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Title:
MATRIX-TYPE COLD-CATHODE ELECTRON SOURCE DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/110179
Kind Code:
A1
Abstract:
A matrix-type cold-cathode electron source device has through-holes (9) and drive portions (7a, 7b). The through-holes (9) are formed to have a mesh structure (8) and are constituted to have an opening diameter of 1/N or less of the alignment pitch of electron source elements (4). The drive portions (7a, 7b) drive the mesh structure (8) every 1/N of the alignment pitch of the electron source elements (4). This makes it possible to increase the resolution without reducing the size of the electron source.

Inventors:
YAMAMOTO MAKOTO
KOGA KEISUKE
Application Number:
PCT/JP2009/000686
Publication Date:
September 11, 2009
Filing Date:
February 19, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
YAMAMOTO MAKOTO
KOGA KEISUKE
International Classes:
H01J1/52; H01J29/06; H01J31/12; H01J31/38
Domestic Patent References:
WO2004114314A12004-12-29
Foreign References:
JP2004127936A2004-04-22
JPH076714A1995-01-10
JPS5447472A1979-04-14
JP2007250531A2007-09-27
JP2008108640A2008-05-08
Attorney, Agent or Firm:
HARADA, YOHEI (JP)
Yohei Harada (JP)
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Claims:
 電子を放出する複数のエミッタを有する冷陰極電子源素子が第1のピッチでマトリックス状に配置された冷陰極電子源アレイと、
 前記冷陰極電子源アレイに対向し貫通孔が前記第1のピッチで複数配列した貫通孔群を有するメッシュ構造体と、
 前記冷陰極電子源アレイとメッシュ構造体を介して対向し、前記冷陰極電子源アレイから放出され、前記メッシュ構造体の貫通孔を通過した電子ビームが衝突する位置に配置されたターゲットと、
 前記メッシュ構造体を前記貫通孔の第1の配列方向および第2の配列方向に駆動する駆動部とを備えた
マトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記駆動部を、前記第1,第2の配列方向にそれぞれ前記第1のピッチの(1/N)(Nは2以上の整数)刻みで前記第1のピッチまで前記メッシュ構造体を駆動するよう構成した
請求項1記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記メッシュ構造体が、
 少なくとも冷陰極電子源素子と対向する面とターゲットに対向する面、および貫通孔の内面が導電性材料で覆われており、且つ前記導電性材料の表面に外部より所定の電位を印加できる構造であることを特徴とする
請求項1または請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記メッシュ構造体の厚さが、10μm以上500μm以下であることを特徴とする
請求項1~請求項3の何れかに記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記メッシュ構造体の貫通孔の断面形状が、電子ビーム方向に略垂直であることを特徴とする
請求項1~請求項4の何れかに記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記メッシュ構造体が、冷陰極電子源素子と対向する面、若しくはターゲットと対向する面の少なくともどちらか一方が導電性材料で覆われており、前記導電性材料で覆われた面に接して絶縁性材料が形成された構造を有し、前記導電性材料で覆われた面には、独立に外部より電位を印加できる構造であることを特徴とする
請求項1または請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記メッシュ構造体を構成する導電性材料の厚さが10μm以上500μm以下であり、前記メッシュ構造体を構成する絶縁性材料の厚さが10nm以上10μm以下であることを特徴とする
請求項6記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記メッシュ構造体は、前記メッシュ構造体の大部分をなす基層と、前記基層が冷陰極電子源素子と対向する面、若しくはターゲットと対向する面の少なくともどちらか一方が、前記基層よりも低抵抗の導電性材料で覆われた面を有する構造であり、前記基層を形成する材料、若しくは前記基層に形成された貫通孔の表面は二次電子放出能を有する材料であることを特徴とする
請求項1または請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記メッシュ構造体は、前記メッシュ構造体の大部分をなす基層の厚さが50μm以上であることを特徴とする
請求項8記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記メッシュ構造体の貫通孔の断面形状が略テーパ形状であり、ターゲット面に対向する貫通孔の開口径に対して、冷陰極電子源アレイに対向する貫通孔の開口径が大きいことを特徴とする
請求項8記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記略テーパ形状の断面形状を有する貫通孔は、ターゲット面に対向する貫通孔の開口径:D2と冷陰極電子源アレイに対向する貫通孔の開口径:D1の関係は、前記メッシュ構造体の厚みをT、スピント型エミッタから放出される電子の広がり角をθとすると、
   tanθ < (D2-D1)/(2*T)
であることを特徴とする
請求項8記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記ターゲットは、表面に蛍光体膜が形成されていることを特徴とする
請求項1または請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記ターゲットには、表面に光電変換膜が形成されていることを特徴とする
請求項1または請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
 前記駆動部は、前記冷陰極電子源素子の電子放出のタイミングと同期して動くことを特徴とする
請求項1または請求項2記載のマトリックス型冷陰極電子源装置。
Description:
マトリックス型冷陰極電子源装

 本発明は、冷陰極を用いたマトリックス 電子源装置に関するものであり、特に冷陰 電子源素子が、マトリックス状に配置され 電子源アレイと、電子源アレイに対向し貫 孔が複数配列したメッシュ構造体と、電子 アレイとメッシュ構造体を介して対向し電 源アレイから放出されメッシュ構造体の貫 孔を通過した電子ビームにより所定の動作 行うターゲットとにより構成された電界放 型ディスプレイ装置、或いは高感度撮像装 に関するものである。

 タングステンやモリブデンの様な高融点 属を突起状に形成し、真空中において、そ 先端部に外部より電界を印加することで、 属先端部に誘起された電子が外部に放出さ る。通常、この突起状の金属をエミッタと し、また、このエミッタから電子が放出さ る現象を電界放出、或いは電界放射と称し いる。

 この電界放出によって電子を外部に放出 る素子は、電界放出型電子源素子、或いは 陰極電子源素子と称され、近年様々な分野 利用されている。例えば、従来の熱フィラ ントに代わって電子顕微鏡用の電子源とし の用途や、電子源素子に対向して、蛍光体 を形成したアノード電極に引き込むことで 光体を発光させた蛍光表示管等である。

 エミッタは微小な構造であることが多く 単独で用いると十分な電流量が確保できな ため、複数のエミッタを一つの群として電 量を確保する。本明細書では、このエミッ の集合体を「冷陰極電子源素子」と称して る。

