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Title:
METHOD OF EVALUATING REACTION BETWEEN DISSOLVED HYDROGEN AND DISSOLVED OXYGEN AND METHOD OF EVALUATING ABILITY OF DISSOLVED HYDROGEN TO SCAVENGE ACTIVE OXYGEN IN WATER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/110515
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a novel technical means for practically applying the antioxidative effect of dissolved hydrogen and obtaining a finding which is useful in practically applying a reaction of scavenging active oxygen in water. A reaction between dissolved hydrogen and dissolved oxygen is quantitatively evaluated based on a time-profile of the difference between the dissolved oxygen amount measured in the presence of forcibly dissolved hydrogen and the dissolved oxygen amount measured by blowing a gas other than hydrogen. Further, a reaction between dissolved hydrogen and dissolved oxygen is quantitatively evaluated based on a time-profile of the difference between the dissolved oxygen amount measured in the presence of forcibly dissolved hydrogen in water which contains a photosensitive dye and the dissolved oxygen amount measured in the presence of forcibly dissolved hydrogen in water which contains no photosensitive dye.

Inventors:
KATAYAMA SEIJI (JP)
KATAYAMA YUMIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/054087
Publication Date:
September 11, 2009
Filing Date:
March 04, 2009
Export Citation:
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Assignee:
EUREKA LAB INC (JP)
KATAYAMA SEIJI (JP)
KATAYAMA YUMIKO (JP)
International Classes:
G01N21/64; G01N31/00; G01N21/78
Domestic Patent References:
WO2008156171A12008-12-24
Foreign References:
JP2005296794A2005-10-27
JP2005126384A2005-05-19
Other References:
SHIRAHATA S. ET AL: "Electrolyzed-Reduced Water Scavenges Active Oxygen Species and Protects DNA from Oxidative Damage.", BIOCHEM.BIOPHYS. RES.COMMUN., vol. 234, no. 1, 1997, pages 269 - 274, XP000978700
RYU INABA ET AL: "Kangensei Suisosui no Kassei Sanso Shokyono ni Kansuru Kenkyu", CSJ: THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN KOEN YOKOSHU, vol. 88TH, no. 1, 12 March 2008 (2008-03-12), pages 682, XP008141826
Attorney, Agent or Firm:
NISHIZAWA, TOSHIO (JP)
Toshio Nishizawa (JP)
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Claims:
 水中の溶存酸素量を水素以外のガスを吹き込むことにより強制的に低減させて水中の溶存酸素量を所定の初期濃度とした後、水中における経時の溶存酸素量を測定する工程と、水中に水素を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を前記初期濃度に合わせた後、水中における経時の溶存酸素量を測定する工程と、水素を強制的に溶存させて測定した溶存酸素量と水素以外のガスを吹き込んで測定した溶存酸素量との差の経時プロファイルに基づいて溶存水素と溶存酸素との反応を定量評価する工程とを含むことを特徴とする溶存水素と溶存酸素との反応の評価方法。
 水中に光増感色素を含有させずに水素を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を所定の初期濃度とした後、水中における経時の溶存酸素量を測定する工程と、水中に光増感色素を含有させ水素を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を前記初期濃度に合わせた後、光増感色素の励起波長の光を含む光を照射しながら水中における経時の溶存酸素量を測定する工程と、水中に光増感色素を含有させて測定した溶存酸素量と水中に光増感色素を含有させずに測定した溶存酸素量との差の経時プロファイルに基づいて溶存水素と活性酸素との反応を定量評価する工程とを含むことを特徴とする溶存水素による水中の活性酸素消去能の評価方法。
Description:
溶存水素と溶存酸素との反応の 価方法および溶存水素による水中の活性酸 消去能の評価方法

