昭和電工株式会社 (〒18 東京都港区芝大門一丁目13番9号 Tokyo, 1058518, JP)
| 細孔を有する弁作用金属焼結体からなる陽極体に誘電体層を形成し、その誘電体層の上に導電性化合物層を積層することにより陰極を形成する固体電解コンデンサの製造方法において、導電性化合物層となる無機化合物溶液、有機化合物溶液または導電性高分子化合物分散液に陽極体を含浸し導電性化合物層を積層する工程を繰り返して陰極を形成するに際して、前記溶液あるいは分散液に陽極体を浸す範囲を、含浸する回数が増すごとに深くすることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。 |
| 弁作用金属焼結体の平均細孔径が0.5μm未満である請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。 |
| 溶液あるいは分散液の1回当たり含浸時間が、毛細管現象で液が弁作用金属焼結体内部まで浸透するに十分な時間である請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。 |
| 溶液あるいは分散液の1回当たり含浸時間が、1~10分である請求項3に記載の固体電解コンデンサの製造方法。 |
| 前記溶液あるいは分散液を陽極体に複数回減圧下で含浸し、熱分解あるいは乾燥する工程を繰り返して陰極を形成する請求項1乃至4のいずれかに記載の記載の固体電解コンデンサの製造方法。 |
| 大気圧下で、前記溶液あるいは分散液を陽極体に複数回含浸し熱分解あるいは乾燥する工程を繰り返して陰極を形成する請求項1乃至4のいずれかに記載の記載の固体電解コンデンサの製造方法。 |
| 前記弁作用金属焼結体が、タンタル粉、ニオブ粉、タンタルを主成分とする合金粉、ニオブを主成分とする合金粉、及び一酸化ニオブ粉から選択される粉末の焼結体である請求項1に記載の固体電解コンデンサの製造方法。 |
| 請求項1乃至7のいずれかの方法で作られた固体電解コンデンサ。 |
| 請求項1乃至7のいずれかに記載の固体電解コンデンサの製造方法を実施するための装置であって、外気と遮断し内部を減圧にする手段(1)、及び内部に陽極体固定用の陽極体ホルダー(2)、陰極形成液槽(3)、前記陽極体ホルダー(2)または陰極形成液槽(3)を昇降できる昇降手段(4)、並びに前記陰極形成液槽(3)の温度調節手段(5)を有する密閉槽からなる含浸装置を備えていることを特徴とする固体電解コンデンサの製造装置。 |
| 陰極形成液槽(3)が減圧時の蒸発潜熱による液温変化を防止できる温度調節が可能なジャケット式構造からなる請求項7に記載の装置。 |
| 陽極体ホルダー(2)が位置固定され、陰極形成槽(3)が昇降装置(4)の上に置かれている請求項7に記載の装置。 |
| 陰極形成槽(3)が位置固定され、陽極体ホルダー(2)が昇降装置(4)に連結されている請求項7に記載の装置。 |
| 陰極形成槽(3)と陽極体ホルダー(2)との間の距離を検知し、浸漬距離を制御できる距離検知手段を備えている請求項9乃至12のいずれかに記載の装置。 |
本発明は固体電解コンデンサの製造方法 その方法により得られる固体電解コンデン 、及び固体電解コンデンサの製造装置に関 る。さらに詳しく言えば、微小な細孔を有 る弁作用金属焼結体からなる陽極体に誘電 層を形成し、その誘電体層の上に導電性化 物層を積層し、陰極を形成する固体電解コ デンサの製造方法において、導電性化合物 となる無機化合物溶液、有機化合物溶液ま は導電性高分子化合物分散液に、弁作用金 焼結体を浸漬する際に焼結多孔質体の表面 口部が完全閉塞することのないように、浸 する距離(深さ)を含浸回数が増すごとに深 することにより、十分な導電性化合物層を 成して深部に溶液を送り陰極を効率的に形 することのできる固体電解コンデンサの製 方法、その方法により得られる固体電解コ デンサ、及びその製造方法に用いる陰極の 合物層となる溶液または分散液の含浸装置 備えた固体電解コンデンサの製造装置に関 る。
