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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF DIAGNOSING CANCER IN MAMMAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/025094
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a method of diagnosing cancer in a mammal. A method of measuring the concentration of midkine in the blood, in particular, in the plasma of a mammal carrying a malignant tumor by optimizing the combination of antibodies employed.

Inventors:
OHNO TSUNEYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050717
Publication Date:
February 26, 2009
Filing Date:
January 21, 2008
Export Citation:
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Assignee:
OHNO TSUNEYA (JP)
International Classes:
G01N33/543; G01N33/574
Domestic Patent References:
WO2001020333A12001-03-22
Other References:
MOTOJI KITAWAGA ET AL.: "Kensa data o kangaeru suigan", KENSA TO GIJUTSU, vol. 31, no. 1, 1 January 2003 (2003-01-01), pages 65 - 69
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MAMORU KONUMA: "Lymphoma no shindan to chiryo", VEC, vol. 4, no. 4, 1 December 2006 (2006-12-01), pages 18 - 36
YOSHINORI OISHI ET AL.: "Neko no kojosen gan no ichirei", THE JAPANESE SOCIETY OF SMALL ANIMAL VETERINARY MEDICINE SHOROKU, vol. 2004, 2004, pages 17
SHUNTARO IKEDA ET AL.: "Ushi midkine(MK) no cDNA cloning to ushi ranshi saiboshitsu seijuku sokushin inshi to shite no kumikae tanpakushitsu no sakusei", SHOKUNIKU NI KANSURU JOSEI KENKYU CHOSA SEIKA HOKOKUSHO, vol. 18, December 2000 (2000-12-01), pages 21 - 26
Attorney, Agent or Firm:
SHOJI, Takashi et al. (3-4-1 Higashi-nihonbash, Chuo-ku Tokyo 04, JP)
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Claims:
以下の工程及び抗体の組み合わせを含む哺乳動物の癌の診断方法:
(1)哺乳動物由来の生体試料を、固相に結合させた1次抗体と反応させる工程;
(2)さらに標識化2次抗体を該生体試料と反応させる工程;
(3)該固相に捕捉された標識量を測定する工程;
 および、上記1次抗体と上記2次抗体の組み合わせが以下である、
(a)1次抗体がIP9又はその断片、2次抗体がIP10又はその断片;
(b)1次抗体がIP10又はその断片、2次抗体がIP9又はその断片;
(c)1次抗体がSC2又はその断片、2次抗体がSC4又はその断片;
(d)1次抗体がSC4又はその断片、2次抗体がSC2又はその断片;
 ことを特徴とする哺乳動物の癌の診断方法。
上記標識量と予め設定しておいたcut off値と比較して、該標識量が該cut off値を超えた場合には、画像診断により癌の病巣部位を検査することを特徴とする請求項1に記載の哺乳動物の癌の診断方法。
上記標識量と予め設定しておいた基準値と比較して、癌の進行度合いを判定することを特徴とする請求項2に記載の哺乳動物の癌の診断方法。
上記標識量と予め設定しておいた基準値と比較して、癌治療による回復度合いを判定することを特徴とする請求項1に記載の哺乳動物の癌の診断方法。
上記生体試料が、血漿であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1に記載の哺乳動物の癌の診断方法。
上記癌が、脾腫、乳腺腫瘍、前立腺癌、乳腺癌、骨肉腫又は繊維肉腫であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1に記載の哺乳動物の癌の診断方法。
上記癌が、扁平上皮癌、メラノーマ、脳腫瘍、肥満細胞腫、肺腫瘍、肝癌、滑膜肉腫、平滑筋腫であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1に記載の哺乳動物の癌の診断方法。
IP9及びIP10の抗体の組み合わせ又はSC2及びSC4の抗体の組み合わせと、標準試料として用いられるミッドカインを含む哺乳動物の癌の診断キット。
Description:
哺乳動物の癌の診断方法

 本発明は、哺乳動物特にイヌ、ネコの癌の 断方法に関する。
 また、本出願は、参照によりここに援用さ るところ、日本特許出願番号2007-213271から 優先権を請求する。

 社会構造の発達と変化は、人間社会の構 員としての愛玩動物の重要性が高まってい 。近年、愛玩動物の代表例であるイヌ、ネ は、単にペットという存在ではなく、人間 生活の伴侶、すなわち家族の一員として位 付けられるようになっている。

