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Title:
METHOD OF DRYING COATING FILM AND PROCESS FOR PRODUCING LITHOGRAPHIC PRINTING PLATE PRECURSOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/063824
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of drying a coating film. The method is intended to inhibit the surface of a product from having any appearance abnormality or performance failure in the case where drying for removing a solvent from a coating fluid is conducted in a drying box while blowing the vapor of a solvent having a lower boiling point than that solvent against the coating film with a vapor-blowing nozzle. In the method, a coating film formed by applying a coating fluid containing a high-boiling solvent to a substrate which is being conveyed is dried to a drying point and then subjected in a drying box to the removal of the high-boiling solvent while blowing the vapor of a solvent having a lower boiling point than the high-boiling solvent against the coating film with a vapor-blowing nozzle. This method is characterized in that the substrate is conveyed in the drying box while being heated at a given temperature (T).

Inventors:
HAYASHI KENJI (JP)
TAGUCHI TAKAO (JP)
HASHIGAYA MANABU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/070402
Publication Date:
May 22, 2009
Filing Date:
November 10, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUJIFILM CORP (JP)
HAYASHI KENJI (JP)
TAGUCHI TAKAO (JP)
HASHIGAYA MANABU (JP)
International Classes:
B05D3/02; B41C1/10; F26B13/10; F26B13/18; F26B21/00; F26B21/14
Domestic Patent References:
WO1996034316A11996-10-31
Foreign References:
JP2007078246A2007-03-29
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JP2005115357A2005-04-28
JP2004360961A2004-12-24
JP2007222837A2007-09-06
JPH09502252A1997-03-04
JP2002019310A2002-01-23
JP2002333275A2002-11-22
JPH09502252A1997-03-04
JP2002019310A2002-01-23
JP2002333275A2002-11-22
JPH1144956A1999-02-16
JP2003167343A2003-06-13
JPS58125246A1983-07-26
JPS5984356A1984-05-16
JPS59202829A1984-11-16
JPS6078787A1985-05-04
JPS58173696A1983-10-12
JPS58181690A1983-10-24
JPS58194595A1983-11-12
JPS58112793A1983-07-05
JPS58224791A1983-12-27
JPS5948187A1984-03-19
JPS5973996A1984-04-26
JPS6052940A1985-03-26
JPS6063744A1985-04-12
JPS58112792A1983-07-05
GB434875A1935-09-05
US5156938A1992-10-20
US3881924A1975-05-06
JPS57142645A1982-09-03
US4327169A1982-04-27
JPS58181051A1983-10-22
JPS58220143A1983-12-21
JPS5941363A1984-03-07
JPS5984248A1984-05-15
JPS5984249A1984-05-15
JPS59146063A1984-08-21
JPS59146061A1984-08-21
JPS59216146A1984-12-06
US4283475A1981-08-11
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JPH0519702B21993-03-17
US4756993A1988-07-12
JP2005099685A2005-04-14
US4069055A1978-01-17
US4069056A1978-01-17
JPH03140140A1991-06-14
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JP2004117546A2004-04-15
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EP0233567A21987-08-26
EP0297443A21989-01-04
EP0297442A11989-01-04
US4933377A1990-06-12
US3902114A1975-08-26
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US4491628A1985-01-01
US4760013A1988-07-26
US4734444A1988-03-29
US2833827A1958-05-06
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DE3604580A11987-08-20
DE3604581A11987-08-20
JP2006258979A2006-09-28
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JPH11143064A1999-05-28
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JPH02296514A1990-12-07
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JPS4863803A1973-09-05
JPS4896575A1973-12-10
JPS4938701A1974-04-11
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JPS459610B11970-04-07
JPS4917481B11974-05-01
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US3544323A1970-12-01
US3573917A1971-04-06
US3674495A1972-07-04
US3785825A1974-01-15
GB1227602A1971-04-07
GB1251345A1971-10-27
GB1267005A1972-03-15
GB1329888A1973-09-12
GB1330932A1973-09-19
DE854890C1952-12-18
JPH11190903A1999-07-13
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JP2000187318A2000-07-04
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US4115128A1978-09-19
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JPH0296755A1990-04-09
JPS62251740A1987-11-02
JPH03208514A1991-09-11
JPS59121044A1984-07-12
JPH0413149A1992-01-17
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JPH11288093A1999-10-19
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JPS5336223A1978-04-04
JPS5474728A1979-06-15
JPS603626A1985-01-10
JPS61143748A1986-07-01
JPS61151644A1986-07-10
JPS6358440A1988-03-14
JPS62293247A1987-12-19
JPH08276558A1996-10-22
JPH11160860A1999-06-18
JPS58224793A1983-12-27
JPS58112792A1983-07-05
JP2001006326A2001-01-12
JP2001237840A2001-08-31
JP2001133969A2001-05-18
JP2001133696A2001-05-18
JPS4627926B1
JPS5147334B11976-12-14
JPS57196231A1982-12-02
JPS595240A1984-01-12
JPS595241A1984-01-12
JPH02226149A1990-09-07
JPH01165613A1989-06-29
JPS5421726B11979-08-01
JPS4841708B11973-12-07
JPS5137193A1976-03-29
JPH0232293B21990-07-19
JPH0216765B21990-04-18
JPS5849860B21983-11-07
JPS5617654B21981-04-23
JPS6239417B21987-08-22
JPS6239418B21987-08-22
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JPS63260909A1988-10-27
JPH01105238A1989-04-21
JPS4864183A1973-09-05
JPS4943191B11974-11-19
JPS5230490B21977-08-09
JPS4643946B11971-12-27
JPH0140337B21989-08-28
JPH0140336B21989-08-28
JPH0225493A1990-01-26
JPS6122048A1986-01-30
JPS5944615A1984-03-13
JPS5434327B11979-10-26
JPS5812577B21983-03-09
JPS5425957B21979-08-31
JPS5492723A1979-07-23
JPS5953836A1984-03-28
JPS5971048A1984-04-21
JPH0712004B21995-02-08
JPH07120041B21995-12-20
JPH07120042B21995-12-20
JPH0812424B21996-02-07
JPS63287944A1988-11-25
JPS63287947A1988-11-25
JPH01271741A1989-10-30
JPH11352691A1999-12-24
JP2001142230A2001-05-25
JPH02100054A1990-04-12
JPH02100055A1990-04-12
JPH1039509A1998-02-13
EP0133216A11985-02-20
DE3634671A11988-05-19
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EP0212482A21987-03-04
US4026705A1977-05-31
GB1539192A1979-01-31
JPH07306528A1995-11-21
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Attorney, Agent or Firm:
MATSUURA, Kenzo (P.O. Box 176Shinjuku Sumitomo Bldg. 39F,6-1, Nishi-shinjuku 2-chom, Shinjuku-ku Tokyo 39, JP)
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Claims:
 搬送される支持体上に高沸点溶媒を含む塗布液が塗布された塗布膜を乾燥点まで乾燥した後に、乾燥箱内において前記高沸点溶媒よりも沸点の低い溶媒蒸気を蒸気付与ノズルで塗布膜に付与しながら前記高沸点溶媒の乾燥を行う塗布膜の乾燥方法であって、
 前記支持体は、前記乾燥箱内において、所定温度Tになるように加熱されて搬送されることを特徴とする塗布膜の乾燥方法。
 前記乾燥箱は、内壁が加温されていることを特徴とする請求項1に記載の塗布膜の乾燥方法。
 前記支持体及び前記乾燥箱を加熱する加熱温度は、(前記所定温度T-5(℃))以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布膜の乾燥方法。
 前記乾燥箱の前記支持体の出入口は、シールされていることを特徴とする請求項1~3の何れか1に記載の塗布膜の乾燥方法。
 前記蒸気付与ノズルは保温されていることを特徴とする請求項1~4の何れか1に記載の塗布膜の乾燥方法。
 前記過熱蒸気は、前記塗布膜に付与された後に、前記乾燥箱に設けられた排気系に排出されることを特徴とする請求項1~5の何れか1に記載の塗布膜の乾燥方法。
 前記乾燥箱内では、前記支持体に接する加熱ロールを設けて加熱することを特徴とする請求項1~6の何れか1に記載の塗布膜の乾燥方法。
 前記乾燥箱は、前記支持体の塗布膜面が垂直から下向きの範囲で通るように設けられているとともに、前記溶媒蒸気が前記塗布膜に下側から塗布膜に向かって付与される位置に前記蒸気付与ノズルが設けられていることを特徴とする請求項1~7の何れか1に記載の塗布膜の乾燥方法。
 前記乾燥箱の天井内側面には、前記支持体の進行方向に対して平行な略等間隔の溝又は樋を設けていることを特徴とする請求項1~8の何れか1に記載の塗布膜の乾燥方法。
 前記溶媒蒸気は、セパレータフィルターにより含有液滴と異物を除去した過熱蒸気であることを特徴とする請求項1~9の何れか1に記載の塗布膜の乾燥方法。
 前記過熱蒸気は、熱風と混合させて前記塗布膜に付与することを特徴とする請求項1~10の何れか1に記載の塗布膜の乾燥方法。
 請求項1~11の何れか1に記載の塗布膜の乾燥方法を用いたことを特徴とする平版印刷版原版の製造方法。
Description:
塗布膜の乾燥方法及び平版印刷 原版の製造方法

 本発明は、塗布膜の乾燥方法及び平版印 版原版の製造方法であって、特に、搬送さ る支持体上に高沸点溶媒を含む塗布液が塗 された塗布膜を乾燥点まで乾燥した後に、 燥箱内において前記高沸点溶媒よりも沸点 低い溶媒蒸気を蒸気付与ノズルで塗布膜に 与しながら前記高沸点溶媒の乾燥を行う塗 膜の乾燥方法及び平版印刷版原版の製造方 に関する。

 近年、コンピュータを用いて画像情報を 子的に処理するディジタル化技術が普及し きており、このようなディジタル化技術に 応した新しい製版技術が実用化されている 具体的には、レーザ光のような指向性の高 光をディジタル化された画像情報に従って 調し、このレーザ光を用いて平版印刷版の 版を走査露光することにより、リスフィル を介することなく直接印刷版を製造するコ ピュータトゥプレート(CTP)技術が実用化さ 、このCTP技術に適応する、所謂ディジタル イレクト刷版の需要が増加しつつある。

 このようなディジタルダイレクト刷版の つとして、赤外線レーザ用ポジ型平版印刷 原版がある。赤外線レーザ用ポジ型平版印 版原版は、通常、アルミニウム板等の支持 上に、感光層となる塗布液を塗布した後、 ータ等で加熱する又は熱風を吹き付ける等 方法により乾燥されて製造されている。こ で、感光層中に含まれる溶媒をできるだけ 燥除去させることが、平版印刷版原版の品 上好ましい。

 乾燥する方法として、平版印刷版原版に限 ず、熱風を用いる方法が一般的であるが、 年、溶媒蒸気を含有する熱風を用いて乾燥 る方法が提案されている。例えば、特許文 1には、過熱蒸気を使用して水分を含む被乾 燥物を連続的に乾燥する乾燥方法について開 示されており、特許文献2には、高温の過熱 気をシートに印刷用のインキに当てて加熱 乾燥させ、シートの含水率を調整させる印 方法について開示されており、特許文献3に 、過熱蒸気を使用した食品の乾燥方法につ て開示されている。

特表平9-502252号公報

特開2002-19310号公報

特開2002-333275号公報

 しかしながら、特許文献1~3の方法におい 、搬送される支持体上に高沸点溶媒を含む 布液を塗布することで塗布膜を形成し、該 布膜を乾燥点まで乾燥した後に、乾燥箱内 おいて前記高沸点溶媒よりも沸点の低い溶 蒸気を蒸気付与ノズルで塗布膜に付与しな ら前記高沸点溶媒の乾燥を行う場合に、周 機器や製品表面に外観や性能故障を生じさ てしまうという問題があった。

 本発明は、このような事情に鑑みてなさ たもので、乾燥箱内において塗布液の溶媒 りも沸点の低い溶媒の蒸気を蒸気付与ノズ で塗布膜に付与しながら溶媒の乾燥を行う 合においても、製品表面に外観異常や性能 障が発現することを抑制することのできる 布膜の乾燥方法及び平版印刷版原版の製造 法を提供することを目的とする。

 本発明の第一の態様に係る塗布膜の乾燥 法は、前記目的を達成するために、搬送さ る支持体上に高沸点溶媒を含む塗布液が塗 された塗布膜を乾燥点まで乾燥した後に、 燥箱内において前記高沸点溶媒よりも沸点 低い溶媒蒸気を蒸気付与ノズルで塗布膜に 与しながら前記高沸点溶媒の乾燥を行う塗 膜の乾燥方法であって、前記支持体は、前 乾燥箱内において、所定温度Tになるように 加熱されて搬送されることを特徴とする。

 本願発明者は、乾燥箱内において塗布液 溶媒よりも沸点の低い溶媒の蒸気を蒸気付 ノズルで塗布膜に付与しながら溶媒の乾燥 行う場合において、以下の知見を得た。即 、塗布膜中の溶媒を過熱水蒸気雰囲気下で 速に除去する場合において、その過熱水蒸 濃度がより濃い方が溶媒の除去能力が高い 、蒸気濃度が高ければ高くなるほど膜表面 で結露してしまう危険性が高く、結露して まうと塗布膜面が乱れて、製品表面に外観 常や性能故障が発現してしまう。また、乾 箱内の雰囲気が有機溶媒の場合も、低沸点 溶媒蒸気濃度が高いほうが能力高くなるが 高すぎると逆に低沸点溶媒が膜に吸収され 燥速度を低下させてしまう。

 従って、乾燥箱内において塗布液の溶媒 りも沸点の低い溶媒の蒸気を蒸気付与ノズ で塗布膜に付与しながら溶媒の乾燥を行う 合において、結露防止しつつ、乾燥能力を 大限に引き出す必要がある。

 そこで、乾燥箱に入る前の支持体温度を 定して、支持体温度を調整し、結露しない うにして乾燥箱に搬送することとした。尚 温度調整方法としては、乾燥箱入口におい 、加熱ローラで加熱する方法、熱風吹き付 を行う方法、赤外線や加熱板等を用いた輻 熱で加熱をする方法、などが考えられる。

 第一の態様によれば、支持体は、乾燥箱 において所定温度Tになるように加熱されて 搬送されることで、塗布膜に結露することに よる製品表面の外観異常や性能故障を抑制す ることができる。

 本発明の第二の態様は第一の態様におい 、前記乾燥箱は、内壁が加温されているこ を特徴とする。

 第二の態様によれば、乾燥箱の内壁が加 されていることで、内壁や蒸気付与ノズル 溶媒蒸気の結露による液滴が付くことを防 することができるので、結露した液滴が落 して塗布膜に付くことによる製品表面の外 異常や性能故障、及び、周辺機器に液滴が くことによる機器故障を抑制することがで る。

 尚、内壁を加温する方法としては、乾燥 熱風で内壁を暖めるとともに、断熱材で放 を防止する保温構造、内壁と外壁を真空に る真空断熱構造、乾燥ゾーンの内壁と外壁 間に温水や蒸気を通す二重壁構造、内壁を 熱線で積極的に加熱する構造等にして、乾 箱の内壁に水滴が付くことを防止すること 好ましい。

 本発明の第三の態様は第一又は第二の態 において、前記支持体及び前記乾燥箱を加 する加熱温度は、(前記所定温度T-5(℃))以上 であることを特徴とする。

 第三の態様によれば、支持体及び乾燥箱 加熱する加熱温度は、(前記所定温度T-5(℃)) 以上であることで、塗布膜に結露することや 、乾燥箱内に結露した液滴が落下して塗布膜 に付くことによる製品表面の外観異常や性能 故障、及び、周辺機器に液滴が付くことによ る機器故障を抑制することができる。

 尚、ここで、所定温度T(℃)は乾燥箱内の供 蒸気量をX(g/m )としたとき、T=16×X 0.286  とすることが好ましい。この式は、飽和蒸気 圧の算出式であるWagner-Prussの式を変形させた ものである。

 本発明の第四の態様は第一乃至第三の態 のいずれかにおいて、前記乾燥箱の前記支 体の出入口は、シールされていることを特 とする。

 第四の態様によれば、乾燥箱内からの蒸 洩れ、及び、外気の冷たい空気が流入する とによる溶媒蒸気の結露を防止することが きる。蒸気洩れや外気流入防止の方法とし 、乾燥箱の支持体の出入口を熱風にてエア シールする方法、ロールや遮風板で蒸気漏 を防ぐ方法をとる事が好ましい。尚、エア シールする場合には、露点5~15℃の乾燥風で 、風速5m/s以上であることが好ましい。

