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Title:
METHOD FOR COLD-ROLLING OF STEEL PLATE AND COLD-ROLLING FACILITY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/101941
Kind Code:
A1
Abstract:
In performing cold-rolling of a steel plate coil (7), when the tail end of the steel plate coil (7) is wound around a tension reel (3) prior to a second-pass rolling after completion of a first-pass rolling, the tail end is heated to a temperature range of 50 to 350ºC by a heating device disposed between a rolling stand (1) and the coil tail end side tension reel (3).

Inventors:
MIMURA HIROYUKI (JP)
MUKAI TAKAO (JP)
MIYAMOTO KAZUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/052232
Publication Date:
August 20, 2009
Filing Date:
February 10, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON STEEL CORP (JP)
MIMURA HIROYUKI (JP)
MUKAI TAKAO (JP)
MIYAMOTO KAZUHIRO (JP)
International Classes:
B21B3/02; B21B1/22; B21B45/00; B21C47/26
Foreign References:
JPH1085802A1998-04-07
JPS5413846B21979-06-02
JPS61132205A1986-06-19
JPS61135407A1986-06-23
Other References:
See also references of EP 2253392A4
Attorney, Agent or Firm:
KOKUBUN, Takayoshi (NBF Ikebukuro City Building17-8, Higashi-Ikebukuro 1-chom, Toshima-ku Tokyo 13, JP)
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Claims:
 ペイオフリール及びシングルスタンドのリバース圧延機を用いて鋼板コイルを冷間圧延する方法であって、
 前記リバース圧延機を用いて前記鋼板コイルの1パス目の圧延を行う工程と、
 次に、前記リバース圧延機とコイル尾端側テンションリールとの間に配置された加熱装置によって前記鋼板コイルの尾端部を50℃以上350℃以下の温度範囲に加熱して、前記尾端部を前記コイル尾端側テンションリールに巻き付ける工程と、
 次に、前記鋼板コイルの2パス目以降の圧延を行う工程と、
 を有することを特徴とする鋼板の冷間圧延方法。
 前記加熱装置によって、前記尾端部を、前記コイル尾端側テンションリールに接近している間に加熱することを特徴とする請求項1に記載の鋼板の冷間圧延方法。
 前記尾端部は、前記1パス目の圧延後の未圧延部分及び前記未圧延部分に隣接するロールバイト部を含むことを特徴とする請求項1に記載の鋼板の冷間圧延方法。
 前記尾端部は、前記1パス目の圧延後の未圧延部分及び前記未圧延部分に隣接するロールバイト部を含むことを特徴とする請求項2に記載の鋼板の冷間圧延方法。
 前記鋼板コイルが、Siを3質量%以上含有する一方向性電磁鋼板用の熱延コイルであり、
 前記加熱装置によって、前記尾端部を50℃~150℃の温度範囲内に加熱することを特徴とする請求項1に記載の鋼板の冷間圧延方法。
 前記鋼板コイルが、Siを3質量%以上含有する一方向性電磁鋼板用の熱延コイルであり、
 前記加熱装置によって、前記尾端部を50℃~150℃の温度範囲内に加熱することを特徴とする請求項2に記載の鋼板の冷間圧延方法。
 前記鋼板コイルが、Siを3質量%以上含有する一方向性電磁鋼板用の熱延コイルであり、
 前記加熱装置によって、前記尾端部を50℃~150℃の温度範囲内に加熱することを特徴とする請求項3に記載の鋼板の冷間圧延方法。
 前記鋼板コイルが、Siを3質量%以上含有する一方向性電磁鋼板用の熱延コイルであり、
 前記加熱装置によって、前記尾端部を50℃~150℃の温度範囲内に加熱することを特徴とする請求項4に記載の鋼板の冷間圧延方法。
 ペイオフリールと、
 シングルスタンドのリバース圧延機と、
 コイル尾端側テンションリールと、
 前記リバース圧延機と前記コイル尾端側テンションリールとの間に設置され、鋼板コイルの尾端部を加熱する加熱装置と、
 を有することを特徴とする冷間圧延設備。
 前記加熱装置が、複数のノズルから蒸気を吐出するヘッダ装置を有することを特徴とする請求項9に記載の冷間圧延設備。
 前記加熱装置が、電気加熱装置であることを特徴とする請求項9に記載の冷間圧延設備。
 前記リバース圧延機と前記コイル尾端側テンションリールとの間に設置され、前記加熱装置を含むコイル端末ガイドを有することを特徴とする請求項9に記載の冷間圧延設備。
 前記リバース圧延機と前記コイル尾端側テンションリールとの間に設置され、前記加熱装置を含むコイル端末ガイドを有することを特徴とする請求項10に記載の冷間圧延設備。
 前記リバース圧延機と前記コイル尾端側テンションリールとの間に設置され、前記加熱装置を含むコイル端末ガイドを有することを特徴とする請求項11に記載の冷間圧延設備。
 
