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Title:
MANUFACTURING METHOD FOR SURFACE-TREATED METALLIC SUBSTRATE AND SURFACE-TREATED METALLIC SUBSTRATE OBTAINED BY SAID MANUFACTURING METHOD, AND METALLIC SUBSTRATE TREATMENT METHOD AND METALLIC SUBSTRATE TREATED BY SAID METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/081807
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a manufacturing method for a metallic substrate of superior corrosion resistance and finishing properties and the surface-treated metallic substrate obtained by said manufacturing method, and a surface treatment method that provides a metallic substrate of superior corrosion resistance and finishing properties and the metallic substrate surface-treated by said method. Concretely, this is a manufacturing method for surface-treated metallic substrate that includes a step in which a metallic substrate is immersed as a cathode in a treatment solution (I) described below and electrical conduction is applied for 10 to 600 seconds by superimposing an alternating current (Va) at a frequency of 0.1 to 1000 Hz and 1 to 40 V peak-to-peak voltage onto a direct current (Vd) at a voltage of 1 to 50 V. The treatment solution (I) comprises a metallic compound ingredient (A) containing a compound of at least one metal (a) selected from a group consisting of zirconium, titanium, cobalt, vanadium, tungsten, molybdenum, copper, zinc, indium, bismuth, yttrium, iron, nickel, manganese, gallium, silver, and lanthanoid metals, and water, and the content of metallic compound ingredient (A) is 5 to 20,000 ppm as the total metallic quantity (by mass).

Inventors:
KUBOTA KENTARO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072938
Publication Date:
July 02, 2009
Filing Date:
December 17, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KANSAI PAINT CO LTD (JP)
KUBOTA KENTARO (JP)
International Classes:
C25D9/08; C25D13/20
Foreign References:
JPH04193997A1992-07-14
JPH06330385A1994-11-29
JP2001026896A2001-01-30
JP2006057135A2006-03-02
JP2006336079A2006-12-14
JPS491443A1974-01-08
JPH09249990A1997-09-22
Attorney, Agent or Firm:
Saegusa & Partners (1-7-1 Doshomachi, Chuo-k, Osaka-shi Osaka 45, JP)
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Claims:
金属基材を陰極として、下記処理液(I)に浸漬し、1~50Vの直流電圧(Vd)に、周波数0.1~1000Hzかつ1~40Vのピーク間電圧の交流電圧(Va)を重畳して、10~600秒間通電する工程を含む、表面処理された金属基材の製造方法。
 処理液(I):ジルコニウム、チタン、コバルト、バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、亜鉛、インジウム、ビスマス、イットリウム、鉄、ニッケル、マンガン、ガリウム、銀及びランタノイド金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属(a)の化合物を含む金属化合物成分(A)並びに水からなり、金属化合物成分(A)を合計金属量(質量換算)で5~20,000ppm含有する。
交流電圧(Va)の波形が、矩形波である請求項1に記載の製造方法。
交流電圧(Va)のデューティ比が、0.1~0.9である請求項1又は2に記載の製造方法。
請求項1~3のいずれかに記載の製造方法により得られた表面処理された金属基材。
金属基材を陰極として、下記処理液(I)に浸漬し、1~50Vの直流電圧(Vd)に、周波数0.1~1000Hzかつ1~40Vのピーク間電圧の交流電圧(Va)を重畳して、10~600秒間通電することを特徴とする金属基材の表面処理方法。
 処理液(I):ジルコニウム、チタン、コバルト、バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、亜鉛、インジウム、ビスマス、イットリウム、鉄、ニッケル、マンガン、ガリウム、銀及びランタノイド金属からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属(a)の化合物を含む金属化合物成分(A)並びに水からなり、金属化合物成分(A)を合計金属量(質量換算)で5~20,000ppm含有する。
請求項5に記載の処理方法によって表面処理された金属基材。
請求項4又は6に記載の基材を含む塗装物品。
Description:
表面処理された金属基材の製造 法及び該製造方法により得られた表面処理 れた金属基材、並びに金属基材処理方法及 該方法によって処理された金属基材

 本発明は、表面処理された金属基材の製 方法及び該製造方法により得られた表面処 された金属基材、並びに金属基材処理方法 び該方法によって処理された金属基材に関 る。

 従来から工業用の塗装ラインにおいて、 属基材の防食性や付着性向上を目的とした 地処理として、クロメート処理やリン酸亜 処理等が用いられている。しかし、これら 方法は、環境に有害な成分を含み、廃棄物 なるスラッジを発生させる等の問題がある そこで、クロメート処理やリン酸亜鉛処理 替わる処理法として、チタンやジルコニウ 化合物を含有する化成処理剤を用いた処理 が実用化している。

 このような表面処理方法は、金属基材表 上にジルコニウム/チタンの水酸化物または フッ化物等が析出して、腐食因子物質に対し て高い保護性を有する皮膜を形成することが できる。しかしながら、金属基材から溶出さ れた金属イオンが化成処理浴を不安定にさせ るという問題があった。さらに、十分な塗装 後耐食性を得るためには比較的長い処理時間 を要する、表面処理浴の温度を比較的高い温 度で一定に保つ必要がある等、省エネルギー 性や生産性向上の障害となっている。

