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Title:
MELTING APPARATUS
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/104768
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a melting apparatus which can generate a substantially homogeneous electric current at the cutting edge and tip of a melting blade so that it can heat the cutting edge more quickly and homogeneously than the melting apparatus of the prior art thereby to melt a cutting object. The melting apparatus has an electrically conductive melting blade and comprises a Helmholtz coil for generating an alternating magnetic field for induction-heating the melting blade. This melting blade has a planar side, and the cutting edge thereof is arranged substantially at the central portion in the direction of the center line of the Helmholtz coil.

Inventors:
SATOU SADAO
Application Number:
PCT/JP2009/053093
Publication Date:
August 27, 2009
Filing Date:
February 20, 2009
Export Citation:
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Assignee:
DALTON LTD (JP)
SATOU SADAO
International Classes:
B26F3/08; B26D7/10
Domestic Patent References:
WO2005065899A12005-07-21
Foreign References:
JPS6343845A1988-02-24
JPS63306855A1988-12-14
JPH05343833A1993-12-24
JPH11165720A1999-06-22
JPS61260998A1986-11-19
JPH04293728A1992-10-19
JPH04348765A1992-12-03
JP2002001775A2002-01-08
JP2007209054A2007-08-16
JPS61275464A1986-12-05
Attorney, Agent or Firm:
KOHNO, Takao (JP)
Takao Kono (JP)
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Claims:
 導電性の溶断刃を備えた溶断装置において、
 前記溶断刃を誘導加熱させるための交番磁界を生成するヘルムホルツコイルを備え、
 前記溶断刃は、
 平面状の刃面を有し、該溶断刃の刃先が前記ヘルムホルツコイルの中心線方向略中央部に配されている
 ことを特徴とする溶断装置。
 前記ヘルムホルツコイルは、略長方形、略楕円形又は略長円形をなす複数のコイルを備え、
 前記ヘルムホルツコイルは、前記溶断刃の刃先に沿う方向と、前記コイルの長手方向とが略一致するように配されている
 ことを特徴とする請求項1に記載の溶断装置。
 導電性の溶断刃を備えた溶断装置において、
 前記溶断刃を誘導加熱させるための交番磁界を生成する交番磁界生成手段を備え、
 前記溶断刃は、下記式(1)を満たした刃面を有する
 ことを特徴とする溶断装置。
 高圧直流電源に接続されたスイッチング素子を有し、該スイッチング素子の入切によって、交番磁界を生成するための交番電流を出力するインバータ回路と、
 前記スイッチング素子を入切させるためのスイッチング信号を出力する駆動回路と、
 該駆動回路及び前記スイッチング素子間に介装されており、スイッチング信号の電圧レベルを変更するレベルシフト回路と
 を備え、
 前記レベルシフト回路は、
 低圧直流電源と、該レベルシフト回路を動作させるための電源コンデンサとの間に順方向接続されたダイオードと、
 前記駆動回路から出力されたスイッチング信号を前記スイッチング素子側へ与え、かつ直流を遮断するフローティング素子と
 を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一つに記載の溶断装置。
 前記溶断刃から放射される赤外線を検出する赤外線検出手段と、
 該赤外線検出手段にて検出された赤外線の強度に基づいて、前記交番磁界の強さ又は周波数を制御する手段と
 を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一つに記載の溶断装置。
 前記交番磁界を生成するための交番電流を出力するようにしてあり、
 更に、前記交番電流を検出する交番電流検出手段と、
  前記交番磁界を生成するための交番電流を検出する交番電流検出手段と、
 該交番電流検出手段にて検出された交番電流の大きさに基づいて、前記交番磁界の強さ又は周波数を制御する手段と
 を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の溶断装置。
 被溶断物を溶断する導電性の溶断刃と、出力軸を有するモータと、該出力軸の回転力によって、前記溶断刃を所定方向へ移動させる送り機構とを備える溶断装置において、
 前記モータの出力軸及び前記送り機構との間に介装された部材に、前記モータの出力軸及び前記送り機構間に働くトルクによって生じたひずみを検出するひずみ検出手段と、
 該ひずみ検出手段の検出結果に基づいて、前記モータの回転を制御する手段と
 を備えることを特徴とする溶断装置。
Description:
溶断装置

 本発明は、溶断刃を備えた溶断装置に関 る。

 従来の溶断装置は、樹脂製の被溶断物を溶 する溶断刃と、該溶断刃を加熱するヒータ 、溶断刃を被溶断物に対して加圧させる加 装置とを備える。被溶断物は、例えば複数 樹脂レンズがゲート部を介して接続された 型品である。前記ヒータの熱は、熱伝導に って溶断刃に伝導し、溶断刃は加熱される 加熱された溶断刃は、加圧装置によって被 断物のゲート部に加圧され、ゲート部は溶 刃によって溶断される。

特開2003-236896号公報

特開2000-42993号公報

特開平10-225898号公報

特開2007-152507号公報

特開2002-144287号公報

特開2002-1775号公報

特表2005-065899号公報

特開2001-124933号公報

特開2006-202939号公報

特開平8-181071号公報

特開2003-166887号公報

特開平8-292712号公報

特開2000-61360号公報

特開2000-50403号公報

 しかしながら、従来の溶断装置において 、溶断刃が熱伝導によって加熱される構成 あるため、溶断刃の加熱に時間を要すると う問題があった。溶断刃が被溶断物に接触 た場合、溶断刃の熱が被溶断物に奪われ、 溶断刃の絶対温度が低下する。溶断刃の加 に時間を要すると、溶断刃の絶対温度が低 したままの状態で、該溶断刃は被溶断物に 圧されることになる。このため、被溶断物 加えられる圧力が高くなり、該被溶断物に み、ひび等が発生する。

 また、従来の溶断装置は、熱伝導によっ 溶断刃を加熱する構成であるため、溶断刃 刃先に熱むらが生じるという問題があった 刃先の高温部分が被溶断物に接触した場合 被溶断物は融解し、垂れ、糸引きの原因に る。逆に刃先の低温部分が被溶断物に接触 た場合、上述のように被溶断物に加わる圧 が大きくなり、被溶断物の歪み、ひび等が 生する。

 なお、ヒータを用いる場合に比べてより 時間で溶断刃を加熱する方法として、溶断 を誘導加熱する方法も提案されているが、 純な誘導加熱では誘導電流が溶断刃の刃先 集中することは無く、効果的に溶断刃を加 することはできない。刃先から離隔した箇 で誘導電流が発生した場合、該誘導電流に って発生した熱が、該箇所から刃先まで熱 導によって伝導されなければ、溶断刃の刃 は加熱されない。従って、単純な誘導加熱 採用した場合であっても、溶断刃の加熱に 間を要するという上述の問題が発生してい 。また、刃先に熱むらが生じるという問題 発生していた。

 本発明は斯かる事情に鑑みてなされたも であり、溶断刃を誘導加熱させるための交 磁界を生成するヘルムホルツコイルを備え 刃先に交わる平面状の刃面を溶断刃に設け 該溶断刃の刃先が前記ヘルムホルツコイル 中心線方向略中央部に位置するよう、溶断 を配することによって、溶断刃の刃先及び 部に略均一な電流を発生させることができ 従来の溶断装置に比べてより速やかに、か むら無く刃先を加熱し、被溶断物を溶断す ことができる溶断装置を提供することを目 とする。

 本発明に係る溶断装置は、導電性の溶断 を備えた溶断装置において、前記溶断刃を 導加熱させるための交番磁界を生成するヘ ムホルツコイルを備え、前記溶断刃は、平 状の刃面を有し、該溶断刃の刃先が前記ヘ ムホルツコイルの中心線方向略中央部に配 れていることを特徴とする。

 本発明に係る溶断装置は、前記ヘルムホ ツコイルは、略長方形、略楕円形又は略長 形をなす複数のコイルを備え、前記ヘルム ルツコイルは、前記溶断刃の刃先に沿う方 と、前記コイルの長手方向とが略一致する うに配されていることを特徴とする。

 本発明に係る溶断装置は、導電性の溶断刃 備えた溶断装置において、前記溶断刃を誘 加熱させるための交番磁界を生成する交番 界生成手段を備え、前記溶断刃は、下記式( 1)を満たした刃面を有することを特徴とする

