 これらの不飽和フッ化炭化水素化合物の中 は、炭素数2~3の不飽和フッ化炭化水素化合 が好ましく、トリフルオロエチレンなどの チレンのフッ化物及び各種プロペンのフッ 物が挙げられるが、プロペンのフッ化物が り好ましい。このプロペンのフッ化物とし は、例えばペンタフルオロプロペンの各種 性体、3,3,3-トリフルオロプロペン及び2,3,3,3 -テトラフルオロプロペンなどを挙げること できるが、特に、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプ ペン(HFC1225ye)及び2,3,3,3-テトラフルオロプロ ペン(HFC1234yf)が好適である。
 本発明においては、この不飽和フッ化炭化 素化合物は、1種を単独で用いてよく、2種 上組み合わせて用いてもよい。
 また、炭素数1~3の飽和フッ化炭化水素化合 と炭素数2~3の不飽和フッ化炭化水素化合物 の組み合わせも好適に用いられる。
 炭素数1~3の飽和フッ化炭化水素化合物とし は、例えばR32、R125、R134a、R143b、R152a、R245fa などを挙げることができるが、これらの中で R32、R134a、R152aが好適である。本発明におい は、この飽和フッ化炭化水素化合物は、1種 単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせ て用いてもよい。
 前記炭素数1~3の飽和フッ化炭化水素化合物 炭素数2~3の不飽和フッ化炭化水素化合物と 組み合わせとしては、例えばCH 2 F 2 (HFC32)と前記HFC1225yeとの組み合わせ、CHF 2 CH 3 (HFC152a)とHFC1225yeとの組み合わせ、及びCF 3 Iと前記HFC1234yfとの組み合わせなどを挙げる とができる。

 [フッ化エーテル化合物]
 本発明において、冷凍機の冷媒として用い れるフッ化エーテル化合物としては、例え 、分子式(A)において、RがHであり、pが2~6、q が1~2、rが1~14、sは0~13であるフッ化エーテル 合物が挙げられる。
 このようなフッ化エーテル化合物として好 しくは、例えば、炭素数が2~6で、1~2個のエ テル結合を有し、アルキル基が直鎖状又は 岐状の鎖状脂肪族エーテルのフッ素化物や 炭素数が3~6で、1~2個のエーテル結合を有す 環状脂肪族エーテルのフッ素化物を挙げる とができる。
 具体的には、1~6個のフッ素原子が導入され ジメチルエーテル、1~8個のフッ素原子が導 されたメチルエチルエーテル、1~8個のフッ 原子が導入されたジメトキシメタン、1~10個 のフッ素原子が導入されたメチルプロピルエ ーテル類、1~12個のフッ素原子が導入された チルブチルエーテル類、1~12個のフッ素原子 導入されたエチルプロピルエーテル類、1~6 のフッ素原子が導入されたオキセタン、1~6 のフッ素原子が導入された1,3-ジオキソラン 、1~8個のフッ素原子が導入されたテトラヒド ロフランなどを挙げることができる。

 これらのフッ化エーテル化合物としては、 えばヘキサフルオロジメチルエーテル、ペ タフルオロジメチルエーテル、ビス(ジフル オロメチル)エーテル、フルオロメチルトリ ルオロメチルエーテル、トリフルオロメチ メチルエーテル、ペルフルオロジメトキシ タン、1-トリフルオロメトキシ-1,1,2,2-テトラ フルオロエタン、ジフルオロメトキシペンタ フルオロエタン、1-トリフルオロメトキシ-1,2 ,2,2-テトラフルオロエタン、1-ジフルオロメ キシ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1-ジフル オロメトキシ-1,2,2,2-テトラフルオロエタン、 1-トリフルオロメトキシ-2,2,2-トリフルオロエ タン、1-ジフルオロメトキシー2,2,2-トリフル ロエタン、ペルフルオロオキセタン、ペル ルオロ-1,3-ジオキソラン、ペンタフルオロ キセタンの各種異性体、テトラフルオロオ セタンの各種異性体などが挙げられる。
 本発明においては、このフッ化エーテル化 物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上 組み合わせて用いてもよい。

