渡辺 精一 (())
TORIYABE, Yu (())
鳥谷部 祐 (())
YATSU, Shigeo (())
国立大学法人北海道大学 (〒08 北海道札幌市北区北8条西5丁目8番地 Hokkaido, 0600808, JP)
WATANABE, Seiichi (())
渡辺 精一 (())
TORIYABE, Yu (())
鳥谷部 祐 (())
| 導電性液体中に配置された陽極および陰極からなる対電極に、電圧を引加して、陰極近傍にプラズマを発生させるステップ;および 前記陰極の導体材料を局所的に融解させ、さらに再凝固することにより導体微粒子を発生させるステップ; を含む導体微粒子を製造する方法。 |
| 前記陰極近傍に磁場を印加するステップをさらに有する、請求項1に記載の方法。 |
| 前記磁場の向きは前記陰極の長軸に対して平行である、請求項2に記載の方法。 |
| 前記磁場の磁束密度は0.05テスラ以上である、請求項2に記載の方法。 |
| 前記磁場の磁束密度は1テスラ以上である、請求項2に記載の方法。 |
| 前記磁場を印加するステップは、前記プラズマを発生させるステップの後であって、 前記微粒子を発生させるステップの前である、請求項2に記載の方法。 |
| 前記導電性液体は、電解質物質と、前記電解質物質を溶かしうる液体を含む、請求項1に記載の方法。 |
| 前記導電性液体の溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プロピレンカーボネート、炭酸ジメチル、水またはイオン性液体である、請求項7に記載の方法。 |
| 前記導電性液体は水を含み、かつ導体微粒子と共に水素を生成する、請求項1に記載の方法。 |
| 前記陽極の表面積は、前記陰極の表面積よりも大きい、請求項1に記載の方法。 |
| 前記陽極の表面積は、前記陰極の表面積の25~1000倍である、請求項1に記載の方法。 |
| 前記電圧は10V~1000Vである、請求項1に記載の方法。 |
| 前記電圧は80V~300Vである、請求項1に記載の方法。 |
| 前記微粒子の平均粒径は10nm~1000nmである、請求項1に記載の方法。 |
| 前記微粒子は真球である、請求項1に記載の方法。 |
| 前記微粒子の粒径分布は3nm~2000nmである、請求項1に記載の方法。 |
本発明は、導体微粒子を製造する方法、 り具体的には液中プラズマ放電を用いて導 微粒子を製造する方法に関する。特に、真 でありその平均粒径が10~1000nmである導体微 子の製造方法に関する。
導体または非導電体のナノスケールの微 子は、一般に気相中または液相中の、単相 において製造される(非特許文献1を参照)。
気相法は連続プロセスであり、高純度粒 を高速、大量製造するのに適しており、他 と比べて技術的により成熟した段階にある しかしながら、気相法においてはいまだナ 粒子単体の品質向上が最大の課題とされ、 産性向上(収率向上)および経済性向上(コス 削減、装置/工程簡略化)も改良途上にある 一方、液相法によれば、均一の粒子径を有 、凝集が抑制された粒子が得られるが、ナ 粒子単体の品質向上に加えて、経済性向上 機能向上(触媒特性の向上)が課題である。
さらに、固相法は、ナノ粒子単体の品質 上、生産性向上及び経済性向上に改良の余 が多く発展途上の段階にある。
一方、流体中でプラズマを供給する技術が
られている(特許文献1)。特許文献1には、離
間させたカソード極とアノード極を形成する
電極を有する浴に流体を配置し;前記流体の
ソード極付近に気泡の流れを作り;カソード
とアノード極とに電圧差を印加して;前記気
泡内にグロー放電を生起させて、プラズマを
発生させる手法が報告されている。さらに、
流体中でプラズマを発生させることにより、
流体に含まれる金属イオンなどから、微粒子
が生成されると報告されている。
さらに、流体中で発生させたプラズマを利
して、金属を被膜する技術が報告されてい
(特許文献2~4参照)。
本発明は、気相法と液相法の両方の長所 活かしつつ、両者の短所を解消する導体微 子の製造方法を提供することである。さら 本発明は、気相法と液相法の共通にして最 の課題である微粒子単体の品質の向上と、 間・領域的に制御可能な微粒子製造過程に いて明確な指針と改善策を与えることを目 とする。