Description:
鋼板の冷間圧延方法及び冷間圧 設備

 本発明は、Si含有量の高い一方向性電磁 板等の脆い鋼板の圧延に好適な冷間圧延方 及び冷間圧延設備に関する。

 従来、鉄損の優れた高磁束密度一方向性 磁鋼板を製造する際には、冷間圧延のパス で鋼板を50℃~350℃の温度範囲で1分以上保持 する処理が行われている。このような処理は パス間時効処理とよばれ、特許文献1に記載 れている。

 パス間時効処理と同等の効果を、タンデ 圧延機を用いた圧延で得ることは困難であ 。このため、より配向性に優れ、磁束密度 高い一方向性電磁鋼板を製造する場合には 一般的に、リバース圧延機を用いた冷間圧 が行われている。これは、パス間での温度 保持が容易だからである。

 一方、高磁束密度一方向性電磁鋼板は、 鉄損を実現するために3%以上の珪素を含有 ており、極めて脆い。このため、製造途中 エッジクラックが発生しやすい。また、エ ジクラックが僅かでも発生すると、これが 大して、板破断が生じることもある。特に シングルスタンドのリバース圧延機を用い 圧延する場合、圧延機の構造上、熱延コイ の端部をテンションリールに巻付ける作業 発生するため、コイル端部をテンションリ ルに巻付ける際の曲げ応力により鋼板が破 に至る可能性が高い。

 ここで、シングルスタンドのリバース圧 機を用いた冷間圧延について説明する。図4 A~図4Eは、シングルスタンドのリバース圧延 を用いた冷間圧延方法を工程順に示す図で る。

 シングルスタンドのリバース圧延機を用 た冷間圧延設備では、中央に圧延スタンド( リバース圧延機)21が配置されている。また、 圧延スタンド21を挟んで、一方の側にコイル 端側のテンションリール22が配置され、他 の側にコイル尾端側のテンションリール23及 びペイオフリール24が配置されている。

 そして、冷間圧延の前には、図4Aに示す うに、これから圧延しようとする鋼板26をコ イル状にした鋼板コイル(熱延コイル)25をペ オフリール24に搬入する。次いで、鋼板コイ ル25から鋼板26の先端を巻き出して、圧延ス ンド21を介してテンションリール22に巻き付 る。

 その後、図4Bに示すように、ペイオフリ ル24とテンションリール22との間で鋼板26に 力をかけながら1パス目の圧延を行う。そし 、図4Cに示すように、鋼板コイル25の尾端27 ペイオフリール24を離れたら圧延を終了し 図4Dに示すように、尾端27を、ペイオフリー 24と圧延スタンド21との間に位置するコイル 尾端側のテンションリール23に巻き付ける。 の後、図4Eに示すように、両テンションリ ル22及び23の間で鋼板26に張力をかけながら2 ス目以降の圧延を行う。

 このような方法で冷間圧延では、1パス目 の圧延後には、図5に示すように、尾端27に未 圧延部28が残る。このため、尾端27をテンシ ンリール23に巻き付ける際には、未圧延部28 巻き付けた後に1パス圧延部30の一定の長さ 部分を巻き付けることとなる。この際に、 き始めの曲率が大きい部分で破断すること ある。

 また、1パス目の圧延により、厚さが熱延 ままの厚さt0から1パス圧延後の厚さt1に遷移 るロールバイト部(1パスロールバイト部)29 形成されてしまう。ロールバイト部29は、厚 く曲げ応力が大きい未圧延部28と加工硬化し 1パス圧延部30との境界領域でもある。この め、巻き付けの際にロールバイト部29で破 が生じることもある。

