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Patent Searching and Data


Title:
METHOD AND APPARATUS FOR COLLECTION OF INDIUM FROM ETCHING WASTE SOLUTION CONTAINING INDIUM AND FERRIC CHLORIDE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/090671
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are a method and an apparatus for the recovery of indium, which do not need for collecting indium in the form of indium hydroxide, can collect indium at a high concentration, have a good handling property during the collection, can collect indium readily by using a filter or the like, and have a remarkably improved recovery rate. The method comprises the steps of: adding a precipitation-inducing metal to an etching waste solution containing at least indium and ferric chloride to thereby cause the precipitation of indium contained in the etching waste solution onto the surface of the precipitation-inducing metal, wherein the precipitation-inducing metal comprises a metal having higher ionization tendency than indium, and the etching waste solution is so prepared as to contain ferric chloride at a concentration of 20 wt% or less; detaching indium precipitated on the precipitation-inducing metal from the precipitation-inducing metal by a detachment means; and separating the detached solid indium or indium alloy from the liquid fraction and collecting the separated indium or indium alloy.

Inventors:
MIKI TAKEO (JP)
SUGIMOTO TAMOTSU (JP)
SAHASHI EIICHI (JP)
HONMA TAKAMICHI (JP)
MAESETO TOMOHARU (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/072408
Publication Date:
July 31, 2008
Filing Date:
November 19, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SHARP KK (JP)
KOBELCO ECO SOLUTIONS CO LTD (JP)
MIKI TAKEO (JP)
SUGIMOTO TAMOTSU (JP)
SAHASHI EIICHI (JP)
HONMA TAKAMICHI (JP)
MAESETO TOMOHARU (JP)
International Classes:
C22B58/00; C22B3/46; C22B7/00
Foreign References:
JP2007009274A2007-01-18
JPH06128664A1994-05-10
JP2001192709A2001-07-17
JPH10509212A1998-09-08
JP2007270342A2007-10-18
Attorney, Agent or Firm:
FUJIMOTO, Noboru (2F 15-14, Minamisemba 1-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 81, JP)
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Claims:
 少なくともインジウムと塩化第二鉄とを含有するエッチング廃液からインジウムを回収するエッチング廃液からのインジウムの回収方法であって、廃液中の塩化第二鉄の濃度が20重量%以下となるように調整されたエッチング廃液に、インジウムよりもイオン化傾向の大きい金属からなる析出用金属を添加し、前記エッチング廃液中に含有されるインジウムを前記析出用金属の表面に析出させ、その後、剥離手段によって前記析出用金属に析出したインジウムを前記析出用金属から剥離して、剥離した固形状のインジウムを液分から分離して回収することを特徴とする、インジウム及び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液からのインジウムの回収方法。
廃液中の塩化第二鉄の濃度が9重量%以下となるように調整する請求項1記載のインジウム及び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液からのインジウムの回収方法。
廃液中の塩化第二鉄の濃度が6重量%以下となるように調整する請求項1記載のインジウム及び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液からのインジウムの回収方法。
廃液中の塩化第二鉄の濃度を調整した後に、エッチング廃液に析出用金属を添加する請求項1乃至3のいずれかに記載のインジウム及び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液からのインジウムの回収方法。
インジウムよりもイオン化傾向の大きい金属からなる析出用金属が亜鉛又はアルミニウムである請求項1乃至4のいずれかに記載のインジウム及び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液からのインジウムの回収方法。
析出用金属からインジウムを剥離する手段が、超音波によって金属粒子を振動させる手段である請求項1乃至5のいずれかに記載のインジウム及び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液からのインジウムの回収方法。
析出用金属が、粒径0.1~8mmの金属粒子である請求項1乃至5のいずれかに記載のインジウム及び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液からのインジウムの回収方法。
 少なくともインジウムと塩化第二鉄とを含有するエッチング廃液からインジウムを回収するエッチング廃液からのインジウムの回収装置であって、廃液中の塩化第二鉄の濃度が20重量%以下となるように調整されたエッチング廃液を流入するとともに、インジウムよりもイオン化傾向の大きい金属からなる析出用金属を添加して、前記エッチング廃液中に含有されるインジウムを前記析出用金属の表面に析出させる金属析出反応を行なうための回収用リアクター(1)と、前記析出用金属に析出したインジウムを前記析出用金属から剥離する剥離手段とを具備することを特徴とするインジウム及び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液からのインジウムの回収装置。
回収用リアクター(1)の前段側に、廃液中の塩化第二鉄の濃度を調整するための調整槽(2)が設けられている請求項8記載のインジウム及び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液からのインジウムの回収装置。
 少なくともインジウムと塩化第二鉄とを含有するエッチング廃液からインジウムを回収するエッチング廃液からのインジウムの回収装置であって、エッチング廃液を流入するとともに、該廃液中の塩化第二鉄の濃度が20重量%以下となるように調整し、インジウムよりもイオン化傾向の大きい金属からなる析出用金属を添加して、前記エッチング廃液中に含有されるインジウムを前記析出用金属の表面に析出させる金属析出反応を行なうための回収用リアクター(1)と、前記析出用金属に析出したインジウムを前記析出用金属から剥離する剥離手段とを具備することを特徴とするインジウム及び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液からのインジウムの回収装置。
インジウムよりもイオン化傾向の大きい金属からなる析出用金属が亜鉛又はアルミニウムである請求項8乃至10のいずれかに記載のインジウム及び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液からのインジウムの回収装置。
析出用金属からインジウムを剥離する手段が、超音波によって金属粒子を振動させる手段である請求項8乃至11のいずれかに記載のインジウム及び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液からのインジウムの回収装置。
Description:
インジウム及び塩化第二鉄を含 するエッチング廃液からのインジウムの回 方法とその装置

