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Title:
METHOD AND KIT FOR DETECTION/QUANTIFICATION OF TARGET RNA
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/057330
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a method and a kit for the simple and rapid detection/quantification of target RNA from a trace amount of RNA in a sample, such as the detection/quantification of one or more pathogenic microorganisms. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] The method comprises the following steps 1) to 8): 1) synthesizing cDNA from a sample containing the target RNA by using a liquid-phase primer having a promoter sequence and a reverse transcriptase, thereby producing a cDNA-RNA complex; 2) degrading RNA in the complex; 3) synthesizing double-stranded DNA through the cDNA produced in the step 2) and the solid-phase primer; 4) synthesizing RNA from the double-stranded DNA; 5) synthesizing cDNA through RNA obtained in the step 4) and the solid-phase primer, thereby producing a cDNA-RNA complex; 6) degrading RNA in the complex produced in the step 5); 7) synthesizing double-stranded DNA through the cDNA produced in the step 6) and the liquid-phase primer; and 8) quantifying the double-stranded DNA molecules obtained in the steps 3) and 7). The method can be effected in a single reaction solution.

Inventors:
SHIRAI MUTSUNORI (JP)
FUKUNAGA HAJIME (JP)
FUJIWARA KAZUHIKO (JP)
YOKOYAMA KANEHISA (JP)
FUJIMOTO KENTARO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/003169
Publication Date:
May 07, 2009
Filing Date:
November 04, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV YAMAGUCHI (JP)
SHIRAI MUTSUNORI (JP)
FUKUNAGA HAJIME (JP)
FUJIWARA KAZUHIKO (JP)
YOKOYAMA KANEHISA (JP)
FUJIMOTO KENTARO (JP)
International Classes:
C12Q1/68
Domestic Patent References:
WO2001094634A22001-12-13
Foreign References:
JPH08256797A1996-10-08
JP2002233385A2002-08-20
JP2002512688A2002-04-23
JP2006025791A2006-02-02
JP2006061155A2006-03-09
JP2007207966A2007-08-16
Other References:
PEMOV A. ET AL.: "DNA analysis with multiplex microarray-enhanced PCR", NUCLEIC ACIDS RESEARCH, vol. 33, no. 2, 2005, pages E11, XP002331747
KINOSHITA K. ET AL.: "Multiple primer extension by DNA polymerase on a novel plastic DNA array coated with a compatible polymer", NUCLEIC ACIDS RESEARCH, vol. 35, no. 1, 2007, pages E3, XP002515573
KIEVITS T. ET AL.: "NASBA TM isothermal enzymatic in vitro nucleic acid amplification optimized for the diagnosis of HIV-1 infection", JOURNAL OF VIROLOGICAL METHODS, vol. 35, 1991, pages 273 - 286, XP023697069
FYKSE, E.M. ET AL.: "Detection of Virio cholerae by Real-Time Nucleic Acid Sequence-Based Amplification", APPLIED AND ENVIRONMENTAL MICROBIOLOGY, vol. 73, no. 5, 2007, pages 1457 - 1466, XP008132963
SCHENA M. ET AL., PROC. NATL. ACAD. SCI. USA., vol. 93, no. 20, 1996, pages 10614 - 9
See also references of EP 2206793A4
Attorney, Agent or Firm:
HIROTA, Masanori (8-5 Akasaka 2-chome, Minato-k, Tokyo 52, JP)
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Claims:
以下の(a)~(j)の工程を含むことを特徴とする標的RNAの検出・定量方法。
(a)標的RNAの5’側標的特異的配列に相当するDNA配列を含むプライマーの5’末端を基板表面に固定させ、固相DNA(+)プライマーを調製する工程;
(b)標的RNAの3’側配列と相補的なcDNA配列を含むプライマーの5’末端側にRNAポリメラーゼプロモーター配列を付加し、液相cDNA(-)プライマーを調製する工程;
(b’)必要に応じて、タグ配列の5’末端にRNAポリメラーゼプロモーター配列を付加した液相ユニバーサルプライマーを調製する工程;
(c)標的RNAの3’側配列と5’側標的特異的配列とを含む試料RNAを調製する工程; 
(d)工程(b)で調製された液相cDNA(-)プライマーと、工程(c)で調製された試料RNA鎖とを液相で接触させ、液相cDNA(-)プライマーと試料RNAとをハイブリダイズさせ、次いで逆転写酵素によりDNA(-)鎖を伸長させてcDNA鎖-RNA鎖複合体を調製する工程;
(e)工程(d)で調製されたcDNA鎖-RNA鎖複合体に、DNA鎖-RNA鎖複合体におけるRNA鎖を特異的に分解するRNA分解酵素を作用させ、一本鎖DNA(-)を調製する工程;
(f)工程(e)で調製された一本鎖DNA(-)と、工程(a)で調製された固相DNA(+)プライマーとを液相で接触させ、一本鎖DNA(-)と固相DNA(+)プライマーとをハイブリダイズさせ、次いでDNA依存性DNAポリメラーゼ活性能を有する酵素によりDNA(+)鎖を伸長させて二本鎖DNAを調製する工程;
(g)工程(f)で調製された二本鎖DNAにRNAポリメラーゼを作用させ、DNA(-)鎖由来のRNAポリメラーゼプロモーター配列を利用して、一本鎖RNA(-)を増幅させ、増幅した一本鎖RNA(-)と固相DNA(+)プライマーとをハイブリダイズさせ、次いで逆転写酵素によりDNA(+)鎖を伸長させてcDNA鎖-RNA鎖複合体を調製する工程;
(h)工程(g)で調製されたcDNA鎖-RNA鎖複合体に、DNA鎖-RNA鎖複合体におけるRNA鎖を特異的に分解するRNA分解酵素を作用させ、固相一本鎖DNA(+)を調製する工程;
(i)工程(h)で調製された固相一本鎖DNA(+)と、工程(b)で調製された液相cDNA(-)プライマー、又は工程(b’) で調製された液相ユニバーサルプライマーとを液相で接触させ、一本鎖DNA(+)と液相cDNA(-)プライマー又は液相ユニバーサルプライマーとをハイブリダイズさせ、次いでDNA依存性DNAポリメラーゼ活性能を有する酵素によりDNA(-)鎖を伸長させて、二本鎖DNAを調製する工程;
(j)工程(f)及び工程(i)で調製された二本鎖DNAを定量する工程;
工程(g)~工程(i)を2回以上繰り返すことを特徴とする請求項1記載の検出・定量方法。
工程(d)~工程(j)を一の反応液中で行うことを特徴とする請求項1又は2記載の検出・定量方法。
複数の標的RNAを同一基板上で検出・定量することを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の検出・定量方法。
工程(i)において、液相ユニバーサルプライマーを用いることを特徴とする請求項1~4のいずれか記載の検出・定量方法。
液相ユニバーサルプライマーの濃度が、液相cDNA(-)プライマーの濃度の10倍以上であることを特徴とする請求項5に記載の検出・定量方法。
液相cDNA(-)プライマーが、標的RNAの3’側配列と相補的なcDNA配列を含むプライマーの5’末端側に、タグ配列を介して、RNAポリメラーゼプロモーター配列が付加された液相キメラプライマーであることを特徴とする請求項1~6のいずれか記載の検出・定量方法。
RNAポリメラーゼプロモーター配列が標識化プロモーター配列である、液相ユニバーサルプライマー又は液相キメラプライマーを用いることを特徴とする請求項1~7のいずれか記載の検出・定量方法。
標識化プロモーター配列が、ビオチン化プロモーター配列であることを特徴とする請求項8記載の検出・定量方法。
工程(i)を標識試薬の存在下で行うことを特徴とする請求項1~7のいずれか記載の検出・定量方法。
標識試薬が蛍光色素であることを特徴とする請求項10に記載のRNAの検出・定量方法。
DNA依存性DNAポリメラーゼ活性能を有する酵素として、逆転写酵素を用いることを特徴とする請求項1~11のいずれか記載の検出・定量方法。
標的RNAが16SrRNA中の菌特異的なRNA鎖であることを特徴とする請求項1~12のいずれか記載の検出・定量方法。
請求項1~13のいずれか記載のRNAの検出・定量方法を用いて、1又は複数の病原微生物を検出・定量する方法。
標的RNAの5’側標的特異的配列を含むプライマーの5’末端を基板表面に固定させた固相DNA(+)プライマー、標的RNAの3’側配列と相補的なcDNA配列を含むプライマーの5’末端側にRNAポリメラーゼプロモーター配列を付加した液相cDNA(-)プライマーと、逆転写酵素、RNAポリメラーゼ、DNA鎖-RNA鎖複合体におけるRNA鎖を特異的に分解するRNA分解酵素とを備えたことを特徴とするRNAの検出・定量キット。
液相cDNA(-)プライマーが、標的RNAの3’側配列と相補的なcDNA配列を含むプライマーの5’末端側に、タグ配列を介して、RNAポリメラーゼプロモーター配列が付加された液相キメラプライマーであることを特徴とする請求項15記載のRNAの検出・定量キット。
さらに、タグ配列の5’末端側にRNAポリメラーゼプロモーター配列を付加した液相ユニバーサルプライマーを備えたことを特徴とする請求項15又は16記載のRNAの検出・定量キット。
RNAポリメラーゼプロモーター配列が標識化プロモーター配列であることを特徴とする請求項16又は17記載のRNAの検出・定量キット。
標識化プロモーター配列が、ビオチン化プロモーター配列であることを特徴とする請求項18記載のRNAの検出・定量キット。
さらに、標識試薬を含むことを特徴とする請求項15~17のいずれか記載のRNAの検出・定量キット。
標識試薬が蛍光色素であることを特徴とする請求項20記載のRNAの検出・定量キット。
さらに、DNA依存性DNAポリメラーゼを含むことを特徴とする請求項15~21のいずれか記載のRNAの検出・定量キット。
標的RNAが16SrRNA中の菌特異的なRNA鎖であることを特徴とする請求項15~22のいずれか記載のRNAの検出・定量キット。
Description:
標的RNAの検出・定量方法及びキ ト

