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Title:
METHOD OF OPENING OR SPREADING WOVEN FABRIC, WOVEN FABRIC AND COMPOSITE MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/022609
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of opening or spreading a woven fabric, in which while leaving the fabric weaving process unchanged, the warp and weft yarns can be uniformly opened or spread through simple processing. There is provided a method of opening or spreading a woven fabric (4) produced by weaving weft yarns (3) and warp yarns (2) each obtained by bundling multiple fiber filaments (1). In the method, an abutting member (6) is disposed on the surface of the woven fabric (4) with a protective film (5) interposed therebetween. A relative displacement of the abutting member (6) to the woven fabric (4) is effected obliquely in the longitudinal direction of the warp yarns (2) or weft yarns (3) to thereby attain the opening or spreading of the warp yarns (2) or weft yarns (3).

Inventors:
HIRAI MASAAKI (JP)
MACHII AKIHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/064144
Publication Date:
February 19, 2009
Filing Date:
August 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
ARISAWA SEISAKUSHO KK (JP)
TOHO TENAX CO LTD (JP)
HIRAI MASAAKI (JP)
MACHII AKIHIKO (JP)
International Classes:
D06C11/00; D03D15/12; D06C29/00
Foreign References:
JP2004137623A2004-05-13
JPH08232135A1996-09-10
JP2003268669A2003-09-25
JP2001316971A2001-11-16
Other References:
See also references of EP 2175060A4
Attorney, Agent or Firm:
YOSHII, Takeshi et al. (Nagaoka-shi Niigata, 61, JP)
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Claims:
 複数の繊維フィラメントを収束した経糸と緯糸とを織成して成る織物を開繊する織物の開繊方法であって、前記織物の表面に保護フィルムを介して当接体を設け、この当接体を前記織物に対して前記経糸若しくは緯糸の長手方向斜めに相対移動させることで該経糸若しくは緯糸を開繊することを特徴とする織物の開繊方法。
 複数の繊維フィラメントを収束した経糸と緯糸とを織成して成る織物を開繊する織物の開繊方法であって、前記織物の表面に保護フィルムを介して当接体を設け、この当接体を回転させながら前記織物に対して相対移動させることで該経糸若しくは緯糸を開繊することを特徴とする織物の開繊方法。
 請求項2記載の織物の開繊方法において、前記回転は偏心回転であることを特徴とする織物の開繊方法。
 請求項3記載の織物の開繊方法において、前記当接体を前記織物に対して移動させることを特徴とする織物の開繊方法。
 請求項4記載の織物の開繊方法において、前記織物は搬送されているものであることを特徴とする織物の開繊方法。
 請求項5記載の織物の開繊方法において、前記当接体は振動せしめられていることを特徴とする織物の開繊方法。
 請求項6記載の織物の開繊方法において、前記当接体にして前記保護フィルムを介して前記織物の表面に当接する当接部には、凸湾曲条が環状に設けられた突起が設けられていることを特徴とする織物の開繊方法。
 請求項6記載の織物の開繊方法において、前記当接体にして前記保護フィルムを介して前記織物の表面に当接する当接部には、多数の棒状体が設けられていることを特徴とする織物の開繊方法。
 請求項6記載の織物の開繊方法において、前記繊維フィラメントは無機繊維フィラメントであることを特徴とする織物の開繊方法。
 請求項6記載の織物の開繊方法において、前記無機繊維フィラメントは炭素繊維フィラメントであることを特徴とする織物の開繊方法。
 請求項6記載の織物の開繊方法において、前記繊維フィラメントは有機繊維フィラメントであることを特徴とする織物の開繊方法。
 請求項1~11いずれか1項に記載の織物の開繊方法により開繊されたことを特徴とする織物。
 請求項12記載の織物において、カバーファクターが96%以上であることを特徴とする織物。
 請求項13記載の織物を基材とし、この基材に樹脂を含浸させて成ることを特徴とする複合材料。
Description:
織物の開繊方法,織物及び複合材 料

 本発明は、織物の開繊方法,織物及び複合 材料に関するものである。

 複数の炭素繊維フィラメントを集束剤で 束した炭素繊維フィラメントの束(以下、繊 維束または単に糸という。)を経糸及び緯糸 して織成して成る炭素繊維織物は、樹脂と 合化して複合材料とすることにより軽量且 高強度を発現することから、航空機材料分 で幅広く利用されている。また、近年、当 分野では、強度を維持しつつ更なる軽量化 要求がある。

