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Title:
METHOD FOR PLATING MANDREL BAR WITH Cr, MANDREL BAR, AND PROCESS FOR PRODUCING SEAMLESS PIPE USING THE METHOD AND THE MANDREL BAR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119401
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for plating a mandrel bar with Cr, comprising performing electroplating using a plating bath containing chromic acid: 100 to 250 g/L (liter), a sulfate radical: 3.0 to 5.5 g/L (liter), and a catalyst: 100 to 200% (weight ratio to chromic acid content) to form a Cr plating film having an increased film crack density on a surface of a mandrel bar base metal, whereby, in mandrel mill rolling, the separation of the Cr plating film can be suppressed to prolong the service life of the mandrel bar.

Inventors:
HIRASE NAOYA (JP)
KIMOTO MASAYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055272
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
March 18, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO METAL IND (JP)
HIRASE NAOYA (JP)
KIMOTO MASAYA (JP)
International Classes:
B21B25/00; C25D7/00
Domestic Patent References:
WO2004108311A12004-12-16
Foreign References:
JPH0871618A1996-03-19
JP2006307322A2006-11-09
JP2006188767A2006-07-20
JPH03205123A1991-09-06
JPH0871618A1996-03-19
JP2001001016A2001-01-09
Other References:
See also references of EP 2281642A4
Attorney, Agent or Firm:
MORI, MICHIO (JP)
Woods Michio (JP)
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Claims:
 マンネスマン製管法におけるマンドレルミル圧延に使用されるマンドレルバーのCrメッキ処理方法であって、
 Cr酸:100~250g/L(リットル)、硫酸根:3.0~5.5g/L(リットル)、および触媒:100~200%(Cr酸含有量に対する重量比)を含有するメッキ浴を用いて電気メッキを行い、マンドレルバー母材の表面にCrメッキ皮膜を形成させることを特徴とするマンドレルバーのCrメッキ処理方法。
 マンネスマン製管法におけるマンドレルミル圧延に使用されるマンドレルバーであって、
 Cr酸:100~250g/L(リットル)、硫酸根:3.0~5.5g/L(リットル)、および触媒:100~200%(Cr酸含有量に対する重量比)を含有するメッキ浴を用いて電気メッキを行うことにより、母材の表面にCrメッキ皮膜が形成されていることを特徴とするマンドレルバー。
 継目無管を製造する際に、穿孔圧延された中空素管を請求項2に記載のマンドレルバーを用いてマンドレルミル圧延することを特徴とする継目無管の製造方法。
Description:
マンドレルバーのCrメッキ処理 法、およびマンドレルバー、並びにこれら 用いる継目無管の製造方法

 本発明は、マンネスマン製管法における ンドレルミル圧延に使用されるマンドレル ーのCrメッキ処理方法、およびマンドレル ー、並びにこれらを用いる継目無管の製造 法に関する。

 熱間加工による継目無管の製造方法とし 、マンネスマン・マンドレルミル製管法が く採用されている。この製管法では、加熱 た丸鋼片(ビレット)を穿孔機で穿孔して厚 の中空素管(ホローシェル)にした後、その中 空素管に内面を拘束する圧延工具であるマン ドレルバーを挿入した状態で、その中空素管 を対向する孔型ロールで構成された複数のス タンドからなるマンドレルミルに通し、薄肉 の素管に圧延する。マンドレルミル圧延で得 られた素管は、必要に応じて再加熱された後 、ストレッチレデューサまたはサイザーによ って定径圧延され、その外径を最終製品径に 仕上げられる。

 一般に、マンドレルミル圧延に使用され マンドレルバーは、JIS規格で規定するSKD6や SKD61などの熱間工具鋼からなる丸棒鋼を素材 し、これに適宜の機械加工、焼き入れ処理 よび焼き戻し処理を施して製作している。 常、マンドレルバーの表面には、圧延中に 空素管の内面との接触により発生する摩擦 を低減するため、予め、固体潤滑剤を主成 とする潤滑皮膜を形成している。

