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Title:
METHOD OF MANUFACTURING SUPPORT FOR PLANOGRAPHIC PRINTING PLATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/122882
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a method of manufacturing a support for a planographic printing plate, by which the variation in image quality can be reduced and an even tone of sand can be achieved stably. A metal web (MW) formed of aluminum or an aluminum alloy is transferred, being dipped in an electrolyte (EL) of a plurality of electrolyte baths (11) sequentially, and current is supplied between the metal web (MW) and a plurality of electrodes (13) opposite to the metal web (MW) in the electrolyte baths (11) to perform an electrochemical surface roughening treatment on the metal web (MW). During this treatment, the flow rate of the electrolyte (EL) in the electrolyte baths (11) are so set that an average flow rate in the electrolyte baths may be 500 to 4000 mm/sec. and a flow rate distribution of the electrolyte (EL) in the width direction perpendicular to the direction in which the metal web (MW) is transferred in the electrolyte baths (11) may be within +/- 50% of the average flow rate. Letting a region of the transfer path of the metal web which is opposite to a gap between each two adjacent electrodes be a treatment suspension zone between electrodes in the bath, the metal web (MW) is transferred at such a speed that the time (Tin) for the metal web (MW) to pass through one treatment suspension zone between electrodes in the bath may be 0.05 to 1 sec.

Inventors:
HOTTA HISASHI
YAMAZAKI TORU
Application Number:
PCT/JP2009/054916
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 13, 2009
Export Citation:
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Assignee:
FUJIFILM CORP (JP)
HOTTA HISASHI
YAMAZAKI TORU
International Classes:
C25F3/04; B41N1/08; B41N3/03; C25F7/00
Foreign References:
JPH09169174A1997-06-30
JPH03173800A1991-07-29
JP2002283762A2002-10-03
Attorney, Agent or Firm:
TAKAMATSU, Takeshi et al. (JP)
Takamatsu 猛 (JP)
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Claims:
 アルミニウムまたはアルミニウム合金からなる金属ウェブを複数の電解槽の電解液中へ順次に浸漬させながら搬送し、前記電解槽内で前記金属ウェブに対向配置された複数の電極と前記金属ウェブとの間に電流を供給して、前記金属ウェブを電気化学的粗面化処理する平版印刷版用支持体の製造方法であって、
 前記電解槽内の電解液の流速を、各電解槽内で平均流速を500~4000mm/秒、前記電解槽内の前記金属ウェブの搬送方向と直交する幅方向に対する前記電解液の流速分布を前記平均流速の±50%以内にするとともに、
 前記複数の電極のうち隣接する電極間の隙間領域に対面する前記金属ウェブの搬送路区間を槽内電極間処理休止区間としたときに、1回の前記槽内電極間処理休止区間を通過する時間を0.05~1秒とする速度で前記金属ウェブを搬送することを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。
 前記電解液が塩素イオン、硫酸イオン、アルミニウムイオンを含むことを特徴とする請求項1記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
 前記電解液を前記金属ウェブの搬送方向に対向する方向に流動させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
 前記槽内電極間処理休止区間を、一つの前記電解槽内で少なくとも3区間設けることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
 前記金属ウェブが前記電解槽の電解液中から取り出され、前記金属ウェブの搬送路下流側に配置された他の電解槽の電解液に浸かるまでの前記金属ウェブの搬送路区間を槽外処理休止区間、前記電解槽内の前記複数の電極の並び方向両端から前記電解槽の電解液気液界面までの両搬送路区間の和を槽内電極端外側処理休止区間、前記槽外処理区間およびこれに連続する前記槽内電極端外側処理休止区間との和を槽間処理休止区間としたきに、1回の前記槽間処理休止区間を通過する時間を1~5秒とする速度で前記金属ウェブを搬送することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
 前記槽間処理休止区間を、少なくとも3区間設けることを特徴とする請求項5記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
 前記金属ウェブと前記電極との間で前記電極に対応して複数配置された電解液供給口から、それぞれ前記電解液を噴射供給することを特徴とする請求項1~請求項6のいずれか1項記載の平版印刷版用支持体の製造方法。
Description:
平版印刷版用支持体の製造方法

 本発明は、金属ウェブを複数の電解槽の 解液中へ順次に浸漬させ、金属ウェブに電 槽内で対向配置された複数の電極と金属ウ ブとの間に電流を供給し、金属ウェブを連 的に電気化学的粗面化処理する平版印刷版 支持体の製造方法に関する。

 印刷版用支持体、特に平版印刷版用支持 としては、アルミニウム板が用いられ、ユ ザーの多様化からアルミニウム板も純アル ニウムに近いものから、マンガンを添加し 度を上げたものまで多様化している。そし その様なアルミニウム板を平版印刷版用支 体として使用するためには、支持体表面が 像記録層である例えば感光材との適度な接 性と保水性を有していることが必要である このためには、アルミニウム板の表面を均 かつ緻密な砂目を有するように粗面化しな ればならない。この粗面化処理は、実際に 刷を行ったとき、版材の汚れ性能などの印 性能に著しい影響を及ぼすので、その良否 版材製造上重要な要素となっている。

 印刷版用アルミニウム支持体の粗面化方 としては、機械的な砂目立て法、電気化学 な砂目立て法などがあり、又それらを適時 合わせた形で粗面化を行っている。機械的 砂目立て法としては、例えばボールグレイ ,ワイヤーグレイン,ブラッシグレイン,液体 ーニング法などがある。また電気化学的砂 立て方法としては、交流電解エッチング法 一般的に使用されており、電流としては普 の正弦波交流電流あるいは矩形波など、特 交番電流が用いられている。またこの電気 学的砂目立ての前処理として、苛性ソーダ どでエッチング処理をしても良い。

 その中で交流電解エッチング方法におい は、ラジアル型セルにおいても槽型セルに いても、電解液を供給する給液ノズルは1ヶ 所であったため、ここから補給された電解液 はアルミニウム板と電極との間の定められた 狭い空間の間(例えば10mm)を通って反対側に流 れ、電解液排出口に出て行くので、流路にお ける電解によって次第に電解液が疲労し電極 の初めと終りでは電解液が疲労してその成分 に差が出て来て充分な電解効率が得られず、 また液の入口と出口との温度差が大きくなり 所望の砂目が得られなかった。上記の欠点を 改善するため、給液ノズルを電極間に2ヶ所 上設けるようにした電解処理装置がある(特 文献1)。

 また、アルミニウム板幅方向両端部に対 て電極側より板幅に対して複数個の給液ノ ルを設け、この複数個の給液ノズルから供 される液がアルミニウム板の幅方向両端部 カーテン膜を形成し、中央部の電解液が両 部に流れることを防ぐ方法がある(特許文献 2)。

 また、交流電解エッチング方法において アルミニウム板の幅方向の電解液の流速分 が平均流速から大きくずれる変動がおこる 幅方向での砂目立て性が大きく変化してし い、印刷性能差が発生したりする。これを 消するために、幅方向流速分布を平均流速 50%以内に規定するために、給液ノズル内に ルミニウム板幅方向に摩擦抵抗を増加させ ためのガイドベーンを幅方向に適当に間隔 違えて挿入する方法がある。(特許文献3)。

特開平2-015198号公報(請求項1、図1)

特開平5-195300号公報(請求項1、段落7)

特開平9-248977号公報(第5~7頁、図1)

特開平9-39431号公報

特開2006-44263号公報

特開平10-869号公報

特開2002-283762号公報

特開平5-4466号公報

 しかしながら、上記特許文献1に記載され た方法では、電解液が疲労してその成分に差 が出て来て充分な電解効率が得られず、また 液の入口と出口との温度差が大きくなり所望 の砂目が得られなくなるのを防止するために 、電解液供給口を対極間に2ヶ所以上設けた のの、電解処理での画質むらの改善は充分 は言えず、より一層の改善が望まれていた

 また、上記特許文献2に記載された方法で は、アルミニウム板幅方向両端部に対して電 極側より板幅に対して複数個の給液ノズルを 設け、この複数個の給液ノズルから供給され る液がアルミニウム板の幅方向両端部にカー テン膜を形成し、中央部の電解液が両端部に 流れることを防ぐようにしているものの、砂 目の均一性と画質むらの改善は充分とはいえ ず、より一層の改善が望まれていた。

 また、上記特許文献3に記載された方法で は、画質むらの改善と、安定したハニカム状 ピットの砂目を得るために提案されたが、凸 部に平坦な部分が残ることがあり、耐刷力お よび密着力が低下する。

 また、上記特許文献4に記載された方法で は、平版印刷版用支持体の電解処理において 、3槽の電解槽に、電極をそれぞれ設置し、 解処理中に、1~20秒の処理休止時間を設定し 処理休止区間の通過時間を、1~30秒に設定し ているが、汚れ性能が不十分であるとともに 、すじ状の画質むらも不十分だった。

 また、上記特許文献5に記載された方法で は、塩酸を含有する水溶液中での交流電解で は、耐刷性および耐汚れ性に富む平版印刷版 用支持体を得ることができないことを解消す るために、アルミニウム板に、塩酸と硫酸と を含有する混合水溶液中での交流を用いた電 気化学的粗面化処理、および、塩酸を含有す る水溶液中での交流を用いた電気化学的粗面 化処理を、この順に施すようにしているが、 砂目の均一性と画質むらの改善は充分とはい えず、より一層の改善が望まれていた。

 このとき、上記特許文献4に記載された方 法の処理休止時間と、上記特許文献5に記載 れた方法の混合電解液とを組み合わせるこ で、図8に示す粗面化処理後の表面の凸部に 坦部が発生することを解消しようとしても 上記特許文献3と同様にして、凸部に平坦な 部分が残り、耐刷力および密着力の低下を防 げなかった。また、画質むらも充分とはいえ ず、より一層の改善が望まれていた。

 また、上記特許文献6に記載された方法では 、砂目のピット形状の均一性、粗大ピット生 成の抑制、高精細でのドットラインの向上お よび「ボールペンやられ」を改善するために 、アルミニウムまたはその合金板ウェブを酸 性電解中で搬送させながら連続的に電解処理 する。その際に、全電解工程中で電解処理の 進行が速い部分と電解の進行が遅いかもしく は停止する部分とが交互に複数回存在するよ うに電解処理する。そのときに、電解処理の 進行が速い部分一工程での電解処理の電気量 を平均で100C/dm 2 以下にして、電解粗面化の分割処理に着目し ている。しかし、砂目の均一性に密接に関係 するのは各電解処理間での休止時間であり、 休止時間が0.6秒から5秒以下では均一化でき が、0.5秒以下では均一化の効果が現れない 題があった。また、すじ状の処理むらやチ タマークの消失も不十分であり、画質むら 改善が望まれていた。

 また、上記特許文献7に記載された方法で は、電解液の平均速度を500~4000mm/sとし、幅方 向の流速分布を平均流速の±50%以内としてい が、砂目の均一性と画質むらの改善は充分 はいえず、より一層の改善が望まれていた

 また、上記特許文献8に記載された方法で は、電気化学的粗面化を、硫酸塩イオンおよ び塩化物イオンを含み、その塩化物イオンが 塩化アルミニウムの形である酸性電解液中で 交流電圧の印加により行うようにしているが 、汚れ性能を満足できるものではなく、改善 が望まれていた。また、すじ状の処理むらや チャタマークの消失も不十分であり、画質む らの改善が望まれていた。

 つまり、上記の各特許文献に記載された 法をそれぞれ組み合わせたとしても、図8に 示すように、アルミニウム500の砂目の不均一 が残り、凸部501に平坦な部分503が残ることが あり、依然として、上記の各問題点を解消す ることができなかった。また、すじ状の処理 むらやチャタマークの消失も不十分であり、 画質むらの問題を解消することができなかっ た。

 本発明は上記状況に鑑みてなされたもの 、画質むらの改善と安定して均一な砂目を ることができる平版印刷版用支持体の製造 法を提供することを目的としている。

 本発明の上記目的は、下記構成により達成 れる。
(1) アルミニウムまたはアルミニウム合金か なる金属ウェブを複数の電解槽の電解液中 順次に浸漬させながら搬送し、前記電解槽 で前記金属ウェブに対向配置された複数の 極と前記金属ウェブとの間に電流を供給し 、前記金属ウェブを電気化学的粗面化処理 る平版印刷版用支持体の製造方法であって
 前記電解槽内の電解液の流速を、各電解槽 で平均流速を500~4000mm/秒、前記電解槽内の 記金属ウェブの搬送方向と直交する幅方向 対する前記電解液の流速分布を前記平均流 の±50%以内にするとともに、
 前記複数の電極のうち隣接する電極間の隙 領域に対面する前記金属ウェブの搬送路区 を槽内電極間処理休止区間としたときに、1 回の前記槽内電極間処理休止区間を通過する 時間を0.05~1秒とする速度で前記金属ウェブを 搬送することを特徴とする平版印刷版用支持 体の製造方法。

 この平版印刷版用支持体の製造方法によ ば、電解液の流速を、電解槽内でそれぞれ 均流速を500~4000mm/秒、電解液の電解槽内幅 向の流速分布を平均流速の±50%以内にすると ともに、複数の電極のうち隣接する電極間の 領域を槽内電極間処理休止区間としたときに 、1回の槽内電極間処理休止区間を通過する 間を0.05~1秒とする速度で金属ウェブを搬送 ることで、アルミニウムの砂目を均一にで 、汚れ性能が良好で、耐刷力および密着力 向上させて、画質むらを良好にすることが きる。

(2) (1)記載の平版印刷版用支持体の製造方法 あって、
 前記電解液が塩素イオン、硫酸イオン、ア ミニウムイオンを含むことを特徴とする平 印刷版用支持体の製造方法。

 この平版印刷版用支持体の製造方法によ ば、電解槽に収容される電解液を、塩素イ ン、硫酸イオン、アルミニウムイオンを含 ようにすることで、アルミニウムの砂目の 一化を、より一層向上させることができる ともに、耐刷力および密着力を、より一層 上させて画質むらを良好にすることができ 。

(3) (1)または(2)記載の平版印刷版用支持体の 造方法であって、
 前記電解液を前記金属ウェブの搬送方向に 向する方向に流動させることを特徴とする 版印刷版用支持体の製造方法。

 この平版印刷版用支持体の製造方法によ ば、電解液を金属ウェブの搬送方向に対向 せて流動させることで、金属ウェブ表面の 解液を攪拌することができ、金属ウェブ表 の液層を確実に更新させることができる。

(4) (1)~(3)のいずれか1項記載の平版印刷版用 持体の製造方法であって、
 前記槽内電極間処理休止区間を、一つの前 電解槽内で少なくとも3区間設けることを特 徴とする平版印刷版用支持体の製造方法。

 この平版印刷版用支持体の製造方法によ ば、電解槽内における槽内電極間処理休止 間を少なくとも3区間設けることで、アルミ ニウムの砂目の均一化を、より一層向上させ ることができる。

(5) (1)~(4)のいずれか1項記載の平版印刷版用 持体の製造方法であって、
 前記金属ウェブが前記電解槽の電解液中か 取り出され、前記金属ウェブの搬送路下流 に配置された他の電解槽の電解液に浸かる での前記金属ウェブの搬送路区間を槽外処 休止区間、前記電解槽内の前記複数の電極 並び方向両端から前記電解槽の電解液気液 面までの両搬送路区間の和を槽内電極端外 処理休止区間、前記槽外処理区間およびこ に連続する前記槽内電極端外側処理休止区 との和を槽間処理休止区間としたきに、1回 の前記槽間処理休止区間を通過する時間を1~5 秒とする速度で前記金属ウェブを搬送するこ とを特徴とする平版印刷版用支持体の製造方 法。

 この平版印刷版用支持体の製造方法によ ば、1回の槽間処理休止区間を通過する時間 を1~5秒とする速度で金属ウェブを搬送するこ とで、アルミニウムの砂目の均一化を、より 一層向上させることができる。

(6) (5)記載の平版印刷版用支持体の製造方法 あって、
 前記槽間処理休止区間を、少なくとも3区間 設けることを特徴とする平版印刷版用支持体 の製造方法。

 この平版印刷版用支持体の製造方法によ ば、槽間処理休止区間を少なくとも3区間設 けることで、アルミニウムの砂目の均一化を 、より一層向上させることができる。

(7) (1)~(6)のいずれか1項記載の平版印刷版用 持体の製造方法であって、
 前記金属ウェブと前記電極との間で前記電 に対応して複数配置された電解液供給口か 、それぞれ前記電解液を噴射供給すること 特徴とする平版印刷版用支持体の製造方法

 この平版印刷版用支持体の製造方法によ ば、金属ウェブと電極との間で電極に対応 て複数配置された電解液供給口から電解液 それぞれ噴射供給させることで、電解液の れを強制的に作って、電解液の流れを、よ 一層確実に作ることができる。

