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Patent Searching and Data


Title:
METAL LAYER LAMINATE WITH METAL SURFACE ROUGHENED LAYER AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/001665
Kind Code:
A1
Abstract:
A metal layer laminate with metal surface roughened layer having surface characteristics such that even when the surface roughness is low, high adherence to resin materials would be realized; and a process for easily producing a metal layer laminate composed of a metal layer and a resin substrate or resin insulating film or the like, excelling in the adherence to resin materials. The metal layer laminate comprises a metal layer and, superimposed on the surface thereof, a resin thin film and a metal surface roughened layer. In the metal layer laminate, the interface structure of resin thin film and metal surface roughened layer appearing when the metal layer laminate is split in the normal direction thereof is fractal. The fractal dimension of the interface structure calculated in accordance with the box count method setting the measurement object region to 50 nm to 5 μm and setting the box size (pixel size) to 1/100 or less of the measurement object region is in the range of 1.05 to 1.50. The metal layer laminate can be obtained by a process comprising the steps of forming a resin thin film on the surface of a metal layer and performing plating on the metal layer with the resin thin film.

Inventors:
UEKI SHIKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/060554
Publication Date:
December 31, 2008
Filing Date:
June 09, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUJIFILM CORP (JP)
UEKI SHIKI (JP)
International Classes:
B32B15/08; C23C28/00; H05K3/18; H05K3/38
Foreign References:
JPH0690087A1994-03-29
JPH08125337A1996-05-17
Attorney, Agent or Firm:
NAKAJIMA, Jun et al. (NAKAJIMA & KATOSeventh Floor, HK-Shinjuku Bldg.,3-17, Shinjuku 4-chome,Shinjuku-k, Tokyo 22, JP)
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Claims:
 金属層表面に樹脂薄膜及び金属表面粗化層を形成してなる金属層積層体であって、
 該金属積層体をその法線方向に割断した際に現れる樹脂薄膜と金属表面粗化層との界面構造がフラクタル状であり、測定対象領域を50nm~5μm、且つ、ボックスサイズを該測定対象領域の1/100以下に設定したボックスカウント法を適用して算出した該界面構造のフラクタル次元が、1.05以上1.50以下である金属層積層体。
 前記界面構造のフラクタル次元が1.1以上1.4以下である請求項1に記載の金属層積層体。
 前記樹脂薄膜の樹脂が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はそれらの混合物である、請求項1に記載の金属層積層体。
 前記樹脂薄膜の樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、シソシアネート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、及びポリエーテルイミドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項3に記載の金属層積層体。
 金属層表面に金属表面粗化層を有する金属層積層体の製造方法であって、金属層表面に樹脂薄膜を形成する工程と、該樹脂薄膜付き金属層を電解めっき液、又は、無電解めっき液に浸漬し、めっき処理を行う工程とを有することを特徴とする金属層積層体の製造方法。
 前記金属層が、金属箔、又は、基板上に回路形成されたプリント配線板の金属配線である請求項5に記載の金属層積層体の製造方法。
 前記金属層のISO 4287 1997に規定される算術平均粗さRaが0.5μm以下である請求項5又は請求項6に記載の金属層積層体の製造方法。
 前記樹脂薄膜の厚みが0.1~10μmの範囲にあり、且つ、前電解めっき又は無電解めっきに用いられるめっき液中に存在する金属イオン又は金属塩の前記樹脂薄膜に対する拡散係数が10 -4 m 2 /sec.~10 -10 m 2 /sec.の範囲にあることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の金属層積層体の製造方法。
 前記金属表面粗化層のISO 4287 1997に規定される算術平均粗さRaが0.5μm以下である請求項5から請求項8のいずれか1項に記載の金属層積層体の製造方法。
 前記金属層積層体を、その法線方向に割断した際に現れる金属表面粗化層と樹脂薄膜の界面構造がフラクタル状であり、測定対象領域を50nm~5μm、且つ、ボックスサイズを該測定対象領域の1/100以下に設定したボックスカウント法を適用して算出した該界面構造のフラクタル次元が1.05以上1.50以下である、請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の金属層積層体の製造方法。
 前記樹脂薄膜の樹脂が、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、又はそれらの混合物である、請求項5に記載の金属層積層体。
 前記樹脂薄膜の樹脂が、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、シソシアネート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、及びポリエーテルイミドからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項11に記載の金属層積層体。
Description:
金属表面粗化層を有する金属層 層体及びその製造方法

 本発明は、樹脂層との密着性に優れた表 粗化層を有する金属層積層体及びその製造 法に関する。本発明は特に、金属配線板又 プリント配線板を形成するのに有用な表面 状を有する金属層積層体及びその簡易な製 方法に関する。

 電子機器の電子回路には、絶縁材と導電 とからなる積層板を回路加工したプリント 線板が用いられている。プリント配線板は 絶縁基板の表面および内部に、電気設計に づく導体パターンを導電性材料で形成固着 たものである。プリント配線板は、基板と る樹脂の種類によって、板状のリジッド配 板と、柔軟性に富んだフレキシブル配線板 に大別される。特に、フレキシブル配線板 、可撓性を持つことが特徴であり、常時屈 を繰り返すような可動部では接続用必需部 となっている。

 従来のプリント基板においては、樹脂など 有機材料と金属層との密着性を確保するた に、例えば、過マンガン酸処理などによる 脂基板の粗面化処理、さらに、配線形成後 その表面に絶縁樹脂層を形成する場合には 化学エッチングなどによる金属配線上側面 粗面化処理、などを行い、いずれの場合も 面に数ミクロン以上の凹凸を形成する。こ ように有機材料と金属との密着は表面に凹 を形成する方法により行なわれるのが一般 である。
 このような表面の粗面化手段では、導体配 が微細化されるにしたがい、導体配線と基 又はソルダーレジスト若しくは上層の絶縁 との密着性が保持できず、導体配線を形成 ること自体が困難となり、また、形成され プリント基板についても導体配線の剥離や 傷が生じやすくなる。すなわち故障しやす 、プリント基板としての信頼性を保つこと 困難となる。また、単純に凹凸を小さくし 滑化した場合、高周波伝送は良化されるが 上述の密着性の問題の解決策とはならない

