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Title:
METHOD FOR PRODUCING (1,3,5/2,4,6)-1-FLUORO-2,3,4,5,6-CYCLOHEXANEPENTOL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/014203
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing (1,3,5/2,4,6)-1-fluoro-2,3,4,5,6-cyclohexanepentol, which comprises a step (A) for producing a compound represented by the general formula (II) below by reacting a compound represented by the general formula (I) below with a reagent containing an F ion and a step (B) for removing a protecting group from the compound of the general formula (II). (In the formula (I), R1 represents a protecting group of a hydroxy group, and R2 represents a leaving group.) (In the formula (II), R1 represents a protecting group.)

Inventors:
YAMAGUCHI MASANORI
TAKAHASHI ATSUSHI
KUNO SHINICHI
Application Number:
PCT/JP2008/063369
Publication Date:
January 29, 2009
Filing Date:
July 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HOKKO CHEM IND CO (JP)
YAMAGUCHI MASANORI
TAKAHASHI ATSUSHI
KUNO SHINICHI
International Classes:
C07C29/10; C07C29/62; C07C29/76; C07C35/48; C07B59/00; C07B61/00
Domestic Patent References:
WO2007063940A12007-06-07
Foreign References:
JPH06157572A1994-06-03
Other References:
LOWE G. ET AL.: "Synthesis of [3H]-Labelled and Unlabelled 2-Deoxy-2-fluoro-myo-inositol and 1-Deoxy-1-fluoro-scyllo-inositol for Use in Studies of the Phosphoinositide Cycle", J. CHEM. SOC. PERKIN TRANS. 1, 1991, pages 1249 - 1253
Attorney, Agent or Firm:
OKUYAMA, Shoichi et al. (Akasaka NOA Bldg. 2-12, Akasaka 3-chome, Minato-k, Tokyo 52, JP)
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Claims:
 (1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの製造方法であって、
(A)次の一般式(I)で表される化合物[式(I)中、R 1 は水酸基の保護基を示し、R 2 は脱離基を示す]を、Fイオンを含む試薬と反応させ、一般式(II)の化合物[式(II)中、R 1 は保護基を示す]を製造する工程と、
 
 
次いで
(B)上記化合物(II)の保護基を除去する工程と、
を含む(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの製造方法。
 上記(A)の工程において使用されるFイオンを含む試薬が、金属塩である場合、該当する金属イオンの大きさに合わせたクラウンエーテル系相間移動触媒を共存させて反応させる請求項1記載の(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの製造方法。
 (C)イオン性物質を、イオン交換樹脂で除去する工程をさらに含む請求項1又は2に記載の(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの製造方法。
(D)脂溶性物質を、疎水性樹脂又は活性炭で除去する工程をさらに含む請求項1~3のいずれかに記載の(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの製造方法。
 (E)得られた(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールを水溶液として製剤化する工程をさらに含む請求項1~4のいずれかに記載の(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの製造方法。
 上記工程(A)、(B)、(C)、(D)、及び(E)を順次全て実施する(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの製造方法であって、全工程が5時間以内で実施される請求項5記載の(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの製造方法。
 上記工程(A)、(B)、(C)、(D)、及び(E)の全工程が60分以内で実施される請求項6記載の(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの製造方法。
 上記(A)の工程で使用するFイオンが、ポジトロン核種 18 Fであり、(1,3,5/2,4,6)-1-[ 18 F]フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールが得られる請求項1~7のいずれかに記載の(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの製造方法。
Description:
(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シ ロヘキサンペントールの製造方法

 本発明は、(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シ ロヘキサンペントールの製造方法に関する のであり、特に、脳内アミロイド蓄積の量 場所をPET(ポジトロン断層撮影法)で測定す ことを可能にするアミロイド標識試薬であ (1,3,5/2,4,6)-1-[ 18 F]フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントー の短時間製造方法に関するものである。

 (1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキ ンペントールの類縁物質であるシロ-イノシ トールはミオ-イノシトールの立体異性体の つで動物・植物中に広く見出される物質で り、特に哺乳動物の脳と腎臓には多く含ま ていることが判っている。ヒト脳内におけ 、それらイノシトール濃度は高く、ミオ-イ シトールが約4mM、シロ-イノシトールは約0.3 mMとされる(非特許文献1参照)。 

 近年、このシロ-イノシトールは、アルツ ハイマー病態マウスを用いた試験において、 経口投与によって補充することで、アルツハ イマー病の防除効果、治療効果を示すことが 発見され、アルツハイマー病の治療薬(非特 文献2~5参照)としての用途が期待されている また、シロ-イノシトールは、生体内におい て、脳血液関門を通過可能な低分子量の中性 糖であることも判っている。

 アルツハイマー病とは、認知能力が低下 る脳の病気であり、脳内で生産されるAβ42 プチドが繊維状に結合、変化し、アミロイ タンパクとなる過程で、神経細胞の破壊が こることに起因するといわれる病気である

 現段階では、シロ-イノシトールのアルツ ハイマー病の防除効果、治療効果の詳細な作 用機序は、まだ明確になっていない。しかし ながら、Aβ42ペプチドを用いたin vitro試験か は、アミロイドタンパクとの直接的なイン ーラクションを有することが示唆されてい (非特許文献2、3参照)。

 ここで、本発明者らは、シロ-イノシトー ルをポジトロン(陽電子放出原子)で標識した らば、静脈注射などで体内に与えることに り、アミロイドタンパクとの相互作用に基 き、脳内アミロイド蓄積の量、場所をPET(ポ ジトロン断層撮影法)で測定が可能となるの はないかとの発想に至った。

