榊原 勝弥 (〒15 栃木県下都賀郡壬生町大字壬生乙4060 株式会社アーレスティ 栃木工場内 Tochigi, 3210215, JP)
株式会社アーレスティ (〒11 東京都中野区中央一丁目38番1号 Tokyo, 1640011, JP)
SAKAKIBARA, Katsuya (4060 Oazamibuotsu Mibu-machi, Shimotsuga-gu, Tochigi 15, 3210215, JP)
| マグネシウム合金の溶湯貯留手段としての溶解炉、保持炉、給湯機の吐出口、スラブ・ビレット等の樋やフロート部、ストリップキャストの溶湯供給部、あるいはインゴットケース等のいずれかに、マグネシウム合金の溶湯を貯留したときに、該溶湯の表面へキャリアガスにHFC-245fa、OHFC-1234ze及びCF 3
Iの中から選ばれるいずれか一の防燃ガスを混合したカバーガスを供給して前記溶湯の燃焼を防ぐ溶湯防燃方法であって、 前記防燃ガスを前記キャリアガスに対して0.1~0.4体積%混合して前記カバーガスとし、該カバーガスを前記溶湯表面の1m 2 あたりに20l/min~60l/min供給することを特徴とする溶湯防燃方法。 |
| 前記キャリアガスは、炭酸ガス、窒素、アルゴン、その他の不活性ガス、乾燥空気、あるいは炭酸ガスと空気との混合気体の中から選ばれる少なくともいずれか一のガスである請求項1又は2に記載の溶湯防燃方法。 |
| マグネシウム合金の溶湯を貯留する溶解炉、保持炉、給湯機の吐出口、スラブ・ビレット等の樋やフロート部、ストリップキャストの溶湯供給部、あるいはインゴットケース等のいずれか1つまたは2つ以上である溶湯貯留手段と、 前記溶湯貯留手段に貯留されるマグネシウム合金の溶湯表面へキャリアガスを供給するキャリアガス供給手段と、 前記キャリアガス供給手段より供給されるキャリアガスにHFC-245fa、OHFC-1234ze及びCF 3 Iの中から選ばれるいずれか一の防燃ガスを混合する防燃ガス供給手段とを備え、 前記キャリアガス供給手段は、前記溶湯表面の1m 2 あたりに前記カバーガスを20l/min~60l/minを供給し、 前記防燃ガス供給手段は、前記防燃ガスを前記キャリアガスに対して0.1~0.4体積%混合して溶湯表面へ供給し、マグネシウム合金の溶湯の防燃を図ることを特徴とする鋳物製造装置。 |
| 前記キャリアガス供給手段は、炭酸ガス、窒素、アルゴン、その他の不活性ガスの中から選ばれる少なくともいずれか一のガスをキャリアガス貯留ボンベに液体で貯留し、ベーパライザーに通してガス化して前記溶湯貯留手段へ供給するようになっているか、又は、ベーパライザーに通してガス化してから適宜割合の乾燥空気とを混合した混合気体として前記溶湯貯留手段に貯留される溶湯表面へ供給することを特徴とする請求項3に記載の鋳物製造装置。 |
| 防燃ガス供給手段は、HFC-245faとOHFC-1234zeとCF 3 Iの中から選ばれるいずれか一の防燃ガスを防燃ガス貯留ボンベに気体または液体で貯留し、必要に応じてベーパライザーに通してガス化し、前記キャリアガス供給手段より供給するキャリアガスに前記一定割合で混合することを特徴とする請求項3又は4に記載の鋳物製造装置。 |
| マグネシウム合金を貯留する溶解炉、保持炉、給湯機の吐出口、スラブ・ビレット等の樋やフロート部、ストリップキャストの溶湯供給部、あるいはインゴットケース等の溶湯貯留手段に溶湯を貯留し、キャリアガス供給手段より供給するキャリアガスに防燃ガス供給手段より供給するHFC-245fa、OHFC-1234ze及びCF 3
Iの中から選ばれるいずれか一の防燃ガスを混合し、該防燃ガスを混合した前記キャリアガスを前記溶湯貯留手段に貯留した溶湯表面へ供給し、 前記キャリアガスは、前記溶湯表面の1m 2 あたりに前記カバーガスを20l/min~60l/minを供給し、 前記防燃ガスは、前記防燃ガスを前記キャリアガスに対して0.1~0.4体積%混合することにより前記溶湯表面へ供給し、マグネシウム合金の溶湯の防燃を図ることを特徴とする鋳物製造方法。 |
| 請求項6に記載の鋳物製造方法よって製造されたマグネシウム合金鋳物。 |
本発明は、マグネシウム合金の溶湯の燃 を防ぐ溶湯防燃方法、この方法を用いる鋳 製造装置、鋳物製造方法及びマグネシウム 金鋳物に関する。
