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Title:
MAGNETIC-SENSITIVE MATERIAL, MAGNETIC-SENSITIVE MEDICINAL AGENT, AND THOSE PRODUCTION METHODS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111538
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a magnetic-sensitive material in which a functional substance contained therein can be separated from a mixture readily by using a magnet; a magnetic-sensitive medicinal agent comprising a magnetic microparticle, an organic thin film covalently bound to the surface of the microparticle, and a medicinal agent bound and immobilized on the microparticle through the organic thin film, in which the pharmacokinetics of a medicinal agent contained therein can be controlled by using a magnet; and a process for producing each of the magnetic-sensitive material and the magnetic-sensitive medicinal agent. Specifically disclosed is a magnetic-sensitive material (10) which comprises: a magnetic microparticle (1); a thin film (4) formed by a film-like compound having a second functional group, which covers the magnetic microparticle (1); a cross-linking agent (5) having a first cross-linking group and a second cross-linking group, wherein the first cross-linking group can react with the second functional group to form a covalent bond, the second cross-linking group can react with a functional group in a functional substance (6) to form a bond, and the cross-linking agent (5) is bound to the surface of the thin film (4) via a covalent bond formed by the reaction between the second functional group and the first cross-linking group; and the functional substance (6) which is bound to the microparticle (1) via a bond formed by the reaction between the functional group in the functional substance (6) and the second cross-linking group.

Inventors:
OGAWA KAZUFUMI (JP)
WATANABE YOSHIAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054217
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
OGAWA KAZUFUMI (JP)
WATANABE YOSHIAKI (JP)
International Classes:
A61K47/48; A61K9/14; A61K31/43; A61K47/02
Domestic Patent References:
WO2004087765A12004-10-14
WO2006025627A12006-03-09
Foreign References:
JP2007269770A2007-10-18
JPH08505625A1996-06-18
JPS62226817A1987-10-05
JP2001511820A2001-08-14
Attorney, Agent or Firm:
INABA, Yoshiyuki et al. (Roppongi Hills Mori Tower6-10-1, Roppongi, Minato-k, Tokyo 23, JP)
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Claims:
 磁性を有する微粒子に機能物質が結合した磁気感応性物質であって、
前記微粒子の表面は、分子の両端に第1および第2の官能基を有する膜化合物の形成する薄膜によって被覆されており、
 前記膜化合物は、前記第1の官能基と前記微粒子の表面との反応により形成された共有結合を介して前記微粒子の表面に固定されており、
 前記薄膜の表面には、前記第2の官能基と反応して共有結合を形成する第1の架橋反応基、および前記機能物質の官能基と反応して結合を形成する第2の架橋反応基とを有する架橋剤が、前記第2の官能基と前記第1の架橋反応基との反応により形成された共有結合を介して結合しており、
 前記機能物質の官能基と前記第2の架橋官能基との反応により形成された結合を介して、前記機能物質が前記微粒子に結合していることを特徴とする磁気感応性物質。
 請求の範囲第1項記載の磁気感応性物質において、前記膜化合物の形成する薄膜が単分子膜であることを特徴とする磁気感応性物質。
 請求の範囲第1項記載の磁気感応性物質において、前記第1の官能基がアルコキシシリル基であり、前記第2の官能基がエポキシ基であり、かつ前記第1の架橋反応基がアミノ基またはイミノ基であることを特徴とする磁気感応性物質。
 磁性を有する微粒子に薬剤が結合した磁気感応性薬剤であって、
 前記微粒子の表面は、分子の両端に第1および第2の官能基を有する膜化合物の形成する薄膜によって被覆されており、
 前記膜化合物は、前記第1の官能基と前記微粒子の表面との反応により形成された共有結合を介して前記微粒子の表面に固定されており、
 前記薄膜の表面には、前記第2の官能基と反応して共有結合を形成する第1の架橋反応基、および前記薬剤の官能基と反応して結合を形成する第2の架橋反応基とを有する架橋剤が、前記第2の官能基と前記第1の架橋反応基との反応により形成された共有結合を介して結合しており、
 前記薬剤の官能基と前記第2の架橋官能基との反応により形成された結合を介して、前記薬剤が前記微粒子に結合していることを特徴とする磁気感応性薬剤。
 請求の範囲第4項記載の磁気官能性薬剤において、前記薬剤が、アミノ基、イミノ基、水酸基、およびチオール基のいずれか1を含むタンパク質、アミノ酸、酵素、抗体、抗生物質、抗菌物質、および造影剤のいずれか1であることを特徴とする磁気官能性薬剤。
 請求の範囲第4項記載の磁気感応性薬剤において、前記膜化合物の形成する薄膜が単分子膜であることを特徴とする磁気感応性薬剤。
 請求の範囲第4項記載の磁気感応性薬剤において、前記第1の官能基がアルコキシシリル基であり、前記第2の官能基がエポキシ基であり、かつ前記第1の架橋反応基がアミノ基またはイミノ基であることを特徴とする磁気感応性薬剤。
 請求の範囲第4項記載の磁気感応性薬剤において、前記薬剤の有する前記官能基はアミノ基、イミノ基、水酸基およびチオール基のいずれか1であり、かつ前記第2の架橋反応基は、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、およびチオール基のいずれか1であることを特徴とする磁気感応性薬剤。
 磁性を有する微粒子に機能物質が結合した磁気感応性物質の製造方法であって、
分子の両端にそれぞれ第1および第2の官能基を有する膜化合物を含む溶液を前記微粒子の表面に接触させ、前記第1の官能基と前記微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記膜化合物の形成する薄膜で前記微粒子の表面が被覆された反応性微粒子を調製する工程Aと、
 記第2の官能基と反応して共有結合を形成する第1の架橋反応基、および前記機能物質の官能基と反応して結合を形成する第2の架橋反応基とを有する架橋剤を、前記反応性微粒子の表面に接触させ、前記第2の官能基と前記第1の架橋反応基との反応により共有結合を形成させ、前記架橋剤を前記反応性微粒子の表面に固定する工程Bと、
 前記架橋剤が固定された反応性微粒子の表面に前記機能物質を接触させ、前記機能物質の官能基と前記第2の架橋反応基との反応により結合を形成させ、前記機能物質を前記架橋剤が固定された反応性微粒子に結合させる工程Cとを有することを特徴とする磁気感応性物質の製造方法。
 請求の範囲第9項記載の磁気感応性物質の製造方法において、前記工程Aにおける結合の形成後に、未反応の前記膜化合物を除去することを特徴とする磁気感応性物質の製造方法。
 請求の範囲第9項記載の磁気感応性物質の製造方法において、前記第1の官能基がアルコキシシリル基であり、前記第2の官能基がエポキシ基であり、かつ前記第1の架橋反応基がアミノ基またはイミノ基であることを特徴とする磁気感応性物質の製造方法。
 請求の範囲第11項記載の磁気感応性物質の製造方法において、前記膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする磁気感応性物質の製造方法。
 請求の範囲第11項記載の磁気感応性物質の製造方法において、前記膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物をさらに含むことを特徴とする磁気感応性物質の製造方法。
 請求の範囲第13項記載の磁気感応性物質の製造方法において、さらに助触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物をさらに含むことを特徴とする磁気感応性物質の製造方法。
 磁性を有する微粒子に薬剤が結合した磁気感応性薬剤の製造方法であって、
 分子の両端にそれぞれ第1および第2の官能基を有する膜化合物を含む溶液を前記微粒子の表面に接触させ、前記第1の官能基と前記微粒子の表面との間で結合を形成させ、前記膜化合物の形成する薄膜で前記微粒子の表面が被覆された反応性微粒子を調製する工程Aと、
 前記第2の官能基と反応して共有結合を形成する第1の架橋反応基、および前記薬剤の官能基と反応して結合を形成する第2の架橋反応基とを有する架橋剤を、前記反応性微粒子の表面に接触させ、前記第2の官能基と前記第1の架橋反応基との反応により共有結合を形成させ、前記架橋剤を前記反応性微粒子の表面に固定する工程Bと、
 前記架橋剤が固定された反応性微粒子の表面に前記薬剤を接触させ、前記薬剤の官能基と前記第2の架橋反応基との反応により結合を形成させ、前記薬剤を前記架橋剤が固定された反応性微粒子に結合させる工程Cとを有することを特徴とする磁気感応性薬剤の製造方法。
 請求の範囲第15項記載の磁気感応性物質の製造方法において、前記工程Aにおける結合の形成後に、未反応の前記膜化合物を除去することを特徴とする磁気感応性薬剤の製造方法。
 請求の範囲第15項記載の磁気感応性薬剤の製造方法において、前記第1の官能基がアルコキシシリル基であり、前記第2の官能基がエポキシ基であり、かつ前記第1の架橋反応基がアミノ基またはイミノ基であることを特徴とする磁気感応性薬剤の製造方法。
 請求の範囲第15項記載の磁気感応性薬剤の製造方法において、前記薬剤の有する前記官能基はアミノ基、イミノ基、水酸基およびチオール基のいずれか1であり、かつ前記第2の架橋反応基は、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、sおよびチオール基のいずれか1であることを特徴とする磁気感応性薬剤の製造方法。
 請求の範囲第18項記載の磁気感応性薬剤の製造方法において、前記膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタン酸エステル、およびチタン酸エステルキレートからなる群から選択される1または2以上の化合物を含むことを特徴とする磁気感応性薬剤の製造方法。
 請求の範囲第18項記載の磁気感応性薬剤の製造方法において、前記膜化合物を含む溶液は、さらに縮合触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物をさらに含むことを特徴とする磁気感応性薬剤の製造方法。
 請求の範囲第20項記載の磁気感応性薬剤の製造方法において、さらに助触媒として、ケチミン化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリジン化合物、およびアミノアルキルアルコキシシラン化合物からなる群より選択される1または2以上の化合物をさらに含むことを特徴とする磁気感応性薬剤の製造方法。
Description:
磁気感応性物質、磁気感応性薬 およびそれらの製造方法