 このような新規な画像診断方法を可能とす ため、シロ-イノシトールをポジトロンで標 識する方法の確立が望まれている。しかしな がら、一般的にPET測定に使用されるポジトロ ンは、 11 C、 13 N、 15 O、 18 Fが使用され、いずれも短寿命核( 11 C半減期20分、 13 N半減期10分、 15 O半減期2分、 18 F半減期110分)である。このため、PET測定に使 するならば、一定量の放射活性を必要とす ため、医療用小型サイクロトロンなどでポ トロン核種発生後、短時間に目的の分子に 成、精製して使用しなければならない。
「NMR・イン・バイオメディスン(NMR in bi omedicine)」(イギリス)、2005年、18巻(No.1)、p.51-5 5 「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ ケミストリー(The Journal of biological chemistry) (米国)、2000年、 275巻(No.24)、p.18495-18502 「アナルズ・オブ・ニューロロジィ(Annal s of neurology)」(米国)、 2006 年、60巻(No.6)、p 668-676 「ジャーナル・オブ・モレキュラー・メ ディシン(Journal of molecular medicine)」(オラン )2007年、 85巻(No.6)、p603-611 「ネイチャー・メディスン(Nature medicine) 」(米国)、2006年、12巻(No.7)、p.801-808

 上記事情により、アルツハイマー病の早 画像診断を、PETを利用して行うべく、短時 で、立体特異的にシロ-イノシトールの水酸 基をポジトロン核種で標識・置換した物質を 合成し、かつ、静脈注射可能なレベルまで精 製を行う技術を確立することが切望されてい た。本発明は、このような課題を解決するべ くなされたものである。

 上記課題を解決するために、本発明者らは 鋭意研究した結果、次の一般式(III)で表さ るポジトロン標識化合物を採用し、目的と る(1,3,5/2,4,6)-1-[ 18 F]フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントー のための製造方法に想到した。
 

 すなわち、本発明は、上記課題を解決する めになされたものであり、(1,3,5/2,4,6)-1-フル オロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの製 方法であって、
(A)次の一般式(I)で表される化合物[式(I)中、R 1 は水酸基の保護基を示し、R 2 は脱離基を示す]を、Fイオンを含む試薬と反 させ、一般式(II)の化合物[式(II)中、R 1 は保護基を示す]を製造する工程と、
 
 
 
 
次いで
(B)上記化合物(II)の保護基を除去する工程と
を含む。

 本発明に係る(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5, 6-シクロヘキサンペントールの製造方法は、 の一実施の形態で、上記(A)の工程において 用されるFイオンを含む試薬が、金属塩であ る場合、該当する金属イオンの大きさに合わ せたクラウンエーテル系相間移動触媒を共存 させて反応させる。

 本発明に係る(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5, 6-シクロヘキサンペントールの製造方法は、 の一実施の形態で、(C)イオン性物質を、イ ン交換樹脂で除去する工程をさらに含む。

 本発明に係る(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5, 6-シクロヘキサンペントールの製造方法は、 の一実施の形態で、(D)脂溶性物質を、疎水 樹脂又は活性炭で除去する工程をさらに含 。

 本発明に係る(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5, 6-シクロヘキサンペントールの製造方法は、 の一実施の形態で、(E)得られた(1,3,5/2,4,6)-1- フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントール 水溶液として製剤化する工程をさらに含む

 本発明に係る(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5, 6-シクロヘキサンペントールの製造方法は、 の一実施の形態で、上記工程(A)、(B)、(C)、( D)、及び(E)を順次全て実施する(1,3,5/2,4,6)-1-フ ルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの 造方法であって、全工程が5時間以内好まし くは60分以内で実施される。

 本発明に係る(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6- クロヘキサンペントールの製造方法は、そ 一実施の形態で、上記(A)の工程で使用するF イオンが、ポジトロン核種 18 Fであり、(1,3,5/2,4,6)-1-[ 18 F]フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントー が得られる。

 本発明によれば、アルツハイマー病の早期 像診断を、PETを利用して行う目的において 短時間で、立体特異的にシロ-イノシトール の水酸基をポジトロン核種で標識した(1,3,5/2, 4,6)-1-[ 18 F]フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントー を合成し、かつ、静脈注射可能なレベルま 精製を行うことを可能とした(1,3,5/2,4,6)-1-フ オロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの 造方法が提供される。

 以下に、本発明に係る(1,3,5/2,4,6)-1-フルオ ロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの製造 法について、その実施の形態を参照しなが さらに詳細に説明する。

 1)一般式(I)化合物の合成
 本発明に使用される下記一般式(I)で表され 化合物の基本骨格は、ミオ-イノシトールで あり、5箇所のエカトリアル水酸基がR 1 により保護されており、また、1箇所のアキ ャル水酸基に脱離基が結合している物質で る。
    

 一般式(I)で表される化合物のR 1 の5箇所の水酸基の保護基としては、一般的 水酸基の保護基が使用され、具体的には、 ンジル系保護(ベンジル基または置換ベンジ 基)、アシル系保護(アセチル基、または、 素数3~20までのアシル基)、メトキシメチル保 護、エトキシエチル保護、tert-ブチル保護、 トラヒドロピラニル保護、アセタール保護 るいは、固定化担体に共有結合した上記の 護基などが例示される。また、これらの保 基は単一であっても、複合して使用されて 良い。

 また、一般式(I)で表される化合物のR 2 の1箇所の水酸基の脱離基としては、S N 2型の求核置換反応を起こす一般的な脱離基 使用され、具体的には、トリフレート基(ト フルオロメタンスルホニル基)、トシル系基 (トシル基若しくは置換トシル基)、メシル基 るいは固定化担体に共有結合した上記の脱 基などが例示される。

