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Title:
METHOD FOR PRODUCING ACRYLIC ACID
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084417
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing an acrylic acid, by which an acrylic acid can be produced, with low energy consumption, from a glycerin mixture which contains glycerin and one or more compounds selected from the group consisting of fatty acids, fatty acid salts, glycerides, fatty acid esters, alkali compounds, and alkali compound salts. Specifically disclosed is a method for producing an acrylic acid, which comprises a step of obtaining an acrolein mixture by dehydrating a glycerin mixture, a step of obtaining an acrylic acid mixture by oxidizing the acrolein mixture, and a step of collecting an acrylic acid from the acrylic acid mixture.

Inventors:
AOKI TAKANORI (JP)
ARAI NORIHIDE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072798
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SHOWA DENKO KK (JP)
AOKI TAKANORI (JP)
ARAI NORIHIDE (JP)
International Classes:
C07C51/235; C07C27/02; C07C31/22; C07C45/52; C07C47/22; C07C51/44; C07C57/055; C07C67/03; C07C69/24
Domestic Patent References:
WO2006092272A22006-09-08
WO2006114506A12006-11-02
Foreign References:
JP2005213225A2005-08-11
JP2005200398A2005-07-28
JP2005213225A2005-08-11
Other References:
"Kagaku Daijiten Henshu Iinkai", KAGAKU DAIJITEN, 1963, pages 420 - 421
"Kagaku Daijiten Henshu Iinkai", KAGAKU DAIJITEN, 1964, pages 374
See also references of EP 2241549A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIGA, Masatake et al. (Marunouchi Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 (1)グリセリン混合物を脱水反応させてアクロレイン混合物を得る工程;
 (2)当該アクロレイン混合物を酸化反応させてアクリル酸混合物を得る工程;及び
 (3)当該アクリル酸混合物からアクリル酸を回収する工程;
を含む、アクリル酸の製造方法。
 前記工程(2)を、分子状酸素の存在下で行う、請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
 前記工程(1)及び前記工程(2)を同時に行う、請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
 前記工程(2)及び前記工程(3)を同時に行う、請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
(A)下記(a)及び(b)を含む、グリセリン混合物を得る工程:
 (a)油脂とアルコールとをエステル交換反応させて、脂肪酸エステル、グリセリン、脂肪酸および/または脂肪酸塩を含む脂肪酸エステル混合物を得る工程;及び
 (b)該脂肪酸エステル混合物から脂肪酸エステルを除去する工程;
を行い、その後、前記工程(1)乃至(3)を行う、請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
 アクリル酸混合物からアクリル酸を回収した後に残った残存物の一部または全部を、前記脂肪酸エステル混合物を得る工程(A)(a)において使用する、請求項5に記載のアクリル酸の製造方法。
 アクリル酸混合物からアクリル酸を回収した後に残った残存物の一部または全部を酸で処理した後、前記脂肪酸エステル混合物を得る工程(A)(a)において使用する、請求項6に記載のアクリル酸の製造方法。
 (B)下記(c)及び(d)を含む、グリセリン混合物を得る工程:
 (c)油脂とアルカリとをケン化反応させて、脂肪酸アルカリ塩、グリセリンおよび脂肪酸を含む脂肪酸アルカリ塩混合物を得る工程;
 (d)当該脂肪酸アルカリ塩混合物から脂肪酸アルカリ塩を除去する工程;
を行い、その後、前記工程(1)乃至(3)を行う、請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
 アクリル酸混合物からアクリル酸を回収した後に残った残存物の一部または全部を、前記脂肪酸アルカリ塩混合物を得る工程(B)(c)において使用する、請求項8に記載のアクリル酸の製造方法。
 前記工程(3)を、アクリル酸混合物の蒸留により行う、請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
 前記グリセリン混合物が、脂肪酸、脂肪酸塩、グリセリド、脂肪酸エステル、アルカリ化合物、アルカリ化合物塩よりなる群から選ばれる1種以上の化合物を含む、請求項1に記載のアクリル酸の製造方法。
 前記脂肪酸は、炭素数が4~24の脂肪酸の群から選ばれる1種以上の脂肪酸である、請求項11に記載のアクリル酸の製造方法。
 前記脂肪酸塩は、炭素数が4~24の脂肪酸の群から選ばれる1種以上である脂肪酸と、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アミン化合物の群から選ばれる1種以上の化合物との塩である、請求項11に記載のアクリル酸の製造方法。
 前記グリセリドは、炭素数が4~24の脂肪酸の群から選ばれる1種以上の脂肪酸から構成されるものである、請求項11に記載のアクリル酸の製造方法。
 前記脂肪酸エステルは、炭素数が4~24の脂肪酸の群から選ばれる1種以上の脂肪酸と、炭素数が1~10のアルコールの群から選ばれる1種以上のアルコールとのエステルである、請求項11に記載のアクリル酸の製造方法。
Description:
アクリル酸の製造方法

 本発明は、グリセリンを主成分として含 グリセリン混合物を用いて、アクリル酸を 造する方法に関する。

 一般に、アクリル酸は、化石資源であるプ ピレンの酸化により製造されているが、化 資源に依存した製造方法では、大気中の二 化炭素の増加が懸念される。また、化石資 は将来的に枯渇することが懸念されている
 そこで、植物性油脂または動物性油脂から イオディーゼル燃料を製造する際に、また 、石鹸を製造する際に副生物として生成す グリセリンを利用することが検討されてい 。すなわち、副生したグリセリンを脱水お び酸化してアクリル酸を製造する方法が検 されている。
 ここで、植物性油脂から生成したグリセリ は、植物由来であることから資源の枯渇の 念がなく、しかも、その炭素源は大気中の 酸化炭素であることから、実質的に大気中 二酸化炭素の増加に寄与しないといった利 を有する。また、動物性油脂は、家畜が植 性油脂などの飼料を摂食することで作り出 れた資源で、その炭素源は大気中の二酸化 素とみなすことができる。

 グリセリンからのアクリル酸の製造方法と ては、グリセリンを分子状酸素の存在下で 水反応と酸化反応させてアクリル酸を製造 る方法が知られている(例えば特許文献1参 )。また、特許文献2には、グリセリンを気相 中で脱水反応させて、該脱水反応で生じたガ ス状の反応物を気相酸化反応させてアクリル 酸を製造する方法が開示されている(例えば 許文献2参照)。これらの反応で使用するグリ セリンは、通常、純度の高いものが使用され ていた。

