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Title:
METAL FINE PARTICLE-DISPERSING AGENT COMPOSED OF POLYMER COMPOUND HAVING DITHIOCARBAMATE GROUP
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/031594
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a metal fine particle-dispersing agent for forming a dispersion system of metal fine particles. Specifically disclosed is a metal fine particle-dispersing agent which is composed of a branched and/or linear polymer compound having a dithiocarbamate group as a functional group at an end of the molecule, and a weight average molecular weight of 500-5,000,000. The metal fine particle-dispersing agent may be composed of a branched or linear polymer represented by the following formula (1) or formula (4).

Inventors:
YASUI KEI (JP)
OZAWA MASAAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065907
Publication Date:
March 12, 2009
Filing Date:
September 03, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NISSAN CHEMICAL IND LTD (JP)
YASUI KEI (JP)
OZAWA MASAAKI (JP)
International Classes:
C08F12/30; B22F1/0545; B22F1/102; B22F9/24; C08K3/02; C08L25/18; C09C1/62; C09C3/10; C09K23/00; C09K23/52
Domestic Patent References:
WO2006101003A12006-09-28
WO2007049608A12007-05-03
WO2006093050A12006-09-08
WO2008029806A12008-03-13
WO2008029688A12008-03-13
Other References:
YAN ZHAO, QICUN SHI ET AL., J.AM.CHEM.SOC., vol. 127, 2005, pages 7328 - 7329
KOJI ISHIZU,AKIHIDE MORI: "Synthesis of hyperbranched polymers by self-addition free radical vinyl polymerization of photo functional styrene", MACROMOL. RAPI. COMMUN., vol. 21, no. 10, 2000, pages 665 - 668
KOJI ISHIZU, AKIHIDE MORI: "Novel synthesis of branched polystyrenes by quasi-living radical,copolymerization using photofunctional inimer", POLYMER INTERNATIONAL, vol. 50, 2001, pages 906 - 910
KOJI ISHIZU, YOSHIHIRO OHTA ET AL.: "Kinetics of hyperbranched polystyrenes by free radical polymerization of photofuncional inimer", MACROMOLECULES, vol. 35, 2002, pages 3781 - 3784
KOJI ISHIZU, AKIHIDE MORI ET AL.: "Synthesis and characterization of hyperbranched poly(ethylmethacrylate) by quasi-living radical polymerization of photofunctional inimer", POLYMER INTERNATIONAL, vol. 51, 2002, pages 424 - 428
KOJI ISHIZU, TAKESHI SHIBUYA ET AL.: "Kinetics on formation of hyperbranched poly(ethylmethacrylate) via a controlled radical mechanism of photofuncional inimer", MACROMOLECULES, vol. 36, 2003, pages 3505 - 3510
KOJI ISHIZU, TAKESHI SHIBUYA: "Novel synthesis and solution properties of hyperbranched poly(ethyl methacrylate)s by quasi-living radical copolymerazition using photofunctional inimer", POLYMER INTERNATIONAL, vol. 53, 2004, pages 259 - 265
Attorney, Agent or Firm:
HANABUSA, Tsuneo et al. (Shin-Ochanomizu Urban Trinity2, Kandasurugadai 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 62, JP)
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Claims:
金属微粒子の分散系を形成するための金属微粒子分散剤であって、
ジチオカルバメート基を含有し、重量平均分子量が500ないし5000000である分岐状及び/又は線状高分子化合物からなる分散剤。
請求項1記載の金属微粒子分散剤と、金属微粒子とを含む組成物。
前記金属微粒子に、前記金属微粒子分散剤のジチオカルバメート基が付着して複合体を形成している請求項2記載の組成物。
さらに有機溶媒を含む請求項2又は請求項3記載の組成物。
前記金属微粒子が、前記有機溶媒に分散している請求項4記載の組成物。
前記複合体が前記有機溶媒に分散している請求項4記載の組成物。
前記金属微粒子が、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、インジウム、スズ、アンチモン、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タリウム及びビスマスよりなる群より選択される少なくとも1種である請求項2ないし請求項6のいずれか1項記載の組成物。
前記金属微粒子が、金、銀、白金、銅、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム及びイリジウムよりなる群より選択される少なくとも1種である請求項7記載の組成物。
前記金属微粒子が、金、銀、白金及び銅よりなる群より選択される少なくとも1種である請求項8記載の組成物。
請求項2ないし請求項9のいずれか1項に記載の組成物から得られる薄膜。
前記金属微粒子分散剤が式(1):
[式中、
R 1 は水素原子又はメチル基を表し、
R 2 及びR 3 は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、また、R 2 とR 3 は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよく、
A 1 は式(2)又は式(3):
(式中、
A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1ないし30の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、
Y 1 、Y 2 、Y 3 及びY 4 は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。]で表される分岐状高分子である請求項1に記載の金属微粒子分散剤。
前記金属微粒子分散剤が式(4):
[式中、
R 1 は水素原子又はメチル基を表し、
R 2 及びR 3 は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキル基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアルキル基又は炭素原子数7ないし12のアリールアルキル基を表し、また、R 2 とR 3 は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成していてもよく、
A 1 は式(5)又は式(6):
(式中、
A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでいても良い炭素原子数1ないし30の直鎖状、枝分かれ状又は環状のアルキレン基を表し、
Y 1 、Y 2 、Y 3 及びY 4 は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシアノ基を表す。)を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100,000の整数を表す。]で表される線状高分子である請求項1に記載の金属微粒子分散剤。
前記金属微粒子分散剤が前記式(1)で表される分岐状高分子である請求項2記載の組成物。
前記金属微粒子分散剤が前記式(4)で表される線状高分子である請求項2記載の組成物。
前記金属微粒子分散剤と金属塩を混合し、還元剤によって該混合物中の金属塩を還元することを特徴とする請求項2記載の組成物の製造方法。
                                                                        