 本発明は、磁気感応性物質、磁気感応性 剤およびそれらの製造方法に関するもので る。さらに詳しくは、磁性を有する微粒子 面に共有結合した有機薄膜を介して機能物 が結合固定されており、磁石を用いて、混 物からの機能物質の分離が可能な磁気感応 物質、および磁性を有する微粒子表面に共 結合した有機薄膜を介して薬剤が結合固定 れており、磁石を用いて、薬剤の体内動態 制御可能な磁気感応性薬剤、ならびにこれ の製造方法に関する。

 現在、薬剤の副作用を和らげたり、低減 せたりする目的で、必要な時間に必要な部 で作用させるための薬物システムが数々研 開発されている。

特表2002-500177号公報

特表2000-503763号公報

特開平09-328438号公報

 しかしながら、混合物から磁力を用いて 離可能な磁気感応性物質およびその製造方 、さらには磁力を用いて必要な部位に薬剤 集中させるというシステムに用いる薬剤お びその製造方法は、未だ開発、提供されて ない。

 本発明は、磁力を用いて分離あるいは集 が可能な磁気感応性物質を製造し、触媒等 用いた物質の分離を高能率に行うことを目 とする。また、磁力を用いて生体内の必要 位に集中させることができ、且つ、投薬量 極めて少なくて済むDDS用の薬剤を製造し、 剤による副作用を和らげたり、薬剤の使用 を低減させたりすることを目的とする。

 前記目的に沿う第1の発明に係る磁気感応 性物質は、磁性を有する微粒子に機能物質が 結合した磁気感応性物質であって、前記微粒 子の表面は、分子の両端に第1および第2の官 基を有する膜化合物の形成する薄膜によっ 被覆されており、前記膜化合物は、前記第1 の官能基と前記微粒子の表面との反応により 形成された共有結合を介して前記微粒子の表 面に固定されており、前記薄膜の表面には、 前記第2の官能基と反応して共有結合を形成 る第1の架橋反応基、および前記機能物質の 能基と反応して結合を形成する第2の架橋反 応基とを有する架橋剤が、前記第2の官能基 前記第1の架橋反応基との反応により形成さ た共有結合を介して結合しており、前記機 物質の官能基と前記第2の架橋官能基との反 応により形成された結合を介して、前記機能 物質が前記微粒子に結合している。