 更に、冷陰極電子源素子をマトリックス に複数配列して冷陰極電子源アレイを構成 、対抗する側にRGBに対応した蛍光体を形成 たアノード電極を配置し、電界放出された 子をアノード電極に引き出すことで蛍光体 光らせる電界放出型ディスプレイ(Field Emiss ion Display)が実用化されている。一例として 図9と図10に示したスピント型エミッタを用 たFEDについて説明する。

 FEDは、カソード基板101とアノード基板111 対向して配置された構成となっている。

 カソード基板101の表面には、ストライプ のエミッタ信号配線102aが互いに平行に形成 され、さらにエミッタ信号配線102aを覆うよ にゲート絶縁膜103が形成されている。ゲー 絶縁膜103の表面には、エミッタ信号配線102a 直行するようにストライプ状のゲート信号 線104aが形成されている。

 ゲート信号配線104aおよびゲート絶縁膜103 には、エミッタ信号配線102aと交差する領域 複数の開口部104bが形成されており、開口部1 04bの内側で前記エミッタ信号配線102a上にエ ッタ105が形成されている。このゲート信号 線104aの表面の開口部104bがゲート電極となり 、ゲート信号配線104aを通じてゲート電極104b 電界を印加することで、エミッタ105の先端 らの電子放出を生じさせることができる。 の複数のエミッタ105とゲート電極(=開口部10 4b)が形成された領域が冷陰極電子源素子領域 となる。

 カソード基板101と対向したアノード基板1 11には、カソード基板101と対向する面の全面 、透明導電膜(ITO)のアノード電極112が形成 れており、アノード電極112の上に、赤,緑,青 の蛍光体113R,113G,113Bがストライプ状に順番に 成されている。各々の蛍光体113R,113G,113Bは カソード基板101上に形成されたゲート信号 線104aと平行になるように形成されている。

 このように構成されたFEDでは、マトリッ ス状に配列された複数の電子源素子からの 子放出を、映像回路の出力信号に基づいて 次制御することにより、アノード基板111の 面に所望の映像を表示することができる。

 また、同様の構成において、前記蛍光体1 13R,113G,113Bに代わってアノード基板111の表面 光電変換膜(図示せず)を形成し、外部からの 光により誘起された正孔-電子対を、電子源 子からの放出電子により読み取る撮像素子 構成できる。

 FEDや撮像素子では、一つの電子源素子か 放出された電子のアノード電極面で面積に って、発光、或いは撮像の解像度が決まる そこで、高解像度のFEDや撮像素子を得よう すれば、電子源素子の電子放出面の面積を さくすることが一つの手段となるが、電子 素子の面積を小さくし過ぎると放出電流が なくなり、必要な電流量が確保できなくな 。

 更に、冷陰極電子源から放出される電子 、アノード電極112に向かって全てが真直ぐ び出す訳ではなく、一定の広がりを持って る。これは、電子源を構成するエミッタ105 先端が製造工程において一定の曲率半径を しているためであり、曲率面に対して垂直 電子が飛び出すことにより一定の広がりを った電子ビームが放出される。

 そのため、アノード面(=アノード基板111 表面)で解像度に応じた面積の電子ビームを ようとすれば、電子源から放出された電子 広がりを抑える、或いは必要以上に広がっ 部分の電子がアノード面に到達しないよう する必要があり、前者を実現するための技 を電子ビームの集束技術、後者を実現する めの技術をトリミング技術と称し、特許文 1,特許文献2などの技術が報告されている。

 この特許文献1,特許文献2には、電子源素 とアノード電極の間にメッシュ電極を設け メッシュ電極に所定の電圧を印加すること 、電子源素子からの電子を引き出し、メッ ュ電極からアノード面に向かう電子ビーム ほぼ法線方向に揃えた集束技術が記載され いる。

 また、本発明者らが発明者である特許文献3 ,特許文献4では、メッシュ構造体自身に電界 布を形成することで、電子源から放出され 電子ビームのうち、法線方向の電子ビーム 選択的に通過させて、アノード面での電子 ームの広がりを抑える技術が提示されてい 。

特開2000-048743号公報

特開2005-228556号公報

特開2007-250531号公報

特開2007-250532号公報

 上記構成では、メッシュ電極、或いはメ シュ構造体によりアノード面への電子ビー の直交性は改善されるが、仮に、全ての電 がアノード面に垂直に入射するとしても、 子ビームの最小サイズは電子源素子のサイ で決まることになる。従って、外径サイズ 決まっている場合、解像度を高くしようと れば、電子源素子のサイズを小さくする必 がある。

 しかしながら、電子源素子のサイズを小 くすると、配置可能なエミッタの数が少な なってしまうという課題が生じる。

 また、エミッタ自身をより微細化すると う対策も考えられるが、フォトリソグラフ 法工程におけるアライメントマージンに必 な面積や、プロセス上の寸法制御のマージ 等を考慮すると、電子源の微細化にも一定 限度があり、高解像度化が困難となる。

 本発明は、電子源素子のサイズを従来の うに小さくすることなく解像度を高くでき マトリックス型冷陰極電子源装置を提供す ことを目的とする。

 本発明の請求項1記載のマトリックス型冷 陰極電子源装置は、電子を放出する複数のエ ミッタを有する冷陰極電子源素子が第1のピ チでマトリックス状に配置された冷陰極電 源アレイと、前記冷陰極電子源アレイに対 し貫通孔が前記第1のピッチで複数配列した 通孔群を有するメッシュ構造体と、前記冷 極電子源アレイとメッシュ構造体を介して 向し、前記冷陰極電子源アレイから放出さ 、前記メッシュ構造体の貫通孔を通過した 子ビームが衝突する位置に配置されたター ットと、前記メッシュ構造体を前記貫通孔 第1の配列方向および第2の配列方向に駆動 る駆動部とを備えたことを特徴とする。

 本発明の請求項2記載のマトリックス型冷 陰極電子源装置は、請求項1において、前記 動部を、前記第1,第2の配列方向にそれぞれ 記第1のピッチの(1/N)(Nは2以上の整数)刻みで 記第1のピッチまで前記メッシュ構造体を駆 動するよう構成したことを特徴とする。

 本発明の請求項3記載のマトリックス型冷 陰極電子源装置は、請求項1または請求項2に いて、前記メッシュ構造体が、少なくとも 陰極電子源素子と対向する面とターゲット 対向する面、および貫通孔の内面が導電性 料で覆われており、且つ前記導電性材料の 面に外部より所定の電位を印加できる構造 あることを特徴とする。

 本発明の請求項4記載のマトリックス型冷 陰極電子源装置は、請求項1~請求項3の何れか において、前記メッシュ構造体の厚さが、10 m以上500μm以下であることを特徴とする。

