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Title:
METHOD OF MEASURING NITROGEN ATOMS, DEVICE FOR MEASURING NITROGEN ATOMS AND PLASMA PROCESSING DEVICE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/154037
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a method for measuring nitrogen atoms whereby nitrogen atom density is measured in real time at around atmospheric pressure. A method for measuring nitrogen atoms whereby nitrogen atom density is measured at around atmospheric pressure, which comprises: a procedure of mixing a portion in a definite amount of a nitrogen atom-containing gas generated from a nitrogen atom source with a definite amount of nitrogen monoxide gas with a known concentration in the downstream of the above-described nitrogen atom source; a procedure of, after the completion of the reaction between the above-described nitrogen atom-containing gas and the above-described nitrogen monoxide gas mixed therewith, measuring the nitrogen monoxide density and the nitrogen dioxide density; and a procedure of calculating the nitrogen atom density with the use of the relation that the nitrogen atom density corresponds to the difference obtained by subtracting the sum of the nitrogen monoxide concentration measured above and the nitrogen dioxide concentration measured above from the known concentration of the nitrogen monoxide gas as described above.

Inventors:
OINUMA GAKU (JP)
INANAGA YASUTAKA (JP)
NODA SEIJI (JP)
TANIMURA YASUHIRO (JP)
TABATA YOICHIRO (JP)
WATANABE KENSUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/057758
Publication Date:
December 23, 2009
Filing Date:
April 17, 2009
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI ELECTRIC CORP (JP)
TOSHIBA MITSUBISHI ELEC INC (JP)
OINUMA GAKU (JP)
INANAGA YASUTAKA (JP)
NODA SEIJI (JP)
TANIMURA YASUHIRO (JP)
TABATA YOICHIRO (JP)
WATANABE KENSUKE (JP)
International Classes:
G01N31/00; H05H1/00; H05H1/24; G01N21/35
Foreign References:
JP2000123996A2000-04-28
JP2004354055A2004-12-16
Other References:
BABAYAN S.E. ET AL.: "Determination of the Nitrogen Atom Density in the Afterglow of a Nitrogen and Helium, Nonequilibrium, Atmospheric Pressure Plasma", PLASMA CHEMISTRY AND PLASMA PROCESSING, vol. 21, no. 4, 2001, pages 505 - 520
GAKU OINUMA ET AL.: "Taikiatsu Chisso Hoden Afterglow Chu no Chisso Genshi Mitsudo Sokutei", DAI 69 KAI EXTENDED ABSTRACTS; THE JAPAN SOCIETY OF APPLIED PHYSICS, 2 September 2008 (2008-09-02), pages 154 - 4A-Y-6
OINUMA G. ET AL.: "Method for real-time measurement of nitrogen atom density in atmospheric pressure post-discharge flows", J.PHYS.D, vol. 41, no. 15, 7 August 2008 (2008-08-07), pages 155204, XP020140584
Attorney, Agent or Firm:
SOGA, Michiharu et al. (JP)
Michiharu Soga (JP)
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Claims:
 大気圧近傍で窒素原子の密度を測定する窒素原子測定方法であって、
 窒素原子発生源で発生した窒素原子含有ガスのうち所定量に対し、上記窒素原子発生源の下流において、濃度が既知の所定量の一酸化窒素ガスを混合する手順と、
 上記窒素原子含有ガスと混合された上記一酸化窒素ガスの反応後に、一酸化窒素の密度と二酸化窒素の密度を測定する手順と、
 窒素原子密度は上記一酸化窒素ガスの既知の濃度から測定した上記一酸化窒素の濃度と測定した上記二酸化窒素の濃度との和を減算して得る差であるという関係を用いて窒素原子密度を算出する手順と、
 を有することを特徴とする窒素原子測定方法。
 上記窒素原子含有ガス中の窒素原子密度が、1×10 12 (cm -3 )以上であることを特徴とする請求項1に記載の窒素原子測定方法。
 上記一酸化窒素ガスの既知の濃度が上記窒素原子密度に対する比が1を超え且つ100未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の窒素原子測定方法。
 上記窒素原子含有ガスが上記窒素原子発生源を流出してから、上記一酸化窒素ガスが混合するまでの時間が、1秒以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の窒素原子測定方法。
 大気圧近傍で窒素原子の密度を測定する窒素原子測定装置であって、
 窒素原子発生源で発生した窒素原子含有ガスのうち所定量に対し、上記窒素原子発生源の下流から吸気する手段と、
 上記吸気された窒素原子含有ガスを所定流量に調節する流量調節手段と、
 濃度が既知の一酸化窒素ガスを供給する一酸化窒素ガス供給源と、
 上記供給された一酸化窒素ガスを所定流量に調節する流量調節手段と、
 一酸化窒素の密度と二酸化窒素の2密度を計測する計測器と、を備え、
 上記吸気された窒素原子含有ガスに対して、上記一酸化窒素ガスを混合した後に、一酸化窒素の密度と二酸化窒素の密度とを測定するとともに、窒素原子密度は上記一酸化窒素ガスの既知の濃度から測定した上記一酸化窒素の濃度と測定した上記二酸化窒素の濃度との和を減算して得る差であるという関係を用いて窒素原子密度を算出することを特徴とする窒素原子測定装置。
 上記窒素原子含有ガス中の窒素原子密度が、1×10 12 (cm -3 )以上であることを特徴とする請求項5に記載の窒素原子測定装置。
 上記一酸化窒素ガスの既知の濃度が上記窒素原子密度に対する比が1を超え且つ100未満であることを特徴とする請求項5または6に記載の窒素原子測定装置。
 上記窒素原子含有ガスが上記窒素原子発生源を流出してから、上記一酸化窒素ガスが混合するまでの時間が、1秒以下であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の窒素原子測定装置。
 窒素原子含有ガスを処理対象に接触させることで処理を行なうプラズマ処理装置であって、
 上記請求項5乃至8のいずれかに記載の窒素原子測定装置を備えるとともに、上記窒素原子密度が所定の密度となるよう、放電電力、ガス組成、ガス流用、ガス温度、ガス圧力の少なくともいずれか1つを制御する制御手段を備えることを特徴とするプラズマ処理装置。
Description:
窒素原子測定方法、窒素原子測 装置、及びプラズマ処理装置

