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Title:
MECHANICAL QUANTITY SENSOR AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078770
Kind Code:
A1
Abstract:
A mechanical quantity sensor comprises: a first structure having a fixed portion with an opening, a displacing portion arranged in the opening and displacing with respect to the fixed portion, and a portion for connecting the fixed portion and the displacing portion; a second structure stacked on the first structure and having a weight portion being bonded to the displacing portion and a base being bonded to the fixed portion; a first base body arranged on the surface opposing the displacing portion, having a first drive electrode composed of a conductive material containing Al and Nd, and being connected to the fixed portion and stacked on the first structure; and a second base body arranged on the surface opposing the weight portion, having a second drive electrode composed of above-mentioned conductive material, and being connected to the base and stacked on the second structure.

Inventors:
MORII AKIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/074938
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 26, 2007
Export Citation:
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Assignee:
DAINIPPON PRINTING CO LTD (JP)
MORII AKIO (JP)
International Classes:
G01C19/5733; G01C19/5769; G01P15/18; H01L29/84
Domestic Patent References:
WO2004003936A12004-01-08
Foreign References:
JP2006329885A2006-12-07
JP2006344573A2006-12-21
JP2004361394A2004-12-24
JP2004012326A2004-01-15
JPH10213441A1998-08-11
JP2002350138A2002-12-04
US6266862B12001-07-31
Other References:
See also references of EP 2096407A4
Attorney, Agent or Firm:
SUYAMA, Saichi (1 Kandata-cho 2-chom, Chiyoda-ku Tokyo 46, JP)
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Claims:
 開口を有する固定部と、この開口内に配置され、かつ前記固定部に対して変位する変位部と、前記固定部と前記変位部とを接続する接続部と、を有し、かつ平板状の第1の半導体材料から構成される第1の構造体と、
 前記変位部に接合される重量部と、前記重量部を囲んで配置され、かつ前記固定部に接合される台座と、を有し、第2の半導体材料から構成され、かつ前記第1の構造体に積層して配置される第2の構造体と、
 前記変位部に積層方向の振動を付与し、前記変位部との対向面に配置され、かつAlとNdとを含む導電性材料で構成される第1の駆動用電極を有し、絶縁性材料から構成され、かつ前記固定部に接続されて前記第1の構造体に積層配置される第1の基体と、
 前記変位部に積層方向の振動を付与し、前記重量部との対向面に配置され、かつ前記導電性材料で構成される第2の駆動用電極を有し、絶縁性材料から構成され、かつ前記台座に接続されて前記第2の構造体に積層配置される第2の基体と、
 を具備することを特徴とする力学量センサ。
 前記第1の基体が、一端が第1の駆動用電極に接続され、かつ前記導電性材料で構成される第1の配線をさらに有し、
 前記第1の構造体が、前記第1の配線の他端と接続され、前記開口内に配置され、かつ導電性を有する第1のブロック上層部をさらに有し、
 前記第2の基体が、一端が第2の駆動用電極に接続され、かつ前記導電性材料で構成される第2の配線をさらに有し、
 前記第2の構造体が、前記第2の配線の他端と接続され、前記台座に囲まれて配置され、かつ導電性を有する第1のブロック下層部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の力学量センサ。
 前記第1の基体が、前記変位部の変位を検出し、前記変位部との対向面に配置され、かつ前記導電性材料で構成される第1の検出用電極をさらに有し、
 前記第2の基体が、前記変位部の変位を検出し、前記重量部との対向面に配置され、かつ前記導電性材料で構成される第2の検出用電極をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載の力学量センサ。
 前記第1の基体が、一端が前記第1の検出用電極に接続され、かつ前記導電性材料で構成される第3の配線をさらに有し、
 前記第1の構造体が、前記第3の配線の他端と接続され、前記開口内に配置され、かつ導電性を有する第2のブロック上層部をさらに有し、
 前記第2の基体が、一端が前記第2の検出用電極に接続され、かつ前記導電性材料で構成される第4の配線をさらに有し、
 前記第2の構造体が、前記第4の配線の他端と接続され、前記台座に囲まれて配置され、かつ導電性を有する第2のブロック下層部をさらに有することを特徴とする請求項3に記載の力学量センサ。
 前記台座が、前記力学量センサ内の残留気体を吸着するゲッター材料が配置されるための空間を有していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の力学量センサ。
 前記第1、第2の半導体材料が、いずれも不純物が含まれるシリコンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の力学量センサ。
 第1の半導体材料からなる第1の層、絶縁性材料からなる第2の層、および第2の半導体材料からなる第3の層が順に積層されてなる半導体基板の前記第1の層をエッチングして、開口を有する固定部と、この開口内に配置され,かつ前記固定部に対して変位する変位部と、前記固定部と前記変位部とを接続する接続部と、を有する第1の構造体を形成するステップと、
 前記変位部に積層方向の振動を付与し、前記変位部との対向面に配置され、かつAlとNdとを含む導電性材料で構成される第1の駆動用電極を有し、かつ絶縁性材料から構成される第1の基体を、前記固定部に接合して前記第1の構造体に積層配置するステップと、
 前記第3の層をエッチングして、前記変位部に接合される重量部と、前記重量部を囲んで配置され、かつ前記固定部に接合される台座と、を有する第2の構造体を形成するステップと、
 前記変位部に積層方向の振動を付与し、前記重量部との対向面に配置され、かつ前記導電性材料で構成される第2の駆動用電極を有し、かつ絶縁性材料から構成される第2の基体を、前記台座に接合して前記第2の構造体に積層配置するステップとを具備し、
 前記第1の基体の前記第1の構造体への積層及び前記第2の基体の前記第2の構造体への積層のうちの少なくとも一方が、陽極接合によりなされることを特徴とする力学量センサの製造方法。
 前記第1の基体が、一端が第1の駆動用電極に接続され、かつ前記導電性材料で構成される第1の配線をさらに有し、
 前記第1の構造体が、前記第1の配線の他端と接続され、前記開口内に配置され、かつ導電性を有する第1のブロック上層部をさらに有し、
 前記第2の基体が、一端が第2の駆動用電極に接続され、かつ前記導電性材料で構成される第2の配線をさらに有し、
 前記第2の構造体が、前記第2の配線の他端と接続され、前記台座に囲まれて配置され、かつ導電性を有する第1のブロック下層部をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の力学量センサの製造方法。
 前記第1の基体が、前記変位部の変位を検出し、前記変位部との対向面に配置され、かつ前記導電性材料で構成される第1の検出用電極をさらに有し、
 前記第2の基体が、前記変位部の変位を検出し、前記重量部との対向面に配置され、かつ前記導電性材料で構成される第2の検出用電極をさらに有することを特徴とする請求項7又は8に記載の力学量センサの製造方法。
 前記第1の基体が、一端が前記第1の検出用電極に接続され、かつ前記導電性材料で構成される第3の配線をさらに有し、
 前記第1の構造体が、前記第3の配線の他端と接続され、前記開口内に配置され、かつ導電性を有する第2のブロック上層部をさらに有し、
 前記第2の基体が、一端が前記第2の検出用電極に接続され、かつ前記導電性材料で構成される第4の配線をさらに有し、
 前記第2の構造体が、前記第4の配線の他端と接続され、前記台座に囲まれて配置され、かつ導電性を有する第2のブロック下層部をさらに有することを特徴とする請求項9に記載の力学量センサの製造方法。
 前記第2の構造体を形成するステップが、前記力学量センサ内の残留気体を吸着するゲッター材料を配置するための空間を前記台座に形成するステップをさらに有し、
 前記第2の基体を前記第2の構造体に積層配置するステップの前に、前記空間に前記ゲッター材料を配置するステップと、
 前記第2の基体を前記第2の構造体に積層配置するステップの後に、前記空間に配置された前記ゲッター材料を熱処理して活性化するステップとをさらに具備することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか1項に記載の力学量センサの製造方法。
 前記第1、第2の半導体材料が、いずれも不純物が含まれるシリコンであることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか1項に記載の力学量センサの製造方法。
Description:
力学量センサおよびその製造方

 本発明は,力学量を検出する力学量センサ およびその製造方法に関する。

 半導体からなるトランデューサ構造体をガ ス基板に接合して構成される、角速度を検 する角速度センサの技術が開示されている( 特許文献1参照)。

特開2002-350138公報

 しかしながら、錘部(重量部)に積層方向 振動を付与する駆動用電極をAlで構成すると 、トランデューサ構造体とガラス基板を陽極 接合する際に、駆動用電極にヒロック(例え 半球状の突起物)が発生してしまう場合があ 。駆動用電極にヒロックが発生すると、容 性結合する駆動用電極間の寸法精度が低下 て、静電容量値が異なってしまい、製品間 特性のばらつきを生じる可能性があること 判った。また、駆動用電極にヒロックが発 すると、駆動用電極によって錘部を積層方 に振動させた際に、容量性結合させるべき2 つの駆動用電極がヒロックを介して接触して しまい、ショートする可能性があることが判 った。