 本発明に係る溶断装置は、高圧直流電源 接続されたスイッチング素子を有し、該ス ッチング素子の入切によって、交番磁界を 成するための交番電流を出力するインバー 回路と、前記スイッチング素子を入切させ ためのスイッチング信号を出力する駆動回 と、該駆動回路及び前記スイッチング素子 に介装されており、スイッチング信号の電 レベルを変更するレベルシフト回路とを備 、前記レベルシフト回路は、低圧直流電源 、該レベルシフト回路を動作させるための 源コンデンサとの間に順方向接続されたダ オードと、前記駆動回路から出力されたス ッチング信号を前記スイッチング素子側へ え、かつ直流を遮断するフローティング素 とを備えることを特徴とする。

 本発明に係る溶断装置は、前記溶断刃か 放射される赤外線を検出する赤外線検出手 と、該赤外線検出手段にて検出された赤外 の強度に基づいて、前記交番磁界の強さ又 周波数を制御する手段とを備えることを特 とする。

 本発明に係る溶断装置は、前記交番磁界 生成するための交番電流を出力するように てあり、更に、前記交番電流を検出する交 電流検出手段と、前記交番磁界を生成する めの交番電流を検出する交番電流検出手段 、該交番電流検出手段にて検出された交番 流の大きさに基づいて、前記交番磁界の強 又は周波数を制御する手段とを備えること 特徴とする。

 本発明に係る溶断装置は、被溶断物を溶 する導電性の溶断刃と、出力軸を有するモ タと、該出力軸の回転力によって、前記溶 刃を所定方向へ移動させる送り機構とを備 る溶断装置において、前記モータの出力軸 び前記送り機構との間に介装された部材に 前記モータの出力軸及び前記送り機構間に くトルクによって生じたひずみを検出する ずみ検出手段と、該ひずみ検出手段の検出 果に基づいて、前記モータの回転を制御す 手段とを備えることを特徴とする。

 本発明にあっては、ヘルムホルツコイルは 均一な交番磁界を生成する。導電性の溶断 は、平面状の刃面を有し、刃先がヘルムホ ツコイルの中心線方向略中央部に配されて るため、平面状の前記刃面を均一な交番磁 が貫く。該刃面に均一な交番磁界が発生し 場合、刃面の各点における渦電流は相互に ち消し合い、刃面の周囲を構成する刃先及 縁部に均一な電流が流れる。刃面の刃先及 縁部を除いた中央部分には、該刃先及び縁 に比べて電流が流れない傾向にある。この うに、刃面の刃先及び縁部に電流が集中し 流れる現象をエッジ効果という。
 また、溶断刃は導電性であるため、表皮効 によって、誘導電流は溶断刃の表面に集中 る。
 従って、前記交番磁界が前記刃面を貫いた 合、エッジ効果及び表皮効果によって、刃 を構成する刃先及び縁部に均一な電流が流 る。
 よって、従来のヒータを用いた溶断装置、 純な誘導加熱を利用した溶断装置に比べて 刃先をより速やかに、かつむら無く加熱す ことが可能になる。

 本発明にあっては、ヘルムホルツコイル 略長方形、略楕円形又は略長円形をなす複 のコイルを備え、溶断刃の刃先に沿う方向 、該コイルの長手方向とが略一致している 前記コイルは略長方形、略楕円形又は略長 形をなしているため、円形のコイルに比べ 、磁界が均一な領域は、前記長手方向に亘 てより広く分布する。従って、溶断刃の刃 をより、むら無く加熱することが可能にな 。

 本発明にあっては、交番磁界生成手段は交 磁界を生成する。溶断刃は、導電性であり 上記式(1)を満たした刃面を有しているため 該刃面を前記交番磁界が貫いた場合、刃面 各点における渦電流は相互に打ち消し合い 刃面の周囲を構成する刃先及び縁部に均一 電流が流れる。刃面の刃先及び縁部を除い 中央部分には、該刃先及び縁部に比べて電 が流れない傾向にある。
 また、溶断刃は導電性であるため、表皮効 によって、誘導電流は溶断刃の表面に集中 る。
 従って、前記交番磁界が該刃面を貫いた場 、エッジ効果及び表皮効果によって、刃面 構成する刃先及び縁部に均一な電流が流れ 。
 よって、従来のヒータを用いた溶断装置、 純な誘導加熱を利用した溶断装置に比べて 刃先をより速やかに、かつむら無く加熱す ことが可能になる。

 本発明にあっては、インバータ回路は高電 直流電源に接続されたスイッチング素子を え、スイッチング素子を入切させることに って、高電圧直流電源の直流を用いて交番 流を生成する。該交番電流にて、交番磁界 生成される。スイッチング素子は、駆動回 から出力されるスイッチング信号によって 切する。スイッチング素子と、駆動回路と 間にはレベルシフト回路が介装されている 該レベルシフト回路は、スイッチング素子 電圧レベルを変更するものである。特に、 発明に係るレベルシフト回路は、低電圧直 電源を用いて充電される電源コンデンサに って動作するように構成されており、低電 直流電源は、レベルシフト回路から低電圧 流電源に高電圧の直流が逆流しないように イオードによって保護されている。また、 ベルシフト回路から駆動回路へ高電圧の直 が流れないよう、フローティング素子によ て保護されている。
 従って、前記レベルシフト回路を備えるこ によって、高電圧直流電源の高電圧をより く設定し、より強い交番磁界を発生させる とが可能になる。交番磁界によって溶断刃 発生する熱量は、高電圧の2乗に比例するた め、溶断刃をより効果的に加熱することが可 能になる。

 本発明にあっては、溶断刃から放射される 外線を赤外線検出手段にて検出し、検出さ た赤外線の強度に基づいて、交番磁界の強 及び周波数を制御する。赤外線の強度は、 断刃の温度に関連している。
 従って、溶断刃の温度を制御することが可 になる。

 本発明にあっては、交番磁界を生成するた の交番電流を交番電流検出手段にて検出し 検出された交番電流の大きさに基づいて、 番磁界の強さ及び周波数を制御する。交番 流の大きさは、溶断刃の温度に関連してい 。
 従って、溶断刃の温度を制御することが可 になる。

 本発明にあっては、送り機構は、モータの 転力によって、溶断刃を所定方向へ移動さ る。モータと、送り機構との間に介装され 部材は、モータと、送り機構との間に働く ルクによってひずみ、該ひずみはひずみ検 手段によって検出される。溶断装置は、ひ み検出手段の検出結果に基づいて、モータ 回転を制御する。
 従って、溶断刃を所定方向へ移動させる力 制御することが可能になる。

 溶断刃の刃先及び縁部に略均一な電流を 生させることができ、従来の溶断装置に比 てより速やかに、かつむら無く刃先を加熱 、被溶断物を溶断することができる。

本発明の実施の形態1に係る溶断システ ムの構成を示す概略側面図である。 溶断装置の要部を模式的に示す正面図 ある。 一つの円形誘導加熱コイル及び溶断刃 示す模式図である。 誘導加熱回路の構成を示す回路図であ 。 交番磁界によって溶断刃に発生する渦 流及びジュール熱を概念的に示す説明図で る。 待機中における誘導加熱回路の動作を すタイミングチャートである。 溶断中における誘導加熱回路の動作を すタイミングチャートである。 変形例1に係る溶断装置の要部を模式的 に示す正面図である。 変形例2に係る溶断装置の要部を示す模 式図である。 変形例3に係る溶断装置の要部を模式 に示す正面図である。 変形例4に係る溶断装置の誘導加熱回 を示す回路図である。 変形例5に係る溶断装置の誘導加熱回 を示す回路図である。 本発明の実施の形態2に係る溶断装置 構成を模式的に示す概略側面図である。 モータ駆動回路の動作を示すタイミン グチャートである。 モータ駆動回路の動作を示すタイミン グチャートである。 本発明の実施の形態3に係る溶断装置 構成を模式的に示す概略側面図である。

符号の説明

 1 溶断装置
 2 成型機
 3 取出機
 11 溶断刃
 11a,11b 刃面
 11c 刃先
 12 ヘルムホルツコイル
 12a 円形誘導加熱コイル
 13 溶断刃保持体
 13a 光ファイバ
 13b 赤外線センサ
 13c センサ保持部
 14 アーム
 15b モータ
 15d トルク変換器
 16 モータ駆動回路
 16a ブリッジ増幅器
 16b 加圧力設定器
 16c 加圧力調節器
 16d 誤差電圧増幅器
 16e 電圧/周波数コンバータ
 16f 電圧/周波数調節器
 16g 加圧力上限検出器
 16h 上限調節器
 16i パルス列停止回路
 16j 速度制御ドライバー
 17 誘導加熱回路
 17a 4乗根増幅器
 17i 論理回路
 17j ドライブ回路
 18 コントローラ
 19 被溶断物
 VHP 高電圧直流電源
 VLP 低電圧直流電源
 HLS 高電位レベルシフト
 SC 電源コンデンサ
 SD 高電圧阻止ダイオード
 FE フローティング素子
 Tr1 第1スイッチング素子
 Tr2 第2スイッチング素子
 NOT インバータ素子