 本発明は、標的RNAの検出・定量方法及び ットに関し、より詳しくは、DNAマイクロア イ技術と核酸増幅技術とを組み合わせたRNA 検出・定量方法や、RNAの検出・定量キット 関するものである。

 細菌の同定に関しては、従来から用いら てきた培養を介した同定法や染色による同 法、ATPなど細菌の代謝に係る物質を計測す 方法に加え、例えば、DNAマイクロアレイ技 を用いた細菌同定法が開発されている。特 、ある細菌の遺伝子配列に特異的な塩基配 を有する核酸をプローブとして合成し、こ を基板上に固定して検体から増幅された遺 子とハイブリダイズさせる手法は、各菌種 持つ特異的な塩基配列を用いるため、正確 検出が可能であり、現在様々な形で応用が められている(特許文献1~3及び非特許文献1 照)。

 例えば、定量的に解析する方法の一つと て、例えばリアルタイムPCR法による検出方 がある。このリアルタイムPCR法では、微量 検体量を用いて定量的に検出することが可 ではあるが、検査に時間を要し、また、再 良く定量を行うためには、鋳型やプライマ 毎に定量に適したサイクル数を予め調べて く必要があり、操作が煩雑となる。

 その他、特定の菌種や品種を検出し得る方 としては、RNA特異的核酸増幅方法であるNASB A(Nucleic
Acid Sequence Based Amplification)法が提案されて る。NASBA法は、2種類のプライマーを用いて 象とするRNAに相補的なアンチセンスRNAを増 するものであり、41℃の一定の温度下で、RNA を鋳型として短時間で核酸増幅が行えるため 、常温で反応が可能であり、温度調節機器等 を必要としない。また、プライマーのTm値等 考慮する必要もないため、簡便に複数種類 核酸を検出することが可能である。また、R T-PCRとは異なり、DNA存在下でRNAの増幅、及び 出が行えるため、細菌の生存を評価するこ で死んだ細菌による擬陽性の可能性を取り くことができる。しかしながら、NASBA法は 複数種類の核酸を同時に、定性的に簡便に 出することは可能であるが、定量的に簡便 検出することは困難であるとされてきた。

 一方、肺炎は日本人の死因別死亡率で第4 位であって、がん等の基礎疾患の合併症とし てもしばしば起こり、罹患者数が非常に多い 疾患として知られている。従来肺炎の原因と なる微生物(原因菌)の探索試験として行われ いる培養検査は少なくとも数日の時間を要 、更に培養された原因菌について薬剤感受 試験を行うと1週間近くもかかることから、 治療選択に十分寄与する検査方法にはなって いない。救急救命病室(ICU)に入院が必要な重 の肺炎に関しては、迅速で正確な原因菌の 定が治療選択において極めて重要であり、 切な初期治療は肺炎患者の救命確率を確実 上昇させることが報告されている。しかし 際には、依然として培養法に代わる原因菌 定技術が確立されていないため、原因菌が 明の状態で治療を行わなければならないの 現状である。そのため、経験治療による抗 物質の使用がやむを得ず、耐性菌の出現に 繋がるおそれがある。

 肺炎の原因となる原因菌は、発生頻度の い菌種が全体の50%近くを占め、ウイルスま 含めた主な原因菌は20~30種類程度である。 の中には通常の手法で培養できないものも り、培養法による原因菌決定が困難である 合も多い。また、従来のDNAマイクロアレイ 術を用いた微生物の検出方法では、わずか 感染量でも肺炎を起こす肺炎原因菌の検出 、複数種類の菌を同時に検出するには有効 あったが、定量的に再現よく解析すること は問題があった。特に、菌量に依存して抗 物質を適宜選択して治療する必要がある肺 においては、複数種類の肺炎原因菌を同時 検出することと、検出されたシグナルの定 的な解析が非常に重要である。また、原因 の種類によって最適な治療薬が異なるが、 因菌決定前に治療を開始するのも医療倫理 やむを得ない実情である。これらの問題を 決するために、複数の菌種の中から特定の を迅速かつ定量に検出可能な手法の開発が たれていた。

特開2002-512688号公報

特開2006-025791号公報

特開2006-061155号公報 Schena M.et al.(1996) Proc. Natl. Acad. Sci. US A. 93(20): 10614-9

 本発明の課題は、1又は複数種類の病原微 生物を検出・定量する場合など、試料中の微 量なRNAからを簡便かつ迅速に標的RNAを検出・ 定量することができる方法やキットを提供す ることにある。

 本発明者らは、既に複数菌類の微量な遺 子を検出するため、タンパク合成器官であ リボソームの構成成分の一つ16SrRNAの配列を プライマーとして用いることに着目した。16S rRNAの塩基配列はすべての細菌で得ることが き、また、16SrRNAの特徴として、共通の塩基 列部分と菌特異的な塩基配列部分があるた 、この特性を利用して菌特異的配列の検出 ためのプライマーを設計し、マルチプレッ スPCR法を用いて複数遺伝子を同時に増幅さ 、その増幅産物を、マイクロアレイを用い PCR法で定量検出する方法を開発し、10菌種 肺炎原因菌遺伝子を検出する方法を提案し (山口大学・住友ベークライト 共同開発 特 許出願中:特願2007‐207966)。しかし、この方法 ではDNA増幅機器やマイクロアレイ・スキャナ ーが必要となるため、中小病院や診療所の多 くでは検査を行うことが困難であった。この ような現状を踏まえて、特殊な機器を使わず 、手軽に検査できる診断機器を開発するため 、まず蛍光測定装置を用いた測定系の中で液 相プライマー及び固相プライマーという3種 のプライマーを用いて定温でRNA増幅を行う いう、NASBA法の工程において作製される二本 鎖DNAの増幅と定量検出が同時にできる世界初 の核酸増幅定量法を開発した。しかし、この 検出系においては、一菌種を検出できること が確認できたのみであった。また、従来のNAS BA法で用いられる逆転写プライマーは臨床サ プル中のRNAをDNAに変換するためのプライマ であり、溶液中に加えるため濃度設定が重 である。新たな遺伝子検出法での濃度設定 逆転写プライマーを何種類混合するかに依 するが、検出目的遺伝子の種類が増加する 逆転写プライマーの種類を増やさなければ らず、薬剤耐性遺伝子では共通領域がない で薬剤耐性遺伝子の数だけ逆転写プライマ を追加しなければならなかった。今回、本 明者らは、マルチプレックスPCR法で用いた ライマーセットを用い、複数種類の標的塩 配列を有する核酸を一度に検出することが きるとの発想に至り、NASBA法における試薬 複数のプライマーを用いてRNAの検出、定量 試みたが、NASBA試薬での多菌種増幅は、交差 反応が多く好ましい結果を得ることができて いない。そこで、ウエル型マイクロアレイ基 板上で、NASBA法の工程において作製される二 鎖DNAを、多種類のプライマーを用いて増幅 せることにより、試料検体中の多種類のDNA 列を短時間かつ簡便に検出・定量できるこ を見いだし、本発明を完成するに至った。