 本発明は、溶存水素と溶存酸素との反応 評価方法および溶存水素による水中の活性 素消去能の評価方法に関するものである。

 水素分子(原子)が還元性を有することは 来から知られており、化学合成の還元反応( 素付加反応)等の実際の応用に供されてきた 。

 しかし、比較的安定な水素分子に、どの うなメカニズムに基づいて還元性が生じる は未だ研究の途上にある。反応の直前に、 素は活性状態の「原子状の水素」、あるい 「発生期の水素」になっていると推測され きたが、その物性上の理論的根拠は未解決 ままである。

 水素分子の還元性を顕著に引き出すため 、一般に、反応の活性化エネルギーを下げ ことを目的として金属触媒などが用いられ きた。この金属触媒を用いる方法では、金 表面に吸着した水素が原子状の水素となっ 働き還元性が生じるものとされている。一 、水素分子が水に溶解したときに極めて高 還元電位を示すことが知られているが、こ 現象も同じ作用によるものと理解されてい 。しかし、その還元性の性質や化学量論的 側面は未解決のままとなっている。

 たとえば、水に水素分子を溶解すると、 化還元電位が溶解前の約250mVから溶解後の -500mVへと変化を示すことが知られている。 の溶存水素水の大きな還元電位より、溶存 素水は抗酸化作用や活性酸素消去能の機能 有することが想定され、特に活性酸素は人 の健康との関連も報告されていることから くの研究者や市井の人々の関心を惹きつけ きた。

 実際に、鉄が水道水中では錆びるが水素 中では錆びない事実や、緑茶が水素水を用 た場合には褐色に変色しない事実など、様 な現実的なevidenceに直面するが、残念なが 未だに確固たる学術的検証に至っていない が現状である。

 その一つの要因としては、活性酸素は寿 が極めて短いこと等が挙げられる。たとえ ESR(電子スピン共鳴)や発光測定などの信号 速い系におけるspectroscopicな手法により寿命 短い活性酸素の挙動を捉える検討がなされ いるが、溶存水素の水中の活性酸素との反 に関する詳細な知見を得るには更に新たな 面からの検討が必要とされている。

 本発明者らは、水素のマイクロバブルを水 や溶液中に分散させることにより、大容量 水素を溶存させた還元性水素溶液を短時間 得る技術等の検討を行ってきたが(特許文献 1参照)、これまでの知見も踏まえて、溶存水 の水中の活性酸素との反応に関して、化学 論的に、かつ大容量での反応速度を捉える 点から検証を行うことで、溶存水素による 性酸素消去の応用に際して有用な知見を得 ための新たな手法を探索した。

国際公開WO2008/156171号パンフレット

 そこで本発明は、以上のとおりの背景か 、溶存水素による抗酸化作用の実用的な応 、そして水中の活性酸素消去反応の実用的 応用に際して有用な知見を得るための新し 技術手段を提供することを課題としている

 本発明は、上記の課題を解決するものと て、以下のことを特徴としている。

 第1:水中の溶存酸素量を水素以外のガス 吹き込むことにより強制的に低減させて水 の溶存酸素量を所定の初期濃度とした後、 中における経時の溶存酸素量を測定する工 と、水中に水素を強制的に溶存させて水中 溶存酸素量を前記初期濃度に合わせた後、 中における経時の溶存酸素量を測定する工 と、水素を強制的に溶存させて測定した溶 酸素量と水素以外のガスを吹き込んで測定 た溶存酸素量との差の経時プロファイルに づいて溶存水素と溶存酸素との反応を定量 価する工程とを含むことを特徴とする溶存 素と溶存酸素との反応の評価方法。

 第2:水中に光増感色素を含有させずに水 を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を 定の初期濃度とした後、水中における経時 溶存酸素量を測定する工程と、水中に光増 色素を含有させ水素を強制的に溶存させて 中の溶存酸素量を前記初期濃度に合わせた 、光増感色素の励起波長の光を含む光を照 しながら水中における経時の溶存酸素量を 定する工程と、水中に光増感色素を含有さ て測定した溶存酸素量と水中に光増感色素 含有させずに測定した溶存酸素量との差の 時プロファイルに基づいて溶存水素と活性 素との反応を定量評価する工程とを含むこ を特徴とする溶存水素による水中の活性酸 消去能の評価方法。