 ジルコニウム化合物を含有する化成処理 を用いた化成処理としては、例えば、ジル ニウム含有化合物及びフッ素含有化合物を む化成処理剤による化成処理反応によって 属被処理物表面に化成皮膜を形成させる工 からなる金属表面処理方法であって、前記 成処理反応が、カソード電解処理によって うことを特徴とする金属表面処理方法が知 れている(例えば、特許文献1参照)。また、 ルコニウム含有化合物と、フッ素含有化合 と、アルミニウムイオン、バナジウムイオ 及びマグネシウムイオンからなる群より選 される少なくとも1種とを含む化成処理剤に よる化成処理反応によって金属被処理物表面 に化成皮膜を形成させる工程からなる亜鉛又 は亜鉛系合金めっき鋼材の表面処理方法であ って、前記化成処理反応は、カソード電解処 理によって行うことを特徴とする亜鉛又は亜 鉛系合金めっき鋼材の表面処理方法が知られ ている(例えば、特許文献2参照)。

 しかしながら、特許文献1又は2に記載の 面処理方法では、均一な化成処理皮膜を形 することが難しく、塗料を塗装することに り得られた塗膜において、仕上り性や防食 を十分に確保できないという問題があった

 また、特許文献3には、パルス電圧を重畳す ることによってガスピンと呼ばれる塗膜欠陥 を制御できる電着塗装方法が開示されている 。しかしながら、特許文献3においては、電 塗料を塗装するものである。一方、本願は 特定の処理剤を用いて金属基材に表面処理 施す金属基材処理方法で、その組成や効果 全く異なる。

特開2005-23422号公報

特開2005-325401号公報

特開2006-9086号公報

 本発明の目的は、塗装後の防食性と仕上 性に優れる金属基材の製造方法及び該製造 法により得られた表面処理された金属基材 並びに、塗装後の防食性と仕上り性に優れ 金属基材を提供することができる表面処理 法及び該方法により表面処理された金属基 を提供することである。

 本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、金 基材を陰極として、特定の処理液(I)に浸漬 、1~50Vの直流電圧(Vd)に、周波数0.1~1000Hzでか つ1~40Vのピーク間電圧の交流電圧(Va)を重畳し て、10~600秒間通電することにより、上記の課 題を達成することを見出し、本発明を完成す るに至った。

 即ち、本発明は、
1.金属基材を陰極として、下記処理液(I)に浸 し、1~50Vの直流電圧(Vd)に、周波数0.1~1000Hzか つ1~40Vのピーク間電圧の交流電圧(Va)を重畳し て、10~600秒間通電する工程を含む、表面処理 された金属基材の製造方法。
 処理液(I):ジルコニウム、チタン、コバルト 、バナジウム、タングステン、モリブデン、 銅、亜鉛、インジウム、ビスマス、イットリ ウム、鉄、ニッケル、マンガン、ガリウム、 銀及びランタノイド金属からなる群から選ば れる少なくとも1種の金属(a)の化合物を含む 属化合物成分(A)並びに水からなり、金属化 物成分(A)を合計金属量(質量換算)で5~20,000ppm 有する。
2.交流電圧(Va)の波形が、矩形波である上記項 1に記載の製造方法。
3.交流電圧(Va)のデューティ比が、0.1~0.9であ 上記項1又は2に記載の製造方法。
4.上記項1~3のいずれかに記載の製造方法によ 得られた表面処理された金属基材。
5.金属基材を陰極として、下記処理液(I)に浸 し、1~50Vの直流電圧(Vd)に、周波数0.1~1000Hzか つ1~40Vのピーク間電圧の交流電圧(Va)を重畳し て、10~600秒間通電することを特徴とする金属 基材の表面処理方法。
 処理液(I):ジルコニウム、チタン、コバルト 、バナジウム、タングステン、モリブデン、 銅、亜鉛、インジウム、ビスマス、イットリ ウム、鉄、ニッケル、マンガン、ガリウム、 銀及びランタノイド金属からなる群から選ば れる少なくとも1種の金属(a)の化合物を含む 属化合物成分(A)並びに水からなり、金属化 物成分(A)を合計金属量(質量換算)で5~20,000ppm 有する。
6.上記項5に記載の処理方法によって表面処理 された金属基材。
7.上記項4又は6に記載の基材を含む塗装物品

 本発明の表面処理された金属基材の製造方 及び金属基材の表面処理方法によれば、下 の如き顕著な効果が得られる。
(1)従来のカソード電解法(直流電解法)による 解処理と比べて、短時間の処理で、塗装後 防食性や仕上り性が良好である表面処理さ た金属基材を得ることができる。このこと ら生産性の向上(タクトアップ)対応が可能 なった。
(2)本発明の製造方法および処理方法において は、カソードバイアス(「オフセット電圧」 も称する。直流電圧(Vd)に相当する。)下に、 交流電圧(Va)を金属基材に加えることによっ 金属基材表面が活性化されるため、電解処 によって生成される処理皮膜を均一に形成 ることができる。従って、均一な処理皮膜 有する金属基材上に、塗料を塗装して得ら た塗装物品は、防食性と仕上り性に優れて る。
(3)形成される処理皮膜はクラックが少なく均 一でかつ緻密な皮膜(数10~数100nm)を形成でき 。このような皮膜が、腐食促進物質(例えば O 2 、Cl - 、Na + )を遮断できる為、塗膜下の金属基材の腐食 抑制することができる。
(4)交流電圧で電解処理することにより、酸化 物皮膜を形成しうる金属成分(例えば、フル ロジルコニウム錯イオン)のみを陰極上に析 することが可能である(金属成分を選択的に 析出することができる)。従って、金属基材 の皮膜は、金属酸化物の純度の高い皮膜が 成することができると考えられる。