 本発明の平版印刷版用支持体の製造方法 よれば、アルミニウムまたはアルミニウム 金からなる金属ウェブを複数の電解槽の電 液中へ順次に浸漬させ、金属ウェブに電解 内で対向配置された複数の電極と金属ウェ との間に電流を供給し、金属ウェブを連続 に電気化学的粗面化処理する平版印刷版用 持体の製造方法において、画質むらの改善 、安定して均一な砂目を得ることができ、 れ性能や耐刷力に優れた平版印刷版を提供 ることが可能になる。

本発明の一実施形態に係る平版印刷版 支持体の製造方法に適用される平版印刷版 支持体製造装置の概念図である。 図1の平版印刷版用支持体製造装置の要 部拡大図である。 図1の平版印刷版用支持体製造装置に適 用される電解液供給部の外観斜視図である。 本発明の平版印刷版用支持体の製造方 における電解液の制御方法の一例を示す図 ある。 本発明の平版印刷版用支持体の製造方 における電気化学的粗面化処理に用いられ 交番波形電流波形図の一例を示すグラフで る。 本発明の平版印刷版用支持体の製造方 における交流を用いた電気化学的粗面化処 におけるラジアル型セルの一例を示す側面 である。 本発明の平版印刷版用支持体の製造方 における交流を用いた電気化学的粗面化処 におけるラジアル型セルの他の一例を示す 面図である。 従来の平版印刷版用支持体の製造方法 用いて製造された金属ウェブの概略図であ 。

符号の説明

 11 電解槽
 13 電極
 29 電解液供給口
100 平版印刷版用支持体製造装置
 EL 電解液
 MW 金属ウェブ

 以下、本発明に係る平版印刷版用支持体の 造方法の好適な実施の形態について、図面 参照して詳細に説明する。
 図1は本発明の一実施形態に係る平版印刷版 用支持体の製造方法に適用される平版印刷版 用支持体製造装置の概念図、図2は図1の平版 刷版用支持体製造装置の要部拡大図、図3は 図1の平版印刷版用支持体製造装置に適用さ る電解液供給部の外観斜視図である。
 なお、以下に記載する構成要件の説明は、 発明の代表的な実施態様に基づいてなされ ことがあるが、本発明はそのような実施態 に限定されるものではない。なお、本明細 において「~」を用いて表される数値範囲は 、「~」の前後に記載される数値を下限値お び上限値として含む範囲を意味する。

 図1、図2に示すように、本発明の一実施 態に係る平版印刷版用支持体の製造方法に 用される平版印刷版用支持体製造装置100は 複数(本実施形態では一例として4個)の電解 11と、各電解槽11のそれぞれに設置された複 (本実施形態では一例として各槽で5個)の電 13と、各電極13の下方で金属ウェブMWの搬送 との間にそれぞれ設置された複数(本実施形 態では一例として各槽で6個)の電解液供給部1 5と、を備える。各電極13はそれぞれ等しい電 極面積を有する。なお、図示はしていないが 、各電解槽11には電解液を排出させるための 解液排出口を備え、この排出口から電解液 排出するとともに電解液供給部15,15Aから電 液を供給することで、電解槽11内の電解液 循環させている。

 電解槽11には、所定量の電解液ELがそれぞ れ貯蔵されており、電解液EL内の電解液EL中 複数の電極13、および各電極13の下方に電解 供給部15がそれぞれ配置されている。

 電解槽11に収容される電解液ELは、塩素イ オン、硫酸イオン、アルミニウムイオンを含 んでいる。塩素イオン、硫酸イオン、アルミ ニウムイオンを含むことで、電荷集中が比較 的生じくにくくなり、アルミニウムの砂目の 均一化を向上させることができるとともに、 耐刷力および密着力を向上させて画質むらを 低減する効果が得られる。

 電解槽11は、アルミニウムまたはアルミ ウム合金からなる金属ウェブMWの搬送方向A 上流側から下流に向けて、電解槽11外に配置 され電解液ELに漬けられていない外部ローラ1 7と、電解槽11内に配置され電解液ELに漬けら た内部ローラ19,21と、電解槽11外に配置され 交流電源BLに接続される給電ローラ23と、を するローラ群を備えている。

 ここで、電解槽11で金属ウェブMWが電極13 対面する金属ウェブMWの搬送路区間を処理 間とし、電解槽11内で一対の内部ローラ19,21 を搬送される際に複数の電極13のうち隣接 る一対の電極13,13間の領域(電極13に対面しな い領域)、すなわち、複数の電極13のうち隣接 する電極間の隙間領域に対面する金属ウェブ MWの搬送路区間を槽内電極間処理休止区間と る。また、この電解槽11内で処理の休止さ る区間は、電極間の隙間領域に対面する区 の他、内部ローラ19と外部ローラ17との間の 液界面から最近接された電極13が対面する 送路領域までの間、および、内部ローラ21と 外部ローラ23との間の気液界面から最後の電 13が対面する搬送路領域までの間について 処理休止区間と同様の区間となるが、ここ は上記槽内電極間処理休止区間とは区別し 、槽内電極端外側処理休止区間とする。つ り、電解槽11内の複数の電極13の並び方向端 から電解槽11の電解液気液界面までの搬送 区間を槽内電極端外側処理休止区間とする

 また、電解槽11外で一対の外部ローラ23,17 間を搬送される領域、すなわち、金属ウェブ MWが電解槽11の電解液中から取り出され、金 ウェブMWの搬送路下流側に配置された他の電 解槽11の電解液に浸かるまでの金属ウェブMW 搬送路区間を、槽外処理休止区間とする。 まり、内部ローラ21と外部ローラ23との間の 液界面から、隣接する外部ローラ17と内部 ーラ19との間の気液界面までの間を槽外処理 区間とする。また、槽外処理区間およびこれ に連続する槽内電極端外側処理休止区間との 和を槽間処理休止区間とする。なお、槽間処 理休止区間には、搬送路上の最初の電解槽に 金属ウェブMWが浸漬され最初の電極に対面す まで、および搬送路上の最後の電解槽の最 の電極に対面する位置から外れた後は、こ 槽間処理休止区間に含まれないものとする

 そして、一対の電極13間で表される一回の 内電極間処理休止区間の長さを金属ウェブMW (金属ウェブMWの任意の一点)が通過に要する 間をTin、槽外処理休止区間の長さを金属ウ ブMW(金属ウェブMWの任意の一点)が通過に要 る時間をToutとする。また、槽内電極端外側 理休止区間である電解槽出口側の両端処理 止区間に要する時間をTs_in_aとし、同じく槽 内電極端外側処理休止区間である電解槽入り 口側の両端処理休止区間に要する時間をTs_in_ bとする。
 ここで、槽間処理休止区間に要する時間をT abとすると、TabはTs_in_a+Tout+Ts_in_bで表される

 図2に示すように、各電極13はそれぞれ交 電源BLに接続され、また、交流電源BLに接続 された給電ローラ23と金属ウェブMWとが接し いるため、処理区間においては、各電極13は 、電解液ELを通じて金属ウェブMWに対して予 定められた交流電流を印加するようになっ いる。

 図3に電解液供給部15の構成例を示すよう 、電解槽11内の電解液供給部15は、電解槽11 金属ウェブMWの搬送方向と直交する幅方向 両端部に、一対のガイド部25を備え、これら ガイド部25の間に筒形状の噴射部27を備える そして、噴射部27の幅方向にスリット形状の 電解液供給口29が形成されている。

 一対のガイド部25は、不図示の電解液タ クに連通接続されて、噴射部27に電解液を常 時供給する。噴射部27に供給された電解液EL 、金属ウェブMWの搬送方向Aに対向する方向 、つまり搬送方向Aとは逆向きに電解液供給 29を通じて電解槽11の幅全体に噴射される。 このように、電解液供給部15は、金属ウェブM Wと電極13との間で電極13に対応して複数配置 れた電解液供給口29から、電解液ELを金属ウ ェブMWの搬送方向Aに対して対向させて逆向き に噴射させることで、電極13付近の電解液EL 強制的に流動させている。これにより、金 ウェブMWの表面が常に新鮮な電解液ELに接触 るようになる。また、電解液ELは、不図示 排出口から排出されるために、電解液供給 15から供給される電解液ELとともに電解槽11 を循環する。

 電解槽11内の金属ウェブMWの搬送方向最上 流側に配置されている電解液供給部15Aは、ガ イド部25に内蔵された不図示の回動機構によ て噴射部27が回動される。これにより、電 液供給口29が電解液ELの噴射方向を変更しな ら金属ウェブMWに向かって電解液ELを噴射さ せることで、電解液ELを電解槽11内で十分に 拌し、局所的な淀みが生じないようにして る。なお、電解液供給口29の噴射方向を変更 可能な電解液供給部15Aは、金属ウェブMWの搬 方向最上流側のものに加えて、他のすべて 電解液供給部15に対しても同様の構成とし もよい。

 上記構成の平版印刷版用支持体製造装置1 00は、金属ウェブMWを電解槽11の電解液EL中へ 次に浸漬させ、金属ウェブMWに電解槽11内で 対向配置された電極13と金属ウェブMWとの間 通電し、金属ウェブMWを連続的に電気化学的 粗面化処理する。その際に、電解液ELの流速 、電解槽11内でそれぞれ平均流速を500~4000mm/ 秒、電解槽11内の金属ウェブMWの搬送方向と 交する幅方向に対する電解液ELの流速分布を 平均流速の±50%以内とする。そして、電解槽1 1内で金属ウェブMWが電極13に対面する領域で る処理区間に対する槽内電極間処理休止区 の通過時間Tin、槽間処理休止区間の通過時 Tabとの関係を、1回の槽内電極間処理休止区 間を通過する時間Tinを0.05~1秒、かつ、1回の 間処理休止区間を通過する時間Tabを1~5秒と る速度で金属ウェブMWを搬送する。上記の条 件で平版印刷版用支持体の製造方法を行うこ とにより、金属ウェブMW表面のアルミニウム 面の画質むらの改善と、砂目を均一にでき とともに、汚れ性能および耐刷力を良好に ることができる。

 本実施形態の平版印刷版用支持体製造装置1 00は、電解槽11内における槽内電極間処理休 区間(Tin)を16区間設けるとともに、電解槽11 を含む槽間処理休止区間(Tab)を3区間設けて る。
 このように、槽内電極間処理休止区間(Tin) 、槽間処理休止区間(Tab)とを規定の区間数設 けることで、アルミニウムの砂目の均一化を 向上させることができる。槽内電極間処理休 止区間および槽間処理休止区間は、それぞれ 少なくとも3区間を設けることが望ましく、 間数は多い程、金属ウェブMWの版面の性状を 均一化する効果を高められる。なお、槽内電 極間処理休止区間および槽間処理休止区間が 2区間以下では、版面の性状が悪化すること 実験により確められている。

 なお、槽内電極間処理休止区間数を増や と電解槽11のサイズが大型化するため、例 ば50区間を最大に、槽内電極間処理休止区間 数を3~50区間とすることが実際上は好ましい また、槽間処理休止区間数を増やすと装置 体の設置スペースを広く要するため、例え 10区間を最大に、槽間処理休止区間数を3~10 間とすることが実際上は好ましい。ただし 上記区間数は、金属ウェブMWの寸法が例えば 厚さ0.1~0.5mm、幅500mm~2000mm程度の場合であって 、各電極13の寸法等を変更することでも上記 最大区間数は変動する。

 そして、平版印刷版用支持体製造装置100 、電解液供給部15の電解液供給口29から、金 属ウェブMWの搬送方向に対向する方向に電解 ELを噴射させながら平版印刷版用支持体の 造を行う。

 次に、平版印刷版用支持体の製造方法を詳 に説明する。
[平版印刷版用支持体の製造方法]
<アルミニウム板(圧延アルミ)>
 本発明の平版印刷版用支持体の製造方法に 公知のアルミニウム板を用いることができ 。本発明に用いられるアルミニウム板は、 度的に安定なアルミニウムを主成分とする 属であり、アルミニウムまたはアルミニウ 合金からなる。純アルミニウム板のほか、 ルミニウムを主成分とし微量の異元素を含 合金板を用いることもできる。

 本明細書においては、上述したアルミニ ムまたはアルミニウム合金からなる各種の 板をアルミニウム板と総称して用いる。前 アルミニウム合金に含まれてもよい異元素 は、ケイ素、鉄、銅、マンガン、マグネシ ム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、 タン等があり、合金中の異元素の含有量は1 0質量%以下である。

 このように本発明に用いられるアルミニウ 板は、その組成が特定されるものではなく 例えば、アルミニウムハンドブック第4版(19 90年、軽金属協会発行)に記載されている従来 公知の素材、例えば、JIS A1050、JIS A1100、JIS A1070、Mnを含むJIS A3004、国際登録合金 3103A のAl-Mn系アルミニウム板を適宜利用すること ができる。また、引張強度を増す目的で、こ れらのアルミニウム合金に0.1質量%以上のマ ネシウムを添加したAl-Mg系合金、Al-Mn-Mg系合 (JIS A3005)を用いることもできる。更に、Zr Siを含むAl-Zr系合金やAl-Si系合金を用いるこ もできる。更に、Al-Mg-Si系合金を用いること もできる。
 また、使用済みアルミニウム飲料缶を溶解 せたUBC(Used Beverage Can)地金を圧延して得ら るアルミニウム板を用いることもできる。
 このアルミニウム板において、Cu含有量は 0.00質量%以上であるのが好ましく、さらには 0.01質量%以上、0.02質量%以上であるのがより ましく、また、0.15質量%以下であるのが好ま しく、さらには0.11質量%以下であるのが好ま く、0.03質量%以下であるのがより好ましい 特に好ましいのは、Si:0.07~0.09質量%、Fe:0.20~0. 29質量%、Cu:0.03質量%以下、Mn:0.01質量%以下、Mg :0.01質量%以下、Cr:0.01質量%以下、Zn:0.01質量% 下、Ti:0.02質量%以下、Al:99.5質量%以上である ルミニウム板である。

 JIS1050材に関しては、本願出願人によって 提案された技術が、特開昭59-153861号、特開昭 61-51395号、特開昭62-146694号、特開昭60-215725号 特開昭60-215726号、特開昭60-215727号、特開昭6 0-216728号、特開昭61-272367号、特開昭58-11759号 特開昭58-42493号、特開昭58-221254号、特開昭62- 148295号、特開平4-254545号、特開平4-165041号、 公平3-68939号、特開平3-234594号、特公平1-47545 および特開昭62-140894号の各公報に記載され いる。また、特公平1-35910号公報、特公昭55- 28874号公報等に記載された技術も知られてい 。

 JIS1070材に関しては、本願出願人によって 提案された技術が、特開平7-81264号、特開平7- 305133号、特開平8-49034号、特開平8-73974号、特 平8-108659号および特開平8-92679号の各公報に 載されている。

 Al-Mg系合金に関しては、本願出願人によ て提案された技術が、特公昭62-5080号、特公 63-60823号、特公平3-61753号、特開昭60-203496号 特開昭60-203497号、特公平3-11635号、特開昭61- 274993号、特開昭62-23794号、特開昭63-47347号、 開昭63-47348号、特開昭63-47349号、特開昭64-1293 号、特開昭63-135294号、特開昭63-87288号、特公 4-73392号、特公平7-100844号、特開昭62-149856号 特公平4-73394号、特開昭62-181191号、特公平5-7 6530号、特開昭63-30294号および特公平6-37116号 各公報に記載されている。また、特開平2-215 599号公報、特開昭61-201747号公報等にも記載さ れている。

 Al-Mn系合金に関しては、本願出願人によ て提案された技術が、特開昭60-230951号、特 平1-306288号および特開平2-293189号の各公報に 載されている。また、特公昭54-42284号、特 平4-19290号、特公平4-19291号、特公平4-19292号 特開昭61-35995号、特開昭64-51992号、特開平4-22 6394号の各公報、米国特許第5,009,722号明細書 同第5,028,276号明細書等にも記載されている

 Al-Mn-Mg系合金に関しては、本願出願人に って提案された技術が、特開昭62-86143号公報 および特開平3-222796号公報に記載されている また、特公昭63-60824号、特開昭60-63346号、特 開昭60-63347号、特開平1-293350号の各公報、欧 特許第223,737号、米国特許第4,818,300号、英国 許第1,222,777号の各明細書等にも記載されて る。

 Al-Zr系合金に関しては、本願出願人によ て提案された技術が、特公昭63-15978号公報お よび特開昭61-51395号公報に記載されている。 た、特開昭63-143234号、特開昭63-143235号の各 報等にも記載されている。