 本発明者は、ESRや蛍光法を用いて溶存水 水の活性酸素消去能についての検証を実施 てきたが、良好な結果が得られなかった。 の原因は実験的に発生させた活性酸素(一重 項酸素、過酸化水素、スーパーオキシドアニ オンラジカル、ヒドロキシラジカルなど)の 命が短く、かつ、スピントラップ剤(DMPO、TMP Dなど)や蛍光試薬との反応が極めて早いため 水素のクエンチング効果が観測されないこ に気付いた。

 そこで、溶存水素と溶存酸素および溶存 性酸素との反応を直接観測するin vitroの評 系を構築して実験を行ったところ、反応速 等の定量的な評価が可能であることを見出 本発明を完成するに至った。

 本発明によれば、溶存水素による抗酸化 用の実用的な応用、そして水中の活性酸素 去反応の実用的な応用に際して有用な知見 得るための新しい技術手段が提供される。

図1は、実施例1における溶存水素量の 時変化を示すグラフである。 図2は、実施例1における溶存酸素量の 時変化を示すグラフである。 図3は、実施例1における溶存酸素量(N 2 バブリング、H 2 バブリング、メチレンブルーおよび光照射+H 2 バブリング)の経時変化を示すグラフである 図4は、実施例1における溶存水素量と 存酸素量の経時変化を示すグラフである。 図5は、窒素ガスでバブリングしたサン プルにおいて、メチレンブルー溶解および白 熱電球照射の有無を比較した溶存酸素量の経 時変化を示すグラフである。 図6は、実施例2(H 2 /NaCl水溶液)における溶存酸素量の経時変化を 示すグラフである。 図7は、実施例2(H 2 /NaCl水溶液)における溶存水素量と溶存酸素量 の経時変化を示すグラフである。 図8は、実施例2(H 2 /トリプトファン水溶液)における溶存酸素量 経時変化を示すグラフである。 図9は、実施例2(H 2 /トリプトファン水溶液)における溶存水素量 溶存酸素量の経時変化を示すグラフである 図10は、実施例2(H 2 /L-ヒスチジン水溶液)における溶存酸素量の 時変化を示すグラフである。 図11は、実施例2(H 2 /L-ヒスチジン水溶液)における溶存水素量と 存酸素量の経時変化を示すグラフである。

 本発明は上記のとおりの特徴をもつもの あるが、以下にその実施の形態について説 する。

 本発明において水素を溶存させる水とし は、真水を使用することができるが、活性 素消去能等の評価の前提となる実際の応用 どの目的に応じて、アミノ酸等の酸、塩基 塩などを添加するようにしてもよい。

 上記の水を用いた評価系は、目的に応じ 大気に開放してもよく、あるいは大気から 閉するようにしてもよいが、大気に開放す 場合には、測定結果の評価に際して大気圧 酸素と水中の溶存酸素との平衡も考慮する 要がある。

 本発明の溶存水素と溶存酸素との反応の 価方法では、上記の水中の溶存酸素量を水 以外のガスを吹き込むことにより強制的に 減させて水中の溶存酸素量を所定の初期濃 とした後、水中における経時の溶存酸素量 測定する。水中に吹き込む水素以外のガス しては、たとえば、窒素等の不活性ガスが げられる。これにより、溶存酸素量を、た えば常温における通常の溶解量の7~8ppmから1 ~5ppmまで減少させ所定の初期濃度とする。

 溶存酸素量の測定には市販の溶存酸素分 計を使用することができ、溶存酸素量を所 の初期濃度とした直後から概ね1時間程度の 間の濃度プロファイルをプロットすることで 、溶存酸素量の変化が観測される。たとえば 、大気開放下での測定では、大気からの水中 への酸素溶解による直線的な溶存酸素量の増 加が観測される。