 このような軽量化の要求を達成する方法 して、織物に使用される糸量(目付重量)を えて強度を発現させることが試みられてい 。

 しかしながら、単に目付重量を抑えるだ では、織物に隙間が生じ、複合材料にした 合、十分な強度が発現せず、物性にもばら きが生じる。

 そこで、上記問題を解決する方法として 織物を構成する経糸と緯糸を夫々開繊させ 方法がある。具体的には、例えば特許文献1 には、緯糸(織物の搬送方向に対して垂直に る糸)をエアジェット噴射により開繊させた 、搬送される補強繊維織物の表面に、この 物の搬送前後方向(経糸と平行な方向)に往 動するローラ体を押圧せしめて加圧するこ で経糸(織物の搬送方向に対して平行になる )を開繊させる方法が開示されている。また 、織物を水中に浸漬させ、音波等により開繊 させる方法も知られている。

特開2003-268669号公報

 しかしながら、上記特許文献1に開示され る方法では、緯糸がエアジェット噴射により 開繊されるため、繊維フィラメントの束が乱 れ、また、毛羽立ちやパサつきが生じ易い。 また、織物として見た場合、糸切れや目ズレ が発生し易くなり、ハンドリング性が低下す る。

 更に、経糸と緯糸の交点部分(他方の糸の 下に入る部分)は、ローラ体によっては直接 圧し難く、均一に開繊し難い。

 しかも、ローラ体に直接押圧される緯糸 繊維が基材の搬送方向下流側に溜まり易く この点においても均一に開繊された織物を ることができない。

 また、ローラ体を用いて開繊する場合、 ーラ体による押圧により緯糸が織物の搬送 向に向かって湾曲し易く、目曲がりが生じ くなる。

 従って、上記特許文献1に開示される方法 で開繊した織物は、経糸及び緯糸が均一に開 繊され難い。よって、この織物と樹脂からな る複合材料は、緯糸の配向が乱れているため 十分な強度発現が得られない。

 また、上記織物を水中に浸漬させ音波等 より開繊させる方法では、繊維束に付着し いる集束剤の水溶性成分が開繊時に脱落し 繊維束に毛羽立ちやパサつきが生じ易くな 、ハンドリング性が低下する。また、カッ リング剤の役目も果たす集束剤が脱落する とで、複合材料とした場合、基材である織 とマトリックス(樹脂)との間の接着力が低 する。

 本発明は、上述の問題点を解決したもの 、織物の製織工程をそのままにして簡易な 法で経糸及び緯糸を均一に開繊可能で、し も、ハンドリング性や樹脂との接着力が低 することもなく、この経糸及び緯糸が均一 開繊された扁平織物を用いて軽量で且つ高 度の複合材料をコスト安に実現可能な極め 実用性に秀れた織物の開繊方法、織物及び 合材料を提供するものである。

 添付図面を参照して本発明の要旨を説明 る。

 複数の繊維フィラメント1を収束した経糸 2と緯糸3とを織成して成る織物4を開繊する織 物の開繊方法であって、前記織物4の表面に 護フィルム5を介して当接体6を設け、この当 接体6を前記織物4に対して前記経糸2若しくは 緯糸3の長手方向斜めに相対移動させること 該経糸2若しくは緯糸3を開繊することを特徴 とする織物の開繊方法に係るものである。

 また、複数の繊維フィラメント1を収束し た経糸2と緯糸3とを織成して成る織物4を開繊 する織物の開繊方法であって、前記織物4の 面に保護フィルム5を介して当接体6を設け、 この当接体6を回転させながら前記織物4に対 て相対移動させることで該経糸2若しくは緯 糸3を開繊することを特徴とする織物の開繊 法に係るものである。