 Al-Mg-Si系合金に関しては、英国特許第1,421 ,710号明細書等に記載されている。

 アルミニウム合金を板材とするには、例 ば、下記の方法を採用することができる。 ず、所定の合金成分含有量に調整したアル ニウム合金溶湯に、常法に従い、清浄化処 を行い、鋳造する。清浄化処理には、溶湯 の水素等の不要ガスを除去するために、フ ックス処理、アルゴンガス、塩素ガス等を いる脱ガス処理、セラミックチューブフィ タ、セラミックフォームフィルタ等のいわ るリジッドメディアフィルタや、アルミナ レーク、アルミナボール等をろ材とするフ ルタや、グラスクロスフィルタ等を用いる ィルタリング処理、あるいは、脱ガス処理 フィルタリング処理を組み合わせた処理が われる。

 これらの清浄化処理は、溶湯中の非金属 在物、酸化物等の異物による欠陥や、溶湯 溶け込んだガスによる欠陥を防ぐために実 されることが好ましい。溶湯のフィルタリ グに関しては、特開平6-57432号、特開平3-1625 30号、特開平5-140659号、特開平4-231425号、特開 平4-276031号、特開平5-311261号、特開平6-136466号 の各公報等に記載されている。また、溶湯の 脱ガスに関しては、特開平5-51659号公報、実 平5-49148号公報等に記載されている。本願出 人も、特開平7-40017号公報において、溶湯の 脱ガスに関する技術を提案している。

 ついで、上述したように清浄化処理を施さ た溶湯を用いて鋳造を行う。鋳造方法に関 ては、DC鋳造法に代表される固体鋳型を用 る方法と、連続鋳造法に代表される駆動鋳 を用いる方法がある。
 DC鋳造においては、冷却速度が0.5~30℃/秒の 囲で凝固する。1℃未満であると粗大な金属 間化合物が多数形成されることがある。DC鋳 を行った場合、板厚300~800mmの鋳塊を製造す ことができる。その鋳塊を、常法に従い、 要に応じて面削を行い、通常、表層の1~30mm 好ましくは1~10mmを切削する。その前後にお て、必要に応じて、均熱化処理を行う。均 化処理を行う場合、金属間化合物が粗大化 ないように、450~620℃で1~48時間の熱処理を う。熱処理が1時間より短い場合には、均熱 処理の効果が不十分となることがある。な 、均熱処理を行わない場合には、コストを 減させることができるという利点がある。

 その後、熱間圧延、冷間圧延を行ってア ミニウム板の圧延板とする。熱間圧延の開 温度は350~500℃が適当である。熱間圧延の前 もしくは後、またはその途中において、中間 焼鈍処理を行ってもよい。中間焼鈍処理の条 件は、バッチ式焼鈍炉を用いて280~600℃で2~20 間、好ましくは350~500℃で2~10時間加熱する 、連続焼鈍炉を用いて400~600℃で6分以下、好 ましくは450~550℃で2分以下加熱するかである 連続焼鈍炉を用いて10~200℃/秒の昇温速度で 加熱して、結晶組織を細かくすることもでき る。

 以上の工程によって、所定の厚さ、例え 、0.1~0.5mmに仕上げられたアルミニウム板は 更にローラレベラ、テンションレベラ等の 正装置によって平面性を改善してもよい。 面性の改善は、アルミニウム板をシート状 カットした後に行ってもよいが、生産性を 上させるためには、連続したコイルの状態 行うことが好ましい。また、所定の板幅に 工するため、スリッタラインを通してもよ 。また、アルミニウム板同士の摩擦による の発生を防止するために、アルミニウム板 表面に薄い油膜を設けてもよい。油膜には 必要に応じて、揮発性のものや、不揮発性 ものが適宜用いられる。

 一方、連続鋳造法としては、双ロール法( ハンター法)、3C法に代表される冷却ロールを 用いる方法、双ベルト法(ハズレー法)、アル イスキャスターII型に代表される冷却ベル や冷却ブロックを用いる方法が、工業的に われている。連続鋳造法を用いる場合には 冷却速度が100~1000℃/秒の範囲で凝固する。 続鋳造法は、一般的には、DC鋳造法に比べて 冷却速度が速いため、アルミマトリックスに 対する合金成分固溶度を高くすることができ るという特徴を有する。連続鋳造法に関して は、本願出願人によって提案された技術が、 特開平3-79798号、特開平5-201166号、特開平5-1564 14号、特開平6-262203号、特開平6-122949号、特開 平6-210406号、特開平6-26308号の各公報等に記載 されている。

 連続鋳造を行った場合において、例えば ハンター法等の冷却ロールを用いる方法を いると、板厚1~10mmの鋳造板を直接、連続鋳 することができ、熱間圧延の工程を省略す ことができるというメリットが得られる。 た、ハズレー法等の冷却ベルトを用いる方 を用いると、板厚10~50mmの鋳造板を鋳造する ことができ、一般的に、鋳造直後に熱間圧延 ロールを配置し連続的に圧延することで、板 厚1~10mmの連続鋳造圧延板が得られる。

 これらの連続鋳造圧延板は、DC鋳造につ て説明したのと同様に、冷間圧延、中間焼 、平面性の改善、スリット等の工程を経て 所定の厚さ、例えば、0.1~0.5mmの板厚に仕上 られる。連続鋳造法を用いた場合の中間焼 条件および冷間圧延条件については、本願 願人によって提案された技術が、特開平6-220 593号、特開平6-210308号、特開平7-54111号、特開 平8-92709号の各公報等に記載されている。

 本発明に用いられるアルミニウム板は、J ISに規定されるH18の調質が行われているのが ましい。

 このようにして製造されるアルミニウム板 は、以下に述べる種々の特性が望まれる。
 アルミニウム板の強度は、平版印刷版用支 体として必要な腰の強さを得るため、0.2%耐 力が120MPa以上であるのが好ましい。また、バ ーニング処理を行った場合にもある程度の腰 の強さを得るためには、270℃で3~10分間加熱 理した後の0.2%耐力が80MPa以上であるのが好 しく、100MPa以上であるのがより好ましい。 に、アルミニウム板に腰の強さを求める場 は、MgやMnを添加したアルミニウム材料を採 することができるが、腰を強くすると印刷 の版胴へのフィットしやすさが劣ってくる め、用途に応じて、材質および微量成分の 加量が適宜選択される。これらに関して、 願出願人によって提案された技術が、特開 7-126820号公報、特開昭62-140894号公報等に記 されている。
 また、アルミニウム板は、引張強度が160±15 N/mm 2 、0.2%耐力が140±15MPa、JIS Z2241およびZ2201に規 される伸びが1~10%であるのがより好ましい

 アルミニウム板の結晶組織は、化学的粗 化処理や電気化学的粗面化処理を行った場 、アルミニウム板の表面の結晶組織が面質 良の発生の原因となることがあるので、表 においてあまり粗大でないことが好ましい アルミニウム板の表面の結晶組織は、幅が2 00μm以下であるのが好ましく、100μm以下であ のがより好ましく、50μm以下であるのが更 好ましく、また、結晶組織の長さが5000μm以 であるのが好ましく、1000μm以下であるのが より好ましく、500μm以下であるのが更に好ま しい。これらに関して、本願出願人によって 提案された技術が、特開平6-218495号、特開平7 -39906号、特開平7-124609号の各公報等に記載さ ている。

 アルミニウム板の合金成分分布は、化学 粗面化処理や電気化学的粗面化処理を行っ 場合、アルミニウム板の表面の合金成分の 均一な分布に起因して面質不良が発生する とがあるので、表面においてあまり不均一 ないことが好ましい。これらに関して、本 出願人によって提案された技術が、特開平6 -48058号、特開平5-301478号、特開平7-132689号の 公報等に記載されている。

 アルミニウム板の金属間化合物は、その 属間化合物のサイズや密度が、化学的粗面 処理や電気化学的粗面化処理に影響を与え 場合がある。これらに関して、本願出願人 よって提案された技術が、特開平7-138687号 特開平4-254545号の各公報等に記載されている 。

 本発明においては、上記に示されるよう アルミニウム板をその最終圧延工程等にお て、プレス圧延、転写等により凹凸を形成 せて用いることもできる。

 中でも、最終板厚に調整する冷間圧延、ま は、最終板厚調整後の表面形状を仕上げる 上げ冷間圧延とともに、凹凸面をアルミニ ム板に圧接させて凹凸形状を転写し、アル ニウム板の表面に凹凸パターンを形成させ 方法が好ましい。具体的には、特開平6-26220 3号公報に記載されている方法を好適に用い ことができる。
 表面に凹凸パターンを有するアルミニウム を用いることにより、ブラシと研磨剤とで 成する凹凸パターンより、平均ピッチと深 が均一な凹凸パターンを得ることができる で耐汚れ性が向上する。また後のアルカリ ッチング処理および粗面化処理で消費され エネルギーを少なくしつつ、印刷機上にお る湿し水の量の調整を容易にすることがで る。例えば、後述する第1エッチング処理に おいて、エッチング量を3g/m 2 程度以下と少なくすることができる。また、 凹凸パターンを有するアルミニウム板を用い ると得られる平版印刷版用支持体の表面積が 増大するため、耐刷性により優れる。

 転写は、通常のアルミニウム板の最終冷間 延工程で行うのが特に好ましい。転写のた の圧延は1~3パスで行うのが好ましく、それ れの圧下率は3~8%であるのが好ましい。
 また、転写により付与される凹凸は、アル ニウム板の両面に付与されるのがより好ま い。これにより、表面と裏面のアルミニウ 板の伸び率を同程度に調整することができ ので平面性のよいアルミニウム板を得るこ ができる。

 凹凸の転写に用いられる、表面に凹凸を有 る圧延ロールを得る方法としては、例えば ブラスト法、電解法、レーザ法、放電加工 、これらを組み合わせた方法が挙げられる 中でも、ブラスト法と電解法とを組み合わ た方法が好ましい。ブラスト法の中でも、 アーブラスト法が好ましい。
 エアーブラスト法におけるエアー圧は、1~10 kgf/cm 2 (9.81×10 4 ~9.81×10 5 Pa)であるのが好ましく、2~5kgf/cm 2 (1.96×10 5 ~4.90×10 5 Pa)であるのがより好ましい。
 エアーブラスト法に用いられるグリッドは 所定の粒径のアルミナ粒子であれば特に限 されない。グリッドに、硬く、粒子一つ一 の角が鋭角なアルミナ粒子を用いると、転 ロールの表面に、深く均一な凹凸を形成さ やすい。
 アルミナ粒子の平均粒径は、50~150μmであり 60~130μmであるのが好ましく、70~90μmである がより好ましい。上記範囲であると、転写 ールとして十分な大きさの表面粗さが得ら るため、この転写ロールを用いて凹凸を付 したアルミニウム板の表面粗さが十分に大 くなる。また、ピット数も十分に多くする とができる。

 エアーブラスト法においては、噴射を2~5回 うのが好ましく、中でも2回行うのがより好 ましい。噴射を2回行うと、1回目の噴射で形 された凹凸の不揃いな凸部を2回目の噴射で 削り取ることができるため、得られる圧延ロ ールを用いて凹凸を付与したアルミニウム板 の表面に、局所的に深い凹部が形成されにく くなる。その結果、平版印刷版の現像性(感 )が優れたものとなる。
 エアーブラスト法における噴射角は、噴射 (ロール表面)に対して60~120°であるのが好ま しく、80~100°であるのがより好ましい。

 エアーブラスト法を行った後、後述するめ き処理を行う前に、平均表面粗さ(R a )がエアーブラスト後の値から10~40%低下する で、研磨するのが好ましい。研磨は、サン ペーパー、砥石またはバフを用いるのが好 しい。研磨することにより、転写ロールの 面の凸部の高さを揃えることができ、その 果、この転写ロールを用いて凹凸を付与し アルミニウム板の表面に、局所的に深い部 が形成されなくなる。その結果、平版印刷 の現像性(感度)が特に優れたものとなる。

 転写ロールの表面の平均表面粗さ(R a )は0.4~1.0μmであるのが好ましく、0.6~0.9μmであ るのがより好ましい。転写ロールの表面の山 数は、1000~40000個/mm 2 であるのが好ましく、2000~10000個/mm 2 であるのがより好ましい。山数が少なすぎる と、平版印刷版用支持体の保水性および画像 記録層との密着性が劣ったものになる。保水 性が劣ると、平版印刷版としたときに、網点 部が汚れやすくなる。

 転写ロールの材質は、特に限定されず、例 ば、公知の圧延ロール用材質を用いること できる。
 本発明においては、鋼製のロールを用いる が好ましい。中でも、鍛造により作られた ールであるのが好ましい。好ましいロール 質の組成の一例は、C:0.07~6質量%、Si:0.2~1質 %、Mn:0.15~1質量%、P:0.03質量%以下、S:0.03質量% 下、Cr:2.5~12質量%、Mo:0.05~1.1質量%、Cu:0.5質量 %以下、V:0.5質量%以下、残部:鉄および不可避 純物である。
 また、一般的に圧延用ロールとして用いら る、工具鋼(SKD)、ハイス鋼(SKH)、高炭素クロ ム軸受鋼(SUJ)、炭素とクロムとモリブデンと ナジウムとを合金元素として含む鍛造鋼が げられる。長いロール寿命を得るために、 ロムを10~20質量%程度含有する高クロム合金 鉄を用いることもできる。
 中でも、鍛造法により製造されたロールを いるのが好ましい。この場合、焼入れ、焼 し後の硬度が、Hsで80~100であるのが好まし 。焼戻しは、低温焼戻しを行うのが好まし 。
 ロールの直径は200~1000mmであるのが好ましい 。また、ロールの面長は1000~4000mmであるのが ましい。

 エアーブラスト法等により凹凸を形成され 転写ロールは、洗浄の後、焼入れ、ハード ロムめっき等の硬質化処理を施されるのが ましい。これにより耐摩耗性が向上し、寿 が長くなる。
 硬質化処理としては、ハードクロムめっき 特に好ましい。ハードクロムめっきは、工 用クロムめっき法として従来周知のCrO 3 -SO 4 浴、CrO 3 -SO 4 -フッ化物浴等を用いた電気めっきによる方 を用いることができる。
 ハードクロムめっき皮膜の厚さは3~15μmであ るのが好ましく、5~10μmであるのがより好ま い。上記範囲であると、ロール表面素地と っき皮膜との境界から、めっき皮膜部分が がれるめっきはく離が生じにくく、また、 摩耗性の向上効果も十分となる。ハードク ムめっき皮膜の厚さは、めっき処理時間を 整することによって調節することができる
 ハードクロムめっきの前には、ハードクロ めっきに用いるめっき液中で、ロールを陽 とし、直流電流を用いて、5,000~50,000C/dm 2 の電気量で電解処理を行うのが好ましい。こ れにより、ロールの表面の凹凸を均一化する ことができる。

 本発明に用いられるアルミニウム板は、連 した帯状のシート材または板材である。即 、アルミニウムウェブであってもよく、製 として出荷される平版印刷版原版に対応す 大きさ等に裁断された枚葉状シートであっ もよい。
 アルミニウム板の表面のキズは平版印刷版 支持体に加工した場合に欠陥となる可能性 あるため、平版印刷版用支持体とする表面 理工程の前の段階でのキズの発生は可能な り抑制する必要がある。そのためには安定 た形態で運搬時に傷付きにくい荷姿である とが好ましい。
 アルミニウムウェブの場合、アルミニウム 荷姿としては、例えば、鉄製パレットにハ ドボードとフェルトとを敷き、製品両端に ボールドーナツ板を当て、ポリチュ-ブで全 体を包み、コイル内径部に木製ドーナツを挿 入し、コイル外周部にフェルトを当て、帯鉄 で絞め、その外周部に表示を行う。また、包 装材としては、ポリエチレンフィルム、緩衝 材としては、ニードルフェルト、ハードボー ドを用いることができる。この他にもいろい ろな形態があるが、安定して、キズも付かず 運送等が可能であればこの方法に限るもので はない。

 本発明に用いられるアルミニウム板の厚 は、0.1~0.6mm程度であり、0.15~0.4mmであるのが 好ましく、0.2~0.3mmであるのがより好ましい。 この厚さは、印刷機の大きさ、印刷版の大き さ、ユーザーの希望等により適宜変更するこ とができる。

<表面処理>
 本発明の平版印刷版用支持体の製造方法は 上述したアルミニウム板に、電解液中で交 を用いて電気化学的粗面化処理を施して平 印刷版用支持体を得る。
 本発明の平版印刷版用支持体の製造方法に いては、上記以外の各種の工程を含んでい もよい。