 しかしながら、近年、さらなる配線の微 化(高密度化又はファインピッチ化)が求め れ、さらには、高周波伝送における表面凹 による悪影響なども懸念される。そこで、 細な配線又は薄層などの金属層において、 属層自体が必要とされる特性を損なうこと ない程度に表面の平滑性を維持したまま、 着性を向上させる技術が求められている。

 これら問題を解決する為に、例えば、基 と配線との密着性を高める方法として、表 グラフトポリマーを用いることで、基板の 凸を最小限にとどめながら金属層の密着性 向上させる方法が提案されている(例えば、 特開昭58-196238号公報、Advanced Materials 第20号( 2000年)P1481-1494参照。)。このグラフトポリマ を用いた方法においては、非常に高価な装 (γ線発生装置、電子線発生装置など)が必要 あり、また、金属層の密着に有用なグラフ ポリマーが実用上十分な程度には生成され いという懸念がある。

 また、配線とカバーレイ、すなわち配線の 側面と絶縁樹脂層との密着性を高める方法 して、例えばチオール基を有するトリアジ 化合物などの、銅との相互作用の強い有機 面処理剤を用いる方法が提案されている(例 えば、特開2005-306023公報参照。)。この方法は 配線と該配線上面の樹脂層との密着性向上に はある程度の効果を奏するものの、配線とそ の下に位置する基板との密着性を向上させる 用途には適用できない。また、密着性が配線 を構成する銅との化学結合(配位結合)に依存 るため、ある程度の銅の表面積を必要とす 、言い換えれば、ある程度の表面粗さを必 とし、適用できる金属にも制限があり、汎 性に欠けるといった問題があった。
 また、他の方法として、金属表面に金属酸 物を析出させ、それを還元することによっ 粗化層を形成する方法が提案されている(例 えば、特開平5-33193号公報参照。)。しかし、 の方法では結晶の粒界部分から酸化が進む め、酸化膜を除去した後に得られる粗化面 、金属箔に対してエッジを持つ構造になり すい。したがって、せん断又は引張り応力 の耐性が弱く、特に耐折性が要求されるフ キシブル基板や、プリント基板の品質保証 必須である温度サイクル試験への耐性は充 とは言えない。
 また、粗化面の凹凸の周期が結晶粒の大き に支配されるため、上記方法で高い密着強 を発現するには、表面粗さRaを大きくする 要がある。
 以上のように、銅を主体とする金属箔と樹 との密着力を表面粗さの拡大によらず向上 せる方法が種々検討されているが、この要 を満足しうる方法はいまだ見出されていな 。

 上記問題点を考慮して、本発明の目的は 表面粗さが小さい場合であっても樹脂材料 の密着性の高い表面性状を有する金属表面 化層を備えた金属層積層体、並びに、金属 と樹脂基板、及び金属配線とその表面に形 される樹脂絶縁膜に代表される樹脂材料と 密着性に優れた金属層積層体の簡易な製造 法を提供することにある。

 本発明者は鋭意検討の結果、金属表面に微 なフラクタル構造を有する金属表面粗化層 備えることにより、前記課題を解決しうる とを見出し、本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、以下の構成を有する
(1) 金属層表面に樹脂薄膜及び金属表面粗化 を形成してなる金属層積層体であって、
 該金属積層体をその法線方向に割断した際 現れる樹脂薄膜と金属表面粗化層の界面構 がフラクタル状であり、測定対象領域を50nm ~5μm、且つ、ボックスサイズ(ピクセル・サイ ズ)を該測定対象領域の1/100以下に設定したボ ックスカウント法を適用して算出した該界面 構造のフラクタル次元が、1.05以上1.50以下で る金属層積層体。
(2) 前記界面構造のフラクタル次元が1.1以上1 .4以下である(1)に記載の金属層積層体。
(3) 前記樹脂薄膜の樹脂が、熱硬化性樹脂、 可塑性樹脂、又はそれらの混合物である、( 1)に記載の金属層積層体。
(4) 前記樹脂薄膜の樹脂が、エポキシ樹脂、 ェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエス ル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフ ン樹脂、シソシアネート樹脂、フェノキシ 脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフ ン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェ レンサルファイド、ポリフェニルエーテル 及びポリエーテルイミドからなる群より選 される少なくとも1種である、(3)に記載の金 属層積層体。
(5) 金属層表面に金属表面粗化層を有する金 層積層体の製造方法であって、金属層表面 樹脂薄膜を形成する工程と、該樹脂薄膜付 金属層を電解めっき液、又は、無電解めっ 液に浸漬し、めっき処理を行う工程とを有 ることを特徴とする金属層積層体の製造方 。
(6) 前記金属層が、金属箔、又は、基板上に 路形成されたプリント配線板の金属配線で る(5)に記載の金属層積層体の製造方法
(7) 前記金属層のISO 4287 1997(JIS B 0601)に規 される算術平均粗さRaが0.5μm以下である(5)又 は(6)に記載の金属層積層体の製造方法。
(8) 前記樹脂薄膜の厚みが0.1~10μmの範囲にあ 、且つ、前電解めっき又は無電解めっきに いられるめっき液中に存在する金属イオン は金属塩の前記樹脂薄膜に対する拡散係数 10 -4 m 2 /sec.~10 -10 m 2 /sec.の範囲にあることを特徴とする(5)~(7)のい ずれか1項に記載の金属層積層体の製造方法
(9) 前記金属表面粗化層のISO 4287 1997(JIS B 0 601)において規定される算術平均粗さRaが0.5μm 以下である(5)~(8)のいずれか1項に記載の金属 積層体の製造方法。
(10) 前記金属層積層体を、その法線方向に割 断した際に現れる金属表面粗化層と樹脂薄膜 との界面構造がフラクタル状であり、測定対 象領域を50nm~5μm、且つ、ボックスサイズ(ピ セル・サイズ)を該測定対象領域の1/100以下 設定したボックスカウント法を適用して算 した該界面構造のフラクタル次元が、1.05以 1.50以下である、(5)~(9)のいずれか1項に記載 金属層積層体の製造方法。
(11) 前記樹脂薄膜の樹脂が、熱硬化性樹脂、 熱可塑性樹脂、又はそれらの混合物である、 (5)に記載の金属層積層体。
(12) 前記樹脂薄膜の樹脂が、エポキシ樹脂、 フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエス テル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフ ィン樹脂、シソシアネート樹脂、フェノキシ 樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフ ォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェ ニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル 、及びポリエーテルイミドからなる群より選 択される少なくとも1種である、(11)に記載の 属層積層体。