 しかし、圧延中のマンドレルバーの表面 、多大な面圧と熱負荷に曝されることから 潤滑皮膜が形成されているとはいえ、安定 た潤滑状態を確保するのは容易でない。こ ため、マンドレルバーは、繰り返し使用さ るうちに、表面や母材に摩耗、焼き付き、 荒れおよび亀裂が発生し易く、繰り返し使 に耐えられずに工具寿命が短くなる。

 このような状況から、近年のマンドレル ル圧延においては、マンドレルバー母材にC rメッキ処理を施して、母材表面に硬質のCrメ ッキ皮膜を形成したマンドレルバー(以下、 Crメッキマンドレルバー」ともいう)が用い れる。Crメッキマンドレルバーは、耐摩耗性 に優れたCrメッキ皮膜によって保護されてい ため、マンドレルミル圧延における繰り返 使用でも優れた耐久性を発揮し、損傷し難 。

 しかし、Crメッキマンドレルバーは、使 条件によってはCrメッキ皮膜が剥離する場合 があり、この場合には、剥離部分で母材が露 出し損傷するため、繰り返し使用ができなく なる。このようなCrメッキ皮膜の剥離に伴う ンドレルバーの損傷を防止するため、マン レルバー寿命の改善を図る種々の提案がさ ている。

 例えば、特開平8-71618号公報には、母材表 面に平均厚みが1~100μmのCrメッキ皮膜を有す とともに、このCrメッキ皮膜の表面に厚みが 0.1~10μmのCrを主体とする酸化スケール層を有 るマンドレルバーが提案されている。同文 では、Crメッキ皮膜の厚みを規定すること より、皮膜自身の内部残留応力に伴う皮膜 剥離を抑えつつ、マンドレルバーの焼き付 を防止し、これに加え、Crメッキ皮膜上に酸 化スケールを形成してその厚みを規定するこ とにより、潤滑性を向上させるとともに、ス ケール形成時の加熱に伴うCrの相互拡散の作 でCrメッキ皮膜の密着力を向上させ、マン レルバーの寿命延長が図れるとしている。

 特開2001-1016号公報には、母材表面に厚み 60~200μmのCrメッキ皮膜を有するマンドレル ーが提案されている。同文献では、Crメッキ 皮膜の厚みを規定することにより、皮膜内部 の残留応力に伴う皮膜の剥離を抑制しつつ、 皮膜の摩耗に起因したマンドレルバーの焼き 付きを防止し、マンドレルバーの寿命延長が 図れるとしている。

 再公表WO2004/108311号公報には、母材表面に 形成されたCrメッキ皮膜について、軸方向お び円周方向の中心線平均粗さRaが1.0~5.0μmで り、かつ、軸方向および円周方向の最大深 Rvが10μm以上であるマンドレルバーが提案さ れている。同文献では、Crメッキ皮膜の表面 態を軸方向および円周方向の2方向で規定す ることにより、圧延中に皮膜表面に潤滑剤を 十分に残存させて、マンドレルバーの焼き付 き防止し、マンドレルバーの寿命延長が図れ るとしている。

 しかし、マンネスマン・マンドレルミル 管法における継目無管の製造コストのうち 、マンドレルバーに要する工具費用の占め 割合は高く、近年、継目無管の製造コスト 低減への要請から、マンドレルバーの工具 用の低減が強く求められる。特に、近年需 がますます高まっているCrを9重量%以上含有 する高合金鋼(例えば、13Cr鋼など)の継目無管 の製造では、変形抵抗の高い高合金鋼の中空 素管を圧延することからマンドレルバーの寿 命が短く、コスト低減の要請が著しい。この ため、上記文献のいずれでもCrメッキマンド ルバーの寿命延長が図られているが、さら る改善が要求されている。

 本発明は、上述したコスト低減の要請に 応するためになされたものであり、Crメッ 処理の条件を適正化することにより、マン レルミル圧延の際にCrメッキ皮膜の剥離を抑 制して長寿命化を実現できるCrメッキマンド ルバーのCrメッキ処理方法、およびマンド ルバー、並びに継目無管の製造方法を提供 ることを目的としている。

