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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF PRETREATING POROUS FILTRATION MEMBRANE AND METHOD OF WATER FILTRATION WITH PRETREATED POROUS FILTRATION MEMBRANE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/113521
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of water filtration, characterized in that pretreated water containing coagulated particles formed by the mixing of a coagulant is passed through a porous filtration membrane comprising a synthetic resin and, during the passing, a pretreatment which is physical washing comprising back washing with treated water or/and washing by aeration is conducted at least once, before the water to be treated is passed and filtered. As a result, water pressure can be inhibited from increasing with time in the water filtration which is accompanied by physical washing and in which a porous synthetic-resin filtration membrane is used.

Inventors:
KONDO NOBUYUKI
OOHASHI TAKASHI
Application Number:
PCT/JP2009/054515
Publication Date:
September 17, 2009
Filing Date:
March 10, 2009
Export Citation:
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Assignee:
KUREHA CORP (JP)
KONDO NOBUYUKI
OOHASHI TAKASHI
International Classes:
B01D65/00; B01D65/02; B01D69/08; B01D69/14; B01D71/34; C02F1/44; C02F1/52
Foreign References:
JP2006255587A2006-09-28
JP2006239609A2006-09-14
JP2001327967A2001-11-27
JP2004130197A2004-04-30
Attorney, Agent or Firm:
ENDO, Yukio et al. (JP)
Akio Saruwatari (JP)
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Claims:
合成樹脂からなる多孔質ろ過膜に凝集剤の混入による凝集粒子を含む前処理水を通水し、その途中少なくとも1回、処理水による逆洗または/および空気洗浄からなる物理洗浄を行うことを特徴とするろ過膜の前処理方法。
合成樹脂がフッ化ビニリデン系樹脂からなる請求項1に記載のろ過膜の前処理方法。
多孔質ろ過膜が中空糸形状を有する請求項1または2に記載のろ過膜の前処理方法。
前処理水の濁度が0.1以上である請求項1~3のいずれかに記載の前処理方法。
多孔質ろ過膜の平均孔径が0.05~0.5μmである請求項1~4のいずれかに記載の前処理方法。
請求項1~5のいずれかの方法により形成された凝集粒子の薄層を有するろ過膜。
合成樹脂からなる多孔質ろ過膜に凝集剤の混入による凝集粒子を含む前処理水を通水し、その途中少なくとも1回、処理水による逆洗または/および空気洗浄からなる物理洗浄を行う前処理を行った後、被処理水の通水・ろ過を行うことを特徴とするろ水処理方法。
合成樹脂がフッ化ビニリデン系樹脂からなる請求項7に記載のろ水処理方法。
多孔質ろ過膜が中空糸形状を有する請求項7または8に記載のろ水処理方法。
前処理中に処理水による逆洗に加えて、空気洗浄処理を行う請求項7~9のいずれかに記載のろ水処理方法。
凝集剤の混入による凝集粒子を含む水が、被処理水中に凝集剤を混入して得られたものである請求項7~10のいずれかに記載のろ水処理方法。
被処理水の通水・ろ過に際して、処理水による逆洗および/または空気洗浄処理を行う請求項7~11のいずれかに記載のろ水処理方法。
前処理水が自然表流水からなる被処理水に凝集粒子を加えて得られたものである請求項7~12のいずれかに記載のろ水処理方法。
前処理水が自然表流水に凝集粒子を加えて得られたものであり、被処理水が前処理水よりも大なる濁度を有する請求項7~12のいずれかに記載のろ水処理方法。
Description:
多孔質ろ過膜の前処理方法およ 前処理された多孔質ろ過膜を用いるろ水処 方法

 本発明は、上下水等の除菌、汚濁浄化等 用いられる合成樹脂製多孔質ろ過膜の前処 方法ならびにかくして前処理された多孔質 過膜を用いるろ水処理方法に関する。

 限りある水資源と増大する水需要に鑑み 水資源の有効利用のために、従来から行わ ている沈澱、浮上分離、砂ろ過等に加えて 所望の大きさの汚濁源微粒子あるいは細菌 確実な除去の可能な合成樹脂製の多孔質ろ 膜を用いる膜ろ過法に対する需要も増大し いる。