 また、請求項2記載の織物の開繊方法にお いて、前記回転は偏心回転であることを特徴 とする織物の開繊方法に係るものである。

 また、請求項3記載の織物の開繊方法にお いて、前記当接体6を前記織物4に対して移動 せることを特徴とする織物の開繊方法に係 ものである。

 また、請求項4記載の織物の開繊方法にお いて、前記織物4は搬送されているものであ ことを特徴とする織物の開繊方法に係るも である。

 また、請求項5記載の織物の開繊方法にお いて、前記当接体6は振動せしめられている とを特徴とする織物の開繊方法に係るもの ある。

 また、請求項6記載の織物の開繊方法にお いて、前記当接体6にして前記保護フィルム5 介して前記織物4の表面に当接する当接部に は、凸湾曲条が環状に設けられた突起8が設 られていることを特徴とする織物の開繊方 に係るものである。

 また、請求項6記載の織物の開繊方法にお いて、前記当接体6にして前記保護フィルム5 介して前記織物4の表面に当接する当接部に は、多数の棒状体10が設けられていることを 徴とする織物の開繊方法に係るものである

 また、請求項6記載の織物の開繊方法にお いて、前記繊維フィラメント1は無機繊維フ ラメント1であることを特徴とする織物の開 方法に係るものである。

 また、請求項6記載の織物の開繊方法にお いて、前記無機繊維フィラメント1は炭素繊 フィラメント1であることを特徴とする織物 開繊方法に係るものである。

 また、請求項6記載の織物の開繊方法にお いて、前記繊維フィラメント1は有機繊維フ ラメントであることを特徴とする織物の開 方法に係るものである。

 また、請求項1~11いずれか1項に記載の織 の開繊方法により開繊されたことを特徴と る織物に係るものである。

 また、請求項12記載の織物において、カ ーファクターが96%以上であることを特徴と る織物に係るものである。

 また、請求項13記載の織物を基材とし、 の基材に樹脂を含浸させて成ることを特徴 する複合材料に係るものである。

 本発明は上述のようにしたから、工程を 雑化させることなく簡易な方法で経糸及び 糸を均一に開繊可能で、しかも、ハンドリ グ性や樹脂との接着力が低下することもな 、この経糸及び緯糸が均一に開繊された扁 織物を用いて軽量で且つ高強度の複合材料 コスト安に実現可能な極めて実用性に秀れ 織物の開繊方法、織物及び複合材料となる

 好適と考える本発明の実施形態を、本発 の作用を示して簡単に説明する。

 保護フィルム5を介して織物4表面に当接 せた当接体6を、経糸2若しくは緯糸3の長手 向斜めに移動させることで、例えば特許文 1に開示されるように経糸若しくは緯糸の長 方向に対して平行する方向に移動させなが 加圧して単に押し潰して開繊するのではな 、経糸2若しくは緯糸3に該経糸2及び緯糸3を 構成する各繊維フィラメント1の束を押し広 る力を作用させながら押圧して経糸2若しく 緯糸3を開繊することができる。

 また、繊維フィラメント1の束を押し広げ るには押圧力を必要とするが、保護フィルム 5を介して当接体6を繊維フィラメント1の束に 押圧するから、経糸2及び緯糸3を傷め難いの 勿論、当接体6に織物4が拘束されないため それだけ開繊工程を抵抗なくスムーズに進 ることができる。

 また、繊維フィラメント1の束を押し広げ る力を作用させることで、直接押し広げるこ とができない経糸2と緯糸3との交点部分も該 点部分近傍が押し広げられることで連動し 押し広げることができ、良好に開繊するこ が可能となる。この点、上述したように特 文献1に開示される方法では、ローラ体が経 糸と平行方向に往復動するため、繊維フィラ メント1の束に対して斜め方向に押し広げる が作用せず、交点部分の開繊を十分に行う とができない。

 更に、当接体6を、経糸2若しくは緯糸3の 手方向斜めに移動させるため、いずれか一 に対して斜めになれば、他方に対しても当 斜めとなり(通常、経糸2と緯糸3とは直交す )、従って、経糸2及び緯糸3を同時的に均等 開繊することができ、経糸2及び緯糸3の開 度合いをより均一にすることができる。

 しかも、例えば、当接体6を織物4に対し 偏心回転運動させながら当接せしめたり、 接体6を織物4の搬送方向に対して斜め方向に 往復運動させたりすることで、当接体6を経 2若しくは緯糸3の長手方向斜めに移動させる ことは容易に行うことができ、また、偏心回 転運動や往復運動により繰り返し上記各繊維 フィラメント1の束を押し広げる力を作用さ ることで、より小さい押圧力で良好に開繊 行えることになる。特に、偏心回転運動に り上記各繊維フィラメント1の束を押し広げ 力を作用させる場合、より広範囲に均一に 記力を連続的に作用させることができ、極 て効率が良い。

