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Patent Searching and Data


Title:
MAGNETIC DETECTING DEVICE USING MAGNETORESISTANCE EFFECT ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/156099
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a magnetic detecting device, which is enabled to position highly precisely by detecting the horizontal intensity of a magnetic line of force emanating from the surface of a magnet and by changing a switch in accordance with the detected output. From a first output terminal (OUT1), a switch output is obtained on the basis of a voltage change of an intermediate point between a first magnetoresistance effect element and a voltage dividing resistor. From a second output terminal (OUT2), an output is obtained on the basis of a voltage change of an intermediate point between a second magnetoresistance effect element and a voltage dividing resistor. The horizontal component of the magnetic flux density of the magnetic field to emanate from the surface of the magnet is detected by the two magnetoresistance effect elements, and the switch output is obtained when the confronting position of the detector and the magnet comes to a zero point, so that the zero point can be highly precisely detected.

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Inventors:
TAKEYA TSUTOMU (JP)
SASAKI YOSHITO (JP)
ANDO HIDETO (JP)
SATO KIYOSHI (JP)
KIKUIRI KATSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061098
Publication Date:
December 24, 2008
Filing Date:
June 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ALPS ELECTRIC CO LTD (JP)
TAKEYA TSUTOMU (JP)
SASAKI YOSHITO (JP)
ANDO HIDETO (JP)
SATO KIYOSHI (JP)
KIKUIRI KATSUYA (JP)
International Classes:
H01H36/00; G01D5/18; G01B7/00
Domestic Patent References:
WO2008059914A12008-05-22
Foreign References:
JPH03282277A1991-12-12
JPH0738174A1995-02-07
JPS6323527A1988-01-30
JP2007220367A2007-08-30
Attorney, Agent or Firm:
NOZAKI, Teruo et al. (1-21-11 Higashi-IkebukuroToshima-k, Tokyo 13, JP)
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Claims:
 第1の着磁面および第2の着磁面を有する磁石と、前記第1の着磁面と対向可能な磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化に応じて出力が切換えられるスイッチ回路とが設けられ、
 前記磁石は、前記第1の着磁面から前記第2の着磁面に磁力線が向かい、または前記第2の着磁面から前記第1の着磁面に磁力線が向かい、前記磁気抵抗効果素子は、この磁気抵抗効果素子の膜面と平行な向きの磁界の強度を検知できるものであり、
 前記磁石と前記磁気抵抗効果素子とが相対的に移動するときに、前記磁気抵抗効果素子で検知される前記膜面と平行な向きの磁界の強度が所定値となったときに、前記スイッチ回路からの出力が切換えられることを特徴とする磁気検知装置。
 相反する方向の磁界強度に応じて抵抗値が変化する第1の磁気抵抗効果素子および第2の磁気抵抗効果素子が設けられ、
 前記スイッチ回路では、前記第1の磁気抵抗効果素子の抵抗値が変化したときの切換え出力と、前記第2の磁気抵抗効果素子の抵抗値が変化したときの切換え出力とが、別々の出力として得られる請求項1記載の磁気検知装置。
 相反する方向の磁界強度に応じて抵抗値が変化する第1の磁気抵抗効果素子および第2の磁気抵抗効果素子が設けられ、
 前記スイッチ回路では、前記第1の磁気抵抗効果素子の抵抗値が変化したときの切換え出力と、前記第2の磁気抵抗効果素子の抵抗値が変化したときの切換え出力とが、連続する単一の出力として得られる請求項1記載の磁気検知装置。
 前記磁石または前記磁気検知素子が、前記着磁面の中心を通り着磁面と垂直な中心線上の一点を中心軸として回動する請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気検知装置。
 前記磁石または前記磁気検知素子が回動して、前記着磁面のほぼ中心に前記磁気抵抗効果素子が対向したときに、前記スイッチ回路の出力が切換えられる請求項4記載の磁気検知装置。
 前記磁気抵抗効果素子で検知される磁界の強度がほぼ直線的に変化する領域で、前記スイッチ回路の出力が切換えられる請求項5記載の磁気検知装置。
 前記磁石または前記磁気検知素子が回動して、前記着磁面の中心が前記磁気抵抗効果素子から所定の距離だけ離れたときに、前記スイッチ回路が切換えられる請求項4記載の磁気検知装置。
 前記磁気抵抗効果素子で検知される磁界の強度がほぼ直線的に変化する領域を超えて曲線的に変化する領域で、前記スイッチ回路の出力が切換えられる請求項7記載の磁気検知装置。
 前記磁石または前記磁気検知素子が、前記着磁面と平行な向きに移動する請求項1ないし3のいずれかに記載の磁気検知装置。
Description:
磁気抵抗効果素子を使用した磁 検知装置

 本発明は、磁気抵抗効果素子と磁石とを いた磁気検知装置に係るものであり、磁気 抗効果素子と磁石とが所定の対向位置とな たときに出力が切換わる磁気検知装置に関 る。

 磁石を使用した磁気検知装置は、例えば 固定部にホール素子などの磁気検知素子が けられ、可動部に磁石が設けられており、 動部と固定部の距離が接近すると、磁石か の磁界が磁気検知素子で検知されるのが一 的である。

 しかし、この種の磁気検知装置では、ホ ル素子などの磁気検知素子が、磁石から離 た位置から磁石に接近する位置まで移動し ことを検知することはできるものの、磁石 たは磁気検知素子を搭載した可動部が磁石 着磁面と平行な向きに動く機構や、磁石を 載した可動部が着磁面と直交する線上に位 する軸を中心として回動する機構では、可 部の位置を正確に認識することはできない

 以下の特許文献1および特許文献2には、 気抵抗効果素子を有する検知器が、磁石の 磁面と平行な面内で動いたときに検知機能 発揮する磁気検知装置が開示されている。

 特許文献1に記載の磁気検知装置は、検知 器に、ブリッジ接続した磁気抵抗効果素子と 、磁気抵抗効果素子に対して45度の向きの磁 を与えるバイアス磁石とが設けられており この検知器で、検出対象となる磁石を検知 きるようにしている。この発明では、検知 にバイアス磁石が設けられているために、 知器が検出対象となる磁石に対して一方の に位置しているときと他方の側に位置して るときとで、初期の検出値が相違する。そ ために、電源投入時などに検知器と検出対 となる磁石との位置関係を把握しやすいと うものである。

