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Patent Searching and Data


Title:
METAL SALT OF CROSSLINKED CELLULOSE DERIVATIVE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/078795
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a metal salt of a crosslinked cellulose derivative represented by the general formula (I) below, wherein the substitution degree of hydroxy groups in the glucose units of the crosslinked cellulose derivative by a functional group a is not less than 1. R-O-A (I) (In the formula (I), R represents a crosslinked cellulose residue, and A represents a functional group a having cation-exchange ability.)

Inventors:
YOSHIDA NAOYUKI
ISHIDA KAZUSHI
SASAKI SHUJI
YAMAOKA IPPEI
Application Number:
PCT/JP2007/075028
Publication Date:
July 03, 2008
Filing Date:
December 26, 2007
Export Citation:
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Assignee:
CHISSO CORP (JP)
YOSHIDA NAOYUKI
ISHIDA KAZUSHI
SASAKI SHUJI
YAMAOKA IPPEI
International Classes:
C08B5/14; A61K31/717; A61P3/12; C08B5/00; C08B11/10; C08B11/12
Domestic Patent References:
WO2001051063A12001-07-19
WO2005094384A22005-10-13
WO2001051063A12001-07-19
Foreign References:
JPS4322320B1
JPH10330401A1998-12-15
JPS6154451A1986-03-18
JPH02241547A1990-09-26
JPH04161431A1992-06-04
JP2003520302A2003-07-02
JPS6354160A1988-03-08
Other References:
JOURNAL OF HOME ECONOMICS OF JAPAN, vol. 39, no. 3, 1988, pages 187 - 195
KEN-ICHIRO ARAI; HIDEKI GOTA: "Crosslinked Sodium Cellulose Sulfate as Highly Water-Absorbable Material", SEN-1 GAKKAISHI, vol. 49, no. 9, 1993, pages 482 - 485
J. PASTYR; L. KUNIAK: "PREPARATION AND PROPERTIES OF A CELLULOSE SULFATE CATION-EXCHANGER BASED ON POWDERED CROSS-LINKED CELLULOSE", CELLULOSE CHEMISTRY AND TECHNOLOGY, vol. 6, 1972, pages 249 - 254, XP001253547
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chom, Minato-ku Tokyo 03, JP)
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Claims:
 下記一般式(I)で表される架橋セルロース誘導体の金属塩であって、該架橋セルロース誘導体のグルコース単位の水酸基の官能基aによる置換度が、1以上である金属塩。
 R-O-A (I)
 {式(I)中、Rは架橋セルロース残基を表し、Aは陽イオン交換能を有する官能基aを表す。}
 官能基aが、下記一般式(II)~(V)で表される基から選択される請求項1記載の金属塩。
 {式(II)~(V)中、alkは炭素数1~6のアルキレン基を表し、lは0~5の整数を表し、mは0または1を表し、nは0~2の整数を表す。}
 官能基aが、下記一般式(II-1)、(II-2)、(III-1)~(III-5)、(IV-1)、(V-1)および(V-2)から選択される請求項2記載の金属塩。
 複数種の官能基aの組み合わせが、下記(c-1)~(c-3)のいずれかである請求項3記載の金属塩。
Description:
架橋セルロース誘導体の金属塩

 本発明は特定構造の架橋セルロース誘導 の金属塩であって、該架橋セルロース誘導 のグルコース単位の水酸基の官能基aによる 置換度が、特定の範囲を有する金属塩に関す る。

 厚生省発行の国民栄養調査成績によると 和50年以降毎年日本人が1日に摂取した食塩 11.5g以上であり、特に平成5年は12.8gであっ 。一方、1日の食塩摂取量と高血圧症の発生 との間には相関関係があることから、高血 症の発生、ひいては脳卒中等の発生を防止 べく、厚生省では1日の食塩摂取量を10g以下 にするよう推奨している。米国においても、 日本同様に1日の食塩摂取量を制限しており 米国合同委員会勧告案は、高血圧症患者の1 の食塩摂取量を6g以下にするよう唱えてい 。

 また、食塩摂取量と胃癌による死亡率と 間にも相関関係があるといわれており、食 摂取量の多い地域例えば富山市、弘前市等 は、胃癌による死亡率が高く、反対に食塩 取量の少ない地域例えば別府市、沖縄市等 は、胃癌による死亡率が低いというデータ 得られている。

 アルギン酸塩などの食物繊維がある程度 ナトリウムイオン吸着能を有することが報 されている(非特許文献1)が、その吸着能は だ十分満足できるものではなかった。

 この様に食塩が体内に過剰に存在すると 人体に悪影響を及ぼすことから、食塩の体 への吸収を有効に阻害し、過剰に存在する 塩を体外へ排泄する新しい技術の開発が待 望まれている。

 このような技術として、ナトリウム以外 金属によるセルロース誘導体の金属塩が提 されている(特許文献1)。

 一方で、従来から、セルロースの性質を変 る技術として、セルロースのエステル化な の置換基導入や、セルロースの架橋が行わ てきた。
 例えば、前述の特許文献1では、置換基とし て、陽イオン交換能を有する官能基を導入す る技術が提案されている。
 セルロースの架橋については、架橋剤の種 により、その導入方法(反応条件)、化学構 が多様になるが、一般的にはモノマー単位 あるグルコース骨格の6位水酸基を官能基と て利用するものが多い。そして最も一般的 知られているのは、グリセロール骨格或い 1,2-ジオール骨格を架橋構造に持つ化合物で ある。

 また、セルロースの保水性を改質するた の技術として、硫酸基導入後、得られた硫 セルロースを架橋する技術が報告されてい (非特許文献2、特許文献2)。

 セルロースの改質による性能の向上は、 橋や官能基の導入量に依存するものと考え れるが、セルロースの架橋と官能基の導入 、双方ともセルロースのグルコース単位が する3つの水酸基に対して行われるため、官 能基を有する架橋セルロース誘導体における 官能基の置換度を上げることは困難であり、 実際に置換度を1.1を超える値にするのは非常 に難しかった。特に架橋セルロースに対して 官能基を導入する場合、置換度を上げること がより難しくなる。

 これに対して、架橋セルロースに官能基を 入する技術として、ピリジン中でHClO 3 Sと反応させる技術が報告されている(非特許 献3)。

国際公開第01/051063号パンフレット

特表2003-520302号公報 日本家政学会誌、1988年、Vol.39、No.3、p.18 7-195 荒井健一郎、郷田英樹、「高度吸水性材 料としての架橋硫酸セルロースナトリウム」 、SEN-I GAKKAISHI、1993年、第49巻、第9号、p.482-4 85 J.PASTYR、L.KUNIAK、「PREPARATION AND PROPERTIES OF A CELLULOSE SULFATE CATION-EXCHANGER BASED ON POW DERED CROSS-LINKED CELLULOSE」、CELLULOSE CHEMISTRY AN D TECHNOLOGY、1972年、6、p.249-254

 しかしながら、特許文献1の技術は、消化管 への障害、特に腸管壁を傷つけることによる 出血傾向が認められ、ひいては極端な貧血を 起こす場合があることが分かってきた。
 一方で、上記のいずれの技術においても、 能基を有する架橋セルロース誘導体におけ 官能基の置換度を充分に上げられていない 人体に直接適用するような分野では、例え 、官能基を有する架橋セルロースを経口剤 して利用する場合には、人体への負担を低 するために少量で高性能であることが求め れるため、官能基を有する架橋セルロース 導体における官能基の置換度をより高くす ことが切望されている。

 従って、本発明の目的は、より高い性能 有する、置換度の高い、架橋セルロース誘 体の金属塩を提供することにある。さらに 、過剰摂取した食塩を積極的かつ安全に体 へ排泄させることのできる、ナトリウム吸 阻害剤、及び食塩過剰摂取に起因する疾患 は食塩摂取制限を必要とする疾患の予防及 治療剤、並びに食品を提供することにある

 本発明の目的を達成する手段は、以下の通 である。
 [1] 下記一般式(I)で表される架橋セルロー 誘導体の金属塩であって、該架橋セルロー 誘導体のグルコース単位の水酸基の官能基a よる置換度が、1以上である金属塩。
 R-O-A (I)
 {式(I)中、Rは架橋セルロース残基を表し、A 陽イオン交換能を有する官能基aを表す。}
 [2] 官能基aが、下記一般式(II)~(V)で表され 基から選択される前記[1]記載の金属塩。

