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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF COMPLEMENTING LOWERING IN OCULAR SCLERA EXTENSIBILITY, METHOD OF CONTROLLING FEMTOSECOND LASER TO BE USED IN THE METHOD AND SPACER TO BE USED IN THE METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2010/046987
Kind Code:
A1
Abstract:
In the parenchymal layer (91) of the cornea close to the corneal ring (7), a ring- or arc-shaped first incised face (10) parallel to the corneal surface (92) and a second incised face (20) extending from the first incised face (10) to the corneal surface (92) are formed with a femtosecond laser. Thus, a highly flexible part is formed between the corneal periphery and the corneal ring (7) so that a lowering in the extensibility of ocular sclera (5), which is located between the eyeball attachment site (3) of the external ocular muscle (2) and the corneal ring (7), is complemented.

Inventors:
YOSHIDA KENJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069268
Publication Date:
April 29, 2010
Filing Date:
October 23, 2008
Export Citation:
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Assignee:
YOSHIDA KENJI (JP)
SHIMURA YOSHIMI (JP)
International Classes:
A61F9/007; A61F2/14; A61F9/00
Foreign References:
JP2007151768A2007-06-21
JP2008531097A2008-08-14
JP2002526160A2002-08-20
JP2007130334A2007-05-31
JP2008536576A2008-09-11
JP2007152093A2007-06-21
JP2001508327A2001-06-26
JPH11500944A1999-01-26
JPH074448T
JPH06209964A1994-08-02
JPS57156762A1982-09-28
JPS58141148A1983-08-22
JP2005312921A2005-11-10
Attorney, Agent or Firm:
KURAUCHI, GIRO (JP)
Yoshiro Kurauchi (JP)
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Claims:
 角膜周辺部から角膜輪部の間に柔軟性の高い部位を作成することにより外眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置する強膜の伸展性の低下を補完する方法であって、
 角膜輪部の近傍における角膜実質層内に角膜表面と平行な輪状又は円弧状の第1切開創面を形成する工程と、
 この第1切開創面から角膜表面にまで達する第2切開創面を形成する工程と、
を含み、
 前記各工程をフェムト秒レーザにより行う眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 角膜周辺部から角膜輪部の間に柔軟性の高い部位を作成することにより外眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置する強膜の伸展性の低下を補完する方法であって、
 角膜輪部の近傍における角膜実質層内に角膜表面と平行な輪状又は円弧状の第1切除層を形成する工程と、
 この第1切除層から角膜表面にまで達する第2切除層を形成する工程と、
を含み、
 前記各工程をフェムト秒レーザにより行う眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 角膜周辺部から角膜輪部の間に柔軟性の高い部位を作成することにより外眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置する強膜の伸展性の低下を補完する方法であって、
 角膜輪部の近傍における角膜実質層内に角膜表面と平行な輪状又は円弧状の第1切開創面を形成する工程と、
 この第1切開創面から角膜表面にまで達する第2切開創面を形成する工程と、
 前記第1切開創面上に前記第2切開創面の下端部を包含するキャビティを形成する工程と、
を含み、
 前記各工程をフェムト秒レーザにより行う眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 角膜周辺部から角膜輪部の間に柔軟性の高い部位を作成することにより外眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置する強膜の伸展性の低下を補完する方法であって、
 角膜輪部の近傍における角膜実質層内に角膜表面と平行な輪状又は円弧状の第1切開創面を形成する工程と、
 この第1切開創面から角膜表面に向かって上昇し上端が角膜実質層内に存する第2切開創面を形成する工程と、
 この第2切開創面の上端から前記第1切開創面と平行に角膜の中心部に向かう第3切開創面を形成する工程と、
 この第3切開創面の終端から角膜表面にまで達する第4切開創面を形成する工程と、
を含み、
 前記各工程をフェムト秒レーザにより行う眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項1又は3に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第2切開創面の内側にフェムト秒レーザにより角膜フラップを形成する工程を含む眼球の眼球強膜伸展性低下補完方法。