 以下、本発明をその実施の形態を示す図面 基づいて詳述する。
 図1は、本発明の実施の形態1に係る溶断シ テムの構成を示す概略側面図である。溶断 ステムは、被溶断物19を樹脂成型する成型機 2、及び被溶断物19を溶断する溶断装置1を備 る。被溶断物19は、樹脂製のゲート部19b及び 該ゲート部19bを介して接続された成型部品19a から構成される。成型部品19aは、例えば樹脂 レンズである。

 成型機2は、固定金型、該固定金型に対し て型締めが可能な可動金型、樹脂を射出する 射出装置を備えて構成されており、固定金型 及び可動金型を型締めすることによって、被 溶断物19を成型する。成型機2には、成型機2 成型された被溶断物19を取り出し、溶断装置 1へ搬送する取出機3が設けられている。

 取出機3は、成型機2と、溶断装置1とに亘 て設けられた搬送レール3aを備える。搬送 ール3aには、搬送レール3aに沿って、成型機2 及び溶断装置1間を往復する搬送機3bが設けら れている。搬送機3bは、成型機2で成型された 被成型物を把持して取り出すための把持部3c 備える。把持部3cは、送り機構によって、 送機3bに対して上下移動、その他所定方向へ 移動可能に構成されている。

 溶断装置1は、溶断装置1の各構成部を支 する角柱状の支持体15aを備える。支持体15a 背面側(図1中右側)には、その出力軸が支持 15aの長手方向両端側を向くように2個のモー 15bが夫々設けられている。モータ15bは、例 ば、サーボモータ、ステッピングモータで る。各モータ15bの出力軸はカップリング15c 介して同軸的に配置されたトルク変換器15d 入力軸に接続されている。各トルク変換器1 5dの出力軸は、夫々支持体15aの長手方向両端 へ突出している。

 一方、支持体15aの正面側(図1中左側)には 2本の送りねじ15f夫々を、その回転中心が略 一致し、かつモータ15bの出力軸に対して略平 行になるように回転自在に支持する支持板15h が設けられている。以下、2本の送りねじ15f 回転中心方向を溶断方向という。送りねじ15 fは、外周面に雄ねじを形成した円柱状をな ており、支持体15aの長手方向両端側へ突出 た従動軸を有している。送りねじ15fの従動 、及びトルク変換器15dの出力軸には、ベル 15eが巻き掛けられ、モータ15bの駆動力が送 ねじ15fへ巻き掛け伝動されるように構成さ ている。

 また、溶断装置1は、各送りねじ15fの雄ね じに螺合する雌ねじを有し、送りねじ15fの回 転によって、溶断方向へ移動する板状の移動 部材15iを備える。移動部材15i及び送りねじ15f は、送りねじ15f機構を構成している。また、 各支持板15hには、送りねじ15fに対して略平行 な棒状の案内部材15gが設けられており、移動 部材15iは、案内部材15gによって溶断方向へ直 線移動自在に案内されている。

 各移動部材15iには、正面方向へ突出したア ム14が夫々設けられている。アーム14の端部 には、被溶断物19を溶断する導電性の溶断刃1 1を保持する溶断刃保持体13が夫々設けられて いる。溶断刃保持体13は、略直方体形状をな 、各溶断刃保持体13の対向する端部には、 先11cが対向するように一対の溶断刃11を保持 している。
 また、磁界の方向及び強さ夫々が均一であ 、溶断刃11を誘導加熱させるための交番磁 M1を生成するヘルムホルツコイル12が一対の 断刃11を囲繞し、溶断刃11の刃先11cがヘルム ホルツコイル12の略中央に位置し、かつヘル ホルツコイル12の中心線と、溶断方向とが 一致するように設けられている。

 更に、溶断装置1は、ヘルムホルツコイル 12に交番電流LCIを与えることによって、溶断 11を誘導加熱するための誘導加熱回路17と、 モータ15bを回転駆動させるモータ駆動回路16 、誘導加熱回路17、モータ駆動回路16及びそ の他各構成部の動作を制御するコントローラ 18とを備える。トルク変換器15dの入力軸及び 力軸間に加わったモーメントによるひずみ 図示しないストレインゲージによって計測 れ、計測されたひずみはモータ駆動回路16 出力される。モータ駆動回路16は、ストレイ ンゲージによって計測されたひずみが一定に なるように、各モータ15bの回転を回転駆動さ せる。各モータ15bの回転は、コントローラ18 よって同期運転するように制御される。

 図2は、溶断装置1の要部を模式的に示す 面図、図3は、一つの円形誘導加熱コイル12a び溶断刃11を示す模式図である。図3(a)は、 形誘導加熱コイル12a及び溶断刃11の正面図 図3(b)は、円形誘導加熱コイル12a及び溶断刃1 1の右側面図である。

 図1~図3に示すように、ヘルムホルツコイ 12は、中心線が略一致するように離隔配置 れた2つの円形誘導加熱コイル12aによって構 されている。各円形誘導加熱コイル12aは、N 本の多芯線12bよりなり、略同一の半径Rを有 ている。また、各円形誘導加熱コイル12aは 各円形誘導加熱コイル12aの半径Rと、中心線 向における各円形誘導加熱コイル12a間の距 Dとが略等しくなるように配されている。な お、距離Dは、各円形誘導加熱コイル12aの中 点間の距離である。

 溶断刃11は、概略平板状をなし、詳細に 正面視が楔状であり、側面視が略矩形状を している。溶断刃11は、溶断方向に対して略 平行な平面状をなす正面側の刃面11aと、平面 状をなし、溶断方向に対して背面側へ傾斜し た刃面11bを有している。

 各溶断刃保持体13の反溶断刃側には、サ モパイルのような赤外線センサ13bを保持し センサ保持部13cが設けられている。センサ 持部13cは、断熱材で構成されており、溶断 保持体13からの熱伝導を遮断し、赤外線セン サ13bの温度上昇を抑止するように構成されて いる。また、溶断刃保持体13は、溶断刃11及 赤外線センサ13b間を接続する光ファイバ13a 備える。なお、光ファイバ13aに代えて、石 の伝送路を備えても良い。赤外線センサ13b 、赤外線Irを受光し、受光した赤外線Irのエ ルギー量を示した検出結果を誘導加熱回路1 7に入力するように構成されている。誘導加 回路17は、赤外線センサ13bの検出結果に基づ いて、リアルタイムで、溶断刃11の刃先11cの 度を制御する。

 図4は、誘導加熱回路17の構成を示す回路 である。誘導加熱回路17は、交流電源ACの交 流を高電圧の直流、例えば600Vの直流に変換 る高電圧直流電源VHPを備える。高電圧直流 源VHPの負極端子は接地され、正極端子はハ サイドスイッチHSR、HSLのコレクタに接続さ ている。ハイサイドスイッチHSR、HSLのエミ タには、ローサイドスイッチLSR、LSLのコレ タが接続され、各ローサイドスイッチLSR、LS Lのエミッタは接地されている。また、各ハ サイドスイッチHSR、HSL及び各ローサイドス ッチLSR、LSLのエミッタ及びコレクタ間には フライバックダイオードが接続されている

 ハイサイドスイッチHSR、HSLのコレクタの ースには、高電位レベルシフトHLS回路を介 てドライブ回路17jが接続されている。高電 レベルシフトHLS回路には、低電圧力流電源 ら低電圧の直流、例えば15Vの直流が供給さ ている。また、ローサイドスイッチLSR、LSL ベースにもドライブ回路17jが接続され、ド イブ回路17jは、ハイサイドスイッチHSR、HSL びローサイドスイッチLSR、LSLを交互に入切 せる。

 ハイサイドスイッチHSLのエミッタと、ロ サイドスイッチLSLのコレクタとの接続部に 、ヘルムホルツコイル12の一端が接続され いる。また、該接続部にはコンデンサC1の一 端が接続され、該コンデンサC1の他端は接地 れている。

 ハイサイドスイッチHSRのエミッタと、ロ サイドスイッチLSRのコレクタとの接続部に 、共振コンデンサLCCの一端が接続され、共 コンデンサLCCの他端には、ヘルムホルツコ ル12の他端が接続されている。ヘルムホル コイル12及び共振コンデンサLCCによって、直 列共振回路LCが構成されている。また、該接 部にはコンデンサC2の一端が接続され、該 ンデンサC2の他端は接地されている。

