KIHARA HITOSHI (JP)
WO2007122893A1 | 2007-11-01 |
JP2003221210A | 2003-08-05 |
原料である、酸素およびアルゴンが微量含まれた窒素を、カスケードに構成された複数の充填塔で低温蒸留することにより、窒素の安定同位体 15
Nが濃縮された製品窒素を得る工程を有する窒素同位体濃縮方法において、 最終塔の塔底からアルゴン・酸素混合物を排出し、最終塔の下方中間部から 15 N濃縮窒素流体を採取するとともに、製品 15 N濃縮窒素採取位置から下方に設置された温度計の指示値に基づいて、最終塔の塔底部から排出するアルゴン・酸素混合物の流量を制御することで、前記製品窒素を安定的に得る窒素同位体濃縮方法。 |
前記温度計の指示値が、運転圧力における窒素の飽和温度の+0.5~+8Kの範囲である請求項1記載の窒素同位体濃縮方法。 |
前記最終塔の塔底部のアルゴン・酸素混合物に含まれる窒素が1mol%以下である請求項1記載の窒素同位体濃縮方法。 |
前記製品 15 N濃縮窒素に含まれるアルゴンおよび/または酸素が、合計100ppm以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の窒素同位体濃縮方法。 |
本発明は、窒素の安定同位体 15
Nの濃縮方法に関し、詳しくは、窒素(N 2
)の低温蒸留と同位体スクランブリングを組
合わせることによって窒素の安定同位体 15
Nを高濃度に濃縮方法に関する。
本願は、2007年9月19日に、日本に出願された
特願2007-242987号に基づき優先権を主張し、そ
内容をここに援用する。
窒素の安定同位体には 14
Nと 15
Nとの二種類があり、自然界では前者が99.635at
om%、後者が0.365atom%を占める。本発明におけ
窒素同位体重成分とは 15
Nを指す。
大気中の窒素(窒素分子N 2
)には 14
N 2
、 14
N 15
Nおよび 15
N 2
の3種類の同位体分子が存在し、その存在率
以下の通りである。
14
N 2
:99.635atom%×99.635atom%=99.271mol%
14
N 15
N:99.635atom%×0.365atom%×2=0.727mol%
15
N 2
:0.365atom%×0.365atom%=0.001mol%
現在、窒素の安定同位体 15
Nは、主に自然科学や医療の分野でトレーサ
して利用されている。また、近年ではエネ
ギー分野においても 15
Nの利用が検討されている。
15
Nは、天然存在比が極めて小さいため、効率
に高濃度まで濃縮する方法が求められてい
。
15
Nの濃縮方法には、化合物によって同位体の
衡分配濃度が異なる現象を利用する化学交
法、アンモニアのゼオライトへの吸着挙動
同位体効果による違いを利用する気相吸着
、および一酸化窒素(NO)を低温蒸留すること
より、 15
N 18
Oを濃縮して 15
Nと 18
Oを得る方法などがある。
低温蒸留による同位体濃縮の方法には、前 の一酸化窒素蒸留や、 13 Cの濃縮を目的とした一酸化炭素蒸留やメタ 蒸留がある(特許文献1、特許文献2)。また、 素蒸留と同位体スクランブリングを組み合 せることによって、 18 Oを高濃度に濃縮する方法がある(特許文献3)
一方、 15
Nを高濃度に濃縮する方法には化学交換法、
相吸着法、一酸化窒素(NO)蒸留法などがある
、高純度で大量生産するには窒素(N 2
)の低温蒸留と同位体スクランブリングを組
合わせた方法が最も有望である。
化学交換法や気相吸着法は、工業規模の大
生産には向いていない。また、窒素化合物
介して同位体分離を行うため、最終的に、N
2
以外の不純物を含まない高純度のN 2
を得ることは容易ではない。
一酸化窒素蒸留も、後工程で酸素原子を分
しなければならないので同様の問題がある
一酸化窒素は毒性・腐食性があるため、取
扱いが難しいという問題もある。
大量生産には、低温蒸留法による濃縮が有
だが、 15
Nを製品同位体濃縮度50atom%以上に濃縮する場
、以下に示すような問題がある。