 本発明の製造方法は、高分子鎖を利用した 属の還元析出方法を適用したものである。 属層表面に樹脂薄膜を形成し、めっき処理 行うことで、樹脂薄膜中に拡散又は浸透し 金属イオン又は金属塩が、ベースとなる金 層表面において還元及び析出することによ 新たに、金属層に密着したフラクタルな金 表面(複雑な構造を持つ金属表面)を有する 属表面粗化層を形成することができる。こ 金属表面は、金属の表面粗さは低いが、そ 複雑且つ微細な表面凹凸により、金属・樹 間の密着強度を配線全面に亘って高めるこ ができる程度の表面積をもつことになる。 のため、この製造方法を用いて得られた金 層積層体は、高密度化、ファインピッチ化 及び高周波化に適したプリント配線板の製 に有用である。
 本発明の製造方法は、金属表面粗化層を形 するに際して、先に樹脂層を形成し、その 、析出金属を利用して金属表面粗化層を形 することを特徴とする。即ち、このような 常と異なるプロセス、即ち、フラットな金 層表面に直接樹脂層を形成するプロセスを ることで金属と樹脂層との密着性向上を達 した本発明の製造方法は、簡易で且つ材料 択の幅もひろい新規な方法であり得る。

 なお、本発明における「表面粗さRa」とは ISO 4287 1997(JIS B 0601(1994年))において規定さ れる算術平均粗さ(Ra)に基づくものである。 た、その表面粗さは、ISO 4288 1996(JIS B 0633( 2001年))に規定の粗さ評価手順に従って評価さ れる。
 本発明に記載される「フラクタル次元(ボッ クスカウント次元)」は、次のように定義さ る。ある図形Fを大きさδの箱(ボックス)で覆 うために必要なボックスの個数をN δ (F)とすると、ボックス次元は下記式で定義さ れる。

 ここでボックスを仮に半径δの球に選んで 、あるいは一辺δの立方体に選んでも良い。 次元の値はこうしたボックスの形には依らな い。
 なお、この方法では、視野の大きさに相当 る測定対象領域及び分解能に相当するボッ スサイズ(ピクセル・サイズ)の相違により 算出されるフラクタル次元に変動が生じる 、本発明においては、金属表面粗化層に必 とされる、微細な表面凹凸形状と高周波特 に影響を与えない平滑性とを考慮して、フ クタル次元を求めるに際して測定対象領域 50nm~5μm、δの大きさ(ボックスサイズ又はピ セル・サイズ)をこの測定対象領域の1/100以 の範囲に規定している。

 本発明は、金属表面に薄い樹脂層を設置し めっき工程により金属析出を行なうという いわゆる不安定環境下での結晶析出方法を 用したものである。本発明において樹脂薄 を利用することで、析出により形成される 晶形態は微細かつ複雑性の高い結晶形態(拡 散律速凝集)、すなわち典型的なフラクタル 造をとる。結晶形態が微細かつ複雑である め、樹脂との絡み合いや樹脂・金属間の接 面積が非常に大きくなる。
 これにより、表面粗さが小さい場合であっ も樹脂材料との密着性の高い表面性状を有 る金属表面粗化層を備えた金属層積層体、 びに、金属層と樹脂基板、及び金属配線と の表面に形成される樹脂絶縁膜に代表され 樹脂材料との密着性に優れた金属層積層体 簡易な製造方法を提供することができる。

実施例1の金属層積層体における金属表 面粗化層及び樹脂薄膜の断面写真の界面部分 (線分)を抽出した画像である。

 以下、本発明の金属層積層体について、そ 製造方法とともに、詳細に説明する。
 本発明の金属層積層体は、金属層表面に金 表面粗化層及び樹脂薄膜を形成してなる金 層積層体であって、該金属積層体をその法 方向に割断した際に現れる樹脂薄膜と金属 面粗化層との界面構造がフラクタル状であ 、測定対象領域を50nm~5μm、且つ、ボックス イズ(ピクセル・サイズ)を該測定対象領域 1/100以下に設定したボックスカウント法を適 用して算出した該界面構造のフラクタル次元 が1.05以上1.50以下であることを特徴とする。
 本発明においてベースとなる金属層上に形 される、前記条件を満たす、表面が微細な ラクタル状の凹凸を有する金属表面粗化層 、表面粗さが小さいものであっても、その 雑な表面形状に起因して十分な表面積を有 るものとなり、それに隣接して樹脂材料か なる層を形成する場合にも該樹脂層との密 性に優れる。
 このため、本発明の金属層積層体は、金属 線を有する配線基板の形成、金属表面への 種樹脂層の被覆、及び意匠的樹脂膜の形成 どの用途に好適に使用しうる。

金属層
 本発明においてその表面に金属表面粗化層 形成されるベースとなる金属層には特に制 はない。金属層自体は、固体金属であって 、金属の薄層であってもよく、また、任意 固体表面に形成された金属層、例えば、金 配線なども本発明における金属層とするこ ができる。これらのなかでも、可撓性の樹 材料と金属層とを密着させる用途として汎 の多層配線板、より詳細にはフレキシブル 層配線基板などの製造に有用であるという を考慮すれば、金属層として、金属箔ある は任意の基板表面に形成された金属配線な を用いると、本発明の効果が著しい。
 金属層を構成する金属には特に制限はなく 無電解めっき処理、及び電解めっき処理の ずれかが適用できれば、種々の金属から任 に選択することができる。金属は単体であ ても、合金であってもよく、金属材料にフ ラーや添加剤が含まれるものであってもよ 。
 本発明に用いられる金属層の金属種として 、特に限定されるものではなく、必要に応 て適宜選択しうる。金属樹脂積層板あるい プリント配線板用途に用いる場合の好まし 金属としては、電気伝導度や腐食性の観点 ら、銅、銀、金、パラジウム、白金、ニッ ル、アルミニウムが挙げられ、銅、銀、金 がより好ましい。