 しかしながら、膜ろ過法の問題点として その運転継続に伴なう原水中の懸濁物質お び有機物質等による膜の目詰まり(ファウリ ング)に伴なうろ水圧の増大が避けられず、 の為、定期的な物理洗浄(逆洗および空気洗 (エアスクラビングまたはエアバブリングと もいう))およびより長期間単位での薬液洗浄 よる膜の浄化処理が必要であるという問題 ある。特に浄水に使用される多孔質ろ過膜 構成する合成樹脂は、一般に疎水性であり 物理洗浄による膜の浄化効果が思うように られず、薬液洗浄頻度が増大するという問 がある。

 これに対し、ろ過膜にファウリングの起 難い表面状態を形成するために、予め酸化 等のろ過助剤をプリコートする方法(特許文 献1)、ポリ塩化アルミニウム等で凝集させた イソウ土等のろ過助剤をプリコートする方 (特許文献2)、粉末活性炭等の無機微粒子を リコートしてろ過運転を行い、液透過量の 下時に逆洗または空気洗浄を行ってろ過膜 ら無機微粒子を剥離させて系外に抜き出す のろ過方法(特許文献3)、ろ過助剤として逆 排水に必要に応じて凝集剤を加えて得た凝 粒子をプリコートする方法(特許文献4)、が 案されている。

 しかしながら、これら従来方法は、通常の 水処理において必要とされる、逆洗あるい 空気洗浄等の物理洗浄を考慮すると必ずし 有効とは云えない。すなわち、特許文献1、 2および4の方法では、プリコートされたろ過 剤が物理洗浄によって除去される可能性が であり、効果の持続性が低下しがちである また特許文献3の方法では、プリコートした ろ過助剤の回収・再利用が予定されているが 、回収・再利用の操作および装置系が複雑化 する難点がある。

特開平1-180205号公報

特開昭61-38611号公報

特開平4-114722号公報

特開2005-118608号公報。

発明の開示
 上述の事情に鑑み、本発明の主要な目的は 合成樹脂製の多孔質ろ過膜を使用する物理 浄を伴なうろ水処理に際して経時的なろ水 の増大を抑制するための簡単且つ有効な前 理方法およびこのようにして前処理された 孔質ろ過膜を用いるろ水処理方法を提供す ことにある。

 本発明のろ過膜の前処理は、上述の目的 達成するために開発されたものであり、よ 詳しくは、合成樹脂からなる多孔質ろ過膜 凝集剤の混入による凝集粒子を含む水を通 し、その途中少なくとも1回の処理水による 逆洗または/および空気洗浄からなる物理洗 を行うことを特徴とするものである。

 本発明は上記前処理方法の適用により得 れた凝集粒子の薄層を有するろ過膜をも提 するものである。更に、本発明のろ水処理 法は、合成樹脂からなる多孔質ろ過膜に凝 剤の混入による凝集粒子を含む水を通水し その途中少なくとも1回処理水による逆洗ま たは/および空気洗浄からなる物理洗浄を行 前処理を行った後、被処理水の通水・ろ過 行うことを特徴とするものである。