本発明は、導体液体中に配置された対電 を用いて発生させたプラズマ(液中放電プラ ズマ)を利用した、陰極の材料を原料とする 体微粒子の製造方法である。すなわち本発 は、以下の方法に関する。
[1]導電性液体中に配置された陽極および陰
からなる対電極に、電圧を引加して、陰極
傍にプラズマを発生させるステップ;および
前記陰極の導体材料を局所的に融解させ、さ
らに再凝固することにより導体微粒子を発生
させるステップ;を含む導体微粒子を製造す
方法。
[2]前記陰極近傍に磁場を印加するステップ
さらに有する、[1]に記載の方法。
[3]前記磁場の向きは前記陰極の長軸に対し
平行である、[2]に記載の方法。
[4]前記磁場の磁束密度は0.05テスラ以上であ
る、[2]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記磁場の磁束密度は1テスラ以上である
、[2]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記磁場を印加するステップは、前記プ
ズマを発生させるステップの後であって、
記微粒子を発生させるステップの前である
[2]~[5]のいずれかに記載の方法。
[7]前記導電性液体は、電解質物質と、前記
解質物質を溶かしうる液体を含む、[1]~[6]の
いずれかに記載の方法。
[8]前記導電性液体の溶媒は、エチレンカー
ネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、プ
ピレンカーボネート、炭酸ジメチル、水ま
はイオン性液体である、[1]~[7]のいずれかに
記載の方法。
[9]前記導電性液体は水を含み、かつ導体微
子と共に水素を生成する、[1]~[8]のいずれか
に記載の方法。
[10]前記陽極の表面積は、前記陰極の表面積
よりも大きい、[1]~[9]のいずれかに記載の方
。
[11]前記陽極の表面積は、前記陰極の表面積
の25~1000倍である、[1]~[10]のいずれかに記載の
方法。
[12]前記電圧は10V~1000Vである、[1]~[11]のいず
かに記載の方法。
[13]前記電圧は80V~300Vである、[1]~[12]のいず
かに記載の方法。
[14]前記微粒子の平均粒径は10nm~1000nmである
[1]~[13]のいずれかに記載の方法。
[15]前記微粒子は真球である、[1]~[14]のいず
かに記載の方法。
[16]前記微粒子の粒径分布は3nm~2000nmである[1
]~[15]のいずれかに記載の方法。
本発明は、液体中の放電により部分的また
全面的にプラズマ化した気相と液相の共存
域における反応過程を用いた方法であるか
、従来の気相法と液相法の長所を組み合わ
ることができる。また気相法による微粒子
製法と比較すると、真空排気系や、減圧も
くは真空チャンバが不要である。
従って、短時間に大量の微粒子を製造する
とができ、気相法と比較して反応場の雰囲
の制御が容易である。
以下の表に、本発明によって製造される 粒子の物性および生産性と、従来技術のそ とを比較した結果が示される。
また、陰極近傍に磁場を印加することで プラズマの成長過程を制御することができ より低いエネルギーで高温のプラズマを安 して維持することができる。これにより電 集中現象が発生しやすくなり、より経済的 微粒子を製造することができる。また、磁 の印加によりプラズマの発生および成長の 御が可能であるため、プラズマによる水分 の分解による水素ガスの生成プロセスを制 することができる。
本発明の製法により導体微粒子(以下、「 微粒子」という)を製造することができる。 こで微粒子とは粒径がマイクロスケール以 、特にナノスケール(平均粒径が10~1000nm)の粒 子をいう。微粒子の形状は真球状であること が好ましいが、特に限定されず、針状などで あってもよい。真球状の微粒子を以下、「ナ ノボール」という。導体とは、金属や合金な どの電気導体のほか、ケイ素や炭素などの半 導体も含まれる。