 また、例えば当接体6を放射状(織物4の面 向)に細かく振動させながら織物4に対して 心回転運動させることで、振動により一層 好に開繊が行われ、極めて効率的に開繊を うことが可能となる。

 また、通常の織機で織成した織物4をその まま開繊することができるため、経糸・緯糸 をそれぞれ拡繊するなどの新たな設備を導入 する必要がなく、それだけコスト安となる。 更に、溶媒等に織物を浸漬させて開繊する方 法と異なり、集束剤が脱落することがなく、 よって、従来の織物と同等のハンドリング性 を有し、また、毛羽立ちもないものとなる。

 従って、本発明によれば、経糸及び緯糸 均一に開繊された扁平な織物を得ることが 能となり、また、目スキ(糸の隙間)が非常 少ない織物を得ることが可能となる。具体 には、例えば特開2005-290623号に開示される測 定装置によりカバーファクター(CF:織物の面 に対する糸の占める割合を測定した際、カ ーファクターが96%以上のものを得ることが 能となる。即ち、それだけ織物の表面平滑 が向上すると共に厚さが薄くなる。

 本発明の具体的な実施例(実施例1及び実 例2)について図面に基づいて説明する。

 実施例1は、複数の繊維フィラメント1を 束した経糸2と緯糸3とを織成して成る織物4 開繊する織物の開繊方法であって、前記織 4の表面に保護フィルム5を介して当接体6を け、この当接体6を前記織物4に対して前記経 糸2若しくは緯糸3の長手方向斜めに相対移動 せることで該経糸2及び緯糸3を開繊する方 である。

 尚、実施例1においては繊維フィラメント 1として炭素繊維フィラメント1が採用された 物4を開繊しているが、ガラス、アルミナな どからなる無機繊維フィラメントが採用され た織物4を開繊しても良いし、アラミド、ポ アリレートなどからなる有機繊維フィラメ トが採用された織物4を開繊しても良い。

 実施例1においては、図1,2に図示したよう な当接体6を用い、この当接体6を織物4に対し て偏心回転運動させることで、この当接体6 前記経糸2若しくは前記緯糸3の長手方向斜め (長さ方向に対して斜め方向)に移動せしめて 繊する。尚、本実施例においては、織物4の 上面に当接体6を当接せしめる構成としてい が、織物4の下面に当接せしめる構成として 良いし、織物4の上面側及び下面側に夫々当 接体6を配して上下両面に当接し得るように 成しても良い。特に、織物4の上面及び下面 おいて(同一部位に)当接体6を相対する方向 回転させながら当接せしめる場合には、一 効率的な開繊が可能となる。

 具体的には、当接体6は、搬送される織物 4の幅より幅広で、この織物4の表面と略水平 偏心回転運動し得るように構成されており この当接体6を適宜な押圧力で保護フィルム 5を介して織物4表面に押し付けながら偏心回 運動させることで、経糸2及び緯糸3を開繊 る。尚、織物4が開繊する原理と当接体6の偏 心回転運動の発生機構は後述する。

 この当接体6は、軸12とモータ本体13とか 成るモータ14の該軸12が挿通する挿通孔15を し前記モータ本体13と連結される金属製の上 側板体16に対し、複数の弾性体から成る支柱1 7を介して前記上側板体16に対して微動可能に 設けられる金属製の下側板体18と、この下側 体18の下面に設けられる弾性体から成るク ション材19とで構成されている。ここで、実 施例1における上側板体16,下側板体18及びキャ ップ体22はステンレス製であり、支柱17及び ッション材19はゴム製の弾性体である。

 クッション材19の下面にして樹脂製の保 フィルム5を介して織物4の表面に当接する当 接部には、凸湾曲条が環状に設けられた突起 8(キャップ体22)が多数設けられており、側面 において互いに織物4との当接部分がオーバ ーラップするようにジグザグ状に設けられて いる(尚、例えば3列以上設ける場合は千鳥状 設けても良い)。また、実施例1においては テンレス製のキャップ体22の底面を前記クッ ション材19に接着結合している。突起8の頂部 は半径1mm~半径3mm程度に設定するのが好まし 。従って、キャップ体22はクッション材19に してその一部若しくは全部が沈み込み可能 あり、織物4の表面の凹凸形状に柔軟に対応 できる。