 本発明の請求項5記載のマトリックス型冷 陰極電子源装置は、請求項1~請求項4の何れか において、前記メッシュ構造体の貫通孔の断 面形状が、電子ビーム方向に略垂直であるこ とを特徴とする。

 本発明の請求項6記載のマトリックス型冷 陰極電子源装置は、請求項1または請求項2に いて、前記メッシュ構造体が、冷陰極電子 素子と対向する面、若しくはターゲットと 向する面の少なくともどちらか一方が導電 材料で覆われており、前記導電性材料で覆 れた面に接して絶縁性材料が形成された構 を有し、前記導電性材料で覆われた面には 独立に外部より電位を印加できる構造であ ことを特徴とする。

 本発明の請求項7記載のマトリックス型冷 陰極電子源装置は、請求項6において、前記 ッシュ構造体を構成する導電性材料の厚さ 10μm以上500μm以下であり、前記メッシュ構造 体を構成する絶縁性材料の厚さが10nm以上10μm 以下であることを特徴とする。

 本発明の請求項8記載のマトリックス型冷 陰極電子源装置は、請求項1または請求項2に いて、前記メッシュ構造体は、前記メッシ 構造体の大部分をなす基層と、前記基層が 陰極電子源素子と対向する面、若しくはタ ゲットと対向する面の少なくともどちらか 方が、前記基層よりも低抵抗の導電性材料 覆われた面を有する構造であり、前記基層 形成する材料、若しくは前記基層に形成さ た貫通孔の表面は二次電子放出能を有する 料であることを特徴とする。

 本発明の請求項9記載のマトリックス型冷 陰極電子源装置は、請求項8において、前記 ッシュ構造体は、前記メッシュ構造体の大 分をなす基層の厚さが50μm以上であることを 特徴とする。

 本発明の請求項10記載のマトリックス型 陰極電子源装置は、請求項8において、前記 ッシュ構造体の貫通孔の断面形状が略テー 形状であり、ターゲット面に対向する貫通 の開口径に対して、冷陰極電子源アレイに 向する貫通孔の開口径が大きいことを特徴 する。

 本発明の請求項11記載のマトリックス型 陰極電子源装置は、請求項8において、径:D2 冷陰極電子源アレイに対向する貫通孔の開 径:D1の関係は、前記メッシュ構造体の厚み T、スピント型エミッタから放出される電子 の広がり角をθとすると、tanθ < (D2-D1)/(2*T )であることを特徴とする。

 本発明の請求項12記載のマトリックス型 陰極電子源装置は、請求項1または請求項2に おいて、前記ターゲットは、表面に蛍光体膜 が形成されていることを特徴とする。

 本発明の請求項13記載のマトリックス型 陰極電子源装置は、請求項1または請求項2に おいて、前記ターゲットには、表面に光電変 換膜が形成されていることを特徴とする。

 本発明の請求項14記載のマトリックス型 陰極電子源装置は、請求項1または請求項2に おいて、前記駆動部は、前記冷陰極電子源素 子の電子放出のタイミングと同期して動くこ とを特徴とする。

 本発明によると、電子源素子を小さくす ことなく、即ち電子源素子の電流密度を低 させることなく高解像度化を実現して、信 性の高いマトリックス型冷陰極電子源装置 実現でき、高解像度、高輝度のFEDや、高解 度、高感度の撮像素子を実現できる。

 請求項1または請求項2の構成によると、 子源素子の面積を解像度に併せて小さくす 必要が無いため、十分な電流量を安定的に 保できると同時に、ターゲット面に照射さ る電子は貫通孔の開口径に併せて絞ること 可能となるため、高解像度の電子源装置を 現することができる。

 請求項3の構成によると、メッシュ構造体 よりターゲットに向かう電子を効果的にター ゲット面に送ることが可能となり、高感度の 電子源装置を実現することができる。

 請求項4の構成によると、メッシュ構造体 を通過する電子の収束性を制御できると同時 に、メッシュ構造体に衝突して消滅する電子 の量を少なくすることで、ターゲット面での 電流密度を高めることができる。また、メッ シュ構造体の強度を維持しつつ、加工が容易 となるため、製造工程における信頼性、歩留 りを確保することができる。

 請求項5の構成によると、貫通孔における 電子の消失が少なく、且つ直進性を持った電 子をターゲット面に送ることができる。

 請求項6の構成によると、メッシュ構造体 を通過する電子の軌道を外部電界で制御する ことで、収束性と直進性を制御することが可 能となり、高解像度の電子源素子を実現でき る。

 請求項7の構成によると、メッシュ構造体 を通過する電子の収束性を制御できると同時 に、メッシュ構造体に衝突して消滅する電子 の量を少なくすることで、ターゲット面での 電流密度を高めることができる。また、メッ シュ構造体の強度を維持しつつ、加工が容易 となるため、製造工程における信頼性、歩留 りを確保することができる。

 請求項8の構成によると、メッシュ構造体 の貫通孔内面に電子が衝突しても、二次電子 が放出されることで電子が消失することなく 、高い電流密度を維持することができる。

 請求項9の構成によると、メッシュ構造体 の製造を容易にし、また、メッシュ構造体の 強度を保つ役割を果たすことで、マトリック ス型冷陰極電子源装置の信頼性を確保するこ とができる。

 請求項10の構成によると、貫通孔内面で 成された二次電子が発散されることなくタ ゲット面に向かうため、高い電流密度と収 性が実現できる。

 請求項11の構成によると、電子源素子か 放出された電子を無駄なくターゲット面に くことが可能となり、高い電流密度を実現 きる。

 請求項12の構成によると、高解像度の表 装置を実現することができる。

 請求項13の構成によると、解像度の高い 感度の撮像装置を実現することができる。

 請求項14の構成によると、高解像度の表 装置或いは撮像装置を実現することができ 。

本発明の実施の形態1に係るマトリック ス型冷陰極電子源装置の分解斜視図 同実施の形態の断面構造の模式図 同実施の形態の機能を説明する分解斜 図 同実施の形態の構造と駆動方法を説明 る要部の平面図 本発明の実施の形態2に係るマトリッ ス型冷陰極電子源装置のメッシュ構造体の 面図 同実施の形態のメッシュ構造体の別の 例を示す貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態のメッシュ構造体の別の 例を示す貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態のメッシュ構造体の別の 例を示す貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態のメッシュ構造体の別の 例を示す貫通孔部の拡大断面図 本発明の実施の形態3に係るマトリッ ス型冷陰極電子源装置のメッシュ構造体の 面の模式図 同実施の形態のメッシュ構造体の電子 の挙動を説明する貫通孔部の拡大断面図 同実施の形態の別の例を示す貫通孔部 の拡大断面図 同実施の形態の別の例を示す貫通孔部 の拡大断面図 本発明の実施の形態4に係るマトリック ス型冷陰極電子源装置のメッシュ構造体にお ける貫通孔部の拡大断面図 従来のFEDの基本構成を示す拡大斜視図 同従来例の断面図