 以下、本発明の皮膜形成方法について、 細に説明する。

本発明の金属基材処理方法に用いる電 状態を示すモデル図である。

符号の説明

 1.周期(T)を示す。
 2.パルス幅(τ)を示す。
 3.ピーク間電圧を示す。
 4.直流電圧(Vd)を示す。

  1. 表面処理金属基材の製造方法
 本発明は、金属基材を陰極として、処理液( I)に浸漬し、1~50Vの直流電圧(Vd)に、周波数0.1~ 1000Hzかつ1~40Vのピーク間電圧の交流電圧(Va)を 重畳して、10~600秒間通電する工程を含む、表 面処理された金属基材の製造方法である。

  1.1 金属基材
 本発明の製造方法に用いる金属基材として 、特に限定されるものではないが、例えば 冷延鋼板、合金化溶融亜鉛めっき鋼板、電 亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛-鉄二層めっき鋼 板、有機複合めっき鋼板、アルミニウム合金 、マグネシウム合金等を挙げることができる 。また、必要に応じて、これらの金属板をア ルカリ脱脂等の表面を洗浄化してもよい。

  1.2 処理液(I)
 本発明の製造方法に用いる処理液(I)は、ジ コニウム、チタン、コバルト、バナジウム タングステン、モリブデン、銅、亜鉛、イ ジウム、ビスマス、イットリウム、鉄、ニ ケル、マンガン、ガリウム、銀及びランタ イド金属(ランタン、セリウム、プラセオジ ム、ネオジウム、サマリウム、ユウロピウム 、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウ ム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イ ンテルビウム、ルテチウム)からなる群から ばれる少なくとも1種の金属(a)の化合物を含 金属化合物成分(A)並びに水を含むものであ 。

 該処理液(I)中、金属化合物成分(A)の含有 は、合計金属量(質量換算)で5~20,000ppmであり 、20~10,000ppmであることが好ましく、50~5,000ppm あることがより好ましく、80~1,000ppmである とがさらに好ましく、100~500ppmであることが に好ましい。金属化合物成分(A)の含有量が5 ppm未満であると、防食性や耐ばくろ性が低下 する傾向があり、20,000ppmを超えると処理液の 安定性が低下する傾向がある。

 金属化合物成分(A)において使用される金 (a)の化合物は、該金属(a)含有イオンを生じ 化合物である。

 ジルコニウム化合物としては、ジルコニ ムイオン、オキシジルコニウムイオン、フ オロジルコニウムイオン等のジルコニウム 有イオンを生じる化合物である。

 オキシジルコニウムイオンを生じる化合 としては、硝酸ジルコニル、酢酸ジルコニ 、硫酸ジルコニル等を挙げることができる フルオロジルコニウムイオンを生じる化合 としては、ジルコニウムフッ化水素酸、フ 化ジルコニウムナトリウム、フッ化ジルコ ウムカリウム、フッ化ジルコニウムリチウ 、フッ化ジルコニウムアンモニウム等を挙 ることができる。これらの中でも、特に、 酸ジルコニル、フッ化ジルコニウムアンモ ウムが好適である。

 チタン化合物としては、チタンイオンを じる化合物、フルオロチタンイオン等のチ ン含有イオンを生じる化合物等を挙げるこ ができる。

 具体的には、チタンイオンを生じる化合 としては、例えば、塩化チタン、硫酸チタ 等を挙げることができる。フルオロチタン オンを生じる化合物としては、例えば、チ ンフッ化水素酸、フッ化チタンナトリウム フッ化チタンカリウム、フッ化チタンリチ ム、フッ化チタンアンモニウム等を挙げる とができる。これらの中でも、特に、フッ チタンアンモニウムが好適である。

 コバルト化合物としては、コバルトイオ を生じる化合物が挙げられる。

 具体的には、コバルトイオンを生じる化 物としては、例えば、塩化コバルト、臭化 バルト、ヨウ化コバルト、硝酸コバルト、 酸コバルト、酢酸コバルト、硫酸コバルト ンモニウム等を挙げることができる。これ の中でも、特に、硝酸コバルトが好適であ 。

 バナジウム化合物としては、バナジウム オンを生じる化合物が挙げられる。

 具体的に、バナジウムイオンを生じる化 物としては、例えば、オルソバナジン酸リ ウム、オルソバナジン酸ナトリウム、メタ ナジン酸リチウム、メタバナジン酸カリウ 、メタバナジン酸ナトリウム、メタバナジ 酸アンモニウム、ピロバナジン酸ナトリウ 、塩化バナジル、硫酸バナジル等を挙げる とができる。これらの中でも、特にメタバ ジン酸アンモニウムが好適である。

 タングステン化合物としては、タングス ンイオンを生じる化合物を挙げることがで る。

 具体的には、タングステンイオンを生じ 化合物としては、例えば、タングステン酸 チウム、タングステン酸ナトリウム、タン ステン酸カリウム、タングステン酸アンモ ウム、メタタングステン酸ナトリウム、パ タングステン酸ナトリウム、ペンタタング テン酸アンモニウム、ヘプタタングステン アンモニウム、リンタングステン酸ナトリ ム、ホウタングステン酸バリウム等を挙げ ことができる。これらの中でも、特に、タ グステン酸アンモニウム等が好適である。

 モリブデン化合物としては、モリブデン オンを生じる化合物を挙げることができる 具体的には、モリブデンイオンを生じる化 物としては、例えば、モリブデン酸リチウ 、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸 リウム、ヘプタモリブデン酸アンモニウム モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸マ ネシウム、モリブデン酸ストロンチウム、 リブデン酸バリウム、リンモリブデン酸、 ンモリブデン酸ナトリウム、リンモリブデ 酸亜鉛等を挙げることができる。

