Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF DEUTERATION USING RUTHENIUM CATALYST
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/005069
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a method of efficiently deuterating a substrate with the use of a ruthenium catalyst. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] The method of deuteration is characterized in that a compound having hydroxyl, an optionally substituted amino, an ether bond and/or -NH- is reacted with a deuterium source in the copresence of a ruthenium catalyst and hydrogen gas.

Inventors:
SAJIKI HIRONAO (JP)
MAEGAWA TOMOHIRO (JP)
MONGUCHI YASUNARI (JP)
FUJIWARA YUTA (JP)
INAGAKI YUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061924
Publication Date:
January 08, 2009
Filing Date:
July 01, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
WAKO PURE CHEM IND LTD (JP)
SAJIKI HIRONAO (JP)
MAEGAWA TOMOHIRO (JP)
MONGUCHI YASUNARI (JP)
FUJIWARA YUTA (JP)
INAGAKI YUYA (JP)
International Classes:
C07B59/00; C07C29/00; C07C41/18; C07C209/68; C07C227/16; C07D295/02; B01J23/46; C07B61/00
Domestic Patent References:
WO2004060831A12004-07-22
Other References:
CHEMISTRY LETTERS, vol. 34, no. 2, 2005, pages 192 - 193
JOURNAL OF ORGANIC CHEMISTRY, vol. 39, no. 2, 1974, pages 260 - 261
Download PDF:
Claims:
 ルテニウム触媒と水素ガスの共存下、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、エーテル結合又は/及び-NH-基を有する化合物を重水素源と反応させることを特徴とする、重水素化方法。
 反応圧力が0.05~0.2MPaである、請求項1に記載の重水素化方法。
 当該化合物が、一般式[1]
〔式中、X 1 はヒドロキシル基又は一般式[2]
(式中、R 2 及びR 3 は夫々独立して水素原子、アルキル基又はアラルキル基を表す。)で示されるアミノ基を表し、R 1 は、水素原子、或いはX 1 及びカルボキシル基から選ばれる置換基を有していてもよいアルキル基又はアラルキル基を表す。但し、X 1 が一般式[2]で示される基であり且つR 2 とR 3 が共に水素原子である場合、R 1 は置換基を有していてもよい直鎖状又は環状アルキル基である。〕で示されるものである、請求項1に記載の重水素化方法。
 一般式[1]で示される化合物が、一般式[3]
(式中、T 1 はX 1 を置換基として有していてもよい、アルキレン基又はアラルキレン基を表し、X 1 は前記に同じ。また、2つ若しくはそれ以上のX 1 は同一でも異なっていてもよい。)で示されるものである、請求項3に記載の重水素化方法。
 一般式[1]で示される化合物が、一般式[4]
(式中、T 2 はヒドロキシル基を置換基として有していてもよい、アルキレン基を表す。)で示されるものである、請求項3に記載の重水素化方法。
 当該化合物が、一般式[5]
(式中、R 4 及びR 5 は夫々独立して直鎖状アルキル基を表し、X 2 はエーテル基又は-NH-基を表す。)で示されるものである、請求項1に記載の重水素化方法。
 当該化合物が、一般式[6]
(式中、Yは酸素原子又はメチレン基を表す。)で示されるものである、請求項1に記載の重水素化方法。
 重水素源が重水素化された溶媒である、請求項1に記載の重水素化方法。
 重水素化された溶媒が重水である、請求項8に記載の重水素化方法。
ルテニウム触媒がルテニウムカーボンである、請求項1に記載の重水素化方法。
Description:
ルテニウム触媒を用いた重水素 方法

 本発明は、ルテニウム触媒を用いた重水 化方法に関する。

 重水素化(ジュウテリウム化及びトリチウ ム化)された化合物は、種々の目的に有用で るとされている。例えば、ジュウテリウム された化合物は、反応機構及び物質代謝な の解明に非常に有用であり、標識化合物と て広く利用されており、更に該化合物は、 の同位体効果によって化合物自体の安定性 性質が変化することから、医薬品、農薬品 有機EL材料等としても有用であるとされてい る。また、トリチウム化された化合物は、医 薬品等の吸収、分布、血中濃度、排泄、代謝 等を動物実験等で調査する際の標識化合物と して有用であるとされている。そのため、近 年、これらの分野に於いても重水素化(ジュ テリウム化及びトリチウム化)された化合物 用いた研究が盛んに行われている。

 従来、このような重水素化された化合物 得るために様々な方法が用いられているが 中でもその構造中にヒドロキシル基又は/及 びアミノ基を有する化合物を選択的に重水素 化する技術は未だ問題が多く、重水素化され た化合物を効率的且つ工業的に得ることは困 難であった。

 アルコールのα位の選択的重水素化方法と ては、例えばアルデヒドやケトンを重水素 ス又は重水素化還元剤(例えばNaBD 4 、LiAID 4 等)により還元する方法等が挙げられる。し しながら、これらの方法は例えばコストが かる、安全性の面で取扱いが困難である等 問題を有している。

 また、アルコールを基質として重水素を直 導入する直接的重水素化方法としては、例 ば(1)ラネーニッケルの共存下、還流下で重 と反応させる方法(非特許文献1)、(2)モリブ センの共存下、重水と反応させる方法(非特 許文献2)、(3)ルテニウム触媒としてRuCl 2 (PPh 3 ) 2 の共存下、マイクロウェーブを用いて150℃で 10気圧下で重水と反応させる方法(非特許文献 3)等が挙げられる。

 しかしながら、例えば方法(1)では多量の 水を使用しなければならない、方法(2)では 水素化率が低い、方法(3)ではマイクロウェ ブを用いなければならない、過酷な反応条 下で行わなければならない等の問題点を有 ている。

 また、本発明者等は、ケトン及び2級アル コールを活性化されたパラジウム触媒の共存 下で重水と反応させる方法(例えば特許文献1 非特許文献4等)等を開発した。しかしなが 、基質の選択的重水素化反応の検討には至 ていなかった。

 このような状況下、アルコール及びアミ 類のα位選択的重水素化方法、更には各種 質の効率的な重水素化方法の開発が望まれ いる現状にある。

国際公開WO2004/060831号公報 Carbohydr. Res. 1977, 89, C1-C6 Angew. Chem. Int. Ed. 1999, 38, 2406 Chem. Lett. 2005, 34, 192 J.Org.Chem. 2007, 72, 2143-2150

 本発明は、上記した如き状況に鑑みなさ たもので、ルテニウム触媒を用いることに り、基質を効率よく重水素化する方法を提 する。

 本発明は、ルテニウム触媒と水素ガスの 存下、ヒドロキシル基、置換基を有してい もよいアミノ基、エーテル結合又は/及び-NH -基を有する化合物を重水素源と反応させる とを特徴とする、重水素化方法の発明であ 。

 ルテニウム触媒を用いた本発明の重水素 方法によれば、従来法が有していた、例え 多量の重水を使用する、過酷な反応条件下 行う必要がある、重水素化率が低い等の問 を有することなく、各種化合物を効率よく 水素化することができる。特にヒドロキシ 基又は/及びアミノ基を有する化合物中のヒ ドロキシル基又は/及びアミノ基に直結した 素原子に結合する水素原子を穏和な条件下 選択的に重水素化することができる。

 本発明に於いて、「重水素原子」とはジ ウテリウム(D)原子又はトリチウム(T)原子の とを意味し、「重水素化」とはジュウテリ ム化又はトリチウム化のことを意味する。 た、本明細書に於いて重水素化率とは、化 物中のヒドロキシル基又は/及びアミノ基に 直結した炭素原子に結合する全水素原子のう ち重水素原子に置換された比率のことを意味 する。更にまた、本明細書に於いて「基質を 効率よく重水素化する」とは、基質全体の重 水素化率を向上させることのみならず、基質 の特定の位置を高い選択率で重水素化し得る ことも意味する。

 本発明に係る、ヒドロキシル基、置換基を していてもよいアミノ基、エーテル結合又 /及び-NH-基を有する化合物としては、例え 一般式[1]

〔式中、X 1 はヒドロキシル基又は一般式[2]