近年、マグネシウムは携帯電話やノート ソコン等に多量に使用されている。また、 動車の部材にも適用されつつある。マグネ ウムは鉄やアルミニウムより軽量化がはか るため省エネルギー性の観点からさらに市 規模が拡大することが期待される。また、 グネシウムはリサイクルが可能な物質であ 、市場規模の拡大と同時にリサイクル量が 加することが推定される。
マグネシウム合金の鋳物製造装置におい 、溶融状態にあるマグネシウム合金の溶湯 、非常に反応性が高く、大気中の酸素や水 と容易に反応し、燃焼、爆発する恐れがあ 。そのため、溶湯を取り扱う際は、マグネ ウム合金の溶湯が発火→燃焼→爆発の反応 惹き起こさないように、溶湯防燃対策が施 れる必要がある。
そこで、溶湯防燃対策として、キャリアガ にフッ素含有化合物を混合したカバーガス 、マグネシウム合金の溶湯の表面へ供給す ことにより溶湯の燃焼を防ぐ対策が工業的 認められた。ここでは、防燃ガスとしての 酸化硫黄(SO 2 )を用いていた。
その後、二酸化硫黄(SO 2 )から六フッ化硫黄(SF6)をベースに取って代わ った。マグネシウム製造法の主流であるマグ ネダイカスト法では、溶解炉中のマグネシウ ム溶湯表面に一定濃度の防燃ガスを噴霧する ことにより、空気との接触を防止し高温酸化 (燃焼)を抑えている。
SF6は、溶融マグネシウム/マグネシウム合 金を保護するために、そして浮き滓の生成が 比較的少ない明るく光沢のあるインゴットを 製造するのに使用できる無色、無臭、無毒の ガスであるという長所を持っている。
マグネシウムを製造する主流プロセスであ
マグネダイカスト法ではマグネシウムの燃
(高温酸化)を抑制するためにカバーガスと
てSF6を使用しているが、地球温暖化効果の
い物質であることが明らかになっている(温
化係数GWP100:22200)。
しかしながら、SF6は、高温分解する分解生
物が硫黄を含み非常に有毒であること、高
であること、供給源が限られていること、
室効果ガスの中では最も悪いガスの1つであ
ること、地球温暖化潜在力(GWP 100
)が22,200と高いこと、が短所である。
他方、温室効果ガス削減の背景として、 ゾン層保護を目的とした「モントリオール 定書」によって、当初は、フロンに代わり オゾン層を破壊しない代替フロン等3ガス(HF C、PFC、SF6)への移行が進められてきた。しか ながら、これらは、GWPがきわめて大きいた 、「京都議定書」で温室効果ガスに指定さ 、排出削減が求められることになった。そ 一環として、マグネシウム鋳造用防燃ガス してのSF6の使用が指摘され、その排出の制 だけにとどまらず使用までも制限されよう している。EUは、使用量が小さい場合を除 、2008年より使用が禁止される予定である。
従って、SF6に代わるGWP 100
の低い代替ガスの開発が、国内外の機関で進
められているが、代替ガスの多くは、GWPが大
きいこと、腐食性あるいは毒性があることな
どにより適当な代替ガスが定まっていなかっ
たが、フッ化ケトン(FK)が主成分とする防燃
ノベック TM
612(NOVEC TM
612)が開発された。ノベック TM
612は、GWP 100
が
≒1であり環境負荷が小さい、SF6と同等の防
効果が得られる、硫黄分を含んでいないた
腐食を低減でき事実上無害である、といっ
特長がある。しかし、防燃剤ノベック TM
612は、沸点が49℃であり常温では液体である
で、効率的に使用するための簡便な取り扱
方法が必要とされる。解決方法として、防
剤ノベック TM
612を液化炭酸ガスに溶解してシリンダに充填
し、供給時にシリンダを加温して超臨界状態
とすることが提案され、実施されている。
また、SF6に代わるGWPの低い代替ガスとして
AM-cover(登録商標:1・1・1・2-テトラフルオロ
タン(HFC-134a)を防燃ガスとして含むカバーガ
ス)が開発され使用されている。HFC-134aのGWP 100
は1,300である。さらに、キャリアガスにSO 2
を約1.5%含有する希薄SO 2
カバーガスが使用されている。
これらの代替ガスは、温室ガス放出を削減
ながら、メタル品質を改善し、コストを節
し、作業場の安全性を高めることができる
しかしながら、防燃剤ノベック TM
612は、溶湯温度が640℃以下であれば使用可能
であるのでホットチャンバー方式において適