Description:
ジチオカルバメート基を有する 分子化合物からなる金属微粒子分散剤

 本発明は、高分子中に金属微粒子を分散 るための分散剤、及び該分散剤と金属微粒 とを含む組成物に関する。

 数nmないし数十nm程度の粒径を有する金属 微粒子は、バルク金属とは異なる種々の物理 的、化学的特性を示す。例えば光学的な特性 として、プラズモン吸収と呼ばれる発色機構 により、金属種やサイズに応じた独特の色合 いを示すことは古くから知られており、金属 微粒子の溶液は塗料等の着色剤に用いられて いる。このほかにも、導電性ペースト、透明 導電膜、高密度記録材料、遮光フィルター、 化学センサー、触媒等への応用が広がってい る。

 このような金属微粒子の作製法としては 相法と液相法が挙げられるが、液相法の方 低コストかつ、粒度分布が狭い良質な微粒 を得られやすい。一般に液相法は、金属塩 液に金属と親和性を有する有機分散剤を加 た状態で、還元剤により金属イオンの還元 行って調製する。分散剤としては、クエン 、界面活性剤、チオール基やアミノ基を有 る低分子化合物、ポリビニルピロリドンな の高分子が代表的である。

 特許文献1及び非特許文献1にはチオール 合物を用いた金属微粒子の調製法が示され いる。こうして得られた金属微粒子はチオ ル化合物によって強固に表面を被覆されて るため、粉末として回収することができ、 媒に再分散可能である。また、非特許文献2 はジチオカルバメート基を有する低分子化 物によって被覆された金属微粒子の調製法 示されている。このように、硫黄原子を含 官能基を有する化合物は、金属表面との高 親和性を有するため金属微粒子の分散剤と て優れた特性を示す。

 このような金属微粒子を材料として使用す 際には、該微粒子を単独で用いるのではな 樹脂中へ分散させて使用する場合が多いと えられる。このため、高分子中での金属微 子の分散特性は非常に重要な因子となる。 かしながら、含硫黄化合物により安定化さ たこれらの金属微粒子の高分子中での分散 について評価した例はない。また、ジチオ ルバメート基を有する高分子化合物からな 分散剤によって金属微粒子の安定化を行っ 例もない。

特開2003-193118号公報 Journal of Chemical Society, Chemical Communicati on, 801頁(1994年) Journal of the American Chemical Society, 127号 , 7328頁(2005年)

 本発明は、分散性に優れた金属微粒子を 分子中に分散するための金属微粒子分散剤 即ちジチオカルバメート基を有する高分子 合物からなる分散剤を提供することを目的 したものである。また、該金属微粒子分散 と金属微粒子とを含む組成物を提供するこ を目的としたものである。