 [フッ化アルコール化合物]
 本発明において、冷凍機の冷媒として用い れる一般式(A)で表されるフッ化アルコール 合物としては、例えば、分子式(A)において RがHであり、pが1~6、qが1~2、rが1~13、sは1~13 あるフッ化エーテル化合物が挙げられる。
 このようなフッ化アルコール化合物として ましくは、例えば、炭素数が1~6で、1~2個の 酸基を有する直鎖状又は分岐状の脂肪族ア コールのフッ素化物を挙げることができる
 具体的には、1~3個のフッ素原子が導入され メチルアルコール、1~5個のフッ素原子が導 されたエチルアルコール、1~7個のフッ素原 が導入されたプロピルアルコール類、1~9個 フッ素原子が導入されたブチルアルコール 、1~11個のフッ素原子が導入されたペンチル アルコール類、1~4個のフッ素原子が導入され たエチレングリコール、1~6個のフッ素原子が 導入されたプロピレングリコールなどを挙げ ることができる。

 これらのフッ化アルコール化合物としては 例えばモノフルオロメチルアルコール、ジ ルオロメチルアルコール、トリフルオロメ ルアルコール、ジフルオロエチルアルコー の各種異性体、トリフルオロエチルアルコ ルの各種異性体、テトラフルオロエチルア コールの各種異性体、ペンタフルオロエチ アルコール、ジフルオロプロピルアルコー の各種異性体、トリフルオロプロピルアル ールの各種異性体、テトラフルオロプロピ アルコールの各種異性体、ペンタフルオロ ロピルアルコールの各種異性体、ヘキサフ オロプロピルアルコールの各種異性体、ヘ タフルオロプロピルアルコール、ジフルオ ブチルアルコールの各種異性体、トリフル ロブチルアルコールの各種異性体、テトラ ルオロブチルアルコールの各種異性体、ペ タフルオロブチルアルコールの各種異性体 ヘキサフルオロブチルアルコールの各種異 体、ヘプタフルオロブチルアルコールの各 異性体、オクタフルオロブチルアルコール 各種異性体、ノナフルオロブチルアルコー 、ジフルオロエチレングリコールの各種異 体、トリフルオロエチレングリコール、テ ラフルオロエチレングリコール、さらには フルオロプロピレングリコールの各種異性 、トリフルオロプロピレングリコールの各 異性体、テトラフルオロプロピレングリコ ルの各種異性体、ペンタフルオロプロピレ グリコールの各種異性体、ヘキサフルオロ ロピレングリコールなどのフッ化プロピレ グリコール、及びこのフッ化プロピレング コールに対応するフッ化トリメチレングリ ールなどが挙げられる。
 本発明においては、これらのフッ化アルコ ル化合物は、1種を単独で用いてもよく、2 以上を組み合せて用いてもよい。

[フッ化ケトン化合物]
 本発明において、冷凍機の冷媒として用い れるフッ化ケトン化合物としては、例えば 分子式(A)において、RがHであり、pが2~6、qが 1~2、rが1~12、sは0~11であるフッ化ケトン化合 が挙げられる。
 このようなフッ化ケトン化合物として好ま くは、例えば、炭素数が3~6で、アルキル基 直鎖状又は分岐状の脂肪族ケトンのフッ素 物を挙げることができる。
 具体的には、1~6個のフッ素原子が導入され アセトン、1~8個のフッ素原子が導入された チルエチルケトン、1~10個のフッ素原子が導 入されたジエチルケトン、1~10個のフッ素原 が導入されたメチルプロピルケトン類など 挙げられる。

 これらのフッ化ケトン化合物としては、例 ばヘキサフルオロジメチルケトン、ペンタ ルオロジメチルケトン、ビス(ジフルオロメ チル)ケトン、フルオロメチルトリフルオロ チルケトン、トリフルオロメチルメチルケ ン、ペルフルオロメチルエチルケトン、ト フルオロメチル-1,1,2,2-テトラフルオロエチ ケトン、ジフルオロメチルペンタフルオロ チルケトン、トリフルオロメチル-1,1,2,2-テ ラフルオロエチルケトン、ジフルオロメチ -1,1,2,2-テトラフルオロエチルケトン、ジフ オロメチル-1,2,2,2-テトラフルオロエチルケ ン、トリフルオロメチル-2,2,2-トリフルオロ チルケトン、ジフルオロメチル-2,2,2-トリフ ルオロエチルケトンなどが挙げられる。
 本発明においては、これらのフッ化ケトン 合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以 を組み合わせて用いてもよい。