 すなわち本発明は、[1]以下の(a)~(j)の工程を 含むことを特徴とする標的RNAの検出・定量方 法に関する。
(a)標的RNAの5’側標的特異的配列に相当するDN A配列を含むプライマーの5’末端を基板表面 固定させ、固相DNA(+)プライマーを調製する 程;
(b)標的RNAの3’側配列と相補的なcDNA配列を含 プライマーの5’末端側にRNAポリメラーゼプ ロモーター配列を付加し、液相cDNA(-)プライ ーを調製する工程;
(b’)必要に応じて、タグ配列の5’末端にRNA リメラーゼプロモーター配列を付加した液 ユニバーサルプライマーを調製する工程;
(c)標的RNAの3’側配列と5’側標的特異的配列 を含む試料RNAを調製する工程; 
(d)工程(b)で調製された液相cDNA(-)プライマー 、工程(c)で調製された試料RNA鎖とを液相で 触させ、液相cDNA(-)プライマーと試料RNAとを イブリダイズさせ、次いで逆転写酵素によ DNA(-)鎖を伸長させてcDNA鎖-RNA鎖複合体を調 する工程;
(e)工程(d)で調製されたcDNA鎖-RNA鎖複合体に、D NA鎖-RNA鎖複合体におけるRNA鎖を特異的に分解 するRNA分解酵素を作用させ、一本鎖DNA(-)を調 製する工程;
(f)工程(e)で調製された一本鎖DNA(-)と、工程(a) で調製された固相DNA(+)プライマーとを液相で 接触させ、一本鎖DNA(-)と固相DNA(+)プライマー とをハイブリダイズさせ、次いでDNA依存性DNA ポリメラーゼ活性能を有する酵素によりDNA(+) 鎖を伸長させて二本鎖DNAを調製する工程;
(g)工程(f)で調製された二本鎖DNAにRNAポリメラ ーゼを作用させ、DNA(-)鎖由来のRNAポリメラー ゼプロモーター配列を利用して、一本鎖RNA(-) を増幅させ、増幅した一本鎖RNA(-)と固相DNA(+) プライマーとをハイブリダイズさせ、次いで 逆転写酵素によりDNA(+)鎖を伸長させてcDNA鎖-R NA鎖複合体を調製する工程;
(h)工程(g)で調製されたcDNA鎖-RNA鎖複合体に、D NA鎖-RNA鎖複合体におけるRNA鎖を特異的に分解 するRNA分解酵素を作用させ、固相一本鎖DNA(+) を調製する工程;
(i)工程(h)で調製された固相一本鎖DNA(+)と、工 程(b)で調製された液相cDNA(-)プライマー、又 工程(b’) で調製された液相ユニバーサルプ ライマーとを液相で接触させ、一本鎖DNA(+)と 液相cDNA(-)プライマー又は液相ユニバーサル ライマーとをハイブリダイズさせ、次いでDN A依存性DNAポリメラーゼ活性能を有する酵素 よりDNA(-)鎖を伸長させて、二本鎖DNAを調製 る工程;
(j)工程(f)及び工程(i)で調製された二本鎖DNAを 定量する工程;

 また本発明は、[2]工程(g)~工程(i)を2回以 繰り返すことを特徴とする上記[1]記載の検 ・定量方法や、[3]工程(d)~工程(j)を一の反応 中で行うことを特徴とする上記[1]又は[2]記 の検出・定量方法や、[4]複数の標的RNAを同 基板上で検出・定量することを特徴とする 記[1]~[3]のいずれか記載の検出・定量方法や 、[5]工程(i)において、液相ユニバーサルプラ イマーを用いることを特徴とする上記[1]~[4] いずれか記載の検出・定量方法や、[6]液相 ニバーサルプライマーの濃度が、液相cDNA(-) ライマーの濃度の10倍以上であることを特 とする上記[5]に記載の検出・定量方法や、[7 ]液相cDNA(-)プライマーが、標的RNAの3’側配列 と相補的なcDNA配列を含むプライマーの5’末 側に、タグ配列を介して、RNAポリメラーゼ ロモーター配列が付加された液相キメラプ イマーであることを特徴とする上記[1]~[6]の いずれか記載の検出・定量方法や、[8]RNAポリ メラーゼプロモーター配列が標識化プロモー ター配列である、液相ユニバーサルプライマ ー又は液相キメラプライマーを用いることを 特徴とする上記[1]~[7]のいずれか記載の検出 定量方法や、[9]標識化プロモーター配列が ビオチン化プロモーター配列であることを 徴とする上記[8]記載の検出・定量方法や、[1 0]工程(i)を標識試薬の存在下で行うことを特 とする上記[1]~[7]のいずれか記載の検出・定 量方法や、[11]標識試薬が蛍光色素であるこ を特徴とする上記[10]に記載のRNAの検出・定 方法や、[12]DNA依存性DNAポリメラーゼ活性能 を有する酵素として、逆転写酵素を用いるこ とを特徴とする上記[1]~[11]のいずれか記載の 出・定量方法や、[13]標的RNAが16SrRNA中の菌 異的なRNA鎖であることを特徴とする上記[1]~[ 12]のいずれか記載の検出・定量方法や、[14] 記[1]~[13]のいずれか記載のRNAの検出・定量方 法を用いて、1又は複数の病原微生物を検出 定量する方法に関する。

 さらに本発明は、[15]標的RNAの5’側標的 異的配列を含むプライマーの5’末端を基板 面に固定させた固相DNA(+)プライマー、標的R NAの3’側配列と相補的なcDNA配列を含むプラ マーの5’末端側にRNAポリメラーゼプロモー ー配列を付加した液相cDNA(-)プライマーと、 逆転写酵素、RNAポリメラーゼ、DNA鎖-RNA鎖複 体におけるRNA鎖を特異的に分解するRNA分解 素とを備えたことを特徴とするRNAの検出・ 量キットや、[16]液相cDNA(-)プライマーが、標 的RNAの3’側配列と相補的なcDNA配列を含むプ イマーの5’末端側に、タグ配列を介して、 RNAポリメラーゼプロモーター配列が付加され た液相キメラプライマーであることを特徴と する上記[15]記載のRNAの検出・定量キットや [17]さらに、タグ配列の5’ 末端側にRNAポリ ラーゼプロモーター配列を付加した液相ユ バーサルプライマーを備えたことを特徴と る上記[15]又は[16]記載のRNAの検出・定量キ トや、[18]RNAポリメラーゼプロモーター配列 標識化プロモーター配列であることを特徴 する上記[16]又は[17]記載のRNAの検出・定量 ットや、[19]標識化プロモーター配列が、ビ チン化プロモーター配列であることを特徴 する上記[18]記載のRNAの検出・定量キットや 、[20]さらに、標識試薬を含むことを特徴と る上記[15]~[17]のいずれか記載のRNAの検出・ 量キットや、[21]標識試薬が蛍光色素である とを特徴とする上記[20]記載のRNAの検出・定 量キットや、[22]さらに、DNA依存性DNAポリメ ーゼを含むことを特徴とする上記[15]~[21]の ずれか記載のRNAの検出・定量キットや、[23] 的RNAが16SrRNA中の菌特異的なRNA鎖であること を特徴とする上記[15]~[22]のいずれか記載のRNA の検出・定量キットに関する。

 本発明により開発された核酸の定量方法 よると、ユニバーサルプライマーを介して 酸を定量的に増幅し、核酸増幅に用いるプ イマーによって核酸増幅の効率が異なる場 であっても、同一のユニバーサルプライマ を用いて核酸を増幅することで、プライマ 間での増幅効率を均一にすることができる め、核酸増幅による定量的な解析が可能と った。このように、ユニバーサルプライマ を用いて核酸増幅することにより、リアル イムPCRを行うことなく、簡便かつ定量的に 出することを可能とする新しいマイクロア イ技術を提供することができる。更に、新 な病原菌を検出する場合でも、その病原菌 特異的な配列を有する固相プライマーを追 することで検出を行うことができるため、 定された菌種しか検出できない従来の遺伝 検出方法に比べて、独創性及び汎用性を有 る。また、本発明の核酸の定量方法による 、検出されたシグナルの定量的な解析を行 ことができるため、例えば感染量により病 が異なる原因菌や複数種類の原因菌の検出 有効である。特に、同時に多数の薬剤耐性 伝子も短時間で正確に検出し、定量するこ が可能となるため、新たな遺伝子定量検出 ステムの構築に道を拓くものである。また 本発明の核酸の定量方法を用いた遺伝子検 システムは、クラミジアやリケッチアなど 養困難な病原微生物、薬剤耐性菌など院内 染原因菌に対して適切な治療法選択のため 臨床診断用簡易検査試薬として利用可能で る。更に、本発明では基板に合成樹脂を用 ており、取り扱いが簡便で検出用機器に合 せた加工が可能な汎用性の高いシステムを 供することができる。

