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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR MANUFACTURING SEMICONDUCTOR CHIP, ADHESIVE FILM FOR SEMICONDUCTOR, AND COMPOSITE SHEET USING THE FILM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/126718
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a method for obtaining semiconductor chips from a semiconductor wafer at high yield while sufficiently suppressing generation of chip cracks and burrs. The method for manufacturing the semiconductor chips is provided with a step of preparing a laminated body by laminating a semiconductor wafer, an adhesive film for semiconductor and a dicing tape in this order, dividing the semiconductor wafer into semiconductor chips and forming a cut section so that a part of the adhesive film remains uncut in the thickness direction. The method is also provided with a step of dividing the adhesive film along the cut section by stretching the dicing tape in a direction of separating the semiconductor chips one from the other. The adhesive film for semiconductor has a tensile rupture elongation of less than 5%, which is less than 110% of the elongation with the maximum load.

Inventors:
NAKAMURA YUUKI (JP)
KITAKATSU TSUTOMU (JP)
KATAYAMA YOUJI (JP)
HATAKEYAMA KEIICHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/056361
Publication Date:
October 23, 2008
Filing Date:
March 31, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HITACHI CHEMICAL CO LTD (JP)
NAKAMURA YUUKI (JP)
KITAKATSU TSUTOMU (JP)
KATAYAMA YOUJI (JP)
HATAKEYAMA KEIICHI (JP)
International Classes:
H01L21/301; C09J7/00; C09J201/00; H01L21/52
Domestic Patent References:
WO2004109786A12004-12-16
Foreign References:
JP2006203133A2006-08-03
JP2007335643A2007-12-27
JP2002192370A2002-07-10
JP2003338467A2003-11-28
Attorney, Agent or Firm:
HASEGAWA, Yoshiki et al. (Ginza First Bldg. 10-6Ginza 1-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
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Claims:
 半導体ウェハ、半導体用接着フィルム及びダイシングテープがこの順で積層され、前記半導体用接着フィルムが5%未満の引張破断伸度を有し該引張破断伸度が最大荷重時の伸度の110%未満であり、前記半導体ウェハが複数の半導体チップに分割されるとともに前記半導体用接着フィルムの厚さ方向の少なくとも一部が切断されずに残るように前記半導体ウェハ側から切り込みが形成されている積層体を準備する工程と、
 前記ダイシングテープを前記複数の半導体チップが互いに離れる方向に引き伸ばすことにより、前記半導体用接着フィルムを前記切り込みに沿って分割する工程と、
を備える半導体チップの製造方法。
 半導体ウェハ、半導体用接着フィルム及びダイシングテープがこの順で積層され、前記半導体用接着フィルムが5%未満の引張破断伸度を有し該引張破断伸度が最大荷重時の伸度の110%未満であり、前記半導体ウェハを複数の半導体チップに分画する線に沿ってレーザー加工により前記半導体ウェハに改質部が形成されている積層体を準備する工程と、
 前記ダイシングテープを前記複数の半導体チップが互いに離れる方向に引き伸ばすことにより、前記半導体ウェハを前記複数の半導体チップに分割するとともに前記半導体用接着フィルムを前記改質部に沿って分割する工程と、
を備える半導体チップの製造方法。
 前記半導体用接着フィルムが、熱可塑性樹脂、熱硬化性成分及びフィラーを含有し、前記フィラーの含有量が当該半導体用接着フィルムの質量に対して30質量%未満である、請求項1又は2記載の製造方法。
 前記積層体を準備する工程が、前記半導体用接着フィルムを100℃以下の温度で前記半導体ウェハに貼り付ける工程を含む、請求項1又は2記載の製造方法。
 5%未満の引張破断伸度を有し該引張破断伸度が最大荷重時の伸度の110%未満である、請求項1又は2記載の製造方法に用いるための半導体用接着フィルム。
 100℃以下で半導体ウェハに貼り付け可能である、請求項5記載の半導体用接着フィルム。
 熱可塑性樹脂、熱硬化性成分及びフィラーを含有し、前記フィラーの含有量が当該半導体用接着フィルムの質量に対して30質量%未満である、請求項5記載の半導体用接着フィルム。
 請求項5記載の半導体用接着フィルムと、
 該半導体用接着フィルムの一方面側に積層されたダイシングテープと、
を備える複合シート。
Description:
半導体チップの製造方法、並び 半導体用接着フィルム及びこれを用いた複 シート

 本発明は、半導体チップの製造方法、並 に半導体用接着フィルム及びこれを用いた 合シートに関する。

 半導体チップを支持部材に実装する際、 導体チップと支持部材とを接着するダイボ ディング材として、従来は主に銀ペースト 用いられてきた。しかし、半導体チップの 型化・高性能化、並びに使用される支持部 の小型化・細密化にともなって、銀ペース を用いる方法では、ペーストのはみ出しや 半導体チップの傾きに起因するワイヤボン ィング時の不具合の発生のような問題が顕 化している。そのため、近年は銀ペースト 代えて接着フィルム(半導体用接着フィルム )が使用されるようになってきた。

 接着フィルムを使用して半導体装置を得 方式としては、個片貼り付け方式及びウェ 裏面貼り付け方式がある。

 個片貼り付け方式では、リール状の接着 ィルムからカッティング又はパンチングに って個片を切り出し、この接着フィルムの 片を支持部材に接着する。支持部材に接着 れた接着フィルムを介して、別途ダイシン 工程によって個片化された半導体チップが 持部材に接合される。その後、必要に応じ ワイヤボンド工程、封止工程などを経て半 体装置が得られる。しかし、個片貼り付け 式の場合、接着フィルムを個片に切り出し 支持部材に接着するための専用の組立装置 必要であることから、銀ペーストを使用す 方法に比べて製造コストが高くなるという 題があった。