 また、飼い主とイヌ、ネコの関係は極めて 密であり、飼い主はイヌ、ネコの日々の体 を注意深く観察している。しかし、飼い主 、イヌ、ネコの日々の行動から悪性腫瘍の 患状態を早期に感知、発見に至る場合はほ んどない。特に、イヌ癌の進行は、ヒトの と比較して、5~8倍の早さで進行する。
 飼い主が、イヌ、ネコの症状より獣医師に 察させる事例は、殆ど進行癌の場合である このような場合でも、現在の診断方法は、 ックス線等の画像診断による方法以外の有 な方法がない。
 よって、イヌ、ネコの悪性腫瘍による死亡 は多い、ネコの全死亡例の32%は悪性腫瘍が 因であり、イヌの全死亡例の47%は悪性腫瘍 原因である。

 上記状況が愛玩動物の悪性腫瘍の発見を らせ、愛玩動物に有効な治療を施すことが きず愛玩動物が死に至るので、飼い主は大 な悲しみを有する。

 癌の進展ないし拡大の程度は、一般に早期 、進行癌、末期癌と表現される。このうち 期癌は、基本的には無症状である。特に哺 動物の日々の行動から早期癌を検出するの 不可能である。したがって、哺乳動物の早 癌を検出するには、好ましくは定期的に癌 診断を行うことが必要である。
 このように定期的に癌の診断の行うには、 ずは簡便な操作で、かつ高感度に検出でき 系が必要である。

 ミッドカイン(以後、"MK"と称す場合があ )は、1989年に村松喬氏と門松健治氏により発 見され、胎生中期(Midgestation Period)に最も強 発現、そしてヘパリン結合性の成長因子で るサイトカイン(Cytokine)である。ミッドカイ は、塩基性の低分子量(分子量:13,240)のタン ク質であり、細胞保護作用・成長作用、炎 性細胞の遊走を促進し炎症を促進する作用 アポトーシス(細胞死)を抑制する作用など 持つサイトカインに分類される。成体での 現は限局されるが、発癌、そして炎症、修 の過程で強く発現するという特徴を有して る。該特徴により、癌の診断マーカーとし 有用であり、ポリクローナル抗ミッドカイ 抗体を使用したELISAキットがすでに販売され ている(Elegance MIDKINE ELISA, 販売元:Bioclone Lim . Sydney, Australia)。

 また、MK遺伝子をプローブとしたノーザン ロットによる癌の診断法(特許文献1)、抗MKタ ンパク質抗体を含む癌の診断薬(特許文献2)、 早期癌腫瘍マーカー(特許文献3)が提案されて いる。しかしながら、これらの公開特許には 、哺乳動物の癌の診断方法を対象としていな い。
 したがって、哺乳動物の癌特に早期癌の診 方法の開発が望まれている。

特開平6-113898

特開平6-172218

再公表特許WO01/020333

 本発明らは、上記記載の従来技術の問題を 決すべく、市販のヒト用ポリクローナル抗 ッドカイン抗体を使用したELISAキットを使 して哺乳動物の癌の診断を行った。しかし がら、担癌哺乳動物の検出結果は、正常哺 動物の検出結果と比較して、有意な差を得 ことができなかった。すなわち、癌の診断 行なうことができなかった。
 そこで、本発明者らは、新たに哺乳動物の の診断方法を提供することを課題とする。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 鋭意研究を重ねた結果、使用する抗体の組 合わせを最適化することにより、悪性腫瘍 有する哺乳動物の血中特に血漿中のミッド イン濃度の測定方法を提供する。