(式中、R 2 及びR 3 は夫々独立して水素原子、アルキル基又はア ラルキル基を表す。)で示されるアミノ基を し、R 1 は、水素原子、或いはX 1 及びカルボキシル基から選ばれる置換基を有 していてもよいアルキル基又はアラルキル基 を表す。但し、X 1 が一般式[2]で示される基であり且つR 2 とR 3 が共に水素原子である場合、R 1 は置換基を有していてもよい直鎖状又は環状 アルキル基である。〕で示されるもの、一般 式[5]

(式中、R 4 及びR 5 は夫々独立して直鎖状アルキル基を表し、X 2 はエーテル結合又は-NH-基を表す。)で示され もの、一般式[6]

(式中、Yは酸素原子又はメチレン基を表す )で示されるもの等が挙げられる。

 一般式[1]に於いて、R 1 で示される置換基を有していてもよいアルキ ル基のアルキル基としては、直鎖状、分枝状 或いは環状の何れでもよく、通常炭素数1~30 好ましくは1~18のものが挙げられ、具体的に 、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル 、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル 基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル 、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペ チル基、ネオペンチル基、1-メチルペンチ 基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-シ ロヘキシル基、tert-シクロヘキシル基、ネオ シクロヘキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプ ル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基、ネ ヘプチル基、2,4-ジメチルペンチル基、1-n- ロピルブチル基、n-オクチル基、イソオクチ ル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、ネオ オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、sec- ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基、1- チルノニル基、n-デシル基、イソデシル基、 sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル基、 3,7-ジメチルオクチル基、2-イソプロピル-5-メ チルヘキシル基、n-ウンデシル基、イソウン シル基、sec-ウンデシル基、tert-ウンデシル 、ネオウンデシル基、n-ドデシル基、イソ デシル基、sec-ドデシル基、tert-ドデシル基 ネオドデシル基、n-トリデシル基、イソトリ デシル基、sec-トリデシル基、tert-トリデシル 基、ネオトリデシル基、n-テトラデシル基、 ソテトラデシル基、sec-テトラデシル基、ter t-テトラデシル基、ネオテトラデシル基、1- ソブチル-4-エチルオクチル基、n-ペンタデシ ル基、イソペンタデシル基、sec-ペンタデシ 基、tert-ペンタデシル基、ネオペンタデシル 基、n-ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基 sec-ヘキサデシル基、tert-ヘキサデシル基、 オヘキサデシル基、1-メチルペンタデシル 、n-ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、 sec-ヘプタデシル基、tert-ヘプタデシル基、ネ オヘプタデシル基、n-オクタデシル基、イソ クタデシル基、sec-オクタデシル基、tert-オ タデシル基、ネオオクタデシル基、n-ノナ シル基、イソノナデシル基、sec-ノナデシル 、tert-ノナデシル基、ネオノナデシル基、1- メチルオクチル基、n-イコシル基、イソイコ ル基、sec-イコシル基、tert-イコシル基、ネ イコシル基、n-ヘンイコシル基、イソヘン コシル基、sec-ヘンイコシル基、tert-ヘンイ シル基、ネオヘンイコシル基、n-ドコシル基 、イソドコシル基、sec-ドコシル基、tert-ドコ シル基、ネオドコシル基、n-トリコシル基、 ソトリコシル基、sec-トリコシル基、tert-ト コシル基、ネオトリコシル基、n-テトラコ ル基、イソテトラコシル基、sec-テトラコシ 基、tert-テトラコシル基、ネオテトラコシ 基、n-ペンタコシル基、イソペンタコシル基 、sec-ペンタコシル基、tert-ペンタコシル基、 ネオペンタコシル基、n-ヘキサコシル基、イ ヘキサコシル基、sec-ヘキサコシル基、tert- キサコシル基、ネオヘキサコシル基、n-ヘ タコシル基、イソヘプタコシル基、sec-ヘプ コシル基、tert-ヘプタコシル基、ネオヘプ コシル基、n-オクタコシル基、イソオクタコ シル基、sec-オクタコシル基、tert-オクタコシ ル基、ネオオクタコシル基、n-ノナコシル基 イソノナコシル基、sec-ノナコシル基、tert- ナコシル基、ネオノナコシル基、n-トリア ンチル基、イソトリアコンチル基、sec-トリ コンチル基、tert-トリアコンチル基、ネオ リアコンチル基、シクロプロピル基、シク ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキ ル基、シクロヘキシルメチル基、2-シクロヘ キシルエチル基、2-イソプロピル-5-メチルシ ロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロ クチル基、シクロノニル基、シクロデシル 、シクロウンデシル基、シクロドデシル基 シクロトリデシル基、シクロテトラデシル 、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデ ル基、シクロヘプタデシル基、シクロオク デシル基、シクロノナデシル基、シクロイ シル基等が挙げられる。

 一般式[2]に於いて、R 2 ~R 3 で示されるアルキル基としては、直鎖状、分 枝状或いは環状の何れでもよく、通常炭素数 1~20、好ましくは1~12のものが挙げられ、具体 には、例えばメチル基、エチル基、n-プロ ル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブ チル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペン ル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、ter t-ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルペ チル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec -シクロヘキシル基、tert-シクロヘキシル基、 ネオシクロヘキシル基、n-ヘプチル基、イソ プチル基、sec-ヘプチル基、tert-ヘプチル基 ネオヘプチル基、2,4-ジメチルペンチル基、 1-n-プロピルブチル基、n-オクチル基、イソオ クチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、 ネオオクチル基、n-ノニル基、イソノニル基 sec-ノニル基、tert-ノニル基、ネオノニル基 1-メチルノニル基、n-デシル基、イソデシル 基、sec-デシル基、tert-デシル基、ネオデシル 基、3,7-ジメチルオクチル基、2-イソプロピル -5-メチルヘキシル基、n-ウンデシル基、イソ ンデシル基、sec-ウンデシル基、tert-ウンデ ル基、ネオウンデシル基、n-ドデシル基、 ソドデシル基、sec-ドデシル基、tert-ドデシ 基、ネオドデシル基、n-トリデシル基、イソ トリデシル基、sec-トリデシル基、tert-トリデ シル基、ネオトリデシル基、n-テトラデシル 、イソテトラデシル基、sec-テトラデシル基 、tert-テトラデシル基、ネオテトラデシル基 1-イソブチル-4-エチルオクチル基、n-ペンタ デシル基、イソペンタデシル基、sec-ペンタ シル基、tert-ペンタデシル基、ネオペンタデ シル基、n-ヘキサデシル基、イソヘキサデシ 基、sec-ヘキサデシル基、tert-ヘキサデシル 、ネオヘキサデシル基、1-メチルペンタデ ル基、n-ヘプタデシル基、イソヘプタデシル 基、sec-ヘプタデシル基、tert-ヘプタデシル基 、ネオヘプタデシル基、n-オクタデシル基、 ソオクタデシル基、sec-オクタデシル基、ter t-オクタデシル基、ネオオクタデシル基、n- ナデシル基、イソノナデシル基、sec-ノナデ ル基、tert-ノナデシル基、ネオノナデシル 、1-メチルオクチル基、n-イコシル基、イソ コシル基、sec-イコシル基、tert-イコシル基 ネオイコシル基、シクロプロピル基、シク ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキ ル基、シクロヘキシルメチル基、2-シクロ キシルエチル基、2-イソプロピル-5-メチルシ クロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロ オクチル基、シクロノニル基、シクロデシル 基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基 、シクロトリデシル基、シクロテトラデシル 基、シクロペンタデシル基、シクロヘキサデ シル基、シクロヘプタデシル基、シクロオク タデシル基、シクロノナデシル基、シクロイ コシル基等が挙げられる。

 一般式[5]に於いて、R 4 ~R 5 で示される直鎖状アルキル基としては、通常 炭素数1~30、好ましくは1~10のものが挙げられ 具体的には、例えばメチル基、エチル基、n -プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n- キシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n- ニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ド シル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基 n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オ タデシル基、n-ノナデシル基、n-イコシル基 、n-ドコシル基、n-トリコシル基、n-テトラコ シル基、n-ペンタコシル基、n-ヘキサコシル 、n-ヘプタコシル基、n-オクタコシル基、n- ナコシル基、n-トリアコンチル基等が挙げら れる。