窒素の同位体分子組成は、 14 N 2 :99.272mol%、 14 N 15 N:0.727mol%、 15 N 2 :13.3mol-ppmである。50atom%程度までの濃縮なら 、 15 Nを50%含む窒素分子 14 N 15 Nを濃縮することにより可能であるが、 15 Nを80atom%まで濃縮することは容易ではない。 ぜなら、この場合、 15 N 2 を少なくとも60mol%(残りの40mol%は 14 N 15 Nと仮定)に濃縮しなければならず、たとえ収 100%で窒素分子 15 N 2 を濃縮したとしても、計算上、製品量の45000 以上の原料が必要となるからである。
15
Nを99atom%に濃縮するためには、 15
N 2
を少なくとも98mol%(残りの2mol%は 14
N 15
Nと仮定)に濃縮しなければならず、 15
N 2
収率を100%としても製品量の74000倍近い原料が
必要となる。
この場合、多くの 14
N 15
Nを廃棄するので、 15
Nの収率は0.368%となるから、同位体分離プロ
スとしても非効率である。
15
N 2
の収率を100%とする仮定は非現実的であり、
際には、その10倍以上の原料が必要となると
考えられる。したがって、 15
Nの収率は、さらに十分の一以下になる。
このように、窒素の2原子分子であるN 2 の低温蒸留で 15 Nを濃縮する場合、製品同位体濃縮度が50atom% 上か、50atom%以下かによって困難さが全く異 なる。 製品同位体濃縮度が50atom%以下でよけ れば比較的豊富に存在する 14 N 15 Nを濃縮するだけで対応できるが、同位体濃 度が50atom%以上となると、極わずかしか存在 ない 15 N 2 を濃縮しなければならず、大量の原料が必要 となる。
さらに、同位体濃縮度が99atom%となると大量
の原料が必要となるばかりか、比較的豊富に
存在する 14
N 15
Nのほとんど全てを廃棄することになり、プ
セスとして非常に効率が悪い。窒素の低温
留のみでは、例えば80atom%以上の 15
Nを得るのは現実的には不可能である。
このような問題を解決する手段として、本
願人は、先に窒素蒸留と同位体スクランブ
ングとを組み合わせた方法を出願している(
特許文献4)。
前記特許文献4は、コンデンサおよびリボイ
ラを備えた蒸留塔を複数基直列にカスケード
に接続して、窒素(N 2
)を連続的に低温蒸留し、 15
Nを含む成分を濃縮する蒸留工程を行い、蒸
中の窒素の一部を同位体スクランブリング
行い、同位体スクランブリングの後の窒素
前記蒸留工程に戻すものである。
この発明によれば、最終蒸留塔の下方付近
ら、 15
N濃縮度50atom%以上の窒素(N 2
)を得ることができる効果が得られるもので
る。
しかしながら、原料窒素(N 2
)中のアルゴンおよび酸素が微量含まれる場
、このアルゴンおよび酸素は、蒸留装置の
終塔の塔底で高濃度に濃縮され、製品とな
15
N濃縮窒素(N 2
)に混入するおそれがある。
このような不都合を回避するため、窒素の
定同位体( 15
N)が高濃度に濃縮した窒素(N 2
)を、最終塔の中間部から抜き出すとともに
アルゴンおよび酸素の混合物を最終塔の塔
から排出する必要がある。
このとき、 15 Nが高濃度に濃縮した窒素を得るためには、 ルゴンや酸素が製品中に混入しないように る必要がある。また収率を上げるためには 15 Nを含むN 2 がアルゴンおよび酸素の混合物とともに塔底 から排出されないようにする必要がある。
よって、本発明における課題は、複数の蒸 塔を直列にカスケード様式で接続して窒素 低温蒸留を行うとともに、蒸留過程の一部 窒素を抜き出して同位体スクランブリング たのち、蒸留過程に戻すようにする窒素同 体の濃縮方法において、原料窒素中に微量 まれるアルゴンおよび酸素が製品の 15 N濃縮窒素(N 2 )にとともに最終蒸留塔の塔底付近に濃縮さ ることに起因して、アルゴンおよび酸素が 品窒素中の混入することがなく、また 15 N濃縮窒素の収率が低下しないようすること ある。
上記の課題を解決するために、本発明は以
の構成を採用した。
[1]原料である、酸素およびアルゴンが微量含
まれた窒素を、カスケードに構成された複数
の充填塔で低温蒸留することにより、窒素の
安定同位体 15
Nが濃縮された製品窒素を得る工程を有する
素同位体濃縮方法において、最終塔の塔底