本発明の製法は、導電性液体中に配置さ た対電極に電圧を印加するプロセスを含む 導電性液体の溶媒は、電解質物質を溶かし る液体であればよい。このような液体の例 は、エチレンカーボネート(EC)やジエチルカ ーボネート(DEC)プロピレンカーボネート、炭 ジメチルなどの有機溶媒や、水、イオン性 体などが含まれる。電解質を溶質として含 水を以下、電解水溶液という。また、導電 液体は導電性を有する熔融塩であってもよ 。電解質は、中性、アルカリ性、酸性を示 いずれの成分でもよい。アルカリ性の電解 の例には、炭酸塩(炭酸カリウム、炭酸ナト リウムなど)が含まれる。
導電性液体の温度は、液体が全面的に気体
するような沸点よりも高い温度以下であれ
特に限定されないが、常温程度であっても
い。常温程度であれば、陰極から溶融した
体材料が、再凝固しやすいため、微粒子が
り製造しやすくなる。また常温であれば、
源などにより温度を調整するためのエネル
ーが節約できる。一方、導電性液体の温度
高めておけば、陰極の周辺にガス相を発生
せやすい。
導電性液体が電解水溶液である場合は、導
性液体の温度は、大気圧下で70~90℃程度が
ましいと考えられる。また、加圧環境下で
水溶液の温度は100℃を超えてもよい。
陰極の材料は、本発明の製法により製造さ
る微粒子の原料となる。したがって、陰極
材料は、製造したい微粒子の種類によって
宜選択される。陰極材すなわち微粒子母材
、導電性または半導電性を有する材料であ
て、かつ陰極表面での電界を一様にするた
に表面を滑らかに整形可能な材料であるこ
が好ましい。ナノボール等の球状物質をつ
るには、一般に熱伝導性の高い材料が好ま
い。また、陰極の材料は、通電していない
態において導電性液体中で安定であること
好ましい。
例えば、金属微粒子を製造する場合は、当
金属からなる陰極とすればよく;カーボンナ
ノチューブなどを製造する場合は、炭素電極
とすればよい。また、導電性の樹脂微粒子を
製造する場合は、陰極の材料を導電性高分子
が封止された導電性樹脂とすればよい。
陰極の形状は特に限定されないが、平均 界の一様性の観点から、高い対称性を有す 形状であることが好ましく、理想的には球 である。もちろん、円柱状または円筒状で ってもよく、より実用的であると考えられ 。
陽極の材料は特に限定されず、通電して ない状態において導電性液体中で安定であ ばよく、例えばプラチナなどであればよい 陽極の表面積は、陰極の表面積よりも大き ことが好ましい。例えば、陽極の表面積が 極の表面積に対して、約25~1000倍であればよ い。陰極の周囲で一様な電界を発生させるた めであり、また陰極近傍に電圧降下、電力損 失および温度上昇を集中させるためである。 陽極の表面積を高めるには、例えば、陽極の サイズを大きくしたり、陽極を、陰極を取囲 む円筒状の網目電極としたりすればよい。
陽極と陰極は、導電性液体中に互いに接触
ることなく配置される。両電極間には導電
液体のみが存在することが好ましい。陰極
周囲を均等に囲むように(同心円的に)陽極
配置することが好ましいが、陰極からみて
りを360度にわたり陽極に囲まれることは必
しも必要とされない。
陽極と陰極との距離は、電圧の印加により
陰極表面近傍で安定なグロー放電が生じて
ラズマが発生し;かつ、陽極と陰極とが高電
流密度の放電路で直接つながることでアーク
放電が生じることがないように、適宜設定さ
れる。陽極と陰極との距離は、通常は20~1000mm
である。
印加する電圧は、陰極の近傍でプラズマを
生させうる電圧であればよいが、導電性液
が電解水溶液である場合は、通常は16V以上
あり、好ましくは80V以上であり、より好ま
くは140V以上である。電圧が低いと、陰極近
傍でプラズマが発生せず、水の電気分解だけ
が生起し、微粒子が得られない。また通常は
で、140V以上は電極全面からプラズマ発光が
じる完全プラズマ領域であり、電極の材質
サイズ、導電性液体の成分や濃度などにほ
んど依存することなくプラズマを発生させ
。
一方、印加する電圧は、一般的に、好まし
は1000V以下であり、より好ましくは300V以下
ある。電圧が高過ぎると両極間にアーク放
が生起するため、所望の微粒子が生成され
い。
また、導電性液体が電解水溶液である場合
