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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF MANUFACTURING PNEUMATIC TIRE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/142148
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of manufacturing a pneumatic tire can, without sacrificing productivity and deteriorating work environment, form an inner liner layer consisting of a thermoplastic resin or a thermoplastic elastomer composite. Powder (8) having an average particle diameter which is smaller than or equal to 1 mm and consisting of a thermoplastic resin or a thermoplastic elastomer composite is ejected and made to adhere to the inner surface of a tire not yet vulcanized or a tire having been vulcanized.  After that, the inner surface of the tire is pressurized and heated to thermo-bond the powder (8) to the inner surface of the tire, thereby forming an inner liner layer (7).

Inventors:
SHIBATA HIROKAZU (JP)
DANJO MASAMICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/059032
Publication Date:
November 26, 2009
Filing Date:
May 15, 2009
Export Citation:
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Assignee:
YOKOHAMA RUBBER CO LTD (JP)
SHIBATA HIROKAZU (JP)
DANJO MASAMICHI (JP)
International Classes:
B60C5/14; B29D30/06
Domestic Patent References:
WO2005063482A12005-07-14
Foreign References:
JPH04212602A1992-08-04
JPH0825578A1996-01-30
JPH06255004A1994-09-13
JPH05318618A1993-12-03
JPH05318618A1993-12-03
JPH0781306A1995-03-28
Other References:
See also references of EP 2277688A4
Attorney, Agent or Firm:
OGAWA, Shin-ichi et al. (JP)
Shin-ichi Ogawa (JP)
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Claims:
 インナーライナー層を除いて未加硫タイヤを成形した後、該未加硫タイヤの内面に平均粒子径が1mm以下の熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなる粉体を吹付け、次いで該未加硫タイヤを加硫することにより前記粉体を前記未加硫タイヤの内面に熱融着させてインナーライナー層を形成する空気入りタイヤの製造方法。
 前記粉体の吹付けに先立って、あらかじめ前記未加硫タイヤの内面に接着剤を塗布しておく請求項1に記載の空気入りタイヤの製造方法。
 前記粉体の吹付けに先立って、該粉体にあらかじめ粘着剤を配合しておく請求項1又は2に記載の空気入りタイヤの製造方法。
 インナーライナー層を除いて空気入りタイヤを加硫成形した後、加硫後の空気入りタイヤの内面に平均粒子径が1mm以下の熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物からなる粉体を吹付け、次いで該空気入りタイヤの内面を加圧加熱することにより前記粉体を前記空気入りタイヤの内面に熱融着させてインナーライナー層を形成する空気入りタイヤの製造方法。
 前記粉体の吹付けに先立って、あらかじめ前記空気入りタイヤの内面に接着剤を塗布しておく請求項4に記載の空気入りタイヤの製造方法。
 前記粉体の吹付けに先立って、該粉体にあらかじめ粘着剤を配合しておく請求項4又は5に記載の空気入りタイヤの製造方法。
Description:
空気入りタイヤの製造方法

 本発明は空気入りタイヤの製造方法に関 、さらに詳しくは、熱可塑性樹脂や熱可塑 エラストマー組成物からなるインナーライ ー層を備えた空気入りタイヤを製造するに して、熱可塑性樹脂などのフィルム成形工 を経ることなしに、均一かつ欠損のないイ ナーライナー層を形成するようにした空気 りタイヤの製造方法に関する。

 空気入りタイヤのインナーライナー層と て、従来のブチル系ゴム組成物を用いたも に代えて、ゴムよりも耐空気透過性に著し 優れた熱可塑性樹脂や熱可塑性エラストマ 組成物を使用するようにした空気入りタイ が実用化されている。

 しかし、熱可塑性樹脂や熱可塑性エラス マー組成物をインナーライナー層として設 るには、これらの材料をあらかじめフィル 状に形成しておき、これを未加硫タイヤの 面に組み込む必要があるため、フィルム成 用の設備を必要とするうえに、薄膜のフィ ムを扱う上での手間のかかる作業工程が多 ために生産性が悪いという問題があった。