 本発明の第五の態様は第一乃至第四の態 のいずれかにおいて、前記蒸気付与ノズル 保温されていることを特徴とする。

 第五の態様によれば、蒸気付与ノズルが 温されていることで、蒸気付与ノズルに液 が付くことを防止することができるので、 布膜に液滴が付くことによる製品表面の外 異常や性能故障、及び、周辺機器に液滴が くことによる機器故障を抑制することがで る。

 本発明の第六の態様は第一乃至第五の態 のいずれかにおいて、前記過熱蒸気は、前 塗布膜に付与された後に、前記乾燥箱に設 られた排気系に排出されることを特徴とす 。

 第六の態様によれば、過熱蒸気は排気系 排出されることで、支持体に同伴されて乾 箱外に排出されないようにすることが好ま い。同伴されて乾燥箱外に排出されると水 となり、製品表面に外観異常や性能故障を き起こすからである。

 本発明の第七の態様は第一乃至第六の態 のいずれかにおいて、前記乾燥箱内では、 記支持体に接する加熱ロールを設けて加熱 ることを特徴とする。

 第七の態様によれば、乾燥箱に搬送され 支持体が乾燥箱内で加熱されるので、支持 の温度を上昇させることができ、支持体上 結露を防ぐことができる。

 本発明の第八の態様は第一乃至第七の態 のいずれかにおいて、前記乾燥箱は、前記 持体の塗布膜面が垂直から下向きの範囲で るように設けられているとともに、前記溶 蒸気が前記塗布膜に下側から塗布膜に向か て付与される位置に前記蒸気付与ノズルが けられていることを特徴とする。

 第八の態様によれば、万が一、蒸気付与 ズルに液滴が付着した場合においても、支 体に水滴が付くことがないようにできるの 、製品表面の外観異常等を防止することが きる。

 本発明の第九の態様は第一乃至第八の態 のいずれかにおいて、前記乾燥箱の天井内 面には、前記支持体の進行方向に対して平 な略等間隔の溝又は樋を設けていることを 徴とする。

 第九の態様によれば、万が一、乾燥箱の 側面に液滴が付着した場合においても、乾 箱の上面に略等間隔の溝又は樋を設けてい ので、支持体に液滴が付くことを防止する とができる。

 本発明の第十の態様は第一乃至第九の態 のいずれかにおいて、前記溶媒蒸気は、セ レータフィルターにより含有液滴と異物を 去した過熱蒸気であることを特徴とする。

 第十の態様によれば、溶媒蒸気として、 パレータフィルターにより含有液滴と異物 除去した過熱蒸気に変換されたものを用い 。このように、過熱蒸気をセパレータフィ ターにより含有液滴と異物を除去した後に 燥に使用することで、塗布膜の高沸点溶媒 効果的に除去することができるとともに、 品表面に異物を原因とする性能故障、もし は液滴の付着による外観異常や性能故障を 制することができる。

 尚、ここで、「乾燥点」とは、布で触れ 布に塗布液が付着しない状態、又は、固形 濃度が60%以上、好ましくは70~80%の状態をい 。また、ここで、含有液滴とは、ミスト状 液滴をいい、ミスト粒径が200nm以上のもの いう。

 本発明の第十一の態様は第一乃至第十の 様のいずれかにおいて、前記過熱蒸気は、 風と混合させて前記塗布膜に付与すること 特徴とする。

 第十一の態様は、過熱蒸気を熱風と混合 せて塗布膜に付与させることも好ましい。

 本発明の第十二の態様は、第一乃至第十 の態様のいずれかに係る塗布膜の乾燥方法 用いたことを特徴とする平版印刷版原版の 造方法である。

 第十二の態様に係る塗布膜の乾燥方法を 版印刷版原版の製造に用いることで、好適 平版印刷版原版を製造することができる。

 本発明の塗布膜の乾燥方法及び平版印刷 原反の製造方法によれば、乾燥箱内におい 塗布液の溶媒よりも沸点の低い溶媒の蒸気 蒸気付与ノズルで塗布膜に付与しながら溶 の乾燥を行う場合において、製品表面に外 異常や性能故障が発現することを抑制する とができる。

図1は、本実施形態における平版印刷版 原版の製造ラインの基本的な構成を説明する 図であり; 図2は、本発明に係る乾燥装置の構成の 一例を説明する図であり; 図3は、過熱水蒸気乾燥部に係る構成の 一例を説明する図であり; 図4は、本発明に係る過熱水蒸気乾燥部 の基本的な構成を説明する図であり; 図5Aは、本発明に係る過熱水蒸気乾燥 の出入口のシール方法の例を説明する図で り; 図5Bは、本発明に係る過熱水蒸気乾燥 の出入口のシール方法の他の例を説明する であり; 図5Cは、本発明に係る過熱水蒸気乾燥 の出入口のシール方法のさらに他の例を説 する図であり; 図6は、本発明に係る過熱水蒸気乾燥部 における支持体の温度を制御する方法を説明 する図であり; 図7は、本発明に係る過熱水蒸気乾燥部 の好ましい構成を説明する図であり; 図8Aは、本発明に係る過熱水蒸気乾燥 の別態様を説明する図であり; 図8Bは、図8Aの態様における好ましい 気付与ノズルの例を説明する図である。

符号の説明

 10…平版印刷版原版の製造装置、14…表面 処理部、16…塗布液調製・供給部、18…塗布 (画像記録層)、20…乾燥部(乾燥装置)、22…塗 布部(オーバーコート層)、24…乾燥部(乾燥装 )、28…熱風乾燥部、29…過熱水蒸気乾燥部 34,34’…ノズル、36…排気口、38…熱風、40… 遮風板、42…ロール、44…溝又は樋、46…加熱 ロール、60…熱風供給装置、62…軟水装置、64 …ボイラー、66…セパレータフィルター、68 過熱水蒸気発生装置、70…減圧弁、72…蒸気 量計、80…過熱水蒸気供給装置

 以下添付図面に従って本発明に係る塗布 の乾燥方法及び平版印刷版原反の製造方法 好ましい実施の形態を説明する。図1は、本 発明に係る平版印刷版用原反の製造ライン10 一例であり、以下この製造ライン10の例で 明する。尚、本実施形態においては、平版 刷版原版の製造ラインにおいて、画像形成 塗布膜に含まれる難揮発性の溶媒を蒸発乾 させるための乾燥装置を例に挙げて説明す が、この技術分野に限定されることはなく 各種技術分野における塗布膜の乾燥方法に 用可能である。

 まず、本発明の平版印刷版原版の製造装 10の基本的な構成について説明する。

 図1は、本実施形態における平版印刷版の 製造装置10の基本的な構成を示す図である。 、図1において、矢印Aは、支持体16の搬送方 向を示す。

 図1の平版印刷版原版の製造ライン10は、 に、支持体16を送り出す送り出し装置12と、 支持体16の塗布表面を処理する表面処理部14 、支持体16に画像形成層塗布液を塗布する塗 布部18と、塗布した画像記録層を乾燥させる 燥部20と、画像形成層の上にオーバーコー 層を塗布する塗布部22と、オーバーコート層 を乾燥する乾燥部24と、支持体16を巻き取る き取り装置26と、を備えている。尚、図1に す平版印刷版原版の製造ライン10は一例であ り、例えば、画像形成層塗布液を塗布する前 に下塗り塗布液を塗布する塗布部を設けても よく、あるいはオーバーコート層の乾燥部24 後に、オーバーコート層の水分を調湿する 湿装置等を設けてもよい。

 送り出し装置12から送り出された支持体16 は、ガイドローラ27、27…等によって、ガイ されて各工程に搬送される。

 まず、表面処理部14では、例えば、支持 16と画像形成層との密着性を良好にし、かつ 、非画像部に保水性を与えるため、脱脂処理 、支持体16の表面を粗面化する粗面化処理(砂 目立て処理等)、支持体16の耐摩耗性、耐薬品 性、保水性を向上させるために表面に酸化被 膜を形成させる陽極酸化処理、陽極酸化被膜 の被膜強度、親水性、画像形成層との密着性 を向上させるシリケート処理等の、支持体16 必要な前処理が施される。

 塗布部18は、画像形成層塗布液を支持体16 表面に塗布する装置である。塗布方法として は、たとえば、スライドビード塗布方法、カ ーテン塗布方法、バー塗布方法、回転塗布方 法、スプレー塗布方法、ディップ塗布方法、 エアーナイフ塗布方法、ブレード塗布方法、 ロール塗布方法等が使用され、特に限定され ないが、中でも、スライドビード塗布方法、 カーテン塗布方法、バー塗布方法等が好まし く使用される。尚、図1ではバー塗布として 示している。

 乾燥部20は、支持体16に形成された画像形 成層を乾燥させる装置であり、本発明に係る 過熱水蒸気乾燥部29と、該過熱水蒸気乾燥部2 9の前段及び後段に熱風乾燥部28、冷却部30を えている。ここで、塗布された画像形成層 布膜には、第1の溶媒として難揮発性の高沸 点溶媒が含まれており、この第1の溶媒(以下 高沸点溶媒と記す)を効果的に蒸発乾燥させ ることが、平版印刷版原版の品質上、重要と なる。尚、この乾燥部20(以下、乾燥装置20と す)の詳細な構成については、後述する。

 塗布部22は、画像形成層への酸素遮断、 び親油性物質による画像形成層表面の汚染 止のため、画像形成層上に水溶性オーバー ート層を形成する装置である。水溶性オー ーコート層は、印刷時容易に除去できるも であり、水溶性の有機高分子化合物から選 れた樹脂を含有している。水溶性オーバー ート層の塗布方法としては、上述した塗布 18と同様のものが使用できる。水溶性オーバ ーコート層が塗布された支持体16は、乾燥部2 4で乾燥された後、最終的に巻き取り装置26に より巻き取られるようになっている。

 次に、本発明に係る乾燥装置20の構成の 例について説明する。

 図2は、本発明に係る乾燥装置20の構成を 明する図である。図2に示されるように、乾 燥装置20は、主に、溶媒の蒸気雰囲気下で支 体16を乾燥させる過熱水蒸気乾燥部29と、過 熱水蒸気乾燥部29の前段で、支持体16に熱風 あてて熱風乾燥させる熱風乾燥部28と、過熱 水蒸気乾燥部29の後段で、支持体16を冷風で 却する冷却部30と、を備えている。熱風乾燥 部28、過熱水蒸気乾燥部29、冷却部30には、支 持体16が出入りする開口が形成され、支持体1 6の搬送方向に沿ったボックス形状になって る。

 熱風乾燥部28、冷却部30には、熱風又は冷 風を支持体16に吹き付けるノズル(不図示)が けられている。これにより、熱風乾燥部28は 、過熱水蒸気乾燥部29に搬送される前の支持 16に熱風をあてて乾燥できるようになって り、冷却部30は、過熱水蒸気乾燥部29によっ 乾燥させた後の支持体16に冷風をあてて冷 できるようになっている。尚、ノズルの個 や設置場所については限定されない。

 熱風乾燥部28では、乾燥点(布で触れて布 塗工液が付着しない状態、表面光沢度が変 しない状態、又は、固形分濃度が60%以上、 ましくは70%~80%の状態)まで熱風等で乾燥が 施される。

 そして、本発明において、支持体16は、 熱水蒸気乾燥部29の乾燥箱32内において、所 温度Tになるように加熱されて搬送されるよ うにする。

 乾燥箱32内において塗布液の溶媒よりも 点の低い溶媒の蒸気を蒸気付与ノズルで塗 膜に付与しながら溶媒の乾燥を行う場合に いて、結露防止しつつ、乾燥能力を最大限 引き出す必要があるからである。そこで、 燥箱32に入る前の支持体温度を測定して、支 持体温度を調整し、結露しないようにして乾 燥箱32に搬送することとした。ここで、温度 整方法としては、図示しないが、乾燥箱入 において、加熱ローラで加熱する方法、熱 吹き付けを行う方法、赤外線や加熱板等を いた輻射熱で加熱をする方法、などが考え れる。

 過熱水蒸気乾燥部29は、支持体16に塗布さ れた画像形成層塗布膜の近傍に、溶媒蒸気を 塗布膜面に付与することにより、画像形成層 塗布膜に含まれる高沸点溶媒を蒸発乾燥でき るようになっている。ここで、本実施形態に おいては、溶媒蒸気として過熱水蒸気を用い る。

 図3は、溶媒水蒸気を過熱水蒸気乾燥部29 供給する過熱水蒸気供給装置80の例を示す 要図である。まず、軟水装置62に通された水 は、ボイラー64に供給され、供給された水は イラー64で水蒸気とされる。この水蒸気は パレータフィルター66により異物を除去した 後、減圧弁70を介して過熱水蒸気発生装置68 より過熱水蒸気とされ、蒸気流量計72で所望 の流量とし、過熱水蒸気乾燥部29に供給され 。ここで、例えば、ボイラー64としては、 浦工業社製簡易貫流蒸気ボイラーME-40、セパ レータフィルター66としては、TLV社製セパレ トフィルタSF-1、過熱水蒸気発生装置68とし は、第一高周波工業社製過熱水蒸気発生装 Super-Hi70Wを好適に用いることができる。こ ようにして製造された過熱水蒸気を過熱水 気乾燥部29に供給することが好ましい。

 そして、このようにして製造された過熱 蒸気は、図2に示すように、熱風供給装置60 熱風と混合させて過熱水蒸気乾燥部29に供 することが好ましい。

 過熱水蒸気乾燥部29は、図4に示すように、 持体16を収容する乾燥箱32から成り、乾燥箱 32内には、蒸気付与ノズル34が設けられてい 。そして、乾燥箱32内の水蒸気を乾燥箱32外 排出させるための排気口36が設けられてい ことが好ましい。尚、水蒸気を乾燥箱32外に 排出させるためには、図4に示したものに限 れず、支持体16の出入口32a、32bに排気手段を 設けることも考えられる。また、乾燥箱32の 壁は加温されていることが好ましい。乾燥 32の内壁の加温の方法としては、放熱を防 することを目的として、断熱材を用いて乾 熱風で自身の内壁を保温する構造、内壁と 壁を真空にする真空断熱構造や、内壁と外 の間に温水や蒸気を通す二重壁構造や、内 を電熱線で積極的に加熱する方法等何れで 良い。このとき、内壁の温度は乾燥箱32の露 点以上の温度とする。乾燥箱32の材質として 、例えば、SUS(304、306、316等)、鉄(SECC等)が ましい。断熱材の材質としては、グラスウ ル、ロックウール、ALK24等、断熱方法として は、セラミック溶射、セラミック入り塗料に よる塗装等が好ましい。過熱水蒸気量は、50 上600g/m 3 以下、好ましくは100以上400g/m 3 以下である。過熱水蒸気温度は、(熱風乾燥 度)±20℃、好ましくは乾燥温度±5℃、水蒸気 の乾き度は、95%以上、好ましくは98%以上であ る。

 また、支持体16及び乾燥箱32を加熱する加 熱温度は、(所定温度T-5(℃))以上であること 好ましい。支持体及び乾燥箱を加熱する加 温度を、(前記所定温度T-5(℃))以上にするこ で、塗布膜に結露することや、乾燥箱内に 露した液滴が落下して塗布膜に付くことに る製品表面の外観異常や性能故障、及び、 辺機器に液滴が付くことによる機器故障を 制することができる。

 尚、ここで、所定温度T(℃)は乾燥箱内の供 蒸気量をX(g/m )としたとき、T=16×X 0.286  とすることが好ましい。この供給蒸気量Xに いて、湿度100%を飽和絶対湿度という蒸気量 表現すると、例えば、100℃の場合には約590g /m 、150℃の場合には約2475g/m 、200℃の場合には約7330g/m となる。よって、ある蒸気(供給蒸気量X)が供 給されたとき、湿度100%にならないように支 体の温度Tを調整することが必要であり、例 ば、590g/m の蒸気が供給された場合、支持体温度Tを100 以上にすることが好ましい。

 また、図5A乃至図5Cに示すように、乾燥箱 32の出入口32a、32bには、過熱水蒸気の漏れと 気の流入を防止するために、シールされて ることが好ましい。蒸気洩れや外気流入防 の方法として、乾燥箱の支持体の出入口を 風にてエアーシールする方法、ロールや遮 板で蒸気漏洩を防ぐ方法をとる事が好まし 。尚、エアーシールする場合には、露点5~15 ℃の乾燥風で、風速5m/s以上であることが好 しい。