 特許文献2には、円形の磁石が移動すると きに、この磁石から発せられる磁界を検知す る磁気センサが開示されている。この磁気セ ンサには、4個の巨大磁気抵抗効果素子が設 られ、そのうちの2個の巨大磁気抵抗効果素 で磁石から出る磁束のX方向の成分が検知さ れ、他の2個の巨大磁気抵抗効果素子で磁石 ら出る磁束のY方向の成分が検知される。そ て、磁束のX方向の成分を検知する2個の巨 磁気抵抗効果素子の抵抗値の変化の差を求 、磁束のY方向の成分を検知する2個の巨大抵 抗磁気効果素子の抵抗値の変化の差を求める ことで、磁石の位置を認識しようとしている 。

 しかし、特許文献1と特許文献2に記載の 気検知器は、いずれも、磁気抵抗効果素子 磁石に対してどの方向にあるかをおおまか 検知することはできるが、可動部がその移 範囲内の基準位置に正確に至ったか否かを 精度に検知することはむずかしい。

 次に、以下の特許文献3と特許文献4には 磁石を有する可動部が、所定の軸を中心と て回動する傾斜センサが開示されている。 の傾斜センサは、磁石を搭載した可動部が 動したときの磁界の向きの変化を磁気抵抗 果素子を用いて検知するというものである

 特許文献3に記載のものは、磁気抵抗効果 素子を挟んで対向する一対の磁石が可動部に 搭載されているため、可動部の寸法が大きく なり、小型の機器には搭載できない。特許文 献4に記載のものは、長尺磁石が回動し、磁 抵抗効果素子が、長尺磁石の回動側の端面 対向できるようになっている。そのため、 尺磁石の回動角度の変化に対して磁気抵抗 果素子が検知する磁界の強度の変化が小さ なり、長尺磁石の回動位置を精度よく検知 るのは難しい。

 また、特許文献3と特許文献4には、磁石と 気抵抗効果素子との相対的な位置の変化に いて磁界の強度をどのような回路で検知す のかが記載されていない。

特開2003-130933号公報

特開2006-276983号公報

特開2006-126059号公報

特開2006-300789号公報

 本発明は上記従来の課題を解決するもの あり、磁気抵抗効果素子と磁石の着磁面と 相対位置が所定の状態に至ったときにスイ チ回路の出力が切換わるようにして、磁気 抗効果素子と磁石の着磁面との相対位置を 確に把握できる磁気検知装置を提供するこ を目的としている。

 また、本発明は、磁気抵抗効果素子が磁 の着磁面の中心に対向する位置を基準位置 し、磁気抵抗効果素子または磁石が、前記 準位置からどちらの方向へ動いてもスイッ 回路の出力が切換わるようにすることで、 記基準位置を高精度に検知できる磁気検知 置を提供することを目的としている。

 さらに、本発明は、磁石または磁気抵抗 果素子を搭載した可動部が回動する構造に いて、可動部の回動位置を正確に検知でき 磁気検知装置を提供することを目的として る。

 本発明は、第1の着磁面および第2の着磁面 有する磁石と、前記第1の着磁面と対向可能 磁気抵抗効果素子と、前記磁気抵抗効果素 の抵抗値の変化に応じて出力が切換えられ スイッチ回路とが設けられ、
 前記磁石は、前記第1の着磁面から前記第2 着磁面に磁力線が向かい、または前記第2の 磁面から前記第1の着磁面に磁力線が向かい 、前記磁気抵抗効果素子は、この磁気抵抗効 果素子の膜面と平行な向きの磁界の強度を検 知できるものであり、
 前記磁石と前記磁気抵抗効果素子とが相対 に移動するときに、前記磁気抵抗効果素子 検知される前記膜面と平行な向きの磁界の 度が所定値となったときに、前記スイッチ 路からの出力が切換えられることを特徴と るものである。

 本発明の磁気検知装置は、磁石の着磁面 ら発せられる磁力線または前記着磁面に向 う磁力線のうちの、磁気抵抗効果素子の膜 と平行な向きの成分の磁界強度を検知し、 記成分の磁界強度が所定値以下のときまた 所定値以上のときにスイッチ回路の出力が 換わるようにしている。この検知方式によ 、磁気抵抗効果素子と磁石の着磁面との相 位置を所定の関係となったときに、切換わ 出力を得ることができる。

 本発明は、好ましくは、相反する方向の 界強度に応じて抵抗値が変化する第1の磁気 抵抗効果素子および第2の磁気抵抗効果素子 設けられ、前記スイッチ回路では、前記第1 磁気抵抗効果素子の抵抗値が変化したとき 切換え出力と、前記第2の磁気抵抗効果素子 の抵抗値が変化したときの切換え出力とが、 別々の出力として得られるものである。

 あるいは、前記スイッチ回路では、前記 1の磁気抵抗効果素子の抵抗値が変化したと きの切換え出力と、前記第2の磁気抵抗効果 子の抵抗値が変化したときの切換え出力と 、連続する単一の出力として得られるもの ある。

 上記のように、相反する方向の磁界強度 応じて抵抗値が変化する第1の磁気抵抗効果 素子と第2の磁気抵抗効果素子を使用すると 例えば、磁気抵抗効果素子が磁石の着磁面 ほぼ中心に対向する基準位置に至ったとき 、正逆のいずれの方向から移動したときで スイッチ回路の出力を切換えることができ 。そのため、前記原点位置に至ったことを 精度に検知できる。または、前記基準位置 ら正逆のそれぞれの向きに所定角度移動し ことを高精度に検知できる。

 本発明は、前記磁石または前記磁気検知 子が、前記着磁面の中心を通り着磁面と垂 な中心線上の一点を中心軸として回動する のとして構成できる。

 本発明は、前記磁石または前記磁気検知 子が回動して、前記着磁面のほぼ中心に前 磁気抵抗効果素子が対向したときに、前記 イッチ回路の出力が切換えられるものであ 。この場合に、例えば、前記磁気抵抗効果 子で検知される磁界の強度がほぼ直線的に 化する領域で、前記スイッチ回路の出力が 換えられる。

 上記手段は、回動部が所定の基準位置に ったことを正確に検知できるため、機構の 作範囲の原点検出などとして使用できる。

 または、本発明は、前記磁石または前記 気検知素子が回動して、前記着磁面の中心 前記磁気抵抗効果素子から所定の距離だけ れたときに、前記スイッチ回路が切換えら るものである。この場合に、例えば、前記 気抵抗効果素子で検知される磁界の強度が ぼ直線的に変化する領域を超えて曲線的に 化する領域で、前記スイッチ回路の出力が 換えられる。

