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Patent Searching and Data


Title:
METAL COMPONENT MANUFACTURING METHOD USING PLASTIC FLOW BONDING
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/136515
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a novel metal component manufacturing method capable of reducing energy consumption during a step of heating a metal material, incurring little material loss. A shaft-like member and a disc-like member which have undergone heat treatment are bonded using plastic flow. A first opening having substantially the same diameter as the shaft-like member and a second opening communicating with the first opening and having a diameter larger than the first opening are formed in the disc-like member. The shaft-like member is inserted into and positioned inside the first opening, and the gap formed between the outer circumferential surface of the shaft-like member and the inner circumferential surface of the second opening is filled with a metal bonding material having a hardness lower than either the shaft-like member or the disc-like member, and this is press-fit to achieve plastic deformation. As a result, the metal bonding material flows into bonding grooves formed in advance in the outer circumferential surface of the shaft-like member and in the inner circumferential surface of the second opening, thus bonding the shaft-like member and the disc-like member through mechanical coupling.

Inventors:
MURAKAMI HIROYA (JP)
HIYAMA YOSIKI (JP)
KANAMARU NAONOBU (JP)
NISIKAWA SHOITIROU (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053530
Publication Date:
November 12, 2009
Filing Date:
February 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
TOKYO INST TECH (JP)
IBARAKI STEEL CT CO LTD (JP)
MURAKAMI HIROYA (JP)
HIYAMA YOSIKI (JP)
KANAMARU NAONOBU (JP)
NISIKAWA SHOITIROU (JP)
International Classes:
B21D39/00; F16B4/00; F16H9/12; F16H55/56
Foreign References:
JPS5619475B21981-05-07
JP2774589B21998-07-09
JP2007309369A2007-11-29
Attorney, Agent or Firm:
MAYAMA INTERNATIONAL PATENT OFFICE (JP)
Patent business corporation M eye Py (JP)
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Claims:
 軸状部分を備える第1の金属部材と板状部分を備える第2の金属部材を結合して金属部品を製造する方法であって、
 前記第1の金属部材の前記軸状部分の外周面に第1の結合溝を形成する工程と、
 前記第2の金属部材の前記板状部分に対し、前記軸状部分を挿入するための第1の開口部と、該第1の開口部に連続する開口部であって該第1の開口部よりも大きい径を有する第2の開口部とを形成し、該第2の開口部の内周面に第2の結合溝を形成する工程と、