 本発明では、上記の保護基と脱離基の組み わせた化合物を使用することが出来るが、 れらの組み合わせの中で、異性体混入の低 、また合成・精製し易さ、という観点から ましいのは、R 1 がベンジル系保護、アセチル保護、メトキシ メチル保護、またはエトキシエチル保護の中 から選ばれる保護基であり、R 2 がトリフレート基、トシル系基の中から選ば れる脱離基である化合物である。また、固定 化担体に共有結合した上記の保護基などが例 示される。

 さらに具体的には、R 1 がベンジル基、R 2 がトリフレート基である下式Iaで表される化 物(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-ペンタキス-O-ベンジル- 2-トリフルオロメタンスルホニル-シクロヘキ サンヘキソール:(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis-O-ben zyl-2-trifluoromethanesulfonyl-cyclohexanehexol、(式Ia中 Bnはベンジル基を示す)]が使用される。本物 質はJournal of the Chemical Society, Perkin Transact ions 2、1249p、1991年の方法で合成例のある物 であり(上述の論文では、本物質はこの後、D MF溶媒中トリフルオロ酢酸Naを用いて、水酸 の反転反応に使用されている)、論文記載の4 工程の方法で製造することが可能である。そ の他、2位の反応性が低いことから、モル数 5モルに制限したベンジル基による保護化反 をミオ-イノシトールに直接行い、精製後に トリフレート基に導く方法でも、収率は低い が、2工程で製造することができる。
 本物質から、(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6- クロヘキサンペントールを製造する際にお るベンジル基の迅速な脱保護反応にはルイ 酸が使用できる。
 

 また同様に具体的には、R 1 がアセチル基、R 2 がトリフレート基である下式Ibで表される化 物[(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-ペンタキス-O-アセチル -2-トリフルオロメタンスルホニル-シクロヘ サンヘキソール:(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis-O-ac etyl-2-trifluoromethanesulfonyl-cyclohexanehexol(式Ib中、 Acはアセチル基を示す)]もまた使用される。 物質はZeitschrift fur Naturforschung B、42巻、628- 642p、1987年の方法で合成例のある物質であり( 上述の論文では、本物質はこの後、DMF溶媒中 チオール系物質とNaHを用いて、水酸基の反転 反応を行い、液晶製造に使用されている)、 文記載の2工程の方法で製造することが可能 ある。

 本物質から、(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6- クロヘキサンペントールを製造する際にお るアセチル基の迅速な脱保護反応には塩酸 硫酸などの鉱酸や、塩基性水溶液が使用で る。
 

 また、同様に具体的には、R 1 がテトラヒドロピラニル基、R 2 がトリフレート基である下式Icで表される化 物[(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-ペンタキス-O-テトラヒ ドロピラニル-2-トリフルオロメタンスルホニ ル-シクロヘキサンヘキソール:(1,2,3,5/4,6)-1,3,4 ,5,6-pentakis-O-(tetrahydropyran-2-yl)-2-trifluoromethanesul fonyl-cyclohexanehexol(式Ic中、THPはテトラヒドロ ラニル基を示す)]もまた使用される。
 

 本物質は、ミオ-イノシトールを原料にして 、微生物酸化によって製造できるシロ-イノ ースに3,4-Dihydro-2H-pyranを酸触媒存在下に作用 させ、5箇所のOH基をテトラヒドロピラニル基 によって保護した後に、NaBH 4 を用いてケトンを還元して得られる2異性体[( 1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis-O-(tetrahydropyran-2-yl)-cyc lohexanehexol、
(1,3,5/2,4,6)-2,3,4,5,6-pentakis-O-(tetrahydropyran-2-yl)-cy clohexanehexol]の内、ミオ-イノシトール骨格を する(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis-O-(tetrahydropyran-2 -yl)-cyclohexanehexolを精製・単離して、単離した 物質にトリフルオロメタンスルホン酸無水物 を作用させてトリフレート誘導体として製造 することができる。

 本物質から、(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5, 6-シクロヘキサンペントールを製造する際に けるテトラヒドロピラニル基の迅速な脱保 反応には塩酸や硫酸などの鉱酸や、酢酸や スコルビン酸などの有機酸が使用できる。

 2)F置換化合物の合成
 本短時間合成で使用されるFイオンは、 19 F(安定同位体)であっても、 18 F(ポジトロン核種)であっても使用可能である 。

 特に、 18 Fの発生方法は、既知の医療用小型サイクロ ロンを用いて発生させられるものを使用可 である。すなわち、 18 Oを含有する水([ 18 O]H 2 O )に陽子を照射し 18 O(p,n) 18 F核反応によって製造した [ 18 F]F陰イオンを利用するフッ素アニオン法であ る。本方法では、F陰イオンは水溶液中でフ 化水素の形態を有する。

 フッ化水素は、置換反応に使用するため 金属塩、又は、4級アルキルアンモニウム塩 に導かれたのち、直ちに、水を加熱留去され 、金属塩、又は、4級アルキルアンモニウム は乾燥させられる。次の置換反応において 、金属塩と4級アルキルアンモニウム塩は、 ちらも使用可能であるが、取り扱いの容易 から、金属塩が望ましい。

 金属塩に導くアルカリ金属類としては、ク ウンエーテル系触媒を使用するため、NaOH、 LiOH、KOH、K 2 CO 3 などの1価のアルカリ金属類の使用が望まし 。アルカリ金属類の作用させ方として、直 加えるか、または一旦、塩基性イオン交換 脂にF陰イオンを捕集したものにアルカリ金 類を溶解した液を通じて溶出させても良い