 配線基板用途に用いる場合の金属層の厚み 即ち、金属箔の厚み、あるいは金属配線高 は、2~100μmの範囲であることが好ましく、 り好ましくは5~50μmの範囲である。
 本発明の金属層積層体は、従来のプリント 線板における金属配線と比して、特に微細 線に対して効果を示すが、具体的には、微 配線の配線幅が3~200μmであると効果的であ 、5~50μmであるとより効果的である。

 本発明の製造方法は、ベースとなる金属 の凹凸の状態に拘わらず適用することがで るが、後述する配線基板の作製などに適用 る場合には、配線の特性を考慮すれば、表 粗さRaとして0.8μm以下のものを用いること 好ましく、0.5μm以下のものがより好ましい 本発明によれば、このような表面平滑な金 層に適用した場合でも、樹脂層との密着性 向上させうる金属表面粗化層を形成するこ ができる。

金属層表面に樹脂薄膜を形成する工程
 本発明の金属層積層体の製造方法において 、前記の如き金属層、より具体的には、金 箔上又はプリント配線板(回路基板)上に形 された配線上に樹脂薄膜を形成する。
 樹脂薄膜の形成方法としては、公知の塗布 或いは転写法などを適用することができる
 ここで形成される樹脂薄膜は厚みが均一で 且つ、欠陥がないことを要する。例えば、 脂薄膜を塗布法により形成する場合、塗布 上にハジキなどの欠陥が生じると、後述す 金属表面粗化層を形成する際に金属析出が 陥部分に集中しやすく、所望の微細な凹凸 有する表面形成が困難となる。

 樹脂薄膜を形成する樹脂材料としては、熱 化性樹脂、熱可塑性樹脂、及び、それらの 合物のいずれも用いることができる。しか 、金属表面粗化層を形成するのに要する時 めっき浴中に浸漬したとき、樹脂薄膜の溶 又は剥離が生じると、均一な樹脂薄膜を維 できないため、このような水溶性が極めて い樹脂、又は、酸若しくはアルカリ可溶性 極めて高く、樹脂めっき中に膜が溶解する あるいは、剥がれてしまうような樹脂は本 明の樹脂膜形成用としては適さない。
 樹脂膜形成に使用しうる樹脂材料について 、例えば、熱硬化性樹脂としては、エポキ 樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、 リエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポ オレフィン樹脂、シソシアネート樹脂等が げられる。
 エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾー ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノー A型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポ シ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ 脂、アルキルフェノールノボラック型エポ シ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナ タレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジ ン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノ ル性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの 合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソ アヌレートの樹脂、脂環式エポキシ樹脂等 挙げられる。これらは、単独で用いてもよ 、2種以上併用してもよい。このようなエポ キシ樹脂を用いると耐熱性等に優れる樹脂薄 膜を形成することができる。
 ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポ エチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプ ピレン樹脂、ポリイソブチレン樹脂、ポリ タジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂、シク オレフィン樹脂、これらの樹脂の共重合体 が挙げられる。

 熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキ 樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスル ォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフ ニレンサルファイド、ポリフェニルエーテ 、ポリエーテルイミド等が挙げられる。
 そのほかの熱可塑性樹脂としては、(1)1,2-ビ ス(ビニルフェニレン)エタン樹脂(1,2-Bis(vinylph enyl)ethane)もしくはこれとポリフェニレンエー テル樹脂との変性樹脂(天羽悟ら、Journal of A pplied Polymer Science Vol.92,1252-1258(2004)に記載) フッ素樹脂(PTFE)などが挙げられる。
 これらの樹脂材料は、単独で用いてもよく 目的に応じて複数の樹脂を組み合わせて用 てもよい。複数の樹脂を用いる場合、互い 異なる種類の熱可塑性樹脂同士、熱硬化性 脂同士を併用してもよく、熱可塑性樹脂と 硬化性樹脂とを組み合わせて用いてもよい

 本発明に使用しうるその他樹脂としては 例えば、アクリル系感光性樹脂、感光性ポ イミドなどの光硬化性樹脂が挙げられ、こ らを用いる場合、樹脂材料を塗布し、光硬 させて樹脂薄膜を形成する。また、使用し る樹脂はこれらに限定されず、所定の時間 っき浴に浸漬しても均一な樹脂薄膜を維持 うる限りにおいては、ポリビニルアルコー などの水溶性の樹脂を樹脂膜作製に用いる ともできる。

 このように、樹脂については、その種類や 本骨格自体に対する制限は小さく、むしろ を形成するための乾燥条件若しくは重合性 分子を用いる場合は重合条件などの成膜条 、めっき浴中での膨潤度若しくは自由体積 ど、又は樹脂薄膜に対するめっき浴中の金 塩若しくは金属イオンの浸透のしやすさ、 どに大きく依存する。
 本発明に規定する好ましい界面形状を形成 るためには、浸透に関わる特性としての拡 係数及び膜厚の制御が重要である。樹脂薄 の膜厚については、10μm以下が好ましく、0. 3~5μmの範囲であることがより好ましい。
 なお、膜厚は、乾燥後の塗布量から算出す ことができる。
 また、樹脂薄膜に対するめっき浴中の金属 又は金属イオンの拡散係数としては、10 -4 ~10 -10 m 2 /sec.であることが好ましく、10 -4 ~10 -7 m 2 /sec.であることがより好ましい。
 拡散係数と膜厚について上記条件を満たす とが効果の観点から好ましい。