[飽和フッ化炭化水素化合物]
 この飽和フッ化炭化水素化合物は、前記の 般式(A)で表される化合物から選ばれる少な とも1種の含フッ素有機化合物に、必要に応 じて混合することのできる冷媒である。
 この飽和フッ化炭化水素化合物としては、 素数1~4のアルカンのフッ化物が好ましく、 に炭素数1~2のメタンやエタンのフッ化物で るトリフルオロメタン、ジフルオロメタン 1,1-ジフルオロエタン、1,1,1-トリフルオロエ タン、1,1,2-トリフルオロエタン、1,1,1,2-テト フルオロエタン、1,1,2,2-テトラフルオロエ ン、1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタンが好適で る。また、飽和フッ化炭化水素化合物とし は、上記アルカンのフッ化物を、さらにフ 素以外のハロゲン原子でハロゲン化したも であっても良く、例えば、トリフルオロヨ ドメタン(CF 3 I)などが例示できる。これらの飽和フッ化炭 水素化合物は、1種を単独で用いてよく、2 以上組み合わせて用いてもよい。
 また、当該飽和フッ化炭化水素化合物の配 量は、冷媒全量に基づき、通常30質量%以下 好ましくは20質量%以下、より好ましくは10 量%以下である。

 本発明の冷凍機用潤滑油組成物(以下、冷凍 機油組成物と称することがある。)は、前述 冷媒を用いる冷凍機用の潤滑油組成物であ て、基油として、ポリオキシアルキレング コール誘導体を主成分として含むものが用 られる。
[基油]
 本発明の冷凍機油組成物の基油として用い れるポリオキシアルキレングリコール誘導 としては、例えば、一般式(I)
  R 1 -[(OR 2 ) m -OR 3 ]    (I)
(式中、R 1 は水素原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素 2~10のアシル基又は結合部2~6個を有する炭素 1~10の脂肪族炭化水素基、R 2 は炭素数2~4のアルキレン基、R 3 は水素原子、炭素数1~10のアルキル基又は炭 数2~10のアシル基、nは1~6の整数、mはm×nの平 値が6~80となる数であり、OR 2 が複数ある場合、複数のOR 2 は同一でも異なっていてもよく、[(OR 2 ) m -OR 3 ]が複数ある場合、複数の[(OR 2 ) m -OR 3 ]は同一でも異なっていてもよい。)
で表される化合物が好ましく挙げられる。
 上記一般式(I)において、R 1 及びR 3 の各々における炭素数1~10のアルキル基は直 状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよ 。該アルキル基の具体例としては、メチル 、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基 、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキ シル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、 各種ノニル基、各種デシル基、シクロペンチ ル基、シクロヘキシル基などを挙げることが できる。このアルキル基の炭素数が10を超え と冷媒との相溶性が低下し、相分離を生じ 場合がある。好ましいアルキル基の炭素数 1~6である。

 また、R 1 及びR 3 の各々における炭素数2~10のアシル基のアル ル基部分は直鎖状、分岐鎖状、環状のいず であってもよい。該アシル基のアルキル基 分の具体例としては、上記アルキル基の具 例として挙げた炭素数1~9の種々の基を同様 挙げることができる。該アシル基の炭素数 10を超えると冷媒との相溶性が低下し、相分 離を生じる場合がある。好ましいアシル基の 炭素数は2~6である。
 R 1 及びR 3 が、いずれもアルキル基又はアシル基である 場合には、R 1 とR 3 は同一であってもよいし、たがいに異なって いてもよい。
 さらにnが2以上の場合は、1分子中の複数のR 3 は同一であってもよいし、異なっていてもよ い。