 この発明は、大気圧近傍で窒素原子を測 する窒素原子測定方法、窒素原子を測定す 窒素原子測定装置、およびそれを用いたプ ズマ処理装置に関するものである。

 放電で発生したラジカルを輸送して対象 接触させることで、酸化膜、窒化膜などの 成、表面洗浄、殺菌などを行なう、いわゆ リモートプラズマ処理が近年広く用いられ いる。また、多くのプラズマ処理は減圧下 稼動しているが、近年では真空気密容器を 要としない、大気圧近傍での処理が注目さ ている。これに伴い、大気圧近傍でのリモ トプラズマ処理は、材料表面の洗浄、濡れ の改善、成膜などに利用され、その適応先 多岐にわたる。一方で、大気圧近傍での窒 放電、あるいは窒素と希ガスの混合ガスを いた放電により、窒素ラジカルを発生させ リモートプラズマ処理により窒化膜を形成 る手法なども報告されている。

 窒素放電リモートプラズマ処理において 反応の主な担い手は電気的に中性な窒素ラ カル、特に窒素原子であり、その密度の把 は重要な課題である。しかし、大気圧近傍 ように高い圧力下では、窒素原子の寿命は めて短く、ミリ秒から数十ミリ秒程度で大 に減衰する。そのため、窒素原子密度の測 は難しく、放電電力や処理対象までの距離 どを調節し、最適な処理条件を経験的に見 す手法がとられてきた。

 しかし、放電に伴う電極温度の変化や、 ずかな圧力変動などによって窒素原子密度 大きく変化するため、安定した密度での供 は極めて難しいという問題があった。大気 近傍において、簡易な方法でリアルタイム 窒素原子密度を測定できれば、放電条件を 御し、最適な処理条件でのリモートプラズ 処理が可能となる。

 従来の窒素原子密度測定法の代表的なも として、(1)特定波長の光を照射し、その光 度の減衰から窒素原子密度を求める吸光測 法(例えば、特許文献1参照)、(2)放電下流ガ に一酸化窒素(以下、NOと記述)ガスを添加し 、供給するNO量と窒素原子量のバランスに伴 発光の変化を測定する一酸化窒素ガス滴定 (例えば、非特許文献1参照)などが挙げられ 。

 以下、吸光測定法の窒素原子測定方法を 明する。吸光測定法の窒素原子密度測定方 は、原子光発生装置により窒素原子の励起 位(例えば波長120nm)に応じた波長の光を発生 させ、測定対象とする窒素原子を含む気体に 照射する。照射された光は、測定対象気体中 の窒素原子密度に応じて吸収され、その光強 度が減衰する。従って、測定対象通過前の光 強度と、測定対象通過後の光強度を比較する ことで、リアルタイムに窒素原子密度を算出 することができる。

 次に、一酸化窒素ガス滴定法の窒素原子 定方法を説明する。窒素原子を含むガスにN Oガスを混合すると、反応式(1)の反応でNOが消 費される。

  N+NO→N 2 +O   (1)

 反応式(1)の反応は室温且つ大気圧近傍で 1ミリ秒程度と、極めて迅速に進み平衡に至 る。反応式(1)で発生した酸素原子(以下O原子 記述)は、窒素原子の量とNOの量の大小に応 て、反応式(2)または反応式(3)の反応で消費 れる。

  窒素原子の量がNOの量より大きいとき、
    O+N+M→NO(B 2 π)+M→NO+M+hν (2)
  窒素原子の量がNOの量より小さいとき、
    O+NO+M→NO 2 (A 2 B 1 )+M→NO 2 +M+hν (3)

 窒素原子量とNO量が等しくなる領域(滴定 )で反応式(2)、反応式(3)の推移が起こり、発 光分布が変化する。そこで、NO供給量を変化 せると共に発光分光測定することで、滴定 を見出せば、そのときの供給NO量から窒素 子密度が算出できる。

特開2000-123996号公報

S.E.Babayan、外2名、「Determination of the Nit rogen Atom Density in the Afterglow of a Nitrogen a nd Helium,Nonequilibrium,Atmospheric Pressure Plasma」 Plasma Chemistry and Plasma Processing,Vol.21,No.4,Dece mber 2001、p.505-520

 吸光測定法の窒素原子密度測定方法は、リ ルタイムでの窒素原子密度測定が可能であ が、一般に減圧下での使用を前提としてお 、大気圧近傍測定への適用は難しい。これ 、大気圧近傍のように粒子密度が高い条件 は、照射する光の散乱や減衰が顕著となり 測定対象とする窒素原子による吸収強度が 対的に小さくなるためである。
 また、一酸化窒素ガス滴定法の窒素原子密 測定方法は、大気圧近傍での比較的簡易な 素原子密度測定が可能であるが、NO供給量 変化させて滴定点を見出す必要があること ら、リアルタイム測定は実現できない。