 本発明は、インジウム及び塩化第二鉄を 有するエッチング廃液からインジウムを回 するインジウムの回収方法とその装置、さ に詳しくは、たとえば液晶ディスプレイや ラズマディスプレイ等のフラットパネルデ スプレイの製造プロセスで発生するような ッチング廃液から、有価物であるインジウ (In)を合金或いは金属単体等として回収する 方法と装置に関する。

 液晶ディスプレイやプラズマディスプレ 等のフラットパネルディスプレイ(FPD)は、 年においてコンピュータの表示デバイス用 デレビ受像器用、携帯電話の表示部用等、 種電子機器に多用されている。このようなFP Dの製造プロセスにおいては、当然のことな ら廃液が生じ、そのような廃液を処理しな ればならない点においては、このようなFPD 扱う液晶製造工場のみならず、たとえば半 体製造工場やメッキ工場の場合と同様であ 。そして、このようなFPDの製造プロセスで 生する廃液の1つにインジウム及び塩化第二 を含有するエッチング廃液がある。

 一般に、産業廃液には種々の金属が含有 れていることがあり、上記FPDの製造等を行 液晶製造工場廃液にはIn等が含有され、半 体製造工場廃液には、銅(Cu)、ガリウム(Ga)等 が含有され、メッキ工場廃液にはニッケル(Ni )、Cu、亜鉛(Zn)等が含有され、それらを有価 である金属単体として回収することが試み れている。これらを金属単体あるいは合金 して回収できれば、それらの金属を再利用 ること等も可能となる。

 重金属類を回収する廃液の処理技術とし 、従来では薬剤を用いた凝集沈殿処理、共 処理等が一般に採用されており、濃度が低 場合には吸着剤を用いて金属類を除去する とも行なわれている。たとえば薬剤を用い 凝集沈殿処理を利用する技術として下記特 文献1に係る発明がある。

 しかしながら、上記のようなインジウム び塩化第二鉄を含有するエッチング廃液に 記のような凝集沈殿処理を適用した場合、 酸化インジウムとして回収することは可能 はあるものの、塩化第二鉄も水酸化物とし 沈殿することとなり、全体として水酸化物 スラッジの発生量が多くなるという問題が る。しかも、ほとんどが鉄含有スラッジの 態となるので、有価物にならないという問 もある。