 ウェハ裏面貼り付け方式では、まず、半 体ウェハの裏面に接着フィルム及びダイシ グテープをこの順で貼り合わせる。そして 半導体ウェハをダイシングして複数の半導 チップに分割するとともに、接着フィルム それぞれの半導体チップ毎に切断する。そ 後、半導体チップをその裏面に積層された 着フィルムとともにピックアップし、接着 ィルムを介して半導体チップを支持部材に 合する。その後、更に加熱、硬化、ワイヤ ンドなどの工程を経て半導体装置が得られ 。ウェハ裏面貼り付け方式の場合、接着フ ルムを個片化するための組立装置を必要と ず、従来の銀ペースト用の組立装置を、そ まま又は熱盤を付加するなどの装置の一部 改良することにより使用できる。そのため 接着フィルムを用いた方法の中では、製造 ストが比較的安く抑えられる方法として注 されている。

 一方、近年、半導体ウェハをダイシングす 方法として、半導体ウェハにレーザー光を 射することにより半導体ウェハ内部に選択 に改質部を形成し、改質部に沿って半導体 ェハを切断するステルスダイシングという 法が提案されている(特許文献1、2)。この方 法では、例えば、ダイシングテープを引き伸 ばして半導体ウェハに応力を負荷することに より、改質部に沿って半導体ウェハが複数の 半導体チップに分割される。

特開2002-192370号公報

特開2003-338467号公報

 上記ウェハ裏面貼り付け方式の場合、半 体ウェハのダイシングの際に接着フィルム 同時に切断することが必要とされる。しか 、ダイヤモンドブレードを用いた一般的な イシング方法により半導体ウェハ及び接着 ィルムを同時に切断すると、切断後の半導 チップ側面においてクラック(チップクラッ ク)が発生したり、切断面において接着フィ ムがささくれ立ってバリが多く発生したり るという問題があった。このチップクラッ やバリが存在すると、半導体チップをピッ アップする際に半導体チップが割れ易くな て、歩留が低下する。

 上記のステルスダイシングによれば、ダ シングにともなうチップクラックやバリの 生はある程度抑制されることが期待される しかし、レーザー加工により半導体ウェハ 改質部を形成してからダイシングテープを き伸ばして半導体ウェハを分割する方法の 合、ダイシングテープの引き伸ばしだけで 導体用接着フィルムを完全に分断すること 困難であり、半導体チップを歩留よく得る とが実際には困難であることが明らかとな た。

 そこで、本発明の目的は、チップクラッ やバリの発生を十分に抑制しながら、半導 ウェハから半導体チップを歩留よく得るこ を可能にするための方法を提供することに る。また、本発明は、係る方法に好適に用 られる半導体用接着フィルム及び複合シー を提供することを目的とする。

 一つの側面において、本発明は半導体チ プの製造方法に関する。本発明に係る製造 法は、半導体ウェハ、半導体用接着フィル 及びダイシングテープがこの順で積層され 半導体用接着フィルムが5%未満の引張破断 度を有し該引張破断伸度が最大荷重時の伸 の110%未満であり、半導体ウェハが複数の半 体チップに分割されるとともに半導体用接 フィルムの厚さ方向の少なくとも一部が切 されずに残るように半導体ウェハ側から切 込みが形成されている積層体を準備する工 と、ダイシングテープを複数の半導体チッ が互いに離れる方向に引き伸ばすことによ 、半導体用接着フィルムを切り込みに沿っ 分割する工程とを備える。

 上記本発明に係る製造方法においては、 導体用接着フィルムが完全に切断されるこ なくつながった状態の積層体が準備される その上で、ダイシングテープの引き伸ばし よって半導体用接着フィルムが分割される 係る方法において、上記特定の引張破断伸 を有する半導体用接着フィルムを採用した とにより、チップクラックやバリの発生を 分に抑制しながら、半導体ウェハから半導 チップを歩留よく得ることが可能になった

 本発明に係る半導体チップの製造方法は 半導体ウェハ、半導体用接着フィルム及び イシングテープがこの順で積層され、半導 用接着フィルムが5%未満の引張破断伸度を し該引張破断伸度が最大荷重時の伸度の110% 満であり、半導体ウェハを複数の半導体チ プに分画する線に沿ってレーザー加工によ 半導体ウェハに改質部が形成されている積 体を準備する工程と、ダイシングテープを 数の半導体チップが互いに離れる方向に引 伸ばすことにより、半導体ウェハを複数の 導体チップに分割するとともに半導体用接 フィルムを改質部に沿って分割する工程と 備えていてもよい。

 上記本発明に係る製造方法の場合、レー ー加工により半導体ウェハに改質部を形成 てから半導体ウェハを分割する方法を採用 たことにより、ダイシングブレード等を用 る従来の方法と比較して、チップクラック バリの発生が十分に抑制される。更に、係 方法において上記特定の引張特性を有する 導体用接着フィルムを採用したことにより ダイシングテープの引き伸ばしにより半導 用接着フィルムが効率的かつ確実に分断さ 、その結果半導体チップを歩留よく得るこ が可能になった。

 上記半導体用接着フィルムは、熱可塑性 脂、熱硬化性成分及びフィラーを含有し、 ィラーの含有量が当該半導体用接着フィル の質量に対して30質量%未満であることが好 しい。フィラーの含有量をある程度低く抑 つつ、上記特定の引張特性を半導体用接着 ィルムに付与することにより、実装後のリ ロークラックの発生が抑制される。

 上記いずれかの製造方法において、積層 を準備する工程は、半導体用接着フィルム 100℃以下の温度で半導体ウェハに貼り付け 工程を含むことが好ましい。半導体用接着 ィルムの温度を比較的低く保持しながら半 体用接着フィルムを半導体ウェハに貼り付 ることにより、半導体ウェハの反りや、ダ シングテープやバックグラインドテープの 履歴に起因する損傷が十分に抑制される。

 別の側面において、本発明は半導体用接 フィルムに関する。本発明に係る半導体用 着フィルムは、5%未満の引張破断伸度を有 、該引張破断伸度が最大荷重時の伸度の110% 満である。係る半導体用接着フィルムを上 本発明に係る製造方法において用いること より、チップクラックやバリの発生を十分 抑制しながら、半導体ウェハから半導体チ プを歩留よく得ることが可能になる。

 上記本発明に係る半導体用接着フィルム 、100℃以下で半導体ウェハに貼り付け可能 あることが好ましい。

 上記本発明に係る半導体用接着フィルム 、熱可塑性樹脂、熱硬化性成分及びフィラ を含有し、フィラーの含有量が当該半導体 接着フィルムの質量に対して30質量%未満で ることが好ましい。フィラーの含有量をあ 程度低く抑えつつ、上記特定の引張特性を 導体用接着フィルムに付与することにより リフロークラックの発生が更に抑制される