 上記に鑑み、本発明は製品間の特性のば つきを抑え、容量性結合させるべき駆動用 極が接触してショートすることを抑制可能 力学量センサおよびその製造方法を提供す ことを目的とする。

 本発明の一態様に係る力学量センサは、 口を有する固定部と、この開口内に配置さ 、かつ前記固定部に対して変位する変位部 、前記固定部と前記変位部とを接続する接 部と、を有し、かつ平板状の第1の半導体材 料から構成される第1の構造体と、前記変位 に接合される重量部と、前記重量部を囲ん 配置され、かつ前記固定部に接合される台 と、を有し、第2の半導体材料から構成され かつ前記第1の構造体に積層して配置される 第2の構造体と、前記変位部に積層方向の振 を付与し、前記変位部との対向面に配置さ 、かつAlとNdとを含む導電性材料で構成され 第1の駆動用電極を有し、絶縁性材料から構 成され、かつ前記固定部に接続されて前記第 1の構造体に積層配置される第1の基体と、前 変位部に積層方向の振動を付与し、前記重 部との対向面に配置され、かつ前記導電性 料で構成される第2の駆動用電極を有し、絶 縁性材料から構成され、かつ前記台座に接続 されて前記第2の構造体に積層配置される第2 基体と、を具備することを特徴とする。

 本発明の一態様に係る力学量センサの製 方法は、第1の半導体材料からなる第1の層 絶縁性材料からなる第2の層、および第2の半 導体材料からなる第3の層が順に積層されて る半導体基板の前記第1の層をエッチングし 、開口を有する固定部と、この開口内に配 され、かつ前記固定部に対して変位する変 部と、前記固定部と前記変位部とを接続す 接続部と、を有する第1の構造体を形成する ステップと、前記変位部に積層方向の振動を 付与し、前記変位部との対向面に配置され, つAlとNdとを含む導電性材料で構成される第1 の駆動用電極を有し、かつ絶縁性材料から構 成される第1の基体を、前記固定部に接合し 前記第1の構造体に積層配置するステップと 前記第3の層をエッチングして、前記変位部 に接合される重量部と、前記重量部を囲んで 配置され、かつ前記固定部に接合される台座 と、を有する第2の構造体を形成するステッ と、前記変位部に積層方向の振動を付与し 前記重量部との対向面に配置され、かつ前 導電性材料で構成される第2の駆動用電極を し、かつ絶縁性材料から構成される第2の基 体を、前記台座に接合して前記第2の構造体 積層配置するステップとを具備し、前記第1 基体の前記第1の構造体への積層及び前記第 2の基体の前記第2の構造体への積層のうちの なくとも一方が、陽極接合によりなされる とを特徴とする。

本発明の第1の実施形態に係る力学量セ ンサを分解した状態を表す分解斜視図である 。 図1の力学量センサを分解した状態を表 す分解斜視図である。 第1の構造体の上面図である。 接合部の上面図である。 第2の構造体の上面図である。 第1の基体の下面図である。 第2の基体の上面図である。 第2の基体の下面図である。 図1のB-Bに沿って切断した状態を表す断 面図である。 図1のC-Cに沿って切断した状態を表す 面図である。 図9に示す力学量センサにおける6組の 量素子を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る力学量 ンサの作成手順の一例を表すフロー図であ 。 図12の作成手順における力学量センサ の状態を表す断面図である。 図12の作成手順における力学量センサ の状態を表す断面図である。 図12の作成手順における力学量センサ の状態を表す断面図である。 図12の作成手順における力学量センサ の状態を表す断面図である。 図12の作成手順における力学量センサ の状態を表す断面図である。 図12の作成手順における力学量センサ の状態を表す断面図である。 図12の作成手順における力学量センサ の状態を表す断面図である。 図12の作成手順における力学量センサ の状態を表す断面図である。 図12の作成手順における力学量センサ の状態を表す断面図である。 図12の作成手順における力学量センサ の状態を表す断面図である。

符号の説明

100 力学量センサ
110 第1の構造体
111 固定部
111a 枠部
111b、111c 突出部
112(112a-112e) 変位部
113(113a-113d) 接続部
114(114a-114j) ブロック上層部
115(115a-115d) 開口
120、121、122、123 接合部
130 第2の構造体
131 台座
131a 枠部
131b~131d 突出部
132(132a-133e) 重量部
133 開口
134(134a-134j) ブロック下層部
135 ポケット
140 第1の基体
141 枠部
142 底板部
143 凹部
144a 駆動用電極
144b-144e 検出用電極
150 第2の基体
154a 駆動用電極
154b-154e 検出用電極
160-162 導通部
10 ギャップ
11 錘状貫通孔
L1、L2、L4-L11 配線層
T1-T11 配線用端子
E1 駆動用電極、検出用電極

 以下、図面を参照して、本発明の実施の形 を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
 図1は力学量センサ100を分解した状態を表す 分解斜視図である。力学量センサ100は、互い に積層して配置される第1の構造体110、接合 120、第2の構造体130、及び第1の基体140、第2 基体150を有する。図2は、力学量センサ100の 部(第一の構造体110、第2の構造体130)をさら 分解した状態を表す分解斜視図である。図3 、図4、図5はそれぞれ、第1の構造体110、接合 部120、第2の構造体130の上面図である。図6、 7、図8はそれぞれ、第1の基体140の下面図、 2の基体150の上面図、および第2の基体150の 面図である。図9、図10はそれぞれ、力学量 ンサ100を図1のB-B及びC-Cに沿って切断した状 を表す断面図である。

 力学量センサ100は、それ単体、あるいは 路基板と組み合わされて(例えば、基板への 搭載、電子部品として機能する。電子部品と しての力学量センサ100は、ゲーム機やモバイ ル端末機(例えば,携帯電話)等への搭載が可能 である。なお、力学量センサ100と回路基板( 路基板上のIC等の能動素子、配線用端子)は ワイヤボンディング、フリップチップ等に って電気的に接続される。

 力学量センサ100は、加速度α、角速度ωの 一方、または双方を測定できる。即ち、力学 量は加速度α、角速度ωの一方、または双方 意味する。X、Y、Z軸方向それぞれでの力F0x F0y、F0zによる変位部112(後述する)の変位を検 出することで、加速度αx、αy、αzを測定でき る。また、変位部112をZ軸方向に振動させ、Y X軸方向それぞれでのコリオリ力Fy、Fxによ 変位部112の変位を検出することで、X、Y軸方 向それぞれの角速度ωx、ωyを測定できる。こ のように、力学量センサ100は、3軸の加速度α x、αy、αzおよび2軸の角速度ωx、ωyを測定で る。なお、この詳細は後述する。

 第1の構造体110、接合部120、第2の構造体13 0、第1の基体140、第2の基体150は、その外周が 例えば、5mmの辺の略正方形状であり、これら の高さはそれぞれ、例えば、20μm、2μm、675μm 、500μm、500μmである。

 第1の構造体110、接合部120、第2の構造体13 0はそれぞれ、シリコン、酸化シリコ、シリ ンから構成可能であり、力学量センサ100は シリコン/酸化シリコン/シリコンの3層構造 なすSOI(Silicon On Insulator)基板を用いて製造 能である。第1の構造体110、第2の構造体130を 構成するシリコンには、全体に例えばボロン 等の不純物が含まれる導電性材料を使用する ことが好ましい。後述するように、第1の構 体11、第2の構造体130を不純物が含まれるシ コンで構成することにより、力学量センサ10 0の配線を簡略にすることができる。本実施 形態では、第1の構造体110及び第2の構造体130 に不純物が含まれるシリコンを使用している 。

 また、第1の基体140、第2の基体150はそれ れ、ガラス材料から構成できる。

 第1の構造体110は、外形が略正方形であり 、固定部111(111a~111c)、変位部112(112a~112e)、接 部113(113a~113d)、ブロック上層部114(114a~114j)か 構成される。第1の構造体110は、半導体材料 の膜をエッチングして開口114a~114d及びブロッ ク上層部114a~114jを形成することで作成できる 。