 請求項2に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第2切除層の内側にフェムト秒レーザにより角膜フラップを形成する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項4に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第4切開創面の内側にフェムト秒レーザにより角膜フラップを形成する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項1に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第1切開創面内にスペーサを挿入する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項2に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第1切除層内にスペーサを挿入する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項3に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記キャビティ内にスペーサを挿入する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項4に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 さらに、前記第2切開創面内にスペーサを挿入する工程を含む眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項8から11のいずれか一つに記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 前記スペーサは、輪状又は弧状である眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項12に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 前記スペーサは、合成樹脂を材料とする眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項12に記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 前記スペーサは、金又は白金を材料とする眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 請求項8から11のいずれか一つに記載の眼球の強膜伸展性低下補完方法において、
 前記スペーサは、金又は白金の粒状物又は粉末である眼球の強膜伸展性低下補完方法。
 角膜周辺部から角膜輪部の間に柔軟性の高い部位を作成することにより外眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置する強膜の伸展性の低下を補完する方法に使用されるフェムト秒レーザの制御方法であって、
 レーザ照射手段から出射されるレーザ光を、そのスポットが角膜実質層内においてメモリに予め記憶させておいた第1切開創面又は第1切除層の深度に達するように導光するとともに、該レーザ光のスポットを、
 a)メモリに予め記憶させておいた第1切開創面の幅又は第1切除層の幅で振幅走査させながら角膜輪部に沿って輪状又は円弧状に走査させるか、又は、
 b)メモリに予め記憶させておいた第1切開創面の幅又は第1切除層の幅の範囲内で、角膜輪部に沿って輪状又は円弧状に且つ複数回に亘り同心円状に走査させるか、又は、
 c)メモリに予め記憶させておいた第1切開創面の幅又は第1切除層の幅の範囲内で、角膜輪部に沿って輪状又は円弧状に且つ螺旋状に走査させる
 工程と、
 前記レーザ光のスポットを、第1切開創面又は第1切除層から角膜表面に向かう方向、或いは角膜表面から第1切開創面又は第1切除層に向かう方向に、前記第1切開創面又は第1切除層に沿って走査させる工程、
の各工程を行うフェムト秒レーザの制御方法。
 角膜周辺部から角膜輪部の間に柔軟性の高い部位を作成することにより外眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置する強膜の伸展性の低下を補完する方法に使用されるフェムト秒レーザの制御方法であって、
 レーザ照射手段から出射されるレーザ光を、そのスポットが角膜実質層内においてメモリに予め記憶させておいた第1切開創面の深度に達するように導光するとともに、該レーザ光のスポットを、
 a)メモリに予め記憶させておいた第1切開創面の幅で振幅走査させながら角膜輪部に沿って輪状又は円弧状に走査させるか、又は、
 b)メモリに予め記憶させておいた第1切開創面の幅の範囲内で、角膜輪部に沿って輪状又は円弧状に且つ複数回に亘り同心円状に走査させるか、又は、
 c)メモリに予め記憶させておいた第1切開創面の幅の範囲内で、角膜輪部に沿って輪状又は円弧状に且つ螺旋状に走査させる
 工程と、
 前記レーザ光のスポットを、前記第1切開創面に沿って、第1切開創面から角膜表面に向かう方向又は角膜表面から第1切開創面に向かう方向に走査させる工程と、
 前記各工程により形成される第1切開創面及び第1切開創面上の第2切開創面の下端部を包含するキャビティに関するメモリ上の設定情報に基づいて、前記レーザ光のスポットを、第1切開創面に沿って、前記第2切開創面の下端部領域において3次元的に走査させる工程、
 の各工程を行うフェムト秒レーザの制御方法。
 角膜周辺部から角膜輪部の間に柔軟性の高い部位を作成することにより外眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置する強膜の伸展性の低下を補完する方法に使用されるフェムト秒レーザの制御方法であって、
 レーザ照射手段から出射されるレーザ光を、そのスポットが角膜実質層内においてメモリに予め記憶させておいた第1切開創面の深度に達するように導光するとともに、該レーザ光のスポットを、
 a)メモリに予め記憶させておいた第1切開創面の幅で振幅走査させながら角膜輪部に沿って輪状又は円弧状に走査させるか、又は、
 b)メモリに予め記憶させておいた第1切開創面の幅の範囲内で、角膜輪部に沿って輪状又は円弧状に且つ複数回に亘り同心円状に走査させるか、又は、
 c)メモリに予め記憶させておいた第1切開創面の幅の範囲内で、角膜輪部に沿って輪状又は円弧状に且つ螺旋状に走査させる
 工程と、
 前記レーザ光のスポットを、前記第1切開創面から角膜表面に向かって、メモリに予め記憶させておいた角膜実質層内の第2切開創面上端深度まで第1切開創面に沿って走査させる工程と、
 前記レーザ光のスポットを、前記第2切開創面上端深度において、第2切開創面の上端から角膜の中心方向に、
 i)メモリに予め記憶させておいた第3切開創面の幅で振幅走査させながら第2切開創面に沿って走査させるか、又は、
 ii)メモリに予め記憶させておいた第3切開創面の幅の範囲内で、第2切開創面に沿って複数回に亘り同心円状に走査させるか、又は、
 iii)メモリに予め記憶させておいた第3切開創面の幅の範囲内で、第2切開創面に沿って螺旋状に走査させる
工程と、
 前記レーザ光のスポットを、第3切開創面に沿って、第3切開創面の終端から角膜表面に向かう方向又は角膜表面から第3切開創面の終端に向かう方向に走査させる工程、
 の各工程を行うフェムト秒レーザの制御方法。
 請求項16から18のいずれか一つに記載のフェムト秒レーザの制御方法において、
 さらに、角膜フラップに関するメモリ上の設定情報に基づいて、前記レーザのスポットを走査させる工程を含むフェムト秒レーザの制御方法。
 請求項16から19のいずれか一つに記載のフェムト秒レーザの制御方法により形成される角膜実質層内の切開創面、切除層、又はキャビティ内に挿入される輪状又は弧状のスペーサであって、
 そのスペーサは合成樹脂を材料とするスペーサ。
 請求項16から19のいずれか一つに記載のフェムト秒レーザの制御方法により形成される角膜実質層内の切開創面、切除層、又はキャビティ内に挿入される輪状又は弧状のスペーサであって、
 そのスペーサは金又は白金を材料とするスペーサ。
 請求項20又は21に記載のスペーサにおいて、
 前記スペーサは偏平に形成されてなるスペーサ。
Description:
眼球の強膜伸展性低下補完方法 及びその方法に使用されるフェムト秒レー の制御方法、並びにその方法で使用される ペーサ

