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Patent Searching and Data


Title:
LUBRICATING OIL COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2019/073295
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a lubricating oil composition which exhibits excellent metal fatigue life, abrasion resistance, and electrical insulating properties, even when the viscosity is reduced. This lubricating oil composition is characterized by including: (A) a lubricating oil base oil; (B) a polydiene which has a number average molecular weight of 500-3000, and a functional group at at least one terminal, in an amount of 0.6-4.0 mass% of the total mass of the lubricating oil composition; and (C) at least one selected from phosphorus-based anti-wear agents and phosphorus-based extreme pressure agents, in an amount in which the phosphorus content in the total mass of the lubricating oil composition is 50-500 ppm by mass.

Inventors:
GOTO REINA (JP)
Application Number:
PCT/IB2018/001150
Publication Date:
April 18, 2019
Filing Date:
October 12, 2018
Export Citation:
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Assignee:
EXXONMOBIL RES & ENG CO (US)
International Classes:
C10M133/52; C10M129/90; C10M129/93; C10M129/95; C10M133/54; C10M143/12; C10M143/14
Domestic Patent References:
WO2008146837A12008-12-04
Foreign References:
JP2010059374A2010-03-18
US6030930A2000-02-29
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Claims:
請求の範囲

[請求項 1] (A) 潤滑油基油、

(B) 数平均分子量 500〜 3000を有し、 少なくとも 1の末端 に官能基を有するポリジェン 潤滑油組成物全体の質量に対して 0 . 6〜4. 0質量%となる量、 及び、

(C) リン系摩耗防止剤及びリン系極圧剤から選択される少なくと も 1種 潤滑油組成物全体の質量に対するリンの含有量が 50〜 5 00質量 p pmとなる量

を含むことを特徴とする潤滑油組成物。

[請求項 2] 前記 (B) 成分における官能基が、 カルボキシル基、 エステル基、 無水カルボキシル基、 水酸基、 グリシジル基、 ウレタン基及びアミノ 基から選ばれる、 請求項 1に記載の潤滑油組成物。

[請求項 3] 前記官能基が水酸基である、 請求項 2に記載の潤滑油組成物。

[請求項 4] 前記リン系摩耗防止剤がジアルキルジチォリン酸亜鉛である、 請求 項 1 ~ 3のいずれか 1項記載の潤滑油組成物。

[請求項 5] 前記リン系極圧剤が、 リン酸エステル、 亜リン酸エステル、 チオリ ン酸エステル、 チ才亜リン酸エステル、 酸性リン酸エステル、 酸性亜 リン酸エステル、 チ才酸性リン酸エステル、 チ才酸性亜リン酸エステ ル及びこれらのァミン塩よりなる群から選択される少なくとも 1種で ある、 請求項 1〜4のいずれか 1項に記載の潤滑油組成物。

[請求項 6] さらに (D) 硫黄系極圧剤を含む、 請求項 1〜5のいずれか 1項記 載の潤滑油組成物。

[請求項 7] さらに (E) 無灰分散剤を含む、 請求項 1〜6のいずれか 1項記載 の潤滑油組成物。

[請求項 8] 1 00°Cでの動粘度 1 ?/ミ以上かっら ^^/ミ未満を有す る、 請求項 1〜 7のいずれか 1項記載の潤滑油組成物。

[請求項 9] (A) 潤滑油基油が 1 00°Cでの動粘度 〜 4mm2/sを有する

、 請求項 1〜 8のいずれか 1項記載の潤滑油組成物。 [請求項 10] 自動車用ギヤ油である、 請求項 1 ~ 9のいずれか 1項記載の潤滑油 組成物。

[請求項 1 1 ] 自動車用変速機油である、 請求項 1〜 9のいずれか 1項記載の潤滑 油組成物。

[請求項 12] ハイプリッド自動車用変速機油である、 請求項 1 1記載の潤滑油組 成物。

Description:
明 細 書

発明の名称 : 潤滑油組成物

技術分野

[0001 ] 本発明は潤滑油組成物に関し、 より詳細には、 低粘度化しても、 金属疲労 寿命、 耐摩耗性、 及び電気絶縁性に優れる、 自動車用のギヤ用及び変速機用 に好適な潤滑油組成物に関する。

背景技術

[0002] 自動車用潤滑油組成物は、 省燃費化のために、 低粘度化が求められている 。 しかし、 従来の潤滑油組成物を単純に低粘度化すると 、 ギヤ歯面やべァリ ングに金属疲労や摩耗が発生する。 また、 自動車用潤滑油組成物の低粘度化 は様々な検討がされているが、 低粘度化をすると摺動面の油膜形成能に悪影 響を及ぼし、 金属疲労寿命、 耐摩耗性、 電気絶縁性などが悪化する要因とな るため、 従来の潤滑油組成物では粘度の下限に限界が あった。 たとえば、 特 開 2 0 1 0— 0 5 9 3 7 4号公報 (特許文献 1 ) では、 水添された飽和ポリ ジェンに官能基が付与されたものを用いて低 粘度化されているものの、 潤滑 油組成物としての 1 0 0 °Cの動粘度は 5 ~ 1 4 m m 2 Z s程度である。 これで は現時点での省燃費性の要求を満たさない。 また、 特表平 1 1一 5 0 6 3 9 1号公報 (特許文献 2 ) 及び特表平 1 1一 5 0 6 9 7 8号公報 (特許文献 3 ) は、 官能基が付与された不飽和ポリジェンを含む 潤滑油組成物を記載して いるが、 省燃費化に伴う上記問題を解決するという課 題は言及されていない 先行技術文献

