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Title:
METHOD FOR MANUFACTURING BRASS-PLATED STEEL WIRE AND DEVICE FOR DRAWING BRASS-PLATED STEEL WIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/093734
Kind Code:
A1
Abstract:
A wire drawing device (10) used at the final wire drawing step so as to ensure adequate initial performance of adhesion between a brass-plated steel wire and rubber without degrading the productivity. At least one of a die (14z) disposed in the most downstream position, a die (14y) disposed in the second most downstream position, or a die (14x) disposed in the third most downstream position is a drawing die having a coefficient of friction µ of 0.12 to 0.41 with the brass-plated steel wire. The other dice (14) are drawing dice each having a coefficient of friction µ of 0.1 or less. By using the drawing dice, the brass-plated steel wire (13) is drawn, and a noncrystalline portion of high lattice defect density is formed on the surface of a crystalline portion of the brass-plating layer of the brass-plated steel wire (13).

Inventors:
MATSUYAMA, Koji (Shimonakano Nasushiobara-shi Tochigi, 46, 3293146, JP)
Application Number:
JP2009/051224
Publication Date:
July 30, 2009
Filing Date:
January 26, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KABUSHIKI KAISHA BRIDGESTONE (10-1, Kyobashi 1-chome Chuo-k, Tokyo 40, 1048340, JP)
株式会社ブリヂストン (〒40 東京都中央区京橋1-10-1 Tokyo, 1048340, JP)
International Classes:
B21C1/00; B21C1/04; D07B1/06
Attorney, Agent or Firm:
MIYAZONO, Junichi (6th Fl, Fifth Tanaka Bldg.4-4, Iidabashi 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo, 102-0072, JP)
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Claims:
 表面にブラスめっき層を有するブラスめっき鋼線を複数のダイスを用いて順次引き抜いて伸線加工するブラスめっき鋼線の伸線装置であって、
最終伸線工程の最下流に配置される最下流のダイスと、
前記最下流のダイスの1つ前に配置される下流2個目のダイスと、
前記下流2個目のダイスの1つ前に配置される下流3個目のダイスと、
前記下流3個目のダイスよりも前段に配置される前段のダイスとを備え、
前記前段のダイスの前記ブラスめっき鋼線との間の摩擦係数が0.12未満であり、
前記最下流のダイス、前記下流2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダイスのうち、少なくとも1個の摩擦係数が0.12~0.41であることを特徴とするブラスめっき鋼線の伸線装置。
 前記最下流のダイス、前記下流2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダイスのうち、前記摩擦係数が0.12~0.41であるダイス以外のダイスの摩擦係数が0.12未満であることを特徴とする請求項1に記載のブラスめっき鋼線の伸線装置。
 表面にブラスめっき層を有するブラスめっき鋼線を複数のダイスを用いて順次引き抜いて伸線加工するブラスめっき鋼線の伸線装置であって、
最終伸線工程の最下流に配置される最下流のダイスと、
前記最下流のダイスの1つ前に配置される下流2個目のダイスと、
前記下流2個目のダイスの1つ前に配置される下流3個目のダイスとを備え、
前記最下流のダイス、前記下流2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダイスのうち、少なくとも1個の摩擦係数が0.12~0.41であり、
前記最下流のダイス、前記下流2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダイスのうち、摩擦係数が0.12~0.41であるダイス以外のダイスの摩擦係数が0.12未満であることを特徴とするブラスめっき鋼線の伸線装置。
 前記最下流のダイス、前記下流2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダイスのうち、少なくとも1個の前記摩擦係数が0.18~0.22であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載のブラスめっき鋼線の伸線装置。
 表面にブラスめっき層を有するブラスめっき鋼線を複数のダイスを用いて順次引き抜いて伸線加工するブラスめっき鋼線の伸線装置であって、
最終伸線工程の最下流に配置される最下流のダイスと、
前記最下流のダイスの1つ前に配置される下流2個目のダイスと、
前記下流2個目のダイスの1つ前に配置される下流3個目のダイスと、
前記下流3個目のダイスよりも前段に配置される前段のダイスとを備え、
前記前段のダイスの前記ブラスめっき鋼線との間の摩擦係数が0.1以下であり、
前記最下流のダイス、前記下流2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダイスのうち、少なくとも1個の摩擦係数が0.12~0.41であることを特徴とするブラスめっき鋼線の伸線装置。
 前記最下流のダイス、前記下流2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダイスのうち、前記ブラスめっき鋼線との間の摩擦係数が0.12~0.41であるダイス以外のダイスの前記摩擦係数が0.1以下であることを特徴とする請求項5に記載のブラスめっき鋼線の伸線装置。
 表面にブラスめっき層を有するブラスめっき鋼線を複数のダイスを用いて順次引き抜いて伸線加工するブラスめっき鋼線の伸線装置であって、
最終伸線工程の最下流に配置されるダイスと、
前記最下流のダイスの1つ前に配置される下流2個目のダイスと、
前記下流2個目のダイスの1つ前に配置される下流3個目のダイスとを備え、
前記最下流のダイス、前記下流2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダイスのうち、少なくとも1個の前記ブラスめっき鋼線との間の摩擦係数が0.12~0.41であり、
前記最下流のダイス、前記下流2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダイスのうち、摩擦係数が0.12~0.41であるダイス以外のダイスの摩擦係数が0.1以下であることを特徴とするブラスめっき鋼線の伸線装置。
 前記最下流のダイス、前記下流2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダイスのうち、少なくとも1個の前記摩擦係数が0.18~0.22であることを特徴とする請求項5~請求項7のいずれかに記載のブラスめっき鋼線の伸線装置。
 請求項1~請求項8のいずれかに記載のブラスめっき鋼線の伸線装置を用いてブラスめっき鋼線を伸線加工することを特徴とするブラスめっき鋼線の製造方法。
Description:
ブラスめっき鋼線の製造方法と ラスめっき鋼線の伸線装置