 尚、半球状や柱状の突起等、他の構成を 用し、これらをクッション材19の下面に多 並設した構成としても良いが、上記突起8の 合、どのような方向に移動させても織物4と 一様に当接でき且つ柱状や半球状のものに比 し当接範囲が広いため、特に好適である。

 ここで突起8が織物4を開繊する原理を説 する。後述するように当接体6は、中心位置 ら離れた偏心位置に回転軸を有する後記円 体20が回転することで偏心回転運動する。 って、当接体6に設けられる各突起8も偏心回 転運動することになるが、この偏心回転運動 する突起8の軌跡は図3に図示したような円状 軌跡を描き、図3に示すように、突起8のR形 の頂部が織物4に当接し、経糸2及び緯糸3の 手方向斜めに運動する。これにより、経糸2 及び緯糸3を構成する炭素繊維フィラメント1 束が斜め方向に強く押し広げられる。また 経糸2及び緯糸3との交点部分は、突起8が該 点部分近傍の経糸2及び緯糸3を斜め方向に し広げるため、該交点部分(特に他方の糸の に入る部分)を連動して押し広げることが可 能となる。また、突起8は常に経糸2及び緯糸3 の長手方向斜めへの移動を続け、搬送される 織物4の幅方向全面に対して均一に当接する め、経糸2及び緯糸3の区別なく、均一な開繊 を行うことが可能となる。また、保護フィル ム5を介しているので炭素繊維フィラメント1 傷付けることなく、炭素フィラメント1の束 を押し広げることが可能となる。

 次に当接体6の偏心回転運動の発生機構に ついて説明する。当接体6の偏心回転運動は モータ14の軸12を、下側板体18とベアリング21 (ラジアルベアリング)を介して設けられる円 体20の中心位置から離れた偏心位置に連結 、軸12の回転によりこの円盤体20が偏心回転 動することにより発生する。

 具体的には、軸12の回転により円盤体20が 偏心回転運動すると、この円盤体20とベアリ グ21を介して設けられる下側板体18(及びク ション材19)が、図1に図示したような織物4の 搬送方向に対して直交状態のまま偏心回転運 動しようとするが、この下側板体18は弾性の る支柱17を介して上側板体16と連結されてい るため、支柱17による弾性体の復元力を受け がら放射状(織物4の面方向)に細かく振動し つ偏心回転運動することになる。尚、実施 1においてはクッション材19は1枚設けた構成 であるが、複数枚設けた構成としても良い。

 これにより、各炭素繊維フィラメント1の 軸方向に対して傾斜方向に突起8が押し付け れるだけでなく、この突起8の頂部が振動し つ擦り付けられることにより、各炭素繊維 ィラメント1同士を押し広げる作用が極めて 良好に発揮されることになる。

 尚、実施例1において、上側板体16は適宜 支持部材(図示省略)に設けられ、搬送され 織物4に対して固定状態に設けられており、 の上側板体16にはモータ本体13が固定状態に 設けられている。具体的には、上側板体16(及 び当接体6)が織物4の搬送方向に対して直交す る向きとなるように固定されている。

 また、実施例1においては、上側板体16及 モータ本体13(当接体6)は、織物4に対して固 状態に設けられているが、当接体6を偏心回 転運動させる際、この当接体6に同時に織物4 搬送方向に対して斜め方向に細かな往復運 を加えるように構成しても良い。この場合 当接体6は図4に図示したように楕円状の軌 を示す。この場合も実施例1と同様に経糸2及 び緯糸3の長手方向斜めに当接体6が移動し良 な開繊を行うことができる。

 ここで、実施例1で使用した突起8はステ レスであるが、弾性を有するクッション材19 及び支柱17の存在により、織物4表面にやや強 めに押し付けても、このクッション材19及び 柱17により押圧力が吸収される。従って、 起8のR形状の頂部を良好な開繊ができる程度 に十分強く擦り付けることができ、しかも織 物4に傷を付けにくい。