 この発明の目的は、窒素原子密度を大気 近傍でリアルタイムに測定する窒素原子測 方法、その窒素原子測定方法を適用した窒 原子測定装置、およびそれを備えたプラズ 処理装置を提供することである。

 この発明に係る窒素原子測定方法は、大 圧近傍で窒素原子の密度を測定する窒素原 測定方法であって、窒素原子発生源で発生 た窒素原子含有ガスのうち所定量に対し、 記窒素原子発生源の下流において、濃度が 知の所定量の一酸化窒素ガスを混合する手 と、上記窒素原子含有ガスと混合された上 一酸化窒素ガスの反応後に、一酸化窒素の 度と二酸化窒素の密度を測定する手順と、 素原子密度は上記一酸化窒素ガスの既知の 度から測定した上記一酸化窒素の濃度と測 した上記二酸化窒素の濃度との和を減算し 得る差であるという関係を用いて窒素原子 度を算出する手順と、を有する。

 この発明に係る窒素原子測定装置は、大 圧近傍で窒素原子の密度を測定する窒素原 測定装置であって、窒素原子発生源で発生 た窒素原子含有ガスのうち所定量に対し、 記窒素原子発生源の下流から吸気する手段 、上記吸気された窒素原子含有ガスを所定 量に調節する流量調節手段と、濃度が既知 一酸化窒素ガスを供給する一酸化窒素ガス 給源と、上記供給された一酸化窒素ガスを 定流量に調節する流量調節手段と、一酸化 素の密度と二酸化窒素の密度を計測する計 器と、を備え、上記吸気された窒素原子含 ガスに対して、上記一酸化窒素ガスを混合 た後に、一酸化窒素の密度と二酸化窒素の 度とを測定するとともに、窒素原子密度は 記一酸化窒素ガスの既知の濃度から測定し 上記一酸化窒素の濃度と測定した上記二酸 窒素の濃度との和を減算して得る差である いう関係を用いて窒素原子密度を算出する

 この発明に係るプラズマ処理装置は、窒 原子含有ガスを処理対象に接触させること 処理を行なうプラズマ処理装置であって、 の発明に係る窒素原子測定装置を備えると もに、上記窒素原子密度が所定の密度とな よう、放電電力、ガス組成、ガス流用、ガ 温度、ガス圧力の少なくともいずれか1つを 制御する制御手段を備える。

 この発明に係る窒素原子測定方法の効果 、窒素原子含有ガスに濃度が既知の所定量 一酸化窒素ガスを混合し、窒素原子含有ガ と一酸化窒素ガスとを反応した後の一酸化 素と二酸化窒素のそれぞれの密度を測定し 混合した一酸化窒素ガスの既知の濃度と測 した一酸化窒素および二酸化窒素の密度を いることにより窒素原子密度が求まるので 大気圧近傍において窒素原子密度をリアル イム測定できることである。

この発明の実施の形態1に係る窒素原子 測定方法を適用した窒素原子測定装置の構成 を示すブロック図である。 窒素原子を含む放電下流ガスに一酸化 素を混合することで生じる各粒子密度の時 変化を化学シミュレーションした結果を示 図である。 化学反応シミュレーションにより求め 一酸化窒素密度、二酸化窒素密度から算出 た窒素原子密度と、初期値として用いた窒 原子密度の比較を示す図である。 この発明の実施の形態2に係る窒素原子 測定方法を適用した窒素原子測定装置の構成 を示すブロック図である。 この発明の実施の形態2における実験例 での諸条件及び実測データである。 この発明の実施の形態2における窒素原 子減衰特性の実測結果の一例である。 この発明の実施の形態3に係るプラズマ 処理装置の構成を示すブロック図である。

 実施の形態1.
 以下の実施の形態の説明では表記[X]を用い 粒子種Xの数密度(cm -3 )を表すこととする。一方、NO測定などでは、 濃度C X (ppm)を用いる方が都合が良い。圧力をP(kPa)、 ス温度をT(K)とすれば、数密度[X]と濃度C X は、式(4)の関係で互いに変換可能である。な お、N A はアボガドロ数6.02×10 23 (mol -1 )である。

  [X](cm -3 )=N A /22.4/1000×(P/101.3)×(273.1/T)×C X ×10 -6    (4)

 必要に応じて数密度と濃度を変換するもの する。また、表記[X] in を用いて、粒子種Xの供給数密度を、表記[X] m を用いて、粒子種Xの測定された数密度を表 ものとする。また、大気圧近傍とは、絶対 力50kPa~200kPaの範囲とする。

 図1は、この発明の実施の形態1に係る窒素 子測定方法を適用する窒素原子測定装置の 成を示すブロック図である。以下、図1にも づいて実施の形態1を説明する。
 この発明の実施の形態1に係る窒素原子測定 装置では、窒素ガス供給源1と、窒素ガス流 調節手段である流量調節器2aと、大気圧近傍 放電ユニット3によって、窒素原子含有ガス 生成され、輸送管10によって輸送される。こ こで、窒素ガス供給源1からは、純窒素ガス あるいは窒素ガスと希ガスが所定の割合で 合されたガスを供給する。
 大気圧近傍放電ユニット3は、一対の電極を 内包しており、高電圧電源4が接続されてい 。
 窒素原子計測部は、NOガス供給源5と、NOガ 流量調節手段である流量調節器2bと、窒素原 子含有ガスの一部を吸気する手段であるポン プ6と、窒素原子含有ガスの流量調節手段で る流量調節器2cと、NO及びNO 2 濃度を測定する窒素酸化物濃度計7からなる
 NOガス供給源5からは、窒素ガスあるいは希 スにより所定濃度に希釈されたNOガスを供 する。ガス吸気点9は大気圧近傍放電ユニッ 3の下流に位置し、ガス吸気点9にて測定ガ 輸送管11が分岐している。NOガス混合点8は測 定ガス輸送管11に存在し、流量調節器2cと窒 酸化物濃度計7は、共に測定ガス輸送管11のNO ガス混合点8より下流側に位置する。

