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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR MANUFACTURING POLYURONATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/122953
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are (1) a method for manufacturing a water soluble polyuronate having good biodegradability, comprising a step for oxidizing a powdered cellulose having low crystallinity and a crystallization degree of 30% or less, (2) a polymeric builder having good biodegradability and excellent cleaning performance for mud and dirt made from a polyuronate having a weight average molecular weight of 6,000-180,000, and obtained by subjecting a polysaccharide to oxidation and (3) a detergent composition comprising said polymeric builder.

Inventors:
YOSHIMURA TADANORI (JP)
OKUTSU MUNEHISA (JP)
HIROSHIMA MASAFUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055768
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 24, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KAO CORP (JP)
YOSHIMURA TADANORI (JP)
OKUTSU MUNEHISA (JP)
HIROSHIMA MASAFUMI (JP)
International Classes:
C08B15/04; C11D3/22; C11D3/37
Foreign References:
JP2005015680A2005-01-20
JPS62236801A1987-10-16
JP2003064184A2003-03-05
JP2004331918A2004-11-25
JPH10183174A1998-07-14
JPH10183178A1998-07-14
JPH10183175A1998-07-14
JPH08510494A1996-11-05
JP2001510232A2001-07-31
JPH09508168A1997-08-19
JPH08500626A1996-01-23
JPH07503495A1995-04-13
JPH07500853A1995-01-26
JPS5139755A1976-04-02
JP2002226502A2002-08-14
JPH0848999A1996-02-20
JP4160108B12008-10-01
JP4160109B12008-10-01
JP2004189924A2004-07-08
JP2006124598A2006-05-18
JPS62104900A1987-05-15
JPH09503517A1997-04-08
JP2002047302A2002-02-12
JP2002226502A2002-08-14
JPS62236801A1987-10-16
JP2003064184A2003-03-05
JP2004331918A2004-11-25
Other References:
AKIRA ISOGAI: "Cellulose no Kagaku", 20 April 2005, ASAKURA PUBLISHING CO., LTD., pages: 96 - 97, XP008143565
TAKASHI KOBAYASHI ET AL.: "KRC-Kneader no Yotorei ni Tsuite", KURIMOTO TECHNICAL REPORT, no. 15, 10 July 1986 (1986-07-10), pages 103 - 117, XP008143531
See also references of EP 2261262A4
"The Society of Chemical Engineers", 10 October 1996, MAKI-SHOTEN, article "Progress of Chemical Engineering; 30th Collection; Control ofMicroparticles"
Attorney, Agent or Firm:
OHTANI, Tamotsu et al. (JP)
Tamotsu Otani (JP)
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Claims:
 結晶化度が30%以下である低結晶性の粉末セルロースを酸化させる工程を有する、ポリウロン酸塩の製造方法。
 低結晶性の粉末セルロースが、セルロース含有原料を粉砕機で処理して得られたものである、請求項1に記載のポリウロン酸塩の製造方法。
 セルロース含有原料が、押出機で処理して得られたものである、請求項2に記載のポリウロン酸塩の製造方法。
 押出機が二軸押出機である、請求項3に記載のポリウロン酸塩の製造方法。
 粉砕機が媒体式粉砕機である、請求項2~4のいずれかに記載のポリウロン酸塩の製造方法。
 媒体式粉砕機が、容器駆動式粉砕機又は媒体撹拌式粉砕機である、請求項5に記載のポリウロン酸塩の製造方法。
 酸化工程で、N-オキシル化合物の存在下で酸化反応を行う、請求項1~6のいずれかに記載のポリウロン酸塩の製造方法。
 低結晶性の粉末セルロースを水系に分散させて酸化反応を行う、請求項1~7のいずれかに記載のポリウロン酸塩の製造方法。
 結晶化度が30%以下である低結晶性の粉末セルロースを酸化させることにより得られた、重量平均分子量が6,000~180,000のポリウロン酸塩からなる高分子ビルダー。
 多糖類を酸化させることにより得られた、重量平均分子量が6,000~180,000のポリウロン酸塩からなる高分子ビルダー。
 ポリウロン酸の酸化度が60mol%以上である、請求項9又は10に記載の高分子ビルダー。
 ポリウロン酸塩が、N-オキシル化合物の存在下で酸化させることにより得られたものである、請求項9~11のいずれかに記載の高分子ビルダー。
 多糖類が、澱粉、アミロース、アミロペクチン、プルラン、セルロース、及びグアガムからなる群から選択される1種以上である、請求項9~12のいずれかに記載の高分子ビルダー。
 請求項9~13のいずれかに記載の高分子ビルダーを含有する洗浄剤組成物。
 多糖類を酸化させることにより得られた、重量平均分子量が6,000~180,000のポリウロン酸塩の高分子ビルダーへの使用。
Description:
ポリウロン酸塩の製造方法

 本発明は、生分解性が良好な水溶性ポリ ロン酸塩の製造方法、及び生分解性が良好 、洗浄性能に優れたポリウロン酸塩からな 高分子ビルダー、及びそれを含有する洗浄 組成物に関する。

 水溶性高分子材料は、粒子の分散・安定化 凝集、粘度調整、接着等の機能を有し、様 な分野に応用されている。特にポリカルボ 酸は安価に製造できる場合が多いため、種 の製品が製造、使用されている。
 また、環境に対する意識が高まるにつれ、 境負荷の少ない材料が強く求められている このような流れの中で、再生可能な天然原 から製造される高分子材料等が開発されて る。構造材料として用いられる高分子材料 、使用後の回収が可能で、リサイクルやリ ースが可能である。
 これに対して、水溶性高分子材料の多くは 使用後の回収が困難であるため、環境負荷 小さくするために生分解性が求められてお 、種々の生分解性水溶性高分子が提案され いる。その一つとして、水溶性多糖類やそ 誘導体が挙げられ、具体例としては、キサ タンガム、アルギン酸、ペクチン酸、ヒア ロン酸、カルボキシルメチルセルロース、 ドロキシエチルセルロース等が知られてい 。