 具体的には、例えば、アルカリ水溶液中で エッチング処理(第1エッチング処理)、酸性 溶液中でのデスマット処理、電気化学的粗 化処理、アルカリ水溶液中でのエッチング 理(第2エッチング処理)、酸性水液中でのデ マット処理、陽極酸化処理をこの順に施す 法が好適に挙げられる。
 また、前記処理で陽極酸化処理を施す前に らに電気化学的粗面化処理、アルカリ水溶 中でのエッチング処理、酸性水溶液中での スマット処理を行ってよい。また、上記陽 酸化処理の後に、更に、封孔処理、親水化 理、または、封孔処理およびその後の親水 処理を施す方法も好ましい。

 また、第1エッチング処理の前に、機械的粗 面化処理を行うこともできる。これにより、 電気化学的粗面化処理に用いられる電気量を 低減させることができる。
 機械的粗面化処理としては、例えば、アル ニウム表面を金属ワイヤーでひっかくワイ ーブラシグレイン法、研磨球と研磨剤でア ミニウム表面を砂目立てするボールグレイ 法、特開平6-135175号公報および特公昭50-40047 号公報に記載されているナイロンブラシと研 磨剤で表面を砂目立てするブラシグレイン法 を用いることができる。
 また、凹凸面をアルミニウム板に圧接する 写方法(転写ロール法)を用いることもでき 。即ち、特開昭55-74898号、特開昭60-36195号、 開昭60-203496号の各公報に記載されている方 のほか、転写を数回行うことを特徴とする 開平6-55871号公報、表面が弾性であることを 特徴とした特開平6-24168号公報に記載されて る方法も適用可能である。
 中でも、転写ロール法が、平版印刷版用支 体の製造工程の高速化に対応しやすいので 好ましい。転写ロール法は、上述したよう 、最終板厚に調整する冷間圧延、または、 終板厚調整後の表面形状を仕上げる仕上げ 間圧延において、転写を行うのが好ましい

 以下、表面処理の各工程について、詳細 説明する。

<第1エッチング処理>
 アルカリエッチング処理は、上述したアル ニウム板をアルカリ溶液に接触させること より、表層を溶解する処理である。

 電気化学的粗面化処理の前には、第1エッチ ング処理を行うことが好ましい。第1エッチ グ処理は、電気化学的粗面化処理で均一な 部を形成させること、および、アルミニウ 板(圧延アルミ)の表面の圧延油、汚れ、自然 酸化皮膜等を除去することを目的として行わ れる。
 第1エッチング処理においては、後に電気化 学的粗面化処理を施される面のエッチング量 は、0.5g/m 2 以上であるのが好ましく、1g/m 2 以上であるのがより好ましく、また、10g/m 2 以下であるのが好ましく、5g/m 2 以下であるのがより好ましい。エッチング量 が0.5g/m 2 以上であると、電気化学的粗面化処理におい て均一なピットを生成させることができる。 エッチング量が10g/m 2 以下であると、アルカリ水溶液の使用量が少 なくなり、経済的に有利となる。

 電気化学的粗面化処理を施される面の裏面 エッチング量は、電気化学的粗面化処理を される面のエッチング量の5%以上であるの 好ましく、10%以上であるのがより好ましく また、50質量%以下であるのが好ましく、30質 量%以下であるのがより好ましい。上記範囲 あると、アルミニウム板の裏面の圧延油の 去効果と、経済性とのバランスに優れる。
 後述する第2エッチング処理および第3エッ ング処理においても、同様である。

 アルカリ溶液に用いられるアルカリとし は、例えば、カセイアルカリ、アルカリ金 塩が挙げられる。具体的には、カセイアル リとしては、例えば、カセイソーダ、カセ カリが挙げられる。また、アルカリ金属塩 しては、例えば、メタケイ酸ソーダ、ケイ ソーダ、メタケイ酸カリ、ケイ酸カリ等の ルカリ金属ケイ酸塩;炭酸ソーダ、炭酸カリ 等のアルカリ金属炭酸塩;アルミン酸ソーダ アルミン酸カリ等のアルカリ金属アルミン 塩;グルコン酸ソーダ、グルコン酸カリ等の ルカリ金属アルドン酸塩;第二リン酸ソーダ 、第二リン酸カリ、第一リン酸ソーダ、第一 リン酸カリ等のアルカリ金属リン酸水素塩が 挙げられる。中でも、エッチング速度が速い 点および安価である点から、カセイアルカリ の溶液、および、カセイアルカリとアルカリ 金属アルミン酸塩との両者を含有する溶液が 好ましい。特に、カセイソーダの水溶液が好 ましい。

 第1エッチング処理においては、アルカリ溶 液の濃度は、1質量%以上であるのが好ましく 20質量%以上であるのがより好ましく、また 35質量%以下であるのが好ましく、30質量%以 であるのがより好ましい。
 また、アルカリ溶液は、アルミニウムイオ を含有しているのが好ましい。アルミニウ イオン濃度は、0.5質量%以上であるのが好ま しく、4質量%以上であるのがより好ましく、 た、10質量%以下であるのが好ましく、8質量 %以下であるのがより好ましい。このような ルカリ溶液は、例えば、水と48質量%カセイ ーダ水溶液とアルミン酸ソーダとを用いて 製することができる。

 第1エッチング処理においては、アルカリ溶 液の温度は、25℃以上であるのが好ましく、4 0℃以上であるのがより好ましく、また、95℃ 以下であるのが好ましく、80℃以下であるの より好ましい。
 第1エッチング処理においては、処理時間は 、1秒以上であるのが好ましく、2秒以上であ のがより好ましく、また、30秒以下である が好ましく、15秒以下であるのがより好まし い。

 アルミニウム板を連続的にエッチング処理 ていくと、アルカリ溶液中のアルミニウム オン濃度が上昇していき、アルミニウム板 エッチング量が変動する。そこで、エッチ グ液の組成管理を、以下のようにして行う が好ましい。
 即ち、カセイソーダ濃度とアルミニウムイ ン濃度とのマトリクスに対応する、電導度 比重と温度とのマトリクス、または、電導 と超音波伝搬速度と温度とのマトリクスを らかじめ作成しておき、電導度と比重と温 、または、電導度と超音波伝搬速度と温度 よって液組成を測定し、液組成の制御目標 になるようにカセイソーダと水とを添加す 。そして、カセイソーダと水とを添加する とによって増加したエッチング液を、循環 ンクからオーバーフローさせることにより その液量を一定に保つ。添加するカセイソ ダとしては、工業用の40~60質量%のものを用 ることができる。
 電導度計および比重計としては、それぞれ 度補償されているものを用いるのが好まし 。比重計としては、差圧式のものを用いる が好ましい。

 アルミニウム板をアルカリ溶液に接触さ る方法としては、例えば、アルミニウム板 アルカリ溶液を入れた槽の中を通過させる 法、アルミニウム板をアルカリ溶液を入れ 槽の中に浸せきさせる方法、アルカリ溶液 アルミニウム板の表面に噴きかける方法が げられる。

 中でも、アルカリ溶液をアルミニウム板 表面に噴きかける方法が好ましい。具体的 は、φ2~5mmの孔を10~50mmピッチで有するスプ ー管から、スプレー管1本あたり、10~100L/min 量でエッチング液を吹き付ける方法が好ま い。スプレー管は複数本設けるのが好まし 。

 アルカリエッチング処理が終了した後は、 ップローラで液切りし、更に、1~10秒間水洗 処理を行った後、ニップローラで液切りする のが好ましい。
 水洗処理は、自由落下カーテン状の液膜に り水洗処理する装置を用いて水洗し、更に スプレー管を用いて水洗するのが好ましい

 また、水洗処理に用いられるスプレー管 しては、例えば、扇状に噴射水が広がるス レーチップをアルミニウム板の幅方向に複 個有するスプレー管を用いることができる スプレーチップの間隔は20~100mmであるのが ましく、また、スプレーチップ1本あたりの 量は0.5~20L/minであるのが好ましい。スプレ 管は複数本用いるのが好ましい。

<第1デスマット処理>
 第1エッチング処理を行った後、表面に残留 する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い( 第1デスマット処理)を行うのが好ましい。デ マット処理は、アルミニウム板を酸性溶液 接触させることにより行う。

 用いられる酸としては、例えば、硝酸、 酸、塩酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素 、ホウフッ化水素酸が挙げられる。中でも 硝酸、硫酸が好ましい。具体的には、例え 、後述する陽極酸化処理工程で用いた硫酸 溶液の廃液を好適に用いることができる。

 デスマット処理液の組成管理においては 酸性溶液濃度とアルミニウムイオン濃度と マトリクスに対応する、電導度と温度で管 する方法、電導度と比重と温度とで管理す 方法、および、電導度と超音波の伝搬速度 温度とで管理する方法のいずれかを選択し 用いることができる。

 第1デスマット処理においては、0.5~30質量 %の酸および0.5~10質量%のアルミニウムイオン 含有する酸性溶液を用いるのが好ましい。

 酸性溶液の温度は、25℃以上であるのが ましく、また、95℃以下であるのが好ましい 。

 第1デスマット処理においては、処理時間 は、1秒以上であるのが好ましく、2秒以上で るのがより好ましく、また、30秒以下であ のが好ましく、10秒以下であるのがより好ま しい。

 アルミニウム板を酸性溶液に接触させる方 としては、例えば、アルミニウム板を酸性 液を入れた槽の中を通過させる方法、アル ニウム板を酸性溶液を入れた槽の中に浸せ させる方法、酸性溶液をアルミニウム板の 面に噴きかける方法が挙げられる。
 中でも、酸性溶液をアルミニウム板の表面 噴きかける方法が好ましい。具体的には、 2~5mmの孔を10~50mmピッチで有するスプレー管 ら、スプレー管1本あたり、10~100L/minの量で スマッティング液を吹き付ける方法が好ま い。スプレー管は複数本設けるのが好まし 。

 デスマット処理が終了した後は、ニップロ ラで液切りし、更に、1~10秒間水洗処理を行 った後、ニップローラで液切りするのが好ま しい。
 水洗処理は、アルカリエッチング処理の後 水洗処理と同様である。ただし、スプレー ップ1本あたりの液量は1~20L/minであるのが好 ましい。

<電気化学的粗面化処理>
 電気化学的粗面化処理は、塩素イオンと硫 イオンを含有する混合水溶液中での交流を いた電気化学的粗面化処理を行うことが望 しい。この電気化学的粗面化処理により、 ラトー部(平坦部)の少ない、好ましくは平 直径2~20μmの均一な凹部を有し、好ましくは 均表面粗さ0.3~0.8μmの表面形状が得られる。 このように、本発明においては、電気化学的 粗面化処理後の表面において、プラトー部が 少ないので、平版印刷版としたときの耐刷性 が優れたものとなり、また、ピットが均一で あるので、平版印刷版としたときの耐汚れ性 が優れたものとなる。
 これに対し、電解液として塩酸を含有し、 つ、硫酸を含有しない水溶液を用いる場合 、ピットが浅くなったり、重なったりして 不均一になる。また、プラトー部も多くな 。

 電解液として用いられる混合水溶液にお る塩酸濃度は、3~30g/Lであるのが好ましく、 4~20g/Lであるのがより好ましく、10~18g/Lである のが更に好ましい。上記範囲であると、ピッ トの均一性が高くなる。

 混合水溶液における硫酸濃度は、0.01~10g/Lで あるのが好ましく、0.1~5g/Lであるのがより好 しく、1~4g/Lであるのが更に好ましい。硫酸 、アノード反応で酸化皮膜を形成する。こ により、均一な凹凸表面が得られると考え れる。
 また、本発明では、混合水溶液に硫酸が添 されているために、後述するように複数の 解槽を用いて電気化学的粗面化を行う場合 も、平均粗さR a を十分な値とすることができる。

 混合水溶液には、硝酸アルミニウム、硝 ナトリウム、硝酸アンモニウム等の硝酸イ ン、塩化アルミニウム、塩化ナトリウム、 化アンモニウム等の塩酸イオンを有する塩 化合物または硝酸化合物を添加して使用す ことができる。また、銅と錯体を形成する 合物を1~200g/Lの割合で添加することもでき 。混合水溶液中には、鉄、銅、マンガン、 ッケル、チタン、マグネシウム、ケイ素等 アルミニウム合金中に含まれる金属が溶解 ていてもよい。次亜塩素酸や過酸化水素を1~ 100g/L添加してもよい。

 混合水溶液におけるアルミニウムイオン 度は、3~30g/Lであるのが好ましく、3~20g/Lで るのがより好ましく、8~18g/Lであるのが更に ましい。上記範囲であると、ピットの均一 が高くなる。また、混合水溶液の補充量が くなりすぎることがない。

 電解液の各成分の濃度制御は、濃度測定方 等の多成分濃度測定法と、フィードフォワ ド制御およびフィードバック制御とを併用 て行うのが好ましい。これにより、電解液 正確な濃度管理が可能となる。
 多成分濃度測定法は、例えば、液中の超音 の伝搬速度と液の電導度(導電率)とを用い 濃度を測定する方法、中和滴定法、キャピ リー電気泳動分析法、イソタコフォレシス(i sotachophoresis、細管式等速電気泳動法)分析法 イオンクロマトグラフ法が挙げられる。
 イオンクロマトグラフ法は、検出器の種類 より、吸光度検出イオンクロマトグラフ、 ンサプレッサ型電気電導度検出イオンクロ トグラフ、サプレッサ型イオンクロマトグ フ等に分類される。中でも、サプレッサ型 オンクロマトグラフが、測定の安定性の確 のうえで好ましい。

 具体的には、以下に説明する方法によって 電解液の各成分の濃度制御をすることが好 しい。
 電気化学的粗面化を行うと、電解液では、 電量に比例して水素イオン濃度が低下し、 ルミニウムイオン濃度が上昇する。したが て、通電量に基づいたフィードフォワード 御を行うことにより、水素イオン濃度とア ミニウムイオン濃度とを一定に保つことが きる。
 すなわち、水素イオン濃度を上昇させるた に、通電量、すなわち、交流電源が発生す 電流値に比例した量の酸を電解液に補給し アルミニウムイオン濃度を低下させるため 、通電量に比例した量の水を電解液に補給 、さらに、水の添加によって酸の濃度が低 するので、添加された水の量に比例した量 酸を電解液に補給することによって、水素 オン濃度とアルミニウムイオン濃度とを一 に保つことができる。なお、以下の説明で 、電解液に補給する水を補給水ともいう。

 さらに、電解液の濃度を測定する濃度測定 を設け、測定された電解液の濃度に基づい 酸や補給水の補給を制御するフィードバッ 制御を併用して、電解液の各成分を濃度制 することが好ましい。フィードバック制御 併用することにより、アルミニウム板によ 電解液の持ち出しや持ち込み、電解液の蒸 等がある場合にも、電解液の濃度を制御よ 制御することができる。
 濃度測定方法としては、上述した多成分濃 測定法が挙げられるが、各成分の液組成に 応した電解液の電導度と超音波伝搬速度と 対応をとっておき、電導度と超音波伝搬速 との値に基づいて濃度測定を行う方法が特 好ましい。

 補給水および酸は、循環タンクに供給す ことが好ましい。循環タンクは、電解液を 留しており、貯留されている電解液を電解 に供給し、電解槽から排出された電解液を 留する。循環タンクの容量を超えた電解液 、オーバーフローにより排出される。なお 排出された電解液は、無害化した後に廃液 して河川などに放流される。

 本発明では、硫酸、塩酸、アルミニウムイ ンという3成分の濃度制御を行うが、3成分 濃度をリアルタイムに測定することは困難 ある。したがって、補給水に予め電解液中 硫酸濃度と同じ濃度の硫酸を添加しておき 硫酸が添加された補給水と塩酸とを補給す ことによって、濃度制御することが好まし 。
 この方法では、補給水中の硫酸濃度も制御 ることが好ましい。補給水の硫酸濃度を制 する方法としては、補給水の硫酸濃度を測 して、測定した結果に基づいて硫酸または を添加する方法が挙げられる。補給水の硫 濃度を測定する方法としては、補給水の電 度、pH、比重、または超音波の伝搬速度に づいて測定する方法、中和滴定法、キャピ リー電気泳動分析法、イソタコフォレシス 析法、イオンクロマトグラフ法などが挙げ れるが、補給水の電導度を用いて測定する 法が好ましい。

 図4は、本発明において電解液の濃度を制御 するシステム(以下、「濃度制御システム」 もいう。)200の一例を示す図である。
 図4では、交流電源201から出力された電流を 電極202に供給することで、電解槽203に貯留さ れている電解液220の中を通過するアルミニウ ム板204に電気化学的粗面化処理が施されてお り、濃度制御システム200が、電解槽203内の電 解液220に含まれる成分の濃度を制御している 。