 R 1 が結合部位2~6個を有する炭素数1~10の脂肪族 化水素基である場合、この脂肪族炭化水素 は鎖状のものであってもよいし、環状のも であってもよい。結合部位2個を有する脂肪 炭化水素基としては、例えばエチレン基、 ロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、 キシレン基、へプチレン基、オクチレン基 ノニレン基、デシレン基、シクロペンチレ 基、シクロヘキシレン基などが挙げられる また、結合部位2~6個を有する脂肪族炭化水 基としては、例えばトリメチロールプロパ 、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソ ビトール;1,2,3-トリヒドロキシシクロヘキサ ン;1,3,5-トリヒドロキシシクロヘキサンなど 多価アルコールから水酸基を除いた残基を げることができる。
 この脂肪族炭化水素基の炭素数が10を超え と冷媒との相溶性が低下し、層分離が生じ 場合がある。好ましい炭素数は2~6である。

 前記一般式(I)中のR 2 は炭素数2~4のアルキレン基であり、繰り返し 単位のオキシアルキレン基としては、オキシ エチレン基、オキシプロピレン基、オキシブ チレン基が挙げられる。1分子中のオキシア キレン基は同一であってもよいし、2種以上 オキシアルキレン基が含まれていてもよい
 前記一般式(I)中のnは1~6の整数で、R 1 の結合部位の数に応じて定められる。例えば R 1 がアルキル基やアシル基の場合、nは1であり R 1 が結合部位2,3,4,5及び6個を有する脂肪族炭化 素基である場合、nはそれぞれ2,3,4,5及び6と る。また、mはm×nの平均値が6~80となる数で り、該平均値が80を超えると、相溶性が低 し油戻り性が悪化する恐れがあり本発明の 的が充分に達せられないことがある。

 本発明においては、前記ポリオキシアルキ ングリコール誘導体として、冷媒との相溶 、添加剤との相溶性、冷凍機油組成物の安 性などの観点から、モノオール系及びジオ ル系ポリオキシアルキレングリコール誘導 が好ましく、例えば一般式(II)
  R 4 -(OR 2 ) a -OR 5    (II)
で表される化合物を挙げることができる。
 前記一般式(II)において、R 4 及びR 5 は、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~6の アルキル基であって、少なくとも一方は水素 原子である。炭素数1~6のアルキル基は直鎖状 、分岐鎖状のいずれであってもよく、例えば メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプ ピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、 種ヘキシル基を挙げることができる。
 R 2 については、前記一般式(I)において説明した とおりであり、1分子中のOR 2 で示されるオキシアルキレン基は同一であっ てもよいし、2種以上のオキシアルキレン基 混在していてもよい。aは平均値が6~50となる 数である。

 前記一般式(II)で表される化合物としては、 例えばポリエチレングリコール及びそのモノ メチルエーテル、モノエチルエーテル、モノ プロピルエーテル、モノブチルエーテル;ポ プロピレングリコール及びそのモノメチル ーテル、モノエチルエーテル、モノプロピ エーテル、モノブチルエーテル;ポリエチレ ポリプロピレングリコール共重合体及びそ モノメチルエーテル、モノエチルエーテル モノプロピルエーテル、モノブチルエーテ ;ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール及 そのモノメチルエーテル、モノエチルエー ル、モノプロピルエーテル、モノブチルエ テルなどを挙げることができる。
 前記一般式(II)において、R 4 及びR 5 の両方が水素原子であるポリオキシアルキレ ングリコールは、例えばエチレンオキシドや プロピレンオキシドなどの炭素数2~4のアルキ レンオキシドを、水や水酸化アルカリを開始 剤として重合させることにより、両末端に水 酸基を有するポリオキシアルキレングリコー ルが得られる。
 また、テトラヒドロフランを開環重合する とにより、ポリ(オキシテトラメチレン)グ コールが得られる。
 さらに、前記一般式(II)において、R 4 及びR 5 の一方が水素原子で、他方がアルキル基であ るポリオキシアルキレングリコールのモノア ルキルエーテルは、例えば上記の方法で得ら れたポリオキシアルキレングリコールの片末 端水酸基を、ハロゲン化アルキルなどを用い てエーテル化することにより、得ることがで きる。
 また、炭素数1~6の一価のアルコール又はそ アルカリ金属塩を開始剤とし、炭素数2~4の ルキレンオキシドを重合させることにより 一方の末端にエーテル結合を有し、他方の 端が水酸基である、ポリオキシアルキレン リコールモノアルキルエーテルを得ること できる。