 一方、インジウム及び塩化第二鉄を含有 るエッチング廃液からのインジウムの除去 法及び回収方法に関する先行技術として本 明者等が検索した結果、唯一、下記特許文 2に記載の特許出願が存在した。すなわち、 この特許文献2に係る発明は、請求項1に記載 れているように、インジウム及び塩化第二 を含有するエッチング廃液に、鉄、ニッケ 化合物を添加することを特徴とするインジ ムの除去、回収方法である。

 そして、具体的な回収手段については、 該特許文献2の明細書の段落[0022]に「当該廃 液にニッケル化合物を添加し、鉄を加え、攪 拌加熱して、ニッケルを析出させるとともに インジウムを析出させる。このことから、当 該廃液中からインジウムを除去することがで きる。即ち、沈殿物からインジウムを回収す ることができ、…」と記載され、さらに段落 [0023]には「インジウム及び塩化第二鉄を含有 するエッチング廃液に鉄を添加して析出した インジウム及びニッケルなどからなる混合物 は、鉄に付着していることから沈殿物として 溶液から簡単に分離することができる。当該 沈殿物の分離方法としては、重力式沈降、ろ 過やサイクロンなどの遠心力を利用する方法 を挙げることができる。」と記載されている 。

 これらの記載から判断すると、特許文献2 の方法においては、ニッケルイオンの添加に より、ニッケルの析出反応が起こり、この析 出反応に付随してインジウムの析出反応を起 こすため、回収されたインジウム合金は非常 にインジウム濃度が低く、ニッケルを主体と する合金として回収されるため、回収したイ ンジウムを有効利用することが困難である。 この点、当該特許文献2においては、合金中 インジウムの濃度を所望の濃度以上にして 収することについては言及されていない。 って、この特許文献2のような方法は、廃液 らインジウムを除去する技術として利用で ても、インジウムのみを有価物として回収 る技術として有効利用できるとは必ずしも められないのである。また、インジウムは ッケル等との混合物として、鉄に付着して り、沈殿物として各種の分離方法で分離す 必要があり、しかも通常の分離方法では、 ンジウムを有価物として回収することは非 に困難である。

日本国特開2005-342694号公報

日本国特開2004-75463号公報

 本発明は、このような問題を解決するた になされたもので、従来のように水酸化イ ジウムの状態で回収する必要がなく、或い 他の金属との合金として回収する場合に、 金中のインジウムの濃度が低くなることが く、高濃度インジウムとして回収すること でき、従って回収時において水酸化インジ ムの場合のようなハンドリングの悪さもな 、フィルターなどで容易に回収することが き、しかもインジウムの回収率が著しく良 となるインジウムの回収方法と装置を提供 ることを課題とする。

 本発明は、このような課題を解決するた に、インジウム及び塩化第二鉄を含有する ッチング廃液からのインジウムの回収方法 その装置としてなされたもので、インジウ の回収方法としての特徴は、少なくともイ ジウムと塩化第二鉄とを含有するエッチン 廃液からインジウムを回収するエッチング 液からのインジウムの回収方法であって、 液中の塩化第二鉄の濃度が20重量%以下とな ように調整されたエッチング廃液に、イン ウムよりもイオン化傾向の大きい金属から る析出用金属を添加し、前記エッチング廃 中に含有されるインジウムを前記析出用金 の表面に析出させ、その後、剥離手段によ て前記析出用金属に析出したインジウムを 記析出用金属から剥離して、剥離した固形 のインジウムを液分から分離して回収する とである。

またインジウムの回収装置としての特徴は、 少なくともインジウムと塩化第二鉄とを含有 するエッチング廃液からインジウムを回収す るエッチング廃液からのインジウムの回収装 置であって、廃液中の塩化第二鉄の濃度が20 量%以下となるように調整されたエッチング 廃液を流入し、或いはエッチング廃液を流入 するとともに該廃液中の塩化第二鉄の濃度が 20重量%以下となるように調整し、インジウム よりもイオン化傾向の大きい金属からなる析 出用金属を添加して、前記エッチング廃液中 に含有されるインジウムを前記析出用金属の 表面に析出させる金属析出反応を行なうため の回収用リアクター1と、前記析出用金属に 出したインジウムを前記析出用金属から剥 する剥離手段とを具備することを特徴とす 。
尚、本発明の回収対象物であるインジウムは 、金属単体として回収される他、合金として も回収され、或いは化合物等としても回収さ れる場合があり、またエッチング廃液に含有 されているインジウムは、通常、イオン、化 合物等の状態であるので、これらをすべて厳 密且つ明確に区別するのは困難であり、また すべてを明確に区別する必要は必ずしもない 。従って、本発明において、単に「インジウ ム」というときは、金属単体を意味する場合 の他、合金や化合物である場合なども含むも のである。

