Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METALLIC MATERIAL AND MANUFACTURING METHOD THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116376
Kind Code:
A9
Abstract:
Disclosed is a metallic material with excellent adhesion, heat resistance, electroconductivity, and corrosion resistance with respect to iron-based metallic materials, as well as a method for manufacturing said metallic material that can realize this. The metallic material possesses an iron-based metallic material and an oxide layer formed on the surface of said iron-based metallic material, wherein the aforementioned oxide layer contains Fe and at least one metal (A) selected from a group comprising Zr, Ti, and Hf as oxides, and the metallic material manufacturing method manufactures this.

Inventors:
ISHII HITOSHI (JP)
NAGASHIMA YASUHIKO (JP)
KAWAGOSHI RYOSUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053664
Publication Date:
November 19, 2009
Filing Date:
February 27, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
NIHON PARKERIZING (JP)
ISHII HITOSHI (JP)
NAGASHIMA YASUHIKO (JP)
KAWAGOSHI RYOSUKE (JP)
International Classes:
C23C26/00; B05D7/14; B32B9/00; B32B15/04
Attorney, Agent or Firm:
WATANABE, Mochitoshi et al. (JP)
Mochitoshi Watanabe (JP)
Download PDF:
Claims:
 鉄系金属材料と、前記鉄系金属材料の表面に形成されている酸化物層とを有し、
 前記酸化物層が、Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属(A)とFeとを酸化物として含む金属材料。
 前記酸化物層が、
 Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属(A)の金属(A)酸化物を少なくとも含む上層と、
 鉄酸化物を少なくとも含む下層とを有する請求項1に記載の金属材料。
 前記酸化物が、γ-Fe 2 O 3 、α-Fe 2 O 3 およびFe 3 O 4 からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化鉄を含む請求項1または2に記載の金属材料。
 前記酸化物層が、前記Feを2~30原子パーセント含む請求項1~3のいずれかに記載の金属材料。
 前記下層の厚さが、0.02~0.5μmである請求項2~4のいずれかに記載の金属材料。
 前記酸化物層中に含まれる前記金属(A)の量が、AO 2 換算の合計として、10~1,000mg/m 2 である請求項1~5のいずれかに記載の金属材料。
 前記酸化物層は、その接触抵抗が200ω以下である請求項1~6のいずれかに記載の金属材料。
 前記酸化物層の上に、さらに、セラミックまたは樹脂を用いて形成される被覆層を有する請求項1~7のいずれかに記載の金属材料。
 鉄系金属材料の表面に、Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属(A)の金属(A)酸化物またはその前駆体を塗布または電析して、前記鉄系金属材料を金属(A)酸化物の皮膜を有する鉄系金属材料とする金属(A)酸化物付着工程と、
 前記金属(A)酸化物の皮膜を有する鉄系金属材料を加熱して請求項1~8のいずれかに記載の金属材料を製造する酸化処理工程とを有することを特徴とする金属材料の製造方法。
 前記酸化処理工程の後、さらに、前記金属材料が有する酸化物層の上にセラミックまたは樹脂を付与する被覆工程を有する請求項9に記載の金属材料の製造方法。
 鉄系金属材料を、Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属(A)の金属(A)イオンと、30ppm以上のFeイオンと、酸化剤イオンとを含む酸性水溶液に接触させることによって請求項1~8のいずれかに記載の金属材料を製造する化成処理工程を有することを特徴とする金属材料の製造方法。
 前記酸性水溶液が、さらに、Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属(A)のアモルファス水酸化物を含む請求項11記載の金属材料の製造方法。
 前記化成処理工程の後、さらに金属材料を加熱する酸化処理工程を有する請求項11または12に記載の金属材料の製造方法。
 前記酸化処理工程の後、さらに、前記金属材料が有する酸化物層の上にセラミックまたは樹脂の被覆層を付与する被覆工程を有する請求項13に記載の金属材料の製造方法。
 前記酸性水溶液が、さらに、フッ素を含む請求項11~14のいずれかに記載の金属材料の製造方法。
 前記酸性水溶液が、さらに、水溶性有機化合物を含む請求項11~15のいずれかに記載の金属材料の製造方法。
 前記鉄系金属材料が、ステンレス鋼である請求項9~16のいずれかに記載の金属材料の製造方法。
Description:
金属材料およびその製造方法

 本発明は、厳しい環境下での耐食性、密 性に優れた金属材料およびその製造方法に するものである。

 金属、特に炭素鋼に代表される鉄系金属材 は、高い強度や硬度が得られ、他の金属よ 安価であることから最も多く使用されてい 。
 鉄系金属材料は、クロム、ニッケル、コバ トに比較して耐食性、耐熱性が劣るため錆 発生や酸化膜の成長により耐久性に問題が じやすい。
 このため、鉄系金属材料に樹脂塗装やライ ングを施したものが使用される場合が多か た。

 しかし、鉄本来が持つ耐熱性や耐磨耗性 電気伝導性(帯電防止性)などを生かすため は、耐食性や導電性などの課題を解決する 要があった。

 一方、樹脂塗装やライニングが適さない用 では、クロム、ニッケル、モリブデン等を 金化したステンレス鋼がこれまで多く使用 れてきた。
 しかしながら、これらの合金の使用は近年 資源価格の高騰により経済的理由から採用 困難な場合が増えている。

 鉄系金属材料における耐食性、耐熱性、密 性等の問題点を補う従来技術としては、リ 酸塩処理のほかクロム酸による処理が有効 あった。
 しかしながら、近年の世界的な環境規制に りクロム酸は使用が困難な状況となってき いる。

 このような状況に対し、特許文献1には、鉄 鋼又は亜鉛鍍金鋼板の燐酸塩処理工程で燐酸 塩処理後、シランカップリング剤の溶液に浸 漬、もしくは塗布することを特徴とする燐酸 塩被膜の後処理方法が記載されている。
 また、特許文献2には、鋼板、亜鉛若しくは 亜鉛合金メッキ鋼板、アルミニウム又はアル ミニウム合金の表面をリン酸塩水溶液で皮膜 化成し、その後電着塗装をするにあたり、皮 膜化成後電着塗装前に、Cuイオンを1~100ppm含 しpHが1~4である水溶液で処理することを特徴 とする金属表面処理方法が記載されている。
 また、本願出願人は以前に特許文献3を提案 し、特許文献3には、水、(A)Fを4原子以上有し 、Ti、Zr、Hf、Si、Al、Bから選ばれる原子を1原 子以上有し、選択成分としてイオン化可能な 水素原子を1原子以上およびまたは酸素原子 1原子以上有するフルオロ金属酸アニオン、( B)Co,Mg,Mn,Zn,Ni,Sn,Cu,Zr,Fe,Srから選ばれる2価又は4 価のカチオン、(C)Pを含有する無機オキシア オン、ホスフォネイトアニオンの一方ある は双方、(D)水溶性およびまたは水分散性の 機ポリマーおよびまたはポリマー生成樹脂 含有する事を特徴とする化成皮膜の後処理 組成物が記載されている。

 しかしながら、上述したいずれの方法に いても、リン酸亜鉛処理皮膜の塗装後の耐 性や密着性が改善されるが、皮膜の耐熱性 密着性を実現するものではなかった。

 また、塗装時の密着性を改善する方法とし 、特許文献4においては、表面がりん酸塩処 理液で処理された金属材料を、一般式(I)によ り表される1種以上の重合単位を2~50の平均重 度で含む1種以上のフェノール化合物誘導体 からなる成分を含む水溶液で処理し乾燥後、 次いで粉体塗装をすることを特徴とする金属 材料の塗装方法が提案されている。
 しかしながら、塗装下地処理としてリン酸 鉛処理皮膜を用いている限り、高温焼き付 時のリン酸亜鉛皮膜結晶からの脱水反応に る皮膜破壊は避けられず、耐熱性において 本的な原因を解決するには至っていない。
 また、特許文献4中に記載はないが、固体潤 滑塗装に上記方法を適用した場合には、塗装 後の使用環境下において塗膜表面が高面圧、 高加重、更には高温下にさらされるため、下 地であるリン酸亜鉛皮膜結晶の破壊が起こり 、塗膜のはく離が生じることがある。

 上述したとおり、リン酸亜鉛処理を用いる り、耐熱性の問題を避けて通ることはでき い。
 そこで、塗装焼き付けや、塗装後の使用環 において高温下にさらされる場合には、塗 下地としてリン酸鉄皮膜処理が採用される とが多い。リン酸鉄皮膜は非晶質であるた 、リン酸亜鉛皮膜と比較すると耐熱性に優 ており、広く用いられている。
 しかしながら、リン酸鉄皮膜もまた高温で 耐熱性や耐酸性が十分ではなく、塗装後の 食性がリン酸亜鉛皮膜よりも著しく低いた 、厳しい腐食環境には耐えられなかった。

 また、リン酸カルシウム皮膜結晶も、リン 亜鉛皮膜結晶よりも耐熱性に優れ、リン酸 ンガン皮膜結晶は機械的強度に優れる特性 持っている。
 しかしながら、いずれの処理方法も塗装下 処理用のリン酸亜鉛処理と比較すると耐食 に劣り、密着性に関しても改良の余地を残 ている。また皮膜も導電性に劣り、電池、 気部品や帯電防止を要求される用途では使 できなかった。

 このように、下地金属と異なる種類の金 酸化物を高温環境下など厳しい環境下でも 食性、密着性が良く、導電性も併せ持つ皮 を形成した実用性のある金属材料とその製 方法はこれまで見出されていない。

 一方、酸化ジルコニウムや酸化チタンなど 特定の金属酸化物は耐熱性や耐薬品性が非 に優れている。
 本願出願人は以前Ti、Zr、Hf及びSiから選ば る少なくとも1種の金属元素を含む化合物、 よびAg、Al、Cu、Fe、Mn、Mg、Ni、Co及びZnから ばれる元素の少なくとも1種を含む化合物な どを含有する金属の表面処理用組成物を提案 している(特許文献5、6参照)。