特許文献

[0003] 特許文献 1 :特開 2 0 1 0— 0 5 9 3 7 4号公報

特許文献 2:特表平 1 1一 5 0 6 3 9 1号公報

特許文献 3:特表平 1 1一 5 0 6 9 7 8号公報

発明の概要 発明が解決しょうとする課題

[0004] 本発明は上記事情に鑑み、 低粘度化しても、 金属疲労寿命、 耐摩耗性、 及 び電気絶縁性に優れる潤滑油組成物を提供す ることを目的とする。

課題を解決するための手段

[0005] 本発明者らは、 潤滑油組成物に特定のポリジェンを配合する とともに、 リ ン系添加剤 (摩耗防止剤又は極圧剤) の量を制限することによって、 優れた 金属疲労寿命、 耐摩耗性、 及び電気絶縁性を有する潤滑油組成物を提供 する ことができ、 且つ、 低粘度化してもこれらの特性を維持できるこ とを見出し た。

[0006] すなわち、 本発明は、

(A) 潤滑油基油、

(B) 数平均分子量 500〜3000を有し、 少なくとも 1の末端に官能基 を有するポリジェン 潤滑油組成物全体の質量に対して 0. 6~4. 0質 量%となる量、 及び、

(C) リン系摩耗防止剤及びリン系極圧剤から選択 される少なくとも 1種 潤滑油組成物全体の質量に対するリン原子の 合計含有量が 50〜 500質 量 p p mとなる量

を含むことを特徴とする潤滑油組成物を提供 する。

[0007] より好ましくは下記 ( 1 ) 〜 ( 1 1 ) の少なくとも 1 を満たす潤滑油組成 物を提供する。

( 1 ) 前記 (B) 成分における官能基が、 カルボキシル基、 エステル基、 無水カルボキシル基、 水酸基、 グリシジル基、 ウレタン基及びアミノ基から 選ばれる。

(2) 前記官能基が水酸基である。

(3) 前記 (C) リン系摩耗防止剤が、 ジアルキルジチ才リン酸亜鉛であ る。

(4) 前記 (C) リン系極圧剤が、 リン酸エステル、 亜リン酸エステル、 チ才リン酸エステル、 チ才亜リン酸エステル、 酸性リン酸エステル、 酸性亜 リン酸エステル、 チ才酸性リン酸エステル、 チ才酸性亜リン酸エステル及び これらのァミン塩よりなる群から選択される 少なくとも 1種である。

(5) さらに (D) 硫黄系極圧剤を含む。

(6) さらに (E) 無灰分散剤を含む。

(7) 1 00°Cでの動粘度 1 ^ 1 2 / 5以上かっ5^1 2 / 5未満を有する

(8) (A) 潤滑油基油が 1 00°Cでの動粘度 〜 4 mm2/ s を有する。

(9) 自動車用ギヤ油である。

(1 0) 自動車用変速機油である。

(1 1 ) ハイブリッ ド自動車用変速機油である。

発明の効果

[0008] 本発明の潤滑油組成物は、 優れた金属疲労寿命、 耐摩耗性、 及び電気絶縁 性を有し、 低粘度化しても、 これらの特性を維持することができる。 本発明 一 _ 潤滑油組成物は、—自動車用ギア油、—自動 車用-変速機油、—及び、 ハイプリッ ト自動車用変速機油として好適である。

発明を実施するための形態

[0009] (A) 潤滑油基油

本発明における潤滑油基油は従来公知の潤滑 油基油であればよく、 鉱油、 合成油、 あるいはこれらの混合油がある。 潤滑油基油の動粘度は限定的では ないが、 1 00°Cでの動粘度 〜 4 mm 2 / sを有するのが好ましい。

[0010] 鉱油系基油としては、 原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤 滑油留 分を、 溶剤脱れき、 溶剤抽出、 水素化分解、 溶剤脱ろう、 接触脱ろう、 水素 化精製、 硫酸洗浄、 白土処理等の精製処理等を適宜組み合わせて 精製した、 パラフィン系、 ナフテン系等の潤滑油基油や、 溶剤脱ロウで得たワックスを 異性化、 脱ろうして得られる潤滑油基油が挙げられる 。 該鉱油系基油の動粘 度は特に制限されるものでないが、 低粘度を有する潤滑油組成物を得るため には、 1 00°Cでの動粘度 1〜4 mm 2 /sであるのが好ましい。

[0011] 合成系基油としては、 ポリ α—才レフイン、 α—才レフイン共重合体、 ィ ソパラフィン、 アルキルベンゼン、 アルキルナフタレン、 モノエステル、 ジ エステル、 ポリオールエステル、 ポリオキシアルキレングリコール、 ジアル キルジフエ二ルェ一テル、 ポリフエ二ルェ一テル並びに GT L基油等が使用 できる。 該合成系基油の動粘度は特に制限されるもの でないが、 低粘度を有 する潤滑油組成物を得るためには、 1 ~4mm 2 Zsであるのが好ましい。

[0012] 潤滑油基油は、 1種を単独で使用しても、 2種以上を使用してもよい。 2 種以上を使用する場合、 2種以上の鉱油系基油の使用、 2種以上の合成系基 油の使用、 及び 1種以上の鉱油系基油と 1種以上の合成系基油の使用が可能 である。

[0013] また、 低粘度を有する潤滑油組成物を得るためには 、 潤滑油基油全体とし て、 1 00°Cでの動粘度 1〜4 mm 2 /s、 好ましくは 1. 5〜3. 5mm 2 Zs、 特には 2〜3. 3m 2 /sを有することが好ましい。

[0014] (B) 少なくとも 1の末端に官能基を有するポリジェン

(B) 成分は、 ポリジェンの分子鎖の少なくとも 1の末端が官能基の導入 により変性されたものである (以下、 末端変性ポリジェンということがある ) 。 ポリジェンとは、 単量体ジェンを (共) 重合して得られたものであり、 飽和ポリジェンとは、 前記のようにして得られたポリジェンの炭素 一炭素二 重結合が水素化により飽和された水素化物で ある。 本発明の潤滑油組成物は 該末端変性ポリジェンを含むことを特徴とす る。 当該末端変性ポリジェンは 、 末端変性不飽和ポリジェンであってもよいし 、 末端変性飽和ポリジェンで あってもよい。 なお、 潤滑油基油への溶解性の観点からは、 末端変性飽和ポ リジェンを使用することが好ましい。 官能性基を有するポリジェンは、 摺動 面に吸着し、 部分的に組成物を高粘度化させて、 潤滑油組成物の油膜厚さを 厚くする。 これにより、 低粘度化した潤滑油組成物における、 ギア歯面やべ ァリングの金属疲労や摩耗を抑制、 部品保護性能を向上することができる。