 上記手段では、磁石と磁気抵抗効果素子 一方が他方に対して、所定の基準位置から 定の角度まで回動したときに、スイッチ回 を切換えることができる。例えば、携帯用 器やカメラなどの小型機器において、重力 対する角度姿勢を検知するためなどに利用 ることができる。

 また、前述のように、前記磁気抵抗効果 子で検知される磁界の強度がほぼ直線的に 化する領域を超えて曲線的に変化する領域 、前記スイッチ回路の出力が切換えられる うにすると、回動角度の変化に対する磁界 強度の変化量が大きくなる領域でスイッチ 路を切換えることができ、回動角度を誤差 少ない状態で高精度に検知できる。

 なお本発明は、前記磁石または前記磁気 知素子が、前記着磁面と平行な向きに移動 るものであって、その移動位置がほぼ基準 置に復帰したときにスイッチ回路が切換わ 、または基準位置から所定距離離れたとき スイッチ回路が切換わるものであってもよ 。

 本発明は、磁気抵抗効果素子と磁石のい れか一方が固定部に設けられ他方が可動部 設けられた機構において、磁気抵抗効果素 と磁石との対向位置を高精度に検出できる

 また、可動部がその移動範囲のいずれか 基準位置に至ったときに、どの方向から基 位置に至ったとしてもスイッチ回路の出力 切換えることができる。そのため、前記基 位置を最小の検知幅で高精度に検知できる さらに、可動部が基準位置から左右それぞ の方向へ所定距離だけ離れたことを精度良 検知できる。

 図1は本発明の第1の実施の形態の磁気検 装置1を構成する磁石と検知器の斜視図、図2 は第1の実施の形態の磁気検知装置1における 石と検知器を相対的に移動させる機構を示 説明図、図3は磁石と検知器との対向状態を 示す図2の拡大側面図である。図4は磁気抵抗 果素子の平面図、および各層の磁化の向き 示す説明図、図5は磁気抵抗効果素子の断面 図である。図6は磁気抵抗効果素子を含むブ ッジ回路およびスイッチ回路を示す回路図 ある。

 図1に示す磁気検知装置1は、磁石2と検知 10を有している。図1に示す磁石2は、第1の 磁面である表面2aと第2の着磁面である裏面2b とが、互いに相反する向きで形成されている 。表面2aと裏面2bは共に平坦面であり、互い 平行である。表面2aと裏面2bは矩形状であり 図1に示すものは表面2aと裏面2bとが正方形 ある。磁石2は、表面2aと裏面2bが着磁面であ り、表面2aがN極の着磁面で、裏面2bがS極の着 磁面である。

 図1では、表面2aの中心(図心)を通り、各 辺と直交する軸であるX軸とY軸を示している 。前記表面2aと裏面2bは、X-Y平面と平行であ 。また、X軸とY軸の交点が表面2aおよび裏面2 bの中心O、すなわち着磁面の中心である。

 図3に示すように、磁石2の磁力線Hは、第1 の着磁面であるN極の表面2aから出て、第2の 磁面であるS極の裏面2bに向かう。磁石2の表 2aでは、理論上は、前記中心Oから出る磁力 Hが表面2aから垂直に延び、前記表面2aにお て、前記中心Oから離れるにしたがって、表 2aの垂線と磁力線Hとの成す角度が徐々に大 くなる。図3に示すように、磁石2の4つの端 2cのそれぞれの外側では、表面2aから発せら れた磁力線Hが裏面2bに向けて回り込むように なる。

 図1では、磁石2の表面から発せられる磁 線Hのうちの、X軸上に存在している磁力線Hx みを示している。X軸の原点である中心Oで 、前記磁力線HxはX-Y平面に垂直に延びる。ま たX軸上では、中心Oから離れていくにしたが て、表面2aの垂線に対する磁力線Hxの+X方向 -X方向への傾きが徐々に大きくなる。磁力 Hxは、中心Oから離れるにしたがってそれぞ の端面2cに向かう方向への倒れ角度が徐々に 大きくなる。

 図示していないが、図1に示す磁石2の表 2aにおいてY軸上に存在している磁力線Hyも、 中心Oにおいて表面2aから垂直に延び、またY に沿って中心Oから離れるにしたがって、磁 線Hyは表面2aの垂線に対する傾きに徐々に大 きくなる。またX軸上とY軸以外で中心Oを通る 任意の放射線を想定したときも、全ての放射 線上において、磁力線は放射線に沿うように 倒れ、その倒れ角度は中心Oから離れるにし がって徐々に大きくなる。

 図1に示すように、磁気検知装置1では、 知器10が磁石2の表面2aに対向しており、磁石 2と検知器10との相対的な動作により、検知器 10がX軸に沿って移動できるようになっている 。

 図2に示すように、この磁気検知装置1で 、検知器10が固定部11に固定されて、磁石2が 可動部に搭載されている。この可動部は、図 2に示すように、回動軸O2を中心として回動動 作する。回動軸O2は中心線O1上に位置してい が、この中心線O1は、磁石2の着磁面である 面2aに対して垂直であり、且つX軸とY軸との 点である中心Oを通る直線である。回動軸O2 軸線の向きはY軸と平行であり、回動動作に 伴って、磁石2は、X軸に沿う方向へ移動する

 磁石2の表面2aと裏面2bの1つの辺の長さをW (X方向の幅寸法をW)とすると、磁石2の回動軌 の半径Rは前記Wの5倍以上であり、この実施 形態では、RがWの10倍である。例えば、磁石 2の表面2aと裏面2bの1つの辺の幅寸法Wが3mmで り(X方向の幅寸法Wが3mmであり)、半径Rは30mm ある。磁石2の幅寸法Wに対して回動半径Rが 分に長いために、磁石2の表面2aが検知器10に 対向する範囲で磁石2が回動したときに、検 器10に対して磁石2がX方向に向けてほぼ直線 に移動しているのと同じである。このとき 検知器10によって、磁石2の表面2aから出る 力線HのX方向への傾きに応じたX方向の磁界 度の変化を検知できる。

 なお、磁石2の厚み寸法(表面2aと裏面2bと 距離)はW/3程度であり、例えば1mmである。

 図6に示すように、検知器10には2つの磁気 抵抗効果素子20a,20bが搭載されている。それ れの磁気抵抗効果素子20a,20bは、図4と図5に す同じ素子構造20を有している。

 図4(A)に示すように、素子構造20は、複数 素子部21が互いに平行に形成され、個々の 子部21の前後端部が、接続電極28,29によって2 個ずつ接続されている。さらに、図示上下両 端部に位置する素子部21に引き出し電極31,32 接続されている。よって、各素子部21は直列 に接続され、ミアンダ型パターンが構成され ている。