 本発明は、例えば、タイヤ補強用スチー コードの素線等に用いられる、表面にブラ めっき層が設けられたブラスめっき鋼線の 造方法とブラスめっき鋼線の伸線装置とに するものである。

 従来、ラジアルタイヤのベルトやカーカス ボディプライ、及び、各種工業用ベルト部 などのゴム物品においては、表面にブラス っきを施したブラスめっき鋼線または上記 ラスめっき鋼線を複数本撚り合わせたスチ ルコードをゴムで被覆したものを用いるこ により、上記ゴム物品のゴムに対する補強 果を得てきた。このような補強効果を実現 るためには、上記ブラスめっき鋼線と上記 ラスめっき鋼線を被覆するゴムとの接着性 を十分に確保する必要がある。例えば、タ ヤ製造時の加硫工程においては、上記スチ ルコードがゴムとの接触下で加熱されるこ により、ゴム中の硫黄とブラスめっき中の とが反応して接着層が形成される。この接 層を速やかにかつ確実に形成する性能(接着 性能)を高めることがゴム物品用スチールコ ドには求められる。
 上記ブラスめっき鋼線とゴムとの接着性能 改善する方法としては、従来、20nmを超える 粒径の結晶粒から成るブラスめっき層の結晶 質性部の表面側に、20nm以下の粒径の結晶粒 ら成る非結晶質性部を設け、この非結晶質 部により、ブラスめっき鋼線とゴムとの接 反応を速やかに進行させる方法が提案され いる(例えば、特許文献1参照)。

特開2006-283270号公報

 ところで、上記ブラスめっき層の結晶質性 の表面側に非結晶質性部を設ける方法とし は、湿式伸線工程において、潤滑液中の潤 性分の濃度を下げてブラスめっき鋼線を伸 加工し、その表面に強加工層を形成する方 や結晶質のブラスめっき層の表面にプラズ CVDなどにより非晶質のブラスめっき層を形 する方法が提案されている。
 しかしながら、潤滑性分の濃度を下げて伸 加工した場合には、断線が多発する恐れが るだけでなく、ブラスめっき鋼線を引き抜 ために用いるダイスの寿命低下などの生産 の低下を引き起こしてしまうといった問題 があった。
 また、プラズマCVDなどにより非晶質のブラ めっき層を形成する方法は、設備が大掛か となるため、現実的な方法とはいえない。

