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Patent Searching and Data


Title:
METHOD AND APPARATUS FOR MANUFACTURING QUARTZ GLASS CRUCIBLE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/069773
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a method for manufacturing a quartz glass crucible by employing a rotating molding method. The method is characterized in performing arc-melting by arranging an electrode at a position deviated from a molding center line. The eccentric arc controls glass temperature differences among the temperatures of glass being melted at a straight trunk portion, a curved portion and a bottom portion to be 300°C or below. The eccentric arc also controls the thicknesses of a transparent layer at the straight trunk portion and at the bottom portion to be within 70-120% of the thickness of the transparent layer at the curved portion.

Inventors:
KISHI HIROSHI (JP)
KANDA MINORU (JP)
MORIKAWA MASAKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/071704
Publication Date:
June 04, 2009
Filing Date:
November 28, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN SUPER QUARTZ CORP (JP)
KISHI HIROSHI (JP)
KANDA MINORU (JP)
MORIKAWA MASAKI (JP)
International Classes:
C03B20/00; C30B15/10
Foreign References:
JPS62501067A1987-04-30
JP2004502630A2004-01-29
JP2000264776A2000-09-26
JPH01148718A1989-06-12
Other References:
See also references of EP 2226300A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (MarunouchiChiyoda-ku, Tokyo 20, JP)
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Claims:
回転モールドの内表面に堆積した石英粉をアーク溶融して石英ガラスルツボを製造する方法において、複数の電極で形成されるアーク火炎噴出方向をモールド回転中心線に対して変位した位置に設けてアーク溶融することを特徴とする石英ガラスルツボの製造方法。
電極をモールド中心線に対して変位した位置に設けてアーク溶融する方法として、電極をモールド中心線の側方に設置してアーク溶融し、またはアーク中に通電する電極の本数を変更し、またはアーク中に電極の配置を変更してアーク溶融する請求項1に記載する石英ガラスルツボの製造方法。
電極をモールド中心線に対して変位した位置に設けてアーク溶融することによって、石英ガラスルツボの直胴部、湾曲部、および底部の溶融中のガラス温度の差を300℃以下に制御する請求項1に記載する石英ガラスルツボの製造方法。
電極をモールド中心線に対して変位した位置に設けてアーク溶融することによって、石英ガラスルツボの直胴部および底部の透明層の層厚を、湾曲部の透明層の層厚に対して70~120%に制御する請求項1に記載する石英ガラスルツボの製造方法。
請求項1から4のいずれか記載の製造方法によって、回転モールドの内表面に堆積した石英粉をアーク溶融して石英ガラスルツボを製造する石英ガラスルツボ製造装置であって、石英粉を充填する回転モールドと、アーク火炎を発生する複数の電極と、前記回転モールドの回転軸線であるモールド回転中心線と前記アーク火炎の発生する方向であるアーク火炎噴出方向とを相対的に変位可能とするアーク方向変位手段とを有することを特徴とする石英ガラスルツボの製造装置。
前記アーク方向変位手段が、前記回転モールドに対する前記電極位置設定を制御可能な電極位置設定手段か、回転モールド中心線を変位可能なモールド位置設定手段のいずれかまたは両方を具備してなることを特徴とする請求項5に記載する石英ガラスルツボの製造装置。
 
Description:
石英ガラスルツボの製造方法お び製造装置

 本発明は、回転モールド法による石英ガラ ルツボの製造方法において、ルツボ内表面 均一に加熱することができる製造方法に関 、より詳しくは、ルツボ内表面を均一に加 することによって、ルツボの直胴部から湾 部および底部の透明層の層厚を均一に形成 ることができる石英ガラスルツボの製造方 に関する。
 本願は、2007年11月30日に出願された日本国 許出願第2007-310193号について優先権を主張し 、その内容をここに援用する。