各種電子機器に使用される高容量かつ低E SR(等価直列抵抗)であるコンデンサとして、 ルミニウム固体電解コンデンサや、タンタ 固体電解コンデンサが知られている。
固体電解コンデンサは、表面層に微細の 孔を有するアルミ箔や、内部に微小な細孔 有するタンタル粉やニオブ粉の焼結体を一 の電極(陽極体)として、その電極の表層に 成した誘電体層とその誘電体層上に設けら た他方の電極(陰極、通常は半導体層)及び他 方の電極上に積層された電極層とから構成さ れた固体電解コンデンサ素子を封口して作製 されている。同一体積の陽極体では、細孔が 小さく細孔量が多いほど陽極体内部の表面積 が大きくなるために、その陽極体から作製し たコンデンサの容量は大きなものとなる。
誘電体層は、化成と称する電気化学的な 法によって形成される。1例として、燐酸、 硫酸等の鉱酸またはその塩、酢酸、アジピン 酸、安息香酸等の有機酸またはその塩が溶解 した電解液中に導電体層を浸漬し、導電体を 陽極に、電解液中に別途設けられた陰極との 間に所定の電圧を印加して作製する方法を挙 げることができる。
特開昭50-100570号公報(特許文献1)(US3864219) は、4級アンモニウム塩を使用した電解液で 化成が例示されている。また、特開昭50-1028 61号公報(特許文献2)には、ホウ酸等の電解液 使用した化成が例示されている。
陰極としては、導電性の有機化合物や無機 合物が使用されるが、作製したコンデンサ 耐熱性や低ESR特性を考慮して導電性高分子 好んで使用される。この導電性高分子とは 10 -2 ~10 3 S・cm -1 という高導電性を有する高分子のことであり 、平面状の共役二重結合を有する高分子(通 絶縁体またはきわめて低い導電性を有する 分子)にドーパントと称する電子供与性の化 物を添加することにより高い導電性が発現 る。陰極として導電性高分子層を形成する 法の具体例として、陽極体の前記細孔中で 電性高分子になりうる単分子(モノマー)に ーパントの存在下、適当な酸化剤もしくは 子を供給して重合する方法を挙げることが きる。単分子が重合するときにドーパント 取り込まれて共役二重結合を有する高分子 強い相互作用をおこし導電性高分子が得ら る。
固体電解コンデンサの製造方法において、
電皮膜を形成した弁作用金属からなる陽極
に硝酸マンガン溶液、導電性高分子モノマ
液、導電性高分子ポリマー分散液等の陰極
成剤溶液を含浸する操作は公知の技術であ
。
しかしながらこの方法は弁作用金属陽極体
多孔質体であることを応用した毛細管現象
利用して陰極形成剤溶液を内部に浸透させ
おり、低温や高濃度などの粘性が高い溶液
場合には直接応用できない。また従来の硝
マンガン液によるマンガン含浸方法におい
も含浸回数の増加に伴い含浸液濃度を上昇
せるのが一般的な方法であり、初回含浸は
薄溶液を使うのが必要で、操作回数と時間
短縮できなかった。
例えば、特開2001-338845号公報(特許文献3) 特開2001-155966号公報(特許文献4)には、アルミ ニウム電解化成箔に陰極剤として導電性高分 子化合物を形成させる方法が紹介されている 。しかしアルミニウム電解化成箔では、粉末 焼結体を使用する場合よりも陰極形成溶液が 箔の深部まで浸透する距離が物理的に短い。 アルミニウム電解化成箔に適用する方法は、 細孔が奥深く陰極液が浸透すべき距離が長い 粉末焼結体には適さない。
また、含浸工程を加圧下で実施する方法が
案されている。
特開2001-110681号公報(特許文献5)には加圧す
ことにより陰極形成液をアルミニウム電解
に強制的に含浸させる方法が提案されてい
。しかしこの方法も上記と同様に含浸距離
