Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF PROCESSING SURFACE OF SOLID RAW MATERIAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/139997
Kind Code:
A1
Abstract:
A surface of a metallic or resinous plate material is processed by forming grooves having a rough bottom in the surface so that the processed surface has a center-line average surface roughness approximate to the center-line average surface roughness of a cloth such as a silk cloth, cotton cloth, hemp cloth, or polyester cloth, and that the processed surface, when fingers are slid on the surface, shows heat transfer to the fingers in a degree approximate to the degree of heat transfer from a surface of the cloth such as a silk cloth, cotton cloth, hemp cloth, or polyester cloth to the fingers likewise slid on the surface. Thus, a surface which is composed of grooves and ribs and feels like a cloth to the touch is formed. By the method, a surface which feels like a cloth such as a silk cloth, cotton cloth, hemp cloth, or polyester cloth to the touch can be imparted to a surface of a solid raw material such as a metal or resin.

Inventors:
TACHI SUSUMU (JP)
NAKATANI MASASHI (JP)
JO KENSEI (JP)
KAWAKAMI NAOKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058491
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
May 07, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
UNIV TOKYO (JP)
TACHI SUSUMU (JP)
NAKATANI MASASHI (JP)
JO KENSEI (JP)
KAWAKAMI NAOKI (JP)
International Classes:
B44C1/00; B44C1/20
Foreign References:
JPH0631873A1994-02-08
JP2002293097A2002-10-09
JPH10329840A1998-12-15
JP2003127598A2003-05-08
JPS63112779A1988-05-17
Attorney, Agent or Firm:
ITEC INTERNATIONAL PATENT FIRM (3-3 Uchisaiwai-cho 1-chom, Chiyoda-ku Tokyo, JP)
Download PDF:
Claims:
 金属または樹脂などの加工性が良好な固体素材の表面に加工を施して該表面を布の触感を与える布触感表面とする固体素材の表面加工方法であって、
 対象とする布である対象布の表面の中心線平均粗さの平均値に対する前記布触感表面の中心線平均粗さの平均値が所定範囲内となると共に前記布触感表面に触れて滑るように移動させたときの触部の温度の時間変化と前記対象布の表面に触れて滑るように移動させたときの触部の温度の時間変化との差分が所定値の範囲内となるよう前記布触感表面を形成する、
 ことを特徴とする固体素材の表面加工方法。
 請求項1記載の固体素材の表面加工方法であって、
 前記所定範囲は、0.8~1.2の範囲であり、
 前記所定値は、0.1℃/秒である、
 固体素材の表面加工方法。
 前記布触感表面は、1mm以内の所定間隔毎に0.2mm以内の所定深さで0.99mm以内の所定幅の溝を形成してなる請求項1または2記載の固体素材の表面加工方法。
 前記布触感表面は、0.5mmの間隔毎に0.1mmの深さで0.45mmの幅の溝を形成してなる請求項3記載の固体素材の表面加工方法。
 前記溝の底部を粗面として形成してなる請求項3または4記載の固体素材の表面加工方法。
 前記布触感表面は、触れて滑るように移動させたときの触れた直後から3秒経過するまでに触部の温度が0.8℃までの範囲内で低下するよう形成されてなる請求項1ないし5いずれか記載の固体素材の表面加工方法。
 前記布触感表面は、中心線平均粗さの平均値として前記対象布の表面の中心線平均粗さの平均値とは異なる第1の値を有する複数の第1の面と中心線平均粗さの平均値として前記第1の値とは異なる第2の値を有する複数の第2の面とを交互に配置されてなり、且つ、前記第1の面と前記第2の面との面積比により前記第1の値と前記第2の値とを案分したときの値が前記所定範囲内となるよう形成されてなる請求項1または2記載の固体素材の表面加工方法。
 前記第1の面と前記第2の面のうち面積が大きい方の面の中心線平均粗さの平均値は前記対象布の表面の中心線平均粗さの平均値の1.0倍から7.0倍の範囲内となるよう形成されてなる請求項7記載の固体素材の表面加工方法。
 前記第1の面と前記第2の面は、1.5mm以上で8.5mm以下の幅で且つ前記第1の面と前記第2の面との幅の和が10mm以下となるよう形成されてなる請求項7または8記載の固体素材の表面加工方法。
 前記布触感表面は、中心線平均粗さの平均値として前記対象布の表面の中心線平均粗さの平均値とは異なる複数の値を有する複数の面が混在してなり、且つ、前記複数の面の面積比を重みとして前記複数の値を加重平均したときの値が前記所定範囲内となるよう形成されてなる請求項1または2記載の固体素材の表面加工方法。
 前記固体素材として、フライパンや包丁,ノコギリ,金槌などの柄、ドアノブ、コップの取っ手、引き出しの引き部、筆記具のグリップ部、いすの肘置きなどの接触部に対して少なくとも一部の表面を前記布触感表面とする請求項1ないし10いずれか記載の固体素材の表面加工方法。
Description:
固体素材の表面加工方法