 本発明者らが、上述の目的で本発明に到 した経緯について若干付言する。本発明者 が有機汚濁物質を含む被処理水のろ水処理 繰り返し行い、ろ水処理の継続に伴なう多 質ろ過膜の通水抵抗の増大の原因となる汚 粒子の多孔膜表面への付着・堆積により形 される堆積粒子層(ケーク層)のSEM(走査型電 顕微鏡)観察と、通水抵抗の測定を繰り返し 行ったところ、ケーク層には比較的緩いフロ ック状で通水抵抗の増大を起しにくいものと 、圧密化されたケーク状で通水抵抗を顕著に 増大させるものがあることが見出された。ま た物理洗浄に際し、フロック状堆積粒子層は 、除去され易く、ろ水処理の継続に伴なう通 水抵抗の増大を起しにくいが、圧密ケーク状 堆積粒子層は物理洗浄によっても除去され難 い底層を残し易いものと考えられ、物理洗浄 を伴なうろ水処理の継続において、比較的速 やかな通水抵抗の増大を招く。従って、ろ水 処理に先立って多孔質ろ過膜にフロック状堆 積粒子層を形成し易くする前処理を行えば、 ろ水処理の継続に伴なう通水抵抗の増大を緩 和し得るとの着想の下に、各種の多孔質ろ過 膜の前処理方法について検討した結果、凝集 剤を添加した被処理水の通水処理による凝集 粒子層の形成が適当であることが見出された 。このようにして形成された凝集粒子層は、 上記特許文献4において、逆洗水に凝集剤を 加して通水して形成した場合に形成される 集粒子層と同様なものと解される。しかし がら、上述のようにして前処理された凝集 子層を有する多孔質ろ過膜は、物理洗浄を なうろ水処理の継続における通水抵抗の増 防止効果が乏しい。

 これに対し、本発明者らは更に検討した 果、上記した凝集剤を添加した被処理水の 水による多孔質ろ過膜の前処理の途中で、 なくとも1回、処理水による逆洗または/お び空気洗浄からなる物理洗浄工程を加える とが、物理洗浄を伴なうろ水処理継続中の 水抵抗増大の抑制に有効であることを見出 、上述した本発明のろ過膜の前処理方法お びろ水処理方法に到達したものである。

 本発明法において、凝集剤を添加した被 理水の通水による前処理中における、物理 浄工程が有効である(後記実施例3および4と 較例4の結果を示す図6を参照)理由について 、必ずしも明らかでないが、本発明者らは 現在図1(a)~(c)で示すようなメカニズムを考 ている。すなわち、凝集剤を添加した被処 水の連続的な1回の通水により形成される凝 粒子層は図1(a)で示すような多孔膜の表層に ブリッジ状に形成されがちであり、物理洗浄 を伴なうろ水処理継続に際して、その多くが 図1(b)に示すように除かれがちである。これ 対し、前処理中に少なくとも1回物理洗浄工 を置くことにより、細孔入口に付着したも を除く表層に形成された凝集粒子層は図1(b) に示すように、除去されたとしても引き続く 凝集粒子を含む通水により図1(c)に示される うに細孔入口を含むより大なる割合の表面 凝集粒子が再度効果的に付着して、物理洗 を伴なうろ水処理の継続に際しても除去さ ない、その上へのフロック状堆積粒子層の 成に資する安定的な前処理下地層として作 する。

本発明の前処理方法により多孔質ろ過 表面への凝集粒子薄層形成の推定メカニズ を示す膜厚さ方向模式断面図。 本発明のろ過膜の前処理方法およびろ 処理方法を実施するために適した装置系の 例を示す模式配置図。 実施例1および比較例1のろ過膜を用い ろ水処理中の膜間差圧の経時変化を示すプ ット。 実施例2および比較例2のろ過膜を用い ろ水処理中の膜間差圧の経時変化を示すプ ット。 実施例3、比較例3および4のろ過膜を用 たろ水処理中の膜間差圧の経時変化を示す ロット。 実施例3、4および比較例3のろ過膜を用 たろ水処理中の膜間差圧の経時変化を示す ロット。 本発明のろ過膜の前処理方法およびろ 処理方法を実施するために適した装置系の の一例を示す模式配置図。 実施例5および比較例5のろ過膜を用い 吸引ろ水処理中の膜間差圧の経時変化を示 プロット。