短い。また細孔の奥には少なからず雰囲気
圧縮されて残留する。細孔が奥深い粉末焼
体からなる陽極体は陰極形成剤溶液が含浸
にくいのと同時に空気などの雰囲気が脱気
にくいので、乾燥による加熱や電圧印可加
修復時などの熱歪みを受ける場合、焼結体
部で気体膨張による陰極剤や誘電体の損傷
起きやすくなる。
粉末焼結体に含浸する方法も提案されてい
。
例えば、特開2005-109252号公報(特許文献6)に
陽極体に有機化合物溶液を含浸させて高分
化合物を形成させ、さらに導電性高分子分
液を含浸させる方法が記載されている。こ
場合タンタル粉末の容量が4万μFV/gである陽
体を使用しており、一般に陽極体表面の細
開口径が比較的大きく、平均細孔径は0.5μm
超えるため陰極形成剤の進入路が広く、陰
形成に支障がない。しかし微細なタンタル
末、例えば、粉末の静電容量が7万μFV/gを使
用した場合は表面の開口径が狭くなり、平均
細孔径も0.5μmよりも小さくなり、相対的に進
入路も狭まる。このような形状では陰極形成
溶液を陽極体内部へ十分に含浸することがで
きない。
さらに粉末焼結体の場合は含浸工程を減圧
で行う方法が提案されている。
具体的には、特開2006-310365号公報(特許文献7
)などがある。しかしながら、この方法を用
て陽極体に陰極形成剤を含浸する場合、平
細孔径が0.5μmより小さくなると減圧含浸す
ことにより陰極形成剤は陽極体内に満たさ
るが、熱分解や乾燥する際に溶剤が揮発す
経路途中に陰極形成が起きやすくなり、特
素子の外部へと蒸散の行われる接点である
孔の開口部、すなわち表面に陰極が選択的
形成される。表面に陰極が形成されるとそ
部分の細孔が閉塞し、陽極体内部まで陰極
の含浸が困難になる。
この傾向は原理的にはどの陽極体でも発 するが、特に弁作用金属焼結体で形成され 陽極体の平均細孔径が0.5μm以下の場合に顕 で、弁作用金属がタンタルである場合は粉 の静電容量が7万μFV/g、同じくニオブの場合 では13万μFV/gを超える粉末において陽極体の 面の細孔閉塞が見られる。また特に焼結体 1辺が1mmを超えると含浸液の移動距離が長く なるので、表面閉塞が見られるときには陽極 体内部は陰極形成が不完全な状態のままにな る。この状態では新たに陰極形成剤の供給路 が絶たれるため、固体電解コンデンサの性能 が発揮されない。
陰極形成で表面付近の細孔が塞がれない うに陰極形成剤溶液を希薄にする方法もあ が、この場合は含浸回数を増やさざるを得 、効率的とは言えない。また、操作時間が えることで乾燥による熱でコンデンサ素子 損傷機会が増える。
本発明の目的は、弁作用金属焼結体など 多孔質体を陰極形成溶液に浸漬する際に浸 する距離を含浸回数が増すごとに深くする とにより、十分な陰極層が形成されるまで 孔質体の表面開口部が完全閉塞することな 深部に溶液を送ることができ、陰極形成を 率的に行うことができる固体電解コンデン の製造方法及びその方法に使用する装置を 供することにあり、結果として容量が大き 等価直列抵抗の小さい固定電解コンデンサ 得られる製造方法及びその方法の実施に使 する装置を提供することにある。
本発明者らは従来技術の課題を鋭意検討 た結果、高容量微粉末焼結体を使用した陽 体、特に平均細孔径が0.5μm以下の焼結体の 合であっても含浸操作を行うに際して、含 液が多孔質体表面の細孔を閉塞させること く、陰極形成溶液がより深部まで浸透し、 極形成が完了することを見出した。すなわ 、本発明者等は、特に平均細孔径が0.5μm以 の弁作用金属焼結体からなる陽極体に誘電 層を形成し、その誘電体層の上に陰極とな 化合物層を形成する固体電解コンデンサの 造方法において、陰極の化合物層となる無 化合物溶液、有機化合物溶液または導電性 分子化合物分散液に、弁作用金属焼結体を 漬する際に焼結多孔質体の表面開口部が完 閉塞することのないように、浸漬する距離( 深さ)を含浸回数が増すごとに深くすること より、十分な陰極層を形成して深部に溶液 送り陰極を効率的に形成することができる とを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は下記の1~13の固体電解コンデンサの