 以下、本発明の各実施の形態を図1~図8に づいて説明する。

  (実施の形態1)
 図1~図4は本発明の実施の形態1のマトリック ス型冷陰極電子源装置を示す。

 図1は分解斜視図、図2は組立て後の断面 である。

 背面基板1の上には、フリットガラスを用 いて接合したリング状のガラススペーサ2が り付けられている。ガラススペーサ2の内側 前記背面基板1上には、冷陰極電子源アレイ 4が銀ペースト等を用いて貼り付けられてい 。

 冷陰極電子源アレイ4は、複数のエミッタ が一つの群として成る冷陰極電子源素子4aがX Y方向に複数マトリックス状に配列された構 を有している。なお、図2においては、簡略 のため各々の冷陰極電子源素子4aを一つの ミッタとしてSi基板3の上に図示している。 陰極電子源素子4aは第1のピッチP1でマトリッ クス状に配置されている。

 ガラススペーサ2の上面には、中央に窓5a 形成されている保持基板5が配置されている 。この保持基板5は、金属Inよりなる内周リン グ10とステンレス製の外周リング11によって ラススペーサ2に固定されている。

 保持基板5の上には、中央に窓6aが形成さ ているY側ステージ基板6をY軸方向に移動さ ることができる駆動部としてのY側アクチュ エータ7bが固定されている。Y側ステージ基板 6には、メッシュ構造体8をX軸方向に移動させ ることができる駆動部としてのX側アクチュ ータ7aが固定されている。

 このようにメッシュ構造体8は、X側アク ュエータ7aとY側アクチュエータ7bを介して保 持基板5に取り付けられており、X側アクチュ ータ7aとY側アクチュエータ7bの運転によっ メッシュ構造体8を、X方向、Y方向に所定の 離だけ移動できる構造となっている。

 メッシュ構造体8は、基材となる導電性の 薄板に所定の間隔でマトリクス状に貫通孔9 形成されている。なお、メッシュ構造体8は 必ずしも全て導電性である必要はなく、少 くとも表面、裏面、および貫通孔内面が導 性を有していれば良く、例えば微細加工し ガラスの表面にメッキ法等を用いて導電膜 形成してもよい。

 内周リング10とステンレス製の外周リン 11の先端の内周部には、前面基板15が取り付 られている。前面基板15には、メッシュ構 体8の側表面に透明導電膜12が成膜されてお 、アノードピン16と電気的に接続されている 。透明導電膜12の表面には光電変換膜13が形 されており、外部から所定の電圧をアノー ピン16に印加することにより、透明導電膜12 介して光電変換膜13に電圧印加できる構成 なっている。前面基板15と透明導電膜12と光 変換膜13などで構成されるユニットは、冷 極電子源アレイ4から見てターゲット14であ 。前記貫通孔9は、冷陰極電子源アレイ4の法 線方向と前面基板15を結ぶ線と略平衡となる うに形成されている。

 組み立て作業の際には、ガラススペーサ2 と前面基板15の間に内周リング10を挟み、背 基板1と前面基板15の上下から圧力を加える 、内周リング10が塑性変形し、背面基板1、 ラススペーサ2、内周リング10、および前面 板15で囲まれた空間が機密封止される。高真 空中で本作業を行うことで、冷陰極電子源ア レイ4を高真空中に保持することができる。

 このように、ターゲット14に光電変換膜13 を設けた撮像装置では、外部からの光により 誘起された正孔-電子対を、冷陰極電子源ア イ4からの放出電子により読み取ることがで る。

 ここで、メッシュ構造体8と冷陰極電子源素 子4a、ターゲット14との関係について、図3を 照しながら詳しく説明する。冷陰極電子源 子4aは、マトリクス状に配置された冷陰極 子源アレイ4の中のひとつのセルとして構成 れている。
メッシュ構造体8には、冷陰極電子源アレイ4 おける冷陰極電子源素子4aの配置間隔であ 第1のピッチP1と同じピッチで貫通孔9がマト ックス状に形成されている。ここでは、メ シュ構造体8に形成された貫通孔9のX方向,Y 向のピッチをそれぞれPm(X),Pm(Y)、貫通孔9が 垂直と仮定した時の貫通孔9の開口部のX方向 ,Y方向幅をDm(X),Dm(Y)とする。また、1セル分の 陰極電子源素子4aのエミッタ領域4bのX方向,Y 方向幅をPem(X),Pem(Y)とする。更に、表示デバ スの場合においては、ターゲット上に仮想 に描く1画素分の撮像面のX方向,Y方向幅をDt(X ),Dt(Y)とする。

 従来例の形態では、冷陰極電子源素子4aの ミッタ領域4bと貫通孔9の大きさ、更にはタ ゲット14上の1画素分の撮像領域の大きさを ぼ等しく形成されており、
   Pem(X)≒Dm(X)≒Dt(X)
   Pem(Y)≒Dm(Y)≒Dt(Y)
の関係式が成り立っていた。表示デバイスに おいて解像度を高くするためには、Dt(X)、Dt(Y )を小さくする必要がある。即ちPem(X),Pem(Y)を さくする必要があるが、冷陰極電子源素子 面積を小さくすることは、前述のとおりエ ッタの集積度限界やプロセスマージンの影 が大きいなどの理由により実現が困難とな ていた。

 これに対して本実施の形態では、冷陰極電 源素子4aの大きさを変更することなく、表 デバイスの解像度を2倍にできる方法につい 以下に説明する。
メッシュ構造体8の貫通孔9の大きさを、図3に 示したようにターゲット14の1画素に相当する 大きさとし、エミッタ領域4bの大きさを、X方 向、Y方向とも略2倍となる大きさとして配置 た。すなわち、
   Dm(X)≒Dt(X)≒(1/2)Pem(X)
   Dm(Y)≒Dt(Y)≒(1/2)Pem(Y)
の関係式が成り立つように構成されている。