用され、溶湯温度がさらに高いコールドチャ
ンバ方式の鋳造では防燃効果が極端に低いた
めに適用できないので引き続きSF6が使用され
ており、他の代替ガスの開発が急がれている
。AM-coverでは、GWP 100
が1,300と高いので、さらにGWP 100
が小さい他の代替ガスの開発が急がれている
。
従って、コールドチャンバ方式のマグネシ
ム合金鋳造用カバーガスとして、SF6と同等
防燃効果が得られかつ現在使用されているS
F6やAM-coverに比べて地球温暖化の影響を大幅
低減できるマグネシウム鋳造用カバーガス
開発が要望されている。
本発明は、上述した点に鑑み案出したもの 、現在使用されているSF6やAM-coverに比べて らにGWP 100 が小さく地球温暖化の影響を大幅に低減でき ること、マグネシウム合金鋳造時に保持炉等 の蓋を開いてスラブ・ビレット等の樋に移す 際や保持炉等の蓋を開いて浮き滓を取り除く 際に要する時間を必要十分に確保しても、マ グネシウム合金の溶湯が発火→燃焼→爆発の 反応を惹き起こさないように時間的に十分な 溶湯防燃効果が得られること、ホットチャン バー方式の鋳造よりも条件が厳しいコールド チャンバ方式の鋳造に適用できること、を課 題とする溶湯防燃方法、鋳物製造装置、鋳物 製造方法及びマグネシウム合金鋳物を提供す ることにある。
上記課題を解決するために請求項1に記載の 発明は、マグネシウム合金の溶湯貯留手段と しての溶解炉、保持炉、給湯機の吐出口、ス ラブ・ビレット等の樋やフロート部、ストリ ップキャストの溶湯供給部、あるいはインゴ ットケース等のいずれかに、マグネシウム合 金の溶湯を貯留したときに、該溶湯の表面へ キャリアガスにHFC-245fa、OHFC-1234ze及びCF 3 Iの中から選ばれるいずれか一の防燃ガスを 合したカバーガスを供給して前記溶湯の燃 を防ぐ溶湯防燃方法であって、前記防燃ガ を前記キャリアガスに対して0.1~0.4体積%混合 して前記カバーガスとし、該カバーガスを前 記溶湯表面の1m 2 あたりに20l/min~60l/min供給する溶湯防燃方法と したことを特徴とする。前記キャリアガスに は、炭酸ガス、窒素、アルゴン、その他の不 活性ガス、乾燥空気、あるいは炭酸ガスと空 気との混合気体の中から選ばれる少なくとも いずれか一のガスを使用する。
上記課題を解決するために請求項3に記載の 発明は、マグネシウム合金の溶湯を貯留する 溶解炉、保持炉、給湯機の吐出口、スラブ・ ビレット等の樋やフロート部、ストリップキ ャストの溶湯供給部、あるいはインゴットケ ース等のいずれか1つまたは2つ以上である溶 貯留手段と、前記溶湯貯留手段に貯留され マグネシウム合金の溶湯表面へキャリアガ を供給するキャリアガス供給手段と、前記 ャリアガス供給手段より供給されるキャリ ガスにHFC-245fa、OHFC-1234ze及びCF 3 Iの中から選ばれるいずれか一の防燃ガスを 合する防燃ガス供給手段とを備え、前記キ リアガス供給手段は、前記溶湯表面の1m 2 あたりに前記カバーガスを20l/min~60l/minを供給 し、前記防燃ガス供給手段は、前記防燃ガス を前記キャリアガスに対して0.1~0.4体積%混合 て溶湯表面へ供給し、マグネシウム合金の 湯の防燃を図る鋳物製造装置としたことを 徴とする。
この発明では、前記キャリアガス供給手 は、炭酸ガス、窒素、アルゴン、その他の 活性ガスの中から選ばれる少なくともいず か一のガスをキャリアガス貯留ボンベに液 で貯留し、ベーパライザーに通してガス化 て前記溶湯貯留手段へ供給するようになっ いるか、又は、ベーパライザーに通してガ 化してから適宜割合の乾燥空気とを混合し 混合気体として前記溶湯貯留手段に貯留さ る溶湯表面へ供給することが好ましい。ま この発明では、前記キャリアガス供給手段 、炭酸ガス、窒素、アルゴン、その他の不 性ガスの中から選ばれる少なくともいずれ 一のガスをキャリアガス貯留ボンベに液体 貯留し、ベーパライザーに通してガス化し 前記溶湯貯留手段へ供給するようになって るか、又は、ベーパライザーに通してガス してから適宜割合の乾燥空気とを混合した 合気体として前記溶湯貯留手段に貯留され 溶湯表面へ供給することが好ましい。