 次に、窒素原子密度測定原理について説 する。窒素ガスが放電空間を通過する際に 窒素分子は主に式(5)の反応により窒素原子 解離する。

  N 2 +e→2N+e   (5)

 窒素原子は極めて活性が高いため、窒化 形成などといった様々な用途に利用できる その一方で、窒素原子は大気圧近傍のよう 高い圧力下では、極めて寿命が短く、数ミ ~数十ミリ秒程度で大幅に減衰する。この発 明の課題は、このように短寿命の窒素原子の 密度を、簡易な方法で、且つリアルタイムに 測定する方法、及び測定装置を提供すること である。また、その計測方法を用いて、高精 度に制御されたプラズマ処理装置を提供する ことである。

 本願発明による窒素原子密度測定の原理 、密度が未知の窒素原子含有ガスに、密度 既知のNOガスを混合し、窒素原子とNOの反応 が平衡に達した後の成分密度を測定すること で、窒素原子密度を算出するものである。反 応式(1)により、窒素原子はNOと極めて迅速に 応し、窒素分子とO原子を生じる。ここで発 生したO原子は、さらに窒素原子やNOなどと反 応し、他の生成物を生じる。この様に窒素原 子含有ガスとNOガスの混合系の反応は複雑で る。しかし、測定対象とする窒素原子密度 、供給するNO密度と、反応後に生じる生成 密度の間の関係を知れば、供給するNO密度と 反応後の成分密度から、窒素原子密度を算出 できる。本願発明者は、窒素原子とNOの反応 を詳細に検討した結果、式(6)の関係が成立 ることを見出した。

  [N]=[NO] in -([NO] m +[NO 2 ] m )   (6)

 次に、式(6)を見出すに至った過程を説明す 。
 窒素原子を含むガスにNOガスを混合した場 、窒素原子、NOおよび希釈ガス間で種々反応 が生じ、一定時間経過後に平衡に至る。式(7) ~(20)に示す14通りの反応式を考慮することで 窒素原子含有ガスにNOガスを混合した際の反 応をシミュレーションし、反応前後の成分密 度を比較した。シミュレーションにはEngineeri ng Eqartion Solver(F-Chart Software)を使用した。ま た、各反応の速度係数はいずれもNational Insti tute of Standards and technology(NIST)のChemical Kinet ic Databaseより引用した。ここで、Mは第三体 意味し、上記反応系で現れるあらゆる粒子 に対応する。

  N+N+M→N 2 +M K 7 =1.22×10 -32 (cm 6 /s) (7)
  N+O+M→NO+M K 8 =9.80×10 -33 (cm 6 /s) (8)
  N+O 2 →NO+O K 9 =1.11×10 -16 (cm 3 /s)  (9)
  N+O 3 →NO+O 2  K 10 =1.00×10 -16 (cm 3 /s) (10)
  N+NO→N 2 +O K 11 =2.94×10 -11 (cm 3 /s)  (11)
  N+NO 2 →N 2 O+O K 12 =1.21×10 -11 (cm 3 /s) (12)
  O+O+M→O 2 +M K 13 =1.05×10 -33 (cm 6 /s) (13)
  O+O 2 +N→O 3 +M K 14 =5.88×10 -34 (cm 6 /s) (14)
  O+O 3 →O 2 +O 2  K 15 =7.96×10 -15 (cm 3 /s)  (15)
  O+NO+M→NO 2 +O 2  K 16 =8.84×10 -32 (cm 6 /s)     (16)
  O+NO 2 →NO+O 2  K 17 =9.73×10 -12 (cm 3 /s) (17)
  O 2 +NO+NO→NO 2 +NO 2  K 18 =1.93×10 -38 (cm 6 /s)   (18)
  O 3 +NO→O 2 +NO 2  K 19 =1.82×10 -14 (cm 3 /s) (19)
  O 3 +NO 2 →NO 3 +O 2  K 20 =3.23×10 -17 (cm 3 /s) (20)

 初期密度として、窒素原子[N] 0 、一酸化窒素[NO] 0 、窒素分子[N 2 ] 0 に対して、それぞれ5×10 14 (cm -3 )、1×10 15 (cm -3 )、2.5×10 19 (cm -3 )、それ以外の物質について全て0(cm -3 )を与え、シミュレーションを行った結果を 2に示す。縦軸に粒子数密度、横軸にNOガス 合からの経過時間を示している。x=0はNOガス が窒素原子含有ガスと混合した時刻に対応す る。
 図2の化学反応シミュレーション結果から、 窒素原子密度はNOガスとの混合後急激に低下 、1ミリ秒程度でほぼ消滅することが分かる 。また、供給した一酸化窒素の密度は減少す る一方で、二酸化窒素が発生する。