 本発明は、上記従来の問題点に鑑みてな れたもので、生産性を低下させることなく ブラスめっき鋼線とゴムとの初期接着性能 十分に確保することのできるゴム物品補強 ブラスめっき鋼線の製造方法とブラスめっ 鋼線の伸線装置とを提供することを目的と る。

 本願の請求項1に記載の発明は、表面にブラ スめっき層を有するブラスめっき鋼線を複数 のダイスを用いて順次引き抜いて伸線加工す るブラスめっき鋼線の伸線装置であって、最 終伸線工程の最下流に配置される最下流のダ イスと、前記最下流のダイスの1つ前に配置 れる下流2個目のダイスと、前記下流2個目の ダイスの1つ前に配置される下流3個目のダイ と、前記下流3個目のダイスよりも前段に配 置される前段のダイスとを備え、前記前段の ダイスの前記ブラスめっき鋼線との間の摩擦 係数が0.12未満であり、前記最下流のダイス 前記下流2個目のダイス、及び、前記下流3個 目のダイスのうち、少なくとも1個の摩擦係 が0.12~0.41であることを特徴とする。
 請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の ラスめっき鋼線の伸線装置であって、前記 下流のダイス、前記下流2個目のダイス、及 、前記下流3個目のダイスのうち、前記摩擦 係数が0.12~0.41であるダイス以外のダイスの摩 擦係数が0.12未満であることを特徴とする。
 請求項3に記載の発明は、表面にブラスめっ き層を有するブラスめっき鋼線を複数のダイ スを用いて順次引き抜いて伸線加工するブラ スめっき鋼線の伸線装置であって、最終伸線 工程の最下流に配置される最下流のダイスと 、前記最下流のダイスの1つ前に配置される 流2個目のダイスと、前記下流2個目のダイス の1つ前に配置される下流3個目のダイスとを え、前記最下流のダイス、前記下流2個目の ダイス、及び、前記下流3個目のダイスのう 、少なくとも1個の摩擦係数が0.12~0.41であり 前記最下流のダイス、前記下流2個目のダイ ス、及び、前記下流3個目のダイスのうち、 擦係数が0.12~0.41であるダイス以外のダイス 摩擦係数が0.12未満であることを特徴とする
 請求項4に記載の発明は、請求項1~請求項3の いずれかに記載のブラスめっき鋼線の伸線装 置であって、前記最下流のダイス、前記下流 2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダイ のうち、少なくとも1個の前記摩擦係数が0.1 8~0.22であることを特徴とする。
 請求項5に記載の発明は、表面にブラスめっ き層を有するブラスめっき鋼線を複数のダイ スを用いて順次引き抜いて伸線加工するブラ スめっき鋼線の伸線装置であって、最終伸線 工程の最下流に配置される最下流のダイスと 、前記最下流のダイスの1つ前に配置される 流2個目のダイスと、前記下流2個目のダイス の1つ前に配置される下流3個目のダイスと、 記下流3個目のダイスよりも前段に配置され る前段のダイスとを備え、前記前段のダイス の前記ブラスめっき鋼線との間の摩擦係数が 0.1以下であり、前記最下流のダイス、前記下 流2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダ スのうち、少なくとも1個の摩擦係数が0.12~0 .41であることを特徴とする。
 請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の ラスめっき鋼線の伸線装置であって、前記 下流のダイス、前記下流2個目のダイス、及 、前記下流3個目のダイスのうち、前記ブラ スめっき鋼線との間の摩擦係数が0.12~0.41であ るダイス以外のダイスの前記摩擦係数が0.1以 下であることを特徴とする。
 請求項7に記載の発明は、表面にブラスめっ き層を有するブラスめっき鋼線を複数のダイ スを用いて順次引き抜いて伸線加工するブラ スめっき鋼線の伸線装置であって、最終伸線 工程の最下流に配置されるダイスと、前記最 下流のダイスの1つ前に配置される下流2個目 ダイスと、前記下流2個目のダイスの1つ前 配置される下流3個目のダイスとを備え、前 最下流のダイス、前記下流2個目のダイス、 及び、前記下流3個目のダイスのうち、少な とも1個の前記ブラスめっき鋼線との間の摩 係数が0.12~0.41であり、前記最下流のダイス 前記下流2個目のダイス、及び、前記下流3 目のダイスのうち、摩擦係数が0.12~0.41であ ダイス以外のダイスの摩擦係数が0.1以下で ることを特徴とする。
 請求項8に記載の発明は、請求項5~請求項7の いずれかに記載のブラスめっき鋼線の伸線装 置であって、前記最下流のダイス、前記下流 2個目のダイス、及び、前記下流3個目のダイ のうち、少なくとも1個の前記摩擦係数が0.1 8~0.22であることを特徴とする。
 また、請求項9に記載の発明は、表面にブラ スめっき層を有するブラスめっき鋼線を伸線 加工するブラスめっき鋼線の製造方法におい て、請求項1~請求項8のいずれかに記載のブラ スめっき鋼線の伸線装置を用いてブラスめっ き鋼線を伸線加工することを特徴とする。
 なお、上記摩擦係数μは、図2に示すように 引き抜きダイス14に入線前のブラスめっき 線13の断面積をA0、引き抜きダイス14による 線後のブラスめっき鋼線13の断面積をA1、引 抜きダイス14のダイス角をα、ブラスめっき 鋼線13の引き抜き力をPzとしたときに、以下 式(Siebelの式)で近似できる。本発明では、引 き抜くブラスめっき鋼線13のワイヤ降伏応力Y の値に応じて、A0,A1,α,Pzを変更して、当該引 抜きダイス14とブラスめっき鋼線13との間の 摩擦係数μを適宜調整する。