 本発明者らは、上記目的を達成するために 意検討した結果、官能基として、N,N-ジアル キルジチオカルバメート基を分子末端に有す る分岐状及び/又は線状高分子が金属微粒子 分散剤として有用であることを見出した。
 また、本発明において金属微粒子の分散剤 してハイパーブランチポリマーを用いた場 、ハイパーブランチポリマーの末端基に官 基としてジチオカルバメート基を有するこ によって、金属表面との高い親和性を有し その結果金属微粒子の分散剤として優れた 散特性を示すことが見出された。

 即ち、本発明は、第1観点として、金属微粒 子の分散系を形成するための金属微粒子分散 剤であって、ジチオカルバメート基を含有し 、重量平均分子量が500ないし5000000である分 状及び/又は線状高分子化合物からなる分散 、
第2観点として、第1観点に記載の金属微粒子 散剤と、金属微粒子とを含む組成物、
第3観点として、前記金属微粒子に、前記金 微粒子分散剤のジチオカルバメート基が付 して複合体を形成している第2観点に記載の 成物、
第4観点として、さらに有機溶媒を含む第2観 又は第3観点に記載の組成物、
第5観点として、前記金属微粒子が、前記有 溶媒に分散している第4観点に記載の組成物
第6観点として、前記複合体が前記有機溶媒 分散している第4観点に記載の組成物、
第7観点として、前記金属微粒子が、スカン ウム、チタン、バナジウム、クロム、マン ン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、 リウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジ コニウム、ニオブ、モリブデン、ルテニウ 、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム インジウム、スズ、アンチモン、ハフニウ 、タンタル、タングステン、レニウム、オ ミウム、イリジウム、白金、金、水銀、タ ウム及びビスマスよりなる群より選択され 少なくとも1種である第2観点ないし第6観点 いずれか1つに記載の組成物。
第8観点として、前記金属微粒子が、金、銀 白金、銅、ニッケル、ルテニウム、ロジウ 、パラジウム、オスミウム及びイリジウム りなる群より選択される少なくとも1種であ 第7観点に記載の組成物。
第9観点として、前記金属微粒子が、金、銀 白金及び銅よりなる群より選択される少な とも1種である第8観点に記載の組成物、
第10観点として、第2観点ないし第9観点のい れか1つに記載の組成物から得られる薄膜、
第11観点として、前記金属微粒子分散剤が式( 1):
 [式中、
R 1 は水素原子又はメチル基を表し、
R 2 及びR 3 は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキ 基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアル ル基又は炭素原子数7ないし12のアリールア キル基を表し、また、R 2 とR 3 は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成し ていてもよく、
A 1 は式(2) 又は式(3): 
(式中、
A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでい ても良い炭素原子数1ないし30の直鎖状、枝分 かれ状又は環状のアルキレン基を表し、
Y 1 、Y 2 、Y 3 及びY 4 は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ない 20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアル コキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロ キシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシ アノ基を表す。)を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100, 000の整数を表す。]で表される分岐状高分子 ある第1観点に記載の金属微粒子分散剤、
第12観点として、前記金属微粒子分散剤が式( 4):
 [式中、
R 1 は水素原子又はメチル基を表し、
R 2 及びR 3 は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキ 基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアル ル基又は炭素原子数7ないし12のアリールア キル基を表し、また、R 2 とR 3 は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成し ていてもよく、
A 1 は式(5) 又は式(6): 
(式中、
A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでい ても良い炭素原子数1ないし30の直鎖状、枝分 かれ状又は環状のアルキレン基を表し、
Y 1 、Y 2 、Y 3 及びY 4 は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ない 20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアル コキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロ キシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシ アノ基を表す。)を表し、
nは繰り返し単位構造の数であって2ないし100, 000の整数を表す。]で表される線状高分子で る第1観点に記載の金属微粒子分散剤、
第13観点として、前記金属微粒子分散剤が前 式(1)で表される分岐状高分子である第2観点 に記載の組成物、
第14観点として、前記金属微粒子分散剤が前 式(4)で表される線状高分子である第2観点に 記載の組成物、
第15観点として、前記金属微粒子分散剤と金 塩を混合し、還元剤によって該混合物中の 属塩を還元することを特徴とする第2観点に 記載の組成物の製造方法である。