 従って、生産性の向上の観点から材料の 性を緩和し、板破断の発生を抑えることが 要である。このような板破断は、Si含有量 高い一方向性電磁鋼板に限らず、他の脆い 板(例えば、高炭素鋼の鋼板)で上記のような 圧延を行う場合にも同様に発生することがあ る。

 電磁鋼板等の脆い鋼板を冷間圧延する際 、材料の脆性を緩和する技術が特許文献2に 記載されている。この技術では、連続式のタ ンデム圧延機を用いた冷間圧延を行う際に、 ストリップ温度を事前に50℃~150℃とし、第一 圧延スタンドに搬送する前に鋼板を加熱して 、各圧延スタンド間で鋼板温度を所定の範囲 内に保持している。

 しかしながら、この技術をリバース圧延機 適用すると、以下の問題が発生する。
 (i)リバース圧延機を用いた圧延では、第1パ スの圧延完了後に尾端をテンションロールに 巻き付けるため、予め鋼板を加熱しておいて もその効果が巻き付け前に低下してしまう。
 (ii)1パスロールバイト部が最も破断しやす 部分であるにも拘わらず、この部分で圧延 停止されるため、十分な加工発熱を得るこ ができない。
 (iii)1パスロールバイト部は圧延油に暴露さ た後、テンションリールに巻き付けられる での間、外気に曝されるため、圧延油の気 に伴い、急激に抜熱されてしまう。
 (iv)一方向性電磁鋼板の圧延では、冷間圧延 前のコイルを、抜熱分を上乗せした温度まで 加熱すると、温度が高くなりすぎて、最終的 に得られる鋼板の磁気特性が劣化してしまう 。

 このため、特許文献2の技術をリバース圧 延機に適用しても、鋼板の尾端をコイル尾端 側のテンションリールに巻き付ける際に十分 な脆性緩和効果を得ることができない。

 また、特許文献3には、ペイオフリールと 圧延スタンドとの間を保温囲壁で覆い、鋼板 の温度の低下を防ぐ技術が記載されている。 そして、この技術を用いて特許文献2の(iii)の 問題点を解決することも考えられる。

 しかしながら、この場合には、圧延スタ ドに近接した範囲まで保温囲壁で覆う必要 ある。一方、リバース圧延機では、偶数パ において、尾端側が出側に切り替わる。こ ため、大量の随伴ヒュームが囲壁内に入り み、囲壁の内部にヒュームが充満し、囲壁 の計装機器(板厚計及び板温計等)の測定精 の確保及び設備保全が困難になってしまう

 また、曲げ応力自体を低減するためにリ ル径を大型化すれば、板破断の発生を低減 ることができるが、リール径の大型化を既 の装置に適用することは、スペース的に困 である。また、大型化の分だけ未圧延部が くなり、歩留りが低下してしまう。

特公昭54-13846号公報

特開昭61-132205号公報

特開昭61-135407号公報

 本発明は、リバース圧延機を用いて、Si 有量が高い一方向性電磁鋼板等の脆い鋼板 冷間圧延する際の板破断の発生を抑えるこ ができる鋼板の冷間圧延方法及び冷間圧延 備を提供することを目的とする。