 前記素子構造20は、前記素子部21の長手方 向がX方向に向けられており、図4(A)の紙面と 行に示されている素子部21の表面が、磁石2 表面2aに平行に対面するように、前記検知 10に搭載される。よって、磁石2がX軸に沿う 向へ回動する際に、素子構造20がX軸上を移 する。図1では、素子構造20が、磁石2の表面 2aの中心Oに対向しているときにおける、磁石 2の表面2aから素子構造20までの高さ寸法をZh 示している。

 図5の断面図に示すように、個々の素子部 21は、基板22の上に、反強磁性層23、固定磁性 層24、非磁性導電層25、および自由磁性層26の 順に積層されて成膜され、自由磁性層26の表 が保護層27で覆われている。

 反強磁性層23は、Ir-Mn合金(イリジウム-マ ガン合金)などの反強磁性材料で形成されて いる。固定磁性層24はCo-Fe合金(コバルト-鉄合 金)などの軟磁性材料で形成されている。非 性導電層25はCu(銅)などである。自由磁性層26 は、Ni-Fe合金(ニッケル-鉄合金)などの軟磁性 料で形成されている。保護層27はTa(タンタ )の層である。

 素子部21では、反強磁性層23と固定磁性層 24との反強磁性結合により、固定磁性層24の 化の方向が固定されている。個々の素子部21 では、固定磁性層24の固定磁化の方向(P方向) 、素子部21の長手方向である-X方向に向けら れている。

 検知器10には、図6に示す素子回路40とス ッチ回路50が搭載されている。スイッチ回路 50は1つのICの内部に組込まれているが、素子 路40は前記IC内に組込まれておらず外部の回 路として構成されている。

 図6に示す素子回路40では、前記素子構造2 0を有する第1の磁気抵抗効果素子20aに第1の分 圧抵抗Raが直列に接続され、前記素子構造20 有する第2の磁気抵抗効果素子20bに第2の分圧 抵抗Rbが直列に接続されている。

 第1の分圧抵抗Raは固定抵抗であり、その 抗値は、外部磁界が印加されていないとき 第1の磁気抵抗効果素子20aの抵抗値と同じで ある。第2の分圧抵抗Rbは固定抵抗であり、そ の抵抗値は、外部磁界が印加されていないと きの第2の磁気抵抗効果素子20bの抵抗値と同 である。

 ここで、第1の磁気抵抗効果素子20aと第2 磁気抵抗効果素子20bの特性を説明する。図4( B)に示すように、第1の磁気抵抗効果素子20aは 、固定磁性層24の磁化の方向(P)が-X方向に向 られており、外部磁界が与えられていない きの自由磁性層26の磁化の方向(F)も-X方向で る。第1の磁気抵抗効果素子20aでは、非磁性 導電層25の厚みや自由磁性層26の厚みを調整 て、固定磁性層24との結合により自由磁性層 26の磁化の方向(F)が-X方向に決められている

 図7の右側の線図は、第1の磁気抵抗効果 子20aと第1の分圧抵抗Raとの中間点の電圧V1の 変化を示している。検知器10に作用する外部 界がゼロまたは、検知器10に作用する外部 界の向きが-X方向のとき、図4(B)に示すよう 、固定磁性層24の磁化の方向(P)と自由磁性層 26の磁化の方向(F)とが同じ向きであり、第1の 磁気抵抗効果素子20aの抵抗値が低くなってい る。図6に示すように、スイッチ回路50では、 直列の第1の磁気抵抗効果素子20aと第1の分圧 抗Raに電源電圧Vddが与えられているが、第1 磁気抵抗効果素子20aの抵抗値が低いために 中間点の電圧V1は低下している。

 検知器10に+X方向への外部磁界が印加され 、その外部磁界が所定の強さになると、図4(B )に示すように、自由磁性層26の磁化の方向(F) が+X方向に向けられて第1の磁気抵抗効果素子 20aの抵抗値が高くなる。よって、中間点の電 圧V1は高い値となる。なお、中間点の電圧V1 高くなっているときから、外部磁界の+X方向 の強度が徐々に弱くなると、再び自由磁性層 26の磁化の方向(F)が-X方向へ戻り、第1の磁気 抗効果素子20aの抵抗値が低下して、中間点 電圧V1が低下する。図7に示すように、中間 の電圧V1が低い値から高い値に変化すると と、高い値から低い値に変化するときとで 、+X方向の磁界の強度が若干相違し、電圧の 変化がヒステリシスを有する。

 図4(C)に示すように、第2の磁気抵抗効果 子20bは、固定磁性層24の磁化の方向(P)が-X方 に向けられているが、外部磁界が与えられ いないときまたは+X方向の外部磁界が作用 ているときの自由磁性層26の磁化の方向(F)は +X方向である。第2の磁気抵抗効果素子20bは、 非磁性導電層25の厚みや自由磁性層26の厚み 調整することで、自由磁性層26の磁化の方向 (F)が+X方向に設定されている。

 図7の左側の線図は、第2の磁気抵抗効果 子20bと第2の分圧抵抗Rbとの中間点の電圧V2の 変化を示している。検知器10に作用する外部 界がゼロまたは、検知器10に作用する外部 界の向きが+X方向のとき、図4(C)に示すよう 、固定磁性層24の磁化の方向(P)と自由磁性層 26の磁化の方向(F)とが逆向きであるため、第2 の磁気抵抗効果素子20bの抵抗値が高くなって いる。そのため、直列の第2の磁気抵抗効果 子20bと第2の分圧抵抗Rbに電源電圧Vddが与え れているときに、中間点の電圧V2は低いまま である。

 検知器10に-X方向への外部磁界が印加され 、その外部磁界が所定の強さになると、図4(C )に示すように、自由磁性層26の磁化の方向(F) が-X方向に向けられて第2の磁気抵抗効果素子 20bの抵抗値が低くなる。よって、中間点の電 圧V2は高い値となる。なお、中間点の電圧V2 高くなっているときから、外部磁界の-X方向 の強度が徐々に弱くなると、再び自由磁性層 26の磁化の方向(F)が+X方向へ戻り、第2の磁気 抗効果素子20bの抵抗値が高くなって、中間 の電圧V2が低下する。図7に示すように、中 点の電圧V2が低い値から高い値に変化する きと、高い値から低い値に変化するときと は、-X方向の磁界の強度が若干相違し、電圧 の変化がヒステリシスを有する。

 図6に示すように、単一のIC内に構成され いるスイッチ回路50には、参照抵抗R1と参照 抵抗R2とが直列に接続され、直列に接続され いる参照抵抗R1と参照抵抗R2に電源電圧Vddが 印加されている。

