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Title:
METALLIC SEPARATOR FOR FUEL CELL AND PROCESS FOR PRODUCING THE METALLIC SEPARATOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126525
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a metallic separator (1) for a fuel cell, produced by using a metallic base material (2) having a plane surface or having a surface at least a part of which is provided with a concaved gas flow passage. The metallic separator for a fuel cell comprises a metallic base material (2), an acid-resistant metallic film (3) provided on the surface of the metallic base material (2) and comprising at least one non-noble metal selected from Zr, Nb, and Ta, and an electroconductive alloy film (4) provided on the acid-resistant metallic film (3) and comprising at least one noble metal selected from Au and Pt and at least one non-noble metal selected from Zr, Nb, and Ta. There is also provided a process for producing a metallic separator for a fuel cell, comprising the step (S1) of forming an acid-resistant metallic film, and the step (S2) of forming an electroconductive alloy film. By virtue of the above constitution, a metallic separator for a fuel cell, having excellent acid resistance and low contact resistance, and a production process of the metallic separator, can be provided.

Inventors:
TANIFUJI SHINICHI
ITO HIROTAKA
SATO TOSHIKI
SUZUKI JUN
ITO YOSHINORI
HISAMOTO JUN
Application Number:
PCT/JP2008/053998
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
March 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KOBE STEEL LTD (JP)
TANIFUJI SHINICHI
ITO HIROTAKA
SATO TOSHIKI
SUZUKI JUN
ITO YOSHINORI
HISAMOTO JUN
International Classes:
H01M8/02; C22C5/02; C22C5/04; C22C16/00; C22C27/02; C23C14/14; C23C14/24; H01M8/10
Domestic Patent References:
WO2006082734A12006-08-10
Foreign References:
JP2911102B21999-06-23
JP2007005120A2007-01-11
JP2004185998A2004-07-02
JP2001093538A2001-04-06
JP2002367434A2002-12-20
JPH06111828A1994-04-22
JPH02247393A1990-10-03
JP2001093538A2001-04-06
JP2004185998A2004-07-02
Other References:
See also references of EP 2157645A4
Attorney, Agent or Firm:
OGURI, Shohei et al. (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chome,Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 表面が平面の、または、表面の少なくとも一部に凹形状のガス流路が形成される金属基材を用いて製造された燃料電池用金属セパレータであって、
 前記金属基材の表面に、
 Zr、Nb、Taから選択される1種以上の非貴金属を含んでなる耐酸性金属皮膜と、
 この耐酸性金属皮膜の上にAu、Ptから選択される1種以上の貴金属、および、Zr、Nb、Taから選択される1種以上の非貴金属を含んでなる導電性合金皮膜と、
 を有することを特徴とする燃料電池用金属セパレータ。
 前記導電性合金皮膜中の非貴金属の組成が5~65原子%であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用金属セパレータ。
 前記導電性合金皮膜の膜厚が2nm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池用金属セパレータ。
 前記耐酸性金属皮膜の膜厚が5nm以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の燃料電池用金属セパレータ。
 前記金属基材が、純チタン、チタン合金、ステンレス鋼、純アルミニウム、アルミニウム合金、純銅、銅合金から選択されるいずれかの金属材料でなることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の燃料電池用金属セパレータ。
 表面が平面の、または、表面の少なくとも一部に凹形状のガス流路が形成される金属基材を用いて製造する燃料電池用金属セパレータの製造方法であって、
 前記金属基材の表面に、PVD法によって、Zr、Nb、Taから選択される1種以上の非貴金属を含んでなる耐酸性金属皮膜を成膜する工程と、
 前記耐酸性金属皮膜の上に、PVD法によって、Au、Ptから選択される1種以上の貴金属、および、Zr、Nb、Taから選択される1種以上の非貴金属を含んでなる導電性合金皮膜を成膜する工程と、を含み、
 前記耐酸性金属皮膜を成膜する工程は、前記金属基材を加熱しつつ、電圧印加することにより前記金属基材の上に耐酸性金属皮膜を成膜させることを特徴とする燃料電池用金属セパレータの製造方法。
 前記耐酸性金属皮膜を成膜する工程における前記金属基材の加熱条件が50℃以上、かつ前記金属基材への電圧印加条件が-50V以下であることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池用金属セパレータの製造方法。
 前記導電性合金皮膜を成膜する工程において、
 前記導電性合金皮膜の膜厚が2nm以上となるまで成膜することを特徴とする請求項6または7に記載の燃料電池用金属セパレータの製造方法。
 前記耐酸性金属皮膜を成膜する工程において、
 前記耐酸性金属皮膜の膜厚が5nm以上となるまで成膜することを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の燃料電池用金属セパレータの製造方法。
 前記PVD法がイオンプレーティング法またはスパッタリング法であることを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の燃料電池用金属セパレータの製造方法。
 前記金属基材が、純チタン、チタン合金、ステンレス鋼、純アルミニウム、アルミニウム合金、純銅、銅合金から選択されるいずれかの金属材料であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の燃料電池用金属セパレータの製造方法。
Description:
燃料電池用金属セパレータおよ その製造方法