 図5Aは熱風38によってシールした場合であ り、熱風38の流れで蒸気がシール中を拡散通 することを防止することができる。図5Bは 風38及び遮風板40でシールした場合であり、 気が外部に漏れ出す開口部を物理的に狭く ることができる。図5Cは熱風38及びロール42 シールした場合である。これらのシール手 は、複数を組み合わせて用いることも可能 、それによりさらに効果的に恒温の加熱蒸 を装置内にシールできる。

 更に、蒸気付与ノズル34は、保温されて ることが好ましい。その場合、蒸気付与ノ ル34は、断熱材や二重構造(熱媒体を流入さ る)で保温する構造が用いられ、且つ、幅方 に均一に蒸気を付与出来る構造とする。尚 蒸気付与ノズル34の吹き出し口形状は、ス ット、直列孔、ランダム孔(パンチングメタ 構造)等何れでもよいが、結露や水滴付与防 止のため、二重管構造や断熱構造をとること が好ましい。また、ノズル内圧を均一化し、 幅方向に吹き出し分布の無い構造を採用する 。また、支持体16に対する吹き出し角度は、 持体16に対して垂直、並行等何れの角度も 用できるが、支持体が高速に搬送される場 (30m/min以上)、垂直且つ風速を高速(5m/sec以上) で吹きあてることが好ましい。

 支持体16の温調は、放射、輻射、伝導伝 等により積極的に行ってもよい。図6は、支 体16を乾燥箱32内の露点以上に制御する方法 の例であり、乾燥箱32内で支持体16に接する うにジャケット型の加熱ロール46、46…を設 たものである。このように、乾燥箱に搬送 れる際の支持体が乾燥箱内の露点以上に制 されていることで、塗布膜に過熱水蒸気に って水滴が発現することを防ぐことができ 。

 また、図7に示すように、乾燥箱32の天井 側面には、支持体の進行方向に対して平行 略等間隔の溝又は樋44を設けていることが ましい。また、水滴が溝又は樋44を流れやす いように天井面を傾斜させることが好ましい 。ラインのスタート時で各所の加温が十分で ない場合や、ラインを停止し各所の加温を中 止する場合や、異なる乾燥条件や乾燥溶媒へ の切り替えの際等様々の要因によって、乾燥 箱32内の湿度や露点が変化する場合がるので 万が一、乾燥箱の内面に水滴が付着した場 においても、乾燥箱の天井内側面に略等間 の溝又は樋を設けているので、支持体に水 が付くことを防止することができるからで る。水滴が溝又は樋44を流れやすいように 井面を傾斜させることが好ましい。

 そして、図示しないが、乾燥箱32は、支 体16が垂直から塗布膜面が下向きになるよう に設けられているとともに、過熱水蒸気が塗 布膜に下側から付与される位置に蒸気付与ノ ズルが設けられていることが好ましい。万が 一、蒸気付与ノズルに水滴が付着した場合に おいても、支持体に水滴が付くことがないよ うにできるので、製品表面の外観異常等を防 止することができるからである。

 加熱水蒸気は、塗布膜に含有する高沸点 媒とともに排気口36から乾燥箱32外に排出さ れるが、回収して熱交換機にて凝集させるこ とで水と高沸点溶媒とに分離回収し再利用す ることが好ましい。

 以上のように、本発明の塗布膜の乾燥方 及び平版印刷版原反の製造方法によれば、 燥箱内において塗布液の溶媒よりも沸点の い溶媒の蒸気を蒸気付与ノズルで塗布膜に 与しながら溶媒の乾燥を行う場合において 製品表面に異物を原因とする性能故障、も くは液滴の付着による外観異常や性能故障 抑制することができる。

 また、支持体16の搬送開始時は、乾燥箱32 を熱風で100℃以上に温めた後に過熱水蒸気を 投入するとともに、支持体16の搬送終了時は 乾燥箱32への過熱水蒸気の投入を停止した に冷却することが好ましい。支持体の搬送 始時は、乾燥箱を熱風で100℃以上に温めた に過熱水蒸気を投入するとともに、支持体 搬送終了時は、乾燥箱への過熱水蒸気の投 を停止した後に冷却することで、更に水滴 付着しにくくなるので、周辺機器や製品表 に外観異常や性能故障が発現することを抑 することができる。

 尚、ここで、蒸気付与ノズルは図4~図7の うなものでなく、例えば、図8Aに示すよう ノズル独立型の蒸気付与ノズル34’を複数設 けることも考えられる。その際の蒸気付与ノ ズル34’は、図8Bに示すように二重管等の保 構造であることが好ましい。また、蒸気付 ノズルは、二流体ノズルであっても良い。 こで、二流体ノズルとは、圧搾空気などの 速気流で低沸点溶媒の液体(本発明では水)を 粉砕して微粒化し、低圧で微細なミストを噴 霧するスプレーノズルである。このような二 流体ノズルとしては、公知の二流体ノズルを 使用することができる。

 本実施形態においては、支持体16の搬送 向に熱風乾燥部28、過熱水蒸気乾燥部29、冷 部30の順に配置させた例について示したが これに限定されることはない。

 また、本実施形態においては、過熱蒸気 過熱水蒸気の場合について説明したが、塗 液の高沸点溶媒よりも沸点の低い溶媒であ ば、その溶媒を過熱した過熱蒸気の場合に いても同様に成り立つ。

 次に、本実施形態に使用される各種材料に いて説明する。
〔支持体〕
 本発明において、支持体は、帯状に限定さ ることはなく、帯状以外の金属、樹脂、紙 布等も含まれる。

 本実施形態の平版印刷版原版に用いられ アルミニウム板は、寸度的に安定なアルミ ウムを主成分とする金属であり、アルミニ ムまたはアルミニウム合金からなる。 純 ルミニウム板のほか、アルミニウムを主成 とし微量の異元素を含む合金板や、アルミ ウムまたはアルミニウム合金がラミネート れまたは蒸着されたプラスチックフィルム たは紙を用いることもできる。更に、ポリ チレンテレフタレートフィルム上にアルミ ウムシートが結合された複合体シートを用 ることもできる。

 本実施形態に用いられるアルミニウム板 組成は、特に限定されないが、純アルミニ ム板を用いるのが好適である。完全に純粋 アルミニウムは精練技術上、製造が困難で るので、わずかに異元素を含有するものを いてもよい。例えば、アルミニウムハンド ック第4版(軽金属協会(1990))に記載の公知の 材のもの、具体的には、例えば、JIS A1050、 JIS A1100、JIS A3003、JIS A3004、JIS A3005、国際 録合金3103A等のアルミニウム合金板を適宜利 用することができる。また、アルミニウム含 有量が、99.4~95質量%であり、Fe、Si、Cu、Mg、Mn 、Zn、CrおよびTiからなる群から選ばれる3種 上を含むアルミニウム合金、スクラップア ミ材または二次地金を使用したアルミニウ 板を使用することもできる。

 また、アルミニウム合金板のアルミニウ 含有率は、特に限定されないが、アルミニ ム含有率が95~99.4質量%であってもよく、さ にこのアルミニウム板が、Fe、Si、Cu、Mg、Mn Zn、CrおよびTiからなる群から選ばれる3種以 上の異元素を以下の範囲で含有することが好 ましい。そのようにすると、アルミニウムの 結晶粒が微細になるためである。Fe:0.20~1.0質 %、Si:0.10~1.0質量%、Cu:0.03~1.0質量%、Mg:0.1~1.5 量%、Mn:0.1~1.5質量%、Zn:0.03~0.5質量%、Cr:0.005~0. 1質量%、Ti:0.01~0.5質量%。

 また、アルミニウム板は、Bi、Ni等の元素 や不可避不純物を含有してもよい。

 アルミニウム板の製造方法は、連続鋳造 式およびDC鋳造方式のいずれでもよく、DC鋳 造方式の中間焼鈍や、均熱処理を省略したア ルミニウム板も用いることができる。最終圧 延においては、積層圧延や転写等により凹凸 を付けたアルミニウム板を用いることもでき る。本実施形態に用いられるアルミニウム板 は、連続した帯状のシート材または板材であ る、アルミニウム支持体であってもよく、製 品として出荷される平版印刷版原版に対応す る大きさ等に裁断された枚葉状シートであっ てもよい。

 本実施形態に用いられるアルミニウム板 厚みは、通常、0.05mm~1mm程度であり、0.1mm~0.5 mmであるのが好ましい。この厚みは印刷機の きさ、印刷版の大きさおよびユーザの希望 より適宜変更することができる。

 本実施形態における平版印刷版用支持体 製造方法においては、上記アルミニウム板 、少なくとも、粗面化処理、陽極酸化処理 及び特定の封孔処理を含む表面処理を施し 平版印刷版用支持体を得るが、この表面処 には、更に各種の処理が含まれていてもよ 。なお、本実施形態の各種工程においては その工程に用いられる処理液の中に使用す アルミニウム板の合金成分が溶出するので 処理液はアルミニウム板の合金成分を含有 ていてもよく、特に、処理前にそれらの合 成分を添加して処理液を定常状態にして用 るのが好ましい。

 上記表面処理として、電解粗面化処理の前 、アルカリエッチング処理またはデスマッ 処理を施すのが好ましく、また、アルカリ ッチング処理とデスマット処理とをこの順 施すのも好ましい。また、電解粗面化処理 後に、アルカリエッチング処理またはデス ット処理を施すのが好ましく、また、アル リエッチング処理とデスマット処理とをこ 順に施すのも好ましい。また、電解粗面化 理後のアルカリエッチング処理は、省略す こともできる。また、これらの処理の前に 械的粗面化処理を施すのも好ましい。また 電解粗面化処理を2回以上行ってもよい。そ の後、陽極酸化処理、封孔処理、親水化処理 等を施すのも好ましい。
〔低沸点溶媒〕
 本実施形態に使用される低沸点溶媒として 、沸点が30℃以上130℃以下のものが好まし 。このような低沸点溶媒としては、以下の のが挙げられるが、本発明はこれらに限定 れるものではない。括弧内に沸点を記載す 。

 メタノール(64.5℃-64.65℃)、エタノール(78.32 )、n-プロパノール(97.15℃)、イソプロパノー ル(82.3℃)、n-ブタノール(117.7℃)、イソブタノ ール(107.9℃)等のアルコール類、エチルエー ル(34.6℃)、イソプロピルエーテル (68.27℃) のエーテル類、アセトン(56.2℃)、メチルエ ルケトン(79.59℃)、メチル-n-プロピルケトン( 103.3℃)、メチルイソブチルケトン(115.9℃)、 エチルケトン(102.2℃)等のケトン類、酢酸メ ル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸-n-プロ ル(101.6℃)、酢酸-n-ブチル(1265℃)等のエステ ル類、n-ヘキサン(68742℃)、シクロヘキサン(80 .738℃)等の炭化水素類、水等。
〔高沸点溶媒〕
 本実施形態に使用される高沸点溶媒は、沸 が150℃以上のものが好ましい。このような 沸点溶媒のとして、以下のものが挙げられ が、本発明はこれらに限定されるものでは い。括弧内に沸点を記載する。

 γ-ブチルラクトン(204℃)、アセトアミド(222 )、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(225.5℃) N,N-ジメチルホルムアミド(153℃)、テトラメ ル尿酸(175℃一177℃)、ニトロベンゼン(211.3 )、ホルムアミド(210.5℃)、N-メチルピロリド (202℃)、N,N-ジメチルアセトアミド(166℃)、 メチルスルホキシド(189℃)等。
<画像形成層>
 本発明においては、上述のようにして形成 れた処理層上に画像形成層を設けることで 版印刷版原版を得ることができる。

 本発明において、ここに設けられる画像 成層は既知の任意のものであってよいが、 ートモード又はフォトンモードで記録可能 あるものが好ましく、効果の観点からは、 外線レーザなどのヒートモード露光による 像形成が可能な画像形成層であることが好 しい。

 また、画像形成層は単層構造であっても 複数の層からなる積層構造を有したもので ってもよい。

 以下に、画像形成層の種類の異なる各種の 版印刷版原版について説明する。
(赤外線レーザ記録型平版印刷版原版)
 本発明に好適な、赤外線レーザにより画像 成可能な平版印刷版原版について説明する これらは、赤外線レーザ露光によりアルカ 水溶液に対する可溶性が変化する材料を用 るネガ型或いはポジ型の画像形成層、イン 受容性領域を形成し得る疎水化前駆体を含 し、赤外線レーザの露光部に疎水化領域が 成される画像形成層など、公知の画像記録 式が任意に選択される。

 まず、ポジ型或いはネガ型の画像形成層 ついて述べる。このような画像形成層は、 外線レーザによる像様露光の後、アルカリ 溶液で現像処理され、アルカリ現像性が活 光線の照射により低下し、照射(露光)部が 像部領域となるネガ型と、逆に現像性が向 し、照射(露光)部が非画像部領域となるポジ 型の2つに分けられる。

 ポジ型の画像形成層としては、相互作用 除系(感熱ポジ)画像形成層、公知の酸触媒 解系、o-キノンジアジド化合物含有系等が挙 げられる。これらは光照射や加熱により発生 する酸や熱エネルギーそのものにより、層を 形成していた高分子化合物の結合が解除され るなどの働きにより水やアルカリ水に可溶と なり、現像により除去されて非画像部形成す るものである。

 また、ネガ型の画像形成層としては、公 の酸触媒架橋系(カチオン重合も含む)画像 成層、重合硬化系画像形成層が挙げられる これらは、光照射や加熱により発生する酸 触媒となり、画像形成層を構成する化合物 架橋反応を起こし硬化して画像部を形成す もの、或いは、光照射や加熱により生成す ラジカルにより重合性化合物の重合反応が 行し、硬化して画像部を形成するものであ 。

 本発明における前記特定中間層は、上記 いずれの画像形成層を形成した場合でも優 た効果を示すが、ポジ型画像形成層に好適 用いられる。

 以下、それぞれの画像形成層について詳細 説明する。
1.ポジ型画像形成層
 本発明の好ましい態様として、アルカリ可 性樹脂と、スルホニウム化合物又はアンモ ウム化合物と、を含有し、かつ、前記アル リ可溶性樹脂中の50質量%以上がノボラック 脂であり、赤外線レーザにより記録可能な 像形成層を設けたポジ型画像形成層を有す 平版印刷原版が挙げられる。また、このポ 型画像形成層には、感度を高めるために、 述する(A)赤外線吸収剤を含有することがよ 好ましい態様である。ポジ型画像形成層は 層であっても、複数の画像形成層からなる 層構造を有していてもよい。
〔ノボラック型フェノール樹脂〕
 まず、ノボラック型フェノール樹脂につい 説明する。ノボラック樹脂は、少なくとも1 種のフェノール類を酸性触媒下、アルデヒド 類又はケトン類の少なくとも1種と重縮合さ た樹脂のことを指す。

 ここで、フェノール類としては、例えば フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、 p-クレゾール、2,5-キシレノール、3,5-キシレ ール、o-エチルフェノール、m-エチルフェノ ル、p-エチルフェノール、プロピルフェノ ル、n-ブチルフェノール、tert-ブチルフェノ ル、1-ナフトール、2-ナフトール、ピロカテ コール、レゾルシノール、ハイドロキノン、 ピロガロール、1,2,4-ベンゼントリオール、フ ロログルシノール、4,4’-ビフェニルジオー 、2,2-ビス(4’-ヒドロキシフェニル)プロパン 等が挙げられ、アルデヒド類としては、例え ば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、 プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、 フルフラール等が、ケトン類としては、例え ば、アセトン、メチルエチルケトン、メチル イソブチルケトン等が挙げられる。

 好ましくは、フェノール、o-クレゾール m-クレゾール、p-クレゾール、2,5-キシレノー ル、3,5-キシレノール、レゾルシノールから 択されるフェノール類と、ホルムアルデヒ 、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒ から選択されるアルデヒド類又はケトン類 の重縮合体が好ましく、特に、m-クレゾール :p-クレゾール:2,5-キシレノール:3,5-キシレノ ル:レゾルシノールの混合割合がモル比で40~1 00:0~50:0~20:0~20:0~20の混合フェノール類、又は フェノール:m-クレゾール:p-クレゾールの混 割合がモル比で0~100:0~70:0~60の(混合)フェノー ル類と、ホルムアルデヒドとの重縮合体が好 ましい。

 これらのノボラック樹脂としては、ゲル ーミエーションクロマトグラフィー測定に るポリスチレン換算の重量平均分子量(以下 、単に「重量平均分子量」という)が、好ま くは500~20,000、更に好ましくは1,000~15,000、特 好ましくは3,000~12,000のものが用いられる。 量平均分子量がこの範囲内にあると、充分 皮膜形成性及び、露光部のアルカリ現像性 優れるため好ましい。