[0015] 末端変性飽和ポリジェンの数平均分子量は 500〜3000である。 より 好ましくは 600〜2500であり、 最も好ましくは 800〜2000であ る。 数平均分子量が上記下限値未満では、 耐金属疲労特性が悪くなるという 問題があり、 数平均分子量が上記上限値を超えると、 増粘効果が大きくなつ て省燃費性が阻害されるという問題があり、 好ましくない。 数平均分子量は ゲルパ一ミエ一シヨンクロマ卜グラフィ (G P C ) によるポリスチレンを標 準物質とした値である。

[0016] 前記単量体ジェンとしては、 炭素数 4〜1 0の不飽和結合を少なくとも 2 個有する炭化水素を挙げることができる。 例えば、 1, 3—ブタジエン、 ィ ソプレン、 2, 3—ジメチルー 1, 3—ブタジエン、 1, 3—ペンタジェン 、 2—メチルー 1, 3—ペンタジェン、 1, 3—へキサジェン、 4, 5—ジ メチルー 1, 3—才クタジェン、 3—プチルー 1, 3—才クタジェン、 クロ 口プレン等の共役ジェン、 および、 1, 4一ペンタジェン、 1, 5—へキサ ジェン、 1, 7—才クタジェン等の非共役ジェンを挙げる とができる。 金 属疲労寿命の延長にとって有効な末端変性ポ リジェンを提供するための観点 から、 好ましい単量体ジェンは、 共役ジェンであり、 さらに好ましいジェン は 1, 3—ブタジエンおよびイソプレンである。

[0017] かかる単量体ジェンを重合して得られるポリ ジェンの構造は、 例えば、 ポ リブタジエンの場合、 1, 2—付加によるもの、 または、 1, 4一付加によ リ得られるものでもよい。 また、 両者が混在したものでもよい。

[0018] 本発明における飽和ポリジェンは、 上記単量体ジェンの重合体のほか、 単 量体ジェンと他の単量体との共重合体であつ てもよい。 かかる単量体ジェン と共重合する他の単量体としては、 例えば、 ビニル系芳香族炭化水素が好ま しく、 スチレン、 α—メチルスチレン、 ρ—メチルスチレン、 ジビニルベン ゼン、 t一プチルスチレン等が挙げられる。

[0019] 上記の通り、 (B ) 成分は、 ポリジェンの分子鎖の少なくとも 1の末端が 官能基の導入によリ変性されたものである。 ポリジェン分子鎖の片末端のみ に官能基が導入されたものでも、 ポリジェン分子鎖の両末端に官能基が導入 されたものでもよい。 さらに、 ポリジェン分子鎖が分岐を有する場合は、 該 分岐鎖末端に官能基が導入されたものでもよ い。 金属疲労寿命を延長し、 維 持する作用を促進する観点からは、 少なくとも両末端に官能基が導入されて いることが好ましい。

[0020] 本発明における官能基とは、 酸素、 ィォゥ、 窒素およびリンからなる群よ り選択される少なくとも一種のへテロ原子を 含有する官能基が挙げられる。 好ましい官能基としては、 カルボキシル基、 エステル基、 無水カルボキシル 基、 水酸基、 グリシジル基、 ウレタン基及びアミノ基等を挙げることがで き る。 中でも、 金属疲労寿命の改善の観点から、 特に好ましくは、 カルボキシ ル基、 水酸基、 グリシジル基またはアミノ基であり、 最も好ましいのは水酸 基である。

[0021 ] 官能基の数は、 ポリジェン 1分子あたり、 平均 1〜 1 0個であり、 好まし くは 1 . 5個以上である。 官能基数が平均 1 に達しないと油膜形成能を十分 に発揮できず金属疲労寿命が著しく短くなり 、 一方、 平均 1 0個を超えると 溶解性の低下の問題が生ずるおそれがある。

[0022] 上記の通り、 飽和ポリジェンは、 ポリジェンの主鎖にある炭素一炭素二重 結合が水素化されたものである。 水素化の程度は、 ヨウ素価または臭素価の レベルで判定することができる。 ヨウ素価が 1 0 0以下、 または臭素価が 6 3以下であることが好ましく、 少なくともいずれかを満たせばよい。 ヨウ素 価としては、 特に、 好ましくは 8 0以下であり、 さらに好ましくは 2 0以下 である。 水素化の程度が小さいと、 極性の低い基油への溶解性が劣るという 難点がある。 なお、 水素化はポリジェン主鎖にある二重結合にお いて選択的 に行なわれるのがよく、 官能基の水素化は回避されるが好ましい。 なお、 ョ ゥ素価および臭素価は、 それぞれ A S T M D 1 9 5 9および J I S K 2 6 0 5に準拠して測定することができる。

[0023] 末端変性飽和ポリジェンは、 より詳細には、 下記式 (1 ) で表される化合 物を挙げることができる。 [化 1]