 このような問題の対策の一環として、特 の高分子物質溶液やエマルジョンをタイヤ 面に散布又は塗布してインナーライナー層 形成するようにした提案がある(例えば、特 許文献1、2参照)。しかし、これらの提案では 、塗布した溶液やエマルジョンから飛散する 有機溶剤により作業環境が悪化するという問 題がある。したがって、作業環境の悪化を防 ぐために、飛散した有機溶剤を除去するため の設備やこれに伴う新たな工程が必要になる ことから、経済性や生産性を著しく低下させ るという問題がある。

日本国特開平5-318618号公報

日本国特開平7-81306号公報

 本発明の目的は、上述する問題点を解消 るもので、生産性の低下や作業環境の悪化 伴うことなしに、熱可塑性樹脂または熱可 性エラストマー組成物からなるインナーラ ナー層を形成するようにした空気入りタイ の製造方法を提供することにある。

 上記目的を達成するための本発明の空気 りタイヤの製造方法の第1の発明は、インナ ーライナー層を除いて未加硫タイヤを成形し た後、該未加硫タイヤの内面に平均粒子径が 1mm以下の熱可塑性樹脂または熱可塑性エラス トマー組成物からなる粉体を吹付け、次いで 該未加硫タイヤを加硫することにより前記粉 体を前記未加硫タイヤの内面に熱融着させて インナーライナー層を形成することを特徴と する。

 また、第2の発明は、インナーライナー層 を除いて空気入りタイヤを加硫成形した後、 加硫後の空気入りタイヤの内面に平均粒子径 が1mm以下の熱可塑性樹脂または熱可塑性エラ ストマー組成物からなる粉体を吹付け、次い で該空気入りタイヤの内面を加圧加熱するこ とにより前記粉体を前記空気入りタイヤの内 面に熱融着させてインナーライナー層を形成 することを特徴とする。

 さらに、上述する第1の発明及び第2の発明 構成において、以下に記載するように構成 ることが好ましい。
(1)第1の発明では、前記粉体の吹付けに先立 て、あらかじめ前記未加硫タイヤの内面に 着剤を塗布しておく。第2の発明では、前記 体の吹付けに先立って、あらかじめ加硫後 前記空気入りタイヤの内面に接着剤を塗布 ておく。
(2)前記粉体の吹付けに先立って、該粉体にあ らかじめ粘着剤を配合しておく。

 本発明の空気入りタイヤの製造方法によ ば、第1の発明では未加硫タイヤの内面に平 均粒子径が1mm以下の熱可塑性樹脂または熱可 塑性エラストマー組成物からなる粉体を吹付 けた後、この未加硫タイヤを加硫して、粉体 を未加硫タイヤの内面に熱融着させてインナ ーライナー層を形成する。また、第2の発明 は加硫後の空気入りタイヤの内面に平均粒 径が1mm以下の熱可塑性樹脂または熱可塑性 ラストマー組成物からなる粉体を吹付けた 、この空気入りタイヤの内面を加圧加熱し 粉体を加硫後の空気入りタイヤの内面に熱 着させてインナーライナー層を形成する。 のように本発明では、粉体を微細な粒子径 形成したことにより、粉体のタイヤ内面へ 均一な付着を可能にすると同時に、付着さ た粉体を熱溶融により膜状に拡散してタイ 内面に熱融着させることを可能にするため 均一でかつ欠損のないインナーライナー層 形成することができる。しかも、インナー イナー層を形成するにあたっては、事前の ィルム成形工程を経ることがなく、また有 溶剤を使用することがないので、生産性の 下や作業環境の悪化を伴うことがない。

図1は本発明の製造方法により製造され た空気入りタイヤの一例を示す半断面図であ る。 図2は本発明の実施形態による粉体のタ イヤ内面への吹付け工程を示す説明図である 。

 以下、本発明の構成につき添付の図面を 照しながら詳細に説明する。

 図1は本発明の製造方法により製造された 空気入りタイヤの一例を示す半断面図である 。図1において、1はトレッド部、2はサイドウ ォール部、3はビード部である。タイヤの内 には、カーカス層4がトレッド部1からそれぞ れ左右のサイドウォール部2を経てビード部3 延長すると共に、それぞれビード部3で両端 部を折り返すように配置されている。このカ ーカス層4の内側には空気透過防止層として ンナーライナー層7が設けられ、また、トレ ド部1におけるカーカス層4の外周側には2層 ベルト層6が設けられている。

