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Title:
MAGNETIC CORE FOR ANTENNA, METHOD FOR PRODUCING MAGNETIC CORE FOR ANTENNA, AND ANTENNA
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/133026
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a magnetic core for antenna wherein thin metal strips are laminated. This method for producing a magnetic core for antenna is characterized in that a metal thin band is processed into strips having a width of the aimed magnetic core for antenna, then the thin strips are stacked through a resin layer to form a laminate, and after that the laminate is cut into a length of the aimed magnetic core for antenna.

Inventors:
KISHI DAISUKE (JP)
MORITSUGU NAKAO (JP)
FURUI YOSHITSUGU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/057102
Publication Date:
November 06, 2008
Filing Date:
April 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI METALS LTD (JP)
KISHI DAISUKE (JP)
MORITSUGU NAKAO (JP)
FURUI YOSHITSUGU (JP)
International Classes:
H01F41/02; H01F17/04; H01F27/24; H01Q7/06
Domestic Patent References:
WO2005041224A12005-05-06
WO2003060175A12003-07-24
Foreign References:
JPH05267922A1993-10-15
JPH07278763A1995-10-24
JP2005129767A2005-05-19
JPS62218036A1987-09-25
JPS62140408A1987-06-24
JP2004166071A2004-06-10
JPH07278763A1995-10-24
Other References:
See also references of EP 2139011A4
Attorney, Agent or Firm:
ASAMURA, Kiyoshi et al. (New Ohtemachi Bldg. 2-1,Ohtemachi 2-chome, Chiyoda-ku, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 金属薄帯を積層したアンテナ用磁心の製造方法であって、
 金属薄帯をアンテナ用磁心の幅寸法を持つ細帯状の薄帯に加工する段階と、
 この細帯状の薄帯を樹脂層を介して積層して積層体とする段階と、
 その後、前記積層体をアンテナ用磁心の長手寸法に切断する段階を有することを特徴とする、アンテナ用磁心の製造方法。
 前記アンテナ用磁心は、金属薄帯、細帯状の薄帯、積層体のいずれかの状態で幅方向に磁気異方性が付与され、その後、この幅方向に沿って切断することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ用磁心の製造方法。
 前記金属薄帯を細帯状の薄帯に加工する段階が、スリット加工を用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアンテナ用磁心の製造方法。
 前記細帯状の薄帯を幅が5mm以下になるように加工することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のアンテナ用磁心の製造方法。
 前記樹脂層に熱硬化性ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸溶液を用いることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のアンテナ用磁心の製造方法。
 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたアンテナ用磁心であって、直方体形状を有し、短辺側の積層面で観察される金属薄帯同士の凹凸よりも、長辺側の積層面の凹凸の方が大きいことを特徴とするアンテナ用磁心。
 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載されたアンテナ用磁心であって、直方体形状を有し、短辺側の積層面にのみ平行な加工痕が観察されることを特徴とするアンテナ用磁心。
 前記アンテナ用磁心は幅が5mm以下であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のアンテナ用磁心。
 請求項6から請求項8までのいずれか1項に記載のアンテナ用磁心を用いたアンテナ。
Description:
アンテナ用磁心、アンテナ用磁 の製造方法、およびアンテナ

 本発明は、車両のキーレスエントリーシ テムなどに使用される、軟磁性の金属薄帯 積層して使用される棒状のアンテナ用磁心 及びそのアンテナ用磁心を用いたアンテナ 関する。

 従来、車両のキーレスエントリーシステム どに使用されるRFID(無線ICタグ)用のアンテ として、フェライト磁心を使用したものが いられていた。しかし、フェライトは脆い めにわずかに変形しただけでも割れが発生 る問題があり、キーを地面に落とした場合 ズボンのポケット等に入れ持ち歩いたりす 場合に衝撃を受けて割れが発生し、特性が 下する問題がある。この問題を解決するた に、アンテナ用磁心の材料にアモルファス 属薄帯を用い、これを積層して磁心に用い ことが行われている。
 例えば、特許文献1では、アモルファス金属 薄帯を板状のボビンに巻きまわし、これにコ イルを巻いてアンテナ用磁心とすることが開 示されている。これにより、磁心の端部に任 意の曲面や厚みが得られ、アンテナ用磁心の 送受信性能のバラツキを防止できることが開 示されている。