 上記の課題を解決するために、本発明は のような構成を備える。

 (1) ペイオフリール及びシングルスタンド リバース圧延機を用いて鋼板コイルを冷間 延する方法であって、
 前記リバース圧延機を用いて前記鋼板コイ の1パス目の圧延を行う工程と、
 次に、前記リバース圧延機とコイル尾端側 ンションリールとの間に配置された加熱装 によって前記鋼板コイルの尾端部を50℃以 350℃以下の温度範囲に加熱して、前記尾端 を前記コイル尾端側テンションリールに巻 付ける工程と、
 次に、前記鋼板コイルの2パス目以降の圧延 を行う工程と、
 を有することを特徴とする鋼板の冷間圧延 法。
 (2) 前記加熱装置によって、前記尾端部を 前記コイル尾端側テンションリールに接近 ている間に加熱することを特徴とする(1)に 載の鋼板の冷間圧延方法。
 (3) 前記尾端部は、前記1パス目の圧延後の 圧延部分及び前記未圧延部分に隣接するロ ルバイト部を含むことを特徴とする(1)に記 の鋼板の冷間圧延方法。
 (4) 前記尾端部は、前記1パス目の圧延後の 圧延部分及び前記未圧延部分に隣接するロ ルバイト部を含むことを特徴とする(2)に記 の鋼板の冷間圧延方法。
 (5) 前記鋼板コイルが、Siを3質量%以上含有 る一方向性電磁鋼板用の熱延コイルであり
 前記加熱装置によって、前記尾端部を50℃~1 50℃の温度範囲内に加熱することを特徴とす (1)に記載の鋼板の冷間圧延方法。
 (6) 前記鋼板コイルが、Siを3質量%以上含有 る一方向性電磁鋼板用の熱延コイルであり
 前記加熱装置によって、前記尾端部を50℃~1 50℃の温度範囲内に加熱することを特徴とす (2)に記載の鋼板の冷間圧延方法。
 (7) 前記鋼板コイルが、Siを3質量%以上含有 る一方向性電磁鋼板用の熱延コイルであり
 前記加熱装置によって、前記尾端部を50℃~1 50℃の温度範囲内に加熱することを特徴とす (3)に記載の鋼板の冷間圧延方法。
 (8) 前記鋼板コイルが、Siを3質量%以上含有 る一方向性電磁鋼板用の熱延コイルであり
 前記加熱装置によって、前記尾端部を50℃~1 50℃の温度範囲内に加熱することを特徴とす (4)に記載の鋼板の冷間圧延方法。

 (9) ペイオフリールと、
 シングルスタンドのリバース圧延機と、
 コイル尾端側テンションリールと、
 前記リバース圧延機と前記コイル尾端側テ ションリールとの間に設置され、鋼板コイ の尾端部を加熱する加熱装置と、
 を有することを特徴とする冷間圧延設備。
 (10)
 前記加熱装置が、複数のノズルから蒸気を 出するヘッダ装置を有することを特徴とす (9)に記載の冷間圧延設備。
 (11)  前記加熱装置が、電気加熱装置であ ことを特徴とする(9)に記載の冷間圧延設備
 (12) 前記リバース圧延機と前記コイル尾端 テンションリールとの間に設置され、前記 熱装置を含むコイル端末ガイドを有するこ を特徴とする(9)に記載の冷間圧延設備。
 (13) 前記リバース圧延機と前記コイル尾端 テンションリールとの間に設置され、前記 熱装置を含むコイル端末ガイドを有するこ を特徴とする(10)に記載の冷間圧延設備。
 (14) 前記リバース圧延機と前記コイル尾端 テンションリールとの間に設置され、前記 熱装置を含むコイル端末ガイドを有するこ を特徴とする(11)に記載の冷間圧延設備。

図1は、一方向性電磁鋼板における室温 から300℃の種々の温度での繰り返し曲げ回数 を示す図である。 図2は、本発明の実施形態に係る鋼板コ イルの冷間圧延設備の構成を示す模式図であ る。 図3は、加熱装置の一例を示す模式図で ある。 図4Aは、シングルスタンドのリバース 延機を用いた冷間圧延方法を示す図である 図4Bは、図4Aに引き続き、冷間圧延方 を示す図である。 図4Cは、図4Bに引き続き、冷間圧延方 を示す図である。 図4Dは、図4Cに引き続き、冷間圧延方 を示す図である。 図4Eは、図4Dに引き続き、冷間圧延方 を示す図である。 図5は、1パス目の圧延後のコイル尾端 を示す断面図である。

 以下、本発明の実施形態について、図1~ 3を参照しながら詳細に説明する。

 リバース圧延の際、板破断の可能性が最 高い1パスロールバイト付近は、十分な加工 発熱を得られない部分である。また、1パス ールバイト付近は、1パス目の圧延の際に圧 油に暴露された後、テンションリールに巻 付けられるまでの間、外気に曝されるため 圧延油の気化にともない冷却され、急激に 熱されてしまう。このため、事前に所定の 度に加熱しておいても、その板温を確保す ことが極めて困難である。