特開昭52-80239号公報

特開平7-150393号公報

特開平11-6077号公報

特開2001-9365号公報

国際公開第2002/103080号パンフレット

特開2005-264230号公報

 本願発明者は、研究を進める中で、Ti、Zr、 Hf及びSiから選ばれる少なくとも1種の金属元 を含む化合物、およびAg、Al、Cu、Fe、Mn、Mg Ni、Co及びZnから選ばれる元素の少なくとも1 種を含む化合物などを含有する金属の表面処 理用組成物について、鉄などの下地金属と、 その表面に形成されたZrO 2 等の異種金属酸化物膜との密着性は必ずしも 十分ではないことを見出した。この原因とし ては金属基材と異種金属酸化物との原子の整 合性が良くないためと考えられる。
 したがって、本発明は、上記従来技術の問 を解決すること、即ち、鉄系金属材料に対 、密着性、耐熱性、導電性、耐食性のいず にも優れる金属材料、およびこれを実現す ことができる金属材料の製造方法を提供す ことを目的とする。

 そして、本発明者は、上記目的を達成すべ 鋭意研究の結果、鉄系金属材料と、前記鉄 金属材料の表面に無機皮膜として形成され いる酸化物層とを有し、前記酸化物層が、Z r、TiおよびHfからなる群から選ばれる少なく も1種の金属(A)とFeとを酸化物として含む金 材料が、密着性、耐熱性、導電性、耐食性 いずれにも優れることを見出した。
 また、本願発明者は、上記の金属材料を製 することができる金属材料の製造方法を見 し、本願発明を完成させた。

 即ち、本発明は、以下の(1)~(17)を提供する
(1)鉄系金属材料と、前記鉄系金属材料の表面 に形成されている酸化物層とを有し、
 前記酸化物層が、Zr、TiおよびHfからなる群 ら選ばれる少なくとも1種の金属(A)とFeとを 化物として含む金属材料。
(2)前記酸化物層が、
 Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる少な とも1種の金属(A)の金属(A)酸化物を少なくと も含む上層と、
 鉄酸化物を少なくとも含む下層とを有する 記(1)に記載の金属材料。
(3)前記酸化物が、γ-Fe 2 O 3 、α-Fe 2 O 3 およびFe 3 O 4 からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸 鉄を含む上記(1)または(2)に記載の金属材料
(4)前記酸化物層が、前記Feを2~30原子パーセン ト含む上記(1)~(3)のいずれかに記載の金属材 。
(5)前記下層の厚さが、0.02~0.5μmである上記(2)~ (4)のいずれかに記載の金属材料。
(6)前記酸化物層中に含まれる前記金属(A)の量 が、AO 2 換算の合計として、10~1,000mg/m 2 である上記(1)~(5)のいずれかに記載の金属材 。
(7)前記酸化物層は、その接触抵抗が200ω以下 ある上記(1)~(6)のいずれかに記載の金属材料 。
(8)前記酸化物層の上に、さらに、セラミック または樹脂を用いて形成される被覆層を有す る上記(1)~(7)のいずれかに記載の金属材料。
(9)鉄系金属材料の表面に、Zr、TiおよびHfから なる群から選ばれる少なくとも1種の金属(A) 金属(A)酸化物またはその前駆体を塗布また 電析して、前記鉄系金属材料を金属(A)酸化 の皮膜を有する鉄系金属材料とする金属(A) 化物付着工程と、
 前記金属(A)酸化物の皮膜を有する鉄系金属 料を加熱して上記(1)~(8)のいずれかに記載の 金属材料を製造する酸化処理工程とを有する ことを特徴とする金属材料の製造方法。
(10)前記酸化処理工程の後、さらに、前記金 材料が有する酸化物層の上にセラミックま は樹脂を付与する被覆工程を有する上記(9) 記載の金属材料の製造方法。
(11)鉄系金属材料を、Zr、TiおよびHfからなる から選ばれる少なくとも1種の金属(A)の金属( A)イオンと、30ppm以上のFeイオンと、酸化剤イ オンとを含む酸性水溶液に接触させることに よって上記(1)~(8)のいずれかに記載の金属材 を製造する化成処理工程を有することを特 とする金属材料の製造方法。
(12)前記酸性水溶液が、さらに、Zr、TiおよびH fからなる群から選ばれる少なくとも1種の金 (A)のアモルファス水酸化物を含む上記(11)記 載の金属材料の製造方法。
(13)前記化成処理工程の後、さらに金属材料 加熱する酸化処理工程を有する上記(11)また (12)に記載の金属材料の製造方法。
(14)前記酸化処理工程の後、さらに、前記金 材料が有する酸化物層の上にセラミックま は樹脂の被覆層を付与する被覆工程を有す 上記(13)に記載の金属材料の製造方法。
(15)前記酸性水溶液が、さらに、フッ素を含 上記(11)~(14)のいずれかに記載の金属材料の 造方法。
(16)前記酸性水溶液が、さらに、水溶性有機 合物を含む上記(11)~(15)のいずれかに記載の 属材料の製造方法。
(17)前記鉄系金属材料が、ステンレス鋼であ 上記(9)~(16)のいずれかに記載の金属材料の製 造方法。

 また、本願発明者は、鉄系金属材料と、 記鉄系金属材料の表面に形成されている酸 物層とを有し、前記酸化物層が、Zr、Tiおよ びHfからなる群から選ばれる少なくとも1種の 金属(A)とFeとを酸化物として含む金属材料が 接着剤、プライマー、塗料との密着性に優 ることを見出した。

 本発明の金属材料は、密着性、耐食性、耐 性、導電性に優れる。
 本発明の金属材料の製造方法によれば、密 性、耐食性、耐熱性、導電性に優れる金属 料を製造することができる。

図1は、本発明の金属材料の一例の断面 を透過型電子顕微鏡で撮影した写真である。 図2は、本発明の金属材料の一例の酸化 物層中に含まれる各元素に関し、XPS(X線光電 分光)を用いて分析された結果得られたXPSナ ロウスペクトルを示すグラフである。 図3は、本発明の金属材料の一例の酸化 物層中に含まれる各元素に関し、XPS(X線光電 分光)を用いて分析された結果得られた各元 素の量(単位:原子パーセント)をデプスプロフ ァイルとして示すグラフである。

符号の説明

  1   金属材料
  2   鉄系金属材料
  3   酸化物層
  4   上層
  5   下層

 以下、本発明の内容について詳細に説明す 。
 まず本発明の金属材料について説明する。
 本発明の金属材料は、
 鉄系金属材料と、前記鉄系金属材料の表面 形成されている酸化物層とを有し、
 前記酸化物層が、Zr、TiおよびHfからなる群 ら選ばれる少なくとも1種の金属(A)とFeとを 化物として含む金属材料である。

 鉄系金属材料について以下に説明する。
 本発明の金属材料に使用される鉄系金属材 は、鉄を含有するものであれば特に制限さ ない。
 鉄系金属材料としては、例えば、純鉄、炭 鋼、鋳鉄、合金鋼、ステンレス鋼等が挙げ れる。
 なかでも、耐熱性に優れるという観点から ステンレス鋼が好ましく、フェライト系ス ンレス鋼がより好ましい。
 鉄系金属材料の形態としては、例えば、冷 圧延鋼板、熱間圧延鋼板等の鋼板;棒綱、形 綱、綱帯、鋼管、線材、鋳鍛造品、軸受綱等 が挙げられる。

 本発明において鉄系金属材料として鉄系金 材料を表面処理したものを使用することが きる。
 鉄系金属材料を表面処理する方法は特に制 されない。例えば、酸化物層を形成する工 の前工程において、鉄系金属材料をアルカ 脱脂液で脱脂し、水洗する前処理;鉄系金属 材料をエッチング液で表面粗化処理を行った のち、皮膜剥離する前処理;リン酸マンガン 表面処理剤のようなリン酸塩で皮膜化成処 したのち、皮膜剥離して表面粗化処理する 処理を行うことができる。

 また、酸化物層を形成する工程の前工程と て、物理的または化学的方法によって鉄系 属材料を表面粗化する工程をさらに加える とにより密着性を高めることもできる。物 的な表面粗化の方法としては、サンドブラ ト、ショットブラスト、ウエットブラスト 電磁バレル研磨、WPC処理などがあり、何れ 使用できる。衝撃に弱い部材や量産性を高 るためには、化学的方法によることが好ま く、リン酸塩や蓚酸塩などの多結晶皮膜を 成処理や陽極電解によって形成し、塩酸、 酸等の剥離液で皮膜剥離する方法が好まし 。この場合の皮膜形成には、亜鉛イオン、 ンガンイオン、ニッケルイオン、コバルト オン、カルシウムイオン等の金属イオンと りん酸イオンを含有し、かつ水溶液のpHを1~ 5の範囲に調整したものを皮膜処理液として40 ~100℃で処理して皮膜とエッチング孔を形成 、次いで前記酸溶液で剥離する方法が表面 化するのがより好ましい。鉄系金属材料(基 )がステンレス鋼の場合は、塩化第二鉄や蓚 酸を含む溶液で処理したのち酸で皮膜やスマ ットを除去することが好ましい。
 鉄系金属材料はそれぞれ単独でまたは2種以 上を組み合わせて使用することができる。

 酸化物層について以下に説明する。
 本発明の金属材料が有する酸化物層は、鉄 金属材料の表面に形成され、Zr、TiおよびHf らなる群から選ばれる少なくとも1種の金属 (A)とFeとを酸化物として含むものである。

 本発明の金属材料が有する酸化物層は、Zr TiおよびHfからなる群から選ばれる少なくと 1種の金属(A)とFeとを酸化物として含むもの あれば特に制限されない。
 本発明において、酸化物は、酸化金属の他 、水酸化物、複合酸化物を含むものとする
 酸化物層が、例えば、(1)Zr、TiおよびHfの中 ら選ばれる少なくとも1種の金属(A)と、Feと 含み、金属(A)とFeとが酸化物として(例えば 複合酸化物、酸化金属および水酸化物から る群から選ばれる少なくとも1種として)実 的に同一層内に共存している場合、(2)Zr、Ti よびHfからなる群から選ばれる少なくとも1 の金属(A)の金属(A)酸化物を少なくとも含む 層と、鉄酸化物を少なくとも含む下層とを する場合が挙げられる。
 酸化物層が上層と下層とを有する場合、上 は実質的にFeを含まないようにすることが きる。