 本発明は、例えば、携帯電話やパソコン どの携帯機器、家庭用燃料電池、燃料電池 動車などに用いられる固体高分子型の燃料 池用金属セパレータおよびその製造方法に する。

 固体高分子型燃料電池は、固体高分子電 質膜をアノード電極とカソード電極とで挟 だものを単一セルとして、セパレータ(ある いはバイポーラプレート)と呼ばれる電極を して単一セルを複数個重ね合わせて構成さ る。

 この燃料電池用のセパレータ材料には、 触抵抗(電極とセパレータ表面との間で、界 面現象のために電圧降下が生じることをいう 。)が低く、それがセパレータとしての使用 に長期間維持されるという特性が要求され 。この点、従来から、加工性および強度の も合わせて、アルミニウム合金、ステンレ 鋼、ニッケル合金、チタン合金などの金属 料の適用が検討されている。

 また、燃料電池内は酸性の腐食雰囲気と るため、セパレータに用いられる材料には 性雰囲気中でも低い接触抵抗を長時間維持 る耐酸性も要求される。

 ステンレス鋼やチタン合金などの金属は 表面に不動態皮膜を形成することによって 好な耐食性を示すため、燃料電池用のセパ ータ用材料として検討されている。しかし がら、この不動態皮膜は接触抵抗(電気抵抗 )が大きいため、ステンレス鋼やチタン合金 どの金属をそのまま燃料電池セパレータと て使用すると、酸性雰囲気中でその表面に 成される不動態皮膜により導電性が著しく 化する傾向がある。

 そのため、接触抵抗の上昇を抑制して導電 を維持させようとする技術が幾つか提案さ ている。
 例えば、特許文献1には、ステンレス鋼やチ タンなどの基材の表面にAuめっき層を10から60 nm付着させたセパレータが提案されている。
 また、特許文献2には、ステンレス鋼の基板 の上に、Taなどを用いて耐酸性金属皮膜を形 し、その上に貴金属皮膜を形成したセパレ タが提案されている。
 さらに、特許文献3には、金属基材自身の酸 化皮膜と、最表層の金属、貴金属またはカー ボンから成る導電性薄膜を形成した金属セパ レータや、これら酸化皮膜と導電性薄膜との 間に、これらの密着性(密着強度)を向上させ Ta、Zr、Nbなどの中間層を形成させた金属セ レータが提案されている。

公開特許公報:平10-228914

公開特許公報:2001-93538

公開特許公報:2004-185998

 しかしながら、従来から検討されている テンレス鋼やチタン合金などの金属は、前 したように酸性雰囲気中でその表面に不動 皮膜を形成するため導電性が著しく劣化す 傾向がある。そのため、これらの金属は、 パレータとして使用した場合、使用当初の 触抵抗が低くても、そのような接触抵抗の い状態を長期間維持することができず、接 抵抗が経時的に上昇して電流損失を招いて まうという問題があった。また、腐食した 合、材料から溶出する金属イオンにより電 質膜を劣化させるなどの問題もあった。

 また、特許文献1に記載された技術では、 燃料電池内の厳しい酸性雰囲気中に曝された 場合、Auめっき層が剥落することで基材の接 抵抗が増大し、燃料電池の性能が低下する れがあった。

 また、特許文献2に記載された技術では、 耐酸性金属皮膜に用いられるTa、Zr、Nbは何れ も融点が1800℃を超える高融点金属であるた に、通常のスパッタリング法を用いてこれ 形成すると、当該耐酸性金属皮膜にピンホ ルが形成される。耐酸性金属皮膜の上に形 されるAu等の貴金属皮膜は耐酸性金属皮膜の ピンホールを残したまま成膜されるため、酸 性雰囲気中でピンホールから基材の金属が溶 出する恐れがあった。また、Ta等の耐酸性金 皮膜とAu等の貴金属皮膜とは、テープ剥離 験でも容易に剥落するほど密着性が悪い。 のため、これらを燃料電池のセパレータと て使用すると、使用時の振動等によってガ 拡散層(カーボンクロス)との間で生じる摩擦 などによりAu等の貴金属皮膜が剥落し、燃料 池の性能が劣化する恐れがあった。

 そして、特許文献3に記載された技術では 、酸化皮膜の上に中間層を形成させた場合、 これらの密着性が悪いため、導電性薄膜が剥 落する恐れがあった。また、酸化皮膜と導電 性薄膜との間にTa、Zr、Nbなどの高融点金属を 用いて中間層を形成すると、特許文献2と同 、中間層にピンホールが形成される恐れが り、ここから金属基材が溶出する恐れもあ た。また、導電性薄膜が貴金属の場合は密 性が悪く剥がれる恐れがあった。