国際公開第06/114506号パンフレット

特開2005-213225号公報

 しかし、植物性油脂または動物性油脂から イオディーゼル燃料を製造する際に、また 、石鹸を製造する際に得られるグリセリン は、副生した脂肪酸、脂肪酸塩、グリセリ 、脂肪酸エステル、アルカリ化合物、アル リ化合物塩等の不純物が混ざっている。そ ため、純度の高いグリセリンを得るために 蒸留する必要がある。しかし、グリセリン 沸点が高いために蒸留の際に多量のエネル ーを要する。副生したグリセリンを活用す ためにエネルギーを多量に消費してしまう であれば、副生したグリセリンを用いる意 が薄れる。
 このようなことから、バイオディーゼル燃 製造の際または石鹸製造の際に副生したグ セリンを、少ないエネルギー消費量で活用 ることが求められている。

 本発明の課題は、グリセリンを含むグリ リン混合物からアクリル酸を少ないエネル ー消費量で製造できるアクリル酸の製造方 を提供することにある。

 本発明者らが鋭意研究を行ったところ、脂 酸、脂肪酸塩、グリセリド、脂肪酸エステ 、アルカリ化合物、アルカリ化合物塩の群 ら選ばれる1種以上の化合物の共存下でグリ セリンを脱水反応および酸化反応させても、 前記の化合物が共存していない場合と同等の 収率でアクリル酸が得られることを見出した 。そして、その知見に基づいて、以下のアク リル酸の製造方法を発明した。
 すなわち、本発明は、以下のように構成さ ている。

[1]
 (1)グリセリン混合物を脱水反応させてアク レイン混合物を得る工程;
 (2)当該アクロレイン混合物を酸化反応させ アクリル酸混合物を得る工程;及び
 (3)当該アクリル酸混合物からアクリル酸を 収する工程;
を含む、アクリル酸の製造方法。
[2]
 前記工程(2)を、分子状酸素の存在下で行う 前記[1]に記載のアクリル酸の製造方法。
[3]
 前記工程(1)及び前記工程(2)を同時に行う、 記[1]又は[2]に記載のアクリル酸の製造方法
[4]
 前記工程(2)及び前記工程(3)を同時に行う、 記[1]又は[2]に記載のアクリル酸の製造方法
[5]
(A)下記(a)及び(b)を含む、グリセリン混合物を 得る工程:
 (a)油脂とアルコールとをエステル交換反応 せて、脂肪酸エステル、グリセリン、脂肪 および/または脂肪酸塩を含む脂肪酸エステ ル混合物を得る工程;及び
 (b)該脂肪酸エステル混合物から脂肪酸エス ルを除去する工程;
を行い、その後、前記工程(1)乃至(3)を行う、 前記[1]乃至[4]の何れか一つに記載のアクリル 酸の製造方法。
[6]
 アクリル酸混合物からアクリル酸を回収し 後に残った残存物の一部または全部を、前 脂肪酸エステル混合物を得る工程(A)(a)にお て使用する、前記[5]に記載のアクリル酸の 造方法。
[7]
 アクリル酸混合物からアクリル酸を回収し 後に残った残存物の一部または全部を酸で 理した後、前記脂肪酸エステル混合物を得 工程(A)(a)において使用する、前記[6]に記載 アクリル酸の製造方法。
[8]
 (B)下記(c)及び(d)を含む、グリセリン混合物 得る工程:
 (c)油脂とアルカリとをケン化反応させて、 肪酸アルカリ塩、グリセリンおよび脂肪酸 含む脂肪酸アルカリ塩混合物を得る工程;
 (d)当該脂肪酸アルカリ塩混合物から脂肪酸 ルカリ塩を除去する工程;
を行い、その後、前記工程(1)乃至(3)を行う、 前記[1]乃至[4]の何れか一つに記載のアクリル 酸の製造方法。
[9]
 アクリル酸混合物からアクリル酸を回収し 後に残った残存物の一部または全部を、前 脂肪酸アルカリ塩混合物を得る工程(B)(c)に いて使用する、前記[8]に記載のアクリル酸 製造方法。
[10]
 前記工程(3)を、アクリル酸混合物の蒸留に り行う、前記[1]乃至[9]の何れか一つに記載 アクリル酸の製造方法。
[11]
 前記グリセリン混合物が、脂肪酸、脂肪酸 、グリセリド、脂肪酸エステル、アルカリ 合物、アルカリ化合物塩よりなる群から選 れる1種以上の化合物を含む、前記[1]乃至[10 ]の何れか一つに記載のアクリル酸の製造方 。
[12]
 前記脂肪酸は、炭素数が4~24の脂肪酸の群か ら選ばれる1種以上の脂肪酸である、前記[11] 記載のアクリル酸の製造方法。
[13]
 前記脂肪酸塩は、炭素数が4~24の脂肪酸の群 から選ばれる1種以上である脂肪酸と、アル リ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、 ミン化合物の群から選ばれる1種以上の化合 との塩である、前記[11]に記載のアクリル酸 の製造方法。
[14]
 前記グリセリドは、炭素数が4~24の脂肪酸の 群から選ばれる1種以上の脂肪酸から構成さ るものである、前記[11]に記載のアクリル酸 製造方法。
[15]
 前記脂肪酸エステルは、炭素数が4~24の脂肪 酸の群から選ばれる1種以上の脂肪酸と、炭 数が1~10のアルコールの群から選ばれる1種以 上のアルコールとのエステルである、前記[11 ]に記載のアクリル酸の製造方法。

 本発明のアクリル酸の製造方法によれば グリセリンと脂肪酸、脂肪酸塩、グリセリ 、脂肪酸エステル、アルカリ化合物、アル リ化合物塩の群から選ばれる1種以上の化合 物を含むグリセリン混合物からアクリル酸を 少ないエネルギー消費量で製造できる。

<第1の実施形態>
 本発明のアクリル酸の製造方法の第1の実施 形態について説明する。
 本実施形態のアクリル酸の製造方法は、油 とアルコールとをエステル交換反応させて 脂肪酸エステル混合物を得る工程(以下、第 1の工程という)と、該脂肪酸エステル混合物 ら脂肪酸エステルを除去して、グリセリン 合物を得る工程(以下、第2の工程という)と 該グリセリン混合物を脱水反応させて、ア ロレイン混合物を得る工程(以下、第3の工 という)と、該アクロレイン混合物を酸化反 させて、アクリル酸混合物を得る工程(以下 、第4の工程という)、該アクリル酸混合物か アクリル酸を回収する工程(以下、第5の工 という)と、該第5の工程後に残った残存物の 一部または全部を第1の工程に戻す工程(以下 第6の工程という)とを有する。