式 (1 ) 中、 Xは一価の官能基であり、 丫は水素原子または一価の官能基 である。 Yが水素原子の場合は片末端に官能基が導入 れたポリジェンとな り、 Yがー価の官能基である場合は両末端に官能 が導入されたポリジェン となる。 一価官能基は上述した通りであり、 好ましくは、 カルボキシル基、 水酸基、 無水カルボキシル基、 エステル基、 アミノ基、 及びグリシジル基等 が挙げられる。 R 1 は、 炭素数 1〜 6の一価炭化水素基である。 好ましくは、 直鎖状または分岐状の脂肪族炭化水素基であ り、 特にはアルキル基が好まし い。 mは、 0または 〜 1 00、 好ましくは 1 0〜 60の整数であり、 nは 、 0または 1〜1 00、 好ましくは 1 0〜 60の整数である。 上記末端変性 飽和ポリジェンは、 市場において適合するものを選択し、 入手することがで きる。

[0024] 本発明の潤滑油組成物において (B) 成分の配合量は、 潤滑油組成物全体 の質量に対して 0. 6〜4. 0質量 0 / 0 であり、 好ましくは 0. 8~3. 8質 量%であり、 さらに好ましくは 1. 0~3. 6質量 0 / 0 である。 (B) 成分の 配合量が上記下限値未満では、 金属疲労寿命を改善する効果が不十分となる 。 また上記上限値を超えても、 金属疲労寿命の改善効果がさらに増加するこ とはほとんどなく、 却って粘度が増加して弊害が生ずるおそれが あり好まし くない。

[0025] (C) リン系摩耗防止剤又はリン系極圧剤

本発明の潤滑油組成物はリン系摩耗防止剤及 びリン系極圧剤から選択され る少なくとも 1種 (以下、 リン系添加剤ということがある) を含有する。 本 発明は、 該 (C) 成分の量が、 潤滑油組成物全体の質量に対するリン原子の 合計含有量が 50〜500質量 p pmとなる量であることを特徴とする。 好 ましくは 80〜450質量 p pmとなる量、 より好ましくは 1 00〜 400 質量 p p mとなる量、 特に好ましくは 1 20〜400質量 p pmとなる量で あるのがよい。 リン系添加剤の量を上記範囲とすることによ り、 得られる潤 滑油組成物は、 優れた金属疲労寿命、 耐摩耗性、 及び電気絶縁性を有し、 低 粘度化しても、 これらの特性を維持することができる。

[0026] リン系摩耗防止剤は、 潤滑油組成物の摩耗防止剤として知られてい る従来 公知の化合物であればよく、 特に限定されることはない。 例えば、 ジアルキ ルジチ才リン酸亜鉛 (Z n DTP (ZD DPともいう) ) が挙げられる。 Z n DTPとは下記式 (2) で表される。

[化 2]

[0027] 上記式 (2) において、 ^ 2 及び(^ 3 は、 互いに独立に、 水素原子または炭 素数 〜 26の一価炭化水素基である。 一価炭化水素基としては、 炭素数 1 〜26の第1級 (プライマリ一) または第 2級 (セカンダリー) アルキル基

;炭素数 2〜26のアルケニル基;炭素数 6〜26のシクロアルキル基;炭 素数 6~26のァリール基、 アルキルァリール基またはァリールアルキル 基

; またはエステル結合、 ェ一テル結合、 アルコール基またはカルボキシル基 を含む炭化水素基である。 2 及び 3 は、 より好ましくは、 互いに独立に、 炭素数 2~1 2の第 1級または第 2級アルキル基、 炭素数 8〜 8のシクロ アルキル基、 又は、 炭素数 8〜1 8のアルキルァリール基である。 特には、 ジアルキルジチォリン酸亜鉛が好ましい。 第 1級アルキル基は炭素数 3〜 1 2を有することが好ましく、 より好ましくは炭素数 4〜1 0である。 第 2級 アルキル基は、 炭素数 3〜 1 2を有することが好ましく、 より好ましくは炭 素数 3〜1 0である。 また、 ジチ才力ルバミン酸亜鉛 (Z n DTC) を組合 せて使用してもよい。 第 1級アルキル基を有するジアルキルジチオリ 酸亜 鉛 (P r i— Z n DTP) 及び第 2級アルキル基を有するジアルキルジチ才 リン酸亜鉛 (S e c— Z n DT P) は、 1種を単独で使用してもよいし、 こ れら 2種以上を併用してもよい。 併用する場合の混合比率は特に制限されな い。

[0028] 本潤滑油組成物において、 リン系摩耗防止剤、 特にはジアルキルジチオリ ン酸亜鉛の量は、 潤滑油組成物全体の質量に対するリン原子の 合計量が上記 した範囲を満たす量であればよい。 詳細には、 潤滑油組成物全体の質量に対 するリン系摩耗防止剤由来のリンの量が 50〜500質量 p pmとなる量で あり、 好ましくは 80〜450質量 p pmとなる量、 より好ましくは 1 00 〜400質量 p pmとなる量、 特に好ましくは 1 20〜400質量 p pmと なる量である。 リン系摩耗防止剤を、 組成物中のリン量が上記範囲となる量 で配合することにより、 潤滑油組成物の金属疲労寿命を防止すること ができ 、 耐摩耗性、 及び電気絶縁性を確保することができる。

[0029] リン系極圧剤は、 潤滑油組成物の極圧剤として知られている従 来公知の化 合物であればよく、 特に限定されることはない。 好ましくは、 リン酸、 亜リ ン酸、 ホスホン酸、 リン酸エステル、 亜リン酸エステル、 ホスホン酸エステ ル、 チ才リン酸エステル、 チ才亜リン酸エステル、 酸性リン酸エステル、 酸 性亜リン酸エステル、 チォ酸性リン酸エステル、 チ才酸性亜リン酸エステル 、 及びこれらのァミン塩よりなる群の中から選 択される少なくとも 1種であ るのがよい。 リン系極圧剤は硫黄を有していてもよい。 尚、 チォリン酸エス テル等のリンー硫黄系極圧剤はリン系極圧剤 に包含され、 後述する硫黄系極 圧剤には包含されない。 但し、 本発明においてリン系極圧剤はジチォリン酸 亜鉛を包含しない。 特に好ましくは、 本発明におけるリン系極圧剤は金属元 素を有さない。