 銅化合物としては、銅イオンを生じる化 物を挙げることができ、具体的には、例え 、硫酸銅、硝酸銅(II)三水和物、硫酸銅(II) ンモニウム六水和物、酸化第二銅、リン酸 等を挙げることができる。

 亜鉛化合物としては、亜鉛イオンを生じ 化合物を挙げることができ、具体的には、 えば、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛等を げることができる。

 インジウム化合物としては、インジウム オンを生じる化合物を挙げることができ、 体的には、硝酸インジウムアンモニウム等 挙げることができる。

 ビスマス化合物としては、ビスマスイオ を生じる化合物を挙げることができ、具体 には、例えば、塩化ビスマス、オキシ塩化 スマス、臭化ビスマス、ケイ酸ビスマス、 酸化ビスマス、三酸化ビスマス、硝酸ビス ス、亜硝酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス の無機系ビスマス含有化合物;乳酸ビスマス 、トリフェニルビスマス、没食子酸ビスマス 、安息香酸ビスマス、クエン酸ビスマス、メ トキシ酢酸ビスマス、酢酸ビスマス、蟻酸ビ スマス、2,2-ジメチロールプロピオン酸ビス ス等の有機系ビスマス含有化合物を挙げる とができる。

 イットリウム化合物としては、イットリ ムイオンを生じる化合物を挙げることがで る。具体的には、例えば、硝酸イットリウ 、酢酸イットリウム、塩化イットリウム、 ルファミン酸イットリウム、乳酸イットリ ム、蟻酸イットリウム等を挙げることがで る。これらの中でも、特に、硝酸イットリ ム等が好適である。

 鉄化合物としては、鉄イオンを生じる化 物を挙げることができる。具体的には、塩 鉄(II)、塩化鉄(III)、クエン酸鉄(III)アンモ ウム、シュウ酸鉄(III)アンモニウム、硝酸鉄 (III)、フッ化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硫酸アンモ ニウム鉄(III)等を挙げることができる。

 ニッケル化合物としては、ニッケルイオ を生じる化合物を挙げることができる。具 的には、塩化ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II )、クエン酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル( II)、硝酸ニッケル(II)、スルファミン酸ニッ ル(II)、炭酸ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II) フッ化ニッケル(II)等を挙げることができる

 マンガン化合物としては、マンガンイオ を生じる化合物を挙げることができる。具 的には、酢酸マンガン(II)、酢酸マンガン(II I)、シュウ酸マンガン(II)、硝酸マンガン(II) 炭酸マンガン(II)、硫酸マンガン(II)、硫酸マ ンガン(II)アンモニウム等を挙げることがで る。

 ガリウム化合物としては、ガリウムイオ を生じる化合物を挙げることができる。具 的には、硝酸ガリウム等を挙げることがで る。

 銀化合物としては、銀イオンを生じる化 物を挙げることができる。具体的には、酢 銀(I)、塩化銀(I)、硝酸銀(I)、硫酸銀(I)等を げることができる。

 また、ランタノイド金属化合物としては ランタノイド金属イオンを生じる化合物を げることができる。具体的には、ランタン オンを生じる化合物としては、例えば、硝 ランタン、フッ化ランタン、酢酸ランタン ホウ化ランタン、リン酸ランタン、炭酸ラ タン等を挙げることができる。セリウムイ ンを生じる化合物としては、例えば、硝酸 リウム(III)、塩化セリウム(III)、酢酸セリウ ム(III)、シュウ酸セリウム(III)、硝酸アンモ ウムセリウム(III)、硝酸二アンモニウムセリ ウム(IV)等を挙げることができる。プラセオ ムイオンを生じる化合物としては、例えば 硝酸プラセオジム、硫酸プラセオジム、シ ウ酸プラセオジム等を挙げることができる ネオジムイオンを生じる化合物としては、 えば、硝酸ネオジム、酸化ネオジウム等を げることができる。

 金属化合物成分(A)において使用される金 (a)の化合物としては、ジルコニウム化合物 びイットリウム化合物からなる群から選ば る1種以上の化合物を含むことが好ましい。

 ジルコニウム化合物及びイットリウム化 物からなる群から選ばれる1種以上の化合物 の添加量は、処理液(I)中、合計金属量(質量 算)で10~1,000ppmであることが好ましく、20~500pp mであることがより好ましく、50~500ppmである とがさらに好ましい。

 さらに、処理液(I)における金属化合物成 (A)には、必要に応じて、金属(a)以外の金属 化合物を含むことができる。

 金属(a)以外の金属の化合物としては、ア ミニウム、アルカリ金属(リチウム、ナトリ ウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フ ランシウム)及びアルカリ土類金属(ベリリウ 、マグネシウム、カルシウム、ストロンチ ム、バリウム、ラジウム)からなる群から選 ばれる少なくとも1種の金属の化合物を挙げ ことができる。これらのうち、アルミニウ 化合物が好ましい。

 アルミニウム化合物としては、例えば、 酸アルミニウム等を挙げることができる。

 金属(a)以外の金属の化合物の添加量とし は、処理液(I)中、合計金属量(質量換算)で1, 000ppm以下であることが好ましく、1~10,000ppmで ることがより好ましく、5~5,000ppmであること がさらに好ましい。

 金属化合物成分(A)において使用される金 の好ましい組合せとしては、特に限定され ものではないが、ジルコニウム化合物とイ トリウム化合物、又は、ジルコニウム化合 とアルミニウム化合物が好ましい。