 本発明は前記問題点に鑑みてなされたも であり、耐酸性に優れ、かつ接触抵抗が低 燃料電池用金属セパレータおよびその製造 法を提供することを課題とする。

 前記課題を解決するため、本発明に係る 料電池用金属セパレータは、表面が平面の または、表面の少なくとも一部に凹形状の ス流路が形成される金属基材を用いて製造 れた燃料電池用金属セパレータであって、 記金属基材の表面に、Zr、Nb、Taから選択さ る1種以上の非貴金属を含んでなる耐酸性金 属皮膜と、この耐酸性金属皮膜の上にAu、Pt ら選択される1種以上の貴金属、および、Zr Nb、Taから選択される1種以上の非貴金属を含 んでなる導電性合金皮膜と、を有する構成と した。

 このように、本発明に係る燃料電池用金 セパレータは、金属基材の表面に、優れた 酸性を有するZr、Nb、Taから選択される1種以 上の非貴金属を含んでなる耐酸性金属皮膜を 有しているので金属基材の溶出を防止するこ とができる。また、かかる燃料電池用金属セ パレータは、耐酸性金属皮膜の上に、前記し た非貴金属と、耐酸性に優れるだけでなく酸 化雰囲気下で酸化皮膜を形成しないAu、Ptか 選択される1種以上の貴金属と、を含んでな 導電性合金皮膜をさらに有することで優れ 耐酸性を備えつつ、耐酸性金属皮膜と導電 合金皮膜との密着性を向上させることがで るので接触抵抗を低くすることが可能とな 。

 本発明に係る燃料電池用金属セパレータは 前記導電性合金皮膜中の非貴金属の組成が5 ~65原子%であるのが好ましい。
 このように、導電性合金皮膜の非貴金属を 定の組成範囲とすることによって、耐酸性 属皮膜と導電性合金皮膜との密着性をより くすることができる。これにより、摩擦な によって導電性合金皮膜が耐酸性金属皮膜 ら剥離するおそれを少なくすることができ また接触抵抗をより低くすることが可能と る。

 本発明に係る燃料電池用金属セパレータは 前記導電性合金皮膜の膜厚が2nm以上である が好ましい。
 このように、導電性合金皮膜の膜厚を特定 膜厚よりも厚くすることで優れた耐酸性を えつつ、より確実に接触抵抗を低くするこ が可能となる。

 本発明に係る燃料電池用金属セパレータは 前記耐酸性金属皮膜の膜厚が5nm以上である が好ましい。
 このように、耐酸性金属皮膜の膜厚を特定 膜厚よりも厚くすることでピンホールの形 を確実に防止し、金属基材を露出しにくく ることで金属基材の溶出を防止することが きる。すなわち、より優れた耐酸性を備え せることができる。

 本発明に係る燃料電池用金属セパレータは 前記金属基材が、純チタン、チタン合金、 テンレス鋼、純アルミニウム、アルミニウ 合金、純銅、銅合金から選択されるいずれ の金属材料でなるのが好ましい。
 このようにすれば、優れた耐酸性を備えつ 、接触抵抗の低い純チタン、チタン合金、 テンレス鋼、純アルミニウム、アルミニウ 合金、純銅または銅合金製の燃料電池用金 セパレータをとすることができる。

 本発明に係る燃料電池用金属セパレータ 製造方法は、表面が平面の、または、表面 少なくとも一部に凹形状のガス流路が形成 れる金属基材を用いて製造された燃料電池 金属セパレータであって、前記金属基材の 面に、PVD法によって、Zr、Nb、Taから選択さ る1種以上の非貴金属を含んでなる耐酸性金 属皮膜を成膜する工程と、前記耐酸性金属皮 膜の上に、PVD法によって、Au、Ptから選択さ る1種以上の貴金属、および、Zr、Nb、Taから 択される1種以上の非貴金属を含んでなる導 電性合金皮膜を成膜する工程と、を含み、前 記耐酸性金属皮膜を成膜する工程は、前記金 属基材を加熱しつつ、電圧印加することによ り前記金属基材の上に耐酸性金属皮膜を成膜 させる。

 このように、耐酸性金属皮膜を成膜する 程で金属基材を加熱しつつ電圧印加するこ で、金属基材上に緻密な耐酸性金属皮膜を 膜することができ、金属基材の溶出を防止 ることができる。また、耐酸性金属皮膜の に導電性合金皮膜を成膜することで優れた 酸性を備えつつ、耐酸性金属皮膜と導電性 金皮膜との密着性を向上させることにより 触抵抗を低くした燃料電池用金属セパレー を製造することができる。

 本発明に係る燃料電池用金属セパレータの 造方法は、前記耐酸性金属皮膜を成膜する 程における前記金属基材の加熱条件を50℃ 上、かつ前記金属基材への電圧印加条件を-( マイナス)50V以下とするのが好ましい。
 このように耐酸性金属皮膜を成膜する工程 おいて、金属基材の加熱条件と電圧印加条 を制限することで、耐酸性金属皮膜のピン ールが形成されにくくなり、良好な耐酸性 属皮膜が得られ、金属基材の金属溶出を防 する燃料電池用金属セパレータを製造する とができる。