{式(II)~(V)中、alkは炭素数1~6のアルキレン基を 表し、lは0~5の整数を表し、mは0または1を表 、nは0~2の整数を表す。}
 [3] 官能基aが、下記一般式(II-1)、(II-2)、(III -1)~(III-5)、(IV-1)、(V-1)および(V-2)から選択され る前記[2]記載の金属塩。

 [4] 複数種の官能基aの組み合わせが、下記( c-1)~(c-3)のいずれかである前記[3]記載の金属 。

(a)<有用性に関する試験1>における 架橋型硫酸化セルロースカルシウム塩の糞 Na排泄効果の結果を平均値±標準偏差で示し た図である。 (b)<参考試験>における、 架橋型硫酸化セルロースカルシウム塩の糞 Na排泄効果の結果を平均値±標準偏差で示し 図である。 <有用性に関する試験1>における、 橋型硫酸化セルロースカルシウム塩の糞便K 排泄効果の結果を平均値±標準偏差で示した である。 <有用性に関する試験1>における、 橋型硫酸化セルロースカルシウム塩の糞便P 排泄効果の結果を平均値±標準偏差で示した である。

〔架橋セルロース誘導体の金属塩〕
 本発明の架橋セルロース誘導体の金属塩は セルロースに架橋と官能基が導入された金 塩である。該架橋セルロース誘導体は、下 一般式(I)で表され、そのグルコース単位の 酸基の官能基aによる置換度が、1以上であ 。

 R-O-A (I)

{式(I)中、Rは架橋セルロース残基を表し、A は陽イオン交換能を有する官能基aを表す。}

 置換度は元素分析値を元に後述の様に算 することができる。

 上記陽イオン交換能を有する官能基aとし ては、カルボキシル基、スルホン酸基、ホス ホン酸基、リン酸基等を有する基が挙げられ 、好ましくは下記一般式(II)~(V)で表される基 挙げられる。

 {式(II)~(V)中、alkは炭素数1~6のアルキレン を表し、lは0~5の整数を表し、mは0または1を 表し、nは0~2の整数を表す。}

 官能基aの置換度(n)は、元素分析の対象とな る元素の元素分析値(Y)とその原子量(y)および 原子価(m)から下記式により求めることができ る。
  n=162Yí{y/m-((官能基a部分の分子量)-(水素1個 分)に相当する値)Y}
 以下、各一般式における置換度(n)の算出に いて、具体的に説明する。

 ここで、官能基aが前記一般式(III)の骨格の 合の置換度の算出について説明する。一例 して、一般式(III)におけるmが0である場合の カルシウム塩”-SO 3 Ca 1/2 ”の場合を例として算出方法を説明する。ま ず架橋していないセルロースに対する置換度 は、セルロースの一単位であるグルコース骨 格の分子量を162として算出する。セルロース において、一級水酸基一カ所が-SO 3 Ca 1/2 に置き換わった場合、すなわち置換度が1の 合には、分子量は、
  {(無水硫酸分1個)+(Ca 1/2 )-(水素)}=99
 が増加した261となり、Sの元素分析値を計算 すると、
  32/261=約12%
 となる。置換度が2の場合には、分子量は、 360に増加し、Sの元素分析値は、
  64/360=約17.8%
 になる。すなわち、Sの元素分析値をYとし 置換度をnとすると、
  Y=32ní(162+99n)
 であるから、
  n=162Yí(32-99Y)
 となる。この式を用いて、Sの元素分析値(Y) から置換度(n)が算出できる。たとえば、Sの 素分析値が18%の場合、置換度に換算すれば 約2.1となる。架橋セルロースの場合には、 橋の度合いを加味して算出する。例えば、 橋の構造がエピクロロヒドリンから得られ 2-ヒドロキシ-1,3-エーテル骨格の場合、グル ース骨格と架橋構造部分の分子量と、架橋 割合を加味して算出することができる。
 例えば、架橋度が後述する定義による0.1で ったとすると、架橋構造部分(C 3 H 4 O)の分子量は、56であるから、グルコース骨 1個あたりでは(0.1×720×56í240=)16.8となる。即 、架橋セルロースの一単位あたりの分子量 、(162+16.8=)178.8となる。これを上述のセルロ ースの場合の式に当てはめると、置換度(n)は 、n=178.8Yí(32-99Y)と、Sの元素分析値(Y)から算 することが出来る。

 次に官能基aが前記一般式(II)の骨格の場合 置換度の算出について説明する。一例とし 、一般式(II)におけるlを0、nを0とした場合の カルシウム塩”-CH 2 -COOCa 1/2 ”の場合、セルロースの一単位であるグルコ ース骨格の水酸基一カ所が置換されたとする と、一単位の分子量は、162+78=240となる。Caの 元素分析値をY、置換度をnとすると、
  Y=20ní(162+78n)
 となり、置換度(n)は、Caの元素分析値(Y)が められれば、
  n=162Yí(20-78Y)
 で算出できる。

 官能基aが前記一般式(IV)で代表されるよう 骨格で、alkをCH 2 とした場合は、Pの元素分析値(Y)から置換度(n )を算出出来る。即ち、-CH 2 O-P(O)(OCa 1/2 ) 2 の場合、セルロースの一単位であるグルコー ス骨格の水酸基一カ所が置換されたとすると 、一単位の分子量は、162+148=310となる。
  Y=31ní(162+148n)
 となり、置換度(n)は、Pの元素分析値(Y)が求 められれば、
  n=162Yí(31-148Y)
 で算出出来る。

 官能基aが前記一般式(V)で代表される様な 骨格の場合は、前述した(II)の骨格の場合の うにアルキレン基の分子量分を加算して官 基aが(IV)の場合と同様に算出すればよい。

 本発明に用いられる架橋セルロース誘導体 、陽イオン交換能を有する官能基aで置換さ れたセルロースエーテルであり、セルロース 誘導体に置換される陽イオン交換能を有する 官能基aは一種でもよいし、二種以上でもよ 。
 官能基が二種以上ある場合は、それぞれの 能基部分の分子量を計算し、前述の計算方 と同様に元素分析値からその置換度を求め ばよい。

 好ましい官能基aとして、下記のものを挙 げることができる。

 また、本発明の架橋セルロース誘導体(I) 、二種以上の陽イオン交換能を有する官能 aを有していてもよく、例えば下記(c-1)~(c-3) 示す組み合わせからなる異種の陽イオン交 能を有する官能基によって構成されている ルロース誘導体が好ましい。

 また、上記式(IV)または(V)で表されるホス ホン酸基またはリン酸基を有する基は、該官 能基中に水酸基が少なくとも1つ存在してい ばよく、該ホスホン酸基またはリン酸基中 水酸基は、必要に応じてアルコキシ基、ホ ホン酸基、チオール基等により置換されて てもよい。具体的には、下記に示すような も本発明の陽イオン交換能を有する官能基a 含まれる。

 金属塩を形成する金属としては、カリウ 等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシ ム等のアルカリ土類金属、鉄等の金属を用 ることができる。中でも、イオン交換効率 点、血中や体内に放出されても許容される から、カリウム、カルシウム、マグネシウ 、鉄が好ましい。

 架橋セルロースの架橋は、何れの位置で ってもよく、また、一つのセルロース中で 架橋であっても、セルロースどうしの架橋 あってもよい。

 本発明の架橋セルロース誘導体の金属塩 架橋度は、0.01以上であることが好ましい。

 架橋度は以下の様に算出することができ 。

 ここでは、反応に用いるセルロースが分子 39000(平均重合度240)、架橋剤としてエピクロ ロヒドリンを用いる場合を例として説明する 。
 エピクロロヒドリンにより、セルロースの 鎖に対し、下記構造式のように架橋構造部 が増加する。この増加する部分の分子量は5 6である。

 架橋前のセルロースの仕込量と架橋後の架 セルロースの重量が、含水分(分析値)を差 引いた値で、4%増加していた場合、セルロー スの分子量が39000であることから、
  39000×0.04=1560、
 増加する分子構造部分の分子量が56である とから、
  1560í56≒28
 という計算から、架橋構造部分は、約28モ と算出される。即ち、架橋/セルロースの比 、28/1となる。