 本発明は、固体素材の表面加工方法に関 、詳しくは、金属または樹脂などの加工性 良好な固体素材の表面に加工を施して表面 布の触感を与える布触感表面とする固体素 の表面加工方法に関する。

 従来、この種の固体素材の表面加工方法 しては、金属素材により形成されたコップ どの取っ手に滑りを抑制するようその表面 凹凸を形成したり、缶ジュースなどの表面 おける熱伝導を抑制するために表面を粗く たり、デスクの天板の表面における滑りを くするために表面を粗面としたりすること 提案されている。

 上述の固体素材の表面加工方法では、表 加工を施しても、金属素材では金属として 触感を保持し、樹脂素材では樹脂としての 感を保持しており、金属や樹脂以外の他の 材の触感とするものではなかった。金属や 脂の表面の触感を布の触感とすることがで れば、さわり心地をよくすることができる 共に冷たいイメージや劣化品のイメージを 拭することができる。

 本発明の固体素材の表面加工方法は、金 や樹脂などの固体素材の表面に布の触感を えることを主目的とする。

 本発明の固体素材の表面加工方法は、上 の主目的を達成するために以下の手段を採 た。

 本発明の固体素材の表面加工方法は、
 金属または樹脂などの加工性が良好な固体 材の表面に加工を施して該表面を布の触感 与える布触感表面とする固体素材の表面加 方法であって、
 対象とする布である対象布の表面の中心線 均粗さの平均値に対する前記布触感表面の 心線平均粗さの平均値が所定範囲内となる 共に前記布触感表面に触れて滑るように移 させたときの触部の温度の時間変化と前記 象布の表面に触れて滑るように移動させた きの触部の温度の時間変化との差分が所定 の範囲内となるよう前記布触感表面を形成 る、
 ことを特徴とする。

 この本発明の固体素材の表面加工方法で 、対象とする布である対象布の表面の中心 平均粗さの平均値に対する金属または樹脂 どの加工性が良好な固体素材の表面におけ 布の触感を与える布触感表面の中心線平均 さの平均値が所定範囲内となると共に布触 表面に触れて滑るように移動させたときの 部の温度の時間変化と対象布の表面に触れ 滑るように移動させたときの触部の温度の 間変化との差分が所定値の範囲内となるよ 布触感表面を形成する。即ち、固体素材の 面の中心線平均粗さと対象布の表面の中心 平均粗さとを所定割合の範囲内で一致させ と共に固体素材の表面における触部への熱 達と対象布の表面における触部への熱伝達 を所定の範囲内で一致させることにより、 体素材に形成された布触感表面に対象布の 面の触感を与えることができるのである。

 ここで、本発明の固体素材の表面加工方 において、対象布としては絹や木綿,麻など の天然繊維やポリエステルなど合成繊維によ り織られた布を挙げることができ、固体素材 としてはアルミニウムや鉄,ステンレス,銅,亜 鉛などの金属やアクリル樹脂や塩化ビニル樹 脂,ポリエチレン樹脂などの種々の樹脂を挙 ることができる。