 メッシュ構造体8は前述のようにアクチュ エータ7a,7bを介して取り付けられている。こ アクチュエータ7a,7bにより、メッシュ構造 8はX方向,Y方向に各々Pm(X),Pm(Y)だけ移動させ ことができる。このPm(X),Pm(Y)は、冷陰極電子 源アレイ4におけるX方向,Y方向の画素ピッチ 相当する。即ち、アクチュエータ7a,7bを用い て図中A,B,C,Dの領域に冷陰極電子源素子4aの電 子放出のタイミングと同期して移動させるこ とにより、ターゲットのA,B,C,Dの領域に電子 ームを照射させることができる。

 このように、メッシュ構造体8を構成する ことにより、従来の1画素を4画素として使用 きるので、冷陰極電子源素子4aのサイズを さくすることなく高解像度化ができる。

 FEDなどの表示素子として用いる場合にお て、アクチュエータ7a,7bと電子源アレイ4の 成とタイミング動作について以下に簡単に 明する。

 メッシュ構造体8は、冷陰極電子源アレイ 4に対向して配置される。貫通孔9は、第1のピ ッチ:P1で複数配列した貫通孔群を有する。タ ーゲット14は、メッシュ構造体8に対向して配 置され、冷陰極電子源アレイ4から放出され メッシュ構造体8の貫通孔9を通過する電子ビ ームが衝突する位置に配置されている。X側 クチュエータ7aおよびY側アクチュエータ7bは 、メッシュ構造体8を貫通孔9の第1の配列方向 (X軸)および第2の配列方向(Y軸)に移動させる 動部としての機能を備えている。貫通孔9の 口径は、第1のピッチの1/N以下(Nは2以上の整 数)に設計される。メッシュ構造体8は、X側ア クチュエータ7aとY側アクチュエータ7bを用い 、第1,第2の配列方向(X軸,Y軸)にそれぞれ第1 ピッチの(1/N)刻みでステップ駆動するよう 成される。X側アクチュエータ7aとY側アクチ エータ7bを、積層上に順次保持基板5上に固 することにより、それぞれX方向、Y方向に 立した2次元的な駆動が可能になる。ここで 、FEDなどの表示素子として用いる場合につ て説明したが、撮像素子として用いる場合 も表示素子と同じ構成とタイミング動作で 用することができる。

 NTSCの放送規格に準じて映像を動画表示す る場合について説明する。

 NTSCの画面表示は、1/30秒をフレーム単位 した連続する映像フレーム信号をリアルタ ムに逐次表示している。表示動作は、1フレ ムの垂直走査信号(NTSCの場合は480本)ライン にそれぞれの水平信号を同時に表示する単 マトリクス表示動作が用いられる。本実施 の上記メッシュ構造体8を用いる場合には、 1フレームに相当する垂直信号走査ラインの 示時間(約69.4μsec)を2分割し、1フレームを2回 に分けて倍速での表示動作を行うことで実現 できる。この時、表示動作とアクチュエータ による駆動を同期する必要がある。アクチュ エータの開口部(貫通孔9)を用いて最初の表示 動作を行った後(約34.7μsec)、メッシュ構造体8 を画素ピッチ相当距離(Pm(X))移動させて、次 画素の表示動作を行う。上記の動作原理に り、メッシュ構造体の開口部は、X方向、Y方 向それぞれ2画素分の表示動作を行うことが 能となる。

 このように、メッシュ構造体8を用いて映 像表示に同期して駆動することにより、従来 の1画素を4画素として使用できる。このため 冷陰極電子源素子4aのサイズを小さくする となく高解像度化ができるメリットがある

 このようにメッシュ構造体を用いて高解 度化を図ることは、冷陰極電子源の安定動 や信頼性を確保するという観点からも利点 ある。

 一般的に、マトリックス型冷陰極電子源 置では、マトリックス状に並んだ冷陰極電 源素子の動作を個別に制御するためのX方向 、およびY方向に駆動用の配線を備えている 更に、電子源素子の種類によって多少構成 異なるものの、エミッタ先端に電界を印加 るためのゲート電極や、駆動用の配線との ンタクト部分などを備えている。これら異 る平面状の構成要素を垂直方向に積み上げ 素子を構成する際、各々の形状の異なる平 状の構成要素を相互に位置合わせする必要 ある。位置合わせには、相互のずれを見込 だ設計をする必要があり、このずれ量を一 的に合わせマージンと称している。

 積層する構成要素が多くなればなる程、 わせマージンのためのスペースが必要とな 。電子源素子では、エミッタの数を多くす ことが高い電流量の確保と安定性につなが が、合わせマージンのためのスペースが増 るほど、エミッタを形成できるスペースが なくなることになる。従って、例えば電子 素子の面積が半分になると、エミッタの数 半減に留まらず、30~40%にまで低下してしま 、必要な電流量の確保が難しくなる、或い 必要な電流量を確保するがために個々のエ ッタに対する負荷が大きくなるといった問 が生じる。

 一方、この実施の形態では、電子源素子 面積は維持したままで貫通孔9の面積を1/4と することで高解像度化が実現できる。電子源 素子の面積を半分にする従来の方法に比べて 相対的に高い電流密度を維持できるため、電 子源素子の安定動作や電子源の長寿命化を実 現することが容易になる。

 この実施の形態の場合、解像度はメッシ 構造体8の貫通孔9の大きさによって決定さ る。メッシュ構造体8も微細化を進める上で 、半導体プロセス、或いはMEMS(Micro Electro M echanical systems)技術を用いる必要があるが、 ッシュ構造体8の場合は貫通孔9の微細加工の みで、冷陰極電子源素子4aのような合わせマ ジンが必要ないため微細化は容易である。

 更に、従来例では貫通孔9が画素ピッチで 隣接して形成するため、従来手法通りに微細 化を進めようとすると貫通孔9を保持する壁 部分が非常に薄くなってしまうが、この実 の形態では駆動ピッチ分だけ離れているた 、壁の部分を相対的に厚くすることができ 強度的な信頼性が向上するという特徴も有 る。

 なお、この実施の形態では、貫通孔に対 る電子源素子の相対的な大きさをX方向、Y 向とも2倍とした例を示したが、電子源素子 大きさは2倍に限定されるものではなく、電 子ビーム起動から計算される貫通孔サイズと 、設計された貫通孔のサイズを実現するため のプロセス上の要請から、2以上の整数倍と ても何ら本発明の用件から外れるものでは い。

 また、貫通孔9の断面形状は略垂直形状と したが、貫通孔の電子源アレイ側開口寸法と ターゲット側開口寸法は完全に同一になると は限らず、プロセスでの形状制御の範囲で、 プラスマイナス10%~20%程度の範囲で差が生じ ことは止むを得ない。

