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Title:
METHOD FOR MANUFACTURING COMPOUNDS HAVING AN ADAMANTANE STRUCTURE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/136547
Kind Code:
A1
Abstract:
The issue is to provide an industrially advantageous manufacturing method that can manufacture adamantanes with high yields that uses isomerization reactions of tricyclic saturated hydrocarbon compounds of 10 or more carbons, that does not require troublesome wastewater-processing procedures, and that uses a catalyst with which adamantanes can be manufactured with high yields. The manufacturing method for compounds having an adamantane structure uses one or more kind of catalyst selected from (a) to (c). (a) Zeolite having MWW-type topology (b) Delaminated MWW-type zeolite (c) MWW-type zeolite that has been expanded between layers with a metal compound

Inventors:
TAKAHASHI IKUKO (JP)
KOJIMA AKIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/058062
Publication Date:
November 12, 2009
Filing Date:
April 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
IDEMITSU KOSAN CO (JP)
TAKAHASHI IKUKO (JP)
KOJIMA AKIO (JP)
International Classes:
B01J29/70; C07C5/29; B01J29/74; C07C13/615; C07B61/00
Foreign References:
JP2004051484A2004-02-19
JPS49133362A1974-12-21
Attorney, Agent or Firm:
OHTANI, Tamotsu et al. (JP)
Tamotsu Otani (JP)
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Claims:
 下記(a)~(c)から選ばれる一種以上の触媒を用いることを特徴とするアダマンタン構造を有する化合物の製造方法。
  (a)MWW型のトポロジーを有するゼオライト
  (b)脱積層化MWW型ゼオライト
  (c)金属化合物により層間を拡張処理したMWW型ゼオライト
 前記(a)MWW型のトポロジーを有するゼオライトが、MCM-22、SSZ-25、ITQ-1、PSH-3及びERB-1の中から選ばれるゼオライトである、請求項1に記載の製造方法。
 (b)脱積層化MWW型ゼオライトがITQ-2である請求項1に記載の製造方法。
 (c)金属化合物により層間拡張処理をしたMWW型ゼオライトがMCM-36である請求項1に記載の製造方法。
 請求項1に記載の(a)~(c)から選ばれる一種以上の触媒を用いて、炭素数10以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化することにより製造する、請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
 三環式飽和炭化水素化合物が、トリメチレンノルボルナン、ジメチルトリメチレンノルボルナン、パーヒドロアセナフテン及びパーヒドロフルオレンの中から選ばれる少なくとも一種の化合物である、請求項5に記載の製造方法。
 請求項1に記載の(a)~(c)から選ばれる一種以上の触媒が、活性金属を担持したものである請求項1~6のいずれかに記載の製造方法。
 活性金属が、周期律表第8族~第10族に属する金属およびReの中から選ばれる少なくとも一種である、請求項7に記載の製造方法。
 活性金属がプラチナである、請求項7又は8に記載の製造方法。
 活性金属の触媒に対する担持量が1質量%以下である、請求項7~9のいずれかに記載の製造方法。
Description:
アダマンタン構造を有する化合 の製造方法

 本発明は、アダマンタン構造を有する化 物の新規な製造方法に関する。さらに詳し は、特定のゼオライト触媒を用いて炭素数1 0以上の三環式飽和炭化水素化合物を異性化 ることにより、高収率で、アダマンタン構 を有する化合物(以下、アダマンタン類とい ことがある)を製造する工業的に有利な方法 に関する。