[0030] リン酸エステル及び酸性リン酸エステルは (R 4 0) a P (=0) (OH) a _ a で表される。 aは 0、 1、 2、 又は 3である。 R 4 は互いに独立に、 炭素数 4〜30の一価炭化水素基である。 ここで、 a= 1又は 2の場合が酸性リン 酸エステルとなる。

[0031 ] 亜リン酸エステル及び酸性亜リン酸エステル は (R 4 0 ) b P ( = 0 ) ( 0 H ) 2 _ b Hで表される。 bは 0、 1、 又は 2である。 R 4 は互いに独立に、 炭 素数 4〜3 0の一価炭化水素基である。

[0032] リン酸エステル及び酸性リン酸エステルは、 好ましくはリン酸モノアルキ ルエステル、 リン酸ジアルキルエステル、 及びリン酸卜リアルキルエステル であるのがよいが、 これに限定されるものではない。

[0033] 亜リン酸エステル及び酸性亜リン酸エステル は、 好ましくは亜リン酸モノ アルキルエステル及び亜リン酸ジアルキルエ ステルであるのがよいが、 これ に限定されるものではない。

[0034] また、 リン系極圧剤として、 上述したリン酸、 亜リン酸、 ホスホン酸、 リ ン酸エステル、 亜リン酸エステル、 ホスホン酸エステル、 酸性リン酸エステ ル又は酸性亜リン酸エステルの一部の酸素原 子を硫黄原子に置換した化合物 、 例えば、 チォリン酸エステル、 チォ亜リン酸エステル、 酸性チ才リン酸ェ ステル、 及び、 酸性チ才亜リン酸エステルも包含する。

[0035] より詳細には、 リン酸モノ才クチル、 リン酸ジ才クチル、 リン酸トリオク チル、 亜リン酸モノ才クチル、 亜リン酸ジ才クチル、 チ才リン酸モノ才クチ ル、 チォリン酸ジォクチル、 チ才リン酸卜リオクチル、 チォ亜リン酸モノォ クチル、 チォ亜リン酸ジォクチル、 リン酸モノ ドデシル、 リン酸ジドデシル 、 リン酸トリ ドデシル、 亜リン酸モノ ドデシル、 亜リン酸ジドデシル、 酸性 リン酸ブチルエステル、 酸性リン酸へキシルエステル、 酸性リン酸ォクチル エステル、 酸性リン酸ドデシルエステル、 酸性亜リン酸ブチルエステル、 酸 性亜リン酸へキシルエステル、 酸性亜リン酸才クチルエステル、 酸性亜リン 酸ドデシルエステルなどが挙げられるが、 これらに限定されるものではない

[0036] 更に、 上記化合物のうち部分エステルになっている もののアルキルアミン 塩及びアルケニルアミン塩も好適に使用する ことができる。 すなわち、 酸性 リン酸エステルのアミン塩、 酸性亜リン酸エステルのアミン塩を使用する こ とができるが、 これらに限定されるものではない。

[0037] より詳細には、 リン酸モノォクチルのァミン塩、 リン酸ジ才クチルのアミ ン塩、 リン酸卜リオクチルのァミン塩、 亜リン酸ジォクチルのァミン塩、 亜 リン酸トリオクチルのァミン塩、 チ才リン酸ジォクチルのァミン塩、 チオリ ン酸卜リオクチルのァミン塩、 チ才リン酸卜リ ドデシルのァミン塩、 リン酸 ジデシルのァミン塩、 亜リン酸ジデシルのァミン塩、 リン酸ジドデシルのァ ミン塩、 リン酸トリ ドデシルのァミン塩、 亜リン酸ジドデシルのァミン塩、 亜リン酸卜リ ドデシルのァミン塩、 チ才リン酸卜リ ドデシルのァミン塩、 リ ン酸トリへキサドデシルのァミン塩、 亜リン酸トリへキサドデシルのァミン 塩、 酸性亜リン酸ブチルエステルのアミン塩、 酸性リン酸へキシルエステル のァミン塩、 酸性リン酸ォクチルエステルのアミン塩、 酸性リン酸ドデシル エステルのアミン塩、 酸性亜リン酸ブチルエステルのアミン塩、 酸性亜リン 酸へキシルエステルのアミン塩、 酸性亜リン酸ォクチルエステルのアミン塩 、 酸性亜リン酸ドデシルエステルのアミン塩な どが挙げられる。

[0038] リン系極圧剤は、 上記の通り、 潤滑油組成物全体の質量に対するリン原子 の合計含有量が上記した範囲を満たす量で配 合される。 詳細には、 潤滑油組 成物全体の質量に対するリン系極圧剤由来の リン原子の量が 5 0〜 5 0 0質 量 p p mとなる量、 好ましくは 8 0〜4 5 0質量 p p mとなる量、 より好ま しくは 1 0 0〜 4 0 0質量 p p mとなる量、 特に好ましくは 1 2 0〜 4 0 0 質量 p p mとなる量である。

[0039] ( D ) 硫黄系極圧剤

本発明の潤滑油組成物は、 任意で、 硫黄系極圧剤をさらに含んでいてよい 。 硫黄系極圧剤は公知のものであればよいが、 好ましくは、 硫化才レフイン に代表されるスルフィ ド化合物、 硫化油脂に代表される硫化エステルから選 ばれる少なくとも 1種である。 特には硫化ォレフィンが好ましい。

[0040] 硫黄系極圧剤は、 例えば下記一般式 (3 ) で表される。 [化 3]

R 5 十 S R 6

X ( 3 ) 式 (3 ) 中、 R 5 及び R 6 は互いに独立に、 炭素、 水素、 酸素、 硫黄のうち 少なくとも 1つの元素を含む一価の置換基である。 例えば、 炭素数 1〜4 0 の直鎖構造または分岐構造を有する、 飽和または不飽和の炭化水素基が挙げ られる。 該炭化水素基は、 脂肪族、 芳香族、 あるいは芳香脂肪族であって良 く、 酸素及びあるいは硫黄原子を有しても良い。 また、 R 5 と R 6 が結合して いても良い。 結合が 1つの場合は、 例えば下記一般式 (4 ) で表される。