 また、本発明の固体素材の表面加工方法 おいて、対象布の表面の中心線平均粗さの 均値に対する固体素材の布触感表面の中心 平均粗さの平均値が0.8~1.2の範囲内、更に好 ましくは0.9~1.1の範囲内であるものとしたり 布触感表面に触れて滑るように移動させた きの触部の温度の時間変化と対象布の表面 触れて滑るように移動させたときの触部の 度の時間変化との差分が0.1℃/秒の範囲内、 に好ましくは0.05℃/秒の範囲内であるもの したりすることができる。これらは、触部 感度により許容される範囲が定まる。

 さらに、本発明の固体素材の表面加工方 において、固体素材の布触感表面は、1mm以 の所定間隔毎に0.2mm以内の所定深さで0.99mm 内の所定幅の溝を形成してなるものとする ともできる。この場合、布触感表面は、0.5mm の間隔毎に0.1mmの深さで0.45mmの幅の溝を形成 てなるものとするものとしてもよい。この 合、前記溝の底部を粗面として形成してな ものとすることもできる。こうすれば、溝 底部の粗さを調整することにより、固体素 の布触感表面の中心線平均粗さの平均値を 整することができる。

 また、本発明の固体素材の表面加工方法 おいて、前記布触感表面は、触れて滑るよ に移動させたときの触れた直後から3秒経過 するまでに触部の温度が0.8℃までの範囲内で 低下するよう形成されてなるものとすること もできる。こうすれば、布触感表面に布の触 感を与えることができる。

 本発明の固体素材の表面加工方法におい 、前記布触感表面は、中心線平均粗さの平 値として前記対象布の表面の中心線平均粗 の平均値とは異なる第1の値を有する複数の 第1の面と中心線平均粗さの平均値として前 第1の値とは異なる第2の値を有する複数の第 2の面とを交互に配置されてなり、且つ、前 第1の面と前記第2の面との面積比により前記 第1の値と前記第2の値とを案分したときの値 前記所定範囲内となるよう形成されてなる のとすることもできる。これは、人の指の 度に基づく。この場合、前記第1の面と前記 第2の面のうち面積が大きい方の面の中心線 均粗さの平均値は前記対象布の表面の中心 平均粗さの平均値の1.0倍から7.0倍の範囲内 なるよう形成されてなるものとすることも きる。また、前記第1の面と前記第2の面は、 1.5mm以上で8.5mm以下の幅で且つ前記第1の面と 記第2の面との幅の和が10mm以下となるよう 成されてなるものとすることもできる。こ は、通常、人の指で面の粗さを検知するこ ができる幅の最小が1.5mm程度であることや人 の指で面の粗さを検知することができる最大 の幅(接触面の幅)が10mm程度であることに基づ く。

 本発明の固体素材の表面加工方法におい 、前記布触感表面は、中心線平均粗さの平 値として前記対象布の表面の中心線平均粗 の平均値とは異なる複数の値を有する複数 面が混在してなり、且つ、前記複数の面の 積比を重みとして前記複数の値を加重平均 たときの値が前記所定範囲内となるよう形 されてなるものとすることもできる。

 こうした本発明の固体素材の表面加工方 は、固体素材として、フライパンや包丁,ノ コギリ,金槌などの柄、ドアノブ、コップの っ手、引き出しの引き部、筆記具のグリッ 部、いすの肘置きなどの接触部に対して少 くとも一部の表面を布触感表面とする場合 用いることができる。こうすれば、金属や 脂により接触部を形成しても、接触部に布 触感を与えることができる。