 以下、本発明によるろ過膜の前処理方法 よびろ水処理方法をその好ましい態様につ て、より詳細に説明する。

 (多孔質ろ過膜)
 本発明で抑制を意図するろ水処理の継続に なうろ水圧の増大は、程度の差こそあれ一 に疎水性である合成樹脂製の多孔質ろ過膜 被処理水に含まれる有機汚濁粒子が付着し 目詰まりを起すことにより起るものである 従って本発明法は、エレチン系樹脂、フッ ビニリデン系樹脂、エーテルスルホン系樹 、等広汎な合成樹脂製の多孔質ろ過膜に適 可能であるが、なかでも疎水性の強いエチ ン樹脂、フッ化ビニリデン系樹脂等が好ま く、特に耐候性、耐薬品性、耐熱性、強度 も優れるフッ化ビニリデン系樹脂(すなわち フッ化ビニリデンの単独重合体またはフッ化 ビニリデンを70モル%以上含む共重合体)が好 しく用いられる。

 これら多孔質ろ過膜の形成方法自体は、 れぞれの樹脂について数多く知られており それらの方法によれば良いが、なかでも空 率および微細孔径の増大のために延伸過程 含む延伸多孔膜が強伸度の改善および前処 凝集粒子層形成のためにも好ましい。

 多孔質ろ過膜の形態としては、平膜ある はプリーツ平膜形状のものも用いられない はないが、ろ過装置単位容積当りに大なる 面積を与えられ、また逆洗、空気洗浄等の 理洗浄に適したモジュール形状にも構成し い中空糸膜形状のものがより好ましい。

 本発明法を適用するに好適な多孔質ろ過 の一般的な物理性状を挙げると、以下の通 である:ハーフドライ/バブルポイント法(ASTM ・F316-86およびASTM・E1294-86)による平均孔径が0 .05~0.5μm、好ましくは0.08~0.25μm、更に好まし は0.13~0.25μm、最大孔径が0.1~1μm,好ましくは0. 15~0.5μm、更に好ましくは0.2~0.4μm;膜厚が0.1~0.5 mm、好ましくは0.2~0.4mm、さらに好ましくは0.2~ 0.3mm;好ましい形態としての中空糸膜の場合、 外径が1~2.5mm、好ましくは1~2mm、更に好ましく は1.2~1.5mm;内径が0.5~2mm、好ましくは0.6~1.6mm、 に好ましくは0.8~1mm、等。

 (ろ過装置系)
 上述したような多孔質ろ過膜に本発明の前 理を行い、ろ水処理(ろ過運転)に使用する 図2は、本発明の前処理方法およびろ水処理 法を実施するに適した装置系の一例の模式 置図である。以下、必要に応じて図2を参照 しつつ、本発明の前処理方法およびろ水処理 方法の好ましい態様をより具体的に説明する 。

 (前処理方法)
 本発明に従い、上述したような多孔質ろ過 に通水して前処理を行うための前処理水は 一般に不溶解性の有機物を含む水(原料水) 凝集剤を添加することによって得られる。 表水(河川水、湖沼水)等で凝集剤の添加によ り凝集粒子が形成される原料水が好ましい。 例えば図2に示す装置系に用いる場合、原料 としては、必要な不溶解性の有機物を含む り、ろ過運転により浄化されるべき被処理 (原水)を用いることが一般に簡便であり、混 和槽2において硫酸バンド、ポリ塩化アルミ ウム、塩化第二鉄、ポリシリカ鉄等の凝集 を加え、必要に応じて撹拌下10分~1日程度保 して、目視により凝集粒子の形成が確認さ た後であれば、前処理のために通水可能で る。凝集剤の添加量は0.5~100mg/L程度であり 使用する原料水、凝集剤に応じて、予備テ ト(ジャーテスト)により最適な凝集粒子形成 条件を選定することが好ましい。必要に応じ て、原料水のpHを、予め凝集のために適する のに調整した後に凝集剤を添加してもよい 但し、生活排水などの濁度が高く、溶解性 機物質の多い(例えば、MLSS(浮遊物質濃度)が 1000mg/L以上または/および溶解性COD(化学的酸 要求量)が10mg/L以上の)被処理水をろ過する場 合(後記実施例5等)には、地表水等に凝集剤を 添加した前処理水を別途使用することが好ま しい。