上記課題を解決するために請求項6に記載の 発明は、マグネシウム合金を貯留する溶解炉 、保持炉、給湯機の吐出口、スラブ・ビレッ ト等の樋やフロート部、ストリップキャスト の溶湯供給部、あるいはインゴットケース等 の溶湯貯留手段に溶湯を貯留し、キャリアガ ス供給手段より供給するキャリアガスに防燃 ガス供給手段より供給するHFC-245fa、OHFC-1234ze びCF 3 Iの中から選ばれるいずれか一の防燃ガスを 合し、該防燃ガスを混合した前記キャリア スを前記溶湯貯留手段に貯留した溶湯表面 供給し、前記キャリアガスは、前記溶湯表 の1m 2 あたりに前記カバーガスを20l/min~60l/minを供給 し、前記防燃ガスは、前記防燃ガスを前記キ ャリアガスに対して0.1~0.4体積%混合すること より前記溶湯表面へ供給し、マグネシウム 金の溶湯の防燃を図る鋳物製造方法とした とを特徴とする。
上記課題を解決するために請求項7に記載 の発明は、請求項6に記載の鋳物製造方法よ て製造されたマグネシウム合金鋳物である
本発明によれば、現在使用されているSF6やA M-coverに比べてさらにGWP 100 が小さく地球温暖化の影響を大幅に低減でき ること、マグネシウム合金鋳造時に保持炉等 の蓋を開いてスラブ・ビレット等の樋に移す 際や保持炉等の蓋を開いて浮き滓を取り除く 際に要する時間を必要十分に確保しても、マ グネシウム合金の溶湯が発火→燃焼→爆発の 反応を惹き起こさないように時間的に十分な 溶湯防燃効果が得られること、現在使用され ている防燃剤ノベック TM 612がホットチャンバー方式の鋳造に適用でき て条件が厳しいコールドチャンバ方式の鋳造 に適用不可であるのとは異なり、コールドチ ャンバ方式の鋳造にも適用できる。
以下に、本発明の実施の形態に係る溶湯 燃方法、鋳物製造装置、鋳物製造方法及び グネシウム合金鋳物を説明する。
〔溶湯防燃方法〕
本実施形態に係る溶湯防燃方法は、キャリ
ガスとして、炭酸ガス、窒素、アルゴン、
の他の不活性ガス、乾燥空気、あるいは炭
ガスと空気との混合気体の中からいずれか
のガスを選択し、また、防燃ガスとして、H
FC-245fa、OHFC-1234ze及びCF 3
Iの中からいずれか一のガスを選択し、防燃
スをキャリアガスに対して0.1~0.4体積%混合し
てなるカバーガスとする。
そして、本実施形態に係る溶湯防燃方法は
溶解炉、保持炉、給湯機の吐出口、スラブ
ビレット等の樋やフロート部、ストリップ
ャストの溶湯供給部、あるいはインゴット
ース等の溶湯貯留手段に貯留されるマグネ
ウム合金の溶湯表面の1m 2
あたりに20l/min~60l/minのカバーガスを供給して
溶湯の燃焼を防ぐ溶湯防燃方法である。
防燃ガスをキャリアガスに対して0.1~0.4体積
%混合してなるカバーガスをマグネシウム合
の溶湯表面に20l/min/m 2
~60l/min/m 2
供給するときは、保持炉等の溶湯貯留手段の
開蓋時(空気暴露時)から発火するまでの時間
50秒以上取ることができる。このため、保
炉等の蓋を開いてスラブ・ビレット等の樋
移したり、浮き滓を取り除く作業に要する
間(通常約50秒)を確保できて、この作業時間
にマグネシウム合金の溶湯が発火してしま
怖れがない。
マグネダイカスト法におけるカバーガスの
用は、溶解炉中のマグネシウム溶湯上面に
定の割合で混合した乾燥空気とカバーガス
噴霧し、空気との接触を遮断し、酸化燃焼
防止することを目的としている。マグネダ
カスト法においては、マグネシウムの供給
や溶湯汲み出し時にマグネシウム溶湯と空
が接触し燃焼する場合もあるが、カバーガ
の連続した噴霧により消火することとなっ
いる。
カバーガスの防燃作用は以下のように理解
れる。
マグネシウム合金の溶湯は、ダイカストマシ
ン等の鋳物製造装置に供されるまでは、所定
の保持炉(例えば、るつぼ)内で待機している
溶湯の表面には主として酸化マグネシウム
らなる皮膜が形成されていて、その皮膜は
溶湯中のマグネシウムと空気中の酸素が反
して形成され、多孔質体からなる。待機中
マグネシウム合金の溶湯の表面に上記カバ
ガスが供給されると、カバーガス中の極め
比重が大きい防燃ガスが、前記多孔質体の
膜の孔に侵入して滞留し、酸素や水等は防
ガスが多孔質体の皮膜の孔に侵入し難くな
。溶湯貯留手段の開蓋状態にすると、カバ
ガスが抜け、炉内は殆ど空気になってしま
が、溶湯中のマグネシウム合金は、防燃ガ
を含む多孔質体の皮膜によって酸素や水等