本発明の一実施例としての絹触感を与 る布触感表面30が形成されたアルミニウム 20の構成の概略を示す構成図である。 実施例のアルミニウム板20の布触感表 30の断面を拡大して示す拡大断面図である。 実施例のアルミニウム板20の布触感表 30のリブ32や溝34に沿った表面と絹やポリエ テルによる布の表面と比較例の表面の中心 平均粗さの分布と平均値との一例を示す説 図である。 実施例の布触感表面30とアルミニウム 板の表面と絹や木綿による布の表面との各 に指を当てて滑るように動かしたときの指 表面の温度の時間変化の一例を計算した計 結果を示す説明図である。 実施例の布触感表面30とアルミニウム 板の表面と絹や木綿による布の表面との各 に指を当てて静止したときの指の表面の温 の時間変化の一例を計算した計算結果を示 説明図である。 ステンレス板に形成された布触感表面 ステンレス平板の表面と絹や木綿による布 表面との各々に指を当てて滑るように動か たときの指の表面の温度の時間変化の一例 計算した計算結果を示す説明図である。 銅板に形成された布触感表面と銅平板 表面と絹や木綿による布の表面との各々に を当てて滑るように動かしたときの指の表 の温度の時間変化の一例を計算した計算結 を示す説明図である。 アクリル樹脂の板に形成された布触感 面とアクリル樹脂の平板の表面と絹や木綿 よる布の表面との各々に指を当てて滑るよ に動かしたときの指の表面の温度の時間変 の一例を計算した計算結果を示す説明図で る。 塩化ビニル樹脂の板に形成された布触 表面と塩化ビニル樹脂の平板の表面と絹や 綿による布の表面との各々に指を当てて滑 ように動かしたときの指の表面の温度の時 変化の一例を計算した計算結果を示す説明 である。 変形例としての絹触感を与える布触感 表面50が形成された鉄板40の構成の概略を示 構成図である。

 次に、本発明を実施するための最良の形 を実施例を用いて説明する。図1は本発明の 一実施例としての絹触感を与える布触感表面 30が形成されたアルミニウム板20の構成の概 を示す構成図であり、図2は実施例のアルミ ウム板20の布触感表面30の断面を拡大して示 す拡大断面図である。実施例のアルミニウム 板20は、厚さが2mmに形成された板部材に、0.50 mm毎に幅が0.45mmで深さが0.10mmで底部が粗面と るよう複数の溝34を形成することにより、 部が粗面の複数の溝34と頂部が滑面の複数の リブ32とが配列する布触感表面30が形成され いる。このアルミニウム板20の布触感表面30 指を当ててリブ32や溝34に沿って滑らすよう に動かすと、指に絹布に近似した触感を与え る。このようにアルミニウム板20の布触感表 30が絹布の触感を与えるのは、布触感表面30 のリブ32や溝34に沿った表面の中心線平均粗 が絹布の表面の中心線平均粗さに近似して ると共に布触感表面30における指に対する熱 伝達と絹布の表面における指に対する熱伝達 とが近似していることに基づく。

 図3は実施例のアルミニウム板20の布触感 面30のリブ32や溝34に沿った方向における中 線平均粗さと絹やポリエステルによる布の 面や比較例の表面の中心線平均粗さの分布 よびその平均値の一例を示す説明図であり 図4は実施例の布触感表面30とアルミニウム 板の表面と絹や木綿による布の表面との各 に指を当てて滑るように動かしたときの指 表面の温度の時間変化の一例を計算した計 結果を示す説明図であり、図5は実施例の布 触感表面30やアルミニウム平板と絹や木綿に る布の各々の表面に指を当てて静止したと の指の表面の温度の時間変化の一例を計算 た計算結果を示す説明図である。図3中、比 較例1は実施例のアルミニウム板20の布触感表 面30のリブ32や溝34に対して垂直な方向におけ る中心線平均粗さの分布と平均値であり、比 較例2はアルミニウム板に1.00mm毎に幅が0.45mm 深さが0.10mmで底部が粗面となるよう複数の を形成することにより底部が粗面の複数の と幅が0.55mmで頂部が滑面の複数のリブとが 列する布触感表面のリブや溝に沿った方向 おける中心線平均粗さの分布と平均値であ 、比較例3は比較例2の布触感表面のリブや溝 に対して垂直な方向における中心線平均粗さ の分布と平均値である。また、図3中、ボッ スが中心線平均粗さの平均値を示し、「I」 がその分布を示す。実施例と比較例2のバッ クス内の二つの「I」印は、左側の「I」印が の底部の中心線平均粗さの分布を示し、右 の「I」印がリブの頂部の中心線平均粗さの 分布を示す。図4,5中、実線は実施例のアルミ ニウム板20の布触感表面30の場合を示し、破 は絹布の場合を示し、一点鎖線は木綿布の 合を示し、二点差線はアルミニウム平板の 合を示す。ここで、「中心線平均粗さ」は 一定方向の粗さ曲線を中心線から折り返し その粗さ曲線と中心線とによって得られる 積を中心線の長さで除して得ることができ 粗さ曲線をf(x),一定方向の長さをLとすれば 中心線は次式(1)により表わされ、中心線平 粗さRaは式(2)により表わされる。