 酸化物としてのFeについて以下に説明する
 本発明の金属材料において、酸化物層は、 化物としてのFeを含むことが必要である。
 本発明において、酸化物としてのFe(以下こ を「鉄酸化物」ともいう。)は、酸化鉄のほ か、水酸化物、Zr、TiおよびHfの中から選ばれ る少なくとも1種の金属(A)との複合酸化物を むものとする。
 Feは、酸化物層中において、化学的安定性 優れるという観点から、2価または3価のFeと て存在することが好ましい。

 鉄酸化物としては、FeO、Fe 2 O 3 、γ-Fe 2 O 3 、α-Fe 2 O 3 、Fe 3 O 4 のような酸化鉄;Fe(OH) 2 、Fe(OH) 3 のようなFe水酸化物;FeTiO 3 、FeZrO 3 、FeHfO 3 のようなZr、TiおよびHfの中から選ばれる少な くとも1種の金属(A)との複合酸化物が挙げら る。

 Feは、耐熱性、密着性、導電性により優れ という観点から、酸化鉄であるのが好まし 、γ-Fe 2 O 3 、α-Fe 2 O 3 、Fe 3 O 4 がより好ましい。
 鉄酸化物は金属(A)酸化物結晶の結晶変態を 止して高温安定性、密着性を高め、耐熱性 付与するとともに、皮膜に導電性を与え、 触抵抗も低減させる効果を持つ。皮膜への 電性の付与は、接合相手材との間で電子伝 性を高めることにより静電気のアース性の 上や電池、燃料電池部材として使用した場 の通電性能を高める効果があるためより好 しい。

 酸化物としての金属(A)について以下に説明 る。
 本発明の金属材料において、酸化物層は、 化物としての、Zr、TiおよびHfの中から選ば る少なくとも1種の金属(A)を含む。
 本発明において、酸化物としての、Zr、Tiお よびHfの中から選ばれる少なくとも1種の金属 (A)は、酸化金属(A)のほかに、水酸化物、Feと 複合酸化物を含むものとする。
 酸化物としての金属(A)を以下「金属(A)酸化 」ということがある。
 Zr、TiおよびHfの中から選ばれる少なくとも1 種の金属(A)は、なかでも、導電性に優れると いう観点から、Tiが好ましい。

 Zr、TiおよびHfの中から選ばれる少なくとも1 種の金属(A)の金属(A)酸化物としては、TiO 2 、ZrO 2 、HfO 2 のような酸化金属(A);Ti(OH) 2 、Zr(OH) 2 、Hf(OH) 2 のような金属(A)の水酸化物;Feとの複合酸化物 が挙げられる。Feとの複合酸化物の具体例は 記と同義である。

 酸化物層における組成としては、例えば、Z r(OH) 4 、Ti(OH) 4 またはHf(OH) 4 などとFe(OH) 3 などとの混合水酸化物;FeTiO 3 、FeZrO 3 などの結晶性複合酸化物;ZrO 2 、TiO 2 またはHfO 2 などとFe 2 O 3 またはFe 3 O 4 などとの混合酸化物;およびこれらの組合せ 挙げられる。

 酸化物層は、密着性、耐熱性により優れる いう観点から、緻密な結晶質であることが ましい。
 酸化物層において、密着性、耐熱性により れるという観点から、酸化物または複合酸 物が、結晶性酸化物を含むのが好ましく、 晶性鉄酸化物であるのがより好ましい。
 結晶性鉄酸化物としては、例えば、γ-Fe 2 O 3 、α-Fe 2 O 3 、Fe 3 O 4 が挙げられる。
 鉄酸化物は、耐食性、耐熱性を向上させる ともに鉄系金属材料(鉄基材)と酸化物との 晶格子の整合性に優れるため鉄系金属材料 の密着性に優れる。
 また、鉄酸化物は、微細な凹凸を形成する め、投錨効果により金属(A)酸化物との接着 も優れたものとなる。

 酸化物層は、アモルファス成分を含むこ ができる。酸化物層における、アモルファ 成分や水酸化物は、本発明の金属材料を製 する際における酸化処理工程や使用環境下 加熱されることによりしだいに結晶化が進 し、緻密化するため好ましい。

 なかでも、密着性、耐熱性、導電性により れ、接着剤やプライマーとの密着性に優れ という観点から、酸化物層がFeを2~30原子パ セント含むのが好ましく、3~10原子パーセン ト含むのがより好ましい。
 Feの量が30原子パーセント以内である場合、 耐薬品性に優れる。
 酸化物層中のFe含有率はXPS(X線光電子分光) よる表面分析によって皮膜の深さごとに測 することができる。

 酸化物層の厚さは、密着性、耐熱性、導電 により優れ、接着剤やプライマーとの密着 に優れるという観点から、0.02~2μmであるの 好ましく、0.05~1μmであるのがより好ましい
 なお、本発明において、酸化物層の厚さは 化物層の厚さの平均値とする。
 本発明では、酸化物層の厚さ(平均値)は、 属材料の断面を透過型電子顕微鏡を用いて 影し、撮影された写真において、鉄系金属 料の表面上で0.1μmごとの間隔を有する10箇所 で酸化物層の厚さを測定し、10箇所の測定値 平均として得られた値である。

 また、密着性、耐熱性、導電性により優 、接着剤やプライマーとの密着性に優れる いう観点から、酸化物層の表面から深さ0.01 μmの部分におけるFeの量が1~5原子パーセント あるのが好ましく、2~4原子パーセントであ のがより好ましい。

 本発明の金属材料において、酸化物層は、 着性、耐熱性、導電性により優れ、接着剤 プライマーとの密着性に優れるという観点 ら、Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれる なくとも1種の金属(A)の金属(A)酸化物を少な くとも含む上層と、鉄酸化物を少なくとも含 む下層とを有するのが好ましい。
 なおこの場合下層は上層と鉄系金属材料と 間に位置する。

 酸化物層が有する上層は、Zr、TiおよびHfか なる群から選ばれる少なくとも1種の金属(A) の金属(A)酸化物を少なくとも含むものであれ ば特に制限されない。
 金属(A)酸化物は上記と同義である。
 金属(A)酸化物はそれぞれ単独でまたは2種以 上を組み合わせて使用することができる。

 上層の厚さは、密着性、耐熱性、導電性に り優れ、接着剤やプライマーとの密着性に れるという観点から、0.02~2μmであるのが好 しく、0.05~1μmであるのがより好ましい。
 なお、本発明において、上層の厚さは上層 厚さの平均値とする。
 本発明では、上層の厚さ(平均値)は、金属 料の断面を透過型電子顕微鏡を用いて撮影 、撮影された写真において、鉄系金属材料 表面上で0.1μmごとの間隔を有する10箇所で上 層の厚さを測定し、10箇所の測定値の平均と て得られた値である。
 下層の厚さ(平均値)の測定方法は上層と同 である。

 酸化物層が有する下層は鉄酸化物を少なく も含むものであれば特に制限されない。
 下層に含まれる鉄酸化物によってさらに耐 性、密着性を向上させることができる。
 鉄酸化物は上記と同義である。

 下層(鉄酸化物層)は、密着性、耐熱性、導 性により優れるという観点から、結晶性の 酸化物であることが好ましい。酸化物層(酸 物皮膜)の結晶性や構造は断面TEMやX線回折 によって判断できる。
 結晶性の鉄酸化物の種類は特に限定されず 他の金属を含む複合酸化物であってもかま ない。
 なかでも、密着性、耐熱性、導電性により れるという観点から、γ-Fe 2 O 3 、α-Fe 2 O 3 、Fe 3 O 4 などが好ましい。
 鉄酸化物は、耐食性、耐熱性を向上させる ともに鉄系金属材料(鉄基材)と酸化物との 晶格子の整合性に優れるため鉄系金属材料 の密着性に優れる。
 また、結晶性の鉄酸化物は、鉄系金属材料 表面で微細な凹凸を形成するため、投錨効 により金属(A)酸化物との接着性も優れたも となる。
 鉄酸化物はそれぞれ単独でまたは2種以上を 組み合わせて使用することができる。
 下層は、単層または2層以上とすることがで きる。

 酸化物層が上層および下層を有する場合 密着性、耐熱性、導電性により優れ、接着 やプライマーとの密着性に優れるという観 から、下層におけるFeの量が2~30原子パーセ トであるのが好ましく、3~10原子パーセント であるのがより好ましい。

 酸化物層が上層および下層を有する場合 密着性、耐熱性、導電性により優れ、接着 やプライマーとの密着性に優れるという観 から、酸化物層の表面から深さ0.01μmの部分 におけるFeの量が1~5原子パーセントであるの 好ましく、2~4原子パーセントであるのがよ 好ましい。

 下層の厚さは、密着性、耐熱性、導電性に り優れ、接着剤やプライマーとの密着性に れるという観点から、0.02~0.5μmであるのが ましく、0.05~0.3μmであるのがより好ましい。
 なお、本発明において、下層の厚さは下層 厚さの平均値とする。

 本発明の金属材料において、酸化物層中に まれる金属(A)の量は、耐食性、耐熱性、密 性、導電性により優れ、皮膜の強度が高い いう観点から、AO 2 換算の合計として、10~1,000mg/m 2 であるのが好ましく、30~300mg/m 2 であるのがより好ましい。
 金属(A)の付着量が、AO 2 換算の合計として10mg/m 2 以上の場合、耐食性、耐熱性により優れる。 また。概ね1000mg/m 2 以下の場合、皮膜に亀裂がはいりにくく皮膜 の強度が高い。