 次に、メッシュ構造体8の駆動方法につい て図1、図2、および図4を用いて簡単に説明す る。

 メッシュ構造体8には、X側アクチュエー 7aが取り付けられており、X側アクチュエー 7aのみがY側ステージ基板6に固定されている この構成によって、メッシュ構造体8をY側 テージ基板6上でX方向に任意の距離移動させ ることが可能となる。

 更に、Y側ステージ基板6には、Y側アクチ エータ7bが取り付けられており、Y側アクチ エータ7bのみが保持基板5に固定されている この構成によって、Y側ステージ基板6を保 基板5上でY方向に任意の距離だけ移動させる ことができる。

 以上の構成によって、メッシュ構造体8は 、保持基板5に対して相対的にX方向とY方向に 任意の距離移動させることが可能となる。保 持基板5は、内周リング10によりガラススペー サ2上に固定されていることから、メッシュ 造体8は、冷陰極電子源アレイ4に対して相対 的にX方向,Y方向の任意の位置に移動させるこ とが可能となる。

 この実施の形態では、X側アクチュエータ 7a、Y側アクチュエータ7bとして、圧電素子を いた。圧電素子は小型化が可能であり、し も数10Vの電圧の印加によって数10μmの移動 を得ることができることから、この実施の 態における電子源装置に必要な移動量を実 できる。

 このアクチュエータを駆動するための信 配線は、図4に示したように、保持基板5、Y ステージ基板6に形成したX側アクチュエー 駆動用引出し配線5bと、Y側アクチュエータ 動用引出し配線5cと,メッシュ電極引出し配 5d、および各基板同士を上下に接続するボン ディングワイヤー5eによって接続する。同時 、保持基板5から背面基板1の上に形成した 極配線(図示せず)にボンディングワイヤーに よって接続し、外部からの信号を供給する。 なお、同様の手法によって、メッシュ構造体 8に対する電位の供給も行っている。

 なお、この実施の形態では、アクチュエ タとして圧電素子を用いているが、アクチ エータは圧電素子に限るものではない。例 ば圧電素子以外のアクチュエータも利用可 であり、MEMS技術を用いた微細な直動機構等 も用いることができる。更に、この実施の形 態ではメッシュ構造体とX側アクチュエータ 夫々別の部品として取り扱っているが、MEMS 術を用いて一体構造とすることも可能であ 。同様に、Y側ステージ基板とY側アクチュ ータも一体構造とすることが可能である。

  (実施の形態2)
 図5A~図5Eは実施の形態1におけるメッシュ構 体8の具体例を示す。

 図5Aはメッシュ構造体8の断面模式図、図5 Bは図5Aに示した貫通孔部Aの拡大断面模式図 ある。

 メッシュ構造体8は、冷陰極電子源アレイ 4に対向する面の導電体層である第一電極93と 、中間層となる絶縁層92と、ターゲット14に 向する側の導電体層である第二電極94とから 成る3層構造となっている。

 第一電極93と第二電極94は、各々独立に電 位を制御できる構造となっており、各々の電 位を適切に制御することによって、冷陰極電 子源アレイ4から放出された電子を効率的に 且つ収束性を維持したままターゲット14に照 射することができるため、高い解像度を実現 できる。

 メッシュ構造体8による電子ビームの収束 においては、第一電極93と第二電極94に印加 る電位配分のみならず、第一電極93、絶縁層 92、および第二電極94の厚さも影響する。更 は、冷陰極電子源アレイと第一電極93との距 離、および第二電極94とターゲット面との距 も影響するため、電界シミュレーション等 方法を用いて最適設計をする必要があるが この設計項目については本発明の要件には たらないため、ここでは説明を省略する。

 このようなメッシュ構造体8は次の工程で 製造できる。

 まず、基材単結晶Si基板の上に中間絶縁 を介して所定の厚さの単結晶Siが形成された SOI(Silicon on Insulator)基板を用意する。

 メッシュ構造体8を構成する絶縁性材料の 厚みを10nmから10μmの範囲で最適な値に選択す ることとした。メッシュ構造体8による電子 ームの収束機能を最適に発揮させるには、 一電極93と第二電極94に印加する電位配分の ならず、第一電極93、絶縁層92、および第二 電極94の厚さも最適に設計する必要がある。 一電極93と第二電極94には、それぞれ異なる 電位を与えて、電子ビームの軌道に対する静 電的なレンズ作用を行わせる。シリコン半導 体プロセスで用いられているシリコン酸化膜 を絶縁性材料として採用する際は、印加する 電位に対して高い絶縁耐性を持つメリットが ある。例えば、10nmのシリコン酸化膜を用い 場合は、凡そ50Vの耐圧特性を有し、10μmの厚 さの場合には、凡そ50kVの高い耐圧特性を有 るため厚みに対する設計自由度が増すこと なる。

 ここでは基材Si基板の厚さが200μm、中間 縁層の厚さが2μm、絶縁層上に形成された単 晶Siの厚さが100μmのSOI基板を購入して絶縁 の厚さが10μmのメッシュ構造体を作製した。 このSOI基板の基材Si基板が、基材Si基板91、中 間絶縁層が絶縁層92、中間絶縁層上に形成さ た単結晶Siが第二電極94となる。なお、第二 電極94は、単結晶Siに高濃度のリン、砒素等 N型不純物を注入して低抵抗化している。

 単結晶Siで形成されている第二電極94の表 面全面に、保護膜となるレジスト膜、若しく はSOG(Spin on Grass)膜を塗布した後、基材Si基 91の裏面に、所定の開口部を有するレジスト 膜を塗布し、基材Si基板91の裏面(図5A中の下 面)から水酸化カリウム(KOH)を用いてウエッ エッチングを行う。KOHを用いたエッチング 、Si単結晶の結晶面によってエッチング速度 が異なるため、面方位(100)の単結晶基板の場 、約42°の略テーパを持ったエッチング面が 形成される。絶縁層92はKOHではエッチングで ないため、Siのエッチングは絶縁層92に達し たところでそれ以上進まない。レジストを全 て剥離後、基材Si91の裏面全面に第一電極93と なる金属膜を成膜する。この実施の形態では 、金属膜として厚さ1μmのAlを用いた。