 画像形成層のバインダー樹脂として前記 ボラック樹脂を用いる場合、1種のみを用い てもよく、2種以上を併用してもよい。また バインダー樹脂のすべてが前記ノボラック 脂であってもよく、また、それ以外の樹脂 併用することもできる。他の樹脂を併用す 場合においても、ノボラック樹脂が主バイ ダーであることが好ましく、画像形成層を 成するバインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂) 中に占めるノボラック樹脂の割合は50質量%以 上であることが好ましく、65~99.9質量%の範囲 あることが更に好ましい。

 併用可能なバインダー樹脂としては、一般 用いられる水不溶且つアルカリ可溶性の、 分子中の主鎖及び側鎖の少なくとも一方に 性基を有するアルカリ可溶性樹脂を用いる とができる。ノボラック樹脂以外のフェノ ル樹脂、例えば、レゾール樹脂、ポリビニ フェノール樹脂、フェノール性水酸基を有 るアクリル樹脂等も好ましく用いられる。 用可能な樹脂としては、具体的には、例え 、特開平11-44956号公報や、特開2003-167343号公 報などに記載のポリマーを挙げることができ る。
〔光熱変換剤〕
 本発明における画像形成層は、光熱変換剤 含有することが好ましい。ここで用いられ 光熱変換剤としては、光エネルギー照射線 吸収し、熱を発生する物質であれば特に吸 波長域の制限はなく用いることができるが 入手容易な高出力レーザへの適合性の観点 ら、波長760nm~1200nmに吸収極大を有する赤外 吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられる

 染料としては、市販の染料及び例えば「 料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年 )等の文献に記載されている公知のものが利 用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩 アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノ ン染料、アントラキノン染料、フタロシアニ ン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染 料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリ ウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯 体、オキソノール染料、ジイモニウム染料、 アミニウム染料、クロコニウム染料等の染料 が挙げられる。

 好ましい染料としては、例えば、特開昭5 8-125246号、特開昭59-84356号、特開昭59-202829号 特開昭60-78787号等に記載されているシアニン 染料、特開昭58-173696号、特開昭58-181690号、特 開昭58-194595号等に記載されているメチン染料 、特開昭58-112793号、特開昭58-224793号、特開昭 59-48187号、特開昭59-73996号、特開昭60-52940号、 特開昭60-63744号等に記載されているナフトキ ン染料、特開昭58-112792号等に記載されてい スクアリリウム色素、英国特許434,875号記載 のシアニン染料等を挙げることができる。

 また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外 収増感剤も好適に用いられ、また、米国特 第3,881,924号記載の置換されたアリールベン (チオ)ピリリウム塩、特開昭57-142645号(米国 許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリ ウム塩、特開昭58-181051号、同58-220143号、同59- 41363号、同59-84248号、同59-84249号、同59-146063号 、同59-146061号に記載されているピリリウム系 化合物、特開昭59-216146号記載のシアニン色素 、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチン チオピリリウム塩等や特公平5-13514号、同5-197 02号に開示されているピリリウム化合物も好 しく用いられる。

 また、染料として好ましい別の例として 国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)とし て記載されている近赤外吸収染料を挙げるこ とができる。

 これらの染料のうち特に好ましいものとし は、シアニン色素、フタロシアニン染料、 キソノール染料、スクアリリウム色素、ピ リウム塩、チオピリリウム染料、ニッケル オレート錯体が挙げられる。更に、特開2005 -99685号公報の26-38頁に記載された化合物が光 変換効率に優れるため好ましく、特に特開2 005-99685号公報の一般式(a)で示されるシアニン 色素が、本発明の感光性組成物で使用した場 合に、アルカリ溶解性樹脂との高い相互作用 を与え、且つ、安定性、経済性に優れるため 最も好ましい。
〔分解性溶解抑止剤〕
 本発明におけるポジ型画像形成層には、更 分解性溶解抑止剤を添加することができる 特に、オニウム塩、o-キノンジアジド化合 、スルホン酸アルキルエステル等の熱分解 であり、分解しない状態ではアルカリ可溶 樹脂の溶解性を実質的に低下させる物質(分 性溶解抑止剤)を併用することが、画像部の 現像液への溶解阻止性の向上を図る点で好ま しい。分解性溶解抑止剤としては、スルホニ ウム塩、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩、 ヨードニウム塩等のオニウム塩及び、o-キノ ジアジド化合物が好ましく、スルホニウム 、アンモニウム塩、ジアゾニウム塩がより ましい。

 本発明において用いられるオニウム塩と て、好適なものとしては、例えば、米国特 第4,069,055号、同4,069,056号、特開平3-140140号 特開2006-293162号公報、特開2004-117546号公報の 細書に記載のアンモニウム塩、J.V.Crivello et  al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Che m.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,Polymer Bull .,14,279(1985)、J.V.Crivello et al,Macromorecules,14(5),1 141(1981)、J.V.Crivello et al,J.Polymer Sci.,Polymer Ch em.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同233,56 7号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933, 377号、同3,902,114号、同5,041,358号、同4,491,628号 、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独 国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号 、特開2006-293162号公報、特開2006-258979号公報 記載のスルホニウム塩を挙げることができ 。

 また、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974) T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)、特開平5-158230 公報、特開平5-158230号公報に記載の一般式(I) 、特開平11-143064号公報に記載の一般式(1)、特 開平11-143064号公報に記載の一般式(1)などで示 されるジアゾニウム塩を挙げることができる 。

 これ以外の好ましいオニウム塩として、D .C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wen et  al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、 米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホ スホニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromorecules,10( 6),1307(1977)、Chem.&Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州 特許第104,143号、米国特許第5,041,358号、同第4, 491,628号、特開平2-150848号、特開平2-296514号に 載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Macromo recules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivello et al,J.Polymer S ci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニ ム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p4 78 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等が げられる。

 オニウム塩の対イオンとしては、四フッ ホウ酸、六フッ化リン酸、トリイソプロピ ナフタレンスルホン酸、5-ニトロ-o-トルエ スルホン酸、5-スルホサリチル酸、2,5-ジメ ルベンゼンスルホン酸、2,4,6-トリメチルベ ゼンスルホン酸、2-ニトロベンゼンスルホン 酸、3-クロロベンゼンスルホン酸、3-ブロモ ンゼンスルホン酸、2-フルオロカプリルナフ タレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホ ン酸、1-ナフトール-5-スルホン酸、2-メトキ -4-ヒドロキシ-5-ベンゾイル-ベンゼンスルホ 酸、及びパラトルエンスルホン酸等を挙げ ことができる。これらの中でも特に六フッ リン酸、トリイソプロピルナフタレンスル ン酸や2,5-ジメチルベンゼンスルホン酸のご ときアルキル芳香族スルホン酸が好適である 。

 これらのオニウム塩は、1種類のみを用い ても、複数の化合物を用いてもよい。また、 画像形成層が積層構造を有する場合には、単 一層のみに添加しても複数の層に添加しても よく、また、複数の種類からなる化合物を、 層を分けて添加してもよい。

 好適なキノンジアジド類としては、o-キ ンジアジド化合物を挙げることができる。 発明に用いられるo-キノンジアジド化合物は 、少なくとも1個のo-キノンジアジド基を有す る化合物で、熱分解によりアルカリ可溶性を 増すものであり、種々の構造の化合物を用い ることができる。つまり、o-キノンジアジド 熱分解により結着剤の溶解抑制能を失うこ と、o-キノンジアジド自身がアルカリ可溶 の物質に変化することの両方の効果により 材系の溶解性を助ける。本発明に用いられ o-キノンジアジド化合物としては、例えば、 J.コーサー著「ライト-センシティブ・システ ムズ」(John Wiley&Sons.Inc.)第339~352頁に記載 化合物が使用できるが、特に種々の芳香族 リヒドロキシ化合物或いは芳香族アミノ化 物と反応させたo-キノンジアジドのスルホン 酸エステル又はスルホン酸アミドが好適であ る。また、特公昭43-28403号公報に記載されて るようなベンゾキノン(1,2)-ジアジドスルホ 酸クロライド又はナフトキノン-(1,2)-ジアジ ド-5-スルホン酸クロライドとピロガロール- セトン樹脂とのエステル、米国特許第3,046,12 0号及び同第3,188,210号に記載されているベン キノン-(1,2)-ジアジドスルホン酸クロライド はナフトキノン-(1,2)-ジアジド-5-スルホン酸 クロライドとフェノール-ホルムアルデヒド 脂とのエステルも好適に使用される。

 更に、ナフトキノン-(1,2)-ジアジド-4-スル ホン酸クロライドとフェノールホルムアルデ ヒド樹脂或いはクレゾール-ホルムアルデヒ 樹脂とのエステル、ナフトキノン-(1,2)-ジア ド-4-スルホン酸クロライドとピロガロール- アセトン樹脂とのエステルも同様に好適に使 用される。その他の有用なo-キノンジアジド 合物としては、数多くの特許に報告され知 れている。例えば、特開昭47-5303号、特開昭 48-63802号、特開昭48-63803号、特開昭48-96575号、 特開昭49-38701号、特開昭48-13354号、特公昭41-11 222号、特公昭45-9610号、特公昭49-17481号などの 各公報、米国特許第2,797,213号、同第3,454,400号 、同第3,544,323号、同第3,573,917号、同第3,674,495 号、同第3,785,825号、英国特許第1,227,602号、同 第1,251,345号、同第1,267,005号、同第1,329,888号、 同第1,330,932号、ドイツ特許第854,890号などの 明細書中に記載されているものを挙げるこ ができる。 

 分解性溶解抑止剤であるオニウム塩、及 /又は、o-キノンジアジド化合物の添加量は 好ましくは、本発明にかかる画像形成層の 固形分に対し、好ましくは0.1~10質量%、更に 好ましくは0.1~5質量%、特に好ましくは0.2~2質 %の範囲である。これらの化合物は単一で使 用できるが、数種の混合物として使用しても よい。

 o-キノンジアジド化合物以外の添加剤の 加量は、好ましくは0~5質量%、更に好ましく 0~2質量%、特に好ましくは0.1~1.5質量%である 本発明に用いられる添加剤と結着剤は、同 層へ含有させることが好ましい。

 また、分解性を有さない溶解抑止剤を併用 てもよく、好ましい溶解抑止剤としては、 開平10-268512号公報に詳細に記載されている ルホン酸エステル、燐酸エステル、芳香族 ルボン酸エステル、芳香族ジスルホン、カ ボン酸無水物、芳香族ケトン、芳香族アル ヒド、芳香族アミン、芳香族エーテル等、 じく特開平11-190903号公報に詳細に記載され いるラクトン骨格、N,N-ジアリールアミド骨 格、ジアリールメチルイミノ骨格を有し着色 剤を兼ねた酸発色性色素、同じく特開2000-1054 54号公報に詳細に記載されている非イオン性 面活性剤等を挙げることができる。
〔その他の添加剤〕
 本発明に係る画像形成層中には、更に、画 のディスクリミネーション(疎水性/親水性 識別性)の強化や表面のキズに対する抵抗力 強化する目的で、特開2000-187318公報に記載 れているような、分子中に炭素数3~20のパー ルオロアルキル基を2又は3個有する(メタ)ア クリレート単量体を重合成分とする重合体を 併用することができる。このような化合物の 添加量としては、本発明に係る画像形成層全 固形分に対し、0.1~10質量%が好ましく、より ましくは0.5~5質量%である。

 本発明に係る画像形成層中には、キズに する抵抗性を付与する目的で、表面の静摩 係数を低下させる化合物を添加することも きる。具体的には、米国特許6,117,913号明細 に用いられているような、長鎖アルキルカ ボン酸のエステル等を挙げることができる このような化合物の添加量としては、画像 成層全固形分に対し、0.1~10質量%が好ましく 、より好ましくは0.5~5質量%である。

 また、本発明に係る画像形成層中には、 要に応じて低分子量の酸性基を有する化合 を含んでいてもよい。酸性基としては、ス ホン酸基、カルボン酸基、リン酸基を挙げ ことができる。中でもスルホン酸基を有す 化合物が好ましい。具体的には、p-トルエ スルホン酸、ナフタレンスルホン酸等の芳 族スルホン酸類や脂肪族スルホン酸類を挙 ることができる。

 その他、更に感度を向上させる目的で、 状酸無水物類、フェノール類、有機酸類を 用することもできる。環状酸無水物として 米国特許第4,115,128号明細書に記載されてい 無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸 ヘキサヒドロ無水フタル酸、3,6-エンドオキ シ-δ4-テトラヒドロ無水フタル酸、テトラク ル無水フタル酸、無水マレイン酸、クロル 水マレイン酸、α-フェニル無水マレイン酸 無水コハク酸、無水ピロメリット酸などが 用できる。フェノール類としては、ビスフ ノールA、p-ニトロフェノール、p-エトキシ ェノール、2,4,4’-トリヒドロキシベンゾフ ノン、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン 4-ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’,4”-トリ ヒドロキシトリフェニルメタン、4,4’,3”,4 -テトラヒドロキシ-3,5,3’,5’-テトラメチル リフェニルメタンなどが挙げられる。更に 有機酸類としては、特開昭60-88942号公報、 開平2-96755号公報などに記載されている、ス ホン酸類、スルフィン酸類、アルキル硫酸 、ホスホン酸類、リン酸エステル類及びカ ボン酸類などがあり、具体的には、p-トル ンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン 、p-トルエンスルフィン酸、エチル硫酸、フ ェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、 リン酸フェニル、リン酸ジフェニル、安息香 酸、イソフタル酸、アジピン酸、p-トルイル 、3,4-ジメトキシ安息香酸、フタル酸、テレ フタル酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン 、エルカ酸、ラウリン酸、n-ウンデカン酸、 アスコルビン酸などが挙げられる。

 上記の環状酸無水物、フェノール類及び 機酸類を画像形成層に添加する場合、画像 成層中に占める割合は、0.05~20質量%が好ま く、より好ましくは0.1~15質量%、特に好まし は0.1~10質量%である。

 また、本発明に係る画像形成層の塗布液 調製する場合には、現像条件に対する処理 安定性を広げるため、特開昭62-251740号公報 特開平3-208514号公報に記載されているよう 非イオン界面活性剤、特開昭59-121044号公報 特開平4-13149号公報に記載されているような 性界面活性剤、EP950517公報に記載されてい ようなシロキサン系化合物、特開平11-288093 公報に記載されているようなフッ素含有の ノマー共重合体を添加することができる。

 非イオン界面活性剤の具体例としては、 ルビタントリステアレート、ソルビタンモ パルミテート、ソルビタントリオレート、 テアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエ レンノニルフェニルエーテル等が挙げられ 。両面活性剤の具体例としては、アルキル (アミノエチル)グリシン、アルキルポリア ノエチルグリシン塩酸塩、2-アルキル-N-カル ボキシエチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリ ニウムベタインやN-テトラデシル-N,N-ベタイ 型(例えば、商品名「アモーゲンK」:第一工 製薬(株)製)等が挙げられる。

 シロキサン系化合物としては、ジメチル ロキサンとポリアルキレンオキシドのブロ ク共重合体が好ましく、具体例として、(株 )チッソ社製、DBE-224,DBE-621,DBE-712,DBP-732,DBP-534 独Tego社製、Tego Glide100等のポリアルキレン キシド変性シリコーンを挙げることができ 。

 上記非イオン界面活性剤及び両性界面活 剤の画像形成層中に占める割合は、0.05~15質 量%が好ましく、より好ましくは0.1~5質量%で る。

 本発明の平版印刷版原版の画像形成層に 、露光による加熱後直ちに可視像を得るた の焼き出し剤や、画像着色剤としての染料 顔料を加えることができる。

 焼き出し剤としては、露光による加熱に って酸を放出する化合物(光酸放出剤)と塩 形成し得る有機染料の組合せを代表として げることができる。具体的には、特開昭50-36 209号、同53-8128号の各公報に記載されているo- ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸ハロゲニ ドと塩形成性有機染料の組合せや、特開昭53- 36223号、同54-74728号、同60-3626号、同61-143748号 同61-151644号及び同63-58440号の各公報に記載 れているトリハロメチル化合物と塩形成性 機染料の組合せを挙げることができる。か るトリハロメチル化合物としては、オキサ ール系化合物とトリアジン系化合物とがあ 、どちらも経時安定性に優れ、明瞭な焼き し画像を与える。