(第1の工程)
 第1の工程における油脂としては、例えば、 植物性油脂、動物性油脂、廃食用油脂などが 挙げられる。
 植物性油脂としては、例えば、アマニ油、 フラワー油、ヒマワリ油、大豆油、トウモ コシ油、ラッカセイ油、綿実油、ゴマ油、 メ油、ナタネ油、オリーブ油、パーム油、 ーム核油、ヤシ油、ヒマシ油、米ぬか油、 ルミ油、ツバキ油、ピーナッツ油などが挙 られる。
 動物性油脂としては、例えば、牛脂、豚脂 羊脂、牛脚脂、鳥油、鶏油、魚油、鯨油、 ターなどが挙げられる。
 廃食用油脂としては、家庭、レストラン、 ァーストフード店、弁当製造工場、給食工 などにおいて調理に用いた使用済みの動植 性油脂が挙げられる。

 ここで、油脂とは、脂肪酸とグリセリン のエステルのことである。また、脂肪酸と 、長鎖炭化水素の1価のカルボン酸のことで ある。長鎖炭化水素は二重結合を含んでも構 わない。脂肪酸としては、本発明に適してい る点では、炭素数が4~24の脂肪酸の群から選 れる1種以上であることが好ましい。炭素数4 ~24の脂肪酸の具体例としては、例えば、酪酸 、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラ ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス テアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノ セリン酸、オレイン酸、セトレイン酸、エル カ酸、プラシジン酸、ソルビン酸、リノール 酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコセン 酸、リシノール酸などが挙げられる。

 第1の工程におけるアルコールとしては、 本発明に適している点では、炭素数が1~10の ルコールの群から選ばれる1種以上であるこ が好ましい。炭素数1~10のアルコールとして は、例えば、メチルアルコール、エチルアル コール、n-プロピルアルコール、iso-プロピル アルコール、n-ブチルアルコール、iso-ブチル アルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチ ルアルコール、n-ペンチルアルコール、n-ヘ シルアルコール、n-へプチルアルコール、n- クチルアルコール、n-ノニルアルコール、n- デシルアルコール等が挙げられる。

 エステル交換反応の際には、生産性の点か 、エステル交換反応用の触媒を用いること 好ましい。エステル交換反応用触媒として 、酸性触媒と塩基性触媒が挙げられる。酸 触媒としては、例えば、硫酸、塩酸、リン などの無機酸、強酸性イオン交換樹脂、ケ タングステン酸、リンタングステン酸など ヘテロポリ酸、硫酸ジルコニアなどが挙げ れる。塩基性触媒としては、ナトリウム、 リウム、ルビジウム、セシウム等のアルカ 金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩またはア コキサイド、マグネシウム、カルシウム、 トロンチウム、バリウム等のアルカリ土類 属の水酸化物、酸化物、炭酸塩またはアル キサイド、強塩基性イオン交換樹脂、アミ などが挙げられる。
 油脂とアルコールとをエステル交換反応さ ることにより、脂肪酸エステル、グリセリ 、脂肪酸および/または脂肪酸塩を含む脂肪 酸エステル混合物が得られる。ここで生成す る脂肪酸エステルは、使用した油脂とアルコ ールに対応したものであり、いわゆるバイオ ディーゼル燃料と呼ばれ、ディーゼルエンジ ンの燃料として使用することができる。

(第2の工程)
 第2の工程において、脂肪酸エステル混合物 から脂肪酸エステルを除去する方法としては 、例えば、脂肪酸エステル混合物を蒸留する 方法、液液分離方法、カラムにより分離する 方法などが挙げられる。
 脂肪酸エステル混合物から脂肪酸エステル 除去して得たグリセリン混合物は、グリセ ンと、脂肪酸、脂肪酸塩、グリセリド、脂 酸エステル、アルカリ化合物、アルカリ化 物塩の群から選ばれる1種以上の化合物とを 含む。

 グリセリン混合物に含まれる脂肪酸は、 脂を構成するものと同様である。ただし、 リセリン混合物に含まれる脂肪酸は、0.10MPa における沸点が200~400℃の範囲にある脂肪酸 好ましい。このような沸点の脂肪酸として 、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、 ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、 テアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リ レン酸、リシノレン酸などが挙げられる。 れらの脂肪酸は、グリセリンとの沸点が近 ために蒸留での分離は困難であるが、グリ リンをアクリル酸に変換することでその分 が容易になる。

 また、グリセリンに含まれる脂肪酸塩は、 素数が4~24の前記脂肪酸の群から選ばれる1 以上である脂肪酸と、アルカリ金属化合物 アルカリ土類金属化合物、アミン化合物の から選ばれる1種以上の化合物との塩である
 ここで、アルカリ金属化合物としては、ナ リウム、カリウム、ルビジウム、セシウム のアルカリ金属の水酸化物、酸化物、炭酸 またはアルコキサイド等が挙げられ、アル リ土類金属化合物としては、マグネシウム カルシウム、ストロンチウム、バリウム等 アルカリ土類金属の水酸化物、酸化物、炭 塩またはアルコキサイド等が挙げられる。
 また、アミン化合物しては、アンモニア、 チルアミン、ジメチルアミン、トリメチル ミン、エチルアミン、ジエチルアミン、ト エチルアミン、プロピルアミン、ジプロピ アミン、トリプロピルアミン、ブチルアミ 、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ア リン、エチレンジアミン、ジエチレントリ ミン、ピロール、ピリジン、テトラメチル ンモニウムヒドロキサイド、テトラエチル ンモニウムヒドロキサイド、テトラプロピ アンモニウムヒドロキサイド、テトラブチ アンモニウムヒドロキサイド、尿素等が挙 られる。