 前記第1の開口部に前記軸状部分を挿入して位置決めする工程と、
 前記軸状部分の外周面と前記第2の開口部の内周面との間に画成された隙間に、前記第1の金属部材および前記第2の金属部材のいずれよりも硬度の低い金属材料からなる金属結合材を嵌入する工程と、
 前記金属結合材を押圧して塑性変形させることにより、該金属結合材を前記第1の結合溝および前記第2の結合溝に流入させ、機械的かみ合いにより前記軸状部分と前記板状部分を結合する工程とを含む、
金属部品の製造方法。
 前記第1の結合溝は、前記第1の開口部に前記軸状部分を挿入して位置決めした状態において、前記第2の結合溝と対向する位置に形成されている、請求項1に記載の金属部品の製造方法。
 前記第1の結合溝は、前記軸状部分の外周面に沿ってリング状に形成され、前記第2の結合溝は、前記第2の開口部の内周面に沿ってリング状に形成される、請求項1または2に記載の金属部品の製造方法。
 前記第1および第2の結合溝に対し、前記軸状部分の軸方向のローレットを刻設したことを特徴とする、請求項3に記載の金属部品の製造方法。
 前記第1の金属部材と前記第2の金属部材を結合する前に、前記第1の金属部材および前記第2の金属部材のそれぞれに対し熱処理を施す工程をさらに含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の金属部品の製造方法。
 前記第1の金属部材に対する熱処理が前記第2の金属部材に対する熱処理と異なる、請求項5に記載の金属部品の製造方法。
 前記第1の金属部材に対する熱処理が高周波焼入れであり、前記第2の金属部材に対する熱処理が浸炭焼入れである、請求項5に記載の金属部品の製造方法。
 軸状部分を備える第1の金属部材と板状部分を備える第2の金属部材を結合して金属部品を製造する方法であって、
 前記第1の金属部材の前記軸状部分の外周面に結合溝を形成する工程と、
 前記第2の金属部材の前記板状部分に対し、前記軸状部分を挿入するための第1の開口部と、該第1の開口部に連続する開口部であって該第1の開口部よりも大きい径を有する第2の開口部とを形成する工程と、
 前記第1の開口部に前記軸状部分を挿入して位置決めする工程と、
 前記軸状部分の外周面と前記第2の開口部の内周面との間に画成された隙間に、前記第1の金属部材および前記第2の金属部材のいずれよりも硬度の低い金属材料からなる金属結合材を嵌入する工程と、
 前記金属結合材を押圧して塑性変形させることにより、該金属結合材を前記結合溝に流入させ、機械的かみ合いにより前記軸状部分と前記板状部分を結合する工程とを含む、
金属部品の製造方法。
 軸状部分を備える第1の金属部材と板状部分を備える第2の金属部材を結合して金属部品を製造する方法であって、
 前記第2の金属部材の前記板状部分に対し、前記軸状部分を挿入するための第1の開口部と、該第1の開口部に連続する開口部であって該第1の開口部よりも大きい径を有する第2の開口部とを形成する工程と、
 前記第1の開口部に前記軸状部分を挿入して位置決めする工程と、
 前記軸状部分の外周面と前記第2の開口部の内周面との間に画成された隙間に、前記第1の金属部材および前記第2の金属部材のいずれよりも硬度の低い金属材料からなる金属結合材を嵌入する工程と、
 前記金属結合材を押圧することにより、前記軸状部分と前記板状部分とを緊迫結合する工程とを含む、
金属部品の製造方法。
 CVT用シャフト付きシーブを製造する方法であって、
 シャフトの外周面に結合溝を形成する工程と、
 シーブに対し、前記シャフトを挿入するための第1の開口部と、該第1の開口部に連続する開口部であって該第1の開口部よりも大きい径を有する第2の開口部とを形成する工程と、
 前記第1の開口部に前記シャフトを挿入して位置決めする工程と、
 前記シャフトの外周面と前記第2の開口部の内周面との間に画成された隙間に、前記シャフトおよび前記シーブのいずれよりも硬度の低い金属材料からなる金属結合材を嵌入する工程と、
 前記金属結合材を押圧して塑性変形させることにより、該金属結合材を前記結合溝に流入させ、機械的かみ合いにより前記シャフトと前記シーブを結合する工程とを含む、
CVT用シャフト付きシーブの製造方法。
 前記第2の開口部は、前記シーブのスチールベルトが接触する面の反対側に形成されることを特徴とする、請求項10に記載の金属部品の製造方法。
 シーブに対し、前記第1の開口部と前記第2の開口部とを形成する前記工程は、さらに前記第2の開口部の内周面に第2の結合溝を形成する工程を含み、
 前記シャフトと前記シーブを結合する前記工程は、前記金属結合材を押圧して塑性変形させることにより、該金属結合材を前記結合溝および前記第2の結合溝に流入させ、機械的かみ合いにより前記シャフトと前記シーブを結合する工程とを含む、請求項10または11に記載の金属部品の製造方法。
 
Description:
塑性流動結合を利用した金属部 の製造方法

 本発明は、金属部品の製造方法に関し、 り詳細には、塑性流動結合を利用した金属 品の製造方法に関する。

 金属部品を製造する鍛造加工の分野にお ては、熱間鍛造によっておおよその部品形 を付与した後、鍛造した部品の表面を切削 工し、さらに、高度な耐久性を要求される のに関しては、浸炭焼入れなどの熱処理を すことによって部品に高い強度を付与した 、研削による最終仕上げ加工を行なうとい のが一般的な方法である。