 濃度制御システム200は、循環タンク210と、 環タンク210内の電解液220に含まれる塩酸お びアルミニウムイオンの濃度を測定する第1 濃度測定系211と、塩酸221を貯留する塩酸貯留 部212と、水と硫酸を含有する補給水222を貯留 する補給水貯留部213と、交流電源201および第 1濃度測定系211から供給されたデータに基づ て循環タンク210への塩酸221および/または補 水222の供給を制御するコントローラ214と、 給水222に含まれる硫酸の濃度を測定する第2 濃度測定系215とを備える。なお、図4中Pはポ プを示している。また、図4中実線は液体の 移動を示しており、破線は信号の流れを示し ている。
 濃度制御システム200では、第1濃度測定系211 が、循環タンク210内の電解液220中の塩酸およ びアルミニウムイオンの濃度を測定しており 、コントローラ214が、第1濃度測定系211が測 した濃度と交流電源201が発生している電流 に基づいて、塩酸貯留部212から循環タンク21 0への塩酸の補給と補給水貯留部213から循環 ンク210への補給水の補給とを制御すること よって、濃度制御されている。循環タンク21 0に貯留されている電解液220は電解槽203に供 され、また、電解槽203中の電解液220は循環 ンク210に排出される。
 なお、濃度制御システム200では、補給水貯 部213に貯留されている補給水222中の硫酸濃 を、第2の濃度測定系215によって測定し、測 定結果に応じて水および/または硫酸を補給 貯留部213に供給することによって制御して る。

 電解液に補給する塩酸としては、10~35質量% ものを用いることが好ましい。
 また、補給水中の硫酸濃度は、電解液の硫 濃度と同一とする。すなわち、例えば電解 の硫酸濃度が3g/Lの場合には、補給水の硫酸 濃度も3g/Lである。補給水の硫酸濃度を電解 の硫酸濃度と同じにすることによって、電 液の硫酸濃度を測定することなく、電解液 硫酸濃度を一定に保つことができる。

 電気化学的粗面化処理における電気量は、 ルミニウム板が陽極時の電気量の総和で、1 50~800C/dm 2 であるのが好ましく、200~700C/dm 2 であるのがより好ましく、200~500C/dm 2 であるのが更に好ましい。150C/dm 2 以上であると、表面粗さが十分となり、耐刷 性および印刷時の水量の調整のしやすさがよ り優れたものとなる。800C/dm 2 以下であると、耐汚れ性がより優れたものと なる。
 また、転写により凹凸パターンを形成した ルミニウム板を用いる場合は、200~400C/dm 2 であるのが特に好ましい。

 電気化学的粗面化処理における電流密度は 電流値のピークで、30~300A/dm 2 であるのが好ましく、50~200A/dm 2 であるのがより好ましく、75~125A/dm 2 であるのが更に好ましい。30A/dm 2 以上であると、生産性がより優れたものとな る。300A/dm 2 以下であると、電圧が高くなく、電源容量が 大きくなりすぎないので、電源コストを低く することができる。
 電流密度は、電解処理の最初から最後まで 増するように設定するのが好ましい。これ より、均一なピットが生成しやすくなる。 体的には、(電解の最後の電流密度/電解の 初の電流密度)の値が1.1~2.0になるように段階 的に漸増するように、電源および電極を分割 して設定するのが好ましい。

 電気化学的粗面化処理は、例えば、特公 48-28123号公報および英国特許第896,563号明細 に記載されている電気化学的グレイン法(電 解グレイン法)に従うことができる。

 電解槽および電源については、種々提案さ ているが、米国特許第4,203,637号明細書、特 昭56-123400号、特開昭57-59770号、特開昭53-12738 号、特開昭53-32821号、特開昭53-32822号、特開 53-32823号、特開昭55-122896号、特開昭55-132884号 、特開昭62-127500号、特開平1-52100号、特開平1- 52098号、特開昭60-67700号、特開平1-230800号、特 開平3-257199号の各公報等に記載されているも を用いることができる。
 また、特開昭52-58602号、特開昭52-152302号、 開昭53-12738号、特開昭53-12739号、特開昭53-3282 1号、特開昭53-32822号、特開昭53-32833号、特開 53-32824号、特開昭53-32825号、特開昭54-85802号 特開昭55-122896号、特開昭55-132884号、特公昭4 8-28123号、特公昭51-7081号、特開昭52-133838号、 開昭52-133840号、特開昭52-133844号、特開昭52-1 33845号、特開昭53-149135号、特開昭54-146234号の 公報等に記載されているもの等も用いるこ ができる。

 更に、Cuと錯体を形成しうる化合物を添 して使用することによりCuを多く含有するア ルミニウム板に対しても均一な砂目立てが可 能になる。Cuと錯体を形成しうる化合物とし は、例えば、アンモニア;メチルアミン、エ チルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミ ン、トリメチルアミン、シクロヘキシルアミ ン、トリエタノールアミン、トリイソプロパ ノールアミン、EDTA(エチレンジアミン四酢酸) 等のアンモニアの水素原子を炭化水素基(脂 族、芳香族等)等で置換して得られるアミン ;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素 カリウム等の金属炭酸塩類が挙げられる。ま た、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、 硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭 酸アンモニウム等のアンモニウム塩も挙げら れる。

 混合水溶液の温度は、20℃以上であるの 好ましく、25℃以上であるのがより好ましく 、30℃以上であるのが更に好ましく、また、6 0℃以下であるのが好ましく、50℃以下である のがより好ましく、40℃以下であるのが更に ましい。20℃以上であると、冷却のための 凍機運転コストが高くならず、また、冷却 ための地下水の使用量を抑制することがで る。60℃以下であると、設備の耐食性を確保 することが容易である。

 電気化学的粗面化処理に用いられる交流電 波は、特に限定されず、正弦波、矩形波、 形波、三角波等が用いられるが、台形波ま は正弦波が好ましく、正弦波がより好まし 。台形波とは、図5に示したものをいう。台 形波において電流がゼロからピークに達する までの時間(電流立ち上がり時間、TP)は0.5~3.5m secであるの
が好ましく、0.8~2.5msecであるのがより好まし 。0.5msec以上であると、電源の製作コストが 低くなる。3.5msec以下であると、ピットの均 性がより優れたものとなる。三角波におい は、電流立ち上がり時間は、任意に選定す ことができる。

 また、正弦波を用いる場合には、商用交 等の実質的に正弦波として用いられている のを、特に限定されずに用いることができ 。

 交流のduty(1周期中のアルミニウム板が陽極 なっている時間/1周期の時間)は、0.33~0.66で るのが好ましく、0.45~0.55であるのがより好 しい。
 また、交流の周波数は、10~200Hzであるのが ましく、20~150Hzであるのがより好ましく、30~ 120Hzであるのが更に好ましい。10Hz以上である と、ファセット状(角張った四角い形状)の大 なピットができにくく、耐汚れ性がより優 たものとなる。200Hz以下であると、電解電 を流す回路のインダクタンス成分の影響を けにくく、大容量の電源の製作が容易とな 。

 また、電源装置としては、例えば、商用 流を用いたもの、インバータ制御電源等を いることができる。中でも、IGBT(Insulated Gat e Bipolar Transistor)素子を用いたインバータ制 電源が、アルミニウム板の幅および厚さ、 解液中の各成分の濃度の変動等に対して電 を変動させて、電流値(アルミニウム板の電 流密度)を一定に制御する際に、追従性に優 る点で好ましい。

 電解槽には1個以上の交流電源を接続する ことができる。主極に対向するアルミニウム 板に加わる交流の陽極と陰極との電流比をコ ントロールし、均一な砂目立てを行うことと 、主極のカーボンを溶解することとを目的と して、図6に示したように、補助陽極を設置 、交流電流の一部を分流させることが好ま い。図6において、311はアルミニウム板であ 、312はラジアルドラムローラであり、313aお よび313bは主極であり、314は電解処理液であ 、315は電解液供給口であり、316はスリット あり、317は電解液通路であり、318は補助陽 であり、319aおよび319bはサイリスタであり、 320は交流電源であり、340は主電解槽であり、 350は補助陽極槽である。整流素子またはスイ ッチング素子を介して電流値の一部を二つの 主電極とは別の槽に設けた補助陽極に直流電 流として分流させることにより、主極に対向 するアルミニウム板上で作用するアノード反 応にあずかる電流値と、カソード反応にあず かる電流値との比を制御することができる。 電流比(アルミニウム板が陽極時の電気量の 和とアルミニウム板が陰極時の電気量の総 との比)は、0.9~3であるのが好ましく、0.95~2 あるのがより好ましい。

 なお、電解槽は、前述のフラット型の他、 型等の公知の表面処理に用いる電解槽が使 可能であるが、特開平5-195300号公報に記載 れているような上記のラジアル型電解槽が 電気化学的粗面化処理で生成するピットの 廻りを防止できる観点から好ましい。
 フラット型の電解槽を用いるときは、電気 学的粗面化処理で生成するピットの裏廻り 防止する目的で、アルミニウム板の非処理 に絶縁板を設けて電流が非処理面に流れる を防止する方法をとることが好ましい。
 電解槽内を通過する電解液は、アルミニウ ウェブの進行方向に対してパラレルであっ もカウンターであってもよいが、カウンタ がより望ましい。

 ところで、アルミニウム板を電気化学的粗 化するに際し、生産量の向上のために、ア ミニウム板の移動速度を速めることが好ま い。アルミニウム板の移動速度を速めるた には、電気化学的粗面化処理が行われる長 、すなわち処理長を長くする必要がある。
 処理長を長くする方法としては、大型化さ た電解槽を用いる方法が挙げられるが、大 化された電解槽は製造が困難であるので、 数の電解槽を用いることが好ましい態様の つである。

 用いる電解槽の数を増やすと、アルミニウ 板表面の平均粗さR a を十分な値にすることが困難になるが、電解 液に硫酸が含まれていると十分な値にするこ とができる。したがって、本発明は、電解槽 を複数用いて電気化学的粗面化処理を行った 場合にも、アルミニウム板表面の平均粗さR a を十分な値とすることが可能となるので、生 産量を向上させることができる。
 電解槽の数は、3~10個であることが好ましい 。3~7個であれば、平均粗さR a を十分な値とすることができ、かつ生産性を 向上させることができる。

 ここで、上記のラジアル型電解槽を用い 場合も、前述同様に電解槽内の電解液の流 を平均流速で500~4000mm/秒、また、電解槽内 金属ウェブの搬送方向と直交する幅方向に する電解液の流速分布を上記平均流速の±50% 以内にする。そして、1回の槽内電極間処理 止区間を通過する時間を0.05~1秒とする速度 金属ウェブを搬送する。そして、電解液供 口は、この場合も金属ウェブ311と電極313a、3 13bとの間で、電極313a,313bに対応して複数配置 する。これら各電解液供給口から、それぞれ 電解液を噴射供給する。

 なお、電気化学的粗面化処理が終了した後 、ニップローラで液切りし、更に、1~10秒間 水洗処理を行った後、ニップローラで液切り するのが好ましい。
 水洗処理は、スプレー管を用いて水洗する が好ましい。水洗処理に用いられるスプレ 管としては、例えば、扇状に噴射水が広が スプレーチップをアルミニウム板の幅方向 複数個有するスプレー管を用いることがで る。スプレーチップの間隔は20~100mmである が好ましく、また、スプレーチップ1本あた の液量は1~20L/minであるのが好ましい。スプ ー管は複数本用いるのが好ましい。

 電気化学的粗面化処理で生成する凹部の平 開口径の測定は、例えば、電子顕微鏡を用 て支持体の表面を真上から倍率2000倍または 50000倍で撮影し、得られた電子顕微鏡写真に いて、それぞれで生成した、ピットの周囲 環状に連なっているピットをそれぞれ少な とも50個抽出し、その直径を読み取って開 径とし、平均開口径を算出することにより う。
 また、測定のバラツキを抑制するために、 販の画像解析ソフトによる等価円直径測定 行うこともできる。この場合、上記電子顕 鏡写真をスキャナーで取り込んでデジタル し、ソフトウェアにより二値化した後、等 円直径を求める。
 本発明者が測定したところ、目視測定の結 とデジタル処理の結果とは、ほぼ同じ値を した。

 <第2エッチング処理>
 第2エッチング処理は、電気化学的粗面化処 理で生成したスマットを溶解させること、お よび、電気化学的粗面化処理により形成され たピットのエッジ部分を溶解させることを目 的として行われる。これにより、電気化学的 粗面化処理によって形成された大きなピット のエッジ部分が溶解して表面が滑らかになり 、インキがエッジ部分にひっかかりにくくな るため、耐汚れ性に優れる平版印刷版原版を 得ることができる。
 第2エッチング処理は、基本的に第1エッチ グ処理と同様であるが、エッチング量は、0. 01g/m 2 以上であるのが好ましく、0.05g/m 2 以上であるのがより好ましく、0.1g/m 2 以上であるのが更に好ましく、また、10g/m 2 以下であるのが好ましく、5g/m 2 以下であるのがより好ましく、3g/m 2 以下であるのが更に好ましい。

<第2デスマット処理>
 第2エッチング処理を行った後、表面に残留 する汚れ(スマット)を除去するために酸洗い( 第2デスマット処理)を行うのが好ましい。第2 デスマット処理は、第1デスマット処理と同 の方法で行うことができる。

<陽極酸化処理>
 以上のように処理されたアルミニウム板に 、更に、陽極酸化処理を施してもよい。陽 酸化処理はこの分野で従来行われている方 で行うことができる。この場合、例えば、 酸濃度50~300g/Lで、アルミニウム濃度5質量% 下の溶液中で、アルミニウム板を陽極とし 通電して陽極酸化皮膜を形成させることが きる。陽極酸化処理に用いられる溶液とし は、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、 ルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミ スルホン酸等を単独でまたは2種以上を組み わせて用いることができる。

 この際、少なくともアルミニウム板、電 、水道水、地下水等に通常含まれる成分が 解液中に含まれていても構わない。更には 第二、第三の成分が添加されていても構わ い。ここでいう第二、第三の成分としては 例えば、Na、K、Mg、Li、Ca、Ti、Al、V、Cr、Mn Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属のイオン;アンモ ウムイオン等の陽イオン;硝酸イオン、炭酸 オン、塩化物イオン、リン酸イオン、フッ 物イオン、亜硫酸イオン、チタン酸イオン ケイ酸イオン、ホウ酸イオン等の陰イオン 挙げられ、0~10000ppm程度の濃度で含まれてい てもよい。

 陽極酸化処理の条件は、使用される電解液 よって種々変化するので一概に決定され得 いが、一般的には電解液濃度1~80質量%、液 5~70℃、電流密度0.5~60A/dm 2 、電圧1~100V、電解時間15秒~50分であるのが適 であり、所望の陽極酸化皮膜量となるよう 調整される。

 また、特開昭54-81133号、特開昭57-47894号、 特開昭57-51289号、特開昭57-51290号、特開昭57-54 300号、特開昭57-136596号、特開昭58-107498号、特 開昭60-200256号、特開昭62-136596号、特開昭63-176 494号、特開平4-176897号、特開平4-280997号、特 平6-207299号、特開平5-24377号、特開平5-32083号 特開平5-125597号、特開平5-195291号の各公報等 に記載されている方法を使用することもでき る。

 中でも、特開昭54-12853号公報および特開 48-45303号公報に記載されているように、電解 液として硫酸溶液を用いるのが好ましい。電 解液中の硫酸濃度は、10~300g/L(1~30質量%)であ のが好ましく、50~200g/L(5~20質量%)であるのが り好ましく、また、アルミニウムイオン濃 は、1~25g/L(0.1~2.5質量%)であるのが好ましく 2~10g/L(0.2~1質量%)であるのがより好ましい。 のような電解液は、例えば、硫酸濃度が50~20 0g/Lである希硫酸に硫酸アルミニウム等を添 することにより調製することができる。

 電解液の組成管理は、上述した塩酸電解 の場合と同様の方法を用いて、硫酸濃度と ルミニウムイオン濃度とのマトリクスに対 する、電導度と比重と温度、または、電導 と超音波伝搬速度と温度により管理するの 好ましい。

 電解液の液温は、25~55℃であるのが好ま く、30~50℃であるのがより好ましい。

 硫酸を含有する電解液中で陽極酸化処理を う場合には、アルミニウム板と対極との間 直流を印加してもよく、交流を印加しても い。
 アルミニウム板に直流を印加する場合にお ては、電流密度は、1~60A/dm 2 であるのが好ましく、5~40A/dm 2 であるのがより好ましい。
 連続的に陽極酸化処理を行う場合には、ア ミニウム板の一部に電流が集中していわゆ 「焼け」(皮膜が周囲より厚くなる部分)が じないように、陽極酸化処理の開始当初は 5~10A/m 2 の低電流密度で電流を流し、陽極酸化処理が 進行するにつれ、30~50A/dm 2 またはそれ以上に電流密度を増加させるのが 好ましい。
 具体的には、直流電源の電流配分を、下流 の直流電源の電流が上流側の直流電源の電 以上にするのが好ましい。このような電流 分とすることにより、いわゆる焼けが生じ くくなり、その結果、高速での陽極酸化処 が可能となる。