 一方、赤外線センサ13bには、4乗根増幅器17a が接続され、赤外線センサ13bの検出結果を4 根増幅器17aへ出力するように構成されてい 。4乗根増幅器17aは、赤外線センサ13bから出 された検出結果を入力し、該検出結果の4乗 根を算出し、算出された4乗根を示した絶対 度計測値Sg1を誤差増幅器17eへ出力する。該4 根は、溶断刃11の絶対温度Tに比例する。
 なお、4乗根増幅器17aの一例として、電子回 路で構成された4乗根増幅器17aで説明したが マイコンに置き換えて演算するように構成 ても良い。

 誤差増幅器17eには、設定器17bが設けられて る。設定器17bは、待機中における溶断刃11 絶対温度Tを設定するための調節器17cと、溶 中における溶断刃11の温度を設定するため 調節器17dとを備え、コントローラ18の制御に 従って、調節器17c又は調節器17dの設定内容に 応じた設定値を誤差増幅器17eへ出力する。調 節器17c、17dは、例えば可変抵抗器である。
 以下、調節器17cに係る設定値を用いて、溶 刃11の絶対温度Tが制御されている状態を、 機中といい、調節器17dに係る設定値を用い 、溶断刃11の絶対温度Tが制御されている状 を溶断中という。

 誤差増幅器17eは、設定器17bから出力され 設定値と、4乗根増幅器17aから出力された絶 対温度計測値Sg1とを比較し、設定値及び絶対 温度計測値Sg1の差分を示す差分信号をパルス 幅変調回路17hへ出力する。

 パルス幅変調回路17hには、共振基準クロ クが設けられている。共振基準クロックは 基準クロック調節器17gを備え、基準クロッ 調節器17gによって定まる周波数の共振基準 ロックCLKをパルス幅変調回路17hへ出力する 共振基準クロックの周波数は、直列共振回 LCを共振させるための周波数であり、基準 ロック調節器17gによって、直列共振回路LCの 共振周波数fにあわせられる。パルス幅変調 路17hは、共振基準クロックCLKに同期して動 し、差分信号に応じたパルス幅を有するPWM 号を論理回路17iへ出力する。より具体的に 、パルス幅変調回路17hは、絶対温度計測値Sg 1が設定値より小さい場合、より広いパルス を有するPWM信号を論理回路17iへ出力し、絶 温度計測値Sg1が設定値より大きい場合、よ 狭いパルス幅を有するPWM信号を論理回路17i 出力する。

 論理回路17iは、ハイサイドスイッチHSL及び ーサイドスイッチLSLからなる回路ブロックB KLと、ハイサイドスイッチHSR及びローサイド イッチLSRからなる回路ブロックBKRとを交互 スイッチングさせるスイッチング信号を生 し、生成されたスイッチング信号を、ドラ ブ回路17jへ出力する。
 より具体的には、ハイサイドスイッチHSL及 ローサイドスイッチLSLを夫々入状態及び切 態に、かつハイサイドスイッチHSR及びロー イドスイッチLSRを夫々切状態にするスイッ ング信号を生成し、生成された該信号をド イブ回路17jへ出力する。
 次いで、ハイサイドスイッチHSL及びローサ ドスイッチLSLを夫々切状態に、かつハイサ ドスイッチHSR及びローサイドスイッチLSRを 々入状態及び切状態にするスイッチング信 を生成し、生成された該信号をドライブ回 17jへ出力する。
 以下、同様の処理を繰りかえす。
 なお、言うまでもなく、論理回路17iは、ハ サイドスイッチHSL及びローサイドスイッチL SLが同時に入状態若しくは切状態になること 又はハイサイドスイッチHSR及びローサイド イッチLSRが同時に入状態若しくは切状態に ることを防ぐためのデッドタイムを決定し スイッチング信号を生成している。

 ドライブ回路17jは、論理回路17iから出力 れたスイッチング信号を、各スイッチHSL、L SL、HSR、LSRの電気規格に適合したスイッチン 信号に変換し、変換されたスイッチング信 をベースへ出力する。

 以下、このように構成された溶断装置1の動 作及び作用を説明する。
 ヘルムホルツコイル12に交番電流LCIが通電 た場合、円形誘導加熱コイル12aの中心線上 あって、各円形誘導加熱コイル12aからの距 が略D/2の位置付近は、方向及び強度が略均 な交番磁界M2に覆われる。その結果、溶断刃 11の刃先11cは、均一な交番磁界M2に覆われる

 溶断刃11に発生するエッジ効果が、略均 な交番磁界と表皮効果とが作用しているこ を、詳細に説明する。

 ヘルムホルツコイル12の中心線における 番磁界の強さは、D=Rである場合、下記式(2) よって表される。

 なお、D=1.5Rである場合、ヘルムホルツコ ル12の中心線における交番磁界の強さは、 記式(3)によって表される。

 図5は、交番磁界によって溶断刃11に発生す 電流I1,I2及びジュール熱H1,H2を概念的に示す 説明図である。
 刃面11a、11bは平面状であり、かつ溶断刃11 貫く交番磁界M2の強度及び方向が均一である ため、図3に示すように、溶断刃11の刃面11a及 び刃面11bには略均一な磁界M3、M4が発生する 白抜き矢印で示す磁界M3、M4は、交番磁界M2 刃面11a、11bに対して略垂直な成分を示して る。
 溶断刃11の刃面11a、11bに均一な磁界M3,M4が発 生した場合、刃面11a、11bの面内の微小な任意 の各点T1,T2における渦電流I3,I4は、バツ印で すように、相互に打ち消し合う。なお、作 の便宜上、各刃面11a、11b夫々に一点T1,T2のみ を図示しているが、刃面11a、11bの面内におけ る任意の点の一つを代表的に図示したもので あり、他の任意の点においても同様にして渦 電流は相互に打ち消し合う。その結果、刃面 11a、11bの周囲を構成する刃先11c及び縁部に沿 って均一な電流I1,I2が集中して流れ、その反 、刃面11a、11bの刃先11c及び縁部を除いた中 部分における渦電流I3,I4は連鎖的に消失す 傾向にある。刃面11a、11bの周囲を構成する 先11c及び縁部に沿って流れる電流I1,I2は、熱 損失によって、ジュール熱を発生させる。以 下、刃面11a、11bの縁部の表層に発生したジュ ール熱を表皮発熱H1,H2という。特に、刃面11a 11bが交差する刃先11cでは、電流I1,I2が重畳 に流れるため、刃先11cに表皮発熱H1、H2が集 する。つまり、溶断刃11の刃先11cは、エッ 効果によって、熱源として作用する。この うな現象をエッジ効果という。

 誘導加熱にて発生したジュール熱の熱量に いて説明する。
 刃先11cに発生するジュール熱の熱量Pは、次 式(4)で表される。熱量Pは、交番電流LCIの周 数f、抵抗率ρ,及び比透磁率μの2乗根に比例 、巻数N及び交番電流LCIの2乗に比例する。

 なお、電流I1、I2によって発生するジュー ル熱の熱量は、溶断刃11の絶対温度Tと、設定 器17bに設定された設定値との差分がゼロにな るように、制御される。

 一方、溶断刃11の刃面11a、11bに流れる電 I1,I2は、表皮効果によって、表皮厚さδの表 に集中する。言い換えると、表皮発熱H1,H2 、刃面11a、11bの表皮厚さδの表層に集中する 。表皮厚さδは、交番電流LCIの周波数をf、溶 断刃11の電気伝導率をσ、透磁率をμ、電気抵 抗率をρとした場合、下記式(5)で表される。

 例えば、溶断刃11を鋼、プラスチックの ート部19bの溶断に必要な温度を300度とした 合、電気抵抗率ρは、温度変化によって、約 20~53の範囲で変動する。また、磁界の強さの 動によって、透磁率μは約20~1000の範囲で変 する。交番電流LCIの周波数fを20kHzとした場 、表皮厚さδはおよそ0.2~2.3mmである。

 以上、エッジ効果及び表皮効果により、交 磁界が均一である程、また交番電流LCIの周 数が高い程、エッジ効果及び表皮効果が顕 になり、溶断刃11の刃先11cに電流I1,I2が集中 することが分かる。言い換えると、交番磁界 が均一である程、また交番電流LCIの周波数が 高い程、熱源を溶断刃11の刃先11cに局在させ ことができ、効果的に刃先11c部分を誘導加 できる。
 十分な、エッジ効果を発揮させるためには 円形誘導加熱コイル12aの半径Rに比較して、 溶断刃11の寸法は小さい方が望ましい。