工程(a)~(f)の模式図を示す。(a)は、基板 1の表面1aに固相DNA(+)プライマー2が固定され いることを示す。(b)及び(c)は、工程(d)にお て、基板1の表面1aに固相DNA(+)プライマー2を 定した後上記反応が開始される様子を示す (d)は、工程(e)における反応の模式図を示す (e)は、工程(f)における反応の模式図を示す 工程(g)~(i)の模式図を示す。(a)は、工程 (g)において、二本鎖DNA6上に存在するプロモ ター配列8を介して一本鎖RNA9を合成し、固相 DNA(+)プライマー2とハイブリダイズさせる反 の模式図を示す。(b)は、工程(h)において、 相DNA(+)プライマー2を介してcDNA鎖(+)10を合成 、cDNA鎖-RNA鎖複合体を作製した後、このcDNA -RNA鎖複合体のRNA鎖を分解して、一本鎖DNA(+) 10を得る反応を示す。(c)は、工程(i)において 固相一本鎖DNA(+)10を液相cDNA(-)プライマー又 液相ユニバーサルプライマー3bとハイブリ イズさせ、二本鎖DNAを調製する反応の模式 を示す。 増幅産物(RNA)を定量的に検出した図で る。 最適なプライマーの量を決定するため 増幅されたDNAを経時的に検出した図である 横軸は時間、縦軸は蛍光強度を示す。 核酸増幅産物(DNA)を定量的・経時的に 出した図である。 i)は、工程(d)における標的RNAの3’側に イブリダイズした液相キメラプライマーが され、ii)には、逆転写により合成されたcDNA 鎖-RNA鎖複合体を示す。iii)は、工程(e)におけ 反応の模式図を示す。iv)は、工程(f)におけ 反応の模式図を示す。v)は、工程(g)におい 、アンチセンスRNAが増幅している様子を示 。vi)は、工程(g)において、増幅したアンチ ンスRNAと固相DNA(+)プライマーがハイブリダ ズしている様子を示す。vii)は、工程(g)にお るcDNA鎖-RNA鎖複合体を示す。viii)は、工程(h) において、cDNA鎖-RNA鎖複合体のRNA鎖が分解し いる様子を示す。ix)は、工程(i)において、 本鎖DNA(+)を液相cDNA(-)プライマー又は液相ユ ニバーサルプライマーとハイブリダイズさせ る反応の模式図を示す。x)は、工程(i)におけ 、標識化二本鎖DNAが示され、また、工程(i) 続けて工程(g)の一本鎖RNA(-)が増幅されてい 様子を示す。

 本発明の標的RNAの検出・定量方法としては 以下の(a)~(j)の工程を備えた方法であれば特 に制限されず、標的RNAとは、同定及び/又は 量の対象となるRNAを意味し、後述するよう 、16SrRNA中の菌特異的なRNA鎖等を好適に例示 ることができる。
(a)標的RNAの5’側標的特異的配列に相当するDN A配列を含むプライマーの5’末端を基板表面 固定させ、固相DNA(+)プライマーを調製する 程;
(b)標的RNAの3’側配列と相補的なcDNA配列を含 プライマーの5’末端側にRNAポリメラーゼプ ロモーター配列を付加し、液相cDNA(-)プライ ーを調製する工程;
(b’)必要に応じて、タグ配列の5’末端にRNA リメラーゼプロモーター配列を付加した液 ユニバーサルプライマーを調製する工程;
(c)標的RNAの3’側配列と5’側標的特異的配列 を含む試料RNAを調製する工程; 
(d)工程(b)で調製された液相cDNA(-)プライマー 、工程(c)で調製された試料RNA鎖とを液相で 触させ、液相cDNA(-)プライマーと試料RNAとを イブリダイズさせ、次いで逆転写酵素によ DNA(-)鎖を伸長させてcDNA鎖-RNA鎖複合体を調 する工程;
(e)工程(d)で調製されたcDNA鎖-RNA鎖複合体に、D NA鎖-RNA鎖複合体におけるRNA鎖を特異的に分解 するRNA分解酵素を作用させ、一本鎖DNA(-)を調 製する工程;
(f)工程(e)で調製された一本鎖DNA(-)と、工程(a) で調製された固相DNA(+)プライマーとを液相で 接触させ、一本鎖DNA(-)と固相DNA(+)プライマー とをハイブリダイズさせ、次いでDNA依存性DNA ポリメラーゼ活性能を有する酵素によりDNA(+) 鎖を伸長させて二本鎖DNAを調製する工程;
(g)工程(f)で調製された二本鎖DNAにRNAポリメラ ーゼを作用させ、DNA(-)鎖由来のRNAポリメラー ゼプロモーター配列を利用して、一本鎖RNA(-) を増幅させ、増幅した一本鎖RNA(-)と固相DNA(+) プライマーとをハイブリダイズさせ、次いで 逆転写酵素によりDNA(+)鎖を伸長させてcDNA鎖-R NA鎖複合体を調製する工程;
(h)工程(g)で調製されたcDNA鎖-RNA鎖複合体に、D NA鎖-RNA鎖複合体におけるRNA鎖を特異的に分解 するRNA分解酵素を作用させ、固相一本鎖DNA(+) を調製する工程;
(i)工程(h)で調製された固相一本鎖DNA(+)と、工 程(b)で調製された液相cDNA(-)プライマー、又 工程(b’) で調製された液相ユニバーサルプ ライマーとを液相で接触させ、一本鎖DNA(+)と 液相cDNA(-)プライマー又は液相ユニバーサル ライマーとをハイブリダイズさせ、次いでDN A依存性DNAポリメラーゼ活性能を有する酵素 よりDNA(-)鎖を伸長させて、二本鎖DNAを調製 る工程;
(j)工程(f)及び工程(i)で調製された二本鎖DNAを 定量する工程;

 上記工程(c)における試料としては、微生物 動物、植物等の細胞や組織等のRNA、例えば 原核生物における16SrRNAや23SrRNA、真核生物 おける18SrRNAや28SrRNA等のrRNA、mRNAなどのRNAを むものであれば特に制限されず、また、細 溶解液等の生体試料や、生体試料から得ら た培養物やRNA増幅から得られた合成RNAも含 れる。これらの中でも、遺伝子の長さが適 であり、細胞内に大量に存在し、配列の保 性が高い一方で比較的変異しやすい部位も 在することが明らかとなっている原核生物 おける16SrRNAや、真核生物における18SrRNAを 適に例示することができる。また、上記微 物としては、原因菌の特定が困難な肺炎の 原菌、MRSAの他、クラミジア、リケッチア等 養困難な病原微生物を例示することができ 。そして、
標的RNAの5’側配列と3’側標的特異的配列と 含む試料RNAを調製するとは、試料からチオ アン酸グアニジンや市販のキットなどを用 てRNAを抽出したり、抽出したRNAを適宜切断 理をして、1又は複数の標的RNAの5’側配列 3’側標的特異的配列とを含むRNAを調製する とを意味するが、これら標的RNAを含まない 合であっても、便宜上試料RNAの調製に含ま る。

 上記工程(a)における標的RNAの5’側標的特異 的配列としては、標的RNAの5’側に存在し、 料に含まれる標的RNAを他のRNAと区別して検 ・定量することができる標的RNAに特異的な 列であれば特に制限されず、かかる標的RNA 5’側配列の選択においては、公知のデータ ースを有利に用いることができる他、検出 象となる特定の菌株のRNAを鋳型として、プ イマーを用いてPCR法にて増幅し、増幅断片 市販の精製カラム(QIAGEN社製)等で精製後、4 ダイターミネーター法によるシークエンス ABI PRIZM TM  377 Genetic Analyzer (P.E.Biosystems社製)等で配列 を決定し、その配列情報から標的RNAの5’側 列を選択することもできる。

 標的RNAの5’側標的特異的配列として、具体 的には、配列表の配列番号1で示される肺炎 鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)の16SrRNAをコード る遺伝子領域の転写開始部位を1位とした場 合の202位~223位の塩基配列や、配列番号2で示 れるインフルエンザ菌(Hemophilus influenzae)の1 6SrRNAをコードする遺伝子領域の転写開始部位 を1位とした場合の165位~187位の塩基配列や、 列番号3で示される肺炎マイコプラズマ(mycop lasmapneumoniae)の16SrRNAをコードする遺伝子領域 転写開始部位を1位とした場合の1225位~1245位 の塩基配列や、配列番号4で示される肺炎ク ジミア(Chlamydia
pneumoniae)の16SrRNAをコードする遺伝子領域の転 写開始部位を1位とした場合の994位~1017位の塩 基配列や、配列番号5で示されるレジオネラ (Legionella spp.)の16SrRNAをコードする遺伝子領 の転写開始部位を1位とした場合の436位~459 の塩基配列や、配列番号6で示される肺炎桿 (Klebsiella pneumoniae)の16SrRNAをコードする遺伝 子領域の転写開始部位を1位とした場合の52位 ~71位の塩基配列や、配列番号7で示される緑 菌(P.aereruginosae)の16SrRNAをコードする遺伝子 域の転写開始部位を1位とした場合の164位~185 位の塩基配列や、配列番号8で示されるモラ セラ菌(Moraxella catarrahalis)の16SrRNAをコードす る遺伝子領域の転写開始部位を1位とした場 の453位~473位の塩基配列を挙げることができ これらは肺炎の原因菌を特定するための検 に好適に用いることができる。