 しかしながら、熱間鍛造は、切削代が大き 金属資源の無駄が生じることに加え、金属 加熱するために膨大な加熱エネルギーを消 する方法であり、後続の熱処理においても さらに、膨大な加熱エネルギーが消費する のであるため、この加熱エネルギーのコス が製造費の削減を阻害する大きな要因とな ていた。同時に、この加熱エネルギーの消 は、近年、地球温暖化の原因として問題と っているCO 2 の膨大な排出を伴うものであり、地球環境保 全の観点からも好ましくない。特に、自動車 のベルト式無段変速機(CVT)用シャフトのよう 軸付き円盤部品は、炉内の積載効率が悪い めに大形の炉が必要となり、その結果、過 な加熱エネルギーが消費されるため、環境 対する負荷が更に大きなものとなる。

 そこで、部品を分割して成形したのち、 れらを接合して一体化する方法が検討され いる。ここで、CVT用シャフト付きシーブを に挙げて説明すると、円盤状の部材である ーブを冷間鍛造(ネットシェイプ法)により 製し、軸状部材であるシャフトに関しては 棒材料を切削加工して作製して、シーブお びシャフトに熱処理を加えた後、両者を接 する。

 上述した方法によれば、鍛造のための加 エネルギーが不要となり、また、シーブお びシャフトが分割された状態であるために 炉内において高い積載効率をもって熱処理 程を行なうことが可能となり、総体で、加 エネルギーコストを大幅に削減することが きることに加え、切削代が低減されるため 、金属資源を有効に利用することが可能に るとともに、切削加工のエネルギーも大幅 削減できる。さらに、熱処理炉や切削加工 設備投資の大幅な削減も可能となる。

 ここで、焼入れした部材の一般的な接合法 して、ねじ締め、シュパンリング、焼ばめ 溶接などが考えられるが、これらの方法は 精度およびその強度に問題がある。一方、 性結合を利用した方法として、シェービン 接合、スプライン嵌合、植込み鍛接などが 案されている。この点につき、特開2007-30936 9号公報(特許文献1)は、CVT用シャフト付きシ ブをスプライン嵌合によって製造する方法 開示する。特許文献1が開示する方法におい は、高い硬度を有するシーブのシャフトを 入する穴の内周面に、軸方向の歯筋を有す 複数の歯部を形成し、これに対し、シーブ りも低い硬度を有し、上記歯部の内接円の よりも大きい外径の結合外面部を有するシ フトを圧入することによって、上記結合外 部に上記歯部を塑性流動によって食い込ま て塑性結合を実現している。しかしながら このような二部材間の塑性結合は、接合す 部材間に硬度の差があることが前提となる め、熱処理後の高い硬度を持たせた部材同 の接合は困難である。また、上述した何れ 塑性結合法においても、二つの部材を接合 る過程で、一方の部材に大きな荷重をかけ 押圧するため、結合する両部材間の相対的 位置の変動が避けられず、結合する部材の 材精度および機械的特性のばらつきや接合 備の動的精度の影響を受けやすいため、高 度な結合が困難であった。

特開2007-309369号公報

 本発明は、上記従来技術における課題に みてなされたものであり、材料損失が少な 、金属材料の加熱工程におけるエネルギー 費を低減することができる新規な金属部品 製造方法を提供することを目的とする。

 本発明者らは、材料損失が少なく、金属 料の加熱工程におけるエネルギー消費を低 することができる金属部品の製造方法につ 鋭意検討した結果、結合を所望する二つの 材の間に当該二つの部材よりも硬度が低い 間部材を介在させて部材同士を冷間で接合 る、いわゆる塑性流動結合に着目した。本 明者らは、熱処理後の焼入れ部材間の接合 ついて、初めて塑性流動結合の適用を試み 結果、当該接合構造が実用に耐えうる充分 強度を有することを実証し、本発明に至っ のである。