 画像の着色剤としては、前述の塩形成性 機染料以外に他の染料を用いることができ 。塩形成性有機染料を含めて、好適な染料 して油溶性染料と塩基性染料をあげること できる。具体的にはオイルイエロー#101、オ イルイエロー#103、オイルピンク#312、オイル リーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#6 03、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オ イルブラックT-505(以上オリエント化学工業( )製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタル バイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI 42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI14 5170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレン ブルー(CI52015)などを挙げることができる。ま た、特開昭62-293247号公報に記載されている染 料は特に好ましい。これらの染料は、画像形 成層全固形分に対し、0.01~10質量%、好ましく 0.1~3質量%の割合で添加することができる。 に本発明に係る画像形成層塗布液中には、 要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するため 可塑剤が加えられる。例えば、ブチルフタ ル、ポリエチレングリコール、クエン酸ト ブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブ ル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオク ル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチ 、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラ ドロフルフリル、アクリル酸又はメタクリ 酸のオリゴマー及びポリマー等が用いられ 。

 また、これら以外にも、エポキシ化合物 ビニルエーテル類、更には、特開平8-276558 公報に記載のヒドロキシメチル基を有する ェノール化合物、アルコキシメチル基を有 るフェノール化合物、及び、特開平11-160860 公報に記載のアルカリ溶解抑制作用を有す 架橋性化合物などを目的に応じて適宜添加 ることができる。

 以上のようにして得られた本発明の画像記 材料における画像形成層は、皮膜形成性及 皮膜強度に優れ、且つ、赤外線の露光によ 、露光部が高いアルカリ可溶性を示す。
2.ネガ型画像形成層
2-1.重合硬化層
 ネガ型画像形成層の1つとして、重合硬化層 が挙げられる。この重合硬化層には、(A)赤外 線吸収剤と(B)ラジカル発生剤(ラジカル重合 始剤)と発生したラジカルにより重合反応を こして硬化する(C)ラジカル重合性化合物と 含有し、好ましくは(D)バインダーポリマー 含有する。赤外線吸収剤が吸収した赤外線 熱に変換し、この際発生した熱により、オ ウム塩等のラジカル重合開始剤が分解し、 ジカルを発生する。ラジカル重合性化合物 、少なくとも一個のエチレン性不飽和二重 合を有し、末端エチレン性不飽和結合を少 くとも1個、好ましくは2個以上有する化合 から選ばれ、発生したラジカルにより連鎖 に重合反応が生起して硬化する。
2-2.酸架橋層
 また、画像形成層の他の態様としては、酸 橋層が挙げられる。酸架橋層には、(E)光又 熱により酸を発生する化合物(以下、酸発生 剤と称する)と、(F)発生した酸により架橋す 化合物(以下、架橋剤と称する)とを含有し、 更に、これらを含有する層を形成するための 、酸の存在下で架橋剤と反応しうる(G)アルカ リ可溶性ポリマーを含む。この酸架橋層にお いては、光照射又は加熱により、酸発生剤が 分解して発生した酸が、架橋剤の働きを促進 し、架橋剤同士或いは架橋剤とバインダーポ リマーとの間で強固な架橋構造が形成され、 これにより、アルカリ可溶性が低下して、現 像剤に不溶となる。このとき、赤外線レーザ のエネルギーを効率よく使用するため、画像 形成層中には(A)赤外線吸収剤が配合される。
〔(A)赤外線吸収剤〕
 赤外線レーザで画像形成可能な画像形成層 は、赤外線吸収剤を含有する。赤外線吸収 としては、記録に使用する光エネルギー照 線を吸収し、熱を発生する物質であれば特 吸収波長域の制限はなく用いることができ が、入手容易な高出力レーザの適合性の観 からは波長800nm~1200nmに吸収極大を有する赤 線吸収性染料又は顔料が好ましく挙げられ 。

 染料としては、市販の染料及び例えば「 料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年 )等の文献に記載されている公知のものが利 用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩 アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノ ン染料、アントラキノン染料、フタロシアニ ン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染 料、メチン染料、シアニン染料、スクワリリ ウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯 体等の染料が挙げられる。

 好ましい染料としては、例えば、特開昭5 8-125246号、特開昭59-84356号、特開昭59-202829号 特開昭60-78787号等に記載されているシアニン 染料、特開昭58-173696号、特開昭58-181690号、特 開昭58-194595号等に記載されているメチン染料 、特開昭58-112793号、特開昭58-224793号、特開昭 59-48187号、特開昭59-73996号、特開昭60-52940号、 特開昭60-63744号等に記載されているナフトキ ン染料、特開昭58-112792号等に記載されてい スクワリリウム色素、英国特許434,875号記載 のシアニン染料等を挙げることができる。

 また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外 収増感剤も好適に用いられ、また、米国特 第3,881,924号記載の置換されたアリールベン (チオ)ピリリウム塩、特開昭57-142645号(米国 許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリ ウム塩、特開昭58-181051号、同58-220143号、同59- 41363号、同59-84248号、同59-84249号、同59-146063号 、同59-146061号に記載されているピリリウム系 化合物、特開昭59-216146号記載のシアニン色素 、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチン チオピリリウム塩等や特公平5-13514号、同5-197 02号に開示されているピリリウム化合物も好 しく用いられる。また、染料として好まし 別の例として米国特許第4,756,993号明細書中 式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収 染料を挙げることができる。

 また、本発明の赤外線吸収色素の好まし 他の例としては、以下に例示するような特 平2001-6326、特願平2001-237840記載の特定イン レニンシアニン色素が挙げられる。

 これらの染料のうち特に好ましいものと ては、シアニン色素、スクワリリウム色素 ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、 ンドレニンシアニン色素が挙げられる。更 、シアニン色素やインドレニンシアニン色 が好ましく、特に好ましい一つの例として 記一般式(A)で示されるシアニン色素が挙げ れる。

 一般式(A)中、X 1 は、水素原子、ハロゲン原子、-NPh 2 、X 2 -L 1 又は以下に示す基を表す。ここで、X 2 は酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子を示し 、L 1 は、炭素原子数1~12の炭化水素基、ヘテロ原 を有する芳香族環、ヘテロ原子を含む炭素 子数1~12の炭化水素基を示す。なお、ここで テロ原子とは、N、S、O、ハロゲン原子、Se 示す。Xa - は後述するZa - と同様に定義され、Raは、水素原子、アルキ 基、アリール基、置換又は無置換のアミノ 、ハロゲン原子より選択される置換基を表 。

 R 1 及びR 2 は、それぞれ独立に、炭素原子数1~12の炭化 素基を示す。画像形成層塗布液の保存安定 から、R 1 及びR 2 は、炭素原子数2個以上の炭化水素基である とが好ましく、更に、R 1 とR 2 とは互いに結合し、5員環又は6員環を形成し いることが特に好ましい。

 Ar 1 、Ar 2 は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、 置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基 を示す。好ましい芳香族炭化水素基としては 、ベンゼン環及びナフタレン環が挙げられる 。また、好ましい置換基としては、炭素原子 数12個以下の炭化水素基、ハロゲン原子、炭 原子数12個以下のアルコキシ基が挙げられ 。Y 1 、Y 2 は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、 硫黄原子又は炭素原子数12個以下のジアルキ メチレン基を示す。R 3 、R 4 は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、 置換基を有していてもよい炭素原子数20個以 の炭化水素基を示す。好ましい置換基とし は、炭素原子数12個以下のアルコキシ基、 ルボキシル基、スルホ基が挙げられる。R 5 、R 6 、R 7 及びR 8 は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、 水素原子又は炭素原子数12個以下の炭化水素 を示す。原料の入手性から、好ましくは水 原子である。また、Za - は、対アニオンを示す。ただし、一般式(A)で 示されるシアニン色素が、その構造内にアニ オン性の置換基を有し、電荷の中和が必要な い場合にはZa - は必要ない。好ましいZa - は、画像形成層塗布液の保存安定性から、ハ ロゲンイオン、過塩素酸イオン、テトラフル オロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフ ェートイオン、及びスルホン酸イオンであり 、特に好ましくは、過塩素酸イオン、ヘキサ フルオロフォスフェートイオン、及びアリー ルスルホン酸イオンである。

 本発明において、好適に用いることので る一般式(A)で示されるシアニン色素の具体 としては、特開2001-133969公報の段落番号[0017 ]から[0019]に記載されたものを挙げることが きる。

 また、特に好ましい他の例として更に、 記した特願平2001-6326、特願平2001-237840明細 に記載の特定インドレニンシアニン色素が げられる。

 本発明において使用される顔料としては 市販の顔料及びカラーインデックス(C.I.)便 、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、 1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、198 6年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊 )に記載されている顔料が利用できる。

 顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔 、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、 色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、 属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙 られる。具体的には、不溶性アゾ顔料、ア レーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ 料、フタロシアニン系顔料、アントラキノ 系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、チ インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジ キサジン系顔料、イソインドリノン系顔料 キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、 ジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天 顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラ ク等が使用できる。これらの顔料のうち好 しいものはカーボンブラックである。

 これら顔料は表面処理をせずに用いても く、表面処理を施して用いてもよい。表面 理の方法には、樹脂やワックスを表面コー する方法、界面活性剤を付着させる方法、 応性物質(例えば、シランカップリング剤、 エポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を 料表面に結合させる方法等が考えられる。 記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と 用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版 1984年刊)及び「最新顔料応用技術」(CMC出版 1986年刊)に記載されている。

 顔料の粒径は、分散物の画像形成層塗布 中での安定性及び画像形成層の均一性の観 から、0.01μm~10μmの範囲にあることが好まし く、0.05μm~1μmの範囲にあることが更に好まし く、特に0.1μm~1μmの範囲にあることが好まし 。

 顔料を分散する方法としては、インク製 やトナー製造等に用いられる公知の分散技 が使用できる。分散機としては、超音波分 器、サンドミル、アトライター、パールミ 、スーパーミル、ボールミル、インペラー デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダ ナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等 挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術 (CMC出版、1986年刊)に記載されている。

 画像形成層中における、赤外線吸収剤の含 量としては、画像形成層の全固形分質量に し、0.01~50質量%が好ましく、0.1~10質量%がよ 好ましく、0.5~10質量%が最も好ましい。この 範囲において、高感度な記録が可能であり、 非画像部における汚れの発生もなく、高画質 の画像形成が可能である。
〔(B)ラジカルを発生する化合物〕
 ラジカル発生剤は、光、熱、或いはその両 のエネルギーによりラジカルを発生し、重 性の不飽和基を有する化合物の重合を開始 促進させる化合物を指す。本発明に適用可 なラジカル発生剤としては、公知の熱重合 始剤や結合解離エネルギーの小さな結合を する化合物などを選択して使用することが き、例えば、オニウム塩、トリハロメチル を有するs-トリアジン化合物、オキサゾー 化合物などの有機ハロゲン化合物、過酸化 、アゾ系重合開始剤、アリールアジド化合 、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、 オキサントン類等のカルボニル化合物、メ ロセン化合物、ヘキサアリールビイミダゾ ル化合物、有機ホウ素塩化合物、ジズルホ 化合物等が挙げられる。

 本発明において、特に好適に用いられる ジカル発生剤としては、オニウム塩が挙げ れ、なかでも、下記一般式(B-1)~(B-3)で表さ るオニウム塩が好ましく用いられる。

 式(B-1)中、Ar 11 とAr 12 は、それぞれ独立に、置換基を有していても 良い炭素原子数20個以下のアリール基を示す このアリール基が置換基を有する場合の好 しい置換基としては、ハロゲン原子、ニト 基、炭素原子数12個以下のアルキル基、炭 原子数12個以下のアルコキシ基、又は炭素原 子数12個以下のアリールオキシ基が挙げられ 。Z 11- は、無機アニオン又は有機アニオンを表す。

 式(B-2)中、Ar 21 は、置換基を有していても良い炭素原子数20 以下のアリール基を示す。好ましい置換基 しては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原 数12個以下のアルキル基、炭素原子数12個以 下のアルコキシ基、炭素原子数12個以下のア ールオキシ基、炭素原子数12個以下のアル ルアミノ基、炭素原子数12個以下のジアルキ ルアミノ基、炭素原子数12個以下のアリール ミノ基又は、炭素原子数12個以下のジアリ ルアミノ基が挙げられる。Z 21- はZ 11- と同義の対イオンを表す。

 式(B-3)中、R 31 、R 32 及びR 33 は、それぞれ同じでも異なっていても良く、 置換基を有していても良い炭素原子数20個以 の炭化水素基を示す。好ましい置換基とし は、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素原子数1 2個以下のアルキル基、炭素原子数12個以下の アルコキシ基、又は炭素原子数12個以下のア ールオキシ基が挙げられる。Z 31- はZ 11- と同義の対イオンを表す。

 前記一般式(B-1)~(B-3)中のZ 11- 、Z 21- 、Z 31- は無機アニオン若しくは、有機アニオンを表 すが、無機アニオンとしては、ハロゲンイオ ン(F - 、Cl - 、Br - 、I - )、過塩素酸イオン(ClO 4 - )、過ホウ素酸イオン(BrO 4 - )、テトラフルオロボレートイオン(BF 4 - )、SbF 6 - 、PF 6 - 等が挙げられ、有機アニオンとしては、有機 ボレートアニオン、スルホン酸イオン、ホス ホン酸イオン、カルボン酸イオン、R 40 -SO 3 H - 、R 40 -SO 2 - 、R 40 -SO 2 S - 、R 40 -SO 2 N - -Y-R 40 イオン(ここで、R 40 は炭素原子数1~20のアルキル基、又は、炭素 子数6~20のアリール基を表し、Yは単結合、-CO -、-SO 2 -、を表す。)等が挙げられる。

 本発明において、好適に用いることので るオニウム塩の具体例としては、特開2001-13 3696号公報の段落番号[0030]~[0033]に記載された のを挙げることができる。

 本発明において用いられるオニウム塩は 極大吸収波長が400nm以下であることが好ま く、更に360nm以下であることが好ましい。こ のように吸収波長を紫外線領域にすることに より、平版印刷版原版の取り扱いを白灯下で 実施することができる。

 これらのオニウム塩は、1種のみを用いて も良いし、2種以上を併用しても良い。

 これらのオニウム塩は、画像形成層塗布 の全固形分に対し0.1~50質量%、好ましくは0.5 ~30質量%、特に好ましくは1~20質量%の割合で添 加することができる。添加量が上記範囲にお いて、高感度な記録が達成され、また、印刷 時における非画像部の汚れ発生が抑制される 。

 これらのオニウム塩は必ずしも画像形成層 添加されなくてもよく、画像形成層に隣接 て設けられる別の層へ添加してもよい。
〔(C)ラジカル重合性化合物〕
 本態様における画像形成層に使用されるラ カル重合性化合物は、少なくとも一個のエ レン性不飽和二重結合を有するラジカル重 性化合物であり、末端エチレン性不飽和結 を少なくとも1個、好ましくは2個以上有す 化合物から選ばれる。この様な化合物群は 該産業分野において広く知られるものであ 、本発明においてはこれらを特に限定無く いる事ができる。これらは、例えばモノマ 、プレポリマー、即ち2量体、3量体及びオリ ゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの 共重合体などの化学的形態をもつ。モノマー 及びその共重合体の例としては、不飽和カル ボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸 イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸 マレイン酸など)や、そのエステル類、アミ 類があげられ、好ましくは、不飽和カルボ 酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエス ル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン 合物とのアミド類が用いられる。また、ヒ ロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等 求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エ テル、アミド類と単官能若しくは多官能イ シアネート類、エポキシ類との付加反応物 単官能若しくは、多官能のカルボン酸との 水縮合反応物等も好適に使用される。また イソシアナート基やエポキシ基等の親電子 置換基を有する不飽和カルボン酸エステル はアミド類と、単官能若しくは多官能のア コール類、アミン類及びチオール類との付 反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ 等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン エステル又はアミド類と、単官能若しくは 官能のアルコール類、アミン類及びチオー 類との置換反応物も好適である。また、別 例として、上記の不飽和カルボン酸の代わ に、不飽和ホスホン酸、スチレン等に置き えた化合物群を使用する事も可能である。

 脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カ ボン酸とのエステルであるラジカル重合性 合物であるアクリル酸エステル、メタクリ 酸エステル、イタコン酸エステル、クロト 酸エステル、イソクロトン酸エステル、マ イン酸エステルの具体例は、特開2001-133696 公報の段落番号[0037]~[0042]に記載されており これらを本発明にも適用することができる

 その他のエステルの例として、例えば、 公昭46-27926、特公昭51-47334、特開昭57-196231記 載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開 昭59-5240、特開昭59-5241、特開平2-226149記載の 香族系骨格を有するもの、特開平1-165613記載 のアミノ基を含有するもの等も好適に用いら れる。

 また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和 ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例と ては、メチレンビス-アクリルアミド、メチ レンビス-メタクリルアミド、1,6-ヘキサメチ ンビス-アクリルアミド、1,6-ヘキサメチレ ビス-メタクリルアミド、ジエチレントリア ントリスアクリルアミド、キシリレンビス クリルアミド、キシリレンビスメタクリル ミド等がある。