 スイッチ回路50には、スイッチ素子SW1,SW2, SW3,SW4が設けられており、これらスイッチ素 は、タイミング信号生成部51から送られるタ イミング信号に同期して切換えられる。スイ ッチ素子SW1は、第1の磁気抵抗効果素子20aと 第2の分圧抵抗Rbとを交互に接地電位に接続 るとともに、参照抵抗R2を間欠的に接地電位 に接続する。スイッチ素子SW1では、第1の磁 抵抗効果素子20aが接地電圧に接続されると に、同期して参照抵抗R2が接地電位に切換え られ、第2の分圧抵抗Rbが接地電位に接続され るときも、同期して参照抵抗R2が接地電位に 換えられる。

 スイッチ素子SW2は、前記中間点の電圧V1 前記中間点の電圧V2を交互に切換えて差動ア ンプ52のプラス入力部に与える。なお、参照 抗R1と参照抵抗R2との中間点の参照電圧Vrは 差動アンプ52のマイナス入力部に与えられ いる。スイッチ素子SW1によって第1の磁気抵 効果素子20aが接地電位に切換えられるとき 、同期してスイッチ素子SW2によって中間点 電圧V1が差動アンプ52に接続される。スイッ チ素子SW1によって第2の分圧抵抗Rbが接地電位 に接続されるときに、同期してスイッチ素子 SW2によって中間点の電圧V2が差動アンプ52に 続される。

 差動アンプ52の出力はシュミットトリガ 回路53に与えられる。シュミットトリガー回 路53では、差動アンプ52から得られるV1-Vrの差 動出力、またはV2-Vrの差動出力が第1のしきい 値よりも高くなると、ハイ信号を出力し、差 動アンプ52から得られるV1-Vrの差動出力、ま はV2-Vrの差動出力が第2のしきい値よりも低 なると、ロー信号を出力する。シュミット リガー回路53はスイッチ素子SW3によって間欠 動作するように切換えられ、スイッチ素子SW2 によって中間点の電圧V1が差動アンプ52に与 られるタイミングと、スイッチ素子SW2によ て中間点の電圧V2が差動アンプ52に与えられ タイミングの双方に同期して、シュミット リガー回路53が動作する。

 シュミットトリガー回路53の後段には第1 ラッチ回路54と第2のラッチ回路55が設けら ている。スイッチ素子SW2によって、中間点 電圧V1が差動アンプ52に与えられるとき、こ に同期してスイッチ素子SW4によって、シュ ットトリガー回路53からの出力が第1のラッ 回路54に与えられる。また、スイッチ素子SW 2によって、中間点の電圧V2が差動アンプ52に えられるとき、これに同期してスイッチ素 SW4によって、シュミットトリガー回路53か の出力が第2のラッチ回路55に与えられる。

 第1のラッチ回路54のラッチ出力は、OR回 56を経て第1の出力回路57の能動素子に与えら れ、ラッチ出力により、第1の出力回路57が切 換えられて、第1の出力端子OUT1からは、ハイ 力またはロー出力が切換えられて出力され 。第2のラッチ回路55のラッチ出力は第2の出 力回路58の能動素子に与えられ、ラッチ出力 より第2の出力回路58が切換えられ、第2の出 力端子OUT2から、ハイ出力またはロー出力が 換えられて出力される。

 なお、切換えスイッチSW5によって、第2の ラッチ回路55からのラッチ出力をOR回路56に与 えることも可能である。切換えスイッチSW5は 、操作切換え部59によって必要に応じて切換 ることが可能である。

 図6に示すスイッチ回路50の動作について説 する。
 スイッチ回路50に設けられた操作切換え部59 によって切換えスイッチSW5がオフに切換えら れていると、第1の出力端子OUT1からは、第1の 磁気抵抗効果素子20aの抵抗値の変化に基づく 出力信号が得られ、第2の出力端子OUT2からは 第2の磁気抵抗効果素子20bの抵抗値の変化に 基づく出力信号が得られる。

 第1の磁気抵抗効果素子20aと第1の分圧抵 Raとの中間点の電圧V1がスイッチ素子SW2で切 えられて差動アンプ52に与えられると、差 アンプ52の差動出力(V1-Vr)がシュミットトリ ー回路53に与えられる。検知器10に+X方向へ 所定の強度以上の磁界が作用していないと は、図7に示すように中間点の電圧V1が低く よってシュミットトリガー回路53から第1の ッチ回路54に、ロー出力が与えられる。よっ て、第1のラッチ回路54によりこのロー出力が ラッチされているときは、図8(A)に示すよう 第1の出力端子OUT1の電位がハイに保たれてい る。

 検知器10に+X方向への所定の強度以上の磁 界が作用すると、図7に示すように中間点の 圧V1が高くなり、シュミットトリガー回路53 ら第1のラッチ回路にハイ出力が与えられる 。第1のラッチ回路54によりこのハイ出力がラ ッチされていると、第1の出力回路57の能動素 子により第1の出力端子OUT1が接地電位に切換 られ、図8(A)に示すように、第1の出力端子OU T1からの出力がローになる。

 第2の磁気抵抗効果素子20bと第2の分圧抵 Rbとの中間点の電圧V2がスイッチ素子SW2で切 えられて差動アンプ52に与えられると、差 アンプ52の差動出力(V2-Vr)がシュミットトリ ー回路53に与えられる。検知器10に-X方向へ 所定の強度以上の磁界が作用しておらず、 圧V2が低いときには、シュミットトリガー回 路53からのロー出力が第2のラッチ回路55に与 られ、このロー出力がラッチされて、図8(A) に示すように、第2の出力端子OUT2がハイ出力 なる。

 検知器10に-X方向への所定の強度以上の磁 界が作用すると、図7に示すように中間点の 圧V2が高くなり、シュミットトリガー回路53 ら第2のラッチ回路55にハイ出力が与えられ 。このハイ出力がラッチされていると、図8 (A)に示すように、第2の出力端子OUT2が接地電 に切換えられてロー出力となる。

 つまり、切換えスイッチSW5がオフである 、+X方向へ所定の強度以上の外部磁界が作 すると、第1の出力端子OUT1がハイ出力からロ ー出力に切換わり、-X方向へ所定の強度以上 外部磁界が作用すると、第2の出力端子OUT2 ハイ出力からロー出力に切換わる。また、 換えスイッチSW5がオフのときに、図8(C)に示 ように、第1の出力端子OUT1からの出力のみ 取り出して使用することも可能である。