 金属塩を使用する場合、金属イオンの大 さに合わせたクラウンエーテル系触媒を使 するのが望ましく、具体的には、K塩に対し ては、18-クラウン-6や、Kryptofix222(登録商標) Na塩に対しては、15-クラウン-5、Li塩に対し は、12-クラウン-4などを用いることが出来る 。その使用量は一般式(I)の化合物のモル数に 対して、0.01倍モルから2倍モル好ましくは1.2 モル添加するのが望ましい。

 このようにして調製された金属塩クラウ エーテル系相間移動触媒複合体は、水溶液 あり、乾燥させるために加熱され、必要が れば減圧条件下、または不活性ガス気流下 、水が除去される。有機溶媒との共沸を利 した乾燥方法も利用できる。

 次に、Fイオンと金属塩クラウンエーテル 系相間移動触媒複合体に、溶媒と、一般式(I) の化合物が加えられ、置換化合物を合成する ことができる。以下に置換反応の詳細を述べ る。

 置換化合物の合成に使用する溶媒は、無 溶媒であり、かつ、非プロトン性極性溶媒 好ましい。具体的にはアセトニトリルや、 セトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチ ルスルホキシドが例示される。

 一般式(I)の化合物は、金属塩のモル数より 高く設定しておくのが好ましい。サイクロ ロンで発生させた 18 Fを使用する場合、具体的には発生する[ 18 F]金属塩のモル数が、微量(フェムトモルオー ダー)であるため、化合物(I)は最終的にシロ- ノシトールに変換され、生体への影響は全 問題が無い。従って、一般式(I)の化合物の 用量は、取り扱い作業が可能な量を設定す のが望ましい。

 反応温度は、溶媒の沸点に依存し、アセ ニトリル使用時には80~85℃、アセトン使用 には55~60℃、N,N-ジメチルホルムアミドやジ チルスルホキシド使用時には100℃以上で反 させることができる。

 反応時間は、上記の反応条件では、約2分 ~10分で反応は終了する。

 反応停止は、加熱及び減圧による溶媒の 去を行い、残渣を直ちに疎水性溶媒に溶解 懸濁させる(不溶化懸濁しているものの大半 はクラウンエーテル系触媒)。

 使用する疎水性溶媒は、反応後の置換化 物が溶解すれば特に限定されないが、たと ば、ジクロロメタン、クロロホルム、ヘキ ン、ペンタン、ジエチルエーテル、THFなど 溶媒であり、またこれらの混合溶媒でも良 。その後、この懸濁溶液を、適量のシリカ ルカラムに通じて溶出し、極性物質(クラウ ンエーテル系触媒、未反応金属塩など)を除 する。このようにして精製された溶液は、 の容器に移され、直ちに濃縮される。

 また、反応停止の別法として、加熱及び 圧による溶媒の留去を行い、残渣を直ちに 溶液に溶解・懸濁させる(不溶化懸濁してい るものの大半は置換化合物)。

 使用する水溶液は、反応後の置換化合物 懸濁すれば特に限定されないが、たとえば 水や、0.1N HCl水溶液などの水溶液である。 の後、この懸濁溶液を、Sep-Pak(登録商標)な の疎水性担体を有するカラムに通じ、水溶 極性物質(クラウンエーテル系触媒、未反応 金属塩など)を除去する。次いで、置換化合 を溶解することができる有機溶媒をカラム 通じて溶出させる。このようにして処理さ た溶液は次の容器に移され、直ちに濃縮さ る。

 上述の反応停止後の水溶性または極性物 を除去して精製する方法は、後述の過程に 響がなければ、必ずしも必要とするもので なく、加熱及び減圧による溶媒の留去の後 、脱保護反応に使用することができる。

 3)脱保護反応
 濃縮された物質は次に、5箇所水酸基の保護 基の脱保護に供される。脱保護方法は、保護 基によって個別に選択され、ベンジル系保護 であれば、水素添加、ルイス酸などが利用で き、アシル系保護、メトキシメチル保護、エ トキシエチル保護、テトラヒドロピラニル保 護、アセタール保護であれば、酸性アルコー ルや、酸性水溶液が使用できる。これら一般 的な保護基の除去方法が利用可能であるが、 本工程で必要な時間内に反応するものでなく てはならない。

 例えば、ベンジル基であれば、BBr 3 (ジクロロメタン溶液)などのルイス酸が好ま く、短時間で脱保護が可能であり、また、 シル系保護、メトキシメチル保護、エトキ エチル保護、テトラヒドロピラニル保護、 セタール保護であれば、酸性水溶液や、酸 アルコール溶液が短時間で脱保護が可能で る。酸性アルコール溶液に使用する酸とア コールは、一般的な物質を使用でき、p-ト エンスルホン酸、硫酸、塩酸などと、メタ ール、エタノールなどの組み合わせなどが 示される。さらに、アシル系保護の場合、 基性水溶液や、塩基性アルコール溶液を作 させても短時間で脱保護が可能である。

 反応時間と温度は、上記の反応条件では 約2分~10分で反応は終了するように、酸の量 や、反応温度などの調整で設定することが可 能である。

 脱ベンジル基用のBBr 3 を用いた脱保護反応の場合、反応後、使用し たBBr 3 のモル数の1.5~30倍のアルコール(メタノール エタノールなどの低沸点アルコールが望ま い)を少量加えて反応停止し、直ちに加熱減 により溶媒と、アルコールと反応して生じ 低沸点のトリアルコールホウ酸を留去し、 を加えて水溶液にする。

