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Patent Searching and Data


Title:
LUBRICATING OIL COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2019/092492
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a lubricating oil composition which can reduce friction even when the viscosity of the composition is reduced. Specifically provided is a lubricating oil composition comprising a lubricating base oil, (A) a cleaning agent containing magnesium, and (B) a zinc dialkyldithiophosphate, wherein the lubricating oil composition is characterized in that: the amount of component (A) in terms of ppm by weight of magnesium [Mg] relative to the total weight of the lubricating oil composition is in the range of 200 to 1200 ppm by weight; the amount of component (B) in terms of ppm by weight of phosphorus [P] relative to the total weight of the lubricating oil composition is in the range of 300 to 1000 ppm by weight; component (B) includes (B-1) a zinc dialkyldithiophosphate having a primary alkyl group, and the proportion of the weight of component (B-1) relative to the total weight of component (B) is 30 weight% or more; and the concentration of boron [B] in terms of ppm by weight of boron relative to the total weight of the lubricating oil composition is less than 100 ppm by weight.

Inventors:
SHIMODATE AYANO (JP)
SUZUKI HIROYUJI (JP)
ONODERA KO (JP)
YAMAMORI KAZUO (JP)
KANEKO TOYOHARU (JP)
Application Number:
PCT/IB2018/001228
Publication Date:
May 16, 2019
Filing Date:
November 07, 2018
Export Citation:
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Assignee:
EXXONMOBIL RES & ENG CO (US)
TOYOTA MOTOR CO LTD (JP)
International Classes:
C10M157/10
Domestic Patent References:
WO2017099140A12017-06-15
WO2018033785A12018-02-22
Foreign References:
US20170198235A12017-07-13
US20150045271A12015-02-12
US20090082233A12009-03-26
Attorney, Agent or Firm:
AOKI, Atsushi et al. (JP)
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Claims:
請求の範囲

潤滑油基油、 (A) マグネシウムを有する清浄剤、 及び (B) ジァ ルキルジチォリン酸亜鉛を含有する潤滑油組成物であって、

(A) 成分の量が、 該潤滑油組成物全体の質量に対するマグネシウム の質量 P p m [Mg] として 200~1 200質量 p p mの範囲であ リ、 (B) 成分の量が、 該潤滑油—組成物全体の質量に対するリンの質 量 p pm [P] として 300〜 1 000質量 p p mの範囲であり、 前 記 (B) 成分は (B— 1 ) 第 1級アルキル基を有するジアルキルジチ 才リン酸亜鉛を含み、 かつ (B) 成分の全質量に対する (B— 1 ) 成 分の割合が 30質量%以上であり、 及び、 該潤滑油組成物全体の質量 に対するホウ素の質量 p pmによる濃度 [B] が 1 00質量 p pm未 満であることを特徴とする潤滑油組成物。

さらに (C) 分散剤を含み、 (C) 成分の量が潤滑油組成物全体の 質量に対し 0. 1〜8質量%でぁる、 請求項 1記載の潤滑油組成物。 カルシウムを有する清浄剤 (Α' ) をさらに含み、 下記式 (1 ) : { [Mg] / ( [Mg] + [C a] ) } X 1 00≥5 ( 1 ) ( [C a] は、 潤滑油組成物の質量に対するカルシウムの質量 p pm を示す)

を満たす、 請求項 1又は 2記載の潤滑油組成物。

さらに (D) モリブデンを有する摩擦調整剤を含み、 (D) 成分の 量が該潤滑油組成物全体の質量に対するモリブデンの質量 p p m [M o] として 200〜 1400質量 p p mの範囲である、 請求項 〜 3 のいずれか 1項記載の潤滑油組成物。

粘度指数向上剤を更に含み、 該粘度指数向上剤の量が、 潤滑油組成 物全体の質量に対する該粘度指数向上剤に含まれるポリマー量として 1質量%以下である、 請求項 1 ~4のいずれか 1項記載の潤滑油組成 物。

一 35°Cでの CC S粘度が 6. 2 P a ' s以下である、 請求項 1〜 5のいずれか 1項記載の潤滑油組成物。

[請求項 7] 1 50°Cでの高温高せん断粘度 (H T H S粘度) が 1. 3 m P a · s~2. 3m P a ' s未満である、 請求項 〜 6のいずれか 1項記載 の潤滑油組成物。

[請求項 8] 1 00°Cにおける動粘度が 6. 1 mm2/s未満である、 請求項 1

〜 7のいずれか 1項記載の潤滑油組成物。

[請求項 9] 内燃機関用である、 請求項〗〜 8のいずれか 1項記載の潤滑油組成 物。

[請求項 10] 過給ガソリンエンジン用である、 請求項〗〜 9のいずれか 1項記載 の潤滑油組成物。

Description:
明 細 書

発明の名称 : 潤滑油組成物

技術分野

[0001] 本発明は潤滑油組成物に関し、 詳細には、 内燃機関用の潤滑油組成物、 特 にガソリンエンジン用の潤滑油組成物に関す る。

背景技術

[0002] 潤滑油組成物は、 内燃機関用、 自動変速機用、 ギヤ油用など自動車分野で 幅広く使用されている。 近年、 燃費を向上させるために低粘度化が求められ ているが、 低粘度化により油膜が薄くなリ、 摩擦を十分に低減することがで きない。 そこで、 境界潤滑条件で二硫化モリブデンを生成する ことにより摩 擦を低減することができるモリブデンジチ才 力一バメ一卜 (Mo DTC) が 従来用いられている。 この際、 カルシウム系清浄剤を組み合わせて用いるの が通常である (例えば、 特開 201 3- 1 99594号公報) 。 しかし、 こ の組み合わせでは、 摩擦の低減に限界があり、 燃費を十分に向上させること ができない。

[0003] 清浄剤としてマグネシウム系清浄剤を使用す ることも知られている (例え ば、 特開 201 1 - 1 84566号公報および特開 2006— 328265 号公報) 。 マグネシウム系清浄剤の使用は、 カルシウム系清浄剤よりも摩擦 をより低減することができるが、 摩耗が発生しゃすいという問題がある。 例 えば、 国際公開 201 6/1 59258号公報は、 基油、 カルシウム系清浄 剤、 マグネシウム系清浄剤、 モリブデンジチ才カーバメート、 ホウ素非含有 コハク酸イミ ド、 ホウ素含有コハク酸イミ ド、 及び粘度指数向上剤を含有す る潤滑油組成物を記載しており、 該潤滑油組成物は、 優れた省燃費性を有し つつ、 摩擦低減効果による省燃費性を短時間で発現 し得ると記載している。 また、 本出願人は、 特定量のホウ素含有コハク酸イミ ドと、 特定の割合で 1 級アルキル基含有ジアルキルジチオリン酸亜 鉛と 2級アルキル基含有ジアル キルジチォリン酸亜鉛を使用することにより 、 摩擦が低減できることを見出 した特許出願を先に行った (特願 20 1 6- 1 52 1 80号明細書) 。

先行技術文献

特許文献

[0004] 特許文献 1 :特開 20 1 3— 1 99594号公報

特許文献 2:特開 20 1 1 — 1 84566号公報

特許文献 3:特開 2006— 328265号公報

特許文献 4:国際公開 20 1 6/1 59258号公報

特許文献 5:特願 20 1 6- 1 52 1 80号明細書

発明の概要

発明が解決しょうとする課題

[0005] ガソリンエンジン車の燃費を更に向上するた めに、 潤滑油組成物のさらな る低粘度化が要求されている。 上記特願 20 1 6- 1 52 1 80号明細書 ( 特許文献 5) 記載の発明では、 好ましくは 1 00°Cにおける動粘度 9. 3m m 2 s未満を有する潤滑油組成物における摩耗防 性の確保及び摩擦低減を 目的として、 ホウ素含有コハク酸イミ ドの量及び 1級アルキル基含有ジアル キルジチオリン酸亜鉛と 2級アルキル基含有ジアルキルジチォリン酸 鉛の 配合比を最適化した。 本発明は、 上記特許文献 5記載の潤滑油組成物よりも さらなる低粘度化を目指したものである。 潤滑油組成物の粘度をさらに低粘 度化すると、 油膜厚さが減少し、 潤滑条件はより一層厳しくなる。 本発明は そのような条件下であつても摩擦を低減でき る潤滑油組成物を提供すること を目的とする。

[0006] 上記の通り、 潤滑油の低粘度化に伴い油膜厚さが薄くなる ことで潤滑条件 は従来より一層厳しくなリ、 摺動面における反応皮膜生成が促進される。 本 発明では、 反応皮膜の生成速度や性質をコントロールす ることを目的とし、 反応皮膜生成に影響を与える添加剤 (Z n DT Pの P r i m a r y/ S e c o n d a r y比、 ホウ素系分散剤) の組成を最適化することを検討した。 よ リ詳細には、 従来より低粘度化した潤滑油において、 ( 1 ) 反応皮膜の生成 速度を遅くすることで均質な反応皮膜をゆっ くり生成し、 摩擦を低減する効 果を得ること、 及び (2 ) 生成した反応皮膜自体を低摩擦化することを 目的 としている。