 本発明者らは、上記目的を達成するため Crメッキマンドレルバーの繰り返し使用に って母材の損傷を引き起こすCrメッキ皮膜の 剥離に関し、Crメッキ皮膜を形成した段階で の皮膜に存在する多数の亀裂(以下、「皮膜 クラック」という)に着目した。皮膜クラッ は、マンドレルバーの繰り返し使用に伴い マンドレルバーの母材表面に達する場合が る。この場合、マンドレルミル圧延時に皮 クラックを通じてマンドレルバー母材に達 た潤滑剤や水が母材を腐食させ、この腐食 より、Crメッキ皮膜と母材との界面の密着力 が低下し、Crメッキ皮膜が剥離すると考えた これを裏付けるため、Crメッキ皮膜の剥離 及ぼす皮膜クラックの影響を調査する基礎 験を行った。

 この基礎試験では、熱間工具鋼からなる板 の素材をマンドレルバー母材と想定し、こ に、Cr酸、硫酸根(H 2 SO 4 )、および触媒の濃度を種々変更したメッキ を用いて電気メッキによるCrメッキ処理を施 し、これによりCrメッキ皮膜を形成したもの 試験片とした。まず、各試験片について、C rメッキ皮膜の表面をミクロ観察し、皮膜ク ックの密度(本数/cm)を調査した。

 図1は、皮膜クラック密度の算出方法を説 明するための模式図である。同図に示すよう に、Crメッキ皮膜の表面ミクロ観察組織上で 意に直線を引き、この直線の長さXの範囲内 で直線と皮膜クラックとの交差点の数をカウ ントする。同図では、長さXの範囲内で直線 皮膜クラックとがP1、P2、・・・P7の7点で交 する状況を例示している。そして、カウン した交差点の数を直線1cmあたりの数に換算 、これを皮膜クラック密度とする。すなわ 、皮膜クラック密度とは、Crメッキ皮膜の 面ミクロ観察組織上に任意に直線を引いた き、その直線1cmあたりに交差する皮膜クラ クの本数を表すものである。

 図2は、Crメッキ皮膜の表面ミクロ観察組 の一例を示す図である。同図に示すCrメッ 皮膜では、不規則な網目状の皮膜クラック 表われ、その皮膜クラック密度は、756(本数/ cm)程度である。

 次に、各試験片について、塩水噴霧試験 行い、Crメッキ皮膜の剥離度合いの指標と て赤錆の発生面積率(%)を調査した。赤錆発 面積率とは、Crメッキ皮膜の全面積に対して 赤錆が発生した面積の占める比率を表すもの であり、これが大きいほど、母材の腐食範囲 が広いことを示す。

 図3は、塩水噴霧試験における皮膜クラッ ク密度と赤錆発生面積率との相関を示す図で ある。同図に示すように、皮膜クラック密度 の増加に伴って、赤錆発生面積率が減少する こと明らかとなった。すなわち、皮膜クラッ ク密度が増加するほど、皮膜クラックの数は 増加するが、その深さは浅く、母材にまで達 した皮膜クラックが少なくなると推察できる 。また、Crメッキ皮膜の皮膜クラック密度の 加に伴って皮膜クラックの数が増加した場 、マンドレルミル圧延時の繰り返し使用に ってCrメッキ皮膜が受ける負荷は、多数の 膜クラックに分散して軽減されることから 皮膜クラックの進展が抑制されると推察で る。

 一方、皮膜クラック密度が少ない場合は マンドレルバー母材にまで達する深い皮膜 ラックが増加するとともに、皮膜クラック 数が減少することから、マンドレルミル圧 時に、皮膜クラックに負荷が集中して皮膜 ラックが進展すると推察できる。