 アダマンタンは、シクロヘキサン環が4個、 かご型に結合した構造を有し、対称性が高く 、安定な化合物であり、このようなアダマン タン構造を有するアダマンタン類は、特異な 機能を示すことから、潤滑油やレジストなど の電子材料又は農医薬の原料や高機能性工業 材料の原料などとして有用であることが知ら れている。このアダマンタン類を製造する方 法として、一般的に、炭素数10以上の三環式 和炭化水素化合物を異性化する方法が採用 れている。例えば、アダマンタンはジシク ペンタジエン(DCPD)を水添して得られるトリ チレンノルボルナン(TMN)を触媒により異性 させることによって得られ、そして、該触 として、工業的には塩化アルミニウムが用 られている(例えば、特許文献1参照)。
 また、回分反応で、陽イオン交換した超安 Y型ゼオライトまたはY型ゼオライトに、白 、レニウム、ニッケル、コバルト等の金属 含浸法で担持した触媒を用いるアダマンタ 類の製造方法も知られている(例えば、非特 文献1、2参照)。
 固体触媒として、陽イオン交換したゼオラ トに白金、レニウム、ニッケル、コバルト の活性金属を担持したものを用いるアダマ タン類の製造方法も知られている(例えば、 特許文献2参照)。また、アダマンタン構造を する炭化水素を製造するにあたり、異性化 媒として活性金属担持した陽イオン交換ゼ ライトを硫酸アンモニウムで処理したもの 用いることも知られている(例えば、特許文 献3参照)。
 さらに、固体酸に活性金属が担持された触 であって、アルカリ金属の含有量がある値 下に制御された固体触媒及び該触媒を用い アダマンタン類の製造方法も知られている( 例えば、特許文献4参照)。

 しかしながら、塩化アルミニウムを触媒と てアダマンタン類を製造する場合、原料に する触媒使用量を多くする必要があり、し も、この触媒は反応中に副生する重質分と 形成するため、触媒として再使用すること 出来ない。したがってこの方法を用いた場 、大量の廃アルミニウムが生成することと り、廃棄処理は環境汚染という問題を生じ せることになる。また、塩化アルミニウム 強腐食性であるため、高価な耐腐食性材質 装置を使用する必要がある。さらに塩化ア ミニウムを用いた場合、生成したアダマン ン類が着色するため、再結晶及び活性炭な による脱色工程が必要となり、後処理が煩 になるという欠点を有する。
 非特許文献1,2に開示の触媒では、比較的ア マンタン類の収率が高くなるが、塩化水素 共存が必須であり、共存させないとアダマ タン類の収率が低下する。塩化水素は強腐 性のため、高価な耐腐食性材質の装置を使 する必要があるなどの問題がある。
 また、塩化水素を共存せずに、陽イオン交 したY型ゼオライトに1質量%以下の白金を担 させた触媒を用いて流通反応でアダマンタ 類を製造する特許文献4に開示の製造方法の 場合、副反応による水素化分解生成物が多い ためにアダマンタン類の選択率が低く、収率 も低くなる(TMN転化率 91.5%、アダマンタン選 率16.9%、アダマンタン収率15.5%)。さらに、 媒劣化抑制のため高圧水素下の条件が必須 あり、副生する水素化分解生成物の抑制が しく、アダマンタン選択率の向上は困難と う欠点を有する。

特開平2-235826号公報

特公昭52-2909号公報

特開昭60-246333号公報

特開2005-118718号公報

Guo Jianwei et al.、PETROCEMICHAL INDUSTRY、1998 、vol.27、 No.1 GAO Zi et al. CHINESE Journal of chemistry、19 94、vol.12、No.1

 本発明は、このような状況下で、炭素数1 0以上の三環式飽和炭化水素化合物の異性化 応に用いられ、厄介な廃液処理操作を必要 せず、高収率でアダマンタン類を製造する とのできる触媒を用いて、高収率でアダマ タン類を製造し得る工業的に有利な製造方 を提供することを目的とする。