ら遮蔽され、酸素や水等と反応し難くなり
溶湯の燃焼が防止される。
この場合、閉蓋時にカバーガスの噴き出し
量が多いと炉内圧力をそれだけ高く確保で
ると共に、溶湯貯留手段の蓋部分に備える
バーガス噴き出し口から吹き出すカバーガ
中の防燃ガスがほとんど分解せずに溶湯表
に到達する。そうすると、それだけ多孔質
の皮膜の孔に侵入する防燃ガスの密度が大
くなり、皮膜の厚さが大きくなる。
このため、カバーガスの流量が20l/min/m 2
のときよりも40l/min/m 2
のときの方が、防燃ガスの濃度が低くなるに
もかかわらず、多孔質体の皮膜の孔に侵入す
る防燃ガスの密度が大きくなり、皮膜の厚さ
が大きくなり、防燃時間を大きく取れる。40l
/min/m 2
のときと60l/min/m 2
のときとでは、後者の方が防燃ガスの濃度が
一層低くなるにもかかわらず、防燃時間をさ
らに大きく取れる。
カバーガスの流量が40l/min/m 2
~60l/min/m 2
であって、防燃ガスをキャリアガスに対して
0.1~0.4体積%混合したカバーガスでは、溶湯貯
手段の開蓋時(空気暴露時)から発火するま
の時間を100秒以上取ることができるので、
持炉等の蓋を開いてスラブ・ビレット等の
に移したり、浮き滓を取り除く作業に要す
時間を十分に確保できる。防燃ガスの濃度
低くなり、作業雰囲気の安全性が高くなる
カバーガスの流量が20l/min/m 2
であって、防燃ガスをキャリアガスに対して
0.2~0.4体積%混合したカバーガスでは、溶湯貯
手段の開蓋時(空気暴露時)から発火するま
の時間を100秒以上取ることができるので、
持炉等の蓋を開いてスラブ・ビレット等の
に移したり、浮き滓を取り除く作業に要す
時間を十分に確保できる。ただし、濃度が
くなり、毒性が高くなる。20l/min/m 2
であって、防燃ガスをキャリアガスに対して
0.1体積%混合したカバーガスでは、溶湯貯留
段の開蓋時(空気暴露時)から発火するまでの
時間を50秒位しか取ることができないので推
できない。
さらに、」キャリアガスとして、コスト的
はN 2
を用いるのが良いが、上記次官確保のために
は、N 2
+CO 2
を用いることが効果がある。これは、比重が
防燃ガス>CO 2
>N 2
の関係にあるため、蓋が開いた時に、N 2
や空気が優先的に抜けてからCO2が抜けて、そ
の後防燃ガスが抜けるためである。
これに対し、マグネシウム合金の溶湯表面
カバーガスの流量を20l/min/m 2
を下回らせて供給するとき、及び、防燃ガス
をキャリアガスに対して0.1体積%を下回って
合してカバーガスとして供給するときは、
持炉等の開蓋時から発火するまでの時間が50
秒未満となり、保持炉等の開蓋時から発火す
るまでの時間が50秒未満となる。このため、
グネシウム合金鋳造時に保持炉等の蓋を開
てスラブ・ビレット等の樋に移す際や保持
等の蓋を開いて浮き滓を取り除く際に要す
時間(約50秒)を下回り、マグネシウム合金の
溶湯が発火してしまう。従って、20l/min/m 2
を下回らせて供給することは付加である。
また、防燃ガスをキャリアガスに対して0.4
積%を上回って混合してカバーガスとして供
給するときは、濃度が高くなるとともに、溶
湯表面に不純物を生成しそれが沈降してマグ
ネシウム合金の品質を低下させることに繋が
るので、採用できない。また、濃度が高くな
り作業空間が防燃ガスの毒性でを有するカバ
ーガスのコストが高くなる。
〔鋳物製造装置〕
本実施形態に係る鋳物製造装置は、鋳造法
ダイカスト法、チクソモールディング法等
公知の鋳物の製造方法において用いられる
置を使用することができ、特に、溶湯貯留
段と、キャリアガス供給手段と、防燃ガス
給手段とを備えてなる。溶湯貯留手段とし
は、マグネシウム合金の溶湯を貯留する溶
炉、保持炉、給湯機の吐出口、スラブ・ビ
ット等の樋やフロート部、ストリップキャ
トの溶湯供給部、あるいはインゴットケー
等を備えていれば足りる。
本実施形態に係る鋳物製造装置は、キャリ
ガス供給手段と防燃ガス供給手段とからな
カバーガス供給手段を備え、キャリアガス
防燃ガスを混合したカバーガスを上記溶湯
燃方法で説明した混合割合と流量にて溶湯
留手段に貯留される溶湯の表面へ供給する
うになっていれば足りる。
(カバーガス供給手段の形態1)
図1に示すように、キャリアガスをキャリア