 本発明は、外眼筋の眼球付着部と角膜輪 との間に位置する強膜の伸展性の低下を補 する方法、及びその方法に使用されるフェ ト秒レーザの制御方法、並びにその方法で 用されるスペーサに関する。

 眼球の調節運動については、19世紀に生 学者であり物理学者でもあるドイツ人ヘル ホルツが提唱した内眼筋調節説、いわゆる ルムホルツ理論により説明がされている。 の理論を簡潔に説明すると、「眼球の調節 動は眼球内に存在する毛様体筋の伸縮運動 その唯一の原動力にしており、その効果器 唯一水晶体のみである。そして効果器であ 水晶体は、その厚みや位置を変化させるこ により焦点の調整を行っている。」という とである。ところが、ヘルムホルツ理論は これだけでは眼球の調節運動について説明 きないことも多いことから、完全な理論で ない。このことはすでに周知の事実となっ いるが、いまだにこの理論を覆し得る新し 理論が登場していないこともあり、ヘルム ルツ理論は現在に至るまで支持されている

 ところで、一般的には老眼、専門的には 齢性調節衰弱と呼ばれる現象を、ヘルムホ ツ理論に従ってみてみると、加齢により毛 体筋(内眼筋)の伸縮運動能力が衰えた結果 効果器である水晶体に対して十分な影響力 与えることができなくなり、このため、眼 調節機能の低下が起こり、遠方に焦点位置( 点)を調整した場合、近方を見ることが困難 になる、ということになる。

 このような加齢性調節衰弱(以下、老眼と いう。)が生じた場合、これまでは凸レンズ 用いた眼鏡やコンタクトレンズを装着する とで、焦点位置(遠点)を調整して近方視力を 改善することが一般的に行なわれてきた。し かし、これらの方法により近方視力を改善す ると、今度は遠方視力に支障が出てくること になる。そこで現在では多重焦点レンズや累 進焦点レンズを眼内に移植して、便宜上の老 眼回復治療と称している。

 しかし、本質的な意味での老眼の回復と 、眼の調節能力を回復することである。そ ための根本的な解決法としては、ヘルムホ ツ理論に従うと、衰えた毛様体筋(内眼筋) 機能を回復させる方法が求められる。とこ が、加齢現象の一環として現れてくる毛様 筋の機能回復や眼の調節能力の回復はこれ で不可能と考えられてきた。

 そのような状況下で、本発明者は、眼科 として長年にわたり患者を診察、治療して た過程において、「眼球の調節運動は、ヘ ムホルツ理論が提唱する毛様体筋だけが能 的に動作すること、で行われるのではなく 眼球全体がしなやかにその形状を変化させ ことにより行なわれる」と推論した。そし 、眼球に直接付着する外眼筋をはじめとし 、眼瞼、眼瞼拳筋、表情筋である眼輪筋や 頭筋等の協調運動によって眼球全体の形状 化が起き、さらに、眼球を収めている眼窩 眼窩内で眼球後方にある軟部組織も眼球の 節運動になくてはならない存在である、と った知見を得た。

 これを図面を参照してより詳細に説明す と次のようになる。

 図11は、外眼筋が弛緩状態にあるときの 球及びその周辺部を示す模式図、図12は、外 眼筋が収縮したときの眼球及びその周辺部を 示す模式図である。

 近方を見るとき(近方調節時)には、毛様 筋(内眼筋)が収縮し調節運動をするだけでな く、眼球1に付着した全ての外眼筋2(外眼筋2 もう一方の端は眼窩を形成する骨に腱を介 て付着している。)がバランスを保ちながら 縮する(図11に示す状態から図12に示す状態 なる。図12において矢符Cで示す。)。このと 眼球1は外眼筋2の眼球付着部3を作用点とし 眼窩後方へ向け牽引される。これによって 眼球1と接触して眼窩後方に存在している視 神経や軟部組織8は、眼球底4から圧迫を受け 。圧迫を受けた軟部組織8はその内圧が高ま り、その内圧と同じ大きさの圧力P1で均等に 球底4を押し返す。それにより眼球1に生じ 抗力P2は眼球1の外眼筋付着部3より前方に位 する強膜5と角膜6を前方に向け伸展させる P3となる。その結果、眼球軸が伸びる。この とき外眼筋付着部3が作用点として働くため 外眼筋付着部3から角膜輪部7までの強膜5部 が最も強く伸展されることになる(図12にお て矢符Eで示す。)。ところで解剖学的に見る と、外眼筋2が付着している強膜5の部分は最 薄く構成されており、もともと伸展性が優 た部位である。本発明者は毛様体筋(内眼筋 )の伸縮運動だけではなく、この強膜5の伸展 よる眼球軸の伸びも、眼球の調節運動に大 な影響を与えることを見出した。そこで、 下、本明細書においては強膜を調節強膜と 称する。なお、図中の符号6は視神経を、9 角膜をそれぞれ示す。