 一般式[1]~[2]に於いて、R 1 で示される置換基を有していてもよいアラル キル基のアラルキル基及びR 2 ~R 3 で示されるアラルキル基としては、通常炭素 数7~15、好ましくは7~10のものが挙げられ、具 的には、例えばベンジル基、フェネチル基 フェニルプロピル基、フェニルブチル基、 ェニルペンチル基、フェニルヘキシル基、 ェニルヘプチル基、フェニルオクチル基等 挙げられる。

 また、一般式[1]に於いて、X 1 が一般式[2]で示される基であり且つR 2 とR 3 が共に水素原子である場合のR 1 は、通常炭素数1~30、好ましくは1~18の、置換 を有していてもよい直鎖状又は環状アルキ 基であり、これらの具体例としては、例え メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチ ル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチ ル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基 、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシ ル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基 n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノ デシル基、n-イコシル基、n-ドコシル基、n- リコシル基、n-テトラコシル基、n-ペンタコ ル基、n-ヘキサコシル基、n-ヘプタコシル基 、n-オクタコシル基、n-ノナコシル基、n-トリ アコンチル基等の直鎖状アルキル基、例えば シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロ ペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプ チル基、シクロオクチル基、シクロノニル基 、シクロデシル基、シクロウンデシル基等の 環状アルキル基等が挙げられる。

 R 1 で示される置換基を有していてもよいアルキ ル基の置換基は当該アルキル基中に1個以上 好ましくは1~20個、より好ましくは1~10個有し ていてもよく、置換基の具体例としては、例 えばヒドロキシル基、上記一般式[2]で示され るアミノ基(好ましくは一般式[2]に於けるR 2 ~R 3 が水素原子であるもの)、カルボキシル基等 挙げられる。

 また、一般式[1]で示される化合物のうち、R 1 がX 1 を置換基として有するアルキル基又はアラル キル基である場合の好ましい例としては、例 えば一般式[3]

(式中、T 1 はX 1 を置換基として有していてもよい、アルキレ ン基又はアラルキレン基を表し、X 1 は前記に同じ。また、2つ若しくはそれ以上 X 1 は同一でも異なっていてもよい。)で示され ものが挙げられる。

 但し、異なる3個以上のX 1 を有する場合とは、これらX 1 のうちいくつかは同一である場合を含む。

 更に、一般式[1]で示される化合物のうち、X 1 が一般式[2]で示される基であり且つR 2 及びR 3 が共に水素原子であり、R 1 がX 1 を置換基として有していてもよい、カルボキ シル基を有するアルキル基又はアラルキル基 である場合の好ましい例としては、例えば一 般式[4]

(式中、T 2 はヒドロキシル基を置換基として有していて もよいアルキレン基を表す。)で示されるも が挙げられる。

 一般式[3]に於いて、T 1 で示される、X 1 を置換基として有していてもよいアルキレン 基のアルキレン基としては、直鎖状、分枝状 或いは環状のアルキレン基の何れでもよく、 通常炭素数1~30、好ましくは1~20のものが挙げ れ、具体的には、例えばメチレン基、エチ ン基、トリメチレン基、テトラメチレン基 ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘ タメチレン基、オクタメチレン基、ノナメ レン基、デカメチレン基、ウンデカメチレ 基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン 、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチ ン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカ チレン基、オクタデカメチレン基、ノナデ メチレン基、イコサメチレン基、ヘニコサ チレン基、トリコサメチレン基、テトラコ メチレン基、ペンタコサメチレン基、ヘキ コサメチレン基、ヘプタコサメチレン基、 クタコサメチレン基、ノナコサメチレン基 トリアコンタメチレン基等の直鎖状アルキ ン基、例えばエチリデン基、プロピレン基 イソプロピリデン基、1-メチルトリメチレ 基、2-メチルトリメチレン基、1,1-ジメチル チレン基、1,2-ジメチルエチレン基、エチル チレン基、1-メチルテトラメチレン基、1,1- メチルトリメチレン基、2,2-ジメチルトリメ チレン基、2-エチルトリメチレン基、1-メチ ペンタメチレン基、1-メチルヘキサメチレン 基、1-メチルヘプタメチレン基、1,4-ジエチル テトラメチレン基、2,4-ジメチルヘプタメチ ン基、1-メチルオクタメチレン基、1-メチル ナメチレン基、3,5-ジメチルデカメチレン基 、3,5-ジメチルウンデカメチレン基、4,6-ジメ ルドデカメチレン基、4,6-ジメチルトリデカ メチレン基、4,6-ジメチルテトラデカメチレ 基、3,5-ジメチルペンタデカメチレン基等の 枝状アルキレン基、例えばシクロプロピレ 基,1,3-シクロブチレン基,1,3-シクロペンチレ ン基,1,4-シクロへキシレン基,1,5-シクロヘプ レン基,1,5-シクロオクチレン基,1,5-シクロノ レン基,1,6-シクロデカレン基等の環状アル レン基等が挙げられる。

 T 1 で示される、X 1 を置換基として有していてもよいアラルキレ ン基のアラルキレン基としては、直鎖状、分 枝状或いは環状の何れでもよく、通常炭素数 7~15のものが挙げられ、具体的には、例えば-C H 2 -C 6 H 4 -基、-C 2 H 4 -C 6 H 4 -基、-CH(CH 3 )-C 6 H 4 -基、-CH 2 -C 6 H 4 -CH 2 -基、-CH(CH 3 )-C 6 H 4 -C 2 H 4 -基、-C 3 H 6 -C 6 H 4 -CH 2 -基、-C 3 H 6 -C 6 H 4 -C 2 H 4 -基、-C 3 H 6 -C 6 H 4 -C 3 H 6 -基、-CH 2 CH(CH 3 )-C 6 H 4 -C 2 H 4 -基等が挙げられる。

 T 1 で示される、X 1 を置換基として有していてもよいアルキレン 基及びアラルキレン基の置換基としては、当 該アルキレン基及びアラルキレン基中に1個 上、好ましくは1~10個有していてもよく、当 置換基の具体例としては、例えばヒドロキ ル基、一般式[2]で示される基(中でも一般式 [2]に於けるR 2 ~R 3 が水素原子であるものが好ましい)、カルボ シル基等が挙げられる。

 一般式[3]に於ける2つ若しくはそれ以上のX 1 は同一でも異なっていてもよいが、同一であ るものが好ましい。

 一般式[4]に於いて、T 2 で示される、ヒドロキシル基を置換基として 有していてもよいアルキレン基のアルキレン 基としては、直鎖状、分枝状或いは環状の何 れでもよく、通常炭素数1~6、好ましくは1~3の ものが挙げられ、具体的には、例えばメチレ ン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラ メチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチ レン基等の直鎖状アルキレン基、例えばエチ リデン基、プロピレン基、イソプロピリデン 基、1-メチルトリメチレン基、2-メチルトリ チレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1,2-ジメ チルエチレン基、エチルエチレン基、1-メチ テトラメチレン基、1,1-ジメチルトリメチレ ン基、2,2-ジメチルトリメチレン基、2-エチル トリメチレン基、1-メチルペンタメチレン基 の分枝状アルキレン基、例えばシクロプロ レン基,1,3-シクロブチレン基,1,3-シクロペン チレン基,1,4-シクロへキシレン基等の分枝状 ルキレン基等が挙げられる。

 一般式[4]に於いて、T 2 で示されるヒドロキシル基を置換基として有 するアルキレン基の置換基の数としては、当 該アルキレン基中に1個以上、好ましくは1~3 、より好ましくは1個である。

 一般式[1]で示される化合物のうち1級アルコ ール又は2級アルコール(即ち、一般式[1]に於 て、X 1 がヒドロキシル基であり、R 1 がアルキル基又はアラルキル基であるものに 相当)の代表的な具体例としては、例えばメ ノール、エタノール、プロパノール、イソ ロパノール、ブタノール、tert-ブタノール、 ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール 、2,4-ジメチルヘプタノール、1-n-プロピルブ ノール、オクタノール、ノナノール、1-デ ノール、2-デカノール、3,7-ジメチルオクタ ール、2-イソプロピル-5-メチルヘキサノール 、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカ ノール、テトラデカノール、2-メチル-7-エチ ウンデカノール、ペンタデカノール、ヘキ デカノール、2-ヘキサデカノール、ヘプタ カノール、シクロヘキサノール、2-シクロヘ キシルエタノール、2-イソプロピル-5-メチル クロヘキサノール等のアルキルアルコール 、例えばベンジルアルコール、2-フェニル チルアルコール、3-フェニルプロピルアルコ ール、4-フェニルブチルアルコール、5-フェ ルペンチルアルコール、6-フェニルヘキシル アルコール、7-フェニルヘプチルアルコール 8-フェニルオクチルアルコール等のアラル ルアルコール類が挙げられる。