 更に別の側面において、本発明は、上記 発明に係る半導体用接着フィルムと、該半 体用接着フィルムの一方面側に積層された イシングテープとを備える複合シートに関 る。係る複合シートを用いることにより、 略な工程でより効率的に半導体チップ及び 導体装置を得ることが可能になる。

 本発明によれば、チップクラックやバリ 発生を十分に抑制しながら、半導体ウェハ ら半導体チップを歩留よく得ることが可能 ある。

第一実施形態に係る半導体チップの製 方法を示す端面図である。 第一実施形態に係る半導体チップの製 方法を示す端面図である。 第一実施形態に係る半導体チップの製 方法を示す端面図である。 第一実施形態に係る半導体チップの製 方法を示す端面図である。 第一実施形態に係る半導体チップの製 方法を示す端面図である。 第二実施形態に係る半導体チップの製 方法を示す端面図である。 第二実施形態に係る半導体チップの製 方法を示す端面図である。 第二実施形態に係る半導体チップの製 方法を示す端面図である。 第二実施形態に係る半導体チップの製 方法を示す端面図である。 半導体装置の一実施形態を示す断面図 である。 半導体用接着フィルムの引張試験にお ける応力-ひずみ曲線を示す図である。 半導体用接着フィルムの引張試験にお ける応力-ひずみ曲線を示す図である。 半導体用接着フィルムの引張試験にお ける応力-ひずみ曲線を示す図である。 チップ引き剥がし試験を行うための測 定装置を示す模式図である。

符号の説明

 1…半導体ウェハ、1a…改質部、2…半導体 用接着フィルム、3…ダイシングテープ、4… イシングブレード、5…分割予定線、7…配 付基材、8…ボンディングワイヤ、9…封止樹 脂層、10,10a,10b…半導体チップ、20…積層体、 40…切り込み、100…半導体装置。

 以下、本発明の好適な実施形態について 細に説明する。ただし、本発明は以下の実 形態に限定されるものではない。

(第一実施形態)
 図1、2、3、4及び5は、第一実施形態に係る 導体チップの製造方法を示す端面図である 本実施形態に係る半導体チップの製造方法 、半導体ウェハ1、半導体用接着フィルム2及 びダイシングテープ3がこの順で積層された 層体20を準備する工程(図1)と、積層体20に半 体ウェハ1側から切り込み40を形成する工程( 図2、3)と、半導体用接着フィルム2を切り込 40に沿って分割する工程(図4)と、半導体チッ プ10を半導体用接着フィルム2とともにピック アップする工程(図5)とを備える。

 図1の積層体20は、半導体ウェハ1の裏面に 半導体用接着フィルム2及びダイシングテー 3をこの順で貼り付けるか、又は半導体用接 フィルム2及びダイシングテープ3が積層さ た複合シートを半導体用接着フィルム2が半 体ウェハ1側に位置する向きで半導体ウェハ 1の裏面に貼り付ける方法で準備される。

 半導体ウェハ1としては、単結晶シリコン の他、多結晶シリコン、各種セラミック、ガ リウム砒素などの化合物半導体などから構成 されるウェハが使用される。ダイシングテー プ3は、固定用のリングに対して固定可能な 度の粘着性を有し、半導体用接着フィルム2 分断されるように引き伸ばすことが可能な のであれば、特に制限なく用いられる。例 ば、塩化ビニル系テープをダイシングテー として用いることができる。半導体用接着 ィルム2の詳細については後述する。

 半導体用接着フィルム2又はこれを有する 複合シートを半導体ウェハ1に貼り付ける際 半導体用接着フィルムの温度は0~100℃に保持 されることが好ましい。このように比較的低 い温度で半導体用接着フィルム2を貼り付け ことにより、半導体ウェハ1の反りや、ダイ ングテープやバックグラインドテープの熱 歴に起因する損傷が十分に抑制される。同 の観点から、上記温度は、より好ましくは1 5℃~95℃、更に好ましくは20℃~90℃である。

 積層体20に対して、半導体ウェハ1が複数 半導体チップ10に分割されるとともに半導 用接着フィルム2の厚さ方向の一部が切断さ ずに残るように、ダイシングブレード4を用 いて半導体ウェハ1側から切り込み40が形成さ れる(図2)。言い換えると、半導体ウェハ1は 全に切断され、半導体ウェハ1が切断される に沿って半導体用接着フィルム2がハーフカ ットされる。

 図3は、積層体20に形成された切り込み40 傍を示す拡大端面図である。「ハーフカッ 」は、半導体用接着フィルム2の厚さT1及び 導体用接着フィルム2が切り込まれる深さT2 、T2/T1<1の関係を満たすことを意味する。T 2/T1は好ましくは1/5~4/5、より好ましくは1/4~3/4 、さらに好ましくは1/3~2/3である。T2が小さく なると、半導体用接着フィルム2を切り込み40 に沿って分割したときにバリの発生が妨げら れる傾向がある一方で、ダイシングテープ3 引き伸ばすこと、更には半導体チップ10をピ ックアップする際の突き上げ高さを高くする ことによっても、半導体用接着フィルム2を 全に分断することが困難になる傾向がある また、T2が大きくなるとダイシングテープを 引き伸ばす量(以下場合により「エキスパン 量」という。)が小さくても、または半導体 ップ10をピックアップする際の突き上げ高 が低くても、ダイボンドフィルムを完全に 断し易い傾向がある。ただし、T2が過度に大 きくなると、バリ抑制の効果が小さくなって 、半導体装置製造の歩留まりが低下する傾向 がある。

 切り込み40の形成の後、ダイシングテー 3を、複数の半導体チップ10が互いに離れる 向、すなわちダイシングテープ3の主面に沿 方向(図2の矢印の方向)に引き伸ばして、半 体用接着フィルム2が分割される(図4)。その 結果、半導体チップ10及びこれに貼り付けら た半導体用接着フィルム2を有する接着フィ ルム付き半導体チップが、ダイシングテープ 3上に配列した状態になる。