 また、標的RNAの5’側標的特異的配列に相 当するDNA配列とは、標的RNAの5’側のRNA配列 おけるU(ウリジン)をT(チミン)に代えたDNA配 をいう。標的RNAの5’側標的特異的配列に相 するDNA配列を含むプライマーは、その5’末 端を基板表面に固定させることにより、プラ イマーが固定された基板からなる固相DNA(+)プ ライマーを調製することができる。固相DNA(+) プライマーには、標的RNAの5’側の標的特異 な配列に相当するDNA配列が存在するため、 板の部位特異的に標的RNAを特定することが き、例えば、複数のウェルを有する基板を いる場合、ウェル#1には肺炎連鎖球菌に特異 的配列、ウェル#2にはインフルエンザ菌に特 的配列、ウェル#3には肺炎マイコプラズマ 特異的配列が固定されることになり、各ウ ル毎の工程(j)における二本鎖DNAの定量結果 ら、標的RNAの検出・定量が可能になる。こ ように、独立したウェルの底面に1種のみを 定した場合、反応液(増幅試薬,キメラプラ マー,ユニバーサルプライマー,試料RNAの混合 液)が共通であっても、遺伝子増幅が対応し ウェルの中でのみ行なわれることになり、 的RNAの検出・定量が可能になる。

 プライマーと基板表面との親和性を高め ために、上記プライマーのDNA配列の5’側に おいて、リンカー部を導入することもでき、 導入されるリンカー部としては、例えば、基 板表面上に活性エステル基がある場合には、 該活性エステル基との反応性を高め、効率よ くかつ強固に基板の表面上に固定することが できる点で、アミノ基が好ましい。また、基 板の材質としては、水不溶性でプライマーを 結合することができるものであれば特に制限 されず、直鎖状ポリオレフィン樹脂、環状ポ リオレフィン樹脂、含フッ素樹脂等を挙げる ことができるが、耐薬品性、低蛍光性、透明 性及び成形性に優れている点で、環状ポリオ レフィンを用いることが好ましい。

 また、基板の形状としては、複数種類の 酸を同時に定量することができる形状であ ば特に制限されず、フィルム状やチューブ やプレート状の基板を挙げることができる 、具体的には96ウェル等のマルチプレート 好適に挙げることができる。上記基板がマ チプレート状である場合には、基板の表面 、微細加工により小さなマイクロプレート 構造とすることが好ましい。この場合、基 表面に複数の凹部を形成し、この凹部にて 相プライマーを固定することが、凹部を形 することで、工程(g)において合成された一 鎖RNA(-)が、効率よく固相DNA(+)プライマーと イブリダイズすることが可能となる点で好 しい。凹部に関しては、深さ150~250μm、底部 径0.5~1.5mmのウェルとすることが好ましい。

 基板表面にプライマーを固定する態様と ては特に制限されるものではなく、例えば 共有結合、イオン結合、物理的吸着、ゲル 固相プライマーを結合させる態様等を挙げ ことができるが、例えば、共有結合を好適 示すことができ、具体的には、用いられる 板の表面に、リン脂質の親水部を構成する ン酸エステルより誘導される基を有する第 単位と、カルボン酸誘導基を有する第二単 とを含む高分子物質が基板表面に存在する 合に、この高分子物質に含まれる活性エス ル基の一部がアミノ基が5’側にリンカーと して導入されているプライマーと反応して、 プライマーの間で共有結合が形成される方法 を挙げることができる。ここにおいて、第一 単位は、プライマーの非特異的吸着を抑制す る役割を果たし、第二単位は、第二単位に含 まれるカルボン酸誘導基はプライマーを化学 的に固定化する役割を果たし、プライマーは 、この高分子物質からなるコーティング層の カルボン酸誘導基の部位で共有結合して、当 該基板の表面に固定化される。

 固相プライマーを共有結合により固定す 場合、工程(g)においてDNA(-)鎖由来のRNAポリ ラーゼプロモーター配列を利用して産生さ た一本鎖RNA(-)が固相DNA(+)プライマーに捕捉 れやすくするために、また、固相プライマ を起点として工程(f)で作製された一本鎖DNA( -)が固相DNA(+)プライマーに結合しやすくする めに、図1(a)に示すようにプライマーを立て て固定することが好ましく、かかる固相プラ イマーを固定する方法としては、例えば、プ ライマーを溶解又は分散した溶液により展着 する方法を挙げることができ、プライマーが ウェル内の基板表面から突き出ている状態に することができる点で、プライマーを溶解又 は分散した溶液のpHとしては、中性からアル リ性であることが好ましく、pH7.6以上がよ 好ましく、具体的にはTEバッファー(pH8.0)等 挙げることができる。

 また、展着後、基板表面に固定化されな ったプライマーを除去するため、純水や緩 液等で洗浄するのが好ましい。洗浄後はプ イマーを固定化した以外の基板表面の活性 ステルの不活性化処理をアルカリ化合物、 るいは一級アミノ基を有する化合物で行う が好ましく、上記アルカリ化合物としては 水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸 トリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水 二ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化 グネシウム、ホウ酸ナトリウム、水酸化リ ウム、リン酸カリウム等を挙げることがで 、上記一級アミノ基を有する化合物として 、例えばグリシン、9-アミノアクアジン、 ミノブタノール、4-アミノ酪酸、アミノカプ リル酸、アミノエタノール、5-アミノ2,3-ジヒ ドロー1,4-ペンタノール、アミノエタンチオ ル塩酸塩、アミノエタンチオール硫酸、2-(2- アミノエチルアミノ)エタノール、リン酸二 素2-アミノエチル、硫酸水素アミノエチル、 4-(2-アミノエチル)モルホリン、5-アミノフル レセイン、6-アミノヘキサン酸、アミノヘ シルセルロース、p-アミノ馬尿酸、2-アミノ- 2-ヒドロキシメチル-1,3-プロパンジオール、5- アミノイソフタル酸、アミノメタン、アミノ フェノール、2-アミノオクタン、2-アミノオ タン酸、1-アミノ2-プロパノール、3-アミノ-1 -プロパノール、3-アミノプロペン、3-アミノ ロピオニトリル、アミノピリジン、11-アミ ウンデカン酸、アミノサリチル酸、アミノ ノリン、4-アミノフタロニトリル、3-アミノ フタルイミド、p-アミノプロピオフェノン、 ミノフェニル酢酸、アミノナフタレン等が げることができる。これらのうち、アミノ タノール、グリシンを挙げることができる

 また、本発明において用いられる固相プラ マーの基板への固定を確実にするためには 洗浄後、75~85℃にて1時間加熱し、加熱処理 後、120mJ/cm 2 のUVを照射することにより、プライマーを更 固定化することがより好ましい。

 上記工程(b)における標的RNAの3’側配列と しては、標的RNAの3’側に存在する配列であ ば特に制限されず、3’側の標的特異的な配 であってもよいが、複数種の標的RNAに共通 る配列(共通保存領域など)を含むプライマ とすることで、複数種の標的RNAを検出・定 する場合、共通の液相キメラプライマー等 液相cDNA(-)プライマーを用いることができ、 の作製が簡便となり有利である。例えば、 相cDNA(-)プライマーの種類の増加は非特異的 反応を引き起こすおそれがあるため、可能な 限り試料におけるRNA配列の共通領域配列、例 えば、検出・定量に使用する菌の16SrRNA配列 共通領域配列を選択して、液相cDNA(-)プライ ーを設計することが好ましく、具体的には 配列表の配列番号9で示される肺炎連鎖球菌 や、インフルエンザ菌や、レジオネラ菌や、 肺炎桿菌や、緑膿菌や、モラキセラ菌の16SrRN Aをコードする遺伝子領域の転写開始部位を1 とした場合の502位~519位の塩基配列や、配列 表の配列番号10で示される肺炎マイコプラズ や肺炎クラジミアの16SrRNAをコードする遺伝 子領域の転写開始部位を1位とした場合の1378 ~1392位の塩基配列を挙げることができ、こ らは肺炎の原因菌を特定するための液相cDNA( -)プライマー作製に有利に用いることができ 。

 また、標的RNAの3’側配列と相補的なcDNA 列を含むプライマーの5’ 末端側にRNAポリ ラーゼプロモーター配列を付加すると液相cD NA(-)プライマーを調製することができるが、 的RNAの3’側配列と相補的なcDNA配列を含む ライマーの5’ 末端側に、タグ配列を介し 、RNAポリメラーゼプロモーター配列が付加 れた液相キメラプライマーとすることが好 しい。上記液相cDNA(-)プライマー、好ましく 液相キメラプライマーは工程(d)で用いられ 工程(i)においては液相ユニバーサルプライ ーが好適に用いられる。液相ユニバーサル ライマーは工程(d)で使用することはできな が、工程(i)においては液相ユニバーサルプ イマーが用いられるとき、工程(b’)は必須 程となり、工程(b’)における液相ユニバー ルプライマーは、タグ配列の5’ 末端にRNA リメラーゼプロモーター配列を付加するこ により調製することができる。また、液相 ニバーサルプライマーにおけるRNAポリメラ ゼプロモーター配列は、液相cDNA(-)プライマ ーにおけるRNAポリメラーゼプロモーター配列 と同じであっても異なっていてもよい。