 一般式[1]で示される化合物のうち1級アミン (即ち、一般式[1]に於いて、X 1 が一般式[2]で示されるアミノ基であり且つR 2 ~R 3 が水素原子であり、R 1 がアルキル基又はアラルキル基であるものに 相当)の代表的な具体例としては、例えばエ ルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン ペンチルアミン、へキシルアミン、シクロ キシルアミン、ヘプチルアミン、オクチル ミン、1-メチルヘプチルアミン、ノニルアミ ン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデ シルアミン、トリデシルアミン、テトラデシ ルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシ ルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシ ルアミン等のアルキルアミン類、例えばベン ジルアミン、2-フェニルエチルアミン、3-フ ニルプロピルアミン、4-フェニルブチルアミ ン、5-フェニルペンチルアミン、6-フェニル キシルアミン、7-フェニルヘプチルアミン、 8-フェニルオクチルアミン等のアラルキルア ン類等が挙げられる。

 一般式[1]で示される化合物のうち3級アミン (即ち、一般式[1]に於いて、X 1 が一般式[2]で示される基であり且つR 2 及びR 3 が共にアルキル基又はアラルキル基であり、 R 1 がアルキル基又はアラルキル基であるものに 相当)の代表的な具体例としては、例えばト エチルアミン、トリ-n-プロピルアミン、ト イソプロピルアミン、トリ-n-ブチルアミン トリへキシルアミン、トリオクタデシルア ン等のトリアルキルアミン類、例えばトリ ンジルアミン、トリ-2-フェニルエチルアミ 、トリ-3-フェニルプロピルアミン、トリ-4- ェニルブチルアミン、トリ-5-フェニルペン ルアミン、トリ-6-フェニルヘキシルアミン トリ-7-フェニルヘプチルアミン、トリ-8-フ ニルオクチルアミン等のアラルキルアミン 等が挙げられる。

 一般式[3]で示される化合物のうちジオール (即ち、一般式[3]に於いて、2つのX 1 がヒドロキシル基であり、T 1 がアルキレン基又はアラルキレン基であるも のに相当)の代表的な具体例としては、例え エチレングリコール、ブタンジオール、ヘ サンジオール、オクタンジオール、デカン オール等が挙げられる。

 一般式[3]で示される化合物のうちトリオー (即ち、一般式[3]に於いて、X 1 がヒドロキシル基であり、T 1 が置換基としてヒドロキシル基を1つ有する ルキレン基又はアラルキレン基であるもの 相当)の代表的な具体例としては、例えばグ セロールが挙げられる。

 一般式[3]で示される化合物のうちポリアル ール(即ち、一般式[3]に於いて、X 1 がヒドロキシル基であり、T 1 が置換基としてヒドロキシル基を2つ以上有 るアルキレン基であるものに相当)の代表的 具体例としては、例えばD-ソルビトール、D- マンニトール、キシリトール、meso-エリスリ ール、myo-イノシトール等が挙げられる。

 一般式[3]で示される化合物のうちジアミン 〔即ち、一般式[3]に於いて、X 1 が一般式[2]で示される基(且つR 2 ~R 3 が水素原子である)であり、T 1 がアルキレン基又はアラルキレン基であるも のに相当〕の代表的な具体例としては、例え ばエチレンジアミン、テトラメチレンジアミ ン、1-メチルテトラメチレンジアミン、1,3-シ クロペンタンジアミン、1,4-ビス(アミノメチ )ベンゼン、1,4-ビス(2-アミノエチル)ベンゼ 、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ベンゼン、1,4- ス(4-アミノブチル)ベンゼン、1,4-ビス(5-ア ノペンチル)ベンゼン、1,4-ビス(6-アミノヘキ シル)ベンゼン等が挙げられる。

 一般式[4]で示される化合物の好ましい具 例としては、例えばグリシン、セリン、ト オニン等が挙げられる。

 一般式[5]で示される化合物の好ましい具 例としては、例えばジメチルエーテル、ジ チルエーテル、メチルエチルエーテル、ジ ロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペ チルエーテル、ジへキシルエーテル、ジヘ チルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノ ルエーテル、ジデシルエーテル等のエーテ 類、例えばジメチルアミン、ジエチルアミ 、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジ ンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプ ルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルア ン、ジデシルアミン等の2級アミン類等が挙 げられる。

 一般式[6]で示される化合物の好ましい具 例としては、例えばモルホリン、ピペリジ 等が挙げられる。

 一般式[1]~[6]で示される化合物は、市販品 を用いても常法により適宜合成されたものを 用いてもよい。

 本発明の重水素化方法に於いて、使用され 重水素源としては、例えば重水素化された 媒等が挙げられ、具体的には、重水素がジ ウテリウムである場合には、例えば重水(D 2 O)、例えば重メタノール、重エタノール、重 ソプロパノール、重ブタノール、重tert-ブ ノール、重ペンタノール、重ヘキサノール 重ヘプタノール、重オクタノール、重ノナ ール、重デカノール、重ウンデカノール、 ドデカノール等の重アルコール類、例えば ギ酸、重酢酸、重プロピオン酸、重酪酸、 イソ酪酸、重吉草酸、重イソ吉草酸、重ピ ル酸等の重カルボン酸類、例えば重アセト 、重メチルエチルケトン、重メチルイソブ ルケトン、重ジエチルケトン、重ジプロピ ケトン、重ジイソプロピルケトン、重ジブ ルケトン等の重ケトン類、重ジメチルスル キシド等の有機溶媒等が挙げられ、中でも 水、重アルコール類が好ましく、具体的に 、重水、重メタノールが特に好ましいもの して挙げられる。尚、環境面や作業性を考 すれば重水が好ましい。また、重水素がト チウムの場合の重水素化された溶媒として 、例えば重水(T 2 O)等が挙げられる。

 重水素化された溶媒は、分子中の一つ以 の水素原子が重水素化されているものであ ばよく、例えば重アルコール類ではヒドロ シル基の水素原子、重カルボン酸類ではカ ボキシル基の水素原子が重水素化されてい ば本発明の重水素化方法に使用し得るが、 子中の水素原子全てが重水素化されたもの 特に好ましい。

 重水素源の使用量は、多い程本発明の重 素化が進みやすくなるが、経済的な面を考 すると、重水素源に含まれる重水素原子の が、一般式[1]で示される化合物の重水素化 能な水素原子に対して、下限として順に好 しく、等モル、10倍モル、20倍モル、30倍モ 、40倍モル、上限として順に好ましく、250 モル、150倍モルとなるような量である。

 本発明の重水素化方法に於いては、必要 応じて反応溶媒を使用してもよく、本発明 重水素化反応が懸濁状態でも実施し得るこ から、当該反応溶媒としては、基質を溶解 難いものも使用可能であるが、基質を溶解 易いものがより好ましい。

 必要に応じて用いられる反応溶媒の具体 としては、例えばジメチルエーテル、ジエ ルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エ ルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエー ル、1,2-ジメトキシエタン、オキシラン、1,4- ジオキサン、ジヒドロピラン、テトラヒドロ フラン等のエーテル類、例えばヘキサン、ヘ プタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロ ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、例えばメタ ノール、エタノール、イソプロパノール、ブ タノール、tert-ブタノール、ペンタノール、 キサノール、ヘプタノール、オクタノール ノナノール、デカノール、ウンデカノール ドデカノール等のアルコール類、例えばギ 、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、 草酸、イソ吉草酸、ピバル酸等のカルボン 類、例えばアセトン、メチルエチルケトン メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン ジブチルケトン等のケトン類、ジメチルス ホキシド、軽水(水)等が挙げられる。