電圧を印加すると水が電気分解またはプラ
マによって水分子が分解されることで水素
発生する。このように本発明では、プラズ
を利用することで水素を生産することもで
る。
印加する電圧を制御することにより、製 される微粒子の大きさが調整されうる。つ り、印加する電圧を上げると、製造される 粒子の大きさを小さくすることができる。 のことは、後述の実施例においても示され (図10参照)。
磁場の印加について
前記微粒子の製造プロセスにおいて、陰極
傍に磁場を印加してもよい。陰極近傍に印
された磁場は、陰極の一部の近傍で発生し
プラズマ(部分プラズマ)を、陰極の全体を
うプラズマ(フルプラズマ)に成長させること
ができる。具体的には、陰極近傍に印加され
た磁場は、部分プラズマがフルプラズマにな
るまでの時間を短くすることができる(図12参
照)。
フルプラズマが生じると、陰極表面での 流集中現象が部分プラズマより卓越して出 する。電流集中現象とは、プラズマ中を流 る電流が陰極表面の多箇所において一様な れから間欠的に局所集中的な流れに変ずる 圧弱電離プラズマ特有の現象である。電流 中現象により、電極表面が融解され、微粒 が形成される。このため、磁場を印加する とで電流集中現象が生じやすくなり、印加 る電圧を低くすることができ、経済的に微 子を製造することができる。
陰極近傍に印加された磁場は、プラズマ 発生および成長を制御することができるの 、プラズマによる水素ガスの生成プロセス も制御することができる。
一方で、陰極近傍に印加された磁場は、 子挙動を妨害しプラズマの発生を妨害する とがある。よって磁場の印加は、プラズマ 発生した後に行うことがより好ましい。
前記の通り陰極近傍に印加された磁場は 陽極から陰極に向かって流れる電流と直交 る成分を有することが好ましい。部分プラ マを、陰極全体を覆うフルプラズマに成長 せやすいからである。つまり、電流と直交 る成分を有する磁場を印加すると、磁場の 向に直角な向きの熱流束の発生が抑えられ ので、陰極近傍で発生した熱が拡散しにく なり、プラズマが陰極を覆いやすくなると えられる。また、プラズマの温度が上昇す ことによりプラズマが安定して維持される 具体的には、印加する磁場は陰極の長軸方 に平行な成分を有することが好ましい。さ に好ましくは、印加する磁場は、陰極の表 に平行な成分を有する。また、陰極近傍に 加された磁場の磁束密度(強度)は0.05ステラ( 500ガウス)以上であることが好ましい。
陰極近傍に磁場を印加する手段は特に限 されないが、例えば電磁石を用いて発生さ た磁場を陰極近傍に印加すればよい。電磁 の例には、ヘルツホルムコイルなどが含ま る。また、陰極の近傍に透磁率の高い磁性 属を配置して、磁場を局部的に強くしても い。磁性金属の例にはフェライトが含まれ 。
陰極近傍に印加される磁場の磁束密度(強 度)は、1テスラ以上であってもよい。印加さ る磁場の強度が1テスラ以上であると、ホー ル効果により、電流集中現象が微細化される 。電流集中現象が微細化されるとは、電流集 中現象が時間的により頻繁に、空間的により 密に起きることを意味する。電流集中現象が 微細化されることで、より微小な微粒子を大 量に製造することができる。
本発明の製法は、次のような一連の過程を
む。
前記対電極に電圧を印加し、陰極の周りの
電性液体の温度を沸点以上に上昇させてガ
化させ;陰極の近傍、つまり陰極の周りに生
じたガス相にプラズマを発生させ;陰極の材
を局所的に融解させ、融解した材料を再凝
させることによって、微粒子を製造する。
陰極周辺のガス相においてプラズマが発 すると、電極/溶液界面での電流集中現象が 起こる。そのため、陰極を構成する材料の表 面の温度が、局所的にその材料の融点を超え 、材料を局所的に融解する。融解して液滴状 態で陰極表面から遊離した材料は、表面張力 によって真球状(ナノボール)になりうる(その 場合は、真球状の微粒子が製造される)。そ 後、融解した材料が、プラズマ・中性気体 よび周辺の導電性液体によって冷却されて 凝固し、微粒子が生成される。
また、前述のように陰極近傍に磁場を印 することにより、フルプラズマを起こりや くし、集中電流現象を促進させてもよい。