廃液中の塩化第二鉄の濃度は、9重量%以下 なるように調整することがより好ましく、6 重量%以下となるように調整することがさら 好ましい。インジウムよりもイオン化傾向 大きい金属からなる析出用金属としては、 とえば亜鉛又はアルミニウムが用いられる

さらに、析出用金属から該析出用金属に析 出したインジウムを剥離する手段としては、 たとえば超音波によって金属粒子を振動させ る手段又は電磁石によって金属粒子を攪拌し 相互に衝突させる手段のようなものが採用さ れる。廃液中の塩化第二鉄の濃度調整は、回 収用リアクター1の前段側に、調整槽2を設け その調整槽2内で行ってもよく、また回収用 リアクター1内で濃度調整を行ってもよい。

 本発明は、上述のように、廃液中の塩化 二鉄の濃度が20重量%以下となるように調整 れたインジウム及び塩化第二鉄を含有する ッチング廃液に、インジウムよりもイオン 傾向の大きい金属からなる析出用金属を添 し、前記エッチング廃液中に含有されるイ ジウムを前記析出用金属の表面に析出させ その後、剥離手段によって前記析出用金属 析出したインジウムを前記析出用金属から 離して、剥離した固形状のインジウムを液 から分離して回収するものであるため、エ チング廃液からのインジウムの回収に、イ ン化傾向を利用したセメンテーション反応 剥離技術とを組み合わせ、すなわちインジ ムよりもイオン化傾向の大きい析出用の金 を用いることで金属析出反応のための金属 総表面積が増加し、析出反応速度が向上し またある程度成長した析出金属を剥離手段 剥離させることで常に新しい金属表面を露 させ反応速度を維持することができるので 従来のいずれの方法と比べても、廃液中か のインジウムの回収率を著しく向上させる とができるという効果がある。

 特に、本発明の対象となるインジウム及 塩化第二鉄を含有するエッチング廃液の場 には、通常、塩化第二鉄の濃度は30重量%以 と非常に高く、上記イオン化傾向を利用し セメンテーション反応を適用しようとする 析出用金属の溶解反応が激しく、還元析出 応の制御が困難となる。また、析出用金属 溶解速度がインジウムの析出速度よりも速 ため、鉄とインジウムが亜鉛の表面に析出 て亜鉛の溶解反応が停止する前に亜鉛粒子 すべて溶解することとなり、その結果、析 したインジウムが再度溶解し、回収するこ ができない。これに対して、本発明におい は、上述のようにエッチング廃液中の塩化 二鉄の濃度が20重量%以下、好ましくは9重量 %以下、さらに好ましくは6重量%以下となるよ うに調整しているため、析出用金属の溶解反 応がそれほど激しくはなく、従って、還元析 出反応の制御が困難となることもなく、また 析出用金属が必要以上に溶解するようなこと もないのである。

 また、従来の方法のように水酸化インジ ム等の沈殿物の状態で回収する必要がなく また、合金として回収される場合でも、合 中のインジウムの濃度が低くなることもな 、高濃度インジウムとして回収することが きるので、回収時において水酸化インジウ の場合のようなハンドリングの悪さもなく フィルターなどで容易に回収することがで るという効果がある。

 以上のように、本発明によって、回収率 高いインジウムの回収方法を提供すること できるので、たとえば将来家電リサイクル 又はそれに相当する法律でFPD等の回収リサ クルが義務づけられるようになった場合で 、液晶テレビのリサイクル工場でのリサイ ル過程におけるインジウムの回収方法とし 、本発明を適用することができるという実 がある。