[0007] すなわち本発明は、 従来の潤滑油組成物に比べさらに低粘度化し ても、 特 には、 1 0 0 °Cにおける動粘度 6 . 1 m m 2 Z s未満、 1 5 0 °Cでの高温高せ ん断粘度 (H T H S粘度) が 1 . 3〜2 . 3 m P a · s未満を有する潤滑油 組成物としても摩擦を低減することを目的と する。 より好適な態様としては 、 内燃機関用の潤滑油組成物、 さらに好適には過給ガソリンエンジン用の潤 滑油組成物を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0008] 反応皮膜の生成速度を落とす手段として第 1級アルキル基を有するジアル キルジチオリン酸亜鉛割合を増加することが 検討された。 ジアルキルジチ才 リン酸亜鉛としては、 第 1級アルキル基を有するジアルキルジチオリ 酸亜 鉛より第 2級アルキル基を有するジアルキルジチ才リ 酸亜鉛の方が反応性 が高い。 そのため、 第 1級アルキル基を有するジアルキルジチ才リ 酸亜鉛 の割合を増加させることで、 反応皮膜生成速度を遅くすることが期待でき る 。 反応皮膜生成速度を遅くすることで、 均質な反応皮膜がゆっく り形成され 、 反応皮膜の配向性や被覆率が向上し、 さらには反応皮膜自体の低摩擦化も 達成できると予測された。

[0009] 反応皮膜自体の低摩擦効果の手段としては、 ホウ素含有分散剤の含有量を 低減することが検討された。 ホウ素含有反応皮膜とホウ素非含有反応皮膜 の 摩擦係数を比較すると、 ホウ素含有反応皮膜の方が高摩擦であるが、 従来は 、 マグネシウム系清浄剤による反応皮膜の削り 取りを防ぐために、 高価なホ ゥ素含有反応皮膜を形成させて低摩擦を得て いた。 しかし、 潤滑油の低粘度 化に伴い潤滑条件が厳しくなつたことで、 従来より早ぐ反応皮膜が形成され るようになった。 このような状況下ではホウ素非含有反応皮膜 により摩擦を 低減できると予想された。

[0010] 本発明者らは、 上記 ( 1 ) 第 1級アルキル基を有するジアルキルジチオリ ン酸亜鉛の割合及び (2) ホウ素含有分散剤の量を低減することの最適 なバ ランスを検討したところ、 第 1級アルキル基を有するジアルキルジチオリ 酸亜鉛を必須として含有割合を特定すること 、 及び組成物中に含まれるホウ 素含有量を特定量以下にすることにより、 さらなる低粘度条件 (特には、 1 00°Cにおける動粘度 6. l mm 2 /s未満、 1 50°Cでの高温高せん断粘度 (HTHS粘度) が 1. 3〜2. 3m P a · s未満) を有する潤滑油組成物 において摩擦低減効果を達成できることを見 出したものである。

[0011] すなわち、 本発明者らは、 潤滑油基油、 マグネシウムを有する清浄剤、 及 びジアルキルジチオリン酸亜鉛を含有する潤 滑油組成物において、 組成物中 に含まれるホウ素含有量を特定量以下にする こと、 及び、 第 1級アルキル基 を有するジアルキルジチオリン酸亜鉛の含有 割合を特定することにより、 上 記目的が達成されることを見出した。

[0012] 本発明は、 潤滑油基油、 (A) マグネシウムを有する清浄剤、 及び (B) ジアルキルジチ才リン酸亜鉛を含有する潤滑 油組成物であって、 (A) 成分 の量が、 該潤滑油組成物全体の質量に対するマグネシ ウムの質量 P pm [M g] として 200〜 1 200質量 p pmの範囲であり、 (B) 成分の量が、 該潤滑油組成物全体の質量に対するリンの質 量 P pm [P] として 300〜 1 000質量卩 pmの範囲であり、 前記 (B) 成分は (B— 1 ) 第 1級アル キル基を有するジアルキルジチ才リン酸亜鉛 を含み、 かつ (B) 成分の全質 量に対する (B— 1 ) 成分の割合が 30質量%以上であり、 及び、 該潤滑油 組成物全体の質量に対するホウ素の質量 P pmによる濃度 [B] が 1 00質 量 p pm未满であることを特徴とする潤滑油組成物 ある。

[0013] 本発明の好ましい実施態様は、 潤滑油組成物が、 以下に示す (1 ) 〜 (9 ) の少なくとも 1の特徴をさらに有する。

(1 ) さらに (C) 分散剤を含み、 (C) 成分の量が潤滑油組成物全体の質 量に対し 0. 1〜8質量%でぁる。

(2) カルシウムを有する清浄剤 (Α' ) をさらに含み、 { [Mg] / ( [ Mg] + [Ca] ) } X 1 00≥5 ( [Ca] は、 潤滑油組成物の質量に 対するカルシウムの質量 p pmによる濃度を示す) を満たす。

(3) モリブデンを有する摩擦調整剤をさらに含み 、 潤滑油組成物の質量に 対するモリブデンの質量 p pmによる濃度 [Mo] が 200〜1 400質量 p p mである。

(4) 粘度指数向上剤を更に含み、 該粘度指数向上剤の量が、 潤滑油組成物 全体の質量に対する該粘度指数向上剤に含ま れるポリマー量として 1質量 0 /o 以下である。

(5) 一 35°Cでの CC S粘度が 6. 2 P a · s以下である。

(6) 1 50°Cでの高温高せん断粘度 (HTHS粘度) が 1. 3mP a · s 〜2. 3mPa ' s未満である。

(7) 1 00°Cにおける動粘度が 6. l mm 2 Zs未満である。

(8) 内燃機関用である。

(9) 過給ガソリンエンジン用である。

さらに本発明は、 当該潤滑油組成物あるいは上記 (〗) 〜 (9) の実施態 様の潤滑油組成物を使用することにより、 摩擦を低減する方法に関する。 発明の効果

本発明で目的とする低粘度条件は、 上記の通り、 特には、 1 00°Cにおけ る動粘度 6. 1 mm 2 /s未満、 1 50°Cでの高温高せん断粘度 ( H T H S粘 度) が 1. 3 m P a · s~2. 3mP a · s未満を有する潤滑油組成物であ る。 これは、 本発明の先行発明である特願 201 6- 1 521 80号明細書 (特許文献 5) に記載の発明にて目的とする粘度よりもさら なる低粘度化を 目指した潤滑油組成物を対象としたものであ る。 特許文献 5では、 低粘度、 即ち 1 00°Cにおける動粘度 9. 3mm 2 /s未満、 特には 6. 1 mm 2 /s 〜9. 3 mm 2 / s未満、 1 50°Cでの高温高せん断粘度 (HTHS粘度) が 特には 2. 3〜2. 9 m P a · sを有する潤滑油組成物において、 ホウ素含 有化合物を組成物中に含まれるホウ素質量 1 00〜 300質量 p pmの範囲 で含み、 且つ、 第 2級アルキル基含有ジアルキルジチ才リン酸 鉛を必須と することで、 摩耗防止性の確保及び摩擦低減を達成した。 [0015] 本発明者らは、 従来よりも更に低い粘度条件 (特には、 1 00°Cにおける 動粘度 6. 1 mm 2 Zs未満、 1 50°Cでの高温高せん断粘度 (H T H S粘度 ) が 1. 3mP a . s〜2. 3m P a · s未満) を有する潤滑油組成物にお いては、 組成物全体の質量に対するホウ素の質量 P pmによる濃度 [B] が 1 00質量 p pm未満にすること、 及び、 第 1級アルキル基を有するジアル キルジチオリン酸亜鉛を必須として含有割合 を特定することにより、 摩擦低 減効果を達成できることを見出した。 即ち、 前提とする粘度を更に下げるこ とで、 先行発明で見出した最適条件とは異なる関係 性を見出したものである

[0016] これについて、 より詳細に説明する為に、 1 50°Cでの高温高せん断粘度

(HTHS 1 50) =2. 3mP a · sを有する潤滑油組成物と、 HTHS 1 50= 1. 7 m P a · sを有する潤滑油組成物について、 それぞれの平均 摩擦係数を示したグラフを図 1及び 2に示す。 図 1は、 HTHS 1 50 = 2 . 3mP a · sを有する潤滑油組成物において、 MTMトラクシヨン計測器 により中速域 (20〜300mm/s) で測定された各時間における平均摩 擦係数を示すグラフである。 図 2は、 HTHS 1 50= 1. 7mP a ' sを 有する潤滑油組成物において、 MTMトラクシヨン計測器により中速域 (2 0〜300mmZs) で測定された各時間における平均摩擦係数を 示すグラ フである。 図 1及び 2は、 第 1級アルキル基を有するジアルキルジチォリ 酸亜鉛/第 2級アルキル基を有するジアルキルジチオリ 酸亜鉛を質量比 4 0ノ 60で含んだ潤滑油組成物において、 点線は潤滑油組成物全体の質量に 対するホウ素の質量 P pmによる濃度 [B] が 0 p pmである組成物の摩擦 係数を示し、 実線は潤滑油組成物全体の質量に対するホウ 素の質量 P P に よる濃度 [B] が 200 p pmである組成物の摩擦係数を示している。 図 1 及び図 2に示す通り、 目的とする粘度を下げたことにより、 従来と比べて摩 擦低減のために最適なホウ素量及びジアルキ ルジチォリン酸亜鉛組成の関係 が変わっていることがわかる。