 エキスパンド量は、引き伸ばした後のダイ ングテープ3の幅(最大幅)R 1 と、初期のダイシングテープ3の幅(最大幅)R 0 (図2参照)との差である。このエキスパンド量 は、好ましくは2mm~10mm、より好ましくは2mm~8mm 、更に好ましくは2mm~7mmである。本実施形態 ように、半導体用接着フィルム2に切込みが 成されている場合、切断のきっかけが存在 ることから、後述の第二実施形態のように 導体用接着フィルム2が全く切断されていな い場合に比べてエキスパンド量は少なくてよ い。

 ダイシングテープ3を引き伸ばした後、半 導体チップ10がその裏面に貼り付けられた半 体用接着フィルム2とともにピックアップさ れる(図5)。ピックアップする半導体チップ10 位置において、ダイシングテープ3を半導体 チップ10とは反対側から所定の高さまで突き げてもよい。ピックアップされた半導体チ プ10は、その裏面に貼り付けられた半導体 接着フィルム2をダイボンディング材として いることにより各種支持部材等に搭載され 。ピックアップ後の工程については後述す 。

 以下、半導体用接着フィルム2の詳細につ いて説明する。

 半導体用接着フィルム2は、引張破断伸度 が比較的短いことが一つの特徴である。半導 体用接着フィルム2は、引張試験において降 することなく、又は最大荷重を経て降伏し 直後に破断する。このような引張特性を有 ていることにより、半導体用接着フィルム2 、引張応力によって破断したときに破断面 ささくれ立ちにくく、バリの発生が十分に 制される。

 より具体的には、半導体用接着フィルム2 の引張破断伸度は好ましくは5%未満である。 た、半導体用接着フィルム2の引張破断伸度 は、引張試験における最大荷重時の伸度に対 して好ましくは110%未満である。半導体用接 フィルム2がこのような引張特性を有するこ により、少ないエキスパンド量で半導体用 着フィルム2を効率よく且つ確実に分断する ことができる。

 引張破断伸度が5%以上であると、半導体 接着フィルム2を完全に分断するためには、 イシングテープ3のエキスパンド量を通常以 上に大きくすることが必要とされる。また、 引張破断伸度の最大荷重時の伸度に対する割 合が110%以上であることは、降伏状態が長い と、又はネッキングが起こりやすいことに 応し、この場合、半導体用接着フィルム2を バリを抑制しながら完全に分断することが 難になる傾向がある。

 上記と同様の観点から、引張破断伸度は より好ましくは4%未満、さらに好ましくは3. 5%未満である。同様に、引張破断伸度の最大 重時の伸度に対する比率は、より好ましく 108%未満、さらに好ましくは105%未満である なお、係る比率は、引張破断伸度と最大荷 時の伸度が一致するときに、最低値である10 0%となる。

 最大応力、最大荷重伸度及び引張破断伸度 、Bステージ状態の半導体用接着フィルムか ら切り出された、幅5mm、長さ50mm、厚さ25μmの サイズを有する短冊状の試験片を用いて、25 の環境下で、以下の条件で引張試験を行う とにより求められる。
引張試験機:SIMADZU製100Nオートグラフ「AGS-100NH 」
チャック間距離(試験開始時):30mm
引張速度:5mm/分

 引張試験によって得られた応力-ひずみ曲線 から、最大荷重、最大荷重時のチャック間長 さ、及び破断時のチャック間長さを読み取り 、これらの値と試料断面積の実測値を用いて 、下記式により最大応力、最大荷重伸度及び 引張破断伸度を算出する。
最大応力(Pa)=最大荷重(N)/試料の断面積(m 2 )
最大荷重時の伸度(%)={(最大荷重時のチャック 間長さ(mm)-30)/30}×100
引張破断伸度(%)={(破断時のチャック間長さ(mm )-30)/30}×100

 通常、複数の試験片について測定を行い その平均値をその半導体用接着フィルムの 張特性として記録する。再現性の観点から 引張試験は上記条件で行うことが好ましい 、実質的に同一の試験結果を与える他の条 に変更してもよい。

 半導体用接着フィルム2は、好ましくは、 熱可塑性樹脂、熱硬化性成分及びフィラーを 含有する。これらの成分によって半導体用接 着フィルム2を構成し、各成分の種類及び配 量を調整することにより、上記特定の引張 性を有する半導体用接着フィルム2が得られ 。

 半導体用接着フィルムを構成する熱可塑 樹脂は、60℃以下のガラス転移温度(Tg)を有 ることが好ましい。また、300℃以上の耐熱 を有する熱可塑性樹脂が好ましい。好適な 可塑性樹脂の具体例としては、ポリイミド 脂、ポリアミドイミド樹脂、フェノキシ樹 、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂及びウレ ン樹脂が挙げられる。これらを1種又は複数 組合わせて用いることができる。これらの中 でも、ポリイミド樹脂が特に好ましい。ポリ イミド樹脂を用いることにより、フィラーの 含有量をある程度小さく維持しながら、上述 のような引張特性を半導体用接着フィルム2 容易に付与することができる。

 熱硬化性成分は、加熱により架橋して硬 体を形成し得る成分であり、例えば、熱硬 性樹脂及びその硬化剤から構成される。熱 化性樹脂としては、従来公知のものを使用 ることができ、特に制限はないが、中でも 導体周辺材料としての利便性(高純度品の入 手容易、品種が多い、反応性制御しやすい) 点で、エポキシ樹脂、及び1分子中に少なく も2個の熱硬化性イミド基を有するイミド化 合物が好ましい。エポキシ樹脂は、通常エポ キシ樹脂硬化剤と併用される。

 エポキシ樹脂は、好ましくは2個以上のエ ポキシ基を有する化合物である。硬化性や硬 化物特性の点から、フェノールのグリシジル エーテル型のエポキシ樹脂が好ましい。フェ ノールのグリシジルエーテル型のエポキシ樹 脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビ フェノールAD、ビスフェノールS、ビスフェ ールF又はハロゲン化ビスフェノールAとエピ クロルヒドリンの縮合物、フェノールノボラ ック樹脂のグリシジルエーテル、クレゾール ノボラック樹脂のグリシジルエーテル、及び ビスフェノールAノボラック樹脂のグリシジ エーテルが挙げられる。これらの中でも、 ボラック型エポキシ樹脂(クレゾールノボラ ク樹脂のグリシジルエーテル及びフェノー ノボラック樹脂のグリシジルエーテル等)は 、硬化物の架橋密度が高く、フィルムの熱時 の接着強度を高くすることができる点で好ま しい。これらは単独で又は二種類以上を組み 合わせて使用することができる。

 エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、 ェノール系化合物、脂肪族アミン、脂環族 ミン、芳香族ポリアミン、ポリアミド、脂 族酸無水物、脂環族酸無水物、芳香族酸無 物、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジ 、三フッ化ホウ素アミン錯体、イミダゾー 類、及び第3級アミンが挙げられる。これら の中でもフェノール系化合物が好ましく、そ の中でも2個以上のフェノール性水酸基を有 るフェノール系化合物が特に好ましい。よ 具体的には、ナフトールノボラック樹脂及 トリスフェノールノボラック樹脂が好まし 。これらのフェノール系化合物をエポキシ 脂硬化剤として用いると、パッケージ組み てのための加熱の際のチップ表面及び装置 汚染や、臭気の原因となるアウトガスの発 を有効に低減できる。

 フィラーの含有量を調整することにより 半導体用接着フィルムの引張特性を制御す ことができる。フィラーの含有量を多くす と、引張破断伸度が小さくなる傾向、及び 張破断伸度の最大荷重時の伸度に対する比 が小さくなる傾向がある。また、フィラー 適量用いることにより、取扱い性の向上、 伝導性の向上、溶融粘度の調整、チクソト ピック性の付与などの効果を得ることも可 である。

 上記目的の観点から、フィラーは無機フ ラーであることが好ましい。より具体的に 、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ 、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケ 酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化 ルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、 化アルミニウム、ほう酸アルミウイスカ、 化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ及 アンチモン酸化物からなる群より選ばれる なくとも1種の無機材料を含む無機フィラー が好ましい。これらの中でも、熱伝導性向上 のためには、アルミナ、窒化アルミニウム、 窒化ホウ素、結晶性シリカ及び非晶性シリカ が好ましい。溶融粘度の調整やチクソトロピ ック性の付与の目的には、水酸化アルミニウ ム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、 炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ 酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグ ネシウム、アルミナ、結晶性シリカ及び非晶 性シリカが好ましい。また、耐湿性を向上さ せるためには、アルミナ、シリカ、水酸化ア ルミニウム及びアンチモン酸化物が好ましい 。複数種類のフィラーを混ぜて使用してもよ い。

 フィラーの含有量が多くなると、引張破 伸度が小さくなるとともに弾性率が高くな て破断強度が上昇する傾向がある一方で、 着性の低下によって耐リフローククラック が低下する傾向がある。特に、有機基板の うな表面に凹凸が形成されている被着体と 導体チップの間でリフロー時に破壊が進行 易くなる傾向がある。また、フィラーの含 量が多くなると、HAST試験等の高温高湿環境 下における信頼性試験に対する耐性が低下す る傾向もある。更に、フィラーの含有量が多 くなると、半導体用接着フィルムを半導体ウ ェハへ貼り付け可能な温度も上昇してしまう 傾向がある。以上のような事情を鑑みると、 フィラーの含有量は、半導体用接着フィルム の全質量に対して好ましくは30質量%未満、よ り好ましくは25質量%未満。更に好ましくは20 量%未満である。

 半導体用接着フィルム2は、100℃以下の温 度で被着体である半導体ウェハに貼り付け可 能であることが好ましい。ここで、所定の温 度に保持された半導体用接着フィルムを半導 体ウェハに貼り付けたときに、半導体用接着 フィルムと半導体ウェハの界面におけるピー ル強度が20N/m以上であれば、半導体ウェハに り付け可能であると判断される。半導体用 着フィルムは、例えば、100℃以下の温度に 定されたホットロールラミネータを用いて 導体ウェハに貼り付けられる。ピール強度 測定は、25℃の雰囲気中、引張り角度90°、 張り速度50mm/分として行われる。例えば、 ィラーの含有量を小さくしたり、低いTgを有 する熱可塑性樹脂を用いたりすることにより 、100℃以下で半導体ウェハに貼り付け可能な 半導体用接着フィルムが得られる。半導体用 接着フィルム2が半導体ウェハに貼り付け可 な温度は、より好ましくは95℃以下、更に好 ましくは90℃以下である。

 半導体用接着フィルム2は、半導体チップ 搭載用支持部材に半導体チップを搭載する場 合に要求される耐熱性および耐湿性を有する ことが好ましい。その為、耐リフロークラッ ク性試験をパスしていることが好ましい。接 着強度を指標にして半導体用接着フィルムの 耐リフロークラック性を評価することができ る。良好な耐リフロークラック性を得るため には、4×2mm角の接着面積で半導体用接着フィ ルムを半導体ウェハに接着したときに、ピー ル強度が初期に1.0kg/cm以上、85℃/85%の雰囲気 で48時間放置した後に0.5kg/cm以上であること が好ましい。初期のピール強度は1.3kg/cm以上 あることがより好ましく、1.5kg/cmであるこ が更に好ましくい。85℃/85%の雰囲気下で48時 間放置した後のピール強度は0.7kg/cm以上であ ことがより好ましく、0.8kg/cm以上であるこ が更に好ましい。

 半導体用接着フィルム2は、例えば、熱可 塑性樹脂、熱硬化性成分、フィラー及びこれ らを溶解又は分散する有機溶剤を含有する塗 工液を基材フィルムに塗付し、基材フィルム 上の塗工液から加熱により有機溶剤を除去す る方法で得ることができる。

 有機溶媒は、材料を均一に溶解又は分散 きるものであれば制限はなく、例えば、ジ チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシ 、ジエチレングリコールジメチルエーテル トルエン、ベンゼン、キシレン、メチルエ ルケトン、テトラヒドロフラン、エチルセ ソルブ、エチルセロソルブアセテート、ブ ルセロソルブ、ジオキサン、シクロヘキサ ン及び酢酸エチルが挙げられる。これらは 独で又は二種類以上を組み合わせて使用す ことができる。