 ここで、反応前後の各成分の密度を詳細に べたところ、式(6)の関係が成立することが 出された。つまり、密度既知のNOガスを窒 原子含有ガスに混合し、反応後のNOとNO 2 の密度を測定することで、式(6)によって窒素 原子密度を算出できる。
 また、この反応は1ミリ秒程度と、極めて短 時間で平衡に至るため、実質的にNOガス混合 での窒素原子密度を測定できる。
 また、図2より平衡到達後は各成分の密度は ほとんど変化しないため、NOとNO 2 の計測に時間を要しても、窒素原子密度算出 のうえで問題とはならない。
 また、密度が既知のNOを供給して、反応後 NOとNO 2 の密度を連続的に測定すれば、式(6)よりリア ルタイムに窒素原子密度を算出することが可 能である。

 次に式(6)が成立する条件について説明する
 本願発明の測定法は、窒素原子含有ガス中 窒素原子密度を測定することが目的となる 、ここではある値を初期窒素原子密度[N] 0 として仮定し、これを初期条件として化学反 応シミュレーションを実施する。これにより 、反応後のNOとNO 2 の密度を求め、式(6)から窒素原子密度を算出 する。本窒素原子測定原理が成立する条件で は、初期値として与えた窒素原子密度と、式 (6)から算出される窒素原子密度は一致するこ とになる。

 図3は、[N] 0 として1×10 14 (cm -3 )、3×10 14 (cm -3 )、5×10 14 (cm -3 )の3通りの条件を与え、それぞれに関して実 したシミュレーション結果である。図3の縦 軸は式(6)により計算される窒素原子密度、横 軸は初期NO密度、つまり[NO] in である。
 図3に示す結果から、[NO] in が[N] 0 を超えている条件において、式(6)から求まる 窒素原子密度は、初期条件として与えた窒素 原子密度と極めてよく一致し、従って、[N]と [N] 0 はほぼ等しいという関係が成り立つことが分 かる。
 また、この特性は、初期窒素原子密度[N] 0 が変わっても、同様に成立することが分かる 。

 以上の結果から、式(6)が成立するための条 は、[NO] in が[N]を超えることである。しかし、[NO] in が[N]を大幅に超えた場合、窒素原子との反応 で減少するNOの割合が低下し、結果的に供給 るNO密度([NO] in と測定されるNO密度([NO] m の差が小さくなる。例として、[NO] in がが[N]の100倍であると仮定する。このとき、 窒素原子との反応で消費されるNOの割合は、 およそ1%となる。NOとNO 2 の測定誤差が1%であると仮定すると、式(6)を いた窒素原子密度測定の誤差は、おおよそ1 00%となる。実際、現在入手可能な多くの窒素 酸化物濃度計は、1%程度の誤差が避けられな 。この様に、実測における誤差を考慮する 、式(6)により窒素原子密度を算出する条件 して、比[NO] in /[N]が1を超え且つ100未満が妥当である。また 比[NO] in /[N]を2程度とすると最も精度良く窒素原子密 を測定できる。

 次に、式(6)により測定可能な窒素原子密度 範囲を説明する。
 現在、一般に入手可能な装置を用いた場合 NO及びNO 2 の測定精度は0.1ppm程度である。大気圧におい て0.1ppmは、2.5×10 12 (cm -3 )程度の密度に対応する。従って、式(6)によ 求められる窒素原子密度の下限は、1×10 12 (cm -3 )程度である。

 次に、図1を用いて、この発明の実施の形態 1に係る窒素原子測定装置の動作について説 する。
 最初に、窒素原子含有ガスの生成部を説明 る。
 窒素ガス供給源1から供給される窒素ガス、 あるいは窒素と希ガスの混合ガスを、流量調 節器2aによって所定の流量に調節したうえで 大気圧近傍放電ユニット3を通過させる。こ のとき、大気圧近傍放電ユニット3に内包さ る一対の電極間に、高電圧電源4から高電圧 印加し、大気圧近傍で放電を発生させる。 素ガスは、放電空間を通過する際、その一 が解離されて窒素原子となる。こうして発 した窒素原子含有ガスは、大気圧近傍放電 ニット3の下流側端部から輸送管10に流出す 。

 次に、窒素原子密度測定部の動作について 明する。
 大気圧近傍放電ユニット3の下流側端部から 流出した窒素原子含有ガスの一部を、ガス吸 気点9から、ポンプ6によって吸気する。吸気 るガス流量は、流量調節器2cによって調節 る。窒素原子含有ガスの一部を吸気してい 状態で、NOガス供給源5から所定濃度に希釈 れたNOガスを供給する。希釈ガスとしては、 窒素ガスあるいは希ガスを用いる。供給する NOの濃度が高いと、供給流量を小さくする必 があり、窒素原子含有ガスとの混合に時間 要する結果となる。一方NO濃度が低いと、 給流量を大きくする必要があり、NOガス消費 量が増大する。

 また、ガスを混合することにより、測定対 とする窒素原子含有ガスが希釈されるため 測定後に補正を施す必要が生じる。一般に1 000ppm程度のNOを使用することが望ましいが、 定対象とする窒素原子密度、窒素原子含有 スの吸気流量、NOガスの流量に応じて適宜 定する。供給されたNOガスは、流量調節器2b よって所定の流量に調節した後、NOガス混 点8にて、吸気された窒素原子含有ガスと混 する。輸送管10および測定ガス輸送管11にお いて、窒素原子密度は式(7)によって急速に減 衰し、大気圧近傍では、1秒後には1×10 12 (cm -3 )程度まで減衰する。従って、NOガス混合点8 、大気圧近傍放電ユニット3の下流側端部か の輸送時間が1秒以下となる位置とする。