[0017] 本発明の潤滑油組成物は、 従来より低粘度化しても摩擦を低減すること が できる。 特には、 1 00°Cにおける動粘度 6. 1 mm 2 Zs未満という低粘度 下においても摩擦を低減することができる。 より好ましくは、 内燃機関用の 潤滑油組成物、 さらに過給ガソリンエンジン用の潤滑油組成 物として好適に 使用できる。

図面の簡単な説明

[0018] [図 1]HTHS 1 50 = 2. 3mP a · sを有する潤滑油組成物の平均摩擦係 数を示すグラフである。

[図 2] HTHS 1 50= 1. 7 m P a · sを有する潤滑油組成物の平均摩擦係 数を示すグラフである。

[図 3]ボールオンディスク摩擦試験の態様を示す 式図である。

発明を実施するための形態

[0019] 本発明の潤滑油組成物は、 組成物中に含まれるホウ素の量が、 組成物全体 の質量に対するホウ素の質量 P pm [B] が 1 00質量 p pm未満であるこ とを特徴とする。 ホウ素含有量は、 好ましくは 80質量 p pm未満、 より好 ましくは 50質量 p pm未満、 更に好ましくは 20質量 p pm未満、 最も好 ましくは 0質量 p pmである。 本発明においては、 組成物中に含まれるホウ 素量は少なければ少ないほど好ましい。 これにより均一な反応皮膜を形成す ることができ、 摩擦係数を小さくすることができる。 該ホウ素は、 潤滑油組 成物に配合される従来公知の添加剤由来のも のであるが、 その由来は特に限 定されない。 特には後述する任意成分 (C) であるホウ素含有無灰分散剤由 来である。

[0020] 以下、 本発明の潤滑油組成物についてより詳細に説 明する。

[0021] 潤滑油基油

本発明における潤滑油基油は特に制限されな い。 鉱油及び合成油のいずれ であってもよく、 これらを単独で、 または混合して使用することができる。

[0022] 鉱油としては、 例えば、 原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧 蒸留 して得られた潤滑油留分を、 溶剤脱れき、 溶剤抽出、 水素化分解、 溶剤脱ろ う、 および水素化精製等の処理の〗つ以上に付し て精製したもの、 或いは、 ワックス異性化鉱油、 GTL (Ga s t o L i q u i d) 基油、 ATL (A s p h a l t t o L i q u i d) 基油、 植物油系基油またはこれら の混合基油を挙げることができる。

[0023] 合成油としては、 例えば、 ポリブテン又はその水素化物; 1一才クテン才 リゴマ一、 1ーデセンオリゴマー等のポリ一 α—才レフィン又はその水素化 物; ラウリン酸 2—ェチルへキシル、 パルミチン酸 2—ェチルへキシル、 ス テアリン酸 2—ェチルへキシル等のモノエステル; ジ卜リデシルグルタレー ト、 ジー 2—ェチルへキシルアジペート、 ジイソデシルアジペート、 ジトリ デシルアジべ一卜、 ジー 2—ェチルへキシルセバケ一卜等のジエステ ; ネ ォペンチルグリコールジー 2—ェチルへキサノエ一卜、 ネオペンチルグリコ —ルジー η—才クタノエ一卜、 ネオペンチルグリコ一ルジー η—デカノエ一 卜、 卜リメチロールプロパントリー η—才クタノエ一ト、 卜リメチロールプ 口パントリー η—デカノエ一卜、 ペンタエリスリ トールテ卜ラー η—ペンタ ノエ一卜、 ペンタエリスリ 卜一ルテトラー η—へキサノエ一卜、 ペンタエリ スリ 卜一ルテトラー 2—ェチルへキサノエ一卜等のポリオ一ルエ テル; ァ ルキルナフタレン、 アルキルベンゼン、 芳香族エステル等の芳香族系合成油 又はこれらの混合物等が例示できる。

[0024] 潤滑油基油の 1 0CTCにおける動粘度 (mm 2 /s) は特に制限されないが 、 好ましくは 2〜 1 0mm 2 Zsであり、 より好ましくは 2〜 8 m m 2 sで あり、 さらに好ましくは 2〜6 mm 2 Zsであり、 最も好ましくは 3〜 5 mm 2/sである。 これにより、 油膜形成が十分であり、 潤滑性に優れ、 かつ、 蒸 発損失がより小さい潤滑油組成物を得ること ができる。

[0025] 潤滑油基油の粘度指数 (V I ) は特に制限されないが、 好ましくは 1 00 以上であり、 より好ましくは 1 20以上、 最も好ましくは 1 25以上である 。 これにより、 高温での油膜を確保しつつ、 低温での粘度を低減することが できる。

[0026] (A) マグネシウム系清浄剤

本発明の潤滑油組成物はマグネシウムを有す る清浄剤 (以下、 マグネシゥ ム系清浄剤という) が必須である。 マグネシウム系清浄剤とはマグネシウム を有する化合物であり、 従来金属系清浄剤として潤滑油組成物に使用 されて いたものを使用することができ、 特に制限されるものでない。 例えば、 マグ ネシゥムスルホネ一卜、 マグネシウムフエネートおよびマグネシウム サリシ レート等である。 これらの中で、 特にマグネシウムサリシレ一卜若しくはマ グネシゥムスルホネートが好ましい。 マグネシウム系清浄剤は、 1種を単独 で使用してもよいし、 2種以上を混合して使用してもよい。

[0027] 成分 (A) としてマグネシウム系清浄剤を含有すること により、 潤滑油と して必要な高温清浄性および防錡性を確保す ることができる。 また、 摩擦を 低減することができる。 これは、 特に燃費特性の点で有利である。

[0028] マグネシウム系清浄剤は、 該潤滑油組成物の質量に対するマグネシウム の 質量 p pmによる濃度 [Mg] が 200〜 1 200質量 p pm、 好ましくは 300〜1 1 00質量p pm、 より好ましくは 400〜 1 000質量 p pm の範囲となるような量で添加される。 マグネシゥム系清浄剤の量が上記上限 を超えると摩耗が大きくなり過ぎ、 上記下限を下回ると摩擦の低減効果が低 い。

[0029] マグネシウム系清浄剤は、 特に、 過塩基性であるのが好ましい。 これによ り、 潤滑油に必要な酸中和性を確保できる。 過塩基性のマグネシウム系清浄 剤を使用した場合には、 中性のマグネシウムまたは力ルシゥム系清浄 剤を混 合してもよい。

[0030] マグネシウム系清浄剤の全塩基価は、 限定的ではないが、 好ましくは 20 〜600mg KOH/g、 より好ましくは 50〜500mg KOH/g、 最 も好ましくは 1 00〜450mg KOH/gである。 これにより、 潤滑油に 必要な酸中和性、 高温清浄性および防銪性を確保できる。 なお、 2種以上の 金属清浄剤を混合して使用する場合は、 混合して得られた塩基価が、 前記の 範囲となることが好ましい。

[0031] マグネシウム系清浄剤中のマグネシウム含有 量は、 好ましくは 0. 5〜2 0質量%であり、 より好ましくは!〜 1 6質量%、 最も好ましくは 2〜 1 4 質量%であるが、 潤滑油組成物中に上記範囲の量のマグネシゥ ムが含まれる ように添加されれば良い。

[0032] 本発明の潤滑油組成物は、 上記マグネシウム系清浄剤に併せて、 その他の 金属系清浄剤を含んでいてよい。 該金属系清浄剤は従来潤滑油組成物に使用 されていた慣用のものであればよい。 好ましくは、 カルシウムを有する清浄 剤 (Α' ) を併用するのがよい (以下、 カルシウム系清浄剤という) 。 潤滑 油組成物がカルシウム系清浄剤をさらに含む ことによリ、 潤滑油として必要 な高温清浄性、 及び防錡性を更に確保することができる。

[0033] カルシウム系清浄剤 (Α' ) はカルシウムを有する化合物であり、 従来潤 滑油組成物にて金属系清浄剤として使用され ていたものを使用することがで き、 特に制限されるものでない。 例えば、 カルシウムスルホネート、 カルシ ゥムフエネ一卜およびガルシゥムザリシレー トが挙げられる。 これらのカル シゥム系清浄剤は、 1種を使用してもよいし、 2種以上を混合して使用して もよい。

[0034] (Α' ) 成分の量は、 好ましくは、 下記式 (1 ) を満たす。

{ [Mg] / ( [Mg] + [Ca] ) } X 1 00≥5 (1 ) ここで、 [Ca] は、 潤滑油組成物の質量に対するカルシウムの質 量 p p mによる濃度を示す。