 本発明のブラスめっき鋼線の製造方法によ ば、ブラスめっき鋼線を伸線加工する際に 最終伸線工程の最終引き抜きダイス及びこ より上流側の2個の引き抜きダイスのうちの 少なくとも1個の引き抜きダイスとして、ブ スめっき鋼線との間の摩擦係数μが0.12~0.41で ある引き抜きダイスを用いた。これにより、 ダイスの寿命を低下させることなく、ブラス めっき層の極表面のみを強加工して、結晶質 性部の表面側に、20nm以下の粒径の結晶粒か 成る、格子欠陥密度の高い非結晶質性部を けることができる。また、断線の発生を抑 することができるので、生産性を低下させ ことなく、ブラスめっき鋼線とゴムとの初 接着性能を十分に確保することができる。
 更に、最終伸線工程の最終引き抜きダイス びこれより上流側の2個の引き抜きダイスの うちの少なくとも1個の引き抜きのブラスめ き鋼線との間の摩擦係数μを0.18~0.22とすれば 、上記結晶質性部の表面側に非結晶質性部を 確実に設けることができるとともに、断線の 発生を更に抑制することができる。望ましく は、上記摩擦係数μを0.18~0.21とすれば、上記 効果を更に高めることができる。
 また、上記摩擦係数μが0.12~0.41であるダイ 以外のダイスのブラスめっき鋼線との間の 擦係数を0.12未満、特に、0.1以下とすること 、ブラスめっき鋼線に不要な加工を与えな ようにした。これにより、ブラスめっき鋼 の性能を損なうことなく、ブラスめっき鋼 とゴムとの初期接着性能を十分に確保する とができる。更には、ブラスめっき鋼線と 間の摩擦係数μが0.12~0.41であるダイス以外 ダイスの寿命低下を防止することができる

本発明の最良の形態に係る伸線装置を す模式図である。 ダイス摩擦係数μとブラスめっき鋼線 引き抜き条件との関係を説明するための図 ある。 実施例に用いたダイスの摩擦係数と作 されたブラスめっき鋼線の接着性、ダイス 命、断線の発生について調べた結果を示す である。

符号の説明

 10 伸線装置、11 潤滑液槽、11m 潤滑剤液、
12A,12B 駆動キャプスタン、14 前段のダイス
14x 下流3個目のダイス、14y 下流2個目のダイ ス、
14z 最下流のダイス(最終ダイス)、15 駆動キ プスタン。

