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Title:
METHOD FOR MEASUREMENT OF CONCENTRATION OF PEROXYCARBOXYLIC ACID, AND APPARATUS FOR THE METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/133321
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for measuring only the concentration of a peroxycarboxylic acid in an equilibrium mixture containing the peroxycarboxylic acid and hydrogen peroxide. The method comprises the following steps a) and b): a) adding potassium iodide to the equilibrium mixture to cause the generation of iodine and providing the resulting mixture as a measurement sample; and b) measuring the amount of light that goes through the mixture to determine only the concentration of the peroxycarboxylic acid.

Inventors:
KOJIMA SACHIKO (JP)
FURUTA TARO (JP)
KASAI TOSHIO (JP)
CHE DOCK-CHIL (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058024
Publication Date:
November 06, 2008
Filing Date:
April 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SARAYA CO LTD (JP)
KOJIMA SACHIKO (JP)
FURUTA TARO (JP)
KASAI TOSHIO (JP)
CHE DOCK-CHIL (JP)
International Classes:
G01N31/00; G01N21/78
Foreign References:
JPH01197653A1989-08-09
JP2003294694A2003-10-15
JPH06130051A1994-05-13
JP2008014685A2008-01-24
Other References:
SUDO T.: "Sakkinzai no Bunseki to Kan'i Sokutei Sochi", BEVERAGE JAPAN, no. 216, 1999, pages 83 - 84
PINKERNELL U. ET AL.: "Rapid high-performance liquid chromatographic method for the determination of peroxyacetic acid", J. CHROMATOGR., vol. 730, no. 1, 1996, pages 203 - 208, XP004039231
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building 3-7, Shiromi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
 過カルボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物において過カルボン酸濃度のみを測定する方法であって、a)平衡混合物にヨウ化カリウムを加えてヨウ素を発生させて測定試料とし、b)これを透過する光量を測定することにより、過カルボン酸濃度のみを測る、ことを特徴とする測定方法。
 上記測定試料中の過カルボン酸濃度が0.01~50ppmである、ことを特徴とする請求項1に記載の測定方法。
 上記測定試料のpH値が1<pH<6の範囲である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の測定方法。
 上記測定試料中のヨウ化カリウム量が過カルボン酸モル数の2~60倍である、ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の測定方法。
 上記測定に用いる光の波長範囲が440~600nmである、ことを特徴とする請求項1~4の何れかに記載の測定方法。
 過カルボン酸が特に過酢酸である、ことを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の測定方法。
 過カルボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物において、過カルボン酸の濃度のみを測定する測定装置であって、
 上記平衡混合物でなる測定試料を収容する試料収容部と、
 該試料収容部内に収容された上記測定試料に向けて所定波長の光を発光する発光部と、
 該発光部から発光され上記測定試料を透過した光を受光する受光部と、
 該受光部で受光した光量を、受光時の発生電圧に変換して測定する電圧測定部と、
 上記所定波長の光での測定試料の電圧値と濃度との相関データを予め記憶したメモリ部と、
 該メモリ部に記憶された上記相関データと上記電圧測定部で求められた電圧値とを比較して上記測定試料の濃度を求める比較分析部と、
を備えたことを特徴とする過カルボン酸濃度測定装置。
 上記発光部には、それぞれ波長が異なる光を発光する複数の光源が切換可能に設けられている、ことを特徴とする請求項7に記載の測定装置。
Description:
過カルボン酸濃度測定方法およ その装置

 本発明は、過カルボン酸と過酸化水素を む平衡混合物において、過カルボン酸の濃 のみを測定する方法、及び該測定に用いる 置に関する。

 過カルボン酸(特に過酢酸)と過酸化水素 含む平衡混合物は、種々の酸化反応や、医 ,食品,及び環境分野などにおける消毒など、 幅広い分野で用いられている。特に、消毒目 的で使用される場合、その効力を維持するた めに使用下限濃度が定められていることが多 いが、過カルボン酸化合物は一般に不安定で あるため、経時的に濃度が減少する。よって 、正確な過カルボン酸濃度が常に把握されて いることが望ましい。