 固定部111は、枠部111aと突出部111b、111cと 区分できる。枠部111aは、外周、内周が共に 略正方形の枠形状の基板である。突出部111b 、枠部111aの内周のコーナー部に配置され、 位部112bに向かって(X-Y平面のX方、枠部111aの 内周のコーナー部に配置され,変位部112dに向 って(X-Y平面のX方向を0°としたとき,180°方 に)突出する略正方形の基板である。枠部111a と突出部111b、111c、一体的に構成されている

 変位部112は、変位部112a~112eから構成され 。変位部112aは、外周が略正方形の基板であ り、固定部111の開口の中央近傍に配置される 。変位部112b~112eは、外周が略正方形の基板で あり、変位部112aを4方向(X軸正方向、X軸負方 、Y軸正方向、Y軸負方向)から囲むように接 、配置される。変位部112a~112eはそれぞれ、 合部120によって後述の重量部132a~132eと接合 れ、固定部111に対して一体的に変位する。

 変位部112aの上面は、駆動用電極E1(後述す る)として機能する。この変位部112aの上面の 動用電極E1は、第1の基体140の下面に設置さ た後述する駆動用電極144aと容量性結合し、 この間に印加された電圧によって変位部112を Z軸方向に振動させる。なお、この駆動の詳 は後述する。

 変位部112b~112eの上面は、変位部112のX軸お よびY軸方向の変位を検出する検出用電極E1( 述する)としてそれぞれ機能する。この変位 112b~112eの上面の検出用電極は、第1の基体140 の下面に設置された後述する検出用電極144b~1 44eとそれぞれ容量性結合する(変位部112のb~e アルファベットと、検出用電極144のb~eのア ファベットは、それぞれ順に対応している) なお、この検出の詳細は後述する。

 接続部113a~113dは略長方形の基板であり、 定部111と変位部112aとを4方向(X-Y平面のX方向 を0°としたとき、45°、135°、225°、315°方向) 接続する。

 接続部113a~113dは、枠部111aに近い側の領域 では、台座131の突出部131c(後述する)と接合部 120によって接合されている。接続部113a~113dの その他の領域、すなわち変位部112aに近い側 領域では、対応する領域に突出部131cが形成 れておらず、厚みが薄いため、可撓性を有 ている。接続部113a~113dの枠部111aに近い側の 領域が、突出部131cと接合されているのは、 きな撓みにより接続部113a~113dが損傷するこ を防止するためである。

 接続部113a~113dは、撓みが可能な梁として 能する。接続部113a~113dが撓むことで、変位 112が固定部111に対して変位可能である。具 的には、変位部112が固定部111に対して、Z正 方向,Z負方向に直線的に変位する。また、変 部112は、固定部111に対してX軸およびY軸を 転軸とする正負の回転が可能である。即ち, こでいう「変位」には、移動および回転(Z 方向での移動、X、Y軸での回転)の双方を含 ることができる。

 ブロック上層部114は、ブロック上層部114a ~114jから構成される。ブロック上層部114a~114j 、略正方形の基板であり、固定部111の内周 沿い、かつ変位部112を周囲から囲むように 置される。

 ブロック上層部114h、114aは、変位部112eの 面と対向する端面を有し、ブロック上層部1 14b、114cは、変位部112bの端面と対向する端面 有し、ブロック上層部114d、114eは、変位部11 2cの端面と対向する端面を有し、ブロック上 部114f、114gは,変位部112dの端面と対向する端 面を有している。図1に示すように、ブロッ 上層部114a~114hはそれぞれ、変位部112の8つの 面のうちの1つと対向する端面を有して、ア ルファベット順に右回りで配置されている。 ブロック上層部114i、ブロック上層部114jは、X -Y平面のX方向を0°としたとき、それぞれ90° 270°の方向に配置される。

 ブロック上層部114a~114hはそれぞれ、接合 120によって後述するブロック下層部134a~134h 接合される(ブロック上層部114のa~hのアルフ ァベットと、ブロック下層部134のa~hのアルフ ァベットは、それぞれ順に対応している)。 ロック上層部114a~114hとブロック下層部134a~134 hがそれぞれ接合されたブロックは、後述す 検出用電極144b~144e、154b~154eに電源を供給す ための配線の用途で用いられる。

 ブロック上層部114i、114jは、接合部120に って後述するブロック下層部134i、134jとそれ ぞれ接合される。ブロック上層部114i、114jと ロック下層部134i、134jがそれぞれ接合され ブロックは、変位部112をZ軸方向に振動させ ための配線の用途で用いられる。なお、こ 詳細は後述する。

 第2の構造体130は,外形が略正方形であり, 座131(131a~131d),重量部132(132a~132e)、及びブロ ク下層部134(134a~134j)から構成される。第2の 造体130は,半導体材料の基板をエッチングし 開口133、ブロック下層部134a~134j、及びポケ ト135(後述する)を形成することで、作成可 である。なお、台座131と、ブロック下層部13 4a~134jは、互いに高さがほぼ等しく、重量部13 2は、台座131及びブロック下層部134a~134jより 高さが低い。重量部132と第2の基体150との間 間隙(ギャップ)を確保し、重量部132の変位 可能にするためである。台座131と、ブロッ 下層部134a~134jと、重量部132は、それぞれ離 して配置される。

 台座131は、枠部131aと突出部131b~131dとに区 分できる。枠部131aは、外周、内周が共に略 方形の枠形状の基板であり、固定部111の枠 111aと対応した形状を有する。突出部131bは、 枠部131aの内周のコーナー部に配置され、重 部132bに向かって(X-Y平面のX方向を0°とした き、0°方向に)突出する略正方形の基板であ 、固定部111の突出部111bと対応した形状を有 する。

 突出部131cは、4つの略長方形の基板であ 、X-Y平面のX方向を0°としたとき、45°、135° 225°、315°方向に枠部131aから重量部132aに向 ってそれぞれ突出し、一端が台座131の枠部1 31aと接続され、他端は重量部132aと離間して 置されている。突出部131cは、接続部113a~113d 対応する領域のうち、枠部131a側の略半分の 領域に形成されており、他の領域、すなわち 、重量部132側の略半分の領域には形成されて いない。

 突出部131dは、枠部131aの内周のコーナー に配置され、重量部132dに向かって(X-Y平面の X方向を0°としたとき、180°方向に)突出する 正方形の基板内に、この基板の表面と裏面 を貫通するポケット135(開口)が形成されたも ので、固定部111の突出部111cと接合されてい 。

 ポケット135は、高真空を維持するための ッター材料を配置する、例えば直方体形状 空間である。ポケット135の一方の開口端は 合部120によって蓋がされている。ポケット1 35の他方の開口端は第2の基体150によって大部 分に蓋がされているが、重量部132寄りの一部 は蓋がされておらず、この他方の開口端と重 量部132等が形成されている開口133とは一部で 通じている(図示せず)。

 ゲッター材料は、真空封入された力学量 ンサ100内の真空度を高める目的で残留気体 吸着するものである。これにより、変位部1 12(重量部132も)の振動の際の空気抵抗による 響を低減することができる。力学量センサ10 0に用いられるゲッター材料としては、例え 、チタンとZr-V-Fe合金との混合物(サエスゲッ ターズジャパン社製、商品名 非蒸発ゲッタ St122、300~500℃の温度範囲で活性化可能)を用 いることができる。

 本明細書中において、ゲッター材料の活 化とは、ゲッター材料の表面に付着した分 (吸着すべきガス分子を含む)が内部へ拡散 て、ガス吸着能力をもつ新たな表面が生成 れることをいう。また,活性化温度とは、こ ようなガス分子吸着能力をもつ新たな表面 生成される温度をいう。

 枠部131aと突出部131b~131dは、一体的に構成 されている。台座131は、接合部120によって固 定部111、及び接続部113a~113dの所定の領域と接 続される。

 重量部132は、質量を有し、加速度α、角 度ωそれぞれに起因する力F0、コリオリ力Fを 受ける重錘、あるいは作用体として機能する 。即ち、加速度α、角速度ωが印加されると 重量部132の重心に力F0、コリオリ力Fが作用 る。

 重量部132は、略直方体形状の重量部132a~13 2eに区分される。中心に配置された重量部132a に4方向から重量部132b~132eが接続され,全体と て一体的に変位(移動、回転)が可能となっ いる。即ち、重量部132aは、重量部132b~132eを 続する接続部として機能する。

 重量部132a~132eはそれぞれ、変位部112a~112e 対応する略正方形の断面形状を有し、接合 120によって変位部112a~112eと接合される。重 部132に加わった力F0、コリオリ力Fに応じて 位部112が変位し、その結果、加速度α、角 度ωの測定が可能となる。