 本発明においては、基油として、前述した リオキシアルキレングリコール誘導体を1種 単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせ 用いてもよい。
 本発明の冷凍機油組成物においては、基油 して、前述のポリオキシアルキレングリコ ル誘導体の中から選ばれる少なくとも1種を 主成分として含むものが用いられる。ここで 主成分として含むとは、当該ポリオキシアル キレングリコール誘導体を50質量%以上の割合 で含むことを指す。基油中の当該ポリオキシ アルキレングリコール誘導体の好ましい含有 量は70質量%以上、より好ましい含有量は90質 %以上、さらに好ましい含有量は100質量%で る。

 本発明においては、基油の100℃の動粘度は 好ましくは2~50mm 2 /s、より好ましくは3~40mm 2 /s、さらに好ましくは4~30mm 2 /sである。該動粘度が2mm 2 /s以上であれば良好な潤滑性能(耐荷重性)が 揮されると共に、シール性もよく、また50mm 2 /s以下であれば省エネルギー性も良好である
 また、基油の分子量は、500以上であること 好ましく、500~3000がより好ましく、600~2500が さらに好ましい。基油の引火点は150℃以上で あることが好ましい。基油の分子量が500以上 であれば、冷凍機油としての所望の性能を発 揮することができると共に、基油の引火点を 150℃以上にすることができる。

 本発明においては、基油として、前記の性 を有していれば、当該ポリオキシアルキレ グリコール誘導体と共に、50質量%以下、好 しくは30質量%以下、より好ましくは10質量% 下の割合で、他の基油を含むものを用いる とができるが、他の基油を含まないものが らに好ましい。
 当該ポリオキシアルキレングリコール誘導 と併用できる基油としては、例えば、ポリ ニルエーテル類、ポリ(オキシ)アルキレン リコール又はそのモノエーテルとポリビニ エーテルとの共重合体、ポリエステル類、 リオールエステル系化合物、ポリカーボネ ト類、α-オレフィンオリゴマーの水素化物 さらには鉱油、脂環式炭化水素化合物、ア キル化芳香族炭化水素化合物などを挙げる とができる。

 本発明における基油は、特に前述した不飽 フッ化炭化水素冷媒用として好適であるが 該冷媒はオレフィン構造を有するため、安 性に劣ることから、本発明の冷凍機油組成 には、上記安定性を向上させるために、酸 捉剤を含有させる。
[酸捕捉剤]
 本発明においては、この酸捕捉剤として、 ノエポキシ化合物を用いる。モノエポキシ 合物は、一分子中にエポキシ基を1つ有する 化合物であり、エポキシ基2つ以上を有する リエポキシ化合物では、安定性向上効果に り、冷凍機油組成物のシールドチューブ試 において、スラッジの発生が認められる。

 本発明において、酸捕捉剤として用いられ モノエポキシ化合物としては、例えば全炭 数が、通常4~50、好ましくは4~24、より好ま くは6~16のヒドロカルビルモノグリシジルエ テル、ヒドロカルビルモノグリシジルエス ルやα-オレフィンオキシド;分岐を有してい てもよいアルキレン基の炭素数が、通常3~30 好ましくは4~24、より好ましくは6~16のアルキ レングリコールのモノグリシジルエーテル; キシアルキレン基の炭素数が2~4のポリオキ アルキレングリコールのモノグリシジルエ テル;炭素数が、通常4~50、好ましくは4~24、 り好ましくは6~16の環状モノオレフィンオキ ド等を挙げることができる。
 これらのモノエポキシ化合物の中では、ヒ ロカルビルモノグリシジルエーテル及びα- レフィンオキシドが好ましい。
 前記ヒドロカルビルモノグリシジルエーテ におけるヒドロカルビル基としては、分岐 有していてもよいアルキル基、シクロアル ル基、アリール基、アラルキル基が挙げら る。このヒドロカルビルモノグリシジルエ テルの好ましい例としては2-エチルヘキシ グリシジルエーテル、フェニルグリシジル ーテル、ドデシルグリシジルエーテルなど 挙げることができる。ヒドロカルビルモノ リシジルエステルの好ましい例としてはデ ルグリシジルエステルなどを挙げることが きる。
 α-オレフィンオキシドの好ましい例として 、炭素数12のα-オレフィンオキシド、炭素 14のα-オレフィンオキシド、炭素数16のα-オ フィンオキシドなどを挙げることができる