 しかし、過カルボン酸は多くの場合、過 ルボン酸とカルボン酸,過酸化水素,水との 衡混合物として存在するものであり、過カ ボン酸と過酸化水素の2種類の過酸化合物は 同様の性質(つまり酸化力)を有するため、 の分別定量は難しい。

 現在、行われている定量法としては、次 ようなものが挙げられる。滴定方法として 、過カルボン酸と過酸化水素の酸化力の違 を利用して、硫酸セリウムや過マンガン酸 リウムで過酸化水素を、チオ硫酸ナトリウ で過カルボン酸(例えば過酢酸)を分別定量 る方法があるが、同時に両者を定量するこ はできない。

 また、過カルボン酸および過酸化水素の ウ化カリウムとの反応速度に違いがあるこ を用いる定量方法も知られている。この方 は、ヨウ化カリウムを加えて発生するヨウ をチオ硫酸ナトリウムで還元するもので、 る2点の時間とその各時間に発生したヨウ素 を還元するのに必要なチオ硫酸ナトリウム量 の関係から、過カルボン酸と過酸化水素を同 時に分別定量することができるとされている 。以下、これをヨウ素滴定法と呼ぶ(例えば 非特許文献1参照)。さらに、この方法の改良 を企図した滴定方法も提案されている(特許 献1参照)。しかしながら、これらの方法は、 測定操作方法が複雑であり、専用の器具やス ペースも必要で、また、測定結果を得るのに 時間が掛かるものであるため、簡易な方法で あるとは言い難い。更に、モリブデンやマン ガンなど、環境中への排出量が規制されてい る化合物(PRTR物質)の使用が必要となるという 問題もある。

 また、電気化学的な手法を用い、電位差 定によって過カルボン酸と過酸化水素を同 に分別定量ができるとされた定量方法も提 されている(例えば、特許文献2,3参照)。し しながら、これらの方法では、多くの場合 装置が大掛かりで高価なものになる、とい 難点がある。

 最も安価で簡易であり、多くの現場で用い れる方法としては、試験紙を用いる方法が る。これは、発色剤を固着した試験紙を被 溶液に浸漬し、その発色程度で濃度を判別 る方法である。しかし、色覚による判断で るため、正確な濃度を数値として得ること できない。また、その判断基準はあいまい あり、試験者によって判別結果が異なるこ が、しばしば問題となる。

特許第3170526号公報

特許第3813606号公報

特開2006-242629号公報 アナリスト(The Analyst)、ロイヤルソサイ ティ・オブ・ケミストリ(Royal Society of Chem istry)発行、1962年8月、第87号、第653頁

 以上のように過カルボン酸濃度測定法は幾 かあるが、簡便で迅速かつ正確な測定方法 、なかなか見当たらないのが実情である。
 ところで、過カルボン酸と過酸化水素を含 平衡混合物の場合、多くの用途においては 有効成分は過カルボン酸である。そこで、 発明は、過カルボン酸と過酸化水素を含む 衡混合物において、過カルボン酸濃度のみ 容易で迅速かつ正確に定量できる方法、及 かかる測定方法に用いる測定装置を提供す ことを、主目的としてなされたものである

 本発明に係る測定方法は、上記課題を解 するために、過カルボン酸と過酸化水素を む平衡混合物にヨウ化カリウムを加えてヨ 素を発生させ、これを透過する光量を測定 ることにより、過カルボン酸濃度を定量す ことを特徴としたものである。

 本発明において、測定試料中の好ましい カルボン酸濃度は0.01~50ppmであるが、これ以 上の過カルボン酸濃度の溶液であっても、こ の濃度範囲になるように希釈して用いること ができる。上記範囲外では測定値の誤差が大 きくなり、実際の過カルボン酸濃度と差異が 生じることがある。

 また、本発明においては、測定試料のpH 囲は、1<pH<6であることが好ましい。pH6 上では発生したヨウ素量が徐々に減少し、 方、pH1以下では共存する過酸化水素がヨウ カリウムと反応してヨウ素を生成し、徐々 ヨウ素量が多くなるため、正確な過カルボ 酸濃度を得ることが難しくなるからである

