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Title:
METHOD FOR IMPROVING STORAGE STABILITY OF GLUTATHIONE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/099132
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for improving storage stability of glutathione in a solid composition containing glutathione and arginine. Also disclosed is a solid composition containing glutathione and arginine, which has improved storage stability of glutathione. Specifically, when a solid composition containing glutathione and arginine is produced, an organic acid is made to be coexistent with glutathione and arginine. Examples of the organic acid may include citric acid, tartaric acid, ascorbic acid, malic acid, malonic acid, succinic acid, fumaric acid and maleic acid. The amount of the organic acid to be coexistent with glutathione and arginine is usually 0.1-2 parts by weight per 1 part by weight of arginine.

Inventors:
SAKAI YASUSHI
KAYAHASHI SHUN
Application Number:
PCT/JP2009/051944
Publication Date:
August 13, 2009
Filing Date:
February 05, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KYOWA HAKKO BIO CO LTD (JP)
SAKAI YASUSHI
KAYAHASHI SHUN
International Classes:
A61K38/00; A61K9/14; A61K9/20; A61K31/198; A61K47/12; A61K47/18; A61K47/22; A61P39/06
Domestic Patent References:
WO1992021368A11992-12-10
WO2008041740A12008-04-10
Foreign References:
JP2001507696A2001-06-12
JPH0352821A1991-03-07
JPH10259138A1998-09-29
JPS4725312U1972-11-21
JP2001190245A2001-07-17
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Claims:
 グルタチオンおよびアルギニンと有機酸とを共存させることを特徴とする、グルタチオンおよびアルギニンを含有する固体組成物におけるグルタチオンの保存安定性向上方法。
 固体組成物が固形製剤である、請求項1記載の方法。
 有機酸が、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸およびリンゴ酸から選ばれる有機酸である、請求項1または2記載の方法。
 有機酸が、クエン酸または酒石酸である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
 グルタチオンおよびアルギニンとクエン酸または酒石酸とを含有することを特徴とする固体組成物。
 グルタチオンおよびアルギニンとクエン酸または酒石酸とを含有することを特徴とする固形製剤。
Description:
グルタチオンの保存安定性向上 法

 本発明は、グルタチオンおよびアルギニ を含有する固体組成物および該固体組成物 おけるグルタチオンの保存安定性向上方法 関する。

 グルタチオンは生体内抗酸化物質であり 該抗酸化作用による美白、抗老化、高血糖 制作用の生理活性を有することが報告され いる。また、免疫機能が低下しているヒト は、Tリンパ球等の細胞においてグルタチオ ンの含有量が低下している(非特許文献1参照) ことから、グルタチオンを外から補給すると 免疫機能が強化されると考えられている。

 しかし、グルタチオンは熱、酸素、光等の 響により品質が低下する性質を有しており 結果として、硫黄の様な不快臭が生じたり 製剤においては含有量の低下等が生じるこ がある。
 このようなグルタチオンの品質低下を抑制 る方法として、グルタチオンの粉末の粒子 面を被覆する方法(特許文献1および2参照)、 シクロデキストリンを添加する方法(特許文 1および3参照)等が知られているが、操作が 雑である、効果が弱い等の問題がある。

 一方、アルギニンは、生体におけるタンパ 質、ポリアミン、一酸化窒素等の合成基質 して知られている。アルギニンが有する生 作用としては、免疫賦活作用(非特許文献2 照)、筋肉増強作用、一酸化窒素産生促進作 、創傷治癒作用等が報告されている。
 このようにグルタチオンとアルギニンはい れも多様な生理作用を有しており、免疫賦 作用等の共通する生理作用もあることから グルタチオンとアルギニンとを同時に摂取 ることにより、それぞれの生理作用につい 、相加効果だけでなく、相乗効果が得られ ことも期待できる。