 本発明に係る燃料電池用金属セパレータの 造方法は、前記導電性合金皮膜を成膜する 程において、前記導電性合金皮膜の膜厚を2 nm以上となるまで成膜するのが好ましい。
 このように、導電性合金皮膜の膜厚を特定 膜厚よりも厚くすることで優れた耐酸性を えつつ、より接触抵抗の低い燃料電池用金 セパレータを製造することができる。

 本発明に係る燃料電池用金属セパレータの 造方法は、前記耐酸性金属皮膜を成膜する 程において、前記耐酸性金属皮膜の膜厚を5 nm以上となるまで成膜するのが好ましい。
 このように、耐酸性金属皮膜の膜厚を特定 膜厚よりも厚くすることで、ピンホールの 成を防止し、金属基材を露出しにくくする とができ、より優れた耐酸性を備えた燃料 池用金属セパレータを製造することができ 。

 本発明に係る燃料電池用金属セパレータの 造方法は、前記PVD法がイオンプレーティン 法またはスパッタリング法であるのが好ま い。
 このようにイオンプレーティング法やスパ タリング法を用いて成膜工程や析出工程を なうと、発生したプラズマすなわち電離気 によって基材の周囲にプラスにイオン化し 粒子(析出させる粒子の一部やアルゴンガス 粒子)を存在させることができる。また、基 にマイナスの電圧を印加することで発生す クーロン力により、イオン化した粒子が基 に衝突し、イオン化した粒子がもつ運動エ ルギを基材に熱エネルギとして与えるため 基材表面に付着した析出粒子の表面拡散を 発にし、緻密な耐酸性金属皮膜を成膜が可 となる。

 本発明に係る燃料電池用金属セパレータの 造方法は、前記金属基材が、純チタン、チ ン合金、ステンレス鋼、純アルミニウム、 ルミニウム合金、純銅、銅合金から選択さ るいずれかの金属材料とするのが好ましい
 このようにすれば、優れた耐酸性を備えつ 、接触抵抗の低い純チタン、チタン合金、 テンレス鋼、純アルミニウム、アルミニウ 合金、純銅または銅合金製の燃料電池用金 セパレータを製造することができる。

 本発明の燃料電池用金属セパレータは、 酸性に優れ、かつ接触抵抗を低くすること できる。本発明の燃料電池用金属セパレー の製造方法によれば、耐酸性に優れ、かつ 触抵抗が低い燃料電池用金属セパレータを 造することができる。

本発明に係る燃料電池用金属セパレー の断面図である。 本発明に係る燃料電池用金属セパレー の製造方法のフローを示すフロー図である (a)は、一般的に行われている成膜条件 スパッタリング法で金属基材の上にTaを成 した様子を撮影した走査型顕微鏡像であり (b)は、本発明で既定する特定の成膜条件の パッタリング法で金属基材の上にTaを成膜し た様子を撮影した走査型顕微鏡像である。 成膜装置の構成を示す説明図である。 接触抵抗の測定方法を説明する説明図 ある。

符号の説明

1   燃料電池用金属セパレータ
2   金属基材
3   耐酸性金属皮膜
4   導電性合金皮膜
S1  耐酸性金属皮膜を成膜する工程
S2  導電性合金皮膜を成膜する工程

 次に、適宜図1を参照して本発明に係る燃 料電池用金属セパレータおよびその製造方法 について詳細に説明する。なお、図1は、本 明に係る燃料電池用金属セパレータの断面 である。

 図1に示すように、本発明に係る燃料電池 用金属セパレータ1は、表面が平面の、また 、表面の少なくとも一部に凹形状のガス流 (不図示)が形成される金属基材2を用いて製 された燃料電池用金属セパレータであって 金属基材2の表面に、耐酸性金属皮膜3と、導 電性合金皮膜4と、を有してなる。

 金属基材2は、純チタン、チタン合金、ステ ンレス鋼、純アルミニウム、アルミニウム合 金、純銅、銅合金から選択されるいずれかの 金属材料を用いると、導電性に優れているの で好適である。具体的には、JIS H 4600に規定 される1種から4種の純チタンの基材や、Ti-Al Ti-Ta、Ti-6Al-4V、Ti-PdなどのTi合金、またはSUS30 4、SUS316等のステンレス材や、純アルミニウ 、アルミニウム合金、純銅、銅合金の基材 使用することができる。
 なお、コストの点からは、純アルミニウム アルミニウム合金、ステンレス鋼を用いる 好ましく、耐酸性の点からは、純チタンや タン合金を用いると好ましい。しかし、本 明の燃料電池用金属セパレータに用いるこ のできる金属基材2の金属材料としてはこれ らに限定されるものではなく、金属製のセパ レータとして燃料電池に用いることのできる その他の金属材料も用いることができること はいうまでもない。