ガス貯留ボンベ(キャリアガス貯留手段)11に
体で貯留し、ベーパライザー12に通してガス
化してバッファタンク13に供給すると共に、
燃ガス貯留ボンベ(防燃ガス貯留手段)14に気
体で貯留される防燃ガスをバッファタンク13
供給し、その際、流量計15でキャリアガス
流量を計測すると共に、流量制御装置16によ
り防燃ガスの流量をキャリアガスの流量の0.1
~0.4体積%となるようにして、バッファタンク1
3に防燃ガスとキャリアガスとの混合気体で
るカバーガスを貯留し、バッファタンク13か
ら溶湯貯留手段(不図示)に貯留されるマグネ
ウム合金の溶湯表面の1m 2
あたりに20l/min~60l/minのカバーガスを供給する
ように流量調整弁17により流量調整する構成
ある。符号18,19はケーシングである。炭酸
ス、窒素、アルゴン、その他の不活性ガス
中のいずれか一の選択は、キャリアガス貯
ボンベ11の交換により行う。また、HFC-245fa、
OHFC-1234ze及びCF 3
Iの中のいずれか一の選択は、防燃ガス貯留
ンベ14の交換により行う。
(カバーガス供給手段の形態2)
図2に示すように、防燃ガス貯留ボンベ(防
ガス貯留手段)14に液体で貯留される防燃ガ
を、該防燃ガス貯留ボンベ20の外周面を捲い
て設けられたヒーター21で暖めると共にタン
内に備える気泡式攪拌装置22で攪拌して気
し、該防燃ガスをバッファタンク13に供給す
る構成である。なお、キャリアガスをバッフ
ァタンク13に供給する構成、及び、キャリア
スと防燃ガスとを混合する手段、カバーガ
の供給量を制御する構成は、上述した形態1
と同一である。
〔鋳物製造方法〕
本実施形態に係る鋳物製造方法は、重力鋳
法、金型鋳造法、低圧鋳造法、ダイカスト
等の公知の鋳物の製造方法を適用すること
でき、特に、マグネシウム合金の溶湯を貯
する溶解炉、保持炉、給湯機の吐出口、ス
ブ・ビレット等の樋やフロート部、ストリ
プキャストの溶湯供給部、あるいはインゴ
トケース等の溶湯貯留手段に溶湯を貯留し
図1又は図2に示すように、キャリアガス供
手段11と防燃ガス供給手段14又は20とにより
防燃ガスをキャリアガスに対して0.1~0.4体積%
となるように混合したカバーガスとし、この
カバーガスを溶湯表面の1m 2
あたりに20l/min~60l/minとなるように供給し、マ
グネシウム合金の溶湯の防燃を図るものであ
る。
〔マグネシウム合金鋳物〕
本実施形態にかかるマグネシウム合金から
る製品(鋳物)は、重力鋳造法、金型鋳造法
低圧鋳造法、ダイカスト法等の製造方法の
何にかかわらず、上述した鋳物製造方法に
って製造されるマグネシウム合金鋳物であ
。また、本実施形態にかかるマグネシウム
金鋳物は、マグネシウムまたはMg-Mn系、Mg-Zn
、Mg-Li系、Mg-Al-Zn系、Mg-Zn-Zr系等の公知のマ
ネシウム合金鋳物を含み、その他、カルシ
ムを0.1~10質量%程度の割合で添加したマグネ
シウム合金鋳物も含み、さらには、マグネシ
ウム合金の全質量に対し、アルミニウムが6~1
0質量%、カルシウムが1.8~5質量%、マンガンが0
.1~0.6質量%、ストロンチウムが0.05~1.0質量%の
合で含まれるマグネシウム合金鋳物を含む
コールドチャンバー用溶解炉でダイカスト
マグネシウム合金(AZ91D)の溶解時に適用でき
るカバーガスとなり得るか、代替ガスとして
、OHFC-1234ze(GWP<10)、HFC-245fa(GWP=950)及びHFE-254p
c(GWP=330)の3種、比較ガスとしてHFC-134a(GWP=1300)
HFE-254pc(GWP=30)、及びSF6ガス(GWP=22200)の3種、
ャリアガスとしてCO2を使用し、溶湯温度650
の温度における混合ガスの防燃性を調査し
。
マグネダイカスト法には、鋳造装置内に溶
設備を内蔵したホットチャンバー法と独立
た溶解設備でマグネシウムを溶解しダイカ
ト鋳造するコールドチャンバー法の2種類が
あり、本調査は、条件が厳しいコールドチャ
ンバー法にて実施した。
調査したカバーガスは、以下の6種類である
。
(1)比較ガス:CO2+SF6
(2)比較ガス:CO2+HFC-134a
(3)調査ガス:CO2+HFE-254pc
(4)調査ガス:C02+OHFC-1234ze
(5)調査ガス:CO2+HFC-245fa