 更に、本発明においては、測定試料中の ウ化カリウム量は、過カルボン酸モル数の2 ~60倍、より好ましくは3~30倍、最も好ましく 3~15倍である。測定試料中のヨウ化カリウム が過カルボン酸モル数の2倍より少なければ 、過カルボン酸と反応する必要量に不足し、 一方、60倍よりも多い場合は、共存する過酸 水素がヨウ化カリウムと反応してヨウ素を 成し、徐々にヨウ素量が多くなるため、正 な過カルボン酸濃度を得ることが難しくな からである。

 また更に、本発明においては、測定に用 る光の波長範囲は440~600nmであることが好ま い。440nmより短波長では、350nm付近に吸収極 大を持つポリヨウ化物イオンのピークと重な り、一方、600nmより長波長では、吸収が弱い め、正確な過カルボン酸濃度を得ることが しくなる可能性があるからである。

 本発明方法によって定量することができ 過カルボン酸としては、ヨウ化カリウムと 応して、速やかにヨウ素を発生するような のであれば、如何なるものでも定量するこ が可能である。このような過カルボン酸の かでは、過酢酸が最も広く利用されており 本発明方法によって過酢酸濃度を容易かつ 速に定量することができる。

 また、光源を発光ダイオード(LED)とし、 の光源から発光され測定試料を透過した透 光をフォトダイオードで検出し、この検出 果に基づいて過カルボン酸濃度を求めるこ により、小型で安価な過カルボン酸濃度測 装置を実現することが可能である。

 本発明によれば、過カルボン酸と過酸化 素を含む平衡混合物中において、過酸化水 の影響を受けずに過カルボン酸濃度のみを 確に測定することができる。また、光量測 によるため、少量のサンプル量で容易かつ 速に定量することができる。さらに、微量 ヨウ化カリウムからヨウ素を発生させて着 するため、従来のような特別な発色剤や試 は不要であり、環境面でもクリーンな分析 法を提供することができる。

実施例1において、ヨウ素滴定法から計 算した測定試料中の過酢酸濃度と440、470、600 nmでの紫外可視分光光度計による吸光度の対 を表すグラフである。 実施例1において、ヨウ素滴定法から計 算した測定試料中の過酢酸濃度と波長470nmのL ED/フォトダイオード法による測定電圧の対応 を表すグラフである。 実施例4において、ヨウ素滴定法から計 算した測定試料中の過プロピオン酸濃度と波 長470nmのLED/フォトダイオード法による測定電 圧の対応を表すグラフである。 実施例5において、ヨウ素滴定法から計 算した測定試料中の過酢酸濃度と波長470nmのL ED/フォトダイオード法による測定電圧の対応 を表すグラフである。 実施例6において、pHが3~6のヨウ化カリ ム溶液を用いて過酢酸を測定した時の測定 圧の経時変化を表すグラフである。 実施例6において、pHが1~3のヨウ化カリ ム溶液を用いて過酸化水素を測定した時の 定電圧の経時変化を表すグラフである。 実施例7において、ヨウ化カリウム溶液 濃度を変えて過酢酸を測定した時の吸光度の 経時変化を表すグラフである。 本発明の実施形態に係る過カルボン酸 度の測定に用いる測定装置の全体斜視図で る。 上記測定装置の要部を概略的に示す説 図である。 上記測定装置の制御分析部の構成を概 略的に表すブロック構成図である。

符号の説明

 10 過カルボン酸濃度測定装置
 11 動力部
 12 計量部
 13 制御分析ユニット
 20 電源
 21 発光部
 24 切換スイッチ
 25 発光素子(LED:発光ダイオード)
 30 試料収容部
 31 受光部
 32 受光素子(フォトダイオード)
 34 電圧測定部
 41 制御部
 45 分析部
 46 比較演算部
 47 メモリ部

 以下、本発明に係る過カルボン酸濃度測定 法の実施形態について説明する。
 実施例を挙げての説明に先立って、まず、 発明の測定方法を実施するための測定装置 ついて説明する。