 つまり、本発明は、以下の通りである。
「1.以下の工程及び抗体の組み合わせを含む 乳動物の癌の診断方法:
(1)哺乳動物由来の生体試料を、固相に結合さ せた1次抗体と反応させる工程;
(2)さらに標識化2次抗体を該生体試料と反応 せる工程;
(3)該固相に捕捉された標識量を測定する工程 ;
 および、上記1次抗体と上記2次抗体の組み わせが以下である、
(a)1次抗体がIP9又はその断片、2次抗体がIP10又 はその断片;
(b)1次抗体がIP10又はその断片、2次抗体がIP9又 はその断片;
(c)1次抗体がSC2又はその断片、2次抗体がSC4又 その断片;
(d)1次抗体がSC4又はその断片、2次抗体がSC2又 その断片;
 ことを特徴とする哺乳動物の癌の診断方法
 2.上記標識量と予め設定しておいたcut off値 と比較して、該標識量が該cut off値を超えた 合には、画像診断により癌の病巣部位を検 することを特徴とする前項1に記載の哺乳動 物の癌の診断方法。
 3.上記標識量と予め設定しておいた基準値 比較して、癌の進行度合いを判定すること 特徴とする前項2に記載の哺乳動物の癌の診 方法。
 4.上記標識量と予め設定しておいた基準値 比較して、癌治療による回復度合いを判定 ることを特徴とする前項1に記載の哺乳動物 癌の診断方法。
 5.上記生体試料が、血漿であることを特徴 する前項1~4のいずれか1に記載の哺乳動物の の診断方法。
 6.上記癌が、脾腫、乳腺腫瘍、前立腺癌、 腺癌、骨肉腫又は繊維肉腫であることを特 とする前項1~5のいずれか1に記載の哺乳動物 癌の診断方法。
 7.上記癌が、扁平上皮癌、メラノーマ、脳 瘍、肥満細胞腫、肺腫瘍であることを特徴 する前項1~5のいずれか1に記載の哺乳動物の の診断方法。
 8.IP9及びIP10の抗体の組み合わせ又はSC2及びS C4の抗体の組み合わせと、標準試料として用 られるミッドカインを含む哺乳動物の癌の 断キット。」

 本発明では、悪性腫瘍を有する哺乳動物 血中特に血漿中のミッドカイン濃度の測定 法を完成し、哺乳動物の癌の診断方法を確 した。

(哺乳動物)
 本発明の哺乳動物とは、ヒトを除く哺乳動 一般を意味する。特に、いわゆる愛玩動物 ある、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ウサギ、 マ特に競馬ウマ等を意味する。

(癌)
 本発明の哺乳動物の癌の診断方法における 種は特に限定されないが、前立腺癌、乳腺 、骨肉腫、繊維肉腫、胃癌、肝細胞癌、食 癌、大腸癌、胆管癌、転移性肝癌、乳癌、 癌、膵癌、脾腫、乳腺腫瘍、扁平上皮癌、 ラノーマ、脳腫瘍、肥満細胞腫、肺腫瘍、 癌、滑膜肉腫、平滑筋腫等が挙げられる。
 特に、「早期癌」とは、腫瘍が発生した局 (粘膜内)に限局していて、周囲組織への浸 のないもの、あるいは浸潤があってもその 囲が局所に限局しているものを言う。哺乳 物特にイヌの癌の進行度合いが早く、早期 を検出することは重要である。

(ミッドカイン)
 本発明のミッドカイン(「MK」)とは、全長MK ンパク質、又はMKの生物活性を有する任意 長さのアミノ酸配列を有するフラグメント 含む。Nドメインを欠く変異型MKが癌特異的 発現しており(Kaname T.et al.:Biochem.Biophys.Res.Co mmun.,219:256-260,1996)、このような変異型MKも含 。遺伝子組み換え技術によって生成されたMK 、および化学合成されたMKは、本明細書では 換可能に用いられる。ヒト全長MKをコード るDNA配列は公知(米国特許:5,461,029)である。MK の生物活性とは、MKが細胞に与える生理的な 用のみならず、抗MK抗体との免疫学的な反 性も含む。
 特に、ミッドカインは、さまざまなタイプ 不特定癌において、早期に血中や尿中のレ ルが健常人の基準値に比較して上昇するこ が知られている。すなわち、不特定癌に対 る広いスペクトルを有し、感度が高いとい てよい。臓器を問わず幅広く早期癌のスク ーニングを行うには、特定癌に対する高い 出感度、特異性とともに、不特定癌検出に する広いスペクトルが求められる。ミッド インは、このようなスクリーニングに必要 感度と特異性を備えていると言える。

(1次抗体、2次抗体)
 本発明の1次抗体及び2次抗体は、いずれも ッドカインに対するモノクローナル抗体で り、以下を使用する。なお、以下の抗体は いずれもabcam 登録商標 (アブカム株式会社:日本オフィス)より入手可 能である。
 IP9:コード番号ab52317
 IP10:コード番号ab52318
 SC2:コード番号ab52319
 SC4:コード番号ab52320
 さらに、上記抗体の断片も抗体として使用 ることができる。なお、「断片」とは、ミ ドカインに対する特異的認識能力を保持し がら、抗体の一部のアミノ酸配列が欠如し いるタンパク質を意味する。