 脂肪酸エステル混合物から脂肪酸エステル 除去して得たグリセリン混合物において、 リセリン含有量は5~95質量%であることが好 しく、10~95質量%であることがより好ましく 15~95質量%であることが特に好ましい。アク ル酸の収量を充分に確保するという観点で 、グリセリンの含有量は5質量%以上が好まし く、95質量%以下であれば、本発明の有用性が より高まる。
 グリセリン混合物における脂肪酸の含有量 、グリセリンの含有量(質量)を1とした際に 質量比で0.001~1であることが好ましく、0.01~0 .1であることがより好ましい。脂肪酸の含有 が、グリセリン含有量を1とした際の0.001以 であると、本発明の有用性が低下する傾向 あり、1を超えるとアクリル酸の収量が小さ く、効率が低下する傾向にある。
 グリセリン混合物における脂肪酸塩の含有 は、グリセリンの含有量(質量)を1とした際 、質量比で0.001~1であることが好ましく、0.0 1~0.1であることがより好ましい。脂肪酸塩の 有量が、グリセリン含有量を1とした際の0.0 01以下であると、本発明の有用性が低下する 向にあり、1を超えるとアクリル酸の収量が 小さく効率が低下する傾向にある。
 グリセリドは、モノグリセリド、ジグリセ ド、トリグリセリドのいずれであってもよ 。グリセリドを構成する脂肪酸は上記油脂 構成する脂肪酸と同様である。
 グリセリン混合物におけるグリセリドの含 量は、グリセリンの含有量(質量)を1とした に、質量比で0.001~1であることが好ましく、 0.01~0.5であることがより好ましい。グリセリ の含有量が、グリセリン含有量を1とした際 の0.001以下であると、本発明の有用性が低下 る傾向にあり、1を超えるとアクリル酸の収 量が小さく効率が低下する傾向にある。

 アルカリ化合物としては、例えば、ナトリ ム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の ルカリ金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩ま はアルコキサイド、マグネシウム、カルシ ム、ストロンチウム、バリウム等のアルカ 土類金属の水酸化物、酸化物、炭酸塩また アルコキサイド、強塩基性イオン交換樹脂 アミン等が挙げられる。
 グリセリン混合物におけるアルカリ化合物 含有量は、グリセリンの含有量(質量)を1と た際に、質量比で0.001~1であることが好まし く、0.01~0.5であることがより好ましい。アル リ化合物の含有量が、グリセリン含有量を1 とした際の0.001以下であると、本発明の有用 が低下する傾向にあり、1を超えるとアクリ ル酸の収量が小さく効率が低下する傾向にあ る。
 アルカリ化合物塩としては、アルカリ化合 と酸との酸性塩、中性塩が挙げられる。酸 しては、例えば、硫酸、塩酸、リン酸、硝 、ホウ酸等が挙げられる。
 グリセリン混合物におけるアルカリ化合物 の含有量は、グリセリンの含有量(質量)を1 した際に、質量比で0.001~1であることが好ま しく、0.01~0.5であることがより好ましい。ア カリ化合物塩の含有量が、グリセリン含有 を1とした際の0.001以下であると、本発明の 用性が低下する傾向にあり、1を超えるとア クリル酸の収量が小さく効率が低下する傾向 にある。
 また、グリセリン混合物には、グリセリン 脂肪酸、脂肪酸塩、グリセリド、脂肪酸エ テル、アルカリ化合物、アルカリ化合物塩 外の成分、例えば、水、塩基、酸、アルコ ルなどが含まれてもよい。また、グリセリ 混合物は、第3の工程以降の反応を阻害しな い溶媒(例えば、水等)によって希釈されたも でもよい。

(第3の工程)
 第3の工程では、具体的には、グリセリン混 合物中のグリセリンが脱水してアクロレイン を生成する。
 該脱水反応では、反応速度を高める点で、 水反応用触媒を用いることが好ましい。脱 反応用触媒としては、例えば、酸性触媒、 基性触媒を使用することができる。酸性触 としては、例えば、カオリナイト、ベント イト、モンモリロナイト、ゼオライトなど 天然物あるいは合成粘土化合物、シリカ、 ルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカア ミナなどの酸化物、複合酸化物、ヘテロポ 酸、硫酸塩、硫酸酸性塩、炭酸塩、炭酸酸 塩、硝酸塩、硝酸酸性塩、リン酸塩、リン 酸性塩、硫酸、リン酸、酸性イオン交換樹 などが挙げられる。
 また、ヘテロポリ酸、硫酸塩、硫酸酸性塩 炭酸塩、炭酸酸性塩、硝酸塩、硝酸酸性塩 リン酸塩、リン酸酸性塩、硫酸、リン酸な を担体に担持した担持型触媒を使用するこ もできる。担体としては、例えば、シリカ アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ ルミナなどの酸化物、複合酸化物などが挙 られる。
 触媒の形状については、特に限定はされな 。例えば、粉体状、球状、円柱状、鞍状、 ニカム状などが挙げられる。
 触媒の調製方法としては、例えば、含浸法 沈殿法、イオン交換法などが挙げられる。
 また、触媒は、予めその目的に応じた気体 で焼成することも可能である。気体として 、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、空 などが挙げられる。
 本実施形態例のアクリル酸の製造方法は、 記脱水反応で得た成分と分子状酸素とを反 させて、アクリル酸を得る方法である。

 脱水反応の形式は、例えば、液相反応、気 反応のいずれで行うことも可能であり、固 床、流動床などが適用される。また、回分 、半回分式、連続式のいずれであってもよ 。
 脱水反応の温度は、0~600℃にすることがで る。反応の効率が高いことから、100~500℃で ることが好ましく、150~400℃であることがよ り好ましい。
 グリセリンの脱水反応はモル数が増加する 応であるため、圧力が低い程、グリセリン 収率が高くなる。具体的には、圧力は0.01~10 .0MPaであることが好ましく、0.05~5MPaであるこ がより好ましい。
 ただし、液相反応の場合には、グリセリン 液体として存在できる温度および圧力を選 し、気相反応の場合には、グリセリンが気 として存在できる温度および圧力を選択す 。

 液相反応の場合には、溶媒を使用しても い。溶媒としては、反応温度で安定である のが好ましく、そのような溶媒としては、 えば、流動パラフィン、パラフィンワック 、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、 キサデカン等の飽和炭化水素、ジベンジル の芳香族炭化水素、ジフェニルエーテル、 ルホラン、シリコーンオイル等が挙げられ 。

 気相反応の場合には、不活性ガスで希釈 てもよい。不活性ガスとしては、例えば、 素、二酸化炭素、希ガス(例えば、ヘリウム 、アルゴン等)、水蒸気等を用いることがで る。