 上記構成の当接体6を用いて織物4を開繊す と、図5に図示したような状態(図1中、当接 6より織物4の搬送方向上流側の状態)から、 6に図示したように経糸2及び緯糸3を構成す 各繊維フィラメント1が偏ったりせず適度に らける。さらに、経糸2及び緯糸3との交点 分は、当接体6により該交点部分近傍の経糸2 及び緯糸3を斜め方向に押し広げるため、該 点部分(特に他方の糸の下に入る部分)を連動 して押し広げることが可能となる。これによ り、厚さがt 0 からt 1 に押圧されて開かれた扁平織物(図1中、当接 6より織物4の搬送方向下流側の状態)とする とができ、経糸2と緯糸3とで囲繞される空 が可及的に小さい例えばカバーファクター 96%以上の織物4を得られることになる。従っ 、織物4を搬送しながら上記当接体6を当接 しめることで、織物4全体を連続的に良好に 繊し得る。また、この織物4からなる複合材 料は、織物4にエポキシ樹脂等の樹脂が均一 含浸しているため、硬化成形後の複合材料 軽量且つ高強度となる。

 具体的には、この織物4を基材として樹脂 を含浸させて複合化した複合材料は樹脂が均 一に含浸しているため、曲げ強度・層間せん 断強度などが十分に発現する。即ち、織物に 樹脂を含浸させた場合、経糸若しくは緯糸( たはその双方)が存在する繊維部には、繊維 樹脂とが共に存在するため強固となるが、 糸と緯糸とで囲繞された空隙部には、繊維 存在せず樹脂のみが存在し、この空隙部は 維と樹脂とが共に存在する繊維部に比し脆 なる。従って、カバーファクターの小さい 物(目が粗い織物)に比しカバーファクター 大きい織物(目の詰まった織物若しくは開繊 た織物)では、脆い空隙部の割合が小さく、 強固な繊維部の割合が大きくなるため、曲げ 強度・層間せん断強度などが十分に発現する ことになる。

 また、経糸・緯糸の糸本数の密度を上げ 目の詰まった織物(開繊前のカバーファクタ ーが大きな織物)を得ることは可能であるが 経糸・緯糸の糸本数の密度を上げると、そ 断面方向における糸の屈曲度合いが大きく り、糸そのものの強度発現率が低下する。 は、断面方向に屈曲せず直線状に近い程、 度発現率が向上するからである。

 この点、本実施例によれば、適度なカバ ファクターを有する織物を開繊することに り、糸の屈曲度合いが小さく、糸の強度発 率の良好な複合材料を得ることが可能とな 。よって、本発明からなる織物を用いた複 材料は、航空機用材料等に適した極めて商 価値の高いものとなる。尚、糸本数の密度 は、所定の間隔の中にどの程度糸が存在す かを示す。

 また、図1に図示した当接体6と上側板体16 と支柱17との連結構造は概念的なものであり 具体的には、例えば図7に図示したように、 下側板体18の上面両端部に側面視コ字状の支 板体25を外向きに設け、この支持板体25の上 側水平板部25aと上側板体16の下面両端部との に支柱17に相当する弾性部材26を設けた連結 構造を採用することができる。この弾性部材 26は、ゴム製の本体27の上部及び下部に、螺 部28と鍔部29と尾部30とから成る連結体31の鍔 部29と尾部30が埋設された構成である。従っ 、弾性部材26の本体27の下部に埋設された連 体31の螺子部28を前記支持板体25の上側水平 部25aの螺子孔32に螺着し、本体27の上部に埋 設された連結体31の螺子部28を前記上側板体16 の両端部の螺子孔33に螺着することで、当接 6は上側板体16に弾性体を介して連結される とになる。尚、図中、符号34はナットであ 。

 この弾性部材26の存在により、織物4表面 やや強めに押し付けても、弾性部材26によ 余分な押圧力が吸収され、織物4に適度な押 力が加わる。従って、突起8のR形状の頂部 良好な開繊ができる程度に十分強く擦り付 ることができ、しかも織物4に傷を付けにく ことになる。

 尚、上述のように当接体6を偏心回転運動 させることで織物4を開繊する実施例1の他に 別の実施形態として、当接体6を織物4の搬 方向(長さ方向)に対して斜め方向に往復運動 させることで、この当接体6を経糸2若しくは 糸3の長手方向斜めに移動せしめるように構 成しても良い(実施例2)。