 金属基材2は、表面の少なくとも一部に凹形 状のガス流路を、耐酸性金属皮膜3および導 性合金皮膜4を成膜する前にあらかじめ形成 ておくのがよい。またさらに、本発明に係 燃料電池用金属セパレータ1は、ガス流路が 形成されていない、いわゆる平板セパレータ であってもよい。そのような平板セパレータ として用いる場合には、表面が平面の、つま り前記したガス流路の形成されていない平板 の金属基材2を用いてもよい。
 なお、かかるガス流路を形成する場合は、 面の少なくとも一部を従来公知のプレス加 、切削加工、エッチング処理などによって 形状(凹部)を呈するように加工することで 成することができる。このようにすれば、 料電池として組み上げたときにかかる凹部 にガスを流通させることができる。なお、 ス流路はどのような形状であってもよく、 の形状は特に限定されない。

 耐酸性金属皮膜3は、Zr、Nb、Taから選択され る1種以上の非貴金属を含んでなる。
 Zr、Nb、Taは優れた耐酸性を呈する金属であ ため、金属基材2上に、Zr、Nb、Taから選択さ れる1種以上の非貴金属からなる耐酸性金属 膜3を形成することで、金属基材2の金属の溶 出を防止することができる。なお、耐酸性金 属皮膜3に用いられる非貴金属は、Zr、Nb、Ta 限定されるものではなく、耐酸性に優れる 属であればどのような非貴金属でも用いる とができる。例えば、Hfや、Al、Pなどをドー ピングして半導体化したSiなども用いること できる。

 かかる耐酸性金属皮膜3の膜厚は、5nm以上 とするのが好ましい。耐酸性金属皮膜3の膜 が5nm未満であると、耐酸性金属皮膜3にピン ールが形成されやすいので、金属基材2の金 属が溶出するおそれがある。耐酸性金属皮膜 3の膜厚は、7nm以上とするのがより好ましい 一方、耐酸性金属皮膜3の膜厚の上限は特に 定されるものではないが、後記する耐酸性 属皮膜を成膜する工程S1に要する時間とコ トの点から500nm以下とするのが好ましく、300 nm以下とするのがより好ましく、100nm未満と るのがさらに好ましい。

 導電性合金皮膜4は、前記した耐酸性金属皮 膜3の上にAu、Ptから選択される1種以上の貴金 属、および、Zr、Nb、Taから選択される1種以 の非貴金属を含んでなる。
 AuおよびPtは、耐酸性に優れるだけでなく、 一般的に貴金属と呼ばれる金属元素の中でも 、酸化雰囲気中においてその表面に酸化皮膜 を形成しない元素であるため、酸化雰囲気下 でも導電性を良好に保つことができる。なお 、導電性合金皮膜4に用いられる貴金属は、 タノールを燃料に用いるダイレクトメタノ ル型燃料電池のように、電圧(電位差)がせい ぜい0.7V程度しか出ない燃料電池やそのよう 運転条件で運転される燃料電池においてはAu およびPtに限定されるものではない。耐酸性 優れ、酸化雰囲気中においてその表面に酸 皮膜を形成しない金属であればどのような 金属でも用いることができる。例えば、Pd Rh、Ruなども用いることができる。

 そして、導電性合金皮膜4中の非貴金属(Zr 、Nb、Taから選択される1種以上)の組成を5~65 子%とするのが好ましい。前記した組成で貴 属と非貴金属を合金化して合金皮膜を形成 ることにより、耐酸性金属皮膜3と導電性合 金皮膜4との密着性を向上させることができ 。これにより、耐酸性金属皮膜3が導電性合 皮膜4から剥離するおそれを少なくすること ができ、導電性を維持することが可能となる 。さらに、導電性合金皮膜4の貴金属と非貴 属を前記した組成で合金化させて使用する とにより、高価な貴金属の使用量を抑える とができ、かつ導電性と耐酸性を有する導 性合金皮膜を低コストで作製することがで る。

 導電性合金皮膜4中の非貴金属の組成が5 子%未満であると、導電性合金皮膜4と耐酸性 金属皮膜3の密着性が悪いために、酸性雰囲 下に長期間曝されると導電性合金皮膜4が剥 するおそれがある。また、導電性合金皮膜4 中の非貴金属の組成が65原子%を超えると、表 面に非貴金属の不動態皮膜が形成されるため 、導電性が下がるおそれがある。導電性合金 皮膜4中の非貴金属の組成は、15~55原子%とす のがより好ましく、25~45原子%とするのがさ に好ましい。

 かかる導電性合金皮膜4の膜厚は、2nm以上 とするのが好ましい。導電性合金皮膜4の膜 が2nm未満であると、導電性合金皮膜4と耐酸 金属皮膜3の間に不動態皮膜が形成され、導 電性合金皮膜4が剥落することによって接触 抗が増加する。導電性合金皮膜4の膜厚は、5 nm以上とするのが好ましく、7nm以上とするの より好ましい。一方、導電性合金皮膜4の膜 厚の上限は特に限定されるものではないが、 後記する導電性合金皮膜を成膜する工程S2に する時間とコストの点から500nm以下とする が好ましい。

 以上に説明した本発明に係る燃料電池用 属セパレータ1は、金属基材2の上に、優れ 耐酸性を有する耐酸性金属皮膜3を有し、か 、その上に耐酸性に優れるだけでなく酸化 囲気下で酸化皮膜を形成しない導電性合金 膜4をさらに有しているので、耐酸性に優れ 、かつ接触抵抗を低くすることができる。