 本発明者らは、前記目的を達成するために 意研究を重ねた結果、特定のゼオライト触 を用いて炭素数10以上の三環式飽和炭化水 化合物を異性化することにより、厄介な廃 処理操作を必要とせず、高収率でアダマン ン類を製造することができることを見出し この知見に基づいて本発明を完成した。
 すなわち、本発明は、
(1)下記(a)~(c)から選ばれる一種以上の触媒を いることを特徴とするアダマンタン構造を する化合物の製造方法、
  (a)MWW型のトポロジーを有するゼオライト
  (b)脱積層化MWW型ゼオライト
  (c)金属化合物により層間を拡張処理したMW W型ゼオライト
(2)(a)MWW型のトポロジーを有するゼオライトが 、MCM-22、SSZ-25、ITQ-1、PSH-3及びERB-1の中から選 ばれるゼオライトである、上記(1)に記載の製 造方法、
(3)(b)脱積層化MWW型ゼオライトがITQ-2である、 記(1)に記載の製造方法、
(4)(c)金属化合物により層間拡張処理をしたMWW 型ゼオライトがMCM-36である上記(1)に記載の製 造方法、
(5)上記(1)に記載の(a)~(c)から選ばれる一種以 の触媒を用いて、炭素数10以上の三環式飽和 炭化水素化合物を異性化することにより製造 する、上記(1)~(4)のいずれかに記載の製造方 、
(6)三環式飽和炭化水素化合物が、トリメチレ ンノルボルナン、ジメチルトリメチレンノル ボルナン、パーヒドロアセナフテン及びパー ヒドロフルオレンの中から選ばれる少なくと も一種の化合物である、上記(5)に記載の製造 方法、
(7)上記(1)に記載の(a)~(c)から選ばれる一種以 の触媒が、活性金属を担持したものである 記(1)~(6)のいずれかに記載の製造方法、
(8)活性金属が、周期律表第8族~第10族に属す 金属およびReの中から選ばれる少なくとも一 種である、上記(7)に記載の製造方法、
(9)活性金属がプラチナである、上記(7)又は(8) に記載の製造方法、
(10)活性金属の触媒に対する担持量が1質量%以 下である、上記(7)~(9)のいずれかに記載の製 方法、
である。

 本発明によれば、炭素数10以上の三環式 和炭化水素化合物の異性化反応に用いられ 厄介な廃液処理操作を必要とせず、高収率 アダマンタン類を製造することのできる触 を用いて、高収率でアダマンタン類を製造 得る工業的に有利な製造方法を提供するこ ができる。

MCM-22ゼオライトのX線回折パターンであ る。 ITQ-2ゼオライトのX線回折パターンであ 。 MCM-36ゼオライトのX線回折パターンであ る。 MCM-22ゼオライトのPt担持量の影響を示 た図である。 REYゼオライトのPt担持量の影響を示し 図である。 MCM-22ゼオライトの劣化挙動を示した図 ある。 1%Pt担持/MCM-22ゼオライトの劣化挙動を した図である。 REYゼオライトの劣化挙動を示した図で る。 1%Pt担持REYゼオライトの劣化挙動を示し た図である。

 以下に、本発明を更に詳細に説明する。
 本発明において、アダマンタン類の製造に いられる触媒は、(a)MWW型のトポロジーを有 るゼオライト、(b)脱積層化MWW型ゼオライト び(c)金属化合物により層間を拡張処理したM WW型ゼオライトの中から選ばれる一種以上の 媒である。(a)MWW型のトポロジーを有するゼ ライトとしては、MCM-22ゼオライト、SSZ-25ゼ ライト、ITQ-1ゼオライト、PSH-3ゼオライト,ER B-1ゼオライトが好ましい。または(b)脱積層化 MWW型ゼオライトとしてはITQ-2ゼオライトが好 しく、(c)金属化合物により層間を拡張処理 たMWW型ゼオライトとしては、MCM-36ゼオライ が好ましい。これらの中でもMCM-22ゼオライ ,ITQ-2ゼオライト、MCM-36ゼオライトがより好 しく、さらに好ましくはMCM-22ゼオライトで る。
 (a)MWW型のトポロジーを有するゼオライトは 例えば、米国特許第4954325号明細書の実施例 (MCM-22)の方法で得ることができ、(b)脱積層化M WW型ゼオライトは、例えば、国際公開第97/1729 0号パンフレット(ITQ-2)に記載の方法で得るこ ができ、(c)金属化合物により層間を拡張処 したMWW型ゼオライトは、例えば、国際公開 92/11934号パンフレット(MCM-36)に記載の方法で 得ることができる。