 シリコン単結晶の引き上げに用いる石英ガ スルツボの製造方法として、回転モールド が知られている。この方法は、回転する中 モールドの内表面に石英粉を所定の層厚に 積し、モールド上方に設置した電極のアー 放電によって上記石英粉を溶融し、アーク 融中に石英粉堆積層内を吸引減圧(真空引き )して内部の空気を脱気しながら上記石英粉 ガラス化してモールド内表面に沿ったルツ 形状に成形する製造方法である。

特許第1257513号公報

 従来の上記製造方法では、図8に示すよう に、複数の電極12は回転モールドの中心軸線 対して対称(点対称または線対称)に設置さ ており、モールド中心軸線L上付近に発生す センターアークによってルツボ内表面に対 する位置の石英粉11を溶融するのが一般的 ある。この図8に示す電極配置においては、 極12先端で発生した高温ガスは図8に左右均 に示すように中心軸線Lに対して対称に流れ 、一部はモールド内表面に沿って外部に流出 する外循環流Goutになり、その他の高温ガス 電極の両側でモールド内空間を循環する内 環の気流Ginになる。

 図8に示すセンターアークにおいて生じる 内循環の気流は、高温ガスが電極に沿って流 れるときに再加熱されるので熱効率は非常に 良いが、モールド内空間において内循環流部 分と外循環流部分との聞に大きな温度差が生 じ、内循環流によって過剰に加熱される部分 が粘度低下によって崩れる場合がある。

 本発明は、上記石英ガラスルツボの製造 おいて、従来のセンターアークでの内循環 によって生じる過剰加熱の問題を解決した のであり、ルツボ内表面を均一に加熱する とができ、ルツボの直胴部から湾曲部およ 底部の透明層の層厚を均一に形成すること できる石英ガラスルツボの製造方法を提供 る。

 本発明は、以下の構成を有することによっ 上記課題を解決した石英ガラスルツボの製 方法に関する。
〔1〕回転モールドの内表面に堆積した石英 をアーク溶融して石英ガラスルツボを製造 る方法において、複数の電極で形成される ーク火炎噴出方向をモールド回転中心線に して変位した位置に設けてアーク溶融する とを特徴とする石英ガラスルツボの製造方 。
〔2〕電極をモールド中心線に対して変位し 位置に設けてアーク溶融する方法として、 極をモールド中心線の側方に設置してアー 溶融し、またはアーク中に通電する電極の 数を変更し、またはアーク中に電極の配置 変更してアーク溶融する〔1〕に記載する石 ガラスルツボの製造方法。
〔3〕電極をモールド中心線に対して変位し 位置に設けてアーク溶融することによって 石英ガラスルツボの直胴部、湾曲部、およ 底部の溶融中のガラス温度の差を300℃以下 制御する〔1〕に記載する石英ガラスルツボ 製造方法。
〔4〕電極をモールド中心線に対して変位し 位置に設けてアーク溶融することによって 石英ガラスルツボの直胴部および底部の透 層の層厚を、湾曲部の透明層の層厚に対し 70~120%に制御する〔1〕に記載する石英ガラス ルツボの製造方法。
〔5〕前記〔1〕から〔4〕のいずれか記載の製 造方法によって、回転モールドの内表面に堆 積した石英粉をアーク溶融して石英ガラスル ツボを製造する石英ガラスルツボ製造装置で あって、石英粉を充填する回転モールドと、 アーク火炎を発生する複数の電極と、前記回 転モールドの回転軸線であるモールド回転中 心線と前記アーク火炎の発生する方向である アーク火炎噴出方向とを相対的に変位可能と するアーク方向変位手段とを有することを特 徴とする石英ガラスルツボの製造装置。
〔6〕前記アーク方向変位手段が、前記回転 ールドに対する前記電極位置設定を制御可 な電極位置設定手段か、回転モールド中心 を変位可能なモールド位置設定手段のいず かまたは両方を具備してなることを特徴と る〔5〕に記載する石英ガラスルツボの製造 置。
〔A〕回転モールドの内表面に堆積した石英 をアーク溶融して石英ガラスルツボを製造 る方法において、電極をモールド中心線に して偏った位置に設けてアーク溶融するこ を特徴とする石英ガラスルツボの製造方法
〔B〕電極をモールド中心線に対して偏った 置に設けてアーク溶融する方法として、電 をモールド中心線の側方に設置してアーク 融し、またはアーク中に通電する電極の本 を変更し、またはアーク中に電極の配置を 頁してアーク溶融する上記〔A〕に記載する 英ガラスルツボの製造方法。
〔C〕電極をモールド中心線に対して偏った 置に設けてアーク溶融することによって、 英ガラスルツボの直胴部、湾曲部、および 部の溶融中のガラス温度の差を300℃以下に 御する上記〔A〕に記載する石英ガラスルツ の製造方法。
〔D〕電極をモールド中心線に対して偏った 置に設けてアーク溶融することによって、 英ガラスルツボの直胴部および底部の透明 の層厚を、湾曲部の透明層の層厚に対して70 ~120%に制御する上記〔A〕に記載する石英ガラ スルツボの製造方法。