 しかしながら、水溶性の天然多糖を製造す 場合、多量の廃棄物が排出されたり、価格 高いといった課題がある。また多糖誘導体 場合は、その変性の程度が高まるにつれて 分解性が損なわれ、機能と環境調和とが両 しないという問題がある。
 特許文献1及び2には、N-オキシル化合物触媒 の存在下、金属塩を添加して、澱粉や再生セ ルロース等の多糖類のC6位一級水酸基を選択 にカルボン酸に変換し、ポリウロン酸を製 する方法が提案されている。これらの方法 は、多糖類として再生セルロースを用いる 合、セルロースを銅-アンモニア溶液に溶解 したり、誘導体化した後、再生処理を行う必 要があり、また金属塩を多量に使用するため に廃棄物が排出されるという問題がある。ま た煩雑な工程を経るため、環境負荷がより小 さく、効率的な製造方法が求められている。 なお、特許文献1及び2には、洗剤用ビルダー ついての記載はない。

 一方、衣類の洗浄においては、古くから泥 れ等の固体汚れの洗浄は難しいことが知ら ており、特に近年、洗濯機の節水化の進展 より、上記課題の解決がさらに求められる うになってきている。
 衣類用洗剤は界面活性剤を主たる構成成分 しているが、その洗浄能力を高めるために 中のカルシウム分を捕捉するビルダーが配 されている。ビルダーはゼオライトA等の無 機ビルダーが広く用いられているが、その作 用を補うために有機ビルダーも用いられてい る。
 有機ビルダーとしては、ポリカルボン酸系 分子ビルダーが知られており、これらの多 は固体汚れ、特に泥等の親水性粒子に対す 洗濯条件下での分散安定性に優れ、泥汚れ 洗浄に対しても大きな効果を発揮する。し しながら、それらの多くは生分解性が低く 近年、環境安全性の観点から、洗浄性能、 に泥汚れに対する洗浄性能が良好で、かつ 分解性が改善されたポリマーへの置き換え 強く望まれている。

 特許文献3には、天然物から抽出した高分子 量アルギン酸のアルカリ金属塩ビルダーを含 有する液体洗剤組成物が開示されている。
 特許文献4には、ウロン酸のグリコシドを界 面活性剤として使用する環境に優しい洗剤組 成物が開示されている。
 特許文献5には、高分子量ポリウロン酸溶液 を酸化開裂させ、平均重合度20未満の低分子 ポリウロン酸の製造方法が開示され、洗剤 ビルダーへの応用が指摘されているが、具 的な記載はない。
 特許文献6には、セルロース等の多糖類を、 ニトロキシル化合物の存在下で、次亜塩素酸 塩で酸化する、重量平均分子量20万以上、好 しくは50万以上の多糖類誘導体の製造方法 開示され、洗剤用ビルダーへの利用が指摘 れているが、具体的な記載はない。

特開2004-189924号公報

特開2006-124598号公報

特開昭62-104900号公報

特表平9-503517号公報

特開2002-47302号公報

特開2002-226502号公報

 本発明は次の(1)~(3)に関する。
(1)結晶化度が30%以下である低結晶性の粉末セ ルロースを酸化させる工程を有する、ポリウ ロン酸塩の製造方法。
(2)多糖類を酸化させることにより得られた、 重量平均分子量が6,000~180,000のポリウロン酸 からなる高分子ビルダー。
(3)前記(1)の高分子ビルダーを含有する洗浄剤 組成物。

 本発明者らの検討によれば、特許文献3のよ うに、天然物から抽出した高分子量のアルギ ン酸を洗剤用ビルダーとして使用すると、泥 汚れの洗浄性能が著しく低下し、むしろ未添 加の洗剤と比較して、泥汚れを再付着させて しまう。
 また、特許文献5より製造された低分子量ポ リウロン酸は、酸化開裂物質や単糖等の不純 物を多く含む可能性があり、洗浄性能、生分 解性に悪影響を与えると考えられる。
 かかる現状において、本発明は、(1)生分解 が良好な水溶性ポリウロン酸塩を、環境負 の少ない方法で効率的に製造する方法、(2) 分解性が良好で、かつ泥汚れの洗浄性能に 優れる高分子ビルダー、及び(3)洗浄剤組成 に関する。

 本発明者らは、セルロースを可溶化、或い 誘導体化することなく、反応性の高い結晶 度を低下させた粉末セルロースを用いるこ により、水溶性ポリウロン酸塩を効率的に 造できることを見出した。
 また、本発明者らは、多糖類を選択的に酸 してカルボキシ基に変換することで得られ ポリウロン酸塩であって、適度の大きさの 量平均分子量を有するものが優れた泥洗浄 能を発揮する高分子ビルダーであることを 出した。
 すなわち、本発明は次の(1)~(3)に関する。
(1)結晶化度が30%以下である低結晶性の粉末セ ルロースを酸化させる工程を有する、ポリウ ロン酸塩の製造方法。
(2)多糖類を酸化させることにより得られた、 重量平均分子量が6,000~180,000のポリウロン酸 からなる高分子ビルダー。
(3)前記(1)の高分子ビルダーを含有する洗浄剤 組成物。

[低結晶性の粉末セルロースの調製]
 一般にセルロースは幾つかの結晶構造が知 れており、また一部に存在するアモルファ 部と結晶部との割合から結晶化度として定 されるが、本発明における「結晶化度」と 、天然セルロースの結晶構造に由来するI型 の結晶化度を示し、粉末X線結晶回折スペク ルから求められる下記計算式(1)で表わされ 結晶化度によって定義される。
 結晶化度(%)=[(I 22.6 -I 18.5 )/I 22.6 ]×100   (1)
[I 22.6 は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=2 2.6°)の回折強度、及びI 18.5 は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強 度を示す。]
 本発明における低結晶性の粉末セルロース 「低結晶性」とは、上記のセルロースの結 構造においてアモルファス部の割合が多い 態を示し、具体的には上記計算式(1)から得 れる結晶化度が30%以下であることを意味す 。
 この結晶化度が30%以下であれば、セルロー の酸化反応は極めて良好に進行し、水溶性 ポリウロン酸塩を効率的に得ることができ 。この観点から、セルロースの結晶化度は2 5%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、1 0%以下が更に好ましい。特に本発明において 、式(2)による結晶化度がほぼ0%である完全 晶化セルロースを用いることが最も好まし 。
 一般的に知られている粉末セルロースにも めて少量のアモルファス部が存在するため それらの結晶化度は、本発明で用いる上記 算式(1)によれば、概ね60~80%の範囲に含まれ 、いわゆる結晶性のセルロースであり、本 明におけるポリウロン酸塩の合成を含む酸 反応の反応性は低い。