 標的RNAの3’側配列を有さない液相ユニバ ーサルプライマーは、共通配列(タグ配列の5 末端にRNAポリメラーゼプロモーター配列が らに付加された配列)を有することから、標 的RNAの相違の如何に関わらず、3’側配列の 違による遺伝子増幅効率を統一することが きる。例えば、液相キメラプライマーの混 量をRNA増幅反応が起こる限界まで減らし、 わりに液相ユニバーサルプライマーの量を 加させると、増幅反応が液相ユニバーサル ライマーのみの反応に置き換わり、プロモ ター配列にRNAポリメラーゼが結合すること よりRNA増幅が行なわれるようになり、3’側 列の相違による遺伝子増幅効率を統一する とができる。したがって、工程(i)で液相ユ バーサルプライマーを用いるときは、液相 ニバーサルプライマーの濃度を、液相キメ プライマー等の液相cDNA(-)プライマーの濃度 の10倍以上、例えば10~100倍にすることが好ま い。

 上記液相キメラプライマーや液相ユニバー ルプライマーにおけるプロモーター配列と ては、該プロモーターを介して特異的にRNA 増幅することができるRNAポリメラーゼが存 するプロモーター配列であることが好まし 、公知のものを適宜選択して用いることが きるが、例えば、T7ポリメラーゼのプロモ ター配列(5’-TAATACGACTCACTATAGGGCGA-3’)[配列番 11]、T3RNAポリメラーゼのプロモーター配列(5 -TTATTAACCCTCACTAAAGGGAAG-3’)[配列番号12]、SP6RNA リメラーゼのプロモーター配列(5’-ATTTAGGTGAC ACTATAGAATAC-3’)[配列番号13]等を挙げることが き、なかでもT7ポリメラーゼのプロモーター 配列が、高いRNA増幅効率の点で好ましい。液 相cDNA(-)プライマーは、DNA合成装置を用いて 法により合成することができる。また、プ モーター配列として標識化プロモーター配 を有利に用いることができ、この標識を利 して工程(j)における二本鎖DNAの検出・定量 簡便に実施することができる。かかる標識 するための標識物質としては、ペルオキシ ーゼ(例えば、horseradish peroxidase)、アルカリ ォスファターゼ、β-D-ガラクトシダーゼ、 ルコースオキシダーゼ、グルコ-ス-6-ホスフ ートデヒドロゲナーゼ、アルコール脱水素 素、リンゴ酸脱水素酵素、ペニシリナーゼ カタラーゼ、アポグルコースオキシダーゼ ウレアーゼ、ルシフェラーゼ若しくはアセ ルコリンエステラーゼ等の酵素、フルオレ セインイソチオシアネート、フィコビリタ パク、希土類金属キレート、ダンシルクロ イド若しくはテトラメチルローダミンイソ オシアネート等の蛍光物質、 3 H
14 C、 125 I若しくは 131 I等の放射性同位体、ビオチン、アビジン、 は化学発光物質を挙げることができる。例 ば、ビオチン化プロモーター配列を用いる 合、アビジンあるいは酵素修飾アビジンを いて定量することができる。例えば、ビオ ンの基質としてストレプトアビジン-β-ガラ トシダーゼを用いる場合には、発色物質と て4-メチル-ウンベリフェリル-β-D-ガラクト ド(4-Methyl-umbelliferyl-β-D-galactoside)を用いるこ とができ、また、ビオチンの基質としてスト レプトアビジン-アルカリフォスファターゼ 用いる場合には、発色物質として5-ブロモ-4- クロロ-3インドール-リン酸と4-ニトロブルー トラゾリウムクロライドの相互作用により じる青色の不溶性化合物を観察することに り定量することができる。

 上記液相キメラプライマーや液相ユニバ サルプライマーにおけるタグ配列としては 3’側配列やRNAポリメラーゼプロモーター配 列とハイブリダイズしない配列が好ましく、 1~20塩基、好ましくは5~15塩基からなり、AGに んだ配列が好ましく、具体的には、AGAAGGやAG AAGGに更にAGに富んだ任意の7塩基を付加した 列、例えばAGAAGGAGCAGGA[配列番号14]等を例示す ることができる。

 本発明において、固相DNA(+)プライマーと 相cDNA(-)プライマープライマーとで構成され るプライマーセットを用いることにより増幅 される塩基対数は、鋳型とする核酸の塩基配 列や用いるポリメラーゼの活性等を考慮して 適宜設定することができるが、長すぎると増 幅精度が落ちるおそれがあるため、例えば、 50~500塩基対長とすることが好ましい。

 以下、工程(d)では液相キメラプライマー 用い、工程(i)では液相ユニバーサルプライ ーを用いる標的RNAの検出・定量方法におけ 工程(d)~(j)を図1,2及び図6を参照しながら説 する。図1,2は、標識試薬の存在下で無標識 液相ユニバーサルプライマーを用いる方法 示し、図6は標識化液相ユニバーサルプライ ーを用いる方法を示す。以下の説明からも かるように、工程(d)~工程(j)は一の反応液中 で行うことができる。

 工程(d)は、工程(b)で調製された液相キメ プライマーと、工程(c)で調製された試料RNA とを液相で接触させ、液相と試料RNAとをハ ブリダイズさせ、次いで試料に含まれるRNA を鋳型として逆転写酵素によりcDNA(-)鎖を5 側から3’側へと伸長させてcDNA鎖-RNA鎖複合 を調製する工程であり、例えばデオキシヌ レオチドの存在下、逆転写酵素を作用させ ことにより、cDNA鎖-RNA鎖複合体を合成するこ とができる。上記逆転写酵素としては、AMV(Av ian Myeloblastosys Virus)から精製されるAMV逆転写 酵素、又は、M-MLV(Molony MurineLeukemia Virus)逆転 写酵素の組換え体クローンを発現する大腸菌 から精製されたM-MLV逆転写酵素等を挙げるこ ができるが、M-MLV逆転写酵素よりも高い伸 活性をもち、かつ活性温度が高いAMV逆転写 素を用いることが好ましい。反応温度は、 用する各酵素を考慮して適宜決定すること できるが、例えば、40℃~42℃が好ましい。図 1(a)に示すように、基板1の表面1aに固相プラ マー2を固定した後上記反応が開始される(図 1(b)及び(c)参照)。また、図6i)には、標的RNAの3 ’ 側にハイブリダイズした液相キメラプラ マーが、図6ii)には、逆転写により合成され たcDNA鎖-RNA鎖複合体が示されている。

 工程(e)は、工程(d)で調製されたcDNA鎖-RNA 複合体に、DNA鎖-RNA鎖複合体におけるRNA鎖を 異的に分解するRNA分解酵素を作用させ、一 鎖DNA(-)を調製する工程であり、工程(e)で使 するRNA分解酵素としては、RNAポリメラーゼ 活性を阻害することなく、DNA鎖-RNA鎖複合体 におけるRNA鎖を特異的に分解するRNA分解酵素 を用いることが望ましく、具体的には、RNaseH を好適に例示することができる。反応の模式 図を図1(d)や、図6iii)に示す。

 工程(f)は、工程(e)で調製された一本鎖DNA( -)と、工程(a)で調製された固相DNA(+)プライマ とを液相で接触させ、一本鎖DNA(-)と固相DNA( +)プライマーとをハイブリダイズさせ、次い 一本鎖DNA(-)を鋳型として、DNA依存性DNAポリ ラーゼ活性能を有する酵素によりDNA(+)鎖を5 ’側から3’側へと伸長させて二本鎖DNAを調 する工程であり、例えばデオキシヌクレオ ドの存在下、DNAポリメラーゼ活性を有する 素を反応させることにより、二本鎖cDNAを合 する方法を挙げることができる。上記DNAポ メラーゼ活性能を有する酵素としては、DNA 存性DNAポリメラーゼ活性能を有する酵素で ることが必要であり、5″-又は3″-のエキソ ヌクレアーゼ活性のようなデオキシリボヌク レアーゼ(DNase)活性のないものが好ましい。 た、上記AMV逆転写酵素のようにDNA依存性DNA リメラーゼ活性能を併せ持つ酵素を既に上 工程(d)にて用いている場合は、DNAポリメラ ゼ活性能を有する酵素を添加する必要はな 。反応の模式図を図1(e)や、図6iv)に示す。