 近年のRFID用のアンテナ用磁心には、さらな る薄型化と高磁気特性(低損失、高透磁率、 磁束密度)が要求されている。そのため、前 のような厚みのある芯材を使用するアンテ の他に、特許文献2に開示されるような、金 属薄帯を積層した磁心の検討が継続されてい る。これは、アモルファス金属薄帯やナノ結 晶金属薄帯等の高磁気特性の金属薄帯同士を 積層一体化したものである。
 金属薄帯の表面には樹脂等の接着剤を塗布 ており、その後、ホットプレスなどを用い 圧着される。これらの技術は例えば特許文 3などにも開示されている。

特開2004-166071号公報

特開平7-278763号公報

WO2003/060175

 しかし、このようなアモルファス軟磁性薄 材料を使用した磁心を用いたアンテナで細 い形状のものを製造しようとすると、十分 Q値が得られないという問題がある。ここで 、Q値は、Q=ωL/R (ω=2πf, L:インダクタンス, R :コイルの損失を含む抵抗)で定義される。
 また、従来では、薄帯をアンテナ寸法に切 した後に積層してアンテナとしているが、 の方法では小さな軟磁性薄帯を積層しなけ ばならず、作業効率が非常に悪い。作業効 を上げるには、ある程度の大きさの軟磁性 帯を積層した後に、所望のアンテナ形状に 工することが望ましい。
 従って、本発明は、安易な工程で製造が可 であり、かつ、高いQ値(すなわちアンテナ 性)を持つアンテナ用磁心、及びそのアンテ 用磁心を用いた高性能なアンテナを提供す ことを課題とする。

 本発明は、金属薄帯を積層したアンテナ用 心の製造方法であって、金属薄帯をアンテ 用磁心の幅寸法を持つ細帯状の薄帯に加工 、この細帯状の薄帯を樹脂層を介して積層 て積層体とし、その後、前記積層体をアン ナ用磁心の長手寸法に切断することを特徴 する。
 このアンテナ用磁心は、金属薄帯、細帯状 薄帯、積層体のいずれかの状態で幅方向に 気異方性が付与され、その後、この幅方向 沿って切断することが好ましい。
 ここで幅方向とはアンテナ用磁心の短辺と る面に沿った方向であるが、必ずしも長手 向に垂直方向でなくともよいが、20度以内 留めた方が加工性および製品の機械的強度 どの点から好ましい。

 この連続した金属薄帯を加工する手段と てスリット加工を用いることが好ましい。 た、細帯状の薄帯の幅は5mm以下とすること 好ましい。

 樹脂層は熱硬化性のポリイミド樹脂の前 体であるポリアミック酸溶液を塗布したも が耐熱性に優れており好ましく、特に自動 用途のアンテナに適用できる。

 本発明は、金属薄帯の積層体からなる直 体形状のアンテナ用磁心であって、短辺側 積層面で観察される金属薄帯同士の凹凸よ も、長辺側の積層面の凹凸の方が大きいこ を特徴とする。また、短辺側の積層面にの 平行な加工痕が観察されることを特徴とす 。

 アンテナ用磁心の幅は5mm以下とすること 好ましい。また、アンテナ用磁心は幅と長 方向の長さの比が3以上であるが好ましい。

 金属薄帯として、ロール急冷法により連続 に帯状に製造した厚さ5~100μmの金属薄帯、 しくは、そのロール急冷法により製造した 属薄帯を長さ50mm以上の大きさに切断したも が好ましい。例えば面積で1000mm 2 以上のものを指す。