らアルゴン・酸素混合物を排出し、最終塔
下方中間部から 15
N濃縮窒素流体を採取するとともに、製品 15
N濃縮窒素採取位置から下方に設置された温
計の指示値に基づいて、最終塔の塔底部か
排出するアルゴン・酸素混合物の流量を制
することで、前記製品窒素を安定的に得る
素同位体濃縮方法。
[2]前記温度計の指示値が、運転圧力における
窒素の飽和温度の+0.5~+8Kの範囲である前項[1]
載の窒素同位体濃縮方法。
[3]前記最終塔の塔底部のアルゴン・酸素混合
物に含まれる窒素が1mol%以下である前項[1]ま
は[2]記載の窒素同位体濃縮方法。
[4]前記製品 15
N濃縮窒素に含まれるアルゴンおよび/または
素が、合計100ppm以下である前項[1]ないし[3]
いずれかに記載の窒素同位体濃縮方法。
窒素の安定同位体 15 Nが90atom%以上に濃縮された製品窒素(N 2 )を、不規則充填材もしくは規則充填物を用 た蒸留塔(以下、「充填塔」という。)を用い 、低温蒸留によって得る窒素同位体濃縮にお いては、直列にカスケード接続した充填塔の 最終塔の中間部(塔底から数m上の位置)から、 窒素の安定同位体( 15 N)が高濃度に濃縮した窒素(N 2 )を得ることができる。
図1に、窒素蒸留と同位体スクランブリング
を組み合わせた装置を模式的に示す。
前述のように、原料窒素中(feed)に僅かに含
れるアルゴンおよび酸素は、蒸留装置の最
塔塔底に高濃度で濃縮される。
この方法においては、最終塔塔底から抜き
すアルゴンおよび酸素の混合物(waste2)の流
(以下、最終塔塔底パージ流量またはパージ
量と言うことがある)は適切な量でなければ
ならない。
なぜならば、最終塔塔底パージ流量が大き
ぎると窒素が同伴されて目的成分である 15
N 2
も一緒に排出されてしまい、逆に最終塔塔底
パージ流量が小さすぎると最終塔下方中間部
から抜き出す製品窒素中(product( 15
N 2
))にアルゴンおよび/または酸素が混入してし
まうからである。
安定同位体の蒸留では、原料中の目的成分
微量であるため、製品量は極端に少なくな
。例えば、製品量が原料流量の1/10000である
装置の場合、原料中に含まれるアルゴンおよ
び酸素は10000倍に濃縮される。具体的には、
料中酸素が0.1ppmの場合、製品では0.1%に濃縮
される。原料中にアルゴンが10ppm含まれると
品では10%になる。
このため、高濃度の 15
N 2
を得るためには、窒素をほとんど含まないア
ルゴンおよび酸素の混合物(waste2)を最終塔塔
からガスまたは液の状態で排出しながら、
素(product)を最終塔下方中間部から得る必要
ある。
前記最終塔塔底パージ流量(waste2)は、原料
素(feed)に同伴されるアルゴンおよび酸素の
計量に等しくすれば、理論上、product( 15
N 2
)へのアルゴン・酸素の同伴、およびwaste2へ
15
N 2
の同伴を防ぐことができる。
例えば、図2に示すように、product中のアル
ンおよび酸素濃度を検出する濃度計1およびw
aste2中の窒素濃度を計測する濃度計2を設け、
これらが検出されないように制御装置3によ
て、最終塔塔底パージ流量制御弁4を調節す
方法が考えられる。
しかし、実際に原料窒素中の微量のアルゴ
および酸素の含有量を正確に測定し、それ
最終塔塔底パージ流量とする運転方法は難
い。また、このような制御ができたとして
システムが複雑になることが懸念される。
そこで、本発明では、以下のような方法で 製品窒素( 15 N 2 )中へのアルゴンおよび酸素の混入を防ぐ。
最終塔の塔底からアルゴン・酸素混合物を
出し、最終塔の下方中間部から 15
N濃縮窒素流体を採取するとともに、製品 15
N濃縮窒素採取位置から下方に設置された温
計の指示値に基づいて、最終塔の塔底部か
排出するアルゴン・酸素混合物の流量を制
する。
前記温度計の指示値を運転圧力における窒
の飽和温度の+0.5~+8Kの範囲とする。
本発明では、装置内の主流体である窒素と
不純物であるアルゴンおよび酸素は沸点が
きく異なり、また、蒸留塔高さ方向に対し
組成が急激に変化するため、温度測定によ
アルゴンおよび/または酸素の濃縮を検知す
ることは容易である。