 次に、図6のスイッチ回路50において、操 切換え部59によって切換えスイッチSW5がオ に切換えられると、第1のラッチ回路54の出 と第2のラッチ回路55の出力の双方がOR回路に 与えられる。よって、図8(B)に示すように、 知器10に対して+X方向への所定の強度以上の 界が作用したときに第1のラッチ回路54から 1の出力回路57にハイ出力が与えられて、第1 の出力端子OUT1の出力がハイからローに切換 られる。また、-X方向への所定の強度以上の 磁界が作用したときも、第2のラッチ回路55か ら第1の出力回路57にハイ出力が与えられて、 第1の出力端子OUT1がハイからロー出力に切換 られる。

 すなわち、切換えスイッチSW5がオンにな ていると、第1の出力端子OUT1から、+X方向へ の磁界の検知出力と、-X方向への磁界の検知 力の双方が得られる。

 図9は、図2に示すように、磁石2を可動部 搭載して回動軸O2を中心とする円弧軌跡で 動させたときの検知器10からの出力を説明す るものであり、図10は図9の中心部をさらに拡 大して示している。

 図9と図10に示す出力を得た磁石2は、着磁 面である表面2aと裏面2bが正方形であり、表 2aと裏面2bの1辺の幅寸法Wが3mmであり、磁石2 厚みが1mmである。図2に示す磁石2の回動半 Rは30mmである。また、検知器10は、図1に示す ように、磁石2のN極の着磁面である表面2aに 向し、第1の磁気抵抗効果素子20aと第2の磁気 抵抗効果素子20bが、図1に示すX軸上に対向し いる。

 図9(A)は、図2に示す磁石2が回動したとき 、検知器10内の第1の磁気抵抗効果素子20aと 2の磁気抵抗効果素子20bに作用する磁界のX 向の成分の強度を示している。図9(A)の横軸 、磁石2の回動角度範囲を示しており、図9(A )に示す角度範囲は+θ方向が+50度で、-θ方向 -50度の範囲である。ただし、回動範囲は360 であってもよい。図9(A)の縦軸は磁石2から得 られる磁界のX方向の成分の強度を磁束密度(m T)で示している。縦軸のX(+)は磁束密度の+X方 の成分の値であり、縦軸のX(-)は磁束密度の -X方向の成分の値である。縦軸のスケールは+ 30mTから-30mTの範囲である。なお、前記角度は 、磁石2の着磁面の中心Oが、第1の磁気抵抗効 果素子20aおよび第2の磁気抵抗効果素子20bの れぞれの中心にほぼ対向しているときが「0 」である。

 図9(A)では、磁石2の表面2aから第1の磁気 抗効果素子20aおよび第2の磁気抵抗効果素子2 0bまでの高さZhが4mmのときの磁束密度の変化 線を(i)で示し、前記高さZhが3mmのときの磁束 密度の変化曲線を(ii)で示している。

 図10(A)は、図9(A)の中心部分を拡大して示 ている。図10(A)のレンジでは、横軸の+θの 動角度が+1度で、-θの回動角度が-1度の範囲 あり、縦軸のレンジは、磁束密度が+5mTから -5mTの範囲である。

 図6に示すスイッチ回路50において、切換 スイッチSW5をオフにしたときの、第1の出力 端子OUT1からの出力と、第2の出力端子OUT2から の出力を、図9(B)および図10(B)に示している。 切換えスイッチSW5がオフのときには、+X方向 の磁束密度の変化に基づく出力が第1の出力 端子OUT1から得られ、-X方向への磁束密度の変 化に基づく出力が第2の出力端子OUT2から得ら る。

 図9(B)に示すように、磁石2が+θ方向へ回 するときに、回動角度が「0度」に近い位置T aで、第1の出力端子OUT1の出力がハイからロー に切換わる。また、磁石2が-θ方向へ回動す ときに、回動角度が「0度」に近い位置Tcで 第2の出力端子OUT2の出力がハイからローに切 換わる。このように、第1の出力端子OUT1と第2 の出力端子OUT2の双方の出力から、磁石2の回 角度がほぼ「0度」に至ったことを検知でき る。また、図9(B)のように第1の出力端子OUT1と 第2の出力端子OUT2から別々の出力を得ると、 石2が+θ方向と-θ方向のどの方向へ回動して 「0度」に接近する位置に至ったのかを識別 きる。

 検知器10は、磁石2の表面2aから出る磁力 Hの磁束密度の+X方向の成分の変化と、磁束 度の-X方向の成分の変化を検知してスイッチ 回路50からスイッチ出力を得るものであるた 、回動角度「0度」近傍の検出を高精度に行 うことができる。

 図9(B)をさらに拡大した図10(B)に示される うに、第1の出力端子OUT1からの出力はヒス リシスを含んでいる。これは図8(A)において 明した通りである。図10(B)に示すように、 界の強度が+X方向へ高くなっていくと、第1 出力端子OUT1からの出力が、位置Ta1でハイか ローに切換わり、+X方向の磁界の強度が低 していくと、位置Ta2でローからハイに切換 る。同様にして、-X方向への磁界の強度が高 くなっていくと、第2の出力端子OUT2からの出 は、位置Tc1でハイからローに切換わり、-X 向への磁界の強度が低下していくと、位置Tc 2でローからハイに切換わる。

 ただし、位置Ta1と位置Ta2、および位置Tc1 位置Tc2を、きわめて接近させることができ 。またスイッチ回路50の参照抵抗R1と参照抵 抗R2との中点から得られる参照電圧Vrおよび ュミットトリガー回路53のしきい値を適正に 設定することで、位置Ta1と位置Ta2、および位 置Tc1と位置Tc2を、「0度」にきわめて近い位 に設定できる。例えば、図10(A)に示すように 、第1の出力端子OUT1からの出力と第2の出力端 子OUT2からの出力の切換えのためのしきい値 ±2.0mTに設定すると、ほぼ±0.2度の回動位置 前記OUT1とOUT2の出力を切換えることができる 。また、前記しきい値を変えることで、第1 出力端子OUT1からの出力と第2の出力端子OUT2 らの出力を、限りなく0度に近い位置で切換 ることも可能である。

 このように、磁石2の着磁面である表面2a 近くに検知器10を対向させ、前記表面2aから 出る磁力線の傾きに応じたX方向への磁束密 の変化を検知できるようにすることで、回 角度が「0度」になった位置を±1度以下さら は±0.5度以下の高精度なばらつき内で検知 ることができる。