 連続的に陽極酸化処理を行う場合には、ア ミニウム板に、電解液を介して給電する液 電方式により行うのが好ましい。
 このような条件で陽極酸化処理を行うこと よりポア(マイクロポア)と呼ばれる孔を多 有する多孔質皮膜が得られるが、通常、そ 平均ポア径は5~50nm程度であり、平均ポア密 は300~800個/μm 2 程度である。

 陽極酸化皮膜の量は1~5g/m 2 であるのが好ましい。1g/m 2 以上であると版に傷が入りにくくなる。5g/m 2 以下であると製造に多大な電力が不要となり 、経済的に有利となる。陽極酸化皮膜の量は 、1.5~4g/m 2 であるのがより好ましい。また、アルミニウ ム板の中央部と縁部近傍との間の陽極酸化皮 膜量の差が1g/m 2 以下になるように行うのが好ましい。
 また、電気化学的粗面化処理を施された面 裏面の陽極酸化皮膜の量は、0.1~1g/m 2 であるのが好ましい。0.1g/m 2 以上であると、裏面に傷がつきにくくなり、 平版印刷版原版として、重ねたときに、裏面 に接触する画像記録層が傷付きにくくなる。 1g/m 2 以下であると、経済的に有利となる。

 陽極酸化処理に用いられる電解装置として 、特開昭48-26638号、特開昭47-18739号、特公昭 58-24517号、特開2001-11698号の各公報等に記載さ れているものを用いることができる。
 中でも、図7に示す装置が好適に用いられる 。図7は、アルミニウム板の表面を陽極酸化 理する装置の一例を示す概略図である。

 図7に示される陽極酸化処理装置410では、 アルミニウム板416に電解液を経由して通電す るために、アルミニウム板416の進行方向の上 流側に給電槽412、下流側に陽極酸化処理槽414 を設置してある。アルミニウム板416は、パス ローラ422および428により、図7中矢印で示す うに搬送される。アルミニウム板416が最初 導入される給電槽412においては、直流電源43 4の正極に接続された陽極420が設置されてお 、アルミニウム板416は陰極となる。したが て、アルミニウム板416においてはカソード 応が起こる。

 アルミニウム板416が引き続き導入される陽 酸化処理槽414においては、直流電源434の負 に接続された陰極430が設置されており、ア ミニウム板416は陽極となる。したがって、 ルミニウム板416においてはアノード反応が こり、アルミニウム板416の表面に陽極酸化 膜が形成される。
 アルミニウム板416と陰極430の間隔は50~200mm あるのが好ましい。陰極430としてはアルミ ウムが用いられる。陰極430としては、アノ ド反応により発生する水素ガスが系から抜 やすくなるようにするために、広い面積を する電極でなく、アルミニウム板416の進行 向に複数個に分割した電極であるのが好ま い。

 給電槽412と陽極酸化処理槽414との間には 図7に示されるように、中間槽413と呼ばれる 電解液が溜まらない槽を設けるのが好ましい 。中間槽413を設けることにより、電流がアル ミニウム板416を経由せず陽極420から陰極430に バイパスすることを抑止することができる。 中間槽413にはニップローラ424を設置して液切 りを行うことにより、バイパス電流を極力少 なくするようにするのが好ましい。液切りに より出た電解液は、排液口442から陽極酸化処 理装置410の外に排出される。

 給電槽412に貯留される電解液418は、電圧 スを少なくするために、陽極酸化処理槽414 貯留される電解液426よりも高温および/また は高濃度とする。また、電解液418および426は 、陽極酸化皮膜の形成効率、陽極酸化皮膜の マイクロポアの形状、陽極酸化皮膜の硬さ、 電圧、電解液のコスト等から、組成、温度等 が決定される。

 給電槽412および陽極酸化処理槽414には、 液ノズル436および438から電解液を噴出させ 給液する。電解液の分布を一定にし、陽極 化処理槽414でのアルミニウム板416の局所的 電流集中を防ぐ目的で、給液ノズル436およ 438にはスリットが設けられ、噴出する液流 幅方向で一定にする構造となっている。

 陽極酸化処理槽414においては、陰極430か みてアルミニウム板416を挟んだ反対側には ゃへい板440が設けられ、電流がアルミニウ 板416の陽極酸化皮膜を形成させたい面の反 側に流れるのを抑止する。アルミニウム板4 16と遮蔽しゃへい板440の間隔は5~30mmであるの 好ましい。直流電源434は複数個用いて、正 側を共通に接続して用いるのが好ましい。 れによって、陽極酸化処理槽414中の電流分 を制御することができる。

<封孔処理>
 本発明においては、必要に応じて陽極酸化 膜に存在するマイクロポアを封じる封孔処 を行ってもよい。封孔処理を行うことによ 、平版印刷版原版の現像性(感度)を向上さ ることができる。
 陽極酸化皮膜が、皮膜面にほぼ垂直な方向 ポアと称する細孔を有する多孔質皮膜であ ことはよく知られている。本発明において 、陽極酸化処理に高封孔率の封孔処理を施 のが好ましい。封孔率は50%以上であるのが ましく、70%以上であるのがより好ましく、9 0%以上であるのが更に好ましい。ここで、「 孔率」は、下記式により定義される。

 封孔率=(封孔前の表面積-封孔後の表面積) /封孔前の表面積×100%

 表面積は、例えば、簡易BET方式の表面積 定装置(例えば、QUANTASORB(カンタソーブ)、湯 浅アイオニクス社製)を用いて測定すること できる。

 封孔処理は、特に限定されず、従来公知 方法を用いることができる。例えば、熱水 理、沸騰水処理、水蒸気処理、重クロム酸 処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム塩 理、電着封孔処理、特公昭36-22063号公報等 記載されているようなフッ化ジルコン酸処 、特開平9-244227号公報に記載されているリン 酸塩および無機フッ素化合物を含む水溶液で の処理、特開平9-134002号公報に記載されてい 糖を含む水溶液での処理、特開2000-81704号公 報および特開2000-89466号公報に記載されてい チタンとフッ素を含む水溶液での処理、米 特許3,181,461号明細書等に記載されているア カリ金属ケイ酸塩処理が挙げられる。

 好適な封孔処理の一例として、アルカリ 属ケイ酸塩処理が挙げられる。アルカリ金 ケイ酸塩処理は、液のゲル化および陽極酸 皮膜の溶解を起こすことのない25℃におい pH10~13であるアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を いて、アルカリ金属ケイ酸塩濃度、処理温 、処理時間等の処理条件を適宜選択して行 ことができる。好適なアルカリ金属ケイ酸 としては、例えば、ケイ酸ナトリウム、ケ 酸カリウム、ケイ酸リチウムが挙げられる また、アルカリ金属ケイ酸塩水溶液のpHを く調整するために、水酸化ナトリウム、水 化カリウム、水酸化リチウム等を配合する とができる。

 更に、必要に応じて、アルカリ金属ケイ酸 水溶液にアルカリ土類金属塩および/または 4族(第IVA族)金属塩を配合してもよい。このア ルカリ土類金属塩としては、例えば、硝酸カ ルシウム、硝酸ストロンチウム、硝酸マグネ シウム、硝酸バリウム等の硝酸塩;アルカリ 類金属の硫酸塩、塩酸塩、リン酸塩、酢酸 、シュウ酸塩、ホウ酸塩等の水溶性の塩が げられる。4族(第IVA族)金属塩としては、例 ば、四塩化チタン、三塩化チタン、フッ化 タンカリウム、シュウ酸チタンカリウム、 酸チタン、四ヨウ化チタン、塩化酸化ジル ニウム、二酸化ジルコニウム、四塩化ジル ニウムなどを挙げることができる。アルカ 土類金属塩および4族(第IVA族)金属塩は、単 でまたは2種以上組み合わせて用いることが きる。
 アルカリ金属ケイ酸塩水溶液の濃度は、0.01 ~10質量%であるのが好ましく、0.05~5.0質量%で るのがより好ましい。

 好適な封孔処理の別の一例として、フッ化 ルコン酸処理が挙げられる。フッ化ジルコ 酸処理は、フッ化ジルコン酸ナトリウム、 ッ化ジルコン酸カリウム等のフッ化ジルコ 酸塩を用いて行われる。中でも、フッ化ジ コン酸ナトリウムを用いるのが好ましい。 れにより、平版印刷版原版の現像性(感度) 優れたものとなる。フッ化ジルコン酸処理 用いられるフッ化ジルコン酸溶液の濃度は 0.01~2質量%であるのが好ましく、0.1~0.3質量% あるのがより好ましい。
 フッ化ジルコン酸塩溶液は、リン酸二水素 トリウムを含有するのが好ましい。リン酸 水素ナトリウムの濃度は、0.01~3質量%である のが好ましく、0.1~0.3質量%であるのがより好 しい。
 フッ化ジルコン酸塩溶液は、アルミニウム オンを含有していてもよい。その場合、フ 化ジルコン酸塩溶液のアルミニウムイオン 度は、1~500mg/Lであるのが好ましい。

 封孔処理の温度は、20~90℃であるのが好ま く、50~80℃であるのがより好ましい。
 封孔処理の時間(溶液中への浸せき時間)は 1~20秒であるのが好ましく、5~15秒であるのが より好ましい。

 また、必要に応じて、封孔処理を行った 、上述したアルカリ金属ケイ酸塩処理、ポ ビニルホスホン酸、ポリアクリル酸、スル 基等を側鎖に有するポリマーまたはコポリ ー、特開平11-231509号公報に記載されている ミノ基とホスフィン基、ホスホン基および ン酸基からなる群から選ばれる基とを有す 有機化合物またはその塩等を含む溶液に浸 、または塗布する処理等の表面処理を行う とができる。

 封孔処理の後には、後述する親水化処理 行うのが好ましい。

<親水化処理>
 陽極酸化処理後または封孔処理後、親水化 理を行ってもよい。親水化処理としては、 えば、米国特許第2,946,638号明細書に記載さ ているフッ化ジルコニウム酸カリウム処理 米国特許第3,201,247号明細書に記載されてい ホスホモリブデート処理、英国特許第1,108,5 59号に記載されているアルキルチタネート処 、独国特許第1,091,433号明細書に記載されて るポリアクリル酸処理、独国特許第1,134,093 明細書および英国特許第1,230,447号明細書に 載されているポリビニルホスホン酸処理、 公昭44-6409号公報に記載されているホスホン 酸処理、米国特許第3,307,951号明細書に記載さ れているフィチン酸処理、特開昭58-16893号公 および特開昭58-18291号公報に記載されてい 親油性有機高分子化合物と2価の金属との塩 よる処理、米国特許第3,860,426号明細書に記 されているように、水溶性金属塩(例えば、 酢酸亜鉛)を含む親水性セルロース(例えば、 ルボキシメチルセルロース)の成分を設ける 処理、特開昭59-101651号公報に記載されている スルホ基を有する水溶性重合体を下塗りする 処理が挙げられる。

 また、特開昭62-019494号公報に記載されてい リン酸塩、特開昭62-033692号公報に記載され いる水溶性エポキシ化合物、特開昭62-097892 公報に記載されているリン酸変性デンプン 特開昭63-056498号公報に記載されているジア ン化合物、特開昭63-130391号公報に記載され いるアミノ酸の無機または有機酸、特開昭6 3-145092号公報に記載されているカルボキシ基 たはヒドロキシ基を含む有機ホスホン酸、 開昭63-165183号公報に記載されているアミノ とホスホン酸基を有する化合物、特開平2-31 6290号公報に記載されている特定のカルボン 誘導体、特開平3-215095号公報に記載されてい るリン酸エステル、特開平3-261592号公報に記 されている1個のアミノ基とリンの酸素酸基 1個を持つ化合物、特開平3-215095号公報に記載 されているリン酸エステル、特開平5-246171号 報に記載されているフェニルホスホン酸等 脂肪族または芳香族ホスホン酸、特開平1-30 7745号公報に記載されているチオサリチル酸 ようなS原子を含む化合物、特開平4-282637号 報に記載されているリンの酸素酸のグルー を持つ化合物等を用いた下塗りによる処理 挙げられる。
 更に、特開昭60-64352号公報に記載されてい 酸性染料による着色を行うこともできる。

 また、ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のア カリ金属ケイ酸塩の水溶液に浸せきさせる 法、親水性ビニルポリマーまたは親水性化 物を塗布して親水性の成分を形成させる方 等により、親水化処理を行うのが好ましい

 ケイ酸ソーダ、ケイ酸カリ等のアルカリ金 ケイ酸塩の水溶液による親水化処理は、米 特許第2,714,066号明細書および米国特許第3,18 1,461号明細書に記載されている方法および手 に従って行うことができる。
 アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、 イ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、ケイ酸 チウムが挙げられる。アルカリ金属ケイ酸 の水溶液は、水酸化ナトリウム、水酸化カ ウム、水酸化リチウム等を適当量含有して よい。
 また、アルカリ金属ケイ酸塩の水溶液は、 ルカリ土類金属塩または4族(第IVA族)金属塩 含有してもよい。アルカリ土類金属塩とし は、例えば、硝酸カルシウム、硝酸ストロ チウム、硝酸マグネシウム、硝酸バリウム の硝酸塩;硫酸塩;塩酸塩;リン酸塩;酢酸塩; ュウ酸塩;ホウ酸塩が挙げられる。4族(第IVA )金属塩としては、例えば、四塩化チタン、 塩化チタン、フッ化チタンカリウム、シュ 酸チタンカリウム、硫酸チタン、四ヨウ化 タン、塩化酸化ジルコニウム、二酸化ジル ニウム、四塩化ジルコニウムが挙げられる これらのアルカリ土類金属塩および4族(第IV A族)金属塩は、単独でまたは2種以上組み合わ せて用いられる。

 アルカリ金属ケイ酸塩処理によって吸着す Si量は蛍光X線分析装置により測定すること でき、その吸着量は約1.0~15.0mg/m 2 であるのが好ましい。
 このアルカリ金属ケイ酸塩処理により、平 印刷版用支持体の表面のアルカリ現像液に する耐溶解性向上の効果が得られ、アルミ ウム成分の現像液中への溶出が抑制されて 現像液の疲労に起因する現像カスの発生を 減することができる。

 また、Siの吸着量は、1.0~10.0mg/m 2 であるのがより好ましい。吸着するSi量が上 範囲である場合には、網点非画像部の耐汚 性が良好になる。
 具体的に説明すると、印刷物のシャドー部( 網点部)においては、網点の面積率が高く(70~9 0%)、平版印刷版のそれに相当する領域では、 画像部(画像記録層)の面積が大きく、非画像 (支持体の露出部分)の面積が相対的に小さ なっている。このような場合、印刷時に、 接する画像部に載せられたインキ同士が接 して(即ち、絡んで)、その間の非画像部にイ ンキが付着し、印刷物の非画像部がつぶれて しまう(即ち、汚れてしまう)という現象が、 生しやすい。
 しかし、親水化処理を行い、平版印刷版用 持体の表面に付着するSi量を上記範囲とす ことにより、非画像部の親水性が向上する めに、得られた平版印刷版用支持体を用い 平版印刷版を作製し、印刷を行った場合に 網点非画像部の耐汚れ性を良好にすること できる。
 Si量を上記範囲とするためには、例えば、 イ酸ソーダの濃度が1~5質量%である水溶液を いて、親水化処理を行う。ケイ酸ソーダと ては、1号ケイ酸ソーダを用いることが特に 好ましい。

 また、親水性の成分の形成による親水化処 は、特開昭59-101651号公報および特開昭60-1494 91号公報に記載されている条件および手順に って行うこともできる。
 この方法に用いられる親水性ビニルポリマ としては、例えば、ポリビニルスルホン酸 スルホ基を有するp-スチレンスルホン酸等 スルホ基含有ビニル重合性化合物と(メタ)ア クリル酸アルキルエステル等の通常のビニル 重合性化合物との共重合体が挙げられる。ま た、この方法に用いられる親水性化合物とし ては、例えば、-NH 2 基、-COOH基およびスルホ基からなる群から選 れる少なくとも一つを有する化合物が挙げ れる。