 これを糖の水酸基1個あたりに換算すると、
 セルロース1モルにはグルコースが240個(平 重合度)あり、グルコース単位当たり水酸基 3個あることから、セルロース1モル当たり 水酸基数は、
  240×3=720
 であり、架橋構造部分との比は、上記のと り28/1であるから、
  28/720=0.039
 と算出される。即ち、水酸基1個当たり0.039 であり、この0.039を上記の例の架橋セルロ スの「架橋度」として定義することが出来 。

[製造方法]
 本発明の金属塩は、架橋工程と官能基導入 程とを含む製造方法によって製造すること できる。架橋工程後に官能基導入工程を行 ことが官能基の安定性の点から好ましい。

{セルロース}
 セルロースとしては、公知の種々のセルロ スを用いることができ、その分子量も特に 定されないが、重合度が均質化されて一定 である、結晶性セルロース(日本薬局方掲載 )が好ましい。

{架橋工程}
 架橋工程は、セルロースに対して、架橋剤 反応させることによって行うことができる 本発明に用いられる架橋剤としては、グリ キザール、ジアルデヒドでんぷん、ポリア ロレインなどのアルデヒド類、N-メチロー メラミン、トリメチロールメラミンなどの チロール化合物、ジビニルスルホンなどの 性ビニル化合物、エピクロロヒドリン、エ ブロモヒドリン、エチレングリコールジグ シジルエーテル、プロピレングリコールジ リシジルエーテル、グリセロールポリグリ ジルエーテル、ペンタエリスリトールポリ リシジルエーテル、ネオペンチルグリコー ジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオール グリシジルエーテル、1,4-ビス(2,3-エポキシ ロポキシ)ブタン、1,4-ビスグリシドキシブ ン、1,2-ビス(2,3-エポキシプロポキシ)エチレ 、1,-(2,3-エポキシプロピル)-2,3-エポキシシ ロヘキサンなどのエポキシ化合物、酒石酸 クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル 、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ア パラギン酸、グルタル酸、トリカルバリル 、ブタンテトラカルボン酸、ポリマレイン 、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸-マレイ 酸共重合物などのポリカルボン酸、ジイソ アネート化合物、オキシラニルメタノール N-エチルビス(2-クロロエチル)アミン、メチ ビニルジアセトキシシラン、ジメチルジア トキシシラン、トリグリシジルトリス(2-ヒ ロキシエチル)イソシアヌレート、ホルムア ルデヒド、グルタルアルデヒド、クロトンア ルデヒド、4,5-ジヒドロキシエチレン尿素、 ビニルスルホン、が挙げられ、好ましくは ハロヒドリン類、グリシジルエーテル類、 ポキシアルカン類などのエポキシ化合物で り、特に好ましくは、エピクロロヒドリン ある。

 これらの架橋剤は、2種以上を用いること もできる。

 上記架橋剤の使用量は、セルロース100重 部に対して、0.1~500重量部、好ましくは、100 ~300重量部である。さらに好ましくは、150~200 量部である。これらの範囲内にあれば、十 な架橋が得られ、さらに未反応物が残らな ため、有用である。

 本発明において、上記架橋剤による架橋反 を円滑に進める目的で、該架橋剤の種類に じ適宜架橋反応触媒を用いることが出来る 該架橋反応触媒としては、例えば架橋剤が リカルボン酸である場合は、リン酸、次亜 ン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、 ン酸ナトリウム等のリン酸化合物、硫酸、 酸などの無機酸、炭酸ナトリウム、酢酸ナ リウム、チタン化合物などが挙げられ、ま 、架橋剤としてエポキシ化合物を使用する 合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ などの塩基性化合物、1級アミン、2級アミ 、3級アミンなどのアミン類、四級アンモニ ム塩、イミダゾール化合物、アルコール類 水などが挙げられる。
 上記架橋反応触媒の使用量は、上記架橋剤1 00重量部に対して、1~200重量部で、好ましく 、80~150重量部である。

 上記セルロースを上記架橋剤により架橋 せる方法としては特に制限されないが、例 ば特開昭63-54160号公報に記載されている方 などが挙げられる。具体的には、セルロー に架橋剤水溶液を含浸後、脱水し、高温で 燥させる乾式架橋による方法、上記セルロ スを架橋剤水溶液中で架橋させる水溶液架 法、など多くの方法があるが、好ましくは 二層系で架橋剤とセルロースを架橋反応触 水溶液中で激しく攪拌して架橋させる二層 架橋法がより好ましい。

 架橋度は、前記したとおり、0.01以上である ことが好ましい。0.01以上0.30以下であること より好ましく、さらに好ましくは0.03以上0.2 0以下である。
 架橋度を制御するには、セルロースに対す 官能基を活性化させるための塩基或いは酸 投与量と架橋剤の投与量の比で行うことが きる。また、固液反応であることから、用 る溶剤の種類によって、また、溶剤が二種 上の場合はその比率によっても制御するこ が可能である。架橋度を好ましい範囲に制 するには、セルロースに対する官能基を活 化させるための塩基或いは酸の投与量と架 剤の投与量の比で主に行うことが好ましい
 例えば架橋剤がエピクロロヒドリンの場合 水酸基が官能基であることから、塩基とし 水酸化ナトリウムを用いるが、エピクロロ ドリンと水酸化ナトリウムの比を一定とし 場合、セルロースに対してエピクロロヒド ンの量比を増加するに従って架橋度は高く る。ただし、水酸化ナトリウムがセルロー に対して大過剰であったり、水酸化ナトリ ム水溶液濃度が高い場合には、セルロース 分解反応も平行して進行する恐れがあり、 ずしも架橋度の向上には繋がらない。
 また、用いる溶剤に極性溶媒、例えばメタ ールやイソプロピルアルコールのようなも を大量に用いた場合にはセルロースの分解( 低分子化)が進み、架橋度は上がるものの回 率の低下が起こる可能性がある。
 発明者らが鋭意研究した結果、エピクロロ ドリンと水酸化ナトリウムの量比(モル換算 )は、エピクロロヒドリン/水酸化ナトリウム 、1/2~1/4が好ましく、更に好ましくは1/2.3~1/3 .2である。さらにセルロースとの量比で表す 、セルロース/水酸化ナトリウム/エピクロ ヒドリンが、1/6/3~1/20/5、さらに好ましくは1/ 7/3~1/16/5である。
 そして用いる溶媒は、n-へプタン/メタノー /水や、n-ヘプタン/イソプロピルアルコール /水などの三相系や、n-ヘプタン/水系などの 相系で、非極性溶媒と極性溶媒(水のみ、ま はアルコール系)があるが、n-ヘプタン/水が さらに好ましい。
 さらには、架橋剤を分割して、すなわち、 分けにして投与回数を増やすことにより、 橋反応に使われずに加水分解する架橋剤の を抑制し、より架橋度を上げることができ 。また、例えば、攪拌速度を上げる、攪拌 の形状を変える、バッフルを追加する、反 スケールを小さくするなどして、攪拌効率 上げることにより、より架橋度を上げるこ ができる。

{官能基導入工程}
 前記したとおり、官能基導入工程は架橋工 後に行うことが好ましい。
 官能基導入工程が硫酸化を含む場合、官能 導入工程を架橋工程後に行うことがより好 しい。例えば、官能基aが前記一般式(III)の 格の場合、セルロースの水酸基に、硫酸基 導入する硫酸化剤としては、濃硫酸、発煙 酸、無水硫酸、無水硫酸/DMF錯体、無水硫酸 /ピリジン錯体、無水硫酸/トリエチルアミン 体、クロロスルホン酸などが挙げられるが 好ましくは、無水硫酸/DMF錯体を用いる。
 しかしながら、官能基aが、前記一般式(II) 骨格の場合、既存のセルロース誘導体、6-ヒ ドロキシエチルセルロースや、6-ヒドロキシ ロピルセルロースを出発物質に用いる場合 、官能基導入工程が官能基変換(この場合、 酸化反応)を含むことが好ましく、官能基導 工程の後に架橋工程を行うのが好ましい。