 本発明のジチオカルバメート基を含む高分 によって分散された金属微粒子は、粉末と て回収することができ、常温常圧下で凝集 示さず安定である。また、容易に有機溶剤 再分散可能である。さらに、ポリスチレン どの樹脂中に分散させた場合においても、 来のアルキルチオールにより安定化された 属微粒子と比較して凝集せずに一次粒子の まで分散できる。
 このとき、金属微粒子に、金属微粒子分散 のジチオカルバメート基が付着して複合体 形成しており、該複合体において金属微粒 は3ないし5nmの粒径範囲を有する金属核から なる。

 本発明において用いられる金属微粒子とし は特に限定されず、スカンジウム、チタン バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバ ト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、ゲル ニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニ ブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、 ラジウム、銀、カドミウム、インジウム、 ズ、アンチモン、ハフニウム、タンタル、 ングステン、レニウム、オスミウム、イリ ウム、白金、金、水銀、タリウム及びビス スが挙げられ、これらの金属の1種類でもよ いし2種以上の合金でも構わない。好ましく 、金、銀、白金、銅、ニッケル、ルテニウ 、ロジウム、パラジウム、オスミウム及び リジウムを挙げることができる。さらに好 しくは、金、銀、白金及び銅が挙げられる 前記金属微粒子は、金属塩の水溶液に還元 を添加し、金属イオンを還元することによ て得られる。金属塩としては、塩化金酸、 酸銀、硫酸銅、硝酸銅、塩化第一白金、Pt(db a) 2 [dba=ジベンジリデンアセトン]、Pt(cod) 2 [cod=1,5-シクロオクタジエン]、PtMe 2 (cod)、塩化パラジウム、酢酸パラジウム、硝 パラジウム、Pd 2 (dba) 3 (CHCl 3 )]、Pd(dba) 2 、塩化ロジウム、酢酸ロジウム、塩化ルテニ ウム、酢酸ルテニウム、Ru(cod)(cot)[cot=シクロ クタトリエン]、塩化イリジウム、酢酸イリ ジウム、Ni(cod) 2 等が挙げられる。

 上記金属イオンを還元する方法としては 例えば、高圧水銀灯により光照射する方法 還元作用を有する化合物を添加する方法等 挙げることができる。このうち、還元作用 有する化合物を添加する方法が、特別な装 を必要とせず、製造上有利である。

 上記還元作用を有する化合物は、還元剤 して通常使用される各種のものを使用する とができ、例えば、従来、還元剤として使 されている水素化ホウ素ナトリウム等のア カリ金属水素化ホウ素塩、ヒドラジン化合 、クエン酸又はその塩、コハク酸又はその 、アスコルビン酸又はその塩等を使用する とができる。

 上記還元剤の添加量は、上記金属イオン1 molに対して1ないし50molが好ましい。1mol未満 あると、還元が充分に行われず、50molを超え ると、対凝集安定性が低下する。より好まし くは、1.5ないし10molである。

 本発明の金属微粒子の分散剤として用いら るジチオカルバメート基を有する高分子と ては、例えば、上記式(1)で示すものが挙げ れる。式(1)において、R 1 は水素原子又はメチル基を表す。R 2 及びR 3 は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキ 基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアル ル基又は炭素原子数7ないし12のアリールア キル基を表し、また、R 2 とR 3 は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成し ていてもよい。nは繰り返し単位構造の数で って2ないし100,000の整数を表す。また、A 1 は式(2)又は式(3)で表される構造を表す。式(2) 及び式(3)中、A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでい てもよい炭素原子数1ないし30の直鎖状、分岐 状又は環状のアルキレン基を表し、Y 1 、Y 2 、Y 3 及びY 4 は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ない 20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアル コキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロ キシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシ アノ基を表す。
 また、本発明の金属微粒子の分散剤として いられるジチオカルバメート基を有する高 子としては、例えば、上記式(4)で示すもの 挙げられる。式(4)において、R 1 は水素原子又はメチル基を表す。R 2 及びR 3 は、それぞれ、炭素原子数1ないし5のアルキ 基、炭素原子数1ないし5のヒドロキシアル ル基又は炭素原子数7ないし12のアリールア キル基を表し、また、R 2 とR 3 は互いに結合し、窒素原子と共に環を形成し ていてもよい。nは繰り返し単位構造の数で って2ないし100,000の整数を表す。また、A 1 は式(5)又は式(6)で表される構造を表す。式(5) 及び式(6)中、A 2 はエーテル結合又はエステル結合を含んでい てもよい炭素原子数1ないし30の直鎖状、分岐 状又は環状のアルキレン基を表し、Y 1 、Y 2 、Y 3 及びY 4 は、それぞれ、水素原子、炭素原子数1ない 20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアル コキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、ヒドロ キシル基、アミノ基、カルボキシル基又はシ アノ基を表す。