(生体試料)
 本発明の「生体試料」とは、哺乳動物より ることができる試料を意味する。より具体 には、例えば、血液、血漿、尿、及びその の分泌物等を挙げることができる。なお、 体試料にヘパリンを添加しても良い。
 なお、血漿は自体公知の方法より得られる 、例えば、血液(全血)から抗凝固作用のあ ヘパリン、EDTA、クエン酸等を添加して得る

(癌の診断)
 本発明の「癌の診断」とは、哺乳動物(被検 体)の生体内に癌が存在する可能性が高いこ を判定することを意味する。
 本発明の哺乳動物の癌の診断方法に対して 、任意の集団を対象として癌が存在する可 性が高い被検体を絞り込むことを目的とす 。
 さらに、本発明の癌の診断方法では、標識 と予め設定しておいたcut off値と比較して 該標識量が該cut off値を超えた場合には、さ らにエックス線画像診断等の画像診断により 癌の病巣部位を検査することも含む。
 なお、cut off値の設定方法としては、癌の 在しない哺乳動物の生体試料から得られる 識量の平均値から算出する。通常、予め決 したcut off値の標準偏差の1.5倍、好ましくは 2倍、より好ましくは3倍の標識量を生じる生 試料は、癌に対して陽性であると考えられ 。

 さらに、本発明の癌の診断方法では、標識 と予め設定しておいた基準値とを比較して 癌の進行度合いを判定する又は癌治療によ 回復度合いを判定することも含む。
 なお、基準値とは各癌種における進行度を す標準値を示す。一般的に、生体試料中の ッドカイン濃度は、早期癌、進行癌、末期 になるにつれて上昇すると考えられる。基 値の設定方法としては、予め各癌の進行度 いを確認している担癌哺乳動物の生体試料 ら得られる標識量の平均値から算出する。

 本発明の癌の診断方法では、ある哺乳動物 生体試料中のミッドカイン濃度を測定する そして、該ミッドカイン濃度が、予め設定 ておいたcut off値を超える場合には、該哺 動物がある悪性腫瘍の罹患状態にある可能 が非常に高い。これにより、獣医師が該哺 動物の病巣を画像診断より検査する。そし 、獣医師が該哺乳動物の病巣位置及び癌種 特定する。
 さらに、生体試料中のミッドカイン濃度と 準値を比較することにより、癌の進行度合 (早期癌、進行癌、末期癌)を判定すること できる。
 また、癌治療中の哺乳動物の生体試料中の ッドカインを定期的に測定することにより 癌治療効果である回復度合いの確認をする とができる。これにより、獣医師は、現在 用している癌治療方法の効果を確認するこ ができる。さらに、獣医師は、測定したミ ドカイン濃度と基準値を比較することを基 して、望むような治療効果が得られないよ な場合には、適宜癌治療方法を変更するこ ができる。

(生体試料中のミッドカイン濃度の測定方法)
 本発明の生体試料中のミッドカイン濃度の 定方法は、ミッドカインに対するモノクロ ナル抗体を用いたEIA(ELISA)法、RIA法、FIA、化 学発光イムノアッセイ、あるいはECLIA法など 用いて測定することができる。特に、EIA法 好ましい。
 ミッドカイン濃度測定の一例では、1次抗体 を固相に自体公知のブロッキング剤を使用し て固定化する。次に、生体試料、続いて酵素 標識化2次抗体を該固相に添加する。ここで 該固相を洗浄することにより、生体試料中 ミッドカインと結合していない標識化2次抗 が固相から除去される。さらに、反応基質 該固相に添加することで、該酵素と該反応 質が反応して、該固相中の標識量である溶 の吸光度が上昇する。
 固相としては、試験管、96穴の反応プレー 、ビーズ等が使用できるが、特に限定され い。
 また、標識量とは、ミッドカインに特異的 結合した2次抗体量の指標であり、該2次抗 量は生体試料中のミッドカイン濃度に比例 る。すなわち、標識量の増減が生体試料中 ミッドカイン濃度の増減を意味する。