最終塔の塔底部のアルゴン・酸素混合物に
まれる窒素が1mol%以下にすることができ、
記製品 15
N濃縮窒素に含まれるアルゴンおよび/または
素を合計100ppm以下にできる。
本発明によれば、容易な制御方法で、最終
の塔底に濃縮されるアルゴンと酸素を適正
パージできる。これにより 15
N製品にアルゴンおよび酸素が入るのを防ぎ
つ、アルゴンおよび酸素と一緒に 15
N 2
が廃棄されることを防ぐことができる。
よって、従来よりも効率的に 15
N濃縮窒素を生産することができる。
5・・温度計、6・・制御装置、7・・流量 整弁
以下に、本発明の実施形態である窒素同位
濃縮方法について、図面を適宜参照しなが
説明する。
図3~図5は、総充填高さ400mの 15
N同位体蒸留分離装置の最終塔塔底付近にお
る温度と、窒素、アルゴン、酸素の組成の
を示したものである。図5は縦軸が対数目盛
になっていること以外は図4と同一である。
図4および図5では窒素同位体組成については
慮していない。
図4および図5から分かるように、最終塔塔
からパージするアルゴン・酸素混合物には
素はほとんど含まれていない。塔底から塔
に向かって、窒素の組成は急激に増加し、
れとともに(沸点の違いにより)蒸留塔の温度
は急激に低下する。
また、図3および図4から分かるように、窒
の組成が概ね10~70%の範囲では蒸留塔内の温
変化が比較的大きい。
さらに、窒素の組成が概ね70%以上の範囲で
温度変化が少なく、窒素が90%以上になると
度はその圧力における窒素の沸点に近い値
なる。図3および図4の例では、運転圧力が17
0kPa(abs)であるため、塔の温度はその圧力にお
ける窒素の沸点である約82Kとなっている。図
6は窒素の蒸気圧を温度に対して示したもの
ある。
本発明は、最終塔塔底部における前記温度
布の急激な変化を利用するものである。
最終塔塔底部と製品 15
N濃縮窒素採取部との中間部、図3~5の例でた
えば398.6m(最終塔塔底から1.4m上部)における
留塔の温度を連続的に測定する。装置起動
は最終塔塔底にアルゴン・酸素混合物は濃
していないため、温度測定値は運転圧力に
ける飽和温度Ts=約82Kとなる。この間、最終
塔底パージは、停止する。
装置の運転を継続すると、原料窒素中にわ
かに含まれていた高沸点成分であるアルゴ
・酸素がいずれ濃縮しはじめ、これにつれ
温度測定値が上昇する(図3中の細線で示す)
この温度が設定温度T1=例えば84Kに達したら
終塔塔底パージを開始し、設定温度T2=例え
83K以下になったら再び停止する。アルゴン
酸素のパージを停止するためには、T2をTsよ
りも大きく設定しなければならない。
装置の運転圧力の変動による温度変動を考
して、T2はTsよりも0.5K以上大きく設定する
がよい。T1はT2よりも大きくなければならな
が、T1とT2との値が近いとアルゴン・酸素混
合物のパージ流量を頻繁に変更することにな
るので、T1はT2よりも1K以上大きく設定すると
よい。
アルゴン・酸素混合物のパージを開始する
めには、T1は運転圧力におけるアルゴンの
和温度よりも低くなければならないが、窒
とアルゴンとの飽和温度の差は概ね10K程度
あるから、実際的にはT1<Ts+8K程度にすると
よい。パージ流量は測定温度が徐々に低下し
始める程度に大きく設定するのがよい。流量
が小さいと測定温度が上昇を続け、流量が多
すぎると急激に測定温度が低下してしまう。
前述では、温度が設定値T2以下の時はパー
を停止するとしたが、アルゴンおよび酸素
いずれ濃縮してくるような少ない流量であ
ば必ずしも停止する必要はない。
上記温度制御の結果、温度計設置位置に ける蒸留塔(最終塔)の温度は概ねT2~T1の間で 変化する。T1、T2の設定値にも依るが、温度 定位置における窒素の組成は90~10mol%で変化 る。これと連動して塔底の組成も変化する 、温度計の設置位置と塔底部との距離(図4で の区間B、先の例では1.4m)は、塔底部における 窒素分が常時少なくとも1mol%以下、できれば0 .1mol%以下になるよう、十分大きくなければな らない。ただし、あまり大きすぎると蒸留塔 の高さが無駄になるので、経済的な観点から 適切な距離を設定する。
ところで、製品 15