 すなわち、本発明によれば、軸状部分を える第1の金属部材と板状部分を備える第2 金属部材を結合して金属部品を製造する方 であって、前記第1の金属部材の前記軸状部 の外周面に第1の結合溝を形成する工程と、 前記第2の金属部材の前記板状部分に対し、 記軸状部分を挿入するための第1の開口部と 該第1の開口部に連続する開口部であって該 第1の開口部よりも大きい径を有する第2の開 部とを形成し、該第2の開口部の内周面に第 2の結合溝を形成する工程と、前記第1の開口 に前記軸状部分を挿入して位置決めする工 と、前記軸状部分の外周面と前記第2の開口 部の内周面との間に画成された隙間に、前記 第1の金属部材および前記第2の金属部材のい れよりも硬度の低い金属材料からなる金属 合材を嵌入する工程と、前記金属結合材を 圧して塑性変形させることにより、該金属 合材を前記第1の結合溝および前記第2の結 溝に流入させ、機械的かみ合いにより前記 状部分と前記板状部分を結合する工程とを む金属部品の製造方法が提供される。本発 においては、前記第1の結合溝は、前記第1の 開口部に前記軸状部分を挿入して位置決めし た状態において、前記第2の結合溝と対向す 位置に形成することができる。また、本発 においては、前記第1の結合溝を、前記軸状 分の外周面に沿ってリング状に形成し、前 第2の結合溝を、前記第2の開口部の内周面 沿ってリング状に形成することができ、前 第1および第2の結合溝に対し、前記軸状部分 の軸方向のローレットを刻設することができ る。また、本発明においては、前記第1の金 部材と前記第2の金属部材を結合する前に、 記第1の金属部材および前記第2の金属部材 それぞれに対し熱処理を施す工程をさらに むことができ、前記第1の金属部材に対する 処理が前記第2の金属部材に対する熱処理と 異なるものとすることができ、前記第1の金 部材に対する熱処理を高周波焼入れとし、 記第2の金属部材に対する熱処理を浸炭焼入 とすることができる。

 さらに、本発明によれば、CVT用シャフト きシーブを製造する方法であって、シャフ の外周面に第1の結合溝を形成する工程と、 シーブに対し、前記シャフトを挿入するため の第1の開口部と、該第1の開口部に連続する 口部であって該第1の開口部よりも大きい径 を有する第2の開口部とを形成し、該第2の開 部の内周面に第2の結合溝を形成する工程と 、前記第1の開口部に前記シャフトを挿入し 位置決めする工程と、前記シャフトの外周 と前記第2の開口部の内周面との間に画成さ た隙間に、前記シャフトおよび前記シーブ いずれよりも硬度の低い金属材料からなる 属結合材を嵌入する工程と、前記金属結合 を押圧して塑性変形させることにより、該 属結合材を前記第1の結合溝および前記第2 結合溝に流入させ、機械的かみ合いにより 記シャフトと前記シーブを結合する工程と 含む、CVT用シャフト付きシーブの製造方法 提供される。本発明においては、前記第2の 口部を、前記シーブのスチールベルトが接 する面の反対側に形成することが好ましい

 上述したように、本発明によれば、材料 失が少なく、金属材料の加熱工程における ネルギー消費を低減することができる新規 金属部品の製造方法が提供される。

 以下、本発明を図面に示した実施の形態 もって説明するが、本発明は、図面に示し 実施の形態に限定されるものではない。な 、以下、参照する図面においては、共通す 要素については同じ符号を用い、その説明 適宜省略する。

 本発明の金属部品の製造方法を、図1に示 す形状を備える金属部品10を例にとって以下 明する。本実施形態においては、まず、金 部品10を軸状部材12と円盤状部材14とに分割 て別々に作製する。軸状部材12および円盤 部材14は、いずれも単純な形状であるので、 例えばネットシェイプ冷間鍛造法と最小限の 切削加工によって作製することができる。

 次に、作製した軸状部材12および円盤状 材14について熱処理を施す。本発明の方法に よれば、分割された単純形状の部材に対して 熱処理を施せばよいため、一体成型品の場合 に比較して格段に高い積載効率をもって部材 を炉内に積載することができ、その結果、加 熱エネルギーの浪費が回避される。