 脱ベンジル基用のBBr 3 を用いた反応の場合は、別の方法として、BBr 3 のモル数の1.5~30倍のアルコール(メタノール エタノールなどの低沸点アルコールが望ま い)を少量加えて反応停止すると、ベンジル が除去された糖が溶媒に溶解しきれずに凝 し、白濁物質が生じるので、これをろ過、 心分離または、グラスフィルターを用いて り出し、水に溶解して水溶液にすると、後 精製工程へ持ち込む不純物の量を大きく軽 できる。

 4)イオン交換樹脂精製、疎水性樹脂または 性炭精製
 上述のように得られた水溶液中に存在する( 1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサン ントールは、水溶解性が高く、中性物質で る。そのため目的物質以外を除去する目的 、酸性イオン交換樹脂、塩基性イオン交換 脂、疎水性樹脂または活性炭による精製を う。

 酸性イオン交換樹脂はH + タイプであれば使用でき、塩基性イオン交換 樹脂もOH - タイプであれば使用できる。本工程では、酸 を除去するのが最大の目的と成りえるので、 塩基性イオン交換樹脂量は、加える酸に対し て十分な吸着容量を持つ樹脂を準備する必要 がある。さらに脱離基の異常反応により僅か に生じたフェノール性物質は、この工程で、 塩基性イオン交換樹脂へ吸着し、除去される 。

 また、疎水性樹脂としてはSep-Pak(登録商 )C18などのODS(C18)結合担体や、活性炭が使用 きる。この工程では未反応の疎水性物質や 加熱減圧で除去しきれなかった低沸点疎水 物質を除去する。

 水溶液は、これらの樹脂を通過させる時 交換速度に留意しなければならない。早す ると十分に脱塩や脱疎水性物質の除去が出 ない可能性がある。好ましくは、樹脂の交 速度に合わせた最大線速での溶出が望まし 。

 また、他の精製方法として、HPLCによる目的 物質の精製も可能である。これはサンプルを 目的物質と不要な物質を分離できるHPLC条件 において、目的物質を含む画分を分取し、 製する方法で、 18 Fを用いたトレーサー物質の精製では一般的 使用例が多く存在する。

 具体的には、脱保護された物質を水など 溶媒に溶解し、これを糖分析用HPLC分取カラ ムに供して、(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シ クロヘキサンペントールを含み、かつ、他の 不要物を含まない画分をHPLC溶媒と共に取り し、これを濃縮し、HPLC溶媒を取り去ること 精製することができる。必要があれば、水 溶解後、上記に記載したイオン交換樹脂精 、疎水性樹脂または活性炭精製により高度 精製することができる。

 5)製剤化
 最終的に得られる溶液は、必要があれば遠 分離後、上清を無菌化するために、滅菌フ ルターを通して無菌化することが出来る。 た、必要であれば、pH調節剤、浸透圧調節 を添加することが出来る。

 フッ化水素として、サイクロトロンからのF イオンを使用する場合、 18 Fは、 18 O(p,n) 18 F核反応により製造され、生じる 18 F数は、ごく僅かであり、そのため、本反応 よりPET用に調整される(1,3,5/2,4,6)-1-[ 18 F]フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントー の製剤中の含有量は高くても数pgである。最 も多く生じる物質(99%以上)は、F陰イオンの代 わりにOH陰イオンが、一般式(I)の脱離基と置 した物質から生じるシロ-イノシトールであ る。また、他の不純物として、トリフレート が加水分解した物質から生じるミオ-イノシ ールが混入する。

 上述した1)~5)の工程で調製された(1,3,5/2,4, 6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペント ルは、各工程にかかる時間は短く、およそ40 ~50分以内で調製が可能である。すなわち、60 以内の調製が可能となる。

  18 Fと 19 Fの化学的反応性などの同位体効果は極めて さく、そのため、本実施例では 19 Fを用いた試験をもって、反応から精製まで 短時間製造を実証する。
 実施例1、3、5では、等モルの[ 19 F]HFを用いて、目的の(1,3,5/2,4,6)-1-[ 18 F]フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントー が短時間で合成されることを証明する。実 例1は化合物Iaを用いた実施例(脱保護反応にB Br 3 使用)、実施例3は化合物Ibを用いた実施例(脱 護反応にHCl使用)を示し、実施例5は、化合 Icを用いた実施例(脱保護反応にHClを使用)を す。
 実施例2、4、6では、それぞれの化合物にお て、水を用いたブランク試験を行い、サン ル中に主として生成する物質がシロ-イノシ トールであることを証明する。

 実施例1:化合物Ia[(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis-O- benzyl-2-
trifluoromethanesulfonyl-cyclohexanehexol]からの1-デオ シ-1-フルオロ-シロ-イノシトール(1,3,5/2,4,6)- 1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントー の短時間製造
 30ml容バイアル瓶にK 2 CO 3 11.0mg(80μmol:K換算160μmol)と、Kryptofix222 75mg(200 mol)を量り取り、これにHF 120μmol を含む1ml 水を入れ、溶解させ、直ちに減圧下、75℃で 水分を蒸発させ、常圧に戻しアセトニトリル 1mlを加え、直ちに減圧下、75℃で水分を共沸 より除去し、固体を得た。