 硫酸化された架橋セルロースは、未反応 橋剤およびその誘導体を溶媒とともに除去 た後、例えば予め添加してある塩化カルシ ムにより、直接金属塩となるか、或いはメ ノール、又はイソプロパノールなどのアル ールと無機塩を加えて後激しく攪拌するこ によって金属塩を得ることが出来る。また 一旦カルシウム塩を製造した後に無機塩に る置換反応にて金属塩を得ることもできる

 本発明の一般式(I)で表される架橋セルロー 誘導体の金属塩は、架橋セルロース誘導体 おける官能基の置換度が1以上という高い値 である。置換度は、好ましくは、1.2以上、よ り好ましくは1.4以上、さらに好ましくは1.5以 上である。置換度を上記範囲とするには、架 橋工程において架橋度を制御することが好ま しい。
 官能基aが、前記一般式(II)の骨格の場合、 発原料が既存の6-ヒドロキシエチルセルロー スや、6-ヒドロキシプロピルセルロースであ 場合は、例外的に、置換度は、好ましくは0 .8以上、より好ましくは0.9以上、さらに好ま くは1.0以上である。
 一方、従来の硫酸化方法では、架橋度を制 したのみでは、好ましい置換度を獲得する とは容易ではない。以下、官能基aが前記一 般式(III)の骨格の場合を例として説明する。
 硫酸基の置換度を向上させるには、硫酸化 の架橋セルロースに対する量比を上げてや ばよい。しかしながら、最も強力な硫酸化 である無水硫酸/DMF錯体は、DMF中への無水硫 酸の溶解度が20%弱であることから、反応系中 における硫酸化剤の濃度には自ずと限度が生 じる。その結果、置換度を向上させるには限 度が生じ、特に架橋度の高い架橋セルロース に対して置換度を上げることは困難であった 。
 発明者らは、この点について鋭意研究した 果、DMF溶媒中に架橋セルロースを分散させ 反応系中に無水硫酸を直接添加していくこ により、無水硫酸のDMF中濃度は一定でも、 橋セルロースに対する濃度を約2倍以上にす ることができ、これにより、無水硫酸/セル ースの比が2/1程度でも、従来の3/1の場合と 程度以上の置換度(1.5以上)のものを容易に得 ることが出来ることを見出した。即ち、架橋 度の高い架橋セルロースに高い置換度を求め るために、架橋セルロースに対しDMF量を減ら して無水硫酸を高濃度状態で反応させること で達成することができる。官能基aが、前記 般式(III)の骨格の場合、置換度は、好ましく は、1.2以上、より好ましくは1.4以上、さらに 好ましくは1.5以上である。

 得られた架橋セルロース誘導体の金属塩 そのまま使用してもよいが、必要に応じて アルコール沈殿、イオン交換樹脂クロマト ラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィーな により、更に精製して用いてもよい。

 本発明の金属塩は、人体に経口投与可能な 収阻害剤として有用である。例えばナトリ ム以外の金属による塩とすることによって ナトリウム吸収阻害剤とすることができ、 リウム以外の金属による塩とすることによ て、カリウム吸収阻害剤とすることができ 。これはイオン交換能によるものと考えら 、官能基aの置換度が高いことにより、少量 の投与で効果が得られるという利点がある。 また、リン吸収阻害剤としても使用すること ができる。本発明の金属塩は、消化管への障 害を抑えることが可能であり、これは架橋に よるものと考えられる。
 他にも、保水剤としても有用に用いられる

 以下実施例により、本発明を更に詳しく 明するが、本発明はこれらに限定されるも ではない。

[参考例:硫酸化セルロースカルシウム塩の製 :CaCS-005(Lot.IK031215)]
 {第一段階:硫酸化工程}
 40℃で真空乾燥した結晶性セルロース(旭化 製、商品名:セオラスPH-101) 20.0g(123.5mmol(グ コース換算))を500mLセパラブルフラスコに入 、DMF 100mLにて4日間攪拌下含浸を行なった
 この懸濁液を5℃まで冷却した。次に攪拌し たまま、セパラブルフラスコに接続した滴下 ロートから、20%無水硫酸-DMF錯体溶液 371.8g(SO 3 :0.929mol)を、系内温度を5℃に維持しながら徐 に滴下した。滴下終了後、恒温槽にて16~17 に調整し、6時間攪拌した。
 次にイソプロパノール 500mLをこの反応液に 加えた。反応液中からの析出物をろ別した。 ろ過物を水 500mLにて溶解し、飽和塩化カル ウム水溶液 137.0gを加え、カルシウム化を行 ない、粗生成物を析出させ、ろ別し目的物を 得た。さらにイソプロパノール(500mL×2回)で 浄した。濾過操作にてイソプロパノールを 去後、真空乾燥器にて乾燥させ、27.5gの硫酸 化セルロースカルシウム塩を得た。元素分析 を行ったところ、S;16.0%、Ca;12.4%、置換度は、 1.6であった。

{第二段階:UF膜限外ろ過工程}
 第一段階で得られた硫酸化セルロースカル ウム塩 25.05g(78.18mmol(グルコース換算))を冷 下イオン交換水 2000mLにて溶解した。
 次にUF膜(旭化成製:ペンシル型モジュールACP -0013,公称分画分子量:13,000)を用いて、流速1.88 ~1.92L/minで限外ろ過を行なった。原液が200mLに なるまで循環濃縮した。200mL分を凍結乾燥に け最終的に17.68gの白色粉末を得た。
 元素分析を行なったところ、S;18.3%、Ca;12.4% 置換度は、2.1であった。

[本発明例:架橋硫酸化セルロースカルシウム の製造:CaCS-006(Lot.IK031224)]
 {第一段階;架橋工程}
 結晶性セルロース(旭化成製、商品名:セオ スPH-101) 5.0g(30.8mmol(グルコース換算))を500mL 口フラスコに入れ、冷却管、滴下ロートを 続した。別途、水酸化ナトリウム(96%品) 8.6g (206mmol)を水 50mLに溶解した。この調製した水 酸化ナトリウム水溶液を滴下ロートに移し、 結晶性セルロースに加えた。室温で10分間攪 し、懸濁状態を維持した。
 次に反応系にn-ヘプタン 50mLとメタノール  50mLを加え、50℃に昇温した。そこへ滴下ロー トを用いて、エピクロロヒドリン 8.5g(92mmol) メタノール 50mLに溶解したものを懸濁液に やかに滴下した。二層が良く混合するよう しながら、50~60℃を保持して3時間攪拌した
 室温まで冷却後、攪拌したまま濃塩酸を徐 に加え、水層のpHが、7.0付近にした。一旦 減圧濾過し、濾過物を水で洗浄し、さらに タノールで洗浄した。濾過操作にてメタノ ルを除去後、真空乾燥機にて充分乾燥させ 6.1gの架橋セルロースを得た。架橋度は、0.17 4であった。

{第二段階;硫酸化工程}
 第一段階で得られた架橋セルロース 4g(0.024 7mol(グルコース換算))を500mLセパラブルフラス コに入れ、DMF 20mLにて攪拌下3日間含浸した その後この懸濁液を5℃まで冷却した。次に 拌したまま、セパラブルフラスコに接続し 滴下ロートから、20%無水硫酸-DMF錯体溶液 7 4.12g(SO 3 :0.185mol)を徐々に滴下した。このとき、反応 度は5℃を維持した。滴下終了後、恒温槽に 16~17℃に調整し、24時間攪拌した。
 次にイソプロパノール 100mLをこの反応液に 添加した。反応液中からの析出物をろ過分別 した。ろ過物を水 250mL加え、攪拌した。さ に、飽和塩化カルシウム水溶液 27.45gを添加 し2時間攪拌した。不溶物をろ別し、さらに ソプロパノール(100mL×2回)で洗浄した。濾過 作にてイソプロパノールを除去後、真空乾 器にて充分乾燥させ、8.09gの架橋硫酸化セ ロースカルシウム塩を得た。元素分析を行 たところ、S;17.6%、Ca;10.8%、置換度は、2.3で った。