一実施形態としてのインジウム及び塩 第二鉄を含有するエッチング廃液からのイ ジウムの回収装置の概略正面図。 同インジウム回収装置における回収用 アクターの概略正面図。 他実施形態の回収用リアクターの概略 面図。

符号の説明

  1 回収用リアクター
  2 調整槽

 以下、本発明の実施形態について図面に従 て説明する。
(実施形態1)
 本実施形態のインジウム及び塩化第二鉄を 有するエッチング廃液からのインジウム(In) の回収装置は、図1に示すように、回収用リ クター1と、調整槽2と、フィルター3とを具 したものである。

 回収用リアクター1は、後述するようにセ メンテーション反応(金属析出反応)によって 液中からInを析出させるためのものであり 調整槽2は、それに先だって廃液中の塩化第 鉄の濃度を調整するためのものであり、フ ルター3は前記回収用リアクター1で析出さ たInを分離、回収するためのものである。尚 、分離された処理液は前記調整槽2へ返送し るように構成することも可能である。分離 れた処理液を調整槽2へ返送しうるように構 する場合には、被処理液を循環させるポン 等が必要となる。

前記回収用リアクター1のリアクター本体5 、図2に示すように縦長のものであり、リア クター上部6、リアクター中間部7、及びリア ター下部8からなり、それぞれ連設部9、10を 介して連設されている。リアクター上部6、 アクター中間部7、及びリアクター下部8のそ れぞれは同幅に形成されているが、リアクタ ー上部6の断面積はリアクター中間部7の断面 より大きく形成され、リアクター中間部7の 断面積はリアクター下部8の断面積より大き 形成されている。この結果、全体としてリ クター本体5の断面積が上方に向かって不連 的に増加するように構成されている。尚、 設部9、10は、上向きに幅広なテーパ状に形 されている。

 リアクター下部8の下側には、処理対象で あるIn及び塩化第二鉄を含有するエッチング 液を流入するための略円錐形の流入用チャ バー11が設けられ、さらにその下部に流入 12が設けられている。流入管12には、図示し いが、逆止弁が設けられている。またリア ター上部6の上側には、上部チャンバー13が けられ、その側部に、回収されたフレーク や微粒子状の回収対象金属であるInを排出 るための排出管14が設けられている。

上部チャンバー13は、このような排出管14 よって回収された金属(In)を排出するための 分であるとともに、Inとのイオン化傾向の 違に基づいていわゆるセメンテーション反 (金属析出反応)を生じさせるための、Inより イオン化傾向が大きい析出用金属の金属粒 を投入する部分でもある。実際には、投入 れる金属と回収される金属(In)とのセメンテ ーション反応は、前記リアクター本体5の全 で生じることとなる。そして、流入管12から 流入されたエッチング廃液が排出管14に至る での間に、その廃液が垂直方向に上昇しつ 金属粒子による流動床を形成するように構 されている。さらに、エッチング廃液中に 有されている金属であって、前記セメンテ ション反応により前記投入された金属粒子 析出した回収対象金属を剥離させる剥離手 としての超音波発振体15a、15b、15cが、リア ター上部6、リアクター中間部7、及びリア ター下部8にそれぞれ設けられている。

 本実施形態では、投入する金属粒子とし 亜鉛(Zn)やアルミニウム(Al)の粒子が用いら る。投入する金属粒子の平均粒径は、0.1~8mm 金属粒子を用いることが好ましいが、本実 形態では平均粒径が2mmのものが用いられる 尚、平均粒径は、画像解析法あるいはJIS Z 8801ふるい分け試験法等により測定される。

 そして、このような構成からなるInの回 装置によってInを回収する方法について説明 すると、先ず処理対象である廃液を調整槽2 供給し、その調整槽2でエッチング廃液中の 化第二鉄の濃度を調整する。具体的には、 を調整槽2に添加して塩化第二鉄の濃度が6 量%以下となるように希釈する。