 しかし、グルタチオンとアルギニンとを共 させるとグルタチオンの品質が顕著に低下 ることはこれまで知られていなかった。

特開平5-176739号公報

特開2002-97153号公報

特開昭64-63342号公報 「ペディアトリック・インフェクシャス ・ディジーズ・ジャーナル(Pediatric Infectious  Disease Journal)」1998年、第17巻、第3号、p.236-241 「サージェリー(Surgery)」1990年、第108巻 第2号、p.331-337

 本発明の目的は、グルタチオンおよびア ギニンを含有する固体組成物におけるグル チオンの保存安定性向上方法、またはグル チオンの保存安定性の向上したグルタチオ およびアルギニンを含有する固体組成物を 供することにある。

 本発明は、以下の(1)~(6)に関する。
(1)グルタチオンおよびアルギニンと有機酸と を共存させることを特徴とする、グルタチオ ンおよびアルギニンを含有する固体組成物に おけるグルタチオンの保存安定性向上方法。
(2)固体組成物が固形製剤である、上記(1)の方 法。
(3)有機酸が、クエン酸、酒石酸、アスコルビ ン酸およびリンゴ酸から選ばれる有機酸であ る、上記(1)または(2)の方法。
(4)有機酸が、クエン酸または酒石酸である、 上記(1)~(3)のいずれか1つの方法。
(5)グルタチオンおよびアルギニンとクエン酸 または酒石酸とを含有することを特徴とする 固体組成物。
(6)グルタチオンおよびアルギニンとクエン酸 または酒石酸とを含有することを特徴とする 固形製剤。

 本発明により、グルタチオンおよびアル ニンを含有する固体組成物におけるグルタ オンの保存安定性向上方法、またはグルタ オンの保存安定性の向上したグルタチオン よびアルギニンを含有する固体組成物を提 することができる。

 本発明の、グルタチオンおよびアルギニン 含有する固体組成物におけるグルタチオン 保存安定性向上方法(以下、本発明のグルタ チオンの保存安定性向上方法ともいう)とし は、例えば、グルタチオンおよびアルギニ と有機酸とを、混合等の方法により共存さ て固体組成物とする方法があげられる。
 本発明に用いられるグルタチオンは、還元 (L-γ-グルタミル-L-システイニルグリシン)お よび酸化型(グルタチオンジスルフィド)のい れであってもよい。

 グルタチオンは、粉体、粒体および粉粒体 いずれであってもよく、酵母エキス等のグ タチオンを含有する物に含有されていても いが、水分含量は5重量%以下であることが ましく、3重量%以下であることがさらに好ま しい。
 本発明におけるアルギニンは、L体、D体の ずれでもよいが、L体が好ましい。 アルギ ンは、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機 の塩であってもよいが、フリー体が好まし 用いられる。

 アルギニンは、粉体、粒体および粉粒体の ずれであってもよいが、水分含量は3重量% 下であることが好ましく、1重量%以下である ことがより好ましく、0.3重量%以下であるこ がさらに好ましい。
 グルタチオンおよびアルギニンと共存させ 有機酸としては、常温で固体の有機酸であ ばいずれの有機酸であってもよいが、医薬 、飲食品、飼料等への使用という観点から 乳酸、酒石酸、アスコルビン酸、リンゴ酸 マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン 、クエン酸等があげられ、クエン酸、酒石 、アスコルビン酸およびリンゴ酸が好まし 、クエン酸、酒石酸およびアスコルビン酸 より好ましく、クエン酸および酒石酸がさ に好ましく用いられる。

 有機酸は、粉体、粒体および粉粒体のいず であってもよいが、水分含量は3重量%以下 あることが好ましく、1重量%以下であること がより好ましく、0.3重量%以下であることが らに好ましい。
 グルタチオンおよびアルギニンと共存させ 有機酸の量は、アルギニン1重量部に対して 通常0.1~2重量部、好ましくは0.2~1.2重量部、さ らに好ましくは0.4~0.8重量部である。

 グルタチオンの量およびアルギニンの量は 通常、グルタチオン1重量部に対してアルギ ニン1~100重量部、好ましくは1~50重量部、より 好ましくは1~20重量部である。
 グルタチオンおよびアルギニンと有機酸と 共存させる際、グルタチオンの保存安定性 悪影響を及ぼさない、医薬品、食品または 料の分野で通常用いられる物質をさらに共 させてもよい。