拡散係数の測定方法
 本発明における、樹脂中の金属塩又は金属 オンの拡散係数の測定方法を以下に説明す 。以下に説明するのは、測定対象として銅 オンを用いた場合であるが、他の測定対象 ついても同様に測定することができる。
 まず、シリコン基板上に、測定対象となる 脂を用いて膜厚約0.4μmの樹脂薄膜を形成し これを測定試料とする。複数の測定試料を 備し、銅イオンを含有するめっき浴に浸漬 間を変えて浸漬させる。めっき浴から取り した各測定試料について、RBS(Rutherford Backsc attering Spectrometry)法を用いて深さ方向に存在 る銅イオン量を算出する。これを異なる浸 時間毎に行い、拡散方程式を用いて、拡散 数Dをフィッティングにより求める。

樹脂薄膜付き金属層にめっき処理を行う工程
 前記のようにして得られた樹脂薄膜を形成 た金属層を、電解又は無電解めっき浴に浸 させ、めっき処理を行うことにより、金属 表面を基点にフラクタル状(DLA(Diffusion Limite dAggregation)状)の微細な金属構造体が樹脂薄膜 に析出され、金属表面粗化層が形成される 金属表面粗化層がフラクタルな構造体とな のは、金属の析出が樹脂膜中で行なわれる めであり、金属の結晶成長(配向)に対して 高分子鎖が阻害因子として働くためである 析出した金属構造体の形状やサイズは、拡 係数や樹脂組成により異なるが、めっき浴 諸条件によっても大きく異なる。

電解めっき
 本工程における電解めっき(電気めっき)の 法としては、従来公知の方法を用いること できる。なお、本工程の電解めっきに用い れる金属としては、銅、クロム、鉛、ニッ ル、金、銀、すず、亜鉛などが挙げられ、 発明の方法を配線の形成に適用する場合に 、導電性の観点から、銅、金、銀が好まし 、銅がより好ましい。

 樹脂薄膜付き金属層を電解めっき液に浸漬 、電解めっきを行なうことにより、金属層 面を基点にフラクタル状の(拡散律速凝集的 な)微細な金属構造体(金属表面粗化層)が樹脂 薄膜中に析出される。この金属表面粗化層の 構造およびサイズは、電解めっき浴中に存在 する金属塩又は金属イオンおよび樹脂薄膜の 特性以外に、めっき浴の温度、浸漬時間、金 属塩又は金属イオンの濃度、電圧、および電 圧の印加方法(線形状、ステップ状、パルス の電圧印加等)などを制御することにより制 することができる。より具体的には、電圧 、めっき可能な電圧の範囲においてできる け低いことが好ましく、具体的には20V程度 下、より好ましくは3V程度以下であること 好ましい。ステップ状の電圧印加の場合も 初期電圧は前記と同様に低く抑えることが ラクタル構造形成の観点から好ましい。印 電圧が高すぎる場合、例えば、100Vを超える 圧を印加した場合などには、面内における 出金属の形状が均一となりやすく、密着性 上効果の観点からは好ましくない。
 電解めっき浴への浸漬時間としては、1分~3 間程度であることが好ましく、1分~1時間程 であることがより好ましい。
 電解めっき法により析出させる金属、即ち 金属表面粗化層を形成する金属は、配線を 成する場合の電気的な接触抵抗などを考慮 ると、金属層を構成する金属と同一である とが好ましい。しかし、金属表面粗化層を 成する金属は、電解めっき工程の特性上、 望によりベースとなる金属層とは異なる金 からなる金属表面粗化層を形成することも きる。

無電解めっき
 めっき処理工程においては、前記電解めっ の他、無電解めっきを行うこともできる。 電解めっきとは、めっきとして析出させた 金属イオンを溶かした溶液を用いて、化学 応によって金属を析出させる操作のことを う。
 無電解めっき処理に際しては、一般的に市 されているアクチベーター(例えば、奥野製 薬社製、OPC-80 キャタリストM)、アクセラレ ター(例えば、奥野製薬社製、OPC-555 アクセ レータM)などを併用することができる。ま 、無電解めっき液として、市販のめっき液( えば、奥野製薬社製、ATSアドカッパIW)など 用いてもよい。
 めっき処理工程において無電解めっきを採 する場合には、例えば、塩酸、硫酸などの 酸により、金属層の表面酸化皮膜を除去す 前処理工程を行い、その後、既述の無電解 っき処理による樹脂薄膜形成を行うことが ましい。

 一般的な無電解めっき浴の組成としては、1 .めっき用の金属イオン、2.還元剤、3.金属イ ンの安定性を向上させる添加剤(安定剤)が に含まれている。このめっき浴には、これ に加えて、めっき浴の安定剤など公知の添 物が含まれていてもよい。
 無電解めっき浴に用いられる金属の種類と ては、銀、クロム、銅、すず、鉛、ニッケ 、金、パラジウム、ロジウムが知られてお 、中でも、導電性の観点からは、銀、銅、 ロム、ニッケルが特に好ましい。

 選択された金属には、それぞれ最適な還元 及び添加物が知られている。例えば、銅の 電解めっき浴は、銅塩としてCu(So 4 ) 2 、還元剤としてはHCOH、添加剤として銅イオ の安定化剤であるEDTA又はロッシェル塩など キレート剤が含まれているのが一般的であ 。また、CoNiPの無電解めっきに使用される っき浴には、その金属塩として硫酸コバル 又は硫酸ニッケル、還元剤として次亜リン ナトリウム、錯化剤としてマロン酸ナトリ ム、りんご酸ナトリウム、又はこはく酸ナ リウムが含まれていることが好ましい。ま 、パラジウムの無電解めっき浴は、金属イ ンとして(Pd(NH 3 ) 4 )Cl 2 、還元剤としてH 2 NNH 2 、安定化剤としてEDTAが含まれていることが ましい。これらのめっき浴は代表的な例を したものであり、目的に応じて上記以外の 分が入っていてもよい。