 本発明の空気入りタイヤの製造方法は、 ンナーライナー層7を形成する方法に特徴を 有する。第1の発明は、インナ-ライナ-層7を いて未加硫タイヤを成形した後、この未加 タイヤの内面に、図2に例示するように、平 粒子径が1mm以下、好ましくは1~100μmの熱可 性樹脂または熱可塑性エラストマー組成物 らなる粉体8を、噴射機9のノズル10から吹付 、次いでこの未加硫タイヤを、通常の加硫 法と同様に金型内で加硫することにより粉 8を未加硫タイヤの内面に熱融着させて、こ の熱融着された熱可塑性樹脂または熱可塑性 エラストマー組成物によりインナーライナー 層7を形成することを特徴とする。

 このように、未加硫タイヤの内面に吹付 る熱可塑性樹脂または熱可塑性エラストマ 組成物からなる粉体8を微細な粒子径にした ことにより、粉体8の未加硫タイヤの内面へ 均一な付着を可能にすると同時に、付着さ た粉体8を熱溶融により膜状に拡散してタイ 内面に熱融着させることを可能にするため 均一でかつ欠損のないインナーライナー層7 を形成することができる。

 しかも、インナーライナー層7を形成する にあたっては、事前のフィルム成形工程を経 ることがなく、また有機溶剤を使用すること がないので、生産性の低下や作業環境の悪化 を伴うことがない。

 また、第2の発明は、インナーライナー層 7を除いて空気入りタイヤを加硫成形した後 加硫後の空気入りタイヤの内面に、図2に例 するように、平均粒子径が1mm以下、好まし は1~100μmの熱可塑性樹脂または熱可塑性エ ストマー組成物からなる粉体8を、噴射機9の ノズル10から吹付け、次いでこの空気入りタ ヤの内面を加圧加熱することにより粉体8を 加硫後のタイヤの内面に熱融着させて、この 熱融着された熱可塑性樹脂または熱可塑性エ ラストマー組成物によりインナーライナー層 7を形成することを特徴とする。

 このように、加硫後の空気入りタイヤの 面に吹付ける熱可塑性樹脂または熱可塑性 ラストマー組成物からなる粉体8を微細な粒 子径としたことにより、粉体8の加硫後のタ ヤの内面への均一な付着を可能にすると同 に、付着された粉体8を熱溶融により膜状に 散してタイヤ内面に熱融着させることを可 にするため、均一でかつ欠損のないインナ ライナー層7を形成することができる。

 上述する第1の発明及び第2の発明(以下、 称して本発明という)において、タイヤ内面 に吹付ける粉体8の平均粒子径が1mm超になる 、粉体8のタイヤ内面への付着が不均一にな と同時に、粉体8の熱溶融が不均一になって 、インナーライナー層7に凹凸や穴あきなど 欠損が生じるため、インナーライナー層7と ての機能を果たすことができなくなる。一 、粉体8の平均粒子径をあまり小さくし過ぎ ると、粉体8のタイヤの内面への付着が不均 になり易くなるため、平均粒子径の下限値 1~2μm程度に調整するとよい。

 なお、上述する第2の発明における空気入 りタイヤの内面の加圧加熱手段は特に限定さ れるものではないが、加熱した金型又はブラ ダーを内面側から押し付ける方法により行う とよい。この場合の加熱条件は、例えば、温 度を180℃、圧力を2.5MPa、加熱時間を5分程度 設定するとよい。