 ゼオライト物質の命名法はインターナシ ナル・ゼオライト・アソシエーツのストラ チャー・コミッション(IZA-SC)によって決定 れる。該コミッションには、IUPACによって、 全ての確認された特有のフレーム構造のトポ ロジーを有するゼオライトに対して構造型コ ードを帰属させる権限が付与されている。現 在では、最終的な用語は、ゼオライト構造型 のアトラス(第4版、著者:W.M.マイヤー、D.H.オ ソン、Ch.ベロッハー)に記録されており、ま た、次のウェブサイトにおいて定期的に改訂 されている記録にアクセスすることができる :www.iza-sc.ethz.ch/IZA-SC/Atlas/AtlasHome.html。このハ ドブックには、新規な独立構造を有すると えられる各々のゼオライト型のトポロジー 記録されており、現在では、約125種の独立 たゼオライト構造が掲載されている。IZA-SC よってMWW型トポロジーとして帰属されたゼ ライト物質は多層物質であって、10員環と12 員環の存在に起因する2つの細孔を有する。 オライト構造型のアトラスにおいては、こ 同じトポロジーを有するゼオライトを次の なった5種の物質に分類している:MCM-22ゼオラ イト、ERB-1ゼオライト、ITQ-1ゼオライト、PSH-3 ゼオライトおよびSSZ-25ゼオライトである。MWW 型ゼオライトは種々の用途を有するものとし て記載されている。米国特許第4826667号明細 には、SSZ-25型ゼオライトが主として接触炭 水素変換反応、例えば、接触分解、水素化 解、水素化脱蝋、オレフィンと芳香族化合 形成反応(例えば、キシレン異性化)において 有用なだけでなく、吸着剤、充填剤および軟 水化剤としても有用であることが記載されて いる。米国特許第4954325号明細書には、MCM-22 オライトとして知られている物質の16種類の 異なる用途が記載されている。

 本発明の方法において原料に用いる炭素数1 0以上の三環式飽和炭化水素化合物としては 特に炭素数が10~15の三環式飽和炭化水素化合 物であって炭素-炭素結合間の歪が比較的大 いものが好ましく、例えば、トリメチレン ルボルナン[テトラヒドロジシクロペンタジ ン]、パーヒドロアセナフテン、パーヒドロ フルオレン、パーヒドロフェナレン、1,2-シ ロペンタノパーヒドロナフタリン、パーヒ ロアントラセン、パーヒドロフェナントレ などが挙げられる。さらに、これら化合物 アルキル置換体、例えば、9-メチルパーヒド ロアントラセンなども好適なものとして挙げ られる。これらの中では、特にトリメチレン ノルボルナンが好適である。
 これらの炭素数10以上の三環式飽和炭化水 化合物は、ジシクロペンタジエンやアセナ テンなどの原料化合物を、公知の水素添加 触媒、例えば、ラネーニッケルや白金など 存在下に水素添加することにより容易に得 ことができる。

 本発明のアダマンタン類製造触媒には、 媒劣化抑制の観点から活性金属を担持して よい。例えば、希土類金属、アルカリ土類 属、周期律表第8~10族に属する金属及びReが ましく、より好ましくはRu、Rh、Pd、Ir、Pt及 びReであり、特にPtが好適である。これらの 性金属は一種を単独で担持させてもよく、 種以上を組み合わせて担持させてもよい。 性金属の担持量は、特に制限はないが、触 活性の点から触媒全量に基づいて通常0.0001~1 質量%の範囲である。この範囲であるとアダ ンタン類が高収率で得られる。

 活性金属の担持方法は、該活性金属の少な とも一種をイオン交換法及び/又は含浸法に より、所定のゼオライトに担持させればよい 。
 イオン交換法の場合、該活性金属の塩又は 塩水溶液を所定のゼオライトと接触させ、 のゼオライト中のカチオンサイト、例えば ルカリ金属イオン、H + 、NH 4 + などをイオン交換したのち、乾燥処理後、焼 成処理することにより、所望の触媒を得るこ とができる。
 含浸法の場合、所定のゼオライトと活性金 の塩又は錯塩を混合したのち、常法に従っ 水分を留去させ、次いで乾固物を焼成処理 ることにより、所望の触媒を得ることがで る。

 焼成処理の温度は、イオン交換法で用い 金属の種類や含浸法で用いる金属の種類な に応じて、適宜選定される。このようにし 得られた本発明の触媒の形状については特 制限はなく、粉末状、粒状、円柱状など任 であってよい。