 さらに、上述した熱処理の種類は、軸状 材12および円盤状部材14のそれぞれに要求さ れる強度に応じて適宜選択することができる 。例えば、金属部品10の用途によっては、円 状部材14にのみ高い強度が要求され、軸状 材12の強度については、円盤状部材14のそれ りも低い強度が許容される場合がある。そ ような場合、円盤状部材14についてのみ高 ストの浸炭焼入れを施し、軸状部材12につい ては、浸炭焼入れよりも低コストの高周波焼 入れを施すというような選択が可能である。

 本実施形態においては、軸状部材12と円 状部材14とを塑性流動結合法を用いて結合す る。すなわち、軸状部材12と円盤状部材14と 間に第3の金属部材を結合材として介在させ 当該結合材の塑性変形を利用して両者を結 する。そのため、軸状部材12の外周面に沿 て、塑性変形した結合材が流入するための 合溝16が形成されている。

 また、円盤状部材14には、軸状部材12を挿 入して、高精度に位置決めするために軸状部 材12とほぼ同径の開口部20が形成され、さら 、開口部20に連続する形で開口部20よりも所 分大きい径を有する開口部22が同心円状に 成されている。その結果、円盤状部材14に軸 状部材12を挿入した際に、軸状部材12の外周 と円盤状部材14の開口部22の内周面との間に 上述した結合材を嵌入するための隙間gがリ ング状に画成されるようになっている。また 、開口部22の内周面にも塑性変形した結合材 流入するための結合溝18が形成されており 軸状部材12に形成された結合溝16は、円盤状 材14の開口部20に軸状部材12を挿入し位置決 した状態において、結合溝18と対向する位 に形成される。なお、図1においては、軸状 材12および円盤状部材14のそれぞれに形成さ れた結合溝16および結合溝18について、図の 側に拡大して示している。

 図2は、本実施形態の金属部品10を製造す 製造装置30を示す図である。本実施形態に いては、まず、治具32の挿入穴33に軸状部材1 2を挿入し、次いで、円盤状部材14を軸状部材 12に嵌入する。このとき、円盤状部材14が治 32の上面に当接することによって、軸状部材 12の軸方向における円盤状部材14の位置が決 られる。すなわち、挿入穴33の深さdの設計 よって上述した軸方向における位置決めが される。続いて、本実施形態においては、 1について上述した隙間gにリング状の結合材 34を嵌入する。その状態で、軸状部材12に円 状に形成されたパンチ36を嵌入し、パンチ36 先端部を結合材34の上部にのみ当接させる 最後に、加圧治具37を介してパンチ36を所定 荷重をもって矢印方向に押圧する。上述し 工程において、軸状部材12には荷重が一切 荷されていないことに注目されたい。

 図3は、上述した一連の工程を拡大して示 す。図3(a)に示すように、隙間gに結合材34を 入したのち、図3(b)に示すように、パンチ36 先端部を結合材34の上部にのみ当接させる。 この状態で、パンチ36を矢印方向に押圧する 、図3(c)に示すように、結合材34が塑性変形 て、軸状部材12の外周面および円盤状部材14 の内周面にそれぞれ形成された結合溝16、18 流入し、その結果、機械的かみ合いにより 状部材12と円盤状部材14とが結合される。

 図4は、実際に製造した金属部品10の断面 ついて、結合溝16、18と結合材34を拡大して す。図4を参照すると、パンチ36によって上 ら押圧された結合材34が図中の矢印の方向 流動し、その結果、結合溝16、18が高い割合 充填されていることが分かる。本実施形態 おいては、結合溝16、18と結合材34とが当接 る接合面にパンチ36の押圧による残留応力 作用するため高摩擦状態が維持されている