 その他の好ましいアミド系モノマーの例 しては、特公昭54-21726記載のシクロへキシ ン構造を有すものをあげる事ができる。

 また、イソシアネートと水酸基の付加反 を用いて製造されるウレタン系付加重合性 合物も好適であり、そのような具体例とし は、例えば、特公昭48-41708号公報中に記載 れている1分子に2個以上のイソシアネート基 を有するポリイソシアネート化合物に、下記 式(VI)で示される水酸基を含有するビニルモ マーを付加させた1分子中に2個以上の重合性 ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等 が挙げられる。

 一般式(VI)
CH 2 =C(R 41 )COOCH 2 CH(R 42 )OH
(ただし、R 41 及びR 42 は、H又はCH 3 を示す。)
 また、特開昭51-37193号、特公平2-32293号、特 平2-16765号に記載されているようなウレタン アクリレート類や、特公昭58-49860号、特公昭5 6-17654号、特公昭62-39417、特公昭62-39418号記載 エチレンオキサイド系骨格を有するウレタ 化合物類も好適である。

 更に、特開昭63-277653,特開昭63-260909号、特 開平1-105238号に記載される、分子内にアミノ 造やスルフィド構造を有するラジカル重合 化合物類を用いても良い。

 その他の例としては、特開昭48-64183号、 公昭49-43191号、特公昭52-30490号、各公報に記 されているようなポリエステルアクリレー 類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反 させたエポキシアクリレート類等の多官能 アクリレートやメタクリレートをあげるこ ができる。また、特公昭46-43946号、特公平1-4 0337号、特公平1-40336号記載の特定の不飽和化 物や、特開平2-25493号記載のビニルホスホン 酸系化合物等もあげることができる。また、 ある場合には、特開昭61-22048号記載のペルフ オロアルキル基を含有する構造が好適に使 される。更に日本接着協会誌 vol.20、No.7、3 00~308ページ(1984年)に光硬化性モノマー及びオ リゴマーとして紹介されているものも使用す ることができる。

 これらのラジカル重合性化合物について どの様な構造を用いるか、単独で使用する 併用するか、添加量はどうかといった、使 方法の詳細は、最終的な記録材料の性能設 にあわせて、任意に設定できる。例えば、 のような観点から選択される。感度の点で 1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好 ましく、多くの場合、2官能以上がこのまし 。また、画像部即ち硬化膜の強度を高くす ためには、3官能以上のものが良く、更に、 なる官能数・異なる重合性基を有する化合 (例えば、アクリル酸エステル系化合物、メ タクリル酸エステル系化合物、スチレン系化 合物等)を組み合わせて用いることで、感光 と強度の両方を調節する方法も有効である 大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化 物は感度や膜強度に優れる反面、現像スピ ドや現像液中での析出といった点で好まし 無い場合がある。また、画像形成層中の他 成分(例えばバインダーポリマー、開始剤、 色剤等)との相溶性、分散性に対しても、ラ ジカル重合化合物の選択・使用法は重要な要 因であり、例えば、低純度化合物の使用や、 2種以上化合物の併用によって、相溶性を向 させうることがある。また、支持体、オー ーコート層等の密着性を向上せしめる目的 特定の構造を選択することもあり得る。画 形成層中のラジカル重合性化合物の配合比 関しては、多い方が感度的に有利であるが 多すぎる場合には、好ましく無い相分離が じたり、画像形成層の粘着性による製造工 上の問題(例えば、画像形成層成分の転写、 着に由来する製造不良)や、現像液からの析 出が生じる等の問題を生じうる。

 これらの観点から、ラジカル重合性化合物 好ましい配合比は、多くの場合、組成物全 分に対して5~80質量%、好ましくは20~75質量% ある。また、これらは単独で用いても2種以 併用してもよい。そのほか、ラジカル重合 化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害 大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表 粘着性等の観点から適切な構造、配合、添 量を任意に選択でき、更に場合によっては 塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も 施しうる。
〔(D)バインダーポリマー〕
 このような画像形成層においては、画像形 層の膜性向上の観点から更にバインダーポ マーを使用することが好ましく、バインダ としては線状有機ポリマーを用いることが ましい。このような「線状有機ポリマー」 しては、どれを使用しても構わない。好ま くは水現像或いは弱アルカリ水現像を可能 するために、水或いは弱アルカリ水可溶性 は膨潤性である線状有機ポリマーが選択さ る。線状有機ポリマーは、画像形成層を形 するための皮膜形成剤としてだけでなく、 、弱アルカリ水或いは有機溶剤現像剤とし の用途に応じて選択使用される。

 例えば、水可溶性有機ポリマーを用いる 水現像が可能になる。このような線状有機 リマーとしては、側鎖にカルボン酸基を有 るラジカル重合体、例えば特開昭59-44615号 特公昭54-34327号、特公昭58-12577号、特公昭54-2 5957号、特開昭54-92723号、特開昭59-53836号、特 昭59-71048号に記載されているもの、即ち、 タクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体 イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体 マレイン酸共重合体、部分エステル化マレ ン酸共重合体等がある。また同様に側鎖に ルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体 ある。この他に水酸基を有する重合体に環 酸無水物を付加させたものなどが有用であ 。

 特にこれらの中で、ベンジル基又はアリ 基と、カルボキシル基を側鎖に有する(メタ )アクリル樹脂が、膜強度、感度、現像性の ランスに優れており、好適である。

 また、特公平7-12004号、特公平7-120041号、 公平7-120042号、特公平8-12424号、特開昭63-2879 44号、特開昭63-287947号、特開平1-271741号、特 平11-352691号等に記載される酸基を含有する レタン系バインダーポリマーは、非常に、 度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点 有利である。

 更にこの他に水溶性線状有機ポリマーと て、ポリビニルピロリドンやポリエチレン キサイド等が有用である。また硬化皮膜の 度を上げるためにアルコール可溶性ナイロ や2,2-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン とエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有 用である。

 本発明で使用されるポリマーの重量平均 子量については好ましくは5000以上であり、 更に好ましくは1万~30万の範囲であり、数平 分子量については好ましくは1000以上であり 更に好ましくは2000~25万の範囲である。多分 散度(重量平均分子量/数平均分子量)は1以上 好ましく、更に好ましくは1.1~10の範囲であ 。

 これらのポリマーは、ランダムポリマー ブロックポリマー、グラフトポリマー等い れでもよいが、ランダムポリマーであるこ が好ましい。

 本発明で使用されるバインダーポリマー 単独で用いても混合して用いてもよい。こ らポリマーは、画像形成層塗布液の全固形 に対し20~95質量%、好ましくは30~90質量%の割 で画像形成層中に添加される。添加量が20 量%未満の場合は、画像形成した際、画像部 強度が不足する。また添加量が95質量%を越 る場合は、画像形成されない。またラジカ 重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有 る化合物と線状有機ポリマーは、質量比で1 /9~7/3の範囲とするのが好ましい。

 次に、酸架橋層の構成成分について説明 る。ここで用いられる赤外線吸収剤は、前 重合硬化型画像形成層におけるのと同様の のを用いることができる。

 好ましい含有量は、画像形成層の全固形 質量に対し、0.01~50質量%が好ましく、0.1~10 量%がより好ましく、更に0.5~10質量%が最も好 ましい。

 前記含有量の範囲において、高感度な記録 達成でき、更に、得られる平版印刷用の非 像部における汚れの発生が抑制される。
〔(E)酸発生剤〕
 本実施の形態において、熱により分解して を発生する酸発生剤は、200~500nmの波長領域 光を照射する又は100℃以上に加熱すること より、酸を発生する化合物をいう。

 前記酸発生剤としては、光カチオン重合 光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色 類の光消色剤、光変色剤、或いは、マイク レジスト等に使用されている公知の酸発生 等、熱分解して酸を発生しうる、公知の化 物及びそれらの混合物等が挙げられる。

 上述の酸発生剤のうち、下記一般式(E-1)~( E-5)で表される化合物が好ましい。

 前記一般式(E-1)~(E-5)中、R 1 、R 2 、R 4 及びR 5 は、同一でも異なっていてもよく、置換基を 有していてもよい炭素数20以下の炭化水素基 表す。R 3 は、ハロゲン原子、置換基を有していてもよ い炭素数10以下の炭化水素基又は炭素数10以 のアルコキシ基を表す。Ar 1 、Ar 2 は、同一でも異なっていてもよく、置換基を 有していてもよい炭素数20以下のアリール基 表す。R 6 は、置換基を有していてもよい炭素数20以下 2価の炭化水素基を表す。nは、0~4の整数を す。

 前記式中、R 1 、R 2 、R 4 及びR 5 は、炭素数1~14の炭化水素基が好ましい。

 前記一般式(E-1)~(E-5)で表される酸発生剤 好ましい態様は、特開2001-142230号公報の段落 番号[0197]~[0222]に一般式(I)~(V)の化合物として 細に記載されている。これらの化合物は、 えば、特開平2-100054号、特開平2-100055号に記 載の方法により合成することができる。

 また、(E)酸発生剤として、ハロゲン化物 スルホン酸等を対イオンとするオニウム塩 挙げることができ、中でも、下記一般式(E-6 )~(E-8)で表されるヨードニウム塩、スルホニ ム塩、ジアゾニウム塩のいずれかの構造式 有するものを好適に挙げることができる。

 前記一般式(E-6)~(E-8)中、X - は、ハロゲン化物イオン、ClO 4 - 、PF 6 - 、SbF 6 - 、BF 4 - 又はR 7 SO 3 - を表し、ここで、R 7 は、置換基を有していてもよい炭素数20以下 炭化水素基を表す。Ar 3 、Ar 4 は、それぞれ独立に、置換基を有していても よい炭素数20以下のアリール基を表す。R 8 、R 9 、R 10 は、置換基を有していてもよい炭素数18以下 炭化水素基を表す。

 このようなオニウム塩は、特開平10-39509 公報段落番号[0010]~[0035]に一般式(I)~(III)の化 物として記載されている。

 酸発生剤の添加量としては、画像形成層 全固形分質量に対し0.01~50質量%が好ましく 0.1~25質量%がより好ましく、0.5~20質量%が最も 好ましい。

 前記添加量が、0.01質量%未満であると、 像が得られないことがあり、50質量%を超え と、平版印刷用原版とした時の印刷時にお て非画像部に汚れが発生することがある。

 上述の酸発生剤は単独で使用してもよいし 2種以上を組合わせて使用してもよい。
〔(F)架橋剤〕
 次に、架橋剤について説明する。架橋剤と ては、以下のものが挙げられる。

 (i)ヒドロキシメチル基若しくはアルコキシ チル基で置換された芳香族化合物
 (ii)N-ヒドロキシメチル基、N-アルコキシメ ル基若しくはN-アシルオキシメチル基を有す る化合物
 (iii)エポキシ化合物
 以下、前記(i)~(iii)の化合物について詳述す 。

 前記(i)ヒドロキシメチル基若しくはアル キシメチル基で置換された芳香族化合物と ては、例えば、ヒドロキシメチル基、アセ キシメチル基若しくはアルコキシメチル基 ポリ置換されている芳香族化合物又は複素 化合物が挙げられる。但し、レゾール樹脂 して知られるフェノール類とアルデヒド類 を塩基性条件下で縮重合させた樹脂状の化 物も含まれる。 

 ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチ 基でポリ置換された芳香族化合物又は複素 化合物のうち、中でも、ヒドロキシ基に隣 する位置にヒドロキシメチル基又はアルコ シメチル基を有する化合物が好ましい。

 また、アルコキシメチル基でポリ置換さ た芳香族化合物又は複素環化合物では、中 も、アルコキシメチル基が炭素数18以下の 合物が好ましく、下記一般式(F-1)~(F-4)で表さ れる化合物がより好ましい。

 前記一般式(F-1)~(F-4)中、L 1 ~L 8 は、それぞれ独立に、メトキシメチル、エト キシメチル等の、炭素数18以下のアルコキシ で置換されたヒドロキシメチル基又はアル キシメチル基を表す。

 これらの架橋剤は、架橋効率が高く、耐 性を向上できる点で好ましい。

 (ii)N-ヒドロキシメチル基、N-アルコキシ チル基若しくはN-アシルオキシメチル基を有 する化合物としては、欧州特許公開(以下、 EP-A」と示す。)第0,133,216号、西独特許第3,634, 671号、同第3,711,264号に記載の、単量体及びオ リゴマー-メラミン-ホルムアルデヒド縮合物 びに尿素-ホルムアルデヒド縮合物、EP-A第0, 212,482号明細書に記載のアルコキシ置換化合 等が挙げられる。

 なかでも、例えば、少なくとも2個の遊離 N-ヒドロキシメチル基、N-アルコキシメチル 若しくはN-アシルオキシメチル基を有するメ ラミン-ホルムアルデヒド誘導体が好ましく N-アルコキシメチル誘導体が最も好ましい。

 (iii) エポキシ化合物としては、1以上の ポキシ基を有する、モノマー、ダイマー、 リゴマー、ポリマー状のエポキシ化合物が げられ、例えば、ビスフェノールAとエピク ルヒドリンとの反応生成物、低分子量フェ ール-ホルムアルデヒド樹脂とエピクロルヒ ドリンとの反応生成物等が挙げられる。

 その他、米国特許第4,026,705号、英国特許 1,539,192号の各明細書に記載され、使用され いるエポキシ樹脂を挙げることができる。

 架橋剤として、前記(i)~(iii)の化合物を用 る場合の添加量としては、画像形成層の全 形分質量に対し5~80質量%が好ましく、10~75質 量%がより好ましく、20~70質量%が最も好まし 。

 前記添加量が、5質量%未満であると、得 れる画像記録材料の画像形成層の耐久性が 下することがあり、80質量%を超えると、保 時の安定性が低下することがある。

 本発明においては、架橋剤として、(iv)下 記一般式(F-5)で表されるフェノール誘導体も 適に使用することができる。

 前記一般式(F-5)中、Ar 1 は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水 素環を表し、R 1 、R 2 及びR 3 は水素原子又は炭素数12個以下の炭化水素基 表す。mは2~4の整数を表し、nは1~3の整数を す。

 原料の入手性の点で、前記芳香族炭化水 環としては、ベンゼン環、ナフタレン環又 アントラセン環が好ましい。また、その置 基としては、ハロゲン原子、炭素数12以下 炭化水素基、炭素数12以下のアルコキシ基、 炭素数12以下のアルキルチオ基、シアノ基、 トロ基、トリフルオロメチル基等が好まし 。

 上記のうち、高感度化が可能である点で、A r 1 としては、置換基を有していないベンゼン環 、ナフタレン環、或いは、ハロゲン原子、炭 素数6以下の炭化水素基、炭素数6以下のアル キシ基、炭素数6以下のアルキルチオ基、炭 素数12以下のアルキルカルバモイル基、又は トロ基等を置換基として有するベンゼン環 又はナフタレン環がより好ましい。

 上記R 1 、R 2 で表される炭化水素基としては、合成が容易 であるという理由から、メチル基が好ましい 。R 3 で表される炭化水素基としては、感度が高い という理由から、メチル基、ベンジル基等の 炭素数7以下の炭化水素基であることが好ま い。更に、合成の容易さから、mは、2又は3 あることが好ましく、nは1又は2であること 好ましい。
〔(G)アルカリ水可溶性高分子化合物〕
 本発明に適用可能な架橋層に使用可能なア カリ水可溶性高分子化合物としては、ノボ ック樹脂や側鎖にヒドロキシアリール基を するポリマー等が挙げられる。前記ノボラ ク樹脂としては、フェノール類とアルデヒ 類を酸性条件下で縮合させた樹脂が挙げら る。

 中でも、例えば、フェノールとホルムアル ヒドから得られるノボラック樹脂、m-クレ ールとホルムアルデヒドから得られるノボ ック樹脂、p-クレゾールとホルムアルデ 
ヒドから得られるノボラック樹脂、o-クレゾ ルとホルムアルデヒドから得られるノボラ ク樹脂、オクチルフェノールとホルムアル ヒドから得られるノボラック樹脂、m-/p-混 クレゾールとホルムアルデヒドから得られ ノボラック樹脂、フェノール/クレゾール(m-, p-,o-又はm-/p-,m-/o-,o-/p-混合のいずれでもよい) 混合物とホルムアルデヒドから得られるノ ラック樹脂や、フェノールとパラホルムア デヒドとを原料とし、触媒を使用せず密閉 態で高圧下、反応させて得られるオルソ結 率の高い高分子量ノボラック樹脂等が好ま い。