4]

[0041 ] 上記式 (3 ) 及び (4 ) において、 Xは 1以上の整数であり、 好ましくは

1〜1 2の整数である。 Xが小さいと極圧性が低下し、 Xが大きすぎると熱 酸化安定性が低下する傾向にある。

[0042] 硫化才レフィンは才レフイン類を硫化して得 られるものであり、 ォレフィ ン類以外の炭化水素系原料を硫化して得られ るものを含めてスルフィ ド化合 物と総称する。 硫化ォレフィンとしては、 例えば、 ポリイソブチレン類及び テルペン類などの才レフィン類を、 硫黄または他の硫化剤で硫化して得られ るものが挙げられる。

[0043] 硫化ォレフィン以外のスルフイ ド化合物としては、 例えば、 ジイソブチル ジスルフィ ド、 ジォクチルポリスルフィ ド、 ジー t e r t一プチルポリスル フィ ド、 ジイソプチルポリスルフィ ド、 ジへキシルポリスルフィ ド、 ジー t e r tーノニルポリスルフィ ド、 ジデシルポリスルフィ ド、 ジドデシルポリ スルフィ ド、 ジイソプチレンポリスルフィ ド、 ジォクテニルポリスルフィ ド 、 及びジベンジルポリスルフィ ドなどが挙げられる。

[0044] 硫化油脂は、 油脂と硫黄との反応生成物であり、 油脂としてラード、 牛脂 、 鯨油、 パ一ム油、 ヤシ油、 ナタネ油などの動植物油脂を使用し、 これを硫 化反応して得られるものである。 この反応生成物は、 単一物質種のものでは なく、 種々の物質の混合物であり、 化学構造そのものは必ずしも明確でない

[0045] 硫化エステルは、 上記硫化油脂の他に、 各種有機酸 (飽和脂肪酸、 不飽和 脂肪酸、 ジカルボン酸、 芳香族カルボン酸など) と各種アルコールとの反応 により得られるェステル化合物を硫黄その他 の硫化剤で硫化して得られるも のが挙げられる。 硫化油脂と同様、 化学構造そのものは必ずしも明確でない

[0046] 本発明の硫黄系極圧剤の量は、 限定的ではないが、 潤滑油組成物中に、 0 . 0 1〜5質量%含有されることが好ましく、 0 . 1〜3質量%含有される ことがより好ましく、 0 . 2〜 2質量%含有されることがさらに好ましい。

[0047] ( E ) 無灰分散剤

本発明の潤滑剤組成物はさらに無灰分散剤を 含有することができる。 無灰 分散剤は従来公知のものを使用すればよく、 特に制限されるものでない。 例 えば、 炭素数 4 0 ~ 4 0 0の、 直鎖構造又は分枝構造を有するアルキル基又 はアルケニル基を分子中に少なくとも 1個有する含窒素化合物又はその誘導 体、 あるいはコハク酸イミ ド及びその変性品等が挙げられる。 無灰分散剤は 1種類を単独で使用しても、 2種類以上を併用してもよい。 また、 ホウ素化 無灰分散剤を使用することもできる。 ホウ素化無灰分散剤は潤滑油に用いら れている任意の無灰分散剤をホウ素化したも のである。 ホウ素化は一般に、 ィミ ド化合物にホウ酸を作用させて、 残存するァミノ基及びノ又はィミノ基 の一部又は全部を中和することにより行われ る。

[0048] 上記アルキル基又はアルケニル基の炭素数は 、 好ましくは 4 0〜4 0 0で あり、 より好ましくは 6 0〜3 5 0である。 アルキル基及びアルケニル基の 炭素数が前記下限値未満であると、 化合物の潤滑油基油に対する溶解性が低 下する傾向にある。 また、 アルキル基及びアルケニル基の炭素数が上記 上限 値を超えると、 潤滑油組成物の低温流動性が悪化する傾向に ある。 上記アル キル基及びアルケニル基は、 直鎖構造を有していても分枝構造を有してい て もよい。 好ましい態様としては、 例えば、 プロピレン、 1 ーブテン、 イソブ テン等の才レフィンのオリゴマー、 エチレンとプロピレンのコオリゴマーか ら誘導される分枝状アルキル基又は分枝状ア ルケニル基等が挙げられる。 前記コハク酸イミ ドには、 ポリアミンの一端と無水コハク酸との反応生 成 物である、 いわゆるモノタイプのコハク酸イミ ドと、 ポリアミンの両端と無 水コハク酸との反応生成物である、 いわゆるビスタイプのコハク酸イミ ドと がある。 本発明の潤滑油組成物は、 モノタイプ及びビスタイプのうちいずれ か一方を含有してもよいし、 あるいは双方を含有してもよい。 モノタイプの コハク酸イミ ド化合物は例えば下記式 (5 ) で表すことができる。 ビスタイ プのコハク酸イミ ド化合物は例えば下記式 (6 ) で表すことができる。

[化 5]

上記式において、 R 7 は互いに独立に炭素数 4 0〜4 0 0のアルキル基また はアルケニル基であり、 m 1 は 1〜2 0の整数であり、 门 1は0 ~ 2 0の整数 である。 特にはビスタイプのコハク酸イミ ド化合物が好ましい。 コハク酸ィ ミ ド化合物は、 モノタイプ及びビスタイプの併用、 2種以上のモノタイプの 併用、 2種以上のビスタイプの併用であってもよい