 薄い金属薄帯を用いて積層体としたアン ナ用磁心では、渦電流損失が少なくなり、Q 値が向上する。本発明では、ロール急冷法に より製造した帯状の金属薄帯そのもの、もし くは金属薄帯の積層体に磁場中熱処理を施し て誘導磁気異方性を金属薄帯の全面に付与す る。磁場中熱処理における磁場の印加方向は 、アンテナ用磁心とする場合の短辺方向、換 言すると幅方向もしくは厚み方向である。こ の方向に磁場を印加することでアンテナ特性 Qが高まる。

 金属薄帯同士をポリイミド樹脂等の絶縁 を介して積層する。積層体の製造方法は、 プレス圧着でもよいが、ロールプレス法が 層の連続化が図れて好ましい。その積層体 ら金属薄帯の幅方向に沿ってのみを切断し アンテナ用磁心を切り出す。長辺側の積層 を加工してしまうと、積層体のアンテナ特 Qが極端に低下してしまう。この理由として 、積層面の加工面積が大きくなると、加工歪 が残り付与した誘導磁気異方性が乱れること 、および、加工による金属薄帯や樹脂の切削 屑が金属薄帯間に入り込み金属薄帯間が導通 して渦電流損失が増大しやすくなることが推 定される。

 金属薄帯を磁場中で熱処理することで誘導 気異方性を付与することができる。アンテ 特性Qを高めるためには、磁束発生方向に対 して垂直方向(金属薄帯の幅方向または厚さ 向)に誘導磁気異方性を付与することが好ま い。
 また、連続した金属薄帯もしくは積層体に 導磁気異方性を付与した後、その金属薄帯 しくは積層体の短辺側の最端部は切除する とが好ましい。短辺側の最端部は反磁界の 響を受けて磁気異方性が十分に付与されて らず、この部分をアンテナ用磁心とすると ンテナ特性が下げってしまう。切除する最 部からの範囲は1mm以上、さらには2mm以上が ましい。
 積層体をアンテナ用磁心の寸法に幅寸法、 手寸法とも加工した後に磁場中熱処理をす と、この反磁界の影響を受けた端部をその まアンテナ用磁心として使用しなければな ない。そうならないよう、少なくとも長手 法よりも長い積層体に磁場中熱処理を施し その後、長手寸法になるように幅方向に沿 て加工する必要がある。好ましくは、長軸 積層体に磁場中熱処理を施し、その後、所 の長手寸法になるように幅方向に沿って切 していけば無駄な切除部分を出さずにアン ナ用磁心が作製できる。

 前記アンテナ用磁心の幅が5mm以下のものに 発明を適用することが好ましい。前記した うに、幅が小さいほど磁場を印加した場合 反磁界が大きくなる。そのため、磁場中熱 理を未だ端部が形成されていない金属薄帯 積層体の時に行い、その後に加工する本発 の製造方法は、幅が5mm以下の磁気異方性を 与しずらいアンテナの製造方法として特に ましい。
 さらに、幅が5mmを超えてしまうと、熱硬化 樹脂などを接着剤として用いた場合、積層 で剥離が生じやすくなる。これは、乾燥工 や磁場中熱処理などで樹脂に熱がかかると 脂中からガスが発生し、積層の接着面がガ によって小さくなるためである。幅が5mm以 であれば、発生したガスは積層体の側面か 逃げるため、この剥離の問題が少なくなる

 金属薄帯は、特に厚さが30μm以下のもの よい。30μmを越えるとQ値が著しく低下しア テナとしての感度が低下する、出力信号の ベルが低下する等実用的でなくなるためで る。20μm以下がさらに好ましく、18μm以下が らに好ましい。

 金属薄帯同士は、樹脂により接着すると に、金属薄帯同士の層間を電気的に絶縁で る。樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリ ミドイミド樹脂、エポキシ樹脂などが使用 きる。樹脂は、液体状のものを塗布するの 生産性の点から良好である。

 誘導磁気異方性を付与する方法としては 例えば、磁場を印加しながらキュリ-温度以 下で熱処理する。アンテナ用としては300℃以 下で、かつ材料のキュリ-温度以下の比較的 い温度で磁場中熱処理する方法が、脆化も なく特性もむしろ改善されるため好ましい 材料の比初透磁率は、あまり高くない方が10 0kHz~150kHzのQ値改善には効果があり、用いられ る用途により適宜選択すればよい。