 上述する粉体8の平均粒子径とは、レーザ ー回析/散乱粒子径測定により得られた体積 均粒子径をいう。

 本発明において、粉体8を構成する熱可塑 性樹脂は、特に限定されるものではないが、 例えば、ポリアミド系樹脂〔例えば、ナイロ ン6(N6)、ナイロン66(N66)、ナイロン46(N46)、ナ ロン11(N11)、ナイロン12(N12)、ナイロン610(N610) 、ナイロン612(N612)、ナイロン6/66共重合体(N6/6 6)、ナイロン6/66/610共重合体(N6/66/610)、ナイロ ンMXD6(MXD6)、ナイロン6T、ナイロン6/6T共重合 、ナイロン66/PP共重合体、ナイロン66/PPS共重 合体〕及びそれらのN-アルコキシアルキル化 、例えば、ナイロン6のメトキシメチル化物 、ナイロン6/610共重合体のメトキシメチル化 、ナイロン612のメトキシメチル化物、ポリ ステル系樹脂〔例えば、ポリブチレンテレ タレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレー (PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/ PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチ ンナフタレート(PBN)、液晶ポリエステル、 リオキシアルキレンジイミドジ酸/ポリブチ ンテレフタレート共重合体などの芳香族ポ エステル〕、ポリニトリル系樹脂〔例えば ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリ ニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重 体(AS)、(メタ)アクリロニトリル/スチレン共 重合体、(メタ)アクリロニトリル/スチレン/ タジエン共重合体〕、ポリメタクリレート 樹脂〔例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA )、ポリメタクリル酸エチル〕、ポリビニル 樹脂〔例えば、酢酸ビニル、ポリビニルア コール(PVA)、ビニルアルコール/エチレン共 合体(EVOH)、ポリ塩化ビニリデン(PDVC)、ポリ 化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン 重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレー 共重合体、塩化ビニリデン/アクリロニトリ ル共重合体(ETFE)〕、セルロース系樹脂〔例え ば、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース〕 、フッ素系樹脂〔例えば、ポリフッ化ビニリ デン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロ フルオロエチレン(PCTFE)、テトラフロロエチ レン/エチレン共重合体〕、イミド系樹脂〔 えば、芳香族ポリイミド(PI)〕等を好ましく いることができる。

 また、本発明で使用する熱可塑性エラス マー組成物は、上述した熱可塑性樹脂とエ ストマーとをブレンドして構成することが きる。

 熱可塑性エラストマー組成物を構成する ラストマーとしては、例えば、ジエン系ゴ 及びその水添物〔例えば、天然ゴム(NR)、イ ソプレンゴム(IR)、エポキシ化天然ゴム、ス レンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR 、高シスBR及び低シスBR)、ニトリルゴム(NBR) 水素化NBR、水素化SBR〕、オレフィン系ゴム 例えば、エチレンプロピレンゴム(EPDM、EPM) マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム(M-EP M)、ブチルゴム(IIR)、イソブチレンと芳香族 ニル又はジエン系モノマー共重合体、アク ルゴム(ACM)、アイオノマー〕、含ハロゲンゴ ム〔例えば、Br-IIR、CI-IIR、イソブチレンパラ メチルスチレン共重合体の臭素化物(Br-IPMS)、 クロロプレンゴム(CR)、ヒドリンゴム(CHR)、ク ロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、塩素 ポリエチレンゴム(CM)、マレイン酸変性塩素 化ポリエチレンゴム(M-CM)〕、シリコンゴム〔 例えば、メチルビニルシリコンゴム、ジメチ ルシリコンゴム、メチルフェニルビニルシリ コンゴム〕、含イオウゴム〔例えば、ポリス ルフィドゴム〕、フッ素ゴム〔例えば、ビニ リデンフルオライド系ゴム、含フッ素ビニル エーテル系ゴム、テトラフルオロエチレン- ロピレン系ゴム、含フッ素シリコン系ゴム 含フッ素ホスファゼン系ゴム〕、熱可塑性 ラストマー〔例えば、スチレン系エラスト ー、オレフィン系エラストマー、エステル エラストマー、ウレタン系エラストマー、 リアミド系エラストマー〕等を好ましく使 することができる。