 基材フィルムは、有機溶剤の除去のため 加熱に耐えるものであれば特に限定するも ではない。基材フィルムの例としては、ポ エステルフィルム、ポリプロピレンフィル 、ポリエチレンテレフタレートフィルム、 リイミドフィルム、ポリエーテルイミドフ ルム、ポリエーテルナフタレートフィルム 及びメチルペンテンフィルムが挙げられる これらフィルムを2種以上組み合わせた多層 フィルムを基材フィルムとして用いてもよい 。基材フィルムの表面はシリコーン系、シリ カ系等の離型剤などで処理されていてもよい 。有機溶剤の除去後、基材フィルムを除去す ることなく、半導体用接着フィルムの支持体 としてそのまま用いてもよい。

 半導体用接着フィルムは、ダイシングテ プと貼り合わせた複合シートの状態で保管 び使用することもできる。このような複合 ートを用いることにより、半導体装置製造 程を簡略化することができる。

(第二実施形態)
 図6、7、8及び9は、第二実施形態に係る半導 体チップの製造方法を示す端面図である。本 実施形態に係る方法は、半導体ウェハ1、半 体用接着フィルム2及びダイシングテープ3が この順で積層された積層体20を準備する工程( 図6~8)と、ダイシングテープ3を複数の半導体 ップ10が互いに離れる方向に引き伸ばすこ により、半導体ウェハ1を複数の半導体チッ 10に分割するとともに半導体用接着フィル 2を分割する工程(図9)と、半導体チップ10を 導体用接着フィルム2とともにピックアップ る工程とを備える。

 積層体20を準備する工程は、レーザー加 により半導体ウェハ1を複数の半導体チップ1 0に分画する線50(以下「分割予定線」という )に沿って改質部1aを半導体ウェハ1の内部に 成する工程(図6)と、改質部1aが形成された 導体ウェハ1に半導体用接着フィルム2を貼り 付ける工程(図7)と、半導体用接着フィルム2 ダイシングテープ3を貼り付ける工程(図8)と ら構成される。

 レーザー加工により改質部1aを形成する 程において、レーザー90が分割予定線50に沿 て照射される(図6の(b))。係るレーザー加工 、いわゆるステルスダイシングとして知ら ている方法において通常採用されている条 により行うことが可能である。レーザー加 によって、半導体ウェハ1の内部に改質部1a 形成される。

 その後、図7、8に示すように半導体ウェ 1に半導体用接着フィルム2及びダイシングテ ープ3を順次貼り付けて、積層体20が得られる 。

 積層体20を得る工程は本実施形態のよう 順序に限られるものではない。例えば、半 体ウェハに半導体用接着フィルムを貼り付 た後、レーザー加工により改質部を形成し もよい。

 積層体20を得た後、ダイシングテープ3を 数の半導体チップ10が互いに離れる方向(図8 (b)の矢印の方向)に引き伸ばすことにより、 導体ウェハ1が複数の半導体チップ10に分割 れるとともに、半導体用接着フィルム2が改 部1aに沿って分割される(図9)。

 本実施形態によれば、半導体ウェハ1及び 半導体用接着フィルム2は、ダイシングブレ ドによって切断されることなく、ダイシン テープの引き伸ばしによって分割される。 の方法によれば、半導体ウェハ1と半導体用 着フィルム2をダイシングブレードによって 同時に切断する必要がないため、半導体ウェ アの個片化の速度を高めることができ、バリ の発生も抑制される。

 本実施形態の場合、ダイシングテープ3の エキスパンド量は好ましくは5~30mmであり、よ り好ましくは10~30mmであり、更に好ましくは10 ~20mmである。エキスパンド量が5mm未満である 、半導体ウェハ1及び半導体用接着フィルム 2を完全に分断することが困難となる傾向が り、30mmを超えると分割予定線に沿った部分 外での破断が起こり易くなる傾向がある。

 また、本実施形態の場合、ダイシングテ プ3を引き伸ばす速度(エキスパンド速度)は ましくは10~1000mm/秒であり、より好ましくは 10~100mm/秒であり、更に好ましくは10~50mm/秒で る。エキスパンド速度が10mm/秒未満である 、半導体ウェハ1及び半導体用接着フィルム2 が完全に分断することが困難となる傾向があ り、1000mm/秒を超えると、分割予定線に沿っ 部分以外での破断が起こり易くなる傾向が る。

 以上説明したような、第一実施形態又は 二実施形態に係る方法によって得られ、半 体用接着フィルム2とともにピックアップさ れた半導体チップ10は、例えばIC、LSIのよう 半導体素子を構成する。半導体チップ10は、 例えば、その裏面に貼り付けられた半導体用 接着フィルム2を介して支持部材に接着され 。支持部材としては、例えば、42アロイリー ドフレーム及び銅リードフレーム等のリード フレーム、エポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂 及びマレイミド系樹脂等から形成された樹脂 フィルム、ガラス不織布又はガラス織布にエ ポキシ樹脂、ポリイミド系樹脂及びマレイミ ド系樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸しこれを硬 化させて得られる基板、並びに、ガラス基板 及びアルミナ等のセラミックス基板が挙げら れる。

 半導体チップ同士を半導体用接着フィル を介して接着してもよい。図10は、係る方 によって得られる半導体装置の一実施形態 示す断面図である。図10に示す半導体装置100 は、配線付基材(支持部材)7と、配線付基材7 半導体用接着フィルム2を介して接着された 導体チップ10aと、半導体チップ10aに半導体 接着フィルム2を介して接着された半導体チ ップ10bとを備える。半導体チップ10a及び10bは 、ボンディングワイヤ8によって配線付基材7 配線と接続されている。また、半導体チッ 10a及び10bは、これらが埋設される封止樹脂 9によって封止されている。

 半導体チップと支持部材との接着、及び 導体チップ同士の接着は、例えば、半導体 ップと支持部材との間又は半導体チップ同 の間に半導体用接着フィルムを挟んだ状態 、60~300℃で0.1~300秒間加熱して行われる。