 このような燃料電池用金属セパレータ1は、 後記する燃料電池用金属セパレータの製造方 法によって好適に製造することができる。
 以下、適宜図2を参照して、本発明に係る燃 料電池用金属セパレータの製造方法について 説明する。なお、図2は、本発明に係る燃料 池用金属セパレータの製造方法のフローを すフロー図である。

 図2に示すように、本発明に係る燃料電池用 金属セパレータの製造方法は、
 表面が平面の、または、表面の少なくとも 部に凹形状のガス流路が形成される金属基 2を用いて製造する燃料電池用金属セパレー タの製造方法であって、耐酸性金属皮膜を成 膜する工程S1と、導電性合金皮膜を成膜する 程S2と、を含んでなる。
 耐酸性金属皮膜を成膜する工程S1は、成膜 程中にプラズマを発生するPVD(Physical Vapor De position)法によって、金属基材2の上にZr、Nb、T aから選択される1種以上の非貴金属を含んで る耐酸性金属皮膜3を成膜する。なお、Zr、N b、Taから選択される1種以上の非貴金属を用 て成膜する理由、および耐酸性金属皮膜3の 厚を5nm以上となるまで成膜すると好適であ 理由についてはすでに述べたとおりである でその説明を省略する。

 耐酸性金属であるZr、Nb、Taはいずれも高融 金属であるため、プラズマを発生しないPVD である真空蒸着法のような成膜方法で耐酸 金属皮膜を成膜すると、金属基材に飛来し きた粒子(原子またはイオンをいう。以下同 じ。)が金属基材表面に付着し、結晶を形成 て耐酸性金属皮膜となる際に、金属基材表 を拡散しにくく、ポーラスな膜となってピ ホールを形成してしまう。そのため、例え 酸性溶液に浸漬した時、金属基材に耐酸性 属皮膜を成膜してあっても、ピンホール部 から酸性溶液が浸透していき、金属基材の 属が溶出してしまう。つまり、金属基材の 属が溶出するのを防ぐためには、耐酸性金 皮膜中のピンホール形成をなくす必要があ 。
 したがって、ピンホールを形成しない緻密 耐酸性金属皮膜を成膜するには、プラズマ 発生するPVD法であるイオンプレーティング やスパッタリング法で成膜する必要がある なお、かかるスパッタリング法としては、U nbalanced Magnetron Sputtering(UBMS)を用いるとより 適である。

 この耐酸性金属皮膜を成膜する工程S1は 金属基材2を加熱しつつ、電圧印加すること より金属基材2の上に耐酸性金属皮膜3を成 させる。このときの成膜条件としては、金 基材2の加熱条件を50℃以上とし、かつ金属 材2の電圧印加条件を-(マイナス)50V以下とす のが好ましい。かかる加熱条件および電圧 加条件を満たすPVD法を実施すれば、Ta、Zr、 Nb粒子にエネルギを与えて表面拡散を活発に 、金属基材表面上で動きやすくすることが きるので、耐酸性合金皮膜を緻密化し、ピ ホールを無くすことができる。つまり、金 基材2を加熱することによって金属基材表面 に付着したTa、Zr、Nb粒子に熱エネルギを与え ることでTa、Zr、Nb粒子の運動エネルギを高く し、表面拡散を活発にすることができる。

 耐酸性金属皮膜を成膜する工程S1におけ 金属基材2の加熱条件が50℃未満、または金 基材2への電圧印加条件が-(マイナス)50Vより 高いと、スパッタされて金属基材2上で表面 拡散するスパッタ粒子のエネルギが低くなる 。そのために、耐酸性金属皮膜3にピンホー が多く形成される(後記する図3(a)を参照)。 お、金属基材2の加熱条件および電圧印加条 は、100℃以上かつ-(マイナス)100V以下とする のがより好ましく、200℃以上かつ-(マイナス) 200V以下とするのがさらに好ましい。

 耐酸性金属皮膜3に用いられるZr、Nb、Taを一 般的に行われている成膜条件で、金属基材2 電圧を印加せず、且つ加熱をしないでスパ タリング法(つまり、プラズマを発生させな スパッタリング条件)で成膜した場合には、 図3(a)に示すように、金属基材上の耐酸性金 皮膜にピンホールが形成される。
 しかし、耐酸性金属皮膜を成膜する工程S1 おいて、金属基材2を50℃以上で加熱すると もに、-(マイナス)50V以下で電圧印加するこ でスパッタ粒子の表面拡散を加速させるこ で、ピンホールが形成されない、図3(b)に示 ような均一で緻密な耐酸性金属皮膜3を形成 させることができる。なお、図3は、(a)は、 来から実施されている成膜工程の条件、つ り、純チタン製の金属基材を加熱せず、且 電圧印加しないで耐酸性金属皮膜を成膜し その断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で撮像した TEM像(倍率:75000倍)である。また、図3(b)は、前 記した条件を満たす耐酸性金属皮膜を成膜す る工程S1を実施して純チタン製の金属基材上 耐酸性金属皮膜を成膜し、その断面をTEMで 像したTEM像(倍率:75000倍)である。なお、(a)(b )ともに写真内のスケールバーは200nmを示す。
 なお、図3(a)(b)に示されている耐酸性金属皮 膜は、下記表1に示す成膜条件で成膜したも である。