 このような無電解めっき液に、樹脂薄膜付 金属層を浸漬させることにより、金属層表 を基点にフラクタル状の(拡散律速凝集的な )微細な金属構造体が樹脂薄膜中に析出され 。この金属構造体の構造およびサイズは、 電解めっき浴に含まれる金属塩又は金属イ ンおよび樹脂薄膜の特性以外に、めっき浴 温度、浸漬時間、金属塩又は金属イオンの 度、還元剤の濃度などを制御することによ 制御することができる。
 めっき浴への浸漬時間としては、1分~3時間 度であることが好ましく、1分~1時間程度で ることがより好ましい。
 無電解めっきにより析出させる金属は、電 的な接触抵抗などを考慮すると、金属箔お び金属配線との同一であることが好ましい 、異なっていてもよい。

 このように、所定のめっき処理を行うこと 、金属層表面に樹脂薄膜及び金属表面粗化 を形成してなる金属層積層体を得ることが きる。
 本発明の金属層積層体は、これをその法線 向に割断した際に現れる樹脂薄膜と金属表 粗化層との界面構造がフラクタル状であり 測定対象領域を50nm~5μm、且つ、ボックスサ ズ(ピクセル・サイズ)をこの測定対象領域 1/100以下に設定したボックスカウント法を適 用して算出した該界面構造のフラクタル次元 が1.05以上1.50以下であることを特徴とする。
 このフラクタル次元は、金属層積層体の金 と樹脂との界面の断面構造写真から、前記 た如き方法を用いて算出する。断面構造写 は、まず、金属層積層体を、Dual-Beam FIB装 (FEI製、Dual Beam Nova200 Nanolab、加速電圧30kV) 用いてサンプル加工し、金属・樹脂界面の 面出しを行ない、その断面を集束イオンビ ム装置(セイコーインスツルメンツ社製、SMI 9200)にて観察することで行う。ここで、1イメ ージの大きさが5~20μmの画像データとして得 、画像処理によって、金属・樹脂断面写真 界面部分(線分)を抽出する。
 この断面写真を基に、表面粗さRaを、ISO 428 7 1997(JIS B O601(1994年))で規定される算術平均 粗さに準拠して算出し、フラクタル次元(ボ クスカウント次元)はボックスカウント法を いて算出した。本発明においては、微細領 での構造の複雑さを評価できるよう、領域 サイズを1.25μm×1.25μm、ピクセル数を256×256( 即ち、測定対象領域を1.25μm、ボックスサイ (ピクセル・サイズ)をこの測定対象領域の1/2 56)とした。

 本発明においては、金属と樹脂との界面 フラクタル状であり、測定対象領域を50nm~5 m、且つ、ボックスサイズ(ピクセル・サイズ )をこの測定対象領域の1/100以下に設定したボ ックスカウント法を適用して算出した該界面 構造のフラクタル次元が1.05以上1.50以下、好 しくは1.1以上1.4以下であり、かつこの金属 面粗化層が形成された金属層の表面粗さRz 0.8μm以下であることが好ましい。このよう 条件を満たすことで、金属層自体のマクロ 表面凹凸、即ち、配線としての機能に影響 与えない表面平滑性を有し、且つ、ミクロ 複雑な表面性状を有するため、本発明の製 方法で得られた本発明の金属層積層体は多 基板などの配線の形成に有用である。また 本発明の金属層積層体表面に樹脂層を形成 る場合、金属層と樹脂層との密着性に優れ ものとなる。本発明の金属層積層体はその 面に樹脂薄膜が存在することから、この樹 薄膜を除去することなく樹脂層との積層及 密着を行うことができるため、複数の層を する金属・樹脂積層体を得るのに有用であ 。

 (実施例)
 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説 するが、本発明はこれらに限定されるもの はない。
 なお、本実施例においては、特に断らない り、配合量は全て「質量部」で表し、「質 部」は「部」と記載することがある。

1-1.金属層
 金属層として、ソフトエッチングなどの表 処理を施していない電解銅箔(サイズ:
5cm×5cm、厚さ18μm、表面粗さRa=0.3μm)を基材と て用いた。銅箔は、5%塩酸水溶液に120秒浸 し、その後、蒸留水で洗浄した。

1-2.樹脂薄膜形成用組成物の調製
 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ 量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート 828)10質量部、クレゾールノボラック型エポキ シ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学 業(株)製エピクロンN-673)20部、フェノールノ ラック樹脂(フェノール性水酸基当量105、大 日本インキ化学工業(株)製フェノライト)15部 メチルエチルケトン100部に攪拌しながら40 で加熱溶解させ、室温まで冷却した。その 、そこへエピコート828とビスフェノールSと らなるフェノキシ樹脂のシクロヘキサノン ニス(油化シェルエポキシ(株)製YL6747H30、不 発分30質量%、重量平均分子量47000)30部、2-フ ェニル-4,5-ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾ ル0.8部、シリコン系消泡剤0.5部を添加して エポキシ樹脂ワニスを作製し、樹脂薄膜形 用組成物とした。

1-3.樹脂薄膜の形成
 上記樹脂膜形成用組成物を銅箔にスピンコ トにより塗布し、窒素パージされたオーブ にて乾燥し、樹脂薄膜付き銅箔を得た。な 、乾燥重量法から推算される膜厚は約1.6μm あった。
 その後、得られた樹脂薄膜付き金属層のめ き処理を行う。電解めっきを行う場合には 給電部分を必要とするため、金属層表面の 端1cm部分は、樹脂薄膜形成用組成物が付着 ないようマスク処理を施したのち、上記の く樹脂薄膜の形成を行う。無電解めっき処 のみを行う場合には、全面に樹脂薄膜を形 してもよい。

1-4.無電解めっき
 本実施例1では無電解めっき処理のみを行う 。
 前記樹脂薄膜付き銅箔を下記無電解銅めっ 浴(50℃)に60分間浸漬した。浸漬中、樹脂薄 側が次第に褐色を帯びていった。
 60分間浸漬した後、無電解めっきをおこな た樹脂薄膜付き銅箔を水洗し、実施例1の金 層積層体を得た。