 本発明においては、酸捕捉剤として、前 モノエポキシ化合物を1種単独で用いてもよ く、2種以上を組み合わせて用いてもよい。 た、その配合量は、冷凍機油組成物全量に づき、1~20質量%の範囲で選定される。この配 合量が1質量%未満では安定性向上効果が充分 発揮されず、一方20質量%を超えると組成物 動粘度が低下し、潤滑性能が低下する。好 しい配合量は1~15質量%であり、より好まし 配合量は1.5~10質量%である。

[その他添加剤]
 本発明の冷凍機油組成物には、極圧剤、油 剤、酸化防止剤、金属不活性化剤及び消泡 などの中から選ばれる少なくとも1種の添加 剤を含有させることができる。
(極圧剤)
 極圧剤としては、リン酸エステル、酸性リ 酸エステル、亜リン酸エステル、酸性亜リ 酸エステル及びこれらのアミン塩などのリ 系極圧剤を挙げることができる。
 これらのリン系極圧剤の中で、極圧性、摩 特性などの点からトリクレジルホスフェー 、トリチオフェニルホスフェート、トリ(ノ ニルフェニル)ホスファイト、ジオレイルハ ドロゲンホスファイト、2-エチルヘキシルジ フェニルホスファイトなどが特に好ましい。

 また、極圧剤としては、カルボン酸の金属 が挙げられる。ここでいうカルボン酸の金 塩は、好ましくは炭素数3~60のカルボン酸、 さらには炭素数3~30、特に好ましくは12~30の脂 肪酸の金属塩である。また、前記脂肪酸のダ イマー酸やトリマー酸並びに炭素数3~30のジ ルボン酸の金属塩を挙げることができる。 れらのうち炭素数12~30の脂肪酸及び炭素数3~3 0のジカルボン酸の金属塩が特に好ましい。
 一方、金属塩を構成する金属としてはアル リ金属又はアルカリ土類金属が好ましく、 に、アルカリ金属が最適である。
 また、極圧剤としては、さらに、上記以外 極圧剤として、例えば、硫化油脂、硫化脂 酸、硫化エステル、硫化オレフィン、ジヒ ロカルビルポリサルファイド、チオカーバ ート類、チオテルペン類、ジアルキルチオ プロピオネート類などの硫黄系極圧剤を挙 ることができる。
 上記極圧剤の配合量は、潤滑性及び安定性 点から、組成物全量に基づき、通常0.001~5質 量%、特に0.005~3質量%の範囲が好ましい。
 前記の極圧剤は1種を単独で用いてもよく、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。

(油性剤)
 油性剤の例としては、ステアリン酸、オレ ン酸などの脂肪族飽和及び不飽和モノカル ン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸などの 合脂肪酸、リシノレイン酸、12-ヒドロキシ テアリン酸などのヒドロキシ脂肪酸、ラウ ルアルコール、オレイルアルコールなどの 肪族飽和及び不飽和モノアルコール、ステ リルアミン、オレイルアミンなどの脂肪族 和および不飽和モノアミン、ラウリン酸ア ド、オレイン酸アミドなどの脂肪族飽和及 不飽和モノカルボン酸アミド、グリセリン ソルビトールなどの多価アルコールと脂肪 飽和又は不飽和モノカルボン酸との部分エ テル等が挙げられる。
 これらは1種を単独で用いてもよく、2種以 を組み合わせて用いてもよい。また、その 合量は、組成物全量に基づき、通常0.01~10質 %、好ましくは0.1~5質量%の範囲で選定される 。

(酸化防止剤)
 酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メ チルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチル ェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert -ブチルフェノール)等のフェノール系、フェ ル-α-ナフチルアミン、N.N’-ジ-フェニル-p- ェニレンジアミン等のアミン系の酸化防止 を配合するのが好ましい。酸化防止剤は、 果及び経済性などの点から、組成物中に通 0.01~5質量%、好ましくは0.05~3質量%配合する

(金属不活性化剤、消泡剤)
 金属不活性化剤としては、例えばN-[N,N’-ジ アルキル(炭素数3~12のアルキル基)アミノメチ ル]トリアゾールなどの銅不活性化剤などを げることができ、消泡剤としては、例えば リコーン油やフッ素化シリコーン油などを げることができる。