 従って、1パス目の圧延後のコイル尾端部 をコイル尾端側のテンションリールに巻き付 ける直前に再加熱することが有効であると考 えられる。

 そこで、本願発明者らは、脆い鋼板でも 断なく尾端部をテンションリールに巻き付 るために必要な温度について調べた。

 Si含有量が3%未満の一方向性電磁鋼板では 、破断の問題なくテンションリールに巻き付 けることができることが知られている。そこ で、Si含有量を、2.95質量%、3.25質量%、3.55質 %と変化させた一方向性電磁鋼板用の熱延鋼 を作製し、それぞれについて、室温から300 の種々の温度で繰り返し曲げ回数を調べた この結果を図1に示す。

 Si含有量が3質量%未満の鋼板では、前記の ように破断が起こらないため、Si含有量が2.95 質量%の鋼板と同等の曲げ性能が確保できれ 、破断が生じないということができる。そ て、図1に示すように、Si含有量が2.95質量%の 鋼板の室温(25℃)での繰り返し曲げ回数は4回 あった。そこで、この回数(4回)を基準(シキ イ値)とすると、図1から、それと同程度の繰 返し曲げ回数を得るためには、少なくとも5 0℃以上の温度に鋼板を加熱することが必要 あり、90℃以上の温度に加熱することが好ま しいことがわかる。

 この結果から、Siを3質量%以上含有する一 方向性電磁鋼板用の鋼板コイルでは、50℃以 の温度にコイル尾端部を加熱することによ 、破断を生じさせることなくテンションリ ルに巻き付けることができることがわかっ 。

 なお、加熱温度が高すぎる場合、設備及 鋼板の材質に関する問題が生じることがあ 、かつ経済的に好ましくないので、加熱温 は350℃以下とすることが好ましい。また、 1に示すように、150℃以上の温度に加熱して も曲げ性を改善する効果が小さいので、一方 向性電磁鋼板用の鋼板コイルの場合は、加熱 温度の上限は150℃とすることが好ましい。

 また、他の脆い鋼板(例えば、高炭素鋼) リバース圧延においても、一方向性電磁鋼 と同様に、コイル尾端部を加熱することに り、破断を生じさせることなくテンション ールに巻き付けることができる。その際の 熱温度は、一方向性電磁鋼板と同様に、鋼 の材質に応じて決定されるが、一方向性電 鋼板と同様の理由により、350℃以下の範囲 で決定することが好ましい。

 加熱する鋼板の範囲は、少なくともコイ 尾端部から未圧延部分に隣接するロールバ ト部を含む領域とする。1パス圧延部の一部 を含んでいることがより望ましい。コイル尾 端部の加熱は、コイルの上面又は下面のどち ら側から行ってもよい。両面から加熱しても よいが、片面からの加熱で十分である。

 このような加熱を実施しても、加熱され 範囲は、オフゲージとして捨てられる未圧 部及び1パス圧延部の一部のみである。従っ て、この温度範囲の加熱であれば、最終的に 得られる鋼板、即ち製品鋼板の特性に影響が 及ぶことはない。

 加熱する温度範囲が350℃以下であること ら、加熱装置としては種々のものが使用さ 得るが、精密な温度制御を必要しないこと び設備の簡素化の観点から蒸気による加熱 好適である。

 そして、冷間圧延設備内では、そのよう 加熱装置が、圧延スタンド(リバース圧延機 )とコイル尾端側のテンションリールとの間 配置される。図2は、本発明の実施形態に係 鋼板コイルの冷間圧延設備の構成を示す模 図である。

 本実施形態に係る冷間圧延設備では、中 に圧延スタンド(リバース圧延機)1が配置さ ている。また、圧延スタンド1を挟んで、一 方の側にコイル先端側のテンションリール2 配置され、他方の側にコイル尾端側のテン ョンリール3及びペイオフリール4が配置され ている。なお、図2では明確となっていない 、ペイオフリール4からの払い出し時のパス インと、コイル尾端側のテンションリール3 と圧延スタンド1との間の鋼板7のパスライン は、互いからずれている。