 前記ノボラック樹脂は、重量平均分子量 800~300,000で、数平均分子量が400~60,000のもの 中から、目的に応じて好適なものを選択し 用いればよい。

 また、前記側鎖にヒドロキシアリール基 有するポリマーも好ましく、該ポリマー中 ヒドロキシアリール基としては、OH基が1以 結合したアリール基が挙げられる。

 前記アリール基としては、例えば、フェ ル基、ナフチル基、アントラセニル基、フ ナントレニル基等が挙げられ、中でも、入 の容易性及び物性の観点から、フェニル基 はナフチル基が好ましい。

 本実施の形態に使用可能な、側鎖にヒド キシアリール基を有するポリマーとしては 例えば、下記一般式(G-1)~(G-4)で表される構 単位のうちのいずれか1種を含むポリマーを げることができる。但し、本発明において 、これらに限定されるものではない。

 一般式(G-1)~(G-4)中、R 11 は、水素原子又はメチル基を表す。R 12 及びR 13 は、同じでも異なっていてもよく、水素原子 、ハロゲン原子、炭素数10以下の炭化水素基 炭素数10以下のアルコキシ基又は炭素数10以 下のアリールオキシ基を表す。また、R 12 とR 13 が結合、縮環してベンゼン環やシクロヘキサ ン環を形成していてもよい。R 14 は、単結合又は炭素数20以下の2価の炭化水素 基を表す。R 15 は、単結合又は炭素数20以下の2価の炭化水素 基を表す。R 16 は、単結合又は炭素数10以下の2価の炭化水素 基を表す。X 1 は、単結合、エーテル結合、チオエーテル結 合、エステル結合又はアミド結合を表す。p 、1~4の整数を表す。q及びrは、それぞれ独立 に0~3の整数を表す。

 これらのアルカリ可溶性高分子としては 特開2001-142230号公報の段落番号[0130]~[0163]に 細に記載されている。

 本実施の形態に使用可能なアルカリ水可 性高分子化合物は、1種類のみで使用しても よいし、2種類以上を組合せて使用してもよ 。

 アルカリ水可溶性高分子化合物の添加量 しては、画像形成層の全固形分に対し5~95質 量%が好ましく、10~95質量%がより好ましく、20 ~90質量%が最も好ましい。 

 アルカリ水可溶性樹脂の添加量が、5質量 %未満であると、画像形成層の耐久性が劣化 ることがあり、95質量%を超えると、画像形 されないことがある。

 また、本発明に係る画像形成層に適用でき 公知の記録材料としては、特開平8-276558号 報に記載のフェノール誘導体を含有するネ 型画像記録材料、特開平7-306528号公報に記載 のジアゾニウム化合物を含有するネガ型記録 材料、特開平10-203037号公報に記載されている 環内に不飽和結合を有する複素環基を有する ポリマーを用いた、酸触媒による架橋反応を 利用したネガ型画像形成材料などが挙げられ 、これらに記載の画像形成層を本発明におけ るネガ型画像形成層としての酸架橋層に適用 することができる。
[その他の成分]
 このようなネガ型の画像形成層には、更に 要に応じてこれら以外に種々の化合物を添 してもよい。例えば、可視光域に大きな吸 を持つ染料を画像の着色剤として使用する とができる。また、フタロシアニン系顔料 アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタ などの顔料も好適に用いることができる。

 また、本発明においては、画像形成層が 合硬化層である場合、塗布液の調製中或い 保存中においてラジカル重合可能なエチレ 性不飽和二重結合を有する化合物の不要な 重合を阻止するために少量の熱重合防止剤 添加することが望ましい。適当な熱重合防 剤としてはハイドロキノン、p-メトキシフ ノール、ジ-t-ブチル-p-クレゾール、ピロガ ール、t-ブチルカテコール、ベンゾキノン、 4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール )、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフ ノール)、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシ アミンアルミニウム塩等が挙げられる。熱 合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対 て約0.01質量%~約5質量%が好ましい。また必要 に応じて、酸素による重合阻害を防止するた めにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級 脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の 過程で画像形成層の表面に偏在させてもよい 。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の 約0.1質量%~約10質量%が好ましい。

 また、本発明における画像形成層塗布液 には、現像条件に対する処理の安定性を広 るため、特開昭62-251740号や特開平3-208514号 記載されているような非イオン界面活性剤 特開昭59-121044号、特開平4-13149号に記載され いるような両性界面活性剤を添加すること できる。

 非イオン界面活性剤の具体例としては、 ルビタントリステアレート、ソルビタンモ パルミテート、ソルビタントリオレート、 テアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエ レンノニルフェニルエーテル等が挙げられ 。

 両性界面活性剤の具体例としては、アル ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポ アミノエチルグリシン塩酸塩、2-アルキル-N- カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルイミダ ゾリニウムベタイン、N-テトラデシル-N,N-ベ イン型(例えば、商品名アモーゲンK、第一工 業(株)製)等が挙げられる。

 上記非イオン界面活性剤及び両性界面活 剤の画像形成層塗布液中に占める割合は、0 .05~15質量%が好ましく、より好ましくは0.1~5質 量%である。

 更に、本発明における画像形成層塗布液中 は、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与す ために可塑剤が加えられる。例えば、ポリ チレングリコール、クエン酸トリブチル、 タル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタ 酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸 リオクチル、オレイン酸テトラヒドロフル リル等が用いられる。
3.疎水化前駆体含有画像形成層
 本発明の平版印刷版用支持体に適用し得る らなる画像形成層として、加熱又は輻射線 照射により疎水性領域を形成しうる化合物( 以下、適宜、疎水化前駆体と称する)を含有 る感熱画像形成層が挙げられる。このよう 画像形成層は、(a)熱反応性官能基を有する 粒子ポリマー、又は、(b)熱反応性官能基を する化合物を内包するマイクロカプセルな のように、加熱により、互いに融着したり 例えば、マイクロカプセルであれば、その 包物が熱により化学反応を起こしたりして 画像部領域即ち疎水性領域(親インク領域)を 形成する化合物を含有し、これらは好ましく は、親水性のバインダー中に分散されている ので、画像形成(露光)後は、印刷機シリンダ 上に平版印刷版原版を取付け、湿し水及び/ 又はインキを供給することで、特段の現像処 理を行なうことなく、機上現像できることが 特徴である。

 このような画像形成層は、(a)熱反応性官 基を有する微粒子ポリマー、又は、(b)熱反 性官能基を有する化合物を内包するマイク カプセルを含有する。

 上記(a)及び(b)に共通の熱反応性官能基とし は、例えば、重合反応を行うエチレン性不 和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロ イル基、ビニル基、アリル基)、付加反応を うイソシアネート基又はそのブロック体、 の反応相手である活性水素原子を有する官 基(例えば、アミノ基、ヒドロキシル基、カ ボキシル基)、同じく付加反応を行うエポキ シ基、その反応相手であるアミノ基、カルボ キシル基又はヒドロキシル基、縮合反応を行 うカルボキシル基とヒドロキシル基又はアミ ノ基、開環付加反応を行う酸無水物とアミノ 基又はヒドロキシル基が挙げられる。本発明 に用いられる熱反応性官能基は、これらに限 定されず、化学結合が形成されるならば、ど のような反応を行う官能基でもよい。
[(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマー]
 (a)微粒子ポリマーに好適な熱反応性官能基 しては、例えば、アクリロイル基、メタク ルロイル基、ビニル基、アリル基、エポキ 基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキ ル基、イソシアネート基、酸無水物基及び れらを保護した基が挙げられる。熱反応性 能基のポリマー微粒子への導入は、ポリマ の重合時に行ってもよいし、重合後に高分 反応を利用して行ってもよい。

 熱反応性官能基をポリマーの重合時に導 する場合は、熱反応性官能基を有するモノ ーを用いて乳化重合又は懸濁重合を行うの 好ましい。

 熱反応性官能基を有するモノマーの具体 としては、アリルメタクリレート、アリル クリレート、ビニルメタクリレート、ビニ アクリレート、グリシジルメタクリレート グリシジルアクリレート、2-イソシアネー エチルメタクリレート、そのアルコールな によるブロックイソシアネート、2-イソシア ネートエチルアクリレート、そのアルコール などによるブロックイソシアネート、2-アミ エチルメタクリレート、2-アミノエチルア リレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレー ト、2-ヒドロキシエチルアクリレート、アク ル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、二 能アクリレート、二官能メタクリレートが げられる。本発明に用いられる熱反応性官 基を有するモノマーは、これらに限定され い。

 これらのモノマーと共重合可能な、熱反 性官能基を有しないモノマーとしては、例 ば、スチレン、アルキルアクリレート、ア キルメタクリレート、アクリロニトリル、 酸ビニルが挙げられる。本発明に用いられ 熱反応性官能基を有しないモノマーは、こ らに限定されない。

 熱反応性官能基をポリマーの重合後に導 する場合に用いられる高分子反応としては 例えば、国際公開第96/34316号パンフレット 記載されている高分子反応が挙げられる。 

 上記(a)熱反応性官能基を有する微粒子ポ マーの中でも、画像形成性の観点からは、 粒子ポリマー同志が熱により容易に融着、 体するものが好ましく、また、機上現像性 観点から、その表面が親水性で、水に分散 るものが、特に好ましい。また、微粒子ポ マーのみを塗布し、凝固温度よりも低い温 で乾燥して作製したときの皮膜の接触角(空 中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥 て作製したときの皮膜の接触角(空中水滴)よ りも低くなることが好ましい。

 微粒子ポリマー表面の親水性をこのよう 好ましい状態にするには、ポリビニルアル ール、ポリエチレングリコールなどの親水 ポリマー或いはオリゴマー、又は親水性低 子化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させ やればよいが、微粒子の表面親水化方法は れらに限定されるものではなく、公知の種 の表面親水化方法を適用することができる

 (a)熱反応性官能基を有する微粒子ポリマ の熱融着温度は、70℃以上であることが好 しいが、経時安定性を考えると80℃以上が更 に好ましい。ただし、あまり熱融着温度が高 いと感度の観点からは好ましくないので、80~ 250℃の範囲が好ましく、100~150℃の範囲であ ことが更に好ましい。

 (a)微粒子ポリマーの平均粒径は、0.01~20μm であるのが好ましいが、その中でも0.05~2.0μm あるのがより好ましく、0.1~1.0μmであるのが 好ましい。この範囲内で良好な解像度と経時 安定性が得られる。

 (a)微粒子ポリマーの添加量は、画像形成層 形分の50~98質量%が好ましく、60~95質量%が更 好ましい。
[(b)熱反応性官能基を有する化合物を内包す マイクロカプセル]
 (b)マイクロカプセルに好適な熱反応性官能 としては、先に(a)、(b)に共通のものとして げた官能基の他、例えば、重合性不飽和基 ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボ シレート基、酸無水物基、アミノ基、エポ シ基、イソシアネート基、イソシアネート ロック体などが挙げられる。

 重合性不飽和基を有する化合物としては エチレン性不飽和結合、例えば、アクリロ ル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリ 基を少なくとも1個、好ましくは2個以上有 る化合物であるのが好ましい。そのような 合物群は当該産業分野において広く知られ ものであり、本発明においては、これらを に限定されずに用いることができる。これ は、化学的形態としては、モノマー、プレ リマー、即ち、二量体、三量体及びオリゴ ー、又はそれらの混合物、及びそれらの共 合体である。

 具体的には、例えば、不飽和カルボン酸( 例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコ ン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイ ン酸)、そのエステル、不飽和カルボン酸ア ドが挙げられる。中でも、不飽和カルボン と脂肪族多価アルコールとのエステル及び 飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのア ドが好ましい。

 また、ヒドロキシル基、アミノ基、メル プト基等の求核性置換基を有する不飽和カ ボン酸エステル又は不飽和カルボン酸アミ と単官能若しくは多官能のイソシアネート はエポキシドとの付加反応物、及び、単官 若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合 応物等も好適に用いられる。

 また、イソシアネート基、エポキシ基等 親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸 ステル又はアミドと、単官能若しくは多官 のアルコール、アミン又はチオールとの付 反応物、及び、ハロゲン基やトシルオキシ 等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン エステル又はアミドと、単官能若しくは多 能アルコール、アミン又はチオールとの置 反応物も好適である。

 また、別の好適な例として、上記の不飽 カルボン酸を、不飽和ホスホン酸又はクロ メチルスチレンに置き換えた化合物が挙げ れる。 

 これらの具体的な化合物としては、本願 願人が先に提案した特開2001-27742号公報の段 落番号〔0014〕乃至〔0035〕に、また、これら 化合物を内包するマイクロカプセルの詳細 製造方法については、同〔0036〕乃至〔0039 に記載され、これらの記載は本発明にも適 し得る。

 (b)マイクロカプセルに好適に用いられる イクロカプセル壁は、三次元架橋を有し、 剤によって膨潤する性質を有するものであ 。このような観点から、マイクロカプセル 壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリ ステル、ポリカーボネート、ポリアミド、 はこれらの混合物が好ましく、特に、ポリ レア及びポリウレタンが好ましい。また、 イクロカプセル壁に熱反応性官能基を有す 化合物を導入してもよい。

 (b)マイクロカプセルの平均粒径は、0.01~20 μmであるのが好ましく、0.05~2.0μmであるのが り好ましく、0.10~1.0μmであるのが特に好ま い。上記範囲内であると、良好な解像度と 時安定性が得られる。

 (b)熱反応性官能基を有するマイクロカプ ルを用いた画像形成機構では、マイクロカ セル材料、そこに内包物された化合物、更 は、マイクロカプセルが分散された画像形 層中に存在する他の任意成分などが、反応 、画像部領域即ち疎水性領域(親インク領域 )を形成するものであればよく、例えば、前 したようなマイクロカプセル同士が熱によ 融着するタイプ、マイクロカプセル内包物 うち、塗布時にカプセル表面或いはマイク カプセル外に滲み出した化合物、或いは、 イクロカプセル壁に外部から浸入した化合 が、熱により化学反応を起こすタイプ、或 は、それらのマイクロカプセル材料や内包 れた化合物が添加された親水性樹脂、或い 、添加された低分子化合物と反応するタイ 、2種類以上のマイクロカプセル壁材或いは の内包物に、それぞれ異なる官能基で互い 熱反応するような官能基をもたせるものを いることによって、マイクロカプセル同士 反応させるタイプなどが挙げられる。

 従って、熱によってマイクロカプセル同 が、溶融合体することは画像形成上好まし ことであるが、必須ではない。

 (b)マイクロカプセルの画像形成層への添 量は、固形分換算で、10~60質量%であるのが ましく、15~40質量%であるのがより好ましい 上記範囲であると、良好な機上現像性と同 に、良好な感度及び耐刷性が得られる。

 (b)マイクロカプセルを画像形成層に添加 る場合、内包物が溶解し、かつ、壁材が膨 する溶剤をマイクロカプセル分散媒中に添 することができる。このような溶剤によっ 、内包された熱反応性官能基を有する化合 の、マイクロカプセル外への拡散が促進さ る。

 このような溶剤は、マイクロカプセル分 媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚及び 包物に依存するが、多くの市販されている 剤から容易に選択することができる。例え 、架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からな 水分散性マイクロカプセルの場合、アルコ ル類、エーテル類、アセタール類、エステ 類、ケトン類、多価アルコール類、アミド 、アミン類、脂肪酸類等が好ましい。

 マイクロカプセル分散液には溶解しないが 前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用い ことができる。添加量は、素材の組み合わ により決まるものであるが、適性値より少 い場合は、画像形成が不十分となり、多い 合は分散液の安定性が劣化する。通常、塗 液の5~95質量%であるのが好ましく、10~90質量 %であるのがより好ましく、15~85質量%である が特に好ましい。
[その他の成分] 
 本態様における感熱画像形成層には、前記 像形成性を有する(a)熱反応性官能基を有す 微粒子ポリマー、又は、(b)熱反応性官能基 有する化合物を内包するマイクロカプセル ほか、目的に応じて種々の添加剤を併用す ことができる。
(反応開始剤、反応促進剤)
 前記感熱画像形成層においては、必要に応 てこれらの反応を開始し又は促進する化合 を添加してもよい。反応を開始し又は促進 る化合物としては、例えば、熱によりラジ ル又はカチオンを発生するような化合物が げられる。具体的には、例えば、ロフィン イマー、トリハロメチル化合物、過酸化物 アゾ化合物、ジアゾニウム塩又はジフェニ ヨードニウム塩などを含んだオニウム塩、 シルホスフィン、イミドスルホナートが挙 られる。