 調節強膜5の伸展性は、その厚みと、それ を構成しているコラーゲン組織の含水率とに 左右される。このコラーゲン組織の含水率の 低下は、組織の硬化につながり、調節強膜5 伸展性の低下を招くことになる。調節強膜5 構成しているコラーゲンの含水率は、皮膚 それと同様に加齢とともに低下する傾向が る。そのため調節強膜5の伸展性は加齢とと もに低下し、結果的に眼球の調節能力の低下 を招くことになる。本発明者は、このような 一連のメカニズムによる眼球の調節能力の低 下が、老眼の発生につながっていることを発 見した。

 本発明者の上述の理論によれば、加齢に る調節強膜の伸展性の低下を補完するよう 処置を施せば、眼球の調節能力が回復し、 眼を治癒させることが可能になる。そこで 発明者は、上記理論を背景にして老眼治療 目的とした定深度角膜輪状切開器具を提案 た(特許文献1参照)。また、その切開器具に り角膜に形成される切開創が再接着や癒着 より修復されてしまうのを防ぎ、切開創を 持させるために、切開創に挿入する角膜内 置リングを提案した(特許文献2参照)。

 上記定深度角膜輪状切開器具を使用して、 膜輪部近傍の角膜部位に所望の定深度輪状 開創を形成すれば、この切開創が調節強膜5 に代わる新たな伸展部位となり、その結果、 加齢による調節強膜5の伸展性の低下が補完 れることになる。また、上記角膜内留置リ グを上記切開創内に挿入すれば、切開創の 着や癒着が防止されるので切開創の機能が 持されることになり、上記補完を継続させ ことができる。その結果、眼球の調節能力 回復し、老眼が治癒される。

特開2007-130334号公報

特開2007-151768号公報

 しかしながら、上記の切開器具にあって 、吸引手段を有するサクション・リングを 膜及び調節強膜に吸引圧で固定するため、 球への装着に際して患者に少なからず恐怖 を抱かせてしまったり、施術中患者に不快 を与えてしまっていた。

 また、ブレードが装着されたレボルバー 手で回転させ、これによってブレードで角 の所定箇所に切開創を形成するため、ブレ ドの位置及び姿勢の調整や、切開創の深度 決するブレードの突出量の調整が煩瑣であ た。

 さらに、角膜の直径は個人差が大きいた 、直径が異なる複数のサクション・リング 用意する必要があった。

 また、切開創の形成をブレードにより行 ため、切開創の断面形状が直線に限定され いた。このため、切開創を角膜のかなり深 ところまで形成しなければ、前述したよう 切開創の機能を十分に発揮させることがで なかった。

 そしてなによりも、切開創の形成が手動 よることになるため、高い切開精度を得る はそれ相応の熟練度が要求されるものであ た。特に、切開創が形成されていくのにし がって角膜輪部付近が動き易くなっていく め、ブレードが角膜内に所定の深さよりも く入り込んでしまいがちとなる。このため 定深度の切開創を形成するのはほぼ不可能 あった。

 また、上記角膜内留置リングを使用する 合は、上記切開器具で形成される切開創の 面形状が上述したように直線に限定されて ることから、かなり深いところまで切開創 形成しておかないと角膜内留置リングが切 創から角膜外へ押し出されてしまうことに る。ところが、角膜内の深いところまで切 創を形成することは、往々にして角膜自体 切除(切離)といった危険を伴うものであっ 。

 さらに、上記の切開器具、又は切開器具 角膜内留置リングの両方を使用して老眼の 療を行うと、角膜構成組織であるボーマン が切開されることにより、ボーマン膜が有 る機能、特に牽引力に対する抵抗力が損な れるため、可塑性の大きな部位が切開創に って角膜上に出現する。その結果、近方調 時に、切開創よりも角膜周辺部において角 の形状に強い急峻化が起こる一方、切開創 りも角膜中心部においては角膜の曲率に変 が起きないかむしろ平坦化して近方調節が 害されるといったことが起き、結果的に遠 化が起こる。したがって、上記治療により 視も矯正されることになるが、その矯正度 いは、元から強度の近視であった患者には 十分なこともある。そのため、さらなる近 の矯正手術を行ったりする場合がある。ま 、逆に元から遠視であった看者は、治療後 らに遠視が進むため、遠視の矯正手術を行 たりする必要がある。その場合、近年、近 や遠視の治療に広く行われるようになったL ASIK手術を採用することが考えられる。しか 、上記切開器具で形成した切開創と交錯し いように、LASIK手術でレーザにより角膜フラ ップを形成することは、上記切開器具による 切開創の中心(切開創が描く円の中心)と角膜 ラップの中心とを寸分違わず合致させるこ など極めて困難であることから、実際には 可能であった。