(第4の工程)
 第4の工程では、具体的には、アクロレイン 混合物中のアクロレインが酸化してアクリル 酸を生成する。
 該酸化反応では、反応速度を高める点で、 化反応用触媒を用いることが好ましい。酸 反応用触媒としては、例えば、金属酸化物 よびそれらの混合物や複合酸化物などを含 固体触媒が挙げられる。金属酸化物を構成 る金属としては、鉄、モリブデン、チタン バナジウム、タングステン、アンチモン、 、銅からなる群から選ばれる1種以上の金属 が挙げられる。
 酸化触媒は、上記酸化物を担体に担持した 持型触媒であってもよい。担体としては、 リカ、アルミナ、ジルコニアおよびこられ 混合物または複合酸化物、炭化珪素などが げられる。
 触媒の形状については、特に限定はされな 。例えば、粉体状、球状、円柱状、鞍状、 ニカム状などが挙げられる。
 触媒の調製方法としては、例えば、含浸法 沈殿法、イオン交換法などが挙げられる。
 また、触媒は、予めその目的に応じた気体 で焼成することも可能である。気体として 、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、空 などが挙げられる。

 酸化反応の形式は、例えば、液相反応、気 反応のいずれで行うことも可能であり、固 床、流動床など適用される。また、回分式 半回分式、連続式のいずれであってもよい
 酸化反応の温度は、反応の効率が高いこと ら、150~400℃であることが好ましく、200~350 であることがより好ましい。
 圧力は0.01~10MPaであることが好ましく、0.05~1 0MPaであることがより好ましい。
 ただし、液相反応の場合には、アクロレイ が液体として存在できる温度および圧力を 択し、気相反応の場合には、アクロレイン 気体として存在できる温度および圧力を選 する。
 液相反応の場合には、溶媒を使用してもよ 。溶媒としては、反応温度で安定であるも が好ましく、そのような溶媒としては、例 ば、流動パラフィン、パラフィンワックス ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘ サデカン等の飽和炭化水素、ジベンジル等 芳香族炭化水素、ジフェニルエーテル、ス ホラン、シリコーンオイル等が挙げられる

 酸化反応は、分子状酸素の存在下に行う。 子状酸素としては、酸素ガスそのものを供 してもよく、空気として供給してもよい。 た、分子状酸素の供給は、脱水反応と酸化 応の間でも、また、脱水反応の前でも可能 ある。
 酸化反応の際には、不活性ガスを添加する ともできる。不活性ガスとしては、例えば 窒素、二酸化炭素、希ガス(例えば、ヘリウ ム、アルゴン等)、水蒸気などが挙げられる
 酸化反応におけるガス組成は爆発範囲内に らないように調整する必要がある。そのよ な組成としては、例えば、アクロレイン1~15 体積%、酸素0.5~25体積%、水蒸気0~50体積%、窒 20~80体積%の組成が挙げられる。

 本発明における第3の工程と第4の工程は、 時に行うことが可能である。例えば、シン ル型反応器を使用して、脱水反応と酸化反 を同時に行うことができる。
 該反応では、反応速度を高める点で触媒を いることが好ましい。触媒としては、脱水 応用触媒と酸化反応用触媒を混合して使用 ることが可能である。また、脱水能と酸化 とを併せもつ触媒を使用することが可能で る。
脱水反応用触媒としては、例えば、酸性触媒 、塩基性触媒を使用することができる。酸性 触媒としては、例えば、カオリナイト、ベン トナイト、モンモリロナイト、ゼオライトな どの天然物あるいは合成粘土化合物、シリカ 、アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ アルミナなどの酸化物、複合酸化物、ヘテロ ポリ酸、硫酸塩、硫酸酸性塩、炭酸塩、炭酸 酸性塩、硝酸塩、硝酸酸性塩、リン酸塩、リ ン酸酸性塩、硫酸、リン酸、酸性イオン交換 樹脂などが挙げられる。
 また、ヘテロポリ酸、硫酸塩、硫酸酸性塩 炭酸塩、炭酸酸性塩、硝酸塩、硝酸酸性塩 リン酸塩、リン酸酸性塩、硫酸、リン酸な を担体に担持した担持型触媒を使用するこ もできる。担体としては、例えば、シリカ アルミナ、チタニア、ジルコニア、シリカ ルミナなどの酸化物、複合酸化物などが挙 られる。
 触媒の形状については、特に限定はされな 。例えば、粉体状、球状、円柱状、鞍状、 ニカム状などが挙げられる。
 触媒の調製方法としては、例えば、含浸法 沈殿法、イオン交換法などが挙げられる。
 また、触媒は、予めその目的に応じた気体 で焼成することも可能である。気体として 、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、空 などが挙げられる。
 本実施形態例のアクリル酸の製造方法は、 記脱水反応で得た成分と分子状酸素とを反 させて、アクリル酸を得る方法である。

 また、酸化反応用触媒としては、例えば、 属酸化物およびそれらの混合物や複合酸化 などを含む固体触媒が挙げられる。金属酸 物を構成する金属としては、鉄、モリブデ 、チタン、バナジウム、タングステン、ア チモン、錫、銅からなる群から選ばれる1種 以上の金属が挙げられる。
 酸化触媒は、上記酸化物を担体に担持した 持型触媒であってもよい。担体としては、 リカ、アルミナ、ジルコニアおよびこられ 混合物または複合酸化物、炭化珪素などが げられる。
 触媒の形状については、特に限定はされな 。例えば、粉体状、球状、円柱状、鞍状、 ニカム状などが挙げられる。
 触媒の調製方法としては、例えば、含浸法 沈殿法、イオン交換法などが挙げられる。
 また、触媒は、予めその目的に応じた気体 で焼成することも可能である。気体として 、例えば、窒素、アルゴン、ヘリウム、空 などが挙げられる。