 次に、第二電極94の表面に厚さ100nmの酸化 膜を成膜後、レジスト膜を塗布し、貫通孔9 相当する開口部を形成し、まず酸化膜をエ チング後、レジストと酸化膜をマスクとし ドライエッチング法により第二電極94、絶縁 層92、および第一電極93を連続的にエッチン し貫通孔9を形成し、メッシュ構造体8が完成 する。

 メッシュ構造体8は、第一電極93および第 電極94に各々独立に電圧を印加することで 冷陰極電子源アレイ4から放出した電子を集 してターゲット14に送る役割を果たす。電 の収束性は、冷陰極電子源アレイ4に形成さ た冷陰極電子源素子4aと貫通孔9の下部に位 する第一電極93の表面との距離、第一電極93 の印加電圧、絶縁層92の厚さ、第二電極94の さと印加電圧、および第二電極94の上面とタ ーゲット14に形成された光電変換膜13との距 によって決めることができる。なお、この 施の形態では、SOI基板の仕様を予め決める とにより、冷陰極電子源アレイ4に形成され 冷陰極電子源素子4aと貫通孔9の下部に位置 る第一電極93との距離は、第一電極93の厚さ によって調整することが可能となる。また、 貫通孔9の形成は、半導体加工プロセス技術 用いているため、微細な加工が可能となる いう特徴も有している。

 なお、図5Bに示した例では、貫通孔9の断 形状が入口から出口にわたって径が一定、 まり電子ビーム方向(Z軸)に略垂直であった 、次のように構成することも出来る。

 図5C~図5Eは、それぞれメッシュ構造体8に ける貫通孔9の断面形状の一例を示しており 、貫通孔9の断面部分の形状は、第二電極94、 絶縁層92、第一電極93の材料やエッチング方 によって様々に変えることができる。図5Cに 示した様なターゲット面に向かって開口部が 広くなる構造や、図5Dに示した様な第二電極9 4の中央部がくびれた形状、更には図5Eに示し た様なターゲット面に向かって開口部が湾曲 しながら狭くなる形状などがある。これらの 形状も前述の如く設計項目であり、本発明の 要件には当たらないため、ここでは説明を省 略する。

  (実施の形態3)
 図6A,図6Bと図7A,図7Bは本発明の実施の形態3 示す。

 メッシュ構造体8における貫通孔9の断面 状が先の実施の形態とは異なる。その他の 成は実施の形態1と同じである。

 この実施の形態3の貫通孔9は、図6Bに示す ように冷陰極電子源アレイ4に対向する側が きく、ターゲット14に対向する側が小さい略 テーパ形状になっており、且つ少なくとも貫 通孔9の内面は二次電子放出能が1を超える材 で構成されている点にある。

 図6Aはメッシュ構造体8が全て同一の材料 できている場合を示している。94bは第二電 引き出し用のパッドである。図6Bは図6Aにお ける貫通孔部Aの拡大断面模式図である。

 メッシュ構造体8は、メッシュ構造体8の 部分をなす基層の厚さが50μm以上である条件 とした。メッシュ構造体をMEMS製造ラインを いて製作する場合は、構造体の製造単価を き下げるために、出来るだけ大きなウエハ イズ(4インチ以上)を用いることが望ましい 実施の形態2で述べたようなプロセスを用い 場合、それぞれの製造装置内のウエハ搬送 に、ウエハの破損やキズを発生させないこ が要求される。貫通孔構造を有する微細電 をウエハ上に作製すると、ウエハの機械強 が大幅に低下し、場合によってはウエハに 損につながる恐れが発生する。メッシュ構 体8の基層の厚さを50μm以上に設定しておけ 、上記の微細構造体を形成した後において 、ウエハの機械強度が十分に保たれ、ウエ の破損を引き起こす恐れはほとんどなくな 。

 図6Bにおいて、冷陰極電子源アレイ4に対 する貫通孔9の開口部の径をD1、ターゲット1 4の側に対向する貫通孔9の開口部の径をD2と た時、D2は前述の通り、解像度の要請から決 まる画素寸法とほぼ同等の寸法となる。冷陰 極電子源素子4aから放出された電子ビームの 部は貫通孔9の内面に当たらずに直接にター ゲット14面に到達するが、一部は略テーパ上 形成された貫通孔9の内面に衝突する。この 時、メッシュ構造体8を形成する材料の二次 子放出能が1以下の場合は、内面に衝突した 子がそのままメッシュ構造体8に吸収されて ターゲット14側に電子は出てこない。一方、 の実施の形態で示したメッシュ構造体8を構 成する材料は1を超える二次電子放出能を有 ているため、貫通孔9の内面に衝突した電子E によって二次電子が生成される。生成された 二次電子は、ターゲット14に対向する開口部 近ければ、そのままターゲット14に向かう ターゲット14から遠い場合は、貫通孔9の内 に再度衝突し、そこで新たな二次電子を生 するという現象を繰り返し、ターゲット14の 側の開口部に到達したところで生成された二 次電子がターゲット14に向かう。

 なお、この実施の形態の場合、冷陰極電 源素子4aから放出された電子が冷陰極電子 素子4aの側に戻るのを抑えるために、メッシ ュ構造体8に所定の電圧を印加することが有 である。この場合、メッシュ構造体8自身が 二電極94として機能する。

 略テーパ形状の貫通孔9の加工は、以下の ようにして行う。

 まず、SUS等の金属板の一方の表面にレジ トを塗布し、フォトリソプロセスを用いて 通孔9のD2に相当する開口を形成する。また 裏面側には、全面に同じくレジストを塗布 ておく。前記金属板をエッチングする溶液 レジストを溶かす成分を添加した薬液中に の金属板を所定の時間浸すと、前記金属板 厚さ方向のエッチングと同時に、レジスト 少しずつ溶ける事でレジスト開口部が広が 、同時にレジストが溶け出した部分の金属 のエッチングが進む。エッチングが前記金 板の厚さ分まで進行したところで前記金属 をエッチング液から引き出し、所定の洗浄 レジストの剥離を行うと、概ね図示した断 形状を有する貫通孔9が得られる。

