KUROIWA YOSHIYUKI (JP)
JP2002364786A | 2002-12-18 | |||
JP2004025313A | 2004-01-29 |
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Sugioka Miki 2 (JP)
ねじ継ぎ手製品の表面にショットブラストによる脱スケールを実施した後、ねじ継ぎ手製品の表面を外削し、さらに、ねじ加工を施すことを特徴とするねじ継ぎ手製品の製造方法。 |
油井管ねじ継ぎ手であることを特徴とする請求項1に記載のねじ継ぎ手製品の製造方法。 |
マルテンサイト系ステンレス鋼を用いることを特徴とする請求項2に記載のねじ継ぎ手製品の製造方法。 |
本発明は、管端にねじ部を有する油井管 カップリングなどのねじ継ぎ手製品の製造 法に関する。
石油または天然ガスの掘削などに用いる 井管には、API規格のバットレスねじが採用 れてきた。近年の更なる深井戸化のため、 れまで以上にジョイントストレングスおよ 気密性の向上が求められている。エキスト ームライン角形ねじが採用されることもあ 。鋼管のねじは、通常、ターニングバイト どによって外削した後、チェザーによりね 形状の粗加工および仕上げ加工によって加 される。
本出願人は、特許文献1において、
ねじ下テーパ外径部を加工したのち、
所定形状の粗加工用チェザーを用いて1回以
上の粗ねじ加工を施したのち、
所定形状の仕上加工用チェザーを用いて1回
以上の仕上ねじ加工を施す、
ねじの切削加工方法に関する発明を開示し
いる。
上記の発明はチェザー自体の形状を調整 て、チェザーの寿命を改善するものである 本発明者らは、チェザー自体を改善するの はなく、外削工具の寿命を改善し、ひいて 、チェザーの寿命を更に向上させるべく、 意研究を行った結果、下記の知見を得た。
外削前の鋼管の表面には、酸化スケール 付着している。酸化スケールは主に熱間製 または熱処理時に生じる。この酸化スケー は硬質であるため、ターニングバイトその の外削工具の寿命を低下させる。外削工具 切削能力が低下し、削れなかった分は、チ ザーで削る必要が生じ、チェザーの寿命も 下させることになる。外削工具は、チェザ に比べると安価であるため、従来、外削工 の交換頻度を上げることで、チェザー寿命 の影響を低減していた。
酸化スケールを除去する方法としては、 ョットブラストなどの機械的除去手段が知 れている。一般に広く知られているように ショットブラストを行うと、ピーニング効 により鋼材の硬度が上昇する。このため、 管の外削前の処理としてショットブラスト の他の機械的除去手段が採用されることは かった。
しかし、本発明者らの研究により、ピー ング効果による鋼管表面の硬度の上昇の影 は、硬質酸化スケールの除去による硬度低 効果に比較すると小さいことが判明した。 して、本発明者らは、外削前の鋼管のねじ り部にショットブラストを実施することに り、外削工具の寿命を向上させ、ひいては チェザーの寿命も向上させることができる とを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、外削工具の寿命を向上させ、 いては、チェザーの寿命も向上させること できるねじ継ぎ手製品の製造方法を提供す ことを目的とする。
本発明は、上記の課題を解決するために されたものであり、「ねじ継ぎ手製品の表 にショットブラストによる脱スケールを実 した後、ねじ継ぎ手製品の表面を外削し、 らに、ねじ加工を施すことを特徴とするね 継ぎ手製品の製造方法。」を要旨とする。
本発明のねじ継ぎ手製品の製造方法は、 に、油井管ねじ継ぎ手製品、中でも、油井 マルテンサイト系ステンレス鋼管のねじ継 手製品を製造する場合に有効である。
本発明によれば、外削工具の寿命を向上 せ、ひいては、チェザーの寿命も向上させ ことができるので、油井管ねじ継ぎ手その のねじ継ぎ手製品の生産性を改善するとと に、生産コストを低減することができる。
本発明においては、ねじ継ぎ手製品の表 にショットブラストによる脱スケールを実 した後、外削し、ねじ加工を施すこととし いる。このように、外削前にショットブラ トによってスケールを除去すれば、外削工 寿命を向上させることができる。
<ショットブラスト工程>
ショット粒の投射方式には特に制約はない
、インペラーの遠心力により投射材を投射
、コントロールゲージで投射角度を決めて
射する機械式、圧縮空気により投射材を投
する空気式(エアーブラストと呼ばれる)、
に投射材を混合噴射して加工を行う湿式(ウ
ットブラストと呼ばれる)などいずれの方式
を採用しても良い。このうち、空気式を用い
るのが望ましい。