製造方法、固体電解コンデンサ及び固体電解
コンデンサの製造装置を提供する。
1.細孔を有する弁作用金属焼結体からなる陽
体に誘電体層を形成し、その誘電体層の上
導電性化合物層を積層することにより陰極
形成する固体電解コンデンサの製造方法に
いて、導電性化合物層となる無機化合物溶
、有機化合物溶液または導電性高分子化合
分散液に陽極体を含浸し導電性化合物層を
層する工程を繰り返して陰極を形成するに
して、前記溶液あるいは分散液に陽極体を
す範囲を、含浸する回数が増すごとに深く
ることを特徴とする固体電解コンデンサの
造方法。
2.弁作用金属焼結体の平均細孔径が0.5μm未満
ある前記1に記載の固体電解コンデンサの製
造方法。
3.溶液あるいは分散液の1回当たり含浸時間が
、毛細管現象で液が弁作用金属焼結体内部ま
で浸透するに十分な時間である前記1に記載
固体電解コンデンサの製造方法。
4.溶液あるいは分散液の1回当たり含浸時間が
、1~10分である前記3に記載の固体電解コンデ
サの製造方法。
5.前記溶液あるいは分散液を陽極体に複数回
圧下で含浸し、熱分解あるいは乾燥する工
を繰り返して陰極を形成する前記1乃至4の
ずれかに記載の記載の固体電解コンデンサ
製造方法。
6.大気圧下で、前記溶液あるいは分散液を陽
体に複数回含浸し熱分解あるいは乾燥する
程を繰り返して陰極を形成する前記1乃至4
いずれかに記載の記載の固体電解コンデン
の製造方法。
7.前記弁作用金属焼結体が、タンタル粉、ニ
ブ粉、タンタルを主成分とする合金粉、ニ
ブを主成分とする合金粉、及び一酸化ニオ
粉から選択される粉末の焼結体である前記1
に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
8.前記1乃至7のいずれかの方法で作られた固
電解コンデンサ。
9.前記1乃至7のいずれかに記載の固体電解コ
デンサの製造方法を実施するための装置で
って、外気と遮断し内部を減圧にする手段(1
)、及び内部に陽極体固定用の陽極体ホルダ
(2)、陰極形成液槽(3)、前記陽極体ホルダー(2
)または陰極形成液槽(3)を昇降できる昇降手
(4)、並びに前記陰極形成液槽(3)の温度調節
段(5)を有する密閉槽からなる含浸装置を備
ていることを特徴とする固体電解コンデン
の製造装置。
10.陰極形成液槽(3)が減圧時の蒸発潜熱による
液温変化を防止できる温度調節が可能なジャ
ケット式構造からなる前記7に記載の装置。
11.陽極体ホルダー(2)が位置固定され、陰極形
成槽(3)が昇降装置(4)の上に置かれている前記
7に記載の装置。
12.陰極形成槽(3)が位置固定され、陽極体ホル
ダー(2)が昇降装置(4)に連結されている前記7
記載の装置。
13.陰極形成槽(3)と陽極体ホルダー(2)との間の
距離を検知し、浸漬距離を制御できる距離検
知手段を備えている前記9乃至12のいずれかに
記載の装置。
本発明は特に微小な細孔を有する弁作用金
焼結体からなる陽極体に誘電体層を形成し
その誘電体層の上に導電性化合物層(例えば
、無機化合物溶液、有機化合物溶液または導
電性高分子化合物分散液を含浸させた後加熱
して得られる層)を積層し陰極を形成する固
電解コンデンサの製造方法において、導電
化合物層となる無機化合物溶液、有機化合
溶液または導電性高分子化合物分散液に、
作用金属焼結体を浸漬する際に焼結多孔質
の表面開口部が完全閉塞することのないよ
に、浸漬する距離(深さ)を含浸回数が増すご
とに深くすることにより、十分な導電性化合