 このようにして調製された前処理水は、 度(JIS K0101)が一般的に0.1以上であり、好ま くは0.1~200、更に好ましくは1~5である。更に 色度(JIS K0101)が、0~100であることが好ましく より好ましくは0~30、更に好ましくは0~20で る。

 調製された前処理水は、タンク6から、ろ 過装置8(ここでは縦筒型モジュール)中に配置 した多孔質ろ過膜に送水して前処理を行う。 装置は、加圧式、浸漬式のいずれでもよく、 多孔質ろ過膜はモジュール、エレメント化し た形態で用いるのが簡便であるが基本的には 任意である。

 前処理中の運転方式としては、図2を参照 して、処理水を全量配管9を通して処理水タ ク10に送る全量ろ過方式あるいは処理水の1 を配管12を通して原水タンク6に戻す循環ろ 方式のいずれでも良い。

 前処理のための通水(ろ過処理)中にろ水 (膜間差圧)の増大状態を見ながら、適時に逆 洗(処理水タンク10に貯留された処理水を膜の ろ液側から原液側に流す)や空気洗浄(膜の原 側に底部配管13から空気を供給しバブリン を起させる)により、膜の原液側に過剰に付 堆積した凝集粒子の除去を行うことが一般 必要であり、これを行わないと前処理中に 過圧が過剰に増大してしまう。特に本発明 においては前処理中、少なくとも1回、逆洗 または/および空気洗浄からなる物理洗浄を うことが必要である。これは、上述のよう 物理洗浄を行うことによって、図1の(a)の状 から(b)の状態になることで、凝集粒子が細 表面に効果的に付着する確率が増大するた と考えられる。また、前処理中に逆洗と空 洗浄を共に行った場合の凝集粒子層は0.1μm 度と、逆洗のみを行った場合の3μm程度より も薄いが、ろ水圧の増大抑制効果にはそれほ ど違いは見られない(後記図6に示す実施例3と 4の結果参照)。すなわち、本発明の前処理に るろ水圧の増大抑制効果は、前処理中に形 されるろ過膜表面に密着する0.1μm程度の薄 (SEM-EDX(Scanning Electron Microscope-Energy Dispersive  X-ray Spectroscopy)分析により凝集粒子の層で ることが確認されている)が最も寄与してい と推定される。

 物理洗浄条件は、例えばろ過30分に対し 、逆洗1分;ろ過3時間に対して空気洗浄3分程 が挙げられるが、前処理水(凝集剤添加水) 濁度が高い場合は、各洗浄頻度を増大した 、逆洗流束、空気洗浄における空気量の増 等によって洗浄効率向上を図る等の処置に り前処理中のろ水圧の増大を抑制すること 好ましい。これら物理洗浄の洗浄排水は、 置8底部より系外に排出する。

 逆洗水に、次亜塩素酸ナトリウムなどの 品を加えて、膜の化学洗浄を行ってもよい 50ppm以下の濃度であれば、凝集粒子薄層は んど除かれることがない。過激な物理洗浄 対しても同様である。凝集粒子薄層の多孔 への強固な付着の効果は、前処理時間の増 あるいは、逆洗、空気洗浄等の繰り返しに り強化されると考えられるが、ろ水圧の増 抑制効果は1回の逆洗を含む1時間の前処理に よっても確認されている(後記実施例2)。

 (ろ水処理)
 上述のようにして前処理された多孔質ろ過 を用いるろ水処理自体は、一般のろ水処理 特に異なるものではない。上述の図2に示す 装置系においては、装置8中に保持される前 理後のろ過膜には、タンク6に直接送水・貯 された被処理水(原水)がポンプ7を経て供給 れ、ろ水処理される。

 原水の水質に応じて、ろ水圧の上昇を起 難い条件が、前処理条件とは独立に設定可 であることを除いて、操作自体は前処理に けるものと同様である。ろ水圧の増大状態 見ながら、必要に応じて、タンク10に貯留 た処理水による逆洗および空気洗浄が実施 れること、逆洗水中に低濃度の化学洗浄薬 混入し得ることも同様である。