 第1の発明に係る磁気感応性物質において 、前記膜化合物の形成する薄膜が単分子膜で あることが好ましい。

 第1の発明に係る磁気感応性物質において 、前記第1の官能基がアルコキシシリル基で り、前記第2の官能基がエポキシ基であり、 つ前記第1の架橋反応基がアミノ基またはイ ミノ基であってもよい。

 第2の発明に係る磁気感応性薬剤は、磁性を 有する微粒子に薬剤が結合した磁気感応性物 質であって、前記微粒子の表面は、分子の両 端に第1および第2の官能基を有する膜化合物 形成する薄膜によって被覆されており、前 膜化合物は、前記第1の官能基と前記微粒子 の表面との反応により形成された共有結合を 介して前記微粒子の表面に固定されており、
 前記薄膜の表面には、前記第2の官能基と反 応して共有結合を形成する第1の架橋反応基 および前記薬剤の官能基と反応して結合を 成する第2の架橋反応基とを有する架橋剤が 前記第2の官能基と前記第1の架橋反応基と 反応により形成された共有結合を介して結 しており、前記薬剤の官能基と前記第2の架 官能基との反応により形成された結合を介 て、前記薬剤が前記微粒子に結合している

 第2の発明に係る磁気感応性薬剤において 、前記薬剤が、アミノ基、イミノ基、水酸基 、およびチオール基のいずれか1を含むタン ク質、アミノ酸、酵素、抗体、抗生物質、 菌物質、および造影剤のいずれか1であって よい。

 第2の発明に係る磁気感応性薬剤において 、前記膜化合物の形成する薄膜が単分子膜で あることが好ましい。

 第2の発明に係る磁気感応性薬剤磁気感応 性薬剤において、前記第1の官能基がアルコ シシリル基であり、前記第2の官能基がエポ シ基であり、かつ前記第1の架橋反応基がア ミノ基またはイミノ基であってもよい。

 第2の発明に係る磁気感応性薬剤磁気感応 性薬剤において、前記薬剤の有する前記官能 基はアミノ基、イミノ基、水酸基およびチオ ール基のいずれか1であり、かつ前記第2の架 反応基は、アルコキシシリル基、エポキシ 、イソシアネート基、およびチオール基の ずれか1であってもよい。

 第3の発明に係る磁気感応性物質の製造方 法は、磁性を有する微粒子に機能物質が結合 した磁気感応性物質の製造方法であって、分 子の両端にそれぞれ第1および第2の官能基を する膜化合物を含む溶液を前記微粒子の表 に接触させ、前記第1の官能基と前記微粒子 の表面との間で結合を形成させ、前記膜化合 物の形成する薄膜で前記微粒子の表面が被覆 された反応性微粒子を調製する工程Aと、前 第2の官能基と反応して共有結合を形成する 1の架橋反応基、および前記機能物質の官能 基と反応して結合を形成する第2の架橋反応 とを有する架橋剤を、前記反応性微粒子の 面に接触させ、前記第2の官能基と前記第1の 架橋反応基との反応により共有結合を形成さ せ、前記架橋剤を前記反応性微粒子の表面に 固定する工程Bと、前記架橋剤が固定された 応性微粒子の表面に前記機能物質を接触さ 、前記機能物質の官能基と前記第2の架橋反 基との反応により結合を形成させ、前記機 物質を前記架橋剤が固定された反応性微粒 に結合させる工程Cとを有する。

 第3の発明に係る磁気感応性物質の製造方 法において、前記工程Aにおける結合の形成 に、未反応の前記膜化合物を除去すること 好ましい。

 第3の発明に係る磁気感応性物質の製造方 法において、前記第1の官能基がアルコキシ リル基であり、前記第2の官能基がエポキシ であり、かつ前記第1の架橋反応基がアミノ 基またはイミノ基であってもよい。

 第3の発明に係る磁気感応性物質の製造方 法において、前記膜化合物を含む溶液は、さ らに縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カ ルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩 ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタ ン酸エステル、およびチタン酸エステルキレ ートからなる群から選択される1または2以上 化合物を含んでいてもよい。

 第3の発明に係る磁気感応性物質の製造方 法において、前記膜化合物を含む溶液は、さ らに縮合触媒として、ケチミン化合物、有機 酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オ キサゾリジン化合物、およびアミノアルキル アルコキシシラン化合物からなる群より選択 される1または2以上の化合物をさらに含んで てもよい。

 第3の発明に係る磁気感応性物質の製造方 法において、さらに助触媒として、ケチミン 化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミ ン化合物、オキサゾリジン化合物、およびア ミノアルキルアルコキシシラン化合物からな る群より選択される1または2以上の化合物を らに含んでいてもよい。

 第4の発明に係る磁気感応性薬剤の製造方 法は、磁性を有する微粒子に薬剤が結合した 磁気感応性薬剤の製造方法であって、分子の 両端にそれぞれ第1および第2の官能基を有す 膜化合物を含む溶液を前記微粒子の表面に 触させ、前記第1の官能基と前記微粒子の表 面との間で結合を形成させ、前記膜化合物の 形成する薄膜で前記微粒子の表面が被覆され た反応性微粒子を調製する工程Aと、前記第2 官能基と反応して共有結合を形成する第1の 架橋反応基、および前記薬剤の官能基と反応 して結合を形成する第2の架橋反応基とを有 る架橋剤を、前記反応性微粒子の表面に接 させ、前記第2の官能基と前記第1の架橋反応 基との反応により共有結合を形成させ、前記 架橋剤を前記反応性微粒子の表面に固定する 工程Bと、前記架橋剤が固定された反応性微 子の表面に前記薬剤を接触させ、前記薬剤 官能基と前記第2の架橋反応基との反応によ 結合を形成させ、前記薬剤を前記架橋剤が 定された反応性微粒子に結合させる工程Cと を有する。