 次に、NOガス混合点8の下流に設置した窒素 化物濃度計7によって、NOとNO 2 の濃度を測定する。前述の通り、混合ガス内 の化学反応が平衡に至るまでに、大気圧近傍 では1ミリ秒程度の時間を有する。従って窒 酸化物濃度計7の設置位置は、吸気ガス流量 NOガス流量と配管径を考慮して、NOガス混合 点8からの輸送に、少なくとも1ミリ秒以上の 間を要する位置とする。ただし、化学反応 平衡に至るまでの時間は、ガス圧力、ガス 度、ガス流量、配管の形状によっては1ミリ 秒を超えることもあるため、これらを考慮し て適宜窒素酸化物濃度計7の位置を決める必 がある。

 供給するNOガスの濃度をC NO0 (ppm)、流量をQ NO (cm 3 /s)、吸気する窒素原子含有ガス流量をQ N (cm 3 /s)とすると、混合点8でのNO濃度C NOi (ppm)は式(21)から求まる。

  C NOi =C NO0 ×Q N0 /(Q N0 +Q N )   (21)

 また、反応後のNO濃度C NOm とNO 2 濃度C NO2m は、窒素酸化物濃度計7によって測定する。C NOi 、C NOm 、C NO2m をそれぞれ式(4)により数密度に換算し、式(6) に代入すれば、目的とする窒素原子密度を算 出できる。なお、図2に示した通り、窒素原 とNOの反応は1ミリ秒程度と極めて速いため NOガス混合点8を窒素原子密度測定点とみな ことができる。

 このように、この発明の実施の形態1によれ ば、窒素原子含有ガスの一部を吸気し、所定 密度のNOを混合し、反応後のNOとNO 2 密度を測定することで、式(6)を用いて、大気 圧近傍でリアルタイムに窒素原子密度を算出 することができる。

 なお、窒素原子含有ガスにNOガスを混合 ることで、窒素原子含有ガスが希釈され、 素原子密度が低下する。従って、厳密に窒 原子密度を算出するには、式(6)で求めた窒 原子密度に式(22)に従って換算を施す必要が る。

  [N] R =[N] m ×(Q NO +Q N )/Q N    (22)

 ただし、[N] R は換算を施した後のより正確な窒素原子密度 、[N] m は式(6)から求めた窒素原子密度である。例え ば、NOガス流量が吸気する窒素原子含有ガス 量の1/10であれば、[N] R と[N] m で10%程度の差異が生じる。従って、ガス流量 の比率を考慮し、必要に応じて式(22)の補正 行なう。

 この発明の実施の形態1では、窒素原子発生 に大気圧近傍放電を用いている。これは、大 気圧近傍で非平衡プラズマを形成することに より、高エネルギーの電子を生成し、効率的 に窒素分子の解離を生じさせるためである。 大気圧近傍で非平衡プラズマを発生できる放 電形態の例として、誘電体バリア放電、大気 圧グロー放電、沿面放電、短パルスコロナ放 電などが挙げられる。
 一方、本発明による窒素原子測定法は、い なる方法で発生した窒素原子であっても測 可能である。従って、上記以外であっても 例えば熱解離や電子ビーム照射によって生 された窒素原子であっても、同様の方法で 定できる。

 また、この発明の実施の形態1において、 ポンプ6は窒素原子含有ガスの一部を吸気す 手段である。また、流量調節器2cは吸気する 窒素原子含有ガス流量を調節する手段である 。これらを用いなくても、圧力差を生じ、所 定の流量を引き込むことができる機構で代替 することができる。例えば、ポンプを使用す る代わりに、輸送管10を加圧状態とし、流量 節器2cの代わりにニードルバルブを用いれ 、所望の流量の窒素原子含有ガスを引き込 ことができる。

 この発明の実施の形態1で用いている窒素酸 化物濃度計7は、NOとNO 2 の濃度を測定するためのものであり、化学発 光式、ジルコニア式、定電位電解式など、様 々な方式のものが用いられる。窒素酸化物濃 度計以外でも、NOとNO 2 の濃度を測定できる手段であれば、いかなる ものでも代用可能である。例として、フーリ エ変換型赤外吸光光度計(FTIR)、質量分析器、 ガスクロマトグラフィーなども適応可能であ る。

 この発明の実施の形態1では、窒素酸化物計 7でNOとNO 2 の濃度を独立に測定しているが、両者の和で ある全窒素酸化物濃度[NO x ] m を測ることで、窒素原子密度を求めることも できる。そのとき式(6)は式(23)で書き換えら る

  [N]=[NO] in -[NO x ] m    (23)

 この発明の実施の形態1において、ガス混合 点8の位置を適切に設定することで、処理対 物到達時における窒素原子密度を予測する とができる。ガス吸気点9から処理対象物ま の距離をL 1 、輸送管10の断面積をS 1 、ガス流量をQ 1 、管内の圧力をP 1 、ガス温度をT 1 とする。また、ガス吸気点9からガス混合点8 での距離をL 2 、測定ガス輸送管11の断面積をS 2 、ガス流量をQ 2 、管内圧力をP 2 、ガス温度をT 2 とする。そして、式(24)に従ってL 2 を決める。これにより、窒素原子含有ガスが 処理対象に到達するまでの時間と、窒素原子 含有ガスがNOガス混合点8、すなわち窒素原子 密度測定点に到達するまでの時間が等しくな り、測定される窒素原子密度は、処理対象物 到達時における窒素原子密度と等しくなる。