{ [Mg] / ( [Mg] + [C a] ) } X 1 00の値は、 好ましくは 1 0 以上、 より好ましくは 1 5以上、 特に好ましくは 20以上である。 当該値が 上記下限未満だと、 摩擦の低減効果が小さい。 { [Mg] / ( [Mg] + [ C a] ) } X 1 00の上限値は好ましくは 1 00、 より好ましくは 80、 更 に好ましくは 60、 特に好ましくは 50、 最も好ましくは 40である。

[0035] カルシウム系清浄剤 (Α' ) は、 過塩基性であるのが好ましい。 これによ り、 潤滑油に必要な酸中和性を確保できる。 過塩基性のカルシウム含有清浄 剤を使用する場合には、 中性のカルシウム系清浄剤を併用してもよい 。

[0036] カルシウム系清浄剤 (Α' ) の全塩基価は、 限定的ではないが、 好ましく は 20〜500mg KOH/g、 より好ましくは S O AOOmg KOHZ 9、 最も好ましくは 1 0 0〜3 5 O m g K O H Z gである。 これにより、 潤 滑油に必要な酸中和性、 高温清浄性および防錡性を確保できる。 なお、 2種 以上の金属清浄剤を混合して使用する場合は 、 混合して得られた塩基価が前 記範囲内となることが好ましい。

[0037] カルシウム系清浄剤 (Α ' ) 中のカルシウム含有量は、 好ましくは 0 . 5 〜 2 0質量%であり、 より好ましくは 1〜 1 6質量%、 最も好ましくは 2〜 1 4質量%である。

[0038] 本発明の潤滑油組成物は、 本発明の効果を損なわない範囲で、 上記以外の 金属系清浄剤として、 ナトリウム系清浄剤を含んでいてもよい。 ナトリウム 系清浄剤とは、 ナトリウムを有する化合物であり、 例えば、 ナトリウムスル ホネー卜、 ナ卜リウムフエネートおよびナ卜リウムザリ シレートが好ましい 。 これらのナトリウム系清浄剤は、 1種を単独で使用してもよいし、 2種以 上を混合して使用してもよい。 ナトリウム系清浄剤を含むことにより、 潤滑 油として必要な高温清浄性および防錡性を確 保することができる。 ナ卜リウ ム系清浄剤は、 上述したマグネシゥム系清浄剤および任意的 なカルシウム系 清浄剤と併用することができる。

[0039] 本発明の潤滑油組成物中の金属系清浄剤の合 計量は、 上記組成物中に含ま れるマグネシウム量が、 上述した特定範囲を満たすような量であれば よい。 マグネシウム系清浄剤の量に応じて、 カルシウム系清浄剤及びナトリウム系 清浄剤の添加量は制限され得る。

[0040] ( Β ) ジアルキルジチ才リン酸亜鉛

本発明の潤滑油組成物はジアルキルジチォリ ン酸亜鉛 (Z n D T P ( Z D D Pともいう) ) を含む。 該ジアルキルジチォリン酸亜鉛は摩耗防止剤 とし て機能する。 本発明においては該ジアルキルジチ才リン酸 亜鉛として、 (B 一 1 ) 第 1級アルキル基を有するジアルキルジチオリ 酸亜鉛を必ず含む。 第 1級アルキル基を有するジアルキルジチオリ 酸亜鉛を含まないと、 低粘 度化された潤滑油組成物において良好な摩耗 防止性を確保することができな い。 従って本発明の潤滑油組成物は、 (B— 1 ) 第 1級アルキル基を有する ジアルキルジチ才リン酸亜鉛の含有量が、 (B ) 成分の全体量に対して 3 0 質量%以上であることを特徴とする。 好ましくは 4 0質量%以上、 より好ま しくは 5 0質量%以上、 更に好ましくは 6 0質量%以上、 特に好ましくは 8 0質量%以上、 最も好ましくは 1 0 0質量%である。

ジアルキルジチォリン酸亜鉛は、 下記式 (4 ) で表される化合物である。

[化 1 ]

上記式 (4 ) において、 R 2 及び R 3 は、 各々、 互いに同一であっても異な つていてもよく、 水素原子または炭素数 1〜 2 6の一価炭化水素基である。 一価炭化水素基としては、 炭素数 1〜2 6の第 1級 (プライマリー) または 第 2級 (セカンダリー) アルキル基;炭素数 2〜2 6のアルケニル基;炭素 数 6〜2 6のシクロアルキル基;炭素数 6 ~ 2 6のァリール基、 アルキルァ リール基またはァリールアルキル基; またはエステル結合、 エーテル結合、 アルコール基または力ルポキシル基を含む炭 化水素基である。 ここで、 1級 アルキル基とは、 置換基 R 2 及び R 3 において、 ジアルキルジチ才リン酸亜鉛 中の酸素原子に直接結合する炭素原子が 1級炭素原子であるという意味であ る。 同様に 2級アルキル基とは、 置換基 R 2 、 R 3 において、 ジアルキルジチ オリン酸亜鉛中の酸素原子に直接結合する炭 素原子が 2級炭素原子であると いう意味である。 2 及び 3 は、 好ましくは、 互いに独立に、 炭素数 3〜1 2の、 第 1級または第 2級アルキル基、 炭素数 8〜 1 8のシクロアルキル基 、 又は炭素数 8〜 1 8のアルキルァリール基である。 ただし、 本発明におい て、 R 2 及び R 3 の少なくとも 1 は第 1級または第 2級アルキル基である。 第 1級アルキル基は、 炭素数 3〜1 2を有することが好ましく、 より好ましく は炭素数 4〜1 0を有する。 例えば、 プロピル基、 ブチル基、 ペンチル基、 へキシル基、 才クチル基、 ノニル基、 デシル基、 ドデシル基、 2—ェチルー へキシル基、 及び 2, 5—ジメチルへキシル基等が挙げられる。 第 2級アル キル基は、 炭素数 3~1 2を有することが好ましく、 より好ましくは炭素数 3〜1 0を有する。 例えば、 イソプロピル基、 セカンダリーブチル基、 イソ ペンチル基、 及びィソへキシル基等が挙げられる。

[0042] よリ詳細には、 本発明の潤滑油組成物は、 ( B— 1 ) 第 1級アルキル基を 有するジアルキルジチ才リン酸亜鉛と (B—2) 第 2級アルキル基を有する ジアルキルジチ才リン酸亜鉛とを併せて含む 第 1態様、 (B— 3) 第 1級ァ ルキル基と第 2級アルキル基を共に有するジアルキルジチ リン酸亜鉛を含 む第 2態様、 あるいは、 (B— 1 ) 第 1級アルキル基を有するジアルキルジ チ才リン酸亜鉛を含み、 (B— 2) 第 2級アルキル基を有するジアルキルジ チ才リン酸亜鉛と (B— 3) 第 1級アルキル基と第 2級アルキル基を共に有 するジアルキルジチオリン酸亜鉛を含まない 第 3態様が挙げられる。 好まし くは第 1態様及び第 3態様であり、 特に好ましくは、 (B— 1 ) 第 1級アル キル基を有するジアルキルジチ才リン酸亜鉛 と (B— 2) 第 2級アルキル基 を有するジアルキルジチ才リン酸亜鉛とを併 用する第 1態様である。 また、 (B- 1 ) 第 1級アルキル基を有するジアルキルジチォリ 酸亜鉛と (B— 2) 第 2級アルキル基を有するジアルキルジチオリ 酸亜鉛を併用する第 1 態様の場合、 (B— 1 ) : (B— 2) の比 (質量) が 99 : 1〜30 : 70 の範囲を満たすように含有することが好まし い。 より好ましくは 95 : 5〜 35 : 65、 更に好ましくは 90 : 1 0〜40 : 60、 特に好ましくは 85 : 1 5〜45 : 55、 最も好ましくは 80 : 20〜50 : 50の範囲である 。 (B— 2) 第 2級アルキル基を有するジアルキルジチォリ 酸亜鉛の含有 割合が上記上限値より多くなると、 本発明で目的とする低粘度を有する潤滑 油組成物においては摩擦低減が不十分となり 好ましくない。

[0043] 潤滑油組成物中の (B) ジアルキルジチォリン酸亜鉛の含有量は、 潤滑油 組成物の全質量に対し、 ジアルキルジチオリン酸亜鉛が有するリンの 質量 P pmによる濃度 [P] として、 300~1 000質量 p pmとなる量であり 、 好ましくは 400~1 , 000質量 p pmであり、 より好ましくは 500 〜1, 000質量p pmでぁり、 特に好ましくは 600〜900質量 p pm である。