 第4の発明に係る磁気感応性薬剤の製造方 法において、前記工程Aにおける結合の形成 に、未反応の前記膜化合物を除去すること 好ましい。

 第4の発明に係る磁気感応性薬剤の製造方 法において、前記第1の官能基がアルコキシ リル基であり、前記第2の官能基がエポキシ であり、かつ前記第1の架橋反応基がアミノ 基またはイミノ基であってもよい。

 第4の発明に係る磁気感応性薬剤の製造方 法において、前記薬剤の有する前記官能基は アミノ基、イミノ基、水酸基およびチオール 基のいずれか1であり、かつ前記第2の架橋反 基は、アルコキシシリル基、エポキシ基、 ソシアネート基、およびチオール基のいず か1であってもよい。

 第4の発明に係る磁気感応性薬剤の製造方 法において、前記膜化合物を含む溶液は、さ らに縮合触媒として、カルボン酸金属塩、カ ルボン酸エステル金属塩、カルボン酸金属塩 ポリマー、カルボン酸金属塩キレート、チタ ン酸エステル、およびチタン酸エステルキレ ートからなる群から選択される1または2以上 化合物を含んでいてもよい。

 第4の発明に係る磁気感応性薬剤の製造方 法において、前記膜化合物を含む溶液は、さ らに縮合触媒として、ケチミン化合物、有機 酸、アルジミン化合物、エナミン化合物、オ キサゾリジン化合物、およびアミノアルキル アルコキシシラン化合物からなる群より選択 される1または2以上の化合物をさらに含んで てもよい。

 第4の発明に係る磁気感応性薬剤の製造方 法において、さらに助触媒として、ケチミン 化合物、有機酸、アルジミン化合物、エナミ ン化合物、オキサゾリジン化合物、およびア ミノアルキルアルコキシシラン化合物からな る群より選択される1または2以上の化合物を らに含んでいてもよい。

 請求の範囲第1~3項に記載の磁気感応性物 、および請求の範囲第9~14項に記載の磁気感 応性物質の製造方法は、磁力を用いて分離あ るいは集積が可能であり、磁石等の磁気発生 手段を用いて、結合した機能物質の分離を高 能率に行うことができる磁気感応性物質およ びその製造方法を提供できる。

 特に、請求の範囲第2項記載の磁気感応性 物質においては、第1の膜化合物の形成する 膜が単分子膜であるため、微粒子本来の物 や機能を保持することができる。

 請求の範囲第3項記載の磁気感応性物質に おいては、第2の官能基がエポキシ基であり かつ第1の架橋反応基がアミノ基またはイミ 基であるので、加熱により強固な結合を形 できる。

 請求の範囲第10項記載の磁気感応性物質 製造方法においては、未反応の膜化合物を 去するので、磁気感応性物質からの膜化合 の溶出を抑制することができる。

 請求の範囲第11項記載の磁気感応性物質 製造方法においては、第2の官能基がエポキ 基であり、かつ第1の架橋反応基がアミノ基 またはイミノ基であるので、加熱により強固 な結合を形成できる。

 請求の範囲第12項記載の磁気感応性物質 製造方法においては、膜化合物を含む溶液 、さらに縮合触媒として、カルボン酸金属 、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸 属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート チタン酸エステル、およびチタン酸エステ キレートからなる群から選択される1または2 以上の化合物を含むので、反応性微粒子の調 製時間を短縮し、磁気感応性物質の製造をよ り高効率に行うことができる。

 請求の範囲第13項および14項記載の磁気感 応性物質の製造方法においては、膜化合物を 含む溶液が、ケチミン化合物、有機酸、アル ジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリ ジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラ ン化合物からからなる群より選択される1ま は2以上の化合物をさらに含むので、反応性 粒子の調製時間を短縮し、磁気感応性物質 製造をより高効率に行うことができる。特 、これらの化合物と上述の縮合触媒の両者 ともに含む場合には、調製時間をさらに短 できる。

 請求の範囲第4~8項に記載の磁気感応性薬 、および請求の範囲第15~21項に記載の磁気 応性薬剤の製造方法は、磁石を用いて、薬 の体内動態が制御可能なであるため、標的 位にのみ選択的に投与することが可能であ 、高い効果を有しかつ副作用の少ない磁気 応性薬剤およびその製造方法を提供できる

 請求の範囲第5項記載の磁気感応性薬剤に おいて、薬剤が、アミノ基、イミノ基、水酸 基、およびチオール基のいずれか1であるの 、エポキシ基との反応により形成された結 により、安定に固定できる。

 請求の範囲第6項記載の磁気感応性物質に おいては、第1の膜化合物の形成する薄膜が 分子膜であるため、微粒子本来の物性や機 を保持することができる。

 請求の範囲第7項記載の磁気感応性薬剤に おいては、第2の官能基がエポキシ基であり かつ第1の架橋反応基がアミノ基またはイミ 基であるので、加熱により強固な結合を形 できる。

 請求の範囲第8項記載の磁気感応性薬剤に おいては、薬剤の有する官能基はアミノ基、 イミノ基、水酸基およびチオール基のいずれ か1であり、かつ第2の架橋反応基はアルコキ シリル基、エポキシ基、イソシアネート基 およびチオール基のいずれか1であるので、 加熱により形成される結合により薬剤を強固 に固定できる。

 請求の範囲第16項記載の磁気感応性薬剤 製造方法においては、未反応の膜化合物を 去するので、磁気感応性薬剤からの膜化合 の溶出を抑制することができる。

 請求の範囲第17項記載の磁気感応性薬剤 製造方法においては、第2の官能基がエポキ 基であり、かつ第1の架橋反応基がアミノ基 またはイミノ基であるので、加熱により強固 な結合を形成できる。