(6)調査ガス:CO2+CF3I
なお、このとき,量産実用化検証という意味
で,キャリアガスにN2を用いることもある。
(実験設備)
調査にあたり図3に示すコールドチャンバー
用溶解炉20を作った。図3において、21は溶解
本体(軟鋼製坩堝)、22は蓋(SUS304製炉蓋)、23
開口部、24はカバーガス噴出口、25は酸素濃
計である。また、今回の調査に当たり、図1
、図2に示すカバーガス供給装置を作った。
沸点用カバーガスについては図1に示すカバ
ガス供給装置を、また、高沸点用カバーガ
については図2に示すカバーガス供給装置を
用いた。
なお、カバーガスの流量は炉直前のフロー
式流量計にて制御を行った。
低沸点用では、炉にカバーガスを供給する
とにより、バッファタンク内の圧力が低下
マスフローメータ1次側と2次側の差圧によ
キャリアガスがバッファタンクに流れる流
をマスフローメータにてカウントし一定濃
になるようにカバーガスをマスフローコン
ローラにて供給した。
高沸点用においては、事前に一定温度時に
ける、キャリアガスのバブリングによる重
減からカバーガスの気化率を求め、キャリ
ガスのマスフローメータのカウントにて気
用キャリアガスの流量をマスフローコント
ーラにて制御し一定濃度を確保した。
(実験条件)
防燃効果確認実験では、AZ91D合金を供試材
し、図3に示す溶解炉は、保持量800kg、溶湯
面積0.8m 2
、カバーガス容積0.32m 3
とした。
初期溶解では、CO 2
+SF6混合ガスを流し、炉蓋を密閉した状態で
温から昇温した。カバーガスの供給は炉蓋
設置したφ2.5mm×35個 溶湯からの高さ170~420mm
ら供給した。
実験は炉内清掃時を想定し、カバーガスを
給した状態で炉蓋を開放し、溶湯表面の保
膜を除去した後、蓋を一旦閉め炉内に設置
た酸素濃度計にて酸素濃度が5%以下になる
で保持した後、炉蓋を全開に開け溶湯表面
発火が確認されるまで観察を行った。
本実験では、溶湯温度は一般的な650℃とし
混合ガスはキャリアガスとしてCO 2
を20l/min/m 2
~60l/min/m 2
、防燃ガスをキャリアガスに対して0.1~0.4体
%にて混合した。
(分解ガス分析)
ガス分析採取位置は、炉内環境として、密
した炉蓋から配管にて吸気ポンプを用いて
引し、また、作業環境として、作業者の口
想定し炉蓋開口部より高さ1000mmの位置、及
、床面とした。分析は、株式会社東レリサ
チセンターに依頼し、試料ガスをインピン
ャーに通期して、成分を吸収液に捕集した
ガスは毎分1lで10分間通気し、吸収液には超
純水50mlを用いた。
得られた捕集液について、イオンクロマト
ラフにてフッ化物イオンの定量分析を行い
空気中のHF量を求めた。
試料を用いずに同様の操作を行い、ブラン
溶液とした。下記に測定条件を示す。
装置:Dionex社製 DX-500
試料注入量:100μl
溶離液:6mM-NaHCO3
分離カラム:φ2mm × 250mm Ion Pac AS14A
検出器:電気伝導度計
(炉内酸素濃度測定)
炉内酸素濃度は、横河製、ジルコニア式酸
濃度計、ZR22G-を用いて、炉蓋のフランジに
ンサーを固定し、溶湯表面から高さ100mmに
置した。蓋開放時の酸素濃度、及び、蓋密
から酸素濃度5%以下になるまでを、オシロス
コープにて記録した。
(比較例1:CO2+SF6)
図4は、650℃におけるCO2+SF6を混合したカバ
ガスの流量と、防燃ガスの混合割合と、発
時間との関係を示すグラフである。
発火し瞬間的に消えるものは発火と見なさ
、火種が残った場合までの時間とした。混
ガス流量及び濃度を変化させた場合、カバ
ガス流量が20l/min/m 2
の場合は、濃度をあげても発火時間はあまり
延びなかったが、40l/min/m 2
では濃度とほぼ比例し発火時間が長くなった
。また、カバーガス流量が60l/min/m 2
では濃度とほぼ比例し40l/min/m 2
よりも僅かに発火時間が長くなった。
(比較例2:CO2+HFC-134a)
図5は、650℃におけるHFC-134aを混合したカバ
ガスの流量と、防燃ガスの混合割合と、発
時間との関係を示すグラフである。
SF6よりも発火時間が若干早いが、同じ傾向
得られた。しかし、保護ガス濃度0.1体積%、
カバーガス流量20l/min/m 2
の場合、発火開始までの時間が40秒と極端に