 本発明の金属材料において、酸化物層中 鉄酸化物が存在することによって、耐熱性 密着性に優れ、電気伝導性が高くなる。

 本発明の金属材料において、鉄酸化物は、 熱性、密着性、導電性により優れるという 点から、鉄系金属材料(基材金属)と上層(金 (A)の酸化物層)との中間にγ-Fe 2 O 3 、α-Fe 2 O 3 、Fe 3 O 4 などの結晶性鉄酸化物として存在することが 好ましい。
 鉄酸化物の存在は、X線回折や、透過型電子 顕微鏡、GDS等によって確認することができる 。

 本発明の金属材料において、酸化物層は、 の接触抵抗が200ω以下であるのが好ましい
 酸化物層が鉄酸化物を含有し、金属(A)の付 量が、AO 2 換算の合計として概ね1000mg/m 2 以下である場合、ほぼ200ω以下の低い接触抵 値を得ることができる。
 接触抵抗値は、JIS K 7194:1994準拠の市販の 面抵抗計(例えば三菱化学社製MCP-T360型[2点式 ])を使用して測定することができる。
 接触抵抗が低いことにより、電池接点、燃 電池材料などの通電部材や、潤滑塗装下地 各種機械、自動車などの帯電防止が求めら る部材に使用することもできる。

 本発明の金属材料は、酸化物層の上に、さ に、セラミックまたは樹脂を用いて形成さ る被覆層を有することができる。
 酸化物層の表面に、セラミックまたは樹脂 被覆層を設けることにより、さらに耐食性 高めたり、他の部材と接合する場合の密着 を高めることが可能である。

 セラミックまたは樹脂の被覆層の形成は、 機または無機の皮膜成分を含む液体または ースト状の硬化性プライマーや接着剤の塗 によって行われるのが好ましい。
 有機系材料としては、有機系樹脂、エラス マーが好ましく、これらにシランカップリ グ剤を含むものも好ましい。
 有機系樹脂、エラストマーとしては特に限 されない。例えば、ゴム、合成ゴム、エポ シ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂 ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素 脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂 ABS樹脂、メラミン樹脂、PPS樹脂、PEEK樹脂、 塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、導電性ポリ マー等が挙げられる。
 なかでも、耐熱性および密着性により優れ という観点から、エポキシ樹脂系、フェノ ル樹脂系、ポリイミド樹脂系、ポリアミド 脂系、シリコーン樹脂系が好ましい。

 有機系材料が含有することができるシラ カップリング剤としては、例えば、官能基 して、ビニル基、エポキシ基、メタクリル 、アミノ基、メルカプト基のうち何れかを つものが好ましく、これらのモノマーを重 したものや前記樹脂に配合したものを使用 ることもできる。

 無機系プライマー、接着剤としては、例 ば、金属アルコキシド系(ゾル-ゲル系)、水 ラス系、リン酸塩系、ペルオキソ化合物系 ポリシラザン系などが使用でき、Zr、Ti、Al Si、Bの何れかを成分中に含むものがより好 しい。

 セラミックまたは樹脂の被覆層は、導電性 より優れるという観点から、さらに導電性 子を含むことが好ましい。
 導電性粒子としては、例えば、ニッケル、 テンレス、アンチモン、亜鉛、アルミ、グ ファイト粒子、カーボンファイバー、カー ンナノチューブ、酸化亜鉛、酸化すず、ITO ランタンクロマイトなどが好ましい。

 本発明の金属材料はその製造について特に 限されない。
 例えば、下記(1)~(3)に示す皮膜形成方法によ って製造することができる。
(1)鉄系金属材料表面にZr、TiおよびHfの中から 選ばれる少なくとも1種の金属(A)酸化物また その前駆体を塗布した後、乾燥後に酸化処 する、塗布法+酸化処理法、
(2)金属(A)酸化物分散液やその前駆体溶液中で 電解処理を行う電解法、
(3)金属(A)イオンと、Feイオンと、酸化剤イオ とを含む酸性水溶液に鉄系金属材料を接触 反応させることにより皮膜を析出形成する 応法(化成処理法)
が挙げられる。
 (3)化成処理法は、さらに水洗、乾燥後に金 材料を酸化雰囲気中で加熱するなどの酸化 理を行うことが好ましい。

 本発明の金属材料において酸化物層が上層 下層(鉄酸化物層)とを有する場合、その製 方法としては、例えば、化成処理法;皮膜形 後に加熱酸化などの後酸化処理をする酸化 理法が挙げられる。これらの処理により、 食性、密着性、導電性および耐熱性に優れ 金属材料を製造することができる。
 具体的には、例えば、下記(1)~(4)に示す皮膜 形成方法によって製造することができる。
(1)鉄系金属材料表面にZr、TiおよびHfの中から 選ばれる少なくとも1種の金属(A)酸化物また その前駆体を塗布した後、乾燥後に酸化処 する、塗布法+酸化処理法、
(2)金属(A)酸化物分散液やその前駆体溶液中で 電解処理をした後、乾燥後に酸化処理する、 電解法+酸化処理法、
(3)金属(A)イオンと、Feイオンと、酸化剤イオ とを含む酸性水溶液に鉄系金属材料を接触 反応させることにより皮膜を析出形成する 応法(化成処理法)、
(4)(3)化成処理法の後、さらに水洗、乾燥後に 酸化雰囲気中で加熱するなどの酸化処理を行 う、化成処理法+酸化処理法
が挙げられる。

 なお酸化処理法は、塗布法、電解法、化成 理法の前に行うことができる。
 酸化処理法としては、例えば、空気雰囲気 で200℃以上の高温で加熱する方法、酸化剤 含む強アルカリ性水溶液中で加熱する方法 酸化性溶融塩浴で400℃以上で処理する方法 挙げられる。
 酸化処理法を使用する場合、効率的に鉄系 属材料の上に鉄酸化物を含む層を形成する とができる。

 本発明の金属材料が被覆層を有する場合 その製造について特に制限されない。例え 、金属材料の酸化物層の上にプライマー、 化性プライマーおよび接着剤からなる群か 選ばれる少なくとも1種を塗布し、加熱硬化 させて被覆層を形成し、被覆層(プライマー 硬化性プライマーや接着剤の層)と酸化物層 を密着させる方法が挙げられる。

 本発明の金属材料の使用方法については特 制限されない。本発明の金属材料に対して 例えば、高耐食塗装、潤滑塗装、ライニン 、セラミックコーティング、樹脂塗装を施 ことができる。
 本発明の金属材料は有機/無機密着下地とし ても優れた性能と耐久性を発揮することがで きるため、その実用的価値は高い。

 本発明の金属材料は、その用途について特 制限されない。
 本発明の金属材料は、従来よりも厳しい環 下でも鉄系金属材料の耐食性、密着性およ 導電性を保持することができる。
 本発明の金属材料の用途としては、例えば 産業機械、輸送機械や搬送装置などの摺動 材や耐熱部材;電池接点等の電池部材、セパ レータ、集電体、電極のような燃料電池部材 、燃料電池材料などの通電部材;潤滑塗装下 や各種機械、自動車などの帯電防止が求め れる部材が挙げられる。燃料電池としては えば自動車用、家庭用、業務用、定置用、 帯機器用が挙げられる。

 本発明の金属材料が有する酸化物層は、酸 アルカリに侵されにくく、化学的に安定な 質を有している。
 実際の金属の腐食環境では、金属の溶出が こるアノード部ではpHの低下が、また、還 反応が起こるカソード部ではpHの上昇が起こ る。したがって、耐酸性および耐アルカリ性 に劣る表面処理皮膜は、腐食環境下で溶解し その効果が失われていく。
 これに対して、本発明の金属材料が有する 化物層は、酸やアルカリに侵されにくいた 、腐食環境下においても優れた効果が持続 る。

 次に本発明の金属材料の製造方法について 明する。
 本発明の金属材料の製造方法は、
 鉄系金属材料の表面に、Zr、TiおよびHfから る群から選ばれる少なくとも1種の金属(A)の 金属(A)酸化物またはその前駆体を塗布または 電析して、前記鉄系金属材料を金属(A)酸化物 の皮膜を有する鉄系金属材料とする金属(A)酸 化物付着工程と、
 前記金属(A)酸化物の皮膜を有する鉄系金属 料を加熱して本発明の金属材料を製造する 化処理工程とを有するものである。
 以下これを「本発明の第1の態様の金属材料 の製造方法」ということがある。

 金属(A)酸化物付着工程について以下に説明 る。
 本発明の第1の態様の金属材料の製造方法に おいて、金属(A)酸化物付着工程は、鉄系金属 材料の表面に、Zr、TiおよびHfからなる群から 選ばれる少なくとも1種の金属(A)の金属(A)酸 物またはその前駆体を塗布または電析して 前記鉄系金属材料を金属(A)酸化物の皮膜を する鉄系金属材料とする工程である。

 金属(A)酸化物付着工程において使用される 系金属材料は特に制限されない。例えば、 記と同義のものが挙げられる。
 なかでも耐食性に優れるという観点から、 系金属材料がステンレス鋼であるのが好ま い。

 鉄系金属材料について、酸化物層を形成 る工程の前に前工程において、例えば、鉄 金属材料をアルカリ脱脂液で脱脂し、水洗 る前処理;鉄系金属材料をエッチング液で表 面粗化処理を行ったのち、皮膜剥離する前処 理;リン酸マンガン系表面処理剤のようなリ 酸塩で皮膜化成処理したのち、皮膜剥離し 表面粗化処理する前処理を行うことができ 。

 また、酸化物層を形成する工程の前工程 して、物理的または化学的方法によって鉄 金属材料を表面粗化する工程をさらに加え ことにより密着性を高めることもできる。 理的な表面粗化の方法としては、サンドブ スト、ショットブラスト、ウエットブラス 、電磁バレル研磨、WPC処理などがあり、何 も使用できる。衝撃に弱い部材や量産性を めるためには、化学的方法によることが好 しく、リン酸塩や蓚酸塩などの多結晶皮膜 化成処理や陽極電解によって形成し、塩酸 硝酸等の剥離液で皮膜剥離する方法が好ま い。この場合の皮膜形成には、亜鉛イオン マンガンイオン、ニッケルイオン、コバル イオン、カルシウムイオン等の金属イオン 、りん酸イオンを含有し、かつ水溶液のpH 1~5の範囲に調整したものを皮膜処理液とし 40~100℃で処理して皮膜とエッチング孔を形 し、次いで前記酸溶液で剥離する方法で表 粗化するのがより好ましい。鉄系金属材料( 材)がステンレス鋼の場合は、塩化第二鉄や 蓚酸を含む溶液で処理したのち酸で皮膜やス マットを除去することが好ましい。