 本発明の重水素化方法を実施する際、重 素化の反応容器の気層部分は、反応に必要 水素ガス(軽水素ガスでも重水素ガスでもい ずれにても可。以下同じ。)で置換すること 望ましいが、水素ガスと例えば窒素、アル ン等の不活性ガスとの混合気体で置換され いてもよい。

 本発明の重水素化方法に於いて用いられ 水素ガスの使用量は、反応基質に対して、 限として順に好ましく、等モル、10倍モル 20倍モル、30倍モル、上限として順に好まし 、100倍モル、40倍モルとなるような量であ 。

 尚、本発明の重水素化方法に於いては、 圧下で反応容器から水素ガスが散逸しない うに密封状態或いはそれに近い状態となる うにすることが好ましい。密封に近い状態 は、例えば所謂連続反応のように、反応基 が連続的に反応容器に投入され、連続的に 成物が取り出されるような場合等を含む。

 本発明の重水素ガス製造法に於ける触媒 して挙げられるルテニウム触媒としては、 テニウム原子の原子価が通常0~2価、好まし は0価のものが挙げられる。

 上記した如きルテニウム触媒は、金属そ もの(金属単体)でも、それら金属の水酸化 、酸化物、ハロゲン化物、或いは酢酸塩で よい。これらの中でも、例えば金属単体、 の水酸化物、酸化物、ハロゲン化物、酢酸 、4級アンモニウム塩等の、配位子が配位し いない金属触媒が好ましい。また、これら 属(金属単体)、金属水酸化物、金属酸化物 金属ハロゲン化物、酢酸塩或いは金属錯体 種々の担体に担持されて成るものでもよい

 配位子が配位していてもよい金属触媒の配 子としては、例えば1,5-シクロオクタジエン (COD)、ジベンジリデンアセトン(DBA)、ビピリ ン(BPY)、フェナントロリン(PHE)、ベンゾニト ル(PhCN)、イソシアニド(RNC)、トリエチルア シン(As(Et) 3 )、アセチルアセトナト(acac)、ペンタメチル クロペンタジエニル(Cp*)、エチレンジアミン (EN)、テトラプロピルアンモニウム塩(TPAP)、 えばジメチルフェニルホスフィン(P(CH 3 ) 2 Ph)、ジフェニルホスフィノフェロセン(DPPF)、 トリメチルホスフィン(P(CH 3 ) 3 )、トリエチルホスフィン(PEt 3 )、トリtert-ブチルホスフィン(P t Bu 3 )、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy 3 )、トリメトキシホスフィン(P(OCH 3 ) 3 )、トリエトキシホスフィン(P(OEt) 3 )、トリtert-ブトキシホスフィン(P(O t Bu) 3 )、トリフェニルホスフィン(PPh 3 )、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE )、トリフェノキシホスフィン(P(OPh) 3 )、トリo-トリルホスフィン(P(o-tolyl) 3 )等の有機ホスフィン配位子等が挙げられる

 ルテニウム金属触媒の具体例としては、例 ばRu、例えばRu(OH) 2 等の水酸化ルテニウム触媒、例えばRuO 4 等の酸化ルテニウム触媒、例えばRuBr 2 、RuCl 2 、RuI 2 等のハロゲン化ルテニウム触媒、例えばルテ ニウムアセテート(Ru(OAc) 2 )、例えばRuCl 2 (PPh 3 ) 3 等の、配位子に配位されたルテニウム触媒等 、例えばテトラプロピルアンモニウムルテニ ウム(TPAP)のような4級アンモニウム塩等が挙 られる。

 上記した如き金属触媒が、担体に担持さ たものである場合の担体としては、例えば ーボン(例えば活性炭等)、アルミナ、シリ ゲル、ゼオライト、モレキュラーシーブ、 オン交換樹脂、ポリマー等が挙げられ、中 もカーボン、アルミナが好ましく、就中、 ーボンがより好ましい。

 担体として用いられるイオン交換樹脂と ては、本発明の重水素化に悪影響を及ぼさ いものであればよく、例えば陽イオン交換 脂、陰イオン交換樹脂が挙げられる。

 陽イオン交換樹脂としては、例えば弱酸 陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹 が挙げられ、陰イオン交換樹脂としては、 えば弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性 イオン交換樹脂等が挙げられる。

 イオン交換樹脂は一般に骨格ポリマーと て二官能性モノマーで架橋したポリマーを んでおり、これに酸性基又は塩基性基が結 され、夫々種々の陽イオン又は陰イオン(対 イオン)で交換されている。

 弱酸性陽イオン交換樹脂の具体例として 、例えばジビニルベンゼンで架橋したアク ル酸エステル又はメタクリル酸エステルの リマーを加水分解して得られるもの等が挙 られる。

 強酸性陽イオン交換樹脂の具体例として 、例えばスチレン-ジビニルベンゼンのコポ リマーをスルホン化したものが挙げられる。

 強塩基性陰イオン交換樹脂としては、例 ばスチレン-ジビニルベンゼンのコポリマー の芳香環にアミノ基が結合したものが挙げら れる。

 塩基性陰イオン交換樹脂の塩基性の強さ 、結合しているアミノ基が、第1級アミノ基 、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アン モニウム塩になるに従って順に強くなる。

 尚、市販のイオン交換樹脂も上記した如 イオン交換樹脂と同様に本発明の重水素ガ 製造法に於ける触媒の担体として使用可能 ある。

 また、担体として用いられるポリマーとし は、本発明の重水素ガス製造法に悪影響を ぼさないものであれば特に限定されないが その様なポリマーの例として、例えば下記 般式[7]で示されるモノマーが重合或いは共 合して得られるもの等が挙げられる。

(式中、R 6 は水素原子、低級アルキル基、カルボキシル 基、カルボキシアルキル基、アルコキシカル ボニル基、ヒドロキシアルコキシカルボニル 基、シアノ基又はホルミル基を表し、R 7 は水素原子、低級アルキル基、カルボキシル 基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシア ルコキシカルボニル基、シアノ基又はハロゲ ン原子を表し、R 8 は水素原子、低級アルキル基、ハロアルキル 基、ヒドロキシル基、置換基を有していても よいアリール基、脂肪族ヘテロ環基、芳香族 ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシカル ボニル基、ヒドロキシアルコキシカルボニル 基、スルホ基、シアノ基、含シアノアルキル 基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カル ボキシアルキル基、アルデヒド基、アミノ基 、アミノアルキル基、カルバモイル基、N-ア キルカルバモイル基又はヒドロキシアルキ 基を表し、また、R 6 とR 7 とが結合し、隣接する-C=C-と一緒になって脂 族環を形成していてもよい。)

 一般式[7]に於いて、R 6 ~R 8 で示される低級アルキル基としては、直鎖状 、分枝状、環状の何れにてもよく、例えば炭 素数1~6のアルキル基が挙げられ、具体的には メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプ ピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブ チル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、イソペ ンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、 ネオペンチル基、1-メチルペンチル基、n-ヘ シル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、t ert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、シクロプ ピル基、シクロブチル基、シクロペンチル 、シクロヘキシル基等が挙げられる。

 R 6 及びR 8 で示されるカルボキシアルキル基としては、 例えば上記した如き低級アルキル基の水素原 子の一部がカルボキシル基に置換されたもの 等が挙げられ、具体的には例えばカルボキシ メチル基、カルボキシエチル基、カルボキシ プロピル基、カルボキシブチル基、カルボキ シペンチル基、カルボキシヘキシル基等が挙 げられる。

 R 6 ~R 8 で示されるアルコキシカルボニル基としては 、例えば炭素数2~11のものが好ましく、具体 には例えばメトキシカルボニル基、エトキ カルボニル基、プロポキシカルボニル基、 トキシカルボニル基、ペンチルオキシカル ニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シ ロヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチル キシカルボニル基、2-エチルヘキシルオキシ カルボニル基、オクチルオキシカルボニル基 、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシ カルボニル基等が挙げられる。

 R 6 ~R 8 で示されるヒドロキシアルコキシカルボニル 基としては、上記した如き炭素数2~11のアル キシカルボニル基の水素原子の一部がヒド キシル基に置換されたものが挙げられ、具 的には、例えばヒドロキシメトキシカルボ ル基、ヒドロキシエトキシカルボニル基、 ドロキシプロポキシカルボニル基、ヒドロ シブトキシカルボニル基、ヒドロキシペン ルオキシカルボニル基、ヒドロキシヘキシ オキシカルボニル基、ヒドロキシヘプチル キシカルボニル基、ヒドロキシオクチルオ シカルボニル基、ヒドロキシノニルオキシ ルボニル基、ヒドロキシデシルオキシカル ニル基等が挙げられる。