 以下、実施例および比較例により、本発 の多孔質ろ過膜の前処理方法およびろ水処 方法をより具体的に説明する。

<<多孔質ろ過膜製造例>>
(製造例1)
 ポリフッ化ビニリデン(PVDF)製中空糸多孔膜 以下のようにして製造した。

 重量平均分子量(Mw)が4.12×10 5 の主体ポリフッ化ビニリデン(PVDF)(粉体)とMw 9.36×10 5 の結晶特性改質用ポリフッ化ビニリデン(PVDF) (粉体)を、それぞれ95重量%および5重量%とな 割合で、ヘンシェルミキサーを用いて混合 て、Mwが4.38×10 5 であるPVDF混合物を得た。

 脂肪族系ポリエステルとしてアジピン酸 ポリエステル可塑剤(旭電化工業株式会社製 「PN-150」)と、溶媒としてN-メチルピロリドン (NMP)とを、77.5重量%/22.5重量%の割合で、常温 て撹拌混合して、可塑剤・溶媒混合物を得 。

 同方向回転噛み合い型二軸押出機(プラス チック工学研究所社製「BT-30」、スクリュー 径30mm、L/D=48)を使用し、シリンダ最上流部 ら80mmの位置に設けられた粉体供給部からPVDF 混合物を供給し、シリンダ最上流部から480mm 位置に設けられた液体供給部から温度160℃ 加熱された可塑剤・溶媒混合物を、PVDF混合 物/可塑剤・溶媒混合物=35.7/64.3(重量%)の割合 供給して、バレル温度220℃で混練し、混練 を外径7mm、内径5mmの円形スリットを有する ズルから吐出量7.6g/分で中空糸状に押し出 た。この際、ノズル中心部に設けた通気孔 ら空気を流量4.2mL/分で糸の中空部に注入し 。

 押し出された混合物を溶融状態のまま、4 0℃の温度に維持され且つノズルから280mm離れ た位置に水面を有する(すなわちエアギャッ が280mmの)水冷却浴中に導き冷却・固化させ( 却浴中の滞留時間:約6秒)、5m/分の引取速度 引き取った後、これを周長約1mのカセに巻 取って第1中間成形体を得た。

 次に、この第1中間成形体をジクロロメタ ン中に振動を与えながら室温で30分間浸漬し 次いでジクロロメタンを新しいものに取り えて再び同条件にて浸漬して、可塑剤と溶 を抽出し、次いで温度120℃のオーブン内で1 時間加熱してジクロロメタンを除去するとと もに熱処理を行い第2中間成形体を得た。

 次に、この第2中間成形体を第一のロール 速度を8.0m/分にして、60℃の水浴中を通過さ 、第二のロール速度を17.6m/分にすることで 手方向に2.2倍に延伸した。次いで温度90℃に 制御した温水浴中を通過させ、第三のロール 速度を15.1m/分まで落とすことで、温水中で14% 緩和処理を行った。さらに空間温度140℃に制 御した乾熱槽(2.0m長さ)を通過させ、第四のロ ール速度を14.5m/分まで落とすことで乾熱槽中 で4%緩和処理を行った。これを巻き取って本 明法によるポリフッ化ビニリデン系中空糸 孔膜(第3成形体)を得た。

 得られたPVDF中空糸多孔膜は、外径が1.275m mで、内径が0.836mm、空孔率が69.9%、平均孔径Pm (ハーフドライ法)=0.135μmであった。

(製造例2)
 可塑剤・溶剤混合物中の両者の割合を82.5重 量%/17.5重量%、原料吐出量を16.7g/分、ノズル 心部に設けた通気孔からの空気流量を9.5mL/ 、水浴温度を40℃、引き取り速度を11.0m/分、 延伸倍率を1.85倍、第一段緩和を湿熱90℃、8% 第二段緩和を乾熱140℃、4%に、それぞれ変 する以外は製造例1と同様にしてPVDF中空糸多 孔膜を得た。得られたPVDF中空糸多孔膜は、 径が1.368μm、内径が0.878μm、空孔率が71.1%、 均孔径Pm=0.115μmであった。