 工程(g)は、工程(f)で調製された二本鎖DNA RNAポリメラーゼを作用させ、DNA(-)鎖由来のR NAポリメラーゼプロモーター配列を利用して 一本鎖RNA(-)、すなわち、アンチセンスRNAを 幅させ、増幅した一本鎖RNA(-)の3″側と固相 DNA(+)プライマーとをハイブリダイズさせ、次 いでデオキシヌクレオチドの存在下、逆転写 酵素によりDNA(+)鎖を伸長させてcDNA鎖-RNA鎖複 体を調製する工程であり、図2(a)に二本鎖cDN A6上に存在するプロモーター配列8を介して一 本鎖RNA9を合成し、固相DNA(+)プライマー2とハ ブリダイズさせる反応の模式図が示されて り、また、図6iv)とv)にアンチセンスRNAが増 している様子が、図6vi)に増幅したアンチセ ンスRNAと固相DNA(+)プライマーがハイブリダイ ズしている様子が、図6vii)にcDNA鎖-RNA鎖複合 がそれぞれ示されている。

 工程(h)は、工程(g)で調製されたcDNA鎖-RNA 複合体に、DNA鎖-RNA鎖複合体におけるRNA鎖を 異的に分解するRNA分解酵素を作用させ、固 一本鎖DNA(+)を調製する工程であり、上記RNA 解酵素としては前記RNaseHを好適に例示する とができる。図2(b)に固相DNA(+)プライマー2 介してcDNA鎖(+)10を合成し、cDNA鎖-RNA鎖複合体 を作製した後、このcDNA鎖-RNA鎖複合体のRNA鎖 分解して、一本鎖cDNA10を得る反応が示され おり、また、図6viii)にcDNA鎖-RNA鎖複合体のRN A鎖が分解している様子が示されている。

 工程(i)は、工程(h)で調製された固相一本 DNA(+)と、工程(b’) で調製された液相ユニ ーサルプライマーとを液相で接触させ、一 鎖DNA(+)と液相ユニバーサルプライマーとを イブリダイズさせ、次いでDNA依存性DNAポリ ラーゼ活性を有する酵素によりDNA(-)鎖及びDN A(+)鎖をそれぞれ5’から3’側に伸長させて、 二本鎖DNAを調製する工程であり、上記酵素し ては工程(f)で用いた酵素をそのまま利用する ことができる。この工程(i)で、液相ユニバー サルプライマーの量を工程(d)の液相キメラプ ライマーに比べて10倍以上に増加させておく とで、増幅反応が液相ユニバーサルプライ ーのみの反応に置き換わり多種類の遺伝子 同時増幅を目的とする場合にすべての液相 メラプライマーがユニバーサルプライマー 置き換わることになり定量性のある反応が 現できる。図2(c)にcDNA鎖10を液相プライマー 3bとハイブリダイズさせる反応が示され、ま 図6ix)に一本鎖DNA(+)と標識化液相ユニバーサ ルプライマーとがハイブリダイズしている様 子が、図6x)に標識化二本鎖DNAが示されている 。

 上記工程(g)~工程(i)を2回以上繰り返すこ が定量精度を高める上で好ましく、前記の うに、工程(d)~工程(i)は同一の反応液中で行 れるので、反応時間等の反応条件を調節す ことで、工程(g)~工程(i)は特別な操作をする ことなく2回以上繰り返されることになる。 6x)に工程(i)に続けて工程(g)の一本鎖RNA(-)及 DNA(+)鎖が増幅されている様子が示されてい 。

 工程(j)は、工程(f)及び工程(i)で調製され 二本鎖DNAを定量する工程であり、合成され 二本鎖DNAを検出、定量する方法としては特 限定されるものではなく、二本鎖DNAを標識 る標識試薬を反応液中に加えておく方法や デオキシヌクレオチドを予め標識する方法 、液相ユニバーサルプライマーや液相キメ プライマーにおけるプライマー配列を標識 しておく方法等公知の方法を挙げることが きる。また、リアルタイムPCR等により、定 に用いた蛍光色素の蛍光量を、経時的に測 することも可能である。このようにして得 測定値を積算することにより、得られたDNA 幅産物を定量することができる。

 上記標識試薬としては、二本鎖DNAを標識 る公知のものを用いることができ、例えば 蛍光色素や発色試薬を挙げることができる 具体的には、例えば、二本鎖DNA間に取り込 れるインターカレーターであるSYBER Green(タ カラバイオ社製)を挙げることができる。例 ば、SYBER Greenを反応溶液中に加えることで 基板上で二本鎖DNAが形成されるときにSYBER G reenが取り込まれ、簡便に標識することが可 である。標識試薬としてSYBER Greenを用いた 合、マイクロアレイ・スキャナーを用いて 485nmの励起光で、525nmの蛍光を経時的に観察 ることが好ましい。また、二本鎖DNA間に取 込まれるエチジウムブロマイドを用いて、U Vで発色させて二本鎖DNAを検出することもで る。

 また、デオキシヌクレオチドを予め標識 ておく方法としては、例えば、FITCやローダ ミン、Cy3やCy5などのサイアニン等の蛍光色素 により標識する方法を挙げることができ、さ らに、ビオチンやジゴキシゲニン、RI等で標 し、アルカリフォスファターゼやペルオキ ダーゼ等の発色試薬によって発色させる方 を挙げることができる。これら標識された オキシヌクレオチドは、基板上における二 鎖DNAの形成に用いられるため、形成された 本鎖DNAを簡便に標識することができる。例 ば、ビオチン標識dUTPを用いて二本鎖DNAを検 出・定量する場合には、各反応溶液に[表1]に 示されるビオチン標識するための酵素反応溶 液と、[表2]に示されるCy3ラベル化反応を行う ための試薬とを用い、37℃で15分間反応させ ことが好ましい。

 上記工程(d)~(j)においては、工程ごとに上 記記載の酵素等を添加してもよいが、全工程 に必要となる試薬を予め一の反応溶液として 調製し、基板に導入することがより好ましい 。前記のように、上記工程(g)~(i)は繰り返し 行われ、二本鎖DNAが合成されるが、繰り返 ごとに、RNA分解酵素、DNAポリメラーゼ等の 素を新たに反応系に添加する必要がなく、DN A断片の複製・増幅を速やかに且つ簡単に行 ことができる。そして、基板に反応溶液を 入するには、基板上に設けられた複数の凹 を全て覆うことが可能なカバーを基板に被 、表面張力によって反応溶液を各凹部に導 することが好ましい。また、カバーを用い ことで、反応溶液を分注する手間が省ける かりでなく、コンタミネーションの抑制や 反応溶液の総量を軽減することができ、低 スト化が図られる。また該カバーは、標識 薬の検出が容易となるように透明であるこ が好ましい。

 本発明の標的RNAの検出・定量方法により 微量な試料RNAからも基板上に形成された二 鎖DNAを定量することが可能となり、単一又 複数種類の標的RNAを同一基板上で簡便に定 することが可能となる。また、本発明の標 RNAの検出・定量方法を用いて、1又は複数種 類の病原微生物を検出・定量する場合、検出 の際に培養を必要としないことから、特に通 常の手法では培養できないような微生物等を 簡便かつ迅速に検出することができるので、 病原微生物由来のRNAを検出する際にも有効で 、更に、簡便にマルチプレックスを行えるの で、1の試料から複数種類の病原微生物由来 RNAを一度に簡便に定量することができる。

 本発明のRNAの検出・定量キットとしては 標的RNAの5’側標的特異的配列を含むプライ マーの5’ 末端を基板表面に固定させた固相 DNA(+)プライマー、標的RNAの3’側配列と相補 なcDNA配列を含むプライマーの5’ 末端側にR NAポリメラーゼプロモーター配列を付加した 相cDNA(-)プライマーと、逆転写酵素、RNAポリ メラーゼ、DNA鎖-RNA鎖複合体におけるRNA鎖を 異的に分解するRNA分解酵素とを備えたキッ であれば特に制限されず、上記液相cDNA(-)プ イマーが、標的RNAの3’側配列と相補的なcDN A配列を含むプライマーの5’ 末端側に、タ 配列を介して、RNAポリメラーゼプロモータ 配列が付加された液相キメラプライマーで ることが好ましく、さらに、タグ配列の5’ 末端にRNAポリメラーゼプロモーター配列を 加した液相ユニバーサルプライマーを備え ものが好ましい。また、上記プライマー配 がビオチン化プロモーター配列等の標識化 ロモーター配列であるものや、蛍光色素等 標識試薬を含むものが好ましい。さらに、 らに、DNA依存性DNAポリメラーゼを含ませて くこともできる。本発明のRNAの検出・定量 ットを用いると、16SrRNA中の菌特異的なRNA鎖 の標的RNAを簡便かつ迅速に検出・定量する とができる。