無電解めっき浴成分
・硫酸銅5水和物                    1.8g
・EDTA                      5.4g
・水酸化ナトリウム                  1.5g
・ホルムアルデヒド                  0.9g
・PEG(分子量2000)             0.02g
・SPS(スルフォプロピルスルフォネート)     0.1mg
・2,2-ビピリジル                  2m g
・水                       170.0g

拡散係数の算出
 実施例1で用いた樹脂薄膜を膜厚およそ0.4μm としてシリコン基板上に形成した。これを前 記無電解めっき浴に浸漬させた。
 浸漬時間を変えたサンプルを用意し、RBS(Rut herford Backscattering Spectrometry)法を用いて深さ 向に存在する銅イオン量を算出した。拡散 程式を用い、拡散係数Dをフィッティングに より求めた。結果を下記表1に示す。
 なお、実施例2以下、樹脂薄膜の組成物が変 わった場合も、当該樹脂を用いて、同様にし て測定した。

表面粗さ及びフラクタル次元の測定
 得られた金属層積層体の、金属表面粗化層 樹脂薄膜との界面のフラクタル次元及び表 粗さを測定した。
 実施例1にて得られた銅張り板(金属層積層 )の断面構造写真を取るために、Dual-Beam FIB 置(FEI製、Dual Beam Nova200 Nanolab、加速電圧30k V)を用いてサンプル加工し、銅・樹脂界面が えるように断面を露出させた。その断面を 束イオンビーム装置(セイコーインスツルメ ンツ社製、SMI9200)にて観察し、1イメージの大 きさが5~20μmの画像データとして得た。画像 理によって、銅・樹脂断面写真の界面部分( 分)を抽出した。図1は、実施例1の金属層積 体における銅・樹脂断面写真の界面部分(線 分)を抽出した画像である。
 表面粗さはISO 4287 1997(JIS B 0601(1994年))に 定される算術平均粗さ(Ra)であり、ISO 4288 19 96(JIS B 0633(2001年))に準拠して求められ、フ クタル次元(ボックスカウント次元)はボック スカウント法を用いて算出し、微細領域での 構造の複雑さを評価できるよう、領域のサイ ズを3μm×3μmとした。

1-5.性能評価
 得られた実施例1の金属層積層体について、 以下の性能評価を行った。結果を下記表1に す。
絶縁膜の形成及び密着性評価
 無電解めっきをおこなった樹脂薄膜付き銅 を水洗し、褐色化した樹脂薄膜側に、エポ シ絶縁膜(味の素ファインテクノ社製、GX-13 45μm)を加熱、加圧して、真空ラミネーター より0.2MPaの圧力で100℃~110℃の条件により接 着して電気絶縁層を形成した。さらに、前記 エポキシ絶縁膜上に厚み1mmのガラスエポキシ 基板を重ね、真空ラミネーターにて同様の接 着をおこなった。
 前記エポキシ絶縁膜の硬化およびガラスエ キシ基板と密着させるために、170℃、1時間 加熱し、銅張り板を得た。

剥離強度評価
 剥離強度はJIS C 6481(1996年)(IEC 60249-1 1982に 対応)に記載の90°引き剥がし試験に基づいて なった。このとき、剥がす銅箔の巾は1cmと た。
 また、配線巾の狭い領域での剥離強度を評 するために、実施例1で得られた銅張り板に おける銅箔部分について、サブトラクティブ 法にてL/S=40μm/40μm、長さ5cmのストレートなス リット状配線を形成した。この配線について も、前記と同様に絶縁膜を形成し、該40μm幅 配線を引き剥がす銅箔として、前記と同様 して試験を行なった。

(実施例2)
 前記実施例1において用いた樹脂薄膜形成用 組成物を下記の樹脂薄膜形成用組成物2に変 した。その他工程は、実施例1同様にして金 層積層体を得て、実施例1と同様に評価した 。
2-2.樹脂薄膜形成用組成物2の調製
 ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ 量185、油化シェルエポキシ(株)製エピコート 828)50部をメチルエチルケトン100部に攪拌しな がら40℃で加熱溶解させ室温まで冷却した。 の後、2-フェニル-4,5-ビス(ヒドロキシメチ )イミダゾール0.5部、シリコン系消泡剤0.5部 添加し、エポキシ樹脂溶液からなる樹脂薄 形成用組成物2を作製した。

(実施例3)
 前記実施例1において用いた樹脂薄膜形成用 組成物を下記の樹脂薄膜形成用組成物3に変 した。その他工程は、実施例1同様にして実 例3の金属層積層体を得て、実施例1と同様 評価した。
3-2.樹脂薄膜形成用組成物3の調製
 ポリスチレン(PSジャパン(株)、GPPS)20質量部 アセトン200部に攪拌しながら添加して溶液 調整した。その後、アセトン100部を揮発さ 、ポリスチレン溶液からなる樹脂薄膜形成 組成物3を作製した。

(実施例4)
 実施例1と同様の樹脂薄膜形成用組成物を用 いて、基板上に樹脂薄膜を形成した。乾燥条 件として、窒素パージしたオーブンにて170℃ 、1時間乾燥する薄膜形成方法の代わりに、 箔が酸化しないよう窒素雰囲気下で170℃、1 間ベークして樹脂薄膜を形成した。その後 無電解めっき時間を60分間から8時間に変更 た。その他工程は、実施例1同様にして実施 例4の金属層積層体を得て、実施例1と同様に 価した。

(実施例5)
 めっき方法を実施例1における無電解めっき から、電解めっき浴を用いる下記条件の電解 めっき処理に変更した。その他の工程は実施 例1と同様に行い、実施例5の金属層積層体を た。
 なお、実施例5では、前述のように、樹脂薄 膜を形成する際、電解めっき用の給電パッド 部分を確保するため、ベースとなる金属層( 箔)片端1cmをマスクした後、実施例1同様の塗 布を行ない、樹脂薄膜を形成した。
 得られた樹脂薄膜付き銅箔を下記組成の電 銅めっき浴に浸漬し、電圧20Vを印加しなが 、電解めっきを15分間おこない、実施例5の 属層積層体を得た。

電解めっき浴成分
・硫酸銅                                38g
・硫酸                                95g
・塩酸                                1mL
・カッパーグリームPCM(メルテックス(株)製)            3.5mL
・水                                 500g