 これらのことから、Crメッキ皮膜の皮膜 ラック密度を増加させることにより、浅い 膜クラックを形成するとともに、マンドレ バーの繰り返し使用に伴う皮膜クラックの 展を抑制することが可能になり、皮膜クラ クを通じた潤滑剤や水によるマンドレルバ 母材の腐食を抑制できることを見い出した そして、マンドレルバーの繰り返し使用に う母材の腐食が抑制されることから、Crメッ キ皮膜の密着力の低下を防止でき、Crメッキ 膜の剥離の抑制が可能になり、マンドレル ーの長寿命化を実現できることを知見した

 次に、Crメッキ皮膜を十分に形成でき、 かもCrメッキ皮膜の皮膜クラック密度を増加 させることができる条件を明らかにするため 、各試験片を作製する際に用いたメッキ浴ご とに、皮膜クラック密度およびCrメッキ処理 の電流効率を評価した。その結果を下記の 1に示す。

 皮膜クラック密度の評価は、3レベルに区 分して行い、同表中、従来よりも1.2倍以上高 いものを優レベルとして「○」、従来と同程 度かそれ以下のものを劣レベルとして「×」 および両者の間のものを良レベルとして「 」で示した。また、電流効率の評価は、同 く3レベルに区分して行い、同表中、通常採 用されるものと同程度かそれ以上のものを優 レベルとして「○」、Crメッキ皮膜の形成量( 実際の析出量)が不十分となる低いものを劣 ベルとして「×」、および両者の間のものを 良レベルとして「△」で示した。

 表1から、Cr酸の濃度が100~250g/L(リットル) 範囲内であり、且つ硫酸根の濃度が3.0~5.5g/L (リットル)の範囲内であり、さらに触媒の濃 が100~200%(Cr酸含有量に対する重量比)の範囲 であるメッキ浴を用いた場合、皮膜クラッ 密度および電流効率がともに優れ、その上 らに、触媒濃度が120~150%の範囲内であれば 皮膜クラック密度および電流効率が一層優 ることが明らかになった。これにより、Crメ ッキ皮膜が十分に形成された状態で、Crメッ 皮膜の皮膜クラック密度を増加させるには Crメッキ処理時に用いるメッキ浴の組成を 正に調整するのが有効であることを知見し 。

 本発明は、このような知見に基づいて完 されたものであり、下記(1)のマンドレルバ のCrメッキ処理方法、下記(2)のマンドレル ー、および下記(3)の継目無管の製造方法を 旨としている。

 (1)マンネスマン製管法におけるマンドレ ミル圧延に使用されるマンドレルバーのCr ッキ処理方法であって、Cr酸:100~250g/L(リット ル)、硫酸根:3.0~5.5g/L(リットル)、および触媒: 100~200%(Cr酸含有量に対する重量比)を含有する メッキ浴を用いて電気メッキを行い、マンド レルバー母材の表面にCrメッキ皮膜を形成さ ることを特徴とするマンドレルバーのCrメ キ処理方法である。

 (2)マンネスマン製管法におけるマンドレ ミル圧延に使用されるマンドレルバーであ て、Cr酸:100~250g/L(リットル)、硫酸根:3.0~5.5g/ L(リットル)、および触媒:100~200%(Cr酸含有量に 対する重量比)を含有するメッキ浴を用いて 気メッキを行うことにより、母材の表面にCr メッキ皮膜が形成されていることを特徴とす るマンドレルバーである。

 (3)継目無管を製造する際に、穿孔圧延さ た中空素管を上記(2)のマンドレルバーを用 てマンドレルミル圧延することを特徴とす 継目無管の製造方法である。この製造方法 、Crを9重量%以上含有する高合金鋼の継目無 管の製造に特に有効である。

 ここでいうCr酸は無水酸化クロム(CrO 3 )を意味し、硫酸根は硫酸イオン(SO 4 2- )を意味する。触媒とは、触媒としての硫酸 とは異なる補助添加剤のことを意味し、こ 触媒には、従来からCrメッキ処理に慣用され るものでよく、例えば、酢酸や蟻酸やスルホ ン酸などの有機酸を採用することができる。