 前記した特定の熱可塑性樹脂とエラスト ーとの相溶性が異なる場合は、第3成分とし て適当な相溶化剤を用いて両者を相溶化させ ることができる。ブレンド系に相溶化剤を混 合することにより、熱可塑性樹脂とエラスト マーとの界面張力が低下し、その結果、分散 層を形成しているゴム粒子径が微細になるこ とから両成分の特性はより有効に発現される ことになる。そのような相溶化剤としては、 一般的に熱可塑性樹脂及びエラストマーの両 方又は片方の構造を有する共重合体、或いは 熱可塑性樹脂又はエラストマーと反応可能な エポキシ基、カルボニル基、ハロゲン基、ア ミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した 共重合体の構造をとるものとすることができ る。これらは混合される熱可塑性樹脂とエラ ストマーの種類によって選定すればよいが、 通常使用されるものには、スチレン/エチレ ・ブチレンブロック共重合体(SEBS)及びその レイン酸変性物、EPDM、EPM、EPDM/スチレン又 EPDM/アクリロニトリルグラフト共重合体及び そのマレイン酸変性物、スチレン/マレイン 共重合体、反応性フェノキシン等を挙げる とができる。かかる相溶化剤の配合量には に限定はないが、好ましくは、ポリマー成 (熱可塑性樹脂とエラストマーとの合計)100重 量部に対して、0.5~10重量部がよい。

 熱可塑性エラストマー組成物において、 定の熱可塑性樹脂とエラストマーとの組成 は、特に限定されるものではなく、熱可塑 樹脂のマトリクス中にエラストマーが不連 相として分散した構造をとるように適宜決 ればよいが、好ましい範囲は重量比90/10~30/7 0である。

 本発明において、インナーライナー層7を 構成する熱可塑性樹脂および熱可塑性エラス トマー組成物には、インナーライナー層7と ての必要特性を損なわない範囲で前記した 溶化剤などの他のポリマーを混合すること できる。他のポリマーを混合する目的は、 可塑性樹脂とエラストマーとの相溶性を改 するため、材料の成型加工性をよくするた 、耐熱性向上のため、コストダウンのため があり、これに用いられる材料としては、 えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP) 、ポリスチレン(PS)、ABS、SBS、ポリカーボネ ト(PC)等を例示することができる。また、一 的にポリマー配合物に配合される充填剤(炭 酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ等)、 ーボンブラック、ホワイトカーボン等の補 剤、軟化剤、可塑剤、加工助剤、顔料、染 、老化防止剤等をインナーライナー層7とし の必要特性を損なわない限り任意に配合す こともできる。

 このようにして得られた熱可塑性エラス マー組成物は、熱可塑性樹脂(A)のマトリク 中にエラストマー成分(B)が不連続相として 散した構造からなる。かかる構造をとるこ により、十分な柔軟性と連続相としての樹 層の効果による十分な剛性とを併せ付与す ことができると共に、成形に際しては、エ ストマー成分の多少によらず、熱可塑性樹 と同等の成形加工性を得ることができる。

 このような観点から、本発明において使 する粉体8を構成する熱可塑性樹脂または熱 可塑性エラストマー組成物をJIS(Japanese Industr ial Standards)  K6215に準拠して測定したヤング 率が10~100MPa、好ましくは20~50MPaとなるように 整するとよい。

 さらに好ましくは、上述する熱可塑性樹脂 たは熱可塑性エラストマー組成物がインナ ライナー層7としての良好な空気透過防止機 能を有するように、熱可塑性樹脂または熱可 塑性エラストマー組成物をJIS(Japanese Industrial  Standards)   K7126に準拠して測定した空気透 率が(1.5~3.0)×10 -11  cc・cm/cm ・sec・cmHg、好ましくは(1.5~2.0)×10 -11  cc・cm/cm ・sec・cmHgとなるように調整するとよい。

 また、上述するエラストマーは熱可塑性 脂との混合の際、動的に加硫することもで る。動的に加硫する場合の加硫剤、加硫助 、加硫条件(温度、時間)等は、添加するエ ストマーの組成に応じて適宜決定すればよ 、特に限定されるものではない。

 加硫剤としては、一般的なゴム加硫剤(架 橋剤)を用いることができる。具体的には、 オン系加硫剤としては粉末イオウ、沈降性 オウ、高分散性イオウ、表面処理イオウ、 溶性イオウ、ジモルフォリンジサルファイ 、アルキルフェノールジサルファイド等を 示でき、例えば、0.5~4phr(本明細書において 「phr」は、エラストマー成分100重量部あた の重量部をいう。以下、同じ。)程度用いる とができる。

 また、有機過酸化物系の加硫剤としては ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルヒド パーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパ オキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパ オキシ)ヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン-2,5- ジ(パーオキシルベンゾエート)等が例示され 例えば、1~20phr程度用いることができる。