 ここに、化合物Ia[(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis-O -benzyl-2-
trifluoromethanesulfonyl-cyclohexanehexol]92mg(分子量763: 121μmol)を5mlの乾燥アセトニトリルに溶解させ た溶液を加えて、固体を溶解させた後、アル ゴン雰囲気下、95℃8分間反応させた。この段 階で、アセトニトリルの大半は蒸発する。常 温に戻し、ここにヘキサン:CHCl 3 =2:1から成る溶媒を4ml加え抽出する。抽出液 懸濁液になり、この溶液をシリカゲルカラ (1ml容積)に通過させ、固体と極性物質を除去 する。通過液は、直ちに減圧下、50℃で溶媒 蒸発させ、粘凋な置換化合物を得た。

 ここに、アルゴン雰囲気下、250mM BBr 3 溶液4ml(CH 2 Cl 2 溶液:1mmol)を加えて、室温8分間反応させた。 の段階で、保護基が除去され、目的物質は ウ素複合体として溶解している。その後、 タノールを1ml加え反応停止した。発熱と共 ホウ酸複合体が切れて、溶液中に不溶の反 物質が遊離し、白濁した。次に、この白濁 液をガラスフィルターに通じて、固体を回 し、エタノール1mlを通して固体を洗浄し、2 0秒Heガスを通じて、溶媒を蒸発させた。

 ガラスフィルターに水を4ml加えて、溶解さ ながら溶出(溶出速度1ml/分)させ、溶出液は OH - 型強塩基性イオン交換樹脂(1.2ml容積)、H + 型強酸性イオン交換樹脂(1.2ml容積)、活性炭(0 .5ml容積)、および0.45μmフィルターを連結し通 過させ、さらに2ml水を加えて洗浄し、5.6mlの 溶液を得た。

 上記のように調製した水溶液は、中性であ 、濃縮後の 1 H-NMR測定では、(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6- クロヘキサンペントール:シローイノシトー ル=97:3の混合物であった。他の化合物のシグ ルは検出されなかった。また(1,3,5/2,4,6)-1-フ ルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールの 率は乾燥固体重量(9mg)から換算して約40%で った。また、ここまでの製造にかかった時 は、40分であった。

 この結果から、本発明の反応により溶液 のF陰イオンを効率よく、(1,3,5/2,4,6)-1-フル ロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールとして 、短時間(40分間)に反応させることが可能で ることが判る。

 実施例2:化合物Ia[ (1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis- O-benzyl-2-
trifluoromethanesulfonyl-cyclohexanehexol]からのHFを使 しない、水を用いたブランク試験
 30ml容バイアル瓶にK 2 CO 3  11.0mg(80μmol:K換算160μmol)と、Kryptofix222 75mg(20 0μmol)を量り取り、これに1mlの水を入れ、溶 させ、直ちに減圧下、75℃で水分を蒸発させ 、常圧に戻しアセトニトリル1mlを加え、直ち に減圧下、75℃で水分を共沸により除去し、 体を得た。
 ここに、化合物Ia[ (1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis -O-benzyl-2-
trifluoromethanesulfonyl-cyclohexanehexol]92mg(分子量763: 121μmol)を5mlの乾燥アセトニトリルに溶解させ た溶液を加えて、固体を溶解させた後、アル ゴン雰囲気下、95℃8分間反応させた。この段 階で、アセトニトリルの大半は蒸発する。常 温に戻し、ここにヘキサン:CHCl 3 =2:1から成る溶媒を4ml加え抽出する。抽出液 懸濁液になり、この溶液をシリカゲルカラ (1ml容積)に通過させ、固体と極性物質を除去 する。通過液は、直ちに減圧下、50℃で溶媒 蒸発させ、粘凋物質を得た。

 ここに、アルゴン雰囲気下、250mM BBr 3 溶液4ml(CH 2 Cl 2 溶液:1mmol)を加えて、室温8分間反応させた。 の段階で、保護基が除去され、反応物質は ウ素複合体として溶解している。その後、 タノールを1ml加え反応停止した。発熱と共 ホウ酸複合体が切れて、溶液中に不溶の反 物質が遊離し、白濁した。次に、この白濁 液をガラスフィルターに通じて、固体を回 し、エタノール 1mlを通して固体を洗浄し 20秒Heガスを通じて、溶媒を蒸発させた。

 ガラスフィルターに水を4ml加えて、溶解さ ながら溶出(溶出速度1ml/分)させ、溶出液は OH - 型強塩基性イオン交換樹脂(1.2ml容積)、H + 型強酸性イオン交換樹脂(1.2ml容積)、活性炭(0 .5ml容積)、および0.45μmフィルターを連結し通 過させ、さらに2ml水を加えて洗浄し、5.6mlの 溶液を得た。

 上記のように調製した水溶液は、中性であ 、濃縮後の 1 H-NMR測定では、シロ-イノシトール:ミオ-イノ トール=99.6:0.4の混合物であった。他の化合 のシグナルは検出されなかった。また収率 乾燥固体重量(11mg)から換算して約50%であっ 。また、ここまでの製造にかかった時間は 40分であった。シロ-イノシトールは、F陰イ オンと同様に反応したOH陰イオンの反転脱離 応の産物であり、ミオ-イノシトールは微量 のトリフレートの加水分解によるものと考え られる。

 この結果から、実際の核反応により生じる[ 18 F]HFは、溶液中への発生が少ないことを考慮 ると、化合物Iaを用いて製造される水溶液に は、シロ-イノシトールと、ミオ-イノシトー が主として含まれることが判る。従って、 全性の面からも問題ないことが判る。