物層を形成して深部に溶液を送り陰極を効率
的に形成することができるようにした固体電
解コンデンサの製造方法、及びその製造方法
に用いる装置(陰極の化合物層となる溶液ま
は分散液の含浸装置)を提供したものである
本発明によれば、微小な細孔を有する弁作
金属焼結体からなる陽極体に効率よく陰極
を形成することができ、その結果、容量が
きく低ESR(等価直列抵抗)である固体電解コ
デンサを工業的に製造することができる。
本発明において使用する焼結体としては タンタル粉、ニオブ粉、タンタルを主成分 する合金粉、ニオブを主成分とする合金粉 一酸化ニオブ粉等の粉を成形後焼結した内 に微細な空孔が多数存在する焼結体を挙げ ことができる。これらの焼結体の場合、焼 体に引き出しリードを直接接続することが 能であるが、粉末を成形体形状または成形 焼結した形状とする際に、成形時に別途用 した引き出しリード線(またはリード箔)の 部を粉末体と共に成形し、引き出しリード (またはリード箔)の成形外部の箇所を、固体 電解コンデンサ素子の一方の電極の引き出し リードとすることもできる。また焼結体の一 部に陰極層を形成せずに残しておいて陽極部 とすることもできる。
本発明において、陰極の化合物層となる 機化合物溶液の具体例としては、二酸化モ ブデン、二酸化タングステン、二酸化鉛、 酸化マンガン等の一種を形成し得る、これ 金属の各種塩の溶液が挙げられる。
有機化合物溶液としては、フラン、ピロ ル、チオフェン、アニリン、またはそれら 置換誘導体のアルコール、ケトン、または ステルの溶液が挙げられる。
また、導電性高分子化合物分散液として 、ポリアニリン、ポリオキシフェニレン、 リフェニレンサルファイド、ポリチオフェ 、ポリフラン、ポリピロール、ポリメチル ロール、及びこれらの置換誘導体や共重合 などの分散液が挙げられる。中でもポリピ ール、ポリチオフェン及びこれらの置換誘 体(例えば、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオ ェン)等)の分散液が好ましい。
上記化合物層(無機半導体層あるいは有機半 導体層)として、電導度10 -2 ~10 3 S・cm -1 の範囲のものを使用すると、作製した固体電 解コンデンサのESR値が小さくなり好ましい。
本発明では含浸操作において陽極体を陰 形成剤溶液に含浸する深さを制御すること より、表面が閉塞する部分が生じても常に しい部分を浸漬に関与させ、陰極形成溶液 十分な陰極が形成されるまで陽極体内部に 浸することができる。
この様な含浸装置の1例の概念を示す概要 図を図1に示す。図1は含浸操作を行う本発明 装置の概念図である。本装置(10)は、内部に 陽極体固定用の陽極体ホルダー(2)、温度調節 可能な陰極形成液槽(3)、この陰極形成槽(3)の 昇降手段である昇降装置(4)を内蔵し、好まし くは減圧可能な密閉槽からなり、陰極形成液 槽(3)はその温度を調節する手段(5)とその槽を 昇降させる手段(4)を備え、陰極形成液槽(3)の 温度調節と昇降は密閉槽外から制御可能に構 成されている。
図1において、含浸装置(10)は密閉された装
内部を減圧にする減圧手段(1)(真空ポンプ等)
に連結され、陽極体固定装置は、例えば陽極
体ホルダー(2)を一定の位置で固定、保持でき
る構造となっている。陰極形成液溶液槽(3)は
減圧(溶媒または分散媒が沸騰しない程度の
圧)に耐えられ、減圧による蒸発潜熱による
温変化を防止できる温度調節が可能なジャ
ット式構造が好ましい。
陰極形成槽(3)は、通常、昇降装置(4)の上に
かれ、陽極体固定装置(ホルダー)(2)と陰極
成液間の距離を検知し、浸漬距離を精度よ
制御できる距離検知手段(図示せず)を備えて
いることが望ましい。
なお、上記の例では陽極体を固定する装置(
ホルダー)(2)を備えたものを示したが、勿論