<乾燥>
 上述したようにして平版印刷版用支持体を た後、画像記録層を設ける前に、平版印刷 用支持体の表面を乾燥させるのが好ましい 乾燥は、表面処理の最後の処理の後、水洗 理およびニップローラで液切りしてから行 のが好ましい。
 乾燥温度は、70℃以上であるのが好ましく 80℃以上であるのがより好ましく、また、110 ℃以下であるのが好ましく、100℃以下である のがより好ましい。
 乾燥時間は、1秒以上であるのが好ましく、 2秒以上であるのがより好ましく、また20秒以 下であるのが好ましく、15秒以下であるのが り好ましい。

[平版印刷版原版]
 本発明により得られる平版印刷版用支持体 は、画像記録層を設けて本発明の平版印刷 原版とすることができる。画像記録層には 感光性組成物が用いられる。
 本発明に好適に用いられる感光性組成物と ては、例えば、アルカリ可溶性高分子化合 と光熱変換物質とを含有するサーマルポジ 感光性組成物(以下、この組成物およびこれ を用いた画像記録層について、「サーマルポ ジタイプ」という。)、硬化性化合物と光熱 換物質とを含有するサーマルネガ型感光性 成物(以下、同様に「サーマルネガタイプ」 いう。)、光重合型感光性組成物(以下、同 に「フォトポリマータイプ」という。)、ジ ゾ樹脂または光架橋樹脂を含有するネガ型 光性組成物(以下、同様に「コンベンショナ ルネガタイプ」という。)、キノンジアジド 合物を含有するポジ型感光性組成物(以下、 様に「コンベンショナルポジタイプ」とい 。)、特別な現像工程を必要としない感光性 組成物(以下、同様に「無処理タイプ」とい 。)が挙げられ、特に、サーマルポジタイプ サーマルネガタイプ、無処理タイプが好ま い。以下、これらの好適な感光性組成物に いて説明する。

<サーマルポジタイプ>
<感光層>
 サーマルポジタイプの感光性組成物は、ア カリ可溶性高分子化合物と光熱変換物質と 含有する。サーマルポジタイプの画像記録 においては、光熱変換物質が赤外線レーザ の光のエネルギーを熱に変換し、その熱が ルカリ可溶性高分子化合物のアルカリ溶解 を低下させている相互作用を効率よく解除 る。

 アルカリ可溶性高分子化合物としては、例 ば、分子中に酸性基を含有する樹脂および の2種以上の混合物が挙げられる。特に、フ ェノール性ヒドロキシ基、スルホンアミド基 (-SO 2 NH-R(式中、Rは炭化水素基を表す。))、活性イ ノ基(-SO 2 NHCOR、-SO 2 NHSO 2 R、-CONHSO 2 R(各式中、Rは上記と同様の意味である。))等 酸性基を有する樹脂がアルカリ現像液に対 る溶解性の点で好ましい。
 とりわけ、赤外線レーザ等の光による露光 の画像形成性に優れる点で、フェノール性 ドロキシ基を有する樹脂が好ましく、例え 、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、m-ク ゾール-ホルムアルデヒド樹脂、p-クレゾー -ホルムアルデヒド樹脂、m-/p-混合クレゾー -ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレ ール(m-、p-およびm-/p-混合のいずれでもよい) 混合-ホルムアルデヒド樹脂(フェノール-クレ ゾール-ホルムアルデヒド共縮合樹脂)等のノ ラック樹脂が好適に挙げられる。
 更に、特開2001-305722号公報(特に[0023]~[0042]) 記載されている高分子化合物、特開2001-215693 号公報に記載されている一般式(1)で表される 繰り返し単位を含む高分子化合物、特開2002-3 11570号公報(特に[0107])に記載されている高分 化合物も好適に挙げられる。

 光熱変換物質としては、記録感度の点で 波長700~1200nmの赤外域に光吸収域がある顔料 または染料が好適に挙げられる。染料として は、例えば、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、 ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、ア ントラキノン染料、フタロシアニン染料、カ ルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン 染料、シアニン染料、スクワリリウム色素、 ピリリウム塩、金属チオレート錯体(例えば ニッケルチオレート錯体)が挙げられる。中 も、シアニン染料が好ましく、とりわけ特 2001-305722号公報に記載されている一般式(I) 表されるシアニン染料が好ましい。

 サーマルポジタイプの感光性組成物中には 溶解阻止剤を含有させることができる。溶 阻止剤としては、例えば、特開2001-305722号 報の[0053]~[0055]に記載されているような溶解 止剤が好適に挙げられる。
 また、サーマルポジタイプの感光性組成物 には、添加剤として、感度調節剤、露光に る加熱後直ちに可視像を得るための焼出し 、画像着色剤としての染料等の化合物、塗 性および処理安定性を向上させるための界 活性剤を含有させるのが好ましい。これら ついては、特開2001-305722号公報の[0056]~[0060] 記載されているような化合物が好ましい。
 上記以外の点でも、特開2001-305722号公報に 細に記載されている感光性組成物が好まし 用いられる。

 また、サーマルポジタイプの画像記録層は 単層に限らず、2層構造であってもよい。
 2層構造の画像記録層(重層系の画像記録層) しては、支持体に近い側に耐刷性および耐 剤性に優れる下層(以下「A層」という。)を け、その上にポジ画像形成性に優れる層(以 下「B層」という。)を設けたタイプが好適に げられる。このタイプは感度が高く、広い 像ラチチュードを実現することができる。B 層は、一般に、光熱変換物質を含有する。光 熱変換物質としては、上述した染料が好適に 挙げられる。
 A層に用いられる樹脂としては、スルホンア ミド基、活性イミノ基、フェノール性ヒドロ キシ基等を有するモノマーを共重合成分とし て有するポリマーが耐刷性および耐溶剤性に 優れている点で好適に挙げられる。B層に用 られる樹脂としては、フェノール性ヒドロ シ基を有するアルカリ水溶液可溶性樹脂が 適に挙げられる。
 A層およびB層に用いられる組成物には、上 樹脂のほかに、必要に応じて、種々の添加 を含有させることができる。具体的には、 開2002-3233769号公報の[0062]~[0085]に記載されて るような種々の添加剤が好適に用いられる また、上述した特開2001-305722号公報の[0053]~[ 0060]に記載されている添加剤も好適に用いら る。
 A層およびB層を構成する各成分およびその 有量については、特開平11-218914号公報に記 されているようにするのが好ましい。
 以上説明した2層構造の画像記録層を、親水 化処理によって表面のSi吸着量を1.0~10.0mg/m 2 とした平版印刷版支持体上に形成すると、得 られる平版印刷版は、インキの着肉性が良好 になり、網点非画像部の耐汚れ性が良好にな る。

<中間層>
 サーマルポジタイプの画像記録層と支持体 の間には、中間層を設けるのが好ましい。 間層に含有される成分としては、特開2001-30 5722号公報の[0068]に記載されている種々の有 化合物が好適に挙げられる。

<その他>
 サーマルポジタイプの画像記録層の製造方 および製版方法については、特開2001-305722 公報に詳細に記載されている方法を用いる とができる。

<サーマルネガタイプ>
 サーマルネガタイプの感光性組成物は、硬 性化合物と光熱変換物質とを含有する。サ マルネガタイプの画像記録層は、赤外線レ ザ等の光で照射された部分が硬化して画像 を形成するネガ型の感光層である。
<重合層>
 サーマルネガタイプの画像記録層の一つと て、重合型の画像記録層(重合層)が好適に げられる。重・BR>≡Wは、光熱変換物質と ラジカル発生剤と、硬化性化合物であるラ カル重合性化合物と、バインダーポリマー を含有する。重合層においては、光熱変換 質が吸収した赤外線を熱に変換し、この熱 よりラジカル発生剤が分解してラジカルが 生し、発生したラジカルによりラジカル重 性化合物が連鎖的に重合し、硬化する。

 光熱変換物質としては、例えば、上述した ーマルポジタイプに用いられる光熱変換物 が挙げられる。特に好ましいシアニン色素 具体例としては、特開2001-133969号公報の[0017 ]~[0019]に記載されているものが挙げられる。
 ラジカル発生剤としては、オニウム塩が好 に挙げられる。特に、特開2001-133969号公報 [0030]~[0033]に記載されているオニウム塩が好 しい。
 ラジカル重合性化合物としては、末端エチ ン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましく は2個以上有する化合物が挙げられる。
 バインダーポリマーとしては、線状有機ポ マーが好適に挙げられる。水または弱アル リ水に対して可溶性または膨潤性である線 有機ポリマーが好適に挙げられる。中でも アリル基、アクリロイル基等の不飽和基ま はベンジル基と、カルボキシ基とを側鎖に する(メタ)アクリル樹脂が、膜強度、感度 よび現像性のバランスに優れている点で好 である。
 ラジカル重合性化合物およびバインダーポ マーについては、特開2001-133969号公報の[0036 ]~[0060]に詳細に記載されているものを用いる とができる。

 サーマルネガタイプの感光性組成物中に 、特開2001-133969号公報の[0061]~[0068]に記載さ ている添加剤(例えば、塗布性を向上させる ための界面活性剤)を含有させるのが好まし 。

 重合層の製造方法および製版方法につい は、特開2001-133969号公報に詳細に記載され いる方法を用いることができる。

<酸架橋層>
 また、サーマルネガタイプの画像記録層の つとして、酸架橋型の画像記録層(酸架橋層 )も好適に挙げられる。酸架橋層は、光熱変 物質と、熱酸発生剤と、硬化性化合物であ 酸により架橋する化合物(架橋剤)と、酸の存 在下で架橋剤と反応しうるアルカリ可溶性高 分子化合物とを含有する。酸架橋層において は、光熱変換物質が吸収した赤外線を熱に変 換し、この熱により熱酸発生剤が分解して酸 が発生し、発生した酸により架橋剤とアルカ リ可溶性高分子化合物とが反応し、硬化する 。

 光熱変換物質としては、重合層に用いられ のと同様のものが挙げられる。
 熱酸発生剤としては、例えば、光重合の光 始剤、色素類の光変色剤、マイクロレジス 等に使用されている酸発生剤等の熱分解化 物が挙げられる。
 架橋剤としては、例えば、ヒドロキシメチ 基またはアルコキシメチル基で置換された 香族化合物;N-ヒドロキシメチル基、N-アル キシメチル基またはN-アシルオキシメチル基 を有する化合物;エポキシ化合物が挙げられ 。
 アルカリ可溶性高分子化合物としては、例 ば、ノボラック樹脂、側鎖にヒドロキシア ール基を有するポリマーが挙げられる。

<フォトポリマータイプ>
 光重合型感光性組成物は、付加重合性化合 と、光重合開始剤と、高分子結合剤とを含 する。
 付加重合性化合物としては、付加重合可能 エチレン性不飽和結合含有化合物が好適に げられる。エチレン性不飽和結合含有化合 は、末端エチレン性不飽和結合を有する化 物である。具体的には、例えば、モノマー プレポリマー、これらの混合物等の化学的 態を有する。モノマーの例としては、不飽 カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリ ル酸、イタコン酸、マレイン酸)と脂肪族多 アルコール化合物とのエステル、不飽和カ ボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミ が挙げられる。
 また、付加重合性化合物としては、ウレタ 系付加重合性化合物も好適に挙げられる。

 光重合開始剤としては、種々の光重合開始 または2種以上の光重合開始剤の併用系(光 始系)を、使用する光源の波長により適宜選 して用いることができる。例えば、特開2001 -22079号公報の[0021]~[0023]に記載されている開 系が好適に挙げられる。
 高分子結合剤は、光重合型感光性組成物の 膜形成剤として機能するだけでなく、画像 録層をアルカリ現像液に溶解させる必要が るため、アルカリ水に対して可溶性または 潤性である有機高分子重合体が用いられる そのような有機高分子重合体としては、特 2001-22079号公報の[0036]~[0063]に記載されてい ものが好適に挙げられる。

 フォトポリマータイプの光重合型感光性 成物中には、特開2001-22079号公報の[0079]~[0088 ]に記載されている添加剤(例えば、塗布性を 上させるための界面活性剤、着色剤、可塑 、熱重合禁止剤)を含有させるのが好ましい 。

 また、フォトポリマータイプの画像記録層 上に、酸素の重合禁止作用を防止するため 酸素遮断性保護層を設けることが好ましい 酸素遮断性保護層に含有される重合体とし は、例えば、ポリビニルアルコール、その 重合体が挙げられる。
 更に、特開2001-228608号公報の[0124]~[0165]に記 されているような中間層または接着層を設 るのも好ましい。

<コンベンショナルネガタイプ>
 コンベンショナルネガタイプの感光性組成 は、ジアゾ樹脂または光架橋樹脂を含有す 。中でも、ジアゾ樹脂とアルカリ可溶性ま は膨潤性の高分子化合物(結合剤)とを含有 る感光性組成物が好適に挙げられる。
 ジアゾ樹脂としては、例えば、芳香族ジア ニウム塩とホルムアルデヒド等の活性カル ニル基含有化合物との縮合物;p-ジアゾフェ ルアミン類とホルムアルデヒドとの縮合物 ヘキサフルオロリン酸塩またはテトラフル ロホウ酸塩との反応生成物である有機溶媒 溶性ジアゾ樹脂無機塩が挙げられる。特に 特開昭59-78340号公報に記載されている6量体 上を20モル%以上含んでいる高分子量ジアゾ 合物が好ましい。
 結合剤としては、例えば、アクリル酸、メ クリル酸、クロトン酸またはマレイン酸を 須成分として含む共重合体が挙げられる。 体的には、特開昭50-118802号公報に記載され いるような2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリ レート、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)ア リル酸等のモノマーの多元共重合体、特開 56-4144号公報に記載されているようなアルキ アクリレート、(メタ)アクリロニトリルお び不飽和カルボン酸からなる多元共重合体 挙げられる。

 コンベンショナルネガタイプの感光性組 物には、添加剤として、特開平7-281425号公 の[0014]~[0015]に記載されている焼出し剤、染 、塗膜の柔軟性および耐摩耗性を付与する めの可塑剤、現像促進剤等の化合物、塗布 を向上させるための界面活性剤を含有させ のが好ましい。

 コンベンショナルネガタイプの感光層の には、特開2000-105462号公報に記載されてい 、酸基を有する構成成分とオニウム基を有 る構成成分とを有する高分子化合物を含有 る中間層を設けるのが好ましい。

<コンベンショナルポジタイプ>
 コンベンショナルポジタイプの感光性組成 は、キノンジアジド化合物を含有する。中 も、o-キノンジアジド化合物とアルカリ可 性高分子化合物とを含有する感光性組成物 好適に挙げられる。
 o-キノンジアジド化合物としては、例えば 1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-スルホニルク ライドとフェノール-ホルムアルデヒド樹脂 またはクレゾール-ホルムアルデヒド樹脂と エステル、米国特許第3,635,709号明細書に記 されている1,2-ナフトキノン-2-ジアジド-5-ス ホニルクロライドとピロガロール-アセトン 樹脂とのエステルが挙げられる。
 アルカリ可溶性高分子化合物としては、例 ば、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ク レゾール-ホルムアルデヒド樹脂、フェノー -クレゾール-ホルムアルデヒド共縮合樹脂、 ポリヒドロキシスチレン、N-(4-ヒドロキシフ ニル)メタクリルアミドの共重合体、特開平 7-36184号公報に記載されているカルボキシ基 有ポリマー、特開昭51-34711号公報に記載され ているようなフェノール性ヒドロキシ基を含 有するアクリル系樹脂、特開平2-866号公報に 載されているスルホンアミド基を有するア リル系樹脂、ウレタン系の樹脂が挙げられ 。

 コンベンショナルポジタイプの感光性組 物には、添加剤として、特開平7-92660号公報 の[0024]~[0027]に記載されている感度調節剤、 出剤、染料等の化合物や、特開平7-92660号公 の[0031]に記載されているような塗布性を向 させるための界面活性剤を含有させるのが ましい。

 コンベンショナルポジタイプの感光層の には、上述したコンベンショナルネガタイ に好適に用いられる中間層と同様の中間層 設けるのが好ましい。

<無処理タイプ>
 無処理タイプの感光性組成物には、熱可塑 微粒子ポリマー型、マイクロカプセル型、 ルホン酸発生ポリマー含有型等が挙げられ 。これらはいずれも光熱変換物質を含有す 感熱型である。光熱変換物質は、上述した ーマルポジタイプに用いられるのと同様の 料が好ましい。