 本発明の癌の診断方法の測定装置は、1次抗 体をニトロセルロースのようなメンブレン上 に固相化したフロースルー(flow-through)テスト 又はストリップテスト型を用いて実施でき 。
 フロースルーテスト型においては、生体試 がメンブレンを通り抜けるとき、生体試料 のミッドカインは1次抗体に結合する。次に 、標識化2次抗体を含む溶液がメンブレンを り抜けるとき、該2次抗体は、1次抗体-ミッ カイン複合体に結合する。次に、結合した2 抗体は上記示した方法で検出する。
 ストリップテスト型においては、1次抗体が 結合したメンブレンの一端を生体試料を含む 溶液中に浸す。生体試料は、2次抗体を含む 域を通過するようにメンブレンを移動し1次 体のエリアに向かって移動する。1次抗体の エリアにおける2次抗体の濃度がミッドカイ 濃度を示す。
 また、標識量を公知のplate reader等で機械的 に読み取ることにより、生体試料中のミッド カインの定量的な測定が可能である。

(哺乳動物の癌の診断キット)
 本発明の哺乳動物の癌の診断キットは、少 くともIP9及びIP10の抗体の組み合わせ又はSC2 及びSC4の抗体の組み合わせと、標準試料とし て用いられるミッドカインを含む。
 さらに、本発明の哺乳動物の癌の診断キッ には、2次抗体を標識するための標識成分、 標識成分の検出に必要な酵素基質、及び取り 扱い指示書等を組み合わせることができる。

 以下に本発明を実施例により具体的に説 する。なお、これらの実施例は本発明を説 するためのものであって、本発明の範囲を 定するものではない。

(抗体の組合せの検討)
 IP9、IP10、SC2及びSC4の4種類のモノクローナ 抗体(すべてIgG1 subclass)の組み合わせを検討 た。詳細は、以下の通りである。
 各1次抗体(IP9、IP10、SC2又はSC4:100μl of 1.0μg  /ml in PBS)を固相であるマイクロタイタープ レート(Maxsorp plate, 販売元: NalgeNunk Int. Toky o, Japan)の各ウエルに添加し、4℃で16時間静 した。次に、PBS(0.05% Tween 20 )で該各ウエル 内を洗浄した後に、該各ウエル内をブロッキ ング剤200μl{PBS-1%BSA(RIA grade) 又はPBS-1% Block  Ace}により室温で2時間ブッキングをした。次 、各サンプル20μl{緩衝液、ミッドカイン(株 式会社ペプチド研究所)、前立腺癌細胞の上 液}及び予めペロキシダーゼ標識した各2次抗 体(IP9、IP10、SC2又はSC4:100μl of 1.0μg in diluen ts)を該各ウエルに添加し、室温で4時間プレ トシェイカーにより攪拌した。次に、該各 エルをPBS(0.05% Tween20)で5回洗浄した。さらに 、基質溶液100μl(TMB Microwell Peroxidase Substrate System,販売元:KPL com, Gaithersburg MD, USA)を該 ウエルに添加し、室温で10分間静置した。該 各ウエル内の酵素基質反応を停止するために 、1M リン酸100μlを該各ウエル内に添加した 最後に、該各ウエル内の吸光度(OD450)をmultipl ate reader(Multiskan EX, 販売元:Thermo electron corp ., vantaa, Finland)により測定した。
 なお、2次抗体のペロキシダーゼ標識には、 Peroxidase Labeling Kit-NH 2 (販売元:Dojinndo Lab. Kumamoto, Japan)を用いた

 上記測定結果を下記表1,2に示す。
 1次抗体がIP9の場合には、2次抗体がIP10抗体 みELISA測定反応が得られた。また、1次抗体 IP10の場合には、2次抗体がIP9抗体のみELISA測 定反応が得られた。また、1次抗体がSC2の場 には、2次抗体がSC4抗体のみELISA測定反応が られた。また、1次抗体がSC4の場合には、2次 抗体がSC2抗体のみELISA測定反応が得られた。
 以上の結果より、本発明の哺乳動物の癌の 断方法に使用する抗体の最適な組み合わせ 決定した。
 加えて、上記測定では、2種類(BSA、Block Ace) のブロッキング剤を使用した結果、BSAではバ ックグランド値が高くなる傾向があることを 確認した。よって、ブッロキング剤として、 Block Aceが優れていることを確認した。しか ながら、BSAをブロッキング剤として使用し ELISA測定することもできる。
 なお、Block Aceとは、乳タンパク質と有機酸 緩衝塩を主成分としてブロッキング剤であり 、大日本住友製薬株式会社から購入可能であ る。