かった。
(比較例3:CO2+HFE-254pc)
図6は、650℃におけるHFE-254pcを混合したカバ
ーガスの流量と、防燃ガスの混合割合と、発
火時間との関係を示すグラフである。
保護ガス濃度0.1体積%、カバーガス流量20l/mi
n/m 2
の場合、発火開始までの時間が極端に短かっ
た。
(実施例1:CO2+OHFC-1234ze)
図7は、650℃におけるOHFC-1234zeを混合したカ
ーガスの流量と、防燃ガスの混合割合と、
火時間との関係を示すグラフである。
HFC-134aとほぼ同じ発火時間であったが、若
低流量側において発火時間が長い傾向にあ
。また、同様に0.1体積%、20l/min/m2では、発火
開始時間が50秒位であるので実用的には推奨
きない。
(実施例2:CO2+HFC-245fa)
図8は、650℃におけるHFC-245faを混合したカバ
ーガスの流量と、防燃ガスの混合割合と、発
火時間との関係を示すグラフである。
発火開始時間は非常に長く、SF6ガスよりも
好な発火時間を示した。このガスは非常に
気比重が重いガスであることから、蓋開放
に溶湯表面に留まる事と、フッ素を湯面に
量に供給するためではないかと考えられる
(実施例3:CO2+CF3I)
図9は、650℃におけるCF3Iを混合したカバー
スの流量と、防燃ガスの混合割合と、発火
間との関係を示すグラフである。
発火開始時間は非常に長く、HFC-245faとほぼ
じ発火時間を示した。このガスも非常に蒸
比重が重いガスであることから、蓋開放時
溶湯表面に留まる事と、フッ素を湯面に大
に供給するためではないかと考えられる。
炉蓋内には分解したヨウ素と思われる青紫
が確認され、濃度が高くなるに連れその傾
は顕著に成った。
図10、図11、図12は、各流量における各カバ
ガスの発火開始時間を詳しく示すグラフで
る。カバーガス流量で20l/min/m 2
では、OHFC-1234ze、HFC-245fa、CF3IはSF6とほぼ同等
の防燃性を有し、次いでHFC―134a、HFE―254pcと
なった。HFE-254pcの濃度0.1%では、蓋開放と同
に発火し燃焼した。
カバーガス流量40l/min/m 2
では、HFC-245fa、CF3IはSF6とほぼ同等の防燃性
有し、次いでOHFC-1234zeとHFC―134aであった。
この事から、各ガスの防燃性は蒸気比重が重
いガスほど防燃性が高い事が確認された。ま
た、質量濃度に換算した場合、今回調査した
ガスはHFE-254pcを除きほぼ同等であった。
コールドチャンバーダイカストの溶解へ本
査ガスへの代替置換は十分可能であり、代
ガスを使用することにより、地球温暖化ガ
を90%~99%削減する事が可能となる。
(分解ガスの濃度分析)
表3に炉内・作業者の口を想定し炉蓋開口部
より高さ1000mmの位置、及び、床面における分
解ガスを分析した結果を示す。今回は地球温
暖化ガス排出量の少ないOHFC-1234ze、CF3Iのみの
分析とした。この時のカバーガス濃度は0.2体
積%でカバーガス流量は40l/min/m 2
である。
(各採取位置におけるHF濃度)
蓋を開けて数秒で炉内酸素濃度は2%から15%
上に上昇した。このことから炉内清掃用蓋
開ける事により、炉内の保護ガスはほぼ全
空気に置換されてしまう事がわかる。
カバーガス流量にもよるが、5%以下に低下
るまでに10分以上の時間を要した。本装置の
カバーガス容積は0.32m 3
から置換効率が100%でも20l/minでガスを供給し
場合16分を必要する。
(混合ガスの防燃性の評価)
今回調査した実施例のカバーガスはSF6、HFC-
134aを混合したカバーガス(比較例のガス)とほ
ぼ同等の防燃性を有し、比較ガスのHFC-134aよ
も優れる事から、コールドチャンバーダイ
スの溶解炉に適用することが可能であるこ
が確認された。
OHFC-1234zeおよび、CF3I に代替した場合CO2換
でSF6に比較し90%以上の温室効果ガスの削減
可能であることが確認された。
11 キャリアガス貯留手段
14 防燃ガス貯留手段
20 コールドチャンバー用溶解炉(溶湯貯留
段)
Next Patent: FLUORESCENT DISCHARGE LAMP TUBE, AND LIQUID CRYSTAL DISPLAY DEVICE