 反応の形式は、例えば、液相反応、気相反 のいずれで行うことも可能であり、固定床 流動床など適用される。また、回分式、半 分式、連続式のいずれであってもよい。
 反応の温度は、反応の効率が高いことから 150~400℃であることが好ましく、200~350℃で ることがより好ましい。
 反応の圧力は0.01~10MPaであることが好ましく 、0.05~10MPaであることがより好ましい。
 ただし、液相反応の場合には、グリセリン 液体として存在できる温度および圧力を選 し、気相反応の場合には、グリセリンが気 として存在できる温度および圧力を選択す 。
 液相反応の場合には、溶媒を使用してもよ 。溶媒としては、反応温度で安定であるも が好ましく、そのような溶媒としては、例 ば、流動パラフィン、パラフィンワックス ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘ サデカン等の飽和炭化水素、ジベンジル等 芳香族炭化水素、ジフェニルエーテル、ス ホラン、シリコーンオイル等が挙げられる

 反応は、分子状酸素の存在下に行う。分子 酸素としては、酸素ガスそのものを供給し もよく、空気として供給してもよい。
 反応の際には、不活性ガスを添加すること できる。不活性ガスとしては、例えば、窒 、二酸化炭素、希ガス(例えば、ヘリウム、 アルゴン等)、水蒸気などが挙げられる。
 反応におけるガス組成は爆発範囲内になら いように調整する必要がある。そのような 成としては、例えば、グリセリン1~20体積% 酸素0.5~25体積%、水蒸気0~50体積%、窒素20~80体 積%の組成が挙げられる。

 酸化反応により得たアクリル酸混合物には 重合を防止するために、重合防止剤を添加 ることが好ましい。重合防止剤としては、 えば、フェノチアジン、フェノール、ハイ ロキノン、メトキノン、カテコール、クレ ール等のフェノール化合物が挙げられる。
重合防止剤を添加する場合の重合防止剤添加 量は、アクリル酸を100質量%とした際の1質量p pm~1質量%であることが好ましい。

(第5の工程)
 アクリル酸混合物からアクリル酸を回収す 方法としては、公知の分離・回収方法を適 することができるが、工業的に回収するた には、アクリル酸混合物を蒸留する方法が ましい。
 蒸留の具体例としては、単蒸留、多段蒸留 水蒸気蒸留、フラッシュ蒸留などが挙げら る。蒸留の方式は、回分式、半回分式、連 式のいずれであってもよい。
 多段蒸留を適用した場合には、例えば、ア リル酸より低沸点の成分を塔頂部から留出 せ、中間部からアクリル酸を留出させ、塔 部から脂肪酸、脂肪酸塩、グリセリド、脂 酸エステル、アルカリ化合物、アルカリ化 物塩から選ばれる化合物を留出させること できる。

 多段蒸留で使用される蒸留塔としては、棚 式蒸留塔、充填蒸留塔などの公知の蒸留塔 使用することができる。
 棚段式蒸留塔の棚段の構造としては、例え 、泡鐘トレイ、多孔板トレイ、バルブトレ 、スーパーフラックトレイ、マックスフラ トレイなどが挙げられる。
 充填蒸留塔の充填物としては、規則充填物 不規則充填物が挙げられる。規則充填物と ては、例えば、金属板型、金網型、グリッ 型などが挙げられる。不規則充填物として 、例えば、ラシヒリング、レッシングリン 、ベルルサドル、インタロックスサドル、 ラレット、ポールリング、フレキシリング カスケードリングなどが挙げられる。

 アクリル酸混合物を多段蒸留する場合、 留条件としては、塔底部の温度を0~120℃と ることが好ましく、5~100℃とすることがより 好ましく、10~80℃とすることがさらに好まし 。塔底部の温度が120℃より高いと、アクリ 酸が重合することがあり、塔底部の温度が0 ℃より低いと、冷却に要するエネルギー量が 増えてしまう傾向にある。なお、蒸留の圧力 は、温度との関係で決まる。

 アクリル酸混合物を蒸留する際には、ア リル酸の重合を防止するために、重合防止 をあらかじめ添加することが好ましい。重 防止剤としては、例えば、フェノチアジン フェノール、ハイドロキノン、メトキノン カテコール、クレゾール等のフェノール化 物が挙げられる。重合防止剤を添加する場 の重合防止剤添加量は、アクリル酸を100質 %とした際の1質量ppm~1質量%であることが好 しい。

(第6の工程)
 第5の工程後に残った残存物には、グリセリ ンと、脂肪酸、脂肪酸塩、グリセリド、脂肪 酸エステル、アルカリ化合物、アルカリ化合 物塩の群から選ばれる1種以上の化合物とが まれる。残存物の一部を戻す場合には、脂 酸および脂肪酸塩、グリセリドを含む混合 の一部を戻してもよいし、脂肪酸のみを戻 てもよいし、脂肪酸塩のみを戻してもよい 、グリセリドのみを戻してもよい。
 残存物の全部または一部を第1の工程に戻し た場合、または、残存物中の脂肪酸を戻した 場合には、脂肪酸とアルコールとがエステル 化反応して、脂肪酸エステルを生成する。こ れは、第1の工程で用いるエステル交換反応 触媒は、エステル化反応用触媒としても機 するからである。
 残存物中の脂肪酸塩を第1の工程に戻した場 合には、油脂との反応に利用される。また、 脂肪酸塩を第1の工程に戻す場合には、脂肪 エステルが容易に得られることから、第1の 程の前に脂肪酸塩を酸により前処理するこ が好ましい。

 第3の工程と第4の工程とは同時にまたは逐 に行うことができる。逐次に行う場合には 例えば、連結した二つの反応器を備えたタ デム型反応器を使用して、一段目の反応器 脱水反応(第3の工程)を行い、二段目の反応 で酸化反応(第4の工程)を行うことができる
 また、第4の工程と第5の工程とは同時にま は逐次に行うことができる。

<第2の実施形態>
 本発明のアクリル酸の製造方法の第2の実施 形態について説明する。
 本実施形態のアクリル酸の製造方法は、油 とアルカリとをケン化反応させて、脂肪酸 ルカリ塩混合物を得る工程(以下、第1’の 程という)と、該脂肪酸アルカリ塩混合物か 脂肪酸アルカリ塩を除去して、グリセリン 合物を得る工程(以下、第2’の工程という) 、該グリセリン混合物を脱水反応させてア ロレイン混合物を得る工程(以下、第3の工 という)と、該アクロレイン混合物を酸化反 させてアクリル酸混合物を得る工程(以下、 第4の工程という)、該アクリル酸混合物から クリル酸を回収する工程(以下、第5の工程 いう)と、該第5の工程後に残った残存物の一 部または全部を第1’の工程に戻す工程(以下 第6’の工程という)とを有する。