 上述した実施形態においては、結合溝16 よび18は、それぞれ、軸状部材12の外周面お び円盤状部材14の開口部22の内周面に沿って リング状に形成されており、軸状部材12の軸 向に対して高いせん断強度を示すと共に、 述した残留応力の作用によって、回転方向 対しても充分な結合強度を示す。また、本 施形態によれば、軸状部材12と円盤状部材14 の開口部20とで精度良く位置決めされる上に 接合のための押圧の過程においては、軸状 材12に大きな荷重がかからないため、円盤 部材14との相対的位置が変動することがなく 、その結果、軸状部材12と円盤状部材14との 精度な結合が実現される。

 なお、本発明における結合溝は、上述し ようなリング状の溝に限るものではなく、 状部材12の軸方向に対して平行な結合溝を 成することによって、回転方向に対するせ 断強度を担保することもできる。さらに、 述したようなリング状の結合溝を形成した で、当該結合溝に対し、軸状部材12の軸方向 のローレットを刻設して、軸方向および回転 方向の双方に対する高いせん断強度を実現す ることもできる。

 また、本発明における結合材は、結合す 部材よりも硬度の小さい金属であればよく 例えば、S25C(JIS)、S45C(JIS)等を用いることが きる。

 以上、図1~3を参照して、金属部品10にお て、軸状部材12の外周面と円盤状部材14の開 部20の両方に結合溝を形成する態様につい 説明してきたが、本発明は、上述した実施 態に限定されるものではなく、本発明にお ては、その使用態様上、要求される強度が 状部材12の軸方向で異なるような場合には、 円盤状部材14の結合溝18を省略することもで る。この理由については、後に詳説する。 らに、本発明においては、金属部品10に要求 される強度の大きさに鑑みて、軸状部材12の 合溝16と円盤状部材14の結合溝18を両方とも 略し、軸状部材12と円盤状部材14とを緊迫結 合によって固定することもできる。

 以上、本発明を上述した金属部品10を例 とって説明してきたが、本発明の製造方法 、上述した形状の金属部品に限らず、軸状 分を備える金属部材と該軸状部分が嵌挿さ る板状部分を備える金属部材を結合してな 金属部品全般に適用することができ、特に 動車のCVT用シャフト付きシーブの製造にお て有効である。以下、この点について説明 る。

 図5(a)は、本発明の製造方法によって製造 された自動車のCVT用シャフト付きシーブ40の 面図である。CVT用シャフト付きシーブ40は 円盤状のシーブ42と軸状のシャフト44とを含 で構成されており、その使用に際して、シ ブ42の破線で示す側の面に動力伝達手段で るスチールベルトが接触する。CVT用シャフ 付きシーブ40の製造にあたっては、図1につ て上述したのと同様の方法により、円盤状 シーブ42のスチールベルトが接触する面の反 対側の面にリング状の結合材46を嵌入するた の隙間を形成し、これに結合材46を嵌入・ 圧することによって円盤状のシーブ42と軸状 のシャフト44とを結合材46を介して塑性流動 合する。なお、図5(a)においては、シーブ42 シャフト44の結合部分を拡大して概略的に示 している。

 現在、自動車のCVT用シャフト付きシーブ 、熱間鍛造による一体成形によって製造さ ている。CVT用シャフト付きシーブにおいて 、シーブに高い強度が要求されるため、シ フトを含む一体品全体に対し浸炭焼入れに る熱処理が施されている。この浸炭焼入れ ストは非常に過大なものであり、自動車メ カーにおいては、このような熱処理コスト 削減が重要な懸案事項となっている。

 本発明の製造方法をCVT用シャフト付きシ ブの製造に適用すれば、シーブ部分を冷間 造により形成し、シーブに対してのみ浸炭 入れを施し、シーブほどの強度を要求され いシャフトに関しては、よりコストの低い 周波焼入れを施すことによって、浸炭焼入 コストが低減され、また、熱処理炉内にシ フトあるいはシーブを高い積載効率をもっ 載置することができるので、その処理効率 向上し、もって、熱処理の総コストが大幅 低減される。CVT用シャフト付きシーブに関 ていえば、本発明の製造方法による製造コ トは、従来の熱間鍛造による一体成形の場 の製造コストに比較して、浸炭焼入れコス については50%程度が削減可能であり、トー ルコストについていえば30%程度の削減が見 まれる。