 最良の形態
 以下、本発明の最良の形態について図面に づき説明する。
 図1は、本発明の最良の形態に係る多段スリ ップ型湿式の伸線装置10の概要を示す図であ 。この多段スリップ型湿式の伸線装置10は パテンティング熱処理等を施した後その表 にブラスめっき層が設けられたブラスめっ 鋼線を伸線する最終伸線工程に用いられる この伸線装置10は、潤滑剤液11mが満たされた 潤滑液槽11と、潤滑剤液11m中に設置された多 の駆動キャプスタン12A,12B及び多数の引き抜 きダイス14,14x,14y,14zと、駆動キャプスタン15 を備えている。ここで、引き抜きダイス14z 最終ダイス(以下、最下流のダイスという)で ある。引き抜きダイス14yは上記最下流のダイ ス14zの前段のダイス(下流2個目のダイス)であ る。引き抜きダイス14xは上記下流2個目のダ ス14yの前段のダイス(下流3個目のダイス)で る。引き抜きダイス14は上記下流3個目のダ ス14xよりも前段に配置された引き抜きダイ (以下、前段のダイスという)である。
 伸線装置10による最終伸線工程について説 する。まず、潤滑液槽11内の潤滑剤液11m中に 互いに対向するように配置された2つの多段 駆動キャプスタン12A,12Bとの間に、ブラスめ き鋼線13を上記駆動キャプスタン12A,12Bの各 に交互に掛け渡す。この過程で、各段毎に き抜きダイス14(14,14x,14y)による伸線を行う その後、最下流のダイス14zを経て所定の径 で伸線処理したブラスめっき鋼線13を駆動キ ャプスタン15により図外の巻取工程へと送る この工程において、20数個のダイスを使用 て引き抜き加工を行い、所定の線径(直径で0 .1~0.4mm)のブラスめっき鋼線13を得る。
 本例では、上記ダイスの内、最下流のダイ 14zとして、ブラスめっき鋼線との間の摩擦 数μが0.2である引き抜きダイス(以下、μを イスの摩擦係数という)を用いるとともに、 流2個目のダイス14y、下流3個目のダイス14x 及び、前段のダイス14として、摩擦係数μが0 .1以下である引き抜きダイスを用いている。
 なお、上記前段のダイス14は、タングステ カーバイト(WC)などの超硬合金から成るダイ で、下流側のダイス14x~14zはダイヤモンドダ イスである。上記各ダイス14,14x~14zの摩擦係 μは、引き抜くブラスめっき鋼線13のワイヤ 伏応力Yの値に応じて、上記Siebelの式を用い て、ダイスに入線前のブラスめっき鋼線の断 面積A0、ダイスによる伸線後のブラスめっき 線の断面積A1、ダイス角α、ブラスめっき鋼 線13の引き抜き力Pzを変更することで調整す 。

 上記最下流のダイス14zは摩擦係数μが前段 ダイス14y,14x,14よりも大きいので、伸線加工 れたブラスめっき鋼線13の極表面は強加工 れる。その結果、ブラスめっき層の結晶質 部の表面側に、20nm以下の粒径の結晶粒から る非結晶質性部が形成される。したがって このようにして製造されたブラスめっき鋼 13は、ブラスめっき層表面に格子欠陥密度 高い非晶質性部があるため、ゴムとの接触 で加熱すると、ブラスめっき層とゴムとの 着反応が速やかに進行する。このため、ブ スめっき鋼線13とゴムとの接着層が速やかに 形成されるので、初期接着性能が向上する。
 上記最下流のダイス14zの摩擦係数μが0.12未 である場合には、ブラスめっき層の表面は 分に強加工されずに結晶質性部となるので ブラスめっき層とゴムとの接着反応は緩や に進行する。したがって、初期接着性能を 上させることは困難である。一方、上記最 流のダイス14zの摩擦係数μが0.41を超えた場 には、初期接着性能は向上するが、ダイス ブラスめっき鋼線との摩擦が大きくなりす て、ダイスの摩耗が加速してダイス寿命が 下するだけでなく、断線も多発するので、 下流のダイス14zの摩擦係数としては、μ=0.12 ~0.41の範囲とする必要がある。
 なお、本例では、下流2個目のダイス14y、下 流3個目のダイス14x、及び、前段のダイス14と して、摩擦係数μが0.1以下である引き抜きダ スを用いる。これにより、ブラスめっき鋼 13に上記最下流のダイス14zによる強加工以 の不要な加工を与えないので、ブラスめっ 鋼線13の性能を損なうことがない。また、上 記ダイス14,14x,14yは、摩擦係数μが0.1以下であ るので、ダイスの寿命も長い。