 R 7 及びR 8 で表されるハロゲン原子としては、例えばフ ッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。

 R 8 で表されるハロアルキル基としては、例えば R 6 ~R 8 で表される上記低級アルキル基がハロゲン化 (例えばフッ素化、塩素化、臭素化、ヨウ素 等)された、炭素数1~6のものが挙げられ、具 的には、例えばクロロメチル基、ブロモメ ル基、トリフルオロメチル基、2-クロロエ ル基、3-クロロプロピル基、3-ブロモプロピ 基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、4-クロ ブチル基、5-クロロペンチル基、6-クロロヘ シル基等が挙げられる。

 置換基を有していてもよいアリール基の リール基としては、例えばフェニル基、ト ル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げら 、当該置換基としては、例えばアミノ基、 ドロキシル基、低級アルコキシ基、カルボ シル基等が挙げられる。

 置換基として挙げられる低級アルコキシ としては、直鎖状、分枝状或いは環状でも く、通常炭素数1~6のものが挙げられ、具体 には、例えばメトキシ基、エトキシ基、n- ロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ 基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブ トキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチ オキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペン ルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘ シルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec- キシルオキシ基、tert-ヘキシルオキシ基、 オヘキシルオキシ基、シクロプロポキシ基 シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ 、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる

 置換アリール基の具体例としては、例え アミノフェニル基、トルイジノ基、ヒドロ シフェニル基、メトキシフェニル基、tert- トキシフェニル基、カルボキシフェニル基 が挙げられる。

 脂肪族へテロ環基としては、例えば5員環 又は6員環であり、例えば窒素原子、酸素原 、硫黄原子等のヘテロ原子を1~3個含んでい ものが挙げられ、具体的には、例えば2-オキ ソピロリジル基、ピペリジル基、ピペリジノ 基、ピペラジニル基、モルホリノ基等が挙げ られる。

 芳香族ヘテロ環基としては、例えば5員環 又は6員環であり、例えば窒素原子、酸素原 、硫黄原子等のヘテロ原子を1~3個含んでい ものが挙げられ、具体的には、例えばピリ ル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フ ル基、ピラニル基等が挙げられる。

 含シアノアルキル基としては、例えば上 した如き低級アルキル基の水素原子の一部 シアノ基で置換されたものが挙げられ、具 的には、例えばシアノメチル基、2-シアノ チル基、2-シアノプロピル基、3-シアノプロ ル基、2-シアノブチル基、4-シアノブチル基 、5-シアノペンチル基、6-シアノヘキシル基 が挙げられる。

 アシルオキシ基としては、例えば炭素数2 ~20のカルボン酸由来のものが挙げられ、具体 的には、例えばアセチルオキシ基、プロピオ ニルオキシ基、ブチリルオキシ基、ペンタノ イルオキシ基、ノナノイルオキシ基、デカノ イルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げ られる。

 アミノアルキル基としては、上記した如 低級アルキル基の水素原子の一部がアミノ に置換されたものが挙げられ、具体的には 例えばアミノメチル基、アミノエチル基、 ミノプロピル基、アミノブチル基、アミノ ンチル基、アミノヘキシル基等が挙げられ 。

 N-アルキルカルバモイル基としては、カ バモイル基の水素原子の一部がアルキル基 置換されたものが挙げられ、具体的には、 えばN-メチルカルバモイル基、N-エチルカル モイル基、N-n-プロピルカルバモイル基、N- ソプロピルカルバモイル基、N-n-ブチルカル バモイル基、N-tert-ブチルカルバモイル基等 挙げられる。

 ヒドロキシアルキル基としては、上記し 如き低級アルキル基の水素原子の一部がヒ ロキシル基に置換されたものが挙げられ、 体的には、例えばヒドロキシメチル基、ヒ ロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、 ドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基 ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。

 また、R 6 とR 7 とが結合し、隣接する-C=C-と一緒になって脂 族環を形成している場合の脂肪族環として 、例えば炭素数5~10の不飽和脂肪族環が挙げ られ、単環でも多環でもよい。これら環の具 体例としては、例えばノルボルネン環、シク ロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロオ クテン環、シクロデセン環等が挙げられる。

 一般式[7]で示されるモノマーの具体例と ては、例えばエチレン,プロピレン,ブチレ ,イソブチレン等の炭素数2~20のエチレン性不 飽和脂肪族炭化水素類、例えばスチレン,4-メ チルスチレン,4-エチルスチレン,ジビニルベ ゼン等の炭素数8~20のエチレン性不飽和芳香 炭化水素類、例えばギ酸ビニル,酢酸ビニル ,プロピオン酸ビニル,酢酸イソプロペニル等 炭素数3~20のアルケニルエステル類、例えば 塩化ビニル,塩化ビニリデン,フッ化ビニリデ ,テトラフルオロエチレン等の炭素数2~20の ハロゲンエチレン性不飽和化合物類、例え アクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸,マレ ン酸,フマル酸,クロトン酸,ビニル酢酸,アリ 酢酸,ビニル安息香酸等の炭素数3~20のエチ ン性不飽和カルボン酸類(これら酸類は、例 ばナトリウム,カリウム等のアルカリ金属塩 やアンモニウム塩等、塩の形になっているも のでもよい。)、例えばメタクリル酸メチル, タクリル酸エチル,メタクリル酸プロピル, タクリル酸ブチル,メタクリル酸2-エチルヘ シル,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル, クリル酸プロピル,アクリル酸ブチル,アクリ ル酸2-エチルヘキシル,メタクリル酸ラウリル ,アクリル酸ステアリル,イタコン酸メチル,イ タコン酸エチル,マレイン酸メチル,マレイン エチル,フマル酸メチル,フマル酸エチル、 ロトン酸メチル,クロトン酸エチル、3-ブテ 酸メチル等のエチレン性不飽和カルボン酸 ステル類、例えばアクリロニトリル,メタク ロニトリル,シアン化アリル等の炭素数3~20 含シアノエチレン性不飽和化合物類、例え アクリルアミド,メタクリルアミド等の炭素 3~20のエチレン性不飽和アミド化合物類、例 えばアクロレイン,クロトンアルデヒド等の 素数3~20のエチレン性不飽和アルデヒド類、 えばビニルスルホン酸,4-ビニルベンゼンス ホン酸等の炭素数2~20のエチレン性不飽和ス ルホン酸類(これら酸類は、例えばナトリウ ,カリウム等のアルカリ金属塩等、塩の形に っていているものでもよい。)、例えばビニ ルアミン,アリルアミン等の炭素数2~20のエチ ン性不飽和脂肪族アミン類、例えばビニル ニリン等の炭素数8~20のエチレン性不飽和芳 香族アミン類、例えばN-ビニルピロリドン,ビ ニルピペリジン等の炭素数5~20のエチレン性 飽和脂肪族ヘテロ環状アミン類、例えばア ルアルコール,クロチルアルコール等の3~20の エチレン性不飽和アルコール類、例えば4-ビ ルフェノール等の炭素数8~20のエチレン性不 飽和フェノール類等が挙げられる。

 担体に担持された触媒に於いて、触媒金 であるルテニウムの割合は、通常全体の1~99 重量%、好ましくは1~50重量%、より好ましくは 1~30重量%、更に好ましくは1~20重量%である。

 本発明の触媒としては、活性炭にルテニ ムを担持させたルテニウムカーボン(Ru/C)が ましく、当該ルテニウムカーボンは常法に り適宜合成したものを用いても、市販品(例 えばNEケムキャット社製等)を用いてもよい。