 処理液(I)のpHは、2.5~8.0であることが好ま く、3.0~7.5であることがより好ましく、3.5~7. 0であることがさらに好ましい。なお処理液(I )の浴温は、通常5~45℃であり、10~40℃である とが好ましく、20~35℃であることがより好ま しい。

 かかる処理液(I)からなる皮膜は、金属酸 物、金属フッ化物又は金属水酸化物を主成 とするものである。

  1.3 表面処理された金属基材の製 方法
 本発明の表面処理された金属基材の製造方 は、金属基材を陰極として、前述の処理液( I)に浸漬し、1~50Vの直流電圧(Vd)に、周波数0.1~ 1000Hzかつ1~40Vのピーク間電圧の交流電圧(Va)を 重畳して、10~600秒間通電する工程を含むもの である。

 直流電圧(Vd)は、1~50Vであり、5~40Vである とが好ましい。直流電流が1V未満であると皮 膜が形成できない傾向があり、50Vを超えると 形成された皮膜が不均一になる傾向がある。

 交流電圧(Va)の周波数は、0.1~1000Hzであり 0.5~500Hzであることが好ましく、1~400Hzである とがより好ましく、1~100Hzであることがさら に好ましい。周波数が0.1Hz未満であると金属 材上に析出する皮膜の量が低下する傾向が り、1000Hzを超えると皮膜が形成されない傾 がある。

 交流電圧(Va)のピーク間電圧は、1~40Vであ 、5~30Vであることが好ましく、5~20Vであるこ とがより好ましい。ピーク間電圧が1V未満で ると金属基材上に析出する皮膜の量が低下 る傾向があり、40Vを超えると形成された皮 が不均一になる傾向がある。

 交流電圧(Va)のデューティ比(τ(パルス幅)/ T(周期))が、0.1~0.9であることが好ましく、0.3~ 0.7であることがより好ましい。デューティ比 が前記範囲内にあることにより、より緻密な 皮膜を形成することができるため好ましい。

 通電時間は、10~600秒間であり、30~120秒間 あることが好ましい。通電時間が10秒未満 あると金属基材上に析出する皮膜の量が低 する傾向があり、600秒を超えると形成され 皮膜が不均一になる傾向がある。

 本発明の製造方法によれば、金属基材上に 1~300mg/m 2 (金属換算)程度の皮膜を得ることができる。 お、塗装後の塗膜の防食性と仕上り性と、 装コストの面から、通電時間を適宜調整す ことによって、析出量を25~150mg/m 2 (金属換算)程度にすることが好ましく、析出 を40~120mg/m 2 (金属換算)程度とすることがより好ましい。

 得られた皮膜は、水洗を施し又は水洗を さずに、並びに常温(40℃未満)で10秒間~600分 間のセッティング又は40~180℃で1~40分間加熱 燥を行って皮膜を形成できる。

 本発明においては、1~50Vの直流電圧(Vd)に 周波数0.1~1000Hzかつ1~40Vのピーク間電圧の交 電圧(Va)を重畳することにより、従来からの カソード電解法(直流電解法)による電解処理 比べて、短時間の処理で、塗装後の防食性 仕上り性が良好な金属基板を得ることがで る。これは、カソードバイアス下、金属基 に交流電圧(Va)を加えることによって金属基 材表面が活性化され、電解処理によって生成 される処理液(I)からなる処理皮膜が金属基材 上に均一に形成されるためである。その結果 、該処理皮膜が形成された金属基板上に、塗 料を塗装して得られる塗装物品は、防食性と 仕上り性に優れている。

 さらに、本発明において形成される処理液( I)からなる皮膜は、クラックが少なく均一で つ緻密な皮膜(数10~数100nm)を形成することが できる。このような皮膜が、腐食促進物質( えば、O 2 、Cl - 、Na + )を遮断できる為、塗膜下の金属基材の腐食 抑制に寄与するものと考えられる。

  1.4 その他
 本発明の製造方法により得られた表面処理 れた金属基材は、防食性の点から、処理液( I)からなる皮膜上にさらに塗膜を形成するこ が好ましい。

 用いる塗料としては、特に限定されるも ではなく、有機溶剤型塗料、水性塗料、粉 塗料等を適宜選択することができる。

 塗料としては、一般に流通している市販 の塗料を好適に用いることができ、通常、 脂、硬化剤、硬化触媒を含むものであり、 要に応じて、界面活性剤、表面調整剤、そ 他の添加剤を含むことができる。

 該塗料に用いる樹脂としては、エポキシ 脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ア キド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等 樹脂が使用できる。

 該塗料に用いる硬化剤としては、ポリイ シアネート化合物やアミノ樹脂を用いた常 硬化型、又は熱硬化型であってもよいし、 外線や電子線によって硬化するものであっ もよい。

 これらの塗料の中でも、本発明の目的と る防食性や仕上がり性が良好である塗料と て、従来から公知のアミン付加エポキシ樹 を含むカチオン電着塗料を用いることが好 しい。

 以下に、アミン付加エポキシ樹脂を含む チオン電着塗料について説明する。

 上記アミン付加エポキシ樹脂は、電着塗料 おいて通常使用されているポリアミン樹脂 例えば、
(i)ポリエポキシド化合物と1級モノ-及びポリ ミン、2級モノ-及びポリアミン又は1、2級混 合ポリアミンとの付加物(例えば米国特許第3, 984,299号明細書参照);
(ii)ポリエポキシド化合物とケチミン化され 1級アミノ基を有する2級モノ-及びポリアミ との付加物(例えば米国特許第4,017,438号明細 参照);
(iii)ポリエポキシド化合物とケチミン化され 1級アミノ基を有するヒドロキシ化合物との エーテル化により得られる反応物(例えば特 昭59-43013号公報参照)等がある。