 実施例3:化合物Ib[(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis-O- acetyl-2-
trifluoromethanesulfonyl-cyclohexanehexol]からの(1,3,5/2, 4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペント ールの短時間製造
 30ml容バイアル瓶にK 2 CO 3  11.0mg(80μmol:K換算160μmol)と、Kryptofix222 75mg(20 0μmol)を量り取り、これにHF 120μmol を含む1ml の水を入れ、溶解させ、直ちに減圧下、75℃ 水分を蒸発させ、常圧に戻しアセトニトリ 1mlを加え、直ちに減圧下、75℃で水分を共 により除去し、固体を得た。

 ここに、化合物Ib[(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis-O -acetyl-2-
trifluoromethanesulfonyl-cyclohexanehexol]63mg(分子量522. 4:121μmol)を5mlの乾燥アセトニトリルに溶解さ た溶液を加えて、固体を溶解させた後、ア ゴン雰囲気下、95℃8分間反応させた。この 階で、アセトニトリルの大半は蒸発する。 温に戻し、ここにジエチルエーテル溶媒を4 ml加え抽出する。抽出液は懸濁液になり、こ 溶液をシリカゲルカラム(1ml容積)に通過さ 、固体と極性物質を除去する。通過液は、 ちに減圧下、50℃で溶媒を蒸発させ、粘凋な 置換化合物を得た。

 ここに、アルゴン雰囲気下、1N HCl水溶液5ml を加えて、閉鎖系で攪拌しながら100℃15分間 応させた。この段階で保護基が除去され、 的物質は水に溶解している。続いて、この 応させた溶液をH + 型強酸性イオン交換樹脂(1.2ml容積)、OH - 型強塩基性イオン交換樹脂(10ml容積)、Sep-pak( 録商標)C18カラム(0.4ml容積)、および0.45μmフ ルターを連結し通過させ、さらに水10mlを加 えて洗浄し、15mlの水溶液を得た。

 上記のように調製した水溶液は、中性であ 、濃縮後の 1 H-NMR測定では、(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6- クロヘキサンペントール:シローイノシトー ル:ミオ-イノシトール=62:35:3の混合物であっ 。他の化合物のシグナルは検出されなかっ 。また(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロ キサンペントールの収率は乾燥固体重量(4mg) から換算して約12%であった。また、ここまで の製造にかかった時間は、50分であった。

 この結果から、化合物Iaを用いた実施例1 りも化合物Ibを用いた場合、放射化学的収 は低下すると予想されるが、本発明の反応 より溶液中のF陰イオンを(1,3,5/2,4,6)-1-フルオ ロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールとして 短時間(50分間)に反応させることが可能であ ることが判る。

 実施例4:化合物Ib[ (1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis- O-acetyl-2-
trifluoromethanesulfonyl-cyclohexanehexol]からのHFを使 しない、水を用いたブランク試験
 30ml容バイアル瓶にK 2 CO 3  11.0mg(80μmol:K換算160μmol)と、Kryptofix222 75mg(20 0μmol)を量り取り、これに1mlの水を入れ、溶 させ、直ちに減圧下、75℃で水分を蒸発させ 、常圧に戻しアセトニトリル1mlを加え、直ち に減圧下、75℃で水分を共沸により除去し、 体を得た。

 ここに、化合物Ib[ (1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis -O-acetyl-2-
trifluoromethanesulfonyl-cyclohexanehexol]63mg(分子量522. 4:121μmol)を5mlの乾燥アセトニトリルに溶解さ た溶液を加えて、固体を溶解させた後、ア ゴン雰囲気下、95℃8分間反応させた。この 階で、アセトニトリルの大半は蒸発する。 温に戻し、ここにジエチルエーテル溶媒を4 ml加え抽出する。抽出液は懸濁液になり、こ 溶液をシリカゲルカラム(1ml容積)に通過さ 、固体と極性物質を除去する。通過液は、 ちに減圧下、50℃で溶媒を蒸発させ、粘凋な 置換化合物を得た。

 ここに、アルゴン雰囲気下、1N HCl水溶液5ml を加えて、閉鎖系で攪拌しながら100℃15分間 応させた。この段階で保護基が除去され、 的物質は水に溶解している。続いて、この 応させた溶液をH + 型強酸性イオン交換樹脂(1.2ml容積)、OH - 型強塩基性イオン交換樹脂(10ml容積)、Sep-pak( 録商標)C18カラム(0.4ml容積)、および0.45μmフ ルターを連結し通過させ、さらに水10mlを加 えて洗浄し、15mlの水溶液を得た。

 上記のように調製した水溶液は、中性であ 、濃縮後の 1 H-NMR測定では、シロ-イノシトール:ミオ-イノ トール=97:3の混合物であった。他の化合物 シグナルは検出されなかった。また収率は 燥固体重量(6mg)から換算して約30%であった。 また、ここまでの製造にかかった時間は、50 であった。シロ-イノシトールは、F陰イオ と同様に反応したOH陰イオンの反転脱離反応 の産物であり、ミオ-イノシトールは微量の リフレートの加水分解によるものと考えら る。

 この結果から、実際の核反応により生じる[ 18 F]HFは、溶液中への発生が少ないことを考慮 ると、化合物Ibを用いて製造される水溶液に は、シロ-イノシトールと、ミオ-イノシトー が主として含まれることが判る。したがっ 、安全性の面からも問題ないことが判る。

 実施例5: 化合物Ic[ (1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentaki s-O
-(tetrahydropyran-2-yl)-2-trifluoromethanesulfonyl-cyclohexa nehexol]からの(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シ ロヘキサンペントールの短時間製造
 30ml容バイアル瓶にK 2 CO 3  11.0mg(80μmol:K換算160μmol)と、Kryptofix222 75mg(20 0μmol)を量り取り、これにHF 120μmolを含む1ml 水を入れ、溶解させ、直ちに減圧下、75℃で 水分を蒸発させ、常圧に戻しアセトニトリル 1mlを加え、直ちに減圧下、75℃で水分を共沸 より除去し、固体を得た。