 そこで、上記課題を解決するために、本 明は、自動でしかも患者に負担をかけるこ なく安全に実施し得る、強膜の伸展性の低 を補完する方法、及びその方法に使用され フェムト秒レーザの制御方法、並びにその 法で使用されるスペーサを提供することを 的としている。

 上記の目的を達成するため、請求項1の発 明に係る眼球の強膜伸展性低下補完方法は、 角膜周辺部から角膜輪部の間に柔軟性の高い 部位を作成することにより外眼筋の眼球付着 部と角膜輪部との間に位置する強膜の伸展性 の低下を補完する方法であって、角膜輪部の 近傍における角膜実質層内に角膜表面と平行 な輪状又は円弧状の第1切開創面を形成する 程と、この第1切開創面から角膜表面にまで する第2切開創面を形成する工程と、を含み 、前記各工程をフェムト秒レーザにより行う ものである。

 請求項2の発明に係る眼球の強膜伸展性低 下補完方法は、角膜周辺部から角膜輪部の間 に柔軟性の高い部位を作成することにより外 眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置す る強膜の伸展性の低下を補完する方法であっ て、角膜輪部の近傍における角膜実質層内に 角膜表面と平行な輪状又は円弧状の第1切除 を形成する工程と、この第1切除層から角膜 面にまで達する第2切除層を形成する工程と 、を含み、前記各工程をフェムト秒レーザに より行うものである。

 請求項3の発明に係る眼球の強膜伸展性低 下補完方法は、角膜周辺部から角膜輪部の間 に柔軟性の高い部位を作成することにより外 眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置す る強膜の伸展性の低下を補完する方法であっ て、角膜輪部の近傍における角膜実質層内に 角膜表面と平行な輪状又は円弧状の第1切開 面を形成する工程と、この第1切開創面から 膜表面にまで達する第2切開創面を形成する 工程と、前記第1切開創面上に前記第2切開創 の下端部を包含するキャビティを形成する 程と、を含み、前記各工程をフェムト秒レ ザにより行うものである。

 請求項4の発明に係る眼球の強膜伸展性低 下補完方法は、角膜周辺部から角膜輪部の間 に柔軟性の高い部位を作成することにより外 眼筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置す る強膜の伸展性の低下を補完する方法であっ て、角膜輪部の近傍における角膜実質層内に 角膜表面と平行な輪状又は円弧状の第1切開 面を形成する工程と、この第1切開創面から 膜表面に向かって上昇し上端が角膜実質層 に存する第2切開創面を形成する工程と、こ の第2切開創面の上端から前記第1切開創面と 行に角膜の中心部に向かう第3切開創面を形 成する工程と、この第3切開創面の終端から 膜表面にまで達する第4切開創面を形成する 程と、を含み、前記各工程をフェムト秒レ ザにより行うものである。

 上記の各発明に係る強膜伸展性低下補完 法にあっては、それぞれ切開創面等にスペ サを挿入する工程をさらに含んでもよい。

 すなわち、上記請求項1の発明に係る強膜 伸展性低下補完方法においては、さらに、前 記第1切開創面内にスペーサを挿入する工程 含んでもよい。

 上記請求項2の発明に係る強膜伸展性低下 補完方法においては、さらに、前記第1切除 内にスペーサを挿入する工程を含んでもよ 。

 上記請求項3の発明に係る強膜伸展性低下 補完方法においては、さらに、前記キャビテ ィ内にスペーサを挿入する工程を含んでもよ い。

 上記請求項4の発明に係る強膜伸展性低下 補完方法においては、さらに、前記第2切開 面内にスペーサを挿入する工程を含んでも い。

 上記の各スペーサとしては、輪状又は弧 のものが好ましい。その場合、材質は生体 無害なものが選択される。例えば、コンタ トレンズの材料として用いられているポリ チルメタアクリレート(PMMA)をはじめとする 体に無害な合成樹脂、あるいは、金(Au)又は 白金(Pt)が選択される。スペーサの形態とし は偏平であることが好適である。また、ス ーサとしては、金(Au)又は白金(Pt)の粒状物又 は粉末も適している。