 さらに、図9(B)に示すように、検知器10が 石2の表面2aの中心Oから+θ方向へ遠く離れる と、検知器10に与えられる+X方向の磁束密度 低くなるため、第1の磁気抵抗効果素子20aの 由磁性層26の磁化の方向(F)が、再び-X方向へ 向く。よって第1の磁気抵抗効果素子20aの抵 値が下がり、第1の分圧抵抗Raとの中間点の 圧V1が低下する。このとき、差動アンプ52で 、参照電圧Vrとの差動出力(V1-Vr)が所定値以 に下がるため、シュミットトリガー回路53 ら第1のラッチ回路54に与えられる出力がロ となり、第1の出力端子OUT1がハイ出力に切換 わる。図9に示す例では、+θ方向へほぼ28度程 度回動したときに、第1の出力端子OUT1がロー らハイになるため、この検知出力を利用す ことにより、磁石2を搭載した可動部がほぼ 「0度」に至ったことを検知できるのみなら 、可動部が「0度」の位置からほぼ「28度」 動したことも検知できる。

 この動作は、磁石2が-θ方向へ移動したと きの、第2の出力端子OUT2から得られる出力に いても同じである。

 図6に示すスイッチ回路50において、切換 スイッチSW5をオンにして、第1の出力端子OUT 1から、第1の磁気抵抗効果素子20aの抵抗値の 化に基づく出力と、第2の磁気抵抗効果素子 20bの抵抗値の変化に基づく出力の双方を得る ようにすると、磁石2の回動動作により、第1 出力端子OUT1から図10(C)および図9(C)に示す出 力が得られる。

 この場合も、磁石2を搭載した可動部の回 動角度がほぼ「0度」となり、すなわちほぼ± 0.2度の範囲内に入ると、第1の出力端子OUT1の 力がローからハイに切換わる。これにより 可動部の回動範囲の原点位置を±0.2度の高 度なばらつきの範囲内で検知できる。さら 、回動角度がほぼ+28度およびほぼ-28度にな たときにも、第1の出力端子OUT1がロー出力か らハイ出力に切換わる。よって角度「0度」 検出のみならずほぼ+28度およびほぼ-28度の 出も可能になる。

 次に、図6に示すスイッチ回路50において 切換えスイッチSW5をオフにして、第1の出力 端子OUT1のみから検知出力を得ると、第1の磁 抵抗効果素子20aのみが設けられた検知器と 等のものとして機能する。この場合、第1の 出力端子OUT1からは図9(D)と図10(D)に示す出力 得られる。

 この場合に、磁石2を搭載した可動部が、 図2に示す「0度」の位置から+θ方向にのみ回 する機構において、可動部がほぼ「0度」に 復帰したことを+0.2度以内の誤差で検知でき 。さらに、可動部が+θ方向へほぼ28度の角度 前回動したことを検知できる。

 なお、磁石2が検知器10との対面距離を変 ることなく、磁石2が表面2aと平行な向きに 平移動する機構においても、前記実施の形 とほぼ同様の出力が得られる。

 前記磁気検知装置1は、検知器10と磁石2と の相対的な移動範囲が、磁石2の幅寸法Wより 広い範囲となる機構において、検知器10と 石2との対向位置の「原点位置」を高精度に 知することができる。

 よって、例えば、カメラ機構において、 動部にレンズを搭載してズーム処理やフォ カシング処理を行う際に、前記磁気検知装 1を使用することによりレンズの移動位置の 原点位置の検出を行うことができる。または 、図2に示すように回動する可動部を操作装 をして使用するときに、その回転角度の原 位置を高精度に検知できる。

 また、図1に示す検知器10内に、図6に示す 回路とともに、+Y方向の磁界強度を検知する 3の磁気抵抗効果素子と-Y方向の磁界の強度 検知する第4の磁気抵抗効果素子と、この両 磁気抵抗効果素子を使用して図6と同様に構 した回路を搭載すれば、磁石2と検知器10と 相対的に±X方向へ移動するときと、±Y方向 相対的に移動するときの双方において、原 である「0点」の検出などを行うことができ ようになる。

 図11は、本発明の第2の実施の形態の磁気検 装置101を示す正面図である。
 図11に示す磁気検知装置101は、回転軸102に 転体103が自由に回転できるように支持され おり、この回転体103に磁石2が固定されてい 。磁石2は錘としても機能しており、この磁 気検知装置101を搭載した機器が傾いても、磁 石2は常に重力方向に向けられる。磁石2は、 1の着磁面である表面2aが回転軌跡の接線方 に向けられており、回転中心Oaを通る法線 、表面2の中心に直交している。

 この磁気検知装置101は、図2に示す磁気検 知装置1とは異なっており、回転中心Oaから磁 石2の表面2aまでの回転半径Raが小さく、回転 径Raが、磁石2のX方向の幅寸法Wの2倍以下で る。

 検知器10は、第1の実施の形態の磁気検知 置1に使用されたものと同じであり、図4(A) 示す素子構造20を有する第1の磁気抵抗効果 子20aと第2の磁気抵抗効果素子20bを有してい 。

 図11に示す状態では、第1の磁気抵抗効果 子20aと第2の磁気抵抗効果素子20bの素子構造 20の膜面が、磁石2の表面2aと平行に対面する また、図4(A)に示す素子構造20の+X方向と-X方 向が、半径Raの円周軌跡φの接線方向に向け れている。そして、図4(A)に示されている素 構造20の膜面の中心が、中心Oaから延びる法 線に直交している。

 第1の磁気抵抗効果素子20aと第2の磁気抵 効果素子20bは、X方向にきわめて近接して並 でおり、第1の磁気抵抗効果素子20aと第2の 気抵抗効果素子20bは、共に固定磁性層24の磁 化の固定方向Pが-X方向である。

 第2の実施の形態の磁気検知装置101は、図 6に示す素子回路40およびスイッチ回路50を備 ている。

 図12(A)は、回転体102の回転角度が変化し ときの、第1の磁気抵抗効果素子20aおよび第2 の磁気抵抗効果素子20bに与えられる磁界のう ちの+X方向成分ならび-X方向成分の強度の変 を示している。横軸は、回転体102の回転角 であり、図11に示すように、磁石2の表面2aの 中心と、検知器10の中心とが一致していると を角度ゼロとし、α1方向への回転角度を正 角度で+90度まで示し、α2方向への回転角度 負の角度で-90度まで示している。