 このように、本最良の形態によれば、最 伸線工程に用いられる伸線装置10において 最下流のダイス14zとして、ブラスめっき鋼 との間の摩擦係数μが0.2である引き抜きダイ スを用いるとともに、下流2個目のダイス14y 下流3個目のダイス14x、及び、前段のダイス1 4として、摩擦係数μが0.1以下である引き抜き ダイスを用いてブラスめっき鋼線13を伸線し 、ブラスめっき鋼線13のブラスめっき層の 晶質性部の表面側に格子欠陥密度の高い非 晶質性部を形成するようにしたので、ダイ 寿命を維持しつつ、ブラスめっき鋼線13の接 着性能を向上させることができるとともに、 断線の発生を十分に抑制することができる。

 なお、上記最良の形態では、最下流のダイ 14zの摩擦係数μを0.2としたが、摩擦係数μの 値としては、0.12~0.41の範囲にあればよい。  た、上記例では、最終伸線工程で使用され ダイスの内、最下流のダイス14zのみを摩擦 数μが0.2である引き抜きダイスとしたが、 れに限るものではなく、最下流のダイス14z 下流2個目のダイス14y、及び、下流3個目のダ イス14xの3個のダイスのうちの少なくとも1個 引き抜きダイスとして、摩擦係数μが0.12~0.4 1である引き抜きダイスを用いればよい。す わち、摩擦係数μが0.12~0.41である引き抜きダ イスは2個であっても3個であってもよい。な 、この場合にも、摩擦係数μが0.12~0.41であ ダイス以外のダイスとしては、摩擦係数μが 0.12未満であることが好ましく、0.1以下であ ダイスを使用すれば更に好ましい。
 また、上記3個のダイス14x,14y,14zのうちの少 くとも1個の引き抜きダイスとして、摩擦係 数μが0.12~0.41である引き抜きダイスを用いる とが好ましく、摩擦係数μが0.18~0.22である き抜きダイスを用いれば更に好ましい。特 好ましい摩擦係数μの範囲は0.18~0.21である。
 [実施例]

 最終伸線工程において、最下流のダイス、 流2個目のダイス、及び、下流3個目のダイ の3個のダイスのうちの少なくとも1個の引き 抜きダイスとして、摩擦係数μが0.12~0.41であ 引き抜きダイスを用いてブラスめっき鋼線 伸線する。その接着性、ダイス寿命、断線 発生について調べた結果を図3の表に示す。
 実施例1のブラスめっき鋼線は、最下流のダ イスのみに摩擦係数μが0.20である引き抜きダ イスを用い、他のダイスとして摩擦係数μが0 .1以下である引き抜きダイスを用いて伸線し ものである。
 実施例2のブラスめっき鋼線は、最下流のダ イスのみに摩擦係数μが0.22である引き抜きダ イスを用い、他のダイスとして摩擦係数μが0 .1以下である引き抜きダイスを用いて伸線し ものである。
 実施例3のブラスめっき鋼線は、最下流のダ イスのみに摩擦係数μが0.41である引き抜きダ イスを用い、他のダイスとして摩擦係数μが0 .1以下である引き抜きダイスを用いて伸線し ものである。
 実施例4のブラスめっき鋼線は、下流2個目 ダイスのみに摩擦係数μが0.21である引き抜 ダイスを用い、他のダイスとして摩擦係数μ が0.1以下である引き抜きダイスを用いて伸線 したものである。
 実施例5のブラスめっき鋼線は、下流3個目 ダイスのみに摩擦係数μが0.20である引き抜 ダイスを用い、かつ、下流4個目のダイスの 擦係数μを0.11としたものである。なお、他 ダイスの摩擦係数μは0.1以下である。
 実施例6のブラスめっき鋼線は、下流3個目 ダイスのみに摩擦係数μが0.20である引き抜 ダイスを用い、他のダイスとして摩擦係数μ が0.1以下である引き抜きダイスを用いて伸線 したものである。
 実施例7のブラスめっき鋼線は、最下流のダ イスに摩擦係数μが0.18である引き抜きダイス を用い、下流2個目のダイスに摩擦係数μが0.2 0である引き抜きダイスを用いて伸線したも である。なお、他のダイスの摩擦係数μは0.1 以下である。
 実施例8のブラスめっき鋼線は、下流2個目 ダイスに摩擦係数μが0.21である引き抜きダ スを用い、下流3個目のダイスに摩擦係数μ 0.20である引き抜きダイスを用いて伸線した のである。なお、他のダイスの摩擦係数μ 0.1以下である。
 実施例9のブラスめっき鋼線は、最下流のダ イスに摩擦係数μが0.18である引き抜きダイス を用い、下流2個目のダイスに摩擦係数μが0.2 0である引き抜きダイスを用い、下流3個目の イスに摩擦係数μが0.21である引き抜きダイ を用いて伸線したものである。なお、他の イスの摩擦係数μは0.1以下である。
 また、比較のため、全てのダイスの摩擦係 μが0.1以下として伸線したブラスめっき鋼 (比較例1)と、最下流のダイス、下流2個目の イス、及び、下流3個目のダイスの3個のダ スのうちの少なくとも1個の引き抜きダイス して、0.41を超える摩擦係数μを有するダイ を用いて伸線したブラスめっき鋼線(比較例 2~4)と、下流3個目のダイスよりも前段に配置 れた下流4個目のダイスの摩擦係数μが0.21で 、最下流のダイス、下流2個目のダイス、及 、下流3個目のダイスの摩擦係数μが全て0.12 満であるダイスを用いて伸線したブラスめ き鋼線(比較例5)とを作製しその接着性、ダ ス寿命、断線の発生について調べた結果も 3の表に併せて示した。