 次に、このようにして塩化第二鉄の濃度 調整されたエッチング廃液を、流入管12か 流入用チャンバー11を介してリアクター本体 5内に流入する。その一方で、上部チャンバ 13からセメンテーション反応を生じさせるた めの金属粒子(Zn又はAl粒子)を投入する。リア クター本体5内においては、流入されたエッ ング廃液が垂直方向に上昇する一方で、上 チャンバー13から投入された金属粒子が流動 床を形成するように流動状態となる。

 そして廃液中に含有されているInと、投 された金属粒子であるZn又はAlとのイオン化 向の相違に基づく、いわゆるセメンテーシ ン反応を生じさせる。これをより詳細に説 すると、各金属イオンの還元反応は次式(1)~ (3)のとおりであり、各金属イオンの標準電極 電位(E°)をそれぞれに示している。尚、廃液 には塩化第二鉄が含有され、Feもセメンテ ション反応に関与するので、Feイオンの還元 反応を次式(1)に示し、その標準電極電位(E°) 示している。

  In 3+ +3e→In …(1)   -0.34V
 Zn 2+ +2e→Zn …(2)   -0.76V  
  Al 3+ +3e→Al …(3)   -1.66V
  Fe 2+ +2e→Fe …(4)   -0.44V  

 上記(1)~(4)からも明らかように、In 3+ やFe 2+ に比べて、Zn 2+ やAl 3+ の標準還元電位が小さい。換言すれば、InやF eに比べて、ZnやAlのイオン化傾向が大きいこ になる。そのため、上記のような流動状態 なった状態で、イオン化傾向の大きいZnやAl がZn 2+ 或いはAl 3+ となって廃液中に溶出し、それとともに廃液 中に含有されていたIn 3+ がInとなり、Fe 2+ がFeとなって、ZnやAlの粒子の表面上に析出す る。

 この場合において、エッチング廃液中に 塩化第二鉄が含有されているので、塩化第 鉄の濃度が高いと、上記セメンテーション 応が生じる場合に、Zn粒子又はAl粒子の溶解 反応が激しく、還元析出反応の制御が困難と なるおそれがある。またZn粒子又はAl粒子が 要以上に溶解することで経済的にも損失が じる。

 しかし、本実施形態においては、上述の うにエッチング廃液中の塩化第二鉄の濃度 6重量%以下となるように調整されているた 、Zn粒子又はAl粒子の溶解反応がそれほど激 くはなく、従って、還元析出反応の制御が 難となることもなく、またZn粒子又はAl粒子 が必要以上に溶解するようなこともないので ある。さらに上記のようなセメンテーション 反応から、析出物はInとFeとの合金の形態で られるが、前記リアクター本体5内に流入さ たエッチング廃液は、塩化第二鉄の濃度が6 重量%以下となるように予め希釈されている で、得られるInとFeとの合金についてもInの 有割合が90重量%以上と非常に高濃度のIn合金 を得ることができる。

 そして、このようなセメンテーション反応 よってInをZnやAl粒子の表面上に析出させた 、超音波発振体15a、15b、15cを作動させる。 の超音波発振体15a、15b、15cを作動させるこ によって、該超音波発振体15a、15b、15cから 振される超音波が、前記Inを析出したZn粒子 又はAl粒子に振動力及び攪拌力を付与し、そ によって析出したInがZn粒子又はAl粒子から 制的に剥離されることとなる。
 このように析出させたInの剥離のために超 波発振を利用した場合は、処理装置の外観 リアクター部分に超音波発振体の存在を目 で確認できる。また、目視で確認できない 合であっても、処理中には超音波発振体が アクター内のZnやAlの金属粒子を接触振動さ る際に10数キロヘルツ程度の高音が発生す ため、超音波を利用した処理がなされてい ことが容易に確認できる。