 重量部132a~132eによって、重量部132を構成 ているのは、力学量センサ100の小型化と高 度化の両立を図るためである。力学量セン 100を小型化(小容量化)すると、重量部132の 量も小さくなり、その質量が小さくなるこ から、角速度に対する感度も低下する。接 部113a~113dの撓みを阻害しないように重量部13 2b~132eを分散配置することで、重量部132の質 を確保している。この結果,力学量センサ100 小型化と高感度化の両立が図られる。

 重量部132aの裏面は、駆動用電極E1(後述す る)として機能する。この重量部132aの裏面の 動用電極E1は、第2の基体150の上面に設置さ た後述する駆動用電極154aと容量性結合し、 この間に印加された電圧によって変位部112を Z軸方向に振動させる。なお、この駆動の詳 は後述する。

 重量部132b~132eの裏面は、変位部112のX軸お よびY軸方向の変位を検出する検出用電極E1( 述する)としてそれぞれ機能する。この重量 132b~132eの裏面の検出用電極E1は、第2の基体1 50の上面に設置された後述する検出用電極154b ~154eとそれぞれ容量性結合する(重量部132のb~e のアルファベットと、検出用電極154のb~eのア ルファベットは、それぞれ順に対応している )。なお、この検出の詳細は後述する。

 ブロック下層部134a~134jは、それぞれブロ ク上層部114a~114jと対応する略正方形の断面 状を有し、接合部120によってブロック上層 114a~114jと接合される。ブロック上層部114a~11 4h及びブロック下層部134a~134hを接合したブロ クを、以下、それぞれ「ブロックa~h」と称 る。ブロックa~hは、それぞれ検出用電極144b ~144e、154b~154eに電源を供給するための配線の 途で用いられる。ブロック上層部114i、114j びブロック下層部134i、134jをそれぞれ接合し たブロック(以下、それぞれ「ブロックi、j」 と称する)は,変位部112をZ軸方向に振動させる ための配線の用途で用いられる。なお、これ らの詳細は後述する。

 接合部120は、既述のように、第1、第2の 造体110、130を接続するものである。接合部12 0は、接続部113の所定の領域及び固定部111と 台座131とを接続する接合部121と、変位部112a~ 112eと重量部132a~133eを接続する接合部122(122a~12 2e)と、ブロック上層部114a~114jとブロック下層 部134a~134jを接続する接合部123(123a~123j)と、に 分される。接合部120は、これ以外の部分で 、第1、第2の構造体110、130を接続していな 。接続部113a~113dの撓み、および重量部132の 位を可能とするためである。なお、接合部12 1、122、123は、シリコン酸化膜をエッチング ることで構成可能である。

 第1の構造体110と第2の構造体130とを必要 部分で導通させるため、導通部160~162を形成 ている。

 導通部160は、固定部111と台座131とを導通 るものであり、固定部111の突出部111b及び接 合部121を貫通している。

 導通部161は、変位部112と重量部132とを導 するものであり、変位部112a及び接合部122を 貫通している。

 導通部162は、ブロック上層部114a、114b、11 4e、114f、114iとブロック下層部134a、134b、134e 134f、134iとをそれぞれ導通するものであり、 ブロック上層部114a、114b、114e、114f、114i及び 合部123をそれぞれ貫通している。

 導通部160~162は、例えば、貫通孔の縁、壁 面及び底部に、例えば、Alのような金属層が 成されたものである。なお、貫通孔の形状 特に制限されないが、Al等のスパッタ等に り金属層を効果的に形成できるため、導通 160~162の貫通孔を上広の錐状の形状にするこ が好ましい。

 第1の基体140は、例えばガラス材料からな り、略直方体の外形を有し、枠部141と底板部 142とを有する。枠部141及び底板部142は、基板 に略直方体状(例えば、縦横2.5mm、深さ5μm)の 部143を形成することで作成できる。

 枠部141は、外周,内周が共に略正方形の枠 形状の基板形状である。枠部141の外周は、固 定部111の外周と一致し、枠部141の内周は、固 定部111の内周よりも小さい。底板部142は、外 周が枠部141と略同一の略正方形の基板形状で ある。第1の基体140に凹部143が形成されてい のは、変位部112が変位するための空間を確 するためである。変位部112以外の第1の構造 110、すなわち固定部111及びブロック上層部1 14a~114jは、第1の基体140と、例えば陽極接合に よって接合される。

 底板部142上(第1の基体140の裏面上)には、 位部112と対向するように駆動用電極144a、検 出用電極144b~144eが配置されている。駆動用電 極144a、検出用電極144b~144eは、いずれも導電 材料で構成することができる。駆動用電極14 4aは、例えば十字形状で、変位部112aに対向す るように凹部143の中央近傍に形成されている 。検出用電極144b~144eは、それぞれ略正方形で 、駆動用電極144aを4方向(X軸正方向、X軸負方 、Y軸正方向、Y軸負方向)から囲み、それぞ 順に変位部112b~112eと対向して配置される。 動用電極144a,検出用電極144b~144eは、それぞ 離間している。

 駆動用電極144aには、ブロック上層部114i 上面と電気的に接続される配線層L1が接続さ れている。検出用電極144bには、ブロック上 部114bの上面と電気的に接続される配線層L4 検出用電極144cには、ブロック上層部114eの上 面と電気的に接続される配線層L5、検出用電 144dには、ブロック上層部114fの上面と電気 に接続される配線層L6、検出用電極144eには ブロック上層部114aの上面と電気的に接続さ る配線層L7がそれぞれ接続されている。

 駆動用電極144a、検出用電極144b~144e、及び 配線層L1、L4~L7の構成材料には、例えば、Ndを 含有するAlを用いることができる。

 駆動用電極144a、検出用電極144b~144e等にNd 有Alを用いることで、後述する熱処理工程( 1の基体140又は第2の基体150の陽極接合や、 ッター材料の活性化)の際に、駆動用電極144a 、検出用電極144b~144e等にヒロックが発生する ことを抑制できる。ここでいうヒロックとは 、例えば、半球状の突起物をいう。これによ り、駆動用電極144aと、変位部112aの上面に形 された駆動用電極E1(駆動用電極144aと容量性 結合する)との間の距離や、検出用電極144b~144 eと、変位部112b~112eの上面にそれぞれ形成さ た検出用電極E1(検出用電極144b~144eとそれぞ 順に容量性結合する)との間の距離の寸法精 を高くすることができる。このように駆動 電極144a、E1間、検出用電極144b~144e、E1間の 法精度を高くできるので、その結果、静電 量値のばらつきを低減でき、製品間の特性 ばらつきを抑えることが可能である。

 また、駆動用電極144a、検出用電極144b~144e にヒロックが発生することを抑制できるので 、容量性結合させるべき駆動用電極144a及び 動用電極E1や、検出用電極144b~144e及び検出用 電極E1が接触して、ショートすることを抑制 きる。駆動用電極144a、154aによって変位部11 2(重量部132も)をZ軸方向に振動させた際に、 量性結合させるべき駆動用電極144a及び駆動 電極E1や、検出用電極144b~144e及び検出用電 E1が、ヒロックを介して接触することを抑制 できるためである。

 また、配線層L1、L4~L7の構成材料に、Ndを 有するAlを用いることで、第1の基体140と第1 の構造体110との強固な接合が可能である。配 線層L1、L4~L7の端部(駆動用電極144aや検出用電 極144b~144eと接合されていない側の端部)は、 1の基体140の下面と、ブロック上層部114i、114 b、114e、114f、114aの上面にそれぞれ順に挟ま る。Ndを含有するAlは比較的柔軟性を有する め潰れやすい。そのため、第1の基体140と第 1の構造体110との陽極接合時に、配線層L1、L4~ L7の端部が、容易に潰れて陽極接合を阻害し いためである。

 また、駆動用電極144a、検出用電極144b~144e 、及び配線層L1、L4~L7を同一の材料(Ndを含有 るAl)で構成しているので、同時に1回のパタ ニングで形成でき、製造工程の簡略化が可 である。

 第2の基体150は、例えばガラス材料からな り、略正方形の基板形状である。重量部132以 外の第2の構造体130、すなわち台座131及びブ ック下層部134a~134jは、第2の基体150と、例え 陽極接合によって接合される。重量部132は 台座131及びブロック下層部134a~134jよりも高 が低いため、第2の基体150と接合されない。 重量部132と第2の基体150との間に間隙(ギャッ )を確保し、重量部132の変位を可能にするた めである。