 そして本発明では、上記の水中に水素を 制的に溶存させて水中の溶存酸素量を前記 期濃度に合わせた後、水中における経時の 存酸素量を測定する。水素を水中に溶存さ る方法としては、バブリングにより気体水 を水中に吹き込む方法などが適用できるが その他、微細発泡製造装置を用いて気体水 を水中に吹き込みマイクロバブルとして分 させるようにしてもよい。

 このようにして、溶存水素濃度が一例と ては1~1.5ppm程度となるまで水中に水素を溶 させる。これにより、溶存酸素量は、たと ば常温における通常の溶解量の7~8ppmから1~5pp mまで減少し、水中の溶存酸素量を前記初期 度に合わせることができる。

 そして水素溶存直後から概ね1時間程度の間 の濃度プロファイルをプロットすることで、 溶存水素と溶存酸素とのH 2 O生成反応に起因する溶存酸素量の低減を明 に把握することができる。

 そして、水素を強制的に溶存させて測定 た溶存酸素量と水素以外のガスを吹き込ん 測定した溶存酸素量との差の経時プロファ ルに基づいて溶存水素と溶存酸素との反応 定量評価する。定量評価としては、化学量 の解析、反応速度の解析などが挙げられる なお、実施例に示すようなプロファイルで 存酸素量と溶存水素量が変化することは、 発明者らの知る限りにおいてこれまでに報 がなく、溶存水素による溶存酸素との反応 動に関する化学量論的かつ巨視的な観点か の新規な知見を提供するものである。

 一方、本発明の溶存水素による水中の活 酸素消去能の評価方法では、水中に光増感 素を含有させずに水素を強制的に溶存させ 水中の溶存酸素量を所定の初期濃度とした 、水中における経時の溶存酸素量を測定す 。水素の溶存と溶存酸素量の測定は上記と 様に行うことができる。

 そして、水中に光増感色素を含有させ水 を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を 記初期濃度に合わせた後、光増感色素の励 波長の光を含む光を照射しながら水中にお る経時の溶存酸素量を測定する。光増感色 としては、一重項酸素の生成を促進するメ レンブルーやローズベンガルなどを用いる とができる。

 一例としては、溶存水素濃度1~1.5ppm程度 なるまで水中に水素を溶存させ、これによ 、溶存酸素量は、たとえば常温における通 の溶解量の7~8ppmから1~5ppmまで減少し、水中 溶存酸素量を前記初期濃度に合わせること できる。

 そして水素溶存直後から概ね1時間程度の間 の濃度プロファイルをプロットすることで、 溶存水素と活性酸素とのH 2 O生成反応に起因する溶存酸素量の低減を明 に把握することができる。

 そして、水中に光増感色素を含有させて 定した溶存酸素量と水中に光増感色素を含 させずに測定した溶存酸素量との差の経時 ロファイルに基づいて溶存水素と活性酸素 の反応を定量評価する。定量評価としては 化学量論の解析、反応速度の解析などが挙 られる。なお、実施例に示すようなプロフ イルで活性酸素量と溶存水素量が変化する とは、本発明者らの知る限りにおいてこれ でに報告がなく、溶存水素による活性酸素 の反応挙動に関する化学量論的かつ大容量 の観点からの新規な知見を提供するもので る。

 本発明は、医療、工業、農業、食品、環 、その他の各種の分野において、基礎デー の取得等に好適に利用できる。

 以下、実施例により本発明をさらに詳しく 明するが、本発明はこれらの実施例に何ら 定されるものではない。
<実施例1>
 上面を大気に開放した直径8cm、高さ11cmの500 mlのガラス瓶にサンプルとして500mlの蒸留水 入れ、攪拌しながら溶存水素計、溶存酸素 を用いて様々な実験条件下で溶存水素量、 存酸素量の測定を実施した。実験開始直前 溶存水素量、溶存酸素量を定め、その後の 時変化を測定し、30分後に白金黒を添加して 測定を継続した。