 請求項16の発明に係るフェムト秒レーザ 制御方法は、角膜周辺部から角膜輪部の間 柔軟性の高い部位を作成することにより外 筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置す 強膜の伸展性の低下を補完する方法に使用 れるフェムト秒レーザの制御方法であって レーザ照射手段から出射されるレーザ光を そのスポットが角膜実質層内においてメモ に予め記憶させておいた第1切開創面又は第1 切除層の深度に達するように導光するととも に、該レーザ光のスポットを、a)メモリに予 記憶させておいた第1切開創面の幅又は第1 除層の幅で振幅走査させながら角膜輪部に って輪状又は円弧状に走査させるか、又は b)メモリに予め記憶させておいた第1切開創 の幅又は第1切除層の幅の範囲内で、角膜輪 に沿って輪状又は円弧状に且つ複数回に亘 同心円状に走査させるか、又は、c)メモリ 予め記憶させておいた第1切開創面の幅又は 1切除層の幅の範囲内で、角膜輪部に沿って 輪状又は円弧状に且つ螺旋状に走査させる工 程と、前記レーザ光のスポットを、第1切開 面又は第1切除層から角膜表面に向かう方向 或いは角膜表面から第1切開創面又は第1切 層に向かう方向に、前記第1切開創面又は第1 切除層に沿って走査させる工程、の各工程を 行うものである。

 請求項17の発明に係るフェムト秒レーザ 制御方法は、角膜周辺部から角膜輪部の間 柔軟性の高い部位を作成することにより外 筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置す 強膜の伸展性の低下を補完する方法に使用 れるフェムト秒レーザの制御方法であって レーザ照射手段から出射されるレーザ光を そのスポットが角膜実質層内においてメモ に予め記憶させておいた第1切開創面の深度 達するように導光するとともに、該レーザ のスポットを、a)メモリに予め記憶させて いた第1切開創面の幅で振幅走査させながら 膜輪部に沿って輪状又は円弧状に走査させ か、又は、b)メモリに予め記憶させておい 第1切開創面の幅の範囲内で、角膜輪部に沿 て輪状又は円弧状に且つ複数回に亘り同心 状に走査させるか、又は、c)メモリに予め 憶させておいた第1切開創面の幅の範囲内で 角膜輪部に沿って輪状又は円弧状に且つ螺 状に走査させる工程と、前記レーザ光のス ットを、前記第1切開創面に沿って、第1切 創面から角膜表面に向かう方向又は角膜表 から第1切開創面に向かう方向に走査させる 程と、前記各工程により形成される第1切開 創面及び第1切開創面上の第2切開創面の下端 を包含するキャビティに関するメモリ上の 定情報に基づいて、前記レーザ光のスポッ を、第1切開創面に沿って、前記第2切開創 の下端部領域において3次元的に走査させる 程、の各工程を行うものである。

 請求項18の発明に係るフェムト秒レーザ 制御方法は、角膜周辺部から角膜輪部の間 柔軟性の高い部位を作成することにより外 筋の眼球付着部と角膜輪部との間に位置す 強膜の伸展性の低下を補完する方法に使用 れるフェムト秒レーザの制御方法であって レーザ照射手段から出射されるレーザ光を そのスポットが角膜実質層内においてメモ に予め記憶させておいた第1切開創面の深度 達するように導光するとともに、該レーザ のスポットを、a)メモリに予め記憶させて いた第1切開創面の幅で振幅走査させながら 膜輪部に沿って輪状又は円弧状に走査させ か、又は、b)メモリに予め記憶させておい 第1切開創面の幅の範囲内で、角膜輪部に沿 て輪状又は円弧状に且つ複数回に亘り同心 状に走査させるか、又は、c)メモリに予め 憶させておいた第1切開創面の幅の範囲内で 角膜輪部に沿って輪状又は円弧状に且つ螺 状に走査させる工程と、前記レーザ光のス ットを、前記第1切開創面から角膜表面に向 かって、メモリに予め記憶させておいた角膜 実質層内の第2切開創面上端深度まで第1切開 面に沿って走査させる工程と、前記レーザ のスポットを、前記第2切開創面上端深度に おいて、第2切開創面の上端から角膜の中心 向に、i)メモリに予め記憶させておいた第3 開創面の幅で振幅走査させながら第2切開創 に沿って走査させるか、又は、ii)メモリに め記憶させておいた第3切開創面の幅の範囲 内で、第2切開創面に沿って複数回に亘り同 円状に走査させるか、又は、iii)メモリに予 記憶させておいた第3切開創面の幅の範囲内 で、第2切開創面に沿って螺旋状に走査させ 工程と、前記レーザ光のスポットを、第3切 創面に沿って、第3切開創面の終端から角膜 表面に向かう方向又は角膜表面から第3切開 面の終端に向かう方向に走査させる工程、 各工程を行うものである。

 上記のフェムト秒レーザの制御方法にお て、さらに、角膜フラップに関するメモリ の設定情報に基づいて、前記レーザのスポ トを走査させる工程を含んでもよい。

 本発明にあっては、角膜輪部の近傍に角 の半径方向に沿う切開創面(又は切除層)と 角膜の厚み方向に沿う切開創面(又は切除層) の2つが相互に連続した状態で形成されるこ になるから、この形成部位において、前記 来の切開創を形成する場合よりも大きな伸 性を得ることができる。つまり、角膜周辺 から角膜輪部の間に柔軟性が従来よりも高 部位を作成することができる。