 中心線=(1/L)・∫f(x)dt (1)
 Ra=(1/L)・∫|f(x)-中心線|dx (2)

 図3に示すように、実施例のアルミニウム 板20の布触感表面30は、リブ32や溝34に沿った 向における中心線平均粗さの平均値が絹布 ポリエステル布の表面の中心線平均粗さの 均値に近似する。このため、実施例の布触 表面30に指を当てて滑るようにリブ32や溝34 沿った方向に動かすと、布触感表面30の触 は絹布やポリエステル布に近似する触感と る。一方、布触感表面30のリブ32や溝34に対 て垂直な方向における中心線平均粗さの平 値は、比較例1に示すように、絹布やポリエ テル布の表面の中心線平均粗さの平均値よ 大きいため、布触感表面30に指を当てて滑 ようにリブ32や溝34に垂直な方向に動かすと 布触感表面30の触感は絹布やポリエステル に近似する触感とは若干異なる触感となる 比較例2や比較例3に示すように、リブと溝と の間隔を変更してその中心線平均粗さの平均 値を絹布やポリエステル布の表面の中心線平 均粗さの平均値から大きく異なるものとする と、布触感表面の触感は絹布やポリエステル 布に近似する触感とは全く異なる触感となる 。布触感表面30に絹布やポリエステル布の触 を与えるためには、布触感表面30の指で触 る方向の中心線平均粗さの平均値を絹布や リエステル布の表面の中心線平均粗さの平 値の割合として0.8~1.2の範囲内であればよく 更に0.9~1.1の範囲内であることが好ましい。 これらの範囲であれば、布の表面の粗さのバ ラツキや指の感度を考えれば十分に近似した 触感を与えることができる。

 図4に示すように、実施例のアルミニウム 板20の布触感表面30に指を当ててリブ32や溝34 沿った方向に滑るように動かしたときの指 表面の温度の時間変化は、絹布の表面に指 当てて滑るように動かしたときの指の表面 温度の時間変化に最も近い。このため、実 例のアルミニウム板20の布触感表面30の触感 は、木綿布の触感より絹布の触感に近いもの となる。このとき、布触感表面30に指を当て 滑るように動かしたときの指の表面の温度 時間変化と対象となる布の表面に指を当て 滑るように動かしたときの指の表面の温度 時間変化との差分は0.1℃/秒の範囲内であれ ばよく、更に0.05℃/秒の範囲内であることが ましい。この程度の範囲内であれば、指の 度変化に対する感度から考慮して、十分に 似した触感を与えることができる。なお、 施例のアルミニウム板20の布触感表面30にお ける指への熱伝達が若干小さくなるよう布触 感表面30のリブ32と溝34との間隔や溝34の底部 粗さを調整することにより、布触感表面30 触感を更に絹布の触感に近づけることがで る。図5に示すように、対象表面に指を当て 静止したときには、素材自体の熱伝達が支 的になるため、布触感表面30の触感は絹布 触感に近似しなくなる。