 金属薄帯は、(Fe,Co)SiB系のアモルファス薄帯 であることが好ましい。アンテナ特性を重視 する場合は、特にCoSiB系のアモルファス薄帯 好ましい。また、アンテナ用途ではFeSiB系 アモルファス薄帯も強度を高くできるため ましい。
 なお、FeSiCuB系などに代表されるナノ結晶金 属薄帯があるが、ナノ結晶金属薄帯を製造す るには金属薄帯を共晶温度以上で熱処理する 為、合金の薄帯が脆化するので取扱いに注意 する必要がある。

 CoSiB系の金属薄帯は、一般式:(Co 1-a Fe a ) 100-b-c-d Si b B c M d (原子%、ここで、MはCr,Mn,Ti,Zr,Mo,W,Ni,Hf,Nb,Ta,Cu ら選ばれた少なくとも一種の元素を示し、a, b,c,及びdはそれぞれ0≦a≦0.2、1≦b≦18、5≦c 15、0≦d≦20、を満足する。)で表されるもの 好ましい。また、不可避の不純物を総量(原 子%)で1%以下なら含んでもよい。薄帯の合金 成のMは、アンテナ特性Q値を改善する効果や 耐蝕性を改善する効果を有する。

 Feの組成比aが0.2を越えると磁歪が増加し 形や樹脂による接着等によりQ値が低下しや すくなる。Si量b、B量cは1≦b≦18、5≦c≦15の 囲が好ましい。RFIDなどに用いられるアンテ は使用環境が30~200kHzであり、Si量b、B量cが 記の添加範囲にないと、RFID用途として結う うなアンテナ特性Q値が得られなくなる。

 次に、本発明に係るアンテナ用磁心の製 方法の一例をプロセス順に詳細に説明する プロセス順とは、(ロール冷却)、(スリット 工)、(樹脂の塗布乾燥)、(積層工程)、(圧着 程)、(焼鈍熱処理工程)である。

(ロール冷却)
 金属薄帯は、融点以上(通常のFe系、Co系材 では1000℃~1500℃程度)に加熱した合金溶湯を スリットを有するノズルから回転する金属 の冷却ロール上に噴出し製造する(単ロール 法)。
 出湯に使用するノズルスリットの幅は、製 する薄帯の厚さ×0.3~0.8mm程度の形状が好ま い。ノズル材質は、石英、シリコンナイト イド、BN等のセラミックスが用いられる。多 重スリットを使用して製造する場合もある。 単ロール法において、合金溶湯出湯中の冷却 ロールとノズル先端との間隔(ギャップ)は20μ m以上500μm以下であり、通常250μm以下である
 特に、金属薄帯の冷却ロールからの剥離を ノズルスリット直下のロール外周の位置か ロール外周に沿って測定した距離で100~1000mm とすることにより、より破断が起こり難くな り、長手方向に200m以上の連続した金属薄帯 製造できる。更に、冷却ロール表面温度を10 0~250℃以下に保つことにより、脆化し難く薄 幅方向の反りが小さい長尺の金属薄帯が製 できる。

 金属製の冷却ロールは、量産する場合は、 冷する場合が多く、材質としてCu及びCu-Be、 Cu-Zr、Cu-Cr等のCu合金が、冷却能力が高く広幅 の薄帯を製造する場合には好ましい。特に、 前記ロールを冷却する為の水量が0.1~10m 3 /分以下の場合、生産量が5kg以上と多い場合 も、薄帯の反り、破断、脆化などが殆ど無 金属薄帯を製造できる。
 特に、薄い薄帯を製造する場合の好ましい 量は、0.1~1m 3 /分以下である。冷却ロールの直径は、通常30 0~1200mm程度であるが、好ましくは400~1000mm程度 である。特に望ましくは、500~800mmである。
 また、ロール周速が20~40m/sで、出湯圧力が27 0gf/cm 2 以上である場合、表面性状が良好な金属薄帯 が製造できる。必要に応じて、金属薄帯の製 造は、He、Ar等の不活性ガス中で行っても良 。
 更に、製造中にノズル付近にHeガス、COガス やCO 2 ガスを流すと、より一層、金属薄帯の表面性 状が改善される。また、製造中にノズル付近 に加熱した不活性ガスや窒素ガスを流しても 金属薄帯の表面性状が改善される。