[0044] 本発明は、 より低粘度化した潤滑油組成物において摩耗 防止性を確保しつ つ摩擦を低減するために組成を最適化したも のである。 本発明において要求 される潤滑油組成物の粘度については後述す る。 本発明は、 潤滑油組成物中 に含まれる、 ホウ素の量と、 (B— 1 ) 第 1級アルキル基を有するジアルキ ルジチォリン酸亜鉛の含有量との関係 (組合せ) を調整することで、 摩擦低 減効果を向上する。 該効果は後述する低粘度条件において維持す ることがで きる。 該組合せは、 組成物全量に対するホウ素量が 1 00質量 p pm未満、 好ましくは 80質量 p pm未満、 より好ましくは 50質量 p pm未満、 特に 好ましくは 20質量 p pm未満となる範囲内、 最も好ましくは 0 p pmであ り、 且つ、 (B— 1 ) 第 1級アルキル基を有するジアルキルジチ才リ 酸亜 鉛の含有量が、 (B) 成分の全体量に対して 30質量%以上、 好ましくは 4 0質量%以上、 より好ましくは 50質量%以上、 更に好ましくは 60質量% 以上、 特に好ましくは 80質量%以上、 最も好ましくは 1 00質量%を満た す範囲で、 適宜調整されればよい。 特には、 ジアルキルジチォリン酸亜鉛の 構成、 (B— 1 ) 成分と (B— 2) 成分の質量比 99 ·· 1〜30 : 70、 好 ましくは 95 : 5〜35 : 65、 より好ましくは 90 : 1 0〜40 : 60、 特に好ましくは 85 : 1 5〜45 : 55、 最も好ましくは 80 : 20〜50 : 50を満たすのがよい。 尚、 ジアルキルジチ才リン酸亜鉛の総量はリンの 総質量 P pmとして上述した範囲を満たせばよい。 これにより得られる潤滑 油組成物は、 従来の潤滑油組成物に比べさらに低粘度化し ても、 良好な摩擦 防止性と摩耗防止性を両立することができる 。

[0045] 本発明の潤滑油組成物は、 ジアルキルジチオリン酸亜鉛以外の摩耗防止 剤 をさらに含んでもよい。 例えば、 上記式で表され、 2 及び 3 が、 互いに独 立に、 水素原子、 または炭素数!〜 26の、 アルキル基でない一価炭化水素 基である化合物が挙げられる。 該一価炭化水素基としては、 炭素数 2〜26 のアルケニル基;炭素数 6〜 26のシクロアルキル基;炭素数 6〜 26のァ リール基、 アルキルァリール基またはァリールアルキル 基; またはエステル 結合、 エーテル結合、 アルコール基またはカルボキシル基を含む炭 化水素基 である。 R 2 及び R 3 は、 好ましくは炭素数 8〜1 8のシクロアルキル基、 炭 素数 8〜1 8のアルキルァリール基であり、 各々、 互いに同一であっても異 なっていてもよい。 また、 ジチ才力ルバミン酸亜鉛 (Z n DTC) を組合せ て使用してもよい。

[0046] また、 下記式 (5) 及び (6) で示されるホスフェート、 ホスフアイ 卜系 のリン化合物、 並びにそれらの金属塩及びアミン塩から選ば れる少なくとも 1種の化合物を併用することもできる。

[化 2] 上記一般式 (5) 中、 R 6 は炭素数 〜 30の一価炭化水素基であり、 R 4 及び R 5 は互いに独立に、 水素原子又は炭素数 1〜30の一価炭化水素基であ り、 kは 0又は 1である。

[化 3]

0

RH0 ; ~ P一 0一 R 8 (6)

0—— R 7 上記一般式 (6) 中、 R 9 は炭素数 1〜30の一価炭化水素基であり、 R 7 及び R 8 は互いに独立に水素原子又は炭素数 1〜 30の一価炭化水素基であり 、 tは 0又は 1である。

[0047] 上記一般式 (5) 及び (6) 中、 R 4 〜R 9で表される炭素数 1〜30の一 価炭化水素基としては、 例えば、 アルキル基、 シクロアルキル基、 アルケニ ル基、 アルキル置換シクロアルキル基、 ァリール基、 アルキル置換ァリール 基、 及びァリールアルキル基を挙げることができ る。 特には、 炭素数 〜 3 0のアルキル基、 又は炭素数 6〜24のァリール基であることが好ましく、 より好ましくは炭素数 3〜 1 8のアルキル基、 最も好ましくは炭素数 4〜 1 5のアルキル基である。

[0048] 上記一般式 (5 ) 及び (6 ) で表されるリン化合物としては、 例えば、 上 記炭素数 1 〜 3 0の炭化水素基を 1つ有する亜リン酸モノエステル及び (ヒ ドロカルビル) 亜ホスホン酸、 ホスホン酸モノエステル、 酸性リン酸モノエ ステル;上記炭素数 1 〜 3 0の炭化水素基を 2つ有する亜リン酸ジエステル 、 モノチ才亜リン酸ジエステル、 ホスホン酸ジエステル、 酸性リン酸ジエス テル及び (ヒドロカルビル) 亜ホスホン酸モノエステル;上記炭素数 〜 3 0の炭化水素基を 3つ有する亜リン酸トリエステル、 及び (ヒドロカルビル ) 亜ホスホン酸ジエステル;及びこれらの混合 物等が挙げられる。

[0049] 上記一般式 (5 ) 又は (6 ) で表されるリン化合物の金属塩又はアミン塩 は、 一般式 (5 ) 又は (6 ) で表されるリン化合物に、 金属酸化物、 金属水 酸化物、 金属炭酸塩、 金属塩化物等の金属塩基、 アンモニア、 炭素数 1 ~ 3 0の炭化水素基又はヒドロキシル基含有炭化 素基のみを分子中に有するァ ミン化合物等の窒素化合物等を作用させて、 残存する酸性水素の一部又は全 部を中和することにより得ることができる。 上記金属塩基における金属とし ては、 例えば、 リチウム、 ナトリウム、 カリウム、 セシウム等のアルカリ金 属、 カルシウム、 マグネシウム、 バリウム等のアルカリ土類金属、 亜鉛、 銅 、 鉄、 鉛、 ニッケル、 銀、 マンガン等の重金属 (但し、 モリブデンは除く) 等が挙げられる。 これらの中でも、 カルシウム、 マグネシウム等のアルカリ 土類金属及び亜鉛が好ましく、 亜鉛が特に好ましい。

[0050] ジアルキルジチ才リン酸亜鉛の添加量は上記 したようにジアルキルジチ才 リン酸亜鉛に由来するリン含有量が上述した 特定の範囲内になるように添加 されれば良い。 その他の摩耗防止剤を含む場合には、 ジアルキルジチ才リン 酸亜鉛を含めた摩耗防止剤全量として、 潤滑油組成物中に、 通常 0 . 1 〜5 質量%で、 好ましくは 0 . 2〜3質量%で配合されればよい。

[0051 ] ( C ) 分散剤

本発明の潤滑油組成物は好ましくは分散剤を 含む。 分散剤は従来より潤滑 油組成物に配合されていた公知の分散剤であ ればよい。 代表的な分散剤は無 灰分散剤である。 無灰分散剤はホウ素を含有する分散剤とホウ 素を含有しな い分散剤のいずれも使用することができ、 併用することもできるが、 特には ホウ素を含有しない無灰分散剤のみを使用す ることが好ましい。 分散剤の配 合量は、 組成物全量基準で 0 . 1 〜8質量%、 好ましくは 0 . 5〜5 . 5質 量%、 特に好ましくは 1 . 0〜 5 . 0質量%、 最も好ましくは 2 . 5〜4 . 0質量%であるのがよい。

[0052] 公知の無灰分散剤としては、 例えば、 炭素数 4 0〜 5 0 0、 好ましくは 6 0〜3 5 0の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はア ケニル基を分子中に 少なくとも 1個有する含窒素化合物又はその誘導体、 マンニッヒ系分散剤、 或いはモノタイプ又はビスタイプのコハク酸 イミ ドの誘導体 (例えば、 アル ケニルコハク酸イミ ドの構造を有する化合物) 、 炭素数 4 0〜 5 0 0のアル キル基又はアルケニル基を分子中に少なくと も 1個有するベンジルァミン、 或いは炭素数 4 0〜4 0 0のアルキル基又はアルケニル基を分子中に なく とも 1個有するポリアミン、 或いはこれらのホウ素化合物、 カルボン酸、 リ ン酸等による変性品等が挙げられる。 これらの中から任意に選ばれる 1種類 又は 2種類以上を配合することができる。 ホウ素含有無灰分散剤とは、 上記 した化合物をホウ素化合物により変性した化 合物である。 特に、 モノタイプ 又はビスタイプのコハク酸イミ ドの誘導体、 さらに特にはァルケニルコハク 酸イミ ド化合物を、 ホウ酸又はホウ酸塩等のホウ素化合物で変性 した (ホウ 素化した) 化合物が好ましい。

[0053] ホウ素含有無灰分散剤を用いる場合は、 組成物中に含まれるホウ素量が上 述した範囲を満たすような量で配合される。 ホウ素含有無灰分散剤とその他 のホウ素含有化合物とを併用する場合には、 組成物中に含まれるホウ素の合 計量が上述した範囲を満たすように調整され る。 ホウ素含有無灰分散剤中の ホウ素含有量にもよるが、 特にはホウ素含有無灰分散剤の配合量が、 組成物 全量基準で 0〜 1 . 5質量%、 好ましくは 0 . 0 0 1〜 . 0質量%、 より 好ましくは 0 . 0 1 〜0. 7 5質量 0 / 0 、 特に好ましくは 0 . 1 〜0 . 5質量 %であるのがよい。