 図8は本実施形態に係る過カルボン酸濃度の 測定に用いる測定装置の全体斜視図、また、 図9は該測定装置の要部を概略的に示す説明 である。
 これらの図に示すように、本実施形態に係 測定装置10は、その主要な構成要素として 電源20を備えた(又は外部電源に接続される) 力部11と、測定試料(過カルボン酸と過酸化 素を含む平衡混合物)を注入する注入部12bを 備えた計量部12と、動力部11および計量部12を 制御すると共に測定試料の濃度を定量する制 御分析ユニット13と、を備えている。

 計量部12は、上記注入部12bから注入され 測定試料を収容する例えば筒状の試料収容 30と、該試料収容部30の一側(図9では左側)に 置された発光部21と、試料収容部30を挟んで 上記発光部21と対向配置された受光部31とを えている。上記試料収容部30は、耐薬品性が あり且つ光透過性が高い材料で製作されるこ とが好ましく、本実施形態では、例えばガラ ス製とした。この代わりとして、例えばアク リル樹脂,塩化ビニル樹脂あるいはPET樹脂な 、ある程度以上の光透過性と耐薬品性を備 る材料であれば、如何なるものでも使用可 である。

 上記発光部21は、試料収容部30内に収容さ れた測定試料に向けて所定波長の光を発光す るもので、発光回路22を介して電源20に接続 れた複数の光源25(発光素子)を備えている。 れら発光素子25は、それぞれ波長が異なる を発光する例えば高輝度LED(発光ダイオード) で構成され、好ましくは、試料収容部30の長 軸と平行に配列されている。発光回路22は 定の抵抗23及び切換スイッチ24(例えば、公知 のロータリスイッチ)を備えており、各発光 子25はそれぞれ切換スイッチ24に切換可能に 続され、制御分析ユニット13からの制御信 に応じて、光源として使用する発光素子25を 切り換えることができるようになっている。

 上記受光部31は、発光部21から発光され上 記試料収容部30及びその内部の測定試料を透 した光を受光するもので、例えばシリコン( Si)フォトダイオードで構成された受光素子32 備えている。この受光素子32は、好ましく 、試料収容部30の長手軸と平行に、且つ、全 ての発光素子25について、各発光素子25を光 とする透過光を受光し得る範囲にわたって 置されている。また、受光素子32には、試料 収容部30及び測定試料を透過する光をフォト イオードで受光した時に発生する電圧を測 する電圧測定部34が、受光回路33を介して接 続されており、該電圧測定部33の測定結果は 制御分析ユニット13に信号入力される。尚 かかる電圧測定部34は、受光センサの受光時 における電圧変化を検出する従来公知の構成 を利用したものである。

 図10は、上記制御分析ユニット13の構成を 概略的に表すブロック構成図である。この図 に示されるように、制御分析ユニット13は、 源20のON/OFF及び供給電力量などを制御する 源制御部42と、切換スイッチによる光源(発 素子25)の切換状態を制御する光源制御部43等 を有する制御部41を備えている。また、制御 析ユニット13は、上記電圧測定部34からの測 定結果が信号入力される比較演算部46を有す 分析部45を備えている。尚、上記制御分析 ニット13は、好ましくは、マイクロコンピュ ータを主要部として構成され、電源20,切換ス イッチ24及び電圧測定部34などに信号授受可 に接続されている。

 該分析部45には、比較演算部46に信号授受 可能に接続されたメモリ部47が備えられてい 。該メモリ部47には、各種の測定試料(過カ ボン酸と過酸化水素を含む平衡混合物)毎に 、それぞれ波長が異なる光について、測定試 料を透過する光をフォトダイオードで受光し た時に発生する電圧値と濃度との相関データ が、読み出し可能に記憶されている。尚、か かるメモリ部47は、外部メモリとして、制御 析ユニット13の外部に設けるようにしても い。

 そして、比較演算部46に電圧測定部34から の測定データが信号入力されると、測定対象 の試料についての相関データが読み出され、 この相関データと電圧測定部34からの測定デ タとを比較し、所要の演算を行うことによ 、測定対象試料の濃度を得ることができる こうして得られた濃度は、出力部48を介し 測定装置10のディスプレイ等の表示部(不図 )や、プリンタ等の記録装置(不図示)などに 力されるようになっている。