陰極形成層(3)の位置を固定して、陽極体ホ
ダーを昇降させる態様でもよい。
浸漬距離は、例えば浸漬回数として10回 採用する場合であれば、含浸1回ごとに使用 る陽極体の1/10の深さずつ浸漬距離が増すよ うに制御する。陽極体固定装置(ホルダー)(2) 陰極生成液間の距離を検知する手段として レーザーセンサなどの位置センサーを利用 ると制御しやすいが、この方法に限定され い。また,装置全体は減圧浸漬時には減圧状 態に保ち、引き上げ時には常圧に戻すことが できるだけの機械的強度が必要である。
密閉槽内は使用する陰極形成液の溶剤の 気圧に応じて減圧度を制御できることが好 しい。例えば水系で室温での操作であれば 溶剤が沸騰しないよう30kPa程度の減圧で十 である。そのため減圧装置としては一般の 空ポンプ、アスピレータ等が使用できるが これらに制限されるものではない。
この装置を利用して行う含浸操作は陽極 、陰極含浸液の種類を問わず使用できる。 えば、7万μFV/gのタンタル粉末を成形焼結、 化成処理を行い作成された縦×横×高さ=1.3mm× 2mm×2mmの陽極体(1.3mm×2mmの面に陽極ワイヤを する。)で、導電性高分子分散液を10回含浸 る場合、上記含浸装置の浸漬槽に含浸液を れ、陽極体固定装置に、30kPaまで減圧する。 続いて陽極体を分散液の界面下0.2mmまで浸漬 せ、毛細管現象で液が浸透するまで一定時 (1分以上、好ましくは3分以上10分以下)保持 た後装置を常圧に戻す。そして陽極体を引 上げると陽極体表面の0.2mm深さまでは含浸 が表面に触れるため水膜が現れるが、そこ り上は表面に陰極形成液がにじみ出ていな 状態の含浸が行える。その後乾燥を行い、1 目の含浸操作が終了する。このときの陽極 の水膜が形成された部分は陽極体の表面に 剰に付着した陰極形成剤が沈着するので優 的に陰極形成が起き、細孔の開口部分が閉 する部分が生じる。
次に同様の操作を陽極体の浸漬深さを0.2mm
やし、0.4mmにして行う。すると陽極体は直前
回に水膜が形成され部分的に開口部が閉塞し
ている部分に加えて新しく0.2mm深さ分だけ含
液が直接陽極体に触れる部分ができる。こ
部分は閉塞がないので新たに陰極形成剤の
入部分となり陽極体内部へ新経路を形成し
直前回同様に毛細管現象で液が浸透する。
定時間保持した後、同様の操作を行い2回目
の含浸が終了する。
この操作を1回の含浸ごとに0.2mm深さ分だけ
漬距離を増し、最終的に10回の浸漬で素子
体を浸す。
全体を浸漬した後は陰極引き出しのため 意に表面を閉塞させることが好ましい。こ 操作は同じ陰極生成剤溶液でもよいが、よ 高濃度で高分子粒径が大きな分散液を用い ことができる。さらにこの後、例えばカー ンペースト塗布、銀ペースト塗布、リード レーム接着などの工程、方法で固体電解コ デンサとしての陰極を引き出すことができ
含浸回数は陽極体の体積、含浸液の濃度 粘度、温度などで増減するのでこの説明で 10回含浸に限られるものではない。基本的 操作は陽極体、含浸液の種類によらず同様 処理できる。
以下、本発明の具体例についてさらに詳 に説明するが、以下の例により本発明は限 されるものではない。
実施例1:
市販の静電容量公称200000μFV/gのコンデンサ
ニオブ粉末をニオブ線とともに成形し、約2
0mg、2mm×2mm×1.4mmの成形体を作成した。これを
<4×10 -3
Paで1250℃、30分熱処理を行い焼結体を得た。
られた焼結体を80℃1%リン酸水溶液中で30Vの
電圧で300分化成処理を行うことにより表面に
誘電体層を形成し陽極体を作成した。この陽
極体の30%硫酸中での容量は132μFであり、水銀
圧入法による平均細孔径は0.32μmであった。
この陽極体20個を粉末焼結部分の高さが直
上に並ぶように基板に溶接したものを含浸
置のホルダーに固定した。一方固形物濃度1.