(定量検出の確認)
 上記実施例1で最適な抗体の組合で測定した 場合には、ミッドカインを定量的に検出する ことができるかを確認した。また、コントロ ールとして市販のポリクローナル抗体のELISA kit(Elegance MIDKINE ELISA, 販売元:Bioclone Lim. Sy dney, Australia)を使用した。詳細は、以下の通 である。
 各1次抗体(IP9、IP10、SC2又はSC4:100μl of 1.0μg  /ml in PBS)を固相であるマイクロタイタープ レート(Maxsorp plate, 販売元: NalgeNunk Int. Toky o, Japan)の各ウエルに添加し、4℃で16時間静 した。次に、PBS(0.05% Tween 20 )で該各ウエル 内を洗浄した後に、該各ウエル内をブロッキ ング剤200μl(PBS-1% Block Ace)により室温で2時間 ブッキングをした。各濃度のミッドカイン{0 0.00625、0.0125、0.025、0.05、1(μl):株式会社ペ チド研究所}及び予めペロキシダーゼ標識し 各2次抗体(IP9、IP10、SC2又はSC4:100μl of 1.0μg  in diluents)を該各ウエルに添加し、室温で4 間プレートシェイカーにより攪拌した。次 、該各ウエルをPBS(0.05% Tween20)で5回洗浄した 。さらに、基質溶液100μl(TMB Microwell Peroxidase  Substrate System, 販売元:KPL com, Gaithersburg MD,  USA)を該各ウエルに添加し、室温で10分間静 した。該各ウエル内の酵素基質反応を停止 るために、1M リン酸100μlを該各ウエル内に 添加した。最後に、該各ウエル内の吸光度(OD 450)をmultiplate reader(Multiskan EX, 販売元:Thermo  electron corp., vantaa, Finland)により測定した。
 なお、市販のポリクローナル抗体のELISA kit を使用した測定方法は、キット添付の説明書 に従った。

 上記測定結果を下記表3及び図1~5に示す。
 1次抗体がIP9、2次抗体がIP10抗体を用いての 定では、直線性を示し、十分にミッドカイ の定量が可能である(図1)。また、1次抗体が IP10、2次抗体がIP9抗体でも同様な結果であっ (図2)。1次抗体がSC2、2次抗体がSC4抗体でも 様な結果であった(図3)。1次抗体がSC4、2次抗 体がSC2でも同様な結果であった(図4)。
 以上の結果より、本発明の抗体の組み合わ を用いた測定方法は、ミッドカインを定量 に測定することができ、かつ定量線を設定 ることができる。これにより、cut off値及 基準値を設定することができる。

(原発腫瘍細胞の培養上清中のミッドカイン 定)
 哺乳動物(イヌ)の原発腫瘍細胞の培養上清 のミッドカイン量を測定できるかを確認し 。詳細は、以下の通りである。
 各1次抗体(IP9、IP10、SC2又はSC4:100μl of 1.0μg /ml in PBS)を固相であるマイクロタイタープ ート(Maxsorp plate, 販売元: NalgeNunk Int. Tokyo,  Japan)の各ウエルに添加し、4℃で16時間静置 た。次に、PBS(0.05% Tween 20 )で該各ウエル を洗浄した後に、該各ウエル内をブロッキ グ剤200μl(PBS-1% Block Ace)により室温で2時間 ッキングをした。各サンプル20μl(緩衝液、 ヌの前立腺癌細胞の培養上清液、乳腺癌細 の培養上清液及び骨肉腫細胞の培養上清液) び予めペロキシダーゼ標識した各2次抗体(IP 9、IP10、SC2又はSC4:100μl of 1.0μg in diluents)を 該各ウエルに添加し、室温で4時間プレート ェイカーにより攪拌した。次に、該各ウエ をPBS(0.05% Tween20)で5回洗浄した。さらに、基 質溶液100μl(TMB Microwell Peroxidase Substrate Syste m, 販売元:KPL com, Gaithersburg MD, USA)を該各ウ エルに添加し、室温で10分間静置した。該各 エル内の酵素基質反応を停止するために、1 M リン酸100μlを該各ウエル内に添加した。最 後に、該各ウエル内の吸光度(OD450)をmultiplate reader(Multiskan EX, 販売元:Thermo electron corp.,  vantaa, Finland)により測定した。