 次に、上記測定装置10を用いて行う過カ ボン酸の濃度測定について、実施例を参照 ながら説明する。

<実施例1>
 実施例1では、サラヤ(株)製の過酢酸6%消毒 (商品名:アセサイド)を蒸留水で20倍に希釈し たものを試験液として用いた。試験液の過酢 酸濃度をヨウ素滴定法により求めたところ、 過酢酸0.356%となった。この試験液0.1~0.2mL(ミ ・リットル)に240mg/Lのヨウ化カリウム溶液を 加えて、全量を20mLとした(測定試料)。これを 混合させた後、波長がそれぞれ430nm,440nm,470nm, 600nmの光を用いて吸光度を測定した。その測 結果を図1に示す。この吸光度は、公知の紫 外可視分光光度計にて測定したものである。
 また、上記測定装置10において波長470nmの発 光素子25(LED)を光源とし、測定試料を透過す 光を受光素子32(フォトダイオード)で受光し 時に発生する電圧を測定した結果を、図2に 示す。

 図1に示した測定結果に対応する回帰式およ びその相関係数R 2 は、以下の通りであった。
 ・波長430nm:y=1.5636x+0.1389 (R 2 =0.9758)
 ・波長440nm:y=1.6740x+0.0909 (R 2 =0.9927)
 ・波長470nm:y=1.5436x+0.0079 (R 2 =0.9978)
 ・波長600nm:y=0.0928x-0.0009 (R 2 =0.9980)
 以上のように、図1の測定結果に対応する回 帰式の相関係数R 2 は、波長440nmの場合で0.9927、波長470nmの場合 0.9978、波長600nmの場合で0.9980となり、これら の場合には優れた直線性が得られることが分 かるが、波長430nmの場合にはR 2 =0.9758となり、直線性が低下した。

 一方、図2に示す通り、発光素子25(LED)と受 素子32(フォトダイオード)を用いた本実施形 の測定装置10においても、測定結果に対応 る回帰式の相関係数R 2 =0.9950となり、測定試料中の過酢酸濃度と測 結果の間には、吸光度の場合(図1参照)と同 に、優れた直線関係が得られることが確認 きた。

 従って、本実施形態の測定装置10を用いて 各種の測定試料(過カルボン酸と過酸化水素 含む平衡混合物)毎に、それぞれ波長が異な る光源25(発光ダイオード:LED)について、測定 料を透過する光をフォトダイオード32で受 した時に発生する電圧値と濃度との関係を す相関データを採取し、かかる相関データ 多数蓄積してメモリ部47に格納しておき、測 定試料の種類および使用光源に応じて、対応 したデータをメモリ部47から読み出して比較 算に用いればよい。
 本実施形態の測定装置10を用いて、所定波 の発光素子25(LED)を光源とし、測定試料を透 する光を受光素子32(フォトダイオード)で受 光した時に発生する電圧を測定し、この測定 値に基づいて測定試料の濃度を得る方法を、 以下においては、適宜、「LED/フォトダイオ ド法」と称することとする。

<実施例2>
 実施例2では、実施例1の試験液に蒸留水を 量加えて異なる4濃度の過酢酸溶液を調製し( サンプル1~4)、ヨウ素滴定法によって過酢酸 度をそれぞれ2回ずつ定量した。
 また、サンプル1~4を0.2mLとって240mg/Lのヨウ カリウム溶液を加えて全量を20mLとし(測定 料)、発光ダイオード(波長:470nm)/フォトダイ ードを用いて発生電圧をそれぞれ2回ずつ測 定した。サンプル毎に、この測定電圧と図2 示した回帰式「y=-0.0119x+0.9326」から、各サン プル中の過酢酸濃度を計算した。表1に示す うに、ヨウ素滴定法とLED(470nm)/フォトダイオ ード法による測定結果は、極めて近い値を示 した。