 更に、フェノール樹脂系の加硫剤として 、アルキルフェノール樹脂の臭素化物や、 化スズ、クロロプレン等のハロゲンドナー アルキルフェノール樹脂とを含有する混合 橋系等が例示でき、例えば、1~20phr程度用い ることができる。

 その他として、亜鉛華(5phr程度)、酸化マ ネシウム(4phr程度)、リサージ(10~20phr程度)、 p-キノンジオキシム、p-ジベンゾイルキノン オキシム、テトラクロロ-p-ベンゾキノン、 リ-p-ジニトロソベンゼン(2~10phr程度)、メチ ンジアニリン(0.2~10phr程度)が例示できる。

 また、必要に応じて、加硫促進剤を添加 てもよい。加硫促進剤としては、アルデヒ ・アンモニア系、グアニジン系、チアゾー 系、スルフェンアミド系、チウラム系、ジ オ酸塩系、チオウレア系等の一般的な加硫 進剤を、例えば、0.5~2phr程度用いることが きる。

 具体的には、アルデヒド・アンモニア系 硫促進剤としては、ヘキサメチレンテトラ ン等、グアジニン系加硫促進剤としては、 フェニルグアジニン等、チアゾール系加硫 進剤としては、ジベンゾチアジルジサルフ イド(DM)、2-メルカプトベンゾチアゾール及 そのZn塩、シクロヘキシルアミン塩等、ス フェンアミド系加硫促進剤としては、シク ヘキシルベンゾチアジルスルフェンアマイ (CBS)、N-オキシジエチレンベンゾチアジル-2- ルフェンアマイド、N-t-ブチル-2-ベンゾチア ゾールスルフェンアマイド、2-(チモルポリニ ルジチオ)ベンゾチアゾール等、チウラム系 硫促進剤としては、テトラメチルチウラム サルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラム サルファイド、テトラメチルチウラムモノ ルファイド(TMTM)、ジペンタメチレンチウラ テトラサルファイド等、ジチオ酸塩系加硫 進剤としては、Zn-ジメチルジチオカーバメ ト、Zn-ジエチルジチオカーバメート、Zn-ジ-n -ブチルジチオカーバメート、Zn-エチルフェ ルジチオカーバメート、Te-ジエチルジチオ ーバメート、Cu-ジメチルジチオカーバメー 、Fe-ジメチルジチオカーバメート、ピペコ ンピペコリルジチオカーバメート等、チオ レア系加硫促進剤としては、エチレンチオ レア、ジエチルチオウレア等を挙げること できる。

 また、加硫促進助剤としては、一般的な ム用助剤を併せて用いることができ、例え 、亜鉛華(5phr程度)、ステアリン酸やオレイ 酸及びこれらのZn塩(2~4phr程度)等が使用でき る。

 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法は 予め熱可塑性樹脂とエラストマー(ゴムの場 合は未加硫物)とを2軸混練押出機等で溶融混 し、連続相(マトリックス)を形成する熱可 性樹脂中に分散相(ドメイン)としてエラスト マーを分散させることによる。エラストマー を加硫する場合には、混練下で加硫剤を添加 し、エラストマーを動的加硫させてもよい。 また、熱可塑性樹脂またはエラストマーへの 各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に 加してもよいが、混練の前に予め混合して くことが好ましい。熱可塑性樹脂とエラス マーの混練に使用する混練機としては、特 限定はなく、スクリュー押出機、ニーダ、 ンバリミキサー、2軸混練押出機等が使用で きる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマーの 混練およびエラストマーの動的加硫には、2 混練押出機を使用するのが好ましい。更に 2種類以上の混練機を使用し、順次混練して よい。溶融混練の条件として、温度は熱可 性樹脂が溶融する温度以上であればよい。 た、混練時の剪断速度は1000~7500sec -1 であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒 ら10分、また加硫剤を添加した場合には、 加後の加硫時間は15秒から5分であるのが好 しい。上記方法で製作されたポリマー組成 は、射出成形、押出し成形等、通常の熱可 性樹脂の成形方法によって所望の形状にす ことができる。