[0050] 上記コハク酸イミ ドの変性品とは、 例えば、 コハク酸イミ ドをホウ素化合 物で変性したものである (以下、 ホウ素化コハク酸イミ ドということがある ) 。 ホウ素化合物で変性するとは、 ホウ素化することを意味する。 ホウ素化 コハク酸イミ ドは 1種を単独で使用しても、 2種以上を併用してもよい。 併 用する場合は、 ホウ素化コハク酸イミ ドの 2種以上の組合せであってもよい 。 また、 モノタイプ及びビスタイプの両方を含んでも よいし、 モノタイプ同 士の併用、 又はビスタイプ同士の併用であってもよい。 ホウ素化コハク酸ィ ミ ドと非ホウ素化コハク酸ィミ ドとを併用してもよい。

[0051 ] 例えば、 ホウ素化コハク酸イミ ドの製造方法としては、 特公昭 4 2— 8 0 1 3号公報及び同 4 2 - 8 0 1 4号公報、 特開昭 5 1 - 5 2 3 8 1号公報、 及び特開昭 5 1 - 1 3 0 4 0 8号公報等に開示されている方法等が挙げら る。 具体的には例えば、 アルコール類やへキサン、 キシレン等の有機溶媒、 軽質潤滑油基油等にポリアミンとコハク酸無 水物 (誘導体) にホウ酸、 ホウ 酸エステル、 又はホウ酸塩等のホウ素化合物を混合し、 適当な条件で加熱処 理することにより得ることができる。 この様にして得られるホウ素化コハク 酸イミ ドに含まれるホウ素含有量は通常 0 . 1〜4質量%とすることができ る。 本発明においては、 特に、 アルケニルコハク酸イミ ド化合物のホウ素変 性化合物 (ホウ素化コハク酸イミ ド) は耐熱性、 酸化防止性及び摩耗防止性 に優れるため好ましい。

[0052] ホウ素化無灰分散剤中に含まれるホウ素含有 量は特に制限はない。 通常無 灰分散剤の質量に対して 0 . 〜 3質量%である。 本発明の 1 つの態様とし ては、 無灰分散剤中のホウ素含有量は、 好ましくは 0 . 2質量%以上、 より 好ましくは 0 . 4質量%以上であり、 また好ましくは 2 . 5質量%以下、 よ り好ましくは 2 . 3質量%以下、 さらに好ましくは 2 . 0質量%以下である のがよい。 ホウ素化無灰分散剤として好ましくはホウ素 化コハク酸イミ ドで あり、 特にはホウ素化ピスコハク酸イミ ドが好ましい。

[0053] ホウ素化無灰分散剤は、 ホウ素 窒素質量比 (B / N比) 0 . 1以上、 好 ましくは 0 . 2以上を有するものであり、 好ましくは 1 . 0未満、 より好ま しくは 0 . 8以下を有するものが好ましい。

[0054] 無灰分散剤の含有量は適宜調整されればよい が、 例えば潤滑油組成物全体 の質量に対して、 0 . 0 1〜2 0質量%であるのが好ましく、 より好ましく は 0 . 〜 1 0質量%である。 無灰分散剤の含有量が上記下限値未満である と、 スラッジ分散性が不十分となるおそれがある 。 また含有量が上記上限値 を超えると、 特定のゴム材料を劣化させたり、 低温流動性を悪化させるおそ れがある。

[0055] ( F ) 粘度指数向上剤

本発明の潤滑油組成物はさらに粘度指数向上 剤を含有することができる。 粘度指数向上剤としては、 公知の物を使用することができ、 限定されること はないが、 ポリメタクリレート、 ポリイソブチレン及びその水添物、 スチレ ンージェン水素化共重合体、 スチレン一無水マレイン酸エステル共重合体 及 びポリアルキルスチレン等を使用することが できる。 但し、 粘度指数向上剤 の含有量が多すぎると、 潤滑油組成物の動粘度が増加してしまう。 潤滑油組 成物の低粘度化を図るためには、 粘度指数向上剤の量は少ないほど好ましい 。 従って、 粘度指数向上剤の量は潤滑油組成物全体の質 量に対して 0 . 0 0 1〜0 . 5質量%とするのがよく、 好ましくは 0 . 0 1〜0 . 3質量%で含 有することができる。

[0056] 本発明の潤滑油組成物は、 本発明の奏する効果を損なわない限りで、 上記

( A )〜(F ) 以外のその他の添加剤を適宜添加することが できる。 該その 他の添加剤としては、 金属清浄剤、 摩擦調整剤、 油性剤、 さび止め剤、 酸化 防止剤、 腐食防止剤、 金属不活性化剤、 流動点降下剤、 消泡剤、 着色剤、 及 び自動変速機油用パッケージ添加剤が挙げら れる。 これらのうち少なくとも 1種を含有する各種潤滑油用パッケージ添加 を添加することもできる。

[0057] 本発明の潤滑油組成物の動粘度は限定されな いが、 低粘度化の観点より 1 00°Cでの動粘度 1 mm 2 Zs以上かつ 5mm 2 Zs未満を有することが好ま しい。 より好ましくは 1. SmmSZs以上〜 4. 5mm 2 /s以下であり、 最も好ましくは 1. 5 mm2/ s 以上〜 4. 0 m m 2 s以下であるのがよい 。 本発明の潤滑油組成物は、 このように低粘度化したとしても、 優れた金属 疲労特性、 耐摩耗性、 及び電気絶縁性を維持することができる。

[0058] 本発明における潤滑油組成物は、 特に低粘度が求められる自動車用潤滑油 組成物として用いることができ、 自動車用ギヤ油、 自動車用変速機油として 好適に使用することができる。 また、 本発明の潤滑油組成物は良好な摩擦低 減効果を有することもできる。 従って、 自動変速機潤滑油としてのみならず 、 クラッチを有しないハイブリッ ト車用変速機油など、 高い摩擦低減特性が 要求される変速機油としても好適に使用する ことができる。 本発明の潤滑油 組成物の使用方法は従来公知の方法に従えば よく、 要求される性能に応じて 最適化される。