 アミン付加エポキシ樹脂のアミン価は、 に限定されるものではないが、30~70mgKOH/gで ることが好ましく、40~70mgKOH/gであることが り好ましい。また、アミン付加エポキシ樹 の数平均分子量は、1,000~10,000であることが ましく、2,000~5,000であることがより好まし 。

 また、前記カチオン電着塗料は、アミン 加エポキシ樹脂以外に、硬化剤、硬化触媒 各種添加剤を含むことができる。

 カチオン電着塗料に用いる硬化剤として 、ブロック化ポリイソシアネート化合物を げることができ、例えば、芳香族、脂肪族 び脂環式のポリイソシアネート化合物が挙 られる。

 芳香族ポリイソシアネート化合物の具体 としては、1,3-もしくは1,4-フェニレンジイ シアネート、2,4-もしくは2,6-トリレンジイソ シアネート(TDI)、クルードTDI、2,4’-もしくは 4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI) 、4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジ チル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3 -ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニル タン、クルードMDI[ポリメチレンポリフェニ イソシアネート]、1,5-ナフチレンジイソシ ネート、4,4’,4”-トリフェニルメタントリ ソシアネート、m-もしくはp-イソシアナトフ ニルスルホニルイソシアネート等が挙げら る。

 脂肪族ポリイソシアネート化合物として 、例えば、エチレンジイソシアネート、テ ラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチ ンジイソシアネート(HDI)、p-キシリレンジイ ソシアネート(XDI)、ドデカメチレンジイソシ ネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネー ト、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシ アネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジ ソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イ シアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシ ナトエチル)カーボネート、2-イソシアナト チル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等 挙げられる。

 脂環式ポリイソシアネート化合物として 、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPD I)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシ ネート(水添MDI)、α,α,α’,α’-テトラメチル キシリレンジイソシアネート(TMXDI)、シクロ キシレンジイソシアネート等が挙げられる

 前記ポリイソシアネート化合物にブロッ 剤を添加することで、ポリイソシアネート 合物のイソシアネート基をブロックするこ ができる。前記ブロック剤としては、例え 、ε-カプロラクタム等のラクタム系化合物; メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノ ンオキシム等のオキシム系化合物;フェニル ルビノール、メチルフェニルカルビノール の芳香族アルキルアルコール類;エチレング コールモノブチルエーテル等のエーテルア コール系化合物等が挙げられる。

 硬化剤の添加量としては、特に限定され ものではなく、塗料の組成により適宜決定 ることができるが、アミン付加エポキシ樹 100質量部に対して、10~70質量部であること 好ましく、25~50質量部であることがより好ま しい。

 アミン付加エポキシ樹脂の中和、水分散 は、通常、ブロック化ポリイソシアネート 合物等の硬化剤、界面活性剤、表面調整剤 硬化触媒やその他の添加剤を加えた後、脂 族カルボン酸、例えば、酢酸、ギ酸、乳酸 の水溶性有機酸等によって中和することに ってエマルションを得ることができる。

 カチオン電着塗料は、上記エマルション 顔料分散ペーストを配合し、適宜、添加剤 中和剤を加えて、脱イオン水等で希釈して 浴固形分濃度が通常5~40質量%、好ましくは10 ~25質量%、pHが通常1.0~9.0、好ましくは3.0~7.0の 囲内となるように調整して得られる。

 上記顔料分散ペーストは、顔料、硬化触 として有機錫化合物とともに、分散用樹脂 脱イオン水を加えたのち、ボールミル、サ ドミル等で分散し、顔料ペーストを得るこ ができる。また、顔料分散ペーストには、 要に応じて中和剤を添加することができる

 顔料としては、有機系や無機系の着色顔 ;カオリン、バリタ粉、沈降性硫酸バリウム 、炭酸バリウム、炭酸カルシム、石膏、クレ ー、シリカ、ホワイトカーボン、珪藻土、タ ルク、炭酸マグネシウム、アルミナホワイト 、グロスホワイト、マイカ粉等の体質顔料; リポリリン酸アルミニウム、トリポリリン 亜鉛、亜鉛華、無機ビスマス、有機ビスマ 等の防錆顔料を挙げることができ、有機錫 合物としては、ジブチル錫オキサイド(DBTO) ジオクチル錫オキサイド(DOTO)等を挙げるこ ができる。

 また、分散用樹脂としては、3級アミン型 エポキシ樹脂、4級アンモニウム塩型エポキ 樹脂、3級アミン型アクリル樹脂等を挙げる とができる。

 さらに、本発明の製造方法においては、 理液(I)からなる皮膜により塗膜下の金属基 の腐食を抑制できる為、塗料中の防錆顔料 硬化触媒の使用量を通常よりも減らすか、 はその使用を省略しても、防食性を確保で る。このことから、塗装物品の低コスト化 有用である。

 従って、防錆顔料を添加する場合、その 有量は、アミン付加エポキシ樹脂100質量部 対して、30質量部以下であることが好まし 、0.1~30質量部、1~10質量部の範囲を挙げるこ ができる。硬化触媒については、アミン付 エポキシ樹脂100質量部に対して、20質量部 あることが好ましく、0.01~20質量部、0.1~10質 部の範囲を挙げることができる。