 本発明において、タイヤ内面に粉体8を吹 付けるに先立って、あらかじめ未加硫タイヤ 又は加硫後の空気入りタイヤの内面には、接 着剤を塗布しておくとよい。これにより、粉 体8のタイヤ内面への付着が一層良好になり より均一でかつ欠損のないインナーライナ 層7を形成することができる。

 上述する接着剤としては、通常のゴム系 フェノール樹脂系、アクリル共重合体系、 ソシアネート系等のポリマーと架橋剤を溶 に溶かした接着剤が好ましく使用される。 れらの接着剤を未加硫タイヤ又は加硫後の 気入りタイヤの内面に吹き付けるか、又は 布することによって行うとよい。溶剤系接 剤としては、例えば、フェノール樹脂系(ケ ムロック220・ロード社)、塩化ゴム系(ケムロ ク205、ケムロック234B)、イソシアネート系( ムロック402)等を例示することができる。

 さらに好ましくは、粉体8の吹付けに先立 って、粉体8にあらかじめ粘着剤を配合して くとよい。これにより、粉体8のタイヤ内面 の付着が一層確実になり、より均一でかつ 損のないインナーライナー層7を形成するこ とができる。

 上述する粘着剤としては、タイヤ内面の ム及び粉体8を構成する熱可塑性樹脂または 熱可塑性エラストマー組成物と相溶性のある 粘着剤、例えば、パラフィンオイル、スルフ ォンアミド、テルペン樹脂、リン酸又はトリ メリット酸などのエステル化合物、液状ゴム 等を使用するとよい。

 上述するように、本発明の空気入りタイ の製造方法は、未加硫タイヤ又は加硫後の イヤの内面に平均粒子径が1mm以下の熱可塑 樹脂または熱可塑性エラストマー組成物か なる粉体8を吹付けて付着させた後、タイヤ 内面を加圧加熱して粉体8をタイヤ内面に熱 着させることによりインナーライナー層7を 成するもので、インナーライナー層7を形成 するためのフィルム成形工程を経ることがな く、また有機溶剤を使用することがないので 、生産性の低下や作業環境の悪化を伴うこと なしに、均一でかつ欠損のないインナーライ ナー層7を形成することができることから、 ューブレスタイヤの製造方法として幅広く 用することができる。

[熱可塑性エラストマー組成物からなる粉体 調整]
 インナーライナー層を構成する粉体の材料 して表1に掲げる配合による熱可塑性エラス トマー組成物を2軸混練機を使用して混練し 得られたペレット(ヤング率:35MPa、空気透過 ;1.8×10 -11  cc・cm/cm ・sec・cmHg)を粉砕して平均粒子径を100μmとす 粉体Aと、平均粒子径を2000μmとする粉体Bと それぞれ製造した。

[タイヤの評価]
 タイヤサイズを165SR13、タイヤ構造を図1、 ンナーライナー層の製造仕様を除く全ての 造仕様を共通にして、インナーライナー層 製造仕様を以下のように異ならせた本発明 イヤ(実施例1~4)及び比較タイヤ(比較例1、2) それぞれ30本作製した。なお、実施例1、2及 比較例1、2におけるタイヤの加硫条件を185 ×15分、圧力2.5MPaとし、実施例3、4における イヤ内面の加圧加熱の条件を185℃×15分、圧 2.5MPaとした。

実施例1
 第1の発明により未加硫タイヤの内面にイン ナーライナー層を形成した。ここで、未加硫 タイヤの内面にはあらかじめ接着剤としてフ ェノール樹脂系接着剤(ケムロック220)を塗布 ておき、吹き付ける粉体として粉体Aを採用 し、この粉体Aを市販の噴射機を使用して未 硫タイヤの内面に吹き付けた。

実施例2
 第1の発明により未加硫タイヤの内面にイン ナーライナー層を形成した。ここで、未加硫 タイヤの内面にはあらかじめ接着剤としてフ ェノール樹脂系接着剤(ケムロック220)を塗布 ておき、吹き付ける粉体としてあらかじめ 着剤(パラフィン油)を配合した粉体Aを採用 、この粉体Aを市販の噴射機を使用して未加 硫タイヤの内面に吹き付けた。