 アルキレン基の具体例としては、メチレン 、エチレン基、ノルマルプロピレン基、ノ マルブチレン基、ノルマルヘキシレン基等 直鎖状アルキレン基、イソプロピレン基、 ソブチレン基、2-メチルプロピレン基等の 岐状アルキレン基が挙げられる。また環状 ルキレン基としては、炭素原子数3ないし30 単環式、多環式、架橋環式の環状構造の脂 式脂肪族基が挙げられる。具体的には、炭 原子数4以上のモノシクロ、ビシクロ、トリ クロ、テトラシクロ、ペンタシクロ構造等 有する基を挙げることができる。炭素原子 1ないし20のアルキル基としては、メチル基 エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシ 基及びノルマルペンチル基等が挙げられる 炭素原子数1ないし20のアルコキシ基として 、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキ 基、シクロヘキシルオキシ基及びノルマル ンチルオキシ基等が挙げられる。ハロゲン 子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素 子及びヨウ素原子である。Y 1 、Y 2 、Y 3 及びY 4 としては、水素原子又は炭素原子数1ないし20 のアルキル基が好ましい。

 なお、本発明の金属微粒子の分散剤とし 用いられるジチオカルバメート基を有する 分子としては、ゲル浸透クロマトグラフィ によるポリスチレン換算で測定される重量 均分子量Mwが500ないし5000000、又は1000ないし 1000000、又は2000ないし500000、又は3000ないし200 000である。また、分散度Mw(重量平均分子量)/M n(数平均分子量)としては1.0ないし7.0、又は1.1 ないし6.0、又は1.2ないし5.0である。

 上記分散剤の添加量は、上記金属イオン1 00質量部に対して50ないし2000質量部が好まし 。50質量部未満であると、上記金属微粒子 分散性が不充分であり、2000質量部を超える 、有機物含有量が多くなり、物性等に不具 が生じやすくなる。より好ましくは、100な し1000質量部である。

 以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳 く説明するが、本発明はこれら実施例のみ 限定されるものではない。

参考例1
<N,N-ジエチルジチオカルバミルメチルスチ ンの合成>
 2Lの反応フラスコに、クロロメチルスチレ [セイミケミカル(株)製、CMS-14(商品名)]120g、N ,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウム3 和物[関東化学(株)製]181g、アセトン1400gを仕 み、撹拌下、40℃で1時間反応させた。反応 、析出した塩化ナトリウムを濾過して除き その後エバポレーターで反応溶液からアセ ンを留去させ、反応粗粉末を得た。この反 粗粉末をトルエンに再溶解させ、トルエン/ 水系で分液後、-20℃の冷凍庫内でトルエン層 から目的物を再結晶させた。再結晶物を濾過 、真空乾燥して、白色粉末の目的物206g(収率9 7%)を得た。液体クロマトグラフィーによる純 度(面百値)は100%であった。融点56℃。

参考例2:
<ジチオカルバメート基を分子末端に有す スチレン系ハイパーブランチポリマーの合 >
 300mLの反応フラスコに、N,N-ジエチルジチオ ルバミルメチルスチレン108g、トルエン72gを 仕込み、撹拌して淡黄色透明溶液を調製した 後、反応系内を窒素置換した。この溶液の真 中から100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製 HL-100]を点灯させ、内部照射による光重合反 を、撹拌下、室温で12時間行なった。
 次にこの反応液をメタノール3000gに添加し ポリマーを高粘度な塊状状態で再沈した後 上澄み液をデカンテーションで除いた。さ にこのポリマーをテトラヒドロフラン300gに 溶解した後、この溶液をメタノール3000gに 加してポリマーをスラリー状態で再沈した このスラリーを濾過し、真空乾燥して、白 粉末の目的物48gを得た。ゲル浸透クロマト ラフィーによるポリスチレン換算で測定さ る重量平均分子量Mwは20,900、分散度Mw/Mnは4.9 あった。元素分析は、炭素64.6%、水素7.4%、 素5.0%、硫黄25.3%であった。熱重量分析より 5%重量減少温度は248℃であった。