このようにして剥離されたInを含む処理液 、上部チャンバー13から排出管14を経てリア クター本体5の外部に排出され、フィルター3 よって分離され、分離されたInが回収され こととなるのである。この場合において、 実施形態では、回収対象金属であるInを析出 させるために投入される析出用金属として、 粒子状のものを用いているので、たとえばZn Alのスクラップを投入するような場合に比 ると、セメンテーション反応を生じさせる めの金属(Zn、Al)の表面積が増加し、Inの析出 反応の速度が向上することとなる。そして、 ある程度成長した金属の析出が認められた後 に、上記のような超音波の振動による強制的 な剥離によって、常に新しい金属表面(Zn粒子 の表面)を露出させ、反応速度を維持するこ ができる。また、従来の方法に比べると、 離した回収金属中には上述した通り、In以外 の不純物が非常に少ないものとなる。

 また、Zn又はAlからなる金属粒子はリアクタ ー本体5内で流動し、上記のようなセメンテ ション反応によってZn 2+ 又はAl 3+ が溶出するので、上部チャンバー13に投入さ た金属粒子の投入初期時における粒径は、 間の経過とともにどうしても減少すること なる。この結果、本来であれば廃液がほぼ じ上向流の速度でリアクター本体5内を上昇 するので、上部に向かうほど粒径が減少して 小さくなった金属粒子がリアクター本体5か 不用意に溢流するおそれがある。

 しかしながら、本実施形態においては、 アクター本体5の断面積が上方へ向かうほど 不連続的に大きくなるように形成されている ため、リアクター本体5内での廃液の上向流 速度は徐々に減少し、従って上記のように メンテーション反応等により粒径が減少し 金属粒子は、断面積が増加していくリアク ー本体5の上部において、不用意に溢流する となくリアクター本体5内に保持される可能 性が高くなる。

 また、エッチング廃液はリアクター本体5 の下部側から流入し、リアクター本体5内を 過する際に、セメンテーション反応によりZn 又はAlからなる金属粒子に回収対象となるIn 析出させることから、リアクター本体5の上 へ向かうほど、廃液中の回収対象金属の濃 が低下する。

しかしながら、本実施形態では、リアクタ ー本体5の上部ほど微細なZn又はAlの粒子が存 し、またエッチング廃液の上向流の速度が 々に減少することでZn又はAl粒子の数が増加 すると認められることから、リアクター本体 1の上部ほどZn又はAl粒子の総表面積は大きく る。この結果、セメンテーション反応の反 速度(In析出の効率)が向上することから、In 濃度がより低濃度となるリアクター本体5の 上部においても、回収対象金属であるInを効 よく回収処理することが可能となるのであ 。

(実施形態2)
 本実施形態は、リアクター本体5の構造が上 記実施形態1と相違する。すなわち、本実施 態では、図3に示すようにリアクター本体5の 周面全体が上向きにテーパ状となるように形 成され、リアクター本体5の断面積が連続的 上方に向かって増加するように構成されて る。この点で、リアクター本体5の断面積が 連続的に上方に向かって増加している実施 態1の場合と相違している。不連続的ではな く、断面積が連続的に上方に向かって増加す るように構成されているので、本実施形態に おいては実施形態1のようにリアクター上部6 リアクター中間部7、リアクター下部8のよ に区分して構成されてはいない。

しかし、超音波発振体15a、15b、15cが、リア クター本体5の上部から下部にかけての3箇所 設けられている点は実施形態1と共通してい る。従って、本実施形態においても、実施形 態1と同様に、超音波発振体15a、15b、15cから 振される超音波によって、析出用金属の金 粒子(Zn、Al等の)に析出している回収対象金 であるInを強制的に剥離することができる効 果が得られる。

 また、不連続的であるか連続的であるか 相違はあるものの、断面積が上方に向かっ 増加するように構成されている点では実施 態1とは共通しているので、本実施形態にお いても、粒径が減少した微細な金属粒子をリ アクター本体5の上部で保持し、不用意に溢 するのを防止する効果、及び回収対象金属 濃度が低濃度であるリアクター本体5の上部 おいて回収対象金属を効率よく回収処理で る効果が生じることとなるのである。