1%の粘度30mPa/sに調整した平均粒径20nmの導電
高分子(ポリ-(3,4-エチレンジオキシチオフェ
))の水系分散液を用意し、減圧含浸装置の
ャケット付き浸漬槽に満たした。装置を密
し、真空ポンプで内部を0.05Paまで減圧した
次いで浸漬槽を素子の最下面が液面下0.1mm
位置になるように移動し、浸漬を行った。
のまま化成体全体に分散液が浸透するまで5
保持した後、装置内を大気圧に戻し、浸漬
を元の位置に戻した。陽極体を取り出し、
気圧下で120℃、10分乾燥した後室温まで自
冷却させた。
この陽極体を再度含浸装置に固定するとこ
から乾燥冷却までの工程を1回とし、この工
程を、その際回数が1回増すごとに浸漬深さ
0.1mmずつ増やして20回繰り返した。
さらに、浸漬深さを2mmに固定し、3回浸漬を
繰り返し、陰極形成剤分散液を平均粒径1μm
導電性高分子の水系分散液に交換し、さら
2回浸漬繰り返し陽極体の表面を完全に閉塞
せた。合計25回の浸漬による含浸工程を行
陽極体誘電体層上に導電性高分子膜を形成
せた。さらに、この導電性高分子膜が形成
た陽極体上にカーボンペースト、銀ペース
を塗布し、さらにリードフレームに取付け
ポキシ樹脂封止を行った。このようにして
られた固体電解コンデンサ20個の平均の120Hz
の静電容量と10kHzでの等価直列抵抗は表1の
りであった。
実施例2:
実施例1において、固形物濃度1.1%の粘度30mPa
/sに調整した平均粒径20nmの導電性高分子(ポ
-(3,4-エチレンジオキシチオフェン))の水系分
散液に替えて、固形物濃度2.3%の粘度60mPa/sに
整した平均粒径20nmの導電性高分子(ポリ-(3,4
-エチレンジオキシチオフェン))の水系分散液
を用いた以外は、同様の操作を行って作られ
た固体電解コンデンサ20個の平均の120Hzでの
電容量と10kHzでの等価直列抵抗は表1の通り
あった。
実施例3:
実施例1において、導電性高分子の水系分散
液に替えて30%硝酸マンガン水溶液を用い、乾
燥条件を200℃、25分にし、同様の操作を行い
誘電体層上に二酸化マンガン層を形成させ
。また含浸回数5回、10回、15回、20回、25回
了時には、陽極体を80℃、1%リン酸水溶液中
で15Vの電圧で30分化成処理を行うことにより
酸化マンガン形成時の誘電体膜の損傷を修
させる工程を追加した。
さらにこの二酸化マンガンが形成された陽
体上にカーボンペースト、銀ペーストを塗
し、さらにリードフレームに取付けエポキ
樹脂封止を行った。
このようにして作られた固体電解コンデン
20個の平均の120Hzでの静電容量と10kHzでの等
直列抵抗は表1の通りであった。
比較例1:
実施例1と同様に、固体電解コンデンサを作
成した。ただし浸漬深さを全て2mmに固定した
。
このようにして作られた固体電解コンデン
20個の平均の120Hzでの静電容量と10kHzでの等
直列抵抗は表1の通りであった。
比較例2:
実施例2と同様に、固体電解コンデンサを作
成した。ただし浸漬深さを全て2mmに固定した
。
このようにして作られた固体電解コンデン
20個の平均の120Hzでの静電容量と10kHzでの等
直列抵抗は表1の通りであった。
比較例3:
実施例3と同様に、固体電解コンデンサを作
成した。ただし浸漬深さを全て2mmに固定した
。
このようにして作られた固体電解コンデン
20個の平均の120Hzでの静電容量と10kHzでの等
直列抵抗は表1の通りであった。
実施例4:
実施例1と同じ手法で作成した陽極体を含浸
装置のホルダーに固定し、浸漬槽に取り付け
、導電性高分子分散液を満たすところまでは
実施例1と同じである。
次に大気圧下で、浸漬槽を素子の最下面が
面下0.1mmの位置になるように移動し浸漬を
った。このまま化成体全体に分散液が浸透
るまで5分保持した後、浸漬槽を元の位置に