 図6A,図6Bに示した実施の形態の場合、メ シュ構造体8に略テーパ形状の貫通孔を形成 るだけのため、作製が容易という利点があ 。

 図7A,図7Bはこの実施の形態3の別の例を示 ている。

 図7Aは、メッシュ構造体8の基材として微 加工性に優れたSi基板を用いた場合を示し いる。Si自身は二次電子放出能が低いため、 例えばMgO膜の様な二次電子放出能の高い二次 電子放出膜95を貫通孔9の内面に成膜する。貫 通孔9の内面に二次電子放出膜95を形成する方 法としては、前述の実施の形態2で示した製 方法において、エッチング完了後、エッチ グ液を所定の方法で除去、洗浄した後、レ ストを残したまま真空蒸着法等を用いて、 口の広い面側から二次電子放出膜95を所定の 厚さだけ成膜する。その後にレジスト剥離を 行うと、貫通孔9の内面にのみ二次電子放出 95が形成されたメッシュ構造体8が作製でき 。また、二次電子放出膜95がメッキ法で成膜 できる材料である場合は、レジストを残した 状態でメッキを行うことで、同様の構成のメ ッシュ構造体8を作製することができる。

 図7Bは、貫通孔9の内面に加えて、第二電 94の下面に二次電子放出膜95を成膜した構成 となっている。この構成により、冷陰極電子 源素子4aから放出された電子のうち、第一電 95の下面に当った電子から生成された二次 子も生成するため、ターゲット14に対して高 い電流量を得ることができる。

 なお、メッシュ構造体の厚みをTとすると 、ターゲット14に対向する貫通孔の開口径:D2 冷陰極電子源アレイ4に対向する貫通孔の開 口径:D1の関係は、以下の関係を満足するのが 好ましい。ここで、θはスピント型エミッタ ら放出される電子の広がり角とする。

   tanθ < (D2-D1)/(2*T)・・・・(数式A)
 メッシュ構造体による電子ビームのトリミ グ効果について上記関係式を用いて説明す 。

 スピント型エミッタの場合、一般にエミ タから放出される電子の放出角はおよそ鉛 方向に片側30°の広がり角を有している。

 メッシュ構造体の厚みが開口径に比べて 分厚い(T>>D1,D2)場合には、貫通孔の開口 径D2,D1が同程度であれば、電子ビームのトリ ング効果は十分である。

 しかしながら、半導体材料やプロセスを 用してメッシュ構造体を作製することが一 的であるため、現実にはせいぜい同程度か 倍の値に制約される。この場合には、電子 ームの広がり成分をメッシュ構造体により リミングできないため、解像度を劣化させ 要因ともなる。

 上記の(数式A)を満足する条件でメッシュ 造体を作製しておけば、原理的には電子ビ ムの広がり成分の大半がメッシュ構造体の 通孔の側壁に衝突して吸収・除去されるた 、貫通孔を通過してターゲット方向に進行 る電子ビームは略平行ビームとなるように リミングされ、解像度を高く維持する効果 期待できる。

  (実施の形態4)
 図8は本発明の実施の形態4を示す。

 メッシュ構造体8における貫通孔9の断面 状が先の実施の形態とは異なる。その他の 成は実施の形態3と同じである。

 この実施の形態4では、メッシュ構造体8に 成された貫通孔9が、冷陰極電子源アレイ4に 対向する側が大きく、ターゲット14に対向す 側が小さい略テーパ形状になっており、且 少なくとも貫通孔9の内面は二次電子放出能 が1を超える材料で構成されている点では、 述の実施の形態3で示した構成と同じである 、この実施の形態では、メッシュ構造体8の ターゲット14に近い面側に、絶縁層92bを介し 第三電極96が形成されている。この構成で 、冷陰極電子源素子4aの側から放出された電 子は、第二電極94となる略テーパ形状の貫通 9に衝突する。テ-パ形状の貫通孔9の内面に 、二次電子放出能が1を超える膜が形成され ており、電子の衝突により二次電子が放出さ れる。
このような構成では、第二電極94と第三電極9 6を所定の電位に設定することで、生成され 二次電子を効率的にターゲット14の側に引き 出すことができると共に、貫通孔9を通過し 電子の収束性も高めることができるという 点がある。

 貫通孔9の加工は、以下のように行う。

 まず、基材Si基板91の表面(図8中では上面 )に熱酸化法により絶縁層92bを形成する。次 に、基材Si基板91の裏面側(図8中では下面側) レジストを塗布し、所定の径の開口部を形 したのち、絶縁層92bが露出するまでKOHを用 たウエットエッチングを行う。このとき前 した様に、単結晶のSiは結晶面に対して異方 的にエッチングされるため、約42°のテーパ を有する形状が形成される。

 レジストを剥離した後、Siのテーパ形状 形成された面にネガレジストを塗布し、絶 層92bの上面側から全面に露光を施す。その 、レジストを現像すると、絶縁層92bの下部 レジストが残り、基材Si基板91の裏面のレジ トが除去される。この状態で、基材Si基板91 の裏面側に二次電子放出能の高いMgO膜等を真 空蒸着法等により成膜した後、レジスト剥離 を行うと基材Si基板91の裏面にのみ二次電子 出膜95が形成される。

 その後、絶縁層92bの面側にネガレジスト 塗布し、Si基材側から全面に露光を施して ジストを現像すると、Si基材のテーパ形状の 開口部上にのみレジストが残る。この状態で 絶縁層92bおよびパターニングされたレジスト 膜表面に真空蒸着法を用いてCr等の金属膜を 定の厚さに成膜し、続けてレジスト剥離を うと、レジストと同時にレジスト表面に成 された金属膜が除去される。次に、Cr等の 属膜をマスクとして絶縁層92bをエッチング て開口部を形成することで、メッシュ構造 8が完成する。

 この構成によれば、冷陰極電子源素子4か ら放出された電子ビームは、メッシュ構造体 8に吸収されることなく、冷陰極電子源素子4 ら放出された電子ビーム量とほぼ同等の電 ビーム量をターゲット面に供給することが 能となる。更に、第二電極94と第三電極96を 所定の電位に設定することにより、貫通孔9 内面で生成された二次電子を効率よく、且 電子の軌道を制御することが可能となり、 ーゲット14面での電流密度と解像度を向上さ せることができる。

 メッシュ構造体8は、前述の通り解像度の ピッチ相当分移動するため、従来の1画素と じ大きさで電子源素子を構成した場合に比 、整数倍の面積を有する電子源素子から放 される電子ビームの大半を1画素に供給する とが可能となり、高い電子ビーム量を得る 同時に、高い解像度を実現することが可能 なる。

 なお、上記の各実施の形態ではマトリッ ス型冷陰極電子源装置の具体例として撮像 置の場合を例に挙げて説明したが、ターゲ ト14の表面に、光電変換膜13に代わって蛍光 体膜を形成したFEDの場合も同様に実施できる 。

 本発明は、冷陰極を用いたマトリックス 電子源装置を要部としている電界放射型デ スプレイ装置、高感度撮像装置などの高解 度化に寄与できる。