電圧の印加により、陰極表面での電力損失
よって電極温度が上昇し、陰極周りの導電
液体(電解水溶液など)が沸点以上に上昇し
ガス化されるが、好ましくは、陰極の周り
シース(さや)状のガス相を発生させる。ガス
相を発生させるには、少なくとも陰極近傍の
溶液温度が沸点を超えればよい。また、陰極
近傍の溶液温度が沸点を超えやすいように、
溶液全体の温度を高めに設定しておいてもよ
い。
発生したガス相でグロー放電が生じて、プ
ズマが発生する。すなわち本発明における
ラズマはグロー放電プラズマである。プラ
マからの発光を観察することにより、プラ
マが発生したかどうかを確認すればよい。
生成された微粒子を回収する方法は特に限
されないが、例えば、陰極の長軸を軸とし
導電性液体を回流し、一定の粒径(重量)を
つ微粒子を装置の底部に沈殿させ、沈殿し
微粒子を回収する方法であってもよい。
陽極から陰極に流れる電流に直交する成分
有する磁場を印加すれば、ローレンツ力に
り、セル内に回流を生じさせることができ
。
製造される微粒子について
製造する微粒子の形状;大きさ(直径);その粒
径分布;組成;結晶性などの物性は、放電の条
を制御することによって制御されうる。放
の条件には、印加する電圧、電流の大きさ
、これらの変動;放電時間;導電性液体の種
;導電性液体の濃度;導電性液体の温度;電極
構成する元素組成;電極形状;電極の初期表面
粗さ;電極温度;電極材料中の不純物または添
元素の種類や濃度が含まれる。例えば放電
条件によって、生成される微粒子の表面が
化されたり(図3参照)、欠陥が形成されたり
る(図4参照)。
例えば、印加する電圧を上げると、製造 れる微粒子の大きさを小さくすることがで る。
また、製造する微粒子の物性は、印加す 磁場の向き、強度および分布によっても制 されうる。例えば、磁場以外の放電の条件 一定である場合、印加する磁場の強度を強 すると(磁束密度を増大させると)電流集中 象が促進され、より粒径の小さい微粒子を く製造することができる。また、陰極材料 鉄などの強磁性体である場合、陰極近傍に 場を印加して製造された微粒子は、磁性を 持した微粒子となりうる。また、磁場を印 することで、微粒子の粒度分布を制御する とができる。
微粒子の形状を制御するには、電流集中の
長率を高めればよい。電流集中の成長率を
めるには、陰極から熱が逃げることを防止
たり、印加する電圧および磁場の強度を上
たりすればよい。陰極から熱が逃げること
防止するには、陰極の形状や物性などを適
選択したり、陰極と陰極リードとの接続方
を適宜選択したりすればよい。
印加する電圧を上げることで、電子の温度(
エネルギー)を高めることができ、電流集中
成長率を高めることができる。
また、印加する磁場の強度を上げることで
ホール効果により電流集中の成長率を高め
ことができる。
上述のように製造された微粒子の物性は 電の条件によって変化するが、10~1000nmの平 粒径を有する。また、微粒子の粒径分布は 3~2000nmである。微粒子の粒径は、例えば微 子のSEM写真を用いて測定された微粒子の面 から面積相当径を算出することで得られる
本発明の製法によって製造される微粒子 、真球(ナノボール)とすることもできる。 球とは粒子の断面において1の方向の直径と その1の方向と直交する他の方向の直径との 比が95%~105%以内、より好ましくは、98%~102%以 の範囲にあることを意味する。
導体微粒子の用途について
本発明によって製造された微粒子は、粒径
極めて小さいため、磁気記録媒体の素材と
て用いられた場合、いままでにない記録密
を実現することができる。また、本発明に
って製造された微粒子では、体積に対する
面積の比率が大きいので、優れた金属光触
等となりうる。
また、本発明によって製造される微粒子 、粒径が極めて小さい微粒子となり、極微 サイズ効果による低融点化、キューリー点 どの物性転移点の変化が起こりうるので、 規な半導体素子、強誘電体素子、強い磁性 素子の開発に用いられうる。また、導電性 分子を陰極として本発明によって製造され 微粒子は、医療製品(化粧品など)の新たな 料となりうる。また、金属(合金を含む)を材 料として本発明によって製造された微粒子は 、微細製造を含む工学全範囲に革新的な発展 をもたらしうる。
製造装置について
図1Aには、本発明の製法を実施するための
粒子製造装置が模式的に示される。
本発明の製法は、図1Aに示されるように導
性液体を収容するためのセル1;前記セル内に
配置された、互いに非接触の電極対(陰極2と
極3);前記電極対に電圧を印加する直流電源(
不図示)を備える微粒子製造装置を用いて行
れる。前記製造装置は、従来の水の電気分
装置に類似する。
また本発明の製法は、図1Bに示されるよう
、発生した気体(導電性液体の溶媒として水
用いる場合には水素ガス)を回収する生成気
体収集ホース12、生成気体収集ホースに接続
れた生成気体回収装置(不図示)、陰極2近傍
磁場を印加するための電磁石7、電磁石7の
源(不図示)、連続的な製造運転を可能にする
ために導電性液体をセル1に補充する導電性
体供給装置8、製造された微粒子を含む底部
液体を回収する底部液体回収装置10、陰極
連続補充装置11および磁場が印加されない場
合に、セル内の溶液を攪拌する電磁的攪拌装
置9をさらに含む製造装置を用いて行われて
よい。
前記セル1の材質は特に限定されないが、ガ
ラス、テフロン(登録商標)、PEEK(ポリエチル
ーテルケトン)などであればよい。ただし、
溶液等の導電性液体に対して安定であるこ
が求められる。セルの容量も適宜設定され
。前記直流電源は、プラズマを発生させる
圧(例えば16V~300V)を対電極に印加できる電源
であればよい。
前記装置は、主に電気絶縁体から成るセル
覆部4を有していてもよく、セル被覆部4に
水素ガスなどの生体気体を排気や給水を行
う開口部5が設けられていてもよい。さらに
記装置には、導電性液体の温度を維持する
段すなわち制御機構を持つ加熱または冷却
段(図1Aおよび図1Bには熱電対6が示される)と
温度センサー(不図示)などがあってもよい。
以下において、実施例を参照して本発明 さらに詳細に説明する。本発明の技術的範 は、実施例によって限定して解釈されない
図1Aに示される装置を準備した。陰極2とし
、金属細線(直径1.0mm;長さ16mm;電極表面積0.5c
m 2
)を用いた。金属細線の金属の種類は、ニッ
ルNi、チタンTi、銀Ag、金Au、とした。金属細
線の放電部以外の部分はテフロン(登録商標)
被覆した。一方、陽極3として、網状の白金
電極(50×100mm)を用いた。
ガラス製のセル1に炭酸カリウムK 2
CO 3
水溶液(0.1mol/dm 3
)を収容した。水溶液中の液面から100mm以内の
深さに、対電極を配置した。陽極と陰極の間
の距離を50mmとした。
セル電圧;80~160V、放電時間を30分程度として
、陰極放電電解を行った。
陰極表面での電力損失により、電極温度が
昇して溶液沸点を超え、陰極/溶液界面に水
蒸気を含むガス層がシース状に形成された。
セル電圧が十分高いので、ガス層内部でグロ
ー放電が生起した(放電は陰極の近傍におい
のみ確認された)。溶液温度を70~90℃程度に
持した。
陰極放電電解後、陰極の表面を走査型電子
微鏡(SEM)で観察した(図2A~図2D)。さらに、分
された微粒子だけを、透過型電子顕微鏡(TEM
)で観察した(図2E~図2H)。図2に示されるように
、直径10nm~1μm程度の微粒子が観察され、10nm
程度の微粒子に至るまで真球状に保たれた
また、放電条件によっては10nm以下(3nm~5nm)の
微粒子も得られた。図2I~図2Lはそれぞれ図2E
~図2Hに示した微粒子の電子線回折像である。
図2I~図2Lでは、各図の右半分がそれぞれの微
子の原料である陰極の材質の理論値を示し
おり、左半分がそれぞれの微粒子の実際の
定値を示している。図2I、図2Kおよび図2Lで
、それぞれ微粒子の測定値は、それぞれの
粒子の材質の理論値とほぼ対応している。
れは、これらの微粒子の結晶構造は、材料
陰極と同じ、立方晶であることを示唆する
一方で、チタンからなる微粒子の結晶構造
、材料の陰極の結晶構造とは異なり、ルチ
型構造を示した(図2J)。これはチタンからな
る微粒子の表面が酸化されたことに起因する
と考えられる。
製造された微粒子はいずれも、溶液から 汚染がなく高純度であった。また、表面層 酸化されていたがその厚さは1nm以下であっ 。
図3には、製造されたTi微粒子の電子線回折 ターン(図3A)、およびX線回折(図3B)が示され 。エネルギー分散型X線分析(EDX)により、Ti 粒子の表面がTiO 2 であることが確認された。また、図3Aの電子 回折パターン、および図3BのX線回折の結果 理論計算からのTiO 2 ルチル型構造の予想と一致した。
また、製造された微粒子の高解像度観察( TEM観察)の結果、粒子内に多くの欠陥が見出 れた。図4には、金微粒子の、最密面{111}の 列と欠陥箇所が示される。これらの欠陥は 陰極から融解した液滴状態の陰極材料が、 電性液体中で急激に冷やされたため生じた 考えられる。この効果を利用すれば、アモ ファス構造を有する微粒子を製造しうる。 なわち、アモルファス構造に成りやすい合 などを陰極に用いれば、金属ガラスが得ら る可能性がある。
図5は、陰極材としてオーステナイトステ ンレス鋼(SUS316)を用いて製造された微粒子のT EM像である。図5より、粒径が数nm~500nmの真球 のステンレス合金微粒子が製造されたこと わかる。図6には粒径約300nmのオーステナイ ステンレス鋼粒子が示される。図6から微粒 子の形状が真球であることがわかる。
図7は、図6に示された微粒子内の透過型 子顕微鏡-エネルギー分散型スペクトル(TEM-ED S)分析による各元素の濃度マップである。図7 は、それぞれの原子の特性X線による各元素 分布を示している。CrK、MnK、FeK、NiKおよびMo Kでは、それぞれの原子において外殻軌道か 電子がK殻に落ちる際に発生する特性X線によ る各元素の分布を示している。FeLでは、鉄原 子において外殻軌道から電子がL殻に落ちる に発生する特性X線によるFeの分布を示して る。図7より各元素は微粒子内に濃密に存在 ることが認められる。
図8は、図6に示された微粒子全体の透過 電子顕微鏡-エネルギー分散型スペクトル(TEM -EDS)分析による構成元素スペクトルである。 8における横軸は、特性X線のエネルギーをke V単位で示している。
また、表2は、図6における微粒子の各構成
素の割合が重量パーセントの数値で示され
いる。表2の値は、図7および図8から以下の
析条件で算出した。
フィルターフィッティング カイ二乗値:93.8
09
補正の方法:Cliff-Lorimer(MBTS)(吸収なし)
加速電圧:200.0kV 取出角:25.0deg
表3は、粒子母材すなわちオーステナイト ステンレス鋼の陰極材の元素構成を示す。
表2および表3から、製造されたステンレ 鋼合金微粒子は粒子母材の元素構成とほぼ じ構成を持つことがわかった。
図9には、本発明によって製造された微粒 子の粒径分布が示される。縦軸は粒子数、横 軸は粒径(nm)である(粒径はSEM像から算出され 面積相当径である)。具体的には、陰極とし て直径1.5mmのNi細線を用い、30分間160Vの電圧 印加して得られたニッケル微粒子の粒径分 が図9に示されている。上記条件で得られた ッケル微粒子の最小粒径は46nm、最大粒径は 180.5nmおよび平均粒径は93.8nmであった。
図10は、SEM像から算出されるNi微粒子(ナノ
子)の平均粒子径を、セル電圧の関数として
すグラフである。縦軸は粒子径;横軸は印加
した電圧値である。
陰極として用いたNi細線の直径を1.0mmまたは
1.5mmとして、電圧印加時間を10分または30分と
した。黒塗りの四角はNi細線の直径を1.0mm、
圧印加時間を30分として;黒塗りの丸はNi細線
の直径を1.5mm、電圧印加時間を30分として;白
りの四角はNi細線の直径を1.0mm、電圧印加時
間を10分として;白塗りの丸はNi細線の直径を1
.5mm、電圧印加時間を10分として放電させて得
られた微粒子の結果である。
いずれの場合も、電圧を上げると粒子径 減少する傾向がみられた。セル電圧が160Vを 超えると、平均粒子径が100nmを下回る微粒子 得られ、物性値に変化を及ぼすナノ効果の 現が期待される。また、電極金属の材料の いによる製造される微粒子の粒子径の違い 、各金属の熱・電気伝導度及び化学ポテン ャルに差があることに起因すると考えられ 。
図11は、印加する電圧と、プラズマの発 との関係を示す図である。ニッケルNi細線( 径1.5mm;長さ10mm)を陰極として用いて、電圧を 変化させて、陰極近傍でプラズマが発生する かどうかを調べた。グラフの縦軸は電流値; 軸は電圧値である。通常の電気分解領域A、 レークダウンポイントB、遷移領域Cではプ ズマが発生しないか、またはほとんど発生 ないが、約80V以上の電圧をかけた場合(部分 プラズマ領域Dまたはフルプラズマ領域E)に プラズマがはっきりと発生していることが 認された。
図12は、磁場の有無と放電特性との関係を した図である。Ni細線(直径1.5mm;長さ30mm)を陰 極として用いて、陰極表面に平行な成分を有 する磁場を印加した場合と、印加しない場合 とに分けて、陽極および陰極間に印加する電 圧を変化させて、陽極から陰極に流れる電流 を測定した。陽極は、網状の白金からなり、 陰極から48mm離れ、陰極を筒状に囲むように 置された。印加した磁場の強度(磁束密度)は 、0.1テスラ(1000ガウス)であり、磁場を印加す る手段はヘルムホルツコイルであった。印加 する磁場の有無以外の条件は同じとした。ま た導電性液体には炭酸カリウム水溶液(0.1mol/d m 3 )を用いた。
図12における線Aは磁場を印加していない場
の電圧に対する電流の変化を示し、線Bは磁
場を印加した場合の電圧に対する電流の変化
を示す。図12より、磁場を印加した場合、オ
ムの法則に従う通電相(オーミック通電相)
らプラズマを介した通電相に移行するのに
より高い電圧と電流を必要とすることがわ
る。これは磁場の印加が部分プラズマの発
を抑制することを示唆する。一方、プラズ
を介した通電相では、磁場を印加した場合
ほうが、電流の減少が激しい。これは、い
たん部分プラズマが発生すると、磁場を印
した場合のほうが、フルプラズマが短時間
発生することを示唆する。
これらのことから、部分プラズマの発生と
ルプラズマの発生が磁場によって制御され
ることがわかる。
また、上述のように導電性液体が電解水溶
の場合は、オーミック通電相では電気分解
よって水素が発生し、プラズマを介した通
相では、プラズマによる水分子の分解によ
水素が発生する。磁場の印加によってプラ
マの制御ができることから、水素発生に対
るプラズマによる分解および電気分解の寄
度を制御することも可能である。
本出願は、2007年2月15日出願の特願2007-0346 98に基づく優先権を主張する。当該出願明細 に記載された内容は、すべて本願明細書に 用される。
本発明により、従来の製造法と比較して、
倒的に安価に導体微粒子を製造することが
きる。また、放電条件を調整することによ
、所望の大きさ(例えばナノレベル)や形状
導体微粒子を製造することができる。
本発明により製造される導体微粒子は、広
な用途に用いられるが、例えば半導体用封
材、精密フィルムやディスプレイ用の封止
、超大表面積化学触媒、化粧品や医薬品な
に含有させて用いることができる。
また、本発明に、電極近傍域の液相中の熱
体を制御したり、化学反応過程を組み合わ
たりすることにより、複雑な組成の導体微
子や、多層構造の導体微粒子などの製造も
待される。
また、本発明によって製造された導体微 子は、粒径が極めて小さいため、磁気記録 体の素材として用いられた場合、いままで ない記録密度を実現することができる。ま 、本発明によって製造された微粒子では、 積に対する表面積の比率が大きいので、優 た金属光触媒等となりうる。
さらに、本発明によって製造される導体微
子は、粒径が極めて小さい微粒子となり、
微小サイズ効果による低融点化、キューリ
点などの物性転移点の変化が起こりうるの
、新規な半導体素子、強誘電体素子、強い
性体素子の開発に用いられうる。また、導
性高分子を陰極として本発明によって製造
れた微粒子は、医療製品(化粧品など)の新
な原料となりうる。また、金属(合金を含む)
を材料として本発明によって製造された微粒
子は、微細製造を含む工学全範囲に革新的な
発展をもたらしうる。