 本発明の方法において、当該触媒の存在下 、前記炭素数10以上の三環式飽和炭化水素 合物を異性化するに際して、単環式飽和炭 水素化合物、芳香族化合物、水及び/又はア コール類などを併存させて反応を行うこと できる。ここで、併存させる単環式飽和炭 水素化合物としては、例えば、シクロペン ン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサ 、メチルシクロヘキサンなどが挙げられる 特に、シクロヘキサン若しくはエチルシク ヘキサン又はこれらの混合物が好適である また、芳香族化合物としては、例えばベン ン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ア トラセンなどの芳香族炭化水素;フェノール 、ベンズアルデヒド、安息香酸、ベンジルア ルコール、アニソールなどの含酸素芳香族化 合物;アニリン、ニトロベンゼンなどの含窒 芳香族化合物;クロロベンゼン、ブロモベン ンなどの含ハロゲン芳香族化合物などが挙 られる。これら芳香族化合物の中でも、ベ ゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、 ントラセンなどの芳香族炭化水素化合物が に好ましい。一方、アルコール類としては 例えば、メチルアルコール、エチルアルコ ル、イソプロピルアルコール、tert-ブチル ルコール、ベンジルアルコールなどの一価 ルコールや、エチレングリコール、グリセ ンなどの多価アルコールなどが挙げられる
 これら併存させる化合物の添加量は特に制 はなく、各種状況に応じて適宜選定するこ ができる。

 反応温度は、通常150~450℃、好ましくは200~40 0℃であり、更に好ましくは、250~350℃である この範囲では、反応温度が高いほどアダマ タン類の収率は高くなる。反応温度が低す ると、原料の転化率が低下し、アダマンタ 類の収率が低下する。高すぎると分解反応 よる副生成物が増加し、アダマンタン類の 択率が低くなり、アダマンタン類の収率が 下する。
 反応圧力は、常圧もしくは加圧下に行う。 相反応になるように加圧下で行うことが望 しい。
 触媒劣化抑制のため、水素共存下で反応す こともできる。

 反応形式は、流通式、回分式のいずれであ てもよい。流通式の場合は、重量空間速度( WHSV)は、通常、0.01~50h -1 、好ましくは0.1~30h -1 の範囲で選定され、WHSVが小さくなるほどア マンタン類の収率は高くなる。水素/炭素数1 0以上の三環式飽和炭化水素化合物のモル比 、通常0~10、好ましくは、0~5の範囲で選定さ る条件で反応を行うと、アダマンタン収率 増加する。一方、回分式の場合、触媒/原料 質量比で、通常0.01~2、好ましくは0.05~1の範囲 で選定される。また、反応時間は、通常1~50 間程度である。

 本発明を実施例により、さらに詳細に説明 るが、本発明はこれらの例によってなんら 定されるものではない。
 なお、用語の定義は以下の通りである。
(1)トリメチレンノルボルナン(TMN)転化率:(1-反 応後のTMN質量/反応前のTMN質量)×100(wt%)
(2)アダマンタン選択率:[生成したアダマンタ の質量/(反応前のTMN質量-反応後のTMN質量)]× 100(wt%)
(3)アダマンタン収率:(生成したアダマンタン 質量/反応前のTMN質量)×100(wt%)

実施例1
 テフロン容器に純水113g、アルミン酸ナトリ ウム1.12g、水酸化ナトリウム0.38g、ヘキサメ レンイミン7.07g、ヒュームドシリカ(Aldrich)8.5 6gを加え、室温で0.5時間撹拌し、ゲルを調製 た。得られたゲルをテフロン製のオートク ーブに仕込み、水熱合成装置にて20rpmで攪 しながら、150℃で168時間加熱した。得られ 結晶生成物をろ過、水洗後、120℃で一晩乾 した。乾燥した結晶生成物を、空気雰囲気 540℃で12時間焼成することで白色粉末を得た 。
 得られた白色粉末のうちの4gに、1mol/Lの硝 アンモニウム水溶液400gを加え80℃で1時間加 撹拌した後、ろ過、水洗した。この操作を4 回繰り返すことで、アンモニウムイオン交換 を行った。イオン交換後の白色粉末を120℃で 乾燥した後、540℃で12時間焼成することでプ トン型MCM-22ゼオライトを得た。この白色粉 を銅K-アルファ放射線を使用したX線回折装 を用いてX線回折パターンを測定した結果、 図1に示すX線回折パターンが得られ、MCM-22ゼ ライトであることが確認された。
 以上の操作により得られた触媒2gをステン ス鋼(SUS)製の反応管に充填し、常圧、空気気 流中300℃で3時間焼成した。その後、79wt%トリ メチレンノルボルナン(TMN)のエチルシクロヘ サン溶液の供給を開始し、300℃、反応圧力6 MPa、WHSVを7h -1 (TMN基準)の条件で連続的に反応を行った。原 供給開始50時間後の結果を第1表に示す。