 また、従来の熱間鍛造による一体成形の 合、浸炭焼入れ処理における熱歪みが原因 て、寸法精度が悪化し不良率が高くなると う問題があったが、本発明によれば、シャ トとシーブとに分割して焼入れ処理を行な ため、熱歪みの影響が少なくなり、歩留ま が改善される。

 さらに、特筆すべきは、CVT用シャフト付 シーブの場合、その使用態様上、シーブ42 破線で示す側の面にスチールベルトによる 力がかかるため、図5(a)の矢印で示す方向に み繰り返し動的応力が働き、当該応力が常 結合材46を圧縮する形で圧縮応力が作用す 点である。その結果、結合材46と結合溝との 接合面との間の高摩擦状態が維持・増強され るため、CVT用シャフト付きシーブに要求され る軸方向の引き抜き強度が好適に実現される 。なお、本実施形態においては、図5(a)に示 たCVT用シャフト付きシーブ40について、シー ブ42の開口部側の結合溝を省略することがで る。この点について、図5(b)を参照して、以 下説明する。

 図5(b)は、シーブ42の開口部側の結合溝を 略したCVT用シャフト付きシーブ40を示す。CV T用シャフト付きシーブ40においては、上述し たように、シーブ42の破線で示す側の面にの スチールベルトによる押力がかかる。した って、シャフト44の外周面と結合材46との間 には、実線矢印の方向にのみせん断応力が作 用し、破線矢印の方向にはせん断応力が作用 しない。同様に、シーブ42の内周面42aと結合 46との間には、破線矢印の方向にせん断応 が作用せず、さらに、結合材46が嵌入される 隙間がシーブ42を貫通していないため、シー 42の開口部の内周面42aと結合材46との間には 、実線矢印の方向のせん断応力もほとんど作 用しない。したがって、シーブ42の開口部の 周面42aと結合材46との間には大きな強度は 求されない。よって、CVT用シャフト付きシ ブ40のように、その使用態様上、必要強度が 軸状部材(シャフト44)の軸方向で異なるよう 部品の場合には、図5(b)に示すように、板状 材(シーブ42)の開口部側の結合溝を省略する ことができる。

 以下、本発明の金属部品の製造方法につ て、実施例を用いてより具体的に説明を行 うが、本発明は、後述する実施例に限定さ るものではない。

 本発明の製造方法によってCVT用シャフト きシーブを製造し、シーブの引き抜き強度 ついて評価実験を行なった。

(シーブ部・シャフト部・結合材の作製)
 図6は、本実施例のCVT用シャフト付きシーブ の構成部材について示す。シャフト部50は、S CM420H(JIS)の棒材を図6(a)に示す形状に機械で切 削加工し、シャフト部50の外周面に沿ってリ グ状の結合溝52を2本刻設した。その後、シ フト部50に対し浸炭焼入れ処理を施し、表 硬度をHRC61.6(ロックウェル硬さ)とした。

 シーブ部54は、SCM420H(JIS)の棒材を図6(b)に す形状に機械加工し、シーブ部54に形成し 開口部の内周面に沿ってリング状の結合溝56 を2本刻設した。その後、シーブ部54に対し浸 炭焼入れ処理を施し、表面硬度をHRC63.4(ロッ ウェル硬さ)とした。

 なお、上述したシャフト部50およびシー 部54の結合溝は、深さを0.6mmとし、溝角度を9 0°とした。

 結合材58は、S45C(JIS)の棒材を球状化焼鈍 、図6(c)に示す形状に成型した。なお、結合 58は、表面硬度がHRB62~67(ロックウェル硬さ) ものを使用した。