ホウ素化されたコハク酸イミ ド誘導体は公知の方法で製造されるものであ り、 特に制限されない。 例えば、 モノタイプ又はビスタイプのコハク酸イミ ド誘導体は、 炭素数 4 0〜 5 0 0のアルキル基又はアルケニル基を有する化 合物を、 無水マレイン酸と 1 0 0〜2 0 O 'Cで反応させてアルキルコハク酸 又はアルケニルコハク酸を製造し、 該アルキルコハク酸又はアルケニルコハ ク酸とポリアミンとを反応させることにより 得られる。 ここで、 ポリアミン としては、 ジエチレン卜リアミン、 トリエチレンテ卜ラミン、 テトラエチレ ンペンタミン、 ペンタエチレンへキサミンが例示できる。 モノタイプのコハ ク酸イミ ド誘導体は例えば下記式 (a ) で表すことができる。 ビスタイプの コハク酸イミ ド誘導体は例えば下記式 (b ) で表すことができる。

[化 4]

[化 5]

上記式において、 R 'は互いに独立に炭素数 4 0〜4 0 0のアルキル基また はアルケニル基であり、 mは 1 〜2 0の整数であり、 nは 0〜2 0の整数で ある。 特にはビスタイプのコハク酸イミ ド化合物が好ましい。 コハク酸イミ ド誘導体は、 モノタイプ及びビスタイプの併用、 2種以上のモノタイプの併 用、 2種以上のビスタイプの併用であってもよい

上記コハク酸イミ ド誘導体とホウ素化合物とを反応させること により、 ホ ゥ素化されたコハク酸イミ ド誘導体が得られる。 ホウ素化合物とは、 ホウ酸 、 ホウ酸無水物、 ホウ酸エステル、 酸化ホウ素、 及びハロゲン化ホウ素など である。 ホウ素化コハク酸イミ ド誘導体は 1種単独であっても、 2種以上の 組合せであってもよい。

[0055] また他の無灰分散剤として含窒素化合物の誘 導体が知られている。 例えば 、 前述の含窒素化合物 (すなわち、 炭素数 4 0〜 5 0 0、 好ましくは 6 0〜 3 5 0の直鎖若しくは分枝状のアルキル基又はア ケニル基を分子中に少な くとも 1個有する含窒素化合物) に、 炭素数 1〜3 0の、 脂肪酸等のモノ力 ルボン酸や、 シユウ酸、 フタル酸、 トリメリッ ト酸、 ピロメリッ ト酸等の炭 素数 2〜3 0のポリカルボン酸若しくはこれらの無水物 又はエステル化合 物、 炭素数 2〜6のアルキレンオキサイ ド、 ヒドロキシ (ポリ) 才キシアル キレン力一ポネ一卜を反応させて、 残存するァミノ基及び/又はィミノ基の —部又は全部を中和したり、 アミ ド化した、 いわゆる含酸素有機化合物によ る変性化合物;前述の含窒素化合物にホウ酸 を作用させて、 残存するアミノ 基及び 又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、 アミ ド化した、 いわゆ るホゥ素変性化合物;前述の含窒素化合物に リン酸を作用させて、 残存する アミノ基及び 又はイミノ基の一部又は全部を中和したり、 アミ ド化した、 いわゆるリン酸変性化合物;前述の含窒素化 合物に硫黄化合物を作用させた 硫黄変性化合物;及び前述の含窒素化合物に 含酸素有機化合物による変性、 ホウ素変性、 リン酸変性、 硫黄変性から選ばれた 2種以上の変性を組み合わ せた変性化合物が挙げられる。

[0056] ホウ素含有無灰分散剤を含む場合には、 上述したホウ素含有無灰分散剤の 中でも特に、 上記アルケニルコハク酸イミ ド誘導体のホウ酸変性化合物、 特 にビスタイプのアルケニルコハク酸イミ ド誘導体のホウ酸変性化合物が、 上 述の基油と併用することで耐熱性を更に向上 させることができるため好まし い。

[0057] 無灰分散剤の数平均分子量 (M n ) は、 限定的ではないが 2 0 0 0以上で あることが好ましく、 より好ましくは 2 5 0 0以上、 より一層好ましくは 3 0 0 0以上、 最も好ましくは 5 0 0 0以上であり、 また、 1 5 0 0 0以下で あることが好ましい。 無灰分散剤の数平均分子量が上記下限値未満 では、 分 散性が十分でない可能性がある。 一方、 無灰分散剤の数平均分子量が上記上 限値を超えると、 粘度が高すぎ、 流動性が不十分となり、 デポジッ ト増加の 原因となるおそれがある。

[0058] その他のホウ素含有化合物として、 ホウ酸アルカリ系添加剤を添加するこ とができる。 ホウ酸アルカリ系添加剤は、 アルカリ金属ホウ酸塩水和物を含 有するものであり、 下記一般式で表すことができる。

M 2 0 · X B 2 0 3 · y H 2 0

上記式中、 Mはアルカリ金属であり、 Xは 2 . 5〜4 . 5、 yは 1 . 0〜 4 . 8である。 例えば、 ホウ酸リチウム水和物、 ホウ酸ナトリウム水和物、 ホウ酸力リゥム水和物、 ホウ酸ルビジウム水和物及びホウ酸セシウム 水和物 等を挙げることができるが、 ホウ酸力リゥム水和物及びホウ酸ナ卜リゥム 水 和物が好ましく、 特に、 ホウ酸カリウム水和物が好ましい。 アルカリ金属ホ ゥ酸塩水和物粒子の平均粒径は、 一般に 1 ミクロン ( m ) 以下である。 本 発明に用いられるアル力リ金属ホウ酸塩水和 物において、 ホウ素とアル力リ 金属の比は約 2 . 5 : 1 〜4 . 5 : 1の範囲にあることが好ましい。 ホウ酸 アル力リ系添加剤の添加量は、 上記のホウ素含有無灰分散剤のホウ素と併せ て、 ホウ素量として潤滑油組成物全量基準で 0質量 p p m以上 1 0 0質量 p p m未満となる量である。

[0059] 更に他のホウ素含有化合物として、 メタホウ酸カリウム、 四ホウ酸力リウ ム、 五ホウ酸カリウム、 六ホウ酸カリウム、 八ホウ酸カリウム等のホウ酸力 リウム、 ホウ酸カルシウムスルホネート、 及びホウ酸カルシウムサリシレ一 卜、 卜リブチルボレー卜等が挙げられる。

[0060] 本発明の潤滑油組成物は、 上述した成分以外に、 任意成分として、 従来公 知の各種添加剤を含んでいてもよい。 例えば、 モリブデン系摩擦調整剤、 又 は粘度指数向上剤を含むことができる。

[0061 ] ( D ) モリブデン系摩擦調整剤 モリブデンを有する摩擦調整剤 (以下、 モリブデン系摩擦調整剤という) は特に制限されず、 従来公知のものを使用することができる。 モリブデン系 摩擦調整剤とはモリブデンを有する化合物で あり、 例えば、 モリブデンジチ 才ホスフエ一卜 (MoDTP) およびモリブデンジチ才力一バメート (Mo DTC) 等の硫黄を含有する有機モリブデン化合物、 モリブデン化合物と硫 黄含有有機化合物又はその他の有機化合物と の錯体、 ならびに硫化モリブデ ンおよび硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリ ブデン化合物とアルケニルコハ ク酸イミ ドとの錯体等を挙げることができる。 上記モリブデン化合物として は、 例えば、 二酸化モリブデンおよび三酸化モリブデン等 の酸化モリブデン 、 オルトモリブデン酸、 パラモリブデン酸および (ポリ) 硫化モリブデン酸 等のモリブデン酸、 これらモリブデン酸の金属塩およびアンモニ ゥム塩等の モリブデン酸塩、 二硫化モリブデン、 三硫化モリブデン、 五硫化モリブデン およびポリ硫化モリブデン等の硫化モリブデ ン、 硫化モリブデン酸、 硫化モ リブデン酸の金属塩又はアミン塩、 塩化モリブデン等のハロゲン化モリブデ ン等が挙げられる。 上記硫黄含有有機化合物としては、 例えば、 アルキル ( チ才) キサンテート、 チアジアゾ一ル、 メルカプトチアジアゾ一ル、 チ才力 —ポネ一卜、 テトラハイ ドロカルビルチウラムジスルフィ ド、 ビス (ジ (チ 才) ハイ ドロカルビルジチォホスホネ一卜) ジスルフィ ド、 有機 (ポリ) サ ルファイ ドおよび硫化エステル等が挙げられる。 特に、 モリブデンジチ才ホ スフエ一卜 (Mo DTP) およびモリブデンジチ才力一バメート (Mo DT C) 等の有機モリブデン化合物が好ましい。