[冷凍機油組成物を使用する冷凍機の潤滑方 ]
 本発明の冷凍機油組成物は、前記分子式(A) 表される化合物から選ばれる少なくとも1種 の含フッ素有機化合物、又は前記含フッ素有 機化合物と飽和フッ化炭化水素化合物との組 み合わせを含む冷媒を用いた冷凍機に適用さ れる。特に不飽和フッ化炭化水素化合物を含 む冷媒を用いた冷凍機用に適している。
 本発明の冷凍機油組成物を使用する冷凍機 潤滑方法において、前記各種冷媒と冷凍機 組成物の使用量については、冷媒/冷凍機油 組成物の質量比で99/1~10/90、更に95/5~30/70の範 にあることが好ましい。冷媒の量が上記範 よりも少ない場合は冷凍能力の低下が見ら 、また上記範囲よりも多い場合は潤滑性能 低下し好ましくない。本発明の冷凍機油組 物は、種々の冷凍機に使用可能であるが、 に、圧縮型冷凍機の圧縮式冷凍サイクルに ましく適用できる。

[冷凍機]
 本発明の冷凍機油組成物が適用される冷凍 は、圧縮機、凝縮器、膨張機構(膨張弁など )及び蒸発器、あるいは圧縮機、凝縮器、膨 機構、乾燥器及び蒸発器を必須とする構成 らなる冷凍サイクルを有するとともに、冷 機油として前述した本発明の冷凍機油組成 を使用し、また冷媒として前述の各種冷媒 使用される。
 ここで乾燥器中には、細孔径0.33nm以下のゼ ライトからなる乾燥剤を充填することが好 しい。また、このゼオライトとしては、天 ゼオライトや合成ゼオライトを挙げること でき、さらにこのゼオライトは、25℃、CO 2 ガス分圧33kPaにおけるCO 2 ガス吸収容量が1%以下のものが一層好適であ 。このような合成ゼオライトとしては、例 ばユニオン昭和(株)製の商品名XH-9、XH-600等 挙げることができる。
 本発明において、このような乾燥剤を用い ば、冷凍サイクル中の冷媒を吸収すること く、水分を効率よく除去できると同時に、 燥剤自体の劣化による粉末化が抑制され、 たがって粉末化によって生じる配管の閉塞 圧縮機摺動部への進入による異常摩耗等の れがなくなり、冷凍機を長時間にわたって 定的に運転することができる。

 本発明の冷凍機油組成物が適用される冷凍 においては、圧縮機内に様々な摺動部分(例 えば軸受など)がある。本発明においては、 の摺動部分として特にシール性の点から、 ンジニアリングプラスチックからなるもの 又は有機コーティング膜もしくは無機コー ィング膜を有するものが用いられる。
 前記エンジニアリングプラスチックとして 、シール性、摺動性、耐摩耗性などの点で 例えばポリアミド樹脂、ポリフェニレンス フィド樹脂、ポリアセタール樹脂などを好 しく挙げることができる。
 また、有機コーティング膜としては、シー 性、摺動性、耐摩耗性などの点で、例えば ッ素含有樹脂コーティング膜(ポリテトラフ ルオロエチレンコーティング膜など)、ポリ ミドコーティング膜、ポリアミドイミドコ ティング膜、さらには、ポリヒドロキシエ テル樹脂とポリサルホン系樹脂からなる樹 基材及び架橋剤を含む樹脂塗料を用いて形 された熱硬化型絶縁膜などを挙げることが きる。
 一方、無機コーティング膜としては、シー 性、摺動性、耐摩耗性などの点で、黒鉛膜 ダイヤモンドライクカーボン膜、ニッケル 、モリブデン膜、スズ膜、クロム膜などが げられる。この無機コーティング膜は、メ キ処理で形成してもよいし、PVD法(物理的気 相蒸着法)で形成してもよい。
 なお、当該摺動部分として、従来の合金系 例えばFe基合金、Al基合金、Cu基合金などか なるものを用いることもできる。