 具体的には、図8に図示したように織物4 搬送方向に対して直交状態に設けた2つの当 体6を、織物4の搬送方向に対して斜め方向 して互いに直交する方向に夫々往復運動さ ることで、当接体6を経糸2若しくは緯糸3の 手方向斜めに移動せしめる構成としている

 また、図9に図示した別例のように織物4 搬送方向に対して傾斜状態にして互いに直 する方向に設けた2つの当接体6を、織物4の 送方向に対して斜め方向にして互いに直交 る方向に夫々往復運動させることで、当接 6を経糸2若しくは緯糸3の長手方向斜めに移 せしめる構成としても良い。

 ここで、2つの当接体6を設け且つ夫々直 する方向に往復移動させるのは、可及的に 一に開繊を行うためである。この場合も、 施例1と同様に良好に開繊を行うことが可能 ある。

 また、実施例2においては経糸密度と緯糸 密度が1:1の場合を想定して、当接体6の織物4 対する往復運動方向(振動方向)を、織物4の 送方向に対して±45°に設定しているが、経 密度と緯糸密度の比に応じて適宜設定する 例えば、経糸密度が高く緯糸密度が低い場 には、往復運動方向は±30°に設定するのが ましい。

 また、図8,9の場合には、当接部に突起8を 設けるより、図10に図示したように弾性を有 る長さ10~20mm程度の微細な弾性を有する棒状 体10を板材23に多数立設したものや、図11に図 示したように長さ10~20mm程度の棒状体10を板材 23に多数立設したものや、図12に図示したよ に長さ10~20mm程度の棒状体10を軸24の周面に多 数立設したものを採用すると、満遍なく開繊 することができるため好ましい。

 具体的には、図10は微細な棒状体10自体の 先端を半径1mm~半径2mmのR形状とした例であり 図11及び図12は棒状体10の先端に半径1mm~半径 2mmの球状部を設けた例である。尚、図12の棒 体10自体の先端を半径1mm~半径2mmのR形状とし ても良い。この場合も織物4への押し付け力 を適宜設定することで、経糸2及び緯糸3を良 好に開繊することが可能である。棒状体10を 用する場合、上述のような偏心回転運動を せる必要はないため、図10及び図11の場合に は単に板材23に設ける構成とし、この板材23 所定の方向に往復直線移動させる移動機構 備えた構成とすれば良く、図12の場合には単 に軸24に設ける構成とし、この軸24を回転さ る回転機構を備えた構成とすれば良い。

 本実施例は上述のようにしたから、保護 ィルム5を介して織物4表面に当接させた当 体6を、経糸2及び緯糸3の長手方向斜めに移 させることで、経糸2及び緯糸3を構成する各 炭素繊維フィラメント1の束を押し広げる力 作用させながら押圧して経糸2及び緯糸3を開 繊することができ、より小さい押圧力で経糸 2及び緯糸3を開繊でき、それだけ経糸2及び緯 糸3を傷め難い。また、各炭素繊維フィラメ ト1の束を押し広げる力を作用させることで 直接押し広げることができない経糸2と緯糸 3との交点部分も該交点部分近傍が押し広げ れることで連動して押し広げることができ 良好に開繊することが可能となる。

 また、実施例1においては、当接体6を織 4に対して偏心回転運動させながら当接摺動 しめて上記繊維フィラメント1の束を押し広 げる力を作用させるから、より広範囲に均一 に前記押し広げる力を連続的に作用させるこ とができ、極めて効率が良い。更に、当接体 6を該当接体6の放射方向に細かく振動させな ら織物4に対して偏心回転運動させるから、 振動により一層良好に開繊が行われ、極めて 効率的に開繊を行うことが可能となる。

 また、通常の織機で織成した織物4をその まま開繊することができるため、新たな設備 を導入する必要がなく、それだけコスト安と なる。更に、溶媒等に織物を浸漬させて開繊 する方法と異なり、集束剤が脱落することが なく、よって、従来の織物と同等のハンドリ ング性を有し、また、毛羽立ちもないものと なる。

 従って、本実施例によれば、経糸及び緯 が均一に開繊された扁平な織物を得ること 可能となり、具体的には、目スキ(糸の隙間 )が非常に少ないものを得ることが可能とな 、この織物を基材として航空機材料分野で 求されるような十分な強度発現が可能な複 材料を得ることが可能となる。