 熱可塑性微粒子ポリマー型の感光性組成物 、疎水性かつ熱溶融性の微粒子ポリマーが 水性高分子マトリックス中に分散されたも である。熱可塑性微粒子ポリマー型の画像 録層においては、露光により発生する熱に り疎水性の微粒子ポリマーが溶融し、互い 融着して疎水性領域、即ち、画像部を形成 る。
 微粒子ポリマーとしては、微粒子同士が熱 より溶融合体するものが好ましく、表面が 水性で、湿し水等の親水性成分に分散しう ものがより好ましい。具体的には、Reseach D isclosure No.33303(1992年1月)、特開平9-123387号、 9-131850号、同9-171249号および同9-171250号の各 報、欧州特許出願公開第931,647号明細書等に 載されている熱可塑性微粒子ポリマーが好 に挙げられる。中でも、ポリスチレンおよ ポリメタクリル酸メチルが好ましい。親水 表面を有する微粒子ポリマーとしては、例 ば、ポリマー自体が親水性であるもの;ポリ ビニルアルコール、ポリエチレングリコール 等の親水性化合物を微粒子ポリマー表面に吸 着させて表面を親水性化したものが挙げられ る。
 微粒子ポリマーは、反応性官能基を有する が好ましい。

 マイクロカプセル型の感光性組成物とし は、特開2000-118160号公報に記載されている の、特開2001-277740号公報に記載されているよ うな熱反応性官能基を有する化合物を内包す るマイクロカプセル型が好適に挙げられる。

 スルホン酸発生ポリマー含有型の感光性 成物に用いられるスルホン酸発生ポリマー しては、例えば、特開平10-282672号公報に記 されているスルホン酸エステル基、ジスル ン基またはsec-もしくはtert-スルホンアミド を側鎖に有するポリマーが挙げられる。

 無処理タイプの感光性組成物に、親水性 脂を含有させることにより、機上現像性が 好となるばかりか、感光層自体の皮膜強度 向上する。親水性樹脂としては、例えば、 ドロキシ基、カルボキシ基、ヒドロキシエ ル基、ヒドロキシプロピル基、アミノ基、 ミノエチル基、アミノプロピル基、カルボ シメチル基等の親水基を有するもの、親水 のゾルゲル変換系結着樹脂が好ましい。

 無処理タイプの画像記録層は、特別な現 工程を必要とせず、印刷機上で現像するこ ができる。無処理タイプの画像記録層の製 方法および製版印刷方法については、特開2 002-178655号公報に詳細に記載されている方法 用いることができる。

<バックコート>
 このようにして、本発明により得られる平 印刷版用支持体上に各種の画像記録層を設 て得られる本発明の平版印刷版原版の裏面 は、必要に応じて、重ねた場合における画 記録層の傷付きを防止するために、有機高 子化合物からなる被覆層を設けることがで る。

[製版方法(平版印刷版の製造方法)]
 本発明により得られる平版印刷版用支持体 用いた平版印刷版原版は、画像記録層に応 た種々の処理方法により、平版印刷版とさ る。
 像露光に用いられる活性光線の光源として 、例えば、水銀灯、メタルハライドランプ キセノンランプ、ケミカルランプが挙げら る。レーザビームとしては、例えば、ヘリ ム-ネオンレーザ(He-Neレーザ)、アルゴンレ ザ、クリプトンレーザ、ヘリウム-カドミウ レーザ、KrFエキシマーレーザ、半導体レー 、YAGレーザ、YAG-SHGレーザが挙げられる。

 上記露光の後、画像記録層がサーマルポジ イプ、サーマルネガタイプ、コンベンショ ルネガタイプ、コンベンショナルポジタイ およびフォトポリマータイプのいずれかで る場合は、露光した後、現像液を用いて現 して平版印刷版を得るのが好ましい。
 現像液は、アルカリ現像液であるのが好ま く、有機溶剤を実質的に含有しないアルカ 性の水溶液であるのがより好ましい。
 また、アルカリ金属ケイ酸塩を実質的に含 しない現像液も好ましい。アルカリ金属ケ 酸塩を実質的に含有しない現像液を用いて 像する方法としては、特開平11-109637号公報 詳細に記載されている方法を用いることが きる。
 また、アルカリ金属ケイ酸塩を含有する現 液を用いることもできる。

1.アルミニウム板の製造
 表1に示される各成分(質量%)を含有し、残部 はAlと不可避不純物とからなるアルミニウム 金を用いて溶湯を調製し、溶湯処理および 過を行った上で、厚さ500mm、幅1200mmの鋳塊 DC鋳造法で作製した。表面を平均10mmの厚さ 面削機により削り取った後、550℃で、約5時 均熱保持し、温度400℃に下がったところで 熱間圧延機を用いて厚さ2.7mmの圧延板とし 。更に、連続焼鈍機を用いて熱処理を500℃ 行った後、冷間圧延を行って、厚さ0.3mm、幅 1060mmに仕上げ、アルミニウム板1を得た。

2.平版印刷版用支持体の作製
(実施例1~24および比較例1~9)
 上記で得られたアルミニウム板を以下に示 表面処理に供し、表2に示される各平版印刷 版用支持体を得た。

<表面処理>
 表面処理は、以下の(a)~(g)の各種処理を連続 的に行った。

(a)アルカリ水溶液中でのエッチング処理(第1 ッチング処理)
 アルミニウム板に、カセイソーダ濃度370g/L アルミニウムイオン濃度1g/L、温度60℃の水 液をスプレー管から吹き付けて、エッチン 処理を行った。アルミニウム板の後に電気 学的粗面化処理を施す面のエッチング量は 3g/m 2 であった。
 その後、ニップローラで液切りし、更に、 状に噴射水が広がるスプレーチップを有す スプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に 、ニップローラで液切りした。

(b)酸性水溶液中でのデスマット処理
 アルミニウム板に、硫酸濃度170g/L、アルミ ウムイオン濃度5g/L、温度50℃の水溶液をス レー管から吹き付けて、5秒間デスマット処 理を行った。硫酸水溶液としては、後述する (i)陽極酸化処理工程の廃液を用いた。その後 、ニップローラで液切りし、更に、扇状に噴 射水が広がるスプレーチップを有するスプレ ー管を用いて5秒間水洗処理し、更に、ニッ ローラで液切りした。

(c)酸性水溶液中での交流を用いた電気化学的 粗面化処理
 電解液として、表2に示される塩酸濃度、ア ルミニウムイオン濃度および硫酸濃度の水溶 液(温度35℃)を用い、IGBT(Insulated Gate Bipolar T ransistor)素子を用いたインバータ制御により 流を制御し、任意波形の交流電流を発生さ うる電源を用いて電気化学的な粗面化処理 行った。交流電流の波形、電流立ち上がり 間(正弦波以外の場合)、duty比および周波数 、それぞれ表2に示されるとおりであった。
 電解槽毎に電源を設置し、電流密度が段階 に漸増するようにした。(電解の最後の電流 密度/電解の最初の電流密度)の値は、1.8であ た。交流のピーク時におけるアルミニウム のアノード反応時の電流密度は、電解の最 において、45A/dm 2 であった。
 電気量は、アルミニウム板のアノード時の 気量の総和で、表2に示されるとおりであっ た。また、電流比(アルミニウム板が陽極時 電気量の総和とアルミニウム板が陰極時の 気量の総和との比)は、表2に示されるとおり であった。
 電解液の濃度制御は、予め求めたデータテ ブルに従って、通電量に比例した量の塩酸 よび所望の濃度の硫酸を予め添加した補給 を添加することによって行った。また、各 成に応じた液の電導度と超音波の伝搬速度 の関係を測定してデータテーブルを作成し おき、液の電導度と超音波の伝搬速度との 定結果から、添加する塩酸の量と補給水の とをフィードバック制御した。
 その後、ニップローラで液切りし、更に、 状に噴射水が広がるスプレーチップを有す スプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に 、ニップローラで液切りした。

(d)アルカリ水溶液中でのエッチング処理(第2 ッチング処理)
 アルミニウム板に、カセイソーダ濃度370g/L アルミニウムイオン濃度1g/L、温度35℃の水 液をスプレー管から吹き付けて、エッチン 処理を行った。アルミニウム板の電気化学 粗面化処理を施した面のエッチング量は、0 .2g/m 2 であった。
 その後、ニップローラで液切りし、更に、 状に噴射水が広がるスプレーチップを有す スプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に 、ニップローラで液切りした。

(e)酸性水溶液中でのデスマット処理
 アルミニウム板に、硫酸濃度170g/L、アルミ ウムイオン濃度5g/L、温度50℃の水溶液をス レー管から吹き付けて、5秒間デスマット処 理を行った。硫酸水溶液としては、後述する (i)陽極酸化処理工程の廃液を用いた。
 その後、ニップローラで液切りし、更に、 状に噴射水が広がるスプレーチップを有す スプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に 、ニップローラで液切りした。

(f)陽極酸化処理
 電解液としては、170g/L硫酸水溶液に硫酸ア ミニウムを溶解させてアルミニウムイオン 度を5g/Lとした電解液(温度50℃)を用いた。 極酸化処理は、アルミニウム板がアノード 応する間の平均電流密度が15A/dm 2 となるように行い、最終的な酸化皮膜量は2.7 g/m 2 であった。
 その後、ニップローラで液切りし、更に、 状に噴射水が広がるスプレーチップを有す スプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に 、ニップローラで液切りした。

(g)親水化処理1
 アルミニウム板をケイ酸ソーダ1.0質量%水溶 液(温度20℃)に10秒間浸せきさせた。蛍光X線 析装置で測定したアルミニウム板表面のSi量 は、3.5mg/m 2 であった。
 その後、ニップローラで液切りし、更に、 状に噴射水が広がるスプレーチップを有す スプレー管を用いて5秒間水洗処理し、更に 、ニップローラで液切りした。更に、90℃の を10秒間吹き付けて乾燥させて、平版印刷 用支持体を得た。

3.平版印刷版用支持体の表面の観察
 実施例1~24で得られた平版印刷版用支持体の 表面形状を走査型電子顕微鏡(JSM-5500、日本電 子社製。以下同じ。)を用いて倍率50000倍で観 察したところ、その表面に直径0.1~0.2μmの微 な凹凸が均一かつ緻密に生成していた。ま 、走査型電子顕微鏡を用いて倍率2000倍で観 したところ、これらの平版印刷版用支持体 表面には直径1~20μmの凹凸が生成していた。 直径0.1~0.2μmの微細な凹凸は直径1~20μmの凹凸 重畳して生成していた。
 これに対して、比較例1~9で得られた平版印 版用支持体の表面形状を同様にして観察し ところ、その表面に直径0.1~0.2μmの微細な凹 凸および直径1~20μmの凹凸が生成していたが 直径1~20μmの凹凸は、実施例の場合に比べて さおよびピット径の分布が不均一であった また、表面には、プラトー部が多く存在し 。

4.平版印刷版原版の作製
 上記で得られた平版印刷版用支持体に、以 のようにしてサーマルポジタイプの画像記 層を設けて平版印刷版原版を得た。なお、 像記録層を設ける前には、後述するように 間層を設けた。

(実施例1~24、比較例1~9)
 平版印刷版用支持体上に、下記組成の下塗 Aを塗布し、80℃で15秒間乾燥し、成分の塗 (中間層)を形成させた。乾燥後の塗膜の被覆 量は15mg/m 2 であった。

<下塗液A組成>
・下記高分子化合物 0.3g
・メタノール 100g
・水 1g

 次いで、成分の上に、下記組成の画像記録 用塗布液B1を、乾燥後に0.85g/m 2 となるようにワイヤーバーで塗布し、140℃で 50秒間乾燥させた。
 その後、下記組成の画像記録層用塗布液B2 、乾燥後に0.25g/m 2 となるようにワイヤーバーで塗布し、140℃で 1分間乾燥させ、重層型のサーマルポジタイ の画像記録層を形成し、平版印刷版原版を た。

<画像記録層用塗布液B1組成>
・N-(4-アミノスルホニルフェニル)メタクリル アミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチ 共重合体(モル比36/34/30、重量平均分子量50,0 00) 1.920g
・m,p-クレゾールノボラック(m-クレゾールノ ラック/p-クレゾールノボラック比6/4、重量 均分子量4000) 0.213g
・下記式で表されるシアニン染料B 0.032g
・p-トルエンスルホン酸 0.008g
・テトラヒドロ無水フタル酸 0.19g
・ビス-p-ヒドロキシフェニルスルホン 0.126g
・2-メトキシ-4-(N-フェニルアミノ)ベンゼンジ アゾニウム・ヘキサフルオロホスフェート 0 .032g
・ビクトリアピュアブルーBOHの対アニオンを 1-ナフタレンスルホン酸アニオンにした染料 0.078g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF-780、大 日本インキ化学工業株式会社製) 0.020g
・γ-ブチロラクトン 13.18g
・メチルエチルケトン 25.41g
・1-メトキシ-2-プロパノール 12.97g

<画像記録層用塗布液B2組成>
・フェノール/m,p-クレゾールノボラック(フェ ノール/m-クレゾールノボラック/p-クレゾール ノボラック=5/3/2、重量平均分子量4000) 0.274g
・上記式で示されるシアニン染料B 0.029g
・下記式で示される構造ポリマーC/メチルエ ルケトン30%溶液(構造ポリマーB/メチルエチ ケトン30%溶液) 0.14g
・下記式で示される4級アンモニウム塩D 0.004 g
・下記式で示されるスルホニウム塩E 0.065g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF-780、大 日本インキ化学工業株式会社製) 0.004g
・フッ素系界面活性剤(メガファックF-782、大 日本インキ化学工業株式会社製) 0.020g
・メチルエチルケトン 10.39g
・1-メトキシー2-プロパノール 20.98g

5.平版印刷版原版の評価
 平版印刷版の画質の評価、耐刷性、耐汚れ を下記の方法で評価した。

(1)画質の評価
 上記のようにして得られた平版印刷版の塗 表面のすじ、チャタマークに関しての画質 らを目視での評価を行った。
 (a)すじ
 ○ :すじが全く発生しない
 ○△:○よりはすじが発生しているが、△よ りはすじが発生していない
 △ :○△よりはすじが発生しているが、× りはすじの発生が少ない
 × :著しくすじが発生している
 (b)チャタマーク
 ○ :チャタマークが全く発生しない
 ○△:○よりはチャタマークが発生している が、△よりは少ない。
 △ :○△よりはチャタマークが発生してい が、×よりは少ない
 × :著しくチャタマークが発生している
(2)耐刷性
 得られた平版印刷版原版を、Creo社製TrendSett erを用いてドラム回転速度150rpm、ビーム強度1 0Wで画像状に描き込みを行った。
 その後、下記組成のアルカリ現像液を仕込 だ富士フイルム(株)製PSプロセッサー940Hを い、液温を30℃に保ち、現像時間20秒で現像 、平版印刷版を得た。なお、いずれの平版 刷版原版も感度は良好であった。

<アルカリ現像液組成>
・D-ソルビット 2.5質量%
・水酸化ナトリウム 0.85質量%
・ポリエチレングリコールラウリルエーテル (重量平均分子量10)0.5 質量%
・水 96.15質量%

 得られた平版印刷版を、小森コーポレーシ ン社製のリスロン印刷機で、大日本インキ 学工業社製のDIC-GEOS(N)墨のインキを用いて 刷した。なお、印刷時に5000枚毎に富士フイ ム(株)製マルチクリーナーを画像記録層の 面に1分間付着させてから水で拭き取るとい 作業を行った。ベタ画像の濃度が薄くなり めたと目視で認められた時点での印刷枚数 より、耐刷性を評価した。
 結果を表3、表4に示す。表3、表4中の記号の 意味は以下の通りである。
 ○ :30,000枚以上
 ○△:20,000枚以上30,000枚未満
 △ :10,000枚以上20,000枚未満
 × :10,000枚未満

(3)耐汚れ性
 耐刷性の評価の場合と同様にして得られた 版印刷版を用い、三菱ダイヤ型F2印刷機(三 重工業社製)で、DIC-GEOS(s)紅のインキを用い 印刷し、1万枚印刷した後におけるブランケ ットの汚れを目視で評価した。
 結果を表3、表4に示す。表3、表4中の記号の 意味は以下の通りである。
 ○:ブランケットがほとんど汚れていない
 ○△:ブランケットがわずかに汚れているが 、印刷物は汚れていない
 △:ブランケットが汚れており印刷物がわず かに汚れている
 ×:ブランケットが汚れており印刷物が明ら に汚れている

 表3、表4から明らかなように、本発明の平 印刷版用支持体の製造方法(実施例1~24)によ 得られた平版印刷版用支持体を用いた平版 刷版は、いずれも耐刷性および耐汚れ性に れていた。また、塗布表面のすじ、チャタ ークに関しての画質むらも優れていた。
 これに対して、比較例1~9は、得られた平版 刷版用支持体を用いた平版印刷版が耐刷性 よび耐汚れ性に劣っていた。

本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照し て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱す ることなく様々な変更や修正を加えることが できることは当業者にとって明らかである。
 本出願は、2008年3月31日出願の日本特許出願 番号2008-94245に基づくものであり、その内容 ここに参照として取り込まれる。