 本発明の重水素化方法に於いては、上記 如き触媒を単独で用いても2つ以上を適宜組 み合わせて用いてもよい。

 本発明の重水素化方法に於ける触媒の使 量は、それが担体等に担持されているか否 に拘わらず(担体等に担持されている場合は 担体に担持された状態での重量として)、重 素源である重水素化された溶媒に対して、 常所謂触媒量、次いで順に好ましく0.01~200重 量%、0.01~100重量%、0.01~50重量%、0.01~20重量%、0 .1~20重量%、1~20重量%、5~20重量%となる量であ 、また、該触媒全体に含まれる触媒金属量 上限が、順に好ましく20重量%、10重量%、5重 %、2重量%であり、下限が、順に好ましく0.00 05重量%、0.005重量%、0.05重量%、0.5重量%となる 量である。

 本発明の重水素化方法の反応温度は、下 が通常10℃から、順により好ましく20℃、40 であり、上限が通常120℃から、順により好 しく100℃である。

 本発明の重水素化の反応時間は、通常30 ~100時間、好ましくは1~50時間、より好ましく は1~30時間、更に好ましくは3~30時間である。

 本発明の重水素化は、常圧下で行うのが ましく、通常0.05~0.2MPa、好ましくは0.05~0.15MP a、より好ましくは0.08~0.12MPa、更に好ましく 0.09~0.11MPaである。

 本発明の重水素化方法を、重水素源とし 重水を用い、ルテニウム触媒を用いた場合 例にとって説明する。

 即ち、例えばヒドロキシル基、置換基を有 ていてもよいアミノ基、エーテル結合又は/ 及び-NH-基を有する化合物(基質)と、該基質の 重水素化可能な水素原子に対して0.01~200重量% のルテニウム触媒(ルテニウム金属が基質に して0.0005~20重量%)を、重水素化された溶媒( 媒に対して1~20000当量、好ましくは10~700当量 なる量)に加え、系内を水素ガスで置換した 後、油浴中約10℃~120℃で常圧下、約30分~100時 間撹拌反応させる。反応終了後、反応液を濾 過してルテニウム触媒を除き、精製した後 1 H-NMR、 2 H-NMR、Massスペクトル等を測定して構造解析を 行う。

 生成物が重水素化された溶媒に難溶な場 に、反応液から生成物を単離するには、例 ば生成物が溶解する有機溶媒等により反応 から生成物を抽出し、更に濾過により触媒 除くといった公知の精製方法に従ってこれ 行えばよい。

 本発明の重水素化方法によれば、ヒドロ シル基、置換基を有していてもよいアミノ 、エーテル結合又は/及び-NH-基を有する化 物を効率よく重水素化することができる。

 即ち、基質が一般式[1]で示される化合物の 合は、当該化合物中のX 1 に直結した炭素原子に結合する水素原子を選 択的に重水素化し得る。また、当該化合物中 のX 1 が一般式[2]で示される基であり且つR 2 ~R 3 が共にアルキル基又はアラルキル基である化 合物の場合には、一般式[2]で示される基のN 子に直結した、当該R 2 ~R 3 で示されるアルキル基又はアラルキル基中の 炭素原子(即ち、N原子のα位)に結合する水素 子も共に重水素化し得る。更に、当該化合 中のX 1 が化合物中に2以上ある場合は(例えば一般式[ 3]で示される化合物に相当)、2つ以上のX 1 に直結した炭素原子に結合する各々の水素原 子も重水素化し得る。

 また、基質が一般式[4]で示される化合物で り、T 2 がヒドロキシル基を有するアルキレン基であ る場合は、アミノ基に直結した炭素原子に結 合する水素原子のみを重水素化し得る。

 更に、基質が一般式[5]で示される化合物で り、X 2 がエーテル結合である場合は、R 4 及びR 5 で示されるアルキル基中の全ての水素原子を 重水素化し得る。

 また、基質が一般式[5]で示される化合物で り、X 2 が-NH-基である場合には、反応温度を適宜調 することによりR 4 及びR 5 で示されるアルキル基中の末端メチル基以外 の水素原子を全て重水素化するか(反応温度70 ~110℃)或いは-NH-基に直結する炭素原子に結合 する水素原子のみを選択的に重水素化する( 応温度30~70℃)ことができる。

 また、基質が一般式[6]で示される化合物 ある場合は、-NH-基(及びエーテル結合)に直 する炭素原子に結合する水素原子を選択的 重水素化することができる。

 以下、実施例を挙げて本発明を更に具体 に説明するが、本発明はこれらにより何ら 定されるものではない。

 以下の実施例及び比較例に於ける重水素化 は以下のようにして求めている。即ち、所 の反応終了後、反応液をエーテルで抽出し 触媒を濾過し、濾液を減圧濃縮した後、適 な内部標準物質〔例えばテレフタル酸ナト ウム、デュレン(1,2,4,5-テトラメチルベンゼ )、アセトン、アセトニトリル、ベンゼン、 ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジクロ ロメタン等〕を加えて、 1 H-NMR、 2 H-NMR及びMassスペクトルを測定して構造解析を 行い、重水素化された位置を同定し、反応基 質が有する水素原子の重水素化率を求めた。

 尚、各表に於いて、各重水素化率は、各 応基質の構造式に付記された数字の位置に る水素原子の重水素化率を示す。

 以下の実施例で用いた5%ルテニウムカー ン(Ru/C)(20重量%)とは、20重量%のルテニウムカ ーボン(即ち、活性炭等のカーボンに担持量5% となるようにルテニウム金属を担持させたも の)である。

実施例1~3.1-デカノールの選択的重水素化

 1-デカノール 0.5 mmol (75.15 mg) と5% Ru/C 20 wt % (15.03 mg)を重水2 mLに懸濁し、系内 水素置換後、常圧下(=1atm=約0.1MPa)表1の所定 温度で24時間攪拌反応させた。反応終了後、 エーテルを加えて、メンブランフィルター ( Millex-LH 0.45 μm) を用いて触媒を濾別し、濾 を水とエーテルで抽出した。得られたエー ル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグ シウムで乾燥し、溶媒を減圧留去したとこ 、目的とする重水素化合物(即ち、ヒドロキ シル基のα位のみが重水素化されたもの)が得 られた。その結果を表1に併せて示す。

実施例4~7.1級アルコール類の選択的重水素化

 表2に示す各種基質と5% Ru/C 20 wt % (15.03  mg)を重水2 mLに懸濁し、水素置換後、80 ℃ 24時間加熱攪拌反応させた以外は、実施例1 同様の操作を行うことにより、目的とする 水素化合物(即ち、ヒドロキシル基のα位の が重水素化されたもの)が得られた。その結 果を表2に併せて示す。

実施例8~10.2-デカノールの選択的重水素化

 基質として2-デカノール 0.5 mmol (75.15 mg ) と5% Ru/C 20 wt % (15.03 mg)を重水2 mLに懸 し、水素置換後、表3の所定の温度及び反応 間で反応を行うこと以外は、実施例1と同様 の操作を行うことにより目的とする重水素化 合物(即ち、ヒドロキシル基のα位のみが重水 素化されたもの)が得られた。その結果を表3 併せて示す。

実施例11~13.各種2級アルコール類の選択的重 素化

 表4に示す基質と5% Ru/C 20 wt % (15.03 mg) 重水2 mLに懸濁し、水素置換後、所定の温 で3時間加熱攪拌反応させた以外は実施例1と 同様の操作を行うことにより、目的とする重 水素化合物(即ち、ヒドロキシル基のα位のみ が重水素化されたもの)が得られた。その結 を表4に併せて示す。

実施例14~17.ジオール類及びグリセロールの選 択的重水素化

 表5に示す基質と5% Ru/C 20 wt % (15.03 mg) 重水2 mLに懸濁し、水素置換後、80 ℃で24 間加熱攪拌反応させた以外は、実施例1と同 の操作を行うことにより、目的とする重水 化合物(即ち、ヒドロキシル基のα位のみが 水素化されたもの)が得られた。その結果を 表5に併せて示す。

実施例18~22.ポリアルコール類の選択的重水素 化

 表6に示す基質 0.25 mmolと5% Ru/C 20 wt %  (15.03 mg)を重水2 mLに懸濁し、水素置換後、80  ℃で24時間加熱攪拌反応させた以外は、実 例1と同様の操作を行うことにより、目的と る重水素化合物(即ち、ヒドロキシル基のα のみが重水素化されたもの)が得られた。そ の結果を表6に併せて示す。