 次に、図4に示した誘導加熱回路17における 帰還ループの動作について説明する。
 図6は、待機中における誘導加熱回路17の動 を示すタイミングチャート、図7は、溶断中 における誘導加熱回路17の動作を示すタイミ グチャートである。図6(a)及び図7(a)は、共 基準クロックCLK、各図(b)は、ハイサイドス ッチHSL、各図(c)はローサイドスイッチLSL、 図(d)は、ハイサイドスイッチHSR、各図(e)は ーサイドスイッチLSR、各図(f)は、交番電流LC Iのタイミングチャートを夫々示している。

 誘導加熱回路17、特に赤外線センサ13b、4乗 増幅器17a、誤差増幅器17e、パルス幅変調回 17h、論理回路17i、及びドライブ回路17jは、 対温度計測値Sg1と、設定器17bの設定値との 分がゼロになるように負帰還ループを構成 ている。つまり、負帰還ループによって、 断刃11の絶対温度Tは一定に制御される。
 設定器17bが誤差増幅器17eへ出力する設定値 、コントローラ18によって選択される。コ トローラ18によって、調節器17cに係る設定値 が選択された場合、調節器17cに係る設定値と 、絶対温度計測値Sg1との差分がゼロになるよ うに溶断刃11の絶対温度Tが一定に制御される 。
 また、コントローラ18によって、調節器17d 係る設定値が選択された場合、調節器17dに る設定値と、絶対温度計測値Sg1との差分が ロになるように溶断刃11の絶対温度Tが一定 制御される。

 図6及び図7に示すように、ハイサイドス ッチHSL,HSR及びローサイドスイッチLSL,LSR及び 交番電流LCIは、共振基準クロックCLKに同期し ている。論理回路17iは、ハイサイドスイッチ HSL及びローサイドスイッチLSLからなる回路ブ ロックBKLと、ハイサイドスイッチHSR及びロー サイドスイッチLSRからなる回路ブロックBKRと を、ドライブ回路17jを用いて交互に順次駆動 する。共振基準クロックCLKの周波数は、基準 クロック調節器17gによって、直列共振回路LC 共振周波数fにあわせられているため、直列 共振回路LCは、共振基準クロックCLKに同期し 、共振現象を起こし、交番電流LCIの大きさ 最大になる。また、交番電流LCIの波形も最 、つまり正弦波状になる。

 溶断中においては、大きい交番電流LCIを 要とするため、図7(b)~(e)に示すように、広 パルス幅PWLによって、ハイサイドスイッチHS L,HSR及びローサイドスイッチLSL,LSRを駆動し、 待機中においては、小さい交番電流LCIで足り るため、図6(b)~(e)に示すように、狭いパルス によって、ハイサイドスイッチHSL,HSR及びロ ーサイドスイッチLSL,LSRを駆動する。

 また、図6に示すように、調節器17cの抵抗 値を調節することによって、PWM信号のパルス 幅PWMを、調節幅PWMの範囲内で増減させること ができる。PWM信号のパルス幅PWMを増減させる ことによって、交番電流LCIの振幅を、電流波 高調節幅IVMの範囲内で変動させることができ る。

 各ハイサイドスイッチHS、HSR、及びHSLと ローサイドスイッチLS、LSR、及びLSLは、交互 に入切して充放電を繰り返し、直列共振回路 LCを共振させる。共振基準クロックCLKの周波 と、直列共振回路LCの共振周波数とが一致 た場合、交番電流LCIは、最大となる。円形 導加熱コイル12aの巻数をN、高電圧直流電源V HPの高電圧をVH、直列共振回路LCの共振周波数 をf、ヘルムホルツコイル12の電気抵抗率をρ 透磁率をμとした場合、交番電流LCIは下記 (6)で表される。

 溶断刃11の刃先11cに発生するジュール熱 熱量は、上記式(4)及び下記式(6)より、下記 (7)で表される。但し、ヘルムホルツコイル12 の表皮効果による交流損失抵抗は無視する。

 次に、負帰還ループにおける光ファイバ1 3a及び赤外線センサ13bの機能について説明す 。絶対温度Tの溶断刃11から放射される赤外 IrのエネルギーPEは、絶対温度Tの4乗に比例 る。ステンファン・ボルツマン定数をσ、 質に固有のエネルギー放射率をηとした場合 、エネルギーPEと、絶対温度Tとの関係は下記 式(8)で表される。

 赤外線センサ13bは、光ファイバ13aを通じ 、赤外線Irを受光し、受光した赤外線Irのエ ネルギー量を示した検出結果を誘導加熱回路 17へ出力する。4乗根増幅器17aは、赤外線セン サ13bの検出結果が示すエネルギーの4乗根を 出することによって、溶断刃11の絶対温度T 比例した絶対温度計測値Sg1を得る。絶対温 計測値Sg1は、下記式(9)で表される。

 溶断刃11から放射される赤外線Irは、光フ ァイバ13aを介して赤外線センサ13bへ常時入力 し、赤外線センサ13b及び4乗根増幅器17aは、 一、絶対温度計測値Sg1を誤差増幅器17eへ出 するため、溶断刃11の絶対温度Tをリアルタ ムで制御することができる。

 溶断刃11から放射される赤外線Irは、光フ ァイバ13aを介して赤外線センサ13bへ入力する ように構成されているため、赤外線Irの減衰 殆んど無く赤外線センサ13bへ伝送される。 た、赤外線センサ13bと、溶断刃11との間は センサ保持部13cによって断熱されている。 って、赤外線センサ13b及び4乗根増幅器17aは 光ファイバ13aを利用しない場合に比べて、 断刃11の絶対温度Tをより性格に計測するこ ができる。よって、溶断刃11の絶対温度Tを り正確に制御し、被溶断物19を溶断するこ ができる。

 本実施の形態1に係る溶断装置1にあって 、溶断刃11の刃先11c及び縁部に略均一な電流 を発生させることができ、従来の溶断装置に 比べてより速やかに、かつむら無く刃先11cを 加熱し、被溶断物19を溶断することができる

 溶断刃11が被溶断物19に接触し、刃先11cの温 度が低下した場合であっても、エッジ効果及 び表皮効果によって、刃先11cを集中的に誘導 加熱することができるため、溶断に必要な熱 量を刃先11cへ直ちに補足することができる。
 溶断刃11の温度を所定温度以上に保つこと できるため、溶断に必要な加圧力量Preを所 量未満に制御することが可能になる。従っ 、被溶断物19に加わる加圧力量Preが所定量超 になることに起因する被溶断物19の歪み、ひ 等の不具合を解消することができる。
 また、溶断刃11の温度を所定温度以上に保 ことができるため、溶断に必要な速度を短 することができる。

 更に、溶断に必要な速度を短縮し、また 述のように溶断刃11をむら無く誘導加熱す ことができるため、溶断刃11の過加熱に起因 する被溶断物19の融解、垂れ、及び糸引きを 止することができる。

 更にまた、光ファイバ13a、赤外線センサ1 3b及び4乗根増幅器17aを用いて溶断刃11の絶対 度を計測し、該絶対温度が一定になるよう 交番電流LCIの大きさを制御しているため、 断刃11の温度をより正確に制御し、被溶断 19を溶断することができる。

 更にまた、一方の溶断刃11のみを可動にし 場合、ゲート部19bに対し、溶断開始時から 了時の溶断中の中心点が、固定側の溶断刃11 にずれる欠点があり、無理な溶断により、被 溶断物19の成型部品19aに歪を与える可能性が る。
 本実施の形態では、2つの溶断刃11が対称的 相対移動するため、各溶断刃11の溶断開始 から完了時までの溶断中の仲心点がずれる は低く、成型部品19aの溶断面及び成型部品19 aに歪を与えずに、被溶断物19を溶断すること ができる。

 以上より、成型部品19aの安定した品質と 留まりの向上を図ることができる。

 なお、実施の形態1では、溶断刃11を誘導加 するコイルの一例として、ヘルムホルツコ ル12を例示したが、これに限定されない。 えば、交番磁界M1を発生させることができる コイルを備え、更に、上記式(1)を満たすよう に溶断刃11の刃面11a又は刃面11bを形成すれば い。上記式(1)を満たした場合も、エッジ効 及び表皮効果によって、溶断刃11の刃先11c 誘導電流を集中させ、加熱することができ 。
 なお、言うまでもなく、上記式(1)を満たせ 、溶断刃11の刃面の形状は、特に限定され い。