[冷凍機油組成物使用システム]
 本発明の冷凍機油組成物は、例えばカーエ コン、電動カーエアコン、ガスヒートポン 、空調、冷蔵庫、自動販売機又はショーケ スなどの各種給湯システム、あるいは冷凍 暖房システムに用いることができる。
 本発明においては、前記システム内の水分 有量は、300質量ppm以下が好ましく、200質量p pm以下がより好ましい。また該システム内の 存空気量は、10kPa以下が好ましく、5kPa以下 より好ましい。
 本発明の冷凍機油組成物は、基油として、 定の含酸素化合物を主成分として含むもの あって、粘度が低くて省エネルギー性の向 を図ることができ、しかもシール性に優れ いる。

 次に、本発明を、実施例により、さらに詳 に説明するが、本発明は、これらの例によ てなんら限定されるものではない。
 なお、基油の性状及び冷凍機油組成物の諸 性は、以下に示す要領に従って求めた。
<基油の性状>
(1)100℃動粘度
 JIS K2283-1983に準じ、ガラス製毛管式粘度計 用いて測定した。
(2)水酸基価
 JIS K 0070に準拠して測定する。
(3)分子量
 基油を構成する化合物の化学構造に基づく 算値である。
(4)引火点
 JIS K 2265(COC法)に準拠して測定する。
<冷凍機油組成物の諸特性>
(5)二層分離温度
 二層分離温度測定管(内容積10mL)に油/冷媒(0. 6g/2.4g)を充填し、恒温槽に保持した。恒温槽 温度を室温(25℃)より、温度を1℃/minの割合 上げ、二層分離温度を測定した。
(6)安定性(シールドチューブ試験)
 ガラス管に、油/冷媒(HFC1234yf)4mL/1g(水分含有 量200ppm)、及び鉄、銅、アルミニウムの金属 媒を充填して封管し、空気圧26.6kPa、温度175 の条件にて10日間保持後、油外観、触媒外 、スラッジの有無を目視観察すると共に、 価を測定した。

 冷凍機油組成物の調製に用いた各成分の種 を以下に示す。
 基油として、A1~A3を用いた。各基油の化合 名及び性状を第1表に示す。

[注]
 Me-PO-OH:ポリオキシプロピレングリコールモ メチルエーテル
 HO-PO-OH:ポリオキシプロピレングリコール
 Bu-PO/EO(5/5)-OH:ポリオキシプロピレンポリオ シエチレングリコール共重合体モノブチル ーテル

 また、酸捕捉剤として、下記のB1~B3を用い 。
 B1:炭素数14のα-オレフィンオキシド
 B2:2-エチルヘキシルグリシジルエーテル
 B3:3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(3,4-エ キシ)シクロヘキサンカルボキシレート

実施例1~12及び比較例1~9
 第2表に示す組成の冷凍機油組成物を調製し 、冷媒としてHFC1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロプ ロペン)を用いて、前記組成物の特性を評価 た。その結果を第2表に示す。

 第2表から、以下に示すことが分かる。
 本発明の冷凍機油組成物(実施例1~12)は、い れも二層分離温度が20℃を超え、かつシー ドチューブ試験において、油外観、触媒外 が良好であり、スラッジの発生はない。
 また、実施例1~9は、シールドチューブ試験 おいて、酸価は0.01mgKOH/g未満であるが、実 例10~12は、酸捕捉剤B1の配合量が2質量%と低 ことから、酸価が0.02~0.04mgKOH/gの範囲に若干 昇している。
 これに対し、比較例1~9は、いずれも二層分 温度が20℃を超えているものの、比較例1~3 、酸捕捉剤としてB3(ジエポキシ化合物)を用 ていることから、シールドチューブ試験に いて、スラッジの生成が認められる。また 比較例4~9は、酸捕捉剤B1を0.5質量%しか含ま いか、あるいは全く含まれていないため、 ールドチューブ試験において、油外観が黄 又は褐色を呈し、かつCuが微変色すると共 、スラッジが微量発生しており、また、酸 が0.13~2.5mgKOH/gと高い。

 本発明の冷凍機油組成物は、地球温暖化 数が低く、特に現行カーエアコンシステム どに使用可能な冷媒である不飽和フッ化炭 水素化合物等特定の構造を有する冷媒を用 る冷凍機用として使用され、かつ前記冷媒 対する優れた相溶性を有すると共に、安定 に優れ、シールドチューブ試験において、 ラッジの生成が認められない。




 
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