[参考例:架橋硫酸化セルロースカルシウム塩 製造:CaCS-007(Lot.IK040113)]
 {第一段階;架橋工程}
 結晶性セルロース(旭化成製、商品名:セオ スPH-101) 16.0g(99mmol(グルコース換算))を500mL三 口フラスコに入れ、冷却管、滴下ロートを接 続した。次に反応系にn-ヘプタン 300mLとイソ プロパノール 10mLを加えた。30分攪拌後、別 、水酸化ナトリウム(96%品) 32.0g(768mmol)を水 100mLに溶解した。この調製した水酸化ナトリ ウム溶液の半量を滴下ロートに移し懸濁液に 加え、室温で1時間攪拌した。
 滴下ロートを用いて、エピクロロヒドリン 26.0g(281mmol)を懸濁液に速やかに滴下後、50℃ 昇温した。二層が良く混合するようにしな ら、50~60℃を保持して3時間攪拌した。次に りの水酸化ナトリウム溶液を滴下し、1.5時 攪拌した。これにエピクロロヒドリン 26.0g (281mmol)を加え、さらに2時間攪拌した。
 室温まで冷却後、不溶物をろ別し、濾過物 水、2N塩酸、水で順次洗浄し、洗液のpHが中 性付近になるまで洗浄した。さらにメタノー ルで洗浄した。真空乾燥機にて乾燥させ、18. 1gの架橋セルロースを得た。架橋度は、0.198 あった。

{第二段階;硫酸化工程}
 第一段階で得られた架橋セルロース 10g(0.06 17mol(グルコース換算))を500mLセパラブルフラ コに入れ、DMF 50mLにて攪拌下3日間含浸した その後この懸濁液を5℃まで冷却した。次に 攪拌したまま、セパラブルフラスコに接続し た滴下ロートから、18%無水硫酸-DMF錯体溶液  206.04g(SO 3 :0.463mol)を徐々に滴下した。このとき、反応 度は5℃を維持した。滴下終了後、恒温槽に 16~17℃に調整し、24時間攪拌した。
 次にイソプロパノール 250mLをこの反応液に 添加した。反応液中からの析出物をろ過分別 した。ろ過物を水 625mL加え、攪拌した。さ に、飽和塩化カルシウム水溶液 68.60gを添加 し2時間攪拌した。不溶物をろ別し、さらに ソプロパノール(100mL×2回)で洗浄した。濾過 作にてイソプロパノールを除去後、真空乾 器にて充分乾燥させ、13.7gの架橋硫酸化セ ロースカルシウム塩を得た。元素分析を行 たところ、S;7.40%,Ca;5.38%、置換度は、0.58であ った。

[本発明例:架橋硫酸化セルロースカルシウム の製造:Lot.IK-40223]
 {第一段階;架橋工程}
 結晶性セルロース(旭化成製、商品名:セオ スPH-101) 80.0g(0.494mol(グルコース換算))を3L三 フラスコに入れ、MeOH 800mLとn-ヘキサン 800m Lに懸濁した。冷却管、攪拌羽根(攪拌モータ 付)、滴下ロートを接続し、攪拌した。別途 、水酸化ナトリウム(96%品) 140.0g(3.36mol)を水  1600mLに溶解しておいた。この調製した水酸化 ナトリウム水溶液を滴下ロートに移し、懸濁 液に加えた。室温で30分間攪拌し、懸濁状態 維持した。
 次に反応系を50℃に昇温し、そこへ滴下ロ トを用いて、エピクロロヒドリン 138.8g(1.5mo l)をメタノール 200mLに溶解したものを懸濁液 に滴下した。二層が良く混合するようにしな がら、50~60℃を保持して3時間攪拌した。
 室温まで冷却後、洗液がpH=7.0付近になるま 、水、2N塩酸、水で順次洗浄した。
 減圧濾過し、濾過物をメタノールで洗浄し 。濾過操作にてメタノールを除去後、真空 燥機にて乾燥させ、84.4gの架橋セルロース 得た。架橋度は、0.053であった。

{第二段階;硫酸化工程}
 第一段階で得られた架橋セルロース、40g(0.2 47mol(グルコース換算))を500mLセパラブルフラ コに入れ、DMF 200mLにて攪拌下3日間含浸した 。その後この懸濁液を5℃まで冷却した。次 攪拌したまま、セパラブルフラスコに接続 た滴下ロートから、18%無水硫酸-DMF錯体溶液 900g(SO 3 :2.025mol)を徐々に滴下した。このとき、反応 度は5℃を維持した。滴下終了後、恒温槽に 16~17℃に調整し、一昼夜攪拌した。
 次にイソプロパノール 1000mLをこの反応液 添加した。反応液中からの析出物をろ過分 した。ろ過物を水 1000mLにて溶解し、飽和塩 化カルシウム水溶液 274.5gを添加しカルシウ 化を行ない、粗生成物を析出させ、ろ過分 し目的物を得た。さらにイソプロパノール( 1000mL×2回)で洗浄した。濾過操作にてイソプ パノールを除去後、真空乾燥器にて充分乾 させ、76.8gの架橋硫酸化セルロースカルシウ ム塩を得た。元素分析を行ったところ、S;16.8 %、Ca;12.8%、置換度は、1.9であった。

[本発明例:架橋硫酸化セルロースカルシウム の製造:Lot.SS-1054]
 {第一段階;架橋工程}
 結晶性セルロース(旭化成製、商品名:セオ スPH-101) 80.0g(0.494mol(グルコース換算))を3L三 フラスコに入れ、冷却管、攪拌羽根(攪拌モ ーター付)、滴下ロートを接続した。そこへ タノール 800mLおよびn-ヘキサン 800mLを加え 拌し、懸濁液とした。別途、水酸化ナトリ ム(96%品) 144.0g(3.457mol)を氷冷下で水 800mLに 解した。この調製した水酸化ナトリウム水 液を滴下ロートに移し、懸濁液に加えた。 温で60分間攪拌し、懸濁状態を維持した。
 次に反応系を50℃に昇温し、そこへ滴下ロ トを用いて、エピクロロヒドリン 159.9g(1.728 mol)をメタノール 200mLに溶解したものを懸濁 に速やかに滴下した。二層が良く混合する うにしながら、50~60℃を保持して6時間攪拌 た。
 室温まで冷却し、さらに20時間攪拌を続け 後、5Lビーカーに移し4時間静置した。上澄 液をデカンテーションによって除去し、残 を水で懸濁後、減圧濾過した。濾過物を水 再度懸濁後、攪拌したまま濃塩酸を徐々に え、pHが、7.0付近にした。一旦、減圧濾過し 、濾過物を水で洗浄し、さらにメタノールで 洗浄した。濾過操作にてメタノールを除去後 、真空乾燥機にて充分乾燥させ、80.8gの架橋 ルロースを得た。架橋度は、0.01未満であっ た。

{第二段階;硫酸化工程}
 第一段階で得られた架橋セルロース 30g(0.18 mol(グルコース換算))を2L三口フラスコに入れ DMF 150mLを加えて室温で21時間攪拌した。こ 懸濁液を5℃まで冷却した。次に攪拌したま ま、三口フラスコに接続した滴下ロートから 、無水硫酸DMF錯体DMF溶液(18.5%品)、721.0g(0.871mo l)を徐々に滴下した。このとき、反応温度は5 ±5℃を維持した。滴下終了後、室温まで昇温 し、24時間攪拌した。
 次にイソプロパノール 1000mLを洗浄液に用 て加圧濾過した。濾過物を水 750mLに溶解後 別に調製した塩化カルシウム水溶液(31.1%) 1 98.0g(0.555mol)を加えた。そこへ攪拌しながらイ ソプロパノール 1000mLを加え結晶を析出させ 後、60分間静置した。上澄み液をデカンテ ションによって除去し、残渣をイソプロパ ールで懸濁後、減圧濾過した。さらにイソ ロパノールで洗浄した。濾過操作にてイソ ロパノールを除去後、真空乾燥機にて充分 燥させ、79.8gの架橋硫酸化セルロースカルシ ウム塩を得た。元素分析を行ったところ、S;1 7.8%、Ca;12.4%、置換度は、2.0であった。