(変形例1)
 図8は、変形例1に係る溶断装置1の要部を模 的に示す正面図である。変形例1に係る溶断 装置1は、実施の形態1と同様の構成であり、 断刃11に対するヘルムホルツコイル112の位 関係のみが異なる。以下では、主に上記相 点を説明する。

 変形例1に係るヘルムホルツコイル112は、 一対の溶断刃11を囲繞し、溶断刃11の刃先11c ヘルムホルツコイル112の略中央に位置し、 つヘルムホルツコイル112の中心線と、溶断 向とが略直交するように配されている。

 なお、変形例1に係るヘルムホルツコイル 112は、実施の形態と同様、中心線が略一致す るように離隔配置された一対の円形誘導加熱 コイル112aによって構成されている。各円形 導加熱コイル112aは、N本の多芯線112bよりな 、略同一の半径Rを有している。また、各円 誘導加熱コイル112aは、各円形誘導加熱コイ ル112aの半径Rと、中心線方向における各円形 導加熱コイル112a間の距離Dとが略等しくな ように配されている。

 変形例1に係るヘルムホルツコイル112によ って生成される交番磁界M101を生成する。特 、ヘルムホルツコイル112の略中央部には、 界の方向及び強度が略均一な交番磁界M102が 成される。溶断刃11は、交番磁界M102によっ 、誘導加熱される。

 変形例1に係る溶断装置1にあっては、実 の形態と同様の効果を奏する。

 特に、変形例1にあっては、交番磁界M102の 向は、刃面11aに直交するため、交番磁界M102 、刃面11a、11bに対する法線方向成分の総和 、実施の形態1に係る溶断装置1に比べて大 いと予想される。
 従って、溶断刃11の刃先11cにより大きな電 が流れ、より効果的に溶断刃11の刃先11cを誘 導加熱することができる。

 なお、溶断刃11に対するヘルムホルツコ ル112の姿勢は、溶断刃11の刃面11a及び刃面11b を貫く交番磁界の法線方向成分の総和が最大 になるように決定すれば良い。

(変形例2)
 図9は、変形例2に係る溶断装置1の要部を示 模式図である。図9(a)は、円形誘導加熱コイ ル12a及び溶断刃11の正面図、図9(b)は、円形誘 導加熱コイル12aの右側面図である。変形例2 係る溶断装置1は、実施の形態1と同様の構成 であり、ヘルムホルツコイル212の構成のみが 異なる。以下では、主に上記相異点を説明す る。

 変形例2に係るヘルムホルツコイル212は、 一対の溶断刃11を囲繞し、溶断刃11の刃先11c ヘルムホルツコイル212の略中央に位置し、 つヘルムホルツコイル212の中心線と、溶断 向とが略一致するように配されている。

 変形例2に係るヘルムホルツコイル212は、 中心線及び長手方向が略一致するように離隔 配置された一対の略長方形誘導加熱コイル212 aによって構成されている。略長方形誘導加 コイル212aは、頂点部分及び短辺部分全体を 弧状に形成したコイル、又は頂点部分が湾 した長方形状のコイルである。該円弧は楕 、真円、又は長円の弧で形成すると良い。 た、円弧では無く、単に湾曲させた形状で っても良い。なお、略長方形誘導加熱コイ 212aの中心線は、略長方形誘導加熱コイル212 aの中心点を通り、かつ長方形平面に略垂直 直線を意味する。また、略長方形誘導加熱 イル212aを、略楕円形、略長円形、レースト ック形に形成しても良い。

 各略長方形誘導加熱コイル212aは、N本の 芯線212bよりなり、略同形である。各略長方 誘導加熱コイル212aの長辺方向長さの半長は R、短辺方向長さの半長はrであり、溶断刃11 刃先11cに沿う方向と、略長方形誘導加熱コ ル212aの長手方向とが略一致するように配さ ている。また、各略長方形誘導加熱コイル2 12aは、各略長方形誘導加熱コイル212aの半長r 、中心線方向における各略長方形誘導加熱 イル212a間の距離dとが略等しくなるように されている。各略長方形誘導加熱コイル212a は、同じ方向に交番電流LCIが通電される。

 変形例2に係るヘルムホルツコイル212は、 交番電流LCIの通電によって交番磁界M201を生 する。特に、ヘルムホルツコイル212の略中 部には、磁界の方向及び強度が略均一な交 磁界M202が生成される。溶断刃11は、ヘルム ルツコイル212の略中央に、しかも溶断刃11の 刃先11c沿う方向と、略長方形誘導加熱コイル 212aの長手方向とが略一致するように構成さ ているため、溶断刃11の刃先11cは均一な交番 磁界M202に覆われる。

 d=rである場合、ヘルムホルツコイル212の 心線における交番磁界M202の強さは、下記式 (10)で表される。

 なお、d=1.5rである場合、ヘルムホルツコ ル212の中心線における交番磁界202Mの強さは 、下記式(11)によって表される。

 変形例2に係る溶断装置1にあっては、溶 刃11の刃先11cに沿う方向の幅が長い場合であ っても、溶断刃11の刃先11cを均一に誘導加熱 ることができる。

 溶断刃11の刃先11cに沿う方向の幅が長く、 むらがある場合、高温部分で被溶断物219が 解し、垂れ、糸引きの原因となる。また、 温部分では、加圧力量Preが高くなり、被溶 物219の歪、ひびの原因となる。
 刃先11cに沿う方向の幅が長い溶断刃11の刃 11cの全部に亘って均一であれば、幅の広い ート部19bにかかる加圧力量Preを低下させる とができる。

 従って、被溶断物219にかかる加圧力量Pre よる歪、ひびを低減させることができる。 た、被溶断物219の溶断時間を短縮すること できる。溶断時間を短縮することによって 被溶断物219の過加熱を防止し、被溶断物219 融解、垂れ、糸引きを減少させることがで る。

 以上、略長方形誘導加熱コイル212aを備え ることによって、刃先11cに沿う方向の幅が長 い場合であっても、溶断刃11をむら無く誘導 熱し、幅の広いゲート部19bをより良好に溶 することができる。従って、成型部品の品 を向上及び均一化し、生産性を向上させる とができる。幅の広い刃先11c全体を均一に 導加熱する本発明は、高い有用性を持つ。

(変形例3)
 図10は、変形例3に係る溶断装置1の要部を模 式的に示す正面図である。変形例3に係る溶 装置1は、変形例2と同様の構成であり、溶断 刃11に対するヘルムホルツコイル312の位置関 のみが異なる。以下では、主に上記相異点 説明する。

 変形例3に係るヘルムホルツコイル312は、 被溶断物319を溶断する一対の溶断刃11を囲繞 、溶断刃11の刃先11cがヘルムホルツコイル31 2の略中央に位置し、かつヘルムホルツコイ 312の中心線と、溶断方向とが略直交するよ に配されている。

 なお、変形例3に係るヘルムホルツコイル312 は、変形例2と同様、中心線及び長手方向が 一致するように離隔配置された一対の略長 形誘導加熱コイル312aによって構成されてい 。
 各略長方形誘導加熱コイル312aは、N本の多 線312bよりなり、略同形である。各略長方形 導加熱コイル312aの長辺方向長さの半長はR 短辺方向長さの半長はrであり、溶断刃11の 先11cに沿う方向と、略長方形誘導加熱コイ 312aの長手方向とが略一致するように配され いる。また、各略長方形誘導加熱コイル312a は、各略長方形誘導加熱コイル312aの半長rと 中心線方向における各略長方形誘導加熱コ ル312a間の距離dとが略等しくなるように配 れている。各略長方形誘導加熱コイル312aに 、同じ方向に交番電流LCIが通電される。

 変形例3に係るヘルムホルツコイル312によ って生成される交番磁界M301を生成する。特 、ヘルムホルツコイル312の略中央部には、 界の方向及び強度が略均一な交番磁界M302が 成される。溶断刃11は、交番磁界M302によっ 、誘導加熱される。

 変形例3に係る溶断装置1にあっては、変 例2と同様の効果を奏する。

(変形例4)
 図11は、変形例4に係る溶断装置1の誘導加熱 回路417を示す回路図である。変形例4に係る 断装置1は、実施の形態1と同様の構成であり 、誘導加熱回路417の構成のみが異なる。以下 では、主に上記相異点を説明する。