  L 2 =L 1 ×(Q 2 ×S 1 ×P 1 ×T 2 )/(Q 1 ×S 2 ×P 2 ×T 1 )   (24)

 式(24)を満たす体系を用いることで、処理 対象に到達する窒素原子密度を間接的に求め ることができ、処理時間や処理条件を効果的 に制御できる。

 また、この発明の実施の形態1では、放電 で生じた窒素原子含有ガスの一部を吸気し、 測定を行なっている。一方、窒素原子密度の 測定のみを目的とする場合、輸送管10を流通 る窒素原子含有ガスに、直接NOガスを混合 ることでも達成可能である。ただし、この 合窒素原子はNOとの反応によって消滅するた め、リモートプラズマ処理は実施できない。

 実施の形態2.
 図4は、この発明の実施の形態2に係る窒素 子測定方法を適用した窒素原子測定装置の 成を示すブロック図である。
 この発明の実施の形態2に係る窒素原子測定 装置は、この発明の実施の形態1に係る窒素 子測定装置とNOガスを混合する箇所の数が異 なり、それ以外は同様であるので、同様な部 分に同じ符号を付記し説明は省略する。
 この発明の実施の形態1に係る窒素原子測定 装置では、NOガスがNOガス混合点8の一点のみ 混合しているが、この発明の実施の形態2に 係る窒素原子測定装置では、測定ガス輸送管 11に沿ったNOガス混合点8a、8b、8cの3点で混合 ている。
 そして、NOガス供給流路を切り替えるため バルブ12a、12b、12cを、それぞれ流量調節器2b とNOガス混合点8a、8b、8cの間に配備する。

 次に、この発明の実施の形態2に係る窒素原 子測定装置の動作について説明する。
 ポンプ6を用いて、ガス吸気点9より窒素原 含有ガスを所定流量吸気するところまでは 実施の形態1と同様である。実施の形態2では 、まずバルブ12bとバルブ12cを閉じ、バルブ12a のみを開放し、NOガスを供給する。これによ 、NOガス混合点8aでの窒素原子密度を測定す る。
 次に、バルブ12bのみを開放し、NOガスを供 する。これにより、NOガス混合点8bでの窒素 子密度を測定する。
 次に、バルブ12cのみを開放し、NOガスを供 する。これにより、NOガス混合点8cでの窒素 子密度を測定する。これにより、測定ガス 送管11のガス流に沿って、異なる3点での窒 原子密度を測定したことになる。

 一方、ガス流速と、大気圧近傍放電ユニ ト3の下流側端部からNOガス混合点8a、8b、8c での距離から、NOガス混合点に到達するま の時間、つまり輸送時間が算出できる。測 した窒素原子密度を縦軸に取り、測定点ま の輸送時間を横軸に取ってプロットするこ で、窒素原子密度の減衰特性が得られる。

 次に、この発明の実施の形態2に係る窒素 原子測定装置で窒素原子密度の減衰特性を取 得するための、具体的方法を説明する。NOガ 混合点8a、8b、8cで測定された窒素原子密度 それぞれNa、Nb、Ncとし、それぞれのNOガス 合点8a、8b、8cまでの輸送時間をTa、Tb、Tcと る。これらの値を用いて、窒素原子密度と 送時間の関係をプロットする。一方、窒素 子の減衰過程として式(7)のみを考慮した場 、窒素原子密度減衰の理論式は、式(25)とな 。

  [N]=1/([M]k r t+1/[N] 0 )   (25)

 ここで、k r (cm 6 /s)は空間再結合速度係数である。また、[M]は 第三体の密度であり、圧力と温度から算出さ れる。
 NOガス混合点8a、8b、8cからNOガスを混合して 測定した窒素原子密度Na、Nb、Ncと輸送時間Ta Tb、Tcを用いて、式(25)に対する回帰分析を 施することで、式(25)における[N] 0 とk r が求まる。ここで、[N] 0 は大気圧近傍放電ユニット3出口での窒素原 密度である。
 また、求まった[N] 0 とk r 値を式(25)に代入することで、窒素原子密度 時間変化を与える関係が得られる。これに り、測定点以外での窒素原子密度を見積も ことができる。

 次に、この発明の実施の形態2に係る窒素原 子測定方法に基づいて実施した窒素原子密度 測定の一実験例を示す。
 毎分10リットル(10slm)の窒素ガスを大気圧近 放電ユニット3に供給する。大気圧近傍放電 ユニット3内では、電極間隔1mm、長さ120mmの一 対の電極に交流高電圧を印加し、大気圧下の 誘電体バリア放電によって窒素原子を発生さ せる。高電圧電源4からは、周波数4.5kHz、印 電圧約6.5kV 0-p の交流電圧を出力する。

 放電で発生した窒素原子含有ガスは、内径4 .35mmのステンレス管で下流に運ばれる。ポン 6と流量調節器2cを用いて、10slm全量の放電 流ガスを吸気し、測定部に引き込む。NOガス 混合点8a、8b、8cは、大気圧近傍放電ユニット 3の出口からそれぞれ40mm、100mm、160mm下流に位 置している。窒素で希釈された濃度1000ppmのNO ガスを、毎分100~300ccの流量で放電下流ガスに 添加する。NOとNO 2 の測定には、FTIRを用いている。
 供給NO濃度と、測定されたNOおよびNO 2 濃度を、それぞれ密度に換算し、式(6)により 各NOガス混合点8a、8b、8cにおける窒素原子密 を算出する。