 本発明の製造方法は、同転モールドの内 面に堆積した石英粉をアーク溶融して石英 ラスルツボを製造する方法において、電極 モールド中心線に対して偏った位置に設け アーク溶融するので、電極がモールド内表 から離れた側の空間が広がり、この空間を じて高温ガスが外部に流出しやすくなる。 のため高温ガスの内循環流が大幅に減少し 内循環流による過剰加熱がほとんど生じな 。

 一方、電極をモールド中心線に対して変 した位置(偏った位置)に設けてアーク溶融 る場合、モールドが回転しているので、ル ボ内表面は周期的に繰り返し電極に接近す ことになり、最終的にルツボ全体が均一に 熱される。

 本発明において電極をモールド中心線に対 て変位した位置(偏った位置)に設けてアー 溶融するとは、電極から発生するアークの 出方向がモールド回転軸線に対して変位し 後述する内循環流に比べて外循環流が有意 状態を実現可能なモールドと電極との位置 態を意味するものであり、具体的には、ア ク噴出方向とモールド回転軸線とが平行で の位置が偏った状態またはアーク噴出方向 モールド回転軸線とが相対的に角度を有す かまたはねじれの位置となる状態などを含 ものである。
電極をモールド中心線に対して変位した位置 (偏った位置)に設けてアーク溶融する方法と ては、電極をモールド中心線の側方に設置 てアーク溶融する方法、またはアーク中に 電する電極の本数を変更する方法、または ーク中に電極の配置を変更する方法などを むものである。これら何れの方法によって 、高温ガスの内循環流を減少することがで る。

 本発明の製造方法によれば、内循環流に る局部的な過剰過熱が抑制されるので、ル ボ全体が均一に加熱され、石英ガラスルツ の直胴部、湾曲部、および底部の溶融中の ラス温度の差を300℃以下に制御することが きる。

 本発明の製造方法によれば、内循環流によ 局部的な過剰過熱が抑制されるので、ルツ 全体について透明層の層厚が均一になり、 えば、ルツボの直胴部および底部の透明層 層厚を、湾曲部の透明層の層厚に対して70~1 20%に制御することができる。
本発明の石英ガラスルツボの製造装置によれ ば、電極と回転モールドとの位置関係を、上 述したように電極から発生するアークの噴出 方向がモールド回転軸線に対して変位して後 述する内循環流に比べて外循環流が有意な状 態を実現可能な位置状態とするよう制御する ことが可能となる。