 金属(A)酸化物付着工程において使用される Zr、TiおよびHfの中から選ばれる少なくとも1 種の金属(A)の金属(A)酸化物としては、例えば 、TiO 2 、ZrO 2 、HfO 2 のような酸化金属(A);Ti(OH) 2 、Zr(OH) 2 、Hf(OH) 2 のような金属(A)の水酸化物;Feとの複合酸化物 が挙げられる。Feとの複合酸化物の具体例は 記と同義である。
 金属(A)酸化物としては、例えば、結晶性ゾ 、アモルファスゾルなどが使用できる。そ 粒子径は1~200nmが好ましい。

 金属(A)酸化物付着工程において使用される Zr、TiおよびHfの中から選ばれる少なくとも1 種の金属(A)の金属(A)酸化物の前駆体としては 特に限定されない。
 金属(A)酸化物の前駆体(金属化合物原料)と て、例えば、金属(A)のアルコキシド、塩化 、硝酸塩、フッ化物などの無機化合物;シュ 酸、酢酸、クエン酸、マレイン酸、酒石酸 グリコール酸、乳酸、グルコン酸、β-ジケ ンなどのキレートや有機塩類、過酸化水素 体などが好ましい。より好ましい例として 塩基性炭酸ジルコニウム溶液、ペルオキソ タン酸溶液、Zr-Hfアルコキシド加水分解物 ルコール溶液などが挙げられる。

 金属(A)酸化物付着工程において使用され 、金属(A)酸化物またはその前駆体は酸性水 液として使用することができる。

 金属(A)酸化物付着工程において、鉄系金 材料の表面に金属(A)酸化物またはその前駆 を塗布する方法は特に制限されない。例え 、従来公知のものが挙げられる。具体的に ディッピング法、スピンコーティング法が げられる。

 金属(A)酸化物付着工程において、鉄系金属 料の表面に金属(A)酸化物またはその前駆体 電析させる方法は特に制限されない。
 電析において数V~数十V程度の電圧の電解に って金属(A)酸化物またはその前駆体を酸化 として鉄系金属材料の表面に析出させるこ ができる。
 電解析出させる場合は、金属(A)酸化物また その前駆体や金属(A)酸化物またはその前駆 のゾルを含有する溶液(例えば、水溶液)を 要に応じて希釈して電解槽にいれ、不溶解 たは溶解性の対極を設置して電解処理を行 ことによって、金属(A)酸化物またはその前 体を酸化物として鉄系金属材料の表面に電 (電解析出)させることができる。
 電析は、金属(A)濃度が0.1~5%の濃度で、10~70 の温度で、電流密度が0.02~5A/dm 2 の範囲で行うことが好ましい。
 電析において陽極電解を利用する場合、鉄 金属材料(基材)中のFeを鉄酸化物として金属 (A)酸化物皮膜中に導入したり、下層(鉄酸化 層)の形成を促進して密着性をより高める効 があるため陰極電解よりも好ましい。

 金属(A)酸化物付着工程において鉄系金属 料を金属(A)酸化物の皮膜を有する鉄系金属 料とすることができる。

 酸化処理工程について以下に説明する。
 本発明の第1の態様の金属材料の製造方法が 有する酸化処理工程は、金属(A)酸化物の皮膜 を有する鉄系金属材料を加熱して本発明の金 属材料を製造するものである。

 酸化処理工程における加熱温度は、100~700℃ であるのが好ましく、200~500℃であるのがよ 好ましい。加熱乾燥させることにより金属(A )酸化物をTiO 2 、ZrO 2 、HfO 2 のような酸化金属(A)とすることができる。

 また、酸化処理工程により、鉄系金属材料( 基材金属)表面からFeイオンが酸化物層中に拡 散し、鉄系金属材料(基材金属)と金属(A)酸化 の皮膜との界面に鉄酸化物層が形成されて らに耐食性、密着性が向上する。
 この場合、酸化物層は、金属(A)酸化物を含 上層と鉄酸化物とを含む下層が存在する複 構造の酸化物層となりやすい。
 下層を形成するために使用することができ 酸化処理方法は特に限定されない。例えば 金属(A)酸化物の皮膜の形成後に、空気中で2 00℃以上の高温で加熱する方法、酸化剤を含 100℃以上の強アルカリ性水溶液中で加熱す 方法、酸化性溶融塩浴で400℃以上で処理す 方法が挙げられる。

 酸化処理工程により、耐食性、密着性およ 耐熱性をさらに向上させることができる。
 酸化処理工程によって得られる鉄酸化物の 類は特に限定されない。例えば、γ-Fe 2 O 3 、α-Fe 2 O 3 、Fe 3 O 4 のような酸化鉄が好ましい。
 酸化処理工程において、本発明の金属材料 得ることができる。
 得られた金属材料の表面は、必要に応じて あらかじめ脱脂処理し清浄化することがで る。その方法は、特に限定されず、常法を いることができる。

 本発明の第1の態様の金属材料の製造方法は 、酸化処理工程の後、さらに、前記金属材料 が有する酸化物層の上にセラミックまたは樹 脂を付与する被覆工程を有することができる 。
 被覆工程において使用されるセラミックま は樹脂は特に制限されない。例えば、従来 知のものが挙げられる。
 被覆工程において、金属材料の酸化物層の にセラミックまたは樹脂を塗布し、例えば 150~500℃に加熱してセラミックまたは樹脂を 硬化させて被覆層を形成することができる。
 被覆工程において、被覆層(プライマー、硬 化性プライマーや接着剤の層)と酸化物層と 密着させ、酸化物層の上にさらにセラミッ または樹脂を用いて形成される被覆層を有 る金属材料を得ることができる。

 次に、本発明の第2の態様の金属材料の製造 方法について以下に説明する。
 本発明の第2の態様の金属材料の製造方法は 、
 鉄系金属材料を、Zr、TiおよびHfからなる群 ら選ばれる少なくとも1種の金属(A)の金属(A) イオンと、30ppm以上のFeイオンと、酸化剤イ ンとを含む酸性水溶液に接触させることに って本発明の金属材料を製造する化成処理 程を有するものである。

 本発明の第2の態様の金属材料の製造方法 が有する化成処理工程において、使用される 鉄系金属材料は特に制限されない。例えば、 本発明の第1の態様の金属材料の製造方法に いて使用される鉄系金属材料と同義のもの 挙げられる。また、鉄系金属材料として前 理をしたものを使用することができる。

 本発明の第2の態様の金属材料の製造方法が 有する化成処理工程において、使用される酸 性水溶液は、Zr、TiおよびHfからなる群から選 ばれる少なくとも1種の金属(A)の金属(A)イオ と、30ppm以上のFeイオンと、酸化剤イオンと 含む。
 酸性水溶液に含まれるZrイオンの供給源は 可溶性のジルコニウム化合物、または、何 かの酸成分を加えることによって水溶化が 能なジルコニウム化合物であれば特に限定 れない。例えば、ZrCl 4 、ZrOCl 2 、Zr(SO 4 ) 2 、ZrOSO 4 、Zr(NO 3 ) 4 、ZrO(NO 3 ) 2 、H 2 ZrF 6 、H 2 ZrF 6 の塩、ZrO 2 、ZrOBr 2 、ZrF 4 が挙げられる。

 酸性水溶液に含まれるTiイオンの供給源は 可溶性のチタン化合物、または、何らかの 成分を加えることによって水溶化が可能な タン化合物であれば特に限定されない。例 ば、TiCl 4 、Ti(SO 4 ) 2 、TiOSO 4 、Ti(NO 3 )、TiO(NO 3 ) 2 、TiO 2 OC 2 O 4 、H 2 TiF 6 、H 2 TiF 6 の塩、TiO 2 、TiF 4 が挙げられる。

 酸性水溶液に含まれるHfイオンの供給源は 可溶性のハフニウム化合物、または、何ら の酸成分を加えることによって水溶化が可 なハフニウム化合物であれば特に限定され い。例えば、HfCl 4 、Hf(SO 4 ) 2 、Hf(NO 3 )、HfO 2 OC 2 O 4 、H 2 HfF 6 、H 2 HfF 6 の塩、HfO 2 、HfF 4 が挙げられる。

 酸性水溶液におけるZr、Ti、およびHfから ばれる少なくとも1種の金属元素(A)の合計濃 度は、5~5000ppm、好ましくは10~3000ppmである。

 酸性水溶液に含まれるFeイオンの供給源と ては、例えば、硝酸第二鉄、フッ化鉄、く ん酸鉄、シュウ酸鉄が挙げられる。
 酸性水溶液におけるFeイオンの濃度は、密 性、導電性、耐熱性に優れるという観点か 、30ppm以上である。
 また、酸性水溶液におけるFeイオンの濃度 30ppm以上である場合、耐熱密着性に優れる。
 また、酸性水溶液におけるFeイオンの濃度 、密着性、耐熱密着性により優れるという 点から、30~300ppmであるのが好ましく、40~150pp mであるのがより好ましい。

 本発明の第2の態様の金属材料の製造方法に おいて、密着性、耐熱性、耐食性、導電性に より優れるという観点から、酸性水溶液が、 さらに、Zr、TiおよびHfからなる群から選ばれ る少なくとも1種の金属(A)のアモルファス水 化物を含むことが好ましい。
 金属(A)のアモルファス水酸化物は、非晶質 あれば特に制限されない。
 金属(A)のアモルファス水酸化物としては、 えば、Ti(OH) 2 、Zr(OH) 2 、Hf(OH) 2 が挙げられる。
 金属(A)のアモルファス水酸化物は金属(A)の 出速度を増加させ、耐食性に優れるという 点から、その形状が粒子状であるのが好ま い。