実施例1 分岐状高分子を用いた金微粒子の調 製
 下記の式(7)で表される参考例2で合成した分 岐状高分子0.5gをテトラヒドロフラン(THF)溶液 200mLに溶解させ、これに30mM塩化金酸水溶液6.7 mLを加えた。次いで0.1M水素化ホウ素ナトリウ ム水溶液10mLを5分間程度かけて滴下した。滴 に伴って溶液は褐色へと変化した。30分間 拌を行った後、THFを減圧により留去すると に不溶の黒色の沈殿が析出した。これを濾 してイオン交換水で洗浄した後、THF溶液20mL 加えて溶解させ、メタノールにより再沈殿 行った。得られた粉末を回収し、乾燥を行 た。得られた金微粒子のTHF溶液のUV-Visスペ トルを図1に示す。図1のUV-Visスペクトルに いて、520nm付近に金微粒子の表面プラズモン 吸収が観察されることから、金微粒子がナノ メートルオーダーのサイズで分散しているこ とが分かる。
 また、誘導結合プラズマ発光分析装置(ICP-AE S)により組成物中の金含有量を求めた結果、6 .4wt%であった。
 また、得られた金微粒子を走査型透過型電 顕微鏡(STEM:HITACHI社製 JEM2100F)により高角散 環状暗視野法(HAADF)法を用いて、観察を行っ た。その結果得られた画像を図3に示す。さ に、図3中の矢印で示された領域をエネルギ 分散型X線分析装置(EDX)により元素分析を行 た結果を図4に示す。図4より、コントラス の強い、矢印で示された領域に金原子が多 含まれていることがわかった。また、コン ラストの弱い領域で観測されているのは、 岐状高分子によるものである。同じ試料に いて異なる倍率で撮影した画像を図5に示す さらに図5中の矢印で示された領域をエネル ギー分散型X線分析装置(EDX)により元素分析を 行った結果を図6に示す。図6より、コントラ トの強い、矢印で示された領域に金原子が く含まれていることがわかった。また、コ トラストの弱い領域で観測されているのは 分岐状高分子によるものである。これらの とより、分岐状高分子と金微粒子が複合体 形成していることがわかった。金属微粒子 散剤のジチオカルバメート基が金微粒子に 着することによって、複合体が形成されて ると考えられる。
 而して、本実施例で得られた分岐状高分子 金微粒子からなる複合体において、その周 の金属核(金微粒子)の平均粒径は2.8nmであっ た。

参考例3:
<1,2-ビス(N,N-ジエチルジチオカルバミル)エ ン EDC2の合成>
 1000mLの反応フラスコに、1,2-ジクロロエタン 、N,N-ジエチルジチオカルバミド酸ナトリウ 3水和物[関東化学(株)製]109g、アセトン400gを 込み、撹拌下、40℃で18時間反応させた。反 応後、析出した塩化ナトリウムを濾過して除 き、その後エバポレーターで反応溶液からア セトンを留去させ、反応粗粉末を得た。この 反応粗粉末をトルエンに再溶解させ、トルエ ン/水系で分液後、トルエンを留去させて白 の粗結晶を得た。この粗結晶をトルエン180g 用いて再結晶を行い、目的の白色結晶(EDC2)4 8g(収率75%)を得た。液体クロマトグラフィー よる純度(面百値)は99%であった。

参考例4:
<直鎖状ポリクロロメチルスチレン LPS-Clの 合成>
 100mLの反応フラスコに、クロロメチルスチ ン[セイミケミカル(株)製、CMS-14(商品名)]20g トルエン20g、参考例3にて合成したEDC2 0.24g 仕込み、反応系内を窒素置換した。この溶 を100Wの高圧水銀灯[セン特殊光源(株)製、HL-1 00]から距離5cmの位置に固定し、外部照射によ る光重合反応を、撹拌下、室温で5時間行な た。この時の転化率は20%だった。トルエン60 gをいれて希釈した後、この反応液を1000gのメ タノールを用いて再沈精製を実施し、減圧濾 過を行い、白色固体を得た。得られた固体を キシレン10gで再溶解し、メタノール1000gを用 て再沈精製を行い、減圧濾過、真空乾燥を 施して目的のLPS-Clを2.8g得た。得率14%。