した。
陽極体を取り出し、大気圧下で120℃10分乾
した後室温まで自然冷却させた。
この陽極体を再度含浸装置に固定するとこ
から乾燥冷却までの工程を1回とし、この工
程を、その際回数が1回増すごとに浸漬距離
0.1mm増やして20回繰り返した。
さらに浸漬深さを2mmに固定し、3回浸漬を繰
り返し、陰極形成剤分散液を平均粒径1μmの
電性高分子の水系分散液に交換し、さらに2
浸漬繰り返し陽極体の表面を完全に閉塞さ
た。合計25回の浸漬による含浸工程を行い
極体誘電体層上に導電性高分子膜を形成さ
た。
さらにこの導電性高分子膜が形成した陽極
上にカーボンペースト、銀ペーストを塗布
、さらにリードフレームに取付けエポキシ
脂封止を行った。
このようにして作られた固体電解コンデン
20個の平均の120Hzでの静電容量と10kHzでの等
直列抵抗は表1の通りであった。
実施例5:
市販の静電容量公称70000μFV/gのコンデンサ
タンタル粉末をタンタル線とともに成形し
約35mg、2mm×2mm×1.4mmの成形体を作成した。こ
を<4×10 -3
Paで1200℃、30分熱処理を行い焼結体を得た。
られた焼結体を80℃、1%リン酸水溶液中で20V
の電圧で300分化成処理を行うことで表面に誘
電体層を形成し陽極体を作成した。この陽極
体の30%硫酸中での容量は119μFであり、水銀圧
入法による平均細孔径は0.29μmであった
また、この陽極体20個を実施例4と同様の方
で大気圧下、多段階浸漬による含浸を行い
極体誘電体層上に導電性高分子膜を形成さ
た。
さらにこれらの導電性高分子膜が形成した
極体上にカーボンペースト、銀ペーストを
布し、さらにリードフレームに取付けエポ
シ樹脂封止を行った。
このようにして作られた固体電解コンデン
20個の平均の120Hzでの静電容量、と10kHzでの
価直列抵抗は表1の通りであった。
比較例4:
実施例4と同様に、固体電解コンデンサを作
成した。ただし浸漬深さを全て2mmに固定した
。
このようにして作られた固体電解コンデン
20個の平均の120Hzでの静電容量と10kHzでの等
直列抵抗は表1の通りであった。
比較例5:
実施例5と同様に、固体電解コンデンサを作
成した。ただし浸漬深さを全て2mmに固定した
。
このようにして作られた固体電解コンデン
20個の平均の120Hzでの静電容量と10kHzでの等
直列抵抗は表1の通りであった。
30%硫酸中での容量に比べ、比較例4及び5で
低い容量となっている。また、等価直列抵
が高い。これは、用いた陽極体の細孔が細
すぎるため細孔内での陰極の形成が不十分
あったと考えられる。
しかし、多段浸漬を行った実施例4及び5で
、30%硫酸中での容量に近い容量が得られ、
た、等価直列抵抗も低くなっている。すな
ち、本発明の方法を用いれば、微細な細孔
陽極体にも十分に陰極を形成することがで
る。
実施例1のように減圧下で多段浸漬を行う と、より30%硫酸中での容量に近い容量が得ら れ、等価直列抵抗も低下する。比較例1のよ に、従来の方法でも減圧下で浸漬を行えば 量が大きくなるが、大気圧下で多段浸漬を った実施例4の容量には及ばない。
比較例1と比較例2を比べると、容量、等 直列抵抗ともに陰極形成液が高濃度になる 悪化している。一方、多段浸漬を行った実 例1と実施例2とを比べると、その影響がきわ めて小さいことがわかる。
また、実施例3、比較例3のように、陰極 成液が無機化合物(硝酸マンガン)であっても 、多段浸漬を行なった方が高容量、低等価直 列抵抗になっている。なお、一般に、硝酸マ ンガンを用いた陰極(二酸化マンガンの陰極) は、ポリ-(3,4-エチレンジオキシチオフェン) の陰極より等価直列抵抗は高くなる。
1 減圧手段
2 陽極体ホルダー
3 陰極形成溶液槽
4 昇降装置
5 温度調整手段
10 含浸装置