〔表1〕
 表1 ヨウ素滴定法とLED/フォトダイオード法 による過酢酸濃度測定結果の比較

<実施例3>
 実施例3では、サラヤ(株)製の過酢酸6%消毒 (商品名:アセサイド)を蒸留水で20倍に希釈し たものを試験液として用いた。試験液0.2mLに 1%過酸化水素水0~1mLおよび240mg/Lのヨウ化カ ウム溶液を加えて20mLとし(測定試料)、LED(470n m)/フォトダイオード法でそれぞれ3回ずつ測 した。図2の近似直線に基づいて、試験液中 過酢酸濃度を計算した結果を表2に示す。

〔表2〕
 表2 過酸化水素量が測定値に及ぼす影響

 この試験液濃度をヨウ素滴定法により定 したところ、過酢酸0.356%、過酸化水素0.446% あり、これを0.2mL用いた測定試料中では過 酸0.0094mmol、過酸化水素0.026mmolとなる。表2に 示すように、これに過酸化水素を添加して0.3 20mmolまで増量しても、測定値および計算した 試験液中の過酢酸濃度には、殆ど影響を与え なかった。

<実施例4>
 実施例4では、0.03%過プロピオン酸溶液0.2~1.5 mLに240mg/Lのヨウ化カリウム溶液を加えて、全 量20mLの測定試料とし、LED(470nm)/フォトダイオ ード法で電圧測定を行った。
 図3に示すように、過酢酸以外の過カルボン 酸でも、過カルボン酸濃度と測定値(電圧値:V )の間に直線関係が得られた。

<実施例5>
 実施例5では、過酢酸(ヨウ素滴定法により 酢酸0.355%)0.05~1.0mLに240mg/L又は480mg/Lのヨウ化 リウム溶液を加えて、全量20mLの測定試料と した。LED(470nm)/フォトダイオード法で電圧を 定し、その測定結果を図4に示した。
 過酢酸0.05~0.3mL(測定試料中の過酢酸濃度8.9~5 3ppmに相当)までは、測定試料中の過酢酸濃度( ppm)と測定値(電圧値:V)の間に直線関係が認め れるが、0.4mL(測定試料中の過酢酸濃度71ppm) 上では、どちらのヨウ化カリウム濃度にお ても測定値(V)は直線から逸脱した。

<実施例6>
 実施例6では、測定試料のpHが及ぼす影響を べた。約0.35%過酢酸0.2mLに、クエン酸とクエ ン酸ナトリウムを用いてpH3~6に調整した240mg/L のヨウ化カリウム溶液を加えて、全量20mLの 定試料とした。LED(470nm)/フォトダイオード法 で電圧を測定し、測定試料調製後10分間の電 値の変化を図5に示した。また、0.35%過酢酸0 .2mL中に含まれる過酸化水素(0.4%)と同程度の 度になるように、2%過酸化水素溶液0.05mLに、 pH1~3に調整した240mg/Lのヨウ化カリウム溶液を 加えて全量20mLの測定試料とした。LED(470nm)/フ ォトダイオード法で電圧を10分間測定し、電 値の変化を図6に示した。
 図5より、pH3~5では測定値が安定しているが pH値が6になると測定値は不安定であった。 た、図6より、pH値が1にまで下がると、過酸 化水素がヨウ化カリウムと徐々に反応してヨ ウ素を発生するため、測定値は不安定であっ た。

<実施例7>
 実施例7では、ヨウ化カリウム量の影響を調 べた。0.331%過酢酸溶液0.2mL(0.0094mmol)に対し2,3, 15,30,60,90倍モル数のヨウ化カリウム溶液を加 て全量20mLの測定試料とした。例えば、90倍 ル数では(90KI)、20mL中に0.84mmolのヨウ化カリ ムを含む。470nmの吸光度を測定し、測定試 調製後の吸光度の変化を図7に示した。
 ヨウ化カリウム濃度が大過剰の時、測定値 経時変化を伴うため、試験用液調製後、直 に測定を行う必要がある。しかし、ヨウ化 リウム濃度が過酢酸の3~15倍モル数の時は経 時変化がほとんどなく、安定した測定値を得 ることができた。

 本発明は、過カルボン酸と過酸化水素を む平衡混合物において、過カルボン酸の濃 のみを容易かつ迅速に測定する場合に、有 に利用することができる。