 第2の基体150の上面上には、重量部132と対 向するように駆動用電極154a、検出用電極154b~ 154eが配置されている。駆動用電極154a、検出 電極154b~154eは、いずれも導電性材料で構成 ることができる。駆動用電極154aは、例えば 十字形状で、重量部132aに対向するように第2 基体150の上面の中央近傍に形成されている 検出用電極154b~154eは、それぞれ略正方形で 駆動用電極154aを4方向(X軸正方向、X軸負方 、Y軸正方向、Y軸負方向)から囲み、それぞ 順に重量部132b~132eに対向して配置される。 動用電極154a,検出用電極154b~154eは、それぞれ 離間している。

 駆動用電極154aには、ブロック下層部134j 裏面と電気的に接続される配線層L2が接続さ れている。検出用電極154bには、ブロック下 部134cの裏面と電気的に接続される配線層L8 検出用電極154cには、ブロック下層部134dの裏 面と電気的に接続される配線層L9、検出用電 154dには、ブロック下層部134gの裏面と電気 に接続される配線層L10、検出用電極154eには ブロック下層部134hの裏面と電気的に接続さ れる配線層L11がそれぞれ接続されている。

 駆動用電極154a、検出用電極154b~154e、及び 配線層L2、L8~L11の構成材料には、例えば、Nd 含有するAlを用いることができる。

 駆動用電極154a、検出用電極154b~154eにNd含 Alを用いることで、後述する熱処理工程(第2 の基体150の陽極接合や、ゲッター材料の活性 化)の際に、駆動用電極154a、検出用電極154b~15 4e等にヒロックが発生することを抑制できる これにより、駆動用電極154aと、重量部132a 下面に形成された駆動用電極E1(駆動用電極15 4aと容量性結合する)との間の距離や、検出用 電極154b~154eと、重量部132b~132eの上面にそれぞ れ形成された検出用電極E1(検出用電極154b~154e とそれぞれ順に容量性結合する)との間の距 の寸法精度を高くすることができる。この うに駆動用電極154a、E1間、検出用電極154b~154 e、E1間の寸法精度を高くできるので、その結 果、静電容量値のばらつきを低減でき、製品 間の特性のばらつきを抑えることが可能であ る。

 また、駆動用電極154a、検出用電極154b~154e にヒロックが発生することを抑制できるので 、容量性結合させるべき駆動用電極154a及び 動用電極E1や、検出用電極154b~154e及び検出用 電極E1が接触して、ショートすることを抑制 きる。駆動用電極144a、154aによって変位部11 2(重量部132も)をZ軸方向に振動させた際に、 量性結合させるべき駆動用電極154a及び駆動 電極E1や、検出用電極154b~154e及び検出用電 E1が、ヒロックを介して接触することを抑制 できるためである。

 また、配線層L2、L8~L11の構成材料に、Ndを 含有するAlを用いることで、第2の基体150と第 2の構造体130との強固な接合が可能である。 線層L2、L8~L11の端部(駆動用電極154aや検出用 極154b~154eと接合されていない側の端部)は、 第2の基体150の上面と,ブロック上層部134j、134 c、134d、134g、134hの下面にそれぞれ順に挟ま る。Ndを含有するAlは比較的柔軟性を有する め潰れやすい。そのため、第2の基体150と第 2の構造体130との陽極接合時に、配線層L2、L8~ L11の端部が、容易に潰れて陽極接合を阻害し ないためである。

 また、駆動用電極154a、検出用電極154b~154e 、及び配線層L2、L8~L11を同一の材料(Ndを含有 るAl)で構成しているので、同時に1回のパタ ーニングで形成でき、製造工程の簡略化が可 能である。

 第2の基体150には、第2の基体150を貫通す 配線用端子T(T1~T11)が設けられており、力学 センサ100の外部から駆動用電極144a、154a、検 出用電極144b~144e、154b~154eへの電気的接続を可 能としている。

 配線用端子T1の上端は、台座131の突出部13 1bの裏面に接続されている。配線用端子T2~T9 、それぞれブロック下層部134a~134hの裏面に 続されている(配線用端子T2~T9のT2~T9の番号順 と、ブロック下層部134a~134hの134a~134hのアルフ ァベット順とは、それぞれ対応している)。 線用端子T10、T11は、それぞれブロック下層 134i、134jの裏面に接続されている。

 配線用端子Tは、図9、図10に示すように、 例えば上広の錐状貫通孔の縁、壁面及び底部 に、例えばAl等の金属膜が形成されたもので り、導通部160~162と同様の構造をしている。 配線用端子Tは、外部回路と、例えばワイヤ ンディングで接続するための接続端子とし 使用できる。

 なお、図1~図10では、第1の構造体110、接 部120、第2の構造体130の見やすさを考慮して 第2の基体150が下に配置されるように図示し ている。配線用端子Tと外部回路とを、例え ワイヤボンディングで接続する場合には、 学量センサ100の第2の基体150を例えば上にな ように配置して容易に接続することができ 。

(力学量センサ100の動作,配線)
 力学量センサ100の配線、及び電極について 明する。

 図11は、図9に示す力学量センサ100におけ 6組の容量素子を示す断面図である。図11で 、電極として機能する部分をハッチングで している。なお、図11では6組の容量素子を 示しているが、前述したように力学量セン 100には、10組の容量素子が形成される。

 10組の容量素子の一方の電極は、第1の基 140に形成された駆動用電極144a、検出用電極 144b~144e、及び第2の基体150に形成された駆動 極154a、検出用電極154b~154eである。

 10組の容量素子のもう一方の電極は、変 部112aの上面の駆動用電極E1、変位部112b~112e 上面にそれぞれ形成された検出用電極E1、重 量部132aの下面の駆動用電極E1、及び重量部132 b~132eの下面にそれぞれ形成された検出用電極 E1である。すなわち、変位部112及び重量部132 接合したブロックは、10組の容量性結合の 通電極として機能する。第1の構造体110及び 2の構造体130は、導電性材料(不純物が含ま るシリコン)から構成されているため、変位 112及び重量部132を接合したブロックは、電 として機能することができる。

 コンデンサーの容量は、電極間の距離に 比例するため、変位部112の上面及び重量部1 32の下面に駆動用電極E1や検出用電極E1がある ものと仮定している。すなわち、駆動用電極 E1や検出用電極E1は、変位部112の上面や、重 部132の下面の表層に別体として形成されて るわけではない。変位部112の上面や、重量 132の下面が駆動用電極E1や検出用電極E1とし 機能すると捉えている。

 第1の基体140に形成された駆動用電極144a 検出用電極144b~144eは、それぞれ順に、配線 L1、L4~L7を介してブロック上層部114i、114b、11 4e、114f、114aと電気的に接続されている。ま 、ブロック上層部114i、114b、114e、114f、114aと ブロック下層部134i、134b、134e、134f、134aとは れぞれ導通部162で導通されている。

 第2の基体150に形成された駆動用電極154a 検出用電極154b~154eは、それぞれ順に、配線 L2、L8~L11を介してブロック下層部134j、134c、1 34d、134g、134hと電気的に接続されている。

 したがって、これらの駆動用電極144a、154 a、検出用電極144b~144e、154b~154eに対する配線 、ブロック下層部134a~134jの下面に接続すれ よい。配線用端子T2~T9は、それぞれブロック 下層部134a~134hの下面に配置され、配線用端子 T10、T11は,それぞれブロック下層部134i、134jの 下面に配置されている。

 以上より、配線用端子T2~T11は、それぞれ に、検出用電極144e、144b、154b、154c、144c、14 4d、154d、154e、駆動用電極144a、154aと電気的に 接続されている。

 駆動用電極E1、検出用電極E1は、変位部112 の上面及び重量部132の下面からそれぞれなっ ている。変位部112及び重量部132は、導通部161 で導通されており、いずれも導電性材料で構 成されている。台座131及び固定部111は、導通 部160で導通されており、いずれも導電性材料 で構成されている。変位部112と接続部113と固 定部111は、導電性材料により一体的に構成さ れている。したがって、駆動用電極E1、検出 電極E1に対する配線は、台座131の下面に接 すればよい。配線用端子T1は、台座131の突出 部131bの下面に配置されており、配線用端子T1 は、駆動用電極E1、検出用電極E1と電気的に 続されている。

 以上のように、第1の構造体110、及び第2 構造体130を導電性材料(不純物が含まれるシ コン)で構成しているので、ブロック上層部 114a~114j、及びブロック下層部134a~134jが接合さ れたブロックa~jに配線としての機能をもたせ ることができ、容量素子に対する配線を簡略 にすることが可能である。