 請求の範囲第18項記載の磁気感応性薬剤 製造方法においては、薬剤の有する官能基 アミノ基、イミノ基、水酸基およびチオー 基のいずれか1であり、かつ第2の架橋反応基 はアルコキシシリル基、エポキシ基、イソシ アネート基、およびチオール基のいずれか1 あるので、反応する官能基を組み合わせれ 、加熱により形成される結合により薬剤を 固に固定できる。

 請求の範囲第19項記載の磁気感応性薬剤 製造方法においては、膜化合物を含む溶液 、さらに縮合触媒として、カルボン酸金属 、カルボン酸エステル金属塩、カルボン酸 属塩ポリマー、カルボン酸金属塩キレート チタン酸エステル、およびチタン酸エステ キレートからなる群から選択される1または2 以上の化合物を含むので、反応性微粒子の調 製時間を短縮し、磁気感応性物質の製造をよ り高効率に行うことができる。

 請求の範囲第20項および21項記載の磁気感 応性薬剤の製造方法においては、膜化合物を 含む溶液が、ケチミン化合物、有機酸、アル ジミン化合物、エナミン化合物、オキサゾリ ジン化合物、アミノアルキルアルコキシシラ ン化合物からからなる群より選択される1ま は2以上の化合物をさらに含むので、反応性 粒子の調製時間を短縮し、磁気感応性物質 製造をより高効率に行うことができる。特 、これらの化合物と上述の縮合触媒の両者 ともに含む場合には、調製時間をさらに短 できる。

 以下、図面を参照しながら本発明の一実施 形態に係る磁気感応性薬剤について説明す 。
 図1に示すように、本発明の一実施の形態に 係る磁気感応性薬剤10は、マグネタイト微粒 (磁性を有する微粒子の一例)1の表面が、ア ノ基(第2の官能基の一例)を有する膜化合物( 第1の膜化合物)の単分子膜3で被覆されたアミ ノ化マグネタイト微粒子(反応性微粒子の一 )4の表面に、架橋剤5を介してペニシリンG(薬 剤の一例)6が結合している。
 アミノ基を有する膜化合物は、アルコキシ リル基(第1の官能基の一例)とマグネタイト 粒子1の表面の水酸基2との反応により形成 れた共有結合を介してマグネタイト微粒子1 表面に固定されている。
 橋剤5は、2個のエポキシ基(第1および第2の 橋反応基の一例)を有するジエポキシ化合物 あり、一方のエポキシ基とアミノ化マグネ イト微粒子4の表面のアミノ基との反応によ り形成される共有結合を介してアミノ化マグ ネタイト粒子4の表面に固定されている。
 ペニシリンG 6は、イミノ基と架橋剤が表面 に固定されたアミノ化マグネタイト微粒子7 エポキシ基との反応により形成された共有 合により、架橋剤5を介してアミノ化マグネ イト微粒子4に結合している。

 磁気感応性薬剤10の製造方法は、図2(A)~(C) に示すように、アミノ基を有する膜化合物を マグネタイト微粒子1と接触させ、アミノ化 グネタイト微粒子4を製造する工程Aと、アミ ノ化マグネタイト微粒子4に架橋剤5を接触さ 、アミノ基とエポキシ基の反応より形成さ た共有結合を介して架橋剤5をアミノ化マグ ネタイト微粒子4の表面に固定する工程Bと、 橋剤が表面に固定されたアミノ化マグネタ ト微粒子7とペニシリンG 6とを接触させ、 ニシリンG 6に含まれているイミノ基とエポ シ基との反応により、ペニシリンG 6を、架 橋剤が表面に固定されたアミノ化マグネタイ ト微粒子7の表面に結合させる工程Cとを含ん いる。

 以下、工程A~Cについてより詳細に説明する
工程Aでは、アミノ基を有する膜化合物をマ ネタイト微粒子1と接触させ、アミノ化マグ タイト微粒子4を製造する。

 用いることのできるマグネタイト微粒子1 の粒径に特に制限はないが、10nm~0.1mmの範囲 であることが好ましい。マグネタイト微粒 1の粒径が10nm未満である場合には、磁気特性 が大幅に劣化し、粒径が0.1mmを上回る場合に 、沈降しやすくなり、溶液中への分散が困 になる。特に、DDS用の磁気感応性薬剤とし 用いる場合には、マグネタイト微粒子1の粒 径は、10~1μm、好ましくは数十~数百nmである 粒径が1μmを超すと、血管注射ができなくな ためである。

 アミノ基を有する膜化合物としては、マ ネタイト微粒子1の表面に吸着または水酸基 2との反応により結合し、自己組織化により 分子膜を形成することのできる任意の化合 を用いることができるが、直鎖状アルキレ 基の一方の末端にアミノ基を、他方の末端 アルコキシシリル基をそれぞれ有し、下記 一般式(化1)で表されるアルコキシシラン化 物が好ましい。

 上式において、mは3~20の整数を、Rは炭素数1 ~4のアルキル基をそれぞれ表す。
用いることのできるアミノ基を有する膜化合 物の具体例としては、下記(1)~(8)に示したア コキシシラン化合物が挙げられる。

(1) H 2 N(CH 2 ) 3 Si(OCH 3 ) 3
(2) H 2 N(CH 2 ) 5 Si(OCH 3 ) 3
(3) H 2 N(CH 2 ) 7 Si(OCH 3 ) 3
(4) H 2 N(CH 2 ) 9 Si(OCH 3 ) 3
(5) H 2 N(CH 2 ) 5 Si(OC 2 H 5 ) 3
(6) H 2 N(CH 2 ) 5 Si(OC 2 H 5 ) 3
(7) H 2 N(CH 2 ) 7 Si(OC 2 H 5 ) 3
(8) H 2 N(CH 2 ) 9 Si(OC 2 H 5 ) 3

 アミノ化マグネタイト微粒子4の製造は、 アミノ基を含むアルコキシシラン化合物と、 アルコキシシリル基とマグネタイト微粒子1 表面の水酸基2との縮合反応を促進するため 縮合触媒と、非水系の有機溶媒とを混合し 反応液中にマグネタイト微粒子1を分散させ 、室温の空気中で反応させることにより行わ れる。