図1は本発明に係る石英ガラスルツボ製 造装置を示す模式正断面図である。 図2は本発明に係る石英ガラスルツボ製 造装置の電極配置状態を示す模式平面図であ る。 図3は本発明に係る石英ガラスルツボ製 造装置の電極配置状態を示す模式正面図であ る。 図4は本発明に係る石英ガラスルツボ製 造装置の偏芯アーク電極配置状態を示す模式 正面図である。 図5は本発明に係る偏芯アークの高温ガ ス流を示す模式断面図である。 図6は本発明に係る石英ガラスルツボを 示す正断面図である。 図7は本発明に係る石英ガラスルツボ製 造装置の電極を傾けた偏芯アーク電極配置状 態を示す模式正面図である。 図8は従来のセンターアークを示す模式 正断面図である。 図9は本発明に係る石英ガラスルツボ製 造装置の電極を変位させたアーク状態を示す 模式正面図である。 図10は本発明に係る石英ガラスルツボ 造装置の電極とモールドとを変位させたア ク状態を示す模式正面図である。 図11は本発明に係る石英ガラスルツボ 造装置の電極位置設定手段を示す模式正面 である。

符号の説明

 10 モールド
 13 電極
 11 石英粉成形体
 11a 側壁部(直胴部)
 11b 湾曲部
 11c 底部
 L 回転中心線
 LL 電極位置中心線
 C 石英ガラスルツボ
 C1 側壁部(直胴部)
 C2 湾曲部
 C3 底部
 C0 透明層

 以下、本発明を実施形態に基づいて具体 に説明する。

 本発明の製造方法は、回転モールドの内 面に堆積した石英粉をアーク溶融して石英 ラスルツボを製造する方法において、内循 流による局部的な過剰過熱を抑制可能なよ に電極をモールド中心線に対して変位した 置(偏った位置)に設けてアーク溶融するこ を特徴とする石英ガラスルツボの製造方法 ある。

 以下、アーク中に電極の配置を変更する方 について図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本実施形態における石英ガラスルツ 製造装置を示す正断面図であり、図におい 、符号1は石英ガラスルツボ製造装置を示し いる。

 本発明の石英ガラスルツボの製造方法は 図1に示す石英ガラスルツボ製造装置1を用 た回転モールド法による製造とされ、石英 ラスルツボ製造装置1は、図1に示すように、 図示しない回転手段によって回転可能とされ 石英ガラスルツボの外形を規定するモールド 10を有し、モールド10の内部に原料粉(シリカ )が所定厚さに充填されて石英粉成形体11と れる。このモールド10内部には、その内表 に貫通するとともに図示しない減圧手段に 続された通気口12が複数設けられ、石英粉成 形体11内部を減圧可能となっている。モール 上側位置には図示しない電力供給手段に接 されたアーク加熱用の炭素電極13,13,13が設 られ、石英粉成形体11を加熱可能とされてい る。炭素電極13,13,13は、電極位置設定手段20 より、図中矢印Tおよび矢印Dで示すように上 下動可能および電極間距離Dを設定可能とさ ている。

 石英ガラスルツボ製造装置1は、300kVA~12,00 0kVAの出力範囲で、複数の炭素電極13,13,13によ りアーク放電によって非導電性対象物(石英 )を加熱溶融する高出力の装置とされる。

 図2,図3は、本実施形態におけるアーク放電 置の炭素電極位置を示す模式側面図である
 炭素電極13,13,13は、例えば、交流3相(R相、S 、T相)のアーク放電をおこなうよう同形状 電極棒とされ、図2,図3に示すように、下方 頂点を有するような逆三角錐状となるよう 、それぞれの軸線13Lが角度θ1をなすように れぞれが設けられている。また、各電極13へ の通電は図示しない制御手段によって制御可 能となっている。図2、図3において、電極13 位置設定状態として、アーク噴出方向が電 位置中心線LLと一致する状態として図示して ある。

 電極位置設定手段20は、図1に示すように 炭素電極13,13,13を、その電極間距離Dを設定 能として支持する支持部21と、この支持部21 を水平方向に移動可能とする水平移動手段と 、複数の支持部21およびその水平移動手段を 体として上下方向に移動可能とする上下移 手段と電極の支持角度を変更可能とする回 角度設定手段とを有するものとされ、支持 21においては、炭素電極13が角度設定軸22周 に回動可能に支持され、角度設定軸22の回 角度を制御する回転手段を有している。