 変形例4に係る誘導加熱回路417は、実施の 形態に係る誘導加熱回路417のハイサイドスイ ッチHSR及びローサイドスイッチLSRからなる回 路ブロックBKRが除去された構成である。

 変形例4では、高電位レベルシフトHLS回路 の構成を詳細に説明する。高電位レベルシフ トHLS回路は、レベルシフト回路を動作させる ための電源コンデンサSCを備え、低電圧直流 源VLPと、電源コンデンサSCとの間には高電 阻止ダイオードSDが順方向接続されている。 詳細には、低電圧直流電源VLPの正極に高電圧 阻止ダイオードSDのアノードが接続され、高 圧阻止ダイオードSDのカソードが電源コン ンサSCの一端に接続されている。電源コンデ ンサSCの他端は、ハイサイドスイッチHSRのエ ッタと、ローサイドスイッチLSRのコレクタ の接続部に接続されている。

 また、高電圧阻止ダイオードSDのカソー には、第1スイッチング素子Tr1及び第2スイッ チング素子Tr2が直列接続されており、第2ス ッチング素子Tr2のエミッタは、電源コンデ サSCの前記他端に接続されている。更に、第 1スイッチング素子Tr1のベースと、第2スイッ ング素子Tr2のベースとの間には、インバー 素子NOTが介装されている。

 更に、ドライブ回路17jと、第1スイッチン グ素子Tr1のベースとの間には、フローティン グ素子FEが介装されている。フローティング 子FEは、ドライブ回路17jから出力されたス ッチング信号を透過し、直流成分を遮断す 素子である。

 高電位レベルシフトHLS回路の機能につい 説明する。ローサイドスイッチLSRのコレク との接続部(以下、シフトポイントSPという) は、高電圧VHとゼロ電位V0の間を交互に移動 るため、ハイサイド入力HIの電位も、シフト ポイントSPにあわせて、追従して高低変動さ なけらればならない。そして、ローサイド イッチLSが入状態の際は低電圧直流電源VLP て電源コンデンサSCは低電圧VLを充電する。 して、高電位レベルシフトHLS回路の基準電 はシフトポイントSPである。そして、シフ ポイントSPが高電圧VHの時は高電圧阻止ダイ ードSDによって低電圧直流電源VLPを保護す 。そして、低電圧VLを充電された電源コンデ ンサSCは高電位レベルシフトHLS回路の制御用 源となる。そして、ハイサイド信号HSから イサイド入力HIの間は、フローティング素子 FEによって、電位的に絶縁されていて、スイ チング信号のみを透過する。

 上記式(7)に示す通り、溶断刃11の刃先11c 発生するジュール熱の熱量Pは、高電圧VHの 圧の二乗に比例するため、高電圧VHをより高 くすることによって、溶断刃11の刃先11cをよ 大きな熱量Pで効果的に誘導加熱することが できる。

 ちなみに、低電圧直流電源VLPの低電圧VL 電圧は15Vまであって、高電圧直流電源VHPの 電圧VHの電圧は600Vまでが、各、ハイサイド イッチHS、HSR、HSLと各、ローサイドスイッチ LS、LSR、LSLの許容される現在の定格である。 に、電源入力ACがAC100Vの時ジュール熱量Pの 界値を100Wとすれば、AC400Vの時ジュール熱量 Pの限界値は1.6KWまであがる。但し、前記各ス イッチのスイッチング損失および定常損失は 無視する。

 変形例4に係る溶断装置1にあっては、高 位レベルシフトHLS回路によって、高電圧VHの 電圧を上げることが可能になる。従って、溶 断刃11の刃先11cを効果的に誘導加熱し、より いジュール熱量Pを得ることができる。つま り、変形例4に係る高電位レベルシフトHLS回 を備えることによって、溶断刃11の刃先11cの 高い熱源を容易に得ることができる。

 なお、言うまでもなく、変形例4に係る高 電位レベルシフトHLS回路を実施の形態及び変 形例に係る溶断装置1に適用しても良い。

(変形例5)
 図12は、変形例5に係る溶断装置1の誘導加熱 回路517を示す回路図である。変形例5に係る 断装置1は、実施の形態1と同様の構成であり 、交番電流LCIの大きさを制御することによっ て溶断刃11の温度を制御するように構成して る点が異なる。以下では主に上記相異点を 明する。

 変形例5に係る溶断装置1の誘導加熱回路51 7は、実施の形態に係る溶断装置1が備える光 ァイバ13a、赤外線センサ13b、センサ保持部1 3c、及び4乗根増幅器17aを備えていない。変形 例5に係る溶断装置1は、光ファイバ13a等に代 て、ヘルムホルツコイル12を流れる交番電 LCIの大きさを検出する交番電流検出素子517k 備える。交番電流検出素子517kは、直列共振 回路LCの共振によって生成した交番電流LCIを ホール効果を利用して交番電流LCIを検出し 検出結果を示す信号を出力する素子であり ハイサイドスイッチHSLのエミッタ及びロー イドスイッチLSLのコレクタの接続部と、ヘ ムホルツコイル12の一端との間に介装され いる。

 交番電流検出素子517kから出力した信号は 、高電圧を絶縁するアイソレーション型交番 電流LCI検出回路に入力するように構成されて いる。交番電流検出素子517kの電位は、高電 VHとゼロ電位V0との間で変動するため、該交 電流LCIをアイソレーション型交番電流検出 路517lにて検出する。アイソレーション型交 番電流LCI検出回路は、検出した交番電流LCIを 示す信号を検波回路517mへ出力する。

 検波回路517mは、AC-DCコンバータであり、 イソレーション型交番電流LCI検出回路から 力された信号を入力し、入力した信号を交 直流変換し、変換された直流の大きさを示 た測定値信号Sg2を誤差増幅器17eへ出力する

 誤差増幅器17eは、設定器17bから出力され 設定値と、検波回路517mから出力された測定 値信号Sg2とを比較し、設定値及び絶対温度計 測値Sg1の差分を示す差分信号をパルス幅変調 回路17hへ出力する。

 変形例5に係る溶断装置1にあっては、設 器17bの設定値を調節することによって、交 電流LCIの大きさ、つまり溶断刃11の温度を調 節することができる。誘導加熱回路517は、交 番電流LCIの大きさが設定値に応じた一定値に なるように、交番電流LCIの大きさ、即ち溶断 刃11の刃先11cの温度及びジュール熱量をリア タイムで制御する。使用者は、周囲温度、 先11cの放熱状態、及びゲート部19bへの熱エ ルギーの移動状態等の周囲環境を考慮して 断刃11に与えるジュール熱量P決定、つまり 定器17bの調節値を決定すれば良い。また、 導加熱回路517は、交流電源ACの電圧の変動 も対応する。

 交番電流LCIは、該交番電流LCIの周波数と 直列共振回路LCの共振周波数fとが略一致し とき、最大となる。溶断場で発生するジュ ル熱量Pは上記式(4)で表される。上記式(4)に 示すように、ジュール熱量Pは、交番電流LCI 二乗に比例するため、交番電流LCIを調節す ことによって、リアルタイムに溶断刃11の刃 先11cの温度を調節することができる。

 また、変形例5にあっては、光ファイバ13a 、赤外線センサ13bを省き、溶断装置1の構造 簡略化することができ、経済的である。

(実施の形態2)
 図13は、本発明の実施の形態2に係る溶断装 1の構成を模式的に示す概略側面図である。 実施の形態2に係る溶断装置1は、実施の形態1 に係る溶断装置1と同様の構成であり、片方 溶断刃711のみが可動に構成されている点と モータ駆動回路16の回路構成とが異なり、加 圧力量制御機能を有している。該加圧力量制 御機能は、溶断刃711によって被溶断物19に加 られる加圧力量Preを、一定量未満に制御す 機能である。以下では、主に上記相異点に いて説明する。

 溶断装置1は、溶断装置1の各構成部を支 する角柱状の支持体15aが立設された架台715a 備える。支持体15aには、実施の形態1と同様 の、モータ15b、カップリング15c、トルク変換 器15d、ベルト15e、送りねじ15f、案内部材15g、 移動部材15i及び支持板15hが設けられている。 また、移動部材15iには、正面方向へ突出した アーム14が夫々設けられている。アーム14の 部及び架台715aには、被溶断物19を溶断する 断刃711を保持すると共に、溶断刃711を加熱 る2個の加熱手段713が夫々設けられている。 加熱手段713は、刃先11cが対向するように一 の溶断刃711を保持している。加熱手段713は 例えば溶断刃711を誘導加熱させる誘導加熱 イル、熱伝導によって加熱するヒータ等で 成されている。