<<実施例>>
(実施例1)
 上記製造例2で得られたPVDF中空糸多孔膜の 表面基準で膜面積5m 2 相当分を図2に示す装置系の外圧式縦筒型モ ュール8に挿入し、前処理およびろ水処理を った。

<前処理>
 使用原水として、濁度1~2度の河川(福島県い わき市四時川)表流水を攪拌機4付混和槽2に入 れ、ポリ塩化アルミニウム(大明化学工業(株) 製)を20ppm添加し、撹拌下約1時間混和するこ により濁度2~3度の前処理水を得た。この前 理水を2m 3 /m 2 /dayのろ過流束でモジュール8中のろ過膜に送 、外圧式全量ろ過を30分継続し、タンク10中 の処理水によりろ過流束の1.5倍の流速で1分 の逆洗を行い底部配管14から洗浄排液を排出 する操作を繰り返しつつ、ろ過3時間に1回逆 の代りにモジュール8の底部より30L/分の流 で空気を送入して3.5分間の洗浄(スクラビン )を行った。上記サイクルの前処理を繰り返 すことにより計1日間の前処理を行った。

<ろ水処理>
 上記前処理時に使用したものと同等の濁度1 ~2の河川表流水を原水タンク6にそのまま供給 し、更にタンク6中の水を、上記前処理後の 過膜を含むモジュール8に供給してろ水処理 行い、処理水の15%を原水タンク6に戻す循環 ろ過運転を行った。ろ過は、膜8への供給水 束1.75m 3 /m 2 /dayで30分間継続し、次いでその1.5倍の流束で 1分間の逆洗を行う操作を繰り返し、更に3時 経過毎に4分間、30L/分の流量で空気洗浄を った。上記を1サイクルとして、約6日間のろ 過運転を行った。

(比較例1)
 図2に示す装置系を用い、縦筒型モジュール 8に実施例1と同様に製造例2で得られたPVDF中 糸膜を挿入し、凝集剤添加水による前処理 行うことなく、直接、タンク6に貯留した実 例1で用いたものと同等の濁度1~2の河川表流 水を用いて、実施例1と同一条件でのろ過運 を継続した。

 上記実施例1および比較例1のろ過運転中 、25℃補正膜間差圧、すなわち、ろ過膜の上 下流間で生じた差圧の実測値に、係数:(25°の 水の粘度)/(ろ過時の温度における水の粘度) 乗じて得た補正膜間差圧、を遂次測定した 結果をまとめて、図3にプロットとして示す

 図3を見ると、前処理なしのろ過膜を用い て直ちに、ろ過運転を行った比較例1におい は、運転当初は膜間差圧が低いが、その後 速に差圧が上昇するのに対して、前処理を ったろ過膜を用いた実施例1においては、ろ 運転の継続に伴なう膜間差圧の上昇が著し 抑制されていることが分る。なお、実施例1 に関しては、前処理中も膜間差圧を測定した ので、運転時間0日以前にも測定値プロット 示してある。

(実施例2)
 より短い時間での前処理の効果を確認した すなわち、前処理水としては、実施例1およ び比較例1のものと同様のものを用い、製造 1のPVDF中空糸膜について、ろ過30分→逆洗1分 →ろ過30分→空気洗浄3.5分の前処理を行った ろ過流束、逆洗流束および空気流量は実施 1と同様とした。

 上記前処理後のろ過膜(膜面積5m 2 )について、実施例1と同様の条件でろ過運転 行った。

(比較例2)
 製造例1のPVDF中空糸膜を、前処理すること く用いる以外は、実施例2と同様にしてろ過 転を行った。

 上記実施例2および比較例2における25℃補 正膜間差圧の経時変化を併せて、図4にプロ トする。図4を見れば、1時間という短い前処 理でも本発明の効果は充分に得られることが 分る。