 塗料の塗布方法としては、特に限定され ものではなく、例えば、浸漬塗装、シャワ 塗装、スプレー塗装、ロール塗装、電着塗 等の公知の方法を挙げることができる。

 本発明の好ましい態様の一つである、塗 としてカチオン電着塗料を用いて電着塗装 行う場合について以下に説明する。

 処理液(I)からなる皮膜を有する金属基材 、カチオン電着塗料を満たした電着槽に浸 して、好ましくは50~400V、より好ましくは100 ~370V、さらに好ましくは150~350Vで、好ましく 60~600秒間、より好ましくは120~480秒間、さら 好ましくは150~360秒間通電し、処理液(I)から なる皮膜上に、塗膜を形成することができる 。前記範囲で通電を行うことによって、仕上 り性やつきまわり性の点で好ましい。

 カチオン電着塗料を用いた槽内の通電条 は、通常0.1~5m、好ましくは0.1~3m、さらに好 しくは0.15~1mの極間距離、及び1/8~2/1、好ま くは1/5~1/2の極比(陽極/陰極)で行うことがで る。

 なお、カチオン電着塗料の浴温としては 通常5~45℃、好ましくは10~40℃、さらに好ま くは20~35℃の範囲内が適している。

 電着塗装後、余分に付着したカチオン電 塗料を落とすために、ウルトラフィルトレ ションろ液(UFろ液)、RO透過水、工業用水、 水等で、塗装物表面にカチオン電着塗料が らないよう十分に水洗する。

 塗膜の焼き付け温度は、被塗物表面で100~ 200℃、好ましくは120~180℃の範囲内の温度が しており、焼き付け時間は5~90分、好ましく 10~50分程度とすることができる。

 塗膜の膜厚は、乾燥膜厚で0.1~50μmである とが好ましく、1~30μmであることがより好ま しい。

  2.金属基材処理方法
 本発明は、金属基材を陰極として、処理液( I)に浸漬し、1~50Vの直流電圧(Vd)に、周波数0.1~ 1000Hzかつ1~40Vのピーク間電圧の交流電圧(Va)を 重畳して、10~600秒間通電することを特徴とす る金属基材の処理方法に関する。

 金属基材、処理液(I)、直流電圧、交流電 、通電時間等は、前述のいかなるものも採 することができる。

 本発明の金属基材の処理方法により処理 れた金属基板は、処理液(I)からなる皮膜を するため、防食性と仕上り性に優れるもの ある。このような金属基板からなる塗装物 は、防食性と仕上がり性の優れる塗装物品 得ることができる。

  3.金属基材を含む塗装物品
 かくして得られた本発明の金属基板は、処 液(I)からなる皮膜を有するため、防食性と 上り性に優れるものである。このような金 基板からなる塗装物品は、防食性と仕上り の優れる塗装物品を得ることができる。塗 物品の具体例としては、建築材料、電気製 、事務用機器、自動車車体、及び部品等を げることができる。

 以下、実施例を挙げて本発明をさらに具 的に説明するが、本発明はこれら実施例の に限定されるものではない。なお、「部」 び「%」は「質量部」及び「質量%」である

 <処理液の製造>
  製造例1(処理液No.1の製造)
 フッ化ジルコニウムアンモニウム0.27部に脱 イオン水1,000部を加え、処理液No.1を得た。処 理液No.1のpHは、6.5であった。

  製造例2~3(処理液No.2~No.3の製造)
 表1の配合内容及び処理液のpHとする以外は 製造例1と同様に操作によって、処理液No.2~N o.3を得た。

 <カチオン電着塗料の製造>
  製造例4(基体樹脂溶液No.1の製造例 )
 温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた 容積2リットルのセパラブルフラスコに、jER 828EL(商品名、エポキシ樹脂、ジャパンエポキ シレジン(株)製)1010部に、ビスフェノールA 39 0部及びジメチルベンジルアミン0.2部を加え 130℃でエポキシ当量800になるまで反応させ 。

 次に、ジエタノールアミン160部及びジエ レントリアミンのケチミン化物65部を加え 120℃で4時間反応させた後、エチレングリコ ルモノブチルエーテル355部を加え、樹脂固 分80質量%の基体樹脂溶液No.1溶液を得た。基 体樹脂溶液No.1は、アミン価67 KOH/g、数平均 子量2,000であった。

  製造例5(硬化剤No.1の製造例)
 反応容器中に、コスモネートM-200(商品名、 ルードMDI、三井化学(株)製)270部及びメチル ソブチルケトン130部を加え70℃に昇温した この中にエチレングリコールモノブチルエ テル240部を1時間かけて滴下して加え、その 、100℃に昇温し、この温度を保ちながら、 時でサンプリングし、赤外線吸収スペクト 測定にて未反応のイソシアナト基の吸収が くなったことを確認し、固形分が80%の硬化 No.1を得た。

  製造例6(エマルションNo.1の製造例 )
 製造例4で得られた基体樹脂溶液No.1を87.5部( 固形分70部)、製造例5で得られた硬化剤No.1を3 7.5部(固形分30部)混合し、さらに10%ギ酸11部を 配合して均一に攪拌した後、強く攪拌しなが ら約15分間を要して脱イオン水158部を滴下し 、固形分34%のエマルションNo.1を得た。

  製造例7(顔料分散用樹脂の製造例)
 jER828EL(商品名、エポキシ樹脂、ジャパンエ キシレジン(株)製)1010部に、ビスフェノール A 390部、プラクセル212(商品名、ポリカプロ クトンジオール、重量平均分子量約:1,250、 イセル化学工業(株)製)240部及びジメチルベ ジルアミン0.2部を加え、130℃でエポキシ当 が約1,090になるまで反応させた。