参考例5:
<ジチオカルバメート基を側鎖に有する直 状ポリスチレン LPSの合成>
 100mLの反応フラスコに、比較例4にて合成し LPS-Cl2.0g、N,N-ジエチルジチオカルバミド酸 トリウム3水和物[関東化学(株)製]4.0g、NMP48g 仕込み、撹拌下、40℃で18時間反応させた。 応後、反応溶液からNMPを留去させ、反応粗 末を得た。この反応粗粉末をトルエン20gに 溶解させ、トルエン/水で分液後、トルエン を留去させて白色固体を得た。この白色固体 をトルエン20gを用いて溶解し、メタノール600 gを用いて再沈精製を行い、減圧濾過、真空 燥を実施して目的のLPSを3.2g得た。得率91%。
 GPCによるポリスチレン換算で測定される重 平均分子量Mwは35,000、分散度Mw/Mnは2.2であっ た。絶対分子量を測定したところ重量平均分 子量Mwは42,000であった。分岐の程度を示す指 として分岐度を絶対分子量Mw/相対分子量Mw 定義した。この時分岐度は1.20であった。
 粘度の測定を次のように行った。HPS0.6g、ト ルエン0.9gの均一溶液(40質量%トルエン溶液)を 作成し、粘度計(東機産業(株)VISCOMETER TV-22 TV -L)で粘度を測定したところ、測定温度20℃で9 5mPa・sであった。

実施例2 線状高分子を用いた金微粒子の調製
 実施例1における式(7)で表される分岐状高分 子の代わりに、下記の式(8)で表される線状高 分子を用いたこと以外は実施例1と同様に行 た。得られた金微粒子のTHF溶液のUV-Visスペ トルを図2に示す。図2のUV-Visスペクトルにお いて図1と同様に、520nm付近に金微粒子の表面 プラズモン吸収が観察されることから、金微 粒子がナノメートルオーダーのサイズで分散 していることが分かる。

実施例3 分岐状高分子を用いた銀微粒子の調 製
 実施例1における塩化金酸の代わりに硝酸銀 を用いたこと以外は実施例1と同様に行った 得られた粉末をICP-AESにより組成物中の銀含 量を求めた結果、1.3wt%であった。また、こ 結果得られた分岐状高分子と銀微粒子から る複合体の金属核の平均粒径は、2.3nmであ た。

実施例4 分岐状高分子を用いたパラジウム微 粒子の調製
 Pd(OAc) 2 (0.1mmol、24mg)を20mL反応シュレンク管に入れ、 素置換した。THF(5mL)を加え数分攪拌した。 途メチルトリオクチルアンモニウムクロラ ド(0.05mmol、22mg)を二つ口フラスコ(20mL)に入れ 、窒素置換した後THF(5mL)を加えた溶液を滴下 た。系中を水素で置換し、室温で16時間攪 した。別途、式(7)で表される分岐状高分子(0 .2mmol、53.5mg)を二つ口フラスコ(20mL)に入れ、 素置換した後THF(5mL)を加えた溶液を滴下し、 60℃で一晩攪拌した。反応溶液にアルゴンで 気した水(5mL)加え再沈精製を行い、濾過、 圧乾燥し黒色沈殿(42mg)を得た。透過型電子 微鏡(TEM:JEOL社製 JEM2100F)観察により、パラジ ウム微粒子の粒子径は5nmであった。その結果 を図7に示す。

実施例5 分岐状高分子を用いた白金微粒子の 調製
 Pt(DBA) 2 (DBA:ジベンジリデンアセトン、0.2mmol、132mg)を 20mL反応シュレンク管に入れ、窒素置換した THF(5mL)を加え数分攪拌した。別途、式(7)で表 される分岐状高分子(0.1mmol、26.5mg)を二つ口フ ラスコ(20mL)に入れ、窒素置換した後、THF(5mL) 加えた溶液を滴下により加えた。系中を水 で置換し、室温で16時間攪拌した。反応溶 をメタノールで再沈精製を行い、濾過、減 乾燥し黒色沈殿(35mg)を得た。透過型電子顕 鏡(TEM:JEOL社製 JEM2100F)観察により、白金微粒 子の粒子径は2nmであった。