(実施例3)
 製造例1のPVDF中空糸膜を用いる以外は、実 例1と同様にして、前処理およびろ水処理(ろ 過運転)を行った。

(比較例3)
 前処理を行なわない中空糸膜を用いる以外 、実施例3と同様にしてろ過運転を行った。

(比較例4)
 前処理において、物理洗浄(逆洗および空気 洗浄)を行なわない以外は、実施例3と同様に て、前処理およびろ過運転を行った。

 前処理およびろ過運転中の膜間差圧の経 変化を、併せて図5に示す。

 前処理において物理洗浄を行わなかった 較例4においては、前処理中の膜間差圧の上 昇が著しく、またろ過運転の継続中の膜間差 圧増大抑制効果が乏しいことが分る。

(実施例4)
 前処理において、3時間に1回行う空気洗浄 代りに、逆洗を行う以外は、実施例3と同様 前処理およびろ過運転を行った。

 ろ過運転中の膜間差圧の経時変化を実施 3および比較例3の結果と併せて、図6に示す すなわち、逆洗と空気洗浄の一方のみによ ても、本質的に、本発明の膜間差圧増大抑 効果が得られることが分る。

 なお、SEM観察による前処理後の凝集粒子 の厚さは、逆洗と空気洗浄を併用した系(実 施例1~4)では0.1μm程度であるのに対し、逆洗 みの実施例5では3μm程度と厚いが、その効果 に差のないことが分る。いずれにしても、前 処理によって表層に形成された極く薄い凝集 粒子層が、本発明のろ過運転中の膜間差圧増 大抑制効果を示していることが分る。

(実施例5)
 上記製造例1で得られたPVDF中空糸多孔膜の 表面基準で膜面積0.5m 2 相当分を図7に示す装置系のモジュール内蔵 8Aに浸漬して、前処理およびろ水処理を行っ た。

<前処理>
 使用原水として、濁度1~2度の河川(福島県い わき市四時川)表流水を攪拌機4付混和槽2に入 れ、ポリ塩化アルミニウム(大明化学工業(株) 製)を20ppm添加し、撹拌下約1時間混和するこ により濁度2~3度の前処理水を得た。この前 理水を膜露出モジュール内蔵槽8Aに送り、運 転ポンプ(吸引)7Aにてろ過膜内側から吸水す 形態で2m 3 /m 2 /dayのろ過流束で連続的にろ過した。ろ過中 常時空気13を槽8Aの断面積に対して100m 3 /m 2 /hの流速で供給してバブリングを行い、計1日 間の前処理を行った。

<ろ水処理>
 一般生活排水の活性汚泥水(MLSS:7000mg/L、溶 性COD:13mg/L)をろ水処理原水11として用い、こ 原水を槽8A中の膜に供給し、0.8m/dayのろ過流 束でろ水処理運転を行った。ろ過は運転ポン プ(吸引)7で13分間の吸引ろ過を行った後、1分 間休止するというサイクルで行った。運転中 は常時空気13を槽8Aの断面積に対して100m 3 /m 2 /hの流速で供給し、バブリングを行った。

(比較例5)
 図7に示す装置系を用い、実施例5と同様に 成した膜面積0.5m 2 の縦型膜露出モジュールを槽8Aに浸漬し、前 理を行わない以外は実施例5と同様にしてろ 水処理を行った。

 上記実施例5および比較例5におけるろ水 転中のろ水圧(補正膜間差圧)変化を図8に示 。図8によれば、前処理を行った実施例5にお いて、ろ水運転の継続に伴うろ水圧の上昇が 著しく低減されていることが分る。

 上述したように、本発明によれば、合成 脂製の多孔質ろ過膜を使用する物理洗浄を なうろ水処理に際して経時的なろ水圧の増 を抑制するための簡単且つ有効な前処理方 およびこのようにして前処理された多孔質 過膜を用いるろ水処理方法が提供される。