 以下、実施例により本発明をさらに具体的 説明するが、本発明は以下の実施例に限定 れるものではない。
 (参考例1)
 液相ユニバーサルプライマーを用いた標的R NAの定量的検出
 NASBA法を行い、標的RNA配列を有するRNAの定 が行えるかどうかを検討した。標的RNAとし は、H.influenzaeから抽出したRNAを用い、ネガ ィブコントロールとしては、20塩基対からな るポリT配列を用いた。また、標的RNAに対す プライマーとして、フォワードプライマー はH.influenzaeの16SrRNA遺伝子の165位~187位の塩基 配列に相同的な塩基配列を有するDNAを用いた 。また、リバースプライマーとしては16SrRNA 伝子の502位~519位の塩基配列に相補的な塩基 列を有し、その5’側に13塩基からなるタグ 列(AGAAGGAGCAGGA)、さらにタグ配列の5’側にプ ロモーター配列を付加したものを用いた。該 プロモーター配列に関しては、T7RNAポリメラ ゼのプロモーター配列(5’-TAATACGACTCACTATAGGGCG A-3’)を用いた。ユニバーサルプライマーと ては、13塩基からなるタグ配列(AGAAGGAGCAGGA)の 5’側にT7RNAポリメラーゼのプロモーター配列 を付加したものを用いた。

 まず、チューブの表面に活性エステルを有 るポリマーをコートし、固相プライマーと て、フォワードプライマーの5’末端に導入 したアミノ基との結合機能を付与した。次に 、H.influenzaeの抽出RNAを緩衝液(50mM Tris-HCl,pH8.3 、6mM MgCl2、40mM KCl)に懸濁し、該RNAが10 4 、10 5 、10 6 、10 7 、10 8 、10 9 コピー含まれるように溶液をそれぞれ調製し た。NASBA試薬専用マスターミックス10μl(Biomeru 社製)に0.05μMの本発明の液相キメラプライマ 、2μMの本発明の液相ユニバーサルプライマ ー、及びSYBER Green(タカラ社製)1000pgを混合し 30秒間95℃で加熱した。その後、5分間65℃で 静置して、抽出RNA溶液を調製した。次に、上 記抽出RNA溶液に、10mM DTT、40ユニットのAMV逆 写酵素、0.4ユニットのRNaseH、20ユニットのT7 RNAポリメラーゼの酵素混合液(Biomeru社製)を5μ l添加し、最終容量が20μlの反応溶液を調製し た。その後、41℃に設定した恒温槽に各チュ ブを設置して、NASBA法によりRNAを増幅した 次にNASBA法により増幅されたH.influenzaeのRNAが 、定量的に増幅されたかを確認するため、増 幅産物(RNA)の電気泳動を行い確認した。この 果を図3に示す。図3において、横軸は塩基 、縦軸は蛍光強度を示している。図3より、 型となったゲノムのコピー数が増加するに れ、RNA増幅産物(368nt)の蛍光強度の増加が観 察された。即ち、標的RNAが定量的に増幅され たことが確認できた。

 (参考例2)
 固相DNA(+)プライマーの最適固定量
 次に固相DNA(+)プライマーの固定すべき量を 討するため、H.influenzaeに対応する固相プラ マーの量を1.25μM、2.5μM、5μM、10μMとして、 固定用のスポッティング溶液(住友ベークラ ト社製)に溶解させ、この1μlを各チューブに 滴下した。滴下後、各チューブを80℃で1時間 保温し、これを検出用のチューブとした。そ の後、10 8 コピーのH.influenzaeの抽出RNAと、上記検出用チ ューブとを用いた反応溶液を調整し、NASBA法 よりRNAを増幅した。また、ネガティブコン ロールとしては、20塩基対からなるポリT配 を用いた。RNA増幅の際、1分ごとに485nmの励 光で525nmの蛍光を60分間測定して増幅された DNAを経時的に検出し、最適なプライマーの量 を決定した。この結果を図4に示す。図4にお て、横軸は時間、縦軸は蛍光強度を示して る。図4より、チューブに固定するプライマ ーの量が1.25μMの際に、最も効率よく標的核 の増幅が観察された。

 標的RNAの定量的検出
 次に、H.influenzaeの抽出核酸(RNA)を10 3 、10 4 、10 5 、10 6 、10 7 コピー含まれるような試料RNA溶液を参考例1 同様に調整した。該RNA抽出溶液を1.25μMの固 DNA(+)プライマーを結合させた各チューブに え、参考例1と同様にNASBA法により核酸を増 した。また、ネガティブコントロールとし は、20塩基対からなるポリT配列を用いた。 酸増幅の際、1分ごとに485nmの励起光で525nm 蛍光を60分間測定して増幅されたDNAを経時的 に検出した。この結果を、図5に示す。図5に いて、グラフの縦軸は蛍光強度、横軸は反 時間を示している。図5より、NASBA法による 酸増幅産物(DNA)の総量は、各曲線の積分値 表される。抽出RNAのコピー数増加に伴い、 酸増幅産物の量も増加することが観察され 固相DNA(+)プライマーを固定したチューブで 標的特異的配列を有するRNAの定量が行えた とが観察された。

[複数種の病原菌の検出、定量]
 肺炎にかかっていると思われる患者につい 、肺炎の原因となっている菌を検出、定量 るため、本発明の標的RNAの検出・定量方法 用いる。

(固相プライマーの調製)
 配列表の配列番号1で示される肺炎連鎖球菌 特異的である塩基配列(#1)、配列番号2で示さ るインフルエンザ菌特異的である塩基配列( #2)、配列番号3で示される肺炎マイコプラズ 特異的である塩基配列(#3)、配列番号4で示さ れる肺炎クラジミア菌株特異的である塩基配 列(#4)、配列番号5で示されるレジオネラ菌特 的である塩基配列(#5)、配列番号6で示され 肺炎桿菌特異的である塩基配列(#6)、配列番 7で示される緑膿菌特異的である塩基配列(#7 )、及び、配列番号8で示されるモラキセラ菌 異的である塩基配列(#8)を標的RNAの5’側標 特異的配列に相当するDNA配列を有するプラ マーとし、その5’末端にアミノ基を導入し ものを常法により作製し、これらを用いて 相DNA(+)プライマーとして調製する。基板に 96ウェルのマルチプレートを用い、上記8種 の各プライマーを固定用のスポッティング 液に溶解し、0.5μM濃度のDNAプライマー溶液 調製する。各プライマーに付き12ウェルを り当て、各プライマー溶液を12ウェルにそれ ぞれ適下後80℃で1時間保温し、8種類の各プ イマーを12ウェルにそれぞれ固定し、#1~#8の ルチプレックス固相DNA(+)プライマーとした

(液相キメラプライマーの調製)
 液相キメラプライマーとしては、配列表の 列番号9で示される肺炎連鎖球菌や、インフ ルエンザ菌や、レジオネラ菌や、肺炎桿菌や 、緑膿菌や、モラキセラ菌等の菌特異的な塩 基配列や、配列表の配列番号10で示される肺 マイコプラズマや肺炎クラジミア等の菌特 的な塩基配列を標的RNAの3’側配列とし、そ れらの相補的なcDNA配列を含むプライマーの5  末端に、配列番号14で示されるタグ配列を 付加し、さらにタグ配列の5’末端に配列番 11で示されるT7ポリメラーゼのビオチン標識 プロモーター配列を付加し、液相キメラプ イマーを調製する。

(液相ユニバーサルプライマーの調製)
 液相ユニバーサルプライマーとしては、配 番号14で示されるタグ配列の5’末端に配列 号11で示されるT7ポリメラーゼのビオチン標 識化プロモーター配列を付加し、液相ユニバ ーサルプライマーを調製する。

 次に、インフルエンザ菌、肺炎マイコプラ マ及びモラキセラ菌のRNA抽出液をバッファ (50mM Tris-HCl,pH8.3、6mM MgCl2、40mM KCl)に懸濁 、該RNAが10 4 、10 5 、10 6 、10 7 、10 8 、10 9 コピー含まれるように溶液をそれぞれ調製す る。NASBA試薬専用マスターミックス10μl(Biomeru 社製)に0.05μMの液相キメラプライマー、2μMの 液相ユニバーサルプライマーを混合し、30秒 95℃で加熱する。その後、5分間65℃で静置 、上記抽出RNA溶液に、10mM DTT、40ユニットの AMV逆転写酵素、0.4ユニットのRNaseH、20ユニッ のT7RNAポリメラーゼの酵素混合液(Biomeru社製 )を5μl添加し、最終容量が20μlの反応溶液を 製する。その後、41℃に設定した恒温槽に基 板を設置して反応を進めた。反応開始から、 1分毎に12分間順次各反応を停止させ、#1~#8の 反応終了液にビオチンの基質としてストレ トアビジン-アルカリフォスファターゼを用 い、発色物質として5-ブロモ-4-クロロ-3イン ール-リン酸と4-ニトロブルーテトラゾリウ クロライドを用いて着色反応を行い、青色 観察する。




 
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