(スリット加工)
 こうして得られた金属薄帯を図2Aに示すよ にスリット加工する。アンコイラーにセッ された金属薄帯1を引き出し、上下1対でかつ 上下各々に複数の回転刃が設けられたスリッ ターに通して、アンテナ用磁心寸法に切断し て細帯状の薄帯1’にする。切断された細帯 の薄帯はリコイラーで巻き取られる。

(樹脂の塗布乾燥)
 細帯状の薄帯に塗布する樹脂溶液は、熱硬 性のものが好ましく、市販の樹脂が使用で る。通常は、溶剤で5~20重量%に希釈して使 する。溶剤乾燥後の厚さを薄くすれば占積 が向上するが、ピンホール等の欠陥発生率 増え、積層体の中で隣接する薄帯間の絶縁 不十分となる恐れがある。従って、乾燥後 厚さとして0.5~3μmが好ましい。
 また、樹脂は金属薄帯の両面に塗布するこ により、乾燥後以降の工程において樹脂と 属間で十分な密着強度が得られる。塗布方 としては、ディップ法、ドクターブレード 、グラビアロール法などが使えるが、塗布 さの均一性と時間当たりの生産性(塗布速度 )を考慮するとグラビアロール法が優れてい 。なお、グラビアロール法を用いて両面に 布するには、片面ずつ行う必要がある。

 樹脂を乾燥させるには、乾燥炉内の風量 多くすることが好ましい。遠赤外線ヒータ による乾燥方法でもよい。

(積層工程)
 スリットした複数の細帯状の薄帯をロール ら引き出し、熱ロールにより連続積層させ 。細帯状の薄帯をある程度の長さに切断し 積層させて金型内に設置し、熱プレスして よい。この場合は、積層体の上下には、圧 をかける為の可動型が接するため、後工程 圧着工程後に積層体と稼動型が剥離できる う、積層体と可動型との間に市販の樹脂フ ルムを挟むと良い。
 積層体に熱を付与する場合は、窒素雰囲気 行うことが好ましい。炉内を、塗布した樹 のガラス転移点以上の温度に昇温し、この 度で保持した状態で、金属薄帯同士を加圧 て圧着する。保持温度の上限は、樹脂の熱 解開始温度未満とする。
 加圧力は、樹脂溶液が隣接する樹脂膜もし は金属薄帯の表面へ十分馴染む為に1MPa以上 が好ましい。70MPaを超えると、隣接する金属 帯同士が接触する恐れが有る。但し、乾燥 囲気など条件が合えば、加圧力は必ずしも 要でなく、単に積層したままで積層体にで る。
 また、この積層体の幅方向に磁場を印加し がらキュリ-温度以下の温度で熱処理するこ とで異方性を付与できる。この異方性を付与 する処理は、金属薄帯の状態で行ってもよい し、細帯状の薄帯の状態で行うことも出来る 。磁場は200A/m以上の磁界を印加すればよい。 好ましくは400A/m以上で印加する。印加する磁 界は、直流、交流、繰り返しのパルス磁界の いずれを用いても良い。熱処理パターンの一 部のみ磁場印加しても構わない。

(焼鈍熱処理工程)
 アモルファス金属薄帯に焼鈍熱処理すると より良好な磁性特性を得ることができる。 記組成のFe系アモルファス金属薄帯では300~4 00℃、Co系アモルファス金属薄帯では、300~600 が好ましい。この際、材料は脆化するので 焼鈍熱処理中にアモルファス金属薄帯積層 へ加圧すると、欠けやクラック等の欠陥を 生する恐れが有る。
 従って、無負荷状態で焼鈍熱処理すること 好ましい。金属薄帯表面の酸化防止の為、 着工程と同様の雰囲気とすることが好まし 。熱処理時間は0.1~20時間が好ましい。