 図3(a)に示すように、従来から実施されてい る成膜工程の条件で成膜された耐酸性金属皮 膜は、Taの結晶が金属基材から柱状に伸び、 晶粒界にピンホールが多数形成されている とがわかる。
 一方、図3(b)に示すように、前記した条件を 満たす耐酸性金属皮膜を成膜する工程S1で成 された耐酸性金属皮膜は、Taの結晶が緻密 形成され、結晶粒界にピンホールが形成さ ていないことがわかる。
 なお、これらを80℃、1Mの硫酸水溶液に100時 間浸漬して、重量減少量すなわち溶解量を測 定したところ、図3(a)に示す耐酸性皮膜を成 した金属基材は、0.04mg/cm 2 の溶解が認められた。これに対し、図3(b)に す耐酸性皮膜を成膜した金属基材について 重量の減少は全く認められなかった。この とから、本発明の耐酸性金属皮膜を成膜す 工程S1による耐酸性金属皮膜が優れた耐酸性 を示すことがわかる。

 次に、導電性合金皮膜を成膜する工程S2は PVD法によって、耐酸性金属皮膜3の上にAu、Pt から選択される1種以上の貴金属、および、Zr 、Nb、Taから選択される1種以上の非貴金属を んでなる導電性合金皮膜4を成膜する。
 なお、Au、Ptから選択される1種以上の貴金 、および、Zr、Nb、Taから選択される1種以上 非貴金属を用いて成膜する理由、および導 性合金皮膜4の膜厚を2nm以上となるまで成膜 すると好適である理由についてはすでに述べ たとおりであるのでその説明を省略する。
 また、導電性合金皮膜4の成膜は、合金化し た皮膜の成膜も可能でありかつその組成も自 由に制御することができるので、スパッタリ ング法によって行なうのがより好ましい。

 以上に説明した本発明の燃料電池用金属 パレータの製造方法によれば、金属基材2の 上に、均一で緻密な耐酸性金属皮膜3を形成 、さらにその上に耐酸性と接触抵抗に優れ 導電性合金皮膜4を成膜することにより、耐 性に優れ、かつ接触抵抗が低い燃料電池用 属セパレータ1を製造することができる。

 次に、本発明に係る燃料電池用金属セパ ータおよびその製造方法について、本発明 要件を満たす実施例と本発明の要件を満た ない比較例とを示して具体的に説明する。

 [実施例A]
 試験板は、JIS H 4600に規定される1種の純チ タン製の金属基板(2cm×5cm×1mm)を18枚用意して セトンで超音波洗浄することにより作製し 。成膜は、下記表2に示す条件で、Unbalanced  Magnetron Sputtering(UBMS)による成膜を実施した。 成膜装置には、UBMS202装置(神戸製鋼製)を用い た。

 下記表3に示すように、耐酸性金属皮膜用の ターゲットとしてZr、Nb、Taのいずれかをチャ ンバー内の一の電極に取り付けて使用した。 また、導電性合金皮膜用のターゲットとして AuまたはPt上に、Zr、Nb、Taのチップを所定量 り付けたものをチャンバー内の他の電極に り付けて使用した。図4は、成膜装置の構成 示す説明図である。なお、試験板は固定さ た台を公転し、さらに試験板を自転させる とで試験板の両面、側面にも成膜を行なっ 。
 表3に、試験板1~18の導電性合金皮膜に用い 貴金属種および非貴金属種と、導電性合金 膜中の非貴金属の組成(%)および膜厚(nm)、並 に耐酸性金属皮膜の非金属種と膜厚を示す

 なお、表3において、導電性合金皮膜中の非 貴金属の組成(原子%)は、ICP発光分析法により 測定した。ICP発光分析法は、あらかじめ導電 性合金皮膜を試験板に成膜したものを作製し 、その試験板を、チタン製基板および導電性 合金皮膜のいずれをも溶解できる酸溶液(王 ・フッ酸混合溶液)で溶解させ、導電性合金 膜を構成する貴金属元素と非貴金属元素の 度を測定しておき、その結果をもとにした 成比(原子%)を明示した。なお、王水・フッ 混合溶液は、溶液濃度がそれぞれ、塩酸38% 硝酸70%およびフッ酸48%の酸溶液を用いて、 酸3:硝酸1:フッ酸2+蒸留水6の体積比となるよ うにして調製した。
 導電性合金皮膜、耐酸性金属皮膜の膜厚は 用したターゲット毎に、スパッタレートを 出しその値から推測した値を示した。