 ここに、化合物Ic[(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentaki s-O-(tetrahydropyran-2-yl)-2-trifluoromethanesulfonyl-cycloh exanehexol]89mg(分子量733:121μmol)を5mlの乾燥アセ ニトリルに溶解させた溶液を加えて、固体 溶解させた後、アルゴン雰囲気下、95℃8分 反応させた。この段階で、アセトニトリル 大半は蒸発する。常温に戻し、ここにジエ ルエーテルを4ml加え抽出する。抽出液は懸 液になり、この溶液をシリカゲルカラム(1ml 容積)に通過させ、固体と極性物質を除去し 。

 この通過液に、1Nになるように塩酸を加 たエタノール2mlを加えて、室温8分間反応さ た。この段階で、保護基が除去され、溶液 に不溶の反応物質が遊離し、白濁した。次 、この白濁溶液をガラスフィルターに通じ 、固体を回収し、エタノール1mlを通して固 を洗浄し、20秒Heガスを通じて、溶媒を蒸発 させた。

 ガラスフィルターに水を4ml加えて、固体を 解させながら溶出(溶出速度1ml/分)させ、溶 液は、OH - 型強塩基性イオン交換樹脂(1.2ml容積)、H + 型強酸性イオン交換樹脂(1.2ml容積)、活性炭(0 .5ml容積)、および0.45μmフィルターを連結し通 過させ、さらに2ml水を加えて洗浄し、6.0mlの 溶液を得た。

 上記のように調製した水溶液は、中性であ 、濃縮後の 1 H-NMR測定では、(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6- クロヘキサンペントール:シローイノシトー ル:ミオ-イノシトール=73:21:6の混合物であっ 。他の化合物のシグナルは検出されなかっ 。また(1,3,5/2,4,6)-1-フルオロ-2,3,4,5,6-シクロ キサンペントールの収率は乾燥固体重量(11mg )から換算して約50%であった。また、ここま の製造にかかった時間は、40分であった。

 この結果から、本発明の反応により溶液 のF陰イオンを効率よく、(1,3,5/2,4,6)-1-フル ロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントールとして 、短時間(40分間)に反応させることが可能で ることが判る。

 実施例6: 化合物Ic[(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis- O
-(tetrahydropyran-2-yl)-2-trifluoromethanesulfonyl-cyclohexa nehexol]からのHFを使用しない、水を用いたブ ンク試験
 30ml容バイアル瓶にK 2 CO 3  11.0mg(80μmol:K換算160μmol)と、Kryptofix222 75mg(20 0μmol)を量り取り、これに1mlの水を入れ、溶 させ、直ちに減圧下、75℃で水分を蒸発させ 、常圧に戻しアセトニトリル1mlを加え、直ち に減圧下、75℃で水分を共沸により除去し、 体を得た。

 ここに、化合物Ic[(1,2,3,5/4,6)-1,3,4,5,6-pentakis-O -(tetrahydropyran-2-yl)
-2-trifluoromethanesulfonyl-cyclohexanehexol]89mg(分子量7 33:121μmol)を5mlの乾燥アセトニトリルに溶解さ せた溶液を加えて、固体を溶解させた後、ア ルゴン雰囲気下、95℃8分間反応させた。この 段階で、アセトニトリルの大半は蒸発する。 常温に戻し、ここにジエチルエーテルを4ml加 え抽出する。抽出液は懸濁液になり、この溶 液をシリカゲルカラム(1ml容積)に通過させ、 体と極性物質を除去した。

この通過液に、1Nになるように塩酸を加え エタノール2mlを加えて、室温8分間反応させ た。この段階で、保護基が除去され、溶液中 に不溶の反応物質が遊離し、白濁した。次に 、この白濁溶液をガラスフィルターに通じて 、固体を回収し、エタノール1mlを通して固体 を洗浄し、20秒Heガスを通じて、溶媒を蒸発 せた。

 ガラスフィルターに水を4ml加えて、固体を 解させながら溶出(溶出速度1ml/分)させ、溶 液は、OH - 型強塩基性イオン交換樹脂(1.2ml容積)、H + 型強酸性イオン交換樹脂(1.2ml容積)、活性炭(0 .5ml容積)、および0.45μmフィルターを連結し通 過させ、さらに2ml水を加えて洗浄し、5.9mlの 溶液を得た。

 上記のように調製した水溶液は、中性であ 、濃縮後の 1 H-NMR測定では、シロ-イノシトール:ミオ-イノ トール=87:13の混合物であった。他の化合物 シグナルは検出されなかった。また収率は 燥固体重量(12mg)から換算して約55%であった また、ここまでの製造にかかった時間は、4 0分であった。シロ-イノシトールは、F陰イオ ンと同様に反応したOH陰イオンの反転脱離反 の産物であり、ミオ-イノシトールは微量の トリフレートの加水分解によるものと考えら れる。

 この結果から、実際の核反応により生じる[ 18 F]HFは、溶液中への発生が少ないことを考慮 ると、化合物Icを用いて製造される水溶液に は、シロ-イノシトールと、ミオ-イノシトー が主として含まれることが判る。従って、 全性の面からも問題ないことが判る。

 脳内アミロイド蓄積の量、場所をPET(ポジト ロン断層撮影法)で測定することを可能にす アミロイド標識試薬である(1,3,5/2,4,6)-1-[ 18 F]フルオロ-2,3,4,5,6-シクロヘキサンペントー を短時間で製造することができる。