モリブデンジチ才力一バメート (Mo DTC) は下記式 [ I ] で表される 化合物であり、 モリブデンジチ才ホスフエ一卜 (Mo DTP) は下記 [ I I ] で表される化合物である。 [化 6]

[ I ]

[化 7]

[0064] 上記一般式 [门 および [ I 门 において、 R i〜R 8 は、 互いに同一であ つても異なっていてもよく、 炭素数 1〜3 0の一価炭化水素基である。 炭化 水素基は直鎖状でも分岐状でもよい。 該一価炭化水素基としては、 炭素数 1 〜3 0の直鎖状または分岐状アルキル基;炭素数 2〜3 0のアルケニル基; 炭素数 4 ~ 3 0のシクロアルキル基;炭素数 6〜 3 0のァリール基、 アルキ ルァリ一ル基またはァリールアルキル基等を 挙げることができる。 ァリール アルキル基において、 アルキル基の結合位置は任意である。 より詳細には、 アルキル基としては、 例えば、 メチル基、 ェチル基、 プロピル基、 ブチル基 、 ペンチル基、 へキシル基、 ヘプチル基、 才クチル基、 ノニル基、 デシル基 、 ゥンデシル基、 ドデシル基、 トリデシル基、 テトラデシル基、 ペンタデシ ル基、 へキサデシル基、 ヘプタデシル基および才クタデシル基等、 およびこ れらの分岐状アルキル基を挙げることができ 、 特に炭素数 3〜 8のアルキル 基が好ましい。 また、 X ,および X 2 は酸素原子または硫黄原子であり、 Y,お よび Y 2 は酸素原子または硫黄原子である。

[0065] 摩擦調整剤として、 硫黄を含まない有機モリブデン化合物も使用 できる。

このような化合物としては、 例えば、 モリブデン一アミン錯体、 モリブデン ーコハク酸イミ ド錯体、 有機酸のモリブデン塩、 およびアルコールのモリブ デン塩等が挙げられる。 [0066] さらに本発明における摩擦調整剤として、 米国特許第 5, 906, 968 号に記載されている三核モリブデン化合物を 用いることもできる。

[0067] 摩擦調整剤は、 潤滑油組成物全体の質量に対するモリブデン の質量 p p m としての濃度 [Mo] が 200~ 1 400質量 p pm、 好ましくは 300〜 1 200質量卩 、 更に好ましくは 400〜1 000質量 p pm、 最も好 ましくは 500〜 900質量 p pmの範囲となるような量で添加される。 摩 擦調整剤の量が上記上限を超えると、 清浄性が悪化する場合があり、 上記下 限未満であると、 摩擦を十分に低減することができなかったり 、 清浄性が悪 ィ匕したりする場合がある。

[0068] 摩擦調整剤は、 好ましくは下記式 (2) :

[Mg] / [Mo] <2. 5 (2)

を満たす量で含まれる。 [Mo] は潤滑油組成物の質量に対するモリブデン の質量 P P mによる濃度である。

[Mg] Z [Mo] の値は、 より好ましくは 2. 0以下、 さらに好ましく は 1. 8以下、 さらにより好ましくは 1. 5以下である。 [Mg] [Mo ] の下限値は好ましくは 0. 1、 より好ましくは 0. 2、 さらに好ましくは 0. 3である。

[0069] (E) 粘度指数向上剤

粘度指数向上剤として、 例えば、 ポリメタァクリレー卜、 分散型ポリメタ ァクリレート、 才レフィンコポリマー (ポリイソプチレン、 エチレン一プロ ピレン共重合体) 、 分散型才レフィンコポリマ一、 ポリアルキルスチレン、 スチレン一ブタジエン水添共重合体、 スチレン一無水マレイン酸エステル共 重合体、 星状イソプレン等を含むものが挙げられる。 さらに、 少なくともポ リオレフインマクロマ一に基づく繰返し単位 と炭素数 1〜30のアルキル基 を有するアルキル (メタ) ァクリレートに基づく繰返し単位とを主鎖に 含む 櫛形ポリマーを用いることもできる。

[0070] 粘度指数向上剤は通常、 上記ポリマーと希釈油とから成る。 粘度指数向上 剤の含有量は、 組成物全体の質量に対する該粘度指数向上剤 に含まれるポリ マ一量として、 好ましくは 1 . 0質量%以下であり、 より好ましくは 0 . 5 質量%以下、 更に好ましくは 0 . 2質量%以下、 特に好ましくは 0 . 1質量 %以下である。 潤滑油組成物をより低粘度化するには粘度指 数向上剤の含有 量はできるだけ少ないことが好ましく、 粘度指数向上剤を全く含まないこと (ポリマ一量として 0質量%) が最も好ましい。

[0071 ] 本発明の潤滑油組成物は、 その性能を向上させるために、 目的に応じてそ の他の添加剤をさらに含有することができる 。 その他の添加剤としては一般 的に潤滑油組成物に使用されているものを使 用できるが、 例えば、 酸化防止 剤、 上記以外の摩擦調整剤、 腐食防止剤、 防錡剤、 流動点降下剤、 抗乳化剤 、 金属不活性化剤および消泡剤等の添加剤等を 挙げることができる。

[0072] 上記酸化防止剤としては、 フエノール系、 アミン系等の無灰酸化防止剤、 銅系、 モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げら れる。 例えば、 フエノー ル系無灰酸化防止剤としては、 4, 4 ' ーメチレンビス (2, 6—ジー t e r t—プチルフエノール) 、 4, 4 ' 一ビス (2, 6—ジー t e r t—プチ ルフエノール) 、 イソ才クチルー 3— (3, 5—ジー t一プチルー 4ーヒド ロキシフエニル) プロピオネート等が、 アミン系無灰酸化防止剤としては、 フエ二ルー α—ナフチルァミン、 アルキルフエ二ルー α—ナフチルァミン、 ジアルキルジフエニルァミン等が挙げられる 。 酸化防止剤は、 通常、 潤滑油 組成物中に 0 . 〜 5質量%で配合される。

[0073] 上記以外の摩擦調整剤としては、 例えばエステル、 ァミン、 アミ ド、 硫化 エステルなどが挙げられる。 上記摩擦調整剤は、 通常、 潤滑油組成物中に 0 . 0 1 ~ 3質量%で配合される。

[0074] 上記腐食防止剤としては、 例えば、 ベンゾ卜リアゾ一ル系、 トリル卜リア ゾ一ル系、 チアジアゾール系、 イミダゾ一ル系化合物等が挙げられる。 上記 防鯖剤としては、 例えば、 石油スルホネ一卜、 アルキルベンゼンスルホネ一 卜、 ジノニルナフタレンスルホネート、 アルケニルコハク酸エステル、 多価 アルコールエステル等が挙げられる。 腐食防止剤及び防錡剤は、 通常、 潤滑 油組成物中にそれぞれ 0 . 0 1 〜5質量%で配合される。 [0075] 上記流動点降下剤としては、 例えば、 使用する潤滑油基油に適合するポリ メタクリレート系のポリマー等が使用できる 。 流動点降下剤は、 通常、 潤滑 油組成物中に 0. 01 ~3質量%で配される。

[0076] 上記抗乳化剤としては、 例えば、 ポリオキシエチレンアルキルエーテル、 ポリオキシエチレンアルキルフエ二ルェ一テ ル、 ポリオキシエチレンアルキ ルナフチルエーテル等のポリアルキレングリ コール系非ィォン系界面活性剤 等が挙げられる。 抗乳化剤は、 通常、 潤滑油組成物中に 0. 01 ~5質量% で配合される。

[0077] 上記金属不活性化剤としては、 例えば、 イミダゾリン、 ピリミジン誘導体 、 アルキルチアジアゾ一ル、 メルカプトべンゾチアゾ一ル、 ベンゾ卜リアゾ —ル又はその誘導体、 1, 3, 4ーチアジアゾールポリスルフイ ド、 1, 3 , 4ーチアジアゾリルー 2, 5—ビスジアルキルジチ才力一バメ一卜、 2— (アルキルジチ才) ベンゾイミダゾ一ル、 9一 (o—カルボキシベンジルチ 才) プロピオンニトリル等が挙げられる。 金属不活性化剤は、 通常、 潤滑油 組成物中に 0. 01〜3質量%で配合される。

[0078] 上記消泡剤としては、 例えば、 25 °Cにおける動粘度が 1 000〜 1 0万 mm 2 / sのシリコーンオイル、 アルケニルコハク酸誘導体、 ポリヒドロキシ 脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、 メチルサリチレ一卜と o—ヒド ロキシベンジルアルコール等が挙げられる。 消泡剤は、 通常、 潤滑油組成物 中に 0. 001〜 1質量%で配合される。

[0079] 本発明の潤滑油組成物の一 35°Cでの CCS粘度は制限されないが、 好ま しくは 6. 2 P a · s以下、 より好ましくは 5. 0 P a · s以下、 更に好ま しくは 4. 0 P a ■ s以下、 特に好ましくは 3. 0 P a · s以下、 最も好ま しくは 2. 6 P a · s以下である。