 金属(A)の水酸化物粒子が液中に存在するこ により酸性水溶液(処理液)は常にこれらの 属水酸化物が飽和に近い状態に保たれ、最 酸化物層(皮膜)形成が効率良く安定して行わ れる状態に保つことができる。酸性水溶液( 理液)中のアモルファス水酸化物粒子はpHの 動や温度、フッ素イオン濃度の変動に対し 溶解したり析出したりを可逆的に繰り返す とができるため、処理浴を安定に管理する とができる。
 アモルファス水酸化物粒子が浴中に全く存 しない状態で処理を行う場合、成膜や析出 が不安定となり、全く析出しない不具合が こりうる可能性がある。
 酸性水溶液(酸性溶液)中に存在する金属(A) アモルファス水酸化物はその量やサイズは に限定されない。
 金属(A)のアモルファス水酸化物の粒子径は 密着性、耐熱性、導電性、耐食性により優 るという観点から、0.02~10μm程度が好ましい 。
 金属(A)のアモルファス水酸化物の粒子の個 は密着性、耐熱性、導電性、耐食性により れるという観点から、100個/mL以上が好まし 。
 金属(A)のアモルファス水酸化物が被処理金 材料に付着する場合もあるが、析出皮膜と 体化し、密着性も良好なため、性能に悪影 を及ぼすことはない。

 金属(A)のアモルファス水酸化物の粒子を安 して得ることができ、耐食性に優れるとい 観点から、酸性水溶液のpHは3~6であるのが ましく、3.5~5.5であるのがより好ましい。
 また、金属(A)のアモルファス水酸化物の粒 を安定して得ることができ、密着性に優れ という観点から、酸性水溶液中のFeイオン 濃度は30~150ppmであるのが好ましく、40~120ppm あるのがより好ましい。
 金属(A)のアモルファス水酸化物粒子は、金 (A)の水溶性金属塩(例えば、Zrイオン、Tiイ ン、Hfイオンの供給源が挙げられる。)の溶 に、アンモニア水や、NaOH、KOHのようなアル リ金属水酸化物の溶液を低温(0~40℃)で添加 、良く撹拌することによって得ることがで る。

 酸性水溶液に含まれる酸化剤イオンの供給 としては酸化剤を使用する。
 使用することができる酸化剤としては、例 ば、HClO 3 、HBrO 3 、HNO 2 、HMnO 4 、HVO 3 、H 2 O 2 、H 2 WO 4 およびH 2 MoO 4 からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸 酸、または、これらの酸素酸の塩の中から ばれる少なくとも1種が挙げられる。
 酸素酸またはその塩は、被処理金属材料に する酸化剤として作用し、酸化物皮膜の析 を促進する。
 この場合、酸性水溶液におけるこれらの酸 酸またはその塩の濃度は、酸化剤として十 な効果を発揮するためには、10~5000ppm程度で あるのが好ましい。
 これらの中で、硝酸は、酸化力を有するた 酸化物層(酸化物皮膜層)の析出を促進する 用もあるため最も好ましい酸の1種である。 化物層(表面処理皮膜層)の析出を促進させ 目的で水溶液中に含有させる際の硝酸濃度 、1000~100000ppmであるのが好ましく、1000~80000pp mであるのがより好ましい。

 酸性水溶液の製造は特に制限されない。 えば、従来公知のものが挙げられる。

 酸性水溶液と鉄系金属材料(被処理金属材 料)とを接触させる方法は、特に限定されず 例えば、酸性水溶液を鉄系金属材料(被処理 属材料)の表面に噴霧するスプレー処理、鉄 系金属材料を酸性水溶液に浸漬させる浸漬処 理、酸性水溶液を鉄系金属材料の表面へ流し かける、流しかけ処理が挙げられる。

 酸性水溶液と鉄系金属材料(被処理金属材料 )とを接触させる際、酸性水溶液の温度は、 着性に優れるという観点から、20~80℃である のが好ましく、30~60℃であるのがより好まし 。
 いずれの処理を用いても、酸性水溶液と鉄 金属材料とを接触させることによって、酸 水溶液と鉄系金属材料とを反応させ鉄系金 材料(被処理金属材料)の表面にZr、TiおよびH fから選ばれる少なくとも1種の金属(A)元素とF eとを酸化物として含む酸化物層が得られる

 本発明の第2の態様の金属材料の製造方法は 、化成処理工程の後、さらに金属材料を加熱 する酸化処理工程を有することができる。
 本発明の第2の態様の金属材料の製造方法に おける酸化処理工程は、本発明の第1の態様 金属材料の製造方法における酸化処理工程 同義である。

 本発明の第2の態様の金属材料の製造方法は 、酸化処理工程の後、さらに、金属材料が有 する酸化物層の上にセラミックまたは樹脂の 被覆層を付与する被覆工程を有することがで きる。
 本発明の第2の態様の金属材料の製造方法に おける被覆工程は、本発明の第1の態様の金 材料の製造方法における被覆工程と同義で る。

 以下、本発明の第1の態様の金属材料の製造 方法と本発明の第2の態様の金属材料の製造 法とを合わせて、本発明の金属材料の製造 法という。
 本発明の金属材料の製造方法において使用 ることができる酸性水溶液は、さらに、フ 素を含むことができる。
 酸性水溶液はフッ素をイオンまたは錯イオ として配合することができる。例えば、フ 化水素酸(HF)、H 2 ZrF 6 、H 2 ZrF 6 の塩,H 2 TiF 6 、H 2 TiF 6 の塩、H 2 SiF 6 、H 2 SiF 6 の塩、HBF 4 、HBF 4 の塩、NaHF 2 、KHF 2 、NH 4 HF 2 、NaF、KF、NH 4 Fとして添加することが好ましい。

 酸性水溶液においては、金属(A)に対するフ 素のモル濃度の比[(B)/(A)]は6以上が好ましい 。
 金属(A)に対するフッ素(B)のモル濃度の比が6 以上である場合、酸化物層を析出させやすく 、酸性水溶液の安定性が高くZr、TiおよびHfか ら選ばれる少なくとも1種の金属(A)が酸性水 液中で析出しにくく、実際の工業的用途に ける連続操業に適している。

 本発明の金属材料の製造方法に使用するこ ができる酸性水溶液は、更に、水溶性有機 合物を含有することができる。
 本発明の金属材料の製造方法によって得ら る金属材料は十分な密着性、耐熱性、およ 耐食性等の性能を有しているが、更なる性 が必要な場合には、所望の性能に応じて水 性有機化合物を適宜選択して水溶液に含有 せ、酸化物層の物性を改質することができ 。
 水溶性有機化合物は、水中に溶解または分 することができる有機化合物であれば特に 定されない。例えば、金属の表面処理に常 されている高分子化合物を用いることがで る。具体的には例えば、ポリビニルアルコ ル、ポリ(メタ)アクリル酸、アクリル酸と タクリル酸との共重合体、エチレンと(メタ) アクリル酸、(メタ)アクリルレート等のアク ル系単量体との共重合体、エチレンと酢酸 ニルとの共重合体、ポリウレタン、ポリビ ルアミン、ポリアリルアミン、アミノ変性 ェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキ 樹脂、キトサンおよびその誘導体、タンニ ならびにタンニン酸およびその塩、フィチ 酸が挙げられる。

 また、必要に応じて、金属(A)酸化物付着 程または化成処理工程後、被覆工程前に、 化物層と水溶性有機化合物を含有する水溶 とを接触させる工程を行うことによって、 化物層の上に水溶性有機化合物層を析出さ ることもできる。

 酸性水溶液は、さらに耐熱性、密着性を 上させることができるという観点から、さ に、アルカリ土類金属、希土類金属を含む とができる。アルカリ土類金属、希土類金 はEDTA等のキレート剤とともに添加するのが 好ましい態様の1つとして挙げられる。

 酸性水溶液は、さらに添加剤を含有する とができる。添加剤としては、例えば、界 活性剤、有機インヒビターが挙げられる。

 酸性水溶液は、pH2~6であるのが好ましく、pH 3~5であるのがより好ましい。
 水溶液のpHをアルカリ側へ調整する場合に 、pH調節剤として、例えば、水酸化ナトリウ ム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸 化物;アルカリ土類金属の水酸化物や酸化物; ンモニア;アミン化合物等のアルカリ成分を 用いることができる。
 水溶液のpHを酸側へ調整する場合には、pH調 節剤として、硝酸、硫酸、塩酸等の無機酸の 1種以上および/または酢酸、シュウ酸、酒石 、クエン酸、コハク酸、グルコン酸、フタ 酸等の有機酸の1種以上を用いることができ る。

 酸性水溶液は、更に、ノニオン系界面活 剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界 活性剤等の界面活性剤を含有することがで る。この場合、これらの界面活性剤からな 群から選ばれる少なくとも1種を含有する水 溶液と、あらかじめ脱脂処理を行わず油分が 付着した状態の鉄系金属材料(被処理金属材 )とを接触させることによって、脱脂処理と 化物層(酸化物皮膜層)の析出とを同時に行 ことが可能である。

 本発明の金属材料の製造方法によれば、酸 物層を単層または複層として有する金属材 を製造することができる。
 本発明の金属材料の製造方法が酸化処理工 を有する場合、酸化物層を複層として有す 金属材料を製造することができる。

 以下に実施例を示して本発明を具体的に 明する。ただし、本発明はこれらに限られ ものではない。

1.試験板の作製
(金属材料)
 試験には、金属材料基材(鉄系金属材料)と て70×150mm(板厚:0.8mm)のステンレス鋼板(SUS430) よび冷延鋼板(SPC)を使用した。