実施例2
 WHSVを3.5h -1 (TMN基準)で反応を行った以外は実施例1と同様 に触媒調製、触媒の前処理及び反応を行った 。原料供給開始50時間後の結果を第1表に示す 。
実施例3
 WHSVを1.75h -1 (TMN基準)で反応を行った以外は実施例1と同様 に触媒調製、触媒の前処理及び反応を行った 。原料供給開始50時間後の結果を第1表および 図4に示す。
実施例4
 WHSVを0.875h -1 (TMN基準)で反応を行った以外は実施例1と同様 に触媒調製、触媒の前処理及び反応を行った 。原料供給開始50時間後の結果を第1表に示す 。
実施例5
 反応温度275℃で反応を行った以外は実施例1 と同様に触媒調製、触媒の前処理及び反応を 行った。原料供給開始50時間後の結果を第1表 に示す。
実施例6
 反応温度325℃で反応を行った以外は実施例1 と同様に触媒調製、触媒の前処理及び反応を 行った。原料供給開始50時間後の結果を第1表 に示す。
実施例7
 100ml容量のオートクレーブに、実施例1と同 に調製した触媒1gと原料TMN5gを入れ、温度300 ℃で3時間反応を行った。結果を第1表および 2表に示す。

実施例8
 Pt(NH 3 ) 4 Cl 2 ・H 2 Oの0.091g(Pt担持量1.0wt%)を純水5mlに溶かした水 液を調製した。実施例1で調製したMCM-22の5g 純水50g中に懸濁し、60℃に加熱した。加熱 拌下、Pt(NH 3 ) 4 Cl 2 ・H 2 O水溶液を徐々に加えた。全てのPt(NH 3 ) 4 Cl 2 ・H 2 O水溶液を添加後60℃で0.5時間撹拌した。得ら れた結晶生成物をろ過、水洗した後、空気中 、300℃で3時間焼成し、1.0wt%Pt担持MWW(1.0%Pt/MWW) を得た。以上の操作により得られた触媒2gをS US製の反応管に充填し、常圧、水素気流中300 で2時間水素還元した。その後、79wt%トリメ レンノルボルナン(TMN)のエチルシクロヘキ ン溶液の供給を開始し、300℃、反応圧力6MPa WHSVを7h -1 (TMN基準)、水素/TMNモル比が2.5の条件で連続的 に反応を行った。原料供給開始50時間後の結 を第1表に示す。

実施例9
 水素/TMNモル比を1.5とした以外は実施例8と 様にして、触媒の調製及び反応を行った。 料供給開始50時間後の結果を第1表に示す。
実施例10
 反応温度325℃とした以外は実施例8と同様に して、触媒の調製及び反応を行った。原料供 給開始50時間後の結果を第1表に示す。
実施例11
 Pt担持量を0.2wt%とした以外は実施例8と同様 して、触媒の調製及び反応を行った。原料 給開始50時間後の結果を第1表に示す。

実施例12
 Pt担持量を0.2wt%、反応温度325℃とした以外 実施例8と同様にして、触媒の調製及び反応 行った。原料供給開始50時間後の結果を第1 に示す。
実施例13
 Pt担持量を2.0wt%、WHSVを1.75h -1 (TMN基準)とした以外は実施例8と同様にして、 触媒の調製及び反応を行った。原料供給開始 50時間後の結果を第1表および図4に示す。
実施例14
 Pt担持量を1.5wt%とした以外は実施例13と同様 に反応を行った。原料供給開始50時間後の結 を第1表および図4に示す。
実施例15
 WHSVを1.75h -1 (TMN基準)とした以外は実施例8と同様にして、 触媒の調製及び反応を行った。原料供給開始 50時間後の結果を第1表および図4に示す。

実施例16
 Pt担持量を0.5wt%とした以外は実施例13と同様 にして、触媒の調製及び反応を行った。原料 供給開始50時間後の結果を第1表および図4に す。
実施例17
 Pt担持量を0.2wt%とした以外は実施例13と同様 にして、触媒の調製及び反応を行った。原料 供給開始50時間後の結果を第1表および図4に す。
実施例18
 Pt担持量を0.1wt%とした以外は実施例13と同様 にして、触媒の調製及び反応を行った。原料 供給開始50時間後の結果を第1表および図4に す。