炭素電極13,13の電極間距離Dおよび電極位置状 態を調節するには、図1に矢印T3で示すように 回転角度設定手段により炭素電極13の角度を 御するとともに、水平移動手段により図1に 矢印T2で示すように支持部21の水平位置を制 する。さらに、水平移動手段により電極位 中心線LLとモールド回転中心Lとの水平方向 置を制御する。また、上下移動手段によっ 図1に矢印Tで示すように支持部21の高さ位置 制御して電極先端部13aの石英粉成形体11底 位置に対する高さ位置を制御する。同時に 回転角度設定手段によって図9に示すように 電極13角度をそれぞれ個別に設定してアー 火炎の発生方向(電極位置中心線)LLを鉛直方 から角度ψ1だけ変位するように制御するこ が可能となる。
 なお、図1および図4においては、左端の炭 電極13のみに支持部21等を示しているが、他 電極も同様の構成によって支持されており これらの設定手段を組み合わせることで、 々の炭素電極13の高さ(矢印T)、水平方向位 (矢印T2)、角度(矢印T3)および長さ寸法(矢印T4 )も個別に制御可能とすることができる。

 電極位置設定手段20は、図11に示すように 、モールド10上側において石英ガラス製造炉 内部空間と外部空間とを分離する天井部分 基台24が水平方向(XY方向)移動可能として設 られている。この基台21には、ラックピニ ン等の機構により支持部21の上下方向位置を 規制する上下位置規制部25が垂設されて、支 部21が上下方向T1に移動可能に設けられてい る。支持部21には回転軸線22を中心として電 支持部23が回転自在に設けられる。この電極 支持部23は、チャック手段として電極13を支 して長さ方向T4寸法設定可能および着脱可能 とされている。これら支持部21と電極支持部2 3との回転角度、基台24の水平方向位置、上下 位置規制部25と支持部21との上下方向位置は それぞれ、図示しない位置規制手段とこの 置規制手段を駆動する駆動手段とにより、 定可能とされている。

なお、本発明においては、電極13の位置状 制御が可能であれば上記以外の構造とする ともできる。具体的には、これらの構成と 別に、あるいは、これらの構成に加えて、 10に示すように、モールド10の回転軸線(回 モールド中心線)Lを鉛直方向から変位可能な モールド位置設定手段30により、水平方向の 転軸31の軸周りに回転モールド中心線Lを鉛 方向から角度ψ2だけ傾けて位置設定をおこ い、回転状態のモールド10の角度を変更可 とすることで、電極13とモールド10の相対位 状態制御を可能とすることができる。

 まず、アーク開始時における電極位置状 について説明する。

 アーク放電開始前およびアーク放電開始 においては、炭素電極13は、センターアー として、モールド回転中心Lである中心軸Lと 一致する垂線とされる電極位置中心線LLに対 て軸線対称に設定される。具体的には、図2 ,図3に示すように、下方に頂点を有するよう 逆三角錐状となるように、それぞれの軸線1 3Lが角度θ1をなすように設定される。

 次いで、原料である石英粉成形体11を充填 たモールド10を回転させるとともに、電力供 給を開始して、アーク放電を開始させた後に 安定したアーク火炎を発生させる。
 この状態で、電極位置設定手段20により、 4に示すように、電極13をモールド中心線に して偏った位置に設定する。つまり、電極 置中心線LLがモールド回転軸線Lに対して平 でかつ、平面視してモールド10の石英粉成形 体11の内側で距離L0離間した位置となるよう 設定する。なおこの際、電極13とモールド10 の高さ位置を変化させることあるいは、電 13とモールド10との高さ位置を変化させない こともできる。