 また、図2に示すように、圧延スタンド1 コイル尾端側のテンションリール3との間の 域5内に、加熱時の鋼板7のパスラインに近 するように加熱装置が設置されている。ま 、領域5内には、コイル尾端側のデフレクタ ロール6も配置されている。加熱装置は、加 熱から巻き付けまでの間の抜熱を避けるため 、できるだけテンションリール3の近くに設 されていることが望ましい。更に、コイル 端部の加熱は、少なくともテンションリー 3に向かって進行する際に実行することがよ 望ましい。従って、テンションリール3とデ フレクターロール6との間に加熱装置が設置 れていることが望ましい。

 テンションリール3とデフレクターロール 6との間であれば、ペイオフリール4からの鋼 コイルの払い出し時のパスラインから外れ 加熱装置が設置されることとなる。ペイオ リール4からの払い出し時のパスラインには 各種機器が密集配置されているため、加熱装 置を設置するためのスペースを確保しにくい 。このため、ペイオフリールからの払い出し 時のパスラインから外れて加熱装置が設置さ れれば、そのメリットは大きい。

 なお、加熱装置は、テンションリール3と デフレクターロール6との間において、加熱 には鋼板7のテンションリール3の巻き取りラ インに近接して鋼板7の尾端部を加熱するこ ができ、かつ加熱後は鋼板7の巻き取りの障 にならないように巻き取り領域から退避で るように設置されていることが望ましい。

 ここで、加熱装置の具体例について説明 る。図3は、加熱装置の一例を示す模式図で ある。

 図3に示すように、デフレクターローラ6 テンションリール3との間には、コイル尾端 8をテンションリール3に誘導するコイル端 ガイド9が設けられている。そして、このコ ル端末ガイド9に加熱装置が設けられている 。即ち、コイル端末ガイド9に、多数の蒸気 出ノズルを有する管状のヘッダ装置10が複数 本固定されている。

 リバース圧延の際には、コイル尾端部8を テンションリール3に巻き付ける際に、パス インにコイル端末ガイド9を位置させてコイ 尾端部8を誘導する。この際に、ヘッダ装置 10がコイル端末ガイド9に付随してコイル尾端 部8に接近する。そして、加熱装置は、図3中 矢印で示すように、ヘッダ装置10のノズル ら高温の蒸気を鋼板7に向けて吐出させ、気 が液体に変化する時の液化潜熱を利用して コイル尾端部8を下面側から加熱する。この 結果、コイル尾端部8の温度を速やかに100℃ 傍まで加熱することができ、コイル尾端部8 テンションリール3に巻き付けながら、その 下面を加熱することができる。従って、未圧 延部及びロールバイト部における破断を生じ ることなく鋼板7をテンションリール3に巻き けることができる。

 また、このような構成によれば、テンシ ンリール3とデフレクターロール6との間に いて、鋼板7のテンションリール3の巻き取り ラインに近接してコイル尾端部8を加熱する とができる。また、加熱後は鋼板7の巻き取 の障害にならないように巻き取り領域から 避できる。

 なお、加熱装置としては、通電加熱装置 び誘導加熱装置等の電気式加熱装置を用い こともできる。電気式加熱装置は、コイル 端部8を表面から加熱するように、上方から 加熱位置及び退避位置に移動できるように設 置されていることが好ましい。

 次に、本願発明者らが実際に行った実験 結果について説明する。

 この実験では、上述のような、蒸気を吐 するヘッダ装置を備えた加熱装置、誘導加 装置及び通電加熱装置を用いて、Si含有量 3.25質量%及び3.5質量%の一方向性電磁鋼板用 熱延コイルの尾端部を種々の温度に加熱し 冷間圧延を実施した。この結果を表1に示す

 表1に示すように、コイルの尾端部を加熱 した場合は、いずれも破断することなく冷間 圧延を実施できた。コイルの尾端部を加熱し なかった場合は、尾端部に破断が生じたか、 リールへの巻き付けが不能であった。

 以上説明した実施形態は本発明の一例で り、本発明は、これらの実施ケチ体に限定 れることはなく、他の形態として実施する とも可能である。

 従来、コイル尾端部について十分な脆性緩 効果が得られる鋼板温度を確保することが 難であるか、又は、十分な鋼板温度を確保 ようとすれば、設備コストが増大し設備の 守管理が困難である。これに対して、本発 によれば、これらの問題を解消して、板破 が生じにくい鋼板温度を確保することが可 となる。この結果、鋼板の生産性を向上さ ることできる。
 




 
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