 次に、ジメチルエタノールアミン134部及 濃度90%の乳酸水溶液150部を加え、120℃で4時 間反応させた後、メチルイソブチルケトンを 加えて固形分を調整し、固形分60%のアンモニ ウム塩型樹脂系の顔料分散用樹脂を得た。ア ンモニウム塩型樹脂系の顔料分散用樹脂は、 アンモニウム塩濃度0.78mmol/gであった。

  製造例8(顔料分散ペーストの製造 )
 製造例7で得た固形分60%の顔料分散用樹脂8.3 部(固形分5部)、酸化チタン14.5部、精製クレ 7.0部、カーボンブラック0.3部、ジオクチル オキサイド1部、水酸化ビスマス1部、脱イオ ン水20.3部を加え、ボールミルにて20時間分散 し固形分55%の顔料分散ペーストを得た。

  製造例9
 製造例6で得たエマルションNo.1を294部(固形 100部)、製造例8で得た55%の顔料分散ペース を52.4部(固形分28.8部)、脱イオン水297.6部を え、固形分20%のカチオン電着塗料を製造し 。

  実施例1
 冷延鋼板(70mm×150mm×0.8mm)を、脱脂剤(ファイ クリーナー4360、日本パーカライジング(株) )を用いて洗浄した後、28℃に調整した処理 No.1の浴に浸漬した。

 次いで、電源のコールド側に冷延鋼板を 続し、かつ電源のホット側に対極(白金製) 接続して、3Vの直流電圧に、周期1秒(周波数1 Hz)のピーク間電圧2Vの矩形波が重畳された交 電圧を120秒間通電した。ここで、交流電圧 、信号源として関数発生器(WF1974、(株)エヌ フ回路設計ブロック製)と電力増幅器として 高速バイポーラ電源(BP-4610、(株)エヌエフ回 設計ブロック製)を用いた。

 さらに、処理液No.1が析出した冷延鋼板を水 洗した後、室温下、エアブローで水切り乾燥 し、処理液No.1の皮膜を有する表面処理板No.1 得た。蛍光X線分光分析装置(商品名RIX-3100、 (株)リガク社製)を用いて、表面処理板上のジ ルコニウム付着量を測定した結果、金属換算 で40mg/m 2 であった。

  実施例2~9
 表2に示す処理液及び通電条件を使用する以 外は、実施例1と同様にして、表面処理板No.2~ No.9を得た。

  比較例1~9
 表3に示す処理液及び通電条件を使用する以 外は、実施例1と同様にして、表面処理板No.10 ~No.18を得た。

 上記の操作にて得られた表面処理板No.1~No .18について、下記評価を行った。その結果を 表2~表3に示す。

 <評価>
  防食性試験
 (1)試験板No.1~No.18作製
 上記の操作にて得られた表面処理板No.1~No.18 に、製造例9で得られたカチオン電着塗料を25 0Vで3分間電着塗装し、170℃で20分間焼付けし 乾燥膜厚20μmの電着塗膜を有する試験板No.1~ No.18を得た。

 この試験板No.1~No.18を用いて、下記に従っ て防食性試験を行った。

 (2)防食性試験
 試験板の素地に達するように電着塗膜にナ フでクロスカット傷を入れ、JIS Z-2371に準 て480時間耐塩水噴霧試験を行った。評価は イフ傷からの錆、フクレ幅によって以下の 準で評価した。
 A:錆、フクレの最大幅がカット部より2mm未 (片側)、
 B:錆、フクレの最大幅がカット部より2mm以 で且つ3mm未満(片側)、
 C:錆、フクレの最大幅がカット部より3mm以 で且つ4mm未満(片側)、
 D:錆、フクレの最大幅がカット部より4mm以 (片側)。

  耐ばくろ性試験
 (1)暴露試験板No.1~No.18の作製
 前記得られた電着塗装後の試験板No.1~No.18に 、スプレー塗装方法で、WP-300(商品名、水性 塗り塗料、関西ペイント(株)製)を硬化膜厚 25μmとなるように塗装した後、電気熱風乾燥 器で140℃×30分焼き付けを行った。さらに、 の中塗塗膜上に、スプレー塗装方法で、ネ アミラック6000(商品名、熱硬化性上塗り塗料 、関西ペイント(株)製)を硬化膜厚が35μmとな ように塗装した後、電気熱風乾燥器で140℃ 30分焼き付けを行ない、暴露試験板No.1~No.18 作製した。

 (2)耐ばくろ性試験
 得られた暴露試験板No.1~No.18上の塗膜に、素 地に達するようにナイフでクロスカット傷を 入れ、千葉県千倉町で、水平にて1年間暴露 た後、ナイフ傷からの錆、フクレ幅によっ 以下の基準で評価した。
 A:錆またはフクレの最大幅がカット部より2m m未満(片側)、
 B:錆またはフクレの最大幅がカット部より2m m以上で且つ3mm未満(片側)、
 C:錆またはフクレの最大幅がカット部より3m m以上で且つ4mm未満(片側)、
 D:錆またはフクレの最大幅がカット部より4m m以上(片側)。

  仕上り性評価
 前記得られた電着塗装後の試験板No.1~No.18に 、塗面をサーフテスト301(商品名、表面粗度 、(株)ミツトヨ製)を用いて、JIS B 601に定義 される、表面粗度値(Ra)をカットオフ0.8mmにて 測定し、以下の基準で評価した。
 A:表面粗度値(Ra)が0.15未満、
 B:表面粗度値(Ra)が0.15以上でかつ0.25未満、
 C:表面粗度値(Ra)が0.25以上でかつ0.35未満、
 D:表面粗度値(Ra)が0.35以上。