 力学量センサ100による加速度および角速 の検出の原理を説明する。

(1)変位部112の振動
 駆動用電極144a、E1間に電圧を印加すると、 ーロン力によって駆動用電極144a、E1が互い 引き合い、変位部112(重量部132も)はZ軸正方 に変位する。また、駆動用電極154a、E1間に 圧を印加すると、クーロン力によって駆動 電極154a、E1が互いに引き合い、変位部112(重 量部132も)はZ軸負方向に変位する。即ち、駆 用電極144a、E1間、駆動用電極154a、E1間への 圧印加を交互に行うことで、変位部112(重量 部132も)はZ軸方向に振動する。この電圧の印 は正又は負の直流波形(非印加時も考慮する とパルス波形)、半波波形等を用いることが きる。

 なお、駆動用電極144a、E1(変位部112aの上 )、駆動用電極154a、E1(重量部132aの下面)は振 付与部として、検出用電極144b~144e、154b~154e E1(変位部112b~112eの上面,重量部132b~132eの下面 )は変位検出部として機能する。

 変位部112の振動の周期は電圧を切り換え 周期で決まってくる。この切換の周期は変 部112の固有振動数にある程度近接している とが好ましい。変位部112の固有振動数は、 続部113の弾性力や重量部132の質量等で決定 れる。変位部112に加えられる振動の周期が 有振動数に対応しないと、変位部112に加え れた振動のエネルギーが発散されてエネル ー効率が低下する。

 なお、駆動用電極144a、E1間、又は駆動用 極154a、E1間のいずれか一方のみに、変位部2 12の固有振動数の1/2の周波数の交流電圧を印 してもよい。

(2)加速度に起因する力の発生
 重量部132(変位部112)に加速度αが印加される と重量部132に力F0が作用する。具体的には、X 、Y、Z軸方向それぞれの加速度αx、αy、αzに じて、X、Y、Z軸方向の力F0x(=m・αx)、F0y(=m・ αy)、F0z(=m・αz)が重量部132に作用する(mは、 量部132の質量)。その結果、変位部112にX、Y 向への傾き、およびZ方向への変位が生じる このように、加速度αx、αy、αzによって変 部112にX、Y、Z方向の傾き(変位)が生じる。

(3)角速度に起因するコリオリ力の発生
 重量部132(変位部112)がZ軸方向に速度vzで移 しているときに角速度ωが印加されると重量 部132にコリオリ力Fが作用する。具体的には X軸方向の角速度ωxおよびY軸方向の角速度ωy それぞれに応じて、Y軸方向のコリオリ力Fy(=2 ・m・vz・ωx)およびX軸方向のコリオリ力Fx(=2 m・vz・ωy)が重量部132に作用する(mは,重量部1 32の質量)。

 X軸方向の角速度ωxによるコリオリ力Fyが 加されると、変位部112にY方向への傾きが生 じる。このように、角速度ωx、ωyに起因する コリオリ力Fy、Fxによって変位部112にY方向、X 方向の傾き(変位)が生じる。

(4)変位部112の変位の検出
 以上のように、加速度αおよび角速度ωによ って、変位部112の変位(傾き)が生じる。検出 電極144b~144e、154b~154eによって、変位部112の 位を検出することができる。

 変位部112にZ正方向の力F0zが印加されると 、検出用電極E1(変位部112cの上面)、144c間およ び検出用電極E1(変位部112eの上面)、144e間の距 離は共に小さくなる。この結果、検出用電極 E1(変位部112cの上面)、144c間および検出用電極 E1(変位部112eの上面)、144e間の容量は共に大き くなる。即ち、検出用電極E1と検出用電極144b ~144e間の容量の和(あるいは、検出用電極E1と 出用電極154b~154e間の容量の和)に基づいて、 変位部112のZ方向の変位を検出し、検出信号 して取り出すことができる。

 一方、変位部112にY正方向の力F0yまたはコ リオリ力Fyが印加されると、駆動用電極E1(変 部112cの上面)、144c間、検出用電極E1(重量部1 32eの下面)、154e間の距離は小さくなり、検出 電極E1(変位部112eの上面)、144e間、検出用電 E1(重量部132cの下面)、154c間の距離は大きく る。この結果、検出用電極E1(変位部112cの上 面)、144c間,検出用電極E1(重量部132eの下面)、1 54e間の容量は大きくなり、検出用電極E1(変位 部112eの上面)、144e間、検出用電極E1(重量部132 cの下面)、154c間の容量は小さくなる。即ち、 検出用電極E1と検出用電極144b~144e、154b~154eと 間の容量の差に基づいて、変位部112のX、Y 向の傾きの変化を検出し、検出信号として り出すことができる。

 以上のように、検出用電極E1、144b~144e、15 4b~154eによって変位部112のX方向、Y方向への傾 きおよびZ方向への変位を検出する。

(5)検出信号からの加速度,角速度の抽出
 検出用電極144b~144e、154b~154e、E1から出力さ る信号には、加速度αx、αy、αz、角速度ωx ωyに起因する成分の双方が含まれる。これ の成分の相違を利用して、加速度および角 度を抽出できる。

 重量部132(質量m)に加速度αが印加された きの力Fα(=m・α)は重量部132の振動には依存 ない。即ち、検出信号中の加速度成分は、 量部132の振動に対応しない一種のバイアス 分である。一方、重量部132(質量m)に角速度ω が印加されたときの力Fω(=2・m・vz・ω)は重量 部132のZ軸方向の速度vzに依存する。即ち、検 出信号中の角速度成分は,重量部132の振動に 応して周期的に変化する一種の振幅成分で る。

 具体的には、検出信号の周波数分析によ て、変位部112の振動数より低周波のバイア 成分(加速度)、変位部112の振動数と同様の 動成分(角速度)を抽出する。この結果、力学 量センサ100によるX、Y、Z方向(3軸)の加速度αx 、αy、αz、およびX、Y方向(2軸)の角速度ωx、 yの測定が可能となる。

(力学量センサ100の作成)
 力学量センサ100の作成工程につき説明する 図12は、力学量センサ100の作成手順の一例 表すフロー図である。また、図13A~図13Jは,図 12の作成手順における力学量センサ100の状態 表す断面図である(図1に示す力学量センサ10 0をC-Cで切断した断面に相当する)。図13A~図13J は、図10の力学量センサ100を上下逆に配置し ものに対応する。

(1)半導体基板Wの用意(ステップS10,および図13A )
 図13Aに示すように、第1、第2、第3の層11、12 、13の3層を積層してなる半導体基板Wを用意 る。

 第1、第2、第3の層11、12、13はそれぞれ、 1の構造体110、接合部120、第2の構造体130を 成するための層であり、ここでは、不純物 含まれるシリコン、酸化シリコン、不純物 含まれるシリコンからなる層とする。

 不純物が含まれるシリコン/酸化シリコン /不純物が含まれるシリコンという3層の積層 造をもった半導体基板Wは、不純物が含まれ るシリコン基板上にシリコン酸化膜を積層し た基板と、不純物が含まれるシリコン基板と を接合後、後者の不純物が含まれるシリコン 基板を薄く研磨することで作成できる(いわ るSOI基板)。

 ここで、不純物が含まれるシリコン基板 、例えば、チョクラルスキー法によるシリ ン単結晶の製造において、ボロンをドープ ることにより製造できる。シリコンに含ま る不純物としては、例えばボロンを挙げる とができる。ボロンが含まれるシリコンと ては、例えば、高濃度のボロンを含み、抵 率が0.001~0.01ω・cmのものを使用できる。

 なお、ここでは第1の層11と第3の層13とを 一材料(不純物が含まれるシリコン)によっ 構成するものとするが、第1、第2、第3の層11 、12、13のすべてを異なる材料によって構成 てもよい。

(2)第1の構造体110の作成(第1の層11のエッチン 、ステップS11、および図13B)
 第1の層11をエッチングすることにより、開 115を形成し、第1の構造体110を形成する。即 ち、第1の層11に対して浸食性を有し、第2の 12に対して浸食性を有しないエッチング方法 を用いて、第1の層11の所定領域(開口115a~115d) 対して、第2の層12の上面が露出するまで厚 方向にエッチングする。

 第1の層11の上面に、第1の構造体110に対応 するパターンをもったレジスト層を形成し、 このレジスト層で覆われていない露出部分を 垂直下方に侵食する。このエッチング工程で は、第2の層12に対する浸食は行われないので 、第1の層11の所定領域(開口115a~115d)のみが除 される。図13Bは、第1の層11に対して、上述 ようなエッチングを行い、第1の構造体110を 形成した状態を示す。