実施例

[0059] 以下、 実施例及び比較例を示し、 本発明をより詳細に説明するが、 本発明 は下記の実施例に制限されるものではない。

使用する基油と添加剤は、 以下のとおりである。

(A) 潤滑油基油

鉱油 (高度分解精製基油、 1 00°Cの動粘度: 3mm 2 Zs、 粘度指数: 1 22、 グループ I I I基油)

(B) ポリジェン化合物

(B 1 ) 両末端水酸基含有飽和ポリブテン (数平均分子量 (Mn) 1 00

0)

(B2) 両末端水酸基含有飽和ポリブテン (数平均分子量 (Mn) 300

0)

(B3) 両末端カルボキシル基含有飽和ポリブテン (数平均分子量 (Mn ) 1 000)

(B4) 両末端水酸基含有不飽和ポリブテン (数平均分子量 1 000 (M n) )

(B 5) 末端未変性飽和ポリブテン (数平均分子量 (Mn) 3000) ( 比較用)

(B6) 両末端ウレタン基含有飽和ポリブテン (数平均分子量 (Mn) 1 000)

(C) リン系添加剤

(C 1 ) ジアルキルジチ才リン酸亜鉛 (摩耗防止剤、 2級アルキル、 2— ェチルへキシル基)

(C2) 酸性リン酸エステル (極圧剤、 炭素数 4、 OH基数は 1又は 2)

(D) 硫黄系極圧剤

硫化エステル (硫黄含有量 = 1 0質量%)

(E) 無灰分散剤

ポリブテニルコハク酸ビスイミ ド (ポリブテニル基分子量 =3000、 窒 素含有量 = 1. 0質量%、 ホウ素含有量 =0. 5質量%)

(F) その他の添加剤

酸化防止剤、 金属不活性化剤、 消泡剤

[実施例 1〜 6及び比較例 1〜 7 ]

上記した各成分を表 1及び 2の各々に記載の組成及び量で混合して潤滑 組成物を調製した。

表に記載の各量について、 以下に説明する。

リン系摩耗防止剤及びリン系極圧剤の量は、 潤滑油組成物の総量に対する 各々のリンの質量 p pmである。 ポリブテン、 硫黄系極圧剤、 分散剤、 その 他の添加剤の量は、 各々、 潤滑油組成物の総量に対する質量%である。 基油 の量は潤滑油組成物の総量 1 00とした残部である。

各潤滑油組成物について下記に従い評価した 。

( 1 ) 動粘度 ( 1 00°C) は、 ATSM D445に準拠して測定した。

(2) 金属疲労特性

内径 1 9. 2 mm, 外径 28. 5 mm, ニードル径 2 m mのスラスト二一 ドルベアリングを使用した単体試験であって 、 付加スラスト荷重 1 0. 5 N 、 回転数 3000 r pm、 油温 1 20°Cとし、 金属疲労発生までのサイクル 数を計測した。

(3) 耐摩耗性は、 ASTM D41 72— 2に準拠して測定した。

(4) 電気絶縁性 (体積抵抗率) は、 J I S C 21 01に準拠して測定し た。

( 5 ) 潤滑油基油へのポリジェン化合物の溶解性

溶液が透明である場合に〇、 溶液が透明ではないが物性測定には影響がな い場合は厶、 溶液が濁っていて物性測定が不可能である場 合を Xとした。 なお、 ポリジェン化合物の溶解性が悪い場合は、 その他の物性値の測定を 行わなかった。

〔〕0062

実施例 1 6の潤滑油組成物はいずれも、 1 00°Cの動粘度が 〜 5 m m 2 Z s未満を有し、 及び、 金属疲労が 50メガサイクル以上、 耐摩耗性は 0. 5 mm以下、 電気絶縁性 (体積抵抗率) が 6. 0X 1 0 9 Ω · cm以上である 。 即ち、 本発明の潤滑油組成物は、 1 00°Cの動粘度 5 mm 2 Zs未満という 低粘度下において金属疲労及び耐摩耗性に優 れ、 かつ良好な電気絶縁性 (体 積抵抗率) 有することができる。 使用した末端変性ポリジェン化合物の潤滑 油基油への溶解性も良好であつた。

一方、 比較例 1に示す通り、 所定のポリジェン化合物の添加量が不十分で ある潤滑油組成物は、 金属疲労が 50メガサイクル未満となる。 比較例 2に 示す通り、 所定のポリジェン化合物の添加量が過剰にな ると、 潤滑油基油に 対する溶解性に問題が生じるため潤滑油組成 物としての機能を得ることがで きず、 低粘度化した際に金属疲労特性、 耐摩耗性及び電気絶縁性を確保する ことはできない。 比較例 3に示す通り、 ポリジェン化合物の末端が未変性で ある潤滑油組成物は、 耐摩耗性が 0. 5 Omm超となる。 比較例 4及び 6に 示す通り、 所定のリン系化合物の潤滑油組成物に占める リン含有量が不足す ると、 金属疲労が 50メガサイクル未満となるだけでなく耐摩耗 が 0. 5 mm超となる。 比較例 5及び 7に示す通り、 所定のリン系化合物の潤滑油組 成物に占めるリン含有量が過剰になると、 電気絶縁性 (体積抵抗率) が 6. 0 X 1 0 9 Ω · cm未満となる。 このように、 比較例 1〜 7に記載の潤滑油組 成物は、 金属疲労特性、 耐摩耗性、 電気絶縁性のいずれかの特性が悪く、 1 00°Cの動粘度5mm 2 /s未満にぉぃて、 金属疲労特性、 耐摩耗性、 及び電 気絶縁性を確保することができない。

産業上の利用可能性

本発明の潤滑油組成物は、 低粘度としても、 金属疲労特性、 耐摩耗性、 電 気絶縁性をすベて満足し、 特に変速機油、 ギヤ油として好適であり、 中でも ハイプリッ ド自動車用変速機油として好適である。