(比較例1)
 ガラスエポキシ基板上に、エポキシ絶縁膜( 味の素ファインテクノ社製、GX-13、45μm)を加 、加圧して、真空ラミネーターにより0.2MPa 圧力で100℃~110℃の条件により接着して電気 絶縁層を形成し、170℃、30分間加熱した。
 その後、過マンガン酸カリウムによる粗化 理を行い、一般に市販されているアクチベ ター(奥野製薬社製、OPC-80 キャタリストM) アクセラレーター(奥野製薬社製、OPC-555 ア セラレータM)を用いてこれらの前処理剤の 準的な使用方法により前処理工程を行った この表面に実施例1で用いたのと同様の無電 めっき浴を用いて0.5時間浸漬し、無電解銅 っきを実施してシードとなる無電解めっき を形成した。その後、該無電解めっき層を 極として、実施例5で用いたのと同様の電気 銅めっき浴に、電流密度3A/dm 2 の条件で電解めっきを20分間実施し、めっき 了後、水洗処理を行なった。
 めっき処理により銅層を形成した基板を170 、1時間加熱し、基板表面に絶縁膜及び銅層 が形成された比較例1の金属層積層体を得た
 実施例1と同様にして性能評価を行った。

 表1に明らかなように、実施例1~5の金属層積 層体は、金属層と樹脂との密着性が良好であ った。なお、本発明の方法を用いず、金属層 表面の粗面化を行った比較例1との対比にお て、金属層の線幅1cmにおける剥離強度では 等程度であって優位性があるとは言えない のの、金属層の線幅が40μmの配線における剥 離強度は比較例1に対し、剥離強度が優れて ることが分かった。これは、実施例1~5では Ra及びボックスカウント次元が示すように、 表面粗さは小さいが、形成された金属表面粗 化層に起因して、微細で複雑な構造を示すた め、配線巾が小さくなってもアンカー効果が 有効に働いているためと考えられる。
 さらに、実施例1と実施例4との対比におい 、樹脂材料に対する金属イオンの拡散係数 関して、拡散係数が小さい場合でも、実施 4に示すように無電解めっき時間を8時間と十 分にとることで、本発明の範囲内の微細構造 が形成され、目的とする剥離強度を達成しう る。しかし、金属イオンの拡散係数が本発明 の好ましい範囲に入るような樹脂材料を選択 して樹脂薄膜を形成することで、めっき処理 が60分間と比較的短くても本発明の好ましい 件を形成しうることから、効率のよい金属 積層体の形成を実施しうることがわかる。

(実施例6)
 市販の片面銅張ガラスエポキシ基板を用い 該銅層にサブトラクティブ法によりL/S=40μm/ 40μmの回路を形成し、配線付き基板を作製し 。
 この銅配線付き基板の銅配線を金属層とし 、実施例1におけるのと同様に、銅配線を有 する基板表面に実施例1と同様の樹脂薄膜形 用組成物を用いて樹脂薄膜を形成し、実施 1と同様の条件で無電解めっき処理工程を行 い、水洗及び乾燥して実施例6の金属層積層 体を得た。
 その回路基板上にソルダーレジスト層を形 し、保護膜が形成された回路基板を作成し 。

耐熱衝撃試験の試験方法
 実施例6の金属層積層体におけるベースとな る金属層は、微細配線であるため、実施例1 同様の剥離試験に代えて耐熱衝撃試験を行 、金属層と樹脂層との密着性を評価した。
 耐熱衝撃試験は、実施例6の金属層積層体に 、実施例1と同様にしてエポキシ絶縁膜と厚 1mmのガラスエポキシ基板とをラミネートし ものを試料とした。
 この試料を、冷熱衝撃装置(Espec社製、TSA-71S -A/W)を用い、MIL-STD-883Eの条件A(-55℃~125℃)に基 づき、低温(-55℃)および高温(-125℃)における 露時間を各30分として低温及び高温にさら 、これを200サイクル行なった。光学顕微鏡 真(透過光、倍率:×25~×100)及び断面SEM(倍率:× 5000)を用いて、銅配線、銅・樹脂界面などの 障状況を観察し、官能評価を以下の基準で なった。故障箇所が少ないほど密着性に優 ると評価する。
 ◎:表記条件の観察のよる故障箇所は1個以
 ○:表記条件の観察のよる故障箇所は2個以 5個以下
 △:表記条件の観察のよる故障箇所は6個以 10個以下
 ×:表記条件の観察のよる故障箇所は11個以

(比較例2)
 市販の片面銅張ガラスエポキシ基板を用い 該銅層にサブトラクティブ法によりL/S=40μm/ 40μmの回路を形成し、実施例6と同様にして配 線付き基板を作製した。
 この配線付き基板の配線部分表面をソフト ッチング液(市販品、商品名:メルプレートAD 331(メルテックス社製)、120~180g/l、98%硫酸10ml/l の混合液)を用いて、温度45℃、1分の条件で 面化処理をおこなった。この配線表面に、 施例1と同様にしてエポキシ絶縁膜と厚み1mm ガラスエポキシ基板とをラミネートしたも を試料とした。
 この試料について、実施例6と同様にして耐 熱衝撃試験を行った。結果を下記表2に示す

 表2に明らかなように、本発明の金属層積層 体を用いた場合、隣接する絶縁樹脂層との密 着性に優れていた。実施例6では、配線と樹 間との剥離強度が強く、配線・樹脂間の束 力が強いために、破壊が抑えられたものと えられる。一方、表面粗面化を行っても、 較例2の配線は隣接する絶縁樹脂層との密着 に劣り、温度条件による欠陥が多数発生す ことがわかる。
 上述の如く、本発明の製造方法によれば、 接する樹脂層との密着性に優れた金属表面 化層を有する金属層積層体を得ることがで 、得られた本発明の金属層積層体はベース なる金属層の表面粗さが小さいものであっ も樹脂層との十分な密着性が達成されるた 、フレキシブル配線基板などの多層配線基 の作製に有用である。