実施例23.n-ステアリルアミンの選択的重水素

 n-ステアリルアミン 0.25 mmol (67.38 mg)  5% Ru/C 20 wt % (13.48 mg)を重水 2 mLに懸濁 、水素置換後、80 ℃で24時間加熱攪拌した ついで、エーテルを加え、メンブランフィ ター (Millex-LH 0.45 μm)を用いて触媒を濾別 、濾液を水とエーテルで抽出した。得られ エーテル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫 マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去す と、目的とする重水素化合物(即ち、アミノ のα位のみが重水素化されたもの)が得られ 。その結果を表7に併せて示す。

実施例24.エチレンジアミンの選択的重水素化
 エチレンジアミン 0.5 mmol (30.05mg) と5% Ru/ C 20 wt % (6.01 mg)を重水2 mLに懸濁し、水素 換後、80℃で24時間加熱攪拌する。エーテル を加えて基質を溶解し、メンブランフィルタ ー (Millex-LH 0.45 μm)を用いて触媒を濾別した 。次いで、濾液に塩酸水溶液を添加し、水層 を減圧留去すると、目的とする重水素化合物 (即ち、アミノ基のα位のみが重水素化された もの)の塩酸塩が得られた〔生成物の沸点が く(bp : 約117 ℃)減圧留去で留去されてしま うため、塩酸塩として単離した〕。その結果 を表7に併せて示す。

実施例25.グリシンの選択的重水素化

 グリシン 0.25 mmol (18.77 mg) と5% Ru/C 20 wt % (3.75 mg)を重水2 mLに懸濁し、水素置換 、80 ℃で24時間加熱攪拌した。蒸留水を加 て基質を溶解し、メンブランフィルター (M illex-LH 0.45 μm) を用いて触媒を濾別し、濾 を水とエーテルで抽出した。得られた水層 エーテルで洗浄し、減圧留去すると目的と る重水素化合物(即ち、アミノ基のα位のみ 重水素化されたもの)が得られた。その結果 表8に示す。

実施例26.セリンの選択的重水素化
 セリン(ヒドロキシル基を有するアミノ酸) 用いる以外は実施例25と同様の操作を行うこ とにより目的とする重水素化物が得られた。 その結果を表8に併せて示す。

 実施例26及び表8の結果から明らかなよう 、セリン(ヒドロキシル基を有するアミノ酸 )を本発明の方法により重水素化すると、水 基ではなくアミノ基に直結した炭素原子に 合する水素原子のみが重水素化されること 分かった。

実施例27.第3級アミンの選択的重水素化

 (n-ブチル) 3 N 0.50 mmol (92.7 mg) と5% Ru/C 20 wt % (18.5 mg )を重水2.0 mLに懸濁し、水素置換後、50℃で24 時間加熱攪拌した。次いで、エーテルを加え 、メンブランフィルター (Millex-LH 0.45 μm)を 用いて触媒を濾別し、濾液を水とエーテルで 抽出した。得られたエーテル層を飽和食塩水 で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、 溶媒を減圧留去すると、目的とする重水素化 合物(即ち、アミノ基のα位のみが重水素化さ れたもの)が得られた。その結果、重水素化 を収率86%で得ることができた。また、α位の 重水素化率は97%であった。

実施例28.モルホリンの重水素化

 モルホリン 0.25 mmol (21.78 mg) と5% Ru/C  20 wt % (4.4 mg)を重水 2 mLに懸濁し、水素置 換後、80 ℃で24時間加熱攪拌した。次いで、 エーテルを加え、メンブランフィルター (Mil lex-LH 0.45 μm)を用いて触媒を濾別し、濾液を 水とエーテルで抽出した。得られたエーテル 層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシ ウムで乾燥後、溶媒を減圧留去すると、目的 とする重水素化合物(即ち、全ての水素原子 重水素化されたもの)が得られる。その結果 重水素化物を収率88%で得ることができた。 た、Nのα位の重水素化率は84%、β位は18%で った。

実施例29.ジオクチルエーテルの重水素化

 ジオクチルエーテル 0.25 mmol (60.61 mg) と5 % Ru/C 20 wt % (12.1 mg)を重水 2 mLに懸濁し 水素置換後、80 ℃で24時間加熱攪拌した。 いで、エーテルを加え、メンブランフィル ー (Millex-LH 0.45 μm)を用いて触媒を濾別し 濾液を水とエーテルで抽出した。得られた ーテル層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸 グネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去する 、目的とする重水素化合物(即ち、エーテル 合物中の全ての水素原子が重水素化された の)が得られる。その結果、重水素化物を収 率100%で得ることができた。また、重水素化 は上記した図に示した通りである。
 以上の結果から明らかなように、本発明の 水素化方法によれば、エーテル化合物の全 の水素原子が重水素化されることが判る。

実施例30.ジペンチルアミンの重水素化

 ジペンチルアミン 0.5 mmol (78.65mg) と5% Ru/ C 20 wt % (15.73 mg)を重水2 mLに懸濁し、水素 置換後、80℃で24時間加熱攪拌する。エーテ を加えて基質を溶解し、メンブランフィル ー (Millex-LH 0.45 μm)を用いて触媒を濾別し 。次いで、濾液に塩酸水溶液を添加し、水 を減圧留去すると、目的とする重水素化合 (即ち、末端メチル基以外が重水素化された の)の塩酸塩(収率92%)が得られた〔生成物の 点が低く(bp : 約202 ℃)減圧留去で留去さ てしまうため、塩酸塩として単離した〕。
 以上の結果から明らかなように、本発明の 水素化方法によれば、2級アミン(即ち-NH-基 有する化合物)の末端メチル基以外の炭素原 子に結合する水素原子が重水素化されること が判る。

 実施例31~36.各種アミンの選択的重水素化

 表9に示す基質 0.25 mmolと5% Ru/C 20 wt %  (13.48 mg)を重水2 mLに懸濁し、水素置換後、50  ℃で24時間加熱攪拌反応させた以外は、実 例1と同様の操作を行うことにより、目的と る重水素化合物(即ち、アミノ基のα位のみ 重水素化されたもの)が得られた。但し、実 施例36以外は生成物の沸点が低いため、塩酸 として単離した。その結果を表9に併せて示 す。

 実施例1~7及び実施例8~13の結果から明らか なように、本発明の重水素化方法によれば1 アルコール(実施例1~7)及び2級アルコール(実 例8~13)を選択的に重水素化することができ 。即ち、ヒドロキシル基のα位のみを重水素 化することができる。

 また、実施例14~17及び実施例18~22の結果か ら明らかなように、本発明の重水素化方法に よれば多価アルコールについても選択的に重 水素化、即ちヒドロキシル基のα位のみを重 素化することができる。

 更に、実施例23~24、27、31~33及び35~36の結 から明らかなように、本発明の重水素化方 によれば各種アミン化合物についても選択 に重水素化、即ちアミノ基のα位のみを重水 素化することができる。

 更にまた、実施例26~27の結果から明らか ように、本発明の重水素化方法によれば各 アミノ酸が有するアミノ基のα位のみを選択 的に重水素化できる。特に、ヒドロキシル基 を有するアミノ酸(セリン)は、水酸基ではな アミノ基に直結した炭素原子に結合する水 原子のみを選択的に重水素化することが分 った(実施例27)。

 また、本発明の重水素化方法によれば、 ルホリン(即ち、エーテル結合と-NH-基を含 する化合物)のエーテル基または-NH-基に直結 する炭素原子に結合する水素原子を選択的に 重水素化することができる(実施例28)。

 更に、実施例29の結果から明らかなよう 、本発明の重水素化方法によればジアルキ エーテルの全ての水素原子を効率的に重水 化することができる。

 さらにまた、実施例30と実施例34の結果か ら明らかなように、本発明の重水素化方法に よれば、ジアルキルアミン化合物を温度条件 によってアミノ基のα位のみを選択的に重水 化するか(50℃;実施例34)或いはアミノ基の末 端メチル基以外の炭素原子に結合する全ての 水素原子を効率的に重水素化することができ る(80℃;実施例30)。

 このように、本発明の重水素化方法を用 れば、各種基質の重水素化率を向上させる とのみならず、特定の基質については、そ 特定位置を選択的に重水素化し得る。




 
Previous Patent: TUBULAR SPUTTERING TARGET

Next Patent: RAINDROP DETECTING SYSTEM