(前工程)
 試験に使用する鋼板は、アルカリ脱脂液(日 本パーカライジング社製 FC-4360 20g/L)で60℃× 120秒間脱脂し、水洗した。
 実施例6および比較例2については、SUS430を 塩化第二鉄100g/Lに塩酸を10g/L添加したエッチ ング液にて40℃×3分間表面粗化処理を行った ち、20%硝酸で皮膜剥離したものを金属材料 材として使用した。
 また、実施例4、10および比較例1については 、リン酸マンガン系表面処理剤(パルフォスM1 A、日本パーカライジング社製)を水で14質量% 度に希釈し、全酸度、酸比(全酸度/遊離酸 )および鉄分濃度をカタログ値の標準濃度に 整し、更に96℃に加温した水溶液を準備し この水溶液を用いてSPCを皮膜化成処理した ち、5%塩酸で5分間皮膜剥離して表面粗化処 したものを金属材料基材として使用した。

(酸化物層の形成)
 以下の方法で酸化物層の形成を行った。
(実施例1)
 塩化チタンを水で50%に希釈した水溶液をさ に約10倍に希釈し、アンモニア水を加えて アルカリ性とし、水酸化チタンの沈殿を生 した。これを脱イオン水で良く洗浄したの 、過酸化水素水で溶解して1.3%のペルオキソ タン酸溶液を調製した。
 この溶液をSUS430試験板にディップコートし( 金属(A)酸化物付着工程)、400℃で60分間焼成し (酸化処理工程)、金属材料を得た。
 蛍光X線分析装置(システム3270、理学電気工 (株)製、以下同様。)で得られた金属材料に けるTiO 2 の付着量を測定したところ160mg/m 2 であった。また、X線回折(X線回折分析装置(X PERT-MRD、フィリップス社製)を用いて実施。 下同様。)により得られた金属材料の酸化物 層(皮膜層)からはγ-Fe 2 O 3 が検出された。

(実施例2)
 炭酸ジルコニウム溶液(ZrO 2 として20質量%)を水で2質量%に希釈したコーテ ィング液を調製した。
 この溶液をSPC試験板にディップコートし、1 80℃で20分間乾燥し金属材料を得た。
 蛍光X線分析装置で得られた金属材料におけ るZrO 2 の付着量を測定したところ220mg/m 2 であった。また、X線回折により得られた金 材料の酸化物層(皮膜層)からはγ-Fe 2 O 3 が検出された。また、得られた金属材料の断 面のTEM観察からはγ-Fe 2 O 3 が基材とZr酸化物皮膜との境界部分に検出さ た。

(実施例3)
 炭酸ジルコニウム溶液(ZrO 2 として20質量%)に、シュウ酸ハフニウムを1/10 ル添加した液を水で2質量%に希釈したコー ィング液を調製した。
 この溶液をSPC試験板にディップコートし、1 80℃で20分間乾燥し金属材料を得た。
 蛍光X線分析装置で得られた金属材料におけ るZrO 2 の付着量を測定したところ220mg/m 2 であった。また、X線回折により得られた金 材料の酸化物層(皮膜層)からはγ-Fe 2 O 3 が検出された。また、得られた金属材料の断 面のTEM観察からはγ-Fe 2 O 3 が基材とZr-Hf酸化物皮膜との境界部分に検出 れた。

(実施例4)
 炭酸ジルコニウム溶液(ZrO 2 として20質量%)を水で2質量%に希釈したコーテ ィング液を調製した。
 この溶液を、リン酸マンガン-塩酸剥離によ りあらかじめ表面粗化したSPC試験板にディッ プコートし、180℃で20分間乾燥し金属材料を た。
 蛍光X線分析装置で得られた金属材料におけ るZrO 2 の付着量を測定したところ270mg/m 2 であった。また、X線回折により得られた金 材料の酸化物層(皮膜層)からはγ-Fe 2 O 3 が検出された。

(実施例5)
 実施例1で使用した1.3%のペルオキソチタン 溶液を水で2倍に希釈して電解槽にいれ、白 めっきチタン板を対極とし、SUS430試験板を1 5V×60秒間陽極電解した。陽極電解後の試験板 にはペルオキソチタン酸ゲルの析出が観察さ れた。
 陽極電解後の試験板を乾燥後に450℃で60分 焼成して酸化チタン皮膜を形成し金属材料 得た。
 蛍光X線分析装置で得られた金属材料におけ るTiO 2 の付着量を測定したところ330mg/m 2 であった。また、X線回折により得られた金 材料の酸化物層(皮膜層)からはγ-Fe 2 O 3 が検出された。

(実施例6)
 ヘキサフルオロチタン酸(IV)水溶液と、硝酸 第二鉄と、硝酸アルミニウム溶液と、クエン 酸と、フッ化水素酸とを用いて、Ti濃度が1500 ppm、Fe濃度が50ppm、アルミニウム濃度が300ppm クエン酸濃度が50ppmの化成処理液を調製した 。ついで、水溶液を55℃に加温した後、アン ニア水でpH2.5に調整し化成処理液とした。
 化成処理液を採取して顕微鏡観察した結果 処理液中には水酸化物粒子は観察されなか た。
 化成処理工程においてこの化成処理液を使 し、あらかじめ塩化第二鉄エッチング液に 表面粗化したSUS430試験板を浸漬して120秒間 応処理し金属材料を得た。
 蛍光X線分析装置で得られた金属材料におけ るTiO 2 の付着量を測定したところ80mg/m 2 であった。
 化成処理工程後、酸化処理工程において金 材料を450℃で60分間焼成した。
 酸化処理工程後に得られた金属材料の酸化 層(皮膜層)からはX線回折によりγ-Fe 2 O 3 が検出された。

(実施例7)
 オキシ硝酸ジルコニウムと、硝酸第二鉄と 酸を用いて、ジルコニウム濃度が5ppm、Fe濃 が35ppmの化成処理液を調製した。ついで、 溶液を45℃に加温した後、アンモニア水試薬 でpH4.8に調整し化成処理液とした。化成処理 を採取して顕微鏡観察した結果、処理液中 は粒子径が5~30μmの水酸化物ジルコニウムの 透明粒子が全体に観察された。
 化成処理工程においてこの化成処理液を使 し、SPC試験板を浸漬して120秒間反応処理し 属材料を得た。
 蛍光X線分析装置で得られた金属材料におけ るZrO 2 の付着量を測定したところ180mg/m 2 であった。
 化成処理工程後、酸化処理工程において金 材料を250℃で30分間焼成した。
 酸化処理工程後得られた金属材料の酸化物 (皮膜層)からはX線回折によりγ-Fe 2 O 3 が検出された。

(実施例8)
 オキシ硝酸ジルコニウムと、硝酸第二鉄と 硝酸マグネシウム溶液と、フッ化水素酸と 用いて、ジルコニウム濃度が5ppm、Fe濃度が8 0ppm、マグネシウム濃度が300ppmの化成処理液 調製した。ついで、水溶液を45℃に加温した 後、アンモニア水試薬でpH4.4に調整し化成処 液とした。化成処理液を採取して顕微鏡観 した結果、処理液中には粒子径が1~20μmの水 酸化物ジルコニウムの透明粒子が全体に観察 された。
 化成処理工程においてこの化成処理液を使 し、SPC試験板を浸漬して120秒間反応処理し 属材料を得た。
 蛍光X線分析装置で得られた金属材料におけ るZrO 2 の付着量を測定したところ210mg/m 2 であった。
 化成処理工程後、酸化処理工程において金 材料を250℃で30分間焼成した。
 酸化処理工程後得られた金属材料の酸化物 (皮膜層)からはX線回折によりγ-Fe 2 O 3 が検出された。

 実施例8の金属材料について、酸化物層(皮 )の断面の構造を確認するため、実施例8で得 られた金属材料の断面を透過型電子顕微鏡( 率:10万倍、日立製作所社製 H-9000)で撮影し 。結果を図1に示す。
 図1は、本発明の金属材料の一例の断面を透 過型電子顕微鏡で撮影した写真である。
 図1に示す結果およびEDS分析等による結果か ら明らかなように、図1において、金属材料1 、鉄系金属材料2の表面に酸化物層3を有し 酸化物層3は上層4と下層5とを有し、下層5は 化鉄によって形成され、上層4は酸化ジルコ ニウムで形成されていることが確認できた。
 また、下層5における酸化鉄は、結晶性の酸 化鉄であった。
 図1に示す結果から、上層4は厚みが0.2~0.3μm 金属(A)酸化物であり、下層5は厚みが0.02~0.15 μmの鉄酸化物からなることを確認した。
 図1における結果から明らかなように、下層 5は、鉄系金属材料2の表面(図1参照)で微細な 凸を形成している。このため、下層5が有す る微細な凹凸による投錨効果によって、上層 4と下層5との密着性が優れたものとなってい 。

(実施例9)
 オキシ硝酸ジルコニウム溶液と、硝酸マグ シウム溶液と、硝酸第二鉄と、フッ化水素 試薬とを用いて、ジルコニウム濃度が5ppm、 マグネシウム濃度が300ppmであり、アスコルビ ン酸が50ppmであり、Fe濃度が40ppmである化成処 理液を調製した。ついで、水溶液にポリアリ ルアミン水溶液(PAA-05、日東紡績(株)製)を50ppm 添加し50℃に加温した後、アンモニア水試薬 pH4.5に調整し化成処理液とした。化成処理 を採取して顕微鏡観察した結果、処理液中 は粒子径が1~20μmの水酸化物ジルコニウムの 明粒子が全体に観察された。粒子が水酸化 ルコニウムであることの確認は、ミクロフ ルターでろ過後純水で水洗し、乾燥物を蛍 X線により確認した。
 化成処理工程においてこの化成処理液を使 し、SPC試験板を浸漬して120秒間反応処理し 属材料を得た。
 蛍光X線分析装置で得られた金属材料におけ るZrO 2 の付着量を測定したところ180mg/m 2 であった。
 化成処理工程後、酸化処理工程において金 材料を250℃で30分間焼成した。
 酸化処理工程後得られた金属材料の酸化物 (皮膜層)からはX線回折によりγ-Fe 2 O 3 が検出された。