 溶存水素計は共栄電子研究所製 KM2100 DH 用い、溶存酸素計はHORIBA DO METER OM-51を用 た。

 図1および図2は、水サンプルに水素ガス バブリングして、サンプル中の溶存水素量0. 953ppm、溶存酸素量2.92ppmの実験開始条件を定 、その後の溶存水素量、溶存酸素量の経時 化を測定した結果である(メチレンブルー未 加、蛍光灯照射下)。

 なお、空気と平衡にある溶存酸素量は8.3p pmであるが、水素ガスのバブリングによって 存酸素を追い出し2.92ppmに減少させた。

 図1より、溶存水素量は0.953ppmから直線的 減少し、30分後には0.427ppmに至った。この溶 存水素の減少量(矢印a)は、溶存水素の溶存酸 素との反応量と水素ガスの大気への逃げの量 とのバランスによって決定していると理解さ れる。

 一方、30分後白金黒(約5mg)を添加すると急 激に溶存水素は減少し添加10分後にはゼロに った。この急激な溶存水素の減少は溶存水 が白金触媒により活性化され、溶存酸素と 反応速度が大きくなったためと解される。 の白金触媒添加によって誘起された正味の 存水素量の減少量(矢印b)は0.260ppm/5minと算出 された。

 一方、溶存酸素量の経時変化は、図2に示 すように実験開始から30分経過まで殆んど一 で変化を示さなかったが、30分後白金黒(約5 mg)を添加すると急激に減少し8分後に0.45ppmの 小値を示し、その後暫時増加した。

 溶存酸素量は実験開始から30分経過まで んど変化しなかったが、この結果は溶存酸 と溶存水素との反応による酸素量の減少と 気からの溶解補給される酸素量とがバラン して生じたと解される。従って、白金触媒 加後は活性化された溶存水素と溶存酸素と 反応による溶存酸素量の減少を示し、その 少量(矢印)は1.85ppm/5minと算出された。これら の結果は、白金触媒添加によって反応した正 味の溶存水素および溶存酸素の減少量のモル 比は約2対1となるため、溶存水素と溶存酸素 反応していることを裏付けるものとして理 された。

 次に、光増感色素メチレンブルー等を用 た図3および図4に示す実験を行った。図3の 線Aは溶存酸素の初期濃度を窒素ガスのバブ リングにより約2.7ppmに調製し、そのサンプル の経時変化を示した結果である。直線Bは水 ガスのバブリングにより溶存酸素の初期濃 を約2.7ppmに調製したサンプルの経時変化を した結果である。直線Cは水素ガスのバブリ グにより溶存酸素の初期濃度を約2.7ppmに調 し、その水サンプル500mlに光増感色素メチ ンブルー(2mM)を溶かし白熱電球(500W)を30cmの 離からを連続照射(λ=670nmを含む)しながら溶 酸素の経時変化を示した結果である。図4は 、30分後の白金黒添加以後も含めた溶存水素 度と溶存酸素濃度の経時変化を示す。

 図3において、直線Aの溶存酸素の直線的 増加は大気から溶解し補給される酸素量の 加を示している。溶存水素を含むサンプル 直線Bは水素と酸素の反応によって生じる溶 酸素の減少と、大気から溶解し補給される 素量の増加とのバランスによって決定され いる。従って、直線Aと直線Bとの差は、溶 水素と溶存酸素の反応による溶存酸素の減 量を示唆している。

 直線Cの溶存酸素の減少は、大気から溶解 し補給される酸素量の増加量と、水素と酸素 の反応による溶存酸素の減少量と、溶存水素 と活性酸素(一重項酸素)との反応による減少 とのバランスによって成り立っている。こ で、活性酸素(一重項酸素)は光増感色素メ レンブルーに光照射(含λ=670nm)することによ て生じるものである。