 表3に示す試験板1~18について、図5に示す接 抵抗測定装置30を用いて荷重98N(10kgf)を印加 接触抵抗を測定した。つまり、試験板1~18の 両面をカーボンクロスC、Cではさみ、さらに の外側を接触面積1cm 2 の銅電極31、31を用いて98Nで加圧し、直流電 電源32を用いて1Aの電流を通電し、当該カー ンクロスC、C間に印加される電圧を電圧計33 で測定し、接触抵抗を算出した。

 また、試験板1~18について耐酸試験を行なっ た。その際、試験板1~18は金属基材の中央両 の1cm×1cmの部分だけが露出するように他の部 分はマスキングした。これを80℃の硫酸水溶 (0.5mol/l)に100時間浸漬して、洗浄、乾燥後マ スキング材を除去して1μgまで測定可能なマ クロ天秤を使用して、重量減少量を測定し その後、前記と同様にして接触抵抗装置30を 用いて接触抵抗を測定した。なお、熱処理後 および硫酸浸漬後の接触抵抗は15mω・cm 2 以下を合格とし、硫酸浸漬後の重量減少は0.0 2mg/cm 2 以下を合格とした。
 下記表4に、試験板1~18の硫酸浸漬後の接触 抗(mω・cm 2 )、硫酸浸漬後の重量減少(mg/cm 2 )を示す。

 表4に示すように、試験板1~4、9、10、13、1 4、17は、導電性合金皮膜に用いた貴金属種お よび非貴金属種と、導電性合金皮膜中の非貴 金属の組成(原子%)および膜厚(nm)、並びに耐 性金属皮膜の非金属種と膜厚が本発明の要 を満たしていた。したがって、試験板1~4、9 10、13、14、17は、硫酸浸漬後の接触抵抗お び硫酸浸漬後の重量減少の結果が合格とな た(実施例(表4の備考欄参照))。

 一方、試験板6、11は、導電性合金皮膜の 貴金属の組成が低いため、導電性合金皮膜 耐酸性金属皮膜の密着性が悪く、導電性合 皮膜が剥落して耐酸性金属皮膜の不動態皮 が形成され、接触抵抗が増大した。

 試験板5、12、18は、導電性合金皮膜中の非 金属の組成が多いために、耐酸性金属皮膜 表面に不導体皮膜を形成したため接触抵抗 増大し、合格とならなかった。(比較例(表4 備考欄参照))。
 試験板7、16は、耐酸性金属皮膜が薄いため 耐酸性金属皮膜にピンホールが形成された このことにより、試験板7、16は、金属基材 露出している部分が増えるため、硫酸浸漬 、試験板の重量減少が見られ、また金属基 表面に形成された酸化皮膜によって接触抵 が増大し、合格とならなかった(比較例(表4 備考欄参照))。
 試験板8、15は、導電性合金皮膜が薄いため 導電性合金皮膜と耐酸性金属皮膜の間に不 体皮膜が形成され、当該部分が剥落したこ により接触抵抗が増大し、合格とならなか た(比較例(表4の備考欄参照))。

 なお、JIS K 5400に準拠して、本発明の実 例である試験板1の表面にテープを貼って碁 盤目テープ剥離試験を行ったところ、耐酸性 金属皮膜および導電性合金皮膜の剥離は認め られなかった。

 [実施例B]
 金属基材は[実施例A]と同じ規格の純チタン の金属基板を6枚用意した。そして、下記表 5に示す金属基材の加熱条件および金属基材 電圧印加条件で、導電性合金皮膜をAu-Taとし 、その組成をTa45原子%、膜厚を20nm、耐酸性金 属皮膜をTaとし、その膜厚を10nmに固定して成 膜させて試験板19~24を作製した。

 表5に示す条件で実施して作製した試験板19~ 24を[実施例A]と同じ条件で、硫酸浸漬後の接 抵抗(mω・cm 2 )、および硫酸浸漬後の重量減少(mg/cm 2 )について評価を行った。結果を下記表6に示 。

 試験板19~21は、金属基材の加熱条件が50℃ 以上であり、かつ金属基材の電圧印加条件が -(マイナス)50V未満であったため、硫酸浸漬後 の接触抵抗および硫酸浸漬後の重量減少の結 果が合格となり、実施例となった(表6の備考 参照)。

 一方、試験板22~24は、金属基材の加熱条 が50℃未満であったため、または金属基材の 電圧印加条件が-(マイナス)50Vよりも大きかっ たため、耐酸性金属皮膜にピンホールが形成 された。このことにより、金属基材が露出し 、これが酸性雰囲気に曝されて金属基材の金 属が溶出した。そのため、硫酸浸漬後の重量 が減少し、また、硫酸浸漬後の接触抵抗が増 大し、合格とならなかった(比較例(表6の備考 欄参照))。

 以上、本発明の燃料電池用金属セパレー およびその製造方法について、発明を実施 るための最良の形態および実施例により具 的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの 載に限定されるものではなく、特許請求の 囲の記載に基づいて広く解釈されなければ らない。また、これらの記載に基づいて種 変更、改変等したものも本発明の趣旨に含 れることはいうまでもない。

 本出願は2007年4月9日出願の日本特許出願( 特願2007-102053)に基づくものであり、その内容 はここに参照として取り込まれる。