 縮合触媒としては、カルボン酸金属塩、チ ン酸エステルおよびチタン酸エステルキレ ト等の金属塩が利用可能である。
縮合触媒の添加量は、好ましくはアルコキシ シラン化合物の0.2~5質量%であり、より好まし くは0.5~1質量%である。

 カルボン酸金属塩の具体例としては、ジ チルスズジラウレート、ジブチルスズジオ テート、ジブチルスズジアセテート、ジオ チルスズジラウレート、ジオクチルスズジ クテート、ジオクチルスズジアセテート、 フテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2-エチ ヘキセン酸鉄が挙げられる。

 チタン酸エステルの具体例としては、テト ブチルチタネート、テトラノニルチタネー が挙げられる。
 チタン酸エステルキレート類の具体例とし は、ビス(アセチルアセトニル)ジ-プロピル タネートが挙げられる。

 アルコキシシリル基とマグネタイト微粒 1の表面の水酸基2とが縮合反応を起こし、 記の化2で示されるような構造を有するアミ 基を有する膜化合物の単分子膜3を生成する 。なお、酸素原子から延びた3本の単結合は グネタイト微粒子1の表面または隣接するシ ン化合物のケイ素(Si)原子と結合しており、 そのうち少なくとも1本はマグネタイト微粒 1の表面と結合している。

 アルコキシシリル基は、水分の存在下で分 するので、反応は相対湿度45%以下の空気中 行うことが好ましい。なお、縮合反応は、 リカ微粒子21の表面に付着した油脂分や水 により阻害されるので、シリカ微粒子21をよ く洗浄して乾燥することにより、これらの不 純物を予め除去しておくことが好ましい。
 縮合触媒として上述の金属塩のいずれかを いた場合、縮合反応の完了までに要する時 は2時間程度である。

 上述の金属塩の代わりに、ケチミン化合 、有機酸、アルジミン化合物、エナミン化 物、オキサゾリジン化合物、アミノアルキ アルコキシシラン化合物からなる群より選 される1または2以上の化合物を縮合触媒と て用いた場合、反応時間を1/2~2/3程度まで短 できる。

 あるいは、これらの化合物を助触媒とし 、上述の金属塩と混合(質量比1:9~9:1の範囲 使用可能だが、1:1前後が好ましい)して用い と、反応時間をさらに短縮できる。

 例えば、縮合触媒として、ケチミン化合 であるジャパンエポキシレジン社のH3を用 、その他の条件は同一にしてアミノ化マグ タイト微粒子4の製造を行うと、アミノ化マ ネタイト微粒子4の品質を損なうことなく反 応時間を1時間程度にまで短縮できる。

 さらに、縮合触媒として、ジャパンエポ シレジン社のH3とジブチルスズビスアセチ アセトネートとの混合物(混合比は1:1)を用い 、その他の条件は同一にしてエポキシ化シリ カ微粒子11の製造を行うと、反応時間を20分 度に短縮できる。

 なお、ここで用いることができるケチミ 化合物は特に限定されるものではないが、 えば、2,5,8-トリアザ-1,8-ノナジエン、3,11-ジ メチル-4,7,10-トリアザ-3,10-トリデカジエン、2 ,10-ジメチル-3,6,9-トリアザ-2,9-ウンデカジエ 、2,4,12,14-テトラメチル-5,8,11-トリアザ-4,11- ンタデカジエン、2,4,15,17-テトラメチル-5,8,11 ,14-テトラアザ-4,14-オクタデカジエン、2,4,20,2 2-テトラメチル-5,12,19-トリアザ-4,19-トリエイ サジエン等が挙げられる。

 また、用いることができる有機酸として 特に限定されるものではないが、例えば、 酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、マロン酸 が挙げられる。

 反応液の製造には、有機塩素系溶媒、炭 水素系溶媒、フッ化炭素系溶媒、シリコー 系溶媒、およびこれらの混合溶媒を用いる とができる。アルコキシシラン化合物の加 分解を防止するために、乾燥剤または蒸留 より使用する溶媒から水分を除去しておく とが好ましい。また、溶媒の沸点は50~250℃ あることが好ましい。

 具体的に使用可能な溶媒としては、非水系 石油ナフサ、ソルベントナフサ、石油エー ル、石油ベンジン、イソパラフィン、ノル ルパラフィン、デカリン、工業ガソリン、 ナン、デカン、灯油、ジメチルシリコーン フェニルシリコーン、アルキル変性シリコ ン、ポリエーテルシリコーン、ジメチルホ ムアミド等を挙げることができる。
さらに、メタノール、エタノール、プロパノ ール等のアルコール系溶媒、あるいはそれら の混合物を用いることもできる。

 また、用いることができるフッ化炭素系 媒としては、フロン系溶媒、フロリナート( 米国3M社製)、アフルード(旭硝子株式会社製) がある。なお、これらは1種単独で用いても 良いし、良く混ざるものなら2種以上を組み わせてもよい。さらに、ジクロロメタン、 ロロホルム等の有機塩素系溶媒を添加して よい。

 反応液におけるアルコキシシラン化合物 好ましい濃度は、0.5~3質量%である。

 反応後、溶媒で洗浄し、未反応物として 面に残った過剰なアルコキシシラン化合物 よび縮合触媒を除去すると、アミノ基を有 る膜化合物の単分子膜3で表面が覆われたア ミノ化マグネタイト微粒子4が得られる。こ ようにして製造されるアミノ化マグネタイ 微粒子4の断面構造の模式図を図2(B)に示す。

 洗浄溶媒としては、アルコキシシラン化 物を溶解できる任意の溶媒を用いることが きるが、安価であり、溶解性が高く、風乾 より容易に除去することのできるジクロロ タン、クロロホルム、N-メチルピロリドン が好ましい。