N濃縮窒素は一般に高純度であることが求め
れる。そのために製品 15
N濃縮窒素の抜き出し位置を適切に選ぶ必要
ある。すなわち、温度測定位置から製品 15
N濃縮窒素の抜き出し位置までの充填高さ(図4
の区間A、先の例では2.3m)は、製品窒素純度が
少なくとも99.99mol%以上、できれば99.999mol%以
になるよう、十分大きくなければならない
ただし、あまり大きすぎると、蒸留塔の高
が無駄になるうえ、製品 15
N濃縮窒素中の 15
N同位体濃度が低下するので、適切な高さを
定する。
(具体例)
以下、具体例を示す。ただし、本発明は れらの具体例により限定されてものではな 。
図1に示す総充填高さ400m、運転圧力170kPa(abs) の 15 N同位体分離装置(コンデンサやリボイラなど 図示略)を用い、アルゴン50ppm、酸素0.1ppmを む原料窒素から、製品 15 N濃縮窒素を得るプロセスにおいて、製品お び最終塔塔底パージ流量制御を図7に示す構 とした。図7において、符号5は前述の温度 を示し、蒸留塔の温度を測定するものであ 。符号6は制御装置で、温度計5からの信号に 基づいてパージ流量を調節する信号を流量調 整弁7に送り、パージ流量を調整することが きるように構成されている。
パージを開始する設定温度T1は85Kに設定し
パージを停止する設定温度T2は82.5Kに設定し
。
温度測定位置と塔底との距離H B
は、運転圧力170kPa(abs)におけるN 2
-Ar系の比揮発度αが概ね2.6程度であること、
用した充填物のHETPを0.2[m/段]であることお
び温度測定位置における窒素濃度が最大約70
mol%(T2=82.5Kに相当)になることから、以下のFens
keの式により、1.4mとした。
n B
+1=log[{Y Nmid
/(1-Y Nmid
)}/{Y Nbot
/(1-Y Nbot
)}]/log(α) ・・・(1)
H B
=n B
×HETP ・・・(2)
H B
[m]:区間Bに最低限必要な充填高さ
HETP[m/段]:充填物の理論段相当高さ
n B
[段]:区間Bに最低限必要な理論段数
Y Nmid
[-]:温度測定部における窒素のモル分率。
Y Nbot
[-]:塔底部における窒素のモル分率。
α[-]:運転圧力における塔底パージガスの主
分(アルゴンまたは酸素)に対する窒素の比
発度。N 2
-Ar系の比揮発度(N 2
-O 2
系より小さい)とすれば安全側に設計できる
n B
=log[{0.70/(1-0.70)}/{0.001/(1-0.001)}]/log(2.6)-1≒7.1
・・・(1)
H B
=7.1×0.2=1.4m ・・・(2)
また、 15 N濃縮製品採取位置と温度測定位置との距離H A は、温度測定位置における窒素濃度が最低約 40mol%(T1=85Kに相当)になることから、Fenskeの式 り、2.3mとした。
n A
+1=log[{Y Np
/(1-Y Np
)}/{Y Nmid
/(1-Y Nmid
)}]/log(α) ・・・(3
)
H A
=n A
×HETP ・・・(4)
H A
[m]:区間Aに最低限必要な充填高さ
HETP[m/段]:充填物の理論段相当高さ
n A
[段]:区間Bに最低限必要な理論段数
Y Np
[-]:製品 15
N濃縮窒素(product)採取位置における窒素のモ
分率。
Y Nmid
[-]:温度測定部における窒素のモル分率。
α[-]:運転圧力における塔底パージガスの主
分(アルゴンまたは酸素)に対する窒素の比
発度。N 2
-Ar系の比揮発度(N 2
-O 2
系より小さい)とすれば安全側に設計できる
n A
=log[{0.99999/(1-0.99999)}/{0.40/(1-0.40)}]/log(2.6)-1≒11.
5 ・・・(3)
H A
=11.5×0.2=2.3m ・・・(4)
以上のように制御したところ、図3~図5に示 温度分布および組成分布となり、製品への ルゴンおよび酸素の混入もなく、また塔底 らのパージ流体への窒素の同伴もなく、効 よく 15 N同位体を濃縮することができた。
Next Patent: LOAD CARRYING PLATFORM STRUCTURE FOR VEHICLE