 これらの化合物は、画像形成層固形分の1~20 質量%の範囲で添加するのが好ましく、3~10質 %の範囲であるのがより好ましい。上記範囲 内であると、機上現像性を損なわず、良好な 反応開始効果又は反応促進効果が得られる。
(親水性樹脂)
 本発明におけるこのような感熱画像形成層 は親水性樹脂を添加しても良い。親水性樹 を添加することにより機上現像性が良好と るばかりか、感熱画像形成層自体の皮膜強 も向上する。

 親水性樹脂としては、例えばヒドロキシ 、カルボキシル、ヒドロキシエチル、ヒド キシプロピル、アミノ、アミノエチル、ア ノプロピル、カルボキシメチルなどの親水 を有するものが好ましい。

 親水性樹脂の具体例として、アラビアゴ 、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カル キシメチルセルロース及びそのナトリウム 、セルロースアセテート、アルギン酸ナト ウム、酢酸ビニル-マレイン酸コポリマー類 、スチレン-マレイン酸コポリマー類、ポリ クリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリ 酸類及びそれらの塩、ヒドロキシエチルメ クリレートのホモポリマー及びコポリマー ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリ ー及びコポリマー、ヒドロキシプロピルメ クリレートのホモポリマー及びコポリマー ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポ マー及びコポリマー、ヒドロキシブチルメ クリレートのホモポリマー及びコポリマー ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリ ー及びコポリマー、ポリエチレングリコー 類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポ ビニルアルコール類、並びに加水分解度が なくとも60質量%、好ましくは少なくとも80質 量%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリ ニルホルマール、ポリビニルブチラール、 リビニルピロリドン、アクリルアミドのホ ポリマー及びコポリマー、メタクリルアミ のホモポリマー及びポリマー、N-メチロール アクリルアミドのホモポリマー及びコポリマ ー等を挙げることができる。

 親水性樹脂の感熱画像形成層への添加量 、画像形成層固形分の5~40質量%が好ましく 10~30質量%が更に好ましい。この範囲内で、 好な機上現像性と皮膜強度が得られる。

 このような熱応答性の画像形成層(感熱画 像形成層)を、赤外線レーザ光の走査露光等 より画像形成するため、(A)赤外線吸収剤を 像形成層に含有させる。好ましい添加量は 画像形成層塗布液全固形分中、1~30質量%が好 ましく、5~25質量%がより好ましい。含有量が 記範囲にあると、感度、画像形成性ともに れた画像形成層となる。

 疎水化前駆体を含む画像形成層は、必要な 記各成分を溶剤に溶解、若しくは分散し、 布液を調製し、前記支持体の親水性表面上 塗布される。塗布液の固形分濃度は、好ま くは1~50質量%である。
(その他の平版印刷版原版)
 本発明は、赤外線レーザ露光以外の平版印 版原版にも好ましく用いることができる。 下に、赤外線レーザ露光以外の平版印刷版 版及び画像形成層の例について詳細に説明 る。

 ポジ型画像形成層の好ましい例としては 以下に示す従来公知のポジ型画像形成層[(a) ~(b)]を挙げることができる。

 (a)ナフトキノンジアジドとノボラック樹 とを含有してなる従来から用いられている ンベンショナルポジ型画像形成層。

 (b)酸分解性基で保護されたアルカリ可溶 化合物と酸発生剤との組み合わせを含有し なる化学増幅型ポジ型画像形成層。

 上記(a)及び(b)は、いずれも当分野におい はよく知られたものであるが、以下に示す ジ型画像形成層((c)~(f))と組み合わせて用い ことが更に好適である。

 (c)特開平10-282672号に記載の現像処理不要 平版印刷版を作製することができる、スル ン酸エステルポリマーと赤外線吸収剤とを 有してなるレーザー感応性ポジ型画像形成 。

 (d)EP652483号、特開平6-502260号に記載の現像 処理不要な平版印刷版を作製することができ る、カルボン酸エステルポリマーと、酸発生 剤若しくは赤外線吸収剤とを含有してなるレ ーザ感応性ポジ型画像形成層。

 (e)特開平11-095421号に記載のアルカリ可溶 化合物、及び熱分解性でありかつ分解しな 状態ではアルカリ可溶性化合物の溶解性を 質的に低下させる物質を含有してなるレー 感応性ポジ型画像形成層。

 (f)アルカリ現像溶出型ポジ平版印刷版を 製することができる、赤外線吸収剤、ノボ ック樹脂、及び溶解抑止剤を含有してなる ルカリ現像溶出ポジ型画像形成層。

 本発明の平版印刷版用支持体上には、前 画像記録塗布液などの所望の層の塗布液用 分を溶媒に溶かして塗布することにより画 形成層を形成し、平版印刷版原版を製造す ことができる。平版印刷版原版には、画像 成層に加え、目的に応じて、保護層、樹脂 間層、下塗り層、バックコート層なども同 にして形成することができる。

 ここで使用する溶媒としては、エチレン クロライド、シクロヘキサノン、メチルエ ルケトン、メタノール、エタノール、プロ ノール、エチレングリコールモノメチルエ テル、1-メトキシ-2-プロパノール、2-メトキ シエチルアセテート、1-メトキシ-2-プロピル セテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル 乳酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N -ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレ 、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシ ド、スルホラン、γ-ブチロラクトン、トルエ ン等を、また、水溶性の画像形成層を用いる 場合には、水、或いはアルコール類等の水性 溶媒を挙げることができるがこれに限定され るものではなく、画像形成層の物性にあわせ て適宜選択すればよい。これらの溶媒は単独 或いは混合して使用される。

 溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分 )の濃度は、好ましくは1~50質量%である。

 また塗布、乾燥後に得られる支持体上の 布量(固形分)は、用途によって異なるが、 光性印刷版についていえば一般的に0.5~5.0g/m2 が好ましい。塗布量が少なくなるにつれて、 見かけの感度は大になるが、感光膜の皮膜特 性は低下する。

 塗布する方法としては、種々の方法を用 ることができるが、例えば、バーコーター 布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗 、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレ ド塗布、ロール塗布等を挙げることができ 。

 本発明の平版印刷版原版は、支持体と画 形成層との密着性に優れると共に、現像に り速やかに親水性の支持体表面が露出する とで、非画像部の印刷汚れ性が改善され、 しい印刷条件においても、高画質の印刷物 多数枚得られる。

 本発明の平版印刷版原版は、その画像形 層に応じた公知の製版方法を適用し、平版 刷版を得ることができる。

 その後、得られた平版印刷版は、印刷機に けられ、多数枚の印刷に用いられる。
〔バックコート層〕
 上述したようにして得られる平版印刷版原 には、重ねても画像形成層が傷付かないよ に、裏面(画像形成層が設けられない側の面 )に、有機高分子化合物からなる被覆層(以下 バックコート層」ともいう。)を必要に応じ て設けてもよい。バックコート層の主成分と しては、ガラス転移点が20℃以上の、飽和共 合ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂、ポ ビニルアセタール樹脂および塩化ビニリデ 共重合樹脂からなる群から選ばれる少なく も1種の樹脂を用いるのが好ましい。

 飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカル ン酸ユニットとジオールユニットとからな 。ジカルボン酸ユニットとしては、例えば フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、 トラブロムフタル酸、テトラクロルフタル 等の芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼ ライン酸、コハク酸、シュウ酸、スベリン酸 、セバチン酸、マロン酸、1,4-シクロヘキサ ジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸 挙げられる。

 バックコート層は、更に、着色のための 料や顔料、支持体との密着性を向上させる めのシランカップリング剤、ジアゾニウム からなるジアゾ樹脂、有機ホスホン酸、有 リン酸、カチオン性ポリマー、滑り剤とし 通常用いられるワックス、高級脂肪酸、高 脂肪酸アミド、ジメチルシロキサンからな シリコーン化合物、変性ジメチルシロキサ 、ポリエチレン粉末等を適宜含有すること できる。

 バックコート層の厚さは、基本的には合 がなくても、画像形成層を傷付けにくい程 であればよく、0.01μm~8μmであるのが好まし 。厚さが0.01μm未満であると、平版印刷版原 版を重ねて取り扱った場合の画像形成層の擦 れ傷を防ぐことが困難である。また、厚さが 8μmを超えると、印刷中、平版印刷版周辺で いられる薬品によってバックコート層が膨 して厚みが変動し、印圧が変化して印刷特 を劣化させることがある。

 バックコート層を平版印刷版原版の裏面 設ける方法としては、種々の方法を用いる とができる。例えば、上記バックコート層 成分を適当な溶媒に溶解させ溶液にして塗 し、または、乳化分散液して塗布し、乾燥 る方法;あらかじめフイルム状に成形したも のを接着剤や熱での平版印刷版原版に貼り合 わせる方法;溶融押出機で溶融被膜を形成し 平版印刷版原版に貼り合わせる方法が挙げ れる。好適な厚さを確保するうえで最も好 しいのは、バックコート層用成分を適当な 媒に溶解させ溶液にして塗布し、乾燥する 法である。

 平版印刷版原版の製造においては、裏面 バックコート層と表面の画像形成層のどち を先に支持体上に設けてもよく、また、両 を同時に設けてもよい。

 このようにして得られた平版印刷版原版 、必要に応じて、適当な大きさに裁断して 露光し現像して製版することにより、平版 刷版が得られる。可視光露光型製版層(感光 性製版層)を設けた平版印刷版原版の場合に 、印刷画像が形成された透明フイルムを重 て通常の可視光を照射することにより露光 、その後、現像を行うことにより製版する とができる。レーザ露光型製版層を設けた 版印刷版原版の場合には、各種レーザ光を 射して印刷画像を直接書き込むことにより 光し、その後、現像することにより製版す ことができる。

 以上のように、本発明に係る塗布膜の乾 方法を採用することにより、製品表面に外 異常や性能故障が発現することを抑制する とができる。

 以上、本発明に係る塗布膜の乾燥方法の 例として平版印刷版原版の乾燥方法につい 説明したが、本発明は上記実施形態に限定 れるものではない。例えば、平版印刷版原 の製造工程におけるその他の乾燥工程に本 明を適用することができる。また、平版印 版原版の製造分野に限られず、各種技術分 、例えば、電極材料、機能性フイルム、光 フイルムの製造工程に本発明を適用するこ ができる。

 次に、実施例により、本発明を更に詳細 説明するが、本発明は以下の実施例に限定 れるものではない。以下、図1の乾燥装置20 おいて、画像形成層塗布膜の乾燥試験を行 た。

 アルミニウム(Al)板は、巾300mm、厚さ0.3mmの ルミニウム支持体16(材質JIS A1050)を使用した 。塗布部18では、バーコーターを用いウエッ 厚み20cc/m 2 となるように塗布した。塗布液は、感光材料 A/有機溶剤Bとした。Aの沸点は80℃、Bの沸点 200℃であり、塗布液の粘度1.05mPa・s、比重0.9 、表面張力22mN/mであった。尚、塗布部18の温 度は、25℃30%RHであった。ライン速度を80m/mi nとし、支持体の張力を1000Nとして、画像形成 層塗布膜を形成した。

 図3に示した過熱水蒸気供給装置80によっ 生成された過熱水蒸気を過熱水蒸気乾燥部2 9に供給した。ボイラー64は、三浦工業社製簡 易貫流蒸気ボイラーME-40、セパレータフィル ー66は、TLV社製セパレートフィルタSF-1、過 水蒸気発生装置68は、第一高周波工業社製 熱水蒸気発生装置Super-Hi70Wを用いた。

 以下の水準において、過熱水蒸気乾燥部2 9の加熱水蒸気を付与するノズル34は、スリッ ト数が2本のもので、ピッチ60mm、スリットク アランス2.0mmのものを用いた。スリットと 持体16との距離は30mm、過熱水蒸気のスリッ 出口風速を10m/sとした。乾燥箱32の出口32bで Al板の温度は80℃であり、熱風の露点は8℃ 乾燥箱出口32b温湿度は25℃40%RHであった。出 口32a、32bのシール風の風速は10m/sとした。

 [水準1(参考テ゛ータ)]
 熱風乾燥部28において熱風で乾燥を行った 熱風の温度は150℃、風量10m/sにおいて、18秒 乾燥を行った。

 [水準2(参考テ゛ータ)]
 熱風乾燥部28において熱風で乾燥を行った 熱風の温度は150℃、風量10m/sにおいて、40秒 乾燥を行った。

 [水準3]
 水準1の条件で熱風乾燥を行うとともに、過 熱水蒸気乾燥部29において過熱水蒸気で乾燥 行った。過熱水蒸気の温度は120℃、蒸気量3 00g/m 3 で1秒間付与した。また出入口にシールを行 た。

 [水準4]
 水準1の条件で熱風乾燥を行うとともに、水 準3の条件で過熱水蒸気乾燥を行った。出入 にシールを行うとともに、乾燥箱の内壁を 熱することで保温を行った。

 [水準5]
 水準1の条件で熱風乾燥を行うとともに、水 準3の条件で過熱水蒸気乾燥を行った。出入 にシールを行うとともに、乾燥箱の内壁を 熱することで保温を行った。また、ノズル 保温も行った。

 [水準6]
 水準1の条件で熱風乾燥を行うとともに、水 準3の条件で過熱水蒸気乾燥を行った。乾燥 の内壁の保温、ノズルの保温、出入り口の ールは行わなかった(結露防止措置無し)。

 〔残留高沸点溶媒量の測定方法〕
 アルミニウム板上に塗布した塗布膜サンプ を、アルミニウム板ごと30mm×10mmに切り出し 、バイヤル瓶に入れて密閉した。このバイヤ ル瓶を専用の装置に投入して、180℃で5分間 熱した後、装置内に装備されているシリン でバイヤル瓶中の気体の一部を取り出し、 スクロマトグラフィで分析した。得られた ロマトグラムのピーク面積とあらかじめ用 しておいた検量線とから塗布膜中に残留し いた溶媒(溶剤)の濃度を算出した。この結果 を、表1に示す。尚、ここで、表中の「シー 出口」は、過熱蒸気を付与する乾燥装置出 口のことで、シート上の結露の有無を評価 ている。また、「乾燥箱内」は過熱蒸気を 与する乾燥装置の内部のことで、内壁やノ ル等の結露の有無を評価している。

 表1に示されるように、水準1と水準2との 較から、熱風乾燥を長時間行うことで塗布 の残留溶剤の量を大幅に低減することがで るが、水準6から分かるように、加熱水蒸気 を付与することで、熱風乾燥を長時間行わな くても塗布膜の残留溶剤の量を同様に低減す ることができることが分かる。しかしながら 、結露に関しては乾燥箱の出口及び乾燥箱内 部に認められ、製品表面に外観異常や性能故 障が発現する可能性があることが分かる。水 準3~5は水準6において乾燥箱出入口をシール 、水準4及び5は更に乾燥箱を保温したもので あるが、乾燥箱出入口をシールすることで出 口に結露が発現せず、更に乾燥箱を保温する ことで乾燥箱内も結露が発現しなかったこと が分かる。

 更に以下の水準7~9の実験を行った。

 [水準7]
 熱風乾燥部28において熱風で乾燥を行った 熱風の温度は150℃、風量10m/sにおいて、12秒 乾燥を行った。そして、水準3の条件で過熱 水蒸気乾燥を行った。出入口にシールを行う とともに、乾燥箱の内壁を過熱することで保 温を行った。また、ノズルの保温も行った。 低温で乾燥箱入口でのAl板の温度が60℃にな ように加熱した。

 [水準8]
 熱風乾燥部28において熱風で乾燥を行った 熱風の温度は150℃、風量10m/sにおいて、18秒 乾燥を行った。そして、水準3の条件で過熱 水蒸気乾燥を行った。出入口にシールを行う とともに、乾燥箱の内壁を過熱することで保 温を行った。また、ノズルの保温も行った。 高温で乾燥箱入口でのAl板の温度が80℃にな ように加熱した。

 [水準9]
 熱風乾燥部28において熱風で乾燥を行った 熱風の温度は150℃、風量10m/sにおいて、12秒 乾燥を行った。そして、水準3の条件で過熱 水蒸気乾燥を行った。出入口にシールを行う とともに、乾燥箱の内壁を過熱することで保 温を行った。また、ノズルの保温も行った。 そして、図6に示した加熱ロール46を設けた。 加熱ロールは直径100mm、面長400mmのものを用 た。加熱ロールの温度を100℃とし、乾燥箱 口でのAl板の温度が75℃になるように加熱し 。

 表2に示されるように、乾燥箱に搬送され る支持体が乾燥箱内の露点以上に制御されて いる水準8及び9は、乾燥箱内に結露が発現す ことは無かった。したがって、塗布膜に水 が付着し、製品表面に外観異常や性能故障 発現することを防ぐことができる。