 本発明によれば、Cr酸、硫酸根、および 媒の濃度を規定したメッキ浴を用いて、マ ドレルバー母材にCrメッキ処理を施すことに より、皮膜クラック密度を増加させたCrメッ 皮膜を形成することができる。このCrメッ マンドレルバーは、Crメッキ皮膜の皮膜クラ ック密度が増加しているため、浅い皮膜クラ ックを形成できるとともに、マンドレルミル 圧延での繰り返し使用に伴う皮膜クラックの 進展を抑制でき、皮膜クラックを通じた潤滑 剤や水による母材の腐食およびCrメッキ皮膜 剥離を抑制することが可能になり、マンド ルバーの長寿命化を実現することができる

 図1は、皮膜クラック密度の算出方法を説明 するための模式図である。
 図2は、Crメッキ皮膜の表面ミクロ観察組織 一例を示す図である。
 図3は、塩水噴霧試験における皮膜クラック 密度と赤錆発生面積率との相関を示す図であ る。
 図4は、実施例1の本発明例と比較例のマン レルバーにおけるマンドレルミル圧延での 命、および皮膜クラック密度の関係を示す である。
 図5は、実施例2の本発明例と比較例のマン レルバーにおけるマンドレルミル圧延での 命、および皮膜クラック密度の関係を示す である。

 上述の通り、本発明では、マンドレルバ のCrメッキ処理の際、Cr酸:100~250g/L、硫酸根: 3.0~5.5g/L、および触媒:100~200%(Cr酸含有量に対 る重量比)を含有するメッキ浴を用いて電気 ッキを行うこととしている。

 このように、マンドレルバー母材の表面 Crメッキ皮膜を形成させる際に用いるメッ 浴において、Cr酸、硫酸根、および触媒の濃 度を規定する理由を以下に説明する。

 前記表1に示すように、Cr酸濃度が250g/Lを える場合、硫酸根濃度が3.0g/L未満である場 、および触媒濃度が100%未満である場合は、 皮膜クラック密度が従来と同程度かそれ以下 に低下する。この場合、皮膜クラック密度の 低下に伴って、マンドレルバー母材にまで達 する皮膜クラックが増加するとともに、皮膜 クラックの数が減少することから、マンドレ ルミル圧延時には、皮膜クラックに負荷が集 中して皮膜クラックが進展する。このため、 潤滑剤や水による母材の腐食を抑制すること ができず、Crメッキ皮膜の剥離が生じてマン レルバーの寿命を延長できない。

 一方、Cr酸濃度が100g/L未満である場合、 酸根濃度が5.5g/Lを超える場合、および触媒 度が200%を超える場合は、Crメッキ処理時の 流効率が低下し、Crメッキ皮膜の形成量が不 十分となる。

 したがって、本発明では、メッキ浴中のC r酸濃度を100~250g/Lの範囲内と規定し、且つ硫 根濃度を3.0~5.5g/Lの範囲内と規定し、さらに 触媒濃度を100~200%の範囲内と規定する。より ましくは、メッキ浴中の触媒濃度を120~150% 範囲内とする。

 本発明では、Cr酸、硫酸根、および触媒 濃度を規定したメッキ浴を用いて、マンド ルバー母材に電気メッキによるCrメッキ処理 を施すことにより、母材表面にCrメッキ皮膜 十分に形成させることができ、皮膜クラッ 密度を増加させたCrメッキ皮膜を有するマ ドレルバーとなる。このCrメッキマンドレル バーは、Crメッキ皮膜の皮膜クラック密度が 加していることから、浅い皮膜クラックを 成できるとともに、マンドレルミル圧延で 繰り返し使用に伴う皮膜クラックの進展を 制でき、皮膜クラックを通じた潤滑剤や水 よる母材の腐食を抑制することが可能にな 。その結果、Crメッキ皮膜の剥離を抑制す ことが可能になり、マンドレルバーの長寿 化を実現することができる。