 上記測定結果を下記表4に示す。
 いずれの抗体の組み合わせを用いた測定で 各癌種の培養上清液中のミッドカインを定 的に測定することができた。特に、前立腺 細胞の培養上清液中のミッドカイン値が他 癌種よりも産出されていることがわかった
 以上の結果より、哺乳動物特にイヌの癌細 の培養上清液でもミッドカインが産出され いることを確認した。さらに、細胞の培養 清中のミッドカイン量を測定することによ 、哺乳動物の癌の診断を行なうことができ ことを確認した。

(血漿中のミッドカイン測定による哺乳動物 癌の診断)
 正常犬及び担癌犬の血漿中のミッドカイン 測定することにより、哺乳動物の癌の診断 行なうことができるかを確認した。なお、E DTAとヘパリンで同時採血した血漿で測定を行 なった。
 詳細は、以下の通りである。
 各1次抗体(IP9、IP10、SC2又はSC4:100μl of 1.0μg  /ml in PBS)を固相であるマイクロタイタープ レート(Maxsorp plate, 販売元: NalgeNunk Int. Toky o, Japan)の各ウエルに添加し、4℃で16時間静 した。次に、PBS(0.05% Tween 20 )で該各ウエル 内を洗浄した後に、該各ウエル内をブロッキ ング剤200μl(PBS-1% Block Ace)により室温で2時間 ブッキングをした。各サンプル20μl(緩衝液、 クエン酸採血、EDTA採血、ヘパリン採血)及び めペロキシダーゼ標識した各2次抗体(IP9、IP 10、SC2又はSC4:100μl of 1.0μg in diluents)を該各 ウエルに添加し、室温で4時間プレートシェ カーにより攪拌した。次に、該各ウエルをPB S(0.05% Tween20)で5回洗浄した。さらに、基質溶 液100μl(TMB Microwell Peroxidase Substrate System,  売元:KPL com, Gaithersburg MD, USA)を該各ウエル に添加し、室温で10分間静置した。該各ウエ 内の酵素基質反応を停止するために、1M リ ン酸100μlを該各ウエル内に添加した。最後に 、該各ウエル内の吸光度(OD450)をmultiplate reade r(Multiskan EX, 販売元:Thermo electron corp., vantaa , Finland)により測定した。
 なお、担癌犬では、IP9及びIP10のみを使用し て測定した。

 上記測定結果を下記表5、6及び図6に示す。
 担癌犬の血漿は、正常犬の血漿よりもミッ カイン濃度が高い傾向を示した。特に、骨 腫の担癌犬では、血漿中のミッドカイン濃 が高い値を示した。
 また、EDTA採血とヘパリン採血した血漿のミ ッドカイン濃度を比較すると、EDTA採血した 分がミッドカイン濃度が高いが、ヘパリン 血でも十分にミッドカイン濃度を検出する とができることを確認した。

(ヘパリン添加効果の確認)
 ヘパリン添加によるミッドカイン濃度の影 を確認にした。詳しくは、以下の通りであ 。
 最初に、各濃度ミッドカイン{0.025、0.05、0.1 (μM):株式会社ペプチド研究所}にヘパリン(100U /ml)を添加した後、室温1時間で静置して、サ プルを作成した。
 次に、各1次抗体(IP9、IP10、SC2又はSC4:100μl o f 1.0μg/ml in PBS)を固相であるマイクロタイ ープレート(Maxsorp plate, 販売元: NalgeNunk Int . Tokyo, Japan)の各ウエルに添加し、4℃で16時 静置した。次に、PBS(0.05% Tween 20 )で該各 エル内を洗浄した後に、該各ウエル内をブ ッキング剤200μl(PBS-1% Block Ace)により室温で 2時間ブッキングをした。上記作成した各サ プル20μl及び予めペロキシダーゼ標識した各 2次抗体(IP9、IP10、SC2又はSC4:100μl of 1.0μg in diluents)を該各ウエルに添加し、室温で4時間 レートシェイカーにより攪拌した。次に、 各ウエルをPBS(0.05% Tween20)で5回洗浄した。 らに、基質溶液100μl(TMB Microwell Peroxidase Sub strate System, 販売元:KPL com, Gaithersburg MD, USA )を該各ウエルに添加し、室温で10分間静置し た。該各ウエル内の酵素基質反応を停止する ために、1M リン酸100μlを該各ウエル内に添 した。最後に、該各ウエル内の吸光度(OD450) multiplate reader(Multiskan EX, 販売元:Thermo elect ron corp., vantaa, Finland)により測定した。