(シーブ部とシャフト部の結合)
 図7は、本実施例に用いた金属部品の製造装 置60を示す。まず、シーブ部54を下型62の上面 に置き、シーブ部54に形成された開口部とこ に連通する下型62の挿入孔にシャフト部50を 挿入した。なお、下型62の挿入孔の深さが予 所定の寸法に設定し、シャフト部50が下型62 の挿入孔の底部に底付きした状態で、シーブ 部54に刻設した結合溝56とシャフト部50に刻設 した結合溝52が高さ方向において同位置にな ようにセットした。

 次に、シーブ部54とシャフト部50の間に、 結合材58を挿入し、結合材58にのみ当接する うに形成された先端部を有するパンチ64を図 示しない油圧プレス機械によって矢印方向に 加圧荷重650kNで押圧し、塑性流動結合を実施 た。

 なお、シーブ部54の外径を、塑性流動結 の前後で計測した結果、結合前がφ136.55mmで ったのに対し、結合後はφ136.6mmであり、そ 変形率は約0.06(%)であった。JISにおいて、耐 力の規定として永久伸びが0.2%以下とされて ることに鑑みれば、上述した塑性流動結合 よってCVT用シャフト付きシーブが高い精度 もって製造されることが示された。

(シーブの引き抜き強度の評価)
 上述した手順で製造したCVT用シャフト付き ーブ70について、シーブ部54の引き抜き力評 価試験を行なった。図8は、本実施例に使用 た引き抜き力評価試験装置72を示す。評価実 験にあたって、まず、シャフト部50を下型74 形成された挿入孔に挿入して固定し、シー 部54の外周側端部に当接するように形成され た上型76を図示しない油圧プレス機械によっ 矢印方向に押圧した。引き抜き力評価試験 おいては、上型76の矢印方向のストローク( 位量)とそれに伴う加工荷重(kN)の変化を測 した。なお、上記ストローク(変位量)につい ては、レーザ変位計により測定を行ない、加 工荷重(kN)については、ロードセルにより測 した。なお、上記評価試験においては、シ ブ部54がせん断して抜けるまで押圧を実施し た。

 図9は、上述した引き抜き力評価試験にお ける、上型76の変位量(mm)と加工荷重(kN)の関 を示す。図9は、加工荷重が約210kN(変位量3mm) に達した時点で、シーブ部54の破損が開始し ん断に至ったことを表している。一般に、 気量2000cc以下の自動車のCVT用シャフト付き ーブにおけるシーブ部に要求される引き抜 強度の下限が、50~65kN(図中の破線で示すレ ル)と考えられていることに鑑みれば、本実 例のCVT用シャフト付きシーブ70において、 の3倍以上の強度が実現されていることが実 された。

 以上、説明したように、本発明によれば 材料損失が少なく、金属材料の加熱工程に けるエネルギー消費を低減することができ 新規な金属部品の製造方法が提供される。 発明の製造方法を各種機械部品の製造分野 適用することによって、省エネルギー、省 源であって、地球環境に対する負荷を低減 ることのできる新規な部品生産プロセスが 築されるであろう。

本発明によって製造される金属部品を す図。 本発明に用いる金属部品の製造装置を す図。 本発明における塑性流動結合の工程を 系列的に示す図。 本発明によって製造された金属部品の 面を拡大して示す図。 本発明によって製造された自動車のCVT シャフト付きシーブの概略図。 本実施例のCVT用シャフト付きシーブの 成部材について示す図。 本実施例に用いた金属部品の製造装置 示す図。 本実施例に使用した引き抜き力評価試 装置を示す図。 引き抜き力評価試験における、上型の 位量(mm)と加工荷重(kN)の関係を示す図。

符号の説明

10…金属部品、12…軸状部材、14…円盤状部材 、16…結合溝、18…結合溝、20…開口部、22… 口部、30…製造装置、32…治具、33…挿入穴 34…結合材、36…パンチ、37…加圧治具、40 CVT用シャフト付きシーブ、42…シーブ、44… ャフト、46…結合材、50…シャフト部、52… 合溝、54…シーブ部、56…結合溝、58…結合 、60…製造装置、62…下型、64…パンチ、70 CVT用シャフト付きシーブ、72…引き抜き力評 価試験装置、74…下型、76…上型