実施例19
 テフロン容器に純水113g、アルミン酸ナトリ ウム1.12g、水酸化ナトリウム0.38g、ヘキサメ レンイミン7.07g、ヒュームドシリカ(Aldrich)8.5 6gを加え、室温で0.5時間撹拌し、ゲルを調製 た。得られたゲルをテフロン製のオートク ーブに仕込み、水熱合成装置にて20rpmで攪 しながら、150℃で168時間加熱した。得られ 結晶生成物をろ過、水洗後、120℃で一晩乾 した。得られた結晶生成物3gおよびへキサデ シルトリメチルアンモニウムブロミド16.9g、1 0wt%テトラプロピルアンモニウムヒドロキシ 水溶液74.5gを丸底フラスコに入れ、80℃で18 間加熱撹拌した。その後、超音波浴で1時間 理し、濃塩酸を数滴入れることでpHを2以下 なるように調整した。得られた白色粉末は 心分離により回収した。この白色粉末を120 で乾燥した後、空気中、540℃で12時間焼成 ることにより、ITQ-2ゼオライトを得た。この 白色粉末を銅K-アルファ放射線を使用したX線 回折装置を用いてX線回折パターンを測定し 結果、図2に示すX線回折パターンが得られ、 ITQ-2ゼオライトであることが確認された。
 その後、実施例1および実施例8と同様の方 でプロトン型への変換、Pt担持を行い、1.0wt% Pt担持ITQ-2ゼオライト(1.0wt%Pt/ITQ-2)を得た。以 の操作により得られた触媒を用い実施例8と 同様に反応を行った。原料供給開始50時間後 結果を第1表に示す。

実施例20
 テフロン容器に純水113g、アルミン酸ナトリ ウム1.12g、水酸化ナトリウム0.38g、ヘキサメ レンイミン7.07g、ヒュームドシリカ(Aldrich)8.5 6gを加え、室温で0.5時間撹拌し、ゲルを調製 た。得られたゲルをテフロン製のオートク ーブに仕込み、水熱合成装置にて20rpmで攪 しながら、150℃で168時間加熱した。得られ 結晶生成物をろ過、水洗後、120℃で一晩乾 した。得られた結晶生成物2gおよび、ヘキサ デシルトリメチルアンモニウムブロミド2.26g 40wt%テトラプロピルアンモニウムヒドロキ ド水溶液2.44g、水5.52gをフラスコに入れ、80 で16時間加熱撹拌した。その後、水洗、濾過 し、遠心分離によりMWW構造を有する膨潤中間 体を回収した。これを120℃で乾燥した後、テ トラエトキシシラン(TEOS)と質量比1対6の割合 混合し、窒素雰囲気下、80℃で24時間加熱撹 拌した。その後、TEOSに対し、8倍モルの水を えて5時間加熱(90℃)撹拌した。水洗、濾過 たのち、120℃で乾燥し、空気中、580℃で3時 焼成することにより、MCM-36ゼオライトを得 。この白色粉末を銅K-アルファ放射線を使 したX線回折装置を用いてX線回折パターンを 測定した結果、図3に示すX線回折パターンが られ、MCM-36であることが確認された。
 その後、実施例1および実施例8と同様の方 でプロトン型への変換、Pt担持を行い、1.0wt% Pt担持MCM-36ゼオライト(1.0wt%Pt/MCM-36)を得た。 上の操作により得られた触媒を用い実施例8 同様に反応を行った。原料供給開始50時間 の結果を第1表に示す。

実施例21
 触媒の劣化傾向を見るため原料供給後8日間 連続して反応した以外は、実施例3と同様に て、触媒の調製及び反応を行った。結果を 6に示す。
 図6から、MCM-22ゼオライト触媒系において、 Ptを担持しないと通油開始直後は若干の劣化 向が見られるが、140時間経過後は殆ど劣化 ないことが分かる。
実施例22
 触媒の劣化傾向を見るため原料供給後7日間 連続して反応した以外は、実施例15と同様に て、触媒の調製及び反応を行った。結果を 7に示す。
 図7から、MCM-22ゼオライト触媒系において、 Ptを1%担持すると劣化傾向が見られないこと 分かる。