 本発明の製造方法に使用される低結晶性 粉末セルロースは、結晶化度が30%以下であ 。低結晶性の粉末セルロースの調製方法と ては、特に制限はないが、セルロース含有 料を粉砕機でメカノケミカル処理する方法 好ましい。セルロース含有原料は、押出機 処理して得られるものが好ましく、例えば ート状パルプを粗粉砕して得られるチップ パルプを、押出機で処理することにより得 ことができる。

(押出機)
 この方法に用いられる押出機としては、単 又は二軸の押出機、好ましくは二軸押出機 挙げられるが、強い圧縮せん断力を加える 点から、スクリューのいずれかの部分に、 わゆるニーディングディスク部を備えるも が好ましい。
 ニーディングディスク部とは、複数のニー ィングディスクで構成され、これらを連続 て、一定の位相でずらしながら組み合わせ ものである。例えば3~20枚、好ましくは6~16 のニーディングディスクを90°の位相で互い いにずらしながら組み合わせたものが挙げ れる。ニーディングディスク部は、スクリ ーの回転にともなって、その狭い隙間にチ プ状パルプ等を強制的に通過させることで めて強いせん断力を付与しながら、連続的 処理することができる。押出機処理におけ せん断速度としては、600~3000sec -1 が好ましく、6000~2000sec -1 がより好ましい。
 押出機を用いる処理方法としては、特に制 はないが、チップ状パルプを押出機に投入 、連続的に処理する方法が好ましい。

(粉砕機)
 また、この方法に用いられる粉砕機として 、媒体式粉砕機を好ましく用いることがで る。媒体式粉砕機には容器駆動式粉砕機と 体撹拌式粉砕機とがある。
 容器駆動式粉砕機としては転動ミル、振動 ル、遊星ミル、遠心流動ミル等が挙げられ 。これらの中では、粉砕効率、生産性の観 から、振動ミルが好ましい。
 媒体撹拌式粉砕機としてはタワーミル等の 型粉砕機;アトライター、アクアマイザー、 サンドグラインダー等の撹拌槽型粉砕機;ビ コミル、パールミル等の流通槽型粉砕機;流 管型粉砕機;コボールミル等のアニュラー型 粉砕機;連続式のダイナミック型粉砕機等が げられる。これらの中では、粉砕効率、生 性の観点から、撹拌槽型粉砕機が好ましい 媒体攪拌式粉砕機を用いる場合、攪拌翼の 端の周速は、好ましくは0.5~20m/s、より好ま くは1~15m/sである。
 粉砕機の種類については、「化学工学の進   第30集  微粒子制御」(社団法人  化学 学会東海支部編、1996年10月10日発行、槇書 )を参照することができる。
 処理方法としては、バッチ式、連続式のど らでもよい。

 粉砕機に用いられる媒体の材質としては、 に制限はなく、例えば、鉄、ステンレス、 ルミナ、ジルコニア、炭化珪素、チッ化珪 、ガラス等が挙げられる。
 粉砕機の媒体がボールの場合には、ボール 外径としては、好ましくは0.1~100mm、より好 しくは0.5~50mmの範囲である。ボールの大き が上記の範囲であれば、所望の粉砕力が得 れるとともに、ボールのかけら等が混入し セルロース含有原料が汚染されることなく 率的にセルロースを非晶化させることがで る。
 媒体としては、ボール以外にもロッドやチ ーブ等の媒体を用いることができる。
 ボール等の媒体の充填率は、粉砕機の機種 より好適な充填率が異なるが、好ましくは1 0~97%、より好ましくは15~95%の範囲である。充 率がこの範囲内であれば、セルロース含有 料とボール等の媒体との接触頻度が向上す とともに、媒体の動きを妨げずに、粉砕効 を向上させることができる。ここで充填率 は、粉砕機の攪拌部の容積に対する媒体の かけの体積をいう。

 粉砕の処理時間としては、粉砕機の種類、 ール等の媒体の種類、大きさ及び充填率等 より一概に決定できないが、結晶化度を低 させる観点から、好ましくは3分~72時間、よ り好ましくは3分~50時間、より好ましくは5分~ 30時間、更に好ましくは10分~20時間、特に好 しくは10分~10時間である。処理温度は、特に 制限はないが、熱による劣化を防ぐ観点から 、好ましくは5~250℃、より好ましくは5~200℃ 更に好ましくは10~200℃である。
 前述のような方法を用いれば、分子量の制 も可能である。すなわち一般には入手困難 、重合度が高く、かつ低結晶性の粉末セル ースを容易に調製することも可能である。 ましい重合度としては、10~2000であり、より 好ましくは20~1000である。
 この低結晶性の粉末セルロースの平均粒径 、粉体として流動性の良い状態が保てるな ば時に限定はされないが、酸化反応をスラ ー状態で良好に進行させる観点から、300μm 下が好ましく、150μmがより好ましく、50μm 下が更に好ましい。ただし、工業的に実施 る際の操作性の観点から、20μm以上が好まし く、25μm以上がより好ましい。

 [ポリウロン酸塩の製造]
 本発明において、ポリウロン酸塩は、上記 得られた低結晶性の粉末セルロース等の多 類を溶媒に分散又は溶解させ、触媒の存在 で、酸化反応させることにより製造するこ ができる。

(多糖類)
 本発明において、原料となる多糖類は特に 定されない。例えば、澱粉、アミロース、 ミロペクチン、ペクチン、プロトペクチン ペクチン酸、プルラン等のα結合型多糖類 びそれらの誘導体、セルロース、グアガム のβ結合型多糖類及びその誘導体等が挙げら れる。
 反応の容易性及び入手の容易性の観点から α結合型多糖類としては、澱粉及びその構 物であるアミロース、アミロペクチン、プ ランが好ましい。澱粉としては、とうもろ し澱粉、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦 粉、サツマイモ澱粉、米澱粉、ワキシート モロコシ澱粉等が挙げられる。これらの中 は、グルコピラノース単位のC6位の一級水酸 基を多く含有するものが好ましく、澱粉、ア ミロース、アミロペクチン、プルラン等が好 ましく挙げられる。

 β結合型多糖類としては、セルロース、グ ガムが好ましい。セルロースを原料とする 合、結晶性の高いパルプを使用することも きるが、結晶性部位の酸化反応は進み難い め、少量の水に不溶な成分が生成すること ある。そのため、セルロースのマーセル化 理、セルロースの再生処理(キュプラアンモ ウム法、ビスコース法等)、メカノケミカル 処理等により低結晶化した粉末セルロースを 使用することが好ましい。
 低結晶性粉末セルロースは、汎用原料とし 得られるシート状やロール状のセルロース 度の高いパルプから極めて簡便に調製する とができる。低結晶性粉末セルロースの調 方法は特に限定されない。例えば、特開昭6 2-236801号公報、特開2003-64184号公報、特開2004-3 31918号公報等に記載の方法を挙げることがで る。これらの中では、上記のメカノケミカ 処理等による低結晶性粉末セルロースを使 することがより好ましい。

(ポリウロン酸塩)
 ポリウロン酸塩は、グルクロン酸やガラク ロン酸等のウロン酸のアルカリ金属塩がグ コシド結合で重合した重合体であって、代 的な構造は下記構造式(1)で表される。また 構造式(1)中のXが、水素又はナトリウムであ れば、25℃の蒸留水に対して、10%以上の溶解 を示す。

(式中、Xは水素又はアルカリ金属を示し、pは 重合度を示す。)

 より具体的なポリウロン酸塩の代表例は (i)下記構造式(2)~(4)から選ばれる1以上のウ ン酸塩ユニットが連結した重合体、又は(ii) れらのウロン酸塩ユニットと、代表的には 記構造式(5)~(8)から選ばれる1以上の構造式 表されるグルコースやガラクトース等の糖 ニットとがグリコシド結合で連結した重合 である。

 式中、Xは、水素又はアルカリ金属を示す。 Xが、水素又はナトリウムであれば、構造式(1 )で表されるポリウロン酸塩は、25℃の蒸留水 に対して、10%以上の溶解性を示す。
 構造式(2)~(4)中のm1、m2及びm3は、ポリウロン 酸塩中のウロン酸塩ユニットのモル分率を示 し、その総和は好ましくは70~100、より好まし くは75~100、更に好ましくは85~100である。この モル分率であるm1~m3の総和は、ポリウロン酸 の酸化度と同義である。
 構造式(5)~(8)中のn1、n2、n3及びn4は、ポリウ ン酸塩中の糖ユニットのモル分率を示し、 の総和は好ましくは30~0、より好ましくは25~ 0、更に好ましくは15~0である。
 これらの観点から、ウロン酸塩ユニットm1~m 3の総和mと糖ユニットのn1~n4の総和nとのモル 率比(m/n)は、好ましくは70~100/30~0、より好ま しくは75~100/25~0、更に好ましくは85~100/15~0で る。

 本発明において、ポリウロン酸塩が、結 化度が30%以下である低結晶性粉末セルロー を溶媒に分散させ、触媒の存在下で、酸化 応させることにより製造されるものである 合は、代表的には下記構造式(9)で表される

 式中、Xは前記と同じである。
 構造式(9)において、ポリウロン酸塩中のウ ン酸塩ユニットのモル分率mは好ましくは70~ 100、より好ましくは75~100、更に好ましくは85~ 100である。このモル分率mは、ポリウロン酸 の酸化度と同義である。
 また、構造式(9)において、ポリウロン酸塩 の糖ユニットのモル分率nは好ましくは30~0 より好ましくは25~0、更に好ましくは15~0であ る。
 これらの観点から、構造式(9)における、ウ ン酸塩ユニットmと糖ユニットnとのモル分 比(m/n)は、好ましくは70~100/30~0、より好まし は75~100/25~0、更に好ましくは85~100/15~0である 。

 ポリウロン酸塩は、多糖類を溶媒に分散さ 、触媒、及び必要に応じて更に共酸化剤や 触媒の存在下で酸化反応させることにより 造することができる。ここで、酸化反応は 多糖類の構成成分である単糖単位の一級水 基、例えば、グルコピラノース単位のC6位 一級水酸基を選択的に酸化し、カルボキシ を生成させるものである。
 一級水酸基の選択的酸化反応としては、白 触媒を用いる酸素による酸化反応、窒素酸 物による酸化反応、硝酸による酸化反応、N -オキシル化合物による酸化反応が挙げられ 。これらの中では、反応の高選択性、均質 、及びより温和な条件で酸化反応を円滑に 行させる観点から、N-オキシル化合物を触媒 として用い、さらに必要に応じて共酸化剤や 助触媒を用いて酸化反応を行うことが好まし い。

(N-オキシル化合物)
 前記N-オキシル化合物は、ヒンダードアミ のN-酸化物であり、特にアミノ基のα位に嵩 い基を有するヒンダードアミンのN-酸化物 ある。N-オキシル化合物としては、2,2,6,6-テ ラアルキルピペリジン-1-オキシル、4-ヒド キシ-2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン-1-オ シル、4-アルコキシ-2,2,6,6-テトラアルキルピ ペリジン-1-オキシル等のジ-ターシャリーア キルニトロキシル化合物が挙げられる。こ らの中では、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン -1-オキシル(TEMPO)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラ メチルピペリジン-1-オキシル、4-メトキシ-2,2 ,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシルが好 しく、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オ シル(TEMPO)がより好ましい。
 なお、N-オキシル化合物としてTEMPOを用いる 酸化反応では、ニトロキシラジカルの酸化活 性種であるオキソアンモニウム部が酸化剤と して機能すると考えられる。
 反応系におけるN-オキシル化合物の量は、 媒量であればよく、低結晶性粉末セルロー に対して、好ましくは0.001~5質量%、より好ま しくは0.1~4質量%、更に好ましくは0.5~3質量%で ある。

(共酸化剤及び助触媒)
 共酸化剤としては、酸素又は空気、過酸化 、ハロゲン、次亜ハロゲン酸、亜ハロゲン 、過ハロゲン酸又はそれらの塩、ハロゲン 化物、窒素酸化物等が挙げられる。
 助触媒としては、臭化ナトリウム、臭化カ ウム等の臭化物や、ヨウ化ナトリウム、ヨ 化カリウム等のヨウ化物等が挙げられる。
 共酸化剤及び助触媒の量は、それらの機能 発揮できる有効量であればよく、特に制限 ない。

(酸化反応の条件)
 酸化反応の温度は、反応の選択性、副反応 抑制の観点から、好ましくは50℃以下、よ 好ましくは40℃以下、更に好ましくは20℃以 であり、その下限は、好ましくは-5℃以上 ある。
 反応系のpHは共酸化剤の性質に合わせるこ が好ましく、例えば、次亜塩素酸ナトリウ の場合、反応系のpHはアルカリ側が好ましい 。
 本発明における酸化反応は、低結晶性の粉 セルロースを溶媒に分散させて行うのが好 しい。その溶媒としては、水、メタノール エタノール等のアルコール、アセトン、メ ルエチルケトン等のケトン、N,N-ジメチルホ ルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げ られるが、環境負荷低減の観点から、水がよ り好ましい。上記溶媒は単独で、又は2種以 を混合して用いることができる。
 ポリウロン酸塩の製造においては、触媒と て用いるTEMPO等のN-オキシル化合物等の残存 や塩の副生が生じ易い。そこで、純度の高い ポリウロン酸塩を得るためには、メタノール 、エタノール、アセトン等への再沈殿、水に 不溶な溶媒へのN-オキシル化合物等の抽出及 塩のイオン交換、透析等による精製を行う とが好ましい。精製法は、酸化反応におけ 溶媒の種類、生成物の酸化の程度、精製の 度により最適な方法を採用することができ 。

 上記方法で得られるポリウロン酸塩の重量 均分子量は、水溶性及び生分解性を付与す 観点から、好ましくは1,000~500,000、より好ま しくは6,000~180,000、更に好ましくは2,000~200,000 ある。なお、重量平均分子量は、ゲルパー エーションクロマトグラフィー(GPC)におけ プルラン換算分子量である。
 本発明の製造方法により得られたポリウロ 酸塩は、生分解性水溶性高分子材料として 分散・安定化剤、凝集剤、粘度調整剤、接 剤、皮膜形成剤等の様々な用途に用いるこ ができる。

[高分子ビルダー]
 本発明の高分子ビルダーは、多糖類の一級 酸基を選択的に酸化させることにより得ら た、重量平均分子量が6,000~180,000のポリウロ ン酸塩からなることを特徴とする。
 ポリウロン酸塩の代表的な構造は前記構造 で表される。また、構造式(1)~(4)及び(9)中の Xが、水素又はナトリウムであれば、前記構 式で表されるポリウロン酸塩は、25℃の蒸留 水に対して、10%以上の溶解性を示す。

 本発明の高分子ビルダーを構成するポリ ロン酸塩の重量平均分子量は、6,000~180,000の 範囲である。ここで重量平均分子量は、ゲル ・パーミエーション・クロマトグラフィー(GP C)におけるプルラン換算分子量である。高分 ビルダーの重量平均分子量を6,000以上にす ことで、衣料から除去された泥粒子を十分 洗濯液中に分散させることができ、泥粒子 衣料に再付着するのを防止することができ 。また、その重量平均分子量を180,000以下に ることで、泥粒子表面に吸着した高分子ビ ダーが泥粒子間で結合して、泥粒子の凝集 を形成するのを防止することができる。ポ ウロン酸塩の重量平均分子量は、好ましく 7,000~150,000、より好ましくは7,500~120,000、更 好ましくは8,000~100,000、特に好ましくは8,000~9 0,000である。

 ポリウロン酸塩の酸化度は、好ましくは60mo l%以上、より好ましくは70mol%以上、より好ま くは75mol%以上、更に好ましくは80mol%以上、 に好ましくは85mol%以上である。酸化度が60mo l%以上にすることで、泥粒子への吸着が増加 、泥洗浄性能を向上させることができる。
 ここで、酸化度は、ポリウロン酸塩単位中 カルボキシ基の当量数に対して中和に用い 塩基性化合物の当量数の比と定義される。 体的には、実施例記載の滴定法により、測 されたポリウロン酸塩単位重量当りのカル ン酸量から、下記計算式(1)によって求めら た値である。
 酸化度(%)=〔(162.1×A)/(1-14.0×A)〕×100  (1)
 ここで、Aは滴定によって求めたカルボン酸 量(mol/g)である。
 なお、中和に用いられる塩基性化合物とし は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、 酸化マグネシウム等のアルカリ金属又はア カリ土類金属水酸化物、アンモニアやアミ 化合物等が挙げられる。
 ポリウロン酸塩の重量平均分子量や酸化度 、原料多糖類の種類、酸化剤量等の反応条 によって、適宜調整することができ、泥汚 洗浄性能を変化させることができる。

[洗浄剤組成物]
 本発明の洗浄剤組成物は、本発明の高分子 ルダー及び界面活性剤を含有する。洗浄剤 成物中の本発明の高分子ビルダーの含有量 、洗浄性能の観点から、0.1~15質量%が好まし く、0.5~10質量%がより好ましく、1.5~10質量%が に好ましい。界面活性剤の含有量は、洗浄 能の観点から、5~60質量%が好ましく、10~40質 量%がより好ましく、20~30質量%が更に好まし 。
 本発明の高分子ビルダーを単独で洗浄剤用 ルダーとして使用してもよいが、ゼオライ A等の無機ビルダーや他の有機ビルダーと併 用することもできる。

 本発明の高分子ビルダーと共に用いられる 面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、陽イ ン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、 性界面活性剤のいずれでもよい。
 陰イオン性界面活性剤としては、例えば、 肪酸石ケン、アルキルエーテルカルボン酸 、N-アシルアミノ酸塩、アルキルベンゼン ルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン 塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩 α-オレフィンスルホン酸塩、高級アルコー 硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩 ポリオキシエチレンアルキルフェニルエー ル硫酸塩、脂肪酸アルキロールアミドの硫 エステル塩、アルキルエーテルリン酸エス ル塩、アルキルリン酸エステル塩等が好適 用いられる。
 陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族ア ン塩、脂肪族四級アンモニウム塩、ベンザ コニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジ ウム塩、イミダゾリニウム塩等が好適に用 られる。
 非イオン性界面活性剤としては、ポリオキ エチレンアルキルエーテル、ポリオキシエ レンアルキルフェニルエーテル、ポリオキ エチレンポリオキシプロピレンブロックポ マー、ポリオキシエチレンポリオキシプロ レンアルキルエーテル、ポリオキシエチレ グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエ レンヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビ ン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ ビトール脂肪酸エステル、ポリエチレング コール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセ ド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソル タン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノール ミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、 リオキシエチレンアルキルアミン、アルキ アミンオキシド等が好適に用いられる。
 両性界面活性剤としては、例えばカルボキ ベタイン型化合物、アミノカルボン酸塩、 ミダゾリニウムベタイン等が好適に用いら る。

 本発明の洗浄剤組成物を製造する際には、 発明の高分子ビルダーと界面活性剤の他に 通常の洗浄剤組成物に用いられる種々の洗 成分を配合することができる。
 用いられる洗剤成分としては、例えば、漂 剤(過炭酸塩、過ホウ酸塩等)、漂白活性化 、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロー 等)、柔軟化剤、還元剤(亜硫酸塩等)、蛍光 白剤、制泡剤(シリコーン等)、セルラーゼ プロテアーゼ等の酵素、染料、香料等が挙 られる。
 本発明の洗浄剤組成物の用途に特に限定は く、例えば衣料用粉末洗浄剤、自動食器洗 機用洗浄剤等として好適に使用することが きる。

 以下の製造例、実施例及び比較例におい 、「%」は特記しない限り「質量%」である なお、セルロース及びポリウロン酸塩の物 の測定、及び生分解性の評価は、以下の方 で行った。

<粉末セルロースの重合度及び粘度平均分 量の測定>
 ISO-4312法に記載の銅アンモニア法により粉 セルロースの重合度を測定した。また、こ で得られた重合度にグルコースの分子量162 掛けることで粉末セルロースの粘度平均分 量を求めた。
<粉末セルロースの平均粒径の測定>
 レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA- 920」(株式会社堀場製作所製)を用いて測定し 。測定条件は、粒径測定前に超音波で1分間 処理し、測定時の分散媒体として水を用い、 体積基準のメジアン径を、温度25℃にて測定 た。

<低結晶性セルロースの結晶化度の算出>
 株式会社リガク製「Rigaku RINT 2500VC X-RAY di ffractometer」を用いて、以下の条件で測定した 回折スペクトルのピーク強度から、下記計算 式(2)により算出した。
 X線光源:Cu/Kα-radiation、管電圧:40kV、管電流:1 20mA
 測定範囲:2θ=5~45°、
 測定サンプル:面積320mm 2 ×厚さ1mmのペレットを圧縮して作成
 X線のスキャンスピード:10°/min
 結晶化度(%)=[(I 22.6 -I 18.5 )/I 22.6 ]×100  (2)
 [I 22.6 は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=2 2.6°)の回折強度を示し、I 18.5 は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強 度を示す。]

<ポリウロン酸塩中のウロン酸モル分率の 定>
 合成したポリウロン酸ナトリウムの2%水溶 を50g調製し、6N塩酸にてpHを1以下とした。こ の酸性水溶液をエタノール500mLに投入し、生 た沈殿物を回収、エタノールで数回洗浄し 。得られたポリウロン酸及びカルボキシメ ルセルロースを0.1g精秤し、イオン交換水30m Lに溶解又は分散させ、フェノールフタレイ を指示薬として0.1N水酸化ナトリウム水溶液 滴定し、ポリウロン酸塩単位重量当りのカ ボン酸量を求めた。さらにこのカルボン酸 から、下記計算式(1)によりウロン酸モル分 (構造式(1)のm)を求めた。
 ウロン酸モル分率(m)=〔(162.1×A)/(1-14.0×A)〕× 100 (1)
 ここで、Aは滴定によって求めたカルボン酸 量(mol/g)である。
 またウロン酸ではないグルコースのモル分 (構造式(1)のn)は下記計算式(2)により求めた
 グルコースモル分率(n)=100-m  (2)

 <ポリウロン酸塩の重量平均分子量の測定 法>
 ゲルパーミエーションクロマトグラフィー( GPC)を用いて、以下の条件で測定した。
 カラム:東ソー株式会社製、G4000PWXL+G2500PWXL
 溶離液:0.2Mリン酸緩衝液/アセトニトリル(容 量比)=9/1
 測定温度:40℃、流速:1.0mL/min、検出器:UV又は RI
 標準ポリマー:プルラン

<ポリウロン酸塩の酸化度の測定>
 合成したポリウロン酸ナトリウムの2%水溶 を50g調製し、6N塩酸にてpHを1以下とした。こ の酸性水溶液をエタノール500mLに投入し、生 た沈殿物を回収、エタノールで数回洗浄し 。得られたポリウロン酸及びカルボキシメ ルセルロースを0.1g精秤し、イオン交換水30m Lに溶解又は分散させ、フェノールフタレイ を指示薬として0.1N水酸化ナトリウム水溶液 滴定し、ポリウロン酸塩単位重量当りのカ ボン酸量を求めた。さらにこのカルボン酸 から、下記計算式(1)により酸化度を求めた
 酸化度(%)=〔(162.1×A)/(1-14.0×A)〕×100  (1)
 ここで、Aは滴定によって求めたカルボン酸 量(mol/g)である。

<ポリウロン酸塩の水溶性の評価>
 20mLスクリュー管に、ポリウロン酸塩0.025g、 及びイオン交換水4.975gを入れ、振とうしてポ リウロン酸を溶解させ、目視により不溶物の 有無を確認した。
<生分解性の評価>
 3Lのビーカーに、ポリマー50mg-炭素/L(約100mg/ L)、処理場汚泥200mg/Lとなるように仕込み、空 気をバブリング、攪拌しながら25±1℃で試験 行った。試験開始28日目にサンプルを採取 、0.2μmのフィルターでろ過した後、溶存有 炭素濃度(DOC)を測定した。
 生分解率は、試験開始時点のDOCとの比によ 求めた。

製造例I-1(非晶化粉末セルロースの製造)
 木材パルプシート(ボレガード社製パルプシ ート、結晶化度74%)をシュレッダー(株式会社 光商会製、「MSX2000-IVP440F」)にかけてチップ 状にした。
 次に、得られたチップ状パルプを、スクリ ーの中央部にニーディングディスク部を備 た二軸押出機(株式会社スエヒロEPM製、「EA- 20」)に2kg/hrで投入し、せん断速度660sec -1 、スクリュー回転数300rpmの条件で、外部から 冷却水を流しながら、1パス処理して粉末状 した。
 次に、得られた粉末セルロースを、バッチ 媒体攪拌型ボールミル(三井鉱山株式会社製 、「アトライタ」:容器容積800mL、6mmφ鋼球を1 400g充填、攪拌翼の直径65mm)に前記粉末状のセ ルロース100gを投入した。容器ジャケットに 却水を通しながら、攪拌回転数600rpmで3時間 砕処理を行い、粉末セルロース(結晶化度0% 重合度=490、平均粒径40μm)を得た。この粉末 セルロースの反応には更に32μm目開きの篩を けた篩下品(投入量の90%)を使用した。

製造例I-2~I-5
 ボールミル処理における処理時間を変えた と以外は、製造例I-1と同様にして、各結晶 度や重合度の異なる粉末セルロース(製造例 I-2:結晶化度0%、重合度=62、製造例I-3:結晶化 0%、重合度=31、製造例I-4:結晶化度2%、重合度 =570、製造例I-5:結晶化度32%、重合度=340)を調 した。

実施例I-1
 pHメータを備え付けた500mLセパラブルフラス コに、製造例I-1で得られた非晶化セルロース 粉末(重合度=490)5g及びイオン交換水95gを仕込 、フットボール型撹拌子を用いて200rpmの回 数で攪拌し、非晶化セルロース粉末を分散 せた。イオン交換水150gに2,2,6,6-テトラメチ ピペリジン-1-オキシル(TEMPO)0.095g、臭化ナト リウム1.25gを溶解させた水溶液を非晶化セル ース分散液に投入し、氷冷下で攪拌し続け 。反応溶液の温度が5℃以下となった時点で 、次亜塩素酸ナトリウム水溶液15gを非晶化セ ルロース分散液に投入した。
 酸化反応が進行するに従い、pHが低下する め、非晶化セルロース分散液のpHを10.8付近 するため、0.5N NaOH(61.7mL)を、マイクロチュ ブポンプを用いて徐々に添加した。さらに 亜塩素酸ナトリウム水溶液40gを1時間かけて 加し、pH10.8付近に調整するために0.5N NaOHを 添加し続けた。次亜塩素酸ナトリウム水溶液 及び0.5N NaOHを全て添加した後、非晶化セル ース分散液のほとんどが水に溶解していた
 反応終了液は、エタノール3Lに注ぎ、ポリ ロン酸ナトリウムを沈殿させた。沈殿物を 収し、アセトン/水(体積比)=7/1の混合溶媒で 浄、さらにアセトンで洗浄した後、40℃で 燥して、微黄色のポリウロン酸ナトリウム6g を得た。このポリウロン酸ナトリウムの生分 解率は94%であった。結果を表1に示す。

実施例I-2~I-4
 製造例I-2~I-4で得られた低結晶性の粉末セル ロース(実施例I-2:重合度=62、実施例I-3:重合度 =31、実施例I-4:重合度=570)を用いた以外、実施 例I-1と同様にしてポリウロン酸ナトリウムを 合成した。結果を表1に示す。

比較例I-1
 製造例I-5で得られた結晶化度が32%の粉末セ ロースを用いた以外、実施例I-1と同じ方法 ポリウロン酸ナトリウムを合成した。結果 表1に示す。得られたポリウロン酸ナトリウ ムの水への溶解性を試験したところ、水に不 溶な成分がみられた。メンブランフィルター (0.45μm)でろ過した成分についてGPCにて重量平 均分子量を求めたところ、72,600(プルラン換 )であった。結果を表1に示す。

比較例I-2
 結晶性の粉末セルロース(商品名:KCフロック  W-400G、日本製紙ケミカル株式会社製)を用い た以外、実施例I-1と同じ方法でポリウロン酸 ナトリウムを合成した。水への溶解性を試験 したところ、水に不溶な成分が多くみられ、 GPCによる分子量の測定は不可能であった。結 果を表1に示す。

 表1の結果から、実施例I-1~I-4は、比較例I- 1及びI-2と比べて、セルロースの選択的酸化 応が良好に進行し、水溶性の高いポリウロ 酸塩を環境負荷の少ない方法で効率的に製 できることが分かる。

製造例II-1(非結晶性セルロース粉末の製造)
 木材パルプシート(ボレガード社製、パルプ シート、結晶化度74%)をシュレッダー(株式会 明光商会製、「MSX2000-IVP440F」)にかけてチッ プ状にした。
 次に、得られたチップ状パルプをスクリュ の中央部にニーディングディスク部を備え 二軸押出機(株式会社スエヒロEPM製、「EA-20 )に2kg/hrで投入し、せん断速度660sec -1 、スクリュー回転数300rpmの条件で、外部から 冷却水を流しながら、1パス処理して粉末状 した。
 次に、得られた粉末セルロースを、バッチ 媒体攪拌型ボールミル(三井鉱山株式会社製 、「アトライタ」:容器容積800mL、6mmφ鋼球を1 400g充填、攪拌翼の直径65mm)に前記粉末状のセ ルロース100gを投入した。容器ジャケットに 却水を通しながら、攪拌回転数600rpmで3時間 砕処理を行い、粉末セルロース(結晶化度0% 重合度=600、平均粒径40μm)を得た。この粉末 セルロースの反応には更に32μm目開きの篩を けた篩下品(投入量の90%)を使用した。

製造例II-2及びII-3(非結晶性セルロース粉末の 製造)
 ボールミル処理における処理時間を変えた 外は、製造例II-1と同様にして、重合度等の 異なる非結晶性粉末セルロース(製造例II-2:結 晶化度0%、重合度=62、製造例II-3:結晶化度0%、 重合度=31)を製造した。

実施例II-1
 pHメータを備え付けた500mLセパラブルフラス コに、非晶化セルロース粉末(重合度=600)5g及 イオン交換水95gを仕込み、フットボール型 拌子を用いて200rpmの回転数で攪拌して非晶 セルロース粉末を分散させた。イオン交換 150gに2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジン-N-オ シル(TEMPO)0.095g、臭化ナトリウム1.25gを溶解 せた水溶液を非晶化セルロース分散液に投 し、氷冷下で攪拌し続けた。反応溶液の温 が5℃以下となった時点で、次亜塩素酸ナト リウム水溶液15gを非晶化セルロース分散液に 投入した。
 酸化反応が進行するに従い、pHが低下する め、非晶化セルロース分散液のpHを10.8付近 するため、0.5N NaOH(61.7mL)をマイクロチュー ポンプを用いて徐々に添加した。さらに次 塩素酸ナトリウム水溶液40gを1時間かけて添 し、pHを調整するために0.5N NaOHを添加し続 た。次亜塩素酸ナトリウム水溶液及び0.5N N aOHを全て添加した後、非晶化セルロース分散 液のほとんどが水に溶解していた。
 反応終了液は、エタノール3Lに注ぎ、ポリ ロン酸ナトリウムを沈殿させた。沈殿物を 取し、アセトン/水(体積比)=7/1の溶媒で洗浄 、さらにアセトンで洗浄した後、40℃で乾 して、微黄色のポリウロン酸ナトリウム6gを 得た。
 このポリウロン酸ナトリウムの生分解率は9 4%であった。

実施例II-2~II-3
 製造例II-2及びII-3で得られた非晶化セルロ ス(実施例II-2:重合度=62、実施例II-3:重合度=31 )を用いた以外は、実施例II-1と同様にしてポ ウロン酸ナトリウムを製造した。

実施例II-4
 pHメータを備え付けた500mLセパラブルフラス コに、とうもろこし澱粉(和光純薬工業株式 社製)5g及びイオン交換水95gを仕込み、フッ ボール型攪拌子を用いて200rpmの回転数で攪 してとうもろこし澱粉粉末を分散させた。 オン交換水150gに2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペ ジン-N-オキシル(TEMPO)0.095g、臭化ナトリウム1 .25gを溶解させた水溶液をとうもろこし澱粉 散液に投入し、氷冷下で攪拌し続けた。反 溶液の温度が5℃以下となった時点で、次亜 素酸ナトリウム水溶液15gをとうもろこし澱 分散液に投入した。
 酸化反応が進行するに従い、pHが低下する め、とうもろこし澱粉分散液のpHを10.8付近 するため、0.5N NaOH(43.2mL)をマイクロチュー ポンプを用いて徐々に添加した。さらに次 塩素酸ナトリウム水溶液23.5gを1時間かけて 加し、pHを調整するために0.5N NaOHを添加し けた。次亜塩素酸ナトリウム水溶液及び0.5N NaOHを全て添加した後、とうもろこし澱粉分 液のほとんどが水に溶解していた。
 反応終了液は、エタノール3Lに注ぎ、ポリ ロン酸ナトリウムを沈殿させた。沈殿物は 取し、アセトン/水(体積比)=7/1の溶媒で洗浄 、さらにアセトンで洗浄した後、40℃で乾 して、微黄色のポリウロン酸ナトリウム6gを 得た。
 このポリウロン酸ナトリウムの生分解率は9 8%であった。

実施例II-5
 原料多糖類としてグアガム(大日本住友製薬 株式会社製、商品名:ファイバロンS)に変更し た以外は、実施例II-4と同様にしてポリウロ 酸ナトリウムを製造した。

比較例II-1
 市販のアルギン酸ナトリウム(和光純薬工業 株式会社製)を使用した。
比較例II-2
 多糖類原料をデキストラン(和光純薬工業株 式会社製)に変更した以外は、実施例II-4と同 にしてデキストランの酸化を行った。しか ながら、次亜塩素酸ナトリウムの初期添加 よる反応溶液のpHは低下せず、酸化反応の 行がみられなかったため次亜塩素酸ナトリ ムのさらなる滴下は行わなかった。
比較例II-3
 市販のカルボキシルメチルセルロースナト ウム(CMC、日本製紙ケミカル社製、商品名: ンローズ(登録商標)APP-84)をそのまま使用し 。このCMCの生分解率は74%であった。

 実施例II-1~II-5及び比較例II-2で得られたポ リウロン酸ナトリウム、比較例II-1のアルギ 酸ナトリウム、及び比較例II-3のCMCについて 以下の方法で泥汚れ洗浄性能評価を行い、 浄率の増加率(%)を算出した。結果を表2に示 す。

<泥洗浄性能の評価方法>
 以下に示す洗浄剤を調製し、以下の方法に り泥汚れ布の洗浄力試験を行った。ポリマ を配合していない洗浄剤に対する実施例II-1 ~II-5及び比較例II-1~II-3のポリマーを配合した 浄剤の洗浄率向上率を表2に示す。

(洗浄剤組成)
 ポリオキシエチレン(P=2.5)アルキル(C12~C14)エ ーテル硫酸ナトリウム:25%
 ポリオキシエチレン(P=7)アルキル(C12~C14)エ テル:15%
 ポリウロン酸ナトリウム等のポリマー:6%、 :バランス

(泥汚れ汚染布の洗浄力試験)
 洗浄剤水溶液1Lに10cm×10cmの面の下記の泥汚 汚染布(人工汚染布)を5枚入れ、かき混ぜ式 浄力試験機(ターゴトメータ、株式会社上島 製作所製)を用いて、以下の条件で洗浄した
・泥汚れ汚染布(人工汚染布)
 鹿沼園芸用赤玉土を120℃±5℃で4時間乾燥後 、粉砕し、150メッシュ(100μm)パスのものを120 ±5℃で2時間乾燥後、±150gを1000Lのパークレ 中に分散して分散液を得た。得られた分散 に金巾#2023布を接触させた後、ブラッシン し、分散液を除去した後、布表面に過剰に 着した泥を取り除いて泥汚れ評価用の汚染 を得た。得られた泥汚れ汚染布を顕微鏡で 察すると、繊維に泥粒子がめり込んだ形状 付着しているものが多く見られ、日常生活 汚れの付着状態に近いものが得られている とが確認された。
・洗浄条件
  回転数:100rpm、洗浄時間:10分、洗浄濃度:0.1 33%、
  水の硬度:4°DH、水温:20℃、濯ぎ:水道水に 5分間
 洗浄力は汚染前の原布及び洗浄前後の汚染 の反射率を自記色彩計(株式会社島津製作所 製)にて測定し、下記式により、洗浄率(%)(汚 布5枚の測定平均)及び洗浄率の増加率(%)を 出した。

 表2の結果から、実施例のポリウロン酸塩 は、比較例のものに比べてビルダーとしての 泥洗浄性能が優れていることが分かる。

 本発明によれば、生分解性が良好な水溶性 リウロン酸塩を、環境負荷の少ない方法で 率的に製造する方法を提供することができ 。
 また、本発明によれば、生分解性が良好で 泥洗浄性能の優れた高分子ビルダー、及び の高分子ビルダーを含有する洗浄剤組成物 提供することができる。