 反応後、生成したアミノ化マグネタイト 粒子4を溶媒で洗浄せずに空気中に放置する と、表面に残ったアルコキシシラン化合物の 一部が空気中の水分により加水分解を受け、 生成したシラノール基がアルコキシシリル基 と縮合反応を起こす。その結果、アミノ化マ グネタイト微粒子4の表面にポリシロキサン りなる極薄のポリマー膜が形成される。こ ポリマー膜は、アミノ化マグネタイト微粒 4の表面に共有結合により固定されていない 、エポキシ基を含んでいるため、アミノ化 グネタイト微粒子4に対してアミノ基を有す る膜化合物の単分子膜3と同様の反応性を有 ている。そのため、洗浄を行わなくても、 程B以降の製造工程に特に支障をきたすこと ない。

 なお、本実施の形態においては、アミノ を有するアルコキシシラン化合物を用いた 、直鎖状アルキレン基の一方の末端にエポ シ基(オキシラン環)を含む官能基を、他方 末端にアルコキシシリル基をそれぞれ有し 下記の一般式(化3)で表されるアルコキシシ ン化合物を用いてもよい。

 上式において、Eはエポキシ基を有する官能 基を、mは3~20の整数を、Rは炭素数1~4のアルキ ル基をそれぞれ表す。
 用いることのできるエポキシ基を有する膜 合物の具体例としては、下記(11)~(22)に示し アルコキシシラン化合物が挙げられる。

(11) (CH 2 OCH)CH 2 O(CH 2 ) 3 Si(OCH 3 ) 3
(12) (CH 2 OCH)CH 2 O(CH 2 ) 7 Si(OCH 3 ) 3
(13) (CH 2 OCH)CH 2 O(CH 2 ) 11 Si(OCH 3 ) 3
(14) (CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH(CH 2 ) 2 Si(OCH 3 ) 3
(15) (CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH(CH 2 ) 4 Si(OCH 3 ) 3
(16) (CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH(CH 2 ) 6 Si(OCH 3 ) 3
(17) (CH 2 OCH)CH 2 O(CH 2 ) 3 Si(OC 2 H 5 ) 3
(18) (CH 2 OCH)CH 2 O(CH 2 ) 7 Si(OC 2 H 5 ) 3
(19) (CH 2 OCH)CH 2 O(CH 2 ) 11 Si(OC 2 H 5 ) 3
(20) (CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH(CH 2 ) 2 Si(OC 2 H 5 ) 3
(21) (CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH(CH 2 ) 4 Si(OC 2 H 5 ) 3
(22) (CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH(CH 2 ) 6 Si(OC 2 H 5 ) 3

 ここで、(CH 2 OCH)CH 2 O-基は、化4で表される官能基(グリシドキシ )を表し、(CH 2 CHOCH(CH 2 ) 2 )CH-基は、化5で表される官能基(3,4-エポキシ クロヘキシル基)を表す。

 エポキシ基を有するアルコキシシラン化合 に対しては、上記の縮合触媒に加え、さら 、カルボン酸スズ塩、カルボン酸エステル ズ塩、カルボン酸スズ塩ポリマー、カルボ 酸スズ塩キレートを含む化合物を単独でま は2種類以上を混合して縮合触媒として用い ることができる。
 用いることのできる助触媒の種類およびそ らの組み合わせ、溶媒の種類、アルコキシ ラン化合物、縮合触媒、および助触媒の濃 、反応条件ならびに反応時間についてはエ キシ基を有するアルコキシシラン化合物の 合と同様であるので、説明を省略する。

 また、本実施の形態においては、微粒子と てマグネタイト微粒子を用いたが、アルコ シシラン化合物と反応する表面基を有する 意の磁性微粒子を用いることもできる。具 的には、鉄、クロム、ニッケルやそれらの 金等よりなる磁性金属微粒子やフェライト マグネタイト、酸化クロム等よりなる磁性 属酸化物微粒子等が挙げられる。
 また、第1の反応基としてアルコキシシリル 基以外の官能基を有する膜化合物を用いても よい。例えば、金メッキ層を有する微粒子の 場合には、膜化合物として金原子と強い結合 を形成するチオール誘導体またはトリアジン チオール誘導体を用いることができる。
(以上工程A)

 工程Bでは、アミノ化マグネタイト微粒子 4に架橋剤5を接触させ、アミノ基とエポキシ の反応より形成された共有結合を介して架 剤5をアミノ化マグネタイト微粒子4の表面 固定し、架橋剤が表面に固定されたアミノ マグネタイト微粒子7を調製する。

 架橋剤5として用いることができるジエポ キシ化合物には特に制限はなく、各種の公知 のジエポキシ化合物を用いることができる。 具体的には、エチレングリコールジグリシジ ルエーテル、ジエチレングリコールジグリシ ジルエーテル、トリエチレングリコールジグ リシジルエーテル、ポリエチレングリコール ジグリシジルエーテル、プロピレングリコー ルジグリシジルエーテル、ジプロピレングリ コールジグリシジルエーテル、トリプロピレ ングリコールジグリシジルエーテル、ポリプ ロピレングリコールジグリシジルエーテル、 ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテ ル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエー ル等の非環状脂肪族ジグリシジルエーテル 、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジ グリシジルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェ ニル)メタンジグリシジルエーテル、1,1-ビス( 4-ヒドロキシフェニル)エタンジグリシジルエ ーテル、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシ )プロパンジグリシジルエーテル、3,3’,5,5’ -テトラメチル-4,4’-ヒドロキシビフェニルジ グリシジルエーテル、2,2’-ビス(4-(β-ヒドロ シプロポキシ)フェニル)プロパンジグリシ ルエーテル等の芳香族または環状脂肪族ジ リシジルエーテル類等が挙げられる。

 アミノ化マグネタイト微粒子4と架橋剤5と 溶媒中で加熱すると、エポキシ基と網の帰 の間で、下式(化6)のような反応が起こり、 有結合が形成される。溶媒としては、エタ ール等のアルコール系溶媒が好ましく、数 分~数時間程度加熱環流する。
溶媒に添加するアミノ化マグネタイト微粒子 4と架橋剤5とのモル比は、導入する薬剤の量 に応じて適宜調節される。