実施例23
 原料をパーヒドロアセナフテンとした以外 、実施例7と同様にして、触媒の調製および 反応を行った。結果を第2表に示す。
実施例24
 原料をパーヒドロフルオレンとした以外は 実施例7と同様にして、触媒の調製および反 応を行った。結果を第2表に示す。

比較例1
 カチオンサイトにナトリウムイオンを有す Y型ゼオライト1275gを7000gの純水に撹拌懸濁 、60℃に加熱した。攪拌を続けながら、混合 塩化レアアース水溶液8kg(RE 2 O 3 として890g含有)を添加して、2時間攪拌を続け た。この粉末をろ過後、純水15kgで洗浄した この洗浄品を110℃で12時間乾燥後、空気中650 ℃で3時間焼成した。焼成後の粉末340gを60℃ 温水2kgに懸濁した。攪拌しながら、pHが5.01 なるまで塩酸を加えた。このスラリーに混 塩化レアアース水溶液2kg(RE 2 O 3 として130.6g)を加えて60℃で2時間攪拌を行っ 。得られた粉末をろ過し、4kgの純水で洗浄 た後、110℃で12時間乾燥後、空気中650℃で3 間焼成することにより、レアアース担持Y型 オライト(REY)を得た。
 以上の操作により得られた触媒を用い実施 1と同様にして反応を行った。原料供給開始 50時間後の結果を第1表に示す。

比較例2
 WHSVを1.75h -1 (TMN基準)とした以外は比較例1と同様にして、 触媒調製および反応を行った。原料供給開始 50時間後の結果を第1表および図5に示す。

比較例3
 比較例1で得られたREY400gを純水2kgに懸濁し 720gの1.0%塩化テトラアンミン白金水溶液を添 加して、30℃で2時間撹拌を行った。これを濾 過洗浄した後、110℃で12時間乾燥、空気中350 で3時間焼成することにより、1.0wt%Pt担持REY (1.0wt%Pt/REY)を得た。
 以上の操作により得られた触媒を用い実施 8と同様に反応を行った。原料供給開始50時 後の結果を第1表に示す。

比較例4
 Pt担持量を2.0wt%、WHSVを1.75h -1 (TMN基準)とした以外は比較例3と同様にして、 触媒調製および反応を行った。原料供給開始 50時間後の結果を第1表および図5に示す。
比較例5
 Pt担持量を1.5wt%とした以外は比較例4と同様 して、触媒調製および反応を行った。原料 給開始50時間後の結果を第1表および図5に示 す。
比較例6
 Pt担持量を1.0wt%とした以外は比較例4と同様 して、触媒調製および反応を行った。原料 給開始50時間後の結果を第1表および図5に示 す。
比較例7
 Pt担持量を0.5wt%とした以外は比較例4と同様 して、触媒調製および反応を行った。原料 給開始50時間後の結果を第1表および図5に示 す。

 図4および図5から、REYゼオライト触媒系 は、Pt担持量が増加するとTMN転化率は上昇し 、Pt担持量1.0wt%まではADM収率も上昇すること 分かる。一方、MCM-22ゼオライト触媒系では Pt担持量を低減した方が、ADM収率が上昇し REYゼオライト触媒と比較してもその値は大 くなることがわかる。

比較例8
 触媒の劣化傾向を見るため原料供給後4日間 連続して反応した以外は、比較例2と同様に て、触媒の調製及び反応を行った。なお、4 後に失活したため反応を停止した。結果を 8に示す。
 図8から、REYゼオライト触媒系において、Pt 担持しないと触媒の劣化が速いことが分か 。
比較例9
 触媒の劣化傾向を見るため原料供給後7日間 連続して反応した以外は、比較例3と同様に て、触媒の調製及び反応を行った。結果を 9に示す。
 図9から、REYゼオライト触媒系において、Pt 1%担持しても、劣化傾向が認められる。

産業上の利用分野

 本発明は、炭素数10以上の三環式飽和炭 水素化合物の異性化反応に用いられ、厄介 廃液処理操作を必要とせず、高収率でアダ ンタン類を製造することのできる触媒を用 て、高収率でアダマンタン類を製造し得る 業的に有利な製造方法を提供するものであ 。