 (その他の実施形態)
 尚、上記実施形態では、エッチング廃液中 塩化第二鉄の濃度を6重量%以下としたため Inの回収率が良好になるという好ましい効果 が得られたが、エッチング廃液中の塩化第二 鉄の濃度は該実施形態に限定されるものでは ない。要は20重量%以下にされていればよい。 ただし、エッチング廃液中の塩化第二鉄の濃 度を6重量%以下とした場合には、回収されるI nとFeとの比率を、9:1程度にすることが可能と なる。これに対して、10~20重量%程度では、In Feとの比率は1:1程度であるが、この場合で 、In又はInとFeとの合金を有価物として回収 うるという本発明の目的を達成することは 能である。

また上記実施形態では、回収用リアクター 1の前段側に調整槽2を設け、その調整槽2内で 廃液中の塩化第二鉄の濃度調整を行ったが、 これに限らず、回収用リアクター1に直接希 液を添加する等によって濃度調整を行って よい。

さらに、上記実施形態では、Zn又はAlの粒 を添加してInを回収する場合について説明し たが、回収用リアクターに添加される金属粒 子は、該実施形態のZn又はAlの粒子に限定さ ず、要はInよりもイオン化傾向の大きい金属 が用いられていればよい。

また、該実施形態では、金属粒子の粒径を 約2mmとしたが、金属粒子の粒径は該実施形態 に限定されるものではなく、0.1~8mmであるこ が好ましい。0.1mm未満であると、セメンテー ション反応が必ずしも好適に行なわれるとは 限らず、また金属粒子から剥離した析出用金 属の回収が容易に行なえない可能性がある。 特に塩化第二鉄の濃度が高い場合、セメンテ ーション反応が好適に行われないおそれがあ る。また8mmを超えると、リアクター本体1内 保持しうる金属粒子の数が減少し、結果的 金属粒子の総表面積が減少して析出反応の 率が低下するおそれがあり、また回収目的 有価金属以外の金属が金属粒子に析出する それがあるからである。

 尚、金属粒子の平均粒径は、前述の通り 画像解析法、JIS Z 8801ふるい分け試験法等 て測定される。画像解析法による平均粒径 測定は、たとえば日機装株式会社製のミリ ラックJPAが用いられる。一例として金属粒 の平均粒径を1~2mmの範囲とする場合は、JIS ふるい分け法で、呼び寸法2000μmふるい下で 1000μmふるい上となる金属粒子を用いればよ い。

 さらに、上記実施形態1、2では、リアク ー本体1の断面積が上部に向かうほど大きく るように形成したため、上記のような好ま い効果が得られたが、このようにリアクタ 本体1を形成することは本発明に必須の条件 ではない。

 さらに、金属粒子から回収対象金属を剥 する手段も、上記実施形態1、2の超音波に る手段や実施形態3の電磁石による手段に限 されるものではなく、それ以外の手段であ てもよい。また、上記実施形態では析出用 属として金属粒子を利用したが、これに限 されず、金属線や金属線をメッシュ状に加 したもの、板状の金属等を利用してもよい

 処理液であるエッチング廃液の塩化第二 の濃度と、析出した金属中におけるInの濃 との相関関係について試験した。具体的に 、表1に示すように、原液であるエッチング 液(塩化第二鉄の濃度約36重量%)を、水を利 してそれぞれ2倍、4倍、6倍、10倍に希釈した 液を準備し、それぞれ濃度の異なる液につい て上記実施形態のような装置を用いて試験し た。試験結果を表1に示す。

 表1からも明らかなように、希釈倍率が2 (塩化第二鉄の濃度約18重量%)と4倍(塩化第二 の濃度約9重量%)の液では、析出物中のInの 度が約50重量%であり、希釈倍率が6倍(塩化第 二鉄の濃度約6重量%)と10倍(塩化第二鉄の濃度 約3.6重量%)の液では、析出物中のInの濃度が 90重量%であった。このことから、液中の塩 第二鉄の濃度が低い程、Inの濃度が高くなる 、つまりInの回収率が高くなることがわかっ 。

 尚、析出物中のIn以外の金属は大部分がFe であり、従ってInの濃度が約50重量%の場合は 析出物のおよその組成はIn:Fe=1:1であり、In 濃度が約90重量%の場合は、析出物のおよそ 組成はIn:Fe=9:1となる。