[本発明例:架橋硫酸化セルロースカルシウム の製造:Lot.Type-007]
 {第一段階;架橋工程}
 結晶性セルロース(旭化成製、商品名:セオ スPH-101)、80.0g(0.494mol(グルコース換算))を3L三 口フラスコに入れ、冷却管、攪拌羽根(攪拌 ーター付)、滴下ロートを接続した。別途、 酸化ナトリウム(96%品)、329.2g(7.901mol)を水 80 0mLに溶解した。この調製した水酸化ナトリウ ム水溶液を滴下ロートに移し、結晶性セルロ ースに加えた。室温で30分間攪拌し、懸濁状 を維持した。
 次に反応系を50℃に昇温し、そこへ滴下ロ トを用いて、エピクロロヒドリン 228.4g(2.469 mol)をn-ヘプタン 1,600mLに溶解したものを懸濁 液に速やかに滴下した。二層が良く混合する ようにしながら、50~60℃を保持して3時間攪拌 した。
 室温まで冷却後、攪拌したまま濃塩酸を徐 に加え、水層のpHが、7.0付近にした。一旦 減圧濾過し、濾過物を水で洗浄し、さらに タノールで洗浄した。濾過操作にてメタノ ルを除去後、真空乾燥機にて充分乾燥させ 94.9gの架橋セルロースを得た。本化合物のX 回折を行って得られた結晶性が無くなった とを示すチャートから、架橋が進んだこと 確認された。架橋度は、0.180であった。

{第二段階;硫酸化工程}
 第一段階で得られた架橋セルロース 25g(0.13 0mol(グルコース換算))を塩化カルシウム 34.3g( 0.309mol)とともに500mL三口フラスコに入れ、DMF 300mLを加えて室温で24時間攪拌した。この懸 液を5℃まで冷却した。次に攪拌したまま、 三口フラスコに接続した滴下ロートから、無 水硫酸 28.9mL(0.694mol)を徐々に滴下した。この とき、反応温度は20±5℃を維持した。滴下終 後、室温まで昇温し、24時間攪拌した。
 次にイソプロパノール 1000mLを洗浄液に用 て減圧濾過した。濾過物を水(1000mL×3回)で洗 浄した。さらにメタノール(500mL×2回)で洗浄 た。濾過操作にてメタノールを除去後、真 乾燥機にて充分乾燥させ、48.0gの架橋硫酸化 セルロースカルシウム塩を得た。元素分析を 行ったところ、S;16.7%、Ca;9.7%、置換度は、1.9 あった。    

[本発明例:架橋硫酸化セルロースカリウム塩 製造:Lot.KCS01-001]
 {第二段階;硫酸化工程}
 攪拌機、温度計及び滴下ロートを備えた2L ラスコに本発明例Lot.Type-007の{第一段階;架橋 工程}の製造法と同様に製造した架橋セルロ ス 50.0g(0.260mol(グルコース換算))及び塩化カ シウム 68.5g(0.617mol)を入れた。窒素気流下 した後、氷冷しながらDMF 800mLを加えて懸濁 とした。5℃まで冷却した後、室温まで昇温 し、窒素気流下で24時間攪拌した。この懸濁 を-20℃まで冷却した。次に攪拌したまま、 パラブルフラスコに接続した滴下ロートか 、無水硫酸 59.0mL(1.42mol)を徐々に滴下した このとき、反応温度は-20~0℃を維持した。滴 下終了後、20±5℃まで昇温し、24時間攪拌し 。
 次に反応系内にメタノール 1000mLを加えた 、加圧濾過した。イソプロパノール 1000mLで 洗浄した後、濾過物を水 800mLに加え、攪拌 懸濁液とした。この懸濁液に水酸化カリウ 水溶液を徐々に加え、水層のpHを7.0付近にし た。加圧濾過し、得られた濾過物に25%塩化カ リウム水溶液、400gを加え2時間攪拌状態を保 した。減圧濾過し、再び得られた濾過物に2 5%塩化カリウム水溶液、400gを加え2時間攪拌 態を保持した。減圧濾過し、さらに水及び セトンで洗浄した後、真空乾燥機にて充分 燥した。その結果、109.8gの架橋硫酸化セル ースカリウム塩を得た。元素分析を行った ころ、S;15.7%、K;20.2%、Ca;0.45%、置換度は、1.89 であった。

[製造例:架橋アルキル硫酸化セルロースカル ウム塩の製造]
〔本発明例:架橋プロピル硫酸化セルロース ルシウム塩:Lot.ME13-138〕

{第一段階;架橋工程}

{第二段階;硫酸化工程}
 7.8g(0.20mol)のNaHを100mLのヘキサンで洗浄後、2 00mLのDMSOに懸濁し、アルゴン置換した。この 液に、30gの架橋化セルロース(上記化学反応 式中の化合物1;本発明例Lot.Type-007の{第一段階 ;架橋工程}の製造法と同様に製造した架橋セ ロース(0.156mol(グルコース換算)))を加え、50 で1時間攪拌し、さらに、23.7g(0.19mol)の1,3-プ ロパンスルトンのDMSO(25mL)溶液を滴下し、50℃ で16時間攪拌した。この反応液を700mLの冷メ ノールに加え、得られた結晶(上記化合物2) 減圧濾過し、メタノールで洗浄後(100mL×3)、7 0℃で2時間真空乾燥した。
 収量は、51.4gであった。元素分析を行った ころ、Na;6.1%、S;8.9%、置換度は、0.9であった
 117g(0.80mol)のCaCl 2 ・2H 2 Oの水溶液(350mL)に、50gの化合物2(0.149mol(グル ース換算))を加え、50℃で12時間攪拌した。 応液を遠心分離(3000rpm/20分/4℃)し、得られた 残渣を250mLの水で洗浄・遠心分離し(それぞれ 3回実施)、450mLのメタノールに加え、室温下30 分間攪拌し、化合物3を得た。得られた化合 3を減圧濾過し、メタノール(100mL×2)で洗浄し 、70℃で4時間真空乾燥した。
 収量は、47.3gであった。元素分析を行った ころ、Ca;5.5%、S;8.7%、置換度は、0.8であった

〔本発明例:架橋プロピル硫酸化セルロー カルシウム塩 Lot.ME13-138の硫酸化:Lot.ME13-135 ME13-141〕

2.0gの上記化合物3(6.00mmol(グルコース換算))と0 .98g(8.8mmol)のCaCl 2 を無水DMF 15mLに懸濁し、アルゴン置換下、室 温で12時間攪拌した。この懸濁液に、3.1g(20mmo l)の無水硫酸DMF錯体を加え、室温で1時間、50 で10時間攪拌した。この反応液に30mLのイソ ロパノールを加え、結晶を減圧濾過した。 られた残渣に30mLの水に加え、水酸化カルシ ウム水溶液で中和した。この溶液を、遠心分 離(3000rpm/30min./4℃)した。残渣に50mLの水を加 攪拌後、同条件で遠心分離した。水での洗 操作を再度行い遠心分離し、得られた化合 4をメタノール100mLに懸濁した後、減圧濾過 、60℃で10時間真空乾燥した。(ME13-135)
 収量は、1.9gであった。元素分析を行ったと ころ、Ca;8.5%、S;13%、置換度は、1.7であった。
 また、同様の方法によって45gの化合物3から 49gの化合物4を得た。(ME13-141)
 元素分析を行ったところ、Ca;10.7%、S;12.6%、 換度は、1.6であった。

〔本発明例:架橋化ビスプロピル硫酸化カ シウム塩の製造:Lot.ME13-147〕

 17.6g(0.44mol)のNaHを120mLのヘキサンで洗浄後、 200mLのDMSOに懸濁し、アルゴン置換した。この 溶液に30gの化合物1;本発明例Lot.Type-007の{第一 段階;架橋工程}の製造法と同様に製造した架 セルロース(0.156mol(グルコース換算))を加え 50℃で1時間攪拌し、さらに、53.8g(0.44mol)の1, 3-プロパンスルトンのDMSO(50mL)溶液を滴下し、 50℃で24時間攪拌した。反応液を400mLの冷メタ ノールに加え、得られた結晶(上記化合物5)を 減圧濾過し、メタノール(250mL×2)とジエチル ーテル(200mL)で洗浄し、70℃で1時間真空乾燥 た。(ME13-146)
 収量は、73.9gであった。元素分析を行った ころ、Na;9.1%、S;12%、置換度は、1.6であった
 229g(1.5mol)のCaCl 2 ・2H 2 Oの水溶液(300mL)に、70gの化合物5(0.146mol(グル ース換算))を加え、50℃で12時間攪拌した。 応液を遠心分離(3000rpm/20分/4℃)し、得られた 残渣を水(250mL)で洗浄・遠心分離し(それぞれ3 回実施)、400mLのメタノールに加えた。得られ た化合物6を減圧濾過し、メタノール(100mL×2) 洗浄し、70℃で4時間真空乾燥した。(ME13-147)
 収量は、46.8gであった。元素分析を行った ころ、Ca;7.2%、S;11%、置換度は、1.3であった