実施例6 樹脂と金微粒子の混合
 実施例1で得られた金微粒子0.05g、ポリスチ ン[Aldrich社製 MW:280,000]0.240gを固形分濃度10% なるように溶解させたトルエン溶液を、300r pm5秒間、2500rpm30秒間でガラス基板上にスピン コートを行った。80℃で5分間加熱して乾燥さ せた。この組成物中における金の質量は1.3wt% とした。
 得られたポリスチレン薄膜の断面は、透過 電子顕微鏡(TEM:HITACHI社製 H-8000)により観察 れ、その結果を図8に示す。

比較例1
 非特許文献1に従って、ドデカンチオールに より被覆された金微粒子の調製を行った。30m M塩化金酸水溶液30mLに50mMのテトラオクチルア ンモニウムブロミドのトルエン溶液80mLを加 た。これにドデカンチオール170mgを加えて、 金イオンがトルエン層に移行するまで十分に 攪拌を行った後、0.4M水素化ホウ素ナトリウ 水溶液25mLを5分間程度かけて滴下した。滴下 に伴って溶液は褐色へと変化した。トルエン 層を分取し、2mL程度になるまで濃縮してエタ ノール400mLによって再沈殿を行った。得られ 粉末を回収し、乾燥を行った。得られた粉 をICP-AESにより組成物中の金含有量を求めた 結果、67wt%であった。

比較例2
 比較例1で得られた金微粒子0.005g、ポリスチ レン[Aldrich社製 MW:280,000]0.245gを固形分濃度10% となるように溶解させたトルエン溶液を、300 rpm5秒間、2500rpm30秒間でガラス基板上にスピ コートを行った。80℃で5分間加熱して乾燥 せた。この組成物中における金の質量は1.3wt %とした。得られたポリスチレン薄膜の断面 を図9に示す。

 実施例6、比較例2いずれの薄膜においても 色に着色しており、見た目の顕著な差異は 認されなかったが、透過型電子顕微鏡(TEM)観 察結果より、実施例6では、ポリスチレン中 金微粒子が分散しているのに対して(図8)、 較例2では、金微粒子が凝集している様子が 測された(図9)。このことから、ジチオカル メート基を含む高分子により安定化された 属微粒子は従来のアルカンチオール保護の 属微粒子と比較して樹脂中での分散性に優 ていると言える。
 また、非特許文献2において記載されている ジチオカルバメート基によって被覆された金 微粒子は、CS 2 及びテトラ(N-メチル)アミノメチルレゾルシ レーン(TMAR)によって処理された40nmの平均粒 を有するものであるのに対し、実施例1で得 られたジチオカルバメート基を有する分岐状 高分子によって被覆された金微粒子複合体の 金属核は2.8nmの平均粒径を有するものであっ 。従って、本発明のジチオカルバメート基 含む高分子により安定化された金微粒子は 非特許文献2に記載される金微粒子よりはる かに小さい粒径を有するものである。本発明 のような粒径を有する金属ナノ粒子は、その サイズにより顕著な量子サイズ効果を示し、 バルクでは見られない特異な物理的・化学的 性質が発現すると考えられているためその応 用が期待できる。

 本発明の金属微粒子分散剤を用いること よって、小さい粒径を有する金属微粒子複 体を得ることができた。また、該金属微粒 分散剤としてハイパーブランチポリマーを いることによって、末端基を多く有するハ パーブランチポリマーの構造を活かし、そ 末端基の一部を他の官能基と置き換えるこ によって、別の機能を付与することができ その結果複合的特性を有する金属微粒子複 体を提供することが可能となるであろう。

実施例1により得られた金微粒子のUV-Vis スペクトルである。 実施例2により得られた金微粒子のUV-Vis スペクトルである。 実施例1により得られた金微粒子のSTEM である。 図3の矢印で示された領域のエネルギー 分散型X線分析装置による元素分析結果であ 。 実施例1により得られた金微粒子のSTEM である。 図5の矢印で示された領域のエネルギー 分散型X線分析装置による元素分析結果であ 。 実施例4により得られたパラジウム微粒 子のTEM像である。 実施例6により得られた金微粒子のポリ スチレン薄膜での断面図のTEM像である。 比較例2により得られた金微粒子のポリ スチレン薄膜での断面図のTEM像である。