 この電極位置設定手段20による位置設定 、距離L0がモールド10の半径Rに対して0.03~0.9 好ましくは0.05~0.4、好ましくは0.1~0.3、より ましくは0.25となるように設定することがで きる。これにより、図5に模式的に示すよう 、電極13をモールド中心線Lに対して偏った 置に設けてアーク溶融することによって、 極13がモールド内表面から離れた側の空間が 広がり、この空間を通じて気流が外部に流出 しやすくなり、外循環流Goutが増大する。

 このため、電極13先端から発生した高温 スの大部分がルツボ内表面(石英粉成形体内 面)に沿ってこの空間に向かって流れる一方 向の気流になり、高温ガスの内循環流Ginが大 幅に減少し、内循環流による過剰加熱がほと んど生じない。なお図9または図10に示す状態 においては、角度ψ1,ψ2およびモールドと電 との高さ位置を設定することで、上記の距 L0の制御状態と同等の状態を実現することが 可能となる。

 本発明の製造方法では、内循環流による 剰加熱がほとんど生じないので、図5に示す ように、石英ガラスルツボの直胴部、湾曲部 、底部に対応する石英粉成形体11の直胴部11a 湾曲部11b、底部11cの各位置において、溶融 のガラス温度の差を300℃以下に制御するこ ができる。このような均一加熱によって、 6に示すように、ルツボCの直胴部C1および底 部C3の透明層0の層厚を、湾曲部2の透明層C0の 層厚に対して、70~120%に制御することができ 。

 このように、本発明の方法によって製造さ た石英ガラスルツボCは、図6に示すように ルツボの直胴部C1、湾曲部C2、および底部C3 透明層C0の層厚が一定範囲内であり、均一な 特性を有する透明層を有している。
 このため、シリコン単結晶の引き上げにお て、外部加熱による熱輻射が均等であり、 ツボ表面温度が均一になるため、この石英 ラスルツボを用いて単結晶引き上げをおこ った際に、単結品歩留まりを向上すること できる。また、溶融中のガラス温度を上記 範囲に制御することによって、引き上げ中 おけるルツボ内表面における透明層C0の溶 速度も均一になり、引き上げたシリコン単 晶において縦方向(引き上げ軸方向)の酸素濃 度のバラツキが少なくなり、高品質のシリコ ン単結晶を引き上げることができる。

 本発明においては、電極をモールド中心 に対して偏った位置に設けてアーク溶融す 方法として、アーク中に電極の配置を変更 る方法以外にも、回転モールドを電極の下 に搬入するときに、モールドの回転中心線 電極の側方になるように回転モールドを位 決めして、電極をモールド中心線の側方に 置する方法を採用することができる。

 また、電極をモールド中心線の側方に設 する方法としては、電極をモールド中心線 側方に設置する方法以外にも、センターア ク状態の電極配置として、アーク中に通電 る電極の本数を変更する方法を採用するこ ができる。この場合、例えば、電極の本数 3本以上20本程度以下まで可能であり、2相交 流4本電極、2相交流6本電極、2相交流8本電極 2相交流10本電極、3相交流3本電極、3相交流6 本電極、3相交流9本電極、3相交流12本電極、3 相交流15本電極、4相交流4本電極、4相交流8本 電極、4相交流12本電極、または、4相交流16本 電極、のいずれかの電極構造を有することが できる。また、電極本数が4本以上であれば 同時に複数本の電極に対して通電しないよ に設定することができる。

 アーク中に通電する電極の本数を変更す 方法は、複数の電極について通電する電極 交互に切り替えることができる。これによ 、アーク放電による電極の消耗量を低減す ことが可能となる。具体的な通電電極の切 替えにおいては、実機の仕様等によって異 るため、上述した偏心アークと同等の内循 流による過剰加熱の防止が可能なように設 することが好ましい。

 さらに、アーク中に電極の配置を変更す 方法としては、上述したように、電極を側 に移動する手段以外に、図7に示すように、 電極をルツボ内表面の片側に傾けて設置する こと、つまり、電極位置設定手段20によって 極13の電極位置中心線LLを傾けてルツボ内表 面との距離を変更するように位置設定するこ ともできる。この際、電極位置設定手段20は 電極を傾ける手段となる。具体的な角度設 においては、実機の仕様等によって異なる め、上述した偏心アークと同等の内循環流 よる過剰加熱の防止が可能なように設定す ことが好ましい。