[本発明例:架橋6-ヒドロキシカルボニルメ ルオキシセルロースカルシウム塩の製造]

{第1工程;6-ヒドロキシカルボニルメチルオキ セルロースの製造}
 攪拌機、温度計及び滴下ロートを備えた1L 底フラスコにヒドロキシエチルセルロース( 光純薬製) 10.2g(0.0495mol(グルコース換算))を オン交換水 700mLに分散させ、これにTEMPO 28 mgと臭化ナトリウム 260mgを加え、室温で攪拌 した。これに5%次亜塩素酸ナトリウム水溶液( 和光純薬製) 77gを加えた。
 反応液のpHが徐々に下がっていくので、0.2M- 水酸化ナトリウム水溶液を適宜加えて、pH10.5 程度を維持した。約1時間後、あまりpHが変化 しないことを確認後、0.2M-水酸化ナトリウム 溶液を10mL加え、室温で一晩攪拌した。翌朝 、pHが9.9になっていた反応液を1N-塩酸を用い 、pH1.8まで下げた。
 反応液を3Lビーカーに移し、1400mLの2-プロパ ノールを加え、晶析を行った。二晩静置後、 上澄み液をデカンテーションし、残分を吸引 濾過した。濾過物をエタノールで洗浄し、60 で一晩減圧乾燥した。白色粉末 10.8gを得た 。
 IRを測定したところ、1730cm -1 にカルボキシル基由来のC=O伸縮由来の強い吸 収ピークを確認した。

{第2工程;6-ヒドロキシカルボニルメチルオキ セルロースの架橋}
 第1工程で得られた6-ヒドロキシカルボニル チルオキシセルロース 10.8g(0.049mol(グルコ ス換算))を1L三口フラスコに入れ、冷却管、 拌羽根(攪拌モーター付)、滴下ロートを接 した。別途、水酸化ナトリウム(96%品) 4.2g(0. 1mol)を水 200mLに溶解した。この調製した水酸 化ナトリウム水溶液を結晶性セルロースに加 えた。室温で30分間攪拌した。
 次に反応系を50℃に昇温し、そこへ滴下ロ トを用いて、エピクロロヒドリン 12g(0.13mol) をn-ヘプタン 160mLに溶解したものを懸濁液に 速やかに滴下した。二層が良く混合するよう にしながら、50~60℃を保持して3時間攪拌した 。
 室温まで冷却後、攪拌したまま濃塩酸を徐 に加え、水層のpHを、7.0付近にした。一旦 減圧濾過し、濾過物を水で洗浄し、さらに タノールで洗浄した。濾過操作にてメタノ ルを除去後、減圧乾燥機で60℃で一晩減圧乾 燥した。その結果、12.8gの6-ヒドロキシカル ニルメチルオキシセルロースを得た。本化 物のX線回折を行って得られた結晶性が無く ったことを示すチャートから、架橋が進ん ことが確認された。

{第3工程;架橋6-ヒドロキシカルボニルメチル キシセルロースのカルシウム化}
 この白色粉体 12g(0.05mol(グルコース換算))を 純水 100mLに溶解し、塩化カルシウム 30gと水 酸化カルシウム 4gを加えた。この懸濁液を3 間攪拌後、一晩静置した。1N-塩酸を用いて 懸濁液のpHを11.5から7.5に下げて中和した。 れを吸引濾過し、濾過物をエタノールで洗 した。60℃で一晩減圧乾燥し、白色微粉末  12gを得た。
 元素分析を行ったところ、Ca;7.2%、置換度は 、1.0であった。また本化合物のIRを測定した ころ、1730cm -1 にカルボキシル基由来のC=O伸縮由来の強い吸 収ピークを確認した。

<有用性に関する試験1>
 {架橋型硫酸化セルロース(Ca)の正常ラット 糞便への電解質排泄に及ぼす影響}
 〔方法〕
 動物は日本チャールスリバー(株)より購入 たSD系雄性ラットを用いた。ラットは一夜絶 食飼育した後3日間、精製飼料(Casein 25.0%、ア ルファコーンスターチ 51.5%、大豆油 6.0%、 ュクロース 5.0%、AIN76ミネラル混合 3.5%、AIN 76ビタミン混合 1.0%、セルロース8.0%)の1%をNaC l、5%をCelluloseで置換したセルロース食を用い て制限給餌下に粉末飼料へ馴化させた。その 後、動物の体重を測定し、馴化期間中の摂餌 量および体重を指標に群分けした。即ち、セ ルロース食を摂取させたコントロール群、精 製飼料セルロースの、1%をNaCl、5%を試験物質 置換させた飼料を摂取させた試験物質(SS1054 , IK-40223, Type007)群を設けた。各群のラット 一夜絶食飼育させた後、各試験食で4日間制 給餌(20g/day)させた。試験食飼育の3日目には 17時から48時間採糞を行った。尚、試験期間 、各群のラットには蒸留水を自由に摂取さ た。採取した糞便は50℃の乾燥機内で5日間 燥させた後、乾燥重量を求めた後、灰化(500 、36時間以上)し、蒸留水にて懸濁し、遠心 離した後その上清のNaおよびK濃度をイオン 極法で測定しそれぞれの含量を求めた。Pに ついては濃硝酸による可溶化処理の後、酵素 法により溶液中濃度を測定し含量を求めた。

 〔結果〕
 セルロース群(n=4)の糞便電解質排泄量(mg/day 平均値±標準偏差)はそれぞれ1.0±0.4(Na)、0.9 0.3(K)、34.9±2.0(P)であり、SS-1054群(n=4)の糞便 解質排泄(mg/day)はそれぞれ29.6±8.5(Na)、17.3±3. 1(K)、48.3±5.7(P)、IK-40233群(n=4)の糞便電解質排 (mg/day)はそれぞれ18.2±5.2(Na)、10.5±2.2(K)、44.8 ±4.2(P)、Type007群(n=4)の糞便電解質排泄(mg/day) それぞれ30.6±2.7(Na)、10.2±1.9(K)、45.4±0.9(P)で り、試験物質群で各種電解質の糞便排泄の 加が認められた。これらの結果をグラフ化 て、図1の(a)および図2~図3に示す。
 また、試験物質群の尿中電解質排泄は糞便 泄の増加に応じた低下がみられた。後記す <有用性に関する試験6>に用いたCaCS006に ついても同様の効果が認められた。

<参考試験>
 {硫酸化セルロース(Ca)の正常ラットの糞便 の電解質排泄に及ぼす影響}
 (硫酸化セルロースカルシウム塩の製造)
 蒸留水(D.W.)1Lの入った5L容ビーカーに硫酸化 セルロースナトリウム塩(米 Acros社製)50gを入 れ攪拌し、完全に溶解させた。その後、塩化 カルシウム・2水和物(片山化学社製)93gの水溶 液300mLを投入し、30分間攪拌した。これに、 ソプロピルアルコール1Lを加え、更に1時間 拌後、1晩静置した。上清をデカンテーショ により除去し、さらに残渣を遠心分離して 殿を得た。再度この沈殿をイソプロピルア コール1Lに懸濁し、30分間攪拌後、1晩静置 た。上清をデカンテーションにより除去し さらに残渣を遠心分離して沈殿を得た。こ 沈殿を減圧乾燥して、硫酸化セルロースカ シウム塩44gを白色粉末として得た。

 〔方法〕
 実験動物は9週齢のウィスター(Wistar)系雄性 ット(日本チャールスリバー(株))を用いた。 動物は一夜絶食した後、個別代謝ゲージに移 し、3日間セルロース食(カゼイン 20%(w/w以下 じ)、αコーンスターチ 59.5%、大豆油 5%、 ュークロース 5%、AIN-76ビタミン混合 1%、AIN -76ミネラル混合 3.5%、食塩 1%及びセルロー  5%)を用いて制限給餌下(20g/ラット/日)に粉 飼料へ馴化させた。その後、動物の体重を 定し、訓化期間中の摂餌量及び体重を指標 群分け(n=5/群)した。即ち、セルロース食を 取させたセルロース群、該セルロース食の ルロースを硫酸化セルロースカルシウム塩 40%置換した飼料又は全量置換した飼料を摂 させた、硫酸化セルロースカルシウム塩2%群 及び硫酸化セルロースカルシウム塩5%群をそ ぞれ設けた。