(3)接合部120の作成(第2の層12のエッチング、 テップS12、および図13C)
 第2の層12をエッチングすることにより、接 部120を形成する。即ち、第2の層12に対して 浸食性を有し、第1の層11および第3の層13に しては浸食性を有しないエッチング方法に り、第2の層12に対して、その露出部分から み方向および層方向にエッチングする。

 このエッチング工程では、別途、レジス 層を形成する必要はない。即ち、第1の層11 残存部分である第1の構造体110が、第2の層12 に対するレジスト層として機能する。エッチ ングは、第2の層12の露出部分に対してなされ る。

 第2の層12に対するエッチング工程(ステッ プS12)では、次の2つの条件を満たすエッチン 法を行う必要がある。第1の条件は、厚み方 向とともに層方向への方向性をもつことであ り、第2の条件は、酸化シリコン層に対して 浸食性を有するが,シリコン層に対しては浸 性を有しないことである。

 第1の条件は、不要な部分に酸化シリコン 層が残存して重量部132の変位の自由度を妨げ ることがないようにするために必要な条件で ある。第2の条件は、既に所定形状への加工 完了しているシリコンからなる第1の構造体1 10や第3の層13に浸食が及ばないようにするた に必要な条件である。

 第1、第2の条件を満たすエッチング方法と て、バッファド弗酸(例えば、HF=5.5wt%、NH 4 F=20wt%の混合水溶液)をエッチング液として用 るウェットエッチングを挙げることができ 。また、CF 4 ガスとO 2 ガスとの混合ガスを用いたRIE法によるドライ エッチングも適用可能である。

(4)導通部160~162の形成(ステップS13、および図1 3D)
 導通部160~162の形成は,次のa、bのようにして 行われる。
a.錐状貫通孔の形成
 第1の構造体110及び第2の層12の所定の箇所を ウエットエッチングし、第2の層12まで貫通す るような錘状貫通孔を形成する。エッチング 液としては、第1の構造体110のエッチングで 、例えば、20%TMAH(水酸化テトラメチルアンモ ニウム)を用いることができ、第2の層12のエ チングでは、例えば、バッファド弗酸(例え 、HF=5.5wt%、NH 4 F=20wt%の混合水溶液)を用いることができる。

b.金属層の形成
 第1の構造体110の上面及び錐状貫通孔内に、 例えばAlを蒸着法やスパッタ法等により堆積 せて、導通部160~162を形成する。第1の構造 110の上面に堆積した不要な金属層(導通部160~ 162の上端の縁(図示せず)の外側の金属層)はエ ッチングで除去する。

(5)第1の基体140の接合(ステップS14、および図1 3E)
1)第1の基体140の作成
 絶縁性材料からなる基板、例えば、ガラス 板をエッチングして凹部143を形成し、駆動 電極144a、検出用電極144b~144e、及び配線層L1 L4~L7を、例えばNdを含むAlからなるパターン よって所定の位置に形成する。駆動用電極1 44a、検出用電極144b~144e、及び配線層L1、L4~L7 同一の材料(Ndを含有するAl)で構成している で、同時に1回のパターニングで形成でき、 造工程の簡略化が可能である。

2)半導体基板Wと第1の基体140の接合
 半導体基板Wと第1の基体140とを、例えば陽 接合により接合する。第2の構造体130の作成 に第1の基体140を陽極接合している。重量部 132を形成する前に、第1の基体140を陽極接合 ているので、接続部113a~113dには厚みの薄い 域が存在せず可撓性を有していないため、 電引力が生じても変位部112は第1の基体140に き寄せられない。このため、第1の基体140と 変位部112との接合を防止することができる。 図13Eは、半導体基板Wと第1の基体140とを接合 た状態を示す。

 第1の基体140と半導体基板Wとの陽極接合 には、例えば300℃近くにまで加熱されるの 、駆動用電極144a、検出用電極144b~144e、配線 L1、L4~L7(以下,「駆動用電極144a等」と称する )にヒロックが発生する可能性がある。駆動 電極144a等にNd含有Alを用いることで、第1の 体140の陽極接合時に、駆動用電極144a等に、 ロックが発生することを抑制できる。これ より、駆動用電極144a、E1間、検出用電極144b ~144e、E1間の寸法精度を高くできるので、そ 結果、静電容量値のばらつきを低減でき、 品間の特性のばらつきを抑えることが可能 ある。

 また、駆動用電極144a等にヒロックが発生 することを抑制できるので、駆動用電極144a 154aによって変位部112(重量部132も)をZ軸方向 振動させた際に、容量性結合させるべき駆 用電極144a及び駆動用電極E1や、検出用電極1 44b~144e及び検出用電極E1が、ヒロックを介し 接触しショートすることを抑制できる。

 また、前述したように、配線層L1、L4~L7の 構成材料に、比較的柔軟性を有するため潰れ やすいNd含有Alを用いることで、陽極接合を 害せず、第1の基体140と第1の構造体110との強 固な接合が可能である。

(6)第2の構造体130の作成(第3の層13のエッチン 、ステップS15、および図13F、図13G)
 第2の構造体130の形成は、次のa、bのように て行われる。

a.ギャップ10の形成(図13F)
 第3の層13の上面に,重量部132の形成領域及び その近傍を除いてレジスト層を形成し、この レジスト層で覆われていない露出部分(重量 132の形成領域及びその近傍)を垂直下方へと 食させる。この結果、重量部の形成される 域の上部に重量部132の変位を可能とするた のギャップ10が形成される。

b.第2の構造体130の形成(図13G)
 ギャップ10が形成された第3の層13をエッチ グすることにより、開口133、ブロック下層 134a~134j、及びポケット135を形成し、第2の構 体130を形成する。即ち、第3の層13に対して 食性を有し、第2の層12に対して浸食性を有 ないエッチング方法により、第3の層13の所 領域(開口133)に対して、厚み方向へのエッ ングを行う。

 第3の層13の上面に、第2の構造体130に対応 するパターンをもったレジスト層を形成し、 このレジスト層で覆われていない露出部分を 垂直下方に侵食する。図13Gは、第3の層13に対 して、上述のようなエッチングを行い、第2 構造体130を形成した状態を示す。

 以上の製造プロセスにおいて、第1の構造 体110を形成する工程(ステップS11)と、第2の構 造体130を形成する工程(ステップS15)では、以 のようなエッチング法を行う必要がある。

 第1の条件は、各層の厚み方向への方向性 を持つことである、第2の条件は、シリコン に対しては浸食性を有するが、酸化シリコ 層に対しては浸食性を有しないことである

 第1の条件を満たすエッチング方法として 、誘導結合型プラズマエッチング法(ICPエッ ング法:Inductively-Coupled Plasma Etching Method)を げることができる。このエッチング法は、 直方向に深い溝を掘る際に効果的な方法で り、一般に、DRIE(Deep Reactive Ion Etching)と呼 ばれているエッチング方法の一種である。

この方法では、材料層を厚み方向に浸食し ながら掘り進むエッチング段階と、掘った穴 の側面にポリマーの壁を形成するデポジショ ン段階と、を交互に繰り返す。掘り進んだ穴 の側面は、順次ポリマーの壁が形成されて保 護されるため、ほぼ厚み方向にのみ浸食を進 ませることが可能になる。

 一方、第2の条件を満たすエッチングを行う には、酸化シリコンとシリコンとでエッチン グ選択性を有するエッチング材料を用いれば よい。例えば、エッチング段階では、SF 6 ガス、およびO 2 ガスの混合ガスを、デポジション段階では、 C 4 F 8 ガスを用いることが考えられる。

(7)第2の基体150の接合(ステップS16、および図1 3H)
1)第2の基体150の作成
 絶縁性材料からなる基板に、駆動用電極154a 、検出用電極154b~154e、及び配線層L2、L8~L11を 例えばNdを含むAlからなるパターンによって 所定の位置に形成する。また、第2の基体150 エッチングすることにより、配線用端子T1~T1 1を形成するための上広の錐状貫通孔10を所定 の箇所に11個形成する。駆動用電極154a、検出 用電極154b~154e、及び配線層L2、L8~L11を同一の 料(Ndを含有するAl)で構成しているので、同 に1回のパターニングで形成でき、製造工程 の簡略化が可能である。

2)半導体基板Wと第2の基体150の接合
 ポケット135にゲッター材料(サエスゲッター ズジャパン社製、商品名 非蒸発ゲッターSt12 2)を入れて、第2の基体150と半導体基板Wとを 例えば陽極接合により接合する。図13Hは、 導体基板Wと第2の基体150とを接合した状態を 示す。