 上記測定結果を下記表7に示す。
 1次抗体がIP9、2次抗体がIP10の場合及び1次抗 体がIP10、2次抗体がIP9を用いた測定は、ヘパ ンを添加してない場合と比較して、ミッド イン値が上昇することを確認した。
 しかしながら、1次抗体がSC2、2次抗体がSC4 場合及び1次抗体がSC4、2次抗体がSC2を用いた 測定の場合は、ヘパリンを添加してない場合 と比較して、ミッドカイン値が減少すること を確認した。
 以上の結果より、1次抗体がIP9、2次抗体がIP 10の場合及び1次抗体がIP10、2次抗体がIP9を用 た測定では、生体試料にヘパリンを添加す ことでミッドカインを高感度で検出するこ ができる。

(市販のポリクローナル抗体のELISAキットを使 用しての哺乳動物の癌の診断)
 市販されているヒトミッドカインELISA kit(El egance MIDKINE ELISA, 販売元:Bioclone Lim. Sydney,  Australia)が哺乳動物の癌の診断に使用できる を確認した。また、該キットの測定結果を 発明の測定方法により得られる結果と比較 た。
 詳細は、以下の通りである。
 ヒトミッドカインELISA kitの添付説明書に従 い、キット中のポリクローナル抗体を固相で あるマイクロタイタープレート(Maxsorp plate,  販売元: NalgeNunk Int. Tokyo, Japan)の各ウエル 添加し、4℃で16時間静置した。次に、PBS(0.05 % Tween 20 )で該各ウエル内を洗浄した後に、 該各ウエル内をブロッキング剤200μl(PBS-1% Blo ck Ace)により室温で2時間ブッキングをした。 正常犬又は担癌犬(骨肉腫、繊維肉腫)の血漿 ンプル20μl及びキット中の予めペロキシダ ゼ標識したポリクローナル抗体を該各ウエ に添加し、室温で4時間プレートシェイカー より攪拌した。次に、該各ウエルをPBS(0.05% Tween20)で5回洗浄した。さらに、基質溶液100μ l(TMB Microwell Peroxidase Substrate System, 販売元: KPL com, Gaithersburg MD, USA)を該各ウエルに添 し、室温で10分間静置した。該各ウエル内の 酵素基質反応を停止するために、1M リン酸10 0μlを該各ウエル内に添加した。最後に、該 ウエル内の吸光度(OD450)をmultiplate reader(Multis kan EX, 販売元:Thermo electron corp., vantaa, Finla nd)により測定した。
 なお、本発明の測定方法は、実施例4に記載 の測定方法と同様に行った。サンプルは、正 常犬及び担癌犬(骨肉腫、繊維肉腫)の血漿20μ lとした。担癌犬のサンプルでは、1次抗体をI P9とし、2次抗体をIP10とした。

 上記測定結果を下記表8~10及び図7に示す。
 市販されているヒトミッドカインELISA kitを 用いた測定方法では、正常犬の測定値と担癌 犬の測定値間には十分な差異が検出されなか った。より詳しくは、正常犬の測定値が、担 癌犬の測定値と比較して、高い場合があった 。
 一方、本発明の測定方法では、正常犬の測 値と担癌犬との測定値間は十分な差異を検 することができた。
 これにより、市販されているヒトミッドカ ンELISA kitでは、哺乳動物の癌の診断に使用 できないことを確認した。

1次抗体IP9、2次抗体IP10を用いてのミッ カインの定量測定。なお、図中の"Capture ab" は、1次抗体、"Detection ab"は2次抗体を意味す 。 1次抗体IP10、2次抗体IP9を用いてのミッ カインの定量測定。 1次抗体SC2、2次抗体SC4を用いてのミッ カインの定量測定。 1次抗体SC4、2次抗体SC2を用いてのミッ カインの定量測定。 ポリクローナル抗体を用いてのミッド インの定量測定。 正常犬及び担癌犬の血漿中のミッドカ ン濃度測定。(a)正常犬と担癌犬の比較、(b) 癌犬の癌種の比較。 市販のポリクローナル抗体のELISAキッ を使用しての哺乳動物の血漿中のミッドカ ン濃度測定。