 このとき、Crメッキ皮膜の皮膜クラック 度は、同じ組成のメッキ浴を用いたCrメッキ 処理であっても、マンドレルバーのサイズ径 により変動するが、上述した通り、Cr酸、硫 根、および触媒の濃度を規定したメッキ浴 用いることによって増加させることができ 。したがって、本発明は、あらゆるサイズ のマンドレルバーに適用することができる

 また、上記本発明のマンドレルバーは、1 3Cr鋼など、Crを9重量%以上含有する高合金鋼 継目無管を製造する際のマンドレルミル圧 に使用した場合にも長寿命を達成すること でき、製品管の内面性状が向上するほか、 造コストの低減が図れる。このような本発 のマンドレルバーの効果は、普通鋼の継目 管の製造で発揮されることは言うまでもな 。

 本発明による効果を確認するため、下記 実機試験を行った。

 (実施例1)
 JISに規定されるSKD61からなるマンドレルバ 母材を準備し、電気メッキ設備を用いて母 にCrメッキ処理を施し、母材表面にCrメッキ 膜を形成した。その際、本発明例として、5 本のマンドレルバーに本発明で規定する濃度 範囲内のメッキ浴を用いてCrメッキ処理を行 、比較例として、5本のマンドレルバーに本 発明で規定する濃度範囲を外れるメッキ浴を 用いてCrメッキ処理を行った。その際の電流 度は、40A/dm 2 とした。

 これらの本発明例および比較例のCrメッ マンドレルバーを使用し、実施例1の被圧延 として13Cr鋼の中空素管をマンドレルミル圧 延した。そして、各マンドレルバーについて 、寿命に達するまでのパス数(圧延本数)を調 した。その寿命の判断は、Crメッキ皮膜の 離に伴って焼き付きが発生したか否かに基 いて行った。また、マンドレルミル圧延に 立って、各マンドレルバーについて、Crメッ キ皮膜の皮膜クラック密度を調査した。

 図4は、実施例1の本発明例と比較例のマ ドレルバーにおけるマンドレルミル圧延で 寿命、および皮膜クラック密度の関係を示 図である。同図中、マンドレルバーの寿命( ス数)は、本発明例および比較例ともに、得 られた結果の平均値を示している。また、皮 膜クラック密度は、本発明例および比較例と もに、得られた結果の平均値を示し、比較例 を基準(1.0)とした比率で示している。

 同図に示すように、実施例1の試験におい ては、本発明例のマンドレルバーは、比較例 のマンドレルバーと比べて、皮膜クラック密 度が1.3倍以上となり、寿命を2倍以上延長す ことができた。

 (実施例2)
 上記実施例1と同様の条件で本発明例および 比較例のCrメッキマンドレルバーを5ずつ作製 し、これらのマンドレルバーを使用し、実施 例2の被圧延材として炭素鋼(0.18%C)の中空素管 をマンドレルミル圧延した。そして、実施例 1と同様に、各マンドレルバーの寿命および 膜クラック密度を調査した。

 図5は、実施例2の本発明例と比較例のマ ドレルバーにおけるマンドレルミル圧延で 寿命、および皮膜クラック密度の関係を示 図である。同図に示すように、実施例2の試 においては、本発明例のマンドレルバーは 比較例のマンドレルバーと比べて、皮膜ク ック密度が1.3倍以上となり、寿命を2倍以上 延長することができた。

 本発明によれば、Cr酸、硫酸根、および 媒の濃度を規定したメッキ浴を用いて、マ ドレルバー母材に電気メッキによるCrメッキ 処理を施すことにより、皮膜クラック密度を 増加させたCrメッキ皮膜を形成させることが きる。このCrメッキマンドレルバーは、Crメ ッキ皮膜の皮膜クラック密度が増加している ため、マンドレルミル圧延で繰り返し使用さ れても、潤滑剤や水による母材の腐食を抑制 でき、Crメッキ皮膜の剥離を抑制することが 能になることから、マンドレルバーの長寿 化を実現することができる。