 また、スペーサは、従来のような角膜の み方向に沿う切開創面ではなく、角膜の半 方向に沿う切開創面又はキャビティに挿入 れるため、スペーサはその位置から角膜の み方向に沿う切開創面内に移動しようとし も、その切開創面の下端で引っ掛かってし う。したがって、スペーサは、角膜の半径 向に沿う切開創面又はキャビティスペーサ 中に常時留まるので、角膜から抜け出てし う虞がない。

 また、角膜フラップを形成する場合は、 記切開創面を形成するのと同じフェムト秒 ーザを使用し一連の施術で行うことになる で、両者が交錯してしまう虞がないととも 、短時間に近視や遠視の矯正も行うことが きる。

 本発明によれば、自動でしかも安全に患 に負担をかけずに所望の断面形状を有する 開創面を形成することができ、角膜周辺部 ら角膜輪部の間に柔軟性が従来よりも高い 位を作成することができる。これにより、 膜の伸展性を補完することができるので、 り効果的に眼球の調節能力を回復させるこ ができる。また近視や乱視の矯正を行うこ もできる。

角膜を正面からみた模式図である。 図1におけるII-II線に沿う端面を示す模 図である。 第1切開創面と第2切開創面との位置関 の他の例を示す、図2に対応する図である。 第2切開創面と角膜フラップとの位置関 係を示す、図2に対応する図である。 第1切開創面内にスペーサを挿入した状 態を示す、図2に対応する図である。 スペーサの一実施形態を示す斜視図で る。 キャビティの形成例を示す、図2に対応 する図である。 キャビティ内にスペーサを挿入した状 を示す、図2に対応する図である。 第1~第4切開創面を形成した場合の一例 示す、図2に対応する図である。 図9の例において、第2切開創面内にス ーサを挿入した状態を示す、図2に対応する 図である。 外眼筋が弛緩状態にあるときの眼球及 びその周辺部を示す模式図である。 外眼筋が収縮したときの眼球及びその 周辺部を示す模式図である。

符号の説明

1   眼球
2   外眼筋
3   外眼筋の眼球付着部
4   眼球底
5   強膜(調節強膜)
6   視神経
7   角膜輪部
8   軟部組織
9   角膜
10  第1切開創面
20  第2切開創面
21  キャビティ
30  第3切開創面
40  第4切開創面
50  スペーサ
51  スペーサ
60  角膜フラップ

 以下、本発明を実施するための最良の形 について、図面を参照しながら説明する。

 図1は、角膜を正面からみた模式図、図2 、図1におけるII-II線に沿う端面を示す模式 である。

 本発明に係る眼球の強膜伸展性低下補完 法は、角膜周辺部から角膜輪部7の間に柔軟 性の高い部位を作成することにより外眼筋2 眼球付着部3と角膜輪部7との間に位置する調 節強膜5の伸展性の低下を補完する方法であ 。すなわち、本発明による方法は、角膜輪 7の近傍における角膜実質層91内に角膜表面92 と平行な輪状の第1切開創面10を形成する工程 と、この第1切開創面10から角膜表面92にまで する第2切開創面20を形成する工程と、を含 、これら各工程をフェムト秒レーザにより うものである。

 フェムト秒レーザにより第1切開創面10を 成するには、レーザ照射手段から出射され レーザ光を、そのスポットが角膜実質層91 において、フェムト秒レーザ装置のメモリ 予め記憶させておいた第1切開創面10の深度 達するように導光するとともに、レーザ光 スポットを次のいずれかの方法で走査させ 。すなわち、フェムト秒レーザ装置のメモ に予め記憶させておいた第1切開創面10の幅 振幅走査させながら角膜輪部7に沿って輪状 走査させる。又は、メモリに予め記憶させ おいた第1切開創面10の幅の範囲内で、角膜 部7に沿って輪状に且つ複数回に亘り同心円 状に走査させる。この場合、角膜9の内周側 ら走査を開始しても外周側(角膜輪部7側)か 走査を開始してもよい。或いは、メモリに め記憶させておいた第1切開創面の幅の範囲 で、角膜輪部7に沿って輪状に且つ螺旋状に 走査させる。この場合も、角膜9の内周側か 走査を開始しても外周側(角膜輪部7側)から 査を開始してもよい。

 第1切開創面10の深さは、角膜表面92から10 0~900μmの範囲から選択され、好ましくは400~600 μmである。また第1切開創面10の幅Wは、近視 乱視矯正を目的とする場合は500μm以上、老 矯正や緑内障、黄斑変性症、円錐角膜等の 療を目的とする場合は1000μm以上が好ましい