(第1’の工程)
 第1’の工程における油脂としては、第1の 施形態における油脂と同様のものを挙げる とができる。
 第1’の工程において、油脂と反応させるア ルカリとしては、例えば、ナトリウム、カリ ウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金 属の水酸化物、酸化物、炭酸塩またはアルコ キサイド、マグネシウム、カルシウム、スト ロンチウム、バリウム等のアルカリ土類金属 の水酸化物、酸化物、炭酸塩またはアルコキ サイド、強塩基性イオン交換樹脂、アミン等 が挙げられる。
 油脂とアルカリとの反応は、公知のいかな 方法で行うことができる。この反応によっ 得られた脂肪酸アルカリ塩混合物は、アル リに対応した脂肪酸アルカリ塩、グリセリ 、脂肪酸および/または脂肪酸塩を含む。
 脂肪酸アルカリ塩としては、例えば、脂肪 ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸マグ シウム、脂肪酸カルシウム等が挙げられる これらの脂肪酸アルカリ塩は、石鹸として 用することが可能である。

(第2’の工程)
 第2’の工程において、脂肪酸アルカリ塩混 合物から脂肪酸アルカリ塩を除去する方法と しては、例えば、第1の実施形態における脂 酸エステル混合物から脂肪酸エステルを除 する方法と同様である。
 脂肪酸アルカリ塩混合物から脂肪酸アルカ 塩を除去して得たグリセリン混合物におい 、グリセリン含有量の好ましい範囲、グリ リン混合物における脂肪酸の含有量、脂肪 塩の含有量は、第1の実施形態と同等である 。
 また、本実施形態におけるグリセリン混合 にも、グリセリン、脂肪酸および脂肪酸塩 外の成分、例えば、水、塩基、酸、脂肪酸 ステル、アルコール、グリセリドなどが含 れてもよい。また、グリセリン混合物は、 3の工程以降の反応を阻害しない溶媒(例え 、水等)によって希釈されたものでもよい。

(第3の工程、第4の工程、第5の工程)
 第3の工程、第4の工程および第5の工程は、 1の実施形態と同様である。

(第6’の工程)
 第6’の工程にて、第5の工程後に残った残 物の全部または一部、とりわけ脂肪酸を第1 の工程に戻すことにより、アルカリとのケ 化反応をさらに生じさせることができる。
 また、本実施形態でも、脂肪酸塩を第1’の 工程に戻す場合には、第1’の工程の前に脂 酸塩を酸により前処理することが好ましい

 以上説明した第1の実施形態および第2の実 形態のアクリル酸の製造方法では、グリセ ン混合物を蒸留しないで、脱水および酸化 応に供するため、グリセリン混合物を利用 る際のエネルギー消費量が少ない。
 ところで、沸点が高いグリセリン(0.1MPaにお ける沸点:290℃)と、脂肪酸、脂肪酸塩、グリ リド、脂肪酸エステル、アルカリ化合物、 ルカリ化合物塩の群から選ばれる1種以上の 化合物とを蒸留等により分離する場合にはエ ネルギー消費量が多くなる。しかし、上記実 施形態の製造方法では、沸点が低い(0.1MPaに ける沸点:139℃)アクリル酸とグリセリンと脂 肪酸、脂肪酸塩、グリセリド、脂肪酸エステ ル、アルカリ化合物、アルカリ化合物塩の群 から選ばれる1種以上の化合物を分離する際 は、沸点の低いアクリル酸を留出させれば いから、エネルギー消費量が少ない。
 したがって、上記製造方法によれば、グリ リン混合物からアクリル酸を少ないエネル ー消費量で製造できる。
 さらに、上記実施形態では、第6の工程ある いは第6’の工程にて、第5の工程後に残った 存物を第1の工程あるいは第1’の工程に戻 ため、油脂基準の脂肪酸エステルの収率を めることができる。

 なお、本発明のアクリル酸の製造方法は、 述した第1の実施形態および第2の実施形態 限定されない。上記実施形態では、第5の工 後に残った残存物の一部または全部を第1の 工程に戻したが、第1の工程に戻さずに、第5 工程後に残った脂肪酸にアルコールを反応 せて、脂肪酸エステルを製造してもよい。
 アルコールとしては、上記第1の工程で挙げ たものと同様のものを使用できる。
 脂肪酸にアルコールを反応させる際には、 ステル化反応用触媒を用いることが好まし 。エステル化反応用触媒としては、酸性触 と塩基性触媒が挙げられる。酸性触媒とし は、例えば、硫酸、塩酸、リン酸などの無 酸、強酸性イオン交換樹脂、ケイタングス ン酸、リンタングステン酸などのヘテロポ 酸、硫酸ジルコニアなどが挙げられる。塩 性触媒としては、ナトリウム、カリウム、 ビジウム、セシウム等のアルカリ金属の水 化物、酸化物、炭酸塩またはアルコキサイ 、マグネシウム、カルシウム、ストロンチ ム、バリウム等のアルカリ土類金属の水酸 物、酸化物、炭酸塩またはアルコキサイド 強塩基性イオン交換樹脂、アミンなどが挙 られる。

 また、第5の工程後に残った脂肪酸にアルカ リを反応させて、脂肪酸アルカリ塩を製造し てもよい。
 脂肪酸アルカリ塩を製造する際に使用する ルカリとしては、例えば、ナトリウム、カ ウム、マグネシウム、カルシウムの水酸化 、炭酸塩等が挙げられる。
 得られた脂肪酸アルカリ塩は、石鹸として 用することができる。

 以下、実施例によって本発明をより詳細 説明するが、本発明は以下の実施例のみに 定されるものではない。

(調製例1)触媒Aの調製
 硫酸水素カリウム6gを水に溶解して硫酸水 カリウム水溶液を調製し、この硫酸水素カ ウム水溶液をシリカ14gに含浸させ、乾燥さ た後、窒素雰囲気下、300℃にて、3時間焼成 て、硫酸水素カリウム/シリカからなる脱水 反応用触媒Aを得た。
(調製例2)触媒Bの調製
 パラモリブデン酸アンモニウム7.0g、メタバ ナジン酸アンモニウム2.1g、パラタングステ 酸アンモニウム0.89g、水50mlをフラスコに仕 み、攪拌しながら90℃に加熱して溶解させた 。これにより得た溶解液に、硝酸銅1.8gを水15 mlに溶解させてあらかじめ調製した硝酸銅水 液を添加し、触媒調製用溶液を得た。
 この触媒調製用溶液をα-アルミナ20gに含浸 せ、次いで、蒸発乾固させた。乾燥後、空 雰囲気下において400℃で3時間焼成して、α- アルミナ担持のモリブデン-バナジウム-タン ステン-銅の酸化物からなる酸化反応用触媒 Bを得た。