 半導体用接着フィルム2が熱硬化性樹脂を 含有する場合は、接着後の半導体チップを加 熱して半導体用接着フィルムの被着体への密 着や硬化を促進させて、接合部の強度を増す ことが好ましい。このときの加熱は、接着フ ィルムの組成に応じて適宜調整すればよく、 通常、60~220℃、0.1~600分間である。樹脂封止 行う場合は、封止樹脂の硬化工程の加熱を 用してもよい。

 以下、実施例を挙げて本発明についてよ 具体的に説明する。ただし、本発明は以下 実施例に限定されるものではない。

1.半導体用接着フィルムの作製
実施例1
 温度計、攪拌機及び塩化カルシウム管を備 た500mlの四つ口フラスコに、ジアミンとし 1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシ ロキサン(0.1mol)と、溶剤としてのN-メチル-2- ロリドン150gを入れ、60℃にて攪拌した。ジ ミンの溶解後、1,10-(デカメチレン)ビス(トリ メリテート二無水物)(0.02mol)と4,4’-オキシジ タル酸二無水物(0.08mol)を少量ずつ添加し、6 0℃で3時間反応させた。その後、N 2 ガスを吹き込みながら170℃で加熱し、3時間 けて系中の水を溶剤の一部とともに共沸に り除去した。水を除去して得たポリイミド 脂のNMP溶液を接着フィルムの作製に用いた

 上記で得たポリイミド樹脂のNMP溶液(ポリ イミド樹脂を100重量部含む)に、クレゾール ボラック型エポキシ樹脂(東都化成製)4重量 、4,4’-[1-[4-[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチ ルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノー ル(本州化学製)2重量部、テトラフェニルホス ホニウムテトラフェニルボラート(東京化成 )0.5重量部加えた。更に、窒化硼素フィラー( 水島合金鉄製)を全固形分の重量に対して12重 量%、アエロジルフィラーR972(日本アエロジル 製)を全固形分の重量に対して3重量%となるよ うに加え、良く混錬してワニスを得た。調合 したワニスを剥離処理済みのポリエチレンテ レフタレートフィルム上に塗布し、80℃で30 、つづいて120℃で30分加熱し、その後、室温 (25℃)でポリエチレンテレフタレートフィル を剥して、厚さ25μmの接着フィルムを得た。

実施例2
 ジアミン成分として、1,3-ビス(3-アミノプロ ピル)テトラメチルジシロキサン(0.06mol)及び4, 9-ジオキサデカン-1,12-ジアミン(0.04mol)を用い ことの他は実施例1と同様にして、ポリイミ ド樹脂のNMP溶液を得た。得られたポリイミド 樹脂のNMP溶液を用いて、実施例1と同様にし 接着フィルムを作製した。

実施例3
 窒化硼素フィラーの量を57重量%としたこと 外は実施例1と同様にして、接着フィルムを 作製した。

比較例1~3
 比較例1の接着フィルムとしてDF-402、比較例 2の接着フィルムとしてDF-470、比較例3の接着 ィルムとしてDF-443を準備した(いずれも日立 化成工業株式会社製のダイボンドフィルム)

比較例4
 温度計、攪拌機及び塩化カルシウム管を備 た500mlの四つ口フラスコに、エーテルジア ン2000(BASF社製)(0.03モル)、1,12―ジアミノドデ カン(0.07モル)及びN-メチル-2-ピロリドン150gを 入れ、60℃にて撹拌した。ジアミンの溶解後 2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェ ニル]プロパン二無水物(0.1モル)を少量ずつ添 加した。60℃で1時間反応させた後、N 2 ガスを吹き込みながら170℃で加熱し、水を溶 剤の一部とともに共沸により除去した。水を 除去して得たポリイミド樹脂のNMP溶液を接着 フィルムの作製に用いた。得られた溶液を用 いたこと、及び窒化硼素フィラーの量を全固 形分の重量に対して25重量%としたことの他は 実施例1と同様にして、接着フィルムを作製 た。

比較例5
 窒化硼素フィラーの量を47重量%としたこと 外は比較例4と同様にして、接着フィルムを 作製した。

2.接着フィルムの評価
(1)最大応力、最大荷重伸度、及び引張破断伸 度
 Bステージ状態の接着フィルムから切り出さ れた短冊状の試験片(幅5mm、長さ50mm)を用いて 引張試験を行った。得られた応力-ひずみ曲 から、下記計算式に基づいて最大応力、最 荷重伸度、及び引張破断伸度を求めた。引 試験は、引張試験機(SIMADZU製100Nオートグラ 、AGS-100NH)を用い、25℃の雰囲気中で、試験 始時のチャック間距離30mm、引張速度5mm/min. 条件で行った。
最大応力(Pa)=最大荷重(N)/試料の断面積(m 2 )
最大荷重伸度(%)=[(最大荷重におけるチャック 間長さ(mm)-30)/30]×100
引張破断伸度(%)=[(破断時のチャック間長さ(mm )-30)/30]×100

 図11は実施例1、図12は実施例2、図13は比 例1の接着フィルムの応力-ひずみ曲線を示す 図である。図中、伸び(mm)=チャック間長さ-30 ある。最大荷重Pmaxに対応する伸びから最大 荷重伸度を算出し、試験片が破断後、荷重が 0まで落ちた時点の伸びEから引張破断伸度を 出した。

(2)ウェハ貼り付け温度
 所定の温度に加温されたホットロールラミ ータ(0.3m/分、0.3MPa)を用いて幅10mmの接着フ ルムと半導体ウェハを貼り合わせ、その後 接着フィルムを25℃の雰囲気中、引張り角度 90°、引張り速度50mm/分で接着フィルムを引き 剥がすピール試験を行って、ピール強度を求 めた。ピール試験は、TOYOBALDWIN製UTM-4-100型テ シロンを用いて行った。ホットロールラミ ータの設定温度を40℃から10℃ずつ昇温して いき、20N/m以上のピール強度が得られたとき ホットロールラミネータ温度のうち、最も い温度をウェハ貼り付け温度とした。