 なお、第1切開創面10は、上記したような 状に限らず、円弧状であってもよく、その ずれの形態を選択するか、また円弧状とす 場合はその長さをどの程度とするかについ は、眼球全体及び角膜の状態などを勘案し 適宜決定すればよい。

 次に、フェムト秒レーザにより第2切開創 面20を形成するには、レーザ照射手段から出 されるレーザ光のスポットを、第1切開創面 10から角膜表面92に向かう方向に、或いは角 表面から第1切開創面に向かう方向に、第1切 開創面10に沿って走査させる。これによって 第2切開創面20はその下端において第1切開創 面10と接続することとなる。ここで、図1では 、第2切開創面20は第1切開創面10とその幅方向 の略中央部において接続され、これら2つの 開創面10,20で「逆T字状」を構成しているが 施術対象者が老人の場合は、角膜周辺部に く混濁した部位(専門的にこれを老人環と呼 。)が存在することがあり、その場合、レー ザ光が透過しにくいため、第2切開創面20は角 膜輪部7から離れている方がよい。したがっ 、図3に示すように、第2切開創面20は第1切開 創面10とその内周端(角膜9の中心側の内周縁) 接続、又は内周端寄りの位置で接続される がよい。また、第2切開創面20の角膜輪部7か らの距離は、0.1~2.0mmがよく、より好ましくは 0.5~1.0mmである。

 なお、第1切開創面10及び第2切開創面20は それぞれこれらに代えて切除層としてもよ 。つまり、第1切開創面10及び第2切開創面20 沿って一定領域の組織を切除してもよい。

 また、LASIK手術により近視矯正や遠視矯 も併せて行う場合は、図1に示すように、上 第1切開創面10及び第2切開創面20を形成する に使用するフェムト秒レーザ装置を使用し 、第2切開創面20の内側領域に、角膜フラッ 60を形成する。なお、この角膜フラップ60は 、第1切開創面10及び第2切開創面20を形成する 前でも後でもよい。また、角膜フラップ60の 周状の外縁と第2切開創面20とは、図4に示す ように、一致させてもよい。

 図1に示す例において、第1切開創面10内に 、図5に示すように、偏平なリング状のスペ サ50(図6参照)を挿入してもよい。このスペー サ50の材質としては、金又は白金が好ましい また、厚みは、厚さが増すにしたがって、 節強膜5の伸展性の低下をよりよく補完する ことができるが、50μm程度の厚みが好ましい また、スペーサはこのような偏平なリング のもの以外に、金又は白金の粒状物又は粉 であってもよい。なお、イオン化傾向が小 く毒性が低い金属もスペーサの材料として 用し得る。

 図7は、上記の第1切開創面10上に、さらに 第2切開創面20の下端部を包含するキャビティ 21を形成した例を示す。このキャビティ21は 第2切開創面20の内周側と外周側の両方に形 しても、またそのうちの一方にのみ形成し もよい。そして、そのキャビティ21内には、 図8に示すようなスペーサ51を挿入してもよい 。この場合のスペーサ51としては、上記した や白金以外に、例えば、コンタクトレンズ 材料として用いられているポリメチルメタ クリレート(PMMA)をはじめとする生体に無害 合成樹脂でもよい。このようにキャビティ2 1内にスペーサ51を挿入することにより、スペ ーサ51が角膜実質層91を押し広げて第2切開創 20を解離させる。これによって調節強膜5の 展性の低下がよりよく補完される。

 図9は、角膜輪部7の近傍における角膜実 層91内に角膜表面92と平行な輪状の第1切開創 面10を形成し、次に、この第1切開創面10から 膜表面92に向かって上昇し上端が角膜実質 91内に存する第2切開創面20を形成し、続いて この第2切開創面20の上端から第1切開創面10と 平行に角膜9の中心部に向かう第3切開創面30 形成し、最後にこの第3切開創面30の終端か 角膜表面92にまで達する第4切開創面40を形成 した例を示す。この例の場合は、図2に示し 例よりも、調節強膜5の伸展性の低下をより く補完することができる。さらに、図10に すように、第2切開創面20内に、図8で示した のと同様のスペーサ51を挿入してもよい。 のように第2切開創面20内にスペーサ51を挿入 することにより、スペーサ51が角膜実質層91 押し広げて第2~第4までの切開創面20,30,40を解 離させる。これによって調節強膜5の伸展性 低下がより一層補完されることになる。

 本発明は、老眼の治療に適用できるのは 論のこと、近視や乱視、とくにこれまで治 法のなかった強度の不整乱視にも応用でき 。本発明は既存のLASIK手術とは異なり、角 の厚みを損なうことなく近視、乱視矯正手 を可能にするため、角膜厚の薄い眼球に於 ても近視や乱視治療を可能とすることがで る。また、眼圧を低下させる効果も得られ ことから、緑内障の治療にも有効である。 た、外眼筋の緊張を解くことができるため 老人性黄斑変性症の治療や、網膜色素変性 、円錐角膜の治療、白内障の予防にも有効 ある。




 
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