(比較例1)[グリセリンの回収]
 グリセリンを60質量%、パルミチン酸を3.0質 %、オレイン酸を2.7質量%、パルミチン酸モ グリセリド2.7質量%、オレイン酸モノグリセ ド2.7質量%、パルミチン酸メチル2.1質量%、 レイン酸メチル1.8質量%、水9.7質量%、その他 の成分を15.3質量%含むグリセリン混合物500gを 、精留塔を具備する1000mlフラスコに仕込み、 減圧下で蒸留して、グリセリン留分を得た。 留出液の回収量は291gであった。この留出液 ガスクロマトグラフィーで分析したところ グリセリン組成比は98質量%であり、パルミ ン酸、オレイン酸、パルミチン酸モノグリ リド、オレイン酸モノグリセリド、パルミ ン酸メチル、オレイン酸メチルとも確認さ なかった。仕込みのグリセリンに対する留 中のグリセリンの回収率は95%であった。
[反応]
 内径10mm×長さ300mmのステンレス製反応管を2 連結させ、各反応管に電気炉を取り付けて 応装置を作製した。この反応装置における 段目の反応管に調製例1で得た触媒Aを5ml、 段目の反応管に調製例2で得た触媒Bを5ml充填 した。また、一段目の反応管と二段目の反応 管の間にガスを添加できるように配管を接続 した。
 上記のようにして得たグリセリンを水で希 した20質量%グリセリン水溶液を8g/時間で、 段目の反応管に連続的に供給した。その際 一段目の反応管を300℃に電気炉で加熱し、 段目の反応管を電気炉で280℃に加熱した。 た、一段目の反応管と二段目の反応管との に酸素を600Nml/時間の割合で供給した。
 二段目の反応管出口を冷却し、得られた反 ガスを凝縮させて、捕集した。捕集した液( 捕集液)をガスクロマトグラフィーで分析し ところ、グリセリン転化率は100%、アクリル 収率は51%であった。
 次いで、得られた捕集液を精密蒸留して、 製アクリル酸を得た。精製後の、グリセリ 基準のアクリル酸収率は45%であった。

[反応]
 比較例1と同様の反応装置を用い、一段目の 反応管に調製例1で得た触媒Aを5ml、二段目の 応管に調製例2で得た触媒Bを5ml充填した。
 次いで、一段目の反応器に、グリセリン20 量%、パルミチン酸1.0質量%、オレイン酸0.9質 量%、パルミチン酸モノグリセリド0.9質量%、 レイン酸モノグリセリド0.8質量%、パルミチ ン酸メチル0.7質量%、オレイン酸メチル0.6質 %、水70質量%、その他の成分5.1質量%を含むグ リセリン混合物を8g/時間で供給した。一段目 の反応管を300℃に電気炉で加熱し、二段目の 反応管を電気炉で280℃に加熱した。また、一 段目の反応管と二段目の反応管の間に酸素を 600Nml/時間の割合で供給した。
 二段目の反応管出口を冷却し、反応ガスを 縮させて、捕集した。捕集液をガスクロマ グラフィーで分析したところ、グリセリン 化率は100%、アクリル酸収率は51%であった。
 その後、捕集液を精密蒸留して、精製アク ル酸を得た。精製後の、グリセリン基準の クリル酸収率は48%であった。
 本実施例では、グリセリン混合物を蒸留し かったもかかわらず、グリセリン混合物を 留して精製した比較例1と同程度の収率でア クロレインを得ることができた。
 また、グリセリン混合物を蒸留せずに比較 1と同程度の収率でアクリル酸を得ることが できたことから、アクリル酸単位量当たり少 ないエネルギー消費量でアクリル酸を製造で きることがわかる。

(比較例2)[反応]
 調製例1で得た触媒Aのうち粒径0.5~1.0mmに篩 分けた成分を5ml、調製例2で得た触媒Bの5mlを 充分に混合した。得られた触媒混合物を内径 10mm×長さ300mmのステンレス製反応管に充填し 。
 次いで、反応管を電気炉で300℃に加熱し、 較例1における20質量%グリセリン水溶液を8g/ 時間、酸素を600Nml/時間の割合で供給して反 させた。
 反応管出口を冷却し、反応ガスを凝縮させ 、捕集した。捕集液をガスクロマトグラフ ーで分析したところ、グリセリン転化率は1 00%、アクリル酸収率は45%であった。
 次いで、得られた捕集液を精密蒸留して、 製アクリル酸を得た。精製後の、グリセリ 基準のアクリル酸収率は43%であった。

[反応]
 比較例2において、20質量%グリセリン水溶液 の代わりに、グリセリン20質量%、パルミチン 酸1.0質量%、オレイン酸0.9質量%、パルミチン モノグリセリド0.9質量%、オレイン酸モノグ リセリド0.8質量%、パルミチン酸メチル0.7質 %、オレイン酸メチル0.6質量%、水70質量%、そ の他の成分5.1質量%を含むグリセリン混合物 反応管に供給した以外は比較例2と同様にし 反応させた。
 反応管出口を冷却し、反応ガスを凝縮させ 、捕集した。捕集液をガスクロマトグラフ ーで分析したところ、グリセリン転化率は1 00%、アクリル酸収率は45%であった。
 その後、捕集液を精密蒸留して、精製アク ル酸を得た。精製後の、グリセリン基準の クリル酸収率は43%であった。
 本実施例では、グリセリン混合物を蒸留し かったもかかわらず、グリセリン混合物を 留して精製した比較例2と同程度の収率でア クリル酸を得ることができた。よって、アク リル酸単位量当たり少ないエネルギー消費量 でアクリル酸を製造できることがわかる。

 本発明のアクリル酸の製造方法によれば グリセリンと脂肪酸、脂肪酸塩、グリセリ 、脂肪酸エステル、アルカリ化合物、アル リ化合物塩の群から選ばれる1種以上の化合 物を含むグリセリン混合物からアクリル酸を 少ないエネルギー消費量で製造できる。