 次に、異なる材質の板材に布触感表面30 形成したときの触感について考える。図6~図 9にステンレスや銅,アクリル樹脂,塩化ビニル 樹脂の平板に実施例の布触感表面30と同一形 の布触感表面を形成したときの各材質毎の 触感表面と各材質毎の平板と絹や木綿によ 布との各々の表面に指を当てて滑るように かしたときの指の表面の温度の時間変化の 例を計算した計算結果を示す。図6,図7,図9 ら解るように、ステンレス板や銅板,塩化ビ ル樹脂の板に形成した布触感表面に指を当 て滑るように動かしたときの指の表面の温 の時間変化は、絹布の表面に指を当てて滑 ように動かしたときの指の表面の温度の時 変化に近似している。このため、ステンレ 板や銅板,塩化ビニル樹脂の板に形成した布 触感表面は、絹布の触感を与える。一方、図 8に示すように、アクリル樹脂の板に形成し 布触感表面に指を当てて滑るように動かし ときの指の表面の温度の時間変化は、木綿 の表面に指を当てて滑るように動かしたと の指の表面の温度の時間変化に近似してい 。このためアクリル樹脂の板に形成した布 感表面は、木綿布の触感を与える。このよ に、材質が異なることにより同一のパター により形成された布触感表面に対して布の 感が変化するのは、材質の指への熱伝達が なることに基づく。したがって、布触感表 のリブと溝との間隔を調整したり、溝の底 の粗さを調整することにより、布触感表面 おける指への熱伝達を対象とする布に近似 せれば、布触感表面に対象とする布の触感 与えることができる。なお、図4,図6~図9から 解るように、布触感表面に単に布の触感を与 えるだけであれば、布触感表面に指を当てて 滑るように動かしたときの指の表面の温度の 時間変化として指を当てた直後から3秒経過 るまでに指の表面の温度が0.8℃までの範囲 であればよい。

 以上説明した実施例のアルミニウム板20 布触感表面30に施した表面加工のように、布 触感表面30のリブ32や溝34に沿った表面の中心 線平均粗さを絹布や木綿布,麻布,ポリエステ 布などの布の表面の中心線平均粗さに近似 せると共に布触感表面30における指に対す 熱伝達を絹布や木綿布,麻布,ポリエステル布 などの布の表面における指に対する熱伝達に 近似させることにより、布触感表面30に絹布 木綿布,麻布,ポリエステル布などの布の触 を与えることができる。また、布触感表面 形成する板材の材質を異なるものとしても 布触感表面のリブと溝との間隔や溝の底部 粗さを調整してリブや溝に沿った表面の中 線平均粗さを絹布や木綿布,麻布,ポリエステ ル布などの布の表面の中心線平均粗さに近似 させると共に布触感表面における指に対する 熱伝達を絹布や木綿布,麻布,ポリエステル布 どの布の表面における指に対する熱伝達に 似させることにより、布触感表面に絹布や 綿布,麻布,ポリエステル布などの布の触感 与えることができる。

 こうした布触感表面30を形成する板材の 料としては、上述したアルミニウムやステ レス,銅の他に鉄や亜鉛などの種々の金属材 としてもよく、また、アクリル樹脂や塩化 ニル樹脂の他にポリエチレン樹脂などの種 の樹脂材料としてもよい。また、布触感表 30の形成部位としては、フライパンや包丁, コギリ,金槌などの柄や、ドアノブ、コップ の取っ手、引き出しの引き部、筆記具のグリ ップ部、いすの肘置きなどの種々の接触部に 有効である。この場合、接触部の全てに布触 感表面を形成する必要はなく、少なくとも一 部に布触感表面を形成すればよい。

 実施例のアルミニウム板20の布触感表面30 には、0.50mm毎に幅が0.45mmで深さが0.10mmで底部 が粗面となるよう複数の溝34を形成すること より底部が粗面の複数の溝34と頂部が滑面 複数のリブ32とが配列するようにしたが、布 触感表面の中心線平均粗さを絹布や木綿布, 布,ポリエステル布などの布の表面の中心線 均粗さに近似させればよいから、例えば1mm 内の所定間隔毎に幅が0.99mm以内の所定幅で さが0.2mm以内の所定深さで底部が粗面とな よう複数の溝を形成することにより底部が 面の複数の溝と頂部が滑面の複数のリブと 配列するようにしてもよい。この場合、布 織る繊維の材質だけでなく糸の太さや織り に応じてリブと溝との間隔や溝の底部の粗 とを調整すればよい。また、一方向にリブ 溝とを繰り返し形成するだけでなく、異な 方向に溝とリブと繰り返し形成するものと ても構わない。