 医薬品、食品または飼料の分野で通常用い れる物質としては、賦形剤、崩壊剤、結合 、滑沢剤等の製剤用基剤、甘味剤、着色剤 香料、抗酸化剤、流動化剤等があげられる
 賦形剤としては、マルトース、トレハロー 、マンニトール、還元麦芽糖水飴、ラクチ ール、キシリトール、ソルビトール、エリ リトール、結晶セルロース、低置換度ヒド キシプロピルセルロース等があげられる。

 崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロ ス、カルボキシメチルセルロースカルシウ 、カルボキシメチルセルロースナトリウム クロスポビドン、クロスカルメロースナト ウム、グリコール酸ナトリウム、コーンス ーチ、バレイショ澱粉、部分アルファー化 粉等の澱粉等があげられる。
 結合剤としては、ポリビニルピロリドン、 ルラン、メチルセルロース、ヒドロキシプ ピルセルロース、ポリビニルアルコール、 ラチン、寒天等があげられる。

 滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリ 酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム のステアリン酸またはその金属塩、ショ糖 肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル 硬化油脂、二酸化ケイ素、リン酸カルシウ 等があげられる。
 甘味剤としては、サッカリンナトリウム、 リチルリチン二カリウム、アスパルテーム ステビア、ソーマチン、スクラロース、グ コース、フルクトース、サッカロース等が げられる。
 着色剤としては、食用黄色5号、食用赤色2 、食用青色2号、カロチノイド色素、トマト 素等があげられる。

 香料としては、レモンフレーバー、レモン イムフレーバー、グレープフルーツフレー ー、アップルフレーバー、オレンジフレー ー等があげられる。
 抗酸化剤としては、トコフェロール、塩酸 ステイン等があげられる。
 流動化剤としては、リン酸カルシウム、リ 酸水素カルシウム、微粒二酸化ケイ素等が げられる。

 また、上記以外に、キシロース、ガラク ース、トレハロース、乳糖、パラチノース マルチトール、エリスリトール、ソルビト ル、キシリトール、ラフィノース、イヌロ リゴ糖(チコリオリゴ糖)、パラチノースオ ゴ糖等の上記甘味料としてあげた糖類以外 糖類、ナイアシン、ビタミンA、ビタミンB、 ビタミンD等のビタミン類、ナトリウム等の ネラル類、微粒二酸化ケイ素、ケイ酸カル ウム、合成ケイ酸アルミニウム、タルク等 乾燥剤または固化防止剤等を用いてもよい

 これらの物質を共存させる場合は、これら 物質を、水、無機塩水溶液、緩衝液等の水 溶媒、メタノール、エタノール、グリセロ ル等のアルコール、またはこれらの混合物 の溶媒に溶解させずに共存させることが好 しい。
 上記のようにこれらの物質を共存させて得 れる本発明の固体組成物の水分含量は5重量 %を超えないようにすることが好ましく、3重 %を超えないようにすることがさらに好まし い。

 なお、本発明の固体組成物中のグルタチオ およびアルギニンの量に特に限定はないが 通常10~90重量%である。
 本発明の保存安定性向上方法により、グル チオンおよびアルギニンを含有する固体組 物中のグルタチオンの品質の低下を抑制し 保存安定性を向上させることができる。
 グルタチオンの保存安定性は、所定の条件 で保存する前の固体組成物中のグルタチオ の含有量に対する保存後のグルタチオンの 有量の百分率として知ることができる。

 本発明の固体組成物は、これを製剤原料と て、通常の製剤、好ましくは固形製剤の製 方法に準じて製剤化し、散剤、顆粒剤、錠 、カプセル剤等の、グルタチオン、アルギ ンまたはその塩および有機酸を含有する本 明の固形製剤として用いることができる。
 例えば、散剤は、粉末状の製剤原料を混合 を用いて混合するか、または製剤原料を粉 機等により粉砕し、混合機等を用いて混合 て製造することができる。