(実施例10)
 ヘキサフルオロジルコン酸(IV)水溶液と、ヘ キサフルオロチタン酸(IV)水溶液と、硝酸第 鉄と、クエン酸と、硝酸マグネシウム溶液 を用いて、ジルコニウム濃度が200ppm、チタ 濃度が50ppm、クエン酸濃度が100ppm、Fe濃度が8 0ppm、マグネシウム濃度が14000ppmである化成処 理液を調製した。ついで、水溶液にジアリル アミン共重合体水溶液(PAS-92、日東紡績(株)製 )を50ppm添加し50℃に加温した後、アンモニア 試薬でpH4.5に調整し化成処理液とした。化 処理液を採取して顕微鏡観察した結果、処 液中には粒子径が1~20μmの水酸化物ジルコニ ムの透明粒子が全体に観察された。粒子が 酸化ジルコニウムであることの確認は、ミ ロフィルターでろ過後純水で水洗し、乾燥 を蛍光X線により確認した。
 化成処理工程においてこの化成処理液を使 し、リン酸マンガン-塩酸剥離によりあらか じめ表面粗化したSPC試験板にSPC試験板を浸漬 して120秒間反応処理し金属材料を得た。
 蛍光X線分析装置で得られた金属材料におけ るZrO 2 およびTiO 2 の付着量を測定したところ、ZrO 2 の付着量が170mg/m 2 でTiO 2 の付着量が130mg/m 2 であった。
 化成処理工程後、酸化処理工程において金 材料を180℃で30分間焼成した。
 酸化処理工程後得られた金属材料の酸化物 (皮膜層)からはX線回折によりγ-Fe 2 O 3 が検出された。

(比較例1)
 実施例と同様に脱脂したSPC試験板を、リン マンガン系表面処理剤(パルフォスM1A、日本 パーカライジング(株)製)を水で14質量%濃度に 希釈し、全酸度、酸比(全酸度/遊離酸度)およ び鉄分濃度をカタログ値の標準濃度に調整し 、更に96℃に加温した水溶液で皮膜化成処理 たのち、5%塩酸で5分間皮膜剥離して表面粗 処理したものをそのまま金属材料として使 した。

(比較例2)
 実施例と同様に脱脂したSUS430試験板を、更 塩化第二鉄100g/Lに塩酸を10g/L添加したエッ ング液にて40℃×3分間表面粗化処理を行った のち、20%硝酸で10分間皮膜剥離して表面粗化 理したものをそのまま金属材料として使用 た。

(比較例3)
 リン酸マンガン系表面処理剤(パルフォスM1A 、日本パーカライジング(株)製)を水で14質量% 濃度に希釈し、全酸度、酸比(全酸度/遊離酸 )および鉄分濃度をカタログ値の中心に調整 し、更に96℃に加温した水溶液を表面処理用 理液とした。
 脱脂後に水洗を施した炭素綱鋼材丸綱(略号 S45C:JIS G 4051、φ10mm×35mm、表面粗さRzjis2μm)を 、前記表面処理用処理液に120秒間浸漬して表 面処理皮膜層を析出させた。ついで、水洗、 イオン交換水洗、更に乾燥を行い、炭素綱鋼 材丸綱表面の表面処理用処理液および水分を 除去した。

(比較例4)
 炭酸ジルコニウム溶液(ZrO 2 として20質量%)を水で2質量%に希釈したコーテ ィング液を調製した。この溶液をSUS430試験板 にディップコートし、30℃で20分間乾燥し金 材料を得た。
 蛍光X線分析装置で得られた金属材料におけ るZrO 2 の付着量を測定したところ220mg/m 2 であった。また、X線回折およびXPSからは得 れた金属材料の酸化物層(皮膜層)からFe酸化 は検出されなかった。

(比較例5)
 オキシ硝酸ジルコニウムと、硝酸マグネシ ム溶液と、フッ化水素酸とを用いて、ジル ニウム濃度が5ppm、マグネシウム濃度が300ppm の化成処理液を調製した。ついで、水溶液を 45℃に加温した後、アンモニア水試薬でpH3.0 調整し化成処理液とした。化成処理液を採 して顕微鏡観察した結果、処理液中には水 化物ジルコニウムの粒子が観察されなかっ 。
 化成処理工程においてこの化成処理液を使 し、SPC試験板を浸漬して120秒間反応処理し 属材料を得た。
 蛍光X線分析装置で得られた金属材料におけ るZrO 2 の付着量を測定したところ110mg/m 2 であった。
 化成処理工程後、酸化処理工程において金 材料を60℃で10分間乾燥した。
 酸化処理工程後の金属材料の酸化物層(皮膜 層)からはX線回折およびXPSによっても皮膜層 らFe酸化物が検出されなかった。

2.酸化物層(表面処理皮膜層)の性状の分析
 下記に示す方法で、酸化物層中のFeの量、 属(A)付着量、酸化物層中の酸化物の構造を 析した。
 酸化物層中のFeの量、金属(A)付着量の結果 表1に示す。
 金属(A)付着量、酸化物層中の酸化物の構造 結果は、各実施例において記載した。
(1)酸化物層(表面処理皮膜層)の金属(A)付着量 測定
 酸化物層(表面処理皮膜層)の金属(A)付着量 蛍光X線分析装置(システム3270、理学電気工 (株)製)で測定した。
(2)酸化物層(表面処理皮膜層)の酸化物の構造 析
 実施例で得られた金属材料の酸化物層(表面 処理皮膜層)を、X線回折分析装置(X’PERT-MRD、 フィリップス社製)を用いて、薄膜分析法(入 角0.5°)で分析し、酸化物の構造を解析した

(3)酸化物層中のFeの量
 実施例で得られた金属材料の酸化物層中のF eの量を、島津製作所社製XPS分析装置ESCAを用 てXPS(X線光電子分光)による表面分析によっ 皮膜の深さごとに測定した。
 なお、実施例8で得られた金属材料の酸化物 層に関し、XPS(X線光電子分光)による表面分析 の結果を添付の図面(図2、図3)に示す。

 図2は、本発明の金属材料の一例の酸化物層 中に含まれる各元素に関し、XPS(X線光電子分 )を用いて分析された結果得られたXPSナロウ スペクトルを示すグラフである。
 図3は、本発明の金属材料の一例の酸化物層 中に含まれる各元素に関し、XPS(X線光電子分 )を用いて分析された結果得られた各元素の 量(単位:原子パーセント)をデプスプロファイ ルとして示すグラフである。
 なお、図3に示すデプスプロファイルは、図 2に示すXPSナロウスペクトルのデータをもと 作成されたものである。

 実施例8で得られた金属材料の酸化物層に関 し、XPS(X線光電子分光)による表面分析は、最 表面からスパッタリングを行いながら下層方 向に分析することによって行った。
 図3において、分析を開始してから酸化物層 における酸素の原子パーセントが40%未満とな る(つまり、スパッタリングが鉄系金属材料 で到達する。)までの各元素の平均パーセン を酸化物層における各元素の含有率として した。
 図3において示す結果から明らかなように、 平均のFe原子パーセント(酸化物層におけるFe 有率)は酸化物層の上層と下層で異なった。
 すなわち、図3において、エッチングタイム 0.2分におけるFe原子パーセントは3原子%であ た。エッチングタイム0.2分にあたる酸化物 の部分は上層に該当する。
 また、図3において、エッチングタイム1.2分 におけるFe原子パーセントは約20原子%であっ 。エッチングタイム1.2分にあたる酸化物層 部分は下層に該当する。
 なお、上層と下層との境界は明確ではなか たが、上層と下層をあわせた酸化物層中の 均Fe原子パーセントは8.2原子%であった。
 酸化物層における深さ方向における平均のF e含有率は実施例の全てにおいて2~30原子パー ントの範囲内であった。

3.酸化物層(皮膜)性能の評価
 得られた金属材料について、接触抵抗、耐 性試験、密着性試験、耐熱密着性試験を、 下に示す方法で行い、以下に示す評価基準 評価した。結果を表1に示す。

(接触抵抗)
 処理を行ったSPC試験板及びSUS430試験板につ て、表面抵抗計(三菱化学(株)製MCP-T360型[2点 式標準プローブ使用])を用いて得られた金属 料の接触抵抗を測定した。

 (耐食性試験)
 処理を行ったSPC試験板及びSUS430試験版を塩 噴霧試験法(JIS Z 2371)で1000時間試験し、試 後の、錆発生の程度を以下の基準で評価し 。
   5:錆発生が認められない
   4:錆面積1%未満
   3:錆面積1%以上5%未満
   2:錆面積5%以上20%未満
   1:錆面積20%以上

(密着性試験)
 処理を行ったSPC試験板及びSPC試験板の表面 、A液およびB液を1:1で十分混合した2液型エ キシ接着剤(セメダイン社製、ハイスーパー 5)を約100g/m 2 の塗布量で塗布し、24時間放置した。さらに この接着剤が塗布されたSPC試験板またはSPC 験板を、60℃に加熱した5%NaOH水溶液中に60分 間浸漬し、水洗乾燥してから、試料の一端を 万力で固定して、接着剤の塗布面を外側にし て中央部で90度の角度まで折り曲げ、折り曲 部の剥離状態を以下のように評価した。
   5:剥離なし
   4:剥離なし、亀裂あり
   3:剥離20%未満、亀裂あり
   2:剥離20%以上50%未満、亀裂大
   1:剥離50%以上

(耐熱密着性試験)
 処理を行ったSPC試験板及びSPC試験板の表面 、耐熱導電性無機接着剤(Cotronics社製Resbond95 4)を約100g/m 2 の塗布量で塗布し、室温で乾燥させたのち、 電気炉で1000℃で2時間大気雰囲気下で高温酸 処理した。試験後の板は室温に冷却したの 、粘着テープを貼り付け、引き剥がして剥 の有無を評価した。
   5:剥離なし
   4:剥離1%未満
   3:剥離1%以上5%未満
   2:剥離5%以上30%未満
   1:剥離30%以上

 表1に示す結果から明らかなように、実施 例1~10は、耐食性、導電性、密着性および耐 性(耐熱密着性)がともに従来技術である比較 例1~5よりも優れており、本発明の効果が明ら かであることがわかる。