 上記の結果より、直線Bと直線Cとの差は 溶存水素と活性酸素(一重項酸素)との反応に よる溶存酸素の減少量を示唆している。

 なお、図5は、図3中における窒素ガスで ブリングした溶存酸素を2.7ppmに調節したサ プルの40分までの経時変化と、メチレンブル ーを溶解した水溶液に窒素ガスをバブリング し、溶存酸素を2.7ppmに調節したサンプルに白 熱電球を照射した場合の経時変化の結果を示 したものである。両者共に30分後には白金黒 添加されているが、いずれの場合も全く白 触媒の影響は現れなかった。これらの両直 がほぼ一致することから、溶存水素が存在 ない場合は、白金触媒の影響は現れないこ 、メチレンブルーの有無や、白熱電球の照 の有無に関わらず、溶存酸素の変化量には 響を与えないこと等が明白となった。

 上記の結果に基づき水中における溶存水 と溶存酸素との反応速度および溶存水素と 性酸素との反応速度に関する考察を行った

 抗酸化反応の反応速度v O2 は、次式で表される。
v O2 =-d[O 2 ]/dt=k 1 [O 2 ] n
 一方、活性酸素消去の反応速度v  O2* は、次式で表される。
v  O2* =-d[O 2 ]/dt=k 2 [O 2 * ] n
 そして図1~図4の結果(および後述の実施例2 おける結果)より、時間対濃度(O 2 、O 2 * 、H 2 )の関係は全て直線関係にある。このことは 反応速度が時間に関係なく一定値kであるこ を示唆する。すなわち、0次反応であると解 することができる。

 そこで、図3の実験結果による具体的な反応 速度v O2 、v  O2* の計算を行った。30分後の溶存水素と溶存酸 との反応による溶存酸素の減少量は、(A-B)=4 -3.25=0.75ppm/30分である。よって、v O2 =-d[O 2 ]/dt=(0.75/32)mM/30分=0.78μMmin -1 =k 1 と見積もられる。

 また、30分後の溶存水素と活性酸素との反 による活性酸素の減少量は、(B-C)=3.15-2.3=0.95p pm/30分である。よって、v O2* =-d[O 2 * ]/dt=(0.95/32)mM/30分=0.99mMmin -1 =k 2 と見積もられる。

 なお、以上の結果は25℃における反応速度 よび反応速度定数であるが、温度を変更し 測定を行った場合を仮定してArrheniusの式よ 活性化エネルギーを見積もると、溶存状態 おける2H 2 +O 2 →2H 2 Oの反応の活性化エネルギーは7kJmol -1 のオーダーと推定される。また、溶存状態に おける2H 2 +O 2 * →2H 2 Oの反応の活性化エネルギーは6kJmol -1 のオーダーと推定される。
<実施例2>
 水溶液サンプルとして10mM NaCl水溶液(図6、 7)、10mM トリプトファン水溶液(図8、図9)、1 0mM L-ヒスチジン水溶液(図10、図11)を用い、 れ以外は実施例2の図3、図4と同様にして、N 2 バブリング、H 2 バブリング、メチレンブルーおよび光照射+H 2 バブリングの各場合について溶存酸素濃度の 経時変化(図6、図8、図10)、30分後の白金黒添 以後も含めた溶存水素濃度と溶存酸素濃度 経時変化(図7、図9、図11)を測定した。溶存 素量と溶存酸素量の経時変化は単調減少も くは単調増加であり実施例1と同様の傾向を 示した。この結果より、溶存水素と溶存酸素 の反応および溶存水素と活性酸素との反応は 、いずれも0次の化学反応速度であると推定 れた。

 以上の結果、in vitro の実験方法によって 溶存水素と溶存酸素、および溶存水素と活 酸素がppm オーダーの濃度、拾数分のタイム スケールの反応速度の実験条件下で反応する ことが明らかとなった。そして、図中AとBと 差から2H 2 +O 2 →2H 2 O、すなわち抗酸化反応(溶存水素の抗酸化作 )を定量評価でき、一方、BとCとの差から2H 2 +O 2 * →2H 2 O、すなわち活性酸素消去反応(溶存水素の活 酸素(一重項酸素O 2 * )消去作用)を定量評価できることが明らかに った。