[0080] 本発明の潤滑油組成物は、 モリブデンが含まれる場合は、 潤滑油組成物中 に含まれるモリブデン量と一 35°Cでの CCS粘度が、 以下の式 (7) を満 たすことが好ましい。

[CCS粘度] / [Mo] ≤0. 01 (7) [CCS粘度] は潤滑油組成物の一 35 °Cにおける CCS粘度の値 (P a • s) を示し、 [Mo] は潤滑油組成物の質量に対するモリブデンの 質量 p P mによる濃度を示す。

[CCS粘度] / [Mo] の値は、 より好ましくは 0. 008以下、 さら に好ましくは 0. 005以下である。 上記値が 0. 0〗 を超えるとトルク低 減率が小さくなつたり、 清浄性が悪化したりすることがある。 [ C C S粘度 ] / [Mo] の下限値は限定的でないが、 好ましくは 0. 002、 より好ま しくは 0. 003である。

[0081] 本発明の潤滑油組成物の 1 50°Cでの高温高せん断粘度 (H T H S粘度) は制限されないが、 1. 3mP a ' s〜2. 3 m P a · s未満、 好ましくは 1. 5mPa ' s〜2. 0 m P a · s未満、 より好ましくは 1. 6〜 1. 9 m P a · sである。

[0082] 本発明の潤滑油組成物の 1 00 での動粘度は制限されないが、 好ましく は 6. l mm 2 /s未満、 より好ましくは 5. 8 mm 2 ノ s未満、 更に好まし くは 5. 4 mm 2 / s未満である。 下限値は好ましくは 3. 0 mm 2 /s, よ り好ましくは 3. 5 mm 2 /s, 更に好ましくは 3. 8mm 2 /s、 最も好ま しくは 4. 0mm 2 /sである。

[0083] 本発明によれば、 上記のように低粘度化された潤滑油組成物で あっても十 分な摩擦特性を有することができる。 本発明の潤滑油組成物は、 内燃機関用 として、 さらに過給ガソリンエンジン用として好適に 用いることができる。 実施例

[0084] 以下、 本発明を、 実施例及び比較例によってより詳細に示すが 、 本発明は 下記実施例に限定されない。

[0085] 実施例および比較例で使用した材料は以下の 通りである。

潤滑油基油

GT L由来基油 ( 1 00°Cでの動粘度 =3. 9 mmVs, V 1 = 1 27) [0086] (A) マグネシウム系清浄剤

マグネシウムスルホネート (全塩基価 40 Om g KOH/g、 マグネシゥ ム含有量 9. 4質量%)

(Α' ) カルシウム系清浄剤

カルシウムサリシレー卜 (全塩基価 1 46m g KOH/g、 カルシウム含 有量 5. 2質量%)

(B) ジアルキルチ才リン酸亜鉛 (摩耗防止剤)

( B— 1 ) 摩耗防止剤 1 :

P r i -Z n DT P (下記式 (4) で表され R 2 及び R 3 が共に炭素数 8の 第一級アルキル基である化合物)

[化 8]

(B-2) 摩耗防止剤 2 :

S e c-Z n DT P (上記式 (4) で表され、 R 2 が炭素数 4の第二級アル キル基であり、 R 3 が炭素数 6の第二級アルキル基である化合物)

[0088] (C) 無灰分散剤

(C一 1 ) ホウ素を有する無灰分散剤:

ホウ素化コハク酸イミ ド化合物 (上記した式 (b) で表され、 R 1 がポリブ テニルであり、 n =4〜1 2の混合物、 ホウ素含有量 0. 7質量%、 窒素含 有量 2質量%)

(C-2) ホウ素を有さない無灰分散剤:

コハク酸イミ ド化合物 (上記した式 (b) で表され、 R,がポリブテニルで あり、 n = 4〜 1 2の混合物、 窒素含有量 1質量%)

[0089] (D) 摩擦調整剤

モリブデン系摩擦調整剤: Mo DT P (モリブデン含有量 1 0質量%)

[0090] (E) 粘度指数向上剤

ポリメタクリレ一卜 (Mw=350, 000) [0091] その他の添加剤

酸化防止剤: フエノール系酸化防止剤

消泡剤: ジメチルシリコーン

[0092] 実施例 1〜 9および比較例 1〜 8

表 1又は 3に示す量の各成分を混合して潤滑油組成物 調製した。 表に記 載の質量部は、 潤滑油組成物の総量 (1 00質量部) に対する質量部である 。 表に記載のマグネシウム系清浄剤、 カルシウム系清浄剤、 及びモリブデン 系摩擦調整剤の量は、 それぞれマグネシウム、 カルシウム及びモリブデンの 含有量に換算した潤滑油組成物の総量に対す る質量 P pm (順に [Mg] 、 [C a] 、 及び [Mo] ) である。 表に記載の B量とは、 潤滑油組成物の総 量に対するホウ素の質量 p pmである。 (B) 摩耗防止剤は、 潤滑油組成物 の総量 (1 00質量部) に対して合計 1質量部を配合した。 表に、 該 1質量 部中の (B— 1 ) 摩耗防止剤 (第〗級アルキル基を有するジアルキルジチ 才 リン酸亜鉛) と (B— 2) 摩耗防止剤 (第 2級アルキル基を有するジアルキ ルジチ才リン酸亜鉛) の質量割合 ( (B— 1 ) / (B-2) (質量割合) ) を記載した。 ただし、 実施例 7における摩耗防止剤の使用量は、 潤滑油組成 物の総量 (1 00質量部) に対して合計 0. 5質量部であり、 0. 5質量部 中の (B— 1 ) 摩耗防止剤 (第 1級アルキル基を有するジアルキルジチオリ ン酸亜鉛) と (B— 2) 摩耗防止剤 (第 2級アルキル基を有するジアルキル ジチォリン酸亜鉛) の質量割合 ( (B— 1 ) / (B-2) (質量割合) ) を 記載した。 また、 表に記載の P量とは潤滑油組成物の総量に対するリンの 量 p p mである。

なお、 マグネシウム系清浄剤とカルシウム系清浄剤 の量は、 これらの清浄 剤に含まれるマグネシウムとカルシウムの合 計モル量が全ての実施例および 比較例においてなるべく同一であるようにし た。

[0093] 得られた組成物について、 以下の試験を行った。 結果を表 2及び 4に示す

[0094] (1 ) 1 50°Cでの高温高せん断粘度 (HTH S 1 50) ASTMD4683に準拠して測定した。

[0095] (2) 一 35°Cでの CCS粘度 (CCS粘度)

ASTMD 5293に準拠して測定した。

[0096] (3) 1 00°Cでの動粘度 (K V 1 00)

ASTMD445に準拠し、 1 00°Cで測定した。

[0097] (4) 摩擦係数

摩擦係数は以下の方法に従い測定された。 該測定の態様を示す模式図を図 3に示す。

プレート試験片 (材質: A I S I 521 00 s t e e I ) からなる P CS I n s t r ume n t s社製標準試験片 (図 3の符号 3) と、 相手と なる直径 0. 75インチのボール試験片 (材質: A I S I 521 00 s t e e I ) からなる PC S I n s t r u m e n t s社製標準試験片 (図 3 の符号 2) を用いて、 各潤滑油組成物 (図 3の符号 4) についてボールオン ディスク摩擦試験を行った。 試験荷重 37 N (図 3の符号 1 ) 、 すべり率 5 0%、 油温 60°C (—定) として、 2時間のボールオンディスク摩擦試験を 行い、 2時間経過時点の摩擦係数を本試験における 擦係数とした。 摩擦係 数が 0. 038以下のものを合格とした。

[0098] (5) ホッ 卜チューブ試験 (高温清浄性の評価)

内径 2 mmのガラス管中に、 潤滑油組成物を 0. 3ミリリッ トル 時で、 空気を 1 0ミリリツ トル 秒で、 ガラス管の温度を 280°Cに保ちながら 1 6時間流し続けた。 ガラス管中に付着したラッカ一と色見本とを 比較し、 透 明の場合は 1 0点、 黒の場合は 0点として評点を付けた。 評点が高いほど高 温清浄性が良いことを示す。 評点が 5. 5以上のものを合格とした。

[0099] ? S

表 2

〔〕誦

〕〔〕 〔 表 4

[0103] 表 2に示される通り、 本発明の潤滑油組成物は 1 00°Cにおける動粘度 6 . 1 mm 2 Zs未満という低粘度下においても摩擦を 減することができ、 且 つ、 高温清浄性が高い。

産業上の利用可能性

[0104] 本発明の潤滑油組成物は、 低粘度化した場合においても、 摩擦を低減する ことができるという効果を奏し、 好適な態様としては内燃機関用の潤滑油組 成物、 さらには過給ガソリンエンジン用の潤滑油組 成物として好適である。 符号の説明

[0105] 1. 荷重

2. ボール試験片

3. プレー卜試験片

4. 潤滑油組成物