実施例3
 第2の発明により加硫後の空気入りタイヤの 内面にインナーライナー層を形成した。ここ で、加硫後の空気入りタイヤの内面にはあら かじめ接着剤としてフェノール樹脂系接着剤 (ケムロック220)を塗布しておき、吹き付ける 体として粉体Aを採用し、この粉体Aを市販 噴射機を使用して加硫後の空気入りタイヤ 内面に吹き付けた。なお、空気入りタイヤ 内面の加圧加熱は、加熱したブラダーをタ ヤ内面に押し付けることによって行った。

実施例4
 第2の発明により加硫後の空気入りタイヤの 内面にインナーライナー層を形成した。ここ で、加硫後の空気入りタイヤの内面にはあら かじめ接着剤としてフェノール樹脂系接着剤 (ケムロック220)を塗布しておき、吹き付ける 体としてあらかじめ粘着剤(パラフィン油) 配合した粉体Aを採用し、この粉体Aを市販の 噴射機を使用して未加硫タイヤの内面に吹き 付けた。なお、空気入りタイヤの内面の加圧 加熱は、加熱したブラダーをタイヤ内面に押 し付けることによって行った。

比較例1
 第1の発明と同様の方法により未加硫タイヤ の内面にインナーライナー層を形成した。こ こで、未加硫タイヤの内面にはあらかじめ接 着剤としてフェノール樹脂系接着剤(ケムロ ク220)を塗布しておき、吹き付ける粉体とし 粉体Bを採用し、この粉体Bを市販の噴射機 使用して未加硫タイヤの内面に吹き付けた

比較例2
 表1に掲げる配合による熱可塑性エラストマ ー組成物を円筒状フィルムに成形し、この円 筒状フィルムをインナーライナー層として成 形ドラムに挿し込み、その上にタイヤ構成部 材を組み込むことによって未加硫タイヤを成 形した。

 これら6種類のタイヤについて、以下に示 す試験方法によりタイヤ内面におけるインナ ーライナー層の欠損の有無、インナーライナ ー層とタイヤ内面ゴムとの間における剥離の 有無(以下、インナーライナー層/タイヤ内面 ム間の剥離の有無という)、及び耐久走行後 のタイヤにおけるインナーライナー層とタイ ヤ内面ゴムとの間における剥離の有無(以下 耐久走行後のインナーライナー層/タイヤ内 ゴム間の剥離の有無という)、をそれぞれ調 べた。その結果を、欠損又は剥離が認められ たタイヤの本数を分子に、試験の対象とした タイヤの総本数を分母にして、それぞれ表1 記載した。

[タイヤ内面におけるインナーライナー層の 損の有無]
 製造後の各タイヤの内面を目視により観察 て、インナーライナー層に凹凸や穴あきな の欠損が生じているか否かを調べた。

[インナーライナー層/タイヤ内面ゴム間の剥 の有無]
 製造後の各タイヤにおけるインナーライナ 層とタイヤ内面ゴムとの間に剥離が生じて るか否かを調べた。

[耐久走行後のインナーライナー層/タイヤ内 ゴム間の剥離の有無]
 製造後の各タイヤをリム組み(サイズ:13×4.5J )し、空気圧150kPaを充填して、室内ドラム試 機(直径:1707mm)を使用して、室温38℃、負荷荷 重5.8kN、速度80km/hの条件下で1万km走行させた 走行後のタイヤについて、インナーライナ 層とタイヤ内面ゴムとの間に剥離が生じた 否かを調べた。

 表2に示すように、本発明タイヤは、イン ナーライナー層における欠損が殆ど認められ ず、さらには、インナーライナー層とタイヤ 内面ゴムとの間の剥離も認められなかった。 また、本発明タイヤは、耐久走行後において も、インナーライナー層とタイヤ内面ゴムと の間に剥離が認められなかった。

 なお、比較例1は吹き付けた粉体の平均粒 子径が大き過ぎたので、製造後のタイヤのイ ンナーライナー層に凹凸や偏肉などの欠損が 多く見られ、比較例2はインナーライナー層 してシート材料を使用したので、製造後の イヤのインナーライナー層とタイヤ内面ゴ との間における接着力が不足して剥離が生 ていることがわかった。

 7 インナーライナー層
 8 粉体