 実施例のアルミニウム板20では、布触感 面30のリブ32や溝34に沿った表面の中心線平 粗さを絹布や木綿布,麻布,ポリエステル布な どの布の表面の中心線平均粗さに近似させる と共に布触感表面30における指に対する熱伝 を絹布や木綿布,麻布,ポリエステル布など 布の表面における指に対する熱伝達に近似 せることにより、布触感表面30に絹布や木綿 布,麻布,ポリエステル布などの布の触感を与 るものとしたが、リブ32や溝34に代えて粗さ が異なる2つの面の表面の中心線平均粗さを 布や木綿布,麻布,ポリエステル布などの布の 表面の中心線平均粗さに近似させると共に布 触感表面における指に対する熱伝達を絹布や 木綿布,麻布,ポリエステル布などの布の表面 おける指に対する熱伝達に近似させること より、布触感表面に絹布や木綿布,麻布,ポ エステル布などの布の触感を与えるものと てもよい。例えば、図10に例示するように、 厚さが2mmの鉄板40の表面の布触感表面50とし 、10mm毎に幅が8mmで中心線平均粗さが12μmと る第1の面52と幅が2mmで中心線平均粗さが0.5μ mとなる第2の面54とを形成するものとしても い。この例では、布触感表面50に指を当てて 図中矢印方向に滑るように動かすと、絹と似 た触感が得られる。この場合、第1の面52と第 2の面54との面積比は8:2であるから、この面積 比により各面の中心線平均粗さを案分すると 9.7μmとなり、絹や木綿の中心線平均粗さ(10μm 程度)に近似する。このように、2つの異なる さの面を用いても布の触感を得ることがで るのは、指の触感が平均的な粗さを検知し いると考えられることに基づく。したがっ 、面積比により各面の中心線平均粗さを案 した値の範囲は、対象となる布の中心線平 粗さの0.8倍~1.2倍程度が好ましいと考えられ る。また、主となる面、即ち、面積が大きい 方の面(図10の布触感表面50では第1の面52)は、 指の触感に対してある程度支配的となるため 、その中心線平均粗さは対象となる布の中心 線平均粗さの1.0倍から7.0倍程度が好ましいと 考えられる。さらに、人の指で面の粗さを検 知することができる幅の最小が1.5mm程度であ ことや人の指で面の粗さを検知することが きる最大の幅(接触面の幅)が10mm程度である とを考慮すると、表面の粗さの異なる2面( 10の布触感表面50では第1の面52と第2の面54)は 、共に1.5mm以上で8.5mm以下の幅で且つ2面(第1 面52と第2の面54)の幅の和が10mm以下となるよ にするのが好ましいと考えられる。また、 10の布触感表面50のように、縞状に第1の面52 と第2の面54とを配置する必要はなく、第1の 52と第2の面54との面積比が8:2であれば、第1 面52と第2の面54とを格子状に配置するものな どとしてもよい。なお、変形例では、粗さが 異なる2つの面52,54により布触感表面50を構成 るものとしたが、粗さの異なる3つ以上の面 を混在させて布触感表面を構成するものとし てもよい。この場合、各面の面積比を重みと して各面の中心線平均粗さを加重平均したと きの値が対象となる布の中心線平均粗さの0.8 倍~1.2倍程度となればよい。もとより、各面 幅は1.5mm以上で各面の幅の和が10mm以下とな ようにするのが好ましい。

 以上、本発明を実施するための最良の形 について実施例を用いて説明したが、本発 はこうした実施例に何等限定されるもので なく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内に いて、種々なる形態で実施し得ることは勿 である。

 本発明は、金属や樹脂によって物品を形 する産業などに利用可能である。