 第2の基体150と半導体基板Wとの陽極接合 には、例えば300℃近くにまで加熱されるの 、駆動用電極144a、154a、検出用電極144b~144e、 154b~154e、配線層L1、L2、L4~L11(以下、「駆動用 極144a、154a等」と称する)にヒロックが発生 る可能性がある。駆動用電極144a、154a等にNd 含有Alを用いることで、第2の基体150の陽極接 合時に、駆動用電極144a、154a等に、ヒロック 発生することを抑制できる。これにより、 動用電極144a、E1間、駆動用電極154a、E1間、 出用電極144b~144e、E1間、及び検出用電極154b~ 154e、E1間の寸法精度を高くできるので、その 結果、静電容量値のばらつきを低減でき、製 品間の特性のばらつきを抑えることが可能で ある。

 また、駆動用電極144a、154a等にヒロック 発生することを抑制できるので、駆動用電 144a、154aによって変位部112(重量部132も)をZ軸 方向に振動させた際に,容量性結合させるべ 駆動用電極144a及び駆動用電極E1、駆動用電 154a及び駆動用電極E1、検出用電極144b~144e及 検出用電極E1、又は検出用電極154b~154e及び検 出用電極E1が、ヒロックを介して接触しショ トすることを抑制できる。

 また、前述したように、配線層L2、L8~L11 構成材料に、比較的柔軟性を有するため潰 やすいNd含有Alを用いることで、陽極接合を 害せず、第2の基体150と第2の構造体130との 固な接合が可能である。

(8)配線用端子T1~T11の形成(ステップS17、およ 図13I)
 第2の基体150の上面及び錐状貫通孔10内に、 えばCr層、Au層の順に金属層を蒸着法やスパ ッタ法等により形成する。不要な金属層(配 用端子Tの上端の縁の外側の金属層)をエッチ ングにより除去し、配線用端子T1~T11を形成す る。

(9)半導体基板W、第1の基体140、第2の基体150の ダイシング(ステップS18および図13J)
 例えば、400℃の熱処理によってポケット135 のゲッター材料を活性化した後、互いに接 された半導体基板W、第1の基体140,及び第2の 基体150にダイシングソー等で切れ込みを入れ て、個々の力学量センサ100に分離する。

 ゲッター材料を活性化するための熱処理 際に、駆動用電極144a、154a、検出用電極144b~ 144e、154b~154e、配線層L1、L2、L4~L11(駆動用電極 144a、154a等)に、ヒロックが発生する可能性が ある。駆動用電極144a、154a等をNd含有Alとする ことで、ヒロックの発生が防止される。この ため、駆動用電極144a、E1間、駆動用電極154a E1間、検出用電極144b~144e、E1間、及び検出用 極154b~154e、E1間の寸法精度を高くできるの 、その結果、静電容量値のばらつきを低減 き、製品間の特性のばらつきを抑えること 可能である。

 また、前述したように、駆動用電極144a、 154a等のヒロックの発生を抑制できるので、 量性結合させるべき駆動用電極144a及び駆動 電極E1、駆動用電極154a及び駆動用電極E1、 出用電極144b~144e及び検出用電極E1、又は検出 用電極154b~154e及び検出用電極E1が、接触して ョートすることを抑制できる。

(ヒロック発生防止の詳細)
 以下、駆動用電極144a、154a、検出用電極144b~ 144e、154b~154e、配線層L1、L2、L4~L11(駆動用電極 144a、154a等)の構成材料をNd含有Alとすること よるヒロック発生防止の詳細を説明する。 こでいうヒロックとは、駆動用電極144a、154a 等に形成される例えば、半球状の突起物をい う。駆動用電極144a、154a等が加熱されること 圧縮応力が発生する。この圧縮応力によっ 駆動用電極144a、154a等が塑性変形すること ,ヒロックが発生する。

 駆動用電極144a、154a等の構成材料が純Alの 場合、加熱による温度上昇により、駆動用電 極144a、154a等の内部応力は引張応力から圧縮 力へと変化する。この圧縮応力がある値(ヒ ロック発生応力)より大きくなると、駆動用 極144a、154a等の塑性変形が開始される。圧縮 応力により駆動用電極144a、154a等の構成原子 移動し(いわゆるクリープ)、集まることで ヒロックが形成される。

 このヒロック発生応力は温度依存性があ 、温度が高くなると小さくなる。また、ヒ ック発生応力は、いわゆる降伏応力より大 い。即ち、圧縮応力が降伏応力を超えても ちにヒロックが形成される訳ではない。

 駆動用電極144a、154a等の構成材料をAlNd合 とすると、昇温時に駆動用電極144a、154a等 のNdが再結晶化し析出する。この析出によっ て駆動用電極144a、154a等の構造が再構成され 駆動用電極144a、154a等内の内部応力が低減 れる。この結果、駆動用電極144a、154a等内で の圧縮応力によるヒロックの発生が防止され る。

 以上のように、AlにNdを添加することで、 昇温時にNdの再結晶化がなされ、内部応力が 和されることで、駆動用電極144a、154a等へ ヒロックの発生が防止される。

 AlへのNdの添加量は、1.5~10at%(atomic percent 原子数比(%))が好ましく、2~3at%がより好まし 。Ndの添加量が小さいと、内部応力の緩和 不十分となり、ヒロックが発生する可能性 ある。一方、Ndの添加量が大きいと、駆動用 電極144a、154a等の内部抵抗および硬さが大き なって、好ましくない。

(実施例)
 駆動用電極144a、154a等の構成材料と、ヒロ クの発生の有無につき実験的検討を加えた

 具体的には、ガラス基板にNd含有Al膜を形 成し、熱処理によるヒロックの発生の有無を 確認した。熱処理条件として温度400℃、処理 時間1時間とした。ヒロックの有無は、光学 微鏡により観察した。

 Ndの含有率が0at%(純Al)、1.3at%では,ヒロッ の発生が観察された。一方、Ndの含有率が2.0 at%では、ヒロックの発生が観察されなかった 。この結果から、Ndの含有率が1.5at%程度以上 ヒロックの低減が可能と考えられる。

 Ndの含有率を2.0at%、処理温度を30分として 、温度を200℃、300℃、400℃、430℃と変化させ た場合、いずれの温度でもヒロックの発生が 観察されなかった。

 なお、Nd含有Al膜にヒロックが発生しない 上記程度の処理温度及び処理時間(例えば、 理温度400℃で処理時間1時間、又は処理温度4 30℃で処理時間30分)において、ゲッター材料( 例えば、サエスゲッターズジャパン社製、商 品名 非蒸発ゲッターSt122)の活性化が可能で る。

 以上の知見に基づき、Ndの含有率が2.0at% Al膜を駆動用電極144a、154a等として力学量セ サ100を作成した。この結果、第1の基体140、 又は第2の基体150の接合時や、ゲッター材料 活性化時に、駆動用電極144a、154a等のヒロッ クの発生を抑制でき、静電容量値のばらつき が低減され、製品間の特性のばらつきを抑え ることができた。また、駆動用電極144a、154a E1によって、重量部132をZ方向に振動させた に、容量性結合させるべき駆動用電極144a及 び駆動用電極E1、駆動用電極154a及び駆動用電 極E1、検出用電極144b~144e及び検出用電極E1、 は検出用電極154b~154e及び検出用電極E1が、接 触してショートすることを防止できた。

これに対して、純Alを駆動用電極144a、154a として力学量センサ100を作成した場合には 駆動用電極144a、154a等にヒロックが発生し、 Nd含有Alを用いた場合に比べて製品間の特性 ばらつきが大きくなる場合があった。

(その他の実施形態)
 本発明の実施形態は上記の実施形態に限ら ず拡張、変更可能であり、拡張、変更した 施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。 えば、力学量センサ100では、第1の構造体110 及び第2の構造体130に、導電性材料(不純物が まれるシリコン)を用いた場合を例に説明し たが、必ずしも全体がすべて導電性材料で構 成されている必要はない。少なくとも、駆動 用電極E1、検出用電極E1や、配線用端子T10と ロック上層部114iの上面との間を導通する部 等のような必要な部分が導電性材料によっ 構成されていてもよい。このように、駆動 電極E1、検出用電極E1等の必要な部分を導電 性材料で構成する場合には、ヒロックの発生 を防止できるので、例えばNd含有Alで構成す ことが好ましい。

 また、例えば、Al-Ndに替えて、Al-Ta、Ti、C r、またはMo等の材料を用いることができる。 即ち、AlTa等の合金を駆動用電極144a、154a等と して用いることができる。既述のように、Nd 昇温時の再結晶化による内部応力の緩和に って、駆動用電極144a、154a等へのヒロック 発生を防止する。このような内部応力の緩 が可能な材料はNdに限られない。