 また、溶断装置1は、モータ駆動回路16に対 する各種構成部、具体的には、ブリッジ増 器16a、加圧力設定器16b、加圧力上限検出器1 6g、誤差電圧増幅器16d、電圧/周波数コンバー タ16e、パルス列停止回路16i、及び速度制御ド ライバー16jを備える。
 なお、二点鎖線で囲まれた構成部分は、加 力量制御溶断装置4というユニットを構成し ている。

 トルク変換器15dは、トルク変換器15dの入 軸及び出力軸間に加わったねじれモーメン によるひずみを図示しないストレインゲー によって計測し、計測したモーメントから られる加圧力量Preを示した計測値Sg3をブリ ジ増幅器16aへ出力する。

 ブリッジ増幅器16aは、トルク変換器15dか 出力された計測値Sg3を増幅し、増幅された 測値Sg3を誤差電圧増幅器16d及び加圧力上限 出器16gへ夫々出力する。

 加圧力設定器16bは、加圧力量Preを設定す ための加圧力調節器16cを備え、加圧力調節 16cの設定内容に応じた加圧力設定値Sg4を誤 電圧増幅器16d及び加圧力上限検出器16gへ夫 出力する。

 加圧力上限検出器16gは、加圧力量Preの上 値を設定するための上限調節器16hを備える 加圧力上限検出器16gは、ブリッジ増幅器16a ら出力された計測値Sg3と、上限調節器16hで 定された上限値とを比較し、計測値Sg3が上 値以上である場合、ハイレベルの信号であ 上限検出値Sg8をパルス列停止回路16iへ出力 、計測値Sg3が上限値未満である場合、ロー ベルの信号である上限検出値Sg8をパルス列 止回路16iへ出力する。

 誤差電圧増幅器16dは、ブリッジ回路から 力された計測値Sg3と、加圧力設定器17bから 力された加圧力設定値Sg4とを比較し、各値 差分を示した差分値Sg5を電圧/周波数コンバ ータ16eへ出力する。

 電圧/周波数コンバータ16eは、誤差電圧増 幅器16dから出力された差分値Sg5を入力し、該 差分値Sg5の電圧を、該電圧に対応する周波数 のパルス列Sg6に変換し、変換されたパルス列 Sg6をパルス列停止回路16iへ出力する。電圧/ 波数コンバータ16eには、差分値Sg5と、周波 との比率を設定するための電圧/周波数調節 16fが設けられている。電圧/周波数コンバー タ16eは、電圧/周波数調節器16fの設定内容に じて、パルス列Sg6の周波数を増減させる。 圧/周波数調節器16fは、送りねじ15fのリードL eに応じて、加圧力量Preに対するモータ15bの 転数を変更するためのものである。

 パルス列停止回路16iは、加圧力上限検出 16gから出力された上限検出値Sg8がローレベ の信号である場合、電圧/周波数コンバータ 16eから出力されたパルス列Sg6を速度制御ドラ イバー16jへ出力し、加圧力上限検出器16gから 出力された上限検出値Sg8がハイレベルの信号 である場合、電圧/周波数コンバータ16eから 力されたパルス列Sg6を速度制御ドライバー16 jへ出力しない。つまり、パルス列Sg6の信号 遮断する。

 速度制御ドライバー16jは、パルス列停止 路16iを介して電圧/周波数コンバータ16eから 出力されたパルス列Sg6に応じて電圧レベルを 有する速度指令信号Sg7をモータ15bへ出力する 。

 モータ15bは、速度制御ドライバー16jから 力された速度指令信号Sg7に応じた回転速度 回転する。

 図14及び図15は、モータ駆動回路16の動作 示すタイミングチャートである。各図に示 グラフの横軸は時間を示しており、各図(a) 示すグラフの縦軸は、計測値Sg3及び加圧力 定値Sg4を示している。図14(b)に示すグラフ 縦軸は差分値Sg5、図15(b)に示すグラフの縦軸 は上限検出値Sg5、各図(c)に示す縦軸は、パル ス列Sg6の電圧を示し、各図(d)に示すグラフの 縦軸は速度指令信号Sg7の電圧を示している。

 図14(a)、(b)に示すように、計測値Sg3が加 力設定値Sg4よりも大きい場合、誤差電圧増 器16dから出力される差分値Sg5の電圧が低下 る。差分値Sg5の電圧が低下した場合、図14(c) ,(d)に示すように、電圧/周波数コンバータ16e ら出力されるパルス列Sg6の周波数が低下し 周波数の低下によって、速度指令信号Sg7の 圧も低下する。速度指令信号Sg7の電圧が低 した場合、モータ15bの回転速度が低下し、 果として溶断刃711の加圧力量Preは低下する

 逆に、図14(a)、(b)に示すように、計測値Sg 3が加圧力設定値Sg4よりも小さい場合、誤差 圧増幅器16dから出力される差分値Sg5の電圧 上昇する。差分値Sg5の電圧が上昇した場合 図14(c),(d)に示すように、電圧/周波数コンバ タ16eから出力されるパルス列Sg6の周波数が 昇し、周波数の上昇によって、速度指令信 Sg7の電圧も上昇する。速度指令信号Sg7の電 が上昇した場合、モータ15bの回転速度が上 し、結果として溶断刃711の加圧力量Preは上 する。

 このように構成された溶断装置1にあっては 、ブリッジ増幅器16a、誤差電圧増幅器16d、電 圧/周波数コンバータ16e、速度制御ドライバ 16j、モータ15b、カップリング15c、及びトル 変換器15dによって負帰還ループが構成され おり、加圧力量Preを示した計測値Sg3と、加 力設定値Sg4との差分がゼロになるように制 される。
 なお、モータ15bの応答の遅れもあって、計 値Sg3は加圧力設定値Sg4を中心に多少のハン ィング現象を起すも、加圧力設定値Sg4に一 するように収束する。

 ところで、周囲温度の変化、風、温調機の 合等、変則的な環境変化によって被溶断物1 9が硬化しているような場合、前記負帰還ル プにおけるモータ15bの応答遅れによって、 圧力量Preが上昇し、被溶断物19にひびが入る ことがある。そこで、被溶断物19に無理な加 力が加わらないよう、上限調節器16hで加圧 上限値を設定する。
 図15(a)に示すように、計測値Sg3が、上限調 器16hで設定された上限値以上になった場合 図15(b)に示すように、加圧力上限検出器16gか らハイレベルの上限検出値Sg5が出力され、パ ルス列Sg6停止手段は、図15(c)に示すように、 ルス列Sg6の出力を停止する。パルス列Sg6の 力が停止した場合、図15(d)に示すように、 度指令信号Sg7の出力も停止し、モータ15bの 転は一時停止する。
 計測値Sg3が加圧力上限値未満に戻った場合 パルス列停止回路16iは、パルス列Sg6の出力 再び開始する。

 実施の形態2に係る溶断装置1にあっては、 断刃711によって被溶断物19に加えられる加圧 力量Preを一定量未満に制御することができ、 被溶断物19にひび等の欠陥が生ずることを効 的に防止することができる。
 また、実施の形態2に係る溶断装置1にあっ は、溶断刃711の駆動機構の一方の溶断刃711 設け、他方の溶断刃711を固定式にしている め、低コストで溶断刃711を構成することが きる。

 トルク変換器15dによって、一定の加圧力 Preで、被溶断物19のゲート部19bを溶断する とは、成型部品19aである製品の品質は向上 せ、製品の品質を均一化し、更に生産性も 上させることを可能にする。

(実施の形態3)
 図16は、本発明の実施の形態3に係る溶断装 1の構成を模式的に示す概略側面図である。 実施の形態3に係る溶断装置1は、2つの加圧力 量制御溶断装置4を備え、一対の溶断刃711夫 が溶断方向へ相対移動できるように構成し ある。
一対の溶断刃711の移動は、コントローラ18に って同期運転するように構成されている。

 実施の形態3に係る溶断装置1にあっては 2つの溶断刃711が対称的に相対移動するため 各溶断刃711の溶断開始時から完了時までの 断中の中心点がずれる虞は低く、成型部品1 9aの溶断面及び成型部品19aに歪を与えずに、 溶断物19を溶断することができる。

 なお、今回開示された実施の形態はすべ の点で例示であって、制限的なものではな と考えられるべきである。本発明の範囲は 上記した意味ではなく、特許請求の範囲に って示され、特許請求の範囲と均等の意味 び範囲内でのすべての変更が含まれること 意図される。

 被溶断物の溶断に利用することができる




 
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