 熱処理炉の雰囲気は、アルゴン、窒素ガス の不活性ガス、真空中、場合によっては大 中でも良い。熱処理中の磁心の温度分布は 10℃以下になるよう制御することが好まし 。平均昇温速度は、0.3~100℃/分で、0.5時間以 上おこない、平均冷却速度0.3~300℃ /分程度 冷却することが好ましい。更には、昇温速 1~20℃/分、最高温度300~370℃、1~3時間が好ま い。
 また、2段熱処理、250℃以下の低温で長時間 熱処理する等でも同様の効果が得られる。低 温熱処理の場合でも、熱処理パターンの一部 で320~350℃の範囲を0.2~1時間程度設けるのが好 ましい。
 磁心の寸法が大きく熱容量が大きい場合、 いは一度の多数の磁心を熱処理する場合、 心の温度分布を10℃以下に制御することが 要である。その手段として、一旦目標とす 保持温度よりも低い温度で保持後昇温して ら、目標温度で保持し、冷却速度0.3~5℃/分 冷却する熱処理パターンが好ましい。
 熱処理は、通常露点がマイナス30℃以下の 活性ガス雰囲気中で行うのが望ましく、露 がマイナス60℃以下の不活性ガス雰囲気中で 熱処理すると、バラツキが更に小さい。

 本発明によると、簡易な製造方法で高いQ 値(すなわちアンテナ特性)を持つアンテナ用 心、及びそのアンテナ用磁心を用いた高性 なアンテナを提供できる。

 以下、本発明に係るアンテナ用磁心の製造 法について、図1、図2A及び図2Bを用いて説 する。
 図1は、磁場中で帯状の金属薄帯1に熱処理 、金属薄帯1同士を、絶縁層2を介して積層体 3としたものを示す。図1の長手(横)方向は、 急冷ロールによって製造される金属薄帯を リット加工した細帯状の薄帯の長手方向と る。磁場は、それと直交方向に印加され、 号4は誘導磁気異方性の方向を示す。積層は 例えば、金属薄帯1にポリイミド樹脂の前駆 体であるポリアミック酸溶液を塗布し、ロー ルプレスで圧着する。これにより積層工程が ロール・ツー・ロール(Roll-to-Roll)で行えるの 、製造の連続化が可能である。この積層体 長手方向が長辺となるように切断線5で幅方 向(短片方向)に沿ってのみ切断される。積層 程と焼鈍熱処理工程の順番は、各工程の温 によって適宜変更でき連続処理が可能で汎 性があることから、本工法には製造コスト 抑える利点もある。

 図3A及び図3Bは、従来のアンテナ用磁心を製 造するプロセスを示す図である。
 図3Aにおいて、金属薄帯1は長手方向に印加 れた誘導磁気異方性の方向14と直交方向に 断線15に沿って切断され、複数の金属細片6 される。複数の金属細片6は、次いで樹脂層 介して積層され、アンテナ用磁心7とされる 。
 図3Bにおいて、金属薄帯1は、樹脂層を介し 積層され、長手方向に誘導磁気異方性が付 された積層体3’とされる。この積層体3’ 、誘導磁気異方性の方向14と直交方向に切断 線15に沿って切断され、アンテナ用磁心7とさ れる。
 金属薄帯1と金属薄帯1との間に介在する絶 層2の間に、切断による金属薄帯1の切屑が付 着する。切屑は、導電性であるから間に介在 する絶縁層2を越えて、金属薄帯1と金属薄帯1 とを電気的に短絡させる。金属薄帯1の厚み 通常15~25μm程度であるのに対して、絶縁層2 厚みは1μm程度しかないからである。
 その結果、金属薄帯1と金属薄帯1は、極部 とはいえ見掛け上一体のものとなり、板厚 増大する。板厚の増大は、アンテナ用磁心 して交流電圧を印加された場合の渦電流損 増大に繋がる。渦電流損の増大は、抵抗成 Rの増大に繋がりQ値(=ωL/R)を著しく低下させ しまう。
 また、切断することで薄帯に歪が付与され 磁気特性が低下してしまう。
 積層体3を切断した後、エッチング液に浸漬 して切屑を除去する、もしくは歪が入った切 削面を除去する工程を用いればアンテナ特性 Q値は改善するが、エッチング工程は、コス 上昇を招くのみならず、エッチング残液に る信頼性の低下が懸念される。
 よって本発明では、これらの影響を抑える め、金属薄帯を積層後はアンテナ用磁心の 片となる幅方向に沿ってのみ切断すること し、上記の影響を極力抑えている。