 縦軸は、第1の磁気抵抗効果素子20aおよび 第2の磁気抵抗効果素子20bに与えられる磁界 強度を示しており、上側が+X方向の磁界成分 の強度、下側が-X方向の磁界成分の強度であ 。縦軸は磁界強度をガウス(G)で示している また、図6に示すスイッチ回路50のシュミッ トリガー回路53の(V1-Vr)のしきい値に相当す +X方向の磁界の強度を+Haで示し、(V2-Vr)のし い値に相当する-X方向の磁界の強度を-Hbで している。

 図12(A)に示すシミュレーションでは、磁 2のX方向の幅寸法Wが4mm、X方向と直交するY方 向の長さ寸法が1mm、回転中心Oaからの法線方 の厚み寸法Taが3mmである。

 図11には、磁石2の表面2aから第1の磁気抵 効果素子20aおよび第2の磁気抵抗効果素子20b までの法線方向の対向距離をZhで示している

 図12(A)に示す変化曲線(a)は、回転中心Oaか ら磁石2の表面2aまでの半径Raが2mmで、前記回 中心Oaから第1の磁気抵抗効果素子20aおよび 2の磁気抵抗効果素子20bまでの距離(Ra+Zh)が5m mのときの磁界強度のシミュレーション結果 ある。変化曲線(b)は、半径Raが2mmで、距離(Ra +Zh)が5.5mmのときのシミュレーション結果、変 化曲線(c)は、半径Raが2mmで、距離(Ra+Zh)が6mmの ときのシミュレーション結果、変化曲線(d)は 、半径Raが3mmで、距離(Ra+Zh)が6mmのときのシミ ュレーション結果、変化曲線(e)は、半径Raが2 mmで、距離(Ra+Zh)が4.5mmのときのシミュレーシ ン結果である。

 図12(B)は、図6に示すスイッチ回路50の操 切換え部59がオフのときの第1の出力端子OUT1 らの出力と、第2の出力端子OUT2からの出力 それぞれ示している。図12(C)は、操作切換え 部59がオンのときの第1の出力端子OUT1からの 力を示している。また図12(D)は、操作切換え 部59がオフのときに、第1の出力端子OUT1から 出力のみを使用する例を示している。

 図12(B)(C)(D)のそれぞれの切換え出力波形 立ち下がりのタイミングTa1,Tc1、および立ち がりのタイミングTa2,Tc2などは、図10(B)(C)(D) 示している出力と同じである。

 図10(A)に示すように、第1の実施の形態の 気検知装置1では、第1の磁気抵抗効果素子20 aと第2の磁気抵抗効果素子20bに与えられる磁 の+X方向の成分と-X方向の成分の変化曲線が ほぼ直線となる領域で、スイッチ回路50から 出力が切換わるようにシュミットトリガー 路53のしきい値が設定されているが、第2の 施の形態の磁気検知装置101では、第1の磁気 抵抗効果素子20aと第2の磁気抵抗効果素子20b 与えられる磁界の+X方向の成分と-X方向の成 の変化曲線が、直線の領域を超えて曲線の 域になったときにスイッチ回路50からの出 が切換わるように、シュミットトリガー回 53のしきい値が設定されている。

 図12(A)では、しきい値に対応する磁界強 +Haが+10ガウス、-Hbが-10ガウスに設定されて る。磁界強度の特性が(a)(b)(c)であれば、回 体102の回転角度が±45度になったときに、ス ッチ回路50の出力が切換わる。また、特性 (d)であれば、回転体102の回転角度が±70度で イッチ回路50の出力が切換わり、特性が(e) あれば、回転角度が±90度でスイッチ回路50 出力が切換わる。

 このように、シュミットトリガー回路54 設定されるしきい値と、前記距離半径Raおよ び距離(Ra+Zh)などを任意に設定することで、 転角度が±30から±90度の範囲でスイッチ回路 50の出力を切換えることができる。

 図12(A)に示すように、第1の磁気抵抗効果 子20aと第2の磁気抵抗効果素子20bに作用する +X方向と-X方向の磁界成分の強度の変化が、 線領域を超えて曲線領域となったときにし い値を設定しているため、スイッチ回路50か らの出力が切換わったときの回転体102の回転 角度の誤差を小さくできる。

 第2の実施の形態の磁気検知装置101は、携 帯用機器などの各種機器の回動部の回動角度 の検知などに使用できる。また、図11に示す うに磁石2を錘として使用し、磁石が常に重 力方向に向くようにして携帯機器やカメラに 設置すると、これら機器を傾けたときの姿勢 検知装置として使用することができる。

 なお、前記実施の形態では、図2と図11に すように、検知器10と磁石2が対向している きに、磁気抵抗効果素子の膜面が、磁石2の 表面2aに平行に対面しているが、図2と図11の 態で、磁気抵抗効果素子の膜面が、磁石2の 表面2aに対して垂直となるように検知器10を 置し、しかも固定磁性層24の固定磁化の向き Pを接線方向である-X方向または+X方向に向け ことによっても、前記実施の形態と同じ切 え出力を得ることができる。

本発明の第1の実施の形態の磁気検知装 置の磁石と検知器の対向状態を示す斜視図、 第1の実施の形態において、可動部に搭 載された磁石と固定部に設けられた検知器の 対向状態を示す側面図、 図2の一部拡大図、 (A)は、磁気抵抗効果素子の平面図、(B)( C)は、磁気抵抗効果素子の磁化の説明図、 磁気抵抗効果素子の素子部の断面図、 素子回路とスイッチ回路の回路図、 磁気抵抗効果素子と分圧抵抗との中間 の電圧の変化を示す線図、 (A)(B)(C)はスイッチ回路の出力線図、 (A)は、第1の実施の形態における磁石の 回動角度と検知器に作用する磁束密度のX方 成分を示す線図、(B)(C)(D)は、検知器の出力 図、 (A)(B)(C)(D)は、図9(A)(B)(C)(D)の一部拡大 、 本発明の第2の実施の形態の磁気検知 置を示す正面図、 (A)は、第2の実施の形態における磁石 回動角度と検知器に作用する磁束密度のX方 成分を示す線図、(B)(C)(D)は、検知器の出力 図、

符号の説明

1 磁気検知装置
2 磁石
2a,2b 着磁面である表面と裏面
20 磁気抵抗効果素子の素子構造
20a 第1の磁気抵抗効果素子
20b 第2の磁気抵抗効果素子
21 素子部
24 固定磁性層
26 自由磁性層
40 素子回路
50 スイッチ回路
57 第1の出力回路
58 第2の出力回路
101 磁気検知装置
102 回転軸
103 回転体
P 固定磁性層の磁化の方向
F 自由磁性層の磁化の方向
Ra,Rb 分割抵抗
R1,R2 参照抵抗




 
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