 図5は、実験例での諸条件、及び実測データ である。
 NO及びNO 2 の実測濃度はそれぞれ10ppm、2ppm程度、窒素原 子密度は10 14 (cm -3 )程度であった。3箇所での測定から得られた 素原子減衰特性を図6に示す。縦軸に窒素原 子密度を、横軸にはNOガス混合点までの輸送 間tを示す。減衰の理論式との比較から、t=0 での窒素原子密度[N] 0 =4.1×10 14 (cm -3 )、再結合速度係数k r =9.2×10 -33 (cm 6 /s)と求まった。ここで、圧力を101.3kPa、ガス 度を323Kとすると、式(25)中の[M]=2.3×10 19 (cm -3 )である。これらの値を式(25)に代入すると、 素原子密度減衰の式として、式(26)が得られ る。

  [N]=1/(2.1×10 -13 t+2.4×10 -15 )   (26)

 式(26)より、例えばt=50msecでの窒素原子密度 7.8×10 13 (cm -3 )、t=100msecでの窒素原子密度は4.3×10 13 (cm -3 )と求まる。このように、複数箇所での窒素 子密度を測定し、[N] 0 とk r を求めれば、NOガス混合点以外の地点での窒 原子密度を見積もることができる。

 この発明の実施の形態2によれば、窒素原子 密度を複数箇所で測定し、輸送時間との関係 から窒素原子の減衰特性を取得し、これを基 にNOガス混合点以外の地点での窒素原子密度 見積もることができる。
 上述の窒素原子密度減衰特性には空間再結 のみを考慮し、表面再結合など、その他の 素原子消滅過程は含めていない。従って、 送管の材料や形状によっては、式(25)に補正 を施す必要がある。特に、細い管を輸送管と して用いると、表面再結合の影響が相対的に 大きくなる。
 なお、実施の形態2では、NOガス混合点を3箇 所としているが、2箇所以上であれば同様の 法を用いることができる。

 実施の形態3.
 図7は、この発明の実施の形態3に係るプラ マ処理装置の構成を示すブロック図である
 この発明の実施の形態3に係るプラズマ処理 装置は、この発明の実施の形態1に係る窒素 子測定装置の下流側に処理室14を配置したプ ラズマ処理装置である。
 そして、この発明の実施の形態1に係る窒素 原子測定装置には、窒素酸化物濃度計7から 定結果を収集し、測定結果に基づいて窒素 ス供給源1、流量調節器2a、高電圧電源4など 制御するシーケンサ13が備えられている。
 大気圧近傍放電ユニット3の出口から延びる 輸送管10の先端には処理室14が接続されてい 。そして、大気圧近傍放電ユニット3で生成 れた窒素原子含有ガスは、輸送管10を通過 て処理室14に導かれ処理に利用される。

 次に、この発明の実施の形態3に係るプラズ マ処理装置の動作を説明する。
 まず、実施の形態1に示した方法で、窒素酸 化物濃度計7でNOとNO 2 の濃度を測定する。シーケンサ13では、窒素 化物濃度計7で測定されたデータを受信し、 式(6)、必要に応じて式(22)も加味した演算を い、窒素原子密度を算出する。
 それから、シーケンサ13は、算出された窒 原子密度に基づいて、窒素ガス供給源1、流 調節器2a、高電圧電源4、図示しない圧力調 器や温度調節器を制御する。これにより、 気圧近傍放電ユニット3に供給される窒素ガ スの組成、窒素ガスの流量、放電電力、ガス 温度、圧力のいずれか、あるいは複数を調節 する。これにより、プロセスに適した窒素原 子密度、窒素原子フラックスに調節し、処理 室14に窒素原子含有ガスを供給する。

 この発明の実施の形態3に係るプラズマ処理 装置によれば、窒素原子密度をリアルタイム に測定し、測定結果に応じて放電条件を制御 することで、所望の窒素原子密度を維持した 状態で処理室14に窒素原子含有ガスを供給で る。
 また、処理に適した形で窒素原子密度や窒 原子フラックスを時間的に変化させ、高精 で制御されたプロセスが実現できる。

 窒素原子密度は時間と共に急速に減衰する め、大気圧近傍放電ユニット3の出口と処理 室14は、できるだけ近接させることが望まし 。前述の通り、大気圧近傍で輸送に1秒以上 要すると、窒素原子密度は少なくとも1×10 12 (cm -3 )程度まで減衰し、窒化膜形成やその他の処 を行なう際の効率が低下する。従って処理 14は、窒素原子含有ガスの輸送が1秒以内に 望ましくは0.1秒以内となる位置に設置する
 また、処理室14に高いフラックスで窒素原 を供給するには、ガス吸気点9から測定部に 気される流量をできるだけ少なくする必要 ある。
 一方、測定部に吸気される流量の下限値は NO及びNO 2 を測定するための必要流量で決まり、通常は 毎分1リットル程度である。

 なお、実施の形態3における演算及び制御手 段としてシーケンサ13を用いている。シーケ サ以外であっても式(6)に基づいた演算から 素原子密度が算出でき、求まった窒素原子 度に基づいて、前述の放電電力などの条件 制御できる手段であればよい。
 また、シーケンサ13に演算手段と制御手段 併せ持たせているが、これらを独立にして よい。

 1 窒素ガス供給源、2a、2b、2c 流量調節 、3 大気圧近傍放電ユニット、4 高電圧電 、5 ガス供給源、6 ポンプ、7 窒素酸化物 度計、8、8a、8b、8c ガス混合点、9 ガス吸 点、10 輸送管、11 測定ガス輸送管、12a、12b 、12c バルブ、13 シーケンサ、14 処理室。