 次に本発明を実施例に従って、具体的に説 するが、これにより本発明が限定されるも ではない。
(実施例1)
 Co bal. Fe 1.3 Mn 3.7 Mo 2.5 Si 14.6 B 9.5 (原子%)で表される幅20mm×厚さ15μmのアモルフ ス磁性合金薄帯を連続作製し、図2Aに示す うに、薄帯長手方向にスリット加工し、2mm の細帯状の薄帯を得た。
 この細帯状の薄帯をロール状に巻いて薄帯 ールとし、図2Bに示すように、複数の薄帯 ールから同時に細帯状の薄帯を引き出しな ら積層体を作製した。細帯状の薄帯を引き しながら、熱硬化性のポリイミド樹脂の前 体であるポリアミック酸溶液を10 -3 kg/m 2 になるように塗布し(図示せず)、計23枚の樹 を塗布した細帯状の薄帯を送り速度300mm/分 ロールプレス10で、細帯状の薄帯を360℃に加 温して、2mm幅で23層の長尺積層体を作製した
 ロールプレス後の長尺積層体は、ポリイミ 樹脂の硬化と、ロールプレス時の薄帯中の みを取るために、加熱焼鈍した。また、薄 に磁気異方性を付与させるために、磁場発 装置8を通し、薄帯の幅方向に320kA/mの磁場 印加させた。その後切断装置9で長さ1m毎に 切断を行った。
 その後、この長尺積層体の幅方向を回転式 ダイヤカッターで薄帯の幅方向に沿って切 し、幅2mm、長さ18mm、積層数23層のアンテナ 磁心を製造した。このアンテナ用磁心の幅 向となる積層面には、ダイヤカッターによ 切削痕が観察された。また、長手方向の積 面での薄帯同士のずれが0.5μm以上であった に対し、幅方向(短片方向)の積層面での薄 同士のずれは0.5μm以上であった。
 このように作製したアンテナ用磁心に、0.06 mm径の導線を巻き、L=2.7mH (測定周波数:34.2kHz) のアンテナを作製し同周波数におけるQ値を 定した。得られた結果を表1に示す。
 また、比較例として、比較例1は磁場印加を せずに実施例1と同様に行った場合、比較例2 金属薄帯をアンテナ用磁心の長手方向の寸 (18mm)にスリット加工した後に積層し、その 層体を幅2mmになるよう長手方向に沿って切 した場合、比較例3は、金属薄帯を積層して 積層体とした後、長手方向と幅方向(短片方 )の両方を切断してアンテナ用磁心とした場 、比較例4は長手方向に沿って切断した後、 エッチングした場合のものである。
 表1から、本発明によると、エッチング無し で比較例4(エッチングが必須)と遜色の無いQ の得られることが分かる。

 実施例1で製造したアンテナ用磁心を用い てアンテナを製造した。巻線は、アンテナ用 磁心の表面を絶縁した線径0.07mmのエナメル被 膜銅線1200ターンを巻き付けた。このアンテ に、外部より電磁波の磁界成分に相当する 流磁界の実効値として周波数40kHz、磁界強度 14pTの磁界を印加して出力電圧を測定した。 果を表2に示す。表2から、比較例4と遜色の い出力電圧の得られることが分かる。