 本実施例の効果を裏付ける実験例につい 説明する。

 図13に図示したように、フィラメント本 6000本・繊度400texの炭素繊維フィラメントの を経糸及び緯糸として織成した同一の織物 用い、開繊処理をしていない比較例1、超音 波による開繊処理を施した比較例2、上述の うに当接体を偏心回転運動させることによ 開繊処理を施した実施例1、上述のように当 体を±45°で往復直線運動させることにより 繊処理を施した実施例2の夫々について、カ バーファクターを測定し、また、毛羽の有無 及びハンドリング性の良し悪しを評価した。 また、各例の織物に一般的なエポキシ樹脂を 均一に含浸せしめて半硬化して成るプリプレ グを夫々8枚ずつ重ね、硬化成形した複合材 の曲げ強度及び層間せん断強度(ILSS)を測定 た。

 尚、カバーファクターの測定は、特開2005 -290623号に開示されるような、経糸と緯糸と 織成され繊維強化樹脂に使用される織物の 該経糸と緯糸とで囲繞された開口部の開口 (開口部の開口面積の総和/測定範囲全面積) 測定する開口率測定装置であって、発光部 該発光部の発光を受光する受光部とが繊維 化樹脂に使用される織物を挟んで対置され この発光部及び受光部は同期移動するよう 構成された測定装置(スキャナー)により行い 、毛羽立ちの有無は目視観察により評価し、 ハンドリング性はプリプレグの作製時におけ る加工性のし易さ、具体的には毛羽の除去の 頻度、目ズレの有無などにより評価した。

 また、曲げ試験及び層間せん断試験は、 14に図示したように、試料Aを支持体Cによる 支点間距離Lを所定値に設定した状態で圧子B より荷重Pを加えることで行った。

 具体的には、曲げ試験は、JIS K7074に準拠し た3点曲げにより行い、試料の厚さ:2±0.4mm、 :15±0.2mm、長さ:100±1mmとし、試験条件は、支 間距離:80±0.2mm、試験速度:1mm/minとし、曲げ 度は、(3*P*L)/(2*b*h 2 )から求めた。また、層間せん断試験は、JIS  K7078に準拠した3点曲げにより行い、試料の厚 さ:1.8~4.2mm、幅:10.0±0.2、全長:7×試料厚さとし 、試験条件は、支点間距離:5×試料厚さ、試 速度:1mm/min、層間せん断強度は(3/4)*P/(b*h)か 求めた。尚、P:荷重(N)、L:支点間距離(mm)、b: 料片幅(mm)、h:試料片厚さ(mm)である。

 比較例1と比較例2との比較から、超音波 繊によりカバーファクターが向上し、それ 伴い複合材料とした場合の曲げ強度及び層 せん断強度は若干向上するものの、毛羽立 が生じ、また、ハンドリング性も改善され いことが確認できた。なお、比較例1に比べ 較例2の層間せん断強度が若干高いのは、比 較例2の織物の扁平率が高いことに起因する 言い換えれば、カバーファクターが高いた 糸が扁平状になっており、これにより単位 積内に繊維が隙間無く配されることから、 脂の濡れ透過性が良好となり、樹脂が均一 含浸し、複合材料として強度が発現してい と考えられる。

 実施例1及び実施例2は、カバーファクタ を限界まで向上させることが可能でありな ら、比較例2のように毛羽立ちが生ぜず、加 てハンドリング性が改善されることが確認 き、しかも、複合材料とした場合の曲げ強 及び層間せん断強度の向上率も比較例2より 高くなることが確認できた。

実施例1の概略説明斜視図である。 実施例1に係る当接体の概略説明斜視図 である。 実施例1の突起の移動経路を示す概略説 明図である。 実施例1の別例の突起の移動経路を示す 概略説明図である。 開繊前の織物の概略説明断面図である 開繊後の織物の概略説明断面図である 実施例1の具体的な構成例を示す拡大説 明断面図である。 実施例2の概略説明平面図である。 実施例2の別例の概略説明平面図である 。 実施例2に係る当接体の当接部の概略 明側面図である。 実施例2に係る当接体の当接部の概略 明側面図である。 実施例2に係る当接体の当接部の概略 明斜視図である。 実験結果を示す表である。 曲げ試験及び層間せん断試験の概略説 明図である。