 接着性能は、ゴムとの接触下で加熱したブ スめっき鋼線が100%完全にゴムで被覆される までの時間で評価し、比較例1を100とした指 で表した。数字が少ない方が接着性が良好 ある。
 ダイス寿命は、ダイスで生産できるブラス っき鋼線の重量で評価し、比較例1を100とし た指数で表した。数字が大きいほどダイス寿 命が長く、生産性が高い。
 断線は、ブラスめっき鋼線を10tonの張力下 伸線したときの断線回数で評価し、比較例1 100とした指数で表した。数字が少ない方が 線が少ない。
 図3の表から明らかなように、本発明による 製造方法で作製した実施例1~9のブラスめっき 鋼線は、比較例1の全てのダイスの摩擦係数μ が0.1以下として伸線したブラスめっき鋼線と 同等のダイス寿命と断線回数を維持しながら 、接着性能が12%~55%向上していることがわか 。これにより、本発明による製造方法を用 ることにより、生産性を低下させることな ゴムとの接着性能を向上させることができ とともに、断線の発生を十分に抑制できる とが確認された。
 また、摩擦係数μが0.12~0.41である引き抜き イスの数を増やすと、接着性能はさらに向 することもわかった。
 また、実施例4~6及び実施例8に示すように、 最下流の引き抜きダイスの摩擦係数μを0.1以 とした場合でも、下流2個目のダイス及び下 流3個目のダイスに摩擦係数μが0.18~0.22にある 引き抜きダイスを用いれば、接着性能が向上 することも確認された。
 これに対して、最下流のダイス、下流2個目 のダイス、及び、下流3個目のダイスの3個の イスのうちの少なくとも1個の引き抜きダイ スとして、0.41を超える摩擦係数μを有するダ イスを用いて伸線した場合には、いずれの場 合も初期接着性能は向上するものの、ダイス 寿命が短く生産性が低下するとともに、断線 も多発することから、強加工するダイスの摩 擦係数としては、0.41以下にする必要がある とが確認された。
 また、下流3個目のダイスよりも前段に配置 された下流4個目のダイスの摩擦係数μを0.21 しても、最下流のダイス、下流2個目のダイ 、及び、下流3個目のダイスの3個のダイス 摩擦係数μが0.12未満である場合には、比較 1と同じ特性しか得られなかったことから、 下流のダイス、下流2個目のダイス、及び、 下流3個目のダイスの3個のダイスのうちの少 くとも1個に、摩擦係数が0.12~0.41のダイスを 用いる必要があることが確認された。

 本発明により製造されるブラスめっき鋼 は、ゴムとの接着性が良好なので、スチー ラジアルタイヤのスチールコード用の他、 圧ホース、工業用ベルトなど、その他のゴ 物品の補強部材として好適に用いることが きる。