(実施例2)
 Co bal. Fe 1.3 Mn 3.7 Mo 2.5 Si 14.6 B 9.5 (原子%)で表される幅20mm×厚さ15μmのアモルフ ス磁性合金薄帯を連続作製し、薄帯長手方 にスリット加工し、2mm幅の細帯状の薄帯を た。この細帯状の薄帯を熱処理炉中に連続 に通過させると共に、細帯状の薄帯の幅方 に320kA/mの磁場を印加させた。
 こうして得た磁気異方性が付与された細帯 の薄帯に、熱硬化性のポリイミド樹脂の前 体であるポリアミック酸溶液を10 -3 kg/m 2 になるように塗布し、23枚の樹脂塗布済の細 状の薄帯を準備した後、送り速度300mm/分の ールプレスで、細帯状の薄帯を360℃に加温 て、2mm幅で23層の長尺積層体を作製した。
 その後、この長尺積層体の幅方向に沿って 転式のダイヤカッターで切断し、幅2mm、長 18mm、積層数23層のアンテナ用磁心を製造し 。このように作製したアンテナ用磁心に、0 .06mm径の導線を巻き、L=2.7mH (測定周波数:34.2k Hz)のアンテナを作製し同周波数におけるQ値 測定したところ、実施例1と同等の高いQ値が 得られていることが確認できた。

(実施例3)
 Co bal. Fe 1.3 Mn 3.7 Mo 2.5 Si 14.6 B 9.5  (原子%)で表される幅20mm×厚さ15μmのアモル ァス磁性合金薄帯を連続作製した。このア ルファス磁性合金薄帯を熱処理炉中に連続 に通過させると共に、厚さ方向に320kA/mの磁 を印加させた。
 こうして得た磁気異方性が付与されたアモ ファス磁性合金薄を薄帯長手方向にスリッ 加工し、2mm幅の細帯状の薄帯を得た。
 この帯細帯状の薄帯に、熱硬化性のポリイ ド樹脂の前駆体であるポリアミド酸溶液を1 0 -3 kg/m 2 になるように塗布し、23枚の樹脂塗布済の細 状の薄帯を準備した後、送り速度300mm/分の ールプレスで、細帯状の薄帯を360℃に加温 て、2mm幅で23層の長尺積層体を作製した。
 その後、この長尺積層体の幅方向に沿って 転式のダイヤカッターで切断し、幅2mm、長 18mm、積層数23層のアンテナ用磁心を製造し 。このように作製したアンテナ用磁心に、0 .06mm径の導線を巻き、L=2.7mH (測定周波数:34.2k Hz)のアンテナを作製し同周波数におけるQ値 測定したところ、実施例1と同等の高いQ値が 得られていることが確認できた。

(実施例4)
 アモルファス磁性合金薄帯の幅を、3mm、4.5m m、6mm、10mmとし、それ以外は実施例1と同様の 条件でアンテナ用磁心を各々250ケ製造した。 この中でアンテナ用磁心の薄帯の積層間に剥 離が生じて不良品となったものを検品して歩 留まりを調べた。表3にその結果を示す。薄 の幅が5mmを越すと、歩留まりが突然悪化す 。剥離の原因は、接着層として用いた熱硬 性のポリイミド樹脂が、乾燥される際もし は磁場中熱処理の際の加温によりガスを発 し、そのガスが積層体の側面から逃げない めに起こったと推察される。

 本発明に係るアンテナは、電波時計に用 られる電波受信用アンテナや自動車、住宅 のキーレスエントリーシステム、RFIDタグシ ステムに用いることができる。特に、小型化 できるのでユビキタスの新時代を拓くものと して可能性を有する。

本発明に係るアンテナ用磁心を製造す ための積層体と誘導磁気異方性の方向とを す模式図である。 本発明のアンテナ用磁心を製造するプ ロセスの一例の1工程を示す図である。 本発明のアンテナ用磁心を製造するプ ロセスの1例の他の工程を示す図である。 従来のアンテナ用磁心を製造するプロ セスの一例を示す図である。 従来のアンテナ用磁心を製造するプロ セスの他の例を示す図である。