 各群のラットは一夜絶食させた後、各試 食で2日間制限給餌下(20g/ラット/日)に飼育 た。試験食飼育の2日目には、午後7時より24 間尿及び糞便の採取を行った。尚、試験期 中各群のラットには蒸留水を自由に摂取さ た。摂取した糞便は、70℃、4日間の乾燥処 を施し乾燥重量を求めた後、灰化(500℃以上 、36時間)し、原子吸光法によるナトリウムの 測定を行った。採取した尿は採尿カップの重 量差より比重1.0と仮定して尿中ナトリウムを イオン電極法により測定した。

 〔結果〕
 図1(b)に各群の糞便ナトリウム排泄を示した 。図1(b)中では、硫酸化セルロースカルシウ 塩を「Ca化硫酸セルロース」と記載した。
 糞便ナトリウム排泄は、セルロース群の0.2 0.1mg/日に比し、硫酸化セルロースカルシウ 塩2%群は10.4±2.2mg/日、硫酸化セルロースカル シウム塩5%群では29.9±7.5mg/日であり、硫酸化 ルロースカルシウム塩摂取による用量依存 な糞便ナトリウム排泄の増加が確認された
 一方、尿中ナトリウム排泄は、セルロース では、89.6±6.5mg/日の尿中ナトリウム排泄が られたのに比し、硫酸化セルロースカルシ ム塩2%群で65.3±4.5mg/日、硫酸化セルロース ルシウム塩5%群では40.3±3.4mg/日と、カルシウ ム化硫酸セルロース摂取による用量依存的な 尿中ナトリウム排泄の低下が確認された。

<有用性に関する試験2>
 〔方法〕
 前記<有用性に関する試験1>と同様の方 により試験を実施した。精製飼料(950gあた の原材料がCasein 200g、アルファコーンスタ チ 595g、大豆油 50g、シュクロース 50g、AIN7 6ミネラル混合 35g、AIN76ビタミン混合 10g、Na Cl 10g)を9の割合に対しME13-147を1の割合で混ぜ た飼料を2日間経口摂取(20g/day)させ、試験食 育の2日目に採糞した。

 〔結果〕
 Cellulose群(0.8±0.1(Na)、0.5±0.1(K))に比して、ME1 3-147群(4.3±1.3(Na)、4.2±1.7(K))とそれぞれの電解 質で糞便排泄の増加がみられた。

<有用性に関する試験3>
 〔方法〕
 前記<有用性に関する試験1>と同様の方 により試験を実施した。精製飼料(Casein 20% アルファコーンスターチ 59.5%、大豆油 5% シュクロース 5%、AIN76ミネラル混合 3.5%、AI N76ビタミン混合 1%、NaCl 1.0%、CelluloseまたはM E13-141 5.0%)を4日間経口摂取(20g/day)させ、試験 食飼育の3日目と4日目に採糞した。

 〔結果〕
 Cellulose群(0.5±0.1(Na)、0.4±0.1(K))に比して、ME1 3-141群(23±6(Na)、6±2(K))とそれぞれの電解質で 便排泄の増加がみられた。

<有用性に関する試験4>
 〔方法〕
 前記<有用性に関する試験1>と同様の方 により試験を実施した。精製飼料(Casein 20% アルファコーンスターチ 59.5%、大豆油 5% シュクロース 5%、AIN76ミネラル混合 3.5%、AI N76ビタミン混合 1%、NaCl 1.0%、CelluloseまたはK CS01-001 5.0%)を4日間経口摂取(20g/day)させ、試 食飼育の3日目と4日目に採糞した。

 〔結果〕
 Cellulose群(0.3±0.0(Na)、0.6±0.1(K))に比して、KCS 01-001群(47±7(Na)、34±5(K))はそれぞれの電解質 糞便排泄の増加がみられた。

<有用性に関する試験5>
 {架橋型硫酸化セルロース(Ca)の正常ラット 消化管に及ぼす影響}
 〔方法〕
 動物は日本チャールスリバー(株)より購入 た7-9週齢CBA系雄性マウスを用いて、体重を 標に群分けした。各群のマウスには市販の 末飼料(オリエンタル酵母工(株)、粉末CRF1)の 10%をセルロース(粉末、ナカライテスク(株)) たは試験物質(SS1054, IK-40223, Type007)でそれぞ れ置換した試験食を1週間自由摂取させた。 験食摂取終了の後、それぞれのマウスより 便を一つ以上採取し、スライドを用いた化 法による便潜血検査(便潜血スライドシオノ II、シオノギ製薬)を実施し、色調の変化の 度に応じて0(変化なし)~5(濃)まで点数化した 。

 〔結果〕
 セルロース群は全例、便性状は正常であり 便潜血反応スコアは0.5±0.0(n=8、平均値±標 偏差)であった。SS-1054群は、8例中6例に肛門 囲に血液の付着が見られるほど消化管症状 悪化し、試験開始4日目以後、摂餌量の明ら かな低下を認めるほど全身症状が重篤化した 。IK-40223群は7日間の試験期間中に摂餌量の低 下は見られず、便潜血反応スコアも1.5±0.8(8) あった。Type007群ではいずれのマウスの便も 正常であり、便潜血反応スコアも0.5±0.3(10)で あった。

<有用性に関する試験6>
 {架橋型硫酸化セルロース(Ca)の正常ラット 消化管に及ぼす影響}
 〔方法〕
 動物は日本チャールスリバー(株)より購入 た9週齢CBA系雄性マウスを用いて、体重を指 に群分けした。各群のマウスには市販の粉 飼料(オリエンタル酵母工(株)、粉末CRF1)の10 %をセルロース(粉末、ナカライテスク(株))ま は試験物質(CaCS005, CaCS006, CaCS007)でそれぞ 置換した試験食を6日間自由摂取させた。試 食摂取終了の後、それぞれのマウスより糞 を一つ以上採取し、スライドを用いた化学 による便潜血検査(便潜血スライドシオノギ II、シオノギ製薬)を実施し、色調の変化の程 度に応じて0(変化なし)~5(濃)まで点数化した

 〔結果〕
 セルロース群は全例、便性状は正常であり 試験終了時の便潜血反応スコアは0.3±0.3(n=5 平均値±標準偏差)であった。CaCS005群は試験 開始二日目より便潜血反応(スコア1.8±0.5(n=4)) がみられた。以降、CaCS005群の動物では摂餌 の低下が著明であり、粘血便がみられるほ 重篤化する動物もみられ、全例で貧血によ 手足が白色化した。試験終了時における便 血反応スコアは3.3±1.3(n=4)であった。CaCS006群 およびCaCS007群の試験期間中における便性状 ほぼ正常に推移し、試験終了時におけるス アはCaCS006群で0.5±0.0(n=3,ただし試験開始5日 )、CaCS007群で0.2±0.3(n=3)と明らかに消化管へ 障害性は軽減されていた。貧血は見られな った。

<有用性に関する試験7>
 〔方法〕
 前記<有用性に関する試験5>と同様の方 により試験物質(KCS01-001)を市販の粉末飼料( リエンタル酵母工業(株)、粉末CRF1)に10%混ぜ た飼料をマウスに一週間自由摂取させた。

 〔結果〕
 セルロース群は全例、便性状は正常であり 便潜血反応スコアは0.5~1(n=8)であった。KCS01- 001群も便性状は正常であり便潜血反応スコア も0.5~1(n=8)と便潜血検査は軽微な反応であっ 。

<有用性に関する試験8>
 〔方法〕
 前記<有用性に関する試験5>と同様の方 により試験物質(ME13-147、ME13-141)を市販の粉 飼料(オリエンタル酵母工業(株)、粉末CRF1) 10%混ぜた飼料をマウスに一週間自由摂取さ た。

 〔結果〕
 いずれの試験物質を摂取させた場合も血便 みられず、便潜血検査も軽微な反応であっ 。