 反応終了後、ろ過により溶媒と分離後、溶 で洗浄し、未反応物として表面に残った過 な架橋剤5を除去すると、架橋剤が表面に固 定されたアミノ化マグネタイト微粒子7が得 れる。
 洗浄溶媒としては、工程Aと同様の洗浄溶媒 を用いることができる。

 なお、工程Aにおいて、直鎖状アルキレン 基の一方の末端にエポキシ基を含む官能基を 有するアルコキシシラン化合物を用いた場合 には、第1の架橋反応基としてアミノ基また イミノ基とアルコキシシリル基、あるいは アミノ基またはイミノ基とチオール基とを れぞれ分子の両端に含む化合物を架橋剤と て用いる。

 本実施の形態においては、第2の架橋反応基 としてエポキシ基を用いたが、生体内で薬剤 を放出するために、生分解性を有する官能基 を用いてもよい。
(以上工程B)

 工程Cでは、架橋剤が表面に固定されたアミ ノ化マグネタイト微粒子7とペニシリンG 6と 接触させ、イミノ基とエポキシ基との反応 より、ペニシリンG 6を、架橋剤が表面に固 定されたアミノ化マグネタイト微粒子7の表 に結合させ、磁気感応性薬剤10を製造する( 1)。
 架橋剤が表面に固定されたアミノ化マグネ イト微粒子7とペニシリンG 6とを溶媒中で 熱すると、ペニシリンG 6がβラクタム環上 有するアミド窒素とエポキシ基との間で、 式(化7)のような反応が起こり、共有結合を 成する。

 溶媒としては、エタノール等のアルコー 系溶媒が好ましく、数時間程度加熱環流す 。溶媒に添加する架橋剤が表面に固定され アミノ化マグネタイト微粒子7とペニシリン G 6とのモル比は、導入するペニシリンG 6の 等に応じて適宜調節される。

 反応終了後、ろ過により溶媒と分離後、溶 で洗浄し、未反応物として表面に残った過 なペニシリンG 6を除去すると、磁気感応性 薬剤10が得られる。
洗浄溶媒としては、工程Aと同様の洗浄溶媒 用いることができる。

 本実施の形態においては、薬剤としてペ シリンGを用いたが、アミノ基、イミノ基、 水酸基およびチオール基のいずれか1を有し エポキシ基との反応条件化で分解・BR>オ い任意の薬剤を用いることができる。例え 、他の抗生物質としては、セファレキシン が挙げられる。その他にも、タンパク質、 ミノ酸、酵素、抗体、ペプチド、抗菌物質 あるいは磁気画像診断用以外の造影剤等を 剤として用いることができる。

 薬剤以外の機能物質を同様の方法により磁 を有する微粒子の表面に固定すると、磁気 応性物質が得られる。例えば、機能物質と て触媒を用いると、触媒反応終了後、磁石 の磁気発生手段により反応系から容易に回 することができる磁気感応触媒が得られる
また、特定の生理活性物質に対する親和性を 有する抗体やリガンド等を機能物質として用 いると、該生理活性物質を含む混合物から、 磁石等の磁気発生手段により結合した生理活 性物質を分離することができる磁気感応アフ ィニティ担体が得られる。
 あるいは、EDTA、クラウンエーテル、カリッ クスアレーン、シクロデキストリン等のホス ト化合物を機能物質として用いると、混合物 から金属イオン、有機化合物等の分離または 回収が可能な磁気感応性物質が得られる。

 以下、本発明の効果を確認するために行 た実施例について説明するが、本願発明は これら実施例によって何ら制限されるもの はない。

(1)アミノ化マグネタイト微粒子の調製
 粒径が数十ナノメートルの無水のマグネタ ト微粒子を用意し、よく乾燥した。
3-アミノプロピルトリメトキシシラン(化8)0.99 重量部、および酢酸(縮合触媒)0.01重量部を秤 量し、これを100重量部のヘキサメチルジシロ キサン-ジメチルホルムアミド混合溶媒(1:1v/v) に溶解し、反応液を調製した。

 この反応液に乾燥したマグネタイト微粒 を加え、室温の空気中(相対湿度45%)で2時間 度撹拌して反応させた。その後、トリクレ で洗浄し、過剰なアルコキシシラン化合物 除去した。

(2)架橋剤が表面に固定されたアミノ化マグネ タイト微粒子の調製
 アミノ化マグネタイト微粒子、およびエチ ングリコールジグリシジルエーテルをエタ ール中で加熱環流した。室温まで放冷後、 過し、ろ過物をエタノールで洗浄し、過剰 エチレングリコールジグリシジルエーテル 除去した。

(2)磁気感応性薬剤の調製
 架橋剤が表面に固定されたアミノ化マグネ イト微粒子の調製、およびペニシリンGをエ タノール中で加熱環流した。室温まで放冷後 、ろ過し、ろ過物をエタノールで洗浄し、過 剰なペニシリンGを除去した。
 得られた磁気感応性薬剤は、粒径がたかだ 数十ナノメートルなので、純水に分散して 管注射しても、血管が詰まることはない。 らに、この薬剤は、磁石に引き寄せられる 能を持っているため、患部近傍に磁石を設 しておくと血液が一定時間体内を循環する に磁力で薬剤を患部に集中できる。
 したがってトータルの投与鑓が極めて少な ても、患部近傍のみペニシリンGを高濃度に できるため副作用を低減でき、効率の良い治 療が可能となった。

本発明の一実施の形態に係る、ペニシ ンGが結合固定された磁気感応性薬剤の構造 を模式的に表した説明図である。 (A)は反応前のマグネタイト微粒子表面 構造を模式的に表した説明図、(B)は、エポ シ化マグネタイト微粒子の構造を模式的に した説明図、(C)は、架橋剤が結合したエポ シ化マグネタイト微粒子の構造を模式的に す説明図である。

符号の説明

 1:マグネタイト微粒子、2:水酸基、3:アミノ を有する膜化合物の単分子膜、4:アミノ化 グネタイト微粒子、5:架橋剤、6:ペニシリンG 、7:架橋剤が表面に固定されたアミノ化マグ タイト微粒子、10:磁気感応性薬剤