(3)ピール強度(チップ引き剥がし強度)
 厚さ400μmのシリコンウェハを250μmの深さま その表側からハーフカットし、裏側方向に を加えて割ることにより、周縁部に幅150μm 爪が形成された4mm×2mmのシリコンチップを 備した。このシリコンチップと42アロイリー ドフレームの間に、4mm×2mmの大きさに切り出 た接着フィルムを挟んだ。全体に200gfの荷 を加えて160℃で5秒間圧着し、180℃で60分間 加熱により接着フィルムを後硬化させた。 いで、260℃、20秒加熱時のチップ引剥し強さ を、プッシュプルゲージを改良した図14に示 測定装置15を用いて測定した。測定装置15は 、熱盤14と、該熱盤14上に載置されたダイパ ト13と、プッシュプルゲージ12とを備える。 定装置15のダイパット13上に試料を載置して 、シリコンチップの爪にプッシュプルゲージ 12を引っ掛けてチップ引き剥がし強さの測定 行った。このピール強度の測定は、初期、 び85℃、85%RHの環境下で48時間放置する高温 湿処理を施した後のサンプルについて行っ 。この測定によれば、接着フィルムの面接 強度を測定することができる。この数値が いほどリフロークラックが発生しにくくな 。

(4)耐リフロークラック性
 5mm角に切断されたシリコンチップ及びこれ 貼り付けられた接着フィルムを有する接着 ィルム付きシリコンチップを、基材として ポリイミドフィルム(厚さ25μm)の表面に配線 が形成された配線基板に接合した。次いで、 そのシリコンチップ上に、5mm角の別の接着フ ィルム付きシリコンチップを接合した。

 得られたサンプル10個に対して、表面温度 260℃に到達し、この温度が20秒間保持される ように設定されたIRリフロー炉を通し、その 、室温(25℃)に放置して冷却する処理を2回 り返して施した。処理後のサンプル中のク ックを目視及び超音波顕微鏡観察により、 板/チップ間及びチップ/チップ間におけるク ラックの発生状態を確認した。観察結果を基 に、耐リフロークラック性を以下の基準で評 価した。
A:全てのサンプルでクラック発生が認められ い。
C:1個以上のサンプルでクラック発生。

(5)破断性、チップクラック及びバリ
 上述の実施例又は比較例で作製した接着フ ルムを半導体ウェハに貼り合わせ、以下の フルカット」、「ハーフカット」又は「レ ザーダイシング」の方法により半導体ウェ を半導体チップに分割し、そのときの接着 ィルムの破断性と、チップクラック及びバ の発生状態を確認した。いずれの方法にお ても、塩化ビニル系テープ(厚さ90μm)をダイ シングテープとして用いた。

フルカット
 ホットロールラミネータ(JCM社製DM-300H、0.3m/ 分、0.3MPa)を用い、表1のウェハ貼り付け温度 それぞれの接着フィルムを50μm厚の半導体 ェハに貼り付けた。次いで、熱板温度80℃の 条件でダイシングテープを接着フィルム上に ラミネートし、ダイシングサンプルを作製し た。ダイシングテープ周縁部にステンレス製 のリングを貼り付け、DISCO社製DFD-6361を用い ダイシングサンプルを切断した。切断はブ ード1枚で加工を完了するシングルカット方 、ブレードがNBC-ZH104F-SE 27HDBB、ブレード回 数45,000rpm、切断速度50mm/sの条件にて行った 切断時のブレードハイト(切込み深さ)は接 フィルムを完全に切断する高さである80μmと した。続いて、リングを固定した状態で、エ キスパンド装置によりダイシングテープを引 き伸ばした。エキスパンド速度は10mm/s、エキ スパンド量は3mmであった。

ハーフカット
 ブレードハイト(切込み深さ)を、ダイボン フィルムのうち10μmの厚さ分が切断されずに 残る高さである100μmとしたこと以外は、上記 フルカットと同一の条件で試験を行った。

レーザーダイシング
 半導体ウェハ(厚さ50μm)にレーザー照射して 、その内部に半導体チップに分画する線に沿 った改質部を形成した。その後、フルカット の場合と同様の手順で接着フィルム及びダイ シングテープを順次貼り付け、ダイシングテ ープの外周部にステンレス製のリングを貼り 付けた。続いて、エキスパンド装置により、 リングを固定した状態でダイシングテープを 引き伸ばした。エキスパンド速度は30mm/s、エ キスパンド量は15mmであった。

破断性
 ダイシングテープを引き伸ばした後、接着 ィルムが破断されたか否かを光学顕微鏡で 察し、切断面の全長のうち、完全に破断し いた部分の長さの比率を求め、係る比率を 下の基準で分類して破断性を評価した。な 、フルカットの場合はブレードで接着フィ ムをダイシングブレードで切断するため、 断性の評価は行わなかった。
AA:98%以上
A:90%以上
B:50%以上90%未満
C:50%未満

チップクラック
 ダイシングテープを引き伸ばした後、チッ クラックの発生状態を光学顕微鏡で観察し 。半導体チップの接着フィルムとは反対側 面において発生したチップクラックの長さ 求め、チップクラックの長さを以下の基準 分類してチップクラックの発生状態を評価 た。
AA:5μm未満
A:5μm以上10μm未満
B:10以上25μm未満
C:25μm以上

バリ
 ダイシングテープを引き伸ばした後、半導 チップを接着フィルムとともにピックアッ した。ピックアップされた接着フィルム付 半導体チップの端面を光学顕微鏡で観察し 、バリの発生状態を確認した。
AA:バリの長さが20μm未満
A:バリの長さが20μm以上40μm未満
B:バリの長さが40以上100μm未満
C:バリの長さが100μm以上

 引張破断伸度が5%未満であり、且つ、引 破断伸度/最大荷重時の伸度が110%未満である 実施例の接着フィルムは、ハーフカット及び レーザーダイシングのいずれにおいても良好 な破断性を示し、チップクラック及びバリの 発生も十分に抑制された。更に、フィラー含 有量が30質量%未満である実施例1、2の接着フ ルムは、100℃以下で半導体ウェハに貼り付 可能であり、耐リフロークラック性の点で 極めて優れていた。

 これに対して、引張破断伸度が5%以上で るか、又は引張破断伸度/最大荷重時の伸度 110%以上である比較例の接着フィルムの場合 、破断性が必ずしも十分でなく、歩留よく半 導体チップの製造ができないことがわかった 。比較例3はハーフカットの場合には比較的 好な破断性を示すものの、レーザーダイシ グでは十分な破断性を示さなかった。