 さらに、アーク中に電極の配置を変更す 方法としては、電極位置設定手段20によっ 電極13相互の間隔を変えてルツボ内表面との 距離を変更することもできる。この際、いわ ば、電極の重心ともいうべき電極位置中心線 LLの位置が移動することになる。具体的な設 においては、実機の仕様等によって異なる め、上述した偏心アークと同等の内循環流 よる過剰加熱の防止が可能なように設定す ことが好ましい。

 以下に、本発明の実施例を比較例と共に す。

実施例および比較例において、回転モール 法に基づいて石英ガラスルツボを製造した。 モールドの口径は28インチ、モールド内表面 堆積した石英粉層の平均層厚は28mmである。 通電時間は60min、通電開始から120分間は石英 堆積層(石英粉成形体)の真空引きを行った

〔実施例1~6〕
 表1に示す本数の電極を用い、これをモール ド回転中心線に対して非対称に配置し、モー ルド内表面に堆積した石英粉をアーク溶融し てガラス化した。アーク溶融中のルツボ直胴 部、湾曲部、底部について溶融温度および温 度差を表1に示した。また、製造した石英ガ スルツボについて、湾曲部の透明層に対す 直胴部および底部の透明層の層厚比(湾曲部 明層の層厚を100としたときの層厚比)を表1 示した。

〔比較例1~6〕
 表1に示す本数の電極を用い、これをモール ド回転中心線に対して点対称(比較例1~3)、ま は線対称(比較例4~5)に配置した以外は実施 と同様にして、モールド内表面に堆積した 英粉をアーク溶融してガラス化した。この 果を表1に示す。

 表1に示すように、実施例においてルツボ 直胴部、湾曲部、底部の溶融温度の差は50℃~ 200℃であり、温度差が小さい。このため、ル ツボ全体について透明層の層厚が一定範囲内 であり、具体的には、湾曲部の透明層に対す る直胴部および底部の透明層の層厚比は90~110 であり、ルツボ全体の透明層層厚の均質性が 高い。

 一方、比較例1~6では、ルツボ直胴部、湾 部、底部の溶融温度の差は350℃~500℃であり 、温度差が格段に大きい。従って、湾曲部の 透明層に対する直胴部および底部の透明層の 層厚比は31~57であり、湾曲部に対して直胴部 よび底部の透明層が大幅に薄く、ルツボ全 の透明層層厚の均質性が低い。

 表1において、電極配置が「非対称」とは電 極並びが非正三角形であることを意味する。
 また、電極配置が「偏心」とは、電極先端 頂点として形成される正多角形(三角形、五 角形、七角形)の重心LLがモールド中心線Lと 致しない配置であり、この際、平面視した 極中心LLである重心とモールド中心線Lとは ルツボ口径半径に対して50%とされる距離L0だ け離間しており、電極間距離は100mmに設定さ る。

 また、電極配置が「点対称」とはモールド 心線と重心位置が一致した正多角形の各頂 に電極を配置(電極間距離100mm)した状態を意 味する。
 また、電極配置が「線対称」とは電極をモ ルド中心線を通る水平な一直線上に配置(電 極間距離100mm)した状態、または、モールド中 心線を通り水平な一直線上に少なくとも電極 1本を配置(電極間距離100mm)するとともにこの 線に対して線対称となるように他の電極位 を設定した状態を意味する。

 ここで、単結晶歩留まり(単結晶化率)は シリコン単結晶引き上げの単結晶収率であ 、結晶転位のないシリコン単結晶のウェー が採取可能な直胴部重量/ルツボに投入した 料ポリシリコンの総重量であり、この単結 化率が1%異なると、採取可能なウェーハは20 枚程度異なってくる。