 顆粒剤は、製剤原料を造粒機を用いて造粒 て製造することができる。
 錠剤は、打錠機を用いて製剤原料を打錠し 製造することができる。
 なお、顆粒剤、錠剤は調製後、糖、糖アル ール等を用いるシュガーコーティング、高 子を用いるフィルムコーティング等を施し 用いてもよい。
 カプセル剤は、散剤または顆粒剤を調製後 ハードカプセルに充填して製造することが きる。

 上記以外に、常法に従って、丸剤、トロー 剤、マイクロカプセル等の固形製剤を調製 てもよい。
 本発明のグルタチオンおよびアルギニンを 有する固形製剤は、医薬品、食品または飼 分野において利用することができるが、ヒ または非ヒト動物に投与する際は、グルタ オンおよびアルギニンまたはその塩として 一日あたり、100mg~20gとなるように投与する とが好ましい。

 本発明の実施例を以下に示す。

(1)0.5gのグルタチオン(協和発酵工業社製、以 同じ)に、L-アルギニン(協和発酵工業社製、 以下同じ)、L-グルタミン(協和発酵工業社製) L-シトルリン(協和発酵工業社製)およびL-リ ン(協和発酵工業社製)を、それぞれ第1表に 載の量添加し、混合し、撹拌して粉末1~4を た。
 粉末1~4を、各々アルミパウチ袋に入れ、密 し、60℃で2週間保存した。2週間後、アルミ パウチ袋から、少量をサンプリングし、グル タチオンの含有量を高速液体クロマトグラフ ィーにより定量した。

 以下に高速液体クロマトグラフィーの条件 示す。
カラム:Nucleosil 10-C18 4.6mmφX250mm(ジーエルサ エンス社製)
移動相:2.84gのギ酸アンモニウムを水に溶解後 、ギ酸でpH4に調整し、水で全量を1800mlとした 後、メタノール200mlを加えて撹拌し、脱気を なって調製したもの
検出波長:280nm
カラム温度:40℃
移動相流量:1.0ml/分
 保存前の各粉末(粉末1~4)中のグルタチオン 含有量および保存後の各粉末(粉末1~4)中のグ ルタチオンの含有量から、グルタチオンの残 存率を算出した。
 結果を第1表に示す。

 第1表に示すとおり、L-アルギニンを含有す 粉末1においては、保存後のグルタチオンの 含有量が顕著に低下した。
(2)0.5gのグルタチオンおよび10gのL-アルギニン に、それぞれ、クエン酸を第2表記載の量添 、混合し、攪拌して粉末5~7を得た。
 粉末5~7を各々アルミパウチ袋に入れ、密封 、60℃で2週間保存した。2週間後、各粉末中 のグルタチオンの残存率を上記(1)記載の方法 に準じて算出した。
 結果を第2表に示す。

 第2表に示すとおり、有機酸としてクエン酸 を添加することにより、アルギニンによるグ ルタチオンの品質の低下を抑制することがで きた。
(3)0.5gのグルタチオンおよび5gのL-アルギニン 、それぞれ、第3表記載の有機酸を第3表記 の量添加、混合し、攪拌して粉末8~11を得た
 粉末8~11を各々アルミパウチ袋に入れて、密 封し、60℃で2週間保存した。2週間後、各粉 中のグルタチオンの残存率を上記(1)記載の 法に準じて算出した。
 結果を第3表に示す。

 第3表に示すとおり、有機酸として、クエ ン酸以外にも、酒石酸、アスコルビン酸およ びリンゴ酸を添加することにより、アルギニ ンによるグルタチオンの品質の低下を抑制す ることができた。 

 本発明により、グルタチオンおよびアル ニンを含有する固体組成物におけるグルタ オンの保存安定性向上方法、またはグルタ オンの保存安定性の向上したグルタチオン よびアルギニンを含有する固体組成物を提 することができる。