ショット粒としては、金属ワイヤーを切 したカットワイヤーやその角を丸めた粒子 アトマイズ法により作製された鋳鉄または 鋼の球形粒子(スチールショット、スチール ビーズ)などを用いることができる。また、 ルミナ、炭化ケイ素(SiC)などの十分な硬度を 有するセラミックスの球形粒子または微粉末 などからなるショット粒を用いることもでき る。あまりに硬質のショット粒を用いると、 鋼材の外削される面の硬度が上昇しすぎるた め、ショット粒としては、その硬度が2050HV以 下のものを用いるのが望ましい。例えば、ス チールビーズ、アルミナなどを用いるのがよ い。
ショットブラスト粒としては、その平均 径が300~2500μmのものを用いるのがよい。そ 平均粒径が300μm未満では、一粒一粒のショ ト粒の持つエネルギーが少なくなり、脱ス ール力が低下する、すなわち、脱スケール 率が悪くなるという問題が生じるおそれが る。一方、その平均粒径が2500μmを超えると 一粒一粒のショット粒が大きいため、表面 粗くなる場合がある。
ショットブラスト粒の投射速度は、50~150m /sとするのがよい。50m/s未満では、一粒一粒 ショット粒の持つエネルギーが少なくなり 脱スケール力が低下する、すなわち、脱ス ール効率が悪くなるおそれがある。しかし 150m/sを超えると、製品だけでなく設備への 荷が大きくなり、消耗品交換や補修に追わ 脱スケール能率が低下するおそれがある。
ショットブラスト粒の投射角度は、20~40° とするのが望ましい。20°未満では、ショッ ピーニング効果の影響が過剰となるおそれ ある。一方、40°を超えると、スケールを剥 するエネルギーが低下する、すなわち、脱 ケール効率が悪くなるという問題が生じる それがある。
ショットブラスト粒の投射密度は、50~200kg/m 2 とするのがよい。50kg/m 2 未満では、脱スケールが十分に完了せず、ス ケールが残ってしまうという問題が生じるお それがある。200kg/m 2 を超えると、スケールが除去された後もショ ットを継続する、過剰ショットの状態になる ことに加え、製品表面を粗くしてしまうおそ れがある。
<外削工程>
外削工程に用いる工具としては、通常用い
れているものを用いる。例えば、高速度鋼
しくは超硬合金、またはれれらの先端によ
硬い材質を刃先としてろう付けしたターニ
グバイトなどを用いることができる。
<ねじ山加工工程>
ねじ山の加工には、複数のねじ山が形成さ
たチェザーを用いる。一つのチェザーを用
て、荒削りから仕上げまですることとして
良い。また、例えば、特許文献1に記載され
ているように、切れ刃の追い側フランクのね
じ継手の軸に対する反管端側角度が鈍角また
は直角で、進み側フランクのねじ継手の軸に
対する反管端側角度が鋭角な鋸歯ねじ形状の
切れ刃を3山以上有する粗加工用チェザーを
いて1回以上の粗ねじ加工を施したのち、切
刃の進み側フランクおよび追い側フランク
ねじ継手の軸に対する反管端側角度が鋭角
仕上角形ねじ形状と同一のねじ山形切れ刃
1山以上有する仕上加工用チェザーを用いて
1回以上の仕上ねじ加工を施すこととしても
い。
<対象とするねじ継ぎ手製品>
本発明は、ねじ継ぎ手製品の中でも、特に
油井管ねじ継ぎ手製品を対象とする。油井
には特に高い強度および耐食性が要求され
高合金鋼が用いられる。このため、表面に
成されるスケール中にCrその他のスケール
硬度を上昇させる元素が含まれる。従って
井管は、本発明における外削前のショット
ラストの効果が得られ易い。油井用鋼とし
は、マルテンサイト系ステンレス鋼、特に
Cr:11~14%およびNi:4~7%を含有するマルテンサイ
系ステンレス鋼が挙げられる。ねじ継ぎ手
品には、鋼管の他、カップリングも含まれ
。
本発明による外削工具の寿命向上効果を 査するべく、マルテンサイト系ステンレス (C:0.009%、Si:0.20%、Mn:0.44%、P:0.017%、S:0.0008%、C u:0.23%、Cr:12.05%、Ni:5.49%およびMo:1.92%を含有し 残部はFeおよび不純物からなる鋼)管の管端 、ターニングバイトを用いてねじ下テーパ 径部を形成するときの切削抵抗を測定する 験を行った。切削は、100m/分、150m/分および 200m/分の3通りの切削速度で行った。下記の条 件でショットブラストを実施した場合と実施 しなかった場合について、切削抵抗を比較し た図を図1に示す。
<ショットブラスト条件>
粒の種類:アルミナ(AL 2
O 3
)
粒の平均粒径:#16(1000~1400μm)
投射速度:100m/s
投射角度:30°
投射密度:70kg/m 2
なお、図1に示すのは、ショットブラスト を実施していない鋼管を100m/sの切削速度で加 工した場合の切削抵抗を1としたときのそれ れの条件における切削抵抗の比である。
図1に示すように、ショットブラストを実 施した鋼管は、ショットブラストを実施して いない鋼管に比べ、切削速度に関わらず切削 抵抗が低い値を示した。
本発明によれば、外削工具の寿命を向上 せ、ひいては、チェザーの寿命も向上させ ことができるので、油井管ねじ継